JP2009018329A - ハット形鋼矢板の熱間圧延方法 - Google Patents

ハット形鋼矢板の熱間圧延方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧延ロールの折損や極端な磨耗を防止しつつ、有効幅が900mm前後の大型のハット形鋼矢板を安定して製造する。
【解決手段】全幅が900〜1000mm、全高さが230〜470mmのハット形鋼矢板の熱間圧延方法である。1250℃以上に加熱した鋼片を、上下2重式ロールの粗圧延機2にて複数パスの圧延を行った後、最小ロール径が750〜950mmの上下2重式ロールの、少なくとも1基の中間圧延機近傍における圧延前の被圧延材ウエブ中央部近傍の表面温度Tを700℃以上とし、かつ被圧延材ウエブ中央部近傍の圧延1パス当たりの肉厚圧下率rを、表面温度Tが900℃以上のときは24%以下、800℃以上、900℃未満のときは17%以下、700℃以上、800℃未満のときは11%以下となるように設定して圧延する。
【効果】圧延ロールのクラックの発生および進展に伴う折損や極端な磨耗を未然に防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハット形鋼矢板の製造方法に係り、詳しくは土木・建築分野の工事に用いられる左右非対称の継手を有するハット形鋼矢板を熱間圧延で製造する方法に関するものである。
従来のU形鋼矢板を使用した壁体形成では、1枚毎に鋼矢板を上下逆方向にして打設しなければならないために施工期間が長くなる場合がある。また、小型のH形鋼を用いた施工法に比して壁体の厚み(幅)が大きくなるので、土地の有効活用の観点から隣接地との近接施工が要求される都市近郊部での施工に向かない。
このような問題点を解決すべく、本出願人は、まったく新しい非対称継手を有するU形鋼矢板(ハット形鋼矢板)を、特許文献1で開示した。
特開平5−140928号公報
また、本出願人は、当該非対称継手を有するU形鋼矢板(ハット形鋼矢板)を熱間圧延で製造する方法を、特許文献2〜4で開示した。
特開平8−117801号公報 特開平10−71401号公報 特開2001−15002号公報
また、最近では、有効幅(左右の継手と継手の軸心間距離)が900mmで、有効高さが230mmや300mmの大型のハット形鋼矢板が開発され、その製造方法が、特許文献5,6などで開示されている。
特開2005−144496号公報 特許3709889号公報
しかしながら、前記大型のハット形鋼矢板を熱間圧延する際には、被圧延材の幅が900mm〜1000mmとなるため、有効幅が600mm以下の従来の鋼矢板を熱間圧延する際に比べて、圧延荷重が1.5〜2倍程度高くなる。
したがって、圧延ロールに作用する負荷もその分大きくなり、圧延ロールの磨耗やヒートクラックの発生が激しくなって被圧延材の表面品質を悪化させ、最悪の場合、高い圧延荷重が繰返されることによる疲労が原因となって圧延ロールの折損事故を招いていた。
この傾向は、粗圧延に比べて使用するロール径が小さく、かつ圧延温度も粗圧延に比べて低温になりやすい中間圧延において著しい。
一方、仕上げ圧延では、中間圧延に比べてさらに被圧延材の温度は低下するが、肉厚圧下については粗圧延や中間圧延に比べて小さく、被圧延材両端の継手部(爪部)を中心とした限定された圧延になるので、ロールの折損トラブルの懸念は無い。
本発明が解決しようとする問題点は、有効幅が900mm前後の大型のハット形鋼矢板の熱間圧延では、特に中間圧延時に圧延ロールの磨耗やヒートクラックの発生が激しくなって被圧延材の表面品質を悪化させ、最悪の場合、高い圧延荷重の繰返しによる疲労が原因となって圧延ロールの折損事故を招いていたという点である。
本発明は、圧延ロールの折損や極端な磨耗を防止しつつ、有効幅が900mm前後の大型のハット形鋼矢板を、安定した熱間圧延により製造することが可能な熱間圧延方法を提供することを目的としている。
すなわち、本発明のハット形鋼矢板の熱間圧延方法は、
全幅が900〜1000mm、全高さが230〜470mmの被圧延材を熱間圧延してハット形鋼矢板を製造する方法であって、
1250℃以上に加熱した鋼片を、上下2重式ロールからなる粗圧延機にて複数パスの圧延を行った後、
最小ロール径が750〜950mmの上下2重式ロールの、少なくとも1基の中間圧延機近傍における圧延前の被圧延材ウエブ中央部近傍の表面温度Tを700℃以上とし、
かつ被圧延材ウエブ中央部近傍の圧延1パス当たりの肉厚圧下率rが、
前記表面温度Tが900℃以上のときは24%以下、800℃以上、900℃未満のときは17%以下、700℃以上、800℃未満のときは11%以下となるように設定して圧延することを最も主要な特徴としている。
本発明のハット形鋼矢板の熱間圧延方法における前記圧延前の被圧延材ウエブ中央部近傍の表面温度Tの検出は、前記中間圧延機の前方および後方の圧延ライン上に設置した放射温度計により行えば、正確な表面温度の検出が行える。
また、本発明のハット形鋼矢板の熱間圧延方法において、前記粗圧延機での圧延後、中間圧延機に至るまでの被圧延材の搬送途中で、該被圧延材の先端部若しくは後端部のクロップを切断しないようにする、或いは該被圧延材の先端部若しくは後端部のクロップを切断する際に、該被圧延材を保温カバーで覆うようにすれば、前記各温度範囲での肉厚圧下率を満足できやすくなる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
(1) 圧延ロールのヒートクラック発生に伴う被圧延材の表面品質の悪化、およびクラック進展に伴う折損や極端な磨耗を未然に防止できる。
(2) ロールの改削を極力抑制した状態で使用することが可能になるので、圧延ロールを長期間経済的に使用できる。
(3) 過大な圧延荷重に伴うロールのたわみに起因する被圧延材のねじれや圧延機のモータートリップによる圧延トラブルや品質不良品の発生を防止できる。
以下、本発明を実施するための形態とともに最良の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
発明者らは、有効幅が900mm前後の大型のハット形鋼矢板を熱間圧延する際の圧延荷重とウエブ中央部近傍の圧延温度、および圧延荷重と被圧延材のウエブ中央部近傍の肉厚圧下率を圧延パスごとに計測し解析した。その結果、特定の圧延温度の範囲では圧延荷重と被圧延材のウエブ中央部近傍の肉厚圧下率との間にほぼ線形の関係があることを見出した。
図1は、ハット形鋼矢板の製造に際し、全幅(最大幅)が900〜1000mm、全高さ(最大高さ)が230〜470mmの被圧延材を、粗圧延、中間圧延および仕上げ圧延とも上下2重式の孔型ロールを用いて熱間圧延した場合に、粗圧延終了後の中間圧延において、圧延パスごとに計測した圧延荷重と被圧延材のウエブ中央部近傍の肉厚圧下率rとの関係を、特定の圧延温度の範囲ごとに整理したものである。
なお、ここでいう肉厚圧下率r(%)は、以下のように定義される。
r=ln(被圧延材の圧延前の特定部位の肉厚/被圧延材の圧延後の特定部位の肉厚)×100
この図1の結果を得た鋼矢板は、図4(a)に示したSP−10Hや、図4(b)に示したSP−25Hの全幅と略同じ全幅で、全高さもSP−10H(230〜400mm)やSP−25H(300〜470mm)の全高さと略同じである。
図1中、黒色でプロットした点は圧延温度が700℃以上800℃未満の圧延荷重の例を、灰色でプロットした点は圧延温度が800℃以上900℃未満の圧延荷重の例を、白色でプロットした点は圧延温度が900℃以上の圧延荷重の例を示している。各々被圧延材ウエブ中央部近傍の温度計測直後に中間圧延を行った際の被圧延材ウエブ中央部近傍の肉厚圧下率を横軸にとりプロットしたものである。
また、図1中の横2重線は、アダマイト鋳鋼製で、ロール胴長が2500mm、最小ロール径が750mm〜950mmの前記中間圧延機のロール疲労寿命から算定した圧延荷重の上限値900トンであって、当該圧延荷重の上限値を超えないように、すなわち圧延荷重が900トン以下になるように圧延パス毎の肉厚圧下率を調整する必要がある。
具体的には、粗圧延の最終パスでの被圧延材の厚みを薄くする、或いは中間圧延での圧延パス回数を増やし、1パス当たりの肉厚圧下率を抑制するなどの方法をとる。ここでいう最小ロール径とは、図5(a)に示した中間圧延用ロールの孔型において、上下ロールのカラー部(上下ロールの両端部)を除く範囲での最小のロール直径を指す。また、ロール胴長とは、上下ロールのカラー部を除く中央部分の軸方向長さを言う。
また、図1中の斜め方向に引いた実線、一点鎖線および破線は、発明者らが実機試験を通じて得た各々圧延温度が700℃±10℃、800℃±10℃、900℃±10℃の圧延荷重に関する膨大な測定値(プロットしたデータを含む)の回帰曲線を表す。
また、図1の範囲A、範囲Bおよび範囲Cは、圧延温度が各々700℃以上800℃未満、800℃以上900℃未満、900℃以上とした際の、圧延荷重上限値を超えないために設定し得る肉厚圧下率の範囲を示しており、具体的には範囲Aの肉厚圧下率の上限は0.11(11%)、範囲Bの肉厚圧下率の上限は0.17(17%)、範囲Cの肉厚圧下率の上限は0.24(24%)である。
この図1から、圧延ロールの折損等のトラブルを起こさないようにするためには、圧延前の被圧延材ウエブ中央部近傍の表面温度Tを計測し、当該温度Tの範囲によって、肉厚圧下率rを以下のように設定することが望ましいといえる。
(1) T≧900℃の場合はr≦24%
(2) 900℃>T≧800℃の場合はr≦17%
(3) 800℃>T≧700℃の場合はr≦11%
具体的には、中間圧延機および仕上げ圧延機の各孔型の各パスにおける圧延前の被圧延材ウエブ中央部表面温度を推定し、該推定温度に応じて当該パスの肉厚圧下率を前記の上限値を越えない範囲で決定し、各圧延機の各孔型の各パスのロール開度を設定する。
本発明のハット形鋼矢板の熱間圧延方法は、前記の知見に基づいてなされたものであり、
全幅が900〜1000mm、全高さが230〜470mmの被圧延材を熱間圧延してハット形鋼矢板を製造する方法であって、
1250℃以上に加熱した鋼片を、上下2重式ロールからなる粗圧延機にて複数パスの圧延を行った後、
最小ロール径が750〜950mmの上下2重式ロールの、少なくとも1基の中間圧延機近傍における圧延前の被圧延材ウエブ中央部近傍の表面温度Tを700℃以上とし、
かつ被圧延材ウエブ中央部近傍の圧延1パス当たりの肉厚圧下率rが、
前記表面温度Tが900℃以上のときは24%以下、800℃以上、900℃未満のときは17%以下、700℃以上、800℃未満のときは11%以下となるように設定して圧延することを特徴とするものである。
本発明において、被圧延材の全幅(最大幅)を900〜1000mmのものに限定したのは、900mm未満になると粗圧延および中間圧延における孔型を工夫しても、図4に示すハット型鋼矢板(SP−10HおよびSP−25H)の製品全幅が所定寸法よりも過小になるからである。逆に1000mmを超えると図4に示すハット型鋼矢板(SP−10HおよびSP−25H)の製品全幅が所定寸法よりも過大になるほか、圧延荷重も過大になるためロール折損や磨耗が生じやすくなる等、操業上の問題が生じることになるからである。
また、本発明において、被圧延材の全高さ(最大高さ)を230〜470mmのものに限定したのは、230mm未満になると粗圧延および中間圧延における孔型を工夫しても図4(a)に示すハット型鋼矢板(SP−10H)の全高さが所定寸法よりも過小になるからである。逆に470mmを超えると図4(b)に示すハット型鋼矢板(SP−25H)の全高さが所定寸法よりも過大になるほか、孔型が深くなりすぎて圧延中の上下反りが発生しやすくなる等、操業上の問題が生じることになるからである。
また、本発明において、最小ロール径を750〜950mmに限定したのは、750mm未満にすると、ロールの使用代は増加するが圧延荷重の上限値を900トンよりも低めに設定する必要が生じ、圧延パス毎の肉厚圧下率を低く抑えることが求められ、圧延パス回数を増やさざるを得ない等、中間圧延における圧延パススケジュールの設定が困難になり操業上問題が生じるためである。
一方、950mmを超えるようにすると、圧延荷重の上限値を900トンよりも高めに設定できるものの、ロールの使用代が少なくなるため、中間圧延におけるロールの廃却と購入の頻度が増加することにより製造コストが悪化する等の問題が生じるためである。
上述の圧延前の被圧延材温度の測定は、中間圧延機の前方と後方の圧延ライン上に放射温度計を設置し、被圧延材の圧延前の温度を測定すればよい。具体的には、圧延ラインの上流から下流に向かうパスの場合は、中間圧延機の上流側(粗圧延機側)に設置した放射温度計により被圧延材の圧延前の温度を測定する。逆に圧延ラインの下流から上流に向かうパスの場合は中間圧延機の下流側(仕上げ圧延機側)に設置した放射温度計により被圧延材の圧延前の温度を測定する。なお、放射温度計の設置位置は、できる限り圧延機に近づいた位置に設置することが望ましい。
ここで、被圧延材の温度測定時期を各パスの圧延前としたのは、圧延直後はロール冷却水が被圧延材の発する熱により蒸発し、湯気となって放射温度計の視界を遮り正確な温度測定が出来なくなるからである。
また、本発明において、放射温度計の測定部位を被圧延材のウエブ中央部近傍としたのは、一般に熱間圧延ラインに用いられる放射温度計の測定視野は直径数十mm〜数百mmの円形であり、測定温度というのは当該測定視野の平均温度に相当するためである。
ところで、形鋼を複数パスで圧延する場合、各圧延機の各孔型の圧延パスごとにロール開度をあらかじめ設定しておくのが一般的であるが、この設定したロール開度から予測される肉厚圧下率rが圧延前の被圧延材表面温度Tの測定結果に対応した前述の上限値を上回りそうな場合には、圧延開始前に肉厚圧下率rが前述の上限値を超えないようにロール開度を所定量開く方向に修正する。逆に、前記設定したロール開度から予測される肉厚圧下率rが前記の上限値を大きく下回る場合には、圧延開始前に肉厚圧下率rが前記上限値を超えないようにロール開度を所定量閉める方向に修正することが生産性を高める上で望ましい。なお、このようなロール開度の修正についてはオペレーターが手動操作で行っても良いし、コンピューターによる自動操作で行ってもよい。
上述の手段を用いても、記述の各温度範囲での肉厚圧下率rを満足できない場合には、粗圧延から中間圧延に至るまでの被圧延材の搬送途中における被圧延材の温度低下を防止すれば良い。そのためには、被圧延材の先端部若しくは後端部のクロップ切断を省略することが有効である。また、図3に示すように、該クロップを切断する際に被圧延材を保温カバーで覆うことも有効である。
ただし、クロップ切断を省略する場合は、中間圧延においてクロップ部分のロールへの巻き込みあるいはガイドへの突っ掛けトラブルが生じることがあるので、被圧延材の先後端形状を見てクロップ切断省略の可否を検討する必要がある。
本発明方法をさらに具体的に説明する。
図2および図3に示す圧延ラインにおいて、加熱炉1にて幅1000mm×厚み250mmの連続鋳造スラブを1300℃に加熱し、図示しないKal−1、Kal−2の孔型を有する孔型ロールを用いた複数パスからなる粗圧延機2でブレークダウン圧延を行った。その後、図5(a)に記載したKal−3、Kal−4の孔型を有する、胴長が2500mmのアダマイト鋳鋼製の上下2重式ロールからなる中間圧延機3、および図5(b)に記載したKal−5、Kal−6の孔型を有する仕上げ圧延機4の各ロールにて1パス〜複数パスの圧延を行い、図4(a)に示したSP−10Hの製品を製造した。なお、中間圧延機3での圧延は、その前後に設置した放射温度計7により測定した被圧延材8の表面温度に基づいた所定の肉厚圧下率rで行った。
粗圧延機2と中間圧延機3の間に設置されたトングカットソー5に保温カバー6を設けた図3に示す圧延ラインを使用した本発明の実施例1(請求項2を引用する請求項4の実施例)の圧延パススケジュールと圧延条件を下記表1および表2に示す。なお、図3中の9は搬送テーブルローラを示す。
また、トングカットソー5に保温カバーを設置しない図2に示す圧延ラインを使用し、粗圧延のラストパス薄肉化および中間圧延のパスを2パス増加した実施例2(請求項2の実施例)の圧延パススケジュールと圧延条件を下記表3および表4に示す。
また、図2の圧延ラインを使用するもトングカットソー5を使用しない実施例3(請求項2を引用する請求項3の実施例)の圧延パススケジュールと圧延条件を下記表5および表6に示す。この実施例3では、粗圧延終了後の被圧延材先後端(クロップ部)の切断を省略したが、被圧延材のガイドへの突っ掛けトラブル無く中間圧延が行えた。これは、図示しないが、素材となるスラブの先後端角部を加熱前にあらかじめ斜めに切断しておくことで、粗圧延終了後の被圧延材先後端形状(クロップ部形状)の改善が見られたからである。
一方、トングカットソー5に保温カバー6を設けない図2に示す圧延ラインを使用した比較例の圧延パススケジュールと圧延条件を下記表7および表8に示す。
Figure 2009018329
Figure 2009018329
Figure 2009018329
Figure 2009018329
Figure 2009018329
Figure 2009018329
Figure 2009018329
Figure 2009018329
なお、前記表2,4,6,8の注1における肉厚圧下率(推定値)とは、圧延前後の被圧延材の肉厚が実測値でなく、以下の式で求まる肉厚推定値を用いて圧下率を算出していることを意味する。
被圧延材の圧延後の肉厚=ロール設定開度+(圧延荷重実測値/ミル剛性(ミルスプリング))
ここで、ロール設定開度は、各表のロール開度−(圧延荷重推定値/ミル剛性(ミルスプリング))で求められ、ミル剛性(ミルスプリング)とは、圧延によるロール開度変化量1mm当りの圧延荷重(トン/mm)を表す。
本発明の実施例1〜3では、中間圧延における各パスの圧延前温度、肉厚圧下率は本発明で規定する範囲を満足している。
このうち、中間圧延における圧延前温度は、クロップを切断しない実施例3、クロップ切断時に被圧延材を保温カバーで覆った実施例1、クロップ切断時に被圧延材を保温カバーで覆わない実施例2の順に低くなり、圧延荷重も大きくなっていった。
しかしながら、実施例2では圧延パスを2回増加して対処することで、表2、表4および表6から明らかなように、実施例1,3と同様、中間圧延において何の問題も無く、仕上げ圧延まで完了できた。
一方、比較例では、中間圧延における1、3、4,5パスの圧延前温度に対する本発明で規定する肉厚圧下率の範囲を満足せず(*を付した数値)、また、6および7パス目の圧延前温度(*を付した数値)は700℃を下回っており、本発明で規定する温度範囲を外れた低温圧延となっていた。
その結果、表7の圧延パススケジュールで中間圧延を行った際には、表8に記載の圧延トラブルが頻繁に発生したほか、数十鋼片の圧延を行った後の中間圧延用ロールの孔型表層最小径部近傍にはクラックが散見されたため、ロールの偏磨耗や折損を防止するための処置としてロールの改削を余儀なくされた。
以上、本発明の実施例1〜実施例3並びに比較例について、数十鋼片のハット形鋼矢板の圧延を行った後に、中間圧延用ロール孔型表層部全面を目視検査した結果を下記表9に示す。
Figure 2009018329
表9より、本発明のハット形鋼矢板の熱間圧延方法によれば、圧延に伴って発生するロール磨耗やヒートクラック発生の抑制においても、従来方法に比べて優れた効果を発揮することが分かる。
さらに、表9に示す実施例1乃至3および比較例の各々の条件で圧延された製品の表面品質を検査したところ、実施例1乃至3については表面疵が見られなかったが、比較例の製品については、ロールに発生したヒートクラックが転写されたような表面疵が散見された。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
本発明のハット形鋼矢板の圧延前温度、圧延荷重と肉厚圧下率の関係を示す図である。 本発明のハット形鋼矢板の熱間圧延工程を示す図である。 保温カバーを設定した場合における本発明のハット形鋼矢板の熱間圧延工程を示す図で、(a)は図2と同様の図、(b)は保温カバー部の拡大説明図である。 本発明にかかるハット形鋼矢板の製品図で、(a)はSP−10H、(b)はSP−25Hである。 本発明にかかるハット形鋼矢板の熱間圧延用ロール孔型配置図の例で、(a)は中間圧延用、(b)は仕上げ圧延用を示す。
符号の説明
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 中間圧延機
4 仕上げ圧延機
5 トングカットソー
6 保温カバー
7 放射温度計
8 被圧延材

Claims (4)

  1. 全幅が900〜1000mm、全高さが230〜470mmの被圧延材を熱間圧延してハット形鋼矢板を製造する方法であって、
    1250℃以上に加熱した鋼片を、上下2重式ロールからなる粗圧延機にて複数パスの圧延を行った後、
    最小ロール径が750〜950mmの上下2重式ロールの、少なくとも1基の中間圧延機近傍における圧延前の被圧延材ウエブ中央部近傍の表面温度Tを700℃以上とし、
    かつ被圧延材ウエブ中央部近傍の圧延1パス当たりの肉厚圧下率rが、
    前記表面温度Tが900℃以上のときは24%以下、800℃以上、900℃未満のときは17%以下、700℃以上、800℃未満のときは11%以下となるように設定して圧延することを特徴とするハット形鋼矢板の熱間圧延方法。
  2. 前記中間圧延機の前方および後方の圧延ライン上に設置した放射温度計により圧延前の被圧延材ウエブ中央部近傍の表面温度を検出し、
    この検出した表面温度を用いて被圧延材ウエブ中央部近傍の圧延1パスあたりの肉厚圧下率rを設定することを特徴とする請求項1に記載のハット形鋼矢板の熱間圧延方法。
  3. 前記粗圧延機での圧延後、中間圧延機に至るまでの被圧延材の搬送途中において、該被圧延材の先端部若しくは後端部のクロップを切断しないことを特徴とする請求項1又は2に記載のハット形鋼矢板の熱間圧延方法。
  4. 前記粗圧延機での圧延後、中間圧延機に至るまでの被圧延材の搬送途中において該被圧延材の先端部若しくは後端部のクロップを切断する際に、該被圧延材を保温カバーで覆うことを特徴とする請求項1又は2に記載のハット形鋼矢板の熱間圧延方法。
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