JP2009019447A - 束石周り用の防蟻シート、該防蟻シートを用いた床下防蟻方法および床下防蟻構造 - Google Patents

束石周り用の防蟻シート、該防蟻シートを用いた床下防蟻方法および床下防蟻構造 Download PDF

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Abstract

【課題】既存の床組みの下に敷設することができ、防蟻シートの敷設作業の無駄を減らす。
【解決手段】本発明の束石周り用の防蟻シート2は、建築物の束石7の周りの地表を被覆するための束石周り用の防蟻シート2である。とくに、可撓性および防蟻機能を有するシート本体21を有し、前記シート本体21が、平面視で前記束石7を囲むような環状を呈しており、かつ、その内側の空間21a内への前記束石7の進入を可能にするように周方向の一部が開閉可能に分断されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、束石周り用の防蟻シート、該防蟻シートを用いた床下防蟻方法および床下防蟻構造に関する。さらに詳しくは、木造建築の床下が、白蟻によって蝕まれるのを防ぐための束石周り用の防蟻シート、該防蟻シートを用いた床下防蟻方法および床下防蟻構造に関する。
従来、木造の建築物において、布基礎で囲まれた領域の地表を、防蟻シートで被覆することによって、白蟻による侵蝕を防ぐことが行われている。特許文献1には、布基礎で囲まれた領域内に存在する、束石やパイプなどの構造物の周囲を、簡単に被覆するための防蟻シートが開示されている。この防蟻シートには、シートのほぼ中央に構造物を挿通させるための貫通穴が形成されている。そして、建築物の新築時に、床組みを施工する前の段階で、防蟻シートに形成された貫通穴に、束石やパイプなどの構造物を挿通させて防蟻シートを固定している。
特開平2−285132号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、建設途中の構造物の上部から被せることによって防蟻シートが敷設されるため、既存の建築物では、床組みが邪魔になって束石やパイプなどの構造物の周囲を被覆するための防蟻シートを敷設することができない。仮に、既存の建築物の床下に特許文献1の防蟻シートを敷設しようとすると、床組みの全て、あるいは、大部分を撤去した状態で防蟻シートを敷設するしかなく、大掛かりな工事になってしまう。
このため、従来は、築後の床下部分を防蟻する際には、作業者自身がその床下に入り込んで防蟻剤を散布する作業を行わなければならず、その作業の負担が大きい。
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、既存の床組みの下に敷設することができ、防蟻シートの敷設作業の無駄が少ない束石周り用の防蟻シート、該防蟻シートを用いた床下防蟻方法および床下防蟻構造を提供することを目的としている。
本発明の束石周り用の防蟻シートは、建築物の束石の周りの地表を被覆するための束石周り用の防蟻シートであって、可撓性および防蟻機能を有するシート本体を有し、前記シート本体が、平面視で前記束石を囲むような環状を呈しており、かつ、その内側の空間内への前記束石の進入を可能にするように周方向の一部が開閉可能に分断されていることにより、上記目的が達成される。
また、前記シート本体の外周縁の少なくとも一部に、防蟻剤を含む粘着テープが設けられていることが好ましい。
また、前記シート本体の前記分断された端部の少なくとも一方に、その端部同士を接続するための、防蟻剤を含む粘着テープが設けられていることが好ましい。
また、前記シート本体は、平面視で略矩形状の輪郭を有し、前記シート本体の周縁の粘着テープは、少なくとも外縁の隣り合う一組の辺に沿って設けられていることが好ましい。
さらに、本発明の床下防蟻方法は、布基礎により囲まれ、かつ、複数の箇所に束石が立設された床下を防蟻するための方法であって、前記布基礎の内周に沿って帯状の防蟻シートを敷設する第1工程と、前記各束石の周囲に、上記の束石周り用の防蟻シートを敷設する第2工程とを含み、前記第2工程では、前記各束石周り用の防蟻シートの分断された端部同士の間に前記束石を通した後にその端部同士を接合するようにして当該束石周り用の防蟻シートを敷設するとともに、各束石周り用の防蟻シートの外周縁をそれと隣り合う束石周り用の防蟻シートまたは前記帯状の防蟻シートと重なり合わせ、かつ、その重なり部分を相互に接合することにより、上記目的が達成される。
また、前記第2工程の前に、前記各束石周り用の防蟻シートの外周縁の少なくとも一部に防蟻剤を含む粘着テープを配置しておき、前記第2工程では、前記粘着テープを用いて前記各束石周り用の防蟻シートの外周縁とこれに重なり合う防蟻シートとを接合することが好ましい。
また、前記帯状の防蟻シートと前記束石周り用の防蟻シートとが重なり合った部分であって、前記帯状の防蟻シートと前記束石周り用の防蟻シートとが前記粘着テープにより接合されていない部分を別のテープにより相互に接合する工程を含むことが好ましい。
また、前記布基礎の内側に沿って、および、束石周りに沿って防蟻剤を充填する工程を含むことが好ましい。
さらに、本発明の床下防蟻構造は、布基礎により囲まれ、かつ、複数の箇所に束石が立設された床下を防蟻するための構造であって、前記布基礎の内周に沿って敷設される帯状の防蟻シートと、前記各束石の周囲に敷設される複数の上記の束石周り用の防蟻シートとを備え、前記各束石周り用の防蟻シートの分断された端部同士が接合されるとともに、前記各束石周り用シートの外周縁がそれと隣り合う束石周り用の防蟻シートまたは前記帯状の防蟻シートと重なり合い、かつ、その重なり部分が相互に接合されることにより、上記目的が達成される。
また、前記布基礎の内側に沿って、および、束石周りに沿って充填された防蟻剤とを有することが好ましい。
本発明の請求項1の束石周り用の防蟻シートは、平面視で環状のシート本体の周方向の一部が、開閉可能に分断されている。このことにより、地表から突出した束石などに、シート本体を上方から被せるのではなく、シート本体をほぼ水平に移動させて、シート本体の分断されている部分からシート本体の内側の空間へ束石を進入させることが可能であり、既存の床組みの下で束石周り用の防蟻シートを敷設することができるので、床組みを撤去する必要がなく、防蟻シートの敷設作業の無駄が少ない。
また、請求項2の束石周り用の防蟻シートによれば、シート本体の外周縁に粘着テープが設けられていることにより、シート本体を粘着テープにより固定しながら敷設することができるので、敷設作業の最中に、作業者の移動に伴ってシート本体がめくれてしまったり、シート本体が所定の位置からずれてしまったりするのを防ぐことができる。また、敷設作業の最中に粘着テープをセットする必要がないので、狭い床下での作業が容易になる。
また、請求項3の束石周り用の防蟻シートによれば、シート本体の分断された端部同士を接続するための粘着テープが設けられているので、シート本体の分断された隙間を塞ぐことができ、白蟻が防蟻シートの上面に這い上がってくるのを防止できる。また、敷設作業の最中に、作業者の移動に伴ってシート本体がめくれるのを防止することができる。
また、請求項4の束石周り用の防蟻シートによれば、シート本体の輪郭が平面視で略矩形状を呈し、さらに、シート本体の外周縁に設けられる粘着テープの位置を特定することにより、複数の束石周り用の防蟻シートを床下に敷設する場合に、作業の方向性が定まり、床下での防蟻シートの敷設作業を効率よく行うことができる。
さらに、本発明の請求項5の防蟻方法によれば、布基礎の内周に沿って敷設した帯状の防蟻シートと、各束石の周囲に敷設した上記束石周り用の防蟻シートとをその一部が重なるように配設して布基礎によって囲まれた領域を防蟻することにより、既存の床組みの下で束石周り用の防蟻シートを敷設することができるので、床組みを撤去する必要がなく、防蟻シートの敷設作業の無駄が少ない。
また、請求項6の床下防蟻方法によれば、粘着テープを各束石周り用の防蟻シートの外周縁に予め設けることにより、重なり合う防蟻シートの接合作業を効率よく行うことができる。
また、請求項7の床下防蟻方法によれば、別のテープで、帯状の防蟻シートと束石周り用の防蟻シートとが重なりあった部分であって、帯状の防蟻シートと束石周り用の防蟻シートとが粘着テープにより接合されていない部分の隙間を塞ぐことにより、この隙間から白蟻が防蟻シートの上面に這い上がるのを防止することができる。さらに、防蟻シートの隙間をテープによって塞ぐことにより、床下を防湿することができる。
また、請求項8の床下防蟻方法によれば、防蟻剤が、束石周りおよび布基礎の内周という、防蟻シートとの隙間が生じ易い箇所に沿って充填されることにより、白蟻が防蟻シートの上面に這い上がるのを確実に防止することができる。
さらに、本発明の請求項9の床下防蟻構造によれば、布基礎の内周に沿って敷設した帯状の防蟻シートと、各束石の周囲に敷設した束石周り用の防蟻シートとが、その一部が重なるように配設されているので、布基礎によって囲まれた領域を隙間なく防蟻することができる。
また、請求項10の床下防蟻構造によれば、防蟻剤が、束石周りおよび布基礎の内周という、防蟻シートとの隙間が生じ易い箇所に沿って充填されていることにより、白蟻が防蟻シートの上面に這い上がるのを確実に防止することができる。
本発明の束石周り用の防蟻シートは、建築物の束石の周りの地表を被覆するための束石周り用の防蟻シートである。とくに、可撓性および防蟻機能を有するシート本体を有し、シート本体が、平面視で束石を囲むような環状を呈しており、かつ、その内側の空間内への束石の進入を可能にするように周方向の一部が開閉可能に分断されている。
ここで、本明細書中で束石とは、布基礎によって囲まれた領域内に地表から突出するように設けられたものを意味しており、束石、鉄筋コンクリートなどの独立基礎、パイプなどの配管を含む概念である。
以下で、本発明の束石周り用防蟻シート、該防蟻シートを用いた床下防蟻方法および床下防蟻構造について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の束石周り用の防蟻シート(以下、束石周り用防蟻シートという)2は、木造建築物の床下において、地表から突出するように設けられた束石の周囲を被覆して、白蟻が地面から床組みまで這い上がるのを防ぐ。図1は、実施の形態1の防蟻シートを説明するための斜視図であり、(a)は、束石などの周りに敷設する束石周り用防蟻シート2を示している。束石周り用防蟻シート2は、図1(a)に示されるように、可撓性および防蟻機能を有するシート本体21と、シート本体21に設けられた粘着テープ22とから構成されている。
シート本体21は、図1(a)に示されるように、平面視で環状を呈しており、さらに、その輪郭は平面視で略矩形状を呈している。また、シート本体21は、その周方向の一部が開閉可能に分断されている。具体的には、シート本体21の輪郭は、略正方形状を呈している。また、本体21の内周縁の輪郭は、略矩形状を呈している。本実施の形態では、シート本体21によって、平面視で略矩形状の束石が囲まれる。また、シート本体21は、その一箇所でシート本体21の外縁から内縁に向けて(内縁から外縁へ向けて)分断されている。したがって、シート本体21には、端部sが形成される。束石周り用防蟻シート2を束石の周りに配設する際には、束石を、端部sの間を通過させて、束石周り用防蟻シート2の内側の空間21a内へ進入させる。
また、本実施の形態では、日本古来の標準化された寸法に準拠して、防蟻シートのサイズを特定している。図2は、床下の布基礎6および束石7の配置間隔を説明するための床下の平面図である。図2に示されるように、束石7は布基礎6によって囲まれた領域内に所定の間隔で配置されている。この間隔は、日本古来の標準化された寸法である。一般的に、日本の建築物は、隣り合う束石7の中心間隔d1が、1間(約1810mm)の半分、すなわち、約900mm程度になるように設計され、束石7と布基礎6との中心間隔d2についても同様に、約900mm程度になるように設計されている。
シート本体21の1辺の長さは、900mm以上であることが好ましい。1辺の長さが、900mm未満であると、防蟻シート同士を重ねることができず、地表を隙間無く被覆することが困難になる。また、1辺の長さは、1200mm以下であることがより好ましい。1辺の長さが、1200mmを超えると、床下でのシート本体21の持ち運びが困難になり、また、防蟻シートの重なり部分が必要以上に大きくなるため、防蟻シートを浪費してしまう。本実施の形態では、シート本体21の1辺の長さが、1000mmのものを使用している。これにより、複数の防蟻シートを床下に敷き詰めた場合に、隣り合う防蟻シートの間に隙間が発生したり、あるいは、隣り合う防蟻シートの重なり部分の面積が不必要なまでに大きくなってしまうなどの不都合が生じない。
シート本体21の材質としては、とくに限定されるものではなく、従来から防蟻シートに用いられているものを使用することができる。たとえば、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、低密度ポリエチレン等のポリエチレン・ポリプロピレン・エチレン−aオレフィン共重合体等に代表されるオレフィン系素材、PVC(ポリ塩化ビニル)、ABS樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂等があげられる。とくに、EVA、低密度ポリエチレン、軟質PVCといった柔軟性に富んだ材料は、設置作業時の折り曲げ等が容易であるため、作業性向上の観点から好ましい。さらに、これらの防蟻シートの防蟻効果を高めるべく、上記のシート材にプレスロイド様殺虫剤やプレスロイド系殺虫剤や有機リン系殺虫剤等に代表される防蟻薬剤を練り込んでもよい。
粘着テープ22は、片面のみに粘着面が施され、その粘着面に防蟻剤を含む粘着テープである。粘着テープ22は、図1(a)に示されるように、シート本体21の表側(地表に接しない側)に、粘着テープ22の幅のほぼ半分が、シート本体21の外縁から突出するように、シート本体21の外縁に沿って貼り付けられている。
粘着テープ22は、シート本体21の貼り付け位置に応じて、第1粘着テープ22aと、第2粘着テープ22bと、第3粘着テープ22cとに分けられる。具体的には、シート本体21の外縁の隣り合う一組の辺であって、シート本体21が分断された端部sの存在しない辺、すなわち、図1(a)では、上辺2Aに沿って、第1粘着テープ22aが設けられ、左辺2Bに沿って、第2粘着テープ22bが設けられている。また、シート本体21の分断されたいずれか一方の端部sに第3粘着テープ22cが設けられている。第1粘着テープ22aおよび第2粘着テープ22bが他の防蟻シートとシート本体21とを接合するものであるのに対し、第3粘着テープ22cは、シート本体21の分断された端部s同士を接合するものである。
このように、シート本体21の外周縁に設けられる第1粘着テープ22aおよび第2粘着テープ22bの位置を特定することにより、防蟻シートの敷設作業の方向性が定まる。
さらに、この粘着テープ22は、防蟻シートと防蟻シートとを接合する機能のほかに、防蟻シートと防蟻シートとの隙間を粘着テープ22により塞ぐ機能をも有する。これにより、白蟻が防蟻シートの上面に這い上がってくるのを防ぐことができ、加えて、床下を防湿することができる。
つぎに、本実施の形態の束石周り用防蟻シート2を用いた床下防蟻方法および床下防蟻構造について以下で説明する。本実施の形態の床下防蟻構造は、(1)布基礎周り防蟻シート3の敷設、(2)束石周り用防蟻シート2の敷設、(3)被覆テープ41の貼り付けおよび(4)防蟻剤bの充填を経て、設置される。
(1)布基礎周り防蟻シート3の敷設
図3は、布基礎の内周に沿って帯状の防蟻シートを敷設する工程を説明するための床下の平面図である。
まず、作業者は、床下に潜り込んで、布基礎の内周に沿って、帯状の防蟻シート(以下、布基礎周り防蟻シートという)3を敷設する。布基礎周り防蟻シート3としては、とくに限定されるものではなく、たとえば、幅が400〜600mm程度の、従来から防蟻シートとして用いられているものを使用することができる。本実施の形態では、幅が500mmの布基礎周り防蟻シートを用いている。図1(b)は、布基礎周り防蟻シート3を説明するための斜視図である。作業者は、図1(b)に示されるようなロール状に巻かれた布基礎周り防蟻シート3を床下の敷設箇所まで持ち運び、布基礎6の長手方向に沿って転がしながら布基礎周り防蟻シート3を配置する。
具体的には、図3に示されるように、最初に、布基礎61の長手方向に沿って布基礎周り防蟻シート3を配置する。そして、布基礎61に沿って配置された布基礎周り防蟻シート3の布基礎側の3箇所に、くぎ5を布基礎周り防蟻シート3の表面から地面に打ち込むことにより、布基礎周り防蟻シート3を固定する。
つぎに、布基礎62または布基礎64のそれぞれに、長手方向に沿って布基礎周り防蟻シート3を配置する。このとき、布基礎61に沿って先に敷設された布基礎周り防蟻シート3の上に、布基礎62または布基礎64に沿って後に配置される布基礎周り防蟻シート3の端部が重なるように配置する。そして、布基礎62または布基礎64に沿って配置された布基礎周り防蟻シート3の布基礎側の3箇所に、くぎ5を布基礎周り防蟻シート3の表面から地面に打ち込むことにより、布基礎周り防蟻シート3を固定する。
最後に、布基礎63の長手方向に沿って布基礎周り防蟻シート3を配置する。このとき、布基礎62および布基礎64に沿って先に敷設された布基礎周り防蟻シート3の上に、布基礎63に沿って後に配置される布基礎周り防蟻シート3の端部が重なるように配置する。そして、布基礎63に沿って配置された布基礎周り防蟻シート3の布基礎側の3箇所に、くぎ5を布基礎周り防蟻シート3の表面から地面に打ち込むことにより、布基礎周り防蟻シート3を固定する。このようにして、布基礎6の内周側に沿った部分の地表が布基礎周り防蟻シート3によって覆われる。
(2)束石周り用防蟻シート2の敷設
図4は、束石7の周りに束石周り用防蟻シート2を敷設する工程について説明するための床下の平面図である。はじめに、布基礎6の入角部に最も近い位置にある束石71の周りの地表を、束石周り用防蟻シート2で被覆する。作業者は、束石周り用防蟻シート2を束石71の位置まで運ぶ。まず、束石71がシート本体21の分断された端部sの間を通過するようにして、束石71を束石周り用防蟻シート2の内側空間21a内に進入させて、束石周り用防蟻シート2を束石71の周囲に配備する。次いで、束石周り用防蟻シート2の上辺2Aが、布基礎64に沿って先に敷設された布基礎周り防蟻シート3の上に重なるように、かつ、束石周り用防蟻シート2の左辺2Bが、布基礎61に沿って先に敷設された布基礎周り防蟻シート3上に重なるように、束石周り用防蟻シート2を配置する。最後に、束石周り用防蟻シート2の上辺2Aに設けられた第1粘着テープ22aの剥離紙を剥がし取りながら、第1粘着テープ22aを、布基礎64に沿って敷設された布基礎周り防蟻シート3に貼り付ける。また、束石周り用防蟻シート2の左辺2Bに設けられた第2粘着テープ22bの剥離紙を剥がし取りながら、第2粘着テープ22bを、布基礎61に沿って敷設された布基礎周り防蟻シート3に貼り付ける。さらに、シート本体21の分断された部分を、端部sに沿って設けられた第3粘着テープ22cで接合する。
つぎに、束石71に隣り合う束石72または束石74の周りの地表を覆うように、それぞれ、束石71に束石周り用防蟻シート2を敷設した時と同じ手順で、束石周り用防蟻シート2を敷設する。このとき、束石72の周りに敷設する束石周り用防蟻シート2の上辺2Aが、布基礎64に沿って先に敷設された布基礎周り防蟻シート3の上に重なるように、かつ、左辺2Bが、束石71の周りに先に敷設された束石周り用防蟻シート2の右辺2D側の上に重なるように、束石周り用防蟻シート2を配置する。また、束石74の周りに敷設する束石周り用防蟻シート2の上辺2Aが、布基礎61に沿って先に敷設された布基礎周り防蟻シート3の上に重なるように、かつ、左辺2Bが、束石71の周りに先に敷設された束石周り用防蟻シート2の下辺2C側の上に重なるように、束石周り用防蟻シート2を配置する。
束石73、束石75、束石76についても同様に、先に敷設された隣接する防蟻シートの上に、束石周り用防蟻シート2の第1粘着テープ22aおよび第2粘着テープ22bが施された隣り合う1組の辺を重ねて敷設していく。したがって、防蟻シートの敷設作業は、図4の紙面左上から紙面右下へ向けて行われる。
このように、敷設作業を、防蟻シートを固定しながら方向性を持って行うことにより、作業者の移動に伴って、一度所定の位置に配置した防蟻シートがずれてしまったり、めくれあがったりすることなく、効率よく作業を進めることができる。
(3)被覆テープ41の貼り付け
図5は、各束石71〜76の周りに束石周り用防蟻シート2を敷設し終えた状態を説明するための床下の平面図である。図5中の点影で示される部分は、粘着テープ22が施されている箇所を示している。図5に示されるように、束石周り用防蟻シート2を敷設し終えた段階で、束石74、束石75、束石76の周囲に敷設された束石周り用防蟻シート2の下辺2Cの部分と、布基礎62に沿って敷設された布基礎周り防蟻シート3とは接合されていない。また、束石周り用防蟻シート2を敷設し終えた段階で、束石76、束石73の周囲に敷設された束石周り用防蟻シート2の右辺2Dの部分と、布基礎63に沿って敷設された布基礎周り防蟻シート3とは接合されていない。したがって、白蟻が防蟻シート上に這い上がるのを防止するために、布基礎周り防蟻シート3と束石周り用防蟻シート2とが重なり合った部分であって、布基礎周り防蟻シート3と束石周り用防蟻シート2とが粘着テープ22によって接合されていない部分を別の被覆テープ41により相互に接合する必要がある。
図6は、被覆テープ41の貼り付け箇所を説明するための床下の平面図である。図6中の点影で示される部分は、被覆テープ41が施されている部分を示している。図6に示されるように、作業者は、防蟻機能を有する被覆テープ41を、束石74の周りの束石周り用防蟻シート2の下辺2C、束石75の周りの束石周り用防蟻シート2の下辺2C、束石76の周りの束石周り用防蟻シート2の下辺2Cに沿って貼り付ける。また、作業者は、被覆テープ41を、束石73の周りの束石周り用防蟻シート2の右辺2D、束石76の周りの束石周り用防蟻シート2の右辺2Dに沿って貼り付ける。また、作業者は、適宜、布基礎周り防蟻シート3同士が重なり合っている部分にも、被覆テープ41を貼り付ける。このように、防蟻シート同士が重なり合った部分であって、粘着テープによって接合されていない部分を、別のテープで被覆することにより、白蟻の侵入を防ぐとともに、地面からの湿気を遮断して、床下を防湿することができる。
(4)防蟻剤bの充填
最後に、各束石の表面とシート本体21の内周縁との隙間、および、布基礎6の内周面と布基礎周り防蟻シート3の側縁との隙間から、白蟻が防蟻シートの上に這い上がるのを防ぐために、これらの隙間に沿って防蟻剤を充填する。図7(a)は、防蟻剤bの充填前の束石周り用防蟻シート21と束石7を示す断面図であり、(b)は、防蟻剤bを束石7の外周面に沿って充填した状態を示す断面図であり、(c)は、束石周り用防蟻シート2の縁をくぎ5で固定した状態を示す断面図である。
図7(b)に示されるように、防蟻剤bの溜まり部を作るために、作業者は、防蟻シートの縁をめくり上げて、地面Gを束石7の外周面に沿って若干掘り下げる。そして、この掘り下げて形成された防蟻剤bの溜まり部に沿って、防蟻剤bを充填する。防蟻剤bとしては、とくに限定されるものではなく、従来から防蟻剤として用いられている薬液を使用することができる。
つぎに、図7(c)に示されるように、作業者は、充填した防蟻剤bの上から束石周り用防蟻シート2の縁を被せる。そして最後に、防蟻シートの縁をくぎ5で地面Gに固定して床下防蟻構造が完成する。
以上の実施の形態によれば、束石周り用防蟻シート2は、平面視で環状のシート本体21の一部が、開閉可能に分断されている。このことにより、地表から突出した束石などにシート本体21を上方から被せるのではなく、シート本体21をほぼ水平に移動させて、シート本体21の分断されている部分からシート本体21の内側の空間へ束石を進入させることが可能である。したがって、既存の床組みの下で束周り用の防蟻シートを敷設することができるので、既存の床組みをわざわざ撤去する必要がなく、防蟻シートの敷設作業の無駄を減らすことができる。
なお、上記実施の形態1では、束石周り用防蟻シート2が平面視で略四角形を呈している形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、束石周り用防蟻シートが、平面視で略三角形、略五角形、略六角形などの多角形であってもよい。
また、上記実施の形態1では、各束石の間隔および束石と布基礎との間隔が、全て等間隔である形態について説明したが、本発明はこれに限定されるもではなく、図8に示されるように、土間8などが設けられて、束石と布基礎との間隔が、一部異なる場合にも、対応することが可能である。この場合、束石周り用防蟻シートを一部切り取って使用したり、帯状の布基礎周り防蟻シートを適宜活用して使用してもよい。
また、上記実施の形態1では、本発明の束石周り用防蟻シート2を既存の木造建築物の床下に敷設した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、建築物を新築または改築する場合などに、床組みが形作られる前の段階で本発明の束石周り用防蟻シートを敷設してもよい。
また、上記実施の形態1では、束石周り用防蟻シート2の2辺に沿って第1粘着テープ22a、第2粘着テープ22bを設けた形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、粘着テープを防蟻シート2の3辺または4辺に沿って設けてもよい。
また、上記実施の形態1では、束石周り用防蟻シート2に予め粘着テープ22が設けられている形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、粘着テープは、束石周り用防蟻シートを配置した後に設けてもよい。
また、上記実施の形態1では、シート本体21の内周縁の輪郭が平面視で略矩形状を呈している場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、束石の平面形状に応じて、シート本体21の内周縁の輪郭を、多角形状、楕円形状、円形状などにしてもよい。
また、上記実施の形態1では、束石が約900mm間隔で配置されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の束周り用防蟻シート2を束石が約1800mm(一間)間隔で配置されている場合に用いてもよい。この場合、束石周り用防蟻シートと束石周り用防蟻シートとの間に帯状の防蟻シートを2列並べて敷設することになる。
また、上記実施の形態1では、束石周り用防蟻テープ2の分断された端部sに跨るように第3粘着テープ22cを配置して、分断された端部sを接合している形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、両面に粘着面を有するテープを、分断された端部sのいずれか一方に設け、端部s同士が重なるようにして束周り用防蟻テープ2の分断された端部sを接合してもよい。
実施の形態1の防蟻シートを説明するための斜視図であり、(a)は、束石の周りに敷設する束石周り用防蟻シートを示し、(b)は、布基礎の内周に沿って敷設する布基礎周り防蟻シートを示す。 床下の布基礎6および束石7の配置間隔を説明するための床下の平面図である。 実施の形態1の束石周り用防蟻シートを用いた床下防蟻方法を説明するための床下の平面図であり、布基礎の内側に沿って布基礎周り防蟻シートを敷設した状態を示している。 実施の形態1の束石周り用防蟻シートを用いた床下防蟻方法を説明するための床下の平面図であり、束石の周りに束石周り用防蟻シートを敷設する順序を説明するための図である。 実施の形態1の束石周り用防蟻シートを用いた床下防蟻方法を説明するための床下の平面図であり、全ての束石の周りに束石周り用防蟻シートを敷設し終えた状態を示している。 実施の形態1の束石周り用防蟻シートを用いた床下防蟻方法を説明するための床下の平面図であり、布基礎の内側に沿って敷設された布基礎周り防蟻シートと束石の周りに敷設された束石周り用防蟻シートとの境界部を被覆する被覆テープを貼り付ける箇所を示している。 実施の形態1の束石周り用防蟻シートを用いた床下防蟻方法において、防蟻シートと基礎との隙間に防蟻用の薬液を充填する手順を説明するための断面図であり、(a)は、薬液を塗布する前の状態を示し、(b)は、薬液を充填した状態を示し、(c)は、薬液を充填した上で防蟻シートを地面に固定した状態を示している。 本発明の束石周り用防蟻シートを用いた床下防蟻方法の他の例を説明するための床下の平面図である。
符号の説明
2 束石周り用防蟻シート(束石周り用の防蟻シート)
21 シート本体
22 粘着テープ
22a 第1粘着テープ(シート本体の外周縁に設けられた粘着テープ)
22b 第2粘着テープ(シート本体の外周縁に設けられた粘着テープ)
22c 第3粘着テープ(端部同士を接続するための粘着テープ)
3 布基礎周り防蟻シート(帯状の防蟻シート)
41 被覆テープ(別のテープ)
6、61、62、63、64 布基礎
7、71、72、73、74、75、76 束石
s 端部

Claims (10)

  1. 建築物の束石の周りの地表を被覆するための束石周り用の防蟻シートであって、
    可撓性および防蟻機能を有するシート本体を有し、
    前記シート本体が、平面視で前記束石を囲むような環状を呈しており、かつ、その内側の空間内への前記束石の進入を可能にするように周方向の一部が開閉可能に分断されている束石周り用の防蟻シート。
  2. 前記シート本体の外周縁の少なくとも一部に、防蟻剤を含む粘着テープが設けられている請求項1記載の束石周り用の防蟻シート。
  3. 前記シート本体の前記分断された端部の少なくとも一方に、その端部同士を接続するための、防蟻剤を含む粘着テープが設けられている請求項1または2記載の束石周り用の防蟻シート。
  4. 前記シート本体は、平面視で略矩形状の輪郭を有し、前記シート本体の周縁の粘着テープは、少なくとも外縁の隣り合う一組の辺に沿って設けられている請求項1、2または3記載の束石周り用の防蟻シート。
  5. 布基礎により囲まれ、かつ、複数の箇所に束石が立設された床下を防蟻するための方法であって、
    前記布基礎の内周に沿って帯状の防蟻シートを敷設する第1工程と、
    前記各束石の周囲に、請求項1〜4のいずれかに記載の束石周り用の防蟻シートを敷設する第2工程とを含み、
    前記第2工程では、前記各束石周り用の防蟻シートの分断された端部同士の間に前記束石を通した後にその端部同士を接合するようにして当該束石周り用の防蟻シートを敷設するとともに、各束石周り用の防蟻シートの外周縁をそれと隣り合う束石周り用の防蟻シートまたは前記帯状の防蟻シートと重なり合わせ、かつ、その重なり部分を相互に接合することを特徴とする床下防蟻方法。
  6. 前記第2工程の前に、前記各束石周り用の防蟻シートの外周縁の少なくとも一部に防蟻剤を含む粘着テープを配置しておき、前記第2工程では、前記粘着テープを用いて前記各束石周り用の防蟻シートの外周縁とこれに重なり合う防蟻シートとを接合することを特徴とする請求項5記載の床下防蟻方法。
  7. 前記帯状の防蟻シートと前記束石周り用の防蟻シートとが重なり合った部分であって、前記帯状の防蟻シートと前記束石周り用の防蟻シートとが前記粘着テープにより接合されていない部分を別のテープにより相互に接合する工程を含む請求項6記載の床下防蟻方法。
  8. 前記布基礎の内側に沿って、および、束石周りに沿って防蟻剤を充填する工程を含む請求項5、6または7記載の床下防蟻方法。
  9. 布基礎により囲まれ、かつ、複数の箇所に束石が立設された床下を防蟻するための構造であって、
    前記布基礎の内周に沿って敷設される帯状の防蟻シートと、
    前記各束石の周囲に敷設される複数の請求項1〜4のいずれかに記載の束石周り用の防蟻シートとを備え、
    前記各束石周り用の防蟻シートの分断された端部同士が接合されているとともに、
    前記各束石周り用シートの外周縁がそれと隣り合う束石周り用の防蟻シートまたは前記帯状の防蟻シートと重なり合い、かつ、その重なり部分が相互に接合されていることを特徴とする床下防蟻構造。
  10. 前記布基礎の内側に沿って、および、束石周りに沿って充填された防蟻剤とを有する請求項9記載の床下防蟻構造。
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