JP2009013416A - 硬化性樹脂組成物、接着性エポキシ樹脂ペースト、接着性エポキシ樹脂シート、導電接続ペースト、導電接続シート及び電子部品接合体 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、接着性エポキシ樹脂ペースト、接着性エポキシ樹脂シート、導電接続ペースト、導電接続シート及び電子部品接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性や導通材料とした際の高い導通信頼性を発現する硬化性樹脂組成物、及び、この硬化性樹脂組成物を用いた接着性エポキシ樹脂ペースト、接着性エポキシ樹脂シート、導電接続ペースト、導電接続シート、並びに、これらを用いた電子部品接合体を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と、エポキシ基と反応する官能基を有する固形ポリマーと、エポキシ樹脂用硬化剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、硬化物を重金属により染色し、透過型電子顕微鏡により観察したときに、樹脂からなるマトリクス中に相分離構造が観察されず、かつ、硬化物の粘弾性スペクトル測定におけるtanδのピークが単一であり、かつ、前記ピークの温度が120℃以上である硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い信頼性を有する硬化性樹脂組成物、接着性エポキシ樹脂ペースト、接着性エポキシ樹脂シート、導電接続ペースト、導電接続シート及び電子部品接合体に関する。なお、本発明で言うシートにはフィルムも包含される。
近年の半導体装置に対する小型化や高性能化の要求に対して、様々な電子材料用接着剤が開発されている。これらの電子材料用接着剤には高度の信頼性が求められており、これを確保するために、硬化収縮が少なく、高い接着力を有し、かつ、種類が豊富にあり、配合設計が容易なエポキシ樹脂が最も良く用いられている。このようなエポキシ樹脂としては、作業性に優れることから、例えばビスフェノールA型液状エポキシ樹脂やビスフェノールF型液状エポキシ樹脂等の汎用の液状エポキシ樹脂が一般的に多用されている。しかし、これら汎用の液状エポキシ樹脂を用いた電子材料用接着剤では現在の非常に高い信頼性に対する要求には対応できなくなってきており、新たな高性能のエポキシ樹脂が開発されてきている。なお、本発明で言う接着剤には粘着剤も包含される。
現在、電子材料用接着剤として求められる具体的な信頼性に対する要求性能としては、例えば、耐熱性、耐湿性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性等が挙げられ、中でも、耐湿性及び耐ハンダリフロー性については、硬化した接着剤の吸水率が低く、吸水量が小さいことが必ず必要とされている。これは、硬化した接着剤の吸水率が高いと接着界面に水が浸入しやすくなって、界面の接着力を低下させる恐れがあるからである。また、硬化した接着剤の吸水量が大きいと、200〜260℃に達するハンダリフロー温度によって水分が急激に気化し、電子部品が破壊される恐れがあるからである。
一方、耐冷熱サイクル性を向上させるためには、一般的に線膨張係数(線膨張率)を小さくするための無機フィラーを多量に充填している。これは、無機フィラーの方が有機フィラーよりも遥かに線膨張係数が小さいことに由来している。しかし、無機フィラーを多量に充填すると、線膨張係数は小さくなるものの、接着剤の弾性率が高くなるため、硬化した接着剤が応力緩和しづらくなるという問題点がある。即ち、無機フィラーの充填によって耐冷熱サイクル性を向上させる方法には限界がある。また、接着剤をシート状に加工した接着シートとして用いる場合には、充填されている無機フィラーが、硬化前の接着シートの強度を低下させてしまったり、ビア孔を必要とする基板に用いる際にはレーザーによる加工を難しくしたり、精度の高いビア孔の形成を困難にするという問題点がある。
また、耐冷熱サイクル性の向上に関しては、発生する応力を低減させるために、アクリルゴム等のゴムポリマーを添加することも一般的に行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、ゴムポリマーを添加すると、耐冷熱サイクル性は向上するものの、耐熱性を低下させるという犠牲をはらって応力緩和を達成させているため、高い耐熱性や耐湿性と高い耐冷熱サイクル性とを両立させることは困難である。即ち、耐冷熱サイクル性を高いレベルで達成するためには、冷熱サイクル時に発生する応力を緩和する必要がある。
上記応力を緩和する効果のために、一般的にエポキシ樹脂に対して、カルボン酸若しくはグリシジル変性ポリオレフィン、例えばCTBNやATBN等の官能基を有するジエン系ゴムポリマー、ニトリルゴム、末端反応基シリコーン、アクリルゴム、スチレン系エラストマー等の可撓性付与成分を相溶又は相分離させるように混合する方法も用いられている。しかし、これらの可撓性付与成分がマトリックス樹脂となるエポキシ樹脂と相溶してしまった場合には、耐熱性を大幅に低下させ、高温時における高い耐熱接着力を発現することもできなくなる。また、仮にこれらの可撓性付与成分が相分離構造をとった場合でも、その可撓性付与成分とエポキシ樹脂との界面が若干相溶することにより、耐熱性が低下する傾向がある。また、上記相分離構造は、温度変化に対して必ずしも安定ではないため、温度変化によって相溶状態となることもある。
また、従来、エポキシ樹脂系の硬化性組成物は酸無水物等を硬化剤とすることが多いが、硬化後の硬化物中に未反応物が残存する場合がある。この未反応物は、吸湿等により反応して酸性又はアルカリ性となるため、硬化物表面及び近傍に酸性物質やアルカリ性物質が流出して、アルミや銅等の電極金属の腐食を引き起こすという問題点がある。また、硬化物中で加水分解等により生じた酸を触媒とする塩素引き抜き反応が起こって塩素イオンが流出し、信頼性を損なうという問題点もある。
一方、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器等のエレクトロニクス製品の製造過程において、半導体素子等の小型部品を基板に電気的に接続する場合には、微細な電極同士を対向させて接続する必要がある。また、ガラス回路基板の製造過程において、自動車のライト部分等のガラス表面に導通回路を設ける場合には、ガラス表面と導通回路の電極面とを対向させて接続する必要がある。
これらの電極を接続する方法として、通常、ハンダや導電接続ペースト等を用いてバンプを接続したり、対向するバンプを直接圧着する方法が用いられている。また、接続後の電極を保護するために、樹脂を用いて接続後の電極を封止する方法が用いられている。
しかし、微細な電極は接続距離が短いため、短時間のうちに樹脂を均一に注入して封止することは困難である。また、ガラス表面と導通回路の電極面とを接続する場合、ハンダによる接続では接続部分が高温になり過ぎるという問題点がある。
そこで、このような問題点を解決するために、導電性微粒子と絶縁性の接着剤とを混ぜ合わせてシート状又はペースト状に形成した異方導電性接着剤が検討されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
しかし、従来のシート状の異方導電性接着剤では、電極又はバンプの上に加熱圧着によって導電性微粒子を押しつけて電極を封止した場合、電極と導電性微粒子との間に絶縁性の接着剤が残存して接続信頼性を低下させてしまうという問題点がある。
また、ペースト状の異方導電性接着剤では、ペーストを塗布する際の良好な塗工精度や塗工効率等の良好な塗工性が必要とされるが、従来の無機フィラーを多量に充填したペースト状の異方導電性接着剤は、流動性が必ずしも充分ではないため、塗工性が充分には満足されないという問題点がある。また、異方導電性接着シートをキャスト法により製造する際にも塗工性の良好なことが求められる。更に、導電性微粒子が絶縁性の接着剤に均一に分散されていないために導電性微粒子同士が凝集してしまい、隣り合う電極をショートさせてしまうという問題点がある。
そこで、本発明者らは、先に、取り扱う際にも導電性微粒子が接着性樹脂シート上に保持され、更に導電性微粒子の一部が接着性樹脂シートから露出している導電接続シートを開発した。この導電接続シートは、電極と導電性微粒子との間に絶縁性の接着剤が残らず、微粒子が凝集しないために、高い接続信頼性を得ることができるものである(例えば、特許文献4参照)。
しかし、本発明者らは、この導電接続シートが、例えばエレクトロニクス製品の接続部分や自動車のライト部分等に用いられた場合、その使用中にプレッシャークッカー試験(PCT)等に代表される高温高湿の環境下に曝されると、導電性微粒子の保持とシートの形状の保持とを両立することが困難になっているという知見を得た。
具体的には、この導電接続シートにおいて、導電性微粒子の保持力を高めるために常温での硬化前のシートの導電性微粒子に対する接着性を高くすると、硬化後でも高温高湿下においてはシートが軟化して形状保持力が低下し、接続信頼性が低下してしまうという問題点が発生する。また、高温高湿下でも軟化しないように高温高湿下におけるシートの形状保持力を高くすると、常温でのシートの導電性微粒子に対する接着性が低下するために、導電性微粒子の保持力が低下するという問題点が発生する。
また、エポキシ樹脂系硬化性組成物は絶縁基板材料としても用いることができるが、多層プリント基板等に用いられる絶縁基板には、電気的特性に影響を与えにくいこと、吸湿性が低いこと、レーザーでの位置合わせを容易とするために透明性を有すること等が求められており、更に、ハンダリフロー時等の高温処理に際しての寸法変化が小さいことが強く求められている。
また、エポキシ樹脂系硬化性組成物は絶縁基板材料としても用いることができる。多層プリント基板等に用いられる絶縁基板には、電気的特性に影響を与えにくいこと、吸湿性が低いこと、光学系レンズでの各シート同士の位置合わせを容易とするために透明性を有すること等が求められており、更に、ハンダリフロー時等の高温処理に際しての寸法変化が小さいことが強く求められている。
シリコンチップと金属フレーム、多層板、ビルドアップ基板等の有機基板、セラミクス基板等とを接合するダイアタッチフィルム絶縁材料にも、上述と同様な性能が求められる。更に、ダイアタッチフィルム付きシリコンチップとしては、ウェーハ段階で直接フィルムを貼り付けるウェーハレベルと個片化されたシリコンチップに個別に貼り付ける方式があるが、求められる性能に差はない。
特許第3342703号公報 特許第3114162号公報 特公平7−73066号公報 特開2002−313143号公報
本発明の目的は、上記現状及び問題点に鑑み、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性や導通材料とした際の高い導通信頼性を発現する硬化性樹脂組成物、及び、この硬化性樹脂組成物を用いた接着性エポキシ樹脂ペースト、接着性エポキシ樹脂シート、導電接続ペースト、導電接続シート、並びに、これらを用いた電子部品接合体を提供することにある。
請求項1に記載の発明(以下、「本発明1」と記す)による硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ基と反応する官能基を有する固形ポリマーと、エポキシ樹脂用硬化剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、硬化物を重金属により染色し、透過型電子顕微鏡により観察したときに、樹脂からなるマトリクス中に相分離構造が観察されず、かつ、硬化物の粘弾性スペクトル測定におけるtanδのピークが単一であり、かつ、前記ピークの温度が120℃以上であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明による硬化性樹脂組成物は、上記請求項1に記載の硬化性樹脂組成物において、硬化物の120℃に熱したジメチルスルホキシド溶液中で測定した膨潤率が50%以内であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明(以下、「本発明3」と記す)による接着性エポキシ樹脂ペーストは、上記請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明(以下、「本発明4」と記す)による層間接着剤は、上記請求項3に記載の接着性エポキシ樹脂ペーストからなることを特徴とする。
請求項5に記載の発明(以下、「本発明5」と記す)による非導電性ペーストは、上記請求項3に記載の接着性エポキシ樹脂ペーストからなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明(以下、「本発明6」と記す)によるアンダーフィルは、上記請求項3に記載の接着性エポキシ樹脂ペーストからなることを特徴とする。
請求項7に記載の発明(以下、「本発明7」と記す)による接着性エポキシ樹脂シートは、上記請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物がシート状に成形されてなることを特徴とする。
請求項8に記載の発明による接着性エポキシ樹脂シートは、上記請求項7に記載の接着性エポキシ樹脂シートにおいて、昇温速度45℃/分で昇温し、加熱硬化させた加熱硬化物の貯蔵弾性率(G’)が1×10Paを超えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明による接着性エポキシ樹脂シートは、上記請求項7又は8に記載の接着性エポキシ樹脂シートにおいて、動的粘弾性に基づくtanδのピーク温度が硬化前は−20℃〜40℃の範囲にあり、硬化後は120℃以上であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明(以下、「本発明8」と記す)による非導電性フィルムは、上記請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シートからなることを特徴とする。
請求項11に記載の発明(以下、「本発明9」と記す)によるダイアタッチフィルムは、上記請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シートからなることを特徴とする。
請求項12に記載の発明(以下、「本発明10」と記す)による導電接続ペーストは、上記請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペースト中に導電性微粒子が含有されてなることを特徴とする。
請求項13に記載の発明(以下、「本発明11」と記す)による異方性導電ペーストは、上記請求項12記載の導電接続ペーストからなることを特徴とする。
請求項14に記載の発明(以下、「本発明12」と記す)による導電接続シートは、上記請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シートと、導電性微粒子とかなる導電接続シートであって、前記導電性微粒子の少なくとも一部が前記接着性エポキシ樹脂シートから露出していることを特徴とする。
請求項15に記載の発明(以下、「本発明13」と記す)による導電接続シートは、上記請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シート中に前記接着性エポキシ樹脂シートの厚みよりも小さい導電性微粒子が埋設されてなることを特徴とする。
請求項16に記載の発明(以下、「本発明14」と記す)による異方性導電フィルムは、請求項15記載の導電接続シートからなることを特徴とする。
請求項17に記載の発明(以下、「本発明15」と記す)による導電接続シートは、可塑剤の添加によって粘着性が付与される樹脂及び常温で液状のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含有する粘着性樹脂組成物からなる粘着性樹脂シートと導電性微粒子とによって形成される導電接続シートであって、前記粘着性樹脂シートは、動的粘弾性に基づくtanδのピーク温度が硬化前は−20℃〜40℃の範囲にあり、硬化後は120℃以上であるとともに、前記粘着性樹脂シートの任意の位置に前記導電性微粒子が配置され、前記導電性微粒子の少なくとも一部が前記粘着性樹脂シートから露出していることを特徴とする。
請求項18に記載の発明による非導電性シートは、上記請求項17に記載の導電接続シートにおいて、硬化後の粘着性樹脂シートに対して、温度120℃、湿度85%RH、時間12時間の条件でプレッシャークッカー試験を行った後の硬化後の粘着性樹脂シートの伸び率が5%以下であることを特徴とする。
請求項19に記載の発明(以下、「本発明16」と記す)によるフリップチップテープは、上記請求項15、17又は18記載の導電接続シートからなることを特徴とする。
請求項20に記載の発明(以下、「本発明17」と記す)による電子部品接合体は、上記請求項1、2記載の硬化性樹脂組成物、請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペースト、請求項4記載の層間接着剤、請求項5記載の非導電性ペースト、請求項6記載のアンダーフィル、請求項12記載の導電接続ペースト、請求項13記載の異方性導電ペースト、請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シート、請求項10記載の非導電性フィルム、請求項11記載のダイアタッチフィルム、請求項14、15、17又は18記載の導電接続シート、請求項16記載の異方性導電フィルム、又は、請求項19記載のフリップチップテープのいずれかにより、電子部品のバンプ状の突起電極と他方の電極とが導通された状態で接合されてなることを特徴とする。
請求項21に記載の発明(以下、「本発明18」と記す)による電子部品接合体は、上記請求項1、2記載の硬化性樹脂組成物、請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペースト、請求項4記載の層間接着剤、請求項5記載の非導電性ペースト、請求項6記載のアンダーフィル、請求項12記載の導電接続ペースト、請求項13記載の異方性導電ペースト、請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シート、請求項10記載の非導電性フィルム、請求項11記載のダイアタッチフィルム、請求項14、15、17又は18記載の導電接続シート、請求項16記載の異方性導電フィルム、又は、請求項19記載のフリップチップテープのいずれかにより、金属リードフレーム、セラミック基板、樹脂基板、シリコン基板、化合物半導体基板及びガラス基板からなる群より選択される少なくとも1種類の回路基板が接合されてなることを特徴とする。
請求項22に記載の発明による電子部品接合体は、上記請求項21に記載の電子部品接合体において、樹脂基板がガラスエポキシ基板、ビスマレイミドトリアジン基板又はポリイミド基板であることを特徴とする。
本発明1の硬化性樹脂組成物は、エポキシ基と反応する官能基を有する固形ポリマーと、エポキシ樹脂用硬化剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、硬化物を重金属により染色し、透過型電子顕微鏡により観察したときに、樹脂からなるマトリクス中に相分離構造が観察されない。
本発明1の硬化性樹脂組成物は、重金属により染色し、透過型電子顕微鏡により観察した硬化物の樹脂マトリクス中に相分離構造が観察されない。透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることにより高分子材料の内部を観察できることは公知であり、これは高分子材料を4酸化オスミウム、4酸化ルテニウム、リンタングステン酸等の重金属で染色することにより、樹脂材料中の組成の違いを染色の濃淡として見る手法である。
なお、本明細書において、「硬化物」とは、本発明の硬化性樹脂組成物を、例えば170℃、30分間等の条件で加熱して硬化させて得られるものをいう。
通常、エポキシ樹脂にポリマー成分を添加することは、得られる樹脂組成物に種々の機能等を付与する目的でなされており、例えば、上記樹脂組成物をシート材料とする場合、上記ポリマー成分は増膜成分として添加され、例えば、上記樹脂組成物をペースト材料とする場合、上記ポリマー成分は硬化樹脂強度アップ及び高反応性付与等を目的として添加される。しかし、エポキシ樹脂と該エポキシ樹脂に添加するポリマー成分とは、硬化後のエポキシ樹脂と添加したポリマー成分との相溶性が極めて近くないと相溶しない。
エポキシ樹脂にポリマー成分を添加することによる相分離構造を有する樹脂組成物は、添加したポリマー成分による応力緩和等の効果を有するものと考えられるが、ポリマー成分自身がマトリクスとなるエポキシ樹脂自体に溶け込むわけではないので、樹脂組成物の硬化物の強度向上には限度がある。
本発明1の硬化性樹脂組成物は、その硬化物の上記透過型電子顕微鏡を用いた観察において、樹脂マトリクス中に相分離構造が観察されない。即ち、本発明1の硬化性樹脂組成物では、樹脂成分が完全相溶していると考えられる。
エポキシ樹脂と該エポキシ樹脂に添加する樹脂とが完全相溶するということは、添加する上記ポリマーが、エポキシ基自体をその構造中に有するか、又は、エポキシ基と反応する官能基をその構造中に有することが必須である。
即ち、本発明1の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ基と反応する官能基を有する固形ポリマーとを含有するものである。
上記エポキシ樹脂としては特に限定されないが、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂であることが好ましい。多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂を含有すると、その硬化物は、剛直で分子の運動が阻害されるものとなり、優れた機械的強度や耐熱性を発現するとともに、吸水性も低くなるため優れた耐湿性を発現するからである。
上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂」と記す)、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリジジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ナフタレン型エポキシ樹脂」と記す)、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボネート等が挙げられ、なかでも、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂が好適に用いられる。これらの多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂は、特に限定されるものではないが、分子量の好ましい下限は500であり、好ましい上限は1000である。多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂の分子量が500未満であると、硬化性樹脂組成物の硬化物の機械的強度、耐熱性、耐湿性等が充分に向上しないことがあり、逆に多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂の分子量が1000を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化物が剛直になりすぎて、脆くなることがある。
上記エポキシ基と反応する官能基を有する固形ポリマーとしては特に限定されないが、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等を有する樹脂が挙げられ、なかでも、エポキシ基を有する高分子ポリマーが好ましい。エポキシ基を有する高分子ポリマーを含有すると、その硬化物は、優れた可撓性を発現するからである。即ち、本発明1の硬化性樹脂組成物の硬化物は、上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂に由来する優れた機械的強度、優れた耐熱性、優れた耐湿性等と、上記エポキシ基を有する高分子ポリマーに由来する優れた可撓性とを兼備することとなるので、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れるものとなり、高い接着信頼性や高い導通信頼性を発現することとなる。
上記エポキシ基を有する高分子ポリマーとしては、末端及び/又は側鎖(ペンダント位)にエポキシ基を有する高分子ポリマーであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ基含有アクリルゴム、エポキシ基含有ブタジエンゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂、エポキシ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられ、なかでも、エポキシ基を多く含む高分子ポリマーを得ることができ、本発明1の硬化性樹脂組成物の硬化物の機械的強度や耐熱性がより優れたものとなることから、エポキシ基含有アクリル樹脂が好適に用いられる。これらのエポキシ基を有する高分子ポリマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂だけでは、末端にしかエポキシ基を含むことができず、架橋点間距離が大きく長くなるため、硬化性樹脂組成物の硬化物の機械的強度や耐熱性が充分に向上しない。
また、一般にアクリル系樹脂(アクリル系ポリマー)は溶剤を媒体とした溶液重合法で製造されることが多いが、溶液重合法では、高分子量のアクリル系樹脂が生成する際に、溶液の粘度が極端に上昇したり、場合によってはゲル化する恐れがあるため、高分子量のアクリル系樹脂を得ることが難しい。また、溶液重合法では、未反応のモノマーが残留しやすいため、残留モノマーを溶剤とともに除去する必要が生じ、製造工程が煩雑になる。
例えば、エポキシ基を有するアクリル系モノマーとしてグリシジルメタクリレート(GMA)を用い、他のアクリル系モノマー中にGMAを多量に添加して溶液重合を行うと、エポキシ基自体の凝集力によって、比較的低分子量(10000未満)のエポキシ基含有アクリル樹脂しか得ることができず、より高分子量のエポキシ基含有アクリル樹脂を得ようとすると、上記のような極度の粘度上昇やゲル化が起こりやすくなる。
一方、上記GMA等を用いて、エポキシ基含有アクリル樹脂の製造を水又は非溶剤を媒体とした懸濁重合法で行うと、エポキシ基を多く含み、かつ、高分子量のエポキシ基含有アクリル樹脂を得ることができる。このエポキシ基含有アクリル樹脂は、モノマーが殆ど残留しないクリーンな樹脂であるとともに、重合系からの分離操作も容易であるので、製造工程が簡略になる。
即ち、本発明1の硬化性樹脂組成物に用いられるエポキシ基を有する高分子ポリマー、好ましくはエポキシ基含有アクリル樹脂は、懸濁重合法で製造された高分子ポリマーであることが好ましい。懸濁重合法で製造されたエポキシ基を有する高分子ポリマー、好ましくはエポキシ基含有アクリル樹脂を用いることにより、本発明1の硬化性樹脂組成物の硬化物は、より優れた機械的強度や耐熱性を発現するものとなる。
上記エポキシ基を有する高分子ポリマー、好ましくはエポキシ基含有アクリル樹脂は、重量平均分子量が1万以上であることが好ましい。エポキシ基を有する高分子ポリマー、好ましくはエポキシ基含有アクリル樹脂の重量平均分子量が1万未満であると、硬化性樹脂組成物の造膜性が不充分となって、硬化性樹脂組成物の硬化物の可撓性が充分に向上しないことがある。
また、上記エポキシ基を有する高分子ポリマー、好ましくはエポキシ基含有アクリル樹脂は、そのエポキシ当量の下限が200、上限が1000であることが好ましい。エポキシ基を有する高分子ポリマー、好ましくはエポキシ基含有アクリル樹脂のエポキシ当量が200未満であると、硬化性樹脂組成物の硬化物の可撓性が充分に向上しないことがあり、逆にエポキシ基を有する高分子ポリマー、好ましくはエポキシ基含有アクリル樹脂のエポキシ当量が1000を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化物の機械的強度や耐熱性が不充分となることがある。
本発明1の硬化性樹脂組成物は、上記硬化物の粘弾性スペクトル測定におけるtanδのピークが単一であり、かつ、上記ピークの温度が120℃以上であることが好ましい。
上述のように、エポキシ樹脂にポリマー成分を添加した樹脂組成物の樹脂マトリクスが相分離構造をとることは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた観察で確認することができるが、上記樹脂マトリクスが相分離をとることは、硬化物の粘弾性スペクトルを測定することによっても容易に知ることができる。
即ち、この粘弾性のtanδは、硬化物の樹脂マトリクスが相分離構造を有するときには単一のピークを示すことなく、例えば、相構造が2層の場合には2つのピークが現れ、相構造が3層の場合には3つのピークが現れる。
本明細書において、「tanδのピーク」とは、他の部分に比べて特に飛び出したピークをいう。
また、上記tanδのピークの温度が120℃未満であると、従来の信頼性試験で用いられる温度領域(120℃)前後での樹脂軟化が起きることとなり、結果として、水分の透過、冷熱サイクル試験時の界面剥がれを起こす原因となることがある。
本発明1の硬化性樹脂組成物の硬化物は、120℃に熱したジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中で余り膨潤しないことが好ましい。具体的には、上記硬化物は、120℃に熱したジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中で測定した膨潤率が50%以内であることが好ましい。膨潤率が50%を超えるということは、この温度での架橋がルーズであり、水分子及び酸素分子を非常に透過させやすくなることを意味する。従って、膨潤率が50%を超えると、本発明1の硬化性樹脂組成物の接着剤等としての信頼性が低下することがある。
上述のように本発明1の硬化性樹脂組成物は、その硬化物の樹脂マトリクス中に相分離構造がないため、120℃に熱したジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中で測定した膨潤率が50%以内となる。例えば、エポキシ樹脂と該エポキシ樹脂と相分離するポリマー成分とからなる樹脂組成物である場合、その硬化物の相構造は、エポキシ架橋相(エポキシ樹脂相)とポリマー相とから構成されている。ところが、上記エポキシ架橋相は、ガラス転移温度(Tg)を120℃以上とすることは容易であり膨潤を起こさないが、上記ポリマー相は、その構造中に架橋基を持っていてもそれほど多く持つことができないので、比較的ゆるい架橋構造を持つことにより、120℃付近での膨潤度を見たときに大きな膨潤を呈してしまうのである。
本発明1の硬化性樹脂組成物において、上記エポキシ樹脂は、上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂であり、上記エポキシ基と反応する官能基を有する固形ポリマーは、上記エポキシ基を有する高分子ポリマーであり、かつ、無機フィラーを含有していないことが好ましい。
通常、電子材料用接着剤等の信頼性を上げるためには、無機フィラーの大量な添加が必須であった。この無機フィラーを添加することで吸水性、弾性率が向上し、耐湿性能等が向上することは良く知られているが、電極間の圧接接合の際に、電極間で無機フィラー粒子を噛み込むことがあり、特に狭ギャップの電極間を接着する際には、上記無機フィラーの存在により接着不良が生じることがあった。
また、上記無機フィラーは良く用いられるものとして球状シリカが挙げられるが、この球状シリカは、基本的に粒径分布を持つものであり、確率として非常に粗大な粒子を持つ可能性がある。特に、無機フィラー(球状シリカ)を大量に添加をした際には、非常に粗大な粒子が含まれる確率が非常に高くなり、上述した不都合が発生しやすくなる。
これらのことを鑑み、本発明1の硬化性樹脂組成物では、無機フィラーを含有していないことが好ましい。
なお、例えば、無機フィラーの粒径分布が非常に揃っており、最大粒径が非常に小さい無機フィラーであれば、上述した不都合が殆ど生じることがない。従って、このような無機フィラーであれば、本発明1の硬化性樹脂組成物に添加されていてもよい。具体的には、無機フィラーの最大粒径が3μm以下で、かつ、樹脂全体を100重量部とした際の添加量が30重量部以下であることが好ましい。
最大粒径が3μmを超える無機フィラーを含有していると、上述した不都合が生じやすくなるとともに、本発明1の硬化性樹脂組成物をビア孔を必要とする基板に用いる際に、レーザー加工時の貫通孔の真円度が落ち、上記無機フィラーによって、ビア孔の加工表面の平滑性が失われることがある。
最大粒径が3μm以下と粗大な粒子を含まない無機フィラーとしては特に限定されるものではないが、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、ガラス繊維、アルミナ微粒子等が挙げられ、なかでも、シリカが好適に用いられ、とりわけ、表面に疎水化処理が施された疎水性シリカがより好適に用いられる。これらの無機フィラーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。なお、本発明1の硬化性樹脂組成物では、最大粒径が3μm以下であれば、低分子量の微粒子状有機物からなる有機フィラーが含有されていてもよい。
本発明1の硬化性樹脂組成物中に上記最大粒子径が3μm以下の無機フィラーを含有させる場合、上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂と上記エポキシ基を有する高分子ポリマーとの合計量100重量部に対して30重量部を超えると、本発明1の硬化性樹脂組成物をビア孔を必要とする基板に用いる際に、レーザー加工時の貫通孔の真円度が落ち、上記無機フィラーによって、ビア孔の加工表面の平滑性が失われたり、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、塗工性が阻害されたりすることがある。
本発明1の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物中に20℃における弾性率(G’)が1×10〜1×10Paの低弾性率物質が非相溶で島状に分散していることが好ましい。
硬化性樹脂組成物中に20℃における弾性率(G’)が1×10〜1×10Paの低弾性率物質が非相溶で島状に分散していることにより、本発明1の硬化性樹脂組成物の硬化物は、海−島構造が形成され、より優れた機械的強度や耐熱性とより優れた可撓性とを兼備するもの、即ち、より優れた強靱性を発現するものとなる。
上記低弾性率物質の20℃における弾性率(G’)が1×10Pa未満であると、硬化性樹脂組成物の硬化物の機械的強度や耐熱性が充分に向上しないことがあり、逆に上記低弾性率物質の20℃における弾性率(G’)が1×10Paを超えると、硬化性樹脂組成物の硬化物の可撓性が充分に向上しないことがある。また、上記低弾性率物質が硬化性樹脂組成物と相溶していると、硬化性樹脂組成物の硬化物に海−島構造が形成されないので、上記効果を充分に得られなくなることがある。
上記低弾性率物質としては、20℃における弾性率(G’)の下限が1×10Pa、上限が1×10Paであり、硬化性樹脂組成物と相溶しないものであれば如何なる物質であっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂、各種ゴム(各種エラストマー)等が挙げられる。これらの低弾性率物質は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明2の硬化性樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂と、ナフタレン型エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤とが混合されてなるエポキシ樹脂組成物と、コアのガラス転移温度が20℃以下であり、シェルのガラス転移温度が40℃以上であるコアシェル構造のゴム粒子とを含有する。
上記エポキシ樹脂組成物中に含有されるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有するジシクロペンタジエン骨格からなるエポキシ樹脂のことであり、このジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、疎水性に富むので、上記エポキシ樹脂組成物中にジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を含有させることにより、本発明2の硬化性樹脂組成物は、疎水化され、その硬化物は吸水率が低く、プレッシャークッカー試験等に代表される高温高湿の環境下においても高い疎水性を発現するものとなる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、重合度及び/又は軟化点が低いことが好ましい。このようなジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を用いることにより、本発明2の硬化性樹脂組成物を例えば接着性エポキシ樹脂ペーストとして用いる場合には、ペーストの流動性を高めることができ、また、本発明2の硬化性樹脂組成物を例えば接着性エポキシ樹脂シートとして用いる場合には、硬化前のシートに適度な柔軟性を付与して、割れにくくすることができる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシドやジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記エポキシ樹脂組成物中に含有されるナフタレン型エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有するナフタレン骨格からなるエポキシ樹脂のことであり、本発明2においては、常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂が好適に用いられる。ナフタレン型エポキシ樹脂は剛直なナフタレン骨格を有しているので、本発明2の硬化性樹脂組成物を例えば接着性エポキシ樹脂シートとして用いる場合、硬化後のシートが高温高湿下においても高い形状保持性を得ることができ、高い耐湿接着性を発現することができる。
本発明2の硬化性樹脂組成物を例えば接着性エポキシ樹脂ペーストとして用いる場合には、上記ナフタレン型エポキシ樹脂は粘度が低い方が好ましい。また、本発明2の硬化性樹脂組成物を例えば接着性エポキシ樹脂シートとして用いる場合にも、上記ナフタレン型エポキシ樹脂は、通常、異性体を含むため融点が常温以下となっているので、常温でシートの柔軟性を向上させて、硬化前のシートを割れにくくすることができるとともに、硬化速度を速くすることもできる。
上記常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリジジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。これらのナフタレン型エポキシ樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂に含有されるエポキシ基の数は、特に限定されるものではないが、1分子あたり平均1個以上であることが好ましく、より好ましくは1分子あたり平均2個以上である。ここで、1分子あたりのエポキシ基の数は、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂中のエポキシ基の総数又はナフタレン型エポキシ樹脂中のエポキシ基の総数をジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の分子の総数又はナフタレン型エポキシ樹脂の分子の総数で除算して求めることができる。
上記エポキシ樹脂組成物中には、必要に応じて、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂やエポキシ基含有化合物が含有されていても良い。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物は、上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂中のエポキシ基や上記エポキシ基を有する高分子ポリマー中のエポキシ基や、上記エポキシ樹脂組成物中に含有されるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂中のエポキシ基やナフタレン型エポキシ樹脂中のエポキシ基に作用して、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂やエポキシ基を有する高分子ポリマーや、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂を硬化させるためのエポキシ樹脂用硬化剤(以下、単に「硬化剤」と略記することもある)を含有する。
本発明1の硬化性樹脂組成物及び本発明2の硬化性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂用硬化剤を含有するので、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂やエポキシ基を有する高分子ポリマーや、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂が好ましくは加熱下で強固かつ速やかに硬化し、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性や導通材料とした際の高い導通信頼性を発現するものとなる。
上記エポキシ樹脂用硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の加熱硬化型酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤、カチオン系触媒型硬化剤等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記エポキシ樹脂用硬化剤のなかでも、常温で液状の加熱硬化型硬化剤や、多官能であり、当量的に添加量が少量で良いジシアンジアミド等の潜在性硬化剤が好適に用いられる。このような硬化剤を用いることにより、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物を用いて例えば接着性エポキシ樹脂シートを作製する場合、硬化前には常温で柔軟であってハンドリング性が良好なシートを得ることができる。これに対し、常温で固体であって当量的に添加量の多くなるフェノール系硬化剤は、シート自体の硬化前のガラス転移温度(Tg)がかなり上昇してしまい、初期に割れの発生するハンドリング性に劣るシートとなりやすいので、あまり好ましくない。
上記常温で液状の加熱硬化型硬化剤の代表的なものとしては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系硬化剤が挙げられ、なかでも、疎水化されていることから、メチルナジック酸無水物やトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸が好適に用いられる。これに対し、メチルテトラヒドロ無水フタル酸やメチルヘキサヒドロ無水フタル酸は、耐水性が劣るので、あまり好ましくない。これらの酸無水物系硬化剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物においては、硬化速度や硬化物の物性等を調整するために、上記エポキシ樹脂用硬化剤とともに、硬化促進剤を併用しても良い。
上記硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられ、なかでも、硬化速度や硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすいことから、イミダゾール系硬化促進剤が好適に用いられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記イミダゾール系硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イミダゾールの1位をシアノエチル基で保護した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールや、イソシアヌル酸で塩基性を保護した商品名「2MA−0K」(四国化成工業社製)等が挙げられる。これらのイミダゾール系硬化促進剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
酸無水物系硬化剤と例えばイミダゾール系硬化促進剤等の硬化促進剤とを併用する場合は、酸無水物系硬化剤の添加量をエポキシ基に対して理論的に必要な当量以下とすることが好ましい。酸無水物系硬化剤の添加量が必要以上に過剰であると、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物から水分により塩素イオンが溶出しやすくなる恐れがある。例えば、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物から熱水で溶出成分を抽出した際に、抽出水のpHが4〜5程度まで低くなり、エポキシ樹脂から引き抜かれた塩素イオンが多量に溶出してしまうことがある。
また、アミン系硬化剤と例えばイミダゾール系硬化促進剤等の硬化促進剤とを併用する場合も、アミン系硬化剤の添加量をエポキシ基に対して理論的に必要な当量以下とすることが好ましい。アミン物系硬化剤の添加量が必要以上に過剰であると、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物から水分により塩素イオンが溶出しやすくなる恐れがある。例えば、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物から熱水で溶出成分を抽出した際に、抽出水のpHが塩基性となり、やはりエポキシ樹脂から引き抜かれた塩素イオンが多量に溶出してしまうことがある。
本発明2の硬化性樹脂組成物は、上述したエポキシ樹脂組成物中に、コア(芯材)のガラス転移温度が20℃以下であり、シェル(外殻)のガラス転移温度が40℃以上であるコアシェル構造のゴム粒子が含有されてなる。このようなゴム粒子を含有させることにより、本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物は、マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂に対してゴム成分の安定的な相分離構造を形成させることができ、柔軟で優れた応力緩和性を発現するものとなる。
上記ゴム粒子は、ガラス転移温度が20℃以下であるコアとガラス転移温度が40℃以上であるシェルとからなるコアシェル構造を有する。なお、上記ゴム粒子は2層以上の複層構造からなるコアシェル構造の粒子であれば良く、3層以上の複層構造からなるコアシェル構造の粒子である場合、シェルは最外殻を意味する。
上記ゴム粒子のコアのガラス転移温度が20℃を超えると、本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物の応力緩和性が充分に向上しない。また、上記ゴム粒子のシェルのガラス転移温度が40℃未満であると、ゴム粒子同士が融着(凝集)したり、エポキシ樹脂組成物中で分散不良が発生する。なお、上記ゴム粒子のシェルは、エポキシ樹脂と非相溶であるか、又は、若干の架橋によるゲル化がなされていて、エポキシ樹脂に溶解しないものであることが好ましい。
このようなゴム粒子を構成する樹脂成分としては、コアのガラス転移温度を20℃以下、シェルのガラス転移温度を40℃以上とし得るものであれば如何なる樹脂成分であっても良く、特に限定されるものではないが、ガラス転移温度の設計範囲が広いことから、通常はアルリル系樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂成分は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、ゴム粒子のシェルは、エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応する官能基を有していても良い。エポキシ基と反応する官能基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられ、なかでも、常温ではエポキシ基と反応せず、本発明2の硬化性樹脂組成物の濡れ性の低下や貯蔵安定性の低下を来さないことから、水酸基やエポキシ基が好適に用いられる。これらのエポキシ基と反応する官能基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記ゴム粒子は、特に限定されるものではないが、平均粒子径が30μm以下であることが好ましい。ゴム粒子の平均粒子径が30μmを超えると、本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物の応力緩和性が充分に向上しないことがある。また、本発明2の硬化性樹脂組成物を例えば接着性エポキシ樹脂ペーストとして用いる場合、流動性が不充分となって、塗工性や間隙部への充填性が阻害されることがあり、また、本発明2の硬化性樹脂組成物を例えば接着性エポキシ樹脂シートとして用いる場合、薄膜のシート成形が困難となることがある。
このようなゴム粒子の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えば、根上工業社製の商品名「パラクロンRP−101」、「パラクロンRP−103」、「パラクロンRP−412」等の「パラクロン」シリーズ、ガンツ化成社製の商品名「スタフィロイドIM−101」、「スタフィロイドIM−203」、「スタフィロイドIM−301」、「スタフィロイドIM−401」、「スタフィロイドIM−601」、「スタフィロイドAC−3355」、「スタフィロイドAC−3364」、「スタフィロイドAC−3816」、「スタフィロイドAC−3832」、「スタフィロイドAC−4030」等の「スタフィロイド」シリーズ、ゼオン化成社製の商品名「ゼオンF351」等の「ゼオン」シリーズ、三菱レーヨン社製の商品名「メタブレンC−140A」、「メタブレンC−201A」、「メタブレンC−215A」、「メタブレンC−223A」、「メタブレンC−303A」、「メタブレンC−323A」、「メタブレンC−102」、「メタブレンC−132」、「メタブレンC−202」、「メタブレンE−901」、「メタブレンW−341」、「メタブレンW−300A」、「メタブレンW−450A」、「メタブレンS−2001」、「メタブレンSX−005」、「メタブレンSX−006」、「メタブレンSRK200」等の「メタブレン」シリーズ等が挙げられる。また、予めゴム粒子を分散させたエポキシ樹脂の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えば、日本触媒社製の商品名「エポセットBPA−828」、「エポセットBPF−807」等の「エポセット」シリーズ等が挙げられる。これらのゴム粒子や予めゴム粒子を分散させたエポキシ樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明2の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が含有されていても良い。
上記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、スチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ウレタン系樹脂、上記ペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂以外のエポキシ系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アミノアルキド系樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。また、上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
本発明2の硬化性樹脂組成物を例えばペースト状の接着性エポキシ樹脂ペーストとして用いる場合、上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、増粘剤として機能する。この際、ペーストの粘度が極端に高くならない限り、上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の重量平均分子量は特に限定されるものではない。また、必要に応じて、溶剤を添加してペーストの粘度を調整しても良い。
本発明2の硬化性樹脂組成物を例えばセパレーター(離型シートや離型紙)上でシート状に成形した接着性エポキシ樹脂シートとして用いる場合、良好なシート形状を確保するために、上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、比較的高いガラス転移温度を有する高分子量重合体であることが好ましい。この際、上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、特に限定されるものではないが、重量平均分子量が1万以上であることが好ましく、より好ましくは10万以上である。熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の重量平均分子量が1万未満であると、シート自体の凝集力が不足して、シート上に塗工した接着剤や塗料等の塗工物をはじきやすくなったり、セパレーターを剥離する際にシート自体が凝集破壊を起こしたりすることがある。
上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、エポキシ基と反応する官能基を有していることが好ましい。熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂がエポキシ基と反応する官能基を有していることにより、本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物は、より優れた機械的強度や耐熱性を発現するものとなる。
上記エポキシ基と反応する官能基としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられる。これらのエポキシ基と反応する官能基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明2の硬化性樹脂組成物を溶剤で粘度調整した接着性エポキシ樹脂ペーストとして用いたり、溶剤キャスト法により成形する接着性エポキシ樹脂シートとして用いたりする場合、上記エポキシ基と反応する官能基のなかでも、溶剤を乾燥させるための110℃程度の温度ではエポキシ基と反応せず、150〜230℃程度の温度でエポキシ基と反応する水酸基やエポキシ基を用いることが好ましい。水酸基やエポキシ基を有する樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂やエポキシ基含有アクリル樹脂等が挙げられる。
エポキシ基と反応する官能基としてアミノ基やカルボキシル基等を用いると、本発明2の硬化性樹脂組成物を溶剤で粘度調整した接着性エポキシ樹脂ペーストとして用いたり、溶剤キャスト法により成形する接着性エポキシ樹脂シートとして用いる場合、溶剤を乾燥させるための110℃程度の温度でエポキシ基と反応してしまうため、乾燥時又は成形時にペーストやシートが半硬化状態(Bステージ状態)となってしまい、ペーストの塗工性が阻害されたり、ペーストやシートの被着体に対する密着性や耐湿接着性等が低下することがある。
また、1つの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が有するエポキシ基と反応する官能基の当量は、特に限定されるものではないが、1万以下であることが好ましく、より好ましくは1000以下である。このような当量のエポキシ基と反応する官能基を有する熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることにより、本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物は、架橋密度の高いネットワークを形成することができる。なお、上記エポキシ基と反応する官能基の当量とは、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の重量平均分子量を1つの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に存在するエポキシ基と反応する官能基の総数で除算した値である。
本発明1の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明2の硬化性樹脂組成物に含有される上記コアのガラス転移温度が20℃以下であり、シェルのガラス転移温度が40℃以上であるコアシェル構造のゴム粒子や、本発明2の硬化性樹脂組成物に含有されていても良い上記熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が含有されていても良い。
本発明2の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明1の硬化性樹脂組成物に含有される上記エポキシ基を有する高分子ポリマーが含有されていても良い。また、本発明2の硬化性樹脂組成物は、平均粒子径が3μmを超えるフィラーを含有していないことが好ましい。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、密着性向上剤、pH調整剤、イオン捕捉剤、粘度調整剤、揺変性付与剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、脱水剤、難燃剤、帯電防止剤、防黴剤、防腐剤、溶剤等の各種添加剤の1種類又は2種類以上が添加されていても良い。
上記密着性向上剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられ、なかでも、シランカップリング剤が好適に用いられる。これらの密着性向上剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、イソシアネートシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤、ケチミンシランカップリング剤等が挙げられ、なかでも、硬化速度やエポキシ樹脂との親和性の観点から、アミノシランカップリング剤が好適に用いられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記密着性向上剤の添加量は、特に限定されるものではないが、本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物100重量部に対し、密着性向上剤20重量部以下であることが好ましい。本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物100重量部に対する密着性向上剤の添加量が20重量部を超えると、硬化性樹脂組成物を例えば接着性エポキシ樹脂シートとして用いる場合、硬化前のシートの強度や凝集力が弱くなりすぎることがある。
上記pH調整剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ等の酸性フィラーや炭酸カルシウム等のアルカリ性フィラー等が挙げられる。これらのpH調整剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記イオン捕捉剤としては、イオン性不純物の量を低減させ得るものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、アルミノ珪酸塩、含水酸化チタン、含水酸化ビスマス、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、ハイドロタルサイト、モリブドリン酸アンモニウム、ヘキサシアノ亜鉛、有機系イオン交換樹脂等や、高温での特性が優れるイオン捕捉剤として市販されている東亜合成社製の商品名「IXE」シリーズ等が挙げられる。これらのイオン捕捉剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記イオン捕捉剤の添加量は、特に限定されるものではないが、本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物100重量部に対し、イオン捕捉剤10重量部以下であることが好ましい。本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物100重量部に対するイオン捕捉剤の添加量が10重量部を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化速度が極端に遅くなることがある。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の各種混練機を単独で用いるか又は併用して、それぞれの必須成分の各所定量と、含有されていても良い各種成分の各所定量と、添加されていても良い各種添加剤の1種類若しくは2種類以上の各所定量とを、常温下若しくは加熱下で、常圧下、減圧下、加圧下若しくは不活性ガス気流下等の条件下で均一に混練することにより、所望の硬化性樹脂組成物を製造することができる。なお、エポキシ樹脂用硬化剤が加熱硬化型硬化剤や潜在性硬化剤である場合、上記製造方法で良いが、エポキシ樹脂用硬化剤が常温硬化型硬化剤である場合、エポキシ樹脂用硬化剤の添加は硬化性樹脂組成物又はそれを用いた最終製品の使用直前であることが好ましい。
こうして得られる本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂組成物の硬化物の溶出成分を110℃の熱水で抽出した際の抽出水のpHが5.0以上8.5未満であることが好ましい。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物の溶出成分を110℃の熱水で抽出した際の抽出水のpHが5.0未満であるか、8.5以上であると、硬化物表面及び近傍に酸性物質やアルカリ性物質が流出して、アルミや銅等の電極金属の腐食を引き起こしたり、硬化物中で加水分解等により生じた酸を触媒とする塩素引き抜き反応が起こって塩素イオンが流出し、信頼性を損なったりすることがある。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物の溶出成分を110℃の熱水で抽出した際の抽出水の電気伝導度が100μS/cm以下であることが好ましい。100μS/cmを超えるということは特に湿潤条件下に置かれた場合に樹脂中の導電性が増すということを意味し、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物を用いて導電接続を行った場合に電極間でのリークや絶縁破壊が起こることがある。
また、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の硬化物の誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.02以下であることが好ましい。誘電率が3.5を超え、かつ、誘電正接が0.02を超えると、現在の高周波での伝送特性が悪くなることがある。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物の用途は、特に限定されるものではないが、例えば、接着性エポキシ樹脂ペースト、接着性エポキシ樹脂シート、導電接続ペースト、導電接続シート等に加工され、電子材料の固定等に好適に使用される。また、上記硬化性樹脂組成物をワニス状に仕上げて、スピンコート等の塗布方法により、シリコーンウェーハ等に薄膜形成させて接着剤として使用しても良い。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物にはフラックス剤を添加しておいても良い。上記フラックス剤は、失活性フラックス剤であることが好ましい。上記硬化性樹脂組成物は、平均粒子径が大きいフィラーを含有していないので、実質的にノンフィラーペーストやノンフィラーシートとして用いることができ、硬化物もpHが中性域となるように設計されているので、導電接続用のフラックス剤含有ペースト又はフラックス剤含有シートとして適している。
本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物は、ペレット状であれば、例えば、半導体パッケージ用封止剤、QFN用封止剤、一体成形型CSP用封止剤等のような封止剤として用いることができる。また、上記硬化性樹脂組成物が実質的にノンフィラーペーストであれば、スクリーン印刷法又はスピンコート法で、再配線及び外部電気接続用金属ポストが付いたウェーハに直接塗工し硬化させた後、研磨することにより、ウェーハ上で再配線回路を封止することもできる。更に、スクリーン印刷法でウェーハに直接塗工することにより、ウェーハ上でオーバーコート剤として用いることもできる。
また、本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物は、シート状に成形されると、半導体チップ固定用の接着シートとして用いることができる。
本発明3の接着性エポキシ樹脂ペーストは、本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物からなる。本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物は、本来的に接着性を有するので、容易に本発明3の接着性エポキシ樹脂ペーストとなり得る。本発明3の接着性エポキシ樹脂ペーストは、本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物を製造する際に、必要に応じて、粘度調整剤や揺変性付与剤等を用いて、硬化性樹脂組成物をペースト状に仕上げることにより、容易に得ることができる。
本発明4の層間接着剤、本発明5の非導電性ペースト及び本発明6のアンダーフィルは、本発明3の接着性エポキシ樹脂ペーストからなるものである。
本発明7の接着性エポキシ樹脂シートは、本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物がシート状に成形されてなる。
本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物をシート状に成形する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、押出機による押出成形法、硬化性樹脂組成物を溶剤で希釈して硬化性樹脂組成物溶液を調製し、この溶液をセパレーター上にキャスティングした後、溶剤を乾燥させる溶液キャスト法等が挙げられ、なかでも、高温を必要としないことから、溶液キャスト法が好適に用いられる。
本発明7の接着性エポキシ樹脂シートは、接着性エポキシ樹脂シートを昇温速度45℃/分で昇温したときに現れる貯蔵弾性率(G’)が1×10Paを超えることが好ましい。接着性エポキシ樹脂シートの上記貯蔵弾性率(G’)が1×10Pa以下であると、接着性エポキシ樹脂シートの加熱硬化時に接着性エポキシ樹脂シートと被着体との接着界面にボイドが発生することがある。
本発明7の接着性エポキシ樹脂シートは、動的粘弾性に基づくtanδのピーク温度が、硬化前は−20℃〜40℃の範囲にあり、硬化後は120℃以上であることが好ましく、より好ましくは、硬化前は0〜35℃の範囲にあり、硬化後は160℃以上である。ここで、tanδとは、動的粘弾性測定(測定周波数:10Hz、昇温速度:3℃/分)によって求められる力学的損失正接で表される値である。また、ここで、硬化前とは、所定の温度以上に加熱されることによって接着性エポキシ樹脂シートが熱硬化する前の状態を言い、硬化後とは、接着性エポキシ樹脂シートが熱硬化した後の状態を言う。なお、本発明4の接着性エポキシ樹脂シートは、一般に、20〜230℃の温度範囲で熱硬化する。
このようなtanδのピーク温度を有することにより、本発明7の接着性エポキシ樹脂シートは、常温領域で柔軟であって、しかも取り扱い性に優れ、かつ、常温で粘着性を有するものとなり、熱プレスすることなく、被着体同士を常温領域で貼り合わせることができるとともに、熱オーブン等で加熱硬化(後養生)することによって高い接着信頼性を発現することができる。即ち、本発明7の接着性エポキシ樹脂シートは、硬化前は常温で粘着性を有し、加熱による硬化後は優れた物性を発現するものであるので、粘着性を有するシートによって貼り合わせ、位置決めや仮固定をすることができるとともに、後で加熱することによって優れた接着力等の物性を発現し、接着性シートとして充分な接着信頼性を発現することができる。
接着性エポキシ樹脂シートの硬化前のtanδのピーク温度が−20℃未満であると、接着性エポキシ樹脂シートの凝集力が不充分となるために、セパレーターから剥がれにくくなる。また、接着性エポキシ樹脂シート中に後述する導電性微粒子を含有させて導電接続シートを作製する際に、導電性微粒子を配置するために設けた貫通孔にエポキシ樹脂が流れ込んで貫通孔が埋まってしまうことがある。逆に、接着性エポキシ樹脂シートの硬化前のtanδのピーク温度が40℃を超えると、接着性エポキシ樹脂シート中に導電性微粒子を含有させて導電接続シートを作製する際に、常温での導電性微粒子に対する粘着性が不充分となって、導電性微粒子を保持することが困難になることがある。
また、接着性エポキシ樹脂シートの硬化後のtanδのピーク温度が120℃未満であると、プレッシャークッカー試験等に代表される高温高湿の環境下では、硬化した接着性エポキシ樹脂シートが軟化して、接着信頼性が低下することがある。
本発明7の接着性エポキシ樹脂シートは、硬化後の線膨張係数の好ましい下限は10ppm/℃、好ましい上限は200ppm/℃であり、より好ましい下限は20ppm/℃、より好ましい上限は150ppm/℃であり、更に好ましい下限は30ppm/℃、更に好ましい上限は100ppm/℃である。
接着性エポキシ樹脂シートの硬化後の線膨張係数が10ppm/℃未満であると、接着性エポキシ樹脂シート中に導電性微粒子を含有させて導電接続シートを作製した際に、接着性エポキシ樹脂シートと導電性微粒子との線膨張の差が大きくなって、導電接続シートに熱サイクル等がかかった場合、導電性微粒子の線膨張に追従することができず、高い導通信頼性を維持することが困難となる場合があり、逆に接着性エポキシ樹脂シートの硬化後の線膨張率が200ppm/℃を超えると、接着性エポキシ樹脂シート中に導電性微粒子を含有させて導電接続シートを作製した際に、熱サイクル等がかかった場合、対向する電極間が拡がりすぎて導電性微粒子が電極から離れてしまい、導通不良の原因になることがある。
本発明8の非導電性フィルム、及び、本発明9のダイアタッチフィルムは、本発明7の接着性エポキシ樹脂シートからなるものである。
本発明10の導電接続ペーストは、本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト中に導電性微粒子が含有されてなる。
本発明11の異方性導電ペーストは、本発明10の導電接続ペーストからなるものである。
本発明12の導電接続シートは、上記本発明7の接着性エポキシ樹脂シート中に導電性微粒子が含有されてなり、かつ、上記導電性微粒子の少なくとも一部が接着性エポキシ樹脂シートから露出している。
本発明13の導電接続シートは、上記本発明7の接着性エポキシ樹脂シート中にシートの厚みよりも小さい導電性微粒子が埋設されてなる。
本発明10の導電接続ペースト、本発明11の異方性導電ペースト、及び、本発明12及び本発明13の導電接続シートに用いられる導電性微粒子としては、導電性を有している微粒子であれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、金属、カーボンブラック等の導電性無機物、導電性高分子からなるもの、樹脂からなる高分子量重合体、非導電性無機物や非導電性高分子等の最外層にメッキ処理等の方法によって導電被覆膜を設けたもの、導電性無機物や導電性高分子等の最外層に更に導電被覆膜を設けたもの等が挙げられ、なかでも、適度な弾性、柔軟性、形状回復性等を有する球状のものを得られやすいことから、高分子量重合体からなるコア(芯材)の表面に導電被覆膜が形成されてなる導電性微粒子が好適に用いられる。これらの導電性微粒子は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記導電被覆膜は、特に限定されるものではないが、金属からなるものであることが好ましい。導電被覆膜形成用の金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル、金、銀、アルミニウム、銅、錫、ハンダ等が挙げられる。この導電被覆膜は、電極との接触抵抗、導電性及び酸化劣化しないこと等を考慮すると、最外層に金を用いた導電被覆膜であることが好ましい。また、導電被覆膜は、複層化のためのバリア層やコアと金属との密着性を向上させるためのニッケル層を有していることが好ましい。
上記導電被覆膜の厚みは、充分な導通と剥がれない程度の皮膜強度が得られれば良く、特に限定されるものではないが、0.4μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上であり、更に好ましくは2μm以上である。また、コアの直径は、コアの特性が失われない程度であれば良く、特に限定されるものではないが、導電性微粒子の直径の1/5以下であることが好ましい。
上記導電性微粒子のコアとなる高分子量重合体としては、特に限定されるものではないが、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、架橋樹脂、有機無機ハイブリッド重合体等が挙げられ、なかでも、耐熱性に優れることから、架橋樹脂が好適に用いられる。これらの高分子量重合体は、必要に応じて、充填物を含有していても良い。また、これらの高分子量重合体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記導電性微粒子は、特に限定されるものではないが、平均粒子径、粒子径のアスペクト比、粒子径のCV値(変動係数)、抵抗値、圧縮回復率、線膨張係数及びK値が、それぞれ下記のような範囲内にあることが好ましい。
上記導電性微粒子の平均粒子径としては、上記導電性微粒子を樹脂中に混ぜ込んで用いる場合には、好ましい下限は1μm、好ましい上限は5μmである。より好ましい下限は2μmである。
また、上記導電性微粒子を、シート中に導電性粒子が露出しているような構成体に用いる場合には、上記導電性微粒子の平均粒子径としては、シートの厚みにもよるが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は800μmである。10μm未満であると、電極や基板の平滑性の精度の問題から導電性微粒子が電極と接触しにくくなって導通不良を起こすことがあり、800μmを超えると、微細間隔の電極に対応できずに隣接電極をショートさせてしまうことがある。より好ましい下限は15μm、より好ましい上限は300μmであり、更に好ましい下限は20μm、更に好ましい上限は150μmであり、特に好ましい下限は40μm、特に好ましい上限は80μmである。
なお、上記導電性微粒子の平均粒子径は、任意の100個の導電性微粒子を顕微鏡で観察することにより測定することができる。
上記導電性微粒子の粒子径のアスペクト比は、1.3未満であることが好ましく、より好ましくは1.1未満であり、更に好ましくは1.05未満である。なお、導電性微粒子の粒子径のアスペクト比とは、導電性微粒子の平均長径を平均短径で除算して求めた値である。
上記導電性微粒子の粒子径のアスペクト比が1.3以上であると、導電性微粒子が不揃いとなるため、短径部分が電極に届きにくくなって導通不良を起こすことがある。一般に導電性微粒子は粒子径のアスペクト比が高いものが多いので、本発明で用いられる導電性微粒子は、変形可能な状態で表面張力を利用する等の方法により球形化処理を施して球状にしたものであることが好ましい。
上記導電性微粒子の粒子径のCV値(変動係数)は、5%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下であり、更に好ましくは1%以下である。なお、導電性微粒子の粒子径のCV値とは、下記計算式に示すように、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除算し、100を乗ずることによって求めた値である。
粒子径のCV値(%)=(粒子径の標準偏差/平均粒子径)×100
上記導電性微粒子の粒子径のCV値が5%を超えると、粒子径が不揃いとなるため、小さい導電性微粒子が電極に届きにくくなって導通不良を起こすことがある。通常の導電性微粒子は粒子径のCV値が大きいため、本発明で用いられる導電性微粒子は、分級等により粒子径を揃えたものであることが好ましい。特に粒子径が200μm以下の微粒子は精度良く分級することが困難であるため、篩分級、気流分級、湿式分級等を組み合わせて分級することが好ましい。
上記導電性微粒子の抵抗値は、平均粒子径の10%を圧縮した時、1Ω以下であることが好ましく、より好ましくは0.3Ω以下であり、更に好ましくは0.05Ω以下であり、特に好ましく0.01Ω以下である。
上記導電性微粒子の抵抗値が1Ωを超えると、充分な電流値を確保することが困難となったり、高い電圧に耐えることが困難となるため、素子が正常に作動しなくなることがある。また、導電性微粒子の抵抗値が0.05Ω以下であると、電流駆動型の素子でも高い導通信頼性を保ったまま対応が可能になる等、著しく効果が高まる。
上記導電性微粒子の圧縮回復率は、5%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上であり、更に好ましくは50%以上であり、特に好ましくは80%以上である。なお、ここで導電性微粒子の圧縮回復率とは、20℃の雰囲気下、10%の圧縮変形状態における形状回復率のことであり、特公平7−95165号公報に記載の方法に準拠して、微小圧縮試験器(例えば、島津製作所社製の商品名「PCT−200」)を用いて、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、導電性微粒子を圧縮速度0.28mN/秒、原点荷重値1.0mN、反転荷重値10mNの条件で圧縮し、反転の点までの変位差の比を%で表した値である。
上記導電性微粒子の圧縮回復率が5%未満であると、衝撃等により対向する電極間が瞬間的に拡がった際に、それに追従することができず、瞬間的に導通が不安定になることがある。
上記導電性微粒子の線膨張係数の好ましい下限は10ppm/℃、好ましい上限は200ppm/℃であり、より好ましい下限は20ppm/℃、より好ましい上限は150ppm/℃であり、更に好ましい下限は30ppm/℃、更に好ましい上限は100ppm/℃である。なお、導電性微粒子の線膨張係数は、公知の方法によって測定することができる。
上記導電性微粒子の線膨張係数が10ppm/℃未満であると、導電性微粒子を例えば本発明4の接着性エポキシ樹脂シート中に含有させて、本発明6又は本発明7の導電接続シートとした際に、導電性微粒子と接着性エポキシ樹脂シートとの線膨張の差が大きくなるため、熱サイクル等がかかった時に接着性エポキシ樹脂シートの伸びに追従することが困難となって、導通が不安定になることがあり、逆に導電性微粒子の線膨張係数が200ppm/℃を超えると、導電接続シートが基板に粘着により接着されている場合には、熱サイクル等がかかった時に電極間が拡がりすぎて、その粘着による接着部分が破壊されて電極の接続部に応力が集中するため、導通不良等を起こすことがある。
上記導電性微粒子のK値の好ましい下限は400N/mm、好ましい上限は15000N/mmであり、より好ましい下限は1000N/mm、より好ましい上限は10000N/mmであり、更に好ましい下限は2000N/mm、更に好ましい上限は8000N/mmであり、特に好ましい下限は3000N/mm、特に好ましい上限は6000N/mmである。なお、導電性微粒子のK値は、特公平7−95165号公報に記載されているように、(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2(単位はN/mm)で定義され、球体の硬さを普遍的かつ定量的に表す値である。具体的には、上記公報に記載の方法に準拠して、微小圧縮試験器(例えば、島津製作所社製の商品名「PCT−200」)を用いて、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、導電性微粒子を圧縮硬度0.27g/秒、最大試験荷重10gの条件で圧縮して算出される値である。ここで、Fは10%圧縮変形における荷重値(N)、Sは10%圧縮変形における圧縮変位(mm)、Rは半径(mm)を示す。
上記導電性微粒子のK値が400N/mm未満であると、対向する電極に導電性微粒子が充分に食い込むことができないため、電極表面が酸化されている場合等には導通がとれなかったり、接触抵抗が大きくなって、導通信頼性が低下したりすることがあり、逆に導電性微粒子のK値が15000N/mmを超えると、対向電極で挟み込んだ際に電極に局部的に過度の圧力がかかって素子が破壊されたり、粒子径の大きな導電性微粒子のみによって電極間のギャップが決まってしまい、粒子径の小さい導電性微粒子が電極に届かず導通不良の原因になったりすることがある。
本発明10の導電接続ペーストは、本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト中に上記導電性微粒子の所定量を添加し、均一に混練することにより、作製することができる。
本発明12及び本発明13の導電接続シートは、本発明7の接着性エポキシ樹脂シート中に上記導電性微粒子の所定量を含有させ、配置又は埋設することにより、作製することができる。
上記導電接続シートの作製に用いられる接着性エポキシ樹脂シートの厚みは、導電性微粒子の平均粒子径の1/2〜2倍であることが好ましく、より好ましくは2/3〜1.5倍であり、更に好ましくは3/4〜1.3倍であり、特に好ましくは4/5〜1.2倍である。
また、上記導電接続シートにおいて、シート中に導電性粒子が露出するような構成とする場合には、接着性エポキシ樹脂シートの厚みが導電性微粒子の平均粒子径の1/2倍未満であると、接着性エポキシ樹脂シートが電極基板を支持することが困難となることがあり、逆に接着性エポキシ樹脂シートの厚みが導電性微粒子の平均粒子径の2倍を超えると、導電性微粒子が電極に届かず導通不良の原因となることがある。特に、素子及び基板の電極上にバンプがある場合、接着性エポキシ樹脂シートの厚みは導電性微粒子の平均粒子径の1倍以上であることが好ましく、逆に素子及び基板の電極上にバンプがない場合、接着性エポキシ樹脂シートの厚みは導電性微粒子の平均粒子径の1倍以下であることが好ましい。
上記導電接続シートの作製に用いられる接着性エポキシ樹脂シートには、導電性微粒子を配置するための貫通孔が設けられていることが好ましい。上記貫通孔を設ける位置は、特に限定されるものではなく、導通対象である基板やチップに応じて適宜選択されれば良く、導通すべき対向する基板の電極と同じ位置に任意に設けることができる。
上記貫通孔は、特に限定されるものではないが、平均孔径、孔径のアスペクト比及び孔径のCV値が、それぞれ下記のような範囲内にあることが好ましい。
貫通孔の平均孔径は、導電性微粒子の平均粒子径の1/2〜2倍であることが好ましく、より好ましくは2/3〜1.3倍であり、更に好ましくは4/5〜1.2倍であり、特に好ましくは9/10〜1.1倍である。貫通孔の平均孔径が導電性微粒子の平均粒子径の1/2未満であるか、又は、2倍を超えると、埋設された導電性微粒子が貫通孔からズレやすくなることがある。
貫通孔の孔径のアスペクト比は、2未満であることが好ましく、より好ましくは1.5以下であり、更に好ましくは1.3以下であり、特に好ましくは1.1以下である。貫通孔の孔径のアスペクト比が2以上であると、配置された導電性微粒子が貫通孔からズレやすくなることがある。なお、貫通孔の孔径のアスペクト比とは、孔径の平均長径を平均短径で除算して求めた値である。
貫通孔の孔径のCV値は、10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下であり、更に好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1%以下である。貫通孔の孔径のCV値が10%を超えると、孔径が不揃いとなって、配置された導電性微粒子が貫通孔からズレやすくなることがある。なお、貫通孔の孔径のCV値とは、下記計算式に示すように、孔径の標準偏差を平均孔径で除算し、100を乗ずることによって求めた値である。
孔径のCV値(%)=(孔径の標準偏差/平均孔径)×100
上記導電接続シートの作製に用いられる接着性エポキシ樹脂シートに上記貫通孔を設け、この貫通孔に導電性微粒子を配置する際に、接着性エポキシ樹脂シート自体に粘着性が付与されている場合には、この貫通孔の周囲の粘着性によって、導電性微粒子に対する接着性を得ることができ、室温領域付近で高い導電性微粒子の保持性を確保することができる。
また、接着性エポキシ樹脂シートに設けられた貫通孔に導電性微粒子を配置する方法としては、例えば、貫通孔を通して導電性微粒子を吸引する方法、貫通孔の上で導電性微粒子を押圧する方法等が挙げられる。
本発明12の導電接続シートは、本発明7の接着性エポキシ樹脂シート中に導電性微粒子が含有されてなり、即ち、本発明7の接着性エポキシ樹脂シート中の任意の位置に多数の導電性微粒子が配置されてなり、かつ、導電性微粒子の少なくとも一部が接着性エポキシ樹脂シートから露出しているものである。
このような構成の導電接続シートとすることにより、微細な対向する電極を導通するに際し、隣接する電極間のリークがなく、信頼性の高い導通を短時間で容易に行うことができる。
なお、導電性微粒子が配置される位置は、導電性微粒子の少なくとも一部が接着性エポキシ樹脂シートの片面のみに露出するように配置されていても良いし、導電性微粒子の少なくとも一部が接着性エポキシ樹脂シートの両面に露出するように配置されていても良い。
本発明13の導電接続シートは、本発明7の接着性エポキシ樹脂シート中にシートの厚みよりも小さい導電性微粒子が埋設されてなるものである。本発明7の導電接続シートにおいては、シートの厚みよりも小さい導電性微粒子の少なくとも一部が接着性エポキシ樹脂シートの片面もしくは両面に露出していても良いし、露出していなくても良い。
接着性エポキシ樹脂シートに貫通孔が設けられていない場合、接着性エポキシ樹脂シートの上でシートの厚みよりも小さい導電性微粒子を押圧することによって埋設しても良い。この際、接着性エポキシ樹脂シート自体に粘着性が付与されている場合には、その粘着性によって導電性微粒子が安定に保持された状態で埋設される。なお、接着性エポキシ樹脂シートの粘着性が弱い場合には、接着性エポキシ樹脂シートが硬化しない程度の加熱を行って、接着性エポキシ樹脂シートの粘着性を高めても良い。また、埋設された導電性微粒子は、接着性エポキシ樹脂シートの内部に重心があることが好ましい。このことにより、導電性微粒子を安定した状態で埋設することができる。
本発明14の異方性導電フィルムは、本発明の13の導電接続シートからなるものである。
本発明15の導電接続シートは、可塑剤の添加によって粘着性が付与される樹脂及び常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂を含有する粘着性樹脂組成物からなる粘着性樹脂シートと導電性微粒子とによって形成される導電接続シートであって、上記粘着性樹脂シートは、動的粘弾性に基づくtanδのピーク温度が硬化前は−20℃〜40℃の範囲にあり、硬化後は120℃以上であるとともに、粘着性樹脂シートの任意の位置に上記導電性微粒子が配置され、導電性微粒子の少なくとも一部が粘着性樹脂シートから露出しているものである。
上記粘着性樹脂組成物に含有される可塑剤の添加によって粘着性が付与される樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、スチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ケトン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、高い耐熱性を有し、かつ、可塑剤の添加によって粘着性を付与されるために、比較的高いガラス転移温度を有する高分子量重合体であることが好ましい。また、これらの樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記粘着性樹脂組成物に含有される可塑剤としては、常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂が用いられる。上記ナフタレン型エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有するナフタレン骨格からなるエポキシ樹脂のことである。上記ナフタレン型エポキシ樹脂は剛直なナフタレン骨格を有しているので、本発明8の導電接続シートは、硬化後のシートが高温高湿の環境下においても高い形状保持性を得ることができる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂は、通常、異性体を含むため融点が常温以下となっているので、本発明8の導電接続シートが低温で取り扱われても粘着性を有することができる。即ち、上記比較的高いガラス転移温度を有する高分子量重合体に粘着性を付与する場合、常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂を用いることによって優れた可塑化効果を発揮し、低温で取り扱われても導電性微粒子に対する粘着性と高温高湿の環境下での形状保持性とを両立できる粘着性樹脂シートひいては導電接続シートを得ることができる。
上記常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリジジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。これらのナフタレン型エポキシ樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂に含有されるエポキシ基の数は、特に限定されるものではないが、1分子あたり平均1個以上であることが好ましく、より好ましくは1分子あたり平均2個以上である。
上記粘着性樹脂組成物には、常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂を硬化させるためのエポキシ樹脂用硬化剤が含有されていることが好ましい。
上記エポキシ樹脂用硬化剤としては、上述した本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物に必須成分として含有されるものと同様の硬化剤で良く、特に限定されるものではないが、例えば、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤、カチオン系触媒型硬化剤等が挙げられ、なかでも、上記常温で液状の加熱硬化型硬化剤や、多官能であり、当量的に添加量が少量で良いジシアンジアミド等の潜在性硬化剤が好適に用いられる。これらのエポキシ樹脂用硬化剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、上記粘着性樹脂組成物においては、硬化速度や硬化物の物性等を調整するために、上記エポキシ樹脂用硬化剤とともに、硬化促進剤を併用しても良い。
上記硬化促進剤としては、上述した本発明1及び本発明2の硬化性樹脂組成物において併用され得るものと同様の硬化促進剤で良く、特に限定されるものではないが、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられ、なかでも、硬化速度や硬化物の物性等の調整をするための反応系の制御をしやすいことから、上記イミダゾール系硬化促進剤が好適に用いられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記粘着性樹脂組成物には、必要に応じて、可塑剤(ナフタレン型エポキシ樹脂)を添加しても粘着性を付与されない高分子量重合体や、例えばジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂やエポキシ基含有化合物が含有されていても良い。
また、上記粘着性樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、上記密着性向上剤、pH調整剤、イオン捕捉剤、粘度調整剤、揺変性付与剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、脱水剤、難燃剤、帯電防止剤、防黴剤、防腐剤、溶剤等の各種添加剤の1種類又は2種類以上が添加されていても良い。
上記粘着性樹脂組成物をシート状に成形して粘着性樹脂シートを作製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、押出機による押出成形法、粘着性樹脂組成物を溶剤で希釈して粘着性樹脂組成物溶液を調製し、この溶液をセパレーター上にキャスティングした後、溶剤を乾燥させる溶液キャスト法等が挙げられ、なかでも、高温を必要としないことから、溶液キャスト法が好適に用いられる。
こうして得られる粘着性樹脂シートは、上記動的粘弾性測定(測定周波数:10Hz、昇温速度:3℃/分)によって求められる力学的損失正接で表されるtanδのピーク温度が、硬化前は−20℃〜40℃の範囲にあり、硬化後は120℃以上であることが必要であり、好ましくは、硬化前は0〜35℃の範囲にあり、硬化後は160℃以上である。
このようなtanδのピーク温度を有することにより、上記粘着性樹脂シートを用いて作製される本発明15の導電接続シートは、常温領域で柔軟であって、しかも取り扱い性に優れ、かつ、常温で粘着性を有するものとなり、熱プレスすることなく、被着体同士を常温領域で貼り合わせることができるとともに、熱オーブン等で加熱硬化(後養生)することによって高い接着信頼性や高い導通信頼性を発現することができる。即ち、上記粘着性樹脂シートを用いて作製される本発明15の導電接続シートは、硬化前は常温で粘着性を有し、加熱による硬化後は優れた物性を発現するものであるので、粘着性を有するシートによって貼り合わせ、位置決めや仮固定をすることができるとともに、後で加熱することによって優れた接着力や優れた導通性等の物性を発現し、導電接続シートとして充分な接着信頼性及び導通信頼性を発現することができる。
粘着性樹脂シートの硬化前のtanδのピーク温度が−20℃未満であると、粘着性樹脂シートの凝集力が不充分となるために、本発明15の導電接続シートがセパレーターから剥がれにくくなったり、粘着性樹脂シートに前記導電性微粒子を配置するために設けた上記貫通孔に粘着性樹脂組成物が流れ込んで貫通孔が埋まってしまうことが起こり、逆に粘着性樹脂シートの硬化前のtanδのピーク温度が40℃を超えると、粘着性樹脂シート中に導電性微粒子を含有させて導電接続シートを作製する際に、常温での導電性微粒子に対する粘着性が不充分となって、導電性微粒子を保持することが困難となる。
また、上記粘着性樹脂シートは、硬化後の粘着性樹脂シートに対して、温度120℃、湿度85%RH、時間12時間の条件でプレッシャークッカー試験を行った後の硬化後の粘着性樹脂シートの伸び率が5%以下であることが好ましい。
上記プレッシャークッカー試験を行った後の硬化後の粘着性樹脂シートの伸び率が5%を超えると、上記粘着性樹脂シートを用いて作製される本発明15の導電接続シートの接着信頼性や導通信頼性が不充分となることがある。
本発明15の導電接続シートに用いられる導電性微粒子としては、本発明10の導電接続ペースト、本発明11の異方性導電ペースト、本発明12及び本発明13の導電接続シートに含有されるものと同様の導電性微粒子で良く、特に限定されるものではないが、例えば、金属、カーボンブラック等の導電性無機物、導電性高分子からなるもの、樹脂からなる高分子量重合体、非導電性無機物や非導電性高分子等の最外層にメッキ処理等の方法によって導電被覆膜を設けたもの、導電性無機物や導電性高分子等の最外層に更に導電被覆膜を設けたもの等が挙げられ、なかでも、適度な弾性、柔軟性、形状回復性等を有する球状のものを得られやすいことから、高分子量重合体からなるコア(芯材)の表面に導電被覆膜が形成されてなる導電性微粒子が好適に用いられる。これらの導電性微粒子は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明15の導電接続シートは、上記粘着性樹脂シート中に上記導電性微粒子が含有されてなり、即ち、粘着性樹脂シート中の任意の位置に多数の導電性微粒子が配置されてなり、かつ、導電性微粒子の少なくとも一部が粘着性樹脂シートから露出しているものである。
このような構成の導電接続シートとすることにより、微細な対向する電極を導通するに際し、隣接する電極間のリークがなく、信頼性の高い導通を短時間で容易に行うことができる。
なお、導電性微粒子が配置される位置は、導電性微粒子の少なくとも一部が粘着性樹脂シートの片面のみに露出するように配置されていても良いし、導電性微粒子の少なくとも一部が粘着性樹脂シートの両面に露出するように配置されていても良い。
粘着性樹脂シート中の任意の位置に多数の導電性微粒子を配置させて導電接続シートを作製する方法は、本発明12の導電接続シートを作製する場合と同様の方法で良い。
本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト及び本発明10の導電接続ペースト(以下、単に「ペースト」と略記すこともある)は、ペースト状であるため、シート状のものとは異なり、ICチップや電子素子等のサイズに合わせた大きさに予めシートを切断、加工しておく必要がなく、貼り付け作業用の装置も必要ないことから、多品種少量生産向けとして優れている。
また、上記ペーストは、ペースト状であるため、シート状のものとは異なり、貼り合わせ時の位置ずれがなく、配線部分の凹凸が大きい基板や配線以外の部分の凹凸が大きな基板に対してもボイドの発生がない。また、シート状のものの場合、シートの貼り付け時にシートが伸びたり、切れたりする恐れがあるが、ペースト状であるため、そのような恐れもない。従って、サイズの小さなICチップや電子素子等や、凹凸の大きな基板に対しては、シート状のものよりも有利に用いられる場合がある。
本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト及び本発明10の導電接続ペーストは、ディスペンサ等の塗布装置で塗布できる粘度に調整されているものである限り、溶剤で希釈されているものであっても良いし、無溶剤型のものであっても良い。また、上記ペーストは、ICチップや電子素子等の方に塗布されても良いし、基板の方に塗布されても良い。即ち、塗布しやすい方に塗布すれば良い。なお、一般的には、塗布量を調節しやすいことから、予め基板の方に塗布することが好ましい。
上記ペーストが溶剤で希釈されている場合は、被着体の少なくとも一方に塗布した後、硬化が進行しないように低温で養生して溶剤を蒸発させ、ペースト状からBステージ化させ、ICチップや電子素子等を位置決めしてフリップチップ接続する等の方法で接着させても良い。なお、上記ペーストが無溶剤型である場合でも、同様にICチップや電子素子等を位置決めしてフリップチップ接続することは可能である。
上記ペーストは、接着させたい部分にのみディスペンサ、ローラ、スタンパ等で部分的に塗布しても良い。また、接着信頼性や導通信頼性を高めるために、加熱により流動するペーストとすることにより、フリップチップ接続時の加熱で基板の凹凸を埋めるようにしても良い。
本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト及び本発明10の導電接続ペーストの用途は、特に限定されるものではないが、例えば、回路基板の接着や導通接続、電子部品のバンプ状の突起電極と他方の電極との導通接続等の電子材料の固定等に好適に使用される。
一方、本発明7の接着性エポキシ樹脂シート及び本発明12、13、15の導電接続シートは、シート状であるため、ペースト状のものとは異なり、ICチップや電子素子等のサイズに合わせた大きさに予めシートを切断、加工しておく必要や、貼り付け作業用の装置が必要ではあるものの、生産ラインでの高速生産が可能であることから、少品種多量生産向けとして優れている。
本発明12、13、15の導電接続シートの用途は、特に限定されるものではないが、例えば、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器等のエレクトロニクス製品において、半導体素子等の小型の部品を基板に電気的に接続したり、基板同士を電気的に接続する方法のうち、微細な電極を対向させて電気的に接続する際等に好適に使用される。実製品としては、例えば、メモリカード、ICカード等が挙げられる。また、ガラス回路基板の製造過程において、自動車のライト部分等のガラス表面に導通回路を設ける方法のうち、ガラス表面と導通回路の電極面とを対向させて接続する際に好適に使用される。このようにして、電子部品接合体とすることができる。また、上記導電接続シートは、単層の基板に対して使用することができるとともに、導電性微粒子を上下導通材として複数の層からなる基板に対しても使用することができる。
本発明16のフリップチップテープは、本発明12又は15の導電接続シートからなるものである。
本発明12、13、15の導電接続シートは、特にベアチップの接合用として好適に用いられる。通常、ベアチップを接合する際にフリップチップを用いる場合にはバンプが必要となるが、上記導電接続シートを用いた場合、導電性微粒子がバンプの役目を果たすので、バンプを使用せずに接続することが可能となる。このため、バンプ作製における煩雑な工程を省くことができるという大きなメリットがある。また、導電性微粒子が上記のような好ましいK値やCV値等を有するものである場合は、アルミニウム電極等の酸化されやすい電極であっても、その酸化膜を破って接続することができる。
本発明12、13、15の導電接続シートと上記基板やバンプ無しのチップとの接続方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。表面に電極が形成された基板又はチップの上に、導電性微粒子が電極の位置にくるように導電接続シートを載せ、もう一方の電極面を有する基板又はチップを電極の位置が合うように置く。この状態で加熱又は加圧等によって導電接続シートを介して接続する。なお、加熱又は加圧には、ヒーターが付いた圧着機やボンディングマシーン等が好適に用いられる。
上記ボンディング条件として、導通が確実に行われてから、即ち、電極と導電性微粒子とが確実に接触してから、温度をかけることが好ましい。これを怠ると、電極と導電性微粒子とが接触していない状態で、熱により樹脂が流動し、一つには電極と導電性微粒子との間に樹脂が流れ込み導通不良となる。また、二つには導電性微粒子を押さえる力が存在しないので、樹脂の流動とともに、導電性微粒子が電極の位置から移動してしまい、確実な導通が取れなくなる。具体的には、先ず温度をかけない状態で、高圧で加圧し、電極同士が触れ合ったことを抵抗値をモニターしながら確認した後、圧力を導電性微粒子の割れが存在しない領域まで下げてから加熱することによって、導電性微粒子が電極との摩擦力で樹脂の流れによって移動することなく、また、電極と導電性微粒子との間に樹脂が噛みこむことなく、高い確度で導通接続をとることができる。従って、圧力条件としては高圧から低圧への二段階のプロファイルとなる。
また、このときセラミックスヒーターにて一気に昇温する際に、樹脂中又は接着界面に空孔(ボイド)ができることがある。これは、高温時(200℃程度)に生じてくる例えば水分等の揮発分が発泡して、密着不良を引き起こすことによる。これを防ぐためには、樹脂中の揮発分自体を抑制する方法がある。しかし、被着体として有機基板を用いた際にはいくら樹脂中の揮発分量を減らしても被着体からの揮発分が発泡の原因となってしまうことがある。このことから、熱をかけた際の樹脂の弾性率をある一定の弾性率以上に保つことによって、この発泡現象自体を抑制することを考えた。
この考え方としては、一般に用いられているBステージ(半硬化)化という手法がある。これにより樹脂の流動性を抑制し、かつ、発泡も抑制することができるというものである。しかし、これは本質的に間隙への樹脂の流動が起きにくく、ひいては接着性、特に界面に水の偏在しやすい耐湿接着性に悪影響を及ぼす。従って、Bステージ化の手法は、トータルのバランス性能を考慮すると、あまり好ましい方法ではない。
もう一つは、流動性をそれほど損なわず、樹脂の弾性率をある程度以上にするという手法である。これには、微小な無機フィラー、例えば一般に増粘剤として用いられる微紛(粒子径が1μm以下、ナノオーダー)のシリカ等が好適に用いられる。特に、上記Bステージ化という手法を用いることなく、弾性率を高めることによって、ボイドの発生を抑制することができることがわかっている。上記は導電性微粒子がシートの任意の位置に定点配置してなる導電接続シートの説明であるが、これは導電性微粒子がシート中に埋設してなる導電接続シートであっても、同様の方法で導電接続材料用途として用いることができる。
本発明12、13、15の導電接続シートを用いて接続してなる導電接続構造体は、シートの接続端面から水分等の浸入による不具合が発生しないように、シートの周囲が封止されていても良い。封止に用いられる封止材としては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、無機材料等が挙げられ、好適に用いられる。
本発明17の電子部品接合体は、本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物、本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト、本発明4の層間接着剤、本発明5の非導電性ペースト、本発明6のアンダーフィル、本発明7の接着性エポキシ樹脂シート、本発明8の非導電性フィルム、本発明9のダイアタッチフィルム、本発明10の導電接続ペースト、本発明11の異方性導電ペースト、本発明12、13又は15の導電接続シート、本発明14の異方性導電フィルム、又は、本発明16のフリップチップテープのいずれかにより、電子部品のバンプ状の突起電極と他方の電極とが導通された状態で接合されてなるものである。
また、本発明18の電子部品接合体は、本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物、本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト、本発明4の層間接着剤、本発明5の非導電性ペースト、本発明6のアンダーフィル、本発明7の接着性エポキシ樹脂シート、本発明8の非導電性フィルム、本発明9のダイアタッチフィルム、本発明10の導電接続ペースト、本発明11の異方性導電ペースト、本発明12、13又は15の導電接続シート、本発明14の異方性導電フィルム、又は、本発明16のフリップチップテープのいずれかにより、金属リードフレーム、セラミック基板、樹脂基板、シリコン基板、化合物半導体基板及びガラス基板からなる群より選択される少なくとも1種類の回路基板が接合されてなるものである。
上記樹脂基板は、ガラスエポキシ基板、ビスマレイミドトリアジン基板又はポリイミド基板であることが好ましい。
本発明1の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ基と反応する官能基を有するポリマーと、エポキシ樹脂用硬化剤とを含有し、重金属により染色し、透過型電子顕微鏡により観察した硬化物の樹脂マトリクス中に相分離構造が観察されないので、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性や導通材料とした際の高い導通信頼性を発現する。
本発明2の硬化性樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂と、ナフタレン型エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用硬化剤とが混合されてなるエポキシ樹脂組成物中に、コアのガラス転移温度が20℃以下であり、シェルのガラス転移温度が40℃以上であるコアシェル構造のゴム粒子が含有されてなるので、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性や導通材料とした際の高い導通信頼性を発現する。
本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト及び本発明7の接着性エポキシ樹脂シートは、上記本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物からなるので、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性や導通材料とした際の高い導通信頼性を発現する。
本発明4の層間接着剤、本発明5の非導電性ペースト、及び、本発明6のアンダーフィルは、本発明3の接着性エポキシ樹脂ペーストからなり、本発明8の非導電性フィルム、及び、本発明9のダイアタッチフィルムは、本発明7の接着性エポキシ樹脂シートかなるものであるため、硬化後は、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性及び高い導通信頼性を発現する。
本発明10の導電接続ペーストは、上記本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト中に導電性微粒子が含有されてなり、また、本発明12及び本発明13の導電接続シートは、上記本発明7の接着性エポキシ樹脂シート中に導電性微粒子が配置又は埋設されてなるので、いずれも、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性及び高い導通信頼性を発現する。
本発明11の異方性導電ペーストは、本発明10の導電接続ペーストからなるものであるため、硬化後は、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性及び高い導通信頼性を発現する。
本発明14の異方性導電フィルムは、本発明13の導電接続シートからなるものであるため、硬化後は、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性及び高い導通信頼性を発現する。
本発明15の導電接続シートは、可塑剤の添加によって粘着性が付与される樹脂及び常温で液状のナフタレン型エポキシ樹脂を含有する粘着性樹脂組成物からなる粘着性樹脂シートと導電性微粒子とによって形成される導電接続シートであって、上記粘着性樹脂シートは、動的粘弾性に基づくtanδのピーク温度が硬化前は−20℃〜40℃の範囲にあり、硬化後は120℃以上であるとともに、粘着性樹脂シートの任意の位置に上記導電性微粒子が配置されてなるので、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性及び高い導通信頼性を発現する。
本発明16のフリップチップテープは、本発明12又は本発明15の導電接続シートからなるものであるため、硬化後は、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性及び高い導通信頼性を発現する。
本発明17及び本発明18の電子部品接合体は、本発明1又は本発明2の硬化性樹脂組成物、本発明3の接着性エポキシ樹脂ペースト、本発明4の層間接着剤、本発明5の非導電性ペースト、本発明6のアンダーフィル、本発明7の接着性エポキシ樹脂シート、本発明8の非導電性フィルム、本発明9のダイアタッチフィルム、本発明10の導電接続ペースト、本発明11の異方性導電ペースト、本発明12、13又は15の導電接続シート、本発明14の異方性導電フィルム、又は、本発明16のフリップチップテープのいずれかを用いて作製されるので、高い接着信頼性及び高い導通信頼性を発現する。
本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例においては、特に示した場合を除き以下の原材料を用いた。
1.エポキシ樹脂
(1)ジシクロペンタジエン型固形エポキシ樹脂(商品名「EXA−7200HH」、大日本インキ化学工業社製)
(2)ナフタレン型液状エポキシ樹脂(商品名「HP−4032D」、大日本インキ化学工業社製)
(3)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名「EP828」、ジャパンエポキシレジン社製)
2.エポキシ基を有する高分子
(1)エポキシ含有アクリル樹脂−a(商品名「マープルーフG−2050M」、懸濁重合法、エポキシ当量:340、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:80℃、日本油脂社製)
(2)エポキシ含有アクリル樹脂−b(商品名「ブレンマーCP−15」、懸濁重合法、エポキシ当量:500、重量平均分子量:1万、ガラス転移温度:80℃、日本油脂社製)
(3)エポキシ基含有アクリルゴム−c(エチルアクリレート99重量部とグリシジルメタクリレート1重量部とを酢酸エチル中で熱ラジカル法により溶液重合したもの、エポキシ当量:8000、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:10℃)
(4)エポキシ含有アクリルゴム−d(商品名「Nippol AR−42W」、日本ゼオン社製)
3.高分子量重合体
(1)ポリビニルブチラール樹脂(商品名 「BX−5Z」、積水化学工業社製)
4.エポキシ樹脂用硬化剤
(1)トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸(商品名「YH−307」、ジャパンエポキシレジン社製)
(2)ジシアンジアミド(商品名「EH−3636AS」旭電化工業社製)
(3)グアニジン化合物(商品名「DX147」ジャパンエポキシレジン社製)
5.硬化促進剤
(1)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(商品名「2MAOK−PW」、四国化成社製)
(2)1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール
(3)2−エチル−4−メチルイミダゾール
6.接着性付与剤
(1)イミダゾールシランカップリング剤 (商品名「SP−1000」日鉱マテリアルズ社製)
(2)アミノシランカップリング剤(商品名「S320」、チッソ社製)
7.フィラー
(1)表面疎水化ヒュームドシリカ(商品名「レオロシールMT−10」、平均粒子径:1μm以下、トクヤマ社製)
(2)球状シリカ(平均粒子径:5μm)
8.応力緩和性付与剤
(1)水酸基含有コアシェル型アクリルゴム粒子(商品名「スタフィロイドAC−4030」、ガンツ化成社製)
(2)カルボキシル基含有コアシェル型アクリルゴム粒子(商品名「ゼオンF451」、日本ゼオン社製)
(3)末端エポキシ変性シリコーンオイル(商品名「KF−105」、信越化学工業社製)
9.溶剤
(1)酢酸エチル
(実施例1)
ホモディスパー型攪拌機を用いて、ジシクロペンタジエン型固形エポキシ樹脂76重量部、ナフタレン型液状エポキシ樹脂20重量部、エポキシ基含有アクリル樹脂−a4重量部、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸60重量部、イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール8重量部及びイミダゾールシランカップリング剤2重量部を均一に混練して、接着性エポキシ樹脂ペーストを調製した。
(実施例2〜4及び比較例1〜2)
接着性エポキシ樹脂ペーストの配合組成を表1に示す組成としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、接着性エポキシ樹脂ペーストを調製した。
実施例1〜4、及び、比較例1、2で得られた接着性エポキシ樹脂ペーストの性能(1.ゲル化率、2.初期接着力−A、3.200℃における発泡状態)を以下の方法で評価した。結果は表1に示した。
1.ゲル化率
接着性エポキシ樹脂ペーストをオーブン中で170℃−1分間及び170℃−2分間の2条件で加熱硬化した。次いで、硬化物を常温の酢酸エチル中に24時間浸漬した後、不溶解分を濾別し、充分に乾燥した後、酢酸エチル浸漬前後の硬化物の重量比(浸漬後の重量/浸漬前の重量)を求めて、ゲル化率(重量%)を算出した。
2.初期接着力−A
接着性エポキシ樹脂ペーストをFR−4のガラスエポキシ基板の上に1滴たらし、この周囲に5mm角のスペーサーを置いて、その上に、SiOパシベーションを有する10mm角のシリコンチップを貼り付けた後、170℃で30分間加熱硬化して、接合体を作製した。次いで、得られた接合体の上下に治具を取り付け、5mm/分の引張速度で上下に引っ張り、最大破断強度(N/25mm)を求めて、初期接着力−Aとした。
3.200℃における発泡状態
接着性エポキシ樹脂ペーストを200℃のオーブン中に入れ、1分後に取り出して、目視で発泡状態を観察し、下記判定基準により200℃における発泡状態を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥発泡は認められなかった。
×‥‥発泡が認められた。
Figure 2009013416
表1から、実施例1〜4で得られた接着性エポキシ樹脂ペーストは、いずれもゲル化率が高く硬化性が良好又は優れており、かつ、初期接着力−Aが優れているとともに、200℃において発泡が認められず、ボイドの発生を抑制することができた。
これに対し、エポキシ基を有する高分子ポリマー(エポキシ基含有アクリル樹脂)を含有させなかった比較例1、2で得られた接着性エポキシ樹脂ペーストは、いずれも170℃−1分間硬化時のゲル化率が低く硬化性が劣っており、かつ、初期接着力−Aが劣っているとともに、200℃において発泡が認められ、ボイドの発生を抑制することができなかった。
(実施例5)
ジシクロペンタジエン型固形エポキシ樹脂76重量部、ナフタレン型液状エポキシ樹脂20重量部、エポキシ基含有アクリル樹脂−a10重量部、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸50重量部、イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール8重量部、アミノシランカップリング剤2重量部及び表面疎水化ヒュームドシリカ4重量部を、酢酸エチルに溶解させ、ホモディスパー型攪拌機を用いて、攪拌速度3000rpmの条件で均一に攪拌混合して、固形分が50重量%の硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液を調整した。
次に、上記で得られた硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施された厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの離型処理面上に、乾燥後の厚みが50μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、110℃で3分間乾燥して、接着性エポキシ樹脂シートを作製した。
(実施例6及び比較例3)
接着性エポキシ樹脂シート(硬化性樹脂組成物)の配合組成を表2に示す組成としたこと以外は実施例5の場合と同様にして、硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液(固形分50重量%)及び接着性エポキシ樹脂シートを作製した。
実施例5及び実施例6、及び、比較例3で得られた接着性エポキシ樹脂シートの性能(4.透過型電子顕微鏡観察、5.硬化物のガラス転移温度、6.初期接着力−B、7.PCT100時間後の接着力)を以下の方法で評価した。結果を表2に示した。
4.透過型電子顕微鏡(TEM)観察
170℃30分かけてオーブン中で養生し硬化させた接着性エポキシ樹脂シートを、ミクロトームで薄膜に切り出し、これを四酸化オスミウムを用いて染色した。このサンプルを透過型電子顕微鏡で観察し(倍率10万倍)これら染色による相分離構造を観察した。
5.硬化物のガラス転移温度
接着性エポキシ樹脂シートを170℃で30分間加熱硬化した後、硬化物の粘弾性を昇温速度3℃/分、引張りモードの条件で測定し、tanδのピーク温度をもってガラス転移温度(℃)とした。
6.初期接着力−B
5mm角に裁断した接着性エポキシ樹脂シートをFR−4のガラスエポキシ基板の上に貼り付け、その上に、SiOパシベーションを有するシリコンチップを貼り付け、プレスして密着させた後、170℃で30分間加熱硬化して接合体を作製した。次いで、得られた接合体の上下に治具を取り付け、5mm/分の引張速度で上下に引っ張り、最大破断強度(N/25mm)を求めて、初期接着力−Bとした。
7.PCT100時間後の接着力
初期接着力−Bを測定する場合と同様にして作製した接合体のプレッシャークッカー試験(PCT)を120℃−85%RHの条件で100時間行った後、接合体を取り出し、5.の場合と同様にして、最大破断強度(N/25mm)を求めて、PCT100時間後の接着力とした。
Figure 2009013416
表2から、実施例5、6で得られた接着性エポキシ樹脂シートは、ともに硬化物のガラス転移温度が高く、樹脂相での相分離構造を示さないので、初期接着力−Bが優れているとともに、PCT100時間後でも接着力の低下が少なかった。
これに対し、エポキシ基含有アクリル樹脂の代わりに、溶液重合法で作製したエポキシ基含有アクリルゴム−cを含有させた比較例3で得られた接着性エポキシ樹脂シートは、硬化物のガラス転移温度が低く、低温でのtanδのピークが現れ、相分離構造を示すことにより、かつ、初期接着力−Bが劣っているとともに、PCT100時間後の接着力が極端に低下していた。
(実施例7)
ジシクロペンタジエン型固形エポキシ樹脂45重量部、ナフタレン型液状エポキシ樹脂45重量部、エポキシ基含有アクリル樹脂−a10重量部、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸50重量部、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール4重量部、アミノシランカップリング剤2重量部、表面疎水化ヒュームドシリカ4重量部を、酢酸エチルに溶解させ、ホモディスパー型攪拌機を用いて、攪拌速度3000rpmの条件で均一に攪拌混練して、固形分が60重量%の硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液を調製した。
次に、得られた硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施された厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの離型処理面上に、乾燥後の厚みが40μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、110℃で3分間乾燥して、接着性エポキシ樹脂層を形成した。
(実施例8〜12及び比較例4〜7)
接着性エポキシ樹脂シート(硬化性樹脂組成物)の配合組成を表3に示す組成としたこと以外は実施例7の場合と同様にして、硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液(固形分40重量%)、接着性エポキシ樹脂シートを作製した。
実施例7〜12、及び、比較例4〜7で得られた接着性エポキシ樹脂シートの性能(7.TEM染色時相分離構造観察(透過型電子顕微鏡観察)、8.粘弾性tanδピーク温度観察、8.120℃ジメチルスルホキシド膨潤比率測定、10.抽出水pH測定、11.イオン伝導度測定、12.抽出塩素イオン不純物測定、13.誘電率ε’測定、14.誘電正接測定、15.レーザー加工性、16.溶融時の最低貯蔵弾性率G’測定、17.ボイドの発生の有無測定、18.接合体PCT導通測定、19.接合体TCT導通測定)を以下の方法で評価した。結果を表3に示した。
7.透過型電子顕微鏡観察
170℃30分かけてオーブン中で養生し硬化させた接着性エポキシ樹脂シートを、ミクロトームで薄膜に切り出し、これを四酸化オスミウムを用いて染色した。このサンプルを透過型電子顕微鏡で観察し(倍率10万倍)これら染色による相分離構造を観察した。
8.粘弾性tanδピーク温度観察
170℃30分かけてオーブン中で養生し硬化させた接着性エポキシ樹脂シートを、引っ張り型の粘弾性測定装置にて昇温速度3℃/min、測定温度−100℃〜290℃の範囲で測定した。得られたチャートを観察し、tanδのピーク値の温度を2つ以上ある場合にももらさず書き記した。
9.120℃ジメチルスルホキシド膨潤比率測定
170℃30分かけて硬化させた接着シートの重量をはかり、これを120℃に熱したジメチルスルホキシド(DMSO)中に5分間浸す。5分後このシートを取り出し、溶剤を良くふき取った後に、天秤で再度重量を測定する。
DMSO膨潤比(%) = (浸せき後重量−初期重量)×100 /(初期重量)
であらわすことが出来る。
10.抽出水pH測定
接着性エポキシ樹脂シートを170℃のオーブン中で30分間加熱硬化した後、接着性エポキシ樹脂シートの硬化物を約1g秤り取った。次いで、この硬化物を細かく裁断してガラス製の試験管中に入れ、蒸留水を10g添加し、バーナーで試験管を封管して、110℃のオーブン中で時々振りながら12時間加熱抽出を行った後、pHメーターを用いて、抽出水のpHを測定した。
11.イオン伝導度測定
上記抽出水をイオン伝導度測定機をもちいて、抽出水のイオン伝導度(μS/cm)を測定した。
12.抽出塩素イオン不純物測定
イオンクロマトグラフィーを用いて、上記で得られた抽出水中の塩素イオン不純物量(ppm)を測定した。
13.誘電率ε’測定、14.誘電正接測定
170℃30分硬化後のサンプルについて周波数1GHzにて誘電率及び誘電正接を測定した.
15.レーザー加工性
炭酸ガスレーザーを用いて、上下PETシート付き接着性エポキシ樹脂シートに対して円形の孔加工(約100μm直径)を施した後、孔形状を顕微鏡で観察し、下記判定基準によりレーザー加工性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥孔形状及び貫通孔の平滑性のいずれもが良好であった。
×‥‥孔形状が崩れていた。
16.溶融時の最低貯蔵弾性率G’測定
接着性エポキシ樹脂シート(硬化前)を熱ラミネーターで積層して約600μmの厚みとした後、これを昇温速度45℃/分で25℃から200℃まで昇温し、周波数100rad/秒で剪断時の弾性率(G’)を測定した。この時、接着性エポキシ樹脂シートの溶融と硬化とが同時に起こっており、この時の最低の値を示す弾性率を最低弾性率{(G’)Pa}として読み取った。
17.ボイドの発生の有無測定
ガラスエポキシ基板とシリコンチップ(1cm角)とを接着性エポキシ樹脂シートを挟み込んで200℃で30秒間熱プレスして接着させ、この時のボイド発生の有無を超音波剥離探傷装置を用いて確認した。
18.接合体PCT導通測定
上記エポキシシートを、ICチップを介して電気的に接続されたときにICチップ内のメタル配線とデイジーチェインとなるように配線(18μm厚みの銅箔上にニッケルが5μm、金が0.3μmメッキ)された20mm×20mm×1.0mm厚からなるガラス/エポキシ系FR−4基板の上に貼り合わせた。その後このシートを介してICチップ(大きさ:10mm×10mm、予めワイヤボンディングで作製された金スタッドバンプ(サイズ100μm、高さ約50μm)がペリフェラル状に172個配置されているもの)と電極基板とを78N/cmの荷重下、190℃で15秒間、230℃で15秒間の順に加熱を行って接合した後、125℃で1時間養生して、導通接合体を作製した。
得られた導通接合体に対して、常温で全ての電極が高い導通抵抗安定性を有することを確認した後、導通接合体をプレッシャークッカー試験(PCT)環境下(120℃、85%RH)に移し、PCT環境下での全体の導通抵抗値が10%変化するまでの時間を測定した。
19.接合体TCT導通測定
上記の場合と同様の方法で導通接合体を作製し、これを冷熱サイクル試験機(−40℃⇔125℃、各10分間ずつ)にかけて冷熱サイクル試験(TCT)を行い、適宜サイクル数で取り出して導通抵抗値の変化を確認し、導通抵抗値が10%以上変化したサイクル数を測定した。
Figure 2009013416
表3から、実施例7〜11で得られた接着性エポキシ樹脂シートでは、相分離構造を示さず、それによって高温時DMSO膨潤比が非常に低いことがわかる。一方、相分離構造を示した比較例4〜6では、tanδのピーク値も2つ観測され、またDMSO膨潤比もかなり高いものとなった。これにより、PCT性能が実施例に比べて悪くなっていることがよくわかる。また抽出水pHが中性付近にない実施例12や比較例7で得られた接着性エポキシ樹脂シートではイオン伝導度が比較的高くなっており、これは遊離したイオンが溶出して来ているということである。このとき、電気絶縁性及び電極腐食に大きくかかわってくるといわれている塩素イオン不純物量が非常に多くなっていることがわかる。また、比較例7で得られた接着性エポキシ樹脂シートでは誘電率、誘電正接ともに高い値を示し、物性値として悪い結果となった.
溶融時の最低貯蔵弾性率については、比較例4で得られた接着性エポキシ樹脂シートが非常に低い値となっており、これにより、揮発分による発泡を押さえ込めずに接着樹脂相がボイドを噛んだ接合体となっている。また、実施例7で得られた接着性エポキシ樹脂シートと実施例8で得られた接着性エポキシ樹脂シートとを比べた際に、若干ではあるが、コアシェル型ゴム粒子を添加した実施例8で得られた接着性エポキシ樹脂シートの方がTCTサイクル性能向上が認められた。これはゴム粒子の応力緩和硬化によるものと思われる。
また、実施例7〜9で調製した硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液を層間接着剤として、8インチウェーハを用いて以下の方法により評価用の半導体パッケージを作製した。
まず、110μm×110μm、高さ20μmの銅バンプがペリフェラル配置された8インチシリコンウェーハ上に、層間接着剤をスピンコーターを用いて硬化後の厚さが25μmとなるように塗工した。塗工後、ウェーハを110℃×5分間+120℃×60分間熱風乾燥炉中に置き、層間接着剤を硬化させた。次いで、硬化した層間接着剤の表層部分をグラインダーを用いて研削し、銅バンプを露出させた。
既知のホトリソグラフィー法を用いて、パッケージの半田ボール搭載の銅ポスト位置がエリア配置になるように再配線銅回路パターンを形成した。再配線銅回路パターンを形成後、既知のホトリソグラフィー法を用いて銅ポストを形成し、既知のウェーハレベル半田ボールマウンタを使用し、半田ボール(直径300μm)を搭載したウェーハレベルパッケージを作成した。次いで、半田ボール搭載済みウェーハをダイシングし、個別のIC(大きさ:10mm×10mm、バンプがエリア状に172個配置されているもの)を作製し、評価用の半導体パッケージとした。
得られた評価用の半導体パッケージを用いて半田耐熱性、PCT環境下における導通信頼性、及び、TCT環境下における導通信頼性を評価したところ、半田耐熱性は5回以上、PCT信頼性400時間、TCT信頼性1000サイクル以上が確認された。
以上より、実施例7〜9で調製した硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液は、層間接着剤としても有用であることが確認できた。
なお、ここでは評価用の半導体パッケージとして、半導体ウェーハ再配線パッケージ基板を製造したが、ビルドアッププリント配線板等の場合についても同様である。
(実施例13)
ホモディスパー型攪拌機を用いて、ジシクロペンタジエン型固形エポキシ樹脂45重量部、ナフタレン型液状エポキシ樹脂45重量部、エポキシ基含有アクリル樹脂(平均分子量1万、エポキシ当量500)4重量部、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸50重量部、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール4重量部、アミノシランカップリング剤2重量部を均一に混練して接着性エポキシペーストを得、これを非導電性ペーストとした。
(実施例14〜21、及び、比較例8、9)
ペーストの配合組成を表4に示した組成としたこと以外は実施例13の場合と同様にして非導電性ペースト(実施例14〜16)又は異方性導電ペースト(実施例17〜21、比較例8、9)を作製した。
実施例13〜21及び比較例8、9で得られた異方性導電ペースト又は異方性導電ペーストの性能(抽出水のpH、塩素イオン不純物量、TEMによる染色時相分離構造、粘弾性測定におけるtanδのピーク温度、イオン伝導度、誘電率(ε’)及び誘電正接(tanδ))を上述の方法で評価した。
また、実施例17〜21、比較例8、9で得られた異方性導電ペーストと、ICチップ及び基板とを用いて以下の方法により評価用の半導体パッケージを作製した。
ICチップ(大きさ:10mm×10mm)としては、予めワイヤボンディングで作製された金スタッドバンプ(サイズ100μm、高さ約50μm)がペリフェラル状に172個配置されているものを使用し、基板としては、ICチップを介して電気的に接続されたときにICチップ内のメタル配線とデイジーチェインとなるように配線(18μm厚みの銅箔上にニッケルが5μm、金が0.3μmメッキ)された20mm×20mm×1.0mm厚のもの(ガラス/エポキシ系FR−4)を使用した。
まず、基板を120℃×6時間熱風乾燥炉中で風乾し、基板中の水分を除去した。
次に、実施例17〜21、比較例8、9で得られた異方導電性ペーストをシリンジ(武蔵エンジニアリング社製)に充填した。このシリンジ先端に、精密ノズル(武蔵エンジニアリング社製、ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置(武蔵エンジニアリング社製)を用いて、乾燥済み基板上のICチップ接合エリア内に異方導電性ペーストを塗布量が約40mgになるように塗布した。
塗布した基板の電極部分とICチップの電極部分とをフリップチップボンダー(澁谷工業社製、DB100)を用いて、フリップチップ接続した。接続条件は、78N/cm、190℃×15秒間+230℃×15秒間とした。その後120℃×1時間かけて熱風乾燥炉中で、樹脂を完全硬化させ評価用の半導体パッケージを作製した。
作製した半導体パッケージを用いて以下の方法により20.半田耐熱性、及び、上述の方法によりPCT環境下における導通信頼性、TCT環境下における導通信頼性を評価した。結果を表4に示した。なお、表4中、「−」で示した箇所については測定を行わなかった。
20.半田耐熱性
評価用の半導体パッケージを、乾燥条件が125℃×6hr、湿潤条件が30℃/80%×48hrで処理した後、ハンダリフロー250℃×30sとなるプロファイルで処理を行い、処理後の電極の導通及び抵抗値変化、及び層間の剥離を確認した。リフロー後サンプルを再び、湿潤条件が30℃/80%×48hrで処理した後、ハンダリフロー250℃×30sとなるプロファイルで処理を行い、リフロー処理2回目後の電極の導通及び抵抗値変化、及び層間の剥離を確認した。本処理をリフロー回数5回まで半田耐熱性評価を行った。なお、導通がある場合でも抵抗値変化が初期の抵抗値と比較して10%以上変化しているものは不良と判断した。層間の剥離は超音波探査映像装置(日立建機ファインテック社製、mi−scope hyper II)で確認した。
Figure 2009013416
表4から、実施例17〜21で得られた異方性導電ペーストは、塩素イオン不純物量が少なかった。また、ジシクロペンタジエン型固形エポキシ樹脂、及び、ナフタレン型液状エポキシ樹脂に対して相溶性を示すエポキシ基含有アクリル樹脂を含有する実施例17で得られた異方性導電ペーストは、硬化物のTEM観察によりエポキシ樹脂マトリクス中に相分離は観察されず、また、実施例17〜21で得られたの異方性導電ペーストは、いずれもイオン伝導度が低いものであった。また、実施例17〜21で得られた異方性導電ペーストを用いて作製した評価用の半導体パッケージは、半田耐熱性、PCT環境下及びTCT環境下における導通信頼性が優れていた。更に、低弾性粒子(コアシェル型アクリルゴム粒子)が含有されている実施例19〜21で得られたの異方性導電ペーストを用いてなる半導体パッケージは、これらを含まない実施例17、18の異方性導電ペーストを用いてなる半導体パッケージよりPCT環境下及びTCT環境下における導通信頼性がより優れたものであった。
これに対し、ナフタレン型エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂に対して非相溶のエポキシ含有アクリルゴムを含有する比較例8、9で得られた異方性導電ペーストは、硬化物のTEM観察によりエポキシ樹脂マトリクス中に相分離構造が観察され、イオン伝導度も高いものであった。
また、実施例13〜15で得られた接着性エポキシペーストをアンダーフィル樹脂として用いて、半導体チップと基板とを以下の方法により接続して評価用の半導体パッケージを作製した。
ガラスエポキシ基材FR−4相当品をベースにして、Cu配線工程、スルーホールめっき、およびソルダレジスト工程を終えた基板(4層板)のチップ搭載部に、高融点はんだバンプ付きの半導体チップ(大きさ:10mm×10mm、バンプサイズ100μm、高さ約100μm)がペリフェラル状に172個配置されているもの)をフリップチップボンダーに設置し、該チップをフェイスダウンにてはんだバンプ部と対向する基板端子部とを位置調整し、温度230℃、加圧力10kg、加圧時間5秒で本圧着した。この時点で、はんだバンプと基板端子部との接合、および、チップ表面と基板との接着が同時に完了し、はんだバンプが柱状に引き延ばされているのが確認された。
その後、通常のIRリフロー炉にて、230℃ 20秒の条件ではんだをリフローした。この工程を経ることにより、フェイスダウンボンディングでの位置ズレが補正されていて、しかも柱状のはんだバンプ形状が維持されていることを確認した。
次いで、武蔵エンジニアリング社製シリンジに本発明のアンダーフィル樹脂を充填し、シリンジ先端に武蔵エンジニアリング社製精密ノズル(ノズル先端径0.3mm)を取り付け、ディスペンサ装置を用いて、チップ端部からチップと基板隙間に樹脂を充填した。
次に、125℃×1時間の条件で熱風乾燥炉中で樹脂を完全硬化させた後、封止材(日立化成工業社製、エポキシモールディングコンパウンドCEL9200)を用いて、通常のトランスファーモールド(成形温度180℃、成形圧力1.5kN/cm)にてチップ裏面全面を被覆した封止品を得た。その後、はんだボール形成設備を用いて、はんだボールを基板裏面にアレイ状に形成して、評価用の半導体パッケージを得た。
得られた評価用パッケージの−45℃〜125℃の温度サイクル試験を評価したところ、1000サイクル後のサンプルにおいても導通結果に異常はなく、はんだバンプの破断は認められなかった。試験後の評価用半導体パッケージを切断して、はんだバンプ部周辺を観察したところ、各はんだバンプの周辺全面及び半導体チップの外周部にはクラック等がないことが確認できた。また、30℃、80%RHの条件で48時間吸湿させた後、半田ディップ(280℃、30秒間)したものを、超音波探査探傷設備で観察しても、封止樹脂とチップパッシベーション表面との界面での剥離やクラックの存在は認められなかった。更に、高温高湿試験(120℃/85%RH、500時間)を行った後においても導通結果に異常はなく、はんだバンプの破断は認められなかった。高温高湿試験の評価用半導体パッケージを切断して、はんだバンプ部周辺を観察したところ、各はんだバンプの周辺全面及び半導体チップの外周部にクラック等がないことが確認できた。
このことより、実施例13〜15で得られた接着性エポキシペーストは、アンダーフィルとしても好適に用いることができることが確認できた。
(実施例22)
ジシクロペンタジエン型固形エポキシ樹脂45重量部、ナフタレン型液状エポキシ樹脂45重量部、エポキシ基含有アクリル樹脂−a10重量部、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸50重量部、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール4重量部、アミノシランカップリング剤2重量部、及び、銀粒子(平均粒子径7μm)20重量部を、酢酸エチルに溶解させ、ホモディスパー型攪拌機を用いて、攪拌速度3000rpmの条件で均一に攪拌混練して、固形分が40重量%の硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液を調製した。なお、上記銀粒子は、ワニスの状態で用いた。
次に、得られた硬化性樹脂組成物の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施された厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの離型処理面上に、乾燥後の厚みが42μmとなるようにバーコーターを用いて塗工した後、110℃で3分間乾燥して、接着性エポキシ樹脂層を形成した。この接着性エポキシ樹脂層が形成されたPETシート2枚を接着性エポキシ樹脂層が向き合うように80℃でラミネート加工を施して接着性エポキシ樹脂シートを作製した。得られた接着性エポキシ樹脂シートは、2枚のPETシートの間に接着性エポキシ樹脂層が挟まれた状態となっている。
(実施例23〜26、及び、比較例10、11)
配合組成を表5に示した組成としたこと以外は実施例22の場合と同様にして、導電性微粒子が露出していない導電接続シートを作製した。
なお、表5において導電性微粒子としては、以下のものを用いワニスの状態で樹脂に混合した。
銀粒子:平均粒径7μm
Ni粒子:平均粒径7μm
樹脂コア金メッキ粒子:平均粒径3μm(積水化学工業社製「ミクロパールAU」)
絶縁被覆樹脂コア金メッキ粒子:平均粒径2μm、積水化学工業社製「ミクロパールAU」を熱可塑性樹脂で被覆したもの
(実施例27)
得られた長さ2cm、幅2cmの接着性エポキシ樹脂シートに対して、ICチップの電極の位置と合うようにCOレーザーを用いて、1cm角あたり172ピンの電極端子を形成するために表面120μm、裏面85μmのテーパー状の貫通孔を複数列に配列するように設けた。この列の間隔は約4mmであり、各列の各貫通孔は200μmのピッチで並んでおり、それぞれの貫通孔は、孔径のCV値が2%であり、アスペクト比(孔の長径/孔の短径)が1.04であった。
この接着性エポキシ樹脂シートの裏側に対して、全ての貫通孔を覆い、かつ、漏れがないように直径8mmの吸い口を当て、−50kPaの真空度で吸引を行いながら接着性エポキシ樹脂シートの表側にある導電性微粒子(平均粒径105μm、表層0.2μmニッケルメッキ、更に金メッキ2.3μmのメッキを施した導電性微粒子)の吸着を数秒間行った。この際、吸い口には接着性エポキシ樹脂シートの支持用に目開き50μmの鋼製メッシュを備え付け、更に除電を行いながら接着性エポキシ樹脂シートの貫通孔以外に導電性微粒子が吸着されないように吸引を行った。導電性微粒子の吸引によって、接着性エポキシ樹脂シートの各貫通孔に導電性微粒子が1つずつ過不足なく埋設された後、吸引を停止して、導電接続シートを作製した。なお、吸引後、念のために柔軟なブラシを用いて導電接続シート表面の異物の除去を行った。また、この段階での導電接続シートは未硬化の状態であった。
実施例23〜27及び比較例10、11で得られた導電接続シートの性能(抽出水のpH、塩素イオン不純物量、TEMによる染色時相分離構造、粘弾性測定におけるtanδのピーク温度、イオン伝導度、誘電率(ε’)及び誘電正接(tanδ)を上述の方法で評価した。また、上述の方法により実施例23〜27及び比較例10、11で得られた導電接続シートを用いて評価用の半導体パッケージを作製し、この半導体パッケージについて半田耐熱性、PCT環境下における導通信頼性、及び、TCT環境下における導通信頼性を評価した。結果を表5に示した。
Figure 2009013416
表5より、実施例23〜27で作製した導電接続シート(微粒子未露出型、微粒子露出型)においても導電性微粒子が入っていない実施例7〜12で作製した接着性エポキシ樹脂シートを用いた接合方式と同様に、高い接合信頼性が得られることがわかった。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性や導通材料とした際の高い導通信頼性を発現するので、接着性エポキシ樹脂ペースト用、接着性エポキシ樹脂シート用、導電接続ペースト用、導電接続シート用等を始め、各種工業用途向けに好適に用いられる。
また、本発明の接着性エポキシ樹脂ペースト及び接着性エポキシ樹脂シートは、上記本発明の硬化性樹脂組成物を用いて作製されるので、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性を発現するものであり、各種電子部品の接合用として好適に用いられる。
また、本発明の導電接続ペースト及び導電接続シートは、上記本発明の接着性エポキシ樹脂ペースト及び接着性エポキシ樹脂シートを用いて作製されるので、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性と高い導通信頼性とを発現するものであり、各種電子部品の導通接合用として好適に用いられる。
また、本発明の層間接着剤、非導電性ペースト、アンダーフィル、非導電性フィルム及びダイアタッチフィルムは、上記本発明の接着性エポキシ樹脂ペースト及び接着性エポキシ樹脂シートを用いて作製されるので、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性を発現するものであり、各種電子部品の接合用として好適に用いられる。
また、本発明の異方性導電ペースト、異方性導電フィルム及びフリップチップテープは、上記本発明の導電接続ペースト及び導電接続シートを用いて作製されるので、硬化後は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、可撓性、耐冷熱サイクル性、耐ハンダリフロー性、寸法安定性等に優れ、高い接着信頼性と高い導通信頼性とを発現するものであり、各種電子部品の導通接合用として好適に用いられる。
更に、本発明の電子部品接合体は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、接着性エポキシ樹脂ペースト、接着性エポキシ樹脂シート、導電接続ペースト、導電接続シート、非導電性ペースト、アンダーフィル、非導電性フィルム、ダイアタッチフィルム、異方性導電ペースト、異方性導電フィルム、又は、フリップチップテープのいずれかを用いて作製されるので、高い接着信頼性及び高い導通信頼性を発現する。

Claims (22)

  1. エポキシ樹脂と、エポキシ基と反応する官能基を有する固形ポリマーと、エポキシ樹脂用硬化剤とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
    硬化物を重金属により染色し、透過型電子顕微鏡により観察したときに、樹脂からなるマトリクス中に相分離構造が観察されず、かつ、硬化物の粘弾性スペクトル測定におけるtanδのピークが単一であり、かつ、前記ピークの温度が120℃以上であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 硬化物の120℃に熱したジメチルスルホキシド溶液中で測定した膨潤率が50%以内であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする接着性エポキシ樹脂ペースト。
  4. 請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペーストからなることを特徴とする層間接着剤。
  5. 請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペーストからなることを特徴とする非導電性ペースト。
  6. 請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペーストからなることを特徴とするアンダーフィル。
  7. 請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物がシート状に成形されてなることを特徴とする接着性エポキシ樹脂シート。
  8. 昇温速度45℃/分で昇温し、加熱硬化させた加熱硬化物の貯蔵弾性率(G’)が1×10Paを超えることを特徴とする請求項7記載の接着性エポキシ樹脂シート。
  9. 動的粘弾性に基づくtanδのピーク温度が硬化前は−20℃〜40℃の範囲にあり、硬化後は120℃以上であることを特徴とする請求項7又は8記載の接着性エポキシ樹脂シート。
  10. 請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シートからなることを特徴とする非導電性フィルム。
  11. 請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シートからなることを特徴とするダイアタッチフィルム。
  12. 請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペースト中に導電性微粒子が含有されてなることを特徴とする導電接続ペースト。
  13. 請求項12記載の導電接続ペーストからなることを特徴とする異方性導電ペースト。
  14. 請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シートと、導電性微粒子とかなる導電接続シートであって、前記導電性微粒子の少なくとも一部が前記接着性エポキシ樹脂シートから露出していることを特徴とする導電接続シート。
  15. 請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シート中に前記接着性エポキシ樹脂シートの厚みよりも小さい導電性微粒子が埋設されてなることを特徴とする導電接続シート。
  16. 請求項15記載の導電接続シートからなることを特徴とする異方性導電フィルム。
  17. 可塑剤の添加によって粘着性が付与される樹脂及び常温で液状のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含有する粘着性樹脂組成物からなる粘着性樹脂シートと導電性微粒子とによって形成される導電接続シートであって、
    前記粘着性樹脂シートは、動的粘弾性に基づくtanδのピーク温度が硬化前は−20℃〜40℃の範囲にあり、硬化後は120℃以上であるとともに、前記粘着性樹脂シートの任意の位置に前記導電性微粒子が配置され、前記導電性微粒子の少なくとも一部が前記粘着性樹脂シートから露出していることを特徴とする導電接続シート。
  18. 硬化後の粘着性樹脂シートに対して、温度120℃、湿度85%RH、時間12時間の条件でプレッシャークッカー試験を行った後の硬化後の粘着性樹脂シートの伸び率が5%以下であることを特徴とする請求項17に記載の導電接続シート。
  19. 請求項15、17又は18記載の導電接続シートからなることを特徴とするフリップチップテープ。
  20. 請求項1、2記載の硬化性樹脂組成物、請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペースト、請求項4記載の層間接着剤、請求項5記載の非導電性ペースト、請求項6記載のアンダーフィル、請求項12記載の導電接続ペースト、請求項13記載の異方性導電ペースト、請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シート、請求項10記載の非導電性フィルム、請求項11記載のダイアタッチフィルム、請求項14、15、17又は18記載の導電接続シート、請求項16記載の異方性導電フィルム、又は、請求項19記載のフリップチップテープのいずれかにより、電子部品のバンプ状の突起電極と他方の電極とが導通された状態で接合されてなることを特徴とする電子部品接合体。
  21. 請求項1、2記載の硬化性樹脂組成物、請求項3記載の接着性エポキシ樹脂ペースト、請求項4記載の層間接着剤、請求項5記載の非導電性ペースト、請求項6記載のアンダーフィル、請求項12記載の導電接続ペースト、請求項13記載の異方性導電ペースト、請求項7、8又は9記載の接着性エポキシ樹脂シート、請求項10記載の非導電性フィルム、請求項11記載のダイアタッチフィルム、請求項14、15、17又は18記載の導電接続シート、請求項16記載の異方性導電フィルム、又は、請求項19記載のフリップチップテープのいずれかにより、金属リードフレーム、セラミック基板、樹脂基板、シリコン基板、化合物半導体基板及びガラス基板からなる群より選択される少なくとも1種類の回路基板が接合されてなることを特徴とする電子部品接合体。
  22. 樹脂基板は、ガラスエポキシ基板、ビスマレイミドトリアジン基板又はポリイミド基板であることを特徴とする請求項21記載の電子部品接合体。
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