JP2004289233A - パルス振幅変調器及び当該パルス幅変調器を備えたd級増幅器 - Google Patents
パルス振幅変調器及び当該パルス幅変調器を備えたd級増幅器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】大振幅出力時及び低振幅出力時の歪率を改善し、比較回路及びその後段の出力段等で発生する出力信号の非線形性を改善する。
【構成】パルス電流回路2Bからの複数のパルス電流を比較波形生成回路2Cによって加算して比較波形を生成し、パルス電流の値、加算パターン、周期等を個別に制御することによって比較波形の波形制御を可能とする。この制御された比較波形により、連続的に小振幅信号時の利得を増大させ、大振幅信号時の利得を減少させることを可能とし、歪率を改善する。
【選択図】 図1
【構成】パルス電流回路2Bからの複数のパルス電流を比較波形生成回路2Cによって加算して比較波形を生成し、パルス電流の値、加算パターン、周期等を個別に制御することによって比較波形の波形制御を可能とする。この制御された比較波形により、連続的に小振幅信号時の利得を増大させ、大振幅信号時の利得を減少させることを可能とし、歪率を改善する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルス振幅変調器及びD級増幅器に関し、特にアナログ入力波形をパルス振幅変調する際に用いる比較波形の振幅や波形を高精度に制御可能とするパルス振幅変調器及びD級増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スピーカの駆動に用いられるD級増幅器では、アナログ入力波形をパルス振幅変調する際に必要となる比較波形として三角波を作り出す際に、積分器により矩形波を三角波に変換して用いていた(例えば、特許文献1)。三角波を作り出す際に、積分器により矩形波を三角波に変換して用いてきた。その方法で作成された三角波を用いると、三角波の波高を越えた振幅の入力信号のパルス振幅変調を行った際に、変調率が飽和してしまうことが起こり得る。このため、最小パルス幅を設定しておき、生成されたパルス振幅変調信号と比較、出力するための回路を設けて変調率の制限を行うことにより、変調率の飽和を回避していた。また、変調率が飽和しない領域での出力歪を改善するためには、D級増幅器の出力を入力段に負帰還をかけることで改善してきた。
【特許文献1】
特開平06−319197号公報(〔0010〕乃至〔0018〕)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のパルス振幅変調器の三角波を発生させる回路では、三角波は矩形波の周期と積分器の時定数とに密接な関係があり、任意の振幅で三角波の振幅精度を確保することが難しかった。このため、パルス振幅変調の変調率制限を行っても、変調率を制限しなかった結果と相似の出力波形となるため、図19に示すような入出力特性になり、変調率の飽和が発生する領域にしばしば達する大振幅出力時の歪率を改善ができなかった。すなわち、入力信号の振幅に対する、積分器を通過後の出力信号の振幅特性において、振幅を無信号から大振幅へ変化させていったときの入出力特性が不連続で、急峻に飽和する特性となり、変調率を制限しなかった結果と相似の出力波形となるため、大振幅出力時の歪率および出力信号の非線形性を改善ができないのである。
【0004】
本発明では、大振幅出力時及び低振幅出力時の歪率を改善し、比較回路及びその後段の出力段等で発生する出力信号の非線形性を改善することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のパルス幅変調器は、互いに位相の異なる複数のパルス電流を出力するパルス電流回路と、上記複数のパルス電流の加算に基づく比較波形を出力する比較波形生成回路と、入力信号をサンプルホールドしてサンプルホールド波形を出力するサンプルホールド回路と、上記サンプルホールド波形と上記比較波形とを比較して上記入力信号をパルス幅変調したパルス幅変調信号を出力する比較回路とを備えることを特徴する。
【0006】
また、上記比較波形生成回路は、入力抵抗回路と帰還抵抗回路とを接続した演算増幅器を備え、上記入力抵抗回路を介して上記複数のパルス電流を入力することが好ましい。
【0007】
また、上記複数のパルス電流の少なくとも1つに対応して、上記演算増幅器の入力端子に与える電位、上記入力抵抗回路の抵抗値及び上記帰還抵抗回路の抵抗値の内のいずれかまたはいくつかの組み合わせを制御し、上記比較波形を波形整形する制御回路を備えることも好ましい。
【0008】
また、上記比較波形が三角波であることも好ましく、さらに、三角波の頂点の近傍で振幅が非線形に増大する変形三角波であることも好ましい。
【0009】
また、本発明のD級増幅器は上記パルス振幅変調器を備えていることを特徴とする。
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明の第1の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器について説明する。図1は本例のパルス幅変調器及びD級増幅器を示すブロック図である。D級増幅器1は、パルス振幅変調器2と、電流バッファ3と、低域濾波器4とからなる。
【0010】
パルス振幅変調器2は、サンプルホールド回路2Aと、パルス電流回路2Bと、比較波形生成回路2Cと、比較回路2Dとからなる。サンプルホールド回路2Aは、入力端子INからの入力信号を所定周期のサンプルホールドパルスにて所定周期毎にサンプルホードし、所定周期毎の入力信号レベルに対応した電圧波形のサンプルホールド波形を出力する。サンプルホールドパルスはパルス電流回路2Bから供給される。比較波形生成回路2Cは、パルス電流回路2Bからの複数のパルス電流を加算及び積分して電圧波形の比較波形を出力する。比較回路2Dはサンプルホールド回路2Aの出力するサンプルホールド波形と、比較波形生成回路2Cの出力する比較波形とを比較し、入力信号をパルス幅変調してなるPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。
【0011】
電流バッファ3は、パルス振幅変調器2から出力されるPWM信号を図示しないスピーカ等の後段の負荷の駆動に適するようにインピーダンス変換して出力する。
【0012】
低域濾波器4は、電流バッファ3からの出力にのる高周波帯の雑音成分を除去し、図示しない負荷に対して増幅信号を出力する。
【0013】
次に図2を参照しながら、パルス振幅変調器2におけるパルス電流回路2B、比較波形生成回路2Cの構成をさらに詳細に述べる。パルス電流回路2Bは、16個のD(Delay)フリップフロップD1乃至D16からなるカウンタ2B1と、8個のNORゲートNO1乃至NO8と、8個のNANDゲートNA1乃至NA8と、NORゲートNO1乃至NO8、NANDゲートNA8乃至NA1の出力の論理レベルによってそれぞれの電流出力が制御される電流源TR1乃至TR16とからなる。
【0014】
DフリップフロップD1乃至D15は、それぞれの出力端子Qを次段の入力端子Dに接続し、最終段のDフリップフロップD16は、その反転出力端子QN(出力端子Qに対して論理レベルの反転した出力を生じる端子、所謂Qバー)を最前段のDフリップフロップD1の入力端子Dに接続してあり、カウンタ2B1を構成する。カウンタ2B1は所謂ジョンソンカウンタである。DフリップフロップD1乃至D16は、共通の端子REにリセット端子CDNを接続してあり、端子REからリセット信号が入力されると、DフリップフロップD1乃至D16は出力端子Qの論理レベルを“H”とする。DフリップフロップD1乃至D16は、共通の端子CKにクロック端子CLKを接続してあり、端子CKからのクロックパルス(以降、単にクロックと言う)の立ち上がり毎に後段からの出力を取り込み、すなわち、カウント動作を行う。
【0015】
NORゲートNO1乃至NO8の一方の入力端子はそれぞれDフリップフロップD1乃至D8の出力端子Qに接続され、他方の入力端子はそれぞれDフリップフロップD16乃至D9の出力端子Qに接続される。つまり、kを1乃至8の整数とすれば、NORゲートNOkの一方の入力端子にはDフリップフロップDkの出力端子Qが接続され、他方の入力端子にはDフリップフロップD17−kの出力端子Qが接続される。また、NORゲートNO1の出力端子からの出力はインバータINV0を介して端子SCKより上述のサンプルホールドパルスとしてサンプルホールド回路2Aに出力される。
【0016】
NANDゲートNA1乃至NA8の一方の入力端子はそれぞれDフリップフロップD1乃至D8の出力端子Qに接続され、他方の入力端子はそれぞれDフリップフロップD16乃至D9の出力端子Qに接続される。つまり、kを1乃至8の整数とすれば、NANDゲートNAkの一方の入力端子にはDフリップフロップDkの出力端子Qが接続され、他方の入力端子にはDフリップフロップD17−kの出力端子Qが接続される。
【0017】
電流源TR1乃至TR16は、図2では便宜上端子として示すのみであるが、具体的には次のように構成される。電流源TR1は、例えば、図3に示すように、電源端子VDD(例えば、2.5V)に接続された定電流源I1と、ソースを定電流源I1に接続し、ドレインを後述する比較波形生成回路2Cの抵抗R1に接続したPチャネルMOSトランジスタP1と、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートとNORゲートNO1の出力端子との間に接続されたインバータINV1とから構成され、NORゲートNO1が論理レベル“H”を出力する間にPチャネルMOSトランジスタP1を介して定電流源I1からの電流を抵抗R1に流す。この電流をパルス電流と称する。図示しないが、電流源TR2乃至TR16も同様の構成であり、それぞれのPチャネルMOSトランジスタのドレインは後述する比較波形生成回路2Cの抵抗R2乃至R16に接続される。但し、電流源TR1乃至TR8ではそれぞれのインバータの入力端子がNORゲートNO1乃至NO8の出力端子と接続されているのに対し、電流源TR16乃至TR9ではそれぞれのインバータの入力端子がNANDゲートNA1乃至NA8の出力端子と接続されている。つまり、kを1乃至8の整数とすれば、電流源TRkはNORゲートNOkの出力の論理レベルが“H”のときに抵抗Rkに電流を流し、電流源TR17−kは、NANDゲートNAkの出力の論理レベルが“H”のときに抵抗R17−kに電流を流す。このように電流源TR1乃至TR16は、NORゲートNO1乃至NO8、NANDゲートNA1乃至NA8の制御を受けてパルス電流を比較波形生成回路2Cに出力する。
【0018】
再び図2に戻って比較波形生成回路2Cの構成について述べる。比較波形生成回路2Cは、演算増幅器OP1と、一端をそれぞれ電流源TR1乃至TR16に接続して他端を共通の電流加算点21に接続した抵抗R1乃至R16と、抵抗R1乃至R16の電流加算点21に一端を接続して他端を演算増幅器OP1の逆相入力端子−に接続した抵抗R17と、演算増幅器OP1の逆相入力端子−と出力端子22との間に接続された帰還抵抗R18と、逆相入力端子−と出力端子22との間に接続された帰還容量C1とから構成される。演算増幅器OP1の正相入力端子+は本例のパルス振幅変調器及びD級増幅器の電源電圧の中点電位に接続される。例えば、電源電端子VDDの電位が2.5Vで、後述する接地端子GNDの電位が0Vであれば、の正相入力端子+は1.25Vの中点電位を発生する図示しない定電圧源に接続される。比較波形生成回路2Cでは、抵抗R1乃至R16に流れる電流を加算して抵抗R17を介して演算増幅器OP1の逆相入力端子−に入力し、また、演算増幅器OP1は抵抗R1乃至R18とともに反転増幅器をなしてあり、電流加算してなる入力信号を増幅し、電圧波形である比較波形を出力する。ここで、抵抗R1からR16の抵抗値は全て等しくしてある。また、抵抗R17は、抵抗R1乃至R16の抵抗値を、抵抗R17の未挿入の場合よりも小さな値に設定するための抵抗であり、帰還抵抗R18は、振幅を決定するための抵抗である。また、演算増幅器OP1の逆相入力端子−と出力端子22との間に接続された帰還容量C1によって上述の反転増幅器は積分器を兼ねており、比較波形は当該反転増幅器への入力信号を積分したものとなる。
【0019】
次に本例の動作について説明する。図4はパルス電流回路2Bの動作説明のためのタイミングチャートであり、CKはDフリップフロップD1乃至D16へのクロックを示してあり、SCKはサンプルホールドパルスを示してあり、TR1乃至TR16は、それぞれ電流源TR1乃至TR16からのパルス電流を示してあり、これらTR1乃至TR16の論理レベルが“H”のときに電流源TR1乃至TR16からそれぞれのパルス電流が出力されているものとする。以降、パルス電流TR1乃至TR16と称する。同図を参照しながら先ずパルス電流回路2Bの動作について述べる。
【0020】
タイミングt0においてDフリップフロップD1乃至D16がリセットされた状態にあるとすれば、DフリップフロップD1乃至D16の出力端子Qは、総て論理レベルを“H”としてあり、NORゲートNO1乃至NO8、NANDゲートNA1乃至NA8の出力の論理レベルは“L”となってあり、パルス電流TR1乃至TR16は“L”となって比較波形生成回路2Cに出力されない。
【0021】
次のタイミングt1においてクロックCKが立ち上がると、DフリップフロップD1は、DフリップフロップD16の出力端子QNの論理レベル“L”を取り込んで出力端子Qを“L”とする。これによってNANDゲートNA1が出力の論理レベルを“H”とし、電流源TR16からパルス電流TR16が比較波形生成回路2Cに出力される。
【0022】
次にタイミングt2においてクロックCKが立ち上がると、DフリップフロップD2は、DフリップフロップD1の出力端子Qの論理レベル“L”を取り込んで出力端子Qを“L”とする。これによってNANDゲートNA2が出力の論理レベルを“H”とし、電流源TR15からパルス電流TR15が比較波形生成回路2Cに出力される。
【0023】
なお、カウンタ2B1は、DフリップフロップD1に取り込んだ“L”を、クロックCKをカウントする毎に次段のDフリップフロップに伝達し、タイミングt1でのカウントを含めてクロックCKを16カウントすることでDフリップフロップD16の出力端子Qの論理レベルを“L”とし(タイミングt16)、次のカウントで、DフリップフロップD1はDフリップフロップD16の出力端子QNの論理レベル“H”を取り込んで、タイミングt1でのカウントを含めてクロックCKを32カウントすることでタイミングt0での状態に戻る(タイミングt32)。
【0024】
タイミングt2の後、クロックCKが立ち上がる度にNANDゲートNA14乃至NA9の出力の論理レベルが順次“H”となり、続いてNORゲートNO8乃至NO1の出力の論理レベルが順次“H”となり、クロックCKが立ち上がる度に電流源TR14乃至TR1が順次パルス電流TR14乃至TR1を出力する。
【0025】
タイミングt16においてDフリップフロップD16の出力端子Qの論理レベルが“L”となり、次にクロックCKが立ち上がるタイミング17でDフリップフロップD1がDフリップフロップD16の出力端子QNの論理レベル“H”を取り込んで、出力端子Qを“H”に戻すと、DフリップフロップD16の出力端子Qの論理レベルが“L”となってNORゲートNO1が“L”となる。これによって電流源TR1からのパルス電流TR1の出力が途絶える。
【0026】
次にタイミングt18においてクロックCKが立ち上がると、DフリップフロップD2は、DフリップフロップD1の出力端子Qの論理レベルを“H”を取り込んで出力端子Qを“H”とする。これによってNORゲートNO2が出力の論理レベルを“L”とし、電流源TR2からパルス電流TR2の出力が途絶える。
【0027】
タイミングt18の後、クロックCKが立ち上がる度にNORゲートNO3乃至NO8の出力の論理レベルが順次“L”となり、タイミングt1でのカウントを含めてクロックCKを24カウントしたタイミングt24においてDフリップフロップD1乃至D8の出力端子Qの論理レベルが“H”となった状態になる。
【0028】
次にクロックCKが立ち上がるタイミングt25では、DフリップフロップD9の出力端子Qの論理レベルが“H”となり、NANDゲートNA8の出力の論理レベルが“L”となる。タイミングt25の後、クロックCKが立ち上がる度にNANDゲートNA7乃至NA1の出力の論理レベルが順次“L”となる。このようにクロックCKが立ち上がる度に各論理ゲートが順次“L”となって、電流源TR3乃至TR16からパルス電流TR3乃至TR16の出力が順次途絶える。タイミングt1でのカウントを含めてクロックCKを32カウントしたタイミングt32では、タイミングt0での状態に戻っている。
【0029】
パルス電流回路2Bは以上の動作を繰り返すことにより、図4に示すように互いに周期及びパルス幅の中心が一致してあり、この順でパルス幅が増加する位相の異なるパルス電流TR1乃至TR16を生成する。また、NORゲートNO1の出力をインバータINV0で反転してサンプルホールドパルスとしてある。
【0030】
次にパルス波形生成回路2Cの動作について説明する。パルス波形生成回路2Cでは、パルス電流回路2Bからのパルス電流TR1乃至TR16はそれぞれ抵抗R1乃至R16を介して電流加算点21に流れ込み、電流加算される。これにより、電流加算点21に現れる電流波形は、図5に示すようにステップ状の三角波となる。パルス波形生成回路2Cは電流加算してなる電流波形を電圧に変換しており、図5に示す電流加算してなるステップ状の電流波形は、パルス電流TR1乃至TR16を電圧に変換するときに、抵抗R1乃至R18と、帰還容量C1と演算増幅器OP1により低域濾波作用を持つ変換を行うことにより、図6に示すように滑らかに繋ぐことができ、三角波となる。
【0031】
以上のように生成された三角波は比較波形として比較回路2Dに与えられる。比較回路2Dは、サンプルホールド回路2Aから出力されるサンプルホールド波形と比較波形とを比較して入力信号をパルス幅変調してなるPWM(PulseWidth Modulation)信号を出力する。PWM信号は、電流バッファ3によって後段の負荷の駆動に適するようにインピーダンス変換され、低域濾波器4によって高周波帯の雑音成分を除去されて増幅信号として出力される。
【0032】
従来のもののように積分器を用いて1つの矩形波、すなわち、1つのパルス電流を三角波に変換して比較波形とするものでは、比較波形は、矩形波の周期と積分器の時定数とに密接な関係があり、比較波形の振幅と周期とを個別に制御することができず、振幅精度を確保することが難しかった。これに対して本例のパルス振幅変調器及びD級増幅器では、上述のように比較波形を複数のパルス電流を加算して生成しているため、パルス電流の値、加算パターン、周期等を個別に制御することにより、比較波形の振幅と周期とを個別に制御することができ、任意の振幅で比較波形の振幅精度を確保することが可能となっている。
【0033】
次に本発明の第2の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器について説明する。本例は、比較波形生成回路2Cの構成の一部に変更を施したものについて述べる。具体的には図7に示すように、パルス電流TR1乃至TR16の何れかに対応して比較波形生成回路の演算増幅器の入力抵抗回路及び帰還抵抗回路の抵抗値を切り替えることによって変形した三角波を比較波形として生成するものであり、特に頂点近傍で非線形に振幅の増大する変形した三角波を比較波形として生成し、小振幅及び大振幅時の変調率を連続的に制限するものである。図7に示すように本例の比較波形生成回路2C’では、上記第1の実施例の比較波形生成回路2Cに制御回路2C0を追加している。同図及び以降の説明において、上述の第1の実施例のものと同じ符号で示す構成要素は上記第1の実施例のものと同じ構成要素を示すこととする。
【0034】
制御回路2C0は、アナログスイッチSW1及びSW2と、抵抗R19と、ORゲートO1と、NANDゲートNA9と、インバータINV2及びINV3ととからなる。アナログスイッチSW1は、NチャネルMOSトランジスタQ1とPチャネルMOSトランジスタQ2とのなすトランスミッションゲートからなる。アナログスイッチSW1は抵抗R19と並列に接続され、この並列回路が演算増幅器OP1の出力端子22と帰還抵抗R18との間に接続されている。アナログスイッチSW1がオンとされているときには第1の実施例の比較波形生成回路2Cと同様に演算増幅器OP1の出力端子と逆相入力端子−との間に帰還抵抗R18が接続された状態となり、アナログスイッチSW1がオフとされているときには演算増幅器OP1の出力端子と逆相入力端子−との間に帰還抵抗R18と抵抗R19とが直列接続された状態となる。アナログスイッチSW2は、NチャネルMOSトランジスタQ3とPチャネルMOSトランジスタQ4とのなすトランスミッションゲートからなる。アナログスイッチSW2は抵抗R17と並列に接続されており、アナログスイッチSW2がオンとされているときには電流加算点21が抵抗R17を介さず演算増幅器OP1の逆相入力端子−に接続された状態となり、アナログスイッチSW2がオフとされているときには第1の実施例の比較波形生成回路2Cと同様に電流加算点21が抵抗R17を介して演算増幅器OP1の逆相入力端子−に接続された状態となる。
【0035】
ORゲートO1の一方の入力端子にはパルス電流TR1を“H”とするNORゲートNO1の出力端子Aが接続され、ORゲートO1の他方の入力端子にはインバータINV2の出力端子が接続されている。インバータINV2の入力端子はパルス電流TR16を“H”とするNANDゲートNA1の出力端子Bが接続されている。NANDゲートNA9の一方の入力端子にはORゲートO1の出力端子が接続され、NANDゲートNA9の他方の入力端子には波形制御端子Ct0が接続さている。NANDゲートNA9の出力端子は、NチャネルMOSトランジスタQ1のゲートと、PチャネルMOSトランジスタQ4のゲートに接続されるとともに、インバータINV3の入力端子に接続される。インバータINV3の出力端子はNチャネルMOSトランジスタQ3のゲートと、PチャネルMOSトランジスタQ2のゲートに接続される。これにより、NANDゲートNA9の出力端子の論理レベルに応じてアナログスイッチSW1、SW2は相補的にオン、オフされる。
【0036】
次に本例の動作について説明する。波形制御端子Ct0から入力する波形制御信号の論理レベルを“L”とすれば、その間NANDゲートNA9の出力端子の論理レベルは“H”となり、アナログスイッチSW1がオンとなり、アナログスイッチSW2がオフとなる。このとき、本例の比較波形生成回路2C’は、上述の第1の実施例の比較波形生成回路2Cと同じ接続関係にて抵抗R1乃至18が演算増幅器OP1に接続された状態となり、上記第1の実施例の比較波形生成回路2Cと同様の動作を行い、図6に示した直線性の高い三角波を比較波形として出力する。
【0037】
波形制御端子Ct0から入力する波形制御信号の論理レベルを“H”とすると、パルス電流TR1が出力されるタイミングと、パルス電流TR16の出力されないタイミングとにおいてNANDゲートNA9の出力端子の論理レベルは“L”となり、その間アナログスイッチSW1がオフとなり、アナログスイッチSW2がオンとなる。パルス電流TR2乃至TR15が出力されるタイミングでは、アナログスイッチSW1がオンとなり、アナログスイッチSW2がオフとなる。これにより、抵抗R17と演算増幅器OP1の逆相入力端子−との接続点61の電流波形は、図8に示すようにパルス電流TR1が出力されるタイミングでは抵抗R17が迂回され電流値が増加し、パルス電流TR2乃至TR15が出力されるタイミングでは抵抗R17によって制限された波形となる。
【0038】
また、パルス電流TR1が出力されるタイミングパルス及び電流TR16の出力されないタイミングでは、アナログスイッチSW1がオフとなって演算増幅器OP1の出力端子と逆相入力端子−との間に帰還抵抗R18と抵抗R19とが直列接続されて帰還抵抗値が増加し、入力側ではアナログスイッチSW2がオンとなって抵抗R17が迂回されて入力抵抗値が減少した状態となり、パルス電流TR2乃至TR15が出力されるタイミングと比較して演算増幅器OP1及びこれに接続された各抵抗からなる反転増幅器の増幅利得が高くなる。これらにより、波形制御信号の論理レベルを“H”とした場合、比較波形生成回路2C’の出力端子22の電圧波形、すなわち、比較波形は図9に示すように頂点近傍で非線形に振幅が増大する変形した三角波となる。
【0039】
図6に示す直線性の高い三角波を比較波形と、サンプルホールド回路2Aのサンプルホールド波形とを比較回路2Dにて比較する場合について、比較波形と、入力信号と、サンプルホールド波形との関係を図10に示し、比較回路2Dの出力するPWM信号を図11に示す。
【0040】
図9に示す非線形に変形された三角波を比較波形と、サンプルホールド回路2Aのサンプルホールド波形とを比較回路2Dにて比較する場合について、比較波形と、入力信号と、サンプルホールド波形との関係を図12に示し、比較回路2Dの出力するPWM信号を図13に示す。
【0041】
図10乃至図13に示されるように、図6に示す直線性の高い三角波を比較波形とした場合、入力信号が特定レベル以上となると、変調率が急峻に制限されているのに対して、図9に示す変形三角波を比較波形とした場合では、比較波形が頂点近傍で非線形に振幅を増大させたものであるため、変調率を急峻に制限することはない。単電源でD級増幅器を駆動し、図9に示す変形三角波を比較波形とした場合のPWM信号を電流バッファ3及び低域濾波器4を通すと、図14に示す入出力特性が得られる。このように特定レベル以上で連続的に変調率を制限することによって、従来のD級増幅器で飽和してしまう入力信号レベル下においても、歪を低減した出力が可能となる。特に音楽信号のような、起伏に富んだ波形の大振幅信号を入力したときにも、大振幅入力時に変調率を連続的に制限するため、歪を低減しながら平均音圧レベルを向上することも可能となる。
【0042】
次に本発明の第3の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器について説明する。本例では、変形三角波を生成する比較波形生成回路のさらに他の回路例を示す。図15に示すように、本例の比較波形生成回路2C”では上記第1の実施例の比較波形生成回路2Cに制御回路2C1乃至2C3を追加している。
【0043】
制御回路2C1は、アナログスッチSW3と、NANDゲートNA10とインバータINV4と、抵抗R20とからなる。アナログスッチSW3はNチャネルMOSトランジスタQ5とPチャネルMOSトランジスタQ6とのなすトランスミッションゲートからなり、演算増幅器OP1の逆相入力端子−と抵抗R17との接続点61と電源端子VDDとの間で抵抗R20と直列接続されている。NANDゲートNA10の一方の入力端子にはパルス電流TR1を“H”とするNORゲートNO1の出力端子Aが接続され、NANDゲートNA10の他方の入力端子には波形制御端子Ct1が接続さている。NANDゲートNA10の出力端子は、アナログスッチSW3のPチャネルMOSトランジスタQ6のゲートに接続されるとともに、インバータINV4を介してアナログスッチSW3のNチャネルMOSトランジスタQ5のゲートに接続されている。
【0044】
制御回路2C2は、アナログスッチSW4と、NANDゲートNA11とインバータINV5及びINV6と、抵抗R21とからなる。アナログスッチSW4はNチャネルMOSトランジスタQ7とPチャネルMOSトランジスタQ8とのなすトランスミッションゲートからなり、接続点61と接地端子GNDとの間で抵抗R21と直列接続されている。インバータINV5の入力端子にはパルス電流TR16を“H”とするNANDゲートNA1の出力端子Bが接続されている。NANDゲートNA11の一方の入力端子はインバータINV5の出力端子が接続され、NANDゲートNA11の他方の入力端子には波形制御端子Ct1が接続さている。NANDゲートNA11の出力端子は、アナログスッチSW4のPチャネルMOSトランジスタQ8のゲートに接続されるとともに、インバータINV6を介してアナログスッチSW3のNチャネルMOSトランジスタQ7のゲートに接続されている。
【0045】
制御回路2C3は、アナログスッチSW5と、インバータINV7と、抵抗R22とからなる。アナログスッチSW5は、NチャネルMOSトランジスタQ9とPチャネルMOSトランジスタQ10とのなすトランスミッションゲートからなり、抵抗R1乃至R16の電流加算点21と演算増幅器1の正相入力端子+との間で抵抗R22と直列接続されている。
【0046】
次に本例の動作について説明する。波形制御端子Ct1から入力する第1波形制御信号の論理レベルを“L”とすれば、その間NANDゲートNA10及びNA11の出力端子の論理レベルは“H”となり、アナログスイッチSW3及びSW4はオフとなる。波形制御端子Ct1から入力する第1波形制御信号の論理レベルを“H”とすると、パルス電流TR1が出力されるタイミングと、パルス電流TR16の出力されないタイミングとにおいてNANDゲートNA10、NA11の出力端子の論理レベルは “H”となり、アナログスイッチSW3及びSW4はオンとなる。これによってパルス電流TR1が出力されるタイミングにおいて、抵抗R20を介して接続点61を電源端子VDDの電位に持ち上げる。パルス電流TR16の出力されないタイミングにおいて、抵抗R21を介して接続点61を接地端子GND(0V)の電位に引き下げる。これによって演算増幅器OP1から比較波形として出力される三角波の振幅は頂点近傍において非線形に増大し、最大で電源端子VDDの電位まで持ち上げ、最小で接地端子GND(0V)の電位に引き下げる。
【0047】
波形制御端子Ct2から入力する第2波形制御信号の論理レベルを“L”とすると、アナログスイッチSW5がオフとなる。第2波形制御信号の論理レベルを“H”とすると、アナログスイッチSW5がオンとなり、抵抗R22を介して電流加算点21の電位を電源端子VDDと接地端子GND(0V)との間の中点電位へ導入する。これによって演算増幅器OP1から比較波形として出力される三角波の振幅の圧縮を行うことが可能となり、圧縮しない場合と比べて変調率が高くなるために増幅率が上がる。
【0048】
また、第1波形制御信号と第2波形制御信号とは互いに独立して設定でき、第1波形制御信号のみを“H”に設定したときには、図7に示した第2の実施例のものにおいて波形制御信号を“H”に設定したときと同等の効果を得ることができる。第2波形制御信号をハイレベルとしたときには、三角波の振幅を小さくする効果があり、図6の三角波の振幅を電源の中点を中心に圧縮した波形が得られる。
【0049】
第1波形制御信号と第2波形制御信号とを共に“H”に設定し、生成された比較波形とサンプルホールド波形とを比較回路2Dにて比較する場合について、比較波形と、入力信号と、サンプルホールド波形との関係を図16に示し、比較回路2Dの出力するPWM信号を図17に示す。この場合、単電源でD級増幅器を駆動したとすれば入出力特性は図18に示すようなものとなる。図16に示されるように小振幅信号時の利得の増大と大振幅信号時の利得減少とを実現している。これにより、図18に示すように、振幅を無信号から大振幅へ変化させていったときの入出力特性を連続したものとしている。これによって大振幅出力時及び低振幅出力時の歪率を改善することが可能となっている。
【0050】
また、上記第1乃至第3の実施例において、16個のDフリップフロップD1乃至D16からカウンタ2B1を構成し、各段の出力端子の制御を受けるNORゲートNO1乃至NO8、NANDゲートNA1乃至NA8等の論理ゲートからパルス電流TR1乃至TR16を生成することとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、同様の構成でカウンタの段数及び論理ゲート数を増加又は減少させて適宜な数のパルス電流を生成し、これらを電流加算しても良い。上記第1乃至第3の実施例においては、カウンタ、論理ゲート及び定電流源とからなる簡易な構成でパルス電流の生成が可能となっており、パルス振幅変調器及びD級増幅器の集積化あたってはサイズ的に有利なものとなっている。なお、カウンタ、論理ゲートに代えて各パルス電流の一周期分のパターンをメモリに格納し、クロックに従ってパターンを読み出すことによって各パルス電流を生成することも可能であるが、サイズ的には不利なものとなる。
【0051】
また、上記第2及び第3の実施例において、端子A、Bをそれぞれパルス電流TR1、TR16に対応させてこれらに応じて演算増幅器OP1の逆相入力端子−の電位の制御するようにしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、端子Aをパルス電流TR1乃至TR8の内の1つまたは複数の組み合わせに対応させ、対応させたパルス電流の出力タイミングに演算増幅器OP1の逆相入力端子−の電位を押し上げ、端子Bをパルス電流TR9乃至TR16の内の1つまたは複数の組み合わせに対応させ、対応させたパルス電流の出力が途絶えたタイミングに演算増幅器OP1の逆相入力端子−の電位を引き下げるようにするなどして三角波形を適宜に変形するようにしても良い。例えば、比較波形となる三角波を、比較回路及びその後段で発生する出力信号の非線形の逆特性を予想した比較波形に変形することにより、比較回路及びその後段で発生する出力信号の非線形性を改善することが可能となる。このように、上記第2及び第3の実施例においては、比較波形は基本となる三角波を、その基となるパルス電流に対応して制御される論理ゲートとアナログスイッチによって波形整形するので、簡易な構成で所望の波形の比較波形を得ることができ、パルス振幅変調器及びD級増幅器の集積化あたってはサイズ的に有利なものとなっている。
【0052】
【発明の効果】
本発明では、簡易な構成にて、比較波形の振幅の精度を改善するとともに、比較波形を波形整形することにより、大振幅出力時の歪率を改善すること、D級増幅器の比較回路と出力段とで発生する出力信号の非線形性を改善することが可能となる。
【0053】
具体的には、本発明では、比較波形を複数のパルス電流を加算して生成しているため、パルス電流の値、加算パターン、周期等を個別に制御することにより、比較波形の振幅と周期とを個別に制御することができ、任意の振幅で比較波形の振幅精度を確保することが可能となる。
【0054】
また、比較波形生成回路を入力抵抗回路と帰還抵抗回路とを接続した演算増幅器から構成し、入力抵抗回路を介して複数のパルス電流を入力して加算して比較波形を生成することによっては、簡易な構成にて所望の比較波形を得ることが可能となる。
【0055】
また、基本となる比較波形、例えば、三角波を生成し、複数のパルス電流の少なくとも1つに対応して演算増幅器の入力端子に与える電位、入力抵抗回路の抵抗値及び帰還抵抗回路の抵抗値の内のいずれかまたはいくつかの組み合わせを制御し、比較波形を波形整形するので、簡易な構成にて所望の波形の比較波形を得ることが可能となる。
【0056】
特に、比較波形を、三角波の頂点の近傍で振幅が非線形に増大する変形三角波とすることにより、連続的に小振幅信号時の利得を増大させ、大振幅信号時の利得を減少させることが可能となる。これにより、大振幅出力時及び低振幅出力時の歪率を改善することが可能となる。
【0057】
また、比較波形となる三角波を、比較回路及びその後段で発生する出力信号の非線形の逆特性を予想した比較波形に変形することにより、比較回路及びその後段で発生する出力信号の非線形性を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器の構成を示すブロック図。
【図2】図1のパルス電流回路2B及び比較波形生成回路2Cの構成を示す電気回路図。
【図3】電流源TR1の構成を示す電気回路図。
【図4】図2のパルス電流回路2Bの動作説明のためのタイミングチャート。
【図5】図2の比較波形生成回路2Cの電流加算点21の電流波形を示す波形図。
【図6】図2の比較波形生成回路2Cの出力端子22の電圧波形を示す波形図。
【図7】本発明の第2の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器のパルス電流回路2B及び比較波形生成回路2C’の構成を示す電気回路図。
【図8】図7の比較波形生成回路2C’の電流加算点21の電流波形を示す波形図。
【図9】図7の比較波形生成回路2C’の出力端子22の電圧波形を示す波形図。
【図10】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を三角波とした場合の入力信号、比較波形、サンプルホールド波形との関係を示す波形図。
【図11】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を三角波とした場合に得られるPWM信号の波形を示す波形図。
【図12】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を変形三角波とした場合の入力信号、比較波形、サンプルホールド波形との関係を示す波形図。
【図13】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を変形三角波とした場合に得られるPWM信号の波形を示す波形図。
【図14】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を変形三角波とした場合の第2の実施例のD級増幅器の入出力特性図。
【図15】本発明の第3の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器のパルス電流回路2B及び比較波形生成回路2C”の構成を示す電気回路図。
【図16】図15の比較波形生成回路2C”の生成する比較波形を変形三角波とした場合の入力信号、比較波形、サンプルホールド波形との関係を示す波形図。
【図17】図15の比較波形生成回路2C”の生成する比較波形を変形三角波とした場合に得られるPWM信号の波形を示す波形図。
【図18】図15の比較波形生成回路2C”の生成する比較波形を変形三角波とした場合の第3の実施例のD級増幅器の入出力特性図。
【図19】従来のD級増幅器の入出力特性図。
【符号の説明】
1 D級増幅器
2 パルス幅変調器
2A サンプルホールド回路
2B パルス電流回路
2C 比較波形生成回路
2D 比較回路
OP1 演算増幅器
R1〜R17 入力抵抗回路(抵抗)
R18、R19 帰還抵抗回路
2C0〜2C3 制御回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルス振幅変調器及びD級増幅器に関し、特にアナログ入力波形をパルス振幅変調する際に用いる比較波形の振幅や波形を高精度に制御可能とするパルス振幅変調器及びD級増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スピーカの駆動に用いられるD級増幅器では、アナログ入力波形をパルス振幅変調する際に必要となる比較波形として三角波を作り出す際に、積分器により矩形波を三角波に変換して用いていた(例えば、特許文献1)。三角波を作り出す際に、積分器により矩形波を三角波に変換して用いてきた。その方法で作成された三角波を用いると、三角波の波高を越えた振幅の入力信号のパルス振幅変調を行った際に、変調率が飽和してしまうことが起こり得る。このため、最小パルス幅を設定しておき、生成されたパルス振幅変調信号と比較、出力するための回路を設けて変調率の制限を行うことにより、変調率の飽和を回避していた。また、変調率が飽和しない領域での出力歪を改善するためには、D級増幅器の出力を入力段に負帰還をかけることで改善してきた。
【特許文献1】
特開平06−319197号公報(〔0010〕乃至〔0018〕)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のパルス振幅変調器の三角波を発生させる回路では、三角波は矩形波の周期と積分器の時定数とに密接な関係があり、任意の振幅で三角波の振幅精度を確保することが難しかった。このため、パルス振幅変調の変調率制限を行っても、変調率を制限しなかった結果と相似の出力波形となるため、図19に示すような入出力特性になり、変調率の飽和が発生する領域にしばしば達する大振幅出力時の歪率を改善ができなかった。すなわち、入力信号の振幅に対する、積分器を通過後の出力信号の振幅特性において、振幅を無信号から大振幅へ変化させていったときの入出力特性が不連続で、急峻に飽和する特性となり、変調率を制限しなかった結果と相似の出力波形となるため、大振幅出力時の歪率および出力信号の非線形性を改善ができないのである。
【0004】
本発明では、大振幅出力時及び低振幅出力時の歪率を改善し、比較回路及びその後段の出力段等で発生する出力信号の非線形性を改善することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のパルス幅変調器は、互いに位相の異なる複数のパルス電流を出力するパルス電流回路と、上記複数のパルス電流の加算に基づく比較波形を出力する比較波形生成回路と、入力信号をサンプルホールドしてサンプルホールド波形を出力するサンプルホールド回路と、上記サンプルホールド波形と上記比較波形とを比較して上記入力信号をパルス幅変調したパルス幅変調信号を出力する比較回路とを備えることを特徴する。
【0006】
また、上記比較波形生成回路は、入力抵抗回路と帰還抵抗回路とを接続した演算増幅器を備え、上記入力抵抗回路を介して上記複数のパルス電流を入力することが好ましい。
【0007】
また、上記複数のパルス電流の少なくとも1つに対応して、上記演算増幅器の入力端子に与える電位、上記入力抵抗回路の抵抗値及び上記帰還抵抗回路の抵抗値の内のいずれかまたはいくつかの組み合わせを制御し、上記比較波形を波形整形する制御回路を備えることも好ましい。
【0008】
また、上記比較波形が三角波であることも好ましく、さらに、三角波の頂点の近傍で振幅が非線形に増大する変形三角波であることも好ましい。
【0009】
また、本発明のD級増幅器は上記パルス振幅変調器を備えていることを特徴とする。
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明の第1の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器について説明する。図1は本例のパルス幅変調器及びD級増幅器を示すブロック図である。D級増幅器1は、パルス振幅変調器2と、電流バッファ3と、低域濾波器4とからなる。
【0010】
パルス振幅変調器2は、サンプルホールド回路2Aと、パルス電流回路2Bと、比較波形生成回路2Cと、比較回路2Dとからなる。サンプルホールド回路2Aは、入力端子INからの入力信号を所定周期のサンプルホールドパルスにて所定周期毎にサンプルホードし、所定周期毎の入力信号レベルに対応した電圧波形のサンプルホールド波形を出力する。サンプルホールドパルスはパルス電流回路2Bから供給される。比較波形生成回路2Cは、パルス電流回路2Bからの複数のパルス電流を加算及び積分して電圧波形の比較波形を出力する。比較回路2Dはサンプルホールド回路2Aの出力するサンプルホールド波形と、比較波形生成回路2Cの出力する比較波形とを比較し、入力信号をパルス幅変調してなるPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。
【0011】
電流バッファ3は、パルス振幅変調器2から出力されるPWM信号を図示しないスピーカ等の後段の負荷の駆動に適するようにインピーダンス変換して出力する。
【0012】
低域濾波器4は、電流バッファ3からの出力にのる高周波帯の雑音成分を除去し、図示しない負荷に対して増幅信号を出力する。
【0013】
次に図2を参照しながら、パルス振幅変調器2におけるパルス電流回路2B、比較波形生成回路2Cの構成をさらに詳細に述べる。パルス電流回路2Bは、16個のD(Delay)フリップフロップD1乃至D16からなるカウンタ2B1と、8個のNORゲートNO1乃至NO8と、8個のNANDゲートNA1乃至NA8と、NORゲートNO1乃至NO8、NANDゲートNA8乃至NA1の出力の論理レベルによってそれぞれの電流出力が制御される電流源TR1乃至TR16とからなる。
【0014】
DフリップフロップD1乃至D15は、それぞれの出力端子Qを次段の入力端子Dに接続し、最終段のDフリップフロップD16は、その反転出力端子QN(出力端子Qに対して論理レベルの反転した出力を生じる端子、所謂Qバー)を最前段のDフリップフロップD1の入力端子Dに接続してあり、カウンタ2B1を構成する。カウンタ2B1は所謂ジョンソンカウンタである。DフリップフロップD1乃至D16は、共通の端子REにリセット端子CDNを接続してあり、端子REからリセット信号が入力されると、DフリップフロップD1乃至D16は出力端子Qの論理レベルを“H”とする。DフリップフロップD1乃至D16は、共通の端子CKにクロック端子CLKを接続してあり、端子CKからのクロックパルス(以降、単にクロックと言う)の立ち上がり毎に後段からの出力を取り込み、すなわち、カウント動作を行う。
【0015】
NORゲートNO1乃至NO8の一方の入力端子はそれぞれDフリップフロップD1乃至D8の出力端子Qに接続され、他方の入力端子はそれぞれDフリップフロップD16乃至D9の出力端子Qに接続される。つまり、kを1乃至8の整数とすれば、NORゲートNOkの一方の入力端子にはDフリップフロップDkの出力端子Qが接続され、他方の入力端子にはDフリップフロップD17−kの出力端子Qが接続される。また、NORゲートNO1の出力端子からの出力はインバータINV0を介して端子SCKより上述のサンプルホールドパルスとしてサンプルホールド回路2Aに出力される。
【0016】
NANDゲートNA1乃至NA8の一方の入力端子はそれぞれDフリップフロップD1乃至D8の出力端子Qに接続され、他方の入力端子はそれぞれDフリップフロップD16乃至D9の出力端子Qに接続される。つまり、kを1乃至8の整数とすれば、NANDゲートNAkの一方の入力端子にはDフリップフロップDkの出力端子Qが接続され、他方の入力端子にはDフリップフロップD17−kの出力端子Qが接続される。
【0017】
電流源TR1乃至TR16は、図2では便宜上端子として示すのみであるが、具体的には次のように構成される。電流源TR1は、例えば、図3に示すように、電源端子VDD(例えば、2.5V)に接続された定電流源I1と、ソースを定電流源I1に接続し、ドレインを後述する比較波形生成回路2Cの抵抗R1に接続したPチャネルMOSトランジスタP1と、PチャネルMOSトランジスタP1のゲートとNORゲートNO1の出力端子との間に接続されたインバータINV1とから構成され、NORゲートNO1が論理レベル“H”を出力する間にPチャネルMOSトランジスタP1を介して定電流源I1からの電流を抵抗R1に流す。この電流をパルス電流と称する。図示しないが、電流源TR2乃至TR16も同様の構成であり、それぞれのPチャネルMOSトランジスタのドレインは後述する比較波形生成回路2Cの抵抗R2乃至R16に接続される。但し、電流源TR1乃至TR8ではそれぞれのインバータの入力端子がNORゲートNO1乃至NO8の出力端子と接続されているのに対し、電流源TR16乃至TR9ではそれぞれのインバータの入力端子がNANDゲートNA1乃至NA8の出力端子と接続されている。つまり、kを1乃至8の整数とすれば、電流源TRkはNORゲートNOkの出力の論理レベルが“H”のときに抵抗Rkに電流を流し、電流源TR17−kは、NANDゲートNAkの出力の論理レベルが“H”のときに抵抗R17−kに電流を流す。このように電流源TR1乃至TR16は、NORゲートNO1乃至NO8、NANDゲートNA1乃至NA8の制御を受けてパルス電流を比較波形生成回路2Cに出力する。
【0018】
再び図2に戻って比較波形生成回路2Cの構成について述べる。比較波形生成回路2Cは、演算増幅器OP1と、一端をそれぞれ電流源TR1乃至TR16に接続して他端を共通の電流加算点21に接続した抵抗R1乃至R16と、抵抗R1乃至R16の電流加算点21に一端を接続して他端を演算増幅器OP1の逆相入力端子−に接続した抵抗R17と、演算増幅器OP1の逆相入力端子−と出力端子22との間に接続された帰還抵抗R18と、逆相入力端子−と出力端子22との間に接続された帰還容量C1とから構成される。演算増幅器OP1の正相入力端子+は本例のパルス振幅変調器及びD級増幅器の電源電圧の中点電位に接続される。例えば、電源電端子VDDの電位が2.5Vで、後述する接地端子GNDの電位が0Vであれば、の正相入力端子+は1.25Vの中点電位を発生する図示しない定電圧源に接続される。比較波形生成回路2Cでは、抵抗R1乃至R16に流れる電流を加算して抵抗R17を介して演算増幅器OP1の逆相入力端子−に入力し、また、演算増幅器OP1は抵抗R1乃至R18とともに反転増幅器をなしてあり、電流加算してなる入力信号を増幅し、電圧波形である比較波形を出力する。ここで、抵抗R1からR16の抵抗値は全て等しくしてある。また、抵抗R17は、抵抗R1乃至R16の抵抗値を、抵抗R17の未挿入の場合よりも小さな値に設定するための抵抗であり、帰還抵抗R18は、振幅を決定するための抵抗である。また、演算増幅器OP1の逆相入力端子−と出力端子22との間に接続された帰還容量C1によって上述の反転増幅器は積分器を兼ねており、比較波形は当該反転増幅器への入力信号を積分したものとなる。
【0019】
次に本例の動作について説明する。図4はパルス電流回路2Bの動作説明のためのタイミングチャートであり、CKはDフリップフロップD1乃至D16へのクロックを示してあり、SCKはサンプルホールドパルスを示してあり、TR1乃至TR16は、それぞれ電流源TR1乃至TR16からのパルス電流を示してあり、これらTR1乃至TR16の論理レベルが“H”のときに電流源TR1乃至TR16からそれぞれのパルス電流が出力されているものとする。以降、パルス電流TR1乃至TR16と称する。同図を参照しながら先ずパルス電流回路2Bの動作について述べる。
【0020】
タイミングt0においてDフリップフロップD1乃至D16がリセットされた状態にあるとすれば、DフリップフロップD1乃至D16の出力端子Qは、総て論理レベルを“H”としてあり、NORゲートNO1乃至NO8、NANDゲートNA1乃至NA8の出力の論理レベルは“L”となってあり、パルス電流TR1乃至TR16は“L”となって比較波形生成回路2Cに出力されない。
【0021】
次のタイミングt1においてクロックCKが立ち上がると、DフリップフロップD1は、DフリップフロップD16の出力端子QNの論理レベル“L”を取り込んで出力端子Qを“L”とする。これによってNANDゲートNA1が出力の論理レベルを“H”とし、電流源TR16からパルス電流TR16が比較波形生成回路2Cに出力される。
【0022】
次にタイミングt2においてクロックCKが立ち上がると、DフリップフロップD2は、DフリップフロップD1の出力端子Qの論理レベル“L”を取り込んで出力端子Qを“L”とする。これによってNANDゲートNA2が出力の論理レベルを“H”とし、電流源TR15からパルス電流TR15が比較波形生成回路2Cに出力される。
【0023】
なお、カウンタ2B1は、DフリップフロップD1に取り込んだ“L”を、クロックCKをカウントする毎に次段のDフリップフロップに伝達し、タイミングt1でのカウントを含めてクロックCKを16カウントすることでDフリップフロップD16の出力端子Qの論理レベルを“L”とし(タイミングt16)、次のカウントで、DフリップフロップD1はDフリップフロップD16の出力端子QNの論理レベル“H”を取り込んで、タイミングt1でのカウントを含めてクロックCKを32カウントすることでタイミングt0での状態に戻る(タイミングt32)。
【0024】
タイミングt2の後、クロックCKが立ち上がる度にNANDゲートNA14乃至NA9の出力の論理レベルが順次“H”となり、続いてNORゲートNO8乃至NO1の出力の論理レベルが順次“H”となり、クロックCKが立ち上がる度に電流源TR14乃至TR1が順次パルス電流TR14乃至TR1を出力する。
【0025】
タイミングt16においてDフリップフロップD16の出力端子Qの論理レベルが“L”となり、次にクロックCKが立ち上がるタイミング17でDフリップフロップD1がDフリップフロップD16の出力端子QNの論理レベル“H”を取り込んで、出力端子Qを“H”に戻すと、DフリップフロップD16の出力端子Qの論理レベルが“L”となってNORゲートNO1が“L”となる。これによって電流源TR1からのパルス電流TR1の出力が途絶える。
【0026】
次にタイミングt18においてクロックCKが立ち上がると、DフリップフロップD2は、DフリップフロップD1の出力端子Qの論理レベルを“H”を取り込んで出力端子Qを“H”とする。これによってNORゲートNO2が出力の論理レベルを“L”とし、電流源TR2からパルス電流TR2の出力が途絶える。
【0027】
タイミングt18の後、クロックCKが立ち上がる度にNORゲートNO3乃至NO8の出力の論理レベルが順次“L”となり、タイミングt1でのカウントを含めてクロックCKを24カウントしたタイミングt24においてDフリップフロップD1乃至D8の出力端子Qの論理レベルが“H”となった状態になる。
【0028】
次にクロックCKが立ち上がるタイミングt25では、DフリップフロップD9の出力端子Qの論理レベルが“H”となり、NANDゲートNA8の出力の論理レベルが“L”となる。タイミングt25の後、クロックCKが立ち上がる度にNANDゲートNA7乃至NA1の出力の論理レベルが順次“L”となる。このようにクロックCKが立ち上がる度に各論理ゲートが順次“L”となって、電流源TR3乃至TR16からパルス電流TR3乃至TR16の出力が順次途絶える。タイミングt1でのカウントを含めてクロックCKを32カウントしたタイミングt32では、タイミングt0での状態に戻っている。
【0029】
パルス電流回路2Bは以上の動作を繰り返すことにより、図4に示すように互いに周期及びパルス幅の中心が一致してあり、この順でパルス幅が増加する位相の異なるパルス電流TR1乃至TR16を生成する。また、NORゲートNO1の出力をインバータINV0で反転してサンプルホールドパルスとしてある。
【0030】
次にパルス波形生成回路2Cの動作について説明する。パルス波形生成回路2Cでは、パルス電流回路2Bからのパルス電流TR1乃至TR16はそれぞれ抵抗R1乃至R16を介して電流加算点21に流れ込み、電流加算される。これにより、電流加算点21に現れる電流波形は、図5に示すようにステップ状の三角波となる。パルス波形生成回路2Cは電流加算してなる電流波形を電圧に変換しており、図5に示す電流加算してなるステップ状の電流波形は、パルス電流TR1乃至TR16を電圧に変換するときに、抵抗R1乃至R18と、帰還容量C1と演算増幅器OP1により低域濾波作用を持つ変換を行うことにより、図6に示すように滑らかに繋ぐことができ、三角波となる。
【0031】
以上のように生成された三角波は比較波形として比較回路2Dに与えられる。比較回路2Dは、サンプルホールド回路2Aから出力されるサンプルホールド波形と比較波形とを比較して入力信号をパルス幅変調してなるPWM(PulseWidth Modulation)信号を出力する。PWM信号は、電流バッファ3によって後段の負荷の駆動に適するようにインピーダンス変換され、低域濾波器4によって高周波帯の雑音成分を除去されて増幅信号として出力される。
【0032】
従来のもののように積分器を用いて1つの矩形波、すなわち、1つのパルス電流を三角波に変換して比較波形とするものでは、比較波形は、矩形波の周期と積分器の時定数とに密接な関係があり、比較波形の振幅と周期とを個別に制御することができず、振幅精度を確保することが難しかった。これに対して本例のパルス振幅変調器及びD級増幅器では、上述のように比較波形を複数のパルス電流を加算して生成しているため、パルス電流の値、加算パターン、周期等を個別に制御することにより、比較波形の振幅と周期とを個別に制御することができ、任意の振幅で比較波形の振幅精度を確保することが可能となっている。
【0033】
次に本発明の第2の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器について説明する。本例は、比較波形生成回路2Cの構成の一部に変更を施したものについて述べる。具体的には図7に示すように、パルス電流TR1乃至TR16の何れかに対応して比較波形生成回路の演算増幅器の入力抵抗回路及び帰還抵抗回路の抵抗値を切り替えることによって変形した三角波を比較波形として生成するものであり、特に頂点近傍で非線形に振幅の増大する変形した三角波を比較波形として生成し、小振幅及び大振幅時の変調率を連続的に制限するものである。図7に示すように本例の比較波形生成回路2C’では、上記第1の実施例の比較波形生成回路2Cに制御回路2C0を追加している。同図及び以降の説明において、上述の第1の実施例のものと同じ符号で示す構成要素は上記第1の実施例のものと同じ構成要素を示すこととする。
【0034】
制御回路2C0は、アナログスイッチSW1及びSW2と、抵抗R19と、ORゲートO1と、NANDゲートNA9と、インバータINV2及びINV3ととからなる。アナログスイッチSW1は、NチャネルMOSトランジスタQ1とPチャネルMOSトランジスタQ2とのなすトランスミッションゲートからなる。アナログスイッチSW1は抵抗R19と並列に接続され、この並列回路が演算増幅器OP1の出力端子22と帰還抵抗R18との間に接続されている。アナログスイッチSW1がオンとされているときには第1の実施例の比較波形生成回路2Cと同様に演算増幅器OP1の出力端子と逆相入力端子−との間に帰還抵抗R18が接続された状態となり、アナログスイッチSW1がオフとされているときには演算増幅器OP1の出力端子と逆相入力端子−との間に帰還抵抗R18と抵抗R19とが直列接続された状態となる。アナログスイッチSW2は、NチャネルMOSトランジスタQ3とPチャネルMOSトランジスタQ4とのなすトランスミッションゲートからなる。アナログスイッチSW2は抵抗R17と並列に接続されており、アナログスイッチSW2がオンとされているときには電流加算点21が抵抗R17を介さず演算増幅器OP1の逆相入力端子−に接続された状態となり、アナログスイッチSW2がオフとされているときには第1の実施例の比較波形生成回路2Cと同様に電流加算点21が抵抗R17を介して演算増幅器OP1の逆相入力端子−に接続された状態となる。
【0035】
ORゲートO1の一方の入力端子にはパルス電流TR1を“H”とするNORゲートNO1の出力端子Aが接続され、ORゲートO1の他方の入力端子にはインバータINV2の出力端子が接続されている。インバータINV2の入力端子はパルス電流TR16を“H”とするNANDゲートNA1の出力端子Bが接続されている。NANDゲートNA9の一方の入力端子にはORゲートO1の出力端子が接続され、NANDゲートNA9の他方の入力端子には波形制御端子Ct0が接続さている。NANDゲートNA9の出力端子は、NチャネルMOSトランジスタQ1のゲートと、PチャネルMOSトランジスタQ4のゲートに接続されるとともに、インバータINV3の入力端子に接続される。インバータINV3の出力端子はNチャネルMOSトランジスタQ3のゲートと、PチャネルMOSトランジスタQ2のゲートに接続される。これにより、NANDゲートNA9の出力端子の論理レベルに応じてアナログスイッチSW1、SW2は相補的にオン、オフされる。
【0036】
次に本例の動作について説明する。波形制御端子Ct0から入力する波形制御信号の論理レベルを“L”とすれば、その間NANDゲートNA9の出力端子の論理レベルは“H”となり、アナログスイッチSW1がオンとなり、アナログスイッチSW2がオフとなる。このとき、本例の比較波形生成回路2C’は、上述の第1の実施例の比較波形生成回路2Cと同じ接続関係にて抵抗R1乃至18が演算増幅器OP1に接続された状態となり、上記第1の実施例の比較波形生成回路2Cと同様の動作を行い、図6に示した直線性の高い三角波を比較波形として出力する。
【0037】
波形制御端子Ct0から入力する波形制御信号の論理レベルを“H”とすると、パルス電流TR1が出力されるタイミングと、パルス電流TR16の出力されないタイミングとにおいてNANDゲートNA9の出力端子の論理レベルは“L”となり、その間アナログスイッチSW1がオフとなり、アナログスイッチSW2がオンとなる。パルス電流TR2乃至TR15が出力されるタイミングでは、アナログスイッチSW1がオンとなり、アナログスイッチSW2がオフとなる。これにより、抵抗R17と演算増幅器OP1の逆相入力端子−との接続点61の電流波形は、図8に示すようにパルス電流TR1が出力されるタイミングでは抵抗R17が迂回され電流値が増加し、パルス電流TR2乃至TR15が出力されるタイミングでは抵抗R17によって制限された波形となる。
【0038】
また、パルス電流TR1が出力されるタイミングパルス及び電流TR16の出力されないタイミングでは、アナログスイッチSW1がオフとなって演算増幅器OP1の出力端子と逆相入力端子−との間に帰還抵抗R18と抵抗R19とが直列接続されて帰還抵抗値が増加し、入力側ではアナログスイッチSW2がオンとなって抵抗R17が迂回されて入力抵抗値が減少した状態となり、パルス電流TR2乃至TR15が出力されるタイミングと比較して演算増幅器OP1及びこれに接続された各抵抗からなる反転増幅器の増幅利得が高くなる。これらにより、波形制御信号の論理レベルを“H”とした場合、比較波形生成回路2C’の出力端子22の電圧波形、すなわち、比較波形は図9に示すように頂点近傍で非線形に振幅が増大する変形した三角波となる。
【0039】
図6に示す直線性の高い三角波を比較波形と、サンプルホールド回路2Aのサンプルホールド波形とを比較回路2Dにて比較する場合について、比較波形と、入力信号と、サンプルホールド波形との関係を図10に示し、比較回路2Dの出力するPWM信号を図11に示す。
【0040】
図9に示す非線形に変形された三角波を比較波形と、サンプルホールド回路2Aのサンプルホールド波形とを比較回路2Dにて比較する場合について、比較波形と、入力信号と、サンプルホールド波形との関係を図12に示し、比較回路2Dの出力するPWM信号を図13に示す。
【0041】
図10乃至図13に示されるように、図6に示す直線性の高い三角波を比較波形とした場合、入力信号が特定レベル以上となると、変調率が急峻に制限されているのに対して、図9に示す変形三角波を比較波形とした場合では、比較波形が頂点近傍で非線形に振幅を増大させたものであるため、変調率を急峻に制限することはない。単電源でD級増幅器を駆動し、図9に示す変形三角波を比較波形とした場合のPWM信号を電流バッファ3及び低域濾波器4を通すと、図14に示す入出力特性が得られる。このように特定レベル以上で連続的に変調率を制限することによって、従来のD級増幅器で飽和してしまう入力信号レベル下においても、歪を低減した出力が可能となる。特に音楽信号のような、起伏に富んだ波形の大振幅信号を入力したときにも、大振幅入力時に変調率を連続的に制限するため、歪を低減しながら平均音圧レベルを向上することも可能となる。
【0042】
次に本発明の第3の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器について説明する。本例では、変形三角波を生成する比較波形生成回路のさらに他の回路例を示す。図15に示すように、本例の比較波形生成回路2C”では上記第1の実施例の比較波形生成回路2Cに制御回路2C1乃至2C3を追加している。
【0043】
制御回路2C1は、アナログスッチSW3と、NANDゲートNA10とインバータINV4と、抵抗R20とからなる。アナログスッチSW3はNチャネルMOSトランジスタQ5とPチャネルMOSトランジスタQ6とのなすトランスミッションゲートからなり、演算増幅器OP1の逆相入力端子−と抵抗R17との接続点61と電源端子VDDとの間で抵抗R20と直列接続されている。NANDゲートNA10の一方の入力端子にはパルス電流TR1を“H”とするNORゲートNO1の出力端子Aが接続され、NANDゲートNA10の他方の入力端子には波形制御端子Ct1が接続さている。NANDゲートNA10の出力端子は、アナログスッチSW3のPチャネルMOSトランジスタQ6のゲートに接続されるとともに、インバータINV4を介してアナログスッチSW3のNチャネルMOSトランジスタQ5のゲートに接続されている。
【0044】
制御回路2C2は、アナログスッチSW4と、NANDゲートNA11とインバータINV5及びINV6と、抵抗R21とからなる。アナログスッチSW4はNチャネルMOSトランジスタQ7とPチャネルMOSトランジスタQ8とのなすトランスミッションゲートからなり、接続点61と接地端子GNDとの間で抵抗R21と直列接続されている。インバータINV5の入力端子にはパルス電流TR16を“H”とするNANDゲートNA1の出力端子Bが接続されている。NANDゲートNA11の一方の入力端子はインバータINV5の出力端子が接続され、NANDゲートNA11の他方の入力端子には波形制御端子Ct1が接続さている。NANDゲートNA11の出力端子は、アナログスッチSW4のPチャネルMOSトランジスタQ8のゲートに接続されるとともに、インバータINV6を介してアナログスッチSW3のNチャネルMOSトランジスタQ7のゲートに接続されている。
【0045】
制御回路2C3は、アナログスッチSW5と、インバータINV7と、抵抗R22とからなる。アナログスッチSW5は、NチャネルMOSトランジスタQ9とPチャネルMOSトランジスタQ10とのなすトランスミッションゲートからなり、抵抗R1乃至R16の電流加算点21と演算増幅器1の正相入力端子+との間で抵抗R22と直列接続されている。
【0046】
次に本例の動作について説明する。波形制御端子Ct1から入力する第1波形制御信号の論理レベルを“L”とすれば、その間NANDゲートNA10及びNA11の出力端子の論理レベルは“H”となり、アナログスイッチSW3及びSW4はオフとなる。波形制御端子Ct1から入力する第1波形制御信号の論理レベルを“H”とすると、パルス電流TR1が出力されるタイミングと、パルス電流TR16の出力されないタイミングとにおいてNANDゲートNA10、NA11の出力端子の論理レベルは “H”となり、アナログスイッチSW3及びSW4はオンとなる。これによってパルス電流TR1が出力されるタイミングにおいて、抵抗R20を介して接続点61を電源端子VDDの電位に持ち上げる。パルス電流TR16の出力されないタイミングにおいて、抵抗R21を介して接続点61を接地端子GND(0V)の電位に引き下げる。これによって演算増幅器OP1から比較波形として出力される三角波の振幅は頂点近傍において非線形に増大し、最大で電源端子VDDの電位まで持ち上げ、最小で接地端子GND(0V)の電位に引き下げる。
【0047】
波形制御端子Ct2から入力する第2波形制御信号の論理レベルを“L”とすると、アナログスイッチSW5がオフとなる。第2波形制御信号の論理レベルを“H”とすると、アナログスイッチSW5がオンとなり、抵抗R22を介して電流加算点21の電位を電源端子VDDと接地端子GND(0V)との間の中点電位へ導入する。これによって演算増幅器OP1から比較波形として出力される三角波の振幅の圧縮を行うことが可能となり、圧縮しない場合と比べて変調率が高くなるために増幅率が上がる。
【0048】
また、第1波形制御信号と第2波形制御信号とは互いに独立して設定でき、第1波形制御信号のみを“H”に設定したときには、図7に示した第2の実施例のものにおいて波形制御信号を“H”に設定したときと同等の効果を得ることができる。第2波形制御信号をハイレベルとしたときには、三角波の振幅を小さくする効果があり、図6の三角波の振幅を電源の中点を中心に圧縮した波形が得られる。
【0049】
第1波形制御信号と第2波形制御信号とを共に“H”に設定し、生成された比較波形とサンプルホールド波形とを比較回路2Dにて比較する場合について、比較波形と、入力信号と、サンプルホールド波形との関係を図16に示し、比較回路2Dの出力するPWM信号を図17に示す。この場合、単電源でD級増幅器を駆動したとすれば入出力特性は図18に示すようなものとなる。図16に示されるように小振幅信号時の利得の増大と大振幅信号時の利得減少とを実現している。これにより、図18に示すように、振幅を無信号から大振幅へ変化させていったときの入出力特性を連続したものとしている。これによって大振幅出力時及び低振幅出力時の歪率を改善することが可能となっている。
【0050】
また、上記第1乃至第3の実施例において、16個のDフリップフロップD1乃至D16からカウンタ2B1を構成し、各段の出力端子の制御を受けるNORゲートNO1乃至NO8、NANDゲートNA1乃至NA8等の論理ゲートからパルス電流TR1乃至TR16を生成することとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、同様の構成でカウンタの段数及び論理ゲート数を増加又は減少させて適宜な数のパルス電流を生成し、これらを電流加算しても良い。上記第1乃至第3の実施例においては、カウンタ、論理ゲート及び定電流源とからなる簡易な構成でパルス電流の生成が可能となっており、パルス振幅変調器及びD級増幅器の集積化あたってはサイズ的に有利なものとなっている。なお、カウンタ、論理ゲートに代えて各パルス電流の一周期分のパターンをメモリに格納し、クロックに従ってパターンを読み出すことによって各パルス電流を生成することも可能であるが、サイズ的には不利なものとなる。
【0051】
また、上記第2及び第3の実施例において、端子A、Bをそれぞれパルス電流TR1、TR16に対応させてこれらに応じて演算増幅器OP1の逆相入力端子−の電位の制御するようにしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、端子Aをパルス電流TR1乃至TR8の内の1つまたは複数の組み合わせに対応させ、対応させたパルス電流の出力タイミングに演算増幅器OP1の逆相入力端子−の電位を押し上げ、端子Bをパルス電流TR9乃至TR16の内の1つまたは複数の組み合わせに対応させ、対応させたパルス電流の出力が途絶えたタイミングに演算増幅器OP1の逆相入力端子−の電位を引き下げるようにするなどして三角波形を適宜に変形するようにしても良い。例えば、比較波形となる三角波を、比較回路及びその後段で発生する出力信号の非線形の逆特性を予想した比較波形に変形することにより、比較回路及びその後段で発生する出力信号の非線形性を改善することが可能となる。このように、上記第2及び第3の実施例においては、比較波形は基本となる三角波を、その基となるパルス電流に対応して制御される論理ゲートとアナログスイッチによって波形整形するので、簡易な構成で所望の波形の比較波形を得ることができ、パルス振幅変調器及びD級増幅器の集積化あたってはサイズ的に有利なものとなっている。
【0052】
【発明の効果】
本発明では、簡易な構成にて、比較波形の振幅の精度を改善するとともに、比較波形を波形整形することにより、大振幅出力時の歪率を改善すること、D級増幅器の比較回路と出力段とで発生する出力信号の非線形性を改善することが可能となる。
【0053】
具体的には、本発明では、比較波形を複数のパルス電流を加算して生成しているため、パルス電流の値、加算パターン、周期等を個別に制御することにより、比較波形の振幅と周期とを個別に制御することができ、任意の振幅で比較波形の振幅精度を確保することが可能となる。
【0054】
また、比較波形生成回路を入力抵抗回路と帰還抵抗回路とを接続した演算増幅器から構成し、入力抵抗回路を介して複数のパルス電流を入力して加算して比較波形を生成することによっては、簡易な構成にて所望の比較波形を得ることが可能となる。
【0055】
また、基本となる比較波形、例えば、三角波を生成し、複数のパルス電流の少なくとも1つに対応して演算増幅器の入力端子に与える電位、入力抵抗回路の抵抗値及び帰還抵抗回路の抵抗値の内のいずれかまたはいくつかの組み合わせを制御し、比較波形を波形整形するので、簡易な構成にて所望の波形の比較波形を得ることが可能となる。
【0056】
特に、比較波形を、三角波の頂点の近傍で振幅が非線形に増大する変形三角波とすることにより、連続的に小振幅信号時の利得を増大させ、大振幅信号時の利得を減少させることが可能となる。これにより、大振幅出力時及び低振幅出力時の歪率を改善することが可能となる。
【0057】
また、比較波形となる三角波を、比較回路及びその後段で発生する出力信号の非線形の逆特性を予想した比較波形に変形することにより、比較回路及びその後段で発生する出力信号の非線形性を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器の構成を示すブロック図。
【図2】図1のパルス電流回路2B及び比較波形生成回路2Cの構成を示す電気回路図。
【図3】電流源TR1の構成を示す電気回路図。
【図4】図2のパルス電流回路2Bの動作説明のためのタイミングチャート。
【図5】図2の比較波形生成回路2Cの電流加算点21の電流波形を示す波形図。
【図6】図2の比較波形生成回路2Cの出力端子22の電圧波形を示す波形図。
【図7】本発明の第2の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器のパルス電流回路2B及び比較波形生成回路2C’の構成を示す電気回路図。
【図8】図7の比較波形生成回路2C’の電流加算点21の電流波形を示す波形図。
【図9】図7の比較波形生成回路2C’の出力端子22の電圧波形を示す波形図。
【図10】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を三角波とした場合の入力信号、比較波形、サンプルホールド波形との関係を示す波形図。
【図11】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を三角波とした場合に得られるPWM信号の波形を示す波形図。
【図12】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を変形三角波とした場合の入力信号、比較波形、サンプルホールド波形との関係を示す波形図。
【図13】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を変形三角波とした場合に得られるPWM信号の波形を示す波形図。
【図14】図7の比較波形生成回路2C’の生成する比較波形を変形三角波とした場合の第2の実施例のD級増幅器の入出力特性図。
【図15】本発明の第3の実施例のパルス振幅変調器及びD級増幅器のパルス電流回路2B及び比較波形生成回路2C”の構成を示す電気回路図。
【図16】図15の比較波形生成回路2C”の生成する比較波形を変形三角波とした場合の入力信号、比較波形、サンプルホールド波形との関係を示す波形図。
【図17】図15の比較波形生成回路2C”の生成する比較波形を変形三角波とした場合に得られるPWM信号の波形を示す波形図。
【図18】図15の比較波形生成回路2C”の生成する比較波形を変形三角波とした場合の第3の実施例のD級増幅器の入出力特性図。
【図19】従来のD級増幅器の入出力特性図。
【符号の説明】
1 D級増幅器
2 パルス幅変調器
2A サンプルホールド回路
2B パルス電流回路
2C 比較波形生成回路
2D 比較回路
OP1 演算増幅器
R1〜R17 入力抵抗回路(抵抗)
R18、R19 帰還抵抗回路
2C0〜2C3 制御回路
Claims (6)
- 互いに位相の異なる複数のパルス電流を出力するパルス電流回路と、
上記複数のパルス電流の加算に基づく比較波形を出力する比較波形生成回路と、
入力信号をサンプルホールドしてサンプルホールド波形を出力するサンプルホールド回路と、
上記サンプルホールド波形と上記比較波形とを比較して上記入力信号をパルス幅変調したパルス幅変調信号を出力する比較回路と
を備えたことを特徴するパルス振幅変調器。 - 上記比較波形生成回路は、入力抵抗回路と帰還抵抗回路とを接続した演算増幅器を備え、上記入力抵抗回路を介して上記複数のパルス電流を入力することを特徴する請求項1に記載のパルス振幅変調器。
- 上記複数のパルス電流の少なくとも1つに対応して、上記演算増幅器の入力端子に与える電位、上記入力抵抗回路の抵抗値及び上記帰還抵抗回路の抵抗値の内のいずれかまたはいくつかの組み合わせを制御し、上記比較波形を波形整形する制御回路を備えることを特徴する請求項2に記載のパルス振幅変調器。
- 上記比較波形が三角波であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のパルス振幅変調器。
- 上記比較波形が、三角波の頂点の近傍で振幅が非線形に増大する変形三角波であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のパルス振幅変調器。
- 請求項1乃至5の何れかに記載のパルス振幅変調器を備えていることを特徴とするD級増幅器。
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WO2021187288A1 (ja) * | 2020-03-16 | 2021-09-23 | ヤマハ株式会社 | D級アンプ |
-
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