JP2009024897A - 製氷機の運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】除氷運転における水皿の洗浄工程によって製氷室から離脱した角氷に悪影響を与えない。
【解決手段】製氷機10は、除氷運転において、水皿24を製氷室22から下降して製氷室22を開放する過程で、水皿24の上面24aに給水機構30から融氷水を供給する第1洗浄工程を開始する。第1洗浄工程は、製氷室22から角氷Rが離脱する前に終了される。また製氷機10は、給水機構30の水が設定温度未満である場合のみに、水皿24が上昇開始すると同時に、追加洗浄時間に亘って給水機構30から水を水皿24の上面24aへ供給する第2洗浄工程を行なう。
【選択図】図1

Description

この発明は、所謂クローズドセルタイプの製氷機の運転方法に関するものである。
図7に示すように、製氷室22に設けた下向きに開口する多数の製氷小室22aに製氷水を下方から噴射供給して、角形の氷塊(角氷)Rを製造する所謂クローズドセルタイプの製氷機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この製氷機の製氷機構20は、本体内に水平に配置した製氷室22の直下に、支軸25を介して傾動可能に枢支した水皿24と、この水皿24の下部に一体的に設けられ、所定量の製氷水を貯留する製氷水タンク26とを備えている。
前記水皿24は、製氷運転において製氷小室22aを閉成した水平姿勢に保持され、この水皿24に製氷水タンク26から製氷水ポンプPMにより圧送した製氷水が噴射孔(図示せず)から対応の製氷小室22aに噴射供給される。この際、製氷室22の上面に蛇行配置した蒸発器EPに対し、冷凍装置40の各機器の冷却作用のもとに冷媒を流通して製氷室22を冷却することで、各製氷小室22aに角氷Rが生成される。また、製氷小室22aで氷結しなかった製氷水は、水皿24に設けた戻り孔(図示せず)を介して製氷水タンク26に回収されて、製氷水として再び用いられる。
前記製氷機では、各製氷小室22aに角氷Rが生成されて製氷運転から除氷運転に切替わると、水皿開閉機構28の開閉モータAMの駆動により付勢された水皿24が支軸25を中心として下降して、製氷小室22aが開放される。また製氷機では、除氷運転において蒸発器EPにバイパス管48を介してホットガスを直接供給して製氷室22を加熱することで、角氷Rが自重により製氷小室22aから離脱し、傾斜姿勢の水皿24上を滑落した角氷Rがストッカ12に貯蔵される。なお、製氷水タンク26には、水皿24の傾斜姿勢における傾斜下端に排水孔(図示せず)が設けられ、除氷運転において製氷運転で残った製氷水の全部または一部が排出される。
前記除氷運転では、水皿24を下降して製氷小室22aを開放した際に、製氷小室22aに生成した角氷Rの一部が剥離して水皿24の上面24aに残留することがある。そこで、特許文献1に示す如く、製氷機では、除氷運転において水道等の外部水源に接続した給水機構30から水皿24の上面24aに散水することで、水皿24の上面24a、噴射孔または戻り孔等に付着した氷片を融解して除去する洗浄工程が行なわれる。給水機構30は、製氷運転から除氷運転に切替わって、水皿24が水皿開閉機構28により下降する途中で水皿24に融氷水の散水を開始するように設定され、所定時間に亘り連続して散水するようになっている。そして製氷機は、製氷室22における離氷完了の検知により、水皿開閉機構28の開閉モータAMを駆動して水皿24が上昇される。
前記給水機構30は、外部水源から導入した水道水を特に温度調節することなく、常温のまま水皿24に融氷水として供給している。すなわち、冬季においては、給水機構30から散水される融氷水の温度が低くなるから、夏季に合わせて洗浄工程の時間を設定すると、水皿24の上面24aから氷片が充分に除去されない。この場合、水皿24を閉成した際に、製氷室22と水皿24との間に残留した氷片が噛み込み、水皿24や水皿開閉機構28等に負荷を与えたり、異形な角氷Rが生成される不都合が生じる。これに対し、冬季に合わせて洗浄工程の時間を設定すると、夏季において氷片が完全に除去されているのにかかわらず、給水機構30から融氷水が過剰に供給される無駄が生じてしまう。
そこで、特許文献1の製氷機では、製氷水タンク26への給水終了直前の水温が所定温度より低い場合に、水皿24の下降終了時から水皿24の上昇開始時まで水皿24への散水を継続する追加洗浄工程を行なっている。このように、融氷水の温度に応じて、水皿24に融氷水を供給する時間を長く設定することで、融氷水が低温であっても、水皿24に付着した氷を除去することができる。また、融氷水の水温が高い場合に融氷水を供給する時間を短くすることで、水の消費を最小限に抑えている。
特開昭62−84275号公報
ところで製氷機では、除氷運転において、水皿24が下降して製氷小室22aを開放した後に、各製氷小室22aから角氷Rが離脱し、傾斜姿勢の水皿24の上面24aに案内されてストッカ12に貯蔵される。特許文献1に開示の追加洗浄工程では、角氷Rが製氷小室22aから離脱するタイミングで水皿24に融氷水が散水されており、角氷Rに融氷水が付着してしまう。すなわち、特許文献1の追加洗浄工程を設けて給水機構30から散水する時間を単に長くする方法では、融氷水によって角氷Rが融解されて角氷Rが異形化したり、融氷水が付着した角氷同士がストッカ12で氷結するブロッキングや接合した角氷Rによってアーチング等の弊害が発生するおそれが指摘される。
また製氷機では、製氷室22と水皿24との間に僅かな隙間を設けた状態で製氷運転を行なうことで、この隙間に形成された氷片によって隣り合う角氷R,Rを接続して、これらの角氷Rを角氷群として除氷運転において製氷室22から一体的に離脱させるようになっている。そして、角氷群は、開放状態の水皿24に落下した衝撃で角氷R毎に分離し、この際に隣り合う角氷R,Rを接続していた氷片が水皿24の上面24aに残留することがある。上面24aに氷片を付着したまま水皿24を閉成すると、製氷室22と水皿24との間に氷片を噛み込んでしまうが、製氷運転において製氷に用いる水を給水機構30から供給する製氷水供給工程を行なうことで、水の温度が高い場合は、氷片は溶けて除去される。しかし、給水機構30から供給する水の温度が低い場合には、製氷水供給工程において氷片を完全に除去することができず、噛み込んだ氷片により製氷室22と水皿24との間の隙間が大きく開いた状態で製氷運転が行なわれることで、異形な角氷Rが生成されたり、隣り合う角氷R,Rを接続する氷片が厚くなって、角氷群が角氷Rに分離しない不都合が生じる。
すなわち本発明は、従来の技術に係る製氷機の運転方法に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、除氷運転における洗浄工程で水皿に供給する融氷水によって製氷部から離脱する氷塊に悪影響を与えることなく、水皿に付着した氷片を除去し得る製氷機の運転方法を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の製氷機の運転方法は、
冷却した製氷部を水皿で閉成した状態で、水皿における製氷部に対向する製氷面に給水機構により供給した水を製氷水タンクに回収して貯留し、該製氷水タンクより圧送した水を該水皿を介して製氷部へ供給することで氷塊を生成する製氷運転と、製氷部を加温すると共に、水皿を製氷部から離間動作させて製氷部を開放する過程で、該水皿の製氷面に給水機構から水を供給する第1洗浄工程を開始し、氷塊を離脱した後に水皿を製氷部へ向けて近接動作させて製氷部を閉成する除氷運転とを繰り返す製氷機の運転方法において、
前記除氷運転では、
前記第1洗浄工程を、前記製氷部から氷塊が離脱する前に終了し、
前記給水機構の水が設定温度未満である場合のみに、前記水皿が前記製氷部への近接動作を開始すると同時に、該水皿が近接動作する時間より短い追加洗浄時間に亘って給水機構から水を水皿の製氷面へ供給する第2洗浄工程を行なうことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、除氷運転の第1洗浄工程は、氷塊が製氷部から離脱する前のタイミングで給水機構からの水皿に対する水の供給が停止されており、給水機構の水が設定温度未満である低温である際に行なう第2洗浄工程は、氷塊が製氷部から離脱した後のタイミングで開始される。すなわち、製氷部から離脱した氷塊が水皿の製氷面を通過する時点では、水皿に給水機構から水が供給されていないので、給水機構から供給される水が氷塊に付着することを回避し得る。従って、洗浄工程を行なっても、融解による氷塊の異形化や氷塊同士が接合するブロッキング等の悪影響を与えず、給水機構の水の温度に応じて適宜に第2洗浄工程を行なうことで、氷塊の離脱に際して水皿に付着した氷片を確実に除去できる。
請求項2に係る発明では、前記製氷運転の初期段階において、前記水皿から水が供給された前記製氷部の温度を温度測定手段により測定することで、前記給水機構の水の温度を間接的に算出し、この算出した温度を前記設定温度として用いることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、前回の製氷運転において給水機構の水の温度を求めているので、除氷運転において給水機構の水の温度を測定することなく、洗浄工程を進行することができる。
請求項3に係る発明では、前記第1洗浄工程が、前記給水機構の水が設定温度以上である場合に、第1洗浄時間に亘って継続され、前記給水機構の水が設定温度未満である場合に、第1洗浄時間より長く、かつ前記水皿の離間動作が完了するまでに要する時間より短く設定した第2洗浄時間に亘って継続されることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、第1洗浄工程において、給水機構の水の温度が設定温度未満の場合に、洗浄時間を長く設定することで、水皿に残留した氷片をより確実に除去することができる。
本発明に係る製氷機の運転方法によれば、除氷運転における洗浄工程で水皿に供給する融氷水によって製氷部から離脱する氷塊に悪影響を与えることなく、水皿に付着した氷片を除去し得る。
次に、本発明に係る製氷機の運転方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、図7に示した製氷機の構成要素と同一の要素については、実施例において同一の符号を使用して説明し、冷凍装置40の構成は図7を参照して説明すする。また本発明における「給水機構の水の温度を測定する」とは、水の温度を直接測定する場合のみでなく、製氷水や融氷水としての水の影響を受けて温度変動する製氷部等の部材の温度を間接的に測定する場合も含むものである。
図1は、実施例に係る製氷機の運転方法を実施し得る製氷機10を示す側断面図である。この製氷機10は、角氷(氷塊)Rを貯蔵する断熱構造のストッカ12と、このストッカ12の下方に設けられ、機械室16を内部画成したキャビネット14とから外郭が構成されている。なお、キャビネット14には、複数の通孔(図示せず)が設けられ、これらの通孔を介して機械室16の空気の入れ換えがなされる。
前記製氷機10は、角氷Rを生成する製氷機構20と、この製氷機構20を冷却する冷凍装置40(図7参照)と、各機器を制御する制御手段C(図2参照)とを備え、製氷運転および除氷運転を繰り返して角氷Rを製造し得るようになっている。また製氷機10は、電源を投入(ON)した際に、圧縮機CM等の機器を直ちに駆動することなく、予め設定した待機時間(例えば3分)が経過するまで待機した後に、起動初期運転を開始するよう構成される(図3または4参照)。
前記製氷機構20は、ストッカ12の内部上側に水平に配置され、下方に開口する多数の製氷小室22aを備えた製氷室(製氷部)22と、製氷小室22aを開閉自在に閉成し、製氷水を貯留する製氷水タンク26を下方に一体的に備えた水皿24とを備えている。また製氷機構20は、水皿24を製氷室22に対し接離するように傾動させる水皿開閉機構28と、製氷水タンク26に貯留した製氷水を圧送する製氷水ポンプPMと、融氷水および製氷水となる水を供給する給水機構30とを備えている。製氷室22の上面には、冷凍装置40の一部を構成する蒸発器EPが密着的に蛇行配置され、この蒸発器EPにより製氷運転時に各製氷小室22aを強制冷却すると共に、起動初期運転および除氷運転時に各製氷小室22aを加熱するようになっている。
前記水皿24は、一方の側端部が製氷機本体に対して支軸25を介して揺動可能に支持されると共に、他方の側端部が水皿開閉機構28を構成するカムアーム28aにコイルスプリング28bを介して接続されている。また水皿24は、カムアーム28aを開閉モータAMで正逆回転することで、製氷運転において製氷室22を閉成した水平状態と、除氷運転において製氷室22から下方に離間するように傾斜した開放状態とに姿勢変位し得るようになっている。製氷水タンク26には、水皿24の開放状態において傾斜下端となる端部に排水孔26aが設けられ、水皿24の開放状態において製氷水タンク26に貯留した製氷水を排出し得るよう構成される。
前記水皿開閉機構28の開閉モータAMは、制御手段Cによって所定のタイミングおよび所定の回転方向へ駆動制御される(図2参照)。ここで、開閉モータAMは、起動初期運転および除氷運転を開始すると、水皿開閉機構28により水皿24を下降(製氷室22からの離間動作)するよう駆動制御される。また、起動初期運転および除氷運転において、開閉モータAMは、水皿24を完全に開放した後に、製氷室22から角氷Rが離脱したことを条件として(実施例では除氷完了温度の検出)、水皿開閉機構28により水皿24を上昇(製氷室22への近接動作)するよう駆動制御される。水皿開閉機構28では、下降する水皿24が開放状態となったことをホールIC等の切替スイッチSWが検知すると開閉モータAMが停止され、上昇する水皿24が水平状態となったことを切替スイッチSWが検知すると開閉モータAMが停止される。
前記製氷水ポンプPMは、製氷水タンク26に連通して設けられ、製氷水ポンプPMの駆動により、製氷水タンク26から製氷水が水皿24の上部に設けた噴射孔(図示せず)を介して製氷小室22aに対して噴射供給される。また水皿24には、製氷室22に対向する上面(製氷面)24aに製氷水タンク26に連通する戻り孔(図示せず)が設けられ、製氷小室22aで氷結しなかった製氷水が戻り孔を介して製氷水タンク26に回収され、再び製氷小室22aに供給される循環サイクルが構成される。ここで、製氷水ポンプPMは、制御手段Cの制御によって駆動および停止するだけではなく回転数も変更可能であって、製氷水タンク26から圧送する製氷水水量を可変し得るようになっている。
前記給水機構30は、水道等の外部水源に接続した給水管32と、この給水管32に介挿された給水弁WVとから構成され、給水弁WVは制御手段Cにより所定のタイミングで開閉動作するようになっている。給水管32の給水口32aは、水皿24における軸支端部側の上面24aに臨んで配置され、給水機構30から供給した水は、水皿24の戻り孔を介して製氷水タンク26に回収される。製氷機10では、除氷運転において開放状態の水皿24に対して給水機構30から融氷水を供給して、水皿24の上面24aを流下する融氷水によって水皿24の上面24aに付着した氷片を除去する洗浄工程と、製氷運転において水平状態に保持された水皿24に対して給水機構30から製氷水を供給して、製氷運転で必要とされる製氷水を製氷水タンク26に供給する製氷水供給工程とが行なわれる。ここで、製氷水供給工程を水皿24の水平状態で行なうことで、排水孔26aから製氷水が排出されず、給水機構30から供給した製氷水を無駄なく製氷水タンク26に貯留することができる。なお実施例において、融氷水および製氷水は、説明の便宜上名称を変えただけであって、調温されていない常温の水道水が何れも用いられる。
前記製氷室22の所要位置には、この製氷室22の温度を測定する第1温度測定手段(温度測定手段)TH1が配設されている。この第1温度測定手段TH1による製氷室22の温度測定結果は、何れも後述する製氷運転の終了タイミングの判定(冷却量の算出)、除氷運転において水皿上昇のタイミングの判定(製氷室22からの離氷完了の判定)、洗浄工程の切替え、綿氷防止工程の実施判定等の各種運転の指標に用いられる。また機械室16には、外気温を測定する第2温度測定手段TH2(図2参照)が設けられ、第2温度測定手段TH2による外気温測定結果は、後述の除氷準備工程におけるホットガス弁HVの開閉回数の算出および冷却ファンFMの回転数制御に用いられる。第1温度測定手段TH1および第2温度測定手段TH2は、例えばサーミスタ、白金測温抵抗体、熱電対等、実用に供されている既存のものが好適に実施可能であり、その測定結果が制御手段Cに出力される。
前記冷凍装置40は、図7に示すように、圧縮機CM、凝縮器CD、この凝縮器CDを冷却する冷却ファンFM、膨張弁EVおよび蒸発管EPからなり、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張弁EVおよび蒸発管EPが、冷媒配管42で順次連結されて冷凍回路44を構成している。圧縮機CMで圧縮された気化冷媒は、冷媒配管42を経て凝縮器CDで凝縮液化された後、膨張弁EVで減圧され、蒸発管EPに流入してここで膨張して蒸発し、製氷室22と熱交換することで、製氷室22が氷点以下に強制冷却される。冷却ファンFMは、製氷運転において、第2温度測定手段TH2による外気温の測定結果に基づく制御手段Cの制御下に、単位時間当りの回転数が変更可能になっている。具体的には、第2温度測定手段TH2によって測定した外気温が設定外気温より高い場合に、冷却ファンFMは、制御手段Cに予め設定された目標回転数で回転するよう制御される。これに対して、第2温度測定手段TH2によって測定した外気温が設定外気温以下の場合に、冷却ファンFMは、制御手段Cによって目標回転数より所定の割合だけ減速した低速で回転するよう制御される省エネモードとなる。そして、省エネモードにおいて、第2温度測定手段TH2で測定した外気温が設定外気温より所定温度(例えば、5℃程度)だけ高くなった際に、冷却ファンFMは目標回転数で回転される通常モードに戻される。
また冷凍装置40は、冷凍回路44に加えて、除氷運転時に、凝縮器CDおよび膨張弁EVを介さず圧縮機CMから冷媒(ホットガス)を蒸発管EPに直接供給するバイパス回路46を備えている(図7参照)。このバイパス回路46は、圧縮機CMの吐出側と蒸発管EPの吸込み側とを連結するバイパス管48と、このバイパス管48の途中に配設され、制御手段Cにより開閉制御されるホットガス弁HVとから構成される。そして、製氷機10は、製氷運転時にホットガス弁HVを閉鎖して冷凍回路44に冷媒が循環され、除氷運転時にホットガス弁HVが開放されてバイパス回路46にホットガスが循環されるようになっている。ここで製氷機10では、製氷運転においてホットガス弁HVは原則として閉成されているが、製氷運転の終期段階から製氷運転の終了までの間に、ホットガス弁HVを複数回開閉して、製氷室22を除氷運転に先立って予め加熱する除氷準備工程が行なわれる(図3または図4参照)。
前記制御手段Cは、機械室16に設置された電装箱50に内蔵され(図1参照)、第1温度測定手段TH1および第2温度測定手段TH2、その他の各種測定手段や検出手段等のセンサ類から各種信号が入力される(図2参照)。そして、制御手段Cは、センサ類からの各種入力信号、電装箱50に設けたコントロールパネル52から入力された各種設定値等および予め設定された条件に基づき、ホットガス弁HVを含む冷凍装置40の各機器、水皿開閉機構28の開閉モータAM、製氷水ポンプPMを含む製氷機構20の各機器、給水機構30における給水弁WV等の動作を総合的に制御するようになっている。なお、製氷機10において、後述する洗浄時間や設定時間等の各種時間は、制御手段Cでカウントされる。
前記製氷機10は、除氷運転において、給水機構30から水皿24の上面24aに融氷水を供給する第1洗浄工程と、給水機構30から供給される融氷水の温度が低い場合に融氷水を追加供給する第2洗浄工程とを、製氷室22から角氷Rが離脱するタイミングを避けて行なうようになっている(図3または図4参照)。制御手段Cは、開閉モータAMの駆動に基づく水皿開閉機構28による水皿24の下降に合わせて、第1温度測定手段TH1による温度測定結果に応じた時間で給水弁WVを開閉制御し、第1洗浄工程が、水皿24を下降する過程で開始されると共に、製氷室22から角氷Rが離脱する前に終了するよう設定される。より具体的には、第1洗浄工程は、除氷運転を開始してから所定時間(例えば30秒)経過した際に、給水弁WVを開放して下降途中の水皿24の上面24aに融氷水が給水機構30から供給開始され、融氷水の温度が設定温度(例えば13℃)以上であれば、第1洗浄時間(例えば6秒)に亘って融氷水が供給される。また第1洗浄工程では、融氷水の温度が設定温度未満であれば、第1洗浄時間より長く設定した第2洗浄時間(例えば15秒)に亘って融氷水が供給される。そして、第1洗浄時間および第2洗浄時間は、水皿24が下降完了するのに要する時間より短く設定される。ここで、製氷機10では、水皿24が下降完了した後に製氷室22からの角氷Rの離脱が開始されるように、製氷室22へ付与する熱量が設定される。すなわち、第1洗浄工程では、水皿24の下降完了前に第1洗浄時間および第2洗浄時間が経過するので、水皿24に対する融氷水の供給が角氷Rの離脱前に終了される。なお、設定温度は、冷凍能力や製氷室22の大きさ等のスペックに応じて、機種毎に適宜に設定される。
前記制御手段Cは、開閉モータAMの駆動に基づく水皿開閉機構28による水皿24の上昇に合わせて、融氷水の温度が設定温度未満である場合のみに給水弁WVを開閉制御し、上昇途中の水皿24の上面24aに融氷水を供給する第2洗浄工程を行なうようになっている(図4参照)。第2洗浄工程では、開放状態の水皿24の上昇開始と同時に、水皿24が水平状態になるまでの時間より短く設定した追加洗浄時間(例えば6秒)に亘って給水弁WVが開放される。すなわち、製氷機10は、第1温度測定手段TH1による製氷室22の除氷完了温度の測定によって、製氷室22からの離氷を判定する構成であるから、第2洗浄工程は製氷室22から角氷Rが離脱した後に実施される。
前記製氷機10では、製氷運転の初期段階において水皿24から製氷水を供給している製氷室22の温度を第1温度測定手段TH1で測定して、制御手段Cに入力された第1温度測定手段TH1の温度測定結果を補正することで、融氷水の温度を間接的に求めるようになっている。実施例では、製氷運転を開始してから所定時間(例えば30秒)経過した時点、すなわち製氷運転の初期段階における製氷室22の温度測定結果を補正して求めた融氷水の温度が、当該製氷運転の後に行なわれる除氷運転で、第1洗浄時間および第2洗浄時間の選択や第2洗浄工程の実行判定に用いられる。ここで、製氷運転中における製氷水は、製氷室22に接触して冷却されるものの、冷凍能力と製氷運転の時間との関係から製氷水タンク26に貯留した常温の水が製氷運転でどれだけ温度低下するか実験または計算により分かるので、適宜設定した補正値を加算することで、給水機構30から供給した現実の水の温度が推測される。
前記製氷機10は、製氷運転の終了タイミングを判断して、製氷運転を終了させる運転切替え手段を備えている。この運転切替え手段は、製氷室22の温度を測定する第1温度測定手段TH1と、この運転切替え手段に関する設定値を入力または変更する入力手段としてのコントロールパネル52と、各機器を制御する制御手段Cと、前記設定値に基づいて演算する第1演算手段C1と、製氷室22の温度に基づいて演算する第2演算手段C2とから構成されている(図2参照)。なお、実施例では、第1演算手段C1および第2演算手段C2が制御手段Cに組み込まれている。
前記第1演算手段C1は、コントロールパネル52から入力された設定値としての製氷設定温度Tと製氷設定時間tとの積を、更に1/2にした値を算出するよう設定され、第1演算手段C1で算出した値が目標積算値Sとして制御手段Cに記憶される。この目標積算値Sは、製氷室22に最適な厚みの角氷Rを形成するのに必要な累積冷却量ともいうべきものである。製氷設定温度Tは、生成する角氷Rの中心と製氷小室22aの上面(蒸発管EPに接する部位)との間の距離に依存する因子であって、基本となる製氷設定温度Tは、第1演算手段C1に予め設定されている。製氷設定時間tは、角氷Rの成長度合い(製氷運転を終了した際に、生成した角氷Rの製氷小室上面からの厚さ)に影響を与える因子であって、製氷設定時間tが長くなるにつれて角氷Rが大きくなる。
前記第2演算手段C2には、該第2演算手段C2に予め設定された単位時間Δt毎に第1温度測定手段TH1で測定した製氷室22の温度Tが入力される。また第2演算手段C2は、製氷室22の温度Tと、単位時間Δtとに基づいて、製氷運転中において製氷室22に付与された現実の累積冷却量(加算合計数値S')を算出するようになっている(図6参照)。具体的には第2演算手段C2では、製氷運転において製氷室22に角氷Rが生成され始めると、単位時間Δt毎に入力された測定温度(T1,2,3・・・)と、単位時間Δtとの積である単位積算数値(s1',2',3'・・・)が求められる。また第2演算手段C2では、これら単位積算数値(s1',2',3'・・・)を順次加算して加算合計数値S'(=s1'+s2'+s3'+・・・)が算出(数値加算)され、この加算合計数値S'は制御手段Cに入力される。ここで、第2演算手段C2が数値加算を開始するタイミング、すなわち時刻tは、製氷室22に角氷Rが生成され始める温度(以下、氷結開始温度という)に到達した時点であって、実施例の氷結開始温度は、0℃として第2演算手段C2に設定されている。
前記製氷機10は、制御手段Cにおいて算出される加算合計数値S'が、目標積分値Sに対し第1到達率M1(=S'/S)となったときに、製氷運転の最中に除氷準備工程に移行するようになっている。この除氷準備工程では、水皿24の閉成状態において、ホットガス弁HVを所要の開閉回数で開閉して、各製氷小室22aにおける各角氷Rの生成を進行させながら、製氷室22の外面の温度上昇を図るために実行される。そして、除氷準備工程におけるホットガス弁HVの開閉回数(以後、開閉制御回数Nという)は、第2温度測定手段TH2で測定した外気温に基づいて決定される。除氷準備工程では、ホットガス弁HVを所定時間(例えば5秒)開放して製氷室22を加温する処理と、ホットガス弁HVを所定時間(例えば25秒)閉成して製氷室22を冷却する処理との1サイクルが1回の開閉回数としてカウントされる。ここで到達率M1は、除氷準備工程が行なわれるまでの累積冷却量である加算合計数値S'と、除氷準備工程で製氷室22に付与される累積冷却量(推測加算合計数値)S"との合計が、目標積分値Sに略等しくなるよう、外気温に基づく開閉制御回数Nとの関係において各製氷機毎に予め定められる。そして、製氷機10は、制御手段Cによりホットガス弁HVを開閉制御回数Nだけ開閉すると、除氷準備工程および製氷運転を終了して除氷運転を開始するように各機器を制御するようになっている。
前記製氷機では、製氷運転において、製氷水ポンプPMの回転数を変更して製氷小室22aに供給する製氷水量を調節する製氷水量制御が行なわれる。製氷水量制御では、加算合計数値S'が目標積分値Sに対し第2到達率M2に達した際に、製氷水ポンプPMが変速される。製氷水ポンプPMは、製氷運転の開始と同時に開始される製氷水供給工程で給水機構30から製氷水タンク26にある程度製氷水が供給された際に、制御手段Cにより目標回転数(図3または図4のHIGHモード)で駆動するよう制御される。そして、製氷水ポンプPMは、第2到達率M2(例えば、50%程度)に達した際に、制御手段Cにより目標回転数を所定割合で減じた低回転数(図3または図4のLOWモード)で駆動するように制御される。
前記製氷機10では、製氷運転の初期段階において、第1温度測定手段TH1の測定温度に基づいて算出した製氷水の温度が予め設定した過冷却温度以下となったときに、製氷水ポンプPMを一時停止(OFF)して製氷室22への製氷水の供給を設定停止時間だけ停止すると共に、給水弁WVを開放して製氷水タンクPMに給水機構30から製氷水を供給する綿氷防止工程を行なうようになっている。なお、過冷却温度は、綿氷が発生するおそれが高くなる0℃以上であって、3℃程度までの範囲で設定される。ここで、綿氷防止工程においても、第1温度測定手段TH1で製氷室22の温度を測定することで、製氷水タンク26に貯留した製氷水の温度を間接的に求めている。
前記電装箱50は、コントロールパネル52から入力した設定値等を表示する表示手段54を備えている。実施例の表示手段54は、2桁の7セグメントディスプレイが採用され、コントロールパネル52から入力した設定値および条件等の確認だけでなく、製氷機10の現在の運転状況を表示するようになっている。例えば表示手段54には、製氷機10の電源を投入して起動初期運転を開始するまでの待機状態において、図3または4に示す如く「ON」と表示され、製氷運転では、製氷段階に合わせて7セグメントの横棒部分を順次表示するようになっている。ここで表示手段54において、製氷運転の製氷初期段階(製氷完了率:0〜30%)では、7セグメントにおける最下部の横棒部分のみが表示され、製氷中期段階(製氷完了率:30〜60%)では、7セグメントにおける最下部の横棒部分と中間の横棒部分とが表示され、製氷終期段階(製氷完了率:60〜100%)では、7セグメントにおける全ての横棒部分が表示される。また表示手段54では、除氷運転において、製氷完了時の表示である7セグメントにおける全ての横棒部分が点滅される。そして、表示手段54では、ストッカ12に設けた貯氷検知スイッチTS(図7参照)が満氷を検知している場合に、7セグメントにおける中間の横棒部分のみが表示される。これにより使用者は、表示手段54の7セグメントの表示態様によって、製氷機10の運転状況を容易に把握することができる。
次に、実施例に係る製氷機の運転方法について、図3〜図5を参照して説明する。製氷機10は、電源を投入すると、圧縮機CMの保護のために、圧縮機CMやその他の機器を直ちに駆動することなく、待機時間に亘って待機した後に、起動初期運転が開始される。起動初期運転では、除氷運転と同様の順序で各機器が動作される。すなわち、起動初期運転を開始すると、圧縮機CMが駆動されると共に、ホットガス弁HVが開放されることで製氷室22が加温され、開閉モータAMが正駆動して水皿開閉機構28により水皿24が下降される。製氷機10は、水皿24が開放状態になったことを切替えスイッチSWが検知すると、製氷室22が除氷完了温度になっていることを条件として開閉モータAMを逆駆動して水皿24を上昇し、同時にホットガス弁HVを閉成すると共に、冷却ファンFMを駆動することで、製氷室22の冷却が開始される。そして、製氷機10は、水皿24が製氷室22を閉成して水平状態となったことを切替えスイッチSWが検知すると、開閉モータAMが停止されて起動初期運転から製氷運転に移行する。
前記起動初期運転では、融氷水の温度を求めていないので、安全を見て融氷水の温度が設定温度未満であるとして、第1洗浄工程および第2洗浄工程が行なわれる(図3または図4参照)。すなわち、起動初期運転を開始してから所定時間遅延して第1洗浄工程が開始され、給水弁WVを開放することで、下降最中の水皿24の上面24aに給水機構30から融氷水が供給される。給水弁WVは第1洗浄時間を経過すると閉成され、第1洗浄工程が水皿24の下降完了のタイミングより前に終了される。また、水皿24が上昇を開始すると同時に、第2洗浄工程が開始され、給水弁WVを開放することで、上昇最中の水皿24の上面24aに給水機構30から融氷水が供給される。そして、給水弁WVは第2洗浄時間を経過すると閉成され、第2洗浄工程が水皿24の上昇完了のタイミングより前に終了される。このように、起動初期運転において第1洗浄工程および第2洗浄工程を行なうことで、停電や使用者の操作によって製氷室22に角氷Rが残留した状態で電源が落とされて再起動される際に、水皿24の上面24aに残留した氷片を除去することができる。
前記製氷機10は、製氷運転を開始すると、水皿24で製氷室22を閉成すると共にホットガス弁HVが閉成された状態のもとで、圧縮機CMおよび冷却ファンFMを駆動して、冷凍回路44に冷媒が循環されることで、蒸発器EPにより製氷室22が冷却される。また、給水弁WVが開放されて、給水機構30から水皿24を介して製氷水タンク26へ所定量の製氷水が供給される製氷水供給工程が行なわれる。製氷機10は、製氷水タンク26にある程度製氷水が貯留された製氷水供給工程の途中に、製氷水ポンプPMが駆動されることで、製氷水タンク26の製氷水が水皿24から冷却された各製氷小室22aへ噴射供給される。
前記製氷機10では、製氷運転の初期段階において、第1温度測定手段TH1で製氷室22の温度を測定し、制御手段Cに入力した温度測定結果に対して所定の補正を施すことで、給水機構30から供給される水(融氷水,製氷水)の温度が求められる。すなわち、給水機構30は、外部水源から導入した温度調節を行なっていない常温の水を供給する構成であるので、季節や場所等によって水の温度が異なるものの、第1温度測定手段TH1による製氷室22の温度測定に基づいて水の温度変化を間接的に検出し得る。そして、この処理によって求めた給水機構30の水の温度は、制御手段Cに記憶されて、次の除氷運転における洗浄工程で設定温度として用いられる。
前記製氷運転初期において、冷凍装置40および製氷水ポンプPMの作動により、製氷室22および製氷水の温度が徐々に低下し、第1温度検出手段TH1が過冷却温度を測定すると、制御手段Cは、製氷水ポンプPMを一時停止して製氷水の循環を停止させる(図3参照)。これにより、製氷室22は無負荷状態(製氷水が供給されない状態)となることから、蒸発器EPにより製氷室22は急速に冷却される。また、製氷水ポンプPMの停止と同時に前記給水弁WVが開放されて、製氷水タンク26に給水機構30から常温の水が供給される。すなわち、製氷水ポンプPMの停止中に製氷水タンク26の製氷水は、製氷室22の冷却により間接的に冷されるものの、常温の水の供給により温度低下は抑制され、該製氷水の温度は0℃より高温に維持される。これにより、製氷水ポンプPMの停止中に製氷水の過冷却が生じて綿氷が発生するのを防止し得る。
前記製氷機10では、製氷水ポンプPMによる製氷水の各製氷小室22aへの噴射供給を再開すると、製氷室22は極度に冷えているため、製氷小室22aに噴射供給された製氷水は製氷小室22aと接触して熱交換が急速に行なわれ、氷核が早期に生成される。そして、一旦氷核ができれば、製氷水の過冷却は起きないので綿氷は発生せず、透明で高品質の角氷Rの製造が可能となる。
前記制御手段Cでは、製氷運転の開始後、第1温度測定手段TH1で測定している製氷室22の温度が、氷結開始温度である0℃に達したか否かが判定される。そして、製氷室22が氷結開始温度まで冷却されると、第2演算手段C2では数値加算演算が開始される。すなわち、第2演算手段C2には、第1温度測定手段TH1が単位時間Δt毎に測定した製氷室22の温度(T1,2,3・・・)が入力され、第2演算手段C2において、各温度(T1,2,3・・・)と単位時間Δtとの積である単位積算数値(s1',2',3'・・・)を算出する。また第2演算手段C2は、算出された各単位積算数値(s1',2',3'・・・)を順次加算して、加算合計数値S'(S'=s1'+s2'+s3'・・・)を求める。そして、この加算合計数値S'は、制御手段Cに入力される。
前記制御手段Cでは、第2演算手段C2による数値加算演算の開始後、加算合計数値S'が目標積分値Sに対して第1到達率M1または第2到達率M2に達したか否かが判定される。ここで、第2到達率M2は、第1到達率M1より低く設定されているので、加算合計数値S'が目標積分値Sに対して第2到達率M2に先に達して、制御手段Cにより製氷水ポンプPMの回転数が低速になるよう制御される。製氷運転が第2到達率M2に到達する段階では、各製氷小室22aにある程度角氷Rが生成されているので、製氷運転初期と同じ量の製氷水を供給しても製氷に用いられず流下する量が多くなる。すなわち、製氷運転が第2到達率M2に到達する段階において、製氷水ポンプPMの回転数を低速にして製氷小室22aに供給する製氷水量を少なくしても、製氷に要する製氷水量を確保でき、しかも省エネルギー化を図ることができる。
更に製氷運転が進行して、加算合計数値S'が目標積分値Sに対して第1到達率M1になると、除氷準備工程が開始され、第2温度測定手段TH2で測定した外気温から求めた開閉制御態様に基づき、ホットガス弁HVの開閉制御を実行する。これにより製氷機10では、各製氷小室22aにおける角氷Rの生成が進行すると同時に、製氷室22が加熱されて、製氷室22および水皿24の上面24aが昇温して、各角氷Rと水皿24との氷結力が次第に低下する。すなわち、実施例に係る運転方法では、製氷室22を0℃以下に保ちつつ加熱して、製氷室22の温度を極力0℃に近づけるようになっている。従って、角氷Rが融解するのを回避しつつ水皿24との氷結力が弱められて、水皿24の開放時に角氷Rが水皿24から剥離し易くなる。
前記各製氷小室22aでは、除氷準備工程に移行した後も製氷水の供給が継続されているため、更に角氷Rの生成が進行している。そして、ホットガス弁HVの開閉回数が開閉制御回数Nに達すると、除氷準備工程および製氷運転が終了される。このとき、加算合計数値S'と推測加算合計数値S"との合計は、目標積分値Sに略等しくなり、除氷準備運転により製氷室22を加熱したにも拘らず製氷室22には所望厚みの角氷Rが形成されている。製氷機10では、製氷運転の終了タイミングを、第1温度測定手段TH1で測定した製氷室22の温度に基づき算出される製氷室22における現実の冷却量から判定する積分値制御を採用することで、周囲の温度変化に影響を受けることがなく、生成される角氷Rの大きさのばらつきを抑制することができる。
前記製氷機10では、除氷運転が開始されると、ホットガスHVを開放して製氷室22が加温されると共に、開閉モータAMが正駆動されて水皿開閉機構28により水皿24が下降動される。また制御手段Cでは、前回の製氷水で予め求めて記憶されている融氷水の温度と設定温度とを比較して、第1洗浄工程における洗浄時間および第2洗浄工程の実施の有無が決定される。このように、製氷運転の切替えに用いられる第1温度測定手段TH1を洗浄工程の判定に使用することで、給水機構30に別途温度測定手段を設ける必要はなく、製氷運転において給水機構30から供給される水の温度が求められているので、除氷運転において給水機構30から供給する融氷水の温度を測定することなく、洗浄工程を進行することができる。
前記製氷機10は、図3に示すように、除氷運転を開始してから所定時間遅延させて(図5のステップS1)、水皿24が下降している途中で第1洗浄工程を開始する。第1洗浄工程では、給水弁WVが開放されて水皿24の上面24aに給水機構30から融氷水が供給されることで(ステップS2)、水皿24の上面24aに残った氷片や戻り孔および噴射孔を塞いでいる氷片が融氷水により融解されると共に、水皿24の傾斜に沿って流下する融氷水により押し流される。第1洗浄工程は、融氷水の温度が設定温度以上である場合に(ステップS3:NO)、第1洗浄時間だけ継続した後、水皿24が下降完了する前に給水弁WVを閉成して終了される(ステップS4およびS5)。ここで、融氷水の一部は、水皿24の戻り孔を介して製氷水タンク26に回収されるが、製氷水タンク26が傾斜しているので、融氷水は排出孔26aから外部に排出される。
前記水皿24が開放状態となったことを切替えスイッチSWが検知すると、開閉モータAMが停止されることで、水皿24が製氷室22から離間して傾斜した開放状態で保持され、第1温度測定手段TH1で製氷室22の温度が除氷完了温度に到達したか否かが判定される。製氷機10では、水皿24が開放状態で保持されているタイミングで製氷室22から角氷が離脱し、水皿24の上面24aの傾斜に案内されて、ストッカ12に落下して貯蔵される。そして、製氷室22から角氷Rが全て離脱したタイミングで、第1温度測定手段TH1が除氷完了温度を測定し、開閉モータAMを逆駆動して水皿開閉機構28により水皿24を上昇すると共に、ホットガス弁HVを閉成して冷却ファンFMを駆動することで、製氷室22の冷却を開始する。製氷機10は、水皿24が水平状態に至ったことを切替えスイッチSWが検知するると開閉モータAMを停止して、除氷運転を終了して製氷運転に移行する。また製氷機10では、製氷室22と水皿24との間に僅かな隙間を設けた状態で製氷運転を行ない、この隙間に形成された氷片によって隣り合う角氷R,Rを接続して、これらの角氷Rを除氷運転において製氷室22から一体的に離脱させている。ここで、製氷機10では、融氷水の温度が設定温度以上である場合に水皿24が上昇する過程で融氷水が供給されないが、製氷運転において水皿24が水平状態で製氷水供給工程を行なえば、製氷水の温度が高いので、角氷Rの離脱に際して水皿24の上面24aに付着した氷片を十分除去できる。
一方、製氷機10は、融氷水の温度が設定温度未満である場合に、図4に示すように、除氷運転において第1洗浄工程と第2洗浄工程を行なう。先ず製氷機10は、除氷運転を開始してから所定時間遅延させて(図5のステップS1)、水皿24が下降している途中で第1洗浄工程を開始する。第1洗浄工程では、給水弁WVが開放されて水皿24の上面24aに給水機構30から融氷水が供給されることで(ステップS2)、水皿24の上面24aに残った氷が融氷水により融解されると共に、水皿24の傾斜に沿って流下する融氷水により押し流される。また、第1洗浄工程は、融氷水の温度が設定温度未満である場合に(ステップS3:YES)、第1洗浄時間より長く設定した第2洗浄時間だけ継続した後、水皿24が下降完了する前に給水弁WVを閉成して終了される(ステップS6およびS7)。
前記水皿24が開放状態となったことを切替えスイッチSWが検知すると、開閉モータAMが停止されることで、水皿24が開放状態で保持され、第1温度測定手段TH1で製氷室22の温度が除氷完了温度に到達したか否かが判定される。製氷機10は、角氷Rが製氷室22から離脱して、第1温度測定手段TH1が除氷完了温度を測定することで、開閉モータAMを逆駆動して水皿開閉機構28により水皿24を上昇すると共に、ホットガス弁HVを閉成して冷却ファンFMを駆動することで、製氷室22の冷却を開始する。また製氷機10では、水皿24の上昇開始と同時に、第2洗浄工程を開始する(ステップS8)。第2洗浄工程では、給水弁WVが開放されて水皿24の上面24aに給水機構30から融氷水を供給することで(ステップS9)、角氷Rの離脱に際して水皿24の上面24aに付着した氷片を融氷水により融解するまたは押し流すことができる。そして、第2洗浄工程は、追加洗浄時間だけ継続した後(ステップS10)、水皿24が上昇完了する前に給水弁WVを閉成して終了される(ステップS11)。そして製氷機10は、水皿24が水平状態に至ったことを切替えスイッチSWで検知すると、開閉モータAMを停止して除氷運転を終了して製氷運転に移行する。
図4に示す場合では、融氷水が設定温度未満の低い温度であるものの、第1洗浄工程で融氷水の温度が高い場合と比べて長く融氷水が供給されるので、角氷Rが離脱する前に水皿24の氷片を十分除去し得る。すなわち、融氷水の温度が低い場合であっても、製氷室22から離氷した角氷Rが水皿24の上面24aに残留した氷片に引っ掛かることはなく円滑に放出される。また、角氷Rの離脱に際して水皿24の上面24aに付着した氷片は、製氷水給水工程に先立って第2洗浄工程を行なうことで、ある程度除去してあるから、製氷水供給工程で供給する製氷水の温度が低くても氷片を確実に除去できる。すなわち、水皿24と製氷室22との間に噛み込んだ氷片を確実に除去できるので、開閉モータAMの故障や製氷室22や水皿24の破損等を好適に防止できると共に、製氷室22と水皿24との位置関係を設定通りに保持することができ、目的とする大きさおよび形状の角氷Rを適切に生成できる。
このように、実施例の運転方法によれば、第1洗浄工程において、融氷水の温度が低いときに洗浄時間を延ばしても、製氷室22から離氷するタイミングより前に水皿24への融氷水の供給を終了するので、角氷Rが製氷室22から離脱してストッカ12まで落下する過程で融氷水に接触することはない。また第2洗浄工程は、製氷室22から離氷完了した後に水皿24への融氷水の供給を開始するので、融氷水が角氷Rに接触することはない。すなわち、水皿24の上面24aを滑落してストッカ12に落下した角氷Rの外表面に融氷水が殆ど付着しないので、融氷水による該角氷Rの変形を防止できると共に、ストッカ12に落下した各角氷R同士が再氷結してブロック化することも防止できる。
(変更例)
本発明は、実施例の構成およびステップに限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1)実施例に係る製氷機の運転方法では、除氷準備工程、綿氷防止工程、起動初期運転および製氷水量制御を行なうが、これらを省略してもよい。例えば、除氷準備工程を省略した場合は、加算合計数値が目標積分値に達した際に除氷運転が終了される。
(2)実施例では、給水機構において水の供給または供給停止を行なう手段として、給水弁を用いたが、制御手段の制御下に水を適宜タイミングで供給し得る手段であれば、例えばポンプやその他の手段であってもよい。
(3)実施例では水源として水道等の外部水源を挙げたが、外部水源から一旦水を受けて貯留するタンクを設け、このタンクから水を供給する構成であってもよい。
(4)実施例では、制御手段によってタイミング制御する構成であるが、タイマ等の計時手段を制御手段と別体に設け、この計時手段により洗浄時間や停止時間等をカウントしてもよい。
(5)実施例では、製氷室と水皿とを上下の関係で配設した製氷機構を例に挙げたが、製氷室と水皿とを左右の関係で配設した所謂縦型の製氷機構にも、本願発明に係る運転方法を適用し得る。
本発明の好適な実施例に係る製氷機の運転方法に用いられる製氷機を示す側断面図である。 実施例の製氷機の制御ブロック図である。 実施例の製氷機において、各機器の動作状況を示すタイミングチャート図であって、融氷水の温度が設定温度以上の場合を示す。 実施例の製氷機において、各機器の動作状況を示すタイミングチャート図であって、融氷水の温度が設定温度未満の場合を示す。 実施例の除氷運転における洗浄工程を示すフローチャート図である。 製氷運転における加算合計数値を示す概念図である。 一般的な製氷機を示す概略図である。
符号の説明
22 製氷室(製氷部),24 水皿,24a 上面(製氷面),26 製氷水タンク,
30 給水機構,R 角氷(氷塊),TH1 第1温度測定手段(温度測定手段)

Claims (3)

  1. 冷却した製氷部(22)を水皿(24)で閉成した状態で、水皿(24)における製氷部(22)に対向する製氷面(24a)に給水機構(30)により供給した水を製氷水タンク(26)に回収して貯留し、該製氷水タンク(26)より圧送した水を該水皿(24)を介して製氷部(22)へ供給することで氷塊(R)を生成する製氷運転と、製氷部(22)を加温すると共に、水皿(24)を製氷部(22)から離間動作させて製氷部(22)を開放する過程で、該水皿(24)の製氷面(24a)に給水機構(30)から水を供給する第1洗浄工程を開始し、氷塊(R)を離脱した後に水皿(24)を製氷部(22)へ向けて近接動作させて製氷部(22)を閉成する除氷運転とを繰り返す製氷機の運転方法において、
    前記除氷運転では、
    前記第1洗浄工程を、前記製氷部(22)から氷塊(R)が離脱する前に終了し、
    前記給水機構(30)の水が設定温度未満である場合のみに、前記水皿(24)が前記製氷部(22)への近接動作を開始すると同時に、該水皿(24)が近接動作する時間より短い追加洗浄時間に亘って給水機構(30)から水を水皿(24)の製氷面(24a)へ供給する第2洗浄工程を行なう
    ことを特徴とする製氷機の運転方法。
  2. 前記製氷運転の初期段階において、前記水皿(24)から水が供給された前記製氷部(22)の温度を温度測定手段(TH1)により測定することで、前記給水機構(30)の水の温度を間接的に算出し、この算出した温度を前記設定温度として用いる請求項1記載の製氷機の運転方法。
  3. 前記第1洗浄工程は、
    前記給水機構(30)の水が設定温度以上である場合に、第1洗浄時間に亘って継続され、
    前記給水機構(30)の水が設定温度未満である場合に、第1洗浄時間より長く、かつ前記水皿(24)の離間動作が完了するまでに要する時間より短く設定した第2洗浄時間に亘って継続される請求項1または2記載の製氷機の運転方法。
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