JP2001123144A - 難燃化接着剤、その製造法、難燃化接着部材、難燃化接着部材を備えた半導体搭載用配線基板及びこれを用いた半導体装置 - Google Patents

難燃化接着剤、その製造法、難燃化接着部材、難燃化接着部材を備えた半導体搭載用配線基板及びこれを用いた半導体装置

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JP2001123144A
JP2001123144A JP30631499A JP30631499A JP2001123144A JP 2001123144 A JP2001123144 A JP 2001123144A JP 30631499 A JP30631499 A JP 30631499A JP 30631499 A JP30631499 A JP 30631499A JP 2001123144 A JP2001123144 A JP 2001123144A
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retardant
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JP30631499A
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Takayuki Matsuzaki
隆行 松崎
Yasushi Shimada
靖 島田
Teiichi Inada
禎一 稲田
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体搭載用配線基板に熱膨張係数の差が大
きい半導体チップを実装する場合に必要な耐熱性、耐湿
性を有し、かつ難燃性を有する難燃化接着剤、難燃化接
着部材等を提供する。 【解決手段】 (1)少なくともいずれか一方が臭素化
されたエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計を100重量
部、(2)グリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重
量%含むTg(ガラス転移温度)が−10℃以上でかつ
重量平均分子量が80万以上であるエポキシ基含有アク
リル系共重合体50〜300重量部及び(3)難燃助剤
5〜30重量部を含む難燃化接着剤及びこの難燃化接着
剤を用いた難燃化接着部材等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃化接着剤、そ
の製造法、難燃化接着部材、難燃化接着部材を備えた半
導体搭載用配線基板及びこれを用いた半導体装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化に伴い、これに
搭載する半導体パッケージは基板への高密度実装が要求
されるようになり、小型化・軽量化が進むと共に、CS
P(チップサイズパッケージ)やμBGA(ボールグリ
ッドアレイ)と呼ばれる小型パッケージの開発が進めら
れている。各種電子部品を搭載した実装基板の重要特性
の一つとして信頼性があるが、特に接続信頼性は実装基
板を用いた機器の品質に直接関係するため、非常に重要
な項目となっている。
【0003】この接続信頼性を低下させる原因として
は、半導体チップと電子部品を実装する基板の熱膨張係
数の差から生じる熱応力が挙げられる。これは半導体チ
ップの熱膨張係数が約4ppm/℃と小さいのに対し、
電子部品を実装する配線板の熱膨張係数が15ppm/
℃以上と大きいことから、熱衝撃により生じる歪みが発
生した際、その歪みによって熱応力が発生するものであ
る。
【0004】例えばベアチップ実装においては、半導体
チップの電極と配線板の配線パッドを接続するはんだボ
ール部分に熱応力が集中し、接続信頼性を低下させてい
た。この熱応力の分散にはアンダーフィルと呼ばれる樹
脂をチップと配線板の間に注入することが有効であるこ
とが知られているが、実装工程の増加、コストアップの
原因となっている。
【0005】これらの対応策としては、CSPには多く
の構造が提案されており、例えばμBGAにおいては半
導体チップとインターポーザと呼ばれる配線基板との間
には、それぞれの熱膨張率差から生じる熱応力を低減で
きるよう、絶縁性の接着剤を用いている。近年、絶縁性
の接着剤としては低弾性の接着フィルムが作業性も良く
接続信頼性も高いといった成果が報告されており(国際
公開公報WO98/15975)、低弾性接着フィルム
の物性としては、チップと配線基板の熱応力低減の他、
接着性、温度サイクル性、耐湿性、難燃性等が要求され
ている。
【0006】低弾性接着フィルムは主にフレキシブルプ
リント配線板等が用いられており、アクリロニトリルブ
タジエンゴムを主成分とする系が多く用いられている。
またプリント配線板関連材料として吸湿後のはんだ耐熱
性を向上させたものとしては、特開昭60−24318
0号公報に示されるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リイソシアネート及び無機フィラーを含む接着剤があ
り、また特開昭61−138680号公報に示されるア
クリル系樹脂、エポキシ樹脂、分子中にウレタン結合を
有する両末端が第1級アミン化合物及び無機フィラーを
含む接着剤が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】アクリロニトリルブタ
ジエンゴムを主成分とする接着フィルムは、高温で長時
間処理した場合の接着力の低下が大きく、耐電食性に劣
り、特に、半導体関連部品の信頼性評価で用いられるP
CT(プレッシャークッカーテスト)処理等の厳しい条
件下で耐湿性試験を行った場合の劣化が大となる。一般
にこれらの接着フィルムは、主要成分を特定の有機溶媒
に溶解したワニスを作製し、それを専用塗工機でフィル
ム状に加工して製造される。そのため作製したワニスの
状況、例えばワニス内の各主要成分の分散状況等はフィ
ルムの品質に大きく影響する。
【0008】特に溶媒に不溶な粒子成分の分散状況、表
面状態は、塗工条件、接着フィルム特性に大きな影響を
与えている。例えば不溶成分の分散が不均一であれば、
フィルム塗工時にフィルムの膜厚が不均一となり、はじ
きと言われる極端にフィルム膜厚の薄い部分を生じる。
また塗工した接着フィルムの物性変化も生じ、接着フィ
ルムの硬化度、接着性等の物性が影響を受けやすい。ま
た粒子の表面状態により、凝集体の増加、沈降を生じる
等、ワニス内の主要成分の分散安定性の確保は大きな課
題であった。
【0009】本発明は、ガラスエポキシ基板、フレキシ
ブル基板等のインターポーザと呼ばれる配線基板に熱膨
張係数の差が大きい半導体チップを実装する場合に必要
な耐熱性、耐湿性を有し、かつ難燃性を有する難燃化接
着剤、その製造法、難燃化接着部材、難燃化接着部材を
備えた半導体搭載用配線基板及びこれを用いた半導体装
置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は(1)少なくと
もいずれか一方が臭素化されたエポキシ樹脂及びその硬
化剤の合計量を100重量部、(2)グリシジル(メ
タ)アクリレートを2〜6重量%含むTg(ガラス転移
温度)が−10℃以上でかつ重量平均分子量が80万以
上であるエポキシ基含有アクリル系共重合体50〜30
0重量部及び(3)難燃助剤5〜30重量部を含有する
難燃化接着剤に関する。本発明においてはエポキシ樹脂
は臭素化フェノールノボラックエポキシ樹脂とすること
が好ましく、エポキシ樹脂の硬化剤は臭素化フェノール
化合物とすることが好ましい。
【0011】また本発明においては、難燃助剤の粒径は
100μm以下であることが好ましい。本発明はまた、
好ましくは、上記難燃化接着剤がDSC(示差走査熱量
測定)を用いて測定される全硬化発熱量の10〜40%
の発熱を終えた状態とされる。
【0012】さらに本発明においては残存溶媒量が好ま
しくは5重量%以下とされる。また、接着剤の硬化物に
ついて動的粘弾性測定装置を用いて測定される貯蔵弾性
率が25℃で20〜2000MPaであり、260℃で
3〜50MPaであることが好ましい。また本発明にお
いては、硬化促進剤、カップリング剤またはイオン捕捉
剤を配合してもよい。
【0013】また本発明は、(1)少なくともいずれか
一方が臭素化されたエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計
を100重量部、(3)難燃助剤5〜30重量部を有機
溶媒に混合して分散処理を行い、(2)グリシジル(メ
タ)アクリレートを2〜6重量%を含むTg(ガラス転
移温度)が−10℃以上でかつ重量平均分子量が80万
以上であるエポキシ基含有アクリル系共重合体50〜3
00重量部を混合したワニスをフィルム状に形成する難
燃化接着剤の製造法に関する。
【0014】また本発明は、(1)少なくともいずれか
一方が臭素化されたエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計
が100重量部、(3)難燃助剤5〜30重量部及び
(2)カップリング剤0.1〜10重量部を有機溶媒に
混合して分散処理を行い、(2)グリシジル(メタ)ア
クリレートを2〜6重量%含むTg(ガラス転移温度)
が−10℃以上でかつ重量平均分子量が80万以上であ
るエポキシ基含有アクリル系共重合体50〜300重量
部及び(4)硬化促進剤0.1〜10重量部を混合した
ワニスをフィルム状に形成する難燃化接着剤の製造法に
関する。
【0015】また本発明は、基材の両面又は片面に上記
の難燃化接着剤の層を設けた難燃化接着部材に関する。
また本発明は、半導体搭載用配線基板の半導体チップ搭
載面に上記の難燃化接着部材を備えた半導体搭載用配線
基板に関する。また本発明は、上記の半導体搭載用配線
基板に半導体チップを接着させた構造を備えた半導体装
置に関する。
【0016】本発明においては、特定のエポキシ基含有
アクリル系共重合体とエポキシ樹脂を用いることにより
室温付近での低弾性率及び難燃性を得ることができる。
エポキシ基含有アクリル系共重合体は、室温付近での弾
性率が低いため、エポキシ基含有アクリル系共重合体の
混合比を大きくすることで、半導体チップと配線基板の
熱膨張係数の差に起因して、リフロー時の加熱冷却過程
で発生する応力を緩和する効果によりクラックを抑制す
ることができる。
【0017】またエポキシ基含有アクリル系共重合体は
エポキシ樹脂と同様に硬化剤との反応性に優れるため、
難燃化接着剤の硬化物が化学的・物理的に安定するため
PCT処理に代表される耐湿性試験に優れた性能を示
す。またアンチモン酸化物はエポキシ基の反応に対して
化学的に安定であり、接着剤としての優れた特性を損な
うことなく難燃化できる。
【0018】また本発明では、難燃性付与のために硬化
剤として臭素化フェノール化合物を用いることが好まし
い。更に本発明では、難燃助剤としてアンチモン酸化物
の粒径が100μm以下とすることが好ましく、これに
よりワニス内での分散が安定した状態を長く保つことが
できる。さらにアンチモン酸化物の粒径としてはワニス
の長期安定性の観点から、10μm以下であることがよ
り好ましい。難燃助剤の分散調整は、らいかい機、3本
ロール、ビーズミル等により、またこれらを組み合わせ
て行うことができる。
【0019】本発明で用いる少なくともいずれか一方が
臭素化されたエポキシ樹脂及び硬化剤としては、硬化し
て接着作用を呈するものであれば良く、二官能以上で、
好ましくは重量平均分子量が5000未満、より好まし
くは分子量3000未満のエポキシ樹脂もしくは臭素化
エポキシ樹脂を用いることが好ましい。二官能エポキシ
樹脂としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型
樹脂等が例示される。ビスフェノールA型又はビスフェ
ノールF型樹脂は、東都化成株式会社から、YD812
5、YDF170の商品名で市販されている。
【0020】エポキシ樹脂としては、高Tg化を目的に
多官能エポキシ樹脂を加えてもよく、多官能エポキシ樹
脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。フ
ェノールノボラック型エポキシ樹脂は、日本化薬株式会
社から、EPPN−201の商品名で市販されている。
また、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、住友化
学工業株式会社から、ESCN−001、ESCN−1
95の商品名で、日本化薬株式会社から、EOCN10
12、EOCN1025、EOCN1027の商品名
で、東都化成株式会社からYDCN−703の商品名で
市販されている。また臭素化エポキシ樹脂としては臭素
化フェノールノボラックエポキシ樹脂が好ましく、日本
化薬株式会社からBREN−Sの商品名で市販されてい
る。
【0021】エポキシ樹脂の硬化剤は、エポキシ樹脂の
硬化剤として通常用いられているものを使用でき、アミ
ン、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三弗化硼
素、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化
合物であるビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス
フェノールS等が挙げられる。特に硬化時に吸湿時の耐
電食性に優れるためフェノールノボラック樹脂、ビスフ
ェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂を
用いるのが好ましい。
【0022】好ましい硬化剤は、大日本インキ化学工業
株式会社から、フェノライトLF2882、フェノライ
トLF2822、フェノライトTD−2090、フェノ
ライトTD−2149、フェノライトVH4150、フ
ェノライトVH4170の商品名で市販されている。ま
た臭素化硬化剤を用いる場合には、臭素化フェノール化
合物が好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノールF
等の臭素化化合物が例示され、帝人化成株式会社からフ
ァイヤーガードの商品名で市販されている。
【0023】エポキシ樹脂と硬化剤の合計は接着性の発
現から合計100重量部としてエポキシ樹脂25〜75
重量部、硬化剤75〜25重量部の比率が接着剤の濡れ
性と高い接着性を確保できるので好ましい。エポキシ基
含有アクリル系共重合体の重量平均分子量は、80万以
上とされる。この範囲では、シート状、フィルム状での
強度や可撓性の低下やタック性の増大が少ないからであ
る。前記のエポキシ基含有アクリル系共重合体の使用量
は、フィルムの強度の低下やタック性が大きくなるのを
防止するためエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計量10
0重量部に対して50〜300重量部の範囲とされる。
【0024】官能基モノマーとして用いるグリシジル
(メタ)アクリレートの量は、2〜6重量%の共重合体
比とする。接着力を得るため、2重量%以上とし、ゴム
のゲル化を防止するために6重量%以下とされる。残部
はエチル(メタ)アクリレートやブチル(メタ)アクリ
レート又は両者の混合物を用いることができるが、混合
比率は、共重合体のTgを考慮して決定する。Tgが−
10℃未満であるとBステージ状態での接着フィルムの
タック性が大きくなり取扱性が悪化するので、−10℃
以上とされる。重合方法はパール重合、溶液重合等が挙
げられる。
【0025】グリシジル(メタ)アクリレート2〜6重
量%を含むTgが−10℃以上でかつ重量平均分子量が
80万以上であるエポキシ基含有アクリル系共重合体と
しては、帝国化学産業株式会社から市販されている商品
名HTR−860P−3を使用することができる。本発
明におけるエポキシ基含有アクリル系共重合体のTg
(ガラス転移温度)の測定は、Mac Science
製4000型TMAを用い、チャック間距離15mmに
幅4mmに切断した硬化フィルムを取付、引張荷重5
g、昇温速度10℃/分、測定温度範囲30〜250℃
の条件で熱変位量を測定して行われる。
【0026】硬化剤とともに硬化促進剤を用いるのが好
ましく、硬化促進剤としては、各種イミダゾール類を用
いるのが好ましい。イミダゾールとしては、2−メチル
イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、
1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シ
アノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテー
ト等が挙げられる。
【0027】イミダゾール類は、四国化成工業株式会社
から、2E4MZ、2PZ−CN、2PZ−CNSの商
品名で市販されている。硬化促進剤は接着剤の硬化を必
要以上に進ませず、長期安定性を確保する観点から上記
のエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計100重量部に対
して0.1〜10重量部の範囲で用いることが好まし
い。
【0028】難燃助剤としては、アンチモン酸化物等が
用いられるが、アンチモン酸化物としては、三酸化二ア
ンチモン、五酸化二アンチモンを用いることができる。
三酸化二アンチモンは、日本精鉱株式会社からPATO
X−U、PATOX−HSの商品名で市販されている。
アンチモン酸化物の添加量は難燃性の確保、製造コスト
の面から上記のエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計10
0重量部に対して5〜30重量部添加するのが好まし
い。
【0029】カップリング剤は、被接着体との濡れ性の
向上等のために用いられるが、シランカップリング剤が
好ましい。シランカップリング剤としては、γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラ
ン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン等が挙げられる。前記のシランカップリン
グ剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
がNCU A−187、γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシランがNCU A−189、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシランがNCU A−1100、γ−ウ
レイドプロピルトリエトキシシランがNCU A−11
60、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリ
メトキシシランがNCU A−1120の商品名で、い
ずれも日本ユニカー株式会社から市販されており、好適
に使用することができる。カップリング剤の配合量は、
被接着体との濡れ性の向上、銅箔表面の金メッキとの接
着性の向上、耐熱性及びコストから、エポキシ樹脂及び
その硬化剤の合計量100重量部に対し1〜10重量部
を添加するのが好ましい。
【0030】さらに、イオン性不純物を吸着して、吸湿
時の絶縁信頼性をよくするために、イオン捕捉剤を配合
することができる。イオン捕捉剤の配合量は、添加によ
る効果や耐熱性、コストより、エポキシ樹脂及びその硬
化剤の合計量100重量部に対して5〜10重量部が好
ましい。イオン捕捉剤としては、銅がイオン化して溶け
出すのを防止するためイオン捕捉剤として知られる化合
物例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール
系還元剤を配合することもできる。ビスフェノール系還
元剤としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチ
ル−6−第3−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−
ビス−(3−メチル−6−第3−ブチルフェノール)等
が挙げられる。
【0031】トリアジンチオール化合物を成分とするイ
オン捕捉剤は、三協製薬株式会社から、ジスネットDB
の商品名で市販されている。またビスフェノール系還元
剤を成分とするイオン捕捉剤は、吉富製薬株式会社か
ら、ヨシノックスBBの商品名で市販されている。ワニ
スの製造は、難燃助剤の分散を考慮して、らいかい機、
3本ロール、ビーズミル等により、またこれらを組み合
わせて行うことが好ましい。
【0032】難燃助剤とされるアンチモン酸化物の粒子
径としては100μm以下が好ましく、ワニス内での分
散を考慮すると10μm以下であることがより好まし
い。更にアンチモン酸化物の分散処理時にカップリング
剤を添加し、表面改質を行ってもよい。その際はアンチ
モン酸化物とエポキシ樹脂成分硬化剤、カップリング剤
をあらかじめ溶媒中で混合した後、ビーズミル処理等を
実施し、混合に要する時間を短縮することも可能とな
る。
【0033】また、ワニスとした後、真空脱気によりワ
ニス中の気泡を除去することが好ましい。こうして作製
したワニスは、キャリアフィルム上に薄膜に塗布し、接
着剤層を作製する際に、ワニス中に配合される各成分の
分散安定性が高く、塗工時にはじきといわれるフィルム
膜厚の極端に薄い部分を生じる事もなく、高い接着強度
を確保できる。
【0034】また、本発明では少なくともいずれか一方
が臭素化されたエポキシ樹脂及びその硬化剤とアンチモ
ン酸化物をワニス作製用の有機溶媒にあらかじめ溶解・
混合した状態でビーズミル等により分散処理を行った
後、カップリング剤、エポキシ基含有アクリル系共重合
体、硬化促進剤を配合すれば、ワニス内でのアンチモン
酸化物の分散安定性、接着フィルムの諸物性が向上され
る。
【0035】また、本発明は、(1)少なくともいずれ
か一方が臭素化されたエポキシ樹脂及びその硬化剤の合
計を100重量部、(3)難燃助剤5〜30重量部を有
機溶媒に混合して分散処理を行い、(2)グリシジル
(メタ)アクリレートを2〜6重量%を含むTg(ガラ
ス転移温度)が−10℃以上でかつ重量平均分子量が8
0万以上であるエポキシ基含有アクリル系共重合体50
〜300重量部を混合したワニスをフィルム状に形成す
る難燃化接着剤の製造法に関する。
【0036】この製造法において、(1)少なくともい
ずれか一方が臭素化されたエポキシ樹脂及びその硬化剤
の合計を100重量部、(3)難燃助剤5〜30重量部
及びカップリング剤0.1〜10重量部を有機溶媒に混
合して分散処理を行い、(2)グリシジル(メタ)アク
リレートを2〜6重量%含むTg(ガラス転移温度)が
−10℃以上でかつ重量平均分子量が80万以上である
エポキシ基含有アクリル系共重合体50〜300重量部
及び(4)硬化促進剤0.1〜10重量部を混合したワ
ニスをフィルム状に形成することが好ましい。
【0037】基材の両面又は片面に、本発明になる上記
の難燃化接着剤の層を設けて難燃化接着部材とされ、半
導体搭載用配線基板の半導体チップ搭載面にこの難燃化
接着部材を備えた半導体搭載用配線基板が提供される。
さらにこの半導体搭載用配線基板に半導体チップを接着
させた構造の半導体装置とされる。本発明では少なくと
もいずれか一方が臭素化されたエポキシ樹脂及びその硬
化剤と難燃助剤及び必要に応じてカップリング剤をワニ
ス作製用の有機溶媒にあらかじめ溶解・混合した状態で
ビーズミル等により分散処理を行い、難燃助剤の表面状
態をカップリング剤で改質した後、エポキシ基含有アク
リル系共重合体及び必要に応じて硬化促進剤を配合する
ことで、ワニス内での難燃助剤の分散安定性及び接着フ
ィルムの諸物性が改善される。
【0038】ワニス化の溶剤は、比較的低沸点の、メチ
ルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、
2−エトキシエタノール、トルエン、ブチルセロソル
ブ、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール
などを用いるのが好ましい。また、塗膜性を向上するな
どの目的で、高沸点溶剤を加えても良い。高沸点溶剤と
しては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド、メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどが挙げら
れる。
【0039】上記ワニスを耐熱性フィルム上に塗布し、
加熱乾燥し、溶剤を除去して接着フィルムを得ることが
できる。耐熱性フィルムの材質としては、ポリエチレン
テレフタレート(以下PET)、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン等が挙
げられる。また、耐熱性フィルムは剥がして使用するた
め、その表面に例えばシリコーン等で離型処理すること
が好ましい。
【0040】塗工方法は特に限定するものではないが、
例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビ
アコート、バーコート等が挙げられる。また、基材の両
面に難燃化接着剤層を有する難燃化接着部材は、基材の
それぞれの面に難燃化接着剤のワニスを塗布、加熱して
溶剤を除去することで得られる。
【0041】また耐熱性フィルム上に塗布した難燃化接
着剤層を基材の両面にラミネーションで貼り合わせるこ
とにより得ることができる。この時、ラミネートの圧力
は接着フィルムの変形が起こらない圧力で行うことが好
ましい。両面に難燃化接着層を形成する場合は、片面と
他面の接着剤の厚みが異なっていても良い。
【0042】本発明になる難燃化接着部材の接着剤層
は、DSC(示差走査熱量測定)を用いて測定した全硬
化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状態とすること
が好ましい。溶剤を除去する際に加熱するが、この時、
難燃化接着剤の組成物の硬化反応が進んでゲル化してく
る。その際の硬化状態が接着剤の流動性に影響し、接着
性や取扱い性を適性化する。DSC(示差走査熱量測
定)は、測定温度範囲内で、発熱、吸熱のない標準試料
との温度差をたえず打ち消すように熱量を供給、又は除
去するゼロ位法を測定原理とするものであり、測定装置
が市販されており、それを用いて測定できる。
【0043】難燃化接着剤の樹脂組成物の反応は、発熱
反応であり、一定の昇温速度で試料を加熱していくと、
試料が反応し熱量が発生する。その発熱量をチャートに
出力し、ベースラインを基準として発熱曲線とベースラ
インで囲まれた面積を求め、これを発熱量とする。室温
から250℃まで10℃/分の昇温速度で測定し、上記
の発熱量を求める。
【0044】次に、上記基材に塗布し、乾燥して得た難
燃化接着剤の発熱量は次のようにして求める。まず、2
5℃で真空乾燥器を用いて溶剤を乾燥させた未硬化試料
の全発熱量を測定し、これをA(J/g)とする。次に
塗工、乾燥した試料の発熱量Bを測定し、試料の硬化発
熱量(硬化度C(%)(加熱、乾燥により発熱を終えた
状態))は、次の式1で与えられる。 「式1」 C(%)=(A−B)×100/A
【0045】本発明の難燃化接着剤の硬化物の貯蔵弾性
率は25℃で20〜2000MPa、260℃で3〜5
0MPaの低弾性率とすることが好ましい。貯蔵弾性率
は動的粘弾性測定装置で測定され、難燃性接着剤の硬化
物に引っ張り荷重をかけて、周波数10Hz、昇温速度
5〜10℃/分で−50℃から300℃まで測定する温
度依存性測定モードで行われる。
【0046】25℃での貯蔵弾性率が2000MPaを
超えるものでは、半導体チップと配線基板との熱膨張の
差によってリフロー時に発生する応力を緩和させる効果
が小さくなるためクラックを発生させてしまう。一方貯
蔵弾性率が20MPa未満では接着剤の取り扱い性が悪
くなる。また260℃で3MPa未満でははんだ温度に
おける耐熱性に劣り、50MPaを超えれば25℃にお
ける貯蔵弾性率が2000MPaを超えるため好ましく
ない。
【0047】本発明の半導体搭載用配線基板に用いる基
板にはセラミック基板、有機基板等が用いられる。配線
の形状としては、片面、両面、多層配線のいずれの構造
でもよく、必要に応じて電気的に接続された貫通孔、非
貫通孔を設けてもよい。さらに配線が半導体装置の外部
表面に現れる場合には、保護樹脂層を設けることが好ま
しい。また接着剤の基板への貼付方法についてはパッケ
ージ形状に応じた所定形状に切断した接着剤を配線基板
上の所望位置へ熱圧着する方法が一般的ではあるが、こ
れに制限されるものではない。
【0048】
【発明の実施の形態】図1は本発明になる難燃化接着剤
1と基材2の組み合わせで形成される難燃化接着部材の
断面図であり、図1(a)に示すような難燃化接着剤1
の単層品や図1(b)に示すような熱可塑性フィルム等
の基材2の両面に難燃化接着剤層1,1を形成して難燃
化接着部材とされる。図2(a)は本発明の難燃化接着
剤1を半導体搭載用配線基板4の半導体チップ搭載面に
備えた半導体搭載用配線基板に半導体チップ5を接着さ
せ、半導体チップのボンディングパッドに配線3の一部
を半導体チップ接続部材6として接続し封止材7により
半導体チップの周囲を封止し外部接続端子8を設けた半
導体装置の断面図である。図2(b)は(a)の難燃化
接着部材に基材2の両面に難燃化接着剤1を形成して得
られる難燃化接着部材を用いた半導体装置の断面図であ
る。
【0049】本発明の難燃化接着部材を用いて半導体チ
ップと配線板を接着させた半導体装置は、耐リフロー
性、温度サイクルテスト、難燃性、耐湿性(耐PCT
性)等に優れる。以下、実施例により本発明を説明す
る。
【0050】
【実施例】接着剤のワニス1の製造 エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂
(エポキシ当量175、東都化成株式会社製のYD−8
125)10重量部、クレゾールノボラック型エポキシ
樹脂(エポキシ当量220、東都化成株式会社製のYD
CN−703)30重量部、硬化剤として臭素化ビスフ
ェノール化合物(帝人化成株式会社製のFG2000)
50重量部にシクロヘキサノン50重量部を加えて撹拌
混合したワニスに、三酸化アンチモン(日本精鉱製のP
ATOX−U)10重量部を混合撹拌し、ビーズミル設
備(アシザワ(株)製LMZ−2)を用い、ジルコニア
ビーズ径1mm、充填率85%、周速5m/分、処理流
量0.8L/分の条件でビーズミル処理を実施した後、
エポキシ基含有アクリル系共重合体として帝国化学産業
株式会社製のエポキシ基含有アクリル系共重合体HTR
−860P−3(重量平均分子量100万、グリシジル
メタアクリレート:3重量%含有、Tg:−7℃)を1
2重量%溶解したシクロヘキサノン溶解物をHTR−8
60P−3の重量換算で80重量部、硬化促進剤として
1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(キュア
ゾール2PZ−CN)0.5重量部、カップリング剤と
してγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日
本ユニカー株式会社製のNUCA−189)1.5重量
部を加えて撹拌混合し、この接着剤のワニス1を得た。
ビーズミル処理後のアンチモン酸化物の粒径は1〜5μ
mであった。この難燃化接着剤の硬化物の貯蔵弾性率を
動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を
用いて測定(サンプルサイズ長さ20mm、幅3mm、
膜厚75μm、昇温速度5℃/分、引張モード自動静荷
重)した結果、25℃で1000MPa、260℃で4
MPaであった。
【0051】接着剤のワニス2の製造 接着剤のワニス1と同じ配合で、アンチモン酸化物と同
時にカップリング剤を混合・撹拌した後ビーズミル処理
を行った後、アクリル系共重合体以下の成分を混合撹拌
し、ワニス2を得た。ビーズミル処理後のアンチモン酸
化物の粒径は1〜5μmであった。この接着剤の硬化物
の貯蔵弾性率を同じ動的粘弾性測定装置を用いて測定し
た結果、25℃で1050MPa、260℃で4.3M
Paであった。
【0052】接着剤のワニス3の製造 エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型の臭素化エ
ポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のBREN−S)55
重量部、硬化剤として臭素化ビスフェノール化合物(帝
人化成株式会社製のFG2000)40重量部とフェノ
ールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業製のLF2
882)10重量部にシクロヘキサノン50重量部を加
えて撹拌混合したワニスに、三酸化二アンチモン(日本
精鉱製のPATOX−U)15重量部、カップリング剤
としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(日本ユニカー株式会社製のNUC A−189)、γ
−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー
株式会社製のNCU A−1160)を混合撹拌した
後、ビーズミル処理を行い、エポキシ基含有アクリル系
共重合体(分子量100万、帝国化学産業株式会社製の
HTR−860P−3)HTR−860P−3の重量換
算で150重量部、硬化促進剤として1−シアノエチル
−2−フェニルイミダゾール(キュアゾール2PZ−C
N)0.5重量部を加えて撹拌混合し、この接着剤のワ
ニス3を得た。ビーズミル処理後のアンチモン酸化物の
粒径は1〜5μmであった。この難燃化接着剤の硬化物
の貯蔵弾性率を同じ動的粘弾性測定装置を用いて測定し
た結果、25℃で1100MPa、260℃で4.5M
Paであった。
【0053】[比較例1] 接着剤のワニス4の製造 エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂
(エポキシ当量175、東都化成株式会社製のYD−8
125)10重量部、クレゾールノボラック型エポキシ
樹脂(エポキシ当量220、東都化成株式会社製のYD
CN−703)30重量部、硬化剤として臭素化ビスフ
ェノール化合物(帝人化成株式会社製のFG2000)
50重量部にシクロヘキサノン50重量部を加えて撹拌
混合したワニスに、アンチモン酸化物として三酸化二ア
ンチモン(日本精鉱製のPATOX−U)10重量部、
エポキシ基含有アクリル系共重合体としてエポキシ基含
有アクリル系ゴム(分子量100万、帝国化学産業株式
会社製のHTR−860P−3)HTR−860P−3
の重量換算で80重量部、硬化促進剤として1−シアノ
エチル−2−フェニルイミダゾール(キュアゾール2P
Z−CN)0.5重量部、カップリング剤としてγ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー
株式会社製のNUC A−189)1.5重量部を加え
て撹拌混合し、この接着剤のワニス4を得た。この硬化
物の貯蔵弾性率を同じ動的粘弾性測定装置を用いて測定
した結果、25℃で900MPa、260℃で4MPa
であった。
【0054】(実施例1)接着剤のワニス1を、キャリ
アフィルムとして厚さ50μmの離型処理したポリエチ
レンテレフタレートフィルム上に塗布し、165℃で5
分間乾燥して膜厚が75μmのBステージ状態の塗膜を
形成し、キャリアフィルムを備えた接着剤を製造した。
フィルムの製造はワニス製造直後、3日後、1週間後の
3回行った。なおこの状態での接着剤の硬化度は、いず
れの接着剤もDSC(デュポン社製912型DSC)を
用いて測定(昇温速度:10℃/分)した結果、全硬化
発熱量の14〜20%の範囲内の発熱を終えた状態であ
った。また、残存溶媒量は、1.2〜1.5重量%の範
囲内であった。残存溶媒量は、難燃化接着剤を170℃
で30分間加熱処理した際の加熱前後の重量を測定する
ことにより求めた。
【0055】(実施例2)接着剤のワニス1を接着剤の
ワニス2とした以外は実施例1と同様にして、キャリア
フィルムを備えた接着剤を製造した。なおこの状態での
接着剤の硬化度は、いずれの接着剤もDSC(デュポン
社製912型DSC)を用いて測定(昇温速度:10℃
/分)した結果、全硬化発熱量の16〜20%の範囲内
の発熱を終えた状態であった。また、残存溶媒量は、
1.0〜1.5重量%の範囲内であった。
【0056】(実施例3)接着剤のワニス1を接着剤の
ワニス3とした以外は実施例1と同様にして、キャリア
フィルムを備えた難燃化接着剤を製造した。なおこの状
態での接着剤の硬化度は、いずれの接着剤もDSC(デ
ュポン社製912型DSC)を用いて測定(昇温速度:
10℃/分)した結果、全硬化発熱量の15〜19%の
範囲内の発熱を終えた状態であった。また、残存溶媒量
は、1.2〜1.5重量%の範囲内であった。
【0057】(比較例1)接着剤のワニス1を接着剤の
ワニス4とした以外は実施例1と同様にして、キャリア
フィルムを備えた単層フィルム上の難燃化接着部材を製
造した。なおこの状態での難燃化接着剤の硬化度は、い
ずれの接着剤もDSC(デュポン社製912型DSC)
を用いて測定(昇温速度:10℃/分)した結果、全硬
化発熱量の15〜20%の範囲内の発熱を終えた状態で
あった。また、残存溶媒量は、1.1〜1.5重量%の
範囲内であった。
【0058】得られた接着部材を用いて、塗工時のはじ
き発生、流れ性、接着強度、難燃性を評価した。はじき
発生については幅200mm、長さ方向500mmの範
囲において、極端に膜厚の薄いはじき部分の存在数が5
以上のものを×、1〜4の範囲内にあるものを△、1未
満のものを○とした。流れ性は、一定サイズで作り出し
た接着剤をスライドグラス上に接着剤層を貼り付けた評
価用サンプルをテスター産業株式会社製の熱圧着機で、
金型温度160℃(両面)、圧力2MPa、圧着時間1
8秒の条件で熱圧着させた際、従来のサイズからどの程
度接着剤が流れ出たかを測定し、ワニス製造直後に塗工
した接着剤の流れ性を100とし、3日目、7日目の流
れ性が80〜120の範囲内にあるものを○、それ以上
に変動しているものを×とした。接着性は同じ圧着機を
用い、ガラス板とポリイミド(宇部興産株式会社製ユー
ピレックス50S)の間に接着剤を挟み、金型温度16
0℃(両面)、圧力2MPa、圧着時間18秒の条件で
熱圧着させた後、170℃の条件下に1時間放置し硬化
反応を終了させ、テスター産業株式会社製90度ピール
強度測定機を用いて、ポリイミドフィルムの引き剥がし
強度を測定し、接着剤製造時の異なる3サンプルの平均
値が200g/cm未満のものを×、200〜500g
/cmの範囲内のものを△、500g/cmを超えるも
のを○とした。難燃性は接着部材のみを用いて、UL9
4垂直燃焼試験に準じて行い、分類が94VTM−0ま
たは94VTM−1のものを○それ以外を×とした。そ
の結果を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】比較例1においては、はじき発生、流れ性
のいずれにおいても問題を生じている。実施例1ではビ
ーズミル処理によりワニス内でのアンチモン酸化物の粒
径を微細に調整することで流れ性の安定を得た。また実
施例2では、ビーズミル処理時にカップリング剤を同時
に添加することで、アンチモン酸化物の表面改質効果に
より更にワニス内での分散効果が向上されている。実施
例3では、接着性向上のため、エポキシ基含有アクリル
系共重合体の配合比率を増加させており、ワニス安定性
と共に高い接着性が得られている。
【0061】(実施例4)実施例2で得たキャリアフィ
ルムを備えた接着剤からキャリアフィルムを剥離して、
基材として厚さ25μmポリイミドフィルム(宇部興産
製のユーピレックスSGA−25)の両面に温度85
℃、圧力0.2MPa、ラミネート速度1.0m/分の
条件でホットロールラミネーターを用いて貼り付け、ポ
リイミドフィルムの両面に難燃化接着剤層を備えた難燃
化接着部材を製造した。
【0062】(実施例5)キャリアフィルムを備えた実
施例3の接着剤からキャリアフィルムを剥離して実施例
5と同じ構成・方法でポリイミドフィルムの両面に難燃
化接着剤層を備えた難燃化接着部材を製造した。
【0063】実施例4〜5によって得られた接着部材を
用いて、図2(a)又は(b)に示すような半導体チッ
プと25μmのポリイミドフィルムを半導体搭載用配線
基板4を貼り合わせた半導体装置サンプル(片面にはん
だボールを形成)を作製し、耐熱性、耐湿性を評価し
た。耐熱性の評価方法には、耐リフロークラックと温度
サイクル試験を適用した。耐リフロークラック性の評価
はサンプル表面が240℃でこの温度を20秒間保持す
るように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通
し、室温で放置することにより冷却する処理を2回繰り
返したサンプル中のクラックの観察で行った。クラック
の発生していないものを○とし、発生したものを×とし
た。温度サイクル試験はサンプルを−55℃雰囲気に3
0分間放置し、その後125℃の雰囲気に30分放置す
る工程を1サイクルとして測定し、500サイクルまで
に破壊が生じなかったものを○で示した。また、耐湿性
評価は、プレッシャークッカーテスター中で96時間処
理(121℃、2気圧、PCT処理)後接着部材の剥離
及び変色を観察することにより行った。接着部材の剥離
及び変色の認められなかったものを○とし、剥離のあっ
たものまたは変色のあったものを×とした。その結果を
表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】実施例1〜3は何れも、本発明になる難燃
化接着剤を用いた難燃化接着部材であり、実施例4〜5
は実施例2〜3の接着剤層をポリイミドの基材両面に備
えた難燃化接着部材である。実施例1〜5の難燃化接着
剤の硬化物は、本発明で規定した25℃及び260℃で
の貯蔵弾性率を満たし、これらの難燃化接着部材を用い
た半導体装置は、耐リフロークラック性、温度サイクル
試験、耐PCT試験が良好であった。
【0066】
【発明の効果】本発明になる難燃化接着剤及び難燃化接
着部材は、室温付近での弾性率が低いために、半導体装
置において、半導体チップと配線基板との熱膨張率差か
ら加熱冷却時に発生する熱応力を緩和させることがで
き、リフロー時のクラック発生が認められず、耐熱性に
優れた半導体搭載用配線基板及び半導体装置を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明になる難燃化接着剤の概略図、
(b)は本発明になる基材の両面に難燃化接着剤を備え
た難燃化接着部材の概略図。
【図2】(a)は本発明になる接着部材を用いた半導体
装置の断面図、(b)は本発明になる基材の両面に難燃
化接着剤を備えた難燃化接着部材を用いた半導体装置の
断面図。
【符号の説明】
1 難燃化接着剤 2 基材 3 配線 4 半導体搭載用配線基板 5 半導体チップ 6 半導体チップ接続部材 7 封止材 8 外部接続端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲田 禎一 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J040 EC151 EC232 HA136 HB38 HB39 HC24 HD03 HD35 HD36 HD37 JA09 KA03 KA10 KA16 KA17 KA21 KA23 KA36 LA01 LA02 LA06 LA07 LA08 NA20

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)少なくともいずれか一方が臭素化
    されたエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計を100重量
    部、(2)グリシジル(メタ)アクリレートを2〜6重
    量%含むTg(ガラス転移温度)が−10℃以上でかつ
    重量平均分子量が80万以上であるエポキシ基含有アク
    リル系共重合体50〜300重量部及び(3)難燃助剤
    5〜30重量部を含有してなる難燃化接着剤。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂として臭素化フェノールノ
    ボラックエポキシ樹脂を用いた請求項1に記載の難燃化
    接着剤。
  3. 【請求項3】 硬化剤として臭素化フェノール化合物を
    用いた請求項1に記載の難燃化接着剤。
  4. 【請求項4】 難燃助剤が粒径が100μm以下のアン
    チモン酸化物である請求項1に記載の難燃化接着剤。
  5. 【請求項5】 DSC(示差走査熱量測定)を用いて測
    定される全硬化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状
    態にした請求項1に記載の難燃化接着剤。
  6. 【請求項6】 残存溶媒量が5重量%以下である請求項
    1に記載の難燃化接着剤。
  7. 【請求項7】 動的粘弾性測定装置を用いて測定される
    難燃化接着剤の硬化物の貯蔵弾性率が25℃で20〜2
    000MPaであり、260℃で3〜50MPaである
    請求項1に記載の難燃化接着剤。
  8. 【請求項8】 さらに硬化促進剤0.1〜10重量部を
    配合した請求項1に記載の難燃化接着剤。
  9. 【請求項9】 さらにカップリング剤0.1〜10重量
    部を配合した難燃化接着剤。
  10. 【請求項10】 さらにイオン捕捉剤を配合した請求項
    1に記載の難燃化接着剤。
  11. 【請求項11】 (1)少なくともいずれか一方が臭素
    化されたエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計を100重
    量部、(3)難燃助剤5〜30重量部を有機溶媒に混合
    して分散処理を行い、(2)グリシジル(メタ)アクリ
    レートを2〜6重量%を含むTg(ガラス転移温度)が
    −10℃以上でかつ重量平均分子量が80万以上である
    エポキシ基含有アクリル系共重合体50〜300重量部
    を混合したワニスをフィルム状に形成することを特徴と
    する難燃化接着剤の製造法。
  12. 【請求項12】 (1)少なくともいずれか一方が臭素
    化されたエポキシ樹脂及びその硬化剤の合計を100重
    量部、(3)難燃助剤5〜30重量部及びカップリング
    剤0.1〜10重量部を有機溶媒に混合して分散処理を
    行い、(2)グリシジル(メタ)アクリレートを2〜6
    重量%含むTg(ガラス転移温度)が−10℃以上でか
    つ重量平均分子量が80万以上であるエポキシ基含有ア
    クリル系共重合体50〜300重量部及び(4)硬化促
    進剤0.1〜10重量部を混合したワニスをフィルム状
    に形成する請求項1記載の難燃化接着剤の製造法。
  13. 【請求項13】 基材の両面又は片面に、請求項1〜1
    2のいずれかに記載の難燃化接着剤の層を設けた難燃化
    接着部材。
  14. 【請求項14】 半導体搭載用配線基板の半導体チップ
    搭載面に請求項13に記載の難燃化接着部材を備えた半
    導体搭載用配線基板。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の半導体搭載用配線
    基板に半導体チップを接着させた構造を備えた半導体装
    置。
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