JP2009031645A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォーム状定着液をトナー等に付与する定着装置において、塗布ローラ上に残留するフォーム状定着液による悪影響を防止する。
【解決手段】塗布ローラ22上に膜厚制御ブレード22により膜厚が制御されたフォーム状定着液の膜を形成し、このフォーム状定着液膜を紙25上の未定着トナー層に押しつけてトナー層にフォーム状定着液を浸透させる。トナー層に付着せずに塗布ローラ20上に残留したフォーム状定着液は、消泡ローラ23と塗布ローラ20との間で挟み潰され再液化される。フォーム状定着液はかさ(嵩)密度が小さいため、再液化により体積は数十分の一から数百分の一に減少する。再液化された定着液は、塗布ローラ20の端部に設けられた吸液スポンジ(不図示)に吸収される。
【選択図】図13

Description

本発明は、画像形成等に用いられるトナー、その他の樹脂含有微粒子を定着液を用いて媒体に定着させる定着装置、特に、定着液をフォーム状にしてトナー等の樹脂含有微粒子に接触付与する構成の定着装置と、それを用いた画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、OHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。
電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を実現することができる。しかし、熱定着方式は消費電力が大きく、電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上が定着のためのトナー加熱に消費されている。
近年、環境対策の観点から低消費電力(省エネルギー)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方法や、トナーを加熱しない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。
非加熱定着方法としては、例えばトナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶の有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、記録媒体上の未定着のトナーに噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、乾燥させる湿式定着方法が特許文献1に開示されている。
しかしながら、この湿式定着方法においては、水に不溶又は難溶の有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を用いているため、多量の定着剤を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(非定着物)が定着剤の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生するという問題がある。そこで、乾燥装置を用いて、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着剤から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とし、省電力化を達成できない。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒にトナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性定着液が提案されている。その一つが、本出願人の特許出願に係る特許文献2に開示されている。この定着液は、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料成分を水に希釈した(溶解させた)ものである。また、特許文献2には、電子写真方式の画像形成装置において、撥液処理された中間転写体ベルト上の未定着トナーに、そのような定着液を付与し、乾燥に必要な電力をほぼ不要にした定着装置が開示されている。
また、特許文献2には、ノズルより定着液を泡状にして吐出し、この泡状の定着液を直接的に、撥液処理された中間転写ベルト上のトナーに付与する構成の定着装置も開示されている。このような構成には、トナーに付着させる定着液量を削減できる等の利点がある。
特許第3,290,513号明細書 特開2004−109747号公報
定着液を液状態で未定着トナー層に付与する方法では、例えば図25に示すように、塗布ローラと加圧ローラの間を通過する記録媒体上の未定着トナー層に塗布ローラに付着させた定着液を塗布する場合、塗布ローラ上の定着液層の厚みが未定着トナー層よりも薄いと、塗布ローラが記録媒体から剥離する際に、塗布ローラ表面の定着液の液膜によって生じる表面張力で未定着トナー粒子が引っ張られてしまい、塗布ローラの表面にトナー粒子が付着し記録媒体上の画像が大幅に乱れてしまう。図26は、そのようなトナー付着の説明図である。
逆に、塗布ローラ上の定着液層の厚みを未定着トナー層よりも十分厚くすると、塗布ローラが記録媒体から剥離する際、液量が多いため塗布ローラの表面の液膜による表面張力が直接トナー粒子に作用しにくくなり、ローラ側にトナーは付着しなくなる。しかし、紙面に多量の定着液が塗布されるため、記録媒体上で過剰な定着液によりトナー粒子が流され画質劣化を生じ、また、乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じてしまう。また、紙に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。また、定着液が水を含有する場合、紙等のセルロースを含有する媒体が著しくカールし、画像形成装置などにおける装置内の紙等の媒体搬送時に紙ジャム発生の恐れがある。
このように、定着液のローラ塗布を行う構成では、定着応答性向上、残液感低減、媒体のカール防止、定着ローラへのトナー付着防止を同時に達成することは極めて難しい。なお、接触塗布手段として、塗布ローラ以外のダイコート手段やブレード塗布手段やワイヤーバー塗布手段を用いた場合でも、定着液が微量になると接触塗布手段に表面張力でトナーが付着してしまい、画像劣化が生じる。
以上、紙等の記録媒体上の未定着トナーを定着する場合について問題点を述べたが、トナー以外の樹脂含有微粒子に液状の定着液を付与し定着する場合においても同様の問題点がある。
本発明は、上述したような問題点について改善すべく、定着液を液状態で用いるのではなく、フォーム状の定着液をトナー等の樹脂含有微粒子に付与して定着を行う新規な構成の定着装置と、それを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
なお、本発明の定着装置は、ローラ状又はベルト状の塗布部材と、該塗布部材に対し前記媒体を押しつけるための加圧部材とを含み、前記塗布部材と前記加圧部材の間を通過する前記媒体上の未定着のトナー等の微粒子に対し、前記塗布部材上に形成された、前記トナー等の微粒子の含有する樹脂を軟化させる軟化剤を含有したフォーム状定着液の膜を押しつける構成の定着液付与手段を用いるものであり、ノズルから吐出させた泡状の定着液を直接的にトナーに付与する特許文献2の定着装置とは構成・作用が基本的に異なるものである。
さて、上述したような定着液付与手段においては、後に詳細に説明するように、トナー等の微粒子層に定着液を媒体へ達するまで効率的に浸透させるためには、また、トナー等の塗布部材への付着を防止するためには、塗布部材上に形成されるフォーム状定着液膜の厚さをトナー等の微粒子層の厚さ以上にするのが望ましい。したがって、塗布部材上のフォーム状定着液の一部はトナー等の微粒子層に付着することなく塗布部材上に残留する。フォーム状定着液はかさ(嵩)が大きいので、例えばその数パーセントが残留するとしても、残留したフォーム状定着液をそのまま放置すると正常な定着動作を妨げたり周囲を汚染したり恐れがある。
よって、本発明が解決しようとする具体的な課題の一つは、そのような塗布部材上に残留したフォーム状定着液の悪影響を防止することにある。
本発明が解決しようとする他の具体的課題については後述する。
請求項1記載の発明は、媒体上の未定着の樹脂を含有した微粒子を該媒体に定着させる新規な構成の定着装置を提供するものであって、該定着装置の特徴は、
ローラ状又はベルト状の塗布部材と、該塗布部材に対し前記媒体を押しつけるための加圧部材とを含み、前記塗布部材と前記加圧部材の間を通過する前記媒体上の未定着の前記微粒子に対し、前記塗布部材上に形成された、前記樹脂を軟化させる軟化剤を含有したフォーム状定着液の膜を押しつける定着液付与手段と、
前記塗布部材上の前記微粒子に付着せず残留したフォーム状定着液を消泡して再液化する消泡手段とを有することにある。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に係る定着装置の構成に加え、前記消泡手段により再液化された定着液を回収する定着液回収手段を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明に係る定着装置の構成において、前記消泡手段が前記塗布部材と接触しつつ回転するローラ状の消泡部材からなり、該消泡部材と前記塗布部材と間で該塗布部材上に残留したフォーム状定着液を挟み潰すことにより消泡することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明に係る定着装置の構成において、前記消泡部材の表面に螺旋溝が形成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明に係る定着装置の構成において、前記消泡手段が前記塗布部材に接触するブレード状の消泡部材からなり、該消泡部材の前記塗布部材との接触部位と該塗布部材との間で該塗布部材上に残留したフォーム状定着液を挟み潰すことにより消泡することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明に係る定着装置の構成において、前記消泡部材が水平位置から傾けて配置されたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の発明に係る定着装置の構成において、前記定着液回収手段が、前記消泡部材の端近傍に設けられた吸液スポンジ部材からなることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発明に係る定着装置の構成に加え、前記加圧部材に付着した前記微粒子を回収する微粒子回収手段を有することを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明に係る定着装置の構成において、前記微粒子回収手段が、前記加圧部材に接触しつつ回転する、前記加圧部材に比べ前記微粒子との接着性が強い表面を持つローラ状部材からなることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発明に係る定着装置の構成において、前記塗布部材と前記加圧部材のうちの少なくとも一方が弾性を有するローラ状部材であることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発明に係る定着装置の構成において、前記塗布部材と前記加圧部材のうちの少なくとも一方がベルト状部材であることを特徴とする。
請求項12記載の発明は画像形成装置を提供するものであって、該画像形成装置は、媒体上にトナー像を形成する手段と、前記媒体上に形成されたトナー像を前記媒体に定着させる処理を行う請求項1乃至11のいずれか1項に記載の発明に係る定着装置とを有することを特徴とする。なお、当該定着装置に用いられる定着液としては、トナーに含有される樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる軟化剤と、水と、脂肪酸塩からなる起泡剤と、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型とを含有するものが望ましい。
塗布部材上に残留した、かさ(嵩)密度の小さいフォーム状定着液を、消泡手段により再液化し体積を数十分の一から数百分の一にまで減少させるため、塗布部材上の残留フォーム状定着液よる悪影響を防止することができる(請求項1)。
消泡手段により再液化した定着液を定着液回収手段により回収することにより、塗布部材上の残留フォーム状定着液による悪影響を、より確実に防止することができる(請求項2)。
消泡手段をローラ状又はブレード状の消泡部材からなる単純な構造にすることができる(請求項3,5)。ローラ状消泡部材の表面に螺旋溝を形成することにより(請求項4)、あるいは、ブレード状消泡部材を水平位置から傾けて配置することにより(請求項6)、再液化した定着液が消泡部材の一方の端側へ(媒体の移動方向と直交する方向へ)移動しやすくなる。その結果、塗布部材の定着動作に関わる領域に再液化定着液が滞留しにくくなるとともに、消泡部材の端近傍に設けた吸液スポンジ部材(請求項7)に効率良く再液化定着液を導き吸収させることができる。
塗布部材に付着したトナー等の微粒子は、塗布部材と加圧部材とが直接接触した場合に加圧部材側に付着しやすい。加圧部材に付着したトナー等の微粒子の量が多くなると、記録紙等の媒体のいわゆる裏汚れ等の原因となるが、加圧部材に付着したトナー等の微粒子を回収する微粒子回収手段を有するため(請求項8)、加圧部材に微粒子が多量に付着することによる紙等の媒体の裏汚れ等を防止することができる。また、塗布部材に付着した微粒子は加圧部材を経由し微粒子回収手段に回収されるため、微粒子に接する側の塗布部材に微粒子が蓄積することがなくなる。画像形成装置に用いられる定着装置の場合、塗布部材にトナーが蓄積すると、定着画像の汚れの原因になるが、そのような画像汚れを防止できる。
微粒子回収手段をローラ状部材からなる単純な構造にすることができる(請求項9)。
塗布部材と加圧部材のうちの少なくとも一方を、弾性を有するローラ状部材又はベルト状部材とすることにより(請求項10,11)、媒体への加圧力を過剰に高くすることなく容易に長いニップ幅(後述)を確保することができ、媒体の搬送速度の高速化、定着速度の高速化に有利である。
[フォーム状定着液及びその生成手段について]
本発明においては、定着液を液のまま使用するのではなく、フォーム状の定着液を使用する。このフォーム状定着液とは、図1に模式的に示すように、多数の気泡を含み、それら気泡の泡壁もしくは境界(プラトー境界)が定着液で構成されたものである。まず、このようなフォーム状定着液を生成する手段について説明する。なお、以下の説明において、フォーム状定着液の「かさ(嵩)密度」とは、フォーム状定着液の一定容量に対する質量のことである。
一般的に、0.5mmから1mm程度の大きな泡は、定着液を単純に撹拌する等により比較的容易に生成可能であり、その生成に1秒以下の時間しかかからない(例えば0.1秒もかからない)。本発明者らは、所望の泡径よりも大きな泡(目視で観察できる程度の大きさの泡)ならば、容易かつすばやく生成可能である点に着目し、大きな泡から素早く5μmから50μm程度の微細な泡を生成する方法を検討した。その結果、生成した大きな泡にせん断力を加えて分泡する方法によれば、液状態から微細な泡を直接的に起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の微細な泡を生成できることを確認した。
このような方法によりフォーム状定着液を生成する手段の一例を図2に示す。この例においては、定着液容器1内の液状の定着液を搬送ポンプ2により液搬送パイプ3を通じて気体・液体混合部4へ供給する。この気体・液体混合部4には空気口5が設けられ、また、微細孔シート6が設けられている。気体・液体混合部4において、液搬送パイプ3を通じて供給される液の流れとともに空気口5に負圧が発生し、空気口5から空気が内部に導入されて液体と気体が混合し、さらに、微細孔シート6を通過することで、泡径のそろった大きな泡を生成させる。微細孔シート6の孔径は、30μmから100μm程度が望ましい。なお、微細孔シート6は、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30μmから100μm程度を有する焼結セラミックス板、不織布、発泡樹脂シート等を用いることができる。
なお、定着液の大きな泡の生成手段は、この例に限らない。例えば、搬送ポンプ2より供給された液状定着液と空気口5からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、搬送ポンプ2より供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成を採用することも可能である。
さて、定着液の大きな泡を分割して2つ以上に分泡化するために、大きな泡にせん断力を加える方法が効果的である。図2の例では、大きな泡を分泡化する手段として、閉じた二重円筒を用いる。その外側円筒7は固定され、内側円筒8は回転可能である。外側円筒7の一部より供給された大きな泡状の定着液が、内側円筒8と外側円筒7の隙間(ここが流路となる)を通過しながら内側円筒8の回転によりせん断力を受け、大きな泡が微細な泡へと変化し、外側円筒7に設けられた出口より所望の微細な泡径を有するフォーム状定着液が排出される。
二重円筒における液搬送速度は、内側円筒8の回転数と円筒の長さにより決定される。外側円筒7の内径をd1(mm)、外側円筒7の長さをL(mm)、内側円筒8の外径をd2(mm)、内側円筒8の回転数をR(rpm)とすると、微細な泡を生成するための液搬送速度V(mm/秒)は、
V=L×π×(d1−d2)/4/(1000/R)
で決まることがわかった。
例えば、d1=10mm、d2=8mm、L=50mm、回転数R=1000rpmとすると、液搬送速度Vは約1400mm/秒(1.4cc/秒)となる。仮に、A4の紙にトナーを定着するために必要なフォーム状定着液が3ccであるとすると、液状定着液から必要量のフォーム状定着液を生成する時間は2秒で済み、極めて素早く所望泡径を有するフォーム状定着液を生成可能である。
このように、図2の例の如く、液状定着液を大きな泡径を有する液へと変化させる機構と、その大きな泡にせん断力を加える機構とを組み合わせることで、極めて短時間に液状定着液から5μmから50μm程度の微細な泡径を有するフォーム状定着液を生成させることができる。なお、図2の例で、内側円筒8の表面に螺旋状の溝を設けることにより円筒内での液搬送性を向上させるようにしてもよい。
搬送ポンプ2としては、ギヤポンプ、ベローズポンプ等があるが、チューブポンプが望ましい。ギヤポンプのような定着液中で振動もしくは回転する機構があるものは、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て搬送能力が低下する恐れがある。これに対し、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、定着液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。
なお、フォーム状定着液のかさ(嵩)密度としては、0.01g/cm〜0.1g/cm程度の範囲が望ましい。さらに、定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂含有微粒子の層への塗布時にフォーム状となっていればよく、保存容器内でフォーム状である必要はない。保存容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂含有微粒子の層へ付与するまでの液搬送経路でフォーム状にする手段を設ける構成が望ましい。これは、保存容器では液体で、容器から液を取り出した後にフォーム状とする構成のほうが、容器を小型化できるという大きな利点を有するためである。
[定着液付与手段について]
さて、本発明においては、図2に例示したような手段によって生成したフォーム状定着液を、例えば紙上の未定着トナーに直接的に付与するのではない。本発明においては、ローラ状又はベルト状の塗布部材と、この塗布部材に対し紙等の媒体を押しつける加圧部材を含み、塗布部材に形成されたフォーム状定着液の膜を紙等の媒体上の未定着のトナー等の樹脂含有樹脂の層に接触加圧させる構成の定着液付与手段を用いる。
このような定着液付与手段の例を図3に模式的に示す。この例は、塗布部材として塗布ローラ11が用いられ、加圧部材として加圧ローラ13が用いられる。未定着トナーが付着した紙が塗布ローラ11と加圧ローラ13の間を通過する際に、塗布ローラ11上のフォーム状定着液膜が未定着トナー層に接触加圧されることにより、未定着トナーが紙に定着される構成である。この例では、図2に示したフォーム状定着液生成手段により生成されたフォーム状定着液が、供給口9より塗布ローラ11と膜厚制御ブレード14との間に供給され、塗布ローラ11の回転に伴い塗布ローラ11に付着したフォーム状定着液が膜厚制御ブレード14を通過することにより、塗布ローラ11上に所望の膜厚のフォーム状定着液膜が形成される。なお、その膜厚は、フォーム状定着液の気泡の大きさ、加圧ローラ13による加圧力、未定着トナー層の厚さ、環境温度等に応じて最適化するのが望ましい。図4に、塗布ローラ上のフォーム状定着液がトナー層に接触付与される様子を模式的に示す。
図5は、塗布ローラ11上のフォーム状定着液膜の膜厚制御の説明図である。膜厚を薄くするときは図5(a)に示すように膜厚制御ブレード14と塗布ローラ11のギャップを狭くし、膜厚を厚くするときは図5(b)に示すように、そのギャップを広くする。このようなギャップの制御は、膜厚制御ブレード14の一端が取り付けられた回転軸15の角度を不図示のモータ等によって変化させることにより行うことができる。
なお、図3の例では、塗布ローラ11上のフォーム状定着液膜の膜厚の制御に膜厚制御ブレードを用いたが、これに限らない。例えば、塗布ローラ11に接近させてローラ軸方向にワイヤーバーを張設し、このワイヤーバーと塗布ローラ11の間にフォーム状定着液を滴下し、ワイヤーバーと塗布ローラ11との間隔調整によりフォーム状定着液膜の膜厚を制御するようにしてもよい。このようなワイヤーバーを用いる構成によれば、ブレードを用いる構成に比べ、塗布ローラ軸方向についてのフォーム状定着液膜厚の均一性を向上し得る。
さて、以上に説明したような定着液付与手段を用いる場合に、定着速度を上げすぎると塗布ローラ側にトナーが付着するという問題があり、本発明者らは、そのメカニズムを解析した。以下は、その解析結果に基づいた説明である。
図6に、塗布ローラ(塗布部材)にトナーが付着する場合と付着しない場合のモデルを示す。なお、塗布ローラは撥液性を有し、紙は親液性を示すものとする。
図6(a)は、塗布ローラ上の液状定着液がトナー層に接触し、トナー層を浸透して紙まで到達した後のタイミングで塗布ローラを剥離する場合を示している。トナー相互間、トナーと紙の間、及び、トナーと塗布ローラとの間には液の表面張力による結合力が生じるが、塗布ローラは撥液性で紙は親液性であるため、トナーと紙との結合力が勝り、塗布ローラの剥離時にトナーは塗布ローラに付着しない。
図6(b)は、塗布ローラ上の液状定着液がトナー層に接触し、トナー層を定着液が紙まで到達しないタイミング(トナー層の途中まで浸透しているタイミング)で塗布ローラを剥離する場合を示している。定着液が浸透したトナー相互間、定着液が浸透したトナーと塗布ローラとの間には液の表面張力による結合力が生じるが、乾いたトナー間の結合力は弱いため、塗布ローラの剥離時に、トナー層は乾いた部分で剥離し、定着液が浸透したトナーが塗布ローラに付着してしまう。
このようなモデルから分かることは、塗布ローラへの著しいトナー付着を防止するためには、塗布ローラの紙との接触部ニップ時間を、トナー層に接触させた定着液がトナー層を浸透して紙に到達するまでの時間よりも長くする必要があることである。
なお、「ニップ」とは、塗布ローラ(塗布部材)の紙(媒体)との接触開始点から剥離開始点までの間の部分のことを云う。したがって、「ニップ時間」は、接触開始から剥離開始までの時間である。また、「ニップ幅」は、接触開始点から剥離開始点までの間の部分の、紙(媒体)の搬送方向の長さを示す。「ニップ圧」はニップ部に加えられる圧力で、ニップ部への荷重をニップ部の面積で割った値を示す。
ところで、本発明者らは、300μmのジルコニアビーズを用いたラージスケールモデル実験にて、フォーム状定着液が樹脂含有微粒子層に浸透する様子を光学顕微鏡観察した。その結果、図7に示すように、フォーム状定着液は、破泡することなく、ジルコニアビーズの隙間を浸透し、ジルコニアビーズに接した泡をその上部の泡が加圧しながらビーズ間の隙間を泡が浸透することがわかった。一般に、液体の場合、微粒子間を浸透する力は液体の表面張力による毛管現象を利用した浸透である。しかし、観察の結果、泡の場合、泡は柔軟な連続体のような挙動を示し、微粒子間に浸透した泡をその上部の泡が押しながら連続的に泡が微粒子の隙間を埋めていくことがわかり、従来の液体の浸透原理とは異なっていることが初めてわかった。実際には観察していないが、相似則から、トナー等の6μmサイズの微粒子の層においても、ラージスケールモデル実験と同様に、微粒子間に浸透した泡をその上部の泡が押しながら連続的に浸透すると推定できる。また、ラージスケールモデル実験にて、フォーム状定着液膜の厚みが微粒子層の厚みよりも薄い場合には、図8に示すように、泡を押す力が途中で止まってしまい、泡は媒体まですばやく到達できないことも観察された。
そして、上記の実験から、実際のスケールにおいて、塗布ローラ上のフォーム状定着液膜の厚みと紙(媒体)上のトナー(樹脂含有微粒子)層の厚みは、フォーム状定着液のトナー(樹脂含有微粒子)層の浸透時間と深い相関があることがわかった。
本発明者らは、トナー等の樹脂含有微粒子の層をフォーム状定着液が浸透し紙等の媒体に到達するまでの時間(浸透時間と定義する)を測定する方法を独自に考案し、浸透時間を測定した。
図9は、考案した浸透時間測定方法に基づく測定装置の一例の説明図である。樹脂含有微粒子としてトナーを用いた。定着液はイオン性の材料、例えばフォーム化に必要な起泡剤や分散剤が含有されているため10Ω・cm以下の抵抗値を示し、導電性を有する。そこで、上部電極を塗布部材に、下部電極を媒体にそれぞれみたて、上部電極の下面にフォーム状定着液膜を形成し、下部電極の上面にトナー層を形成する。そして、下部電極の下に荷重検知ロードセルを配置し、上下電極間に電圧を印加する。上部電極に重りを載せ、上部電極を下部電極に接触させると、荷重検知ロードセルが上部電極の荷重を検知する。その後、フォーム状定着液がトナー層を通過して下部電極に到達すると、上下電極間に電流が流れるため上下電極間の電圧値が変化する。そして、荷重検知ロードセルで荷重を検出した時点から、上下電極間の電圧変化を検出した時点までの時間をトナー層浸透時間として計測する。以下に測定例を示す。
(測定例1)
平均泡径20μm、かさ(嵩)密度0.05g/cmのフォーム状定着液膜を上部電極上に形成し、平均粒径6μmの球形トナーの層を厚み30μmで下部電極に形成し、フォーム状定着液膜の厚みを変化させて測定した。上部電極と下部電極の材料としSUS304を用いた。上部電極をリニアステージに固定し、下部電極に圧力0.03kgf/cm(塗布時圧力)にて接触させた。上下電極間で定着液の電気分解がおきないようにするため、上下電極間への印加電圧は0.8Vとした。測定結果を図10に示す。図10の横軸はフォーム状定着液膜の厚み(μm)、縦軸はトナー層浸透時間(ms)である。
図10に見られるように、フォーム状定着液膜の厚みがトナー層厚みと同じかそれ以上の場合はほぼ一定の浸透時間となるが、フォーム状定着液膜の厚みがトナー層厚みよりも薄い場合は、薄いほど浸透時間が長くなる。このことは、図7及び図8により説明した如く、トナー層の隙間に入った泡を上部の泡が連続的に泡の厚み分まで押し続けながら泡がトナー層の隙間を浸透することを裏付けるものである。
(測定例2)
平均泡径20μm、かさ密度0.05g/cmのフォーム状定着液の厚み50μmの膜を上部電極上に形成し、平均粒径6μmの球形トナーの厚み30μmの層を下部電極に形成した。上部電極と下部電極の材料としSUS304を用いた。上部電極をリニアステージに固定し、下部電極に異なった圧力(塗布時圧力)にて接触させ、各塗布時圧力でのトナー層浸透時間を測定した。電極間で定着液の電気分解がおきないようにするため、上下電極間の印加電圧は0.8Vとした。測定結果を図11に示す。横軸は塗布時圧力、縦軸はトナー層浸透時間である。図11に見られるように、塗布時圧力が高いほどトナー層浸透時間が短くなっており、トナー層隙間に泡が浸透し上部の泡が連続的に押す場合に、押す力が強いほど浸透速度が速くなり浸透時間が短くなることを裏付けている。
(測定例3)
フォーム状定着液の泡粘度の違いによるトナー層浸透時間の違いを測定した。平均泡径20μm、かさ密度0.05g/cmのフォーム状定着液の厚み50μmの膜を上部電極上に形成し、平均粒径6μmの球形トナーの厚み30μmの層を下部電極に形成した。上部電極と下部電極の材料としSUS304を用いた。上部電極をリニアステージに固定し、下部電極に圧力0.03kgf/cmにて接触させた。電極間で定着液の電気分解がおきないようにするため、上下電極間への印加電圧は0.8Vとした。
測定結果を図12に示す。横軸はフォーム状定着液の泡粘度、縦軸はトナー層浸透時間である。なお、泡粘度は、コーンプレート式回転粘度計を用い、回転子の外径をΦ60mm、コーン角1度、コーン部とプレート部の隙間を3mm、回転数10(1/s)(10回転するのに1秒の意味)にて25℃における回転開始10秒後の回転粘度測定値を泡粘度とした。図12に示すごとく、泡粘度が小さいほどトナー層浸透時間が短く、これは、トナー層隙間に泡が浸透し上部の泡が連続的に押す場合に、泡が柔らかいほど浸透速度が速くなり浸透時間が短くなることを裏付けている。
今まで、微細な泡を有するフォーム状液体の微粒子層への浸透挙動を解析した例はなく、上記の測定例のごとく、本発明者らが初めてその挙動を明らかにした。
図6及び上記の一連の解析から、フォーム状定着液をトナー等の樹脂含有微粒子に接触付与するための塗布ロート等の塗布部材への樹脂含有微粒子の付着を防止するためには、塗布部材と媒体との接触部におけるニップ時間は、フォーム状定着液の媒体到達までの樹脂含有微粒子層浸透通過時間と同じかそれ以上に設定する必要がある。そして、上記測定例から、樹脂含有微粒子が5μm前後のトナーである場合、各種のフォーム状定着液及び塗布条件において、浸透時間はおおよそ50ミリ秒から300ミリ秒の範囲にある。そこで、塗布部材における紙等の記録媒体との接触ニップ時間は、最低でも50ミリ秒から300ミリ秒の範囲を確保する必要がある。
さて、図3に模式的に示したような定着装置において解決すべき2つの課題がある。一つは、トナーに付着されずに塗布ローラ上に残留するフォーム状定着液の処理(A)であり、もう一つは、加圧ローラ側に付着したトナーの処理(B)である。
課題(A)については、フォーム状定着液はかさ(嵩)が大きいので、例えば数パーセントのフォーム状定着液がトナーに塗布されず残留しても、すぐに大きな体積となってしまうため、プロセス上で迅速に塗布ローラ上から除去することが必要である。本発明では、以下の実施形態に示すように、塗布ローラ上に残留したフォーム状定着液を消泡して再液化させることにより、著しくその体積を減少させ、実質上の不具合を回避する。
課題(B)については.定着処理の1回につき付着するトナーはごく微量ではあるが、数万枚通紙することが普通である電子写真プロセス等については看過することができない。本発明では、以下の実施形態に示すように、プロセス中で、加圧ローラの付着トナーを回収部材に固定し保持することで解決する。
以下、本発明による定着装置のいくつかの実施形態について詳細に説明する。いずれの実施形態においても、定着処理対象の樹脂含有微粒子はトナーであり、そのトナーが定着される媒体は紙(記録媒体)であるが、これのみに限定されるわけではない。また、ニップ時間は50ミリ秒から300ミリ秒の範囲とされる。
[定着装置の実施形態1]
図13(a)は、実施形態1に係る定着装置の概略構成図である。本実施形態における定着液付与手段は、塗布部材としての塗布ローラ20、それに対峙する加圧ローラ21、膜厚制御ブレード22から構成される。定着装置にさらに、消泡手段としての消泡ローラ23、加圧ローラ21に付着したトナーを回収する手段としてのクリーニングローラ24を備える。
未定着トナー26が付着した紙25は図中の右側から左側へ搬送され、塗布ローラ20と加圧ローラ21の間を加圧されつつ通過する際に、未定着トナー26が紙25に定着させられる。フォーム状定着液を生成する手段として図2で説明したものが用いられるものとされているが、これに限定されるわけではない。フォーム状定着液は、供給口9より塗布ローラ20と膜厚制御ブレード22の間に滴下され、塗布ローラ20上に所要の厚さのフォーム状定着液の膜が形成される。このフォーム状定着液膜が未定着トナー26に接触加圧された後にも、微量ではあるがフォーム状定着液が塗布ローラ上に残留する。この残留フォーム状定着液は、消泡ローラ23と塗布ローラ20とに挟み潰されて消泡し、再液化させられる。
塗布ローラ20のニップ時間は、
ニップ時間=ニップ幅/紙の搬送速度
により算出される。紙25の搬送速度は、紙搬送駆動機構(不図示)の設計データにより求めることができる。ニップ幅は、塗布ローラ20の全面に乾燥しない着色塗料を薄くつけて、紙を塗布ローラ20と加圧ローラ21に挟んで加圧し(各ローラは回転させない)、紙に着色塗料を付着させ、その着色部(通常長方形の形に着色)の紙搬送方向の長さをニップ幅として測定することができる。
紙の搬送速度に応じてニップ幅を調整することで、ニップ時間をフォーム状定着液のトナー層浸透時間と同じかそれ以上にする必要がある。図13(a)の例では、加圧ローラ21は弾性多孔質体(以下、スポンジと記す)のローラとしているので、紙の搬送速度に応じて塗布ローラ20と加圧ローラ21の軸間距離を変更し容易にニップ幅を変えることができる。加圧ローラ21の材質として弾性ゴムも適するが、スポンジは弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であるため、加圧ローラ21をスポンジローラとすることで、塗布ローラ20の加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することができる利点がある。
なお、定着液中にはトナーの樹脂の軟化剤もしくは膨潤剤が含有されており、スポンジ製の加圧ローラ21に定着液が付着した場合、スポンジ素材の軟化等の不具合が発生する恐れがある。これを防止するため、スポンジ素材の樹脂材としては、該軟化剤または膨潤剤に対し軟化や膨潤を示さない素材を用いることが望ましい。また、加圧ローラ21の表面を可とう性フィルムで覆った構成としてもよい。スポンジ素材が該軟化剤または膨潤剤で劣化する素材であっても、該軟化剤または膨潤剤により軟化や膨潤を示さない可とう性フィルムで覆うことで、加圧ローラ21の劣化を防止することができる。加圧ローラ21のためのスポンジ素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの樹脂の多孔質体などが適する。また、加圧ローラ21の表面を覆う可とう性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(PFEP)などのフィルムが適する。
図13(a)において、塗布ローラ20と加圧ローラ21が常時接触している構成の場合、紙25が搬送されていない時に塗布ローラ20上のフォーム状定着液が加圧ローラ21に付着し汚す恐れがある。その防止のため、塗布ローラ20の右側位置に紙の先端を検知する手段(不図示)を設け、この手段による紙先端検知信号に応じて、紙の先端から後方でのみ定着液が塗布されるようなタイミングで塗布ローラ20にフォーム状定着液膜を形成するようにすることが望ましい。
図11の測定結果から分かるように、塗布ニップ部のニップ圧力(=ニップ部荷重/ニップ部面積)が高いほどトナー層浸透時間が短くなるため、塗布ニップ部のニップ圧力はなるべく高いほうが、画像劣化しない範囲のニップ時間を短くすることができ、ニップ幅が同じであるならば紙搬送速度を早くすることができ、より高速の定着が可能となる。
また、図12の測定結果から、フォーム状定着液の泡粘度により浸透時間が変化するが、ニップ時間及びニップ圧力が一定であると、例えば、定着液処方の変更や使用環境温度の低下が原因で泡粘度が上昇した場合、トナー層浸透時間がニップ時間よりも長くなり画像劣化を起こす恐れがある。これを防止するため、前記のニップ圧力によりトナー層浸透時間が変化することを利用し、フォーム状定着液の泡粘度に応じてニップ時間がトナー層浸透時間と同じか長くなるよう調整することが望ましい。
ここで、フォーム状定着液の泡粘度は前述のごとくコーンプレート式回転粘度計における回転粘度であるから、定着装置においてフォーム状定着液の泡粘度を検知する手段としては、コーンプレート式回転粘度計の測定原理に近い手段を用いることが望ましい。例えば、フォーム状定着液供給口9の手前の流路パイプ内に回転子を設け、この回転子にかかるモータトルクを検出し、これを回転粘度の代用値として泡粘度とみなす構成のものや、回転子に代えてカンチレバー型の振動子を設け、その固有振動数の変化を検知し、これを回転粘度の代用値として泡粘度とみなす構成のものが望ましい。
ニップ圧力の調整手段としては、塗布ローラ20と加圧ローラ21の軸間距離を可変できる機構を設け、泡粘度検出信号に応じて塗布ローラ20と加圧ローラ21の軸間距離を調整する構成のものが望ましい。
次に、トナー層浸透時間を短縮するためには、塗布ローラ20上のフォーム状定着液膜の厚みはトナー層の厚み以上とする必要がある(これは、トナーが他の樹脂含有微粒子の場合も同様である)。さて、この定着装置をカラー画像形成装置に用いる場合、形成しようとする画像の色や明暗によって紙上のトナー層の厚みは変化する。そこで、フォーム状定着液膜の膜厚は、紙上の付着トナー層の厚さの最大値を基準として設定する。画像信号からトナー層の厚さの最大値は求めることができるため、例えば、画像信号に応じて膜厚制御ブレード22のギャップを制御し(図5参照)、塗布ローラ20上のフォーム状定着液膜の厚さをトナー層の最大厚み以上になるように調節すると良い。画像機器において、紙上の付着トナー層の厚さは、スキャナやPCからの画像信号に応じて設定テーブルに基づき算出された値によって一定に決まる。したがって、画像信号をもとに、塗布ローラ上のフォーム状定着液の膜厚を、紙上に付着するトナー層の厚さの設定値の最大値以上になるように調整することができる。
トナー層の厚みが異なると、トナー層浸透時間が異なる(トナー層が厚いほど浸透時間は長くなる)ことから、トナー層の厚みに応じて、塗布ローラ20と紙25との接触部ニップにおけるニップ時間を可変にする必要がある。ニップ時間を可変にする手段としては、紙搬送速度を変化させる手段やニップ幅を変化させる手段が適する。例えば、画像信号から紙上のトナー層の厚さの最大値を算出し、このトナー層厚さを浸透時間に換算し、ニップ時間がその浸透時間以上となるようにニップ幅や紙搬送速度を変化させればよい。
本実施形態においては、塗布ローラ20に接触しつつ回転する消泡ローラ23が設けられている。トナー層に付着されずに塗布ローラ20上に残留したフォーム状定着液は、図13(b)に拡大して示すように、消泡ローラ23と塗布ローラ20によって挟み潰されて消泡し、再液化される。フォーム状定着液はかさ(嵩)密度が小さいため、再液化された定着液の体積は極めて小さくなるため、残留フォーム状定着液をそのまま放置した場合と違い、他の部材を定着液で汚染するような不都合は回避される。
図14は、図13(a)の矢印Aの方向から消泡ローラを見た図である。本実施形態においては、図14に示されるように、消泡ローラ23の表面に、ごく浅い螺旋溝27が形成されている。また、消泡ローラ23は、再液化された定着液をはじくようにフッ素樹脂加工を施されている。再液化された定着液は、消泡ローラ23の回転に伴い螺旋溝27に導かれて消泡ローラ23の端へと導かれ、塗布ローラ20の端に固定された円形の吸液スポンジ28に回収される。すなわち、吸液スポンジは、消泡され再液化された定着液を回収する手段である。吸液スポンジ28としては、ナイロン製、セルロース製等の定着液に侵されない材質のものが用いられる。このように再液化された定着液の回収手段を設けることにより、塗布ローラ上に残留したフォーム状定着液による他の部材の汚染をより確実に防止することができる。
なお、消泡ローラ23の線速が速い場合、消泡ローラ23の前面側への再液化定着液の回り込みが起きやすくなる。このような再液化定着液の回り込みを防止するために、図15に示すように、消泡ローラ23に近接させてカバー29を設けると良い。
また、消泡ローラに代えて、図16に示すように、消泡ブレード30を設け、この消泡ブレード30と塗布ローラ20の間で残留フォーム状定着液を挟み潰して消泡し、再液化するようにしても良い。この場合、図17に示すように、消泡ブレード30を水平から傾け、再液化定着液を重力により吸液スポンジ28へ流れやすくすると好ましい。なお、図17は、図16の矢印Bの方向から消泡ブレード30を見た図である。消泡ブレード30の材質としては、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、シリコーン変性ゴム等を用いることができる。
本実施形態においては、加圧ローラ21に付着したトナーを回収する手段として、加圧ローラ21に接触しつつ回転するクリーニングローラ24が設けられている。塗布ローラ20の表面に微量のトナーが付着することがある。通紙と通紙の間や、塗布ローラ20の予備的回転時に、塗布ローラ20上の付着トナーが加圧ローラ21に付着する場合がある。加圧ローラ21に付着したトナーは、その量が多くなると紙の裏汚れの原因になるため好ましくないため、それをクリーニングローラ24側に付着固定するようにしている。加圧ローラ21はトナーの付きにくい材質のフィルムで表面が覆われており、クリーニングローラ24の少なくとも表面の材質はトナーの接着性の強い金属、セラミックス等が用いられているため、加圧ローラ21に付着したトナーはクリーニングローラ24の表面にトラップされる(図13(c)参照)。クリーニングローラ24の表面はトナーが付着すると更にトナーが付きやすくなるため、クリーニングローラ24上にトナーが固定され加圧ローラ21に戻らない。
[定着装置の他の実施形態]
図18に示すように塗布ローラと加圧ローラをそれぞれ無端の塗布ベルト31と加圧ベルト24に置き換えてもよく、図19に示すように塗布ローラのみ無端の塗布ベルト31に置き換えてもよく、また、図20に示すように加圧ローラのみ無端の加圧ベルト33に置き換えてもよい。図18又は図19に示す構成における塗布ベルト31としては、例えばシームレスニッケルベルトやシームレスPETファイル、ポリイミドなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートしたベルト部材を用いることができる。
図18又は図19に示す構成において、膜厚制御ブレード22は塗布ベルトが張架されている3本のローラ中のローラ34に対向した部位に配置され、また、消泡ローラ23はローラ35の部位で塗布ベルトに接触するように配置されている。消泡ローラ23の構造は前記実施形態1と同様でよい(図14参照)。消泡ローラ23の端に導かれた再液化定着液を回収するための吸液スポンジ(図14参照)は、ローラ35の端に設けられる。なお、消泡ローラ23に代えて消泡ブレードを設けても良い。この場合、消泡ブレードは図17に示した如く水平より傾けるのが好ましい。図18又は図20に示す構成の場合、クリーニングローラ24は、加圧ベルト32又は33が張架されたローラ37又は38に対向する部位で加圧ベルトに接触するように配置される。加圧ベルト32又は33は、少なくともその表面はトナーの付着しにくい材質にするのが望ましい。
図18乃至図20に示すように、塗布部材又は加圧部材の少なくとも一方にベルトを用いる構成は、(1)容易に広いニップ幅を確保することができる。(2)紙にかかる力を抑制し、紙のしわの発生を容易に回避することができる。(3)ニップ時間が同じだとすると紙の搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる、等の利点がある。
[定着液の液処方について]
次に、定着液の液処方について説明する。フォーム状の定着液は、前述したように、軟化剤を含有した液体中に気泡を含有した構成である。軟化剤を含有した液体は、気泡を安定に含有し、できるだけ均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成するフォーム状とするため、起泡剤及び増泡剤を含有することが望ましい。また、粘度がある程度高い方が気泡は安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
起泡剤としては、陰イオン界面活性剤、特に、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましい。脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。但し、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで、脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助け、5℃〜15℃までの低気温において優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において安定した定着を可能とし、また、定着液を長期放置した場合の脂肪酸塩の分離を防止することができる。
飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数12、14、16及び18の飽和脂肪酸、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が適する。炭素数が11以下の飽和脂肪酸塩は臭気が大きくなり、オフィス・家庭で使用される画像形成機器に用いる定着液としては適さない。また、炭素数19以上の飽和脂肪酸塩は、水に対する溶解性が低下し、定着液の放置安定性を著しく低下させてしまう。これらの飽和脂肪酸による飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。
さらに、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1から3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いても構わない。
また、上記飽和脂肪酸塩又は不飽和脂肪酸塩において、当該定着液の起泡剤として用いる場合、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアミン塩であることが望ましい。定着装置においては、電源を投入後、素早く定着可能な状態にすることは重要な要素である。定着装置において定着可能な状態とするためには、定着液が適切なフォーム状となっていることが必須であるが、上記の脂肪酸塩は素早く起泡することで、電源投入後、短時間で定着可能な状態をつくることができる。特に、アミン塩とすることで、定着液にせん断力を加えたときに最も短時間で起泡し、フォーム状定着液を容易に生成可能であり、定着装置の電源投入後に最も短時間で定着可能な状態にすることができる。
樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。また、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きい、更に好ましくは5g/kgであることが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
更に、紙等の記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは飽和脂肪族エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルはトナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルは、一般式
R1COOR2
で表される化合物を含む。ここで、R1は炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合に、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は10以下であり、上記の化合物は不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体上の未定着トナーに定着液を付与してからトナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体上の未定着のトナー等に定着液を付与してからトナーが定着するまでの時間を0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルは一般式
R3(COOR4)
で表される化合物を含み、R3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は10以下であり、上記の化合物は不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明における定着液において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは一般式
R5(COOR6−O−R7)
で表される化合物を含み、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合に、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は10以下であり、上記の化合物は不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンも、軟化剤もしくは膨潤剤として適する。
さて、トナー等の微粒子層にフォーム状定着液を押し込みながら浸透させる際に、泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで泡沫安定性に優れる泡が求められる。このため、定着液中に脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有することが望ましい。脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が適することがわかった。
なお、本発明の定着装置は、トナーに限らず樹脂を含有する微粒子を定着の対象とすることができる。例えば、導電性部剤を含有した樹脂含有微粒子の定着にも適用できる。また、定着される媒体は紙に限らず、金属、樹脂、セラミックス等からなる媒体でもよい。但し、媒体は定着液に対し浸透性を有することが望ましい。媒体の基材が液浸透性を持たない場合は、その基材上に液浸透層を設けるのが望ましい。媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体的なものでも構わない。例えば、紙のごとき媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂ニスコート)ような用途にも、本発明の定着装置を適用できる。
上記の樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は特に限定されないが、好適な結着樹脂としてはポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。また、離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。媒体としては、例えば紙、布、液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20℃)における水に対する溶解度が0.1重量%以下である性質を意味する。
また、フォーム状定着液は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、フォーム状の定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20mN/m程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ20〜30mN/mであると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、フォーム状定着液の表面張力は20〜30mN/mであることが好ましい。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30mN/mとすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、フォーム状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで、紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等の媒体のカール防止のために油性成分を含有し、O/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましい。この場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
なお、定着液中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段や、超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれの手段においても、強いせん断応力を定着液中の軟化剤に加えることで溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
なお、定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。かかる構成の定着装置も本発明に包含されることは云うまでもない。
[画像形成装置の実施形態]
以上に説明した本発明の定着装置は、画像形成装置において媒体上に形成されたトナー像を定着処理する用途に好適である。
図21は、本発明の定着装置が用いられた画像形成装置の一実施形態の概略構成図である。図21において、200は本発明の定着装置である。この定着装置200は図13乃至図20に示したような構成のものである。なお、この画像形成装置は、例えば単独のプリンタあるいは複写機のプリンタ部である。
この画像形成装置は、トナー像担持体としての中間転写ベルト91に沿ってブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像形成ユニット95〜98が直列的に配列された所謂タンデム方式のものである。各画像形成ユニットの構成を図22に示す。
中間転写ベルト91は、3つの支持ローラ92,93,94に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転移動する。各画像形成ユニット95〜98の上方には露光装置が配置されているが図示されていない。例えば、この画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各画像形成ユニット95〜98の感光体ドラム106上に静電潜像を書き込むための露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト91を挟んで中間転写ベルト91の支持ローラ94に対向する位置には、二次転写装置99が設けられている。二次転写装置99は、2つの支持ローラ100,101の間に張架された二次転写ベルト102で構成されている。なお、二次転写装置99としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト91を挟んで中間転写ベルト91の支持ローラ92に対向する位置には、ベルトクリーニング装置103が配置されている。ベルトクリーニング装置103は、中間転写ベルト91上に残留するトナーを除去するために設けられている。
記録媒体としての記録紙104は、一対の給紙ローラ105で二次転写部へ導かれる。二次転写ベルト102を中間転写ベルト91に押し当てることによって、中間転写ベルト91上のトナー像が記録紙104に転写される。トナー像が転写された記録紙104は、二次転写ベルト102によって搬送されて定着装置200に送られ、未定着のトナー像が記録紙に定着される。定着装置200においては、前述したように、塗布ローラ又は塗布ベルト上のフォーム状定着液の膜厚が、露光装置によって記録される画像情報に基づいて制御される。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図22に示すように、各画像形成ユニット95〜98において、感光体ドラム106の周辺に、帯電装置107、現像装置108、クリーニング装置109及び除電装置110が配置されている。また、中間転写ベルト91を介して感光体ドラム106に対向する位置に、一次転写装置111が設けられている。帯電装置107は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置107は、帯電ローラを感光体ドラム106に接触させて、感光体ドラム106に電圧を印加することにより、感光体ドラム106の表面を一様に帯電させる。この帯電装置107として、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。帯電装置107により一様に帯電された感光体ドラム106は、不図示の露光装置からのレーザ光Lにより露光され、静電潜像が記録される。現像装置108は、現像剤中のトナーを感光体ドラム106上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、定着装置で用いられる定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置108は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され再利用される。その攪拌部におけるトナーの濃度はトナー濃度センサによって検出され、トナー濃度が一定になるように制御されている。更に、一次転写装置111は、感光体ドラム106上で可視化されたトナー像を中間転写ベルト91に転写する。ここでは、一次転写装置111として転写ローラが採用されており、この転写ローラを中間転写ベルト91を挟んで感光体ドラム106に押し当てている。一次転写装置111として導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置109は、感光体ドラム106上に残留したトナーを除去する。クリーニング装置109としては、感光体ドラム106に先端を押し当てたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置109によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置108に回収され再利用される。更に、除電装置110はランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム106の表面電位を初期化する。
[定着装置の定着性能確認テスト]
本発明の定着装置について実施した定着性能確認実験の結果を以下に説明する。
<実験1>
(定着液の処方)
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES) 10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V)
1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199)
1wt%
なお、分散剤は、軟化剤の希釈溶媒への溶解性を助長するために用いた。脂肪酸アミンは、脂肪酸とトリエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
上記成分比にて、まず液温120℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次ぎに、軟化剤を混合し、超音波ホモジナイザーを用いて軟化剤が溶解した定着液(フォーム状にする前の原液)を作製した。
(大きな泡生成手段)
図2に示すような構成であり、液状定着液保存容器1としてPET樹脂からなるボトルを用い、液搬送ポンプ2としてチューブポンプ(チューブ内径2mm、チューブ材質:シリコーンゴム)を用い、液搬送パイプ3として内径2mmのシリコーンゴムチューブを用いた。また、気体・液体混合部4の微細孔シート6として#400のステンレス製メッシュシート(開口部約40μm)を用いた。
(大きな泡から微細な泡を生成する手段)
図2に示すような二重円筒を用いた。2重円筒の材質はPET樹脂とした。外側円筒7の内径は10mm、長さは120mm、内側円筒8の外形は8mm、長さは100mmとした。内側円筒8の回転数は1000rpmから2000rpmの範囲で可変とした。
(装置構成)
図13(a)に示した構成である。膜厚制御ブレード22と塗布ローラ20とのギャップを25μmに設定した場合と40μmに設定した場合について定着動作を確認した。加圧ローラ21として、アルミ合金製ローラ(φ10mm)を芯金とし、外径Φ50mmのポリウレタンフォーム材(イノアック社 商品名「カラーフォームEMO」)を形成し、熱収縮PFEPシュリンカブルチューブで覆ったスポンジローラを用いた。塗布ローラ20として、PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)を用いた。膜厚制御ブレード22として、アルミ合金製支持板に厚み1mmの並板ガラスを接着したものを用い、そのガラス面を塗布ローラ側に向け、10μmから100μmの範囲で塗布ローラ20とガラス面の隙間を制御できるようにした。消泡ローラ23として、表面に0.1mmの溝を螺旋加工したアルミニウムローラにPFA焼き付け加工を施したφ7mmのローラを用いた。クリーニングローラ24としてSUSローラ(φ10mm)を用いた。紙搬送速度は150mm/sに設定した。
(結果)
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、カラーの未定着トナー像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)を定着装置に挿入するタイミングで、液搬送ポンプを駆動し、定着液容器から液状定着液をくみ上げ、液流路を通過させながら、大きな泡を生成する部位と泡を微細にする部位に定着液を通過させると、液排出口から1秒後に泡径5μmから30μmの微細な泡を有するフォーム状定着液を塗布ローラに供給することができた。フォーム状定着液のかさ(嵩)密度はおおよそ0.05g/cmであった。
加圧ローラと塗布ローラとの軸間距離を変えて、ニップ幅1mm(ニップ時間6ms)、15mm(ニップ時間100ms)、21mm(ニップ時間140ms)に設定して塗布テストを実施した。トナー層の厚みは30〜40μmとした。
フォーム状定着液によるトナー層浸透時間は、80ms〜100msであった。塗布定着結果を図23に示す。塗布量0.15g/A4において、塗布ローラ上でのフォーム状定着液膜厚は50μm程度であった。また、塗布量0.1g/A4において塗布ローラ上でのフォーム状定着液膜厚は35μm程度、塗布量0.15g/A4において塗布ローラ上でのフォーム状定着液膜厚は70μm程度であった。
図23より、塗布ローラ上のフォーム状定着液膜厚がトナー層厚みよりも厚い領域(塗布量0.15g/A4以上の領域)において、トナー層浸透時間以上のニップ時間では定着画像の濃度が画像抜けのない濃度であり、良好な定着性を確認できた。
また、トナー層厚みよりも薄いフォーム状定着液膜厚の領域(塗布量0.15g/A4以上の領域)において、ニップ時間100ms以上でも画像抜けが発生しているが、図10に示すように、トナー層厚みよりも薄いフォーム状定着液膜厚の領域ではトナー層浸透時間が極端に長くなるため、ニップ時間がトナー層浸透時間よりも短くなっていることが原因と考えられる。
良好な定着性を得られる塗布量0.15g/A4以上の領域において、連続通紙を行った。消泡ローラを用いた構成の場合には、1000枚通紙した段階でも、フォーム状定着液の溢れ出しは見られず問題は生じなかった。比較として、消泡ローラに代えて消泡ブレードを用いて同様の連続通紙を行った。この場合、数十枚の通紙後に、紙上に泡が落ち画像に影響が出た。また、クリーニングローラを圧接した場合には、同様に百枚の通紙後においても何ら問題は生じなかった。比較として、クリーニングローラを設けない場合は、数十枚の通紙後に、紙の裏面にトナーの固まりの付着が確認された。
以上のごとく、塗布ローラ上のフォーム状定着液の膜厚をトナー層の厚さより暑くし、トナー層浸透時間以上のニップ時間の場合、良好な定着が可能であることを確認した。
<実験2>
(定着液処方及び装置構成)
定着液の処方及び塗布装置の構成は前記実験1の場合と同一であるが、装置の使用環境温度を15℃、25℃、35℃にて定着テストを実施した。図24に、各温度におけるフォーム状定着液の泡粘度(上記のコーンプレート回転粘度測定によるもので、回転子径φ60mm、コーン角1度、回転子間ギャップ3mm、回転数10(1/s)での測定結果)を示す。温度により泡粘度が変化(高温で低粘度化)することがわかった。図10に示したように、泡粘度によってトナー層浸透時間が変化する。そこで、図24のデータをテーブルデータとし、定着装置内に温度検地手段を設け、検出した温度信号に応じてニップ時間がトナー層浸透時間以上となるように塗布ローラと加圧ローラの軸間距離を調整する機構を設けた。
(結果)
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、15℃〜35℃の間で環境温度を変化させたが、いずれの使用環境においても画像抜けのない良好な定着を行うことができた。連続通紙1000枚でも問題は生じなかった。
<実験3>
(定着液の処方)
脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型の効果を確認するため、前記実験1と同じ処方と、脂肪酸アルカノールアミドを除いた処方、及び、(1:1)型の脂肪酸アルカノールアミドの代わりに脂肪酸アルカノールアミド(1:2)型(ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2)型(松本油脂 マーポンLS))を同量用いた処方の3つの処方の定着液を用いた。
(装置構成)
前記実験1の場合と同じである。
(結果)
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を作製し、定着テストを実施した。
その結果、表1のごとく、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有した定着液を用いた場合には、塗布ローラ上のフォーム状定着液膜にピンホールは発生ぜず、良好な定着を行うことができた。一方、脂肪酸アルカノールアミドを含有しない、または、(1:2)型を含有した定着液を用いた場合、塗布ローラ上のフォーム状定着液膜に細かなピンホール(φ0.5mm程度)が発生し、定着後のトナー画像に無数のピンホール状の定着不良が発生した。また、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有したフォーム状定着液を用いた場合、連続通紙1000枚でも問題がなく、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有する効果を確認できた。
Figure 2009031645
フォーム状定着液の模式図である。 液状定着液からフォーム状定着液を生成する手段の構成図である。 フォーム状定着液を用いる定着装置の模式的構成図である。 フォーム状定着液がトナー層に付与される様子を示す模式図である。 膜厚制御ブレードによるフォーム状定着液膜の膜厚調整の説明図である。 塗布ローラへのトナー付着に関する説明図である。 フォーム状定着液の微粒子層への浸透の様子を説明するための模式図である。 フォーム状定着液の微粒子層への浸透の様子を説明するための模式図である。 浸透時間測定装置の模式図である。 フォーム状定着液膜厚と浸透時間の関係を示すグラフである。 塗布時圧力と浸透時間の関係を示すグラフである。 泡粘度と浸透時間の関係を示すグラフである。 本発明に係る定着装置の一実施形態を示す概略構成図である。 図13のA方向から見た消泡ローラ等を示す図である。 消泡ローラに定着液回り込み防止用カバーを設置する例を示す図である。 消泡ブレードを示す図である。 図16のB方向から見た消泡ブレード等を示す図である。 本発明に係る定着装置の他の実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る定着装置の他の実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る定着装置の他の実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。 図21中の各画像形成ユニットの概略構成図である。 定着性能確認実験の結果を説明するグラフである。 定着性能確認実験の結果を説明するグラフである。 液状の定着液を用いる定着装置の模式図である。 液状定着液を用いる定着装置の塗布ローラへのトナー付着の説明図である。
符号の説明
20 塗布ローラ
21 加圧ローラ
22 膜厚制御ブレード
23 消泡ローラ
24 クリーニングローラ
28 吸液スポンジ
30 消泡ブレード
31 塗布ベルト
32,33 加圧ベルト
200 定着装置

Claims (12)

  1. 媒体上の未定着の樹脂を含有した微粒子を該媒体に定着させる定着装置であって、
    ローラ状又はベルト状の塗布部材と、該塗布部材に対し前記媒体を押しつけるための加圧部材とを含み、前記塗布部材と前記加圧部材の間を通過する前記媒体上の未定着の前記微粒子に対し、前記塗布部材上に形成された、前記樹脂を軟化させる軟化剤を含有したフォーム状定着液の膜を押しつける定着液付与手段と、
    前記塗布部材上の前記微粒子に付着せず残留したフォーム状定着液を消泡して再液化する消泡手段とを有することを特徴とする定着装置。
  2. 前記消泡手段により再液化された定着液を回収する定着液回収手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記消泡手段は、前記塗布部材と接触しつつ回転するローラ状の消泡部材からなり、該消泡部材と前記塗布部材と間で該塗布部材上に残留したフォーム状定着液を挟み潰すことにより消泡することを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記消泡部材の表面に螺旋溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記消泡手段は、前記塗布部材に接触するブレード状の消泡部材からなり、該消泡部材の前記塗布部材との接触部位と該塗布部材との間で該塗布部材上に残留したフォーム状定着液を挟み潰すことにより消泡することを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  6. 前記消泡部材は水平位置から傾けて配置されたことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記定着液回収手段は、前記消泡部材の端近傍に設けられた吸液スポンジ部材からなることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記加圧部材に付着した前記微粒子を回収する微粒子回収手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置。
  9. 前記微粒子回収手段は、前記加圧部材に接触しつつ回転する、前記加圧部材に比べ前記微粒子との接着性が強い表面を持つローラ状部材からなることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
  10. 前記塗布部材と前記加圧部材のうちの少なくとも一方は弾性を有するローラ状部材であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の定着装置。
  11. 前記塗布部材と前記加圧部材のうちの少なくとも一方はベルト状部材であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の定着装置。
  12. 媒体上に未定着のトナー像を形成する手段と、
    前記媒体上に形成された未定着のトナー像を前記媒体に定着させる処理を行う請求項1乃至11のいずれか1項に記載の定着装置とを有することを特徴とする画像形成装置。
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