図1は、本発明に係る半導体装置の一実施形態を示すブロック図である。
まず、本実施形態の半導体装置10の概要について述べる。
図1に示す本実施形態の半導体装置10は、最大42.5[V]まで昇圧可能なPWM[Pulse Width Modulation]方式のDC/DCコンバータと、最大25[mA]までドライブ可能なカレントドライバを集積した白色LEDドライバICである。ICのパワーコントロール端子(PWMPOW端子)、または、カレントドライバのパワーコントロール端子(PWMDRV端子)を外部からのPWM信号によって制御することで、広範囲かつ高精度な輝度制御を行うことが可能である。また、比精度の良いカレントドライバを採用しており、カレントドライバの列間誤差が少なく、ディスプレイの輝度ムラを低減するのに最適である。また、半導体装置10は、基板の小型化、省スペース化にメリットがある小型パッケージである。
次に、本実施形態の半導体装置10の特長について述べる。
第1の特長は、高効率なPMW方式のDC/DCコンバータ(fsw=1[MHz]、最大効率93[%])を内蔵している点である。第2の特長は、高精度及び高マッチング(±3%)のカレントドライバ(6チャネル)を内蔵している点である。第3の特長は、最大72灯(=12直列×6並列)の白色LEDを駆動することが可能な点である。第4の特長は、広い入力電圧範囲(2.7〜22[V])に対応している点である。第5の特長は、豊富な保護回路(過電圧保護部、過電流保護部、外付けSBD外れ保護部、サーマルシャットダウン部)を内蔵している点である。第6の特長は、小型パッケージ(4.0×4.0×1.0[mm])という点である。
なお、本実施形態の半導体装置10は、モバイルノートPC、ポータブルDVDプレーヤ、カーナビなどに搭載される中型LCDパネルのバックライト駆動手段として好適に用いられる。
上記の特長を有する本実施形態の半導体装置10は、図1に示すように、内部電圧生成部101(以下では、REG部101と呼ぶ)と、温度保護部102(以下では、TSD[Thermal Shut Dwom]部102と呼ぶ)と、内部電圧検出部103と、減電圧保護部104(以下、UVLO[Under Voltage Lock Out]部104と呼ぶ)と、ショットキーバリアダイオード外れ保護部105(以下、SBD[Shotkey Barrier Diode]外れ保護部105と呼ぶ)と、過電圧保護部106(以下、OVP[Over Voltage Protection]部106と呼ぶ)と、エラーアンプ107と、PWMコンパレータ108と、ソフトスタート部109と、発振器部110と、スロープ電圧生成部111と、電流検出部112と、制御ロジック部113と、SRフリップフロップ114と、ドライバ115と、LED端子検出部116と、LED端子過電圧保護部117と、第1電流(ISETH)設定部118と、第2電流(ISETL)設定部119と、スイッチ120と、インバータ121と、スイッチ122と、カレントドライバ123と、を集積化して成る。
また、本実施形態の半導体装置10は、外部との電気的接続を確立する手段として、24本の外部端子(1ピン〜24ピン)を有して成る。
図2は、外部端子のピン番号、端子名、入力/出力の区分、機能、及び、端子等価回路図のグループ区分を示した対応表であり、図3は、外部端子の入出力等価回路図(グループA〜G)である。なお、図3に示すように、半導体装置10の外部端子には、いずれも静電保護ダイオードが接続されている。
次に、外部端子の端子処理について、図4〜図7に示すアプリケーション例を参照しながら、詳細な説明を行う。
図4は、10灯×6並列、LED電流20[mA]、起動電流8.8[μA]設定時におけるカレントドライバ調光方式のPWMアプリケーションを示す図である。
図5は、10灯×4並列、LED電流20[mA]、起動電流6[μA]設定時におけるカレントドライバPWM調光方式のアプリケーションを示す図である。
図6は、10灯×6並列、LED電流20[mA]設定時におけるパワーコントロールPWM調光方式のアプリケーションを示す図である。
図7は、内部REG不使用時または5[V]以下で駆動時におけるアプリケーションを示す図である。
TEST端子(6ピン)は、テスト用の外部端子であるため、通常使用時には、半導体装置10のGND端子に接続すべきである(図4〜図7を参照)。
N.C.端子(2ピン)は、特に指定はされないが、オープンとすることが望ましい。
VREG端子(22ピン)は、外部より2.7〜5.5[V]で半導体装置10を駆動させる場合に、VBAT端子(24ピン)とショートさせ、VREG端子に所望の電圧を印加すればよい(図7を参照)。
FAILSEL端子(19ピン)、PWMDRV端子(11ピン)をローレベルで固定する場合は、各々を接地すればよい(図4〜図6を参照)。一方、FAILSEL端子、PWMDRV端子をハイレベルで固定する場合には、各々をVREG端子、或いは、1.4[V]以上の電源ラインに接続すればよい(図7を参照)。
LED1端子(12ピン)、LED2端子(13ピン)、LED3端子(14ピン)、LED4端子(16ピン)、LED5端子(17ピン)、LED6端子(18ピン)のうち、不使用のチャネルについては、接地すればよい(図5を参照)。
GND端子(3ピン、8ピン、15ピン、20ピン)は、半導体装置10の内部で互いに接続されており、各々基板の接地ラインに接続すればよい(図4〜図7を参照)。
なお、図4〜図7に示したいずれのアプリケーション例においても、半導体装置10に外部接続されるコンデンサとしては、バイアス変動の少ないものを選ぶことが望ましい。
また、図4、図5で示したカレントドライバ調光方式と、図6、図7で示したパワーコントロール調光方式については、後ほど詳細に説明する。
図8は、上記構成から成る半導体装置10の電気的特性を示す表である。なお、図8に示す電気的特性は、特に指定のない限り、電源電圧VBAT=12[V]、ハイレベル入力電圧RSTB=2.5[V]、周囲温度Ta=+25[℃]での数値を示している。
次に、半導体装置10の昇圧DC/DCコンバータについて、先出の図1、並びに、図4〜図7を参照しながら詳細に説明する。
まず、半導体装置10の外部接続について、特に、昇圧DC/DCコンバータに関連する回路要素(Nチャネル型電界効果トランジスタN1、コイルL1、ショットキーバリアダイオードD1、抵抗RCS、コンデンサC1、C2)の詳細な説明を行う。
図4〜図7に示すように、トランジスタN1のゲートは、SW端子(4ピン)に接続されている。トランジスタN1のドレインは、コイルL1の一端とダイオードD1のアノードに各々接続されている。コイルL1の他端は、バッテリ電圧VBATの印加端に接続されている。ダイオードD1のカソードは、負荷であるLED列のアノードに接続されている。トランジスタN1のソースは、抵抗RCSを介して、接地端に接続されている。抵抗RCSの一端(高電位端)は、SENSP端子(5ピン)に接続されている。抵抗RCSの他端(低電位端)は、SENSN端子(7ピン)に接続されている。コンデンサC1の一端は、バッテリ電圧VBATの印加端に接続されている。コンデンサC1の他端は、接地端に接続されている。コンデンサC2の一端は、ダイオードD1のカソードに接続されている。コンデンサC2の他端は、接地端に接続されている。
次に、昇圧DC/DCコンバータの基本動作(直流/直流変換動作)について、詳細な説明を行う。
トランジスタN1は、SW端子の端子電圧に応じてオン/オフ制御される出力パワートランジスタである。
トランジスタN1がオン状態にされると、コイルL1にはトランジスタN1を介して接地端に向けたスイッチ電流が流れ、その電気エネルギが蓄えられる。なお、トランジスタN1のオン期間において、すでにコンデンサC2に電荷が蓄積されていた場合、負荷であるLED列には、コンデンサC2からの電流が流れることになる。また、このとき、ダイオードD1のアノード電位は、トランジスタN1を介して、ほぼ接地電位まで低下するため、ダイオードD1は逆バイアス状態となり、コンデンサC2からトランジスタN1に向けて電流が流れ込むことはない。
一方、トランジスタN1がオフ状態にされると、コイルL1に発生した逆起電圧によって、そこに蓄積されていた電気エネルギが放出される。このとき、ダイオードD1は順バイアス状態となるため、ダイオードD1を介して流れる電流は、負荷であるLED列に流れ込むとともに、コンデンサC2を介して接地端にも流れ込み、コンデンサC2を充電することになる。上記の動作が繰り返されることによって、負荷であるLED列には、コンデンサC2によって昇圧され、かつ、平滑された直流出力が供給される。
このように、本実施形態の半導体装置10は、トランジスタN1のオン/オフ制御によってエネルギ貯蔵素子であるコイルL1を駆動することにより、バッテリ電圧VBATを昇圧して出力電圧VOUTを生成するチョッパ型昇圧回路の一構成要素として機能するものである。
次に、ピークカレントモード制御方式の出力帰還制御について、詳細な説明を行う。
エラーアンプ107は、第1〜第6の反転入力端(−)に各々印加されるLED端子電圧V1〜V6の最低値と、非反転入力端(+)に入力される所定のLED制御電圧VLEDとの差分を増幅して誤差電圧Verrを生成する。すなわち、誤差電圧Verrの電圧レベルは、出力電圧VOUTがその目標設定値よりも低いほど高レベルとなる。
PWMコンパレータ108は、第1反転入力端(−)に印加される誤差電圧Verrと第2反転入力端(−)に印加されるソフトスタート電圧Vssのいずれか低い方と、非反転入力端(+)に印加されるスロープ電圧Vslp(発振器部110で生成される三角波電圧と電流検出部112で生成される電流検出電圧(抵抗RCSで生成される電流検出信号)との加算電圧)と、を比較することで、その比較結果に応じたデューティ比の比較信号を生成する。すなわち、比較信号の論理は、誤差電圧Verr(或いはソフトスタート電圧Vss)がスロープ電圧Vslpよりも高ければローレベルとなり、低ければハイレベルとなる。なお、発振器部110では、上記三角波電圧の生成に際して、サブハーモニック発振が防止されている。
なお、定常動作時における比較信号のオンデューティ(単位期間に占めるトランジスタN1のオン期間の比)は、誤差電圧Verrとスロープ電圧Vslpの相対的な高低に応じて変動する。
制御部113は、上記の比較信号を受けて、SRフリップフロップ114に対するセット信号及びリセット信号を生成し、トランジスタN1のスイッチング制御を行う手段である。具体的には、上記の比較信号がローレベルである期間には、トランジスタN1のゲートにハイレベルを出力するように、逆に、上記の比較信号がハイレベルである期間には、トランジスタN1のゲートにローレベルを出力するように、セット信号及びリセット信号が生成される。また、制御部113は、半導体装置10に内蔵された各種保護信号をモニタし、何らかの異常が生じていると判断した場合には、トランジスタN1のスイッチング動作を速やかに停止させる。
このように、ピークカレントモード制御方式のDC/DCコンバータでは、LED端子電圧V1〜V6(延いては出力電圧VOUT)のモニタ結果だけでなく、トランジスタN1に流れるスイッチ電流のモニタ結果に基づいて、トランジスタN1の駆動制御が行われる。従って、本実施形態の半導体装置10であれば、急峻な負荷変動に誤差電圧Verrが追従できなくても、トランジスタN1に流れるスイッチ電流のモニタ結果に応じてトランジスタN1を直接駆動制御することができるので、出力電圧VOUTの変動を効果的に抑えることが可能となる。すなわち、本実施形態の半導体装置10であれば、コンデンサC2を大容量化する必要がないので、不要なコストアップやコンデンサC2の大型化を回避することもできる。
次に、昇圧DC/DCコンバータのソフトスタート制御について説明する。
半導体装置10の起動直後には、出力電圧VOUTがゼロであるため、誤差電圧Verrが極めて大きくなる。従って、当該誤差電圧Verrとスロープ電圧Vslpとを比較すると、比較信号のデューティが過大となって、負荷であるLED列やコイルL1に過大な電流が流れてしまうことになる。
そこで、本実施形態の半導体装置10は、誤差電圧Verrとは別に、ソフトスタート電圧VssをPWMコンパレータ108に入力しておき、ソフトスタート電圧Vssが誤差電圧Verrよりも低いときには、誤差電圧Verrに依ることなく、より低いソフトスタート電圧Vssとスロープ電圧Vslpとの比較結果に応じてPWM信号のデューティを決定する構成とされている。
なお、本実施形態の半導体装置10において、ソフトスタート回路109は、コンデンサに所定の定電流を流し込むことで、装置の起動後から緩やかに上昇を開始するソフトスタート電圧Vssを生成する構成とされている。
このように、ソフトスタート回路109を備えた構成であれば、装置の起動時における負荷やコイルL1への過大電流を防止することが可能となる。
なお、本実施形態の半導体装置10では、RSTB端子(21ピン)がローレベルからハイレベルとされた後、PWMPOW端子(23ピン)がローレベルからハイレベルとされてから、所定期間(1[ms])内はソフトスタート機能が有効となり、それ以降、PWMPOW端子がローレベルからハイレベルとされても、ソフトスタート機能は有効とならない。また、PWMPOW端子のハイレベル区間が1[ms]以内の場合、PWMPOW端子に3回以上パルスが入力されると、ソフトスタート機能が無効とされる。また、RSTB端子をハイレベルからローレベルに立ち下げることで、ソフトスタート機能の無効が解除される。このようなソフトスタート機能の有効/無効制御については、後ほど詳細に説明する。
次に、FAILSEL端子(19ピン)について説明する。
本実施形態の半導体装置10は、各種の異常保護部を具備して成り、異常状態が発生した場合、上記の保護機能によって昇圧動作を停止させ、素子の破壊や発熱・発火を回避する。その際、FAILSEL端子により、上記保護機能による昇圧動作の停止方法を選択することができる。なお、制御対象となる保護機能は、過電圧保護、SBD外れ保護、サーマルシャットダウン、LED端子過電圧保護、並びに、過電流保護である。
図9は、FAILSEL端子の動作説明を行うための図である。
図9の上段で示すように、FAILSEL端子がハイレベルとされている場合、保護機能が働いたときには、昇圧動作が停止され、以後、その停止状態が保持される。なお、RSTB端子をローレベルとすれば、上記の停止状態が解除され、昇圧動作が再開される。
一方、図9の下段で示すように、FAILSEL端子がローレベルとされている場合、保護機能が働いたときには、一旦昇圧動作が停止されるが、異常が検出されなくなると、再び昇圧動作が自動復帰される。すなわち、半導体装置10が昇圧動作の停止状態を保持し続けることはなくなる。
また、図9に示すように、パワーオンから所定の期間(約1[ms])は、保護機能が無効とされている。これにより、半導体装置10の起動時に生じる過渡電流や昇圧不足などを異常状態と誤検出して昇圧動作が停止され、半導体装置10が起動不能となることを防止することができる。
なお、PWMDRV端子を用いてLED輝度のPWM調整を行う場合(すなわち、カレントドライバ調光方式を採用する場合)には、FAILSEL端子の異常ラッチ選択機能を用いることはできない。
また、PWMPOW端子を用いてLED輝度のPWM調整を行う場合(すなわち、パワーコントロール調光方式を採用する場合)であって、LEDを10[ms]以上オフする場合は、PWMPOW端子を用いてオフ期間を設けるのではなく、RSTB端子を用いてオフ期間を設けることが望ましい。このような制御を行うことにより、上記のオフ期間が終了した後に、意図しない過電流保護が働いて、昇圧動作が停止されるのを防止することができる(図10の上段と下段とを比較して参照)。
次に、外付けSBD外れ保護と過電圧保護について説明する。
半導体装置10には、外付けSBD外れによる過昇圧の保護機能部(SBD外れ保護部105)と、過電圧の保護機能部(OVP部106)と、が内蔵されている。それらは、VDET端子(1ピン)の端子電圧、或いは、その分圧電圧を検出し、異常時にトランジスタN1を停止させるよう、制御部113に異常検出信号を送出するものである。詳細は次の通りである。
外付けSBD外れ保護については、DC/DC出力端(出力電圧VOUTの引出端)とダイオードD1との接続がオープンとなった場合、過昇圧が生じてコイルL1やトランジスタN1が破壊に至るおそれがある。そこで、出力電圧VOUTが0.1[V]以下になるような異常時には、外付けSBD外れ保護が作動し、トランジスタN1をオフさせることで、コイルL1やトランジスタN1の破壊を防止する。また、半導体装置10は、動作状態から非動作状態に切り替えられ、コイルL1には電流が流れなくなる。
一方、過電圧保護については、DC/DC出力端と負荷(LED列)との接続がオープンとなった場合、過昇圧が生じてトランジスタN1やVDET端子にその絶対最大定格を超える電圧が印加され、トランジスタN1や半導体装置10が破壊に至るおそれがある。そこで、VDET端子が所定の検出電圧Vth1以上になるような異常時には、過電圧保護が作動し、トランジスタN1をオフさせることで、トランジスタN1や半導体装置10の破壊を防止する。このとき、半導体装置10は、動作状態から非動作状態に切り替えられ、出力電圧VOUTはゆっくりと低下する。そして、出力電圧VOUTが所定の検出電圧Vth2(ただしVth2<Vth1)以下に低下すると、出力電圧VOUTは再び検出電圧まで昇圧され、アプリケーション異常が回復されない限り、この動作を繰り返す。
次に、サーマルシャットダウンについて説明する。
半導体装置10には、サーマルシャットダウン機能部(TSD部102)が内蔵されている。サーマルシャットダウンは、175[℃]以上で作動し、半導体装置10は、動作状態から非動作状態へ切り替えられる。非動作状態では、RSTB端子がローレベルである場合と異なり、半導体装置10の内部リセットは行われない。すなわち、サーマルシャットダウン機能が働いても、RSTB端子に関連する諸設定(ソフトスタート機能の有効/無効設定、FAILSEL端子の異常ラッチ選択設定、カレントドライバ123の列数選択設定、及び、PWMDRV端子がローレベルであるときの起動電流設定)についてはいずれも保持される。
次に、過電流保護について説明する。
トランジスタN1のソースと接地端との間に接続された電流検出用の抵抗RCSに過電流が流れ、SENSP端子(5ピン)の端子電圧が検出電圧以上になると、過電流保護が作動し、昇圧動作を停止することなく、トランジスタN1のオンデューティが低下され、検出電流以上の過電流を防止する。半導体装置10の電流検出部112は、ピーク電流を検出しているため、過電流設定値以上の電流は流れない。また、過電流検出用の抵抗RCSを変更することで、自由に過電流検出値を設定することが可能である。
次に、抵抗RCSの抵抗値の導出方法について説明する。
抵抗RCSの抵抗値は、過電流検出電圧を過電流設定値で除すことにより算出される。このとき、通常動作に必要な電流値に基づいて、上記の過電流設定値を決定した後、過電流検出電圧のばらつきを鑑み、その最低値を用いることで、抵抗RCSの抵抗値を導出すればよい。例えば、過電流検出電圧の理想値が100[mV]、最低値が70[mV]、最高値が130[mV]であり、過電流設定値が1[A]である場合、抵抗RCSの抵抗値は、70[mΩ](=70[mV]/1[A])と求められる。このような抵抗値を設定した場合、電流のばらつき幅は、1[A]〜1.86[A](=130[mV]/70[mΩ])となる。
次に、通常動作に必要な電流値の見積もりについて説明する。
半導体装置10の電流検出部112は、ピーク電流を検出しているため、コイルL1に流れるピーク電流Ipeakを半導体装置10の使用条件によって見積もる必要がある。ここで、コイルL1の電源電圧VIN、コイルL1のインダクタンス値L、スイッチング周波数fsw(最低値:0.8[MHz]、理想値:1[MHz]、最高値:1.2[MHz])、出力電圧VOUT、トータルのLED電流IOUT、効率effとした場合、コイルL1のピーク電流Ipeak、コイルL1の平均電流Iave、及び、スイッチング時間Tonは、各々、以下の(1a)式、(1b)式、(1c)式で表される。
また、電流検出部112で検出されるピーク電流は、直流重畳があるか否かで変わるため、次の(2a)式及び(2b)式に基づく判定を行う。
例えば、VIN=6.0[V]、L=4.7[μH]、fsw=1[MHz]、VOUT=39[V]、IOUT=80[mA]、eff=85[%]とした場合、上記の(1a)式、(1b)式、(1c)式から、Ipeak=1.08[A]、Iave=0.61[A]、Ton=0.90[μs]と算出され、上記の(2a)式から、ピーク電流=1.15[A]と算出される。
一方、VIN=12.0[V]、L=4.7[μH]、fsw=1[MHz]、VOUT=39[V]、IOUT=80[mA]、eff=85[%]とした場合、上記の(1a)式、(1b)式、(1c)式から、Ipeak=1.77[A]、Iave=0.31[A]、Ton=0.41[μs]と算出され、上記の(2b)式から、ピーク電流=1.05[A]と算出される。
ただし、ピーク電流をあまり大きい値に設定にすると、出力オーバーシュートが生じ、最悪の場合、半導体装置10の破壊に繋がるため、充分留意すべきである。
次に、アプリケーション不具合時の動作について説明する。
動作中LEDが一個または一列オープンになった場合、FAILSEL端子がローレベルであれば、オープンとなったLED列は点灯しないが、他のLED列は通常通りに点灯する。その際、LED端子電圧が0[V]となるため、出力電圧VOUTは、その過電圧保護電圧である44.7[V]まで昇圧されるか、LED端子電圧がその過電圧保護電圧である11.5[V]となるまで昇圧されるか、或いは、過電流リミットで制限されるまで昇圧される。一方、FAILSEL端子がハイレベルであれば、LEDがオープンになると、昇圧動作が停止され、全てのLEDが消灯される。
LEDが複数個ショートした場合、FAILSEL端子がローレベルであれば、LED端子電圧がその過電圧保護電圧である11.5[V]以上にならない限り、全てのLEDが通常通りに点灯される。LED端子電圧が11.5[V]以上になると、ショートした列だけ正常に点灯し、他の列はLED電流が低下されて暗くなるか或いは消灯される。一方、FAILSEL端子がハイレベルであれば、LED端子電圧が11.5[V]以上になると、昇圧動作が停止され、全てのLEDが消灯される。
ショットキーバリアダイオードD1が外れた場合、FAILSEL端子の電圧レベルに依ることなく、全てのLEDは点灯しない。また、SBD外れ保護機能により、昇圧動作が停止されるため、半導体装置10及びトランジスタN1が破壊されることはない。
過電流検出用の抵抗RCSが外れた場合、FAILSEL端子の電圧レベルに依ることなく、全てのLEDは点灯しない。これは、SENSP端子とSENSN端子との間に、100[kΩ]の抵抗が入っており、すぐに過電流保護がかかって、LED電流を流せなくなるためである。
次に、コントロール信号(RSTB信号、PWMPOW信号、PWMDRV信号)の入力タイミングについて、図11を参照しながら説明する。
図11は、コントロール信号のタイミングチャートである。
電源電圧VBATの立ち上がりが完了していない状態で、RSTB信号、PWMPOW信号、PWMDRV信号などのコントロール信号を入力する際には、次の点に留意すべきである。
第1に、電源電圧VBATが2.7[V]を超えてから、各コントロール信号を入力することが望ましい。
第2に、電源電圧VBATが各コントロール信号のハイレベル電圧(5[V])を超えてから、各コントロール信号を入力することが望ましい。
第3に、電源電圧VBATの立ち上がり中に、RSTB信号、PWMPOW信号にハイレベルの電圧を入力した場合、電源電圧VBATの2.7[V]から安定電圧までの立ち上がり時間を最低100[μs]とすることが望ましい。
なお、RSTB信号、PWMPOW信号、PWMDRV信号の各コントロール信号間でのタイミング制限はない。
また、各コントロール信号の電圧レベルが電源電圧VBATよりも高い状態にすると、各端子に内部接続された電源電圧VBAT側の静電保護ダイオードを経由して、電源電圧VBATの供給ラインに向けて意図しない電流が流れ、誤動作や素子破壊を生じるおそれがある。このような状態を回避するため、図12に示すように、10[kΩ]程度の抵抗を信号線に挿入し、電流制限をかけることが望ましい。また、内部のプルダウン抵抗については、図1で示したように、各端子毎に適宜設けることが望ましい。
次に、カレントドライバ123の列数選択方法について説明する。
カレントドライバ123の列数を減らしたい場合、不要なLED1端子〜LED6端子を接地端に接続することで未選択にすることができる。4列などで使用する場合は、不要な2列を接地端に接続することで対応できる。
なお、上記を判定するLED端子検出部116の電源として、本実施形態の半導体装置10では、RSTB端子の端子電圧(5[V])が用いられている。このような構成とすることにより、パワーコントロール調光方式が採用された場合に、REG部101の動作がオン/オフ制御される状況になっても、LED端子検出部116は、RSTB端子の端子電圧を用いて、LED端子の検出結果を常に保持することが可能となる。
PWMPOW信号、PWMDRV信号の論理に関係なく、LED端子の選択を判定し、一度必要な端子と判定されると、以後、接地端に接続しても不要なLED列とは判定されない。RSTB端子を0[V]とすることで、この情報をリセットすることができる。なお、不要なLED端子を接地端に接続処理することで、RSTB端子に流れる電源電流が増加するため、RSTB端子に接続する電流容量には留意すべきである。図13は、RSTV=5[V]であるときの消費電流例を示す表である。また、これらのアプリケーション例については、先出の図5で示した通りである。
次に、起動制御とLED電流の選択について図14を参照しながら説明する。
半導体装置10は、RSTB端子を用いることで、半導体装置10のパワーを制御することができ、RSTB端子を0.2[V]以下(RSTB=「0」)とすることで、半導体装置10を強制的にパワーオフさせることができる。また、PWMPOW端子が1.4[V]以上(PWMPOW=「1」)で、RSTB端子が2.25[V]以上(RSTB=「1」)のとき、半導体装置10はパワーオンとなる。
RSTB=PWMPOW=「1」のとき、PWMDRV=「1」であれば、LED電流ILEDとして第1電流ISETHが選ばれ、PWMDRV=「0」であれば、LED電流として第2電流ISETLが選ばれる。なお、PWMDRV=「0」であるときの起動電流は、PWMDRVの立ち上がり2回目でオフし、それ以降は0[mA]設定となる。RSTBを一度ローレベルにし、ハイレベルに切り替えることで、再度起動電流を流すことができる。
すなわち、LED輝度の調光方式として、カレントドライバ調光方式を採用した場合には、PWMPOW端子を「1」に固定した上で、PWMDRV端子を「0」/「1」で駆動する形となり、パワーコントロール調光方式を採用した場合には、PWMDRV端子を「1」に固定した上で、PWMPOW端子を「0」/「1」で駆動する形となる。
次に、PWMPOW端子をLED輝度のPWM制御に用いる場合(すなわちパワーコントロール調光方式を採用した場合)の起動動作並びにPWM動作について説明する。
PWMPOW端子をLED輝度のPWM制御に用いる場合には、RSTB端子とPWMDRV端子をローレベルからハイレベルに立ち上げた後、PWMPOW端子にPWM駆動されるパルス電圧を入力すればよい。RSTB端子とPWMDRV端子の電圧印加順序に制約はない。
なお、ソフトスタート時間(1[ms])より短いオン時間のPWM駆動に対応するため、PWMPOW端子に対して3回以上ハイレベルが入力されると、ソフトスタート機能を無効とし、高速駆動対応を可能とする。一旦ソフトスタート機能が無効にされると、RSTB端子をローレベルに立ち下げるまで、ソフトスタート機能の無効は解除されない。
そのため、PWMPOW端子を用いて、LEDを点灯→消灯→点灯といった具合に制御する場合、PWMPOW端子をローレベルとしてLEDを消灯した後、再度PWMPOW端子をハイレベルとしてLEDを点灯することになるが、その際にはソフトスタートなしで起動する。その結果、出力コンデンサC2の放電によってコイルL1のピーク電流Ipeakは変化するが、図15で示すように、過電流リミット値まで流れるおそれがある。
これに対して、図16で示すように、RSTB端子をローレベルとすることで、LEDを消灯する場合には、再度ソフトスタート機能が有効となり、コイルL1のピーク電流Ipeakを抑えることが可能となる。従って、LEDを消灯する場合には、PWMPOW端子を用いてオフ期間を設けるのではなく、RSTB端子を用いてオフ期間を設けることが望ましい。
次に、PWMDRV端子をLED輝度のPWM制御に用いる場合(すなわちカレントドライバ調光方式を採用した場合)の起動動作並びにPWM動作について説明する。
PWMDRV端子をLED輝度のPWM制御に用いる場合には、RSTB端子とPWMPOW端子をローレベルからハイレベルに立ち上げた後、PWMDRV端子にPWM駆動されるパルス電圧を入力すればよい。RSTB端子とPWMPOW端子の電圧印加順序に制約はない。
図17で示すように、RSTB端子とPWMPOW端子をローレベルからハイレベルに立ち上げた後、PWMDRV端子にパルス電圧が入力されず、ローレベル電圧が入力されている状況があり得る。このような場合、仮に、カレントドライバ123において、PWMDRV端子がローレベルである期間、LED電流ILEDを全く引き込まない構成にすると、DC/DCコンバータは安定した昇圧動作を行うことができなくなる。
このような状態を回避すべく、本実施形態の半導体装置10では、図17で示す通り、半導体装置10の起動時には、PWMDRV端子がローレベルである期間にも、所定の起動電流を各LED端子から引くことで、昇圧動作を安定させている。なお、上記起動電流の電流値は、ISETL端子に接続される抵抗値(RISETL)によって任意に設定することができる。従って、半導体装置10の起動時において、LED電流ILEDは、第1電流設定部118で設定される第1電流ISETH(例えば20[mA])と、第2電流設定部119で設定される第2電流ISETL(例えば100[μA])との間で、PWM駆動される形となる。
一方、半導体装置10が正常に起動された後は、LED輝度をPWM調整するに際して上記の起動電流が不要となる。そのため、図17で示すように、PWMDRV端子の立ち上がり2回目で、自動的に起動電流を0[mA]に設定する。従って、半導体装置10の定常動作時において、LED電流ILEDは、第1電流設定部118で設定される第1電流ISETH(例えば20[mA])と0[mA]との間でPWM駆動される形となる。
なお、図17の最下段では、カレントドライバ123における起動電流の挙動のみを描写している。
また、PWMDRV端子を用いて、LEDを点灯→消灯→点灯といった具合に制御する場合、PWMDRV端子をローレベルとしてLEDを消灯した後、再度PWMDRV端子をハイレベルとしてLEDを点灯することになるが、その際にはソフトスタート期間が終了しているため、ソフトスタートなしで起動する。その結果、出力コンデンサC2の放電によってコイルL1のピーク電流Ipeakは変化するが、図18で示すように、過電流リミット値まで流れるおそれがある。
これに対して、図19で示すように、RSTB端子をローレベルとすることで、LEDを消灯する場合には、再度ソフトスタート機能が有効となり、コイルL1のピーク電流Ipeakを抑えることが可能となる。従って、LEDを消灯する場合には、PWMDRV端子を用いてオフ期間を設けるのではなく、RSTB端子を用いてオフ期間を設けることが望ましい。
次に、LED電流ILEDの設定範囲について説明する。
LED電流ILEDについては、通常電流と起動電流を各々設定することができる。ISETH端子(9ピン)に接続する抵抗(RISETH)によって通常電流が設定され、ISETL端子(10ピン)に接続する抵抗(RISETL)によって起動電流が設定される。なお、通常電流、及び、起動電流は、それぞれ、次の(3a)式、(3b)式に基づいて算出される。
また、通常電流の設定範囲は10〜25[mA]までであり、起動電流の設定範囲はオフ設定または1〜100[μA]までである。ISETL端子をVREG端子に接続することで、起動電流をオフ設定にすることができる。オフ設定時のLED電流ILEDは、リーク電流(最大:1[μA])のみとなる。
次に、LEDの輝度制御について説明する。
PWMPOW端子、または、PWMDRV端子にPWMパルス電圧を印加することで、LEDの輝度をPWM調整することが可能である。すなわち、本実施形態の半導体装置10であれば、LED輝度のPWM調整方法として、2つのテクニックを使用できる。1つは、カレントドライバ12を用いてLED電流ILEDのオン/オフ制御を行うことで、LED輝度を調整するPWM調光方式(先述のカレントドライバ調光方式)であり、もう1つは、半導体装置10各部のオン/オフ制御を行うことで、LED輝度を調整するPWM調光(先述のパワーコントロール調光方式)である。これらの2種類のPWM調光の特徴を図20に示す。用途に応じて、任意のPWM調整方法を選択すればよい。例えば、バッテリ寿命に影響のある低輝度時の効率を重視するのであれば、パワーコントロール調光方式を採用すればよい。また、PWM輝度調整時のLED電流ばらつきを重視するのであれば、カレントドライバ調光方式を採用すればよい。
カレントドライバ調光方式は、先出の図4、図5で示される通り、PWMDRV端子にPWM信号を与えることで実現される。PWMDRV端子のハイレベル区間では、LED電流ILEDとしてISETH端子で設定された第1電流ISETHが選ばれ、ローレベル区間では、LED電流ILEDがオフされる。すなわち、LED電流ILEDの平均値は、PWMDRV端子に与えられるPWM信号のデューティに比例して増加する。
このPWM調光方式は、カレントドライバ123での電流制御となるため、PWM輝度調整時の電流ばらつきが少なく、オン時間50[μs](PWM周波数200[Hz]であるときの最低デューティ1[%])までの輝度調整を可能とする。なお、オン時間50[μs]未満とオフ時間50[μs]未満については、電流切替時の影響が大きいため、LEDの輝度調整に使用しない方が望ましい。また、標準的なPWM周波数は100[Hz]〜10[kHz]である。また、RSTB端子をハイレベルからローレベルに立ち下げると、先述したように起動電流が有効となるため、RSTB端子をローレベルからハイレベルに立ち上げた後、PWM信号の立ち上がり2回までは、第1電流ISETHと起動電流(第2電流ISETL)との間でPWM駆動が行われることになる。
一方、パワーコントロール調光方式は、先出の図6、図7で示されるように、PWMPOW端子にPWM信号を与えることで実現される。PWMPOW端子のハイレベル区間では、LED電流ILEDとして、PWMDRV端子の論理で選ばれた電流が設定され、ローレベル区間では、LED電流ILEDがオフされる。すなわち、LED電流ILEDの平均値は、PWMPOW端子に与えられるPWM信号のデューティに比例して増加する。
このPWM調光方式は、オフ時に半導体装置10をパワーオフできるため、消費電流を抑えることができ、高効率であり、オン時間50[μs](PWM周波数200[Hz]であるときの最低デューティ1[%])までの輝度調整を可能とする。なお、オン時間50[μs]未満とオフ時間50[μs]未満については、パワーオン/オフ時の影響が大きいため、輝度調整に使用しない方が望ましい。また、標準的なPWM周波数は、100[Hz]〜1[kHz]である。また、RSTB端子とPWMPOW端子を同時にPWM制御することはできない。RSTB端子をハイレベルに設定した後、PWMPOW端子のみでPWM制御を行えばよい。
なお、上記のカレントドライバ調光方式、及び、パワーコントロール調光方式のいずれを採用する場合でも、抵抗RISETHで設定される通常電流の電流値は、LEDの輝度ばらつきが保証されている保証設定電流値(例えば20[mA])に設定することが望ましい。このような構成とすることにより、LEDの輝度ばらつきが保証されていない電流領域を使用しないため、LEDの輝度調整1[%]を実現する際にも、LEDの輝度ばらつきを考慮する必要がなく、LEDの選別が不要となる。
次に、IC電源とコイル電源の分離について説明する。
半導体装置10は、内部回路への電源とコイル電源とを分けて動作することができる。用途として、半導体装置10の消費電力の低減、半導体装置10の定格22[V]を超える電圧の印加対応などが挙げられる。そのアプリケーションを図21に示す。コイル電源には、アダプタなどから与えられる高い電圧源(7〜28[V])を接続する。次に、半導体装置10の電源として、コイル電源とは異なる電源を接続する。半導体装置10のVBAT端子に2.7〜5.5[V]を入力する条件では、図21のように、VBAT端子とVREG端子を半導体装置10の外部でショートして使用すればよい。コイル電源が印加されている状態で、半導体装置10の電源が0[V]であっても、使用上問題はない。半導体装置10の電源が0[V]に設定されても、半導体装置10の内部にコイル電源からのリーク経路を遮断するパワーオフ用のプルダウン抵抗が配置されており、リーク経路を遮断するからである。また、コイル電源と半導体装置10の電源の立上げ順序はない。
次に、半導体装置10のレイアウトパターンについて、図22〜図24を参照しながら説明する。
図22は、半導体装置10のレイアウトを示す図であり、図23及び図24は、実際のレイアウトパターンの一例を示す図である。なお、図23は、基板表面のレイアウトパターンを示しており、図24は、基板裏面のレイアウトパターンを示している。なお、図24は、基板の表面側から裏面側のレイアウトパターンを透過した様子を示している。
半導体装置10の性能を十分に引き出すためには、レイアウトパターンが非常に重要である。効率やリップルなどの特性は、レイアウトパターンにより大きく変化するため、十分留意が必要である。
入力バイパスコンデンサC3は、コイルL1の直近で接続することが望ましい。入力バイパスコンデンサC3からVBAT端子へは、電源ラインを低抵抗で配線することが望ましい。これにより、半導体装置10の入力電圧リップルを低減することが可能となる。
REG部101の平滑コンデンサC4は、VREG端子とGND端子との間に直近で接続することが望ましい。ダイオードD1は、コイルL1とトランジスタN1との間に直近で接続することが望ましい。出力コンデンサC2は、ダイオードD1のカソードと入力バイパスコンデンサC3の一端(GND側)との間に直近で接続することが望ましい。これにより、出力電圧リップルを低減することが可能となる。
トランジスタN1は、SW端子の直近に接続することが望ましい。コイルL1、トランジスタN1、及び、抵抗RCSは、互いに直近でかつ低抵抗で配線することが望ましい。SENSP端子への配線は、トランジスタN1側からではなく、抵抗RCS側から接続することが望ましい。トランジスタN1側から配線すると、過電流値が低くなるおそれがあるからである。
抵抗RCSの一端(GND側)は、SENSN端子に単独で配線することが望ましい。抵抗RCSから接地端への配線は、抵抗RCSとSENSN端子との間から配線すべきではない。また、GND配線は、コンデンサC2の一端(GND側)まで単独で配線することが望ましい。コンデンサC2の一端(GND側)に他の素子を接続すると、ノイズの影響により、電流ドライブ性能を制限するおそれがあるからである。
LED電流設定用の抵抗RISETHは、ISETH端子に直近で接続することが望ましい。ISETH端子に容量が付くと発振する可能性があるため、容量が付かないように留意すべきである。また、抵抗RISETHの一端(GND側)は、接地端に単独で接続することが望ましい。
半導体装置10の直近で、それらのピンを直接接続しない場合、半導体装置10の性能に影響を与え、電流ドライブ性能を制限するおそれがある。コイルL1への配線は、電力消費を減らして、全体効率を上げるため、抵抗成分を小さくすることが望ましい。
また、出力コンデンサC2に電圧変動を与えた場合、図25で示すように、素子の伸縮によって基板が揺れて音鳴りを生じることがある。特に、出力コンデンサC2の容量値が大きいと、その素子サイズが大きくなり、音鳴りを生じやすくなる。このような音鳴りを低減するためには、出力コンデンサC2の素子サイズをできる限り縮小することが望ましく、例えば、図26で示すように、所望値の半分の容量値を有するコンデンサC2a、C2bを並列に接続することが考えられる。ただし、図26で示すように、コンデンサC2a、C2bを同じ向きで並べると、両者の振動に共振が生じて、音鳴りが助長されるおそれがある。そこで、図27で示すように、コンデンサC2a、C2bを互いに異なる向きで並べることにより、両者の共振を避けて、音鳴りを低減することが可能となる。また、図28で示すように、コンデンサC2aを基板の表面側に配設し、コンデンサC2bを基板の裏面側に配設することでも、音鳴りを低減することが可能となる。
次に、REG部101の内部構成について、図28を参照しながら説明する。
図29は、REG部101の内部構成を示すブロック図である。
本図に示す通り、REG部101は、内部電圧VINを生成する内部電圧生成回路101aのほかに、第1レベルシフタ101bと、第2レベルシフタ101cを有して成る。
第1レベルシフタ101bは、VBAT端子の端子電圧(コイル電源)の入力を受け、PWMPOW端子から入力されるPWM信号(0−1.4[V])のレベルシフトを行うことで、内部電圧生成回路101aのオン/オフ制御を行うための第1イネーブル信号EN1(0−20[V])を生成する手段である。
第2レベルシフタ101cは、VREG端子の端子電圧(IC電源)の入力を受け、PWMPOW端子から入力されるPWM信号のレベルシフトを行うことで、内部回路(REG部101以外の諸回路)のオン/オフ制御を行うための第2イネーブル信号EN2(0−5[V])を生成する手段である。
上記構成から成るREG部101を内蔵することにより、本実施形態の半導体装置10では、コイル電源とIC電源とを分離するアプリケーションでも、分離しないアプリケーションでも、PWMPOW端子から入力されるPWM信号に基づいて、先述のパワーコントロール調光を実現することが可能となる。
次に、ノートパソコンに搭載される液晶ディスプレイのバックライトとして、白色LEDを用いる場合のメリットについて説明する。
第1の利点は、冷陰極蛍光管(CCFL)と異なり、白色LEDは面実装チップとなるため、パネルの薄型化、軽量化、耐振動衝撃性の向上を図ることが可能となる点である。第2の利点は、輝度調整範囲が広いため、暗い環境で輝度を絞ることで、省バッテリ化が可能となる点である。第3の利点はHgレスによるRoHS指令への対応が可能となる点である。第4の利点は、実効値1000[Vrms]の高圧電圧が不要となり、各安全規格の取得が容易となる点である。
このようなバックライトのLED化に伴い、これを駆動するLEDドライバには、バッテリ寿命をさらに延ばしたり、画面を暗くして消費電力を下げる、といった要求があり、これを実現するために、最低輝度をパネルの絵が見える限界の1[%]まで調整する能力が求められている。なお、冷陰極蛍光管(CCFL)では、その特性上、10[%]以下まで輝度調整することが困難である(図30中の四角マーク(LED)と三角マーク(CCFL)とを比較参照)。
そこで、本実施形態の半導体装置10は、上記最低輝度設定を行う上で、輝度1[%]までの調整範囲を実現し、さらに、低輝度設定でも高効率を実現することが可能な構成とされている。以下では、その構成について詳細に説明する。
まず、上記の目標を達成するために採用すべきLED駆動方式について検討する。これを検討する上で課題となるのは、LED輝度ばらつきへの対応である。図31で示すように、保証設定電流値(例えば20[mA])以上の電流範囲では、LEDの輝度ばらつきが保証されているので、輝度ばらつきは分かりにくいが、それ以下の電流値に絞った場合には、LEDの輝度ばらつきが保証されておらず、輝度ばらつきが分かりやすくなる。従って、保証設定電流値でLEDを駆動する必要がある。
そこで、本実施形態の半導体装置10では、図32で示すように、LEDの保証設定電流値(20[mA])とオフ(0[mA])の比率に基づいて、平均電流の調整(PWM輝度調整)を行う構成とされている。このような構成とすることにより、保証電流値以下の電流領域を使用しないため、LEDの選別が不要となる。
次に、PWM方式で輝度調整1[%]を実現する際の課題について検討する。携帯電話用のLEDドライバICにおいて、パワーコントロール調光方式によるLED輝度のPWM調光を行う場合、図33で示すように、起動時におけるバッテリのピーク電流を低減すべく、ソフトスタート機能により、PWM信号のオン毎にピーク電流の増加の原因となる高速起動が抑制されていた(例えば、起動時間300[μs]、輝度6[%]に相当)。また、LED電流の立ち上がり時間は、PWM信号のオン毎にいずれも同一値とされており、かつ、DC/DCコンバータの反応時間(例えば、反応時間150[μs]、輝度3[%]に相当)に影響されないように、カレントドライバの起動時間が遅くなる条件に設定されていた。
そのため、LED電流の起動時間50[μs](輝度1[%]に相当)を実現するためには、ソフトスタート機能により遅らせていた起動時間(300[μs])と、DC/DCコンバータの反応時間(150[μs])がネックとなるため、これら2つの課題をクリアすることが必要となる。
まず、LED電流の起動時間短縮を実現するための対策について検討する。
先にも述べた通り、LED電流の起動時間短縮を実現する上で問題となるのは、ソフトスタート機能による起動時間300[μs](輝度6[%]に相当)が目標値の50[μs](輝度1[%]に相当)よりも遅いことである。
起動時間短縮への取り組みとしては、起動時間の設定値自体を短くすることが考えられるが、この対策では、初回起動時の入力電流のピークが大きくなってしまう(図34中のポイントAを参照)。また、過電流リミットを調整して、入力電流を低減することも考えられるが、この対策では、バッテリ電圧が低い条件で、LED電流が目標値に未達となるおそれがある(図34中のポイントBを参照)。
そこで、本実施形態の半導体装置10では、初回起動時には、従来通りの起動時間300[μs]でソフトスタートを行い、2回目以降については、ソフトスタートを解除し、起動時間をゼロ値とする構成とされている。このような構成とすることにより、初回起動時のピーク電流を適切に抑えつつ、2回目以降の起動時間を短縮することが可能となる。
ただし、先にも述べた通り、LED電流の起動時間短縮を実現する上で、もう一つの問題となるのは、図35で示したように、DC/DCコンバータの反応時間150[μs](輝度3[%]に相当)が目標値の50[μs](輝度1[%]に相当)よりも遅いことであり、これを解消しない限り、目標となるLED電流の立ち上がり時間を達成することはできない。
DC/DCコンバータの反応時間を短縮するための取り組みとしては、DC/DCコンバータを構成するエラーアンプの出力電圧の立ち上がり時間を早くするために、エラーアンプの出力端に接続される位相補償回路のCR時定数を小さくすることが考えられるが、この対策では、システム発振を防止するために、出力コンデンサを2.2[μF]から20[μF]に変更する必要があり、50[V]耐圧で、かつ、20[μF]の出力コンデンサを薄型パネルに載せることは、設置面積の観点から困難であった。
そこで、本実施形態の半導体装置10では、エラー出力の立ち上がりを早くするのではなく、エラー出力の立ち上がりに必要な変化量を少なくするという観点に立ち、LED電流が立ち上がるまで、エラー出力の前値(PWM信号がオフされる前のエラー出力)を保持することで、LED電流の起動時間の短縮を図る構成とされている。
具体的には、図36で示す通り、本実施形態の半導体装置10は、LED電流の立ち上がりを検出する検出回路124と、PWM信号がローレベルとされてからLED電流の立ち上がりが検出されるまで、エラー出力の前値を保持(スイッチ126をオフ)するためのタイミング信号を生成する前値保持回路125と、エラーアンプ107の出力端に接続され、前記保持回路125からのタイミング信号に応じてオン/オフ制御されるスイッチ126と、を有して成る。
なお、上記の検出回路124としては、LED電流の立ち上がりをモニタする構成と、LED端子電圧が所定の閾値に達したか否かをモニタする構成とがあり、いずれか一方の構成を採用してもよいし、両方の構成を採用しても構わない。
このように、位相補償用のコンデンサをエラー出力の前値保持用にも流用し、LED電流が立ち上がるまで、エラー出力の前値を保持する構成であれば、図37で示すように、エラー出力の変化量(ドロップ量)が少なく、その立ち上げが早くなるので、先述したソフトスタート機能のオン/オフ制御と合わせることで、LED電流の立ち上がり時間10[μs](輝度0.2[%]に相当)を実現することが可能となる。なお、図38は、パワーコントロール調光時のLED電流挙動を示しており、図39は、カレントドライバ調光時のLED電流挙動を示している。
上記改良を施した結果、本実施形態の半導体装置10は、図40で示すように、輝度調整1[%]よりもさらに低輝度範囲まで、具体的には、0.2〜100[%]の範囲で、LEDの輝度を調整することが可能となり、また、図41で示すように、輝度の明暗によることなく、全ての調整範囲において高効率を実現することができる。特に、低輝度調整時の効率を非常に改善することができ、バッテリ寿命を大幅に(15分以上)伸ばすことが可能となる。また、実装面積も非常に小さく、さらに、エラー出力の前値保持を行ったことに伴い、図42で示すように、出力電圧の変動が小さくなるので、出力コンデンサの音鳴りについても、解消することが可能となる。
次に、PWM信号のハイレベル期間(LEDのオン期間)を短く設定した場合でも、ソフトスタート機能のオン/オフ制御を適切に行うための対策について説明する。
本実施形態の半導体装置10では、PWM信号がハイレベルに立ち上げられてから、所定時間が経過した時点で、以後のソフトスタート機能を無効とする制御が行われる。その際、PWM信号のハイレベル期間が十分にある場合には、図43(a)で示す通り、PWM信号の初回ハイレベル期間中に所定時間のカウントを完了し、これをトリガとして、以後のソフトスタート機能を無効とすることが可能であるが、PWM信号のハイレベル期間が短く設定された場合には、図43(b)で示すように、PWM信号の初回ハイレベル期間中に所定時間のカウントを完了することができず、ソフトスタート機能を無効とするためのトリガを生成することができないケースも生じ得る。
そこで、本実施形態の半導体装置10では、PWM信号のパルス数(例えば立ち下がりエッジ)をカウントし、3回目のパルスを検出した時点で、強制的にソフトスタートを解除する構成とされている。このような構成とすることにより、PWM信号のハイレベル期間を短く設定した場合でも、ソフトスタート機能のオン/オフ制御を適切に行うことが可能となる。
次に、LEDドライバを制御する他ICから、規則正しいPWM信号が出力されない場合であっても、LEDドライバの正常動作を維持するための対策について説明する。
先にも述べた通り、本実施形態の半導体装置10は、LED端子検出部116を有して成り、使用されるLED端子はLEDのカソードに接続される一方、未使用のLED端子は接地端に接続される構成とされている。
ここで、LED端子電圧が所定の閾値(例えば0.1[V])を下回っている場合に、そのLED端子は未使用端子であると判定する構成では、図44で示すように、一旦、使用端子であると判定されたLED端子であっても、何らかの原因(例えば、グラフィックチップのソフトバグ)により、PWM信号が誤って停止される区間(ローレベル区間)が生じた場合に、LED端子電圧が低下して未使用端子として検出され、DC/DCコンバータの昇圧動作が停止されるおそれがある。このような意図しない昇圧停止が生じると、リセット信号を入力せざるを得ず、ユーザにとっては使い勝手が悪い。
そこで、本実施形態の半導体装置10では、図45で示すように、LED端子電圧が一度でも1.0[V]を超えたら、そのLED端子を使用端子として検出し、以後、LED端子電圧が低下しても未使用端子として検出しない構成とされている。すなわち、パワーオン時に使用端子であるか否かの判定を行い、一度でも使用端子であることが確認されたLED端子については、その検出結果を保持して、途中で未使用端子と判定されることがなくなるので、何らかの原因で一瞬PWM信号が途絶えた場合であっても、PWM信号の復帰に伴い、何ら支障なく再点灯することが可能となる。
なお、上記の実施形態では、本発明の適用対象として、モバイルノートPC、ポータブルDVDプレーヤ、カーナビなどに搭載される中型LCDパネルのバックライト駆動制御を行う半導体装置を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、その他の負荷駆動装置にも広く適用することが可能である。
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。