JP2009030232A - 外壁通気構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 施工が簡単で施工精度に優れ外壁表面層のクラックやひび割れ等の耐久性にも優れ、簡単な施工で高い通気性能と結露防止機能を確保できる外壁の通気構造を安価に提供する。
【解決手段】 木質構造材、透湿防水シート、外壁材を含んでなり通気構法を施した木造外壁構造であって、構造躯体の室外側に表面層と通気部を備えた基部層の二層からなる透湿防水シートを貼着し、その上から外壁材を設けるようにした。また、透湿防水シートは透湿性とゴム弾性を有する軟質のシート状表面層と透湿性と通気路を有する半硬質の連続凹凸型形状を有する基部層の二層からなり、前記基部層と表面層との摩擦係数を0.9以下とし、透湿防水シートの透湿抵抗を10m2・h・mmHg/g以下、表面層のゴム引っ張り強度を10〜60Mpaの範囲とし、最大伸び率限界を50%以上とし、基部層の形状保持強度を0.01〜0.3N/mm2とした。
【選択図】 図2
【解決手段】 木質構造材、透湿防水シート、外壁材を含んでなり通気構法を施した木造外壁構造であって、構造躯体の室外側に表面層と通気部を備えた基部層の二層からなる透湿防水シートを貼着し、その上から外壁材を設けるようにした。また、透湿防水シートは透湿性とゴム弾性を有する軟質のシート状表面層と透湿性と通気路を有する半硬質の連続凹凸型形状を有する基部層の二層からなり、前記基部層と表面層との摩擦係数を0.9以下とし、透湿防水シートの透湿抵抗を10m2・h・mmHg/g以下、表面層のゴム引っ張り強度を10〜60Mpaの範囲とし、最大伸び率限界を50%以上とし、基部層の形状保持強度を0.01〜0.3N/mm2とした。
【選択図】 図2
Description
発明は、外壁内部の結露の発生を有効に防止するための通気構法を施した木造の外壁構造に関するものである。
従来、木造の住宅の外壁構造において、例えば、木造軸組工法住宅の場合は、柱、間柱などの縦方向の構造材、及び、胴差、軒桁、胴縁、土台等の横架材などの横方向の構造材、すなわち、軸組材の室外側となる表面上に、ラス板等の下地板を張り付け、その上を湿気は通すが水分は通さない透湿防水シートで覆い、その上にラス網を介してモルタル等で仕上げしたり、また、近年、耐震性能を向上させる必要性から、前記軸組材の室外側となる表面上にOSB、合板パネル等の下地板パネルを張り付け、その上に透湿防水シート及びラス網を介してモルタル仕上げを行ったり、また、前記軸組材の室外側となる表面上にOSB、合板パネル等の下地板パネルを張り付け、その上に透湿防水シートを介してサイディング等の外壁パネルを直接張り付け施工する工法が行われてきた。また前記軸組材の上を透湿防水シートで覆い、この上に直接サイディング等の外壁材を張り付ける工法も行われてきた。
また、前記軸組材の上を透湿防水シートで覆い、この上に直接、モルタル下地合板を張り付け、その上をモルタル仕上げする工法も行われてきた。
また、他の例として、通気構法を施した枠組壁工法(ツーバイフォー工法)住宅の場合は、枠組壁の縦枠の室外側となる表面上に下地材として、OSB、構造用合板等を張り付け、その上を透湿防水シートで覆い、その上にラス網を介してモルタル仕上げを行ったり、前記構造用合板等の上を透湿防水シートで覆い、その上に直接サイディング等の外壁パネルを張り付け施工する工法も行われてきた。また、前記OSB、構造用合板等の構造用面材の上に透湿防水シートを介して構造用パネルとしての性能を有するモルタル下地合板を張り付け、その上からモルタル仕上げを行うことも行われてきた。
また、前記枠組壁の縦枠の室外側となる表面上を透湿防水シートで覆い、この上に直接、モルタル下地合板を張り付け、その上をモルタル仕上げする工法も行われてきた。
しかし、近年、住宅における高気密高断熱化が進む中で、湿気の多い土地に建築された建物では、外壁の壁体内部において、木造軸組工法住宅では、柱、間柱などの縦方向の構造材、及び、胴差、軒桁、胴縁、土台等の横架材などの横方向の構造材、すなわち、軸組材によって、また枠組壁工法においては、縦枠、上枠、下枠等によって、外部からの空気の流れが阻害され、壁体内部で結露が発生し、このことによって壁体内部で腐朽が発生し壁体の耐久性能が低下するといった問題点があった。
このため、木造軸組工法や枠組壁工法における、下地構造用合板等の構造パネルの室外側となる表面上に通気用受材としての縦胴縁を設け、縦胴縁の室外側となる表面上に透湿防水シートを張り付け、その上にラス網を介してモルタル仕上げを行い、構造パネルの表面と透湿防水シートの間に通気層を確保し結露発生を防止するといった通気構法が行われてきた。また、前記木造軸組工法又は枠組壁工法における柱、間柱、胴差、軒桁、胴縁、土台等又は縦枠、上枠、下枠等の構造材の室外側となる表面上に透湿防水シートを介して前記通気用受材を設け、その上に直接サイディング等の外壁パネルを張り付けて施工したり、また、前記通気用受材の上に直接モルタル下地合板を張り付け、その上をモルタルで仕上げ、透湿防水シートと外壁パネルとの間に通気層を確保し結露発生を防止するといった通気構法も行われてきた。
しかしながら、前記通気受材によって通気層を確保するといった通気構法においては、特にモルタル仕上げによる外壁の場合、前記通気層による空間スペースがモルタル層の下に存在するため、外部からの振動や加力による負荷によってモルタル層にクラックが生じやすくなるといった問題点が生じていた。
また、前記通気受材によって通気層を確保するといった通気構法においては、特にモルタル仕上げによる外壁構造の場合、ラス網の上に塗布されたモルタル層の重量によってラス網が室内側に凹む方向に撓み、このことによって、せっかくの前記通気層による空間スペースが閉塞され、通気性能及び結露防止機能が低下するといった問題点もあった。
上記問題点を解決するべく、前記柱、間柱、胴差、軒桁、胴縁、土台等又は縦枠、上枠、下枠等の構造材の室外側となる表面上に下地構造用合板等の構造パネルを張り付け、その外側面に縦胴縁を設け、該縦胴縁間に山形形状の蛇腹状通気下地材を、縦胴縁表面と山形通気下地外面とが面一になるようにして介在させ、該通気下地材の外側面に防水紙、ラス網を介してモルタル層を形成し、壁体内に空気の通路を設け、結露の発生を防止しようとした記載がある。(例えば、特許文献1参照)。
ところで、上記従来技術にあっては、結露防止のために、従来技術と同様に、下地構造用合板等の構造パネル表面に通気受材としての縦胴縁をあらかじめ設けておいて、該縦胴縁間の幅寸法に合わせて蛇腹状通気材を幅方向に引っ張って両サイドの平坦部を縦胴縁表面に被せ、タッカー等で固着する必要があり、1軒の住宅において、数多くの通気材を用意し丁寧に縦胴縁間に隙間無く納めていかなければならず、以外と施工手間がかかるものであった。
また、上記したように、蛇腹状通気材を幅方向に引っ張りすぎると山形の高さ寸法(通気材の厚み寸法に相当)が小さく(通気材の厚みが薄く)なり、モルタル層の下部において通気材との間で隙間が生じ易くなり、ひどい場合は外部からの負荷に対する耐久性能が低下しモルタルにヒビ割れが生じ易くなるといった問題点があった。
また、住宅の外壁構造において、上下方向の高さ寸法は通常の2階建て住宅においても、約6m程度あり、下屋、小庇等が1階と2階の間にある場合においても約3m程度の高さがある。従って、長さ約3m程度の長尺の通気材を用意するとなると、極めて高価なものとなる。そこで、比較的用意し易い長さ約1m程度の通気材を用いて施工しようとすれば、通気材を上下高さ方向で1〜5箇所程度はジョイントしていかなければならず、断面視山形形状の蛇腹どうしを山形形状の山と山が丁度良い具合になるようにぴったりと重ね合わすことは現場施工において至難の技であった。山と谷がぶつかるように施工されるとその箇所で確保していた通気路が遮断され結露防止機能が著しく低下する恐れが生じるといった問題点があった。
それを防止するために、手間と時間を掛けて丁寧に施工する必要があり、このような施工は施工費用の増大を招くのみならず縦胴縁の厚み内に納まるような小さな山形をぴったり重ね合わすことは不可能に近いことであった。また、前記ジョイント部において、隙間が生じると、その箇所において、上部の層であるモルタル層下部に空間が生じ、それが原因で、その箇所でモルタル層にクラックが生じ易くなる。また、逆に、前記ジョイント部において通気材が重なってしまうと、山と谷がぶつかって通気路が閉塞したり、また、その箇所で膨れが生じそれが原因でモルタル層においても膨れが生じ易くなるといった問題点があった。
また、通気材が金属製や硬質プラスチック製の場合、上記の重ね合わせ箇所で、さらに大きな膨れが発生じ、モルタル仕上げにも大きな悪影響が出て施工精度的にも劣るといった問題点もあった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、施工が簡単で、施工精度に優れ、外壁表面層のクラックやひび割れ等の耐久性にも優れ、簡単な施工で高い通気性能と結露防止機能を確保できる外壁の通気構造を安価に提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の外壁通気構造は、木質構造材、透湿防水シート、外壁材を含んでなり通気構法を施した木造外壁構造であって、前記木質構造材によって構造躯体を形成し、該構造躯体の室外側に、表面層と通気部を備えた基部層の二層からなる透湿防水シートを介し、外壁材を設けてなることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、木造住宅において外壁に通気機能を発揮させるために、木質構造材によって構造躯体を形成し、該木質構造躯体の室外側に表面層と、通気部を備えた基部層の二層からなる本発明の透湿防水シートを貼着し、その上に外壁材を設けて施工することができる。また、前記木質構造躯体の室外側に木質板材を設け構造パネルとなし、該木質板材の上に本発明の透湿防水シートを貼着し、その上に外壁パネルを直接施工したり、又は、ラス網を介在させモルタル仕上げを行ったりすることができる。
このとき、通気層確保のために通気受材としての縦胴縁は不要となり、施工性に優れる。しかも、縦胴縁間に幅寸法をぴったりと合わせて本発明の透湿防水シートを裁断する手間も不要で施工性に優れる。また、本発明の透湿防水シートは幅方向にかなり長いものが用意できるので、数多くの幅合わせ済み透湿防水シートを縦胴縁間に逐一納めていくといった手間のかかる施工が不要で施工性に優れる。また、縦胴縁そのものが不要であるので、モルタル層の下部において透湿防水シートとの間で隙間が生じ、モルタル層の耐久性が劣り、ヒビ割れが生じ易くなるといったことがなく耐久性にも優れる。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の外壁通気構造において、前記透湿防水シートが透湿性と防水性に加えてゴム弾性を有する軟質の表面層と、少なくとも透湿性と通気路を有する半硬質の基部層の二層からなることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、本発明の透湿防水シートを下地構造パネル上に貼着する際、透湿防水シートが半硬質で通気路を有する基部層と、ゴム弾性を有する軟質のフィルムとで構成されているので、幅方向に引っ張られて伸びても弾性により、略元の断面形状、寸法に戻り、その結果、半硬質の通気路の厚みが略元どおり確保され、従って、モルタル層の下部において透湿防水シートとの間で厚み方向の隙間が生じにくく、モルタル層の耐久性が劣るといったことがなく、従って、モルタル層にヒビ割れが生じ易くなるといったことがなく、耐久性にも優れたものとなる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の外壁通気構造において、前記透湿防水シートがシート状の表面層と、交互に突条部と凹条部が連続して形成され断面視連続凹凸型形状を有する基部層からなり、前記基部層の突条部の箇所で基部層とシート状表面層とが前記基部層の突条部の山部分を繋ぐようにして係止され、前記断面視連続凹凸型形状を有する突条部と凹条部によって透湿防水シートの凹突条部に沿って通気路が形成されていることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、断面視連続凹凸型形状を有する基部層が通気路確保にとって好適である。すなわち、前記基部層の突条部の箇所で基部層とシート状表面層とが前記基部層の突条部の山部分を繋ぐようにして係止されているので、基部層の断面視連続凹凸型形状の形状そのものを維持し易く通気路確保にとって好適である。
また、透湿防水シートを住宅の上下高さ方向にジョイントする場合において、表面層がゴム弾性と滑り易さを有する軟質の表面層からなるので、また、ゴム弾性を有する軟質の表面層が、断面視連続凹凸型形状を有する基部層の山部分を繋ぐようにして係止され、基部層の突条部の山と山、凹条部の谷と谷のピッチを略固定しているので、透湿防水シートを重ね合わせた箇所の山と山、谷と谷が上下シート間で一致し、また表面層は適度なゴム弾性と摩擦係数を有するので、重ね合わせた場合、その箇所において滑りながら且つ重ね圧力に逆らわず表面層シートが伸び、山と山及び谷と谷が隙間無くぴったりと無駄なく重なり合ってくる。すなわち、表面層がゴム弾性と滑り易さを有する軟質の層からなるので、重ね合わせ部において上下シートの山と山のピッチが合い易く、前記半硬質の基部層の重ね合わせ部の、山と山及び谷と谷とが重なってもその上からの外壁材の施工時の圧力で表面層が伸長し重ね合わせ部において山と山及び谷と谷とが重なり易い。すなわち、表面層のゴム弾性の働きで山と山及び谷と谷とが重なり易くなる。従って、少なくとも山と山との重なり部において、通気路が確保される。それゆえに、通気路が潰れて遮断され通気機能及び結露防止機能が低下するといった恐れがない。さらに、重ね合わせ部において、膨れが発生するといった恐れもない。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の外壁通気構造において、前記基部層と表面層との静止摩擦係数が0.9以下であり、隣接する透湿防水シートとの間に透湿防水シートどうしの重なり部を設けるようにして貼着されていることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、隣接する透湿防水シートどうしの重ね合わせ箇所において、透湿防水シートどうしの重ね合わせにとって大変好適である。すなわち、上からの透湿防水シートの基部層の谷部と下からの透湿防水シートの基部層の山部とがぶつかっても、該山部表面のシート状表面層と上からの透湿防水シートの基部層の谷部が滑り易く、従って、上から若干でも加圧するだけで極めて簡単に横ズレし、しかも表面層が軟質のゴム弾性を有するシートであるので該シートが適度に伸長し、上のシートの基部層の谷部と下のシートの基部層の谷部とがぴったりと嵌合され、上のシートの基部層の山部と下のシートの基部層の山部とがぴったりと嵌合される。このため、上の谷部と下の谷部が嵌合した箇所においては通気路が閉塞されるが、上の山部と下の山部が嵌合した箇所においては通気路が閉塞されることがない。従って、透湿防水シートどうしの、重ね合わされていない箇所と比較すると、その約50%の通気路が確保できることになる。また、透湿防水シートと隣接する透湿防水シートとの間に重なり部を設けるようにして貼着するので、透湿防水シートを貼着する際、基部層の山部と山部、及び、基部造の谷部と谷部とを丁度良い具合になるようにぴったりと重ね合わせる手間が不要で極めて施工性が向上する。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の外壁通気構造において、前記透湿防水シートの透湿抵抗が10m2・h・mmHg/g以下であり、シート状表面層のゴム引張強度が10〜60Mpaの範囲にあり、最大伸び率限界が50%以上であり、前記透湿防水シートの半硬質基部層の形状保持強度が0.01〜0.3N/mm2であることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、透湿防水シートの透湿抵抗が10m2・h・mmHg/g以下の範囲にあると、外壁構造の躯体の内外で湿度の透過性能が十分確保されるので、壁体内部の結露防止にとって、よりいっそう好適である。
また、シート状表面層のゴム引張強度が10〜60Mpaの範囲にあり、最大伸び率限界が50%以上であると、隣接する透湿防水シートどうしの重ね合わせにとって、よりいっそう好適である。すなわち、隣接する透湿防水シートどうしの重ね合わせ箇所において、シート状表面層が適度に伸長しても切れることがなく、上の透湿防水シートの基部層の谷部と下の透湿防水シートの基部層の谷部とが隙間無くぴったりと嵌合され、さらに、上の基部層の山部と下の基部層の山部とが隙間無くぴったりと嵌合される。このため、上の谷部と下の谷部が嵌合した箇所においては通気路が閉塞されるが、上の山部と下の山部が嵌合した箇所においては通気路が閉塞されることがない。従って、透湿防水シートどうしの、重ね合わされていない箇所と比較すると、その約50%の通気路が確保できることになる。もちろん閉塞された箇所も透湿シートで遮断されているだけなので、エアーの気流は流れないが、湿気は通過できるので、通湿路は確保できる。
また、それ以外の効果として、透湿防水シートや外壁材の施工時にはタッカーのステープルや釘が貫通するがゴム弾性によりステープルや釘の穴を塞ぐ方向に収縮するので、大きな止水効果が発揮できる。
また、前記透湿防水シートの半硬質基部層の形状保持強度が0.01〜0.3N/mm2の範囲であると、透湿防水シートの上からモルタルの重量等の多少の負荷が加わっても、あるいは施工時に外からの力が加わっても、通気路や通湿路は確実に確保されるので、高い通気性能と結露防止機能を確保できる。また、例えばモルタル仕上げ材の下部の透湿防水シートの基部層に上から多少の負荷が加わっても、断面視連続凹凸型形状が潰れることなくその形状が確保されるので、モルタル仕上げ材の下部に隙間が生じることがない。従って、モルタルの耐久性能が向上し、ヒビ割れやクラックが生じにくい通気外壁構造が安価に可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の外壁通気構造において、前記透湿防水シートの表面層が、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、天然ゴム、合成ゴム、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、それらの樹脂をベースとした共重合エラストマーのうちから選択される少なくともいずれか1種を含んでなり、前記透湿防水シートの半硬質の基部層が紙類、合成繊維不織布、天然繊維不織布、無機繊維不織布、多穴性有孔プラスティックシート、多穴性有孔金属シート、多穴性有孔無機シートから選択される少なくともいずれか1種を含んでなることを特徴としている。
このような構成を有する本発明によれば、本発明の透湿防水シートの施工性、施工精度表面モルタル層の耐久性、通気路の確保、結露防止機能にとって、よりいっそう好適である。
請求項1に記載の発明によれば、木造住宅において外壁に通気機能を発揮させるために、木質構造材によって構造躯体を形成し、該木質構造躯体の室外側に表面層と、通気部を備えた基部層の二層からなる本発明の透湿防水シートを貼着し、その上に外壁材を設けて施工することができる。また、前記木質構造躯体の室外側に木質板材を設け構造パネルとなし、該木質板材の上に本発明の透湿防水シートを貼着し、その上に外壁パネルを直接施工したり、又は、ラス網を介在させモルタル仕上げを行ったりすることができる。
このとき、通気層確保のために通気受材としての縦胴縁は不要となり、施工性に優れる。しかも、縦胴縁間に幅寸法をぴったりと合わせて本発明の透湿防水シートを裁断する手間も不要で施工性に優れる。また、本発明の透湿防水シートは幅方向にかなり長いものが用意できるので、数多くの幅合わせ済み透湿防水シートを縦胴縁間に逐一納めていくといった手間のかかる施工が不要で施工性に優れる。また、縦胴縁そのものが不要であるので、モルタル層の下部において透湿防水シートとの間で隙間が生じ、モルタル層の耐久性が劣り、ヒビ割れが生じ易くなるといったことがなく耐久性にも優れる。
請求項2に記載の発明によれば、本発明の透湿防水シートを下地構造パネル上に貼着する際、透湿防水シートが半硬質で通気路を有する基部層と、ゴム弾性を有する軟質のフィルムとで構成されているので、幅方向に引っ張られて伸びても弾性により、略元の断面形状、寸法に戻り、その結果、半硬質の通気路の厚みが略元どおり確保され、従って、モルタル層の下部において透湿防水シートとの間で厚み方向の隙間が生じにくく、モルタル層の耐久性が劣るといったことがなく、従って、ヒビ割れが生じ易くなるといったことがなく、耐久性にも優れたものとなる。
請求項3に記載の発明によれば、断面視連続凹凸型形状を有する基部層が通気路確保にとって好適である。すなわち、前記基部層の突条部の箇所で基部層とシート状表面層とが前記基部層の突条部の山部分を繋ぐようにして係止されているので、基部層の断面視連続凹凸型形状の形状そのものを維持し易く通気路確保にとって好適である。
また、透湿防水シートを住宅の上下高さ方向にジョイントする場合において、表面層がゴム弾性と滑り易さを有する軟質の表面層からなるので、また、ゴム弾性を有する軟質の表面層が、断面視連続凹凸型形状を有する基部層の突条部の山部分を繋ぐようにして係止され、基部層の突条部の山と山、凹条部の谷と谷のピッチを略固定しているので、透湿防水シートどうしを重ね合わせた箇所の山と山、谷と谷が上下の透湿防水シート間で一致し、また表面層は適度なゴム弾性と摩擦係数を有するので、重ね合わせた場合、その箇所において滑りながら且つ重ね圧力に逆らわず表面層シートが伸び、山と山及び谷と谷が隙間無くぴったりと無駄なく重なり合ってくる。すなわち、表面層がゴム弾性と滑り易さを有する軟質の層からなるので、重ね合わせ部において上下透湿防水シートの山と山のピッチが一致し易く、前記半硬質の基部層の重ね合わせ部の、山と山及び谷と谷とが重なってもその上からの外壁材の施工時の圧力で透湿防水シートの表面層が伸長し重ね合わせ部において山と山及び谷と谷とが重なり易い。すなわち、透湿防水シートの表面層のゴム弾性の働きでが山と山及び谷と谷とが重なり易くなる。従って、少なくとも山と山との重なり部において、通気路が確保される。それゆえに、通気路が潰れて遮断され通気機能及び結露防止機能が低下するといった恐れがない。さらに、透湿防水シートの重ね合わせ部において、膨れが発生するといった恐れもない。
請求項4に記載の発明によれば、隣接する透湿防水シートどうしの重ね合わせ箇所において、透湿防水シートどうしの重ね合わせにとって大変好適である。すなわち、上からの透湿防水シートの基部層の谷部と下からの透湿防水シートの基部層の山部とがぶつかっても、該山部表面のシート状表面層と上からの透湿防水シートの基部層の谷部が滑り易く、従って、上から若干でも加圧するだけで極めて簡単に横ズレし、しかも表面層が軟質のゴム弾性を有するシートであるので該シートが適度に伸長し、上のシートの基部層の谷部と下のシートの基部層の谷部とがぴったりと嵌合され、上のシートの基部層の山部と下のシートの基部層の山部とがぴったりと嵌合される。このため、上の谷部と下の谷部が嵌合した箇所においては通気路が閉塞されるが、上の山部と下の山部が嵌合した箇所においては通気路が閉塞されることがない。従って、透湿防水シートどうしの、重ね合わされていない箇所と比較すると、その約50%の通気路が確保できることになる。また、透湿防水シートと隣接する透湿防水シートとの間に重なり部を設けるようにして貼着するので、透湿防水シートを貼着する際、基部層の山部と山部、及び、基部層の谷部と谷部とを丁度良い具合になるようにぴったりと重ね合わせる手間が不要で極めて施工性が向上する。
請求項5に記載の発明によれば、透湿防水シートの透湿抵抗が10m2・h・mmHg/g以下の範囲にあると、外壁構造の躯体の内外で湿度の透過性能が十分確保されるので、壁体内部の結露防止にとって、よりいっそう好適である。
また、シート状表面層のゴム引張強度が10〜60Mpaの範囲にあり、最大伸び率限界が50%以上であると、隣接する透湿防水シートどうしの重ね合わせにとって、よりいっそう好適である。すなわち、隣接する透湿防水シートどうしの重ね合わせ箇所において、シート状表面層が適度に伸長しても切れることがなく、上の透湿防水シートの基部層の谷部と下の透湿防水シートの基部層の谷部とが隙間無くぴったりと嵌合され、さらに、上の基部層の山部と下の基部層の山部とが隙間無くぴったりと嵌合される。このため、上の谷部と下の谷部が嵌合した箇所においては通気路が閉塞されるが、上の山部と下の山部が嵌合した箇所においては通気路が閉塞されることがない。従って、透湿防水シートどうしの、重ね合わされていない箇所と比較すると、その約50%の通気路が確保できることになる。もちろん閉塞された箇所も透湿シートで遮断されているだけなので、エアーの流れはないが、湿気は通過できるので、通湿路は確保できる。
また、それ以外の効果として、透湿防水シートや外壁材の施工時にはタッカーのステープルや釘が貫通するがゴム弾性によりステープルや釘の穴を塞ぐ方向に収縮するので、大きな止水効果が発揮できる。
また、前記透湿防水シートの半硬質基部層の形状保持強度が0.01〜0.3N/mm2の範囲であると、透湿防水シートの上からモルタルの重量等の多少の負荷が加わっても、あるいは施工時に外からの力が加わっても、通気路や通湿路は確実に確保されるので、高い通気性能と結露防止機能を確保できる。また、例えばモルタル仕上げ材の下部の透湿防水シートの基部層に上から多少の負荷が加わっても、断面視連続凹凸型形状が潰れることなくその形状が確保されるので、モルタル仕上げ材の下部に隙間が生じることがない。従って、モルタルの耐久性能が向上し、ヒビ割れやクラックが生じにくい通気外壁構造が安価に可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、本発明の透湿防水シートの施工性、施工精度、表面モルタル層の耐久性、通気路の確保、結露防止機能にとって、よりいっそう好適である。
本発明の詳細を図面に従って説明する。図1は本発明の外壁通気構造の一部切欠正面図、図2は図1におけるA−A線水平断面図、図3は本発明の透湿防水シートの詳細を示し、(イ)はその斜視図、(ロ)はそのB−B線断面図である。図4は本発明の透湿防水シートを施工時に重ね合わせる際の説明図である。図5は本発明の透湿防水シートを施工時に重ね合わせた状態の説明図である。図6は図5の縦断面図を示し、(イ)はそのC−C線断面図、(ロ)はそのD−D線断面図、(ハ)はそのE−E線断面図である。
図中、符号の1は構造躯体、2は板材、3は透湿防水シート、3aは透湿防水シートの表面層、3bは透湿防水シートの基部層、Tは透湿防水シートの突条部、Uは透湿防水シートの凹条部、Pは透湿防水シートの通気路、4は外壁材、8は縦構造材、9は横構造材、10は基礎、11は断熱材、12は内装材を示す。
図1、図2において、本発明の外壁通気構造の実施形態の一部切欠正面図及びそのA−A線断面図を示す。本例においては木造軸組工法の場合の例で説明するが、木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の場合も基本的に同じである。縦方向の構造材8として、柱が0.5間(約900mm)の間隔で設けられており、該柱間の略中央に間柱が設置されている。また、横方向の構造材9として、胴差、胴縁、土台等の横架材が設けられ、木質構造材による木造下地が形成されている。そして、前記木造下地の内部に断熱材11が設けられ、その上に板材2が張り付けられ構造躯体1が形成されている。さらに、前記構造躯体1の室外側となる表面に本発明の透湿防水シート3が貼着され、その上から外壁材4が張り付け施工されている。本発明の外壁通気構造の実施形態の一例はこのような構成とされている。
本発明の外壁通気構造の実施形態において、上記構成は木造軸組工法の例で説明したが、木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の場合も図示しないが、基本的に同じである。但し、前記構造躯体1を構成する縦構造材8として、木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)の場合は、縦枠(スタッド)の側面どうしを2〜3本合わせ、見付面を太くした構造材が用いられ、0.5間(約900mm)間隔で設置されている。その間に縦枠(スタッド)が設置されている。また、横方向の構造材9として、上枠、下枠、端根太、土台等の横架材が用いられ、木質構造材による木造下地が形成されている。該木造下地の内部に断熱材11が設けられ、その上に板材2が張り付けられ、構造躯体1が形成されている。
前記外壁通気構造の実施形態において、用いる材料は、柱、間柱、胴差、胴縁、土台、縦枠、上下枠、端根太等は木造軸組工法又はツーバイフォー工法で従来から用いられている材料でよい。また、断熱材11、板材2等も従来のものでよく、板材2として、木質の構造用合板、OSBパネル等がよく用いられるが、木質以外の無機材料パネルからなる不燃材や準不燃材等であってもよい。
このように、本発明の通気機能及び結露防止機能を有する外壁通気構造を施工する際、前記構造躯体1の表面に透湿防水シート3を貼着する際、通気受材としての縦胴縁を取り付ける必要がなく、従って、縦胴縁間に幅寸法をぴったりと合わせて透湿防水シート3を裁断し縦胴縁間に隙間なく納める手間も不要である。また、透湿防水シート3を貼着する際、透湿防水シート3と隣接する透湿防水シート3の間に大きな隙間が生じないようにだけ注意すればよい。隙間が生じるとその箇所で防水機能が低下し長期耐久性能に支障をきたすことになる。そこで、透湿防水シート3を重ね合わせるようにして貼着するとよく、透湿防水シート3の貼着作業に精度を必要としない。従って、施工性が向上し施工費用も安価に済む。
また、前記板材2は必ずしも必須の部材でなく、木質構造材による木造下地の内部に断熱材11を設け、その上に板材2を張り付けないで板材2を省略し、本発明の透湿防水シート3を隙間なく貼着し、その上から外壁材4を張り付けて施工してもよい。この場合、外壁材4は、厚み9〜12mm程度の構造用合板をベースとしたモルタル下地合板、前記構造用合板ベースの乾式サイディング材の他、無機質素材からなる不燃又は準不燃ボードをベースとしたサイディングボード類であってもよいものとする。この他、金属サイディング等であってもよいものとする。本例では、板材2を省略しないで、厚み9〜12mm程度の構造用合板をベースとしたモルタル下地合板を用いた例を示す。
図3において、本発明の透湿防水シート3の詳細図を示す。(イ)は斜視図で(ロ)はB−B線断面図を示す。本発明の透湿防水シート3は表面層3aと基部層3bの二層構造で構成されている。さらに、前記表面層3aは透湿性能とゴム弾性を有し軟質のシートで構成されている。また、前記基部層3bは透湿性を有し半硬質の材料で構成されている。前記表面層3a及び基部層3bの少なくともいずれか一方が防水性能を有している。
また、本発明の透湿防水シート3はシート状の表面層3aと前記基部層3bからなり、該基部層3bは、交互に突条部Tと凹条部Uが連続して形成され断面視連続凹凸型形状を有している。前記基部層3bの突条部Tの箇所で基部層3bとシート状表面層3aとが係止されている。すなわち、前記基部層3bの山部分(突条部T)を繋ぐようにして係止されている。前記断面視連続凹凸型形状を有する突条部Tと凹条部Uによって透湿防水シート3の凹突条部が形成され、該凹突条部に沿って通気路Pが形成されている。
前記基部層3bの突条部Tの箇所で基部層3bとシート状表面層3aとが前記基部層3bの山部分を繋ぐようにして係止されているので、基部層3bの断面視連続凹凸型形状の形状そのものを維持し易く通気路Pの確保にとって好適である。
また、施工時において、前記構造躯体1の室外側となる表面に本発明の透湿防水シート3が表面層3aを室外側とし基部層3bを室内側として貼着され、その上から外壁材4が張り付け施工される。
また、前記透湿防水シート3の表面層3aは、好適な1例として、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、天然ゴム、合成ゴム、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、それらの樹脂をベースとした共重合エラストマーのうちから選択される少なくともいずれか1種を含んで構成されている。また、前記透湿防水シート3の半硬質の基部層3bは、好適な1例として、紙類、合成繊維不織布、天然繊維不織布、無機繊維不織布、多穴性有孔プラスティックシート、多穴性有孔金属シート、多穴性有孔無機シートから選択される少なくともいずれか1種を含んで構成されている。
すなわち、前記透湿防水シート3の表面層3aは、必ずしも上記各材料の1種のみから構成されていなくてもよい。具体的には2種又はそれ以上を貼り合わせて得られる複合体であってもよいものとする。また、その他の材料との複合体であってもよい。
すなわち、前記透湿防水シート3の半硬質の基部層3bは、必ずしも上記各材料の1種のみから構成されていなくてもよい。具体的には2種又はそれ以上を貼り合わせて得られる複合体であってもよいものとする。また、その他の材料との複合体であってもよい。
前記透湿防水シート3の表面層3aの好適な材料としては、厚み5〜200ミクロン程度のポリウレタンエラストマー樹脂シート、ポリエチレンエラストマー樹脂シート、シリコンゴム樹脂シート、アクリルゴム樹脂シート等を好適なものとして例示できる。
また、前記透湿防水シート3の半硬質の基部層3bの好適な材料としては、一例として、K5、K6の材質の厚紙を例えばダンボール中芯用に、例えば、Aフルートの形状に波型に加工したものに、透湿性能を確保しつつ耐水性能が向上するように撥水処理等が施されたものを挙げることができる。
また、前記ダンボール中芯表面に、透湿性能を保持しつつ、ウレタン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム等のラミネート加工を施したものを挙げることができる。また、前記厚紙の代わりに、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の合成繊維系不織布を用い、前記フルート形状に波型加工を施したものに透湿性能を確保したもの等が好適なものとして例示できる。また、天然繊維系不織布、合成繊維系不織布をフルート形状に波型に加工したものも好適なものとして例示できる。
また、前記透湿防水シート3は透湿性を有している。好適な透湿抵抗としては、試験方法、JIS−Z0208において、約10m2・h・mmHg/g以下である。透湿抵抗が約10m2・h・mmHg/gよりも大きい場合、室内の湿気が外壁構造体を通過して外部へ拡散しにくく結露防止にとって不利となる。
前記透湿防水シート3において、突条部Tの箇所での基部層3bとシート状表面層3aとの係止は、例えば、表面層3a及び基部層3bがプラスチッック樹脂フィルムの場合は熱融着方式でもよい。このケースの場合は、多穴性のホットメルト系フィルムからなる接着剤が作業性等と透湿性を顧慮すると好適である。また、接着剤等を山部分にのみ塗布し接着する方法もある。
図4〜図6において、本発明の透湿防水シートを施工時に重ね合わせた際の状態を説明する。透湿防水シート3の製品形態は、図示しないが、一例として、長さ(通気路Pの長さ方向)約900mm程度で、幅約数メートル〜数十メートルの幅広で、幅方向(前記通気路Pと直交する方向)に巻き物状にしたものが例示できる。従って、施工現場において、構造躯体1の室外側となる面に前記透湿防水シート3を貼着する際、建物が2〜3階建ての場合、透湿防水シート3の長さ方向(通気路Pの長さ方向)に、数カ所程度のつなぎ目ができる。この場合、つなぎ目において、透湿防水シート3間で隙間が生じないように注意する必要がある。隙間が生じると防水性能が低下する恐れが生じる。
長さ方向に隣接する透湿防水シート3どうしの長さ方向のつなぎ目、すなわち、縦方向のつなぎ目(通気路Pの長さ方向のつなぎ目)において、ぴったりと、しかも、突条部Tどうし、及び凹条部Uどうしを位置合わせしつつ貼着施工することは至難の技である。いかに、施工者が熟練工であっても不可能に近い。
そこで、前述したとおり、透湿防水シート3どうしを長さ方向に重ね貼りする際、本発明による透湿防水シート3によれば、貼着作業性が極めて向上する。その理由は、以下のとおりである。この長さ方向に重ね貼りする際、隣接する透湿防水シート3どうしの重ね合わせ箇所において、上からの透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)と下からの透湿防水シート3の基部層3bの山部(突条部T)とがぶつかると、重ね合わせ箇所において大きな膨れが生じることになる。この大きな膨れの上から外壁材4を張り付けると、せっかくの通気路Pが潰れてしまうことになり、通気性能、結露防止機能にとって障害となる。さらに外壁材4の施工にとってもよいことではない。
そこで、前記基部層3bと表面層3aとの間の摩擦係数が0,9以下であると、隣接する透湿防水シート3どうしの重ね合わせ箇所において、透湿防水シート3どうしの重ね合わせにとって大変好適である。すなわち、上からの透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)と下からの透湿防水シート3の基部層3bの山部(突条部T)とがぶつかっても、該山部表面のシート状表面層3aと上からの透湿防水シート3の基部層3bの谷部が滑り易く、従って、上から若干でも加圧するだけで極めて簡単に横ズレし、しかも表面層3aが軟質のゴム弾性を有するシートであるので該シートが適度に伸長し、上の透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)と下の透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)とがぴったりと嵌合され、上の透湿防水シート3の基部層3bの山部(突条部T)と下の透湿防水シート3の基部層3bの山部(突条部T)とがぴったりと嵌合される。
このため、図6の(イ)に示す図5のC−C線断面のように、上の谷部と下の谷部が嵌合した箇所においては、通気路Pが完全に閉塞されることになる。また、図6の(ロ)に示す図5のD−D線断面のように、上の山部と下の山部が嵌合した箇所においては通気路Pが全く閉塞されることがない。従って、透湿防水シート3の重ね合わせ箇所の平均で約50%の通気路Pが確保されることになる。従って、透湿防水シート3どうしを重ね合わせしていない箇所と比較して、その約50%の通気路Pが確保できるのである。
また、図6の(ハ)に示す図5のE−E線断面のように、山部と谷部の略中間部の位置においては、通気路Pが略半閉塞(略半貫通)状態である。このように、重ね貼り箇所において、空気の通気路Pの有効な部分は、重ね合わせしていない箇所と比較して、平均してその約50%前後が確保されることになる。逆に言えば、空気の通気路Pが約50%閉塞されることになるが、表面層3aが透湿性であるので湿気が遮断されることがなく室内で発生した湿気は外壁構造体内部を通気路Pに沿って自由に通過できる。従って、透湿防水シート3を重ね貼りしても、通気性能、結露防止機能が阻害される恐れはない。
また、透湿防水シート3の幅方向(通気路Pの長さ方向と直交する方向)のつなぎ目も、長さ方向のつなぎ目に比べて頻度は小さいが、つなぎ目が生じる可能性がある。しかし、前記基部層3bと表面層3aとの間の摩擦係数が0.9以下であると、幅方向に隣接する透湿防水シート3どうしの重ね合わせ箇所において、透湿防水シート3どうしの重ね合わせにとって大変好適である。すなわち、上からの透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)と下からの透湿防水シート3の基部層3bの山部(突条部T)とがぶつかっても、該山部表面のシート状表面層3aと上からの透湿防水シート3の基部層3bの谷部が滑り易く、従って、上から若干でも加圧するだけで極めて簡単に横ズレし、しかも表面層3aが軟質のゴム弾性を有するシートであるので該シートが適度に伸長し、上の透湿防水シート3の基部層3bの谷部と下の透湿防水シート3の基部層3bの谷部とがぴったりと嵌合され、上の透湿防水シート3の基部層3bの山部と下の透湿防水シート3の基部層3bの山部とがぴったりと嵌合される。この場合においては、上からの谷部と下からの谷部が嵌合する箇所においては、上からのシートの通気路Pが閉塞されることなく貫通している。また、上からの山部と下からの山部が嵌合する箇所においては、下からのシートの通気路Pが閉塞されることなく貫通している。このように、幅方向のつなぎ目においては、透湿防水シート3の長さ方向の全長にわたって、上の透湿防水シート3の通気路P又は下の透湿防水シート3の通気路Pのいずれかが、ほぼ完全に貫通している。従って、幅方向のつなぎ目において重ね貼りしても通気路Pが実質上閉塞されることはない。
上記、詳述したように、透湿防水シート3と隣接する透湿防水シート3との間に重なり部を設けるようにして貼着するので、透湿防水シート3を貼着する際、基部層3bの山部と山部、及び、基部層3bの谷部と谷部とを丁度良い具合になるようにぴったりと重ね合わせる手間が不要で極めて施工性が向上する。
また、本発明の前記透湿防水シート3は、透湿抵抗が10m2・h・mmHg/g以下の範囲であり、シート状表面層3aのゴムひっぱ強度が10〜60Mpaの範囲にあり、最大伸び率限界が50%以上であり、前記透湿防水シートの半硬質基部層3bの形状保持強度が0.01〜0.3N/mm2の範囲である。
前記透湿防水シート3の透湿抵抗が10m2・h・mmHg/g以下の範囲にあると、外壁構造の躯体の内外で湿度の透過性能が十分確保されるので、壁体内部の結露防止にとって好適である。
また、シート状表面層3aのゴム引っ張り強度が10〜60Mpaの範囲にあり、最大伸び率限界が50%以上であると、隣接する透湿防水シートどうしの重ね合わせ箇所において、シート状表面層3aが適度に伸長し、上の透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)と下の透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)とが隙間無くぴったりと嵌合され、さらに、上の透湿防水シート3の基部層3bの山部(突条部T)と下の基部層3bの山部(突条部T)とが隙間無くぴったりと嵌合される。
このため、透湿防水シート3どうしの縦方向の重ね合わせ箇所において、上の谷部と下の谷部が嵌合した箇所においては、通気路Pが閉塞されるが、上の山部と下の山部が嵌合した箇所においては通気路Pが閉塞されることがない。従って、重ね合わせ箇所の平均で通気路Pの約50%が確保されることになる。
また、それ以外の効果として、透湿防水シート3や外壁材4の施工時にはタッカーのステープルや釘が貫通するが、透湿防水シート3のシート状表面層3aのゴム弾性により、ステープルや釘の穴を塞ぐ方向にシート状表面層3aが収縮するので、大きな止水効果が発揮できる。
また、前記透湿防水シート3の半硬質の基部層3bの形状保持強度が0.01〜0.3N/mm2の範囲であると、透湿防水シート3の上から多少の負荷が加わっても通気路Pの形状が潰されることがなく、通気路Pが確実に確保されるので、高い通気性能と結露防止機能を確保できる。すなわち、例えば、モルタル仕上げ材の下部の透湿防水シート3の基部層3bに上から多少の負荷が加わっても、基部層3bの断面視連続凹凸型形状が潰れることなく、その形状が確保される。従って、通気路Pが確実に確保されるので、高い通気性能と結露防止機能を確保できるとともに、モルタル仕上げ材の下部に隙間が生じることがなく、モルタルの耐久性能が向上し、ヒビ割れやクラックが生じにくい通気外壁構造が安価に可能となる。
さらに詳述すれば、本発明の透湿防水シート3が、該透湿防水シート3の下部にある板材2と透湿防水シート3の上にある外壁材4との間で、外壁材4を張り付ける際の釘打ち作業による衝撃と負荷を直接受けることになり、圧縮力を受けることになる。このため透湿防水シート3は、所定の形状保持強度が要求される。通常の外壁施工時における釘打ち施工の際の衝撃力や圧力を考慮すると、本発明の透湿防水シート3は少なくとも半硬質材料又は硬質材料であることが望ましい。詳しくは、透湿防水シート3の半硬質の基部層3bの形状保持強度は、0.01〜0.3N/mm2の範囲であることが好適である。
また、透湿防水シート3の裏面の板材2が全くの平坦面であるとは限らず、少なからず不陸が生じている。そのため、透湿防水シート3は所定の硬度よりも硬いと施工しづらいばかりでなく、透湿防水シート3を貼着した上から防水シートを貼着した際、又は、防水シートを貼着した上から透湿防水シート3を貼着した際、凹凸が生じてしまい、ひいては、外壁材4の仕上げモルタル層表面に膨れが生じる原因となる。このため、本発明の透湿防水シート3は、ある程度の柔軟性も合わせ持つことが望ましい。
そのため、本発明の透湿防水シート3は、半硬質又は硬質の材質であることが好適である。透湿防水シート3の形状保持強度、すなわち、耐圧縮力は0.01〜0.3N/mm2の範囲であることが好適である。
また、前記構造躯体1の板材2の室外側表面に前記透湿防水シート3を貼着すると、前記したように、透湿防水シート3の突条部Tと凹条部Uとが連続して繰り返す断面視連続凹凸型形状によって、構造躯体1の室外側の表面で、外壁材4の裏面側の透湿防水シート3によって、外壁材4の裏面と前記板材2との間に通気路Pが、構造躯体1の上下方向に沿って形成され、通気路Pが外気や湿気の通り道となり、通気路Pの上下端部が建物外部に向けて開口し、開口部(図示せず)が形成されている。
室内に充満した湿気が内装材12表面を通過し、前記通気路Pを通って開口部から建物の外部へ放出される。また、外部からの新鮮な空気が前記通気路Pの開口部から通気路Pを通って壁体内部(外壁材4の裏面と板材2の表面との間)を自由に通過する。このことによって、壁体内部に結露が発生することを有効に防止できる。従って、施工後長期間経っても、壁体内部に結露水が溜まるというようなことがなく、壁体内部が腐朽することもなく長期耐久性に優れた外壁構造が可能となる。
前記透湿防水シート3を板材2の室外側の表面に施工する際、前記通気路Pを建物の外壁の構造躯体1の上下方向に沿う方向になるように注意して、タッカー等の機械的手段で貼着するとよい。また、透湿防水シート3は所定の幅寸法及び長さ寸法を有する連続凹凸型形状を有する材料であるので、透湿防水シート3と透湿防水シート3どうしを上下長さ方向及び又は横幅方向に、複数枚の透湿防水シート3を重ね合わせるようにして貼着することになるが、本発明の透湿防水シート3を用いる場合は、上述したように、透湿防水シート3どうしの重ね合わせ箇所を注意深く丁寧に重ね合わせしなくても、適当に重ね合わせしさえすれば、自然に上下の透湿防水シート3どうしが滑って、上の透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)と下の透湿防水シート3の基部層3bの谷部(凹条部U)とがぴったりと嵌合され、上の透湿防水シート3の基部層3bの山部(突条部T)と下の透湿防水シート3の基部層3bの山部(突条部T)とがぴったりと嵌合される。このように、本発明の透湿防水シート3は、つなぎ目において、適当に重ね合わせて貼着すればよく、貼着する際の手間が簡略化でき施工費用が安価に済む。
また、前記透湿防水シート3の表面層3aは、好適な1例として、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、天然ゴム、合成ゴム、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、それらの樹脂をベースとした共重合エラストマーのうちから選択される少なくともいずれか1種を含んで構成されている。また、前記透湿防水シート3の半硬質の基部層3bが、好適な1例として、紙類、合成繊維不織布、天然繊維不織布、無機繊維不織布、多穴性有孔プラスティックシート、多穴性有孔金属シート、多穴性有孔無機シートから選択される少なくともいずれか1種を含んで構成されている。従って、本発明の透湿防水シート3を施工する際の施工性や、施工の精度や、外壁材4がモルタル仕上げの場合のモルタル層の耐久性、通気路Pの確保、結露防止機能にとって、よりいっそう好適である。
1 構造躯体
2 板材
3 透湿防水シート
3a 表面層
3b 基部層
T 突条部
U 凹条部
P 通気路
4 外壁材
8 縦構造材
9 横構造材
10 基礎
11 断熱材
12 内装材
2 板材
3 透湿防水シート
3a 表面層
3b 基部層
T 突条部
U 凹条部
P 通気路
4 外壁材
8 縦構造材
9 横構造材
10 基礎
11 断熱材
12 内装材
Claims (6)
- 木質構造材、透湿防水シート、外壁材を含んでなり通気構法を施した木造外壁構造であって、前記木質構造材によって構造躯体を形成し、該構造躯体の室外側に、表面層と通気部を備えた基部層の二層からなる透湿防水シートを介し、外壁材を設けてなることを特徴とする外壁通気構造。
- 前記透湿防水シートが透湿性と防水性に加えてゴム弾性を有する軟質の表面層と、少なくとも透湿性と通気路を有する半硬質の基部層の二層からなることを特徴とする請求項1に記載の外壁通気構造。
- 前記透湿防水シートがシート状の表面層と、交互に突条部と凹条部が連続して形成され断面視連続凹凸型形状を有する基部層からなり、前記基部層の突条部の箇所で基部層とシート状表面層とが前記基部層の突条部の山部分を繋ぐようにして係止され、前記断面視連続凹凸型形状を有する突条部と凹条部によって透湿防水シートの凹突条部に沿って通気路が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の外壁通気構造。
- 前記基部層と表面層との静止摩擦係数が0.9以下であり、隣接する透湿防水シートとの間に透湿防水シートどうしの重なり部を設けるようにして貼着されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の外壁通気構造。
- 前記透湿防水シートの透湿抵抗が10m2・h・mmHg/g以下であり、シート状表面層のゴム引張強度が10〜60Mpaの範囲にあり、最大伸び率限界が50%以上であり、前記透湿防水シートの半硬質基部層の形状保持強度が0.01〜0.3N/mm2であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の外壁通気構造。
- 前記透湿防水シートの表面層が、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、天然ゴム、合成ゴム、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、それらの樹脂をベースとした共重合エラストマーのうちから選択される少なくともいずれか1種を含んでなり、前記透湿防水シートの半硬質の基部層が紙類、合成繊維不織布、天然繊維不織布、無機繊維不織布、多穴性有孔プラスティックシート、多穴性有孔金属シート、多穴性有孔無機シートから選択される少なくともいずれか1種を含んでなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の外壁通気構造。
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KR20180021464A (ko) * | 2016-08-22 | 2018-03-05 | 안동수 | 결로방지 효과가 향상된 방수층 보호재 및 이를 사용한 방수시공방법 |
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2007
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