JP2009018069A - 可撓性チューブのコイル巻着装置 - Google Patents

可撓性チューブのコイル巻着装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コイルの巻着動作の間に、コイルが正確に螺旋溝に装着されていない場合でも、それを確実に修正できるようにする。
【解決手段】コイル装着部材20は可撓性チューブ2に嵌合されて、ボールねじ25により駆動されて、直進する間に、コイル3を螺旋溝4に巻き付ける動作を行うコイル挿入筒体26と、コイル挿入筒体26の後端部に連結して設けた修正用爪部材27とから構成され、可撓性チューブ2に対して、その軸線方向には移動可能であり、回転方向には移動不能な修正用爪部材27の爪部27bは、螺旋溝4において、溝内に配置したコイル3の素線と、進行方向の前方側壁4aとの間に位置し、コイル3の螺旋溝4から逸脱している部位や2重に配置されている部位があれば、この爪部27bにより前方に送り出されるようにして修正される。
【選択図】図3

Description

本発明は、可撓性チューブを金属素線からなるコイルで補強するために、可撓性チューブの外周面に形成した螺旋溝にコイルを巻着するコイル巻着装置に関するものである。
内視鏡には、鉗子その他の処置具を挿通するために、処置具挿通チャンネルが設けられる。処置具挿通チャンネルは、内視鏡の本体操作部から挿入部の先端に至る通路を構成するものであり、挿入部のうち、少なくともその一部が軟性構造となっているものにあっては、処置具挿通チャンネルも軟性構造とする。従って、処置具挿通チャンネルは軟性樹脂からなる可撓性チューブで形成されるが、挿入部が曲げられたときや、挿入部内に設けた他の部材からの圧迫を受けたときにも、座屈等が発生することなく、形状を保持させるために、可撓性チューブの外面に、補強部材として、金属素線を巻き付ける構成としたものが広く用いられている。耐座屈性を持たせ、しかも曲げ方向の可撓性を損なわないようにするために、通常、所定のピッチ間隔を有する粗巻きコイル状にして可撓性チューブの外面に巻き付けられる。そして、この補強部材により処置具挿通チャンネルの外径が増大するのを抑制するために、可撓性チューブの外周面に螺旋状の溝が形成される。
ここで、可撓性チューブの外周面に螺旋状の溝を形成する方法については、切削によるものや、加熱変形させることにより形成するものが代表的なものである。このようにして形成した螺旋溝には弾性を有する金属素線を巻着するが、通常、予めコイル状に成形したものを用い、このコイルを螺旋溝に装着させるようにするのが一般的である。そして、コイルを螺旋溝に安定して保持し、コイルが溝内で動いたり、溝から逸脱したりしないようにするために、コイルの内径を螺旋溝より僅かに小さい寸法となし、装着状態ではコイルは螺旋溝に対してある程度の締め付け力が作用するようにする。なお、あまり強い締め付け力が作用する状態とすると、可撓性チューブの内面に凹凸が生じるおそれがあるので、強く締め付けることはしない。
金属素線のコイルを可撓性チューブの螺旋溝に装着する方式としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているものが従来から知られている。これらの方式では、金属素線を予めコイル状に成形したものを用い、このコイルを可撓性チューブに数巻き分だけ巻き付けておき、未巻着部分のコイルを可撓性チューブの軸線と概略直交する方向に延在させている。そして、可撓性チューブを回転させる間に、コイルを可撓性チューブに巻き付けながら、この可撓性チューブの軸線方向に移動させる。
特許文献1では、コイルを巻き付けている間は未巻着部分のコイルに対して所定の荷重を与えて下方に引っ張るようになし、可撓性チューブの回転動作に連動させて、未巻着部分のコイルを可撓性チューブの軸線方向に移動させるようにして、コイルが螺旋溝に巻き付けられる。また、特許文献2では、未巻着部分のコイルをコイル用芯金に保持させて上方に向けて延在させるようにしている。そして、この延在部の下端位置または下端近傍位置にセパレート用の爪を設けて、この爪により螺旋溝に巻着される部位を未巻着コイル部分から分離する構成としている。また、コイルを挿通させたコイル用芯金及び爪は駆動手段により可撓性チューブの軸線方向に移動させることによって、螺旋溝にコイルを挿入するようにして装着される。
特開平5−228106号公報 特開平6−285013号公報
ところで、コイルを螺旋溝に巻き付けるに当って、溝の各部位には必ず1本分のコイル線材が収容されるようになし、2本分のコイル線材が溝内に位置する2重巻きや、溝内にはコイル線材が位置しない溝飛びが発生しないようにしなければならない。このために、前述した特許文献1,2のコイル巻着方式では、可撓性チューブの回転により螺旋溝にコイル素線が装着されていくに応じて未巻着部分のコイルを移動させるが、この未巻着部分のコイルの移動を可撓性チューブの回転動作と極めて正確に同期させている。しかしながら、コイルはばね性のある金属素線からなり、しかも予めコイル状に巻回しているので、コイル巻着時におけるコイル素線の送り速度にばらつきが発生する可能性がある。その結果、可撓性チューブが1回転したときに、コイル素線が確実に、また均等に螺旋溝に送り込まれないことがあり、このために前述した2重巻きや溝飛びが発生することがある。この場合には、可撓性チューブからコイルを脱着して、再装着しなければならず、この作業は困難で手間取るものであり、コイル巻着作業の効率が悪くなってしまう。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、コイルの巻着動作の間に、コイルが正確に螺旋溝に装着されていない場合でも、それを容易に、しかも確実に修正できるようにすることにある。
前述した目的を達成するために、本発明は、可撓性チューブの外周面に螺旋溝を形成し、この螺旋溝にコイルを巻き付ける可撓性チューブのコイル巻着装置であって、前記可撓性チューブは芯材に挿入されており、この芯材を着脱可能に装着して回転駆動する回転駆動手段と、前記可撓性チューブが回転する間に、前記コイルを前記螺旋溝内に挿入するコイル装着部材と、回転方向の動きは規制されて、前記回転駆動手段により前記可撓性チューブを回転させている間に、前記螺旋溝を構成する一部の溝内またはその周辺にコイル素線が2本分位置していると、1本分のコイル素線をこの溝の進行方向の前方に送り出すために、前記螺旋溝と係合する修正用爪部材とを備える構成としたことをその特徴とするものである。
ここで、可撓性チューブの螺旋溝への装着は様々な手法で行うことができる。例えば、可撓性チューブに嵌合される円筒形状の部材からなるコイル挿入筒体により行うことができる。即ち、コイル挿入筒体は、回転駆動手段により可撓性チューブが回転する間に、回転方向に動きを規制し、この可撓性チューブの軸線方向に向けて移動する構成とすることができる。また、前述した特許文献1や特許文献2の方式を採用することもできる。いずれにしろ、可撓性チューブの螺旋溝にコイルが装着された後に、修正用爪部材を自走させることによって、部分的に溝飛びがあったり、コイルが螺旋溝から逸脱していたり、2重に配置されていたとしても、爪部により前方に送り出されるようにして修正される。
ここで、螺旋溝にコイル素線を挿入する動作をコイル挿入筒体で行わせる場合に、コイル挿入筒体の作動が開始する前に、まず数巻き分だけ螺旋溝にコイル素線を巻き付ける。この操作は手動で行うことができる。そして、コイル挿入筒体の先端をコイルの巻着した部分と未巻着の部分との境界部に当接させ、可撓性チューブの回転に伴ってコイル挿入筒体を可撓性チューブの軸線方向に移動させる。このとき、可撓性チューブの回転とコイル挿入筒体との速度を同期させるように、つまり可撓性チューブの1回転する間にコイル挿入筒体を螺旋溝の1ピッチ分だけ進めることができるが、可撓性チューブの回転速度とコイル挿入筒体の進行速度とは必ずしも同期させる必要はない。ただし、コイル挿入筒体の進行速度は可撓性チューブの回転速度以下とする。
コイル挿入筒体の一端部、つまり先端部はコイルを既巻着部分と未巻着部分との境界部と当接して、このコイルの未巻着部分を押動することになる。この場合、コイルの境界部はコイル挿入筒体の先端面の周囲を回転するようにしても良く、またコイルのコイル挿入筒体に対する回転方向の位置を規制することもできる。コイル挿入筒体の先端部が螺旋溝に挿入させる押動作用部となるが、好ましくはこの押動作用部に連なる円筒形状の部位の内周面はコイル素線を螺旋溝に押し込む押し込み部とする。このためには、コイル挿入筒体の押し込み部を構成する内周面は、可撓性チューブの外周面の螺旋溝が形成されていない部位に対してはコイルの線径以下の径差となし、可撓性チューブの螺旋溝の部位では、それに巻着させたコイル素線と摺接しない程度の隙間が形成される構成とすれば良い。
修正用爪部材は、可撓性チューブに巻き付けられたコイル素線がその外周面に乗り上げていたり、溝内に2本分位置していたりしたときに、進行方向の前方側の1本分のコイル素線を前方側に位置する溝に落とし込ませる。可撓性チューブが回転駆動され、修正用爪部材は回転不能となっていることから、必ずしも修正用爪部材を駆動する必要はないが、駆動する場合には、その進行速度と可撓性チューブの回転速度と同期させる。この修正用爪部材はコイル挿入筒体と一体に形成するか、または別部材で構成して連結することもでき、さらには別部材で構成して、それらを独立の部材とすることもできる。いずれにしろ、これらを可撓性チューブの軸線方向にガイドするガイド部材に係合させ、可撓性チューブの軸線方向に移動可能で回転不能とする。
修正用爪部材はコイル挿入筒体と一体に形成するか、または別部材で構成して連結することもでき、さらには別部材で構成して、それらを独立の部材とすることもできる。いずれにしろ、これらを可撓性チューブの軸線方向にガイドするガイド部材に係合させ、可撓性チューブの軸線方向に移動可能で回転不能とする。また、進行方向において、コイル挿入筒体は前方側に、修正用爪部材は後方側に配置される。コイル挿入筒体は直進駆動手段によって駆動することもでき、可撓性チューブが回転したときに、螺旋溝に係合している修正用爪部材が可撓性チューブの軸線方向に移動することから、コイル挿入筒体の軸線方向への推進力をこの修正用爪部材から得ることもできる。
さらに、螺旋溝に巻着されたコイルは、この螺旋溝内に確実に配置されていなければならない。コイル素線の一部が溝から浮き上がっていたり、可撓性チューブの外周面に乗り上げていたりしないようにする。このためには、修正用爪部材にコイル素線に対して、溝内に押し込む作用を発揮させるようにするのが望ましい。そして、この押し込み部と可撓性チューブ及びそれに装着されているコイル素線との寸法関係は、コイル挿入筒体の内周面の場合と同様のものとする。
外周面に螺旋溝を形成した可撓性チューブに金属素線からなるコイルを装着するに当って、この巻着動作時に溝飛びや2重巻きが発生しても、それらを確実に解消して、螺旋溝に適正なコイルの装着を行うことができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に可撓チャンネルの構造を示す。この可撓チャンネルは、内視鏡の本体操作部から挿入部の先端部にまで延在され、鉗子その他の処置具を挿通させる、所謂処置具挿通チャンネルとして構成したものとして説明する。ただし、処置具挿通チャンネルに限らず、内視鏡の挿入部内に設けられ、曲げ方向に可撓性を有し、しかも保形性が必要な通路として機能させるもの、例えば流体供給管として、またアングル操作ワイヤその他の部材を挿通させたコントロールケーブルのシース等としても用いることができる。
図中において、可撓チャンネル1は可撓性チューブ2とコイル3とから構成されるものであり、可撓性チューブ2は、ウレタン樹脂等のように、軟性の合成樹脂から構成されている。可撓性チューブ2の内面部には、必要に応じて、フッ素樹脂等のように、摺動性が良好であり、耐薬品性に優れた薄いチューブからなる内層を形成するか、または内面にコーティングされる。この可撓性チューブ2の外周面には切削等の手段で螺旋溝4が所定のピッチ間隔で形成されており、コイル3は、補強部材として、この螺旋溝4に装着される。コイル3はばね性を有する金属素線から構成され、螺旋溝4内に巻き付けるように装着される。
従って、コイル3は螺旋溝4に応じたピッチ間隔を有する粗巻き状態にして可撓性チューブ2の外周部に装着される。ここで、図示したものにあっては、コイル3を螺旋溝4に装着したときに、コイル3の一部分が可撓性チューブ2の外表面から突出している。また、コイル3が螺旋溝4に装着されたときには、このコイル3が螺旋溝4の壁面にある程度の力で圧接されるようになっており、これによってコイル3は螺旋溝4内で安定的に保持される。ただし、コイル3を螺旋溝4に対してあまり強い締め付け力を作用させると、可撓性チューブ2に変形を来たすので、コイル3の螺旋溝4の壁面への圧接力は可撓性チューブ2が実質的に変形しない程度に限定する。このように、可撓性チューブ2の全長にわたってコイル3を巻き付けることによって、可撓チャンネル1は曲げ方向への可撓性を損なうことなく、その補強がなされて保形性及び耐潰性が改善される。
図2に可撓性チューブ2にコイル3を装着するためのコイル巻着装置の構成を示す。可撓性チューブ2は芯材10に挿通させており、この芯材10の両端が回転駆動装置に着脱可能に取り付けられる。芯材10は丸棒状の部材であって、可撓性チューブ2がほぼ密嵌状態で相対回転しないように挿通されて、この芯材10の両端部は可撓性チューブ2の両端から所定の長さだけ突出している。
実質的に芯材10の長さ分離間した位置にポスト11,12が設けられており、一方のポスト11には回転駆動手段として、チューブ回転駆動モータ13が装着され、他方のポスト12には軸受部材14が装着されている。チューブ回転駆動モータ13の出力軸には、この出力軸と一体回転するチャック部材15が装着され、また軸受部材14の回転部にはチャック部材16が取り付けられており、これらチャック部材15,16には可撓性チューブ2から突出している芯材10の両端部が着脱可能にチャックされる。
図2において、20はコイル装着部材であって、このコイル装着部材20は概略円筒形状の部材からなり、支持アーム21に着脱可能に連結されており、支持アーム21は移動ブロック22に立設されている。コイル装着部材20は、チャック部材15,16に連結して設けた芯材10に装着した可撓性チューブ2に対して、全周にわたって均一な円環状隙間が形成されるようにして装着されている。このために、コイル装着部材20は可撓性チューブ2に対して相対位置決め可能となっており、従って支持アーム21には位置調整手段21aが設けられており、このコイル装着部材20はこの位置調整手段21aによって、可撓性チューブ2と正確に調芯された状態に調整できる構成となっている。
移動ブロック22は、可撓性チューブ2を挿嵌させた芯材10と平行な方向に設けたガイドレール23と係合して、ポスト11,12間にガイドされている。移動ブロック22を駆動するために、走行用モータ24に連結したボールねじ25が設けられており、移動ブロック22にはボールねじ25を挿通させたボールナットを備えている。従って、可撓性チューブ2にコイル装着部材20を嵌合させた状態で、走行用モータ24を駆動してボールねじ25を回転駆動すると、支持アーム21に装着したコイル装着部材20が可撓性チューブ2の軸線方向に往復移動することになる。そして、図3に示したように、コイル装着部材20は、コイル挿入筒体26と修正用爪部材27とを一体に設けたものから構成されている。
可撓性チューブ2の螺旋溝4に装着されるコイル3は、既に説明したように、ばね性を有する金属素線からなるものであり、予めコイル状に形成されて、所定の長さを有するものである。このコイル3は、自由状態では、螺旋溝4のピッチ間隔と実質的に同じピッチで、若しくは密着状態にしてコイル状に巻回した状態を保持している。コイル3を弾性的に変形させて、螺旋溝4に係合させて可撓性チューブ2に装着される。また、螺旋溝4に装着した状態では、コイル3にはこの螺旋溝4の溝底若しくは溝底及び側壁の方向に向けて所定の締め付け力が作用して、安定的に保持されるようになる。
コイル挿入筒体26はコイル装着部材20の先端側に形成した細い円筒形状の部位から構成される。このコイル挿入筒体26の先端部は、コイル3における可撓性チューブ2の螺旋溝4に巻き付けられた既巻着部分と螺旋溝4には巻き付けられていない未巻着部分との境界部に切り込むようにして当接している。そして、この境界部を押動するために、先端面は所定の幅寸法を有する円環状となった押動作用部26aを構成している。コイル挿入筒体26の部位は比較的薄肉の円筒形状となっており、その内周面は押し込み部26bとなっている。
即ち、図1に示したように、可撓性チューブ2の外周面に形成した螺旋溝4は一定のピッチ間隔Pを有するものであり、また所定の深さを有しており、その溝底部と内周面との間に容易には破損しない程度の厚みを持たせている。
図4に示したように、コイル3は線径(a)を有するものであり、螺旋溝4に装着したときには、溝の深さとの関係から、可撓性チューブ2の外周面から高さ(b)分だけ突出することになっている。押し込み部26bを構成する内周面と、それに挿通させた可撓性チューブ2の外周面、つまり螺旋溝4が形成されていない部位の外周面との径差(c)は全周にわたって等しく、それらの寸法関係は、b≦c<a、より好ましくはb≦c≦1/2aとしている。即ち、コイル3を螺旋溝4内に装着した可撓性チューブ2に対して、押し込み部26bはこのコイル3とは接触しないか、僅かに触れるようにして通過することができ、コイル3の素線の一部が可撓性チューブ2の外周面上に乗り上げていると、少なくともコイル装着部材20の内周エッジ部と干渉し、このコイル装着部材20の進行によりコイル3が押動されて、螺旋溝4内に落とし込まれることになる。
コイル挿入筒体26は、その押し込み部26bを形成した部位より後部側は拡径部26cとなっており、この部位が支持アーム21の位置調整手段21aに連結される部位である。そして、この拡径部26cの後端部に修正用爪部材27が連設されている。この修正用爪部材27は、半径方向の内向きに、つまり可撓性チューブ2に向けて延在させた指片27aの先端に螺旋溝4に係合する鋭利な爪部27bを設けたもので、図5に示したように、この爪部27bの先端部は螺旋溝4内に入り込んでおり、可撓性チューブ2の外周面と螺旋溝4の溝底部との間に位置するようになっている。ここで、爪部27bの螺旋溝4への挿入長さは、コイル3が螺旋溝4に装着されている状態での可撓性チューブ2の外周面からの突出高さ(b)に依存するものであり、螺旋溝4の側壁4aへのコイル3の当接部に至る深さまたはそれより僅かに浅い位置まで挿入されるようになっている。そして、修正用爪部材27は、後述するように、可撓性チューブ2の回転に伴って軸線方向に移動するようになっており、その移動方向は図5に矢印で示した方向となる。従って、爪部27bが当接しているのは、その進行方向における前方側壁4aである。
可撓性チューブ2及びこれに装着されるコイル3、さらにコイル巻着装置は以上のように構成されるが、次に、可撓性チューブ2の螺旋溝4にコイル3を巻着する方法について説明する。
まず、可撓性チューブ2に芯材10を挿通させて、この芯材10の両端を可撓性チューブ2の両端から所定長さ突出させる。そして、可撓性チューブ2にコイル装着部材20を嵌合させる。この状態で、芯材10の両端をチャック部材15,16によりチャックさせる。また、コイル装着部材20を支持アーム21に連結する。
そこで、コイル装着部材20をポスト12側の端部に配置して、可撓性チューブ2におけるポスト12側の端部を開放状態となし、例えば手作業によって、この可撓性チューブ2の螺旋溝4に所定ピッチ分にわたってコイル3を巻き付ける。ここで、コイル3の巻き付け長さは、可撓性チューブ2の軸線方向において、コイル装着部材20の先端部、つまり押動作用部26aから修正用爪部材27における爪部27bまでの間隔乃至それ以上とする。これによって、コイル3を手で支えなくても、可撓性チューブ2に巻き付いた状態に保持できるようにする。そして、このコイル3は、好ましくは1本の可撓性チューブ2に巻着される長さ分か、若しくはそれより僅かに長いものとするのが望ましい。
この状態で、螺旋溝4に対して所定量巻き付けたコイル3の巻き付け終端部にコイル装着部材20のコイル挿入筒体26の押動作用部26aを当接させる。このときには、コイル3のうち、可撓性チューブ2に巻き終えた部分はコイル装着部材20の内周面によって覆われる。また、修正用爪部材27の爪部27は、コイル3の既巻着部分において、コイル3の素線と、螺旋溝4における前方側の側壁4aとの間に位置させる。これによって、コイル3の巻着の準備が完了する。
以上の状態から、チューブ回転駆動モータ13を駆動して、可撓性チューブ2を挿通させた芯材10をその軸回りに回転させると共に、走行用モータ24を駆動して、支持アーム21をポスト11側に向けて移動させる。この支持アーム21の移動速度は、可撓性チューブ2が1回転する間に螺旋溝4における1ピッチPに相当する距離だけ動く速度とする。
コイル装着部材20のコイル挿入筒体26は、その先端面からなる押動作用部26aがコイル3における螺旋溝4への既巻着部分と未巻着部分との境界部に切り込むようにして当接した状態で進行するので、コイル3のこの境界部が押動される。ここで、コイル挿入筒体26における押し込み部26bとして機能する内周面と可撓性チューブ2の外周面との間の隙間は全周にわたってほぼ一定に保持されており、しかもコイル装着部材20の内周面と可撓性チューブ2の外周面との径差(c)はコイル3の直径(a)の半分程度乃至それ以下となっているので、コイル3を螺旋溝4内に押し込みながら進行する。
コイル装着部材20の直進動作と、可撓性チューブ2の回転動作とは同期が取られており、可撓性チューブ2が1回転する間にコイル装着部材20が螺旋溝4の1ピッチ分進行することから、コイル3が螺旋溝4に挿入される。ただし、コイル3はばね性のある金属の素線を螺旋状に巻回したものからなり、この巻回状態のままコイル装着部材20に装着される関係から、コイル3の素線とコイル装着部材20におけるコイル挿入筒体26との当接部に均等な押圧力が作用せず、コイル3またはコイル挿入筒体26に動きのむらが発生する可能性がある。ただし、コイル3の巻き付けが螺旋溝4の1ピッチ分以上ずれることは殆どあり得ない。そして、コイル装着部材20は、その進行方向の前側がコイル挿入筒体26となっているが、後部側には修正用爪部材27が設けられており、この修正用爪部材27の爪部材27bが既に巻き付けが終わった螺旋溝4の進行方向の前方側壁4aと実質的に摺接するようにして進行する。
その結果、コイル3の螺旋溝4に対する進みが生じていると、溝内に引き戻されることになり、また遅れが生じていると、溝から押し出されるようになり、コイル3の位置修正が行われる。例えば、図6に3F,3Bで示したように、コイル3の素線が溝内に2本分入り込んだ2重巻き状態となっていると、修正用爪部材27の爪部27bが螺旋溝4に沿って進行する際に、図7に示したように、前方側側壁4aに当接する素線3Fを溝から押し出すように作用することになる。一方、この爪部27bは後方側側壁4bから離間しているので、この後方側側壁4bに当接している素線3Bと爪部27bとの間に確保されているスペースによって、溝から押し出されるようなことはない。その結果、素線3Fは図7に矢印で示したように可撓性チューブ2の外周面に乗り上げることになる。さらに、この素線3Fは爪部27bの溝内進行によって、同図に仮想線で示したように、前方側の溝に落とし込まれる。これによって、コイル3の全体が正確に螺旋溝4に巻着されるように修正される。
前述した実施の形態では、コイル装着部材を構成するコイル挿入筒体と修正用爪部材とを一体形成する構成としたものとしているが、コイル挿入筒体と修正用爪部材とを別個の部材として構成し、それぞれ独立に可撓性チューブ2の軸線方向に移動させるように構成することもできる。このためには、例えば、図8乃至図10に示したように、修正用爪部材30はコイル挿入筒体31とは独立した部材で構成されている。
コイル挿入筒体31は、基本的には前述した第1の実施の形態と同様の部材で、それに一体に設けた修正用爪部材を取り除き、先端がテーパ状となった円筒状の部材で構成している。このコイル挿入筒体31には、図示は省略するが、直進駆動手段として、ボールねじが挿通されて、このボールねじを走行用モータにより回転駆動することによって、ガイドレールに沿って可撓性チューブ2と平行な方向に直進駆動される。そして、このコイル挿入筒体31の駆動速度は、前述した第1の実施例と同様、可撓性チューブ2の回転速度と同期させることもできるが、コイル挿入筒体の移動速度をこの回転速度より遅くすることもできる。
図8から明らかなように、修正用爪部材30は、概略直方体の形状からなる走行ブロック32を有し、この走行体ブロック32の一側端面部に円錐形状の爪部33が設けられている。走行体ブロック32は回転駆動装置に装着した可撓性チューブ2と平行な方向にガイドされるようになっており、このためにガイドレール34が設けられている。そして、走行体ブロック32にはアーム32aが延在されており、このアーム32aの先端は、図9にも示したように、ガイドレール34に係合するスライダ35となっている。ただし、走行ブロック32はガイドレール34に沿って移動することができるが、駆動手段には接続されていない。
以上のように構成することによって、コイル挿入筒体31を作動させて、コイル3を可撓性チューブ2の螺旋溝4に巻き付けた後に、修正用爪部材30の走行ブロック32をコイル3が巻き付けられた螺旋溝4に係合させ、可撓性チューブ2を回転駆動する。これによって、修正用爪部材30の爪部33が螺旋溝4にトレースするように移動することになる。その結果、図10に示したように、コイル3の素線の一部分が螺旋溝4から逸脱している場合には、この爪部33により押動されるようにして正確に溝内に落とし込まれる。また、コイル3の一部が溝から浮き出ている場合には、可撓性チューブ2の外周面と僅かな隙間をもって対面する走行ブロック32により溝内に押し込まれることになる。この動作は前述した第1の実施の形態と同様である。
ここで、コイル挿入筒体の進行速度が可撓性チューブ2の回転速度より遅くしている場合には、修正用爪部材30は、このコイル挿入筒体31と干渉しないようにするために、コイル挿入筒体31によるコイル3の螺旋溝4への巻き付けが終了した後、またはコイル挿入筒体31に対して所定の遅れをもって進行させる。また、コイル挿入筒体31の進行速度が可撓性チューブ2の回転速度と同期している場合には、修正用爪部材30はコイル挿入筒体の直後の位置に配置しても良い。
さらに、コイル3の直径が螺旋溝4の溝底部の直径より十分小さいものとして、コイル3が螺旋溝4の部位に位置調整されると、必ず螺旋溝4内に収容されて、溝から浮き上がるおそれがない場合には、図11に示したように、ガイドレール40に沿って移動するスライダ41に爪部42を垂設するようにしても良い。
可撓性チューブにコイルを装着して形成される可撓チャンネルの構成説明図である。 本発明の実施の一形態を示す可撓性チューブのコイル巻着装置の構成説明図である。 図2の要部拡大断面図である。 作動筒体と可撓性チューブ及びコイルとの寸法関係を示す説明図である。 図3における修正用爪部材と螺旋溝との係合状態を示す拡大断面図である。 コイル素線が2本分螺旋溝に位置している状態を示す断面図である。 修正用爪部材の動作状態を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態を示す可撓性チューブのコイル巻着装置の構成を示す要部断面図である。 図8のX−X方向の断面図である。 第2の実施の形態における修正用爪部材の要部拡大図である。 本発明の第3の実施の形態を示す修正用爪部材の構成説明図である。
符号の説明
1 可撓チャンネル 2 可撓性チューブ
3 コイル 4 螺旋溝
10 芯材 13 チューブ回転駆動モータ
20 コイル装着部材 21 支持アーム
22 移動ブロック 24 走行用モータ
25 ボールねじ 26,31 コイル挿入筒体
27,30 修正用爪部材 27a 指片
27b,32,42 爪部

Claims (7)

  1. 可撓性チューブの外周面に螺旋溝を形成し、この螺旋溝にコイルを巻き付ける可撓性チューブのコイル巻着装置であって、
    前記可撓性チューブは芯材に挿入されており、この芯材を着脱可能に装着して回転駆動する回転駆動手段と、
    前記可撓性チューブが回転する間に、前記コイルを前記螺旋溝内に挿入するコイル装着部材と、
    回転方向の動きは規制されて、前記回転駆動手段により前記可撓性チューブを回転させている間に、前記螺旋溝を構成する一部の溝内またはその周辺にコイル素線が2本分位置していると、1本分のコイル素線をこの溝の進行方向の前方に送り出すために、前記螺旋溝と係合する修正用爪部材と
    から構成したことを特徴とする可撓性チューブのコイル巻着装置。
  2. 前記コイル装着部材による前記螺旋溝へのコイルの装着は、前記可撓性チューブに嵌合される円筒形状の部材からなるコイル挿入筒体により行われるものであり、このコイル挿入筒体は、前記回転駆動手段により前記可撓性チューブが回転する間に、回転方向には動きが規制されて、この可撓性チューブの軸線方向に向けて移動するようにしたものであり、前記修正用爪部材は前記コイル挿入筒体と一体的に設けて、前記芯材に挿通した前記可撓性チューブと平行に設けたガイド部材によりガイドさせる構成としたことを特徴とする請求項1記載の可撓性チューブのコイル巻着装置。
  3. 前記コイル挿入筒体は、その一端部が前記コイルを既巻着部分と未巻着部分との境界部と当接し、この未巻着部分のコイルを押動することによって、前記螺旋溝に挿入させる押動作用部となり、この押動作用部に連なる円筒形状の部位の内周面がコイル素線を前記螺旋溝に押し込む押し込み部で、他端部に前記修正用爪部材を設ける構成としたことを特徴とする請求項2記載の可撓性チューブのコイル巻着装置。
  4. 前記コイル挿入筒体の前記押し込み部の内周面は、前記可撓性チューブの外周面の螺旋溝が形成されていない部位に対しては前記コイルの線径以下の径差で、前記可撓性チューブの前記螺旋溝の部位では、それに巻着させた前記コイル素線と摺接しない程度の隙間が形成されることを特徴とする請求項3記載の可撓性チューブのコイル巻着装置。
  5. 前記コイル挿入筒体は前記芯材に挿入した前記可撓性チューブと平行な方向に向けて駆動する直進駆動手段に接続して設け、前記修正用爪部材は前記コイル挿入筒体とは独立の部材として前記可撓性チューブの軸線方向に移動可能な構成としたことを特徴とする請求項2記載の可撓性チューブのコイル巻着装置。
  6. 前記可撓性チューブと平行な方向にガイド部材を設け、このガイド部材に前記コイル挿入筒体と前記修正用爪部材とをそれぞれ独立にガイドさせる構成としたことを特徴とする請求項5記載の可撓性チューブのコイル巻着装置。
  7. 前記修正用爪部材は、前記コイルを前記螺旋溝内に押し込む押し込み部を備える構成としたことを特徴とする請求項6記載の可撓性チューブのコイル巻着装置。
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