JP4618464B2 - 接着剤組成物、これを用いた接着フィルム、半導体チップ搭載用基板及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体パッケージ用部材としての信頼性に優れた接着剤組成物、これを用いた接着フィルム、半導体チップ搭載用基板及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化に伴い、これに搭載する半導体パッケージは基板への高密度実装が要求されるようになり、小型化・軽量化が進むと共に、CSP(チップサイズパッケージ)やμBGA(ボールグリッドアレイ)と呼ばれる小型パッケージの開発が進められている。
【0003】
各種電子部品を搭載した実装基板の重要特性の一つとして信頼性があるが、特に接続信頼性は実装基板を用いた機器の品質に直接関係するため、非常に重要な項目となっている。
この接続信頼性を低下させる原因としては、半導体チップと電子部品を実装する基板の熱膨張係数の差から生じる熱応力が挙げられる。
これは半導体チップの熱膨張係数が約4ppm/℃と小さいのに対し、電子部品を実装する配線板の熱膨張係数が15ppm/℃以上と大きいことから、熱衝撃により生じる歪みが発生した際、その歪みによって熱応力が発生するものである。
【0004】
例えばベアチップ実装においては、半導体チップの電極と配線板の配線パッドを接続するはんだボール部分に熱応力が集中し、接続信頼性を低下させていた。
この熱応力の分散にはアンダーフィルと呼ばれる樹脂をチップと配線板の間に注入することが有効であることが分かっているが、実装工程の増加、コストアップの原因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの対応策として、CSPには多くの構造が提案されており、例えばμBGAにおいては半導体チップとインターポーザと呼ばれる配線基板との間には、それぞれの熱膨張率差から生じる熱応力を低減できるよう、低弾性の絶縁性接着剤が用いられる。
近年、このような分野に適した絶縁性の接着剤としては低弾性接着フィルムが作業性も良く接続信頼性も高いといった報告(特開平8−266460)がされている。低弾性接着フィルムに要求される物性としては、チップと配線基板の熱応力低減の他、接着性、温度サイクル性、耐湿性等がある。また、さらに近年においては接着剤の保存安定性やチップ圧着時の生産性を向上させる要求が高まりつつある。
【0006】
接着フィルムはフレキシブルプリント配線板等で用いられており、接着剤にアクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等の各種ゴムを主成分とする系が多く用いられている。これらのゴムは、接着剤の強度、可撓性及び密着性を改善するために使用されている。
【0007】
これらのうち、アクリルゴムを主成分とする系では、高温長時間処理後の接着力の低下は比較的小さいが、高温時の接着強さが不十分である他、吸湿時の特性低下が大きいという欠点があった。また、アクリロニトリルブタジエンゴムを主成分とする系では、高温長時間処理後の接着力の低下が大きいことや、耐電食性に劣るなどの欠点があった。特に、半導体関連部品の信頼性の評価で用いられるPCT(プレッシャークッカーテスト)処理等の厳しい条件下で耐湿性試験を行った場合の劣化が大きかった。吸湿後のはんだ耐熱性を向上させたものとしては、特開昭60−243180号公報に示されるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート及び無機フィラーを含む接着剤があり、また特開昭61−138680号公報に示されるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、分子中にウレタン結合を有する両末端が第1級アミン化合物及び無機フィラーを含む接着剤がある。しかしながら、これらの接着剤を用いて半導体チップをプリント配線板に実装する場合には、半導体チップとプリント配線板の熱膨張係数の差が大きくリフロー時にクラックが発生するために使用できなかった。また、温度サイクルテストやPCT処理等の厳しい条件下での耐湿性試験を行った場合の劣化が大きく、使用できなかった。
【0008】
また、ゴム−エポキシ樹脂系接着剤において、反応性を有するアクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等をエポキシ樹脂に混合した接着剤があり、これらの接着剤は、高温接着性等が改善されている。反応性ゴム系接着剤として反応性アクリル系接着剤は、特開平3−181580号公報に示されるように、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基含有アクリルエラストマ及びアルキルフェノール、エポキシ樹脂及びイミダゾリウムトリメリテートからなる接着剤組成物があり、フレキシブル印刷配線板のベースフィルムと銅箔とを接着する分野に用いられる。また光沢面との接着性、耐熱性を向上させたものとして特開平7−76679号公報のエポキシ基を有するアクリルエラストマ60〜80重量部及びアルキルフェノール8〜20重量部、エポキシ樹脂8〜20重量部、イミダゾール系硬化剤0.2〜1.0重量部を必須成分とする抵抗回路付きシートヒーター用接着剤組成物がある他、特開平7−173449号公報に示されるように、エポキシ基含有アクリルエラストマ系接着剤組成物がある。
【0009】
しかしながら、これらの高温接着性の改良された接着フィルムでも、長期間保存後の基板への貼り付け性や半導体チップとの接着性が低下するといった問題点を生じていた。
【0010】
本発明は、ガラスエポキシ基板やフレキシブル基板等のインターポーザと呼ばれる配線基板に熱膨張係数の差が大きい半導体チップを実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性、高温接着性等の信頼性を有し、かつ保存安定性に優れた接着剤組成物、これを用いた接着フィルム、半導体チップ搭載用基板、及びこの接着フィルムを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は(1)分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂及び(2)硬化剤として一般式(I)で表される分子内に2個以上のフェノール性水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物を合わせて100重量部ならびに(3)カルボキシル基、ヒドロキシル基、酸無水物基、アミド基及びエポキシ基の少なくとも1を有するTgが−20℃〜30℃であり、重量平均分子量が30,000〜300,000であるアクリル系共重合体50〜300重量部を含有する接着剤組成物に関する。
【0012】
本発明における(1)分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては硬化して接着作用を呈するものであればよく、二官能及び/又は多官能のエポキシ樹脂を用いることができる。
二官能エポキシ樹脂としては室温で液状のものと固体のものがあり、これらの樹脂は市場で容易に入手することができる。例えばエピコート827,828,834,1001,1004,1007,1009,1010(油化シェルエポキシ(株)製)、アラルダイトGY252,250,260,280,6099(チバ・ガイギー(株)製)、D.E.R330,331,336,337,668,669(ダウ・ケミカル(株)製)、YD8125,YDF170(東都化成(株)製)等が挙げられる。
【0013】
多官能エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、α−ナフトールノボラックエポキシ樹脂、臭素化ノボラックエポキシ樹脂等があり、これらの樹脂も市場で容易に入手することができる。例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂としてはDEN−431,438,439(ダウ・ケミカル(株)製)、エピコート152,154(油化シェルエポキシ(株)製)、EPPN−201,202(日本化薬(株)製)、クレゾールノボラックエポキシ樹脂としてはEOCN−102S,103S,104S,1020,1025,1027(日本化薬(株)製)、ESCN−001,195X,200S,220(住友化学工業(株)製)、YDCN−703(東都化成(株)製)、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂としては、N−865,N−880(大日本インキ化学工業(株)製)、α−ナフトールノボラックエポキシ樹脂としてはEXB−4300(大日本インキ化学工業(株)製)、臭素化フェノールノボラックエポキシ樹脂としては、BREN−S(日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0014】
本発明におけるエポキシ樹脂は1種類のみで用いても、2種類以上を組み合わせてもよい。
【0015】
本発明における硬化剤としての(2)分子内に2個以上のフェノール性水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物の具体例としては、下記一般式(I)
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、R1 〜R4 は水素原子又は低級アルキル基を表し、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。)で表される化合物、たとえば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、4,4−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、2,2−ビス〔3−(2−メチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕フロピオン酸、4,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、2,2−ビス〔3−(2,2−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオン酸、4,4−ビス〔3−(2−メチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕ペンタン酸、4,4−ビス〔3−(2,2−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕ペンタン酸等を挙げることができる。
【0018】
分子内に2個以上のフェノール性水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物は1種類のみで用いても、2種類以上を組み合わせてもよい。耐熱性と密着性の点から下記の一般式(I)
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、R1 〜R4 は水素原子又は低級アルキル基を表し、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、nは0〜6の整数である。)で表される化合物が好ましく、また、耐熱性、密着性及び保存安定性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸および4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸が特に好ましい。
【0021】
本発明においてはエポキシ樹脂および硬化剤の総量を100重量部として、エポキシ樹脂は40〜90重量部であり、好ましくは50〜80重量部であり、より好ましくは50〜70重量部である。エポキシ樹脂の量が少なすぎると接着性が不十分となる傾向があり、多すぎると耐熱性が不十分となる傾向がある。
【0022】
また本発明においては硬化剤として、分子内に2個以上のフェノール性水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物の他に、本発明の効果を損なわない程度に他のエポキシ樹脂硬化剤として多官能フェノール樹脂を併用することができる。多官能フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物であるビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、臭素化ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等があり、これらは市場で容易に入手できる。例えば臭素化ビスフェノールAとしてはファイヤーガードFG2000(帝人化成(株)製)、ノボラック樹脂としてはフェノライトLF2882,F2822,TD−2090,TD−2149,VH4150,VH4170(大日本インキ化学工業(株)製)、PSM−4300(群栄化学(株)製)、H−100(明和化成(株)製)等が挙げられる。
これらの硬化剤は硬化剤の総量を100重量部とした場合に20重量部以下の範囲で用いることが好ましい。これらの量が多すぎると保存安定性及び低温硬化性が不十分となる傾向がある。
【0023】
本発明における(3)カルボキシル基、ヒドロキシル基、酸無水物基、アミド基及びエポキシ基の少なくとも1を有するTgが−20℃〜30℃であり、重量平均分子量が30,000〜300,000であるアクリル系共重合体としては、以下に示すような非官能性モノマーと官能性モノマーを共重合することにより得られる。
【0024】
非官能性モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸ノルボルニルメチル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02.6 ]デカン−8−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02.6 ]デカン−3(または4)−イルメチル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸メチルシクロヘキシル等のアクリル酸シクロアルキルエステル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸芳香族エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−3(または4)−イルメチル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸シクロアルキルエステル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸芳香族エステル、スチレンまたはα−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等の核置換スチレン、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド等のN−アルキル基置換マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキル基置換マレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−アリール基置換マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することができる。
非官能性モノマーは、共重合体のTgが−20℃〜30℃となるように選択することが好ましく、−10℃〜20℃となることがより好ましい。Tgが低すぎるとBステージ状態での接着フィルムのタック性が大きくなり取扱性が悪化する傾向があり、高すぎると接着性が不十分となる傾向がある。
【0025】
また、官能性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、(o−、m−、p−)ヒドロキシスチレン等のヒドロキシル基含有モノマー、無水マレイン酸等の酸無水物基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有モノマー、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、メタクリル酸−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、メタクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、メタクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、α−エチルアクリル酸−β−メチルグリシジル、アクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3−メチル−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、メタクリル酸−4−メチル−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル、メタクリル酸−5−メチル−5,6−エポキシヘキシル等のエポキシ基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することができる。
これらのうち、保存安定性の点でエポキシ基含有モノマーが好ましく、メタクリル酸グリシジルがより好ましい。
【0026】
非官能性モノマーと官能性モノマーとの共重合比率は、通常これらの総量を100重量部として非官能性モノマー/官能性モノマーが90/10〜99.9/0.1重量部の範囲であり、好ましくは93/7〜99.5/0.5の範囲であり、より好ましくは95/5〜99/1の範囲である。官能性モノマーの量が多すぎると共重合する際にゲル化しやすくなる傾向があり、少なすぎると接着性が不十分となる傾向がある。これらのアクリル系共重合体を得るための重合方法としては、塊状重合、パール重合、乳化重合、溶液重合等が挙げられる。また、これらのアクリル系共重合体の分子量としては好ましくは重量平均分子量(Mw)が10,000〜500,000であり、より好ましくは30,000〜300,000である。分子量が大きすぎると共重合する際にゲル化しやすくなる傾向があり、小さすぎると接着性が不十分となる傾向がある。
【0027】
本発明における(3)カルボキシル基、ヒドロキシル基、酸無水物基、アミド基及びエポキシ基の少なくとも1を有するアクリル系共重合体の量は、エポキシ樹脂および硬化剤の総量を100重量部とした場合に、50〜300重量部であり、好ましくは80〜300重量部であり、より好ましくは100〜300重量部である。アクリル系共重合体の量が少なすぎると接着性が低下する傾向があり、多すぎるとタック性が高くなりすぎて取り扱いにくくなる傾向がある。
【0028】
さらに本発明においては、保存安定性を損なわない程度に(4)硬化促進剤を用いることが好ましい。硬化促進剤としては、通常エポキシ樹脂の硬化に際して用いられるものが使用できる。具体的には、塩酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸等の有機酸、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、BF3 等のルイス酸またはルイス酸塩等を挙げることができ、保存安定性や耐熱性等の点で好ましくはイミダゾール類が用いられる。
イミダゾール類は、市場で容易に入手することができ、例えば2E4MZ,1B2MZ,2E4MZ−CN,2PZ−CN,2PZ−CNS(四国化成工業(株)製)等がある。
【0029】
また、硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂および硬化剤の総量を100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.1〜5重量部である。硬化促進剤が多すぎると保存安定性や接着性が低下する傾向がある。
【0030】
さらに本発明においては、異種材料間の界面結合をよくするために、(5)カップリング剤を配合することもできる。カップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0031】
シランカップリング剤は、市場で容易に入手することができる。例えば、NUC A−187,A−189,A−1160,A−1120(日本ユニカー(株)製)、SH6040,SH6062,SH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)等がある。
【0032】
カップリング剤の配合量は、エポキシ樹脂および硬化剤の総量の100重量部に対して好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。添加量が少なすぎる場合には接着性が十分に向上しない傾向があり、多すぎる場合には耐熱性が低下する傾向がある。
【0033】
さらに本発明においては、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、(6)イオン捕捉剤を配合することができる。イオン捕捉剤としては、銅がイオン化してとけ出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、例えば、ビスフェノール系還元剤、トリアジンチオール化合物を配合することもできる。ビスフェノール系還元剤としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(3−メチル−6−第3ブチルフェノール)等が挙げられる。トリアジンチオール化合物を成分とする銅害防止剤は、三協製薬株式会社から、ジスネットDBの商品名で市販されている。ビスフェノール系還元剤を成分とする銅害防止剤は、吉富製薬株式会社から、ヨシノックスBBという商品名で市販されている。
【0034】
また、無機イオン吸着剤としては、東亜合成化学工業(株)からジルコニウム系化合物を成分とするものがIXE−100の商品名で、アンチモンビスマス系化合物を成分とするものがIXE−600の商品名で、マグネシウムアルミニウム系化合物を成分とするものがIXE−700の商品名で市販されている。また、ハイドロタルサイトは、協和化学工業から、DHT−4Aの商品名で市販されている。
【0035】
これらイオン捕捉剤の配合量はエポキシ樹脂および硬化剤の総量を100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部とされる。添加量が少なすぎる場合にはイオン捕捉能力が十分に作用しない傾向があり、多すぎる場合には耐熱性が低下する傾向がある。
【0036】
本発明の接着剤組成物は、各成分を(7)溶剤に溶解・分散したワニスをそのまま使用するほか、ワニスを基材上に塗布し、加熱して溶剤を除去してフィルム状態で使用することが可能である。ワニス化の溶剤は、比較的低沸点の、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−エトキシエタノール、トルエン、ブチルセロソルブ、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール等を用いるのが好ましい。また、塗膜性を向上するなどの目的で、高沸点溶剤を加えても良い。高沸点溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、シクロヘキサノン等が挙げられる。ワニスの製造は、本発明の構成成分を上記溶剤に溶解することが可能な装置であれば特に制限はなく、攪拌機等を備えた溶解槽等を用いて行われる。溶解は室温〜150℃、好ましくは室温〜120℃の範囲で通常1時間〜50時間程度行われる。溶解温度が高すぎると溶解中にエポキシ基等が反応して、接着性を低下させる傾向がある。
【0037】
また、ワニスとした後、真空脱気によりワニス中の気泡を除去することが好ましい。基材としては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等やそれらを離型処理したフィルム等を使用することができる。塗工方法は特に制限するものではないが、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート等が挙げられる。また、基材の両面に接着剤層を有する接着フィルムは、基材のそれぞれの面にワニスを塗布、加熱して溶剤を除去することで得られる。また耐熱性フィルム上に塗布した接着剤層を基材の両面にラミネーションで貼り合わせることにより得ることができる。この時、ラミネートの圧力は接着フィルムの変形が起こらない圧力で行うことが好ましい。両面に接着層を形成する場合は、片面と他面の接着剤の厚みが異なっていてもよい。図1は基材の両面に接着剤を備えた接着フィルムの断面図である。図において1は接着剤、2は基材である。
【0038】
本発明になる接着フィルムの接着剤層を形成する際には、加熱により溶剤を除去するが、この時、接着剤の組成物の硬化反応が進んでゲル化する。その際の硬化状態が接着剤の流動性に影響し、接着性や取り扱い性を適性化する。DSC(示差走査熱量測定)は、測定温度範囲内で、発熱、吸熱のない標準試料との温度差をたえず打ち消すように熱量を供給、または除去するゼロ位法を測定原理とするものであり、測定装置が市販されており、それを用いて測定できる。本発明の接着剤組成物の反応は、発熱反応であり、一定の昇温速度で試料を加熱していくと、試料が反応し熱量が発生する。その発熱量をチャートに出力し、ベースラインを基準として発熱曲線とベースラインで囲まれた面積を求め、これを発熱量とする。室温から250℃まで10℃/分の昇温速度で測定し、上記の発熱量を求める。次に、上記基材に塗布し、乾燥して得た接着剤の発熱量は次のようにして求める。まず、25℃で真空乾燥器を用いて溶剤を乾燥させた未硬化試料の全硬化発熱量を測定し、これをA(J/g)とする。次に塗工、乾燥した試料の発熱量Bを測定し、試料の硬化度C(%)(加熱、乾燥により発熱を終えた状態)は、次の式1で与えられる。
[式1]
C(%)=(A−B)×100/A
【0039】
接着フィルムの硬化度については、DSCを用いて測定した場合の全硬化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状態にすることが望ましい。
【0040】
硬化度が10%未満の場合、網目構造が十分に発生していないため、流動性が大きすぎる状態で被着面と接着するため、接着性が低下する傾向がある。また、硬化度が40%を越えると、網目構造が密になり、逆に流動性がなくなりすぎて接着性が低下する傾向がある。
【0041】
さらに本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない程度に、その他の成分を混合して使用することができる。このような成分としては、フェノキシ樹脂、官能基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴム、無機フィラー等がある。
【0042】
フェノキシ樹脂は、Bステージにおけるタック性の低減や、硬化後の接着剤の可撓性の付与等を目的として混合することができる。フェノキシ樹脂は、市場で容易に入手することができる。例えば、フェノトート YP−40,YP−50,YP−60(東都化成(株)製)等がある。
フェノキシ樹脂の配合量はエポキシ樹脂および硬化剤の総量を100重量部とした場合に、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下の範囲とされる。混合量が多すぎる場合には耐熱性が低下する傾向がある。
【0043】
官能基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴムとしては、カルボキシル基等の官能基を付加したアクリロニトリル−ブタジエンゴムが挙げられ、タック性の低減や、硬化後の接着剤の可撓性の付与等を目的として混合することができる。このような官能基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴムは、市場で容易に入手することができる。例えばPNR−1(日本合成ゴム(株)製)、ニポール1072(日本ゼオン(株)製)等がある。
このような官能基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴムの配合量は、エポキシ樹脂および硬化剤の総量を100重量部とした場合に、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下とされる。混合量が多すぎる場合には耐熱性やPCT処理後の接着性が低下する傾向がある。
【0044】
無機フィラーは、熱伝導性、難燃性、チキソトロピー性等を付与する目的で混合することができる。
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、炭化ケイ素等が挙げられる。
【0045】
熱伝導性をよくするためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素などが特に好ましい。
この内、アルミナは放熱性がよく、耐熱性、絶縁性が良好な点で好適である。また、結晶性シリカまたは非晶性シリカは、放熱性の点ではアルミナより劣るが、イオン性不純物が少ないため、PCT処理後の絶縁性が高く、銅箔、アルミ線、アルミ板等の腐食が少ない点で好適である。
また、難燃性を与えるためには、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アンチモン酸化物等が好ましい。
【0046】
さらに、チキソトロピー性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。
これらの無機フィラーはエポキシ樹脂および硬化剤の総量の100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは60重量部以下とされる。混合量が多すぎる場合には、接着剤の貯蔵弾性率の上昇、接着性の低下などを起こす傾向がある。
【0047】
本発明の接着剤組成物は以下のような特長を有する。
1)未反応のエポキシ樹脂成分が適度に残存していることにより、圧力がかかった場合、ゲル中より未反応成分が浸み出すため、多量の高分子量成分やフィラーを多量に含む場合でも接着性が良好である。
2)分子内に2個以上のフェノール性水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物とエポキシ樹脂との硬化反応が比較的高温で開始するため、接着剤及び接着フィルムの室温における保存安定性(ライフ)が良好である。
3)本発明における官能基を有するアクリル共重合体を使用することにより、接着剤の低弾性率化を図ることができ、かつPCT処理後の接着性や耐電食性を付与することができる。
4)アクリル共重合体等の高分子量成分がゲル化しているため、エポキシ樹脂の未反応成分が多数残存している場合に圧力をかけたとしても、未反応成分が極端に流動して多量の浸み出しを発生して接続端子を覆う等の不良が発生しない。
5)上記の効果に加えて、接着剤に熱伝導性や難燃性等を付与できる。
本発明になる接着フィルムを所定の配線と外部接続用端子が形成されている有機系支持基板に接着して半導体チップ搭載用基板とされ、これを用いて半導体装置が製造される。
【0048】
【実施例】
<実施例1>
以下に示す接着剤組成物より接着フィルムを作製した。エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量200、油化シェルエポキシ(株)製商品名、エピコート828を使用)45重量部とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量220、住友化学工業(株)製商品名、ESCN001を使用)15重量部、エポキシ樹脂の硬化剤として4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸40重量部、アクリル系共重合体としてエポキシ基含有アクリルゴム(重量平均分子量800,000、帝国化学産業株式会社製商品名、HTR−860P−3を使用)200重量部、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(四国化成工業(株)製商品名、キュアゾール2PZ−CNを使用)0.5重量部、カップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製商品名、NUC A−189を使用)2.5重量部、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製商品名、NUC A−1160を使用)2.5重量部からなる組成物に、メチルエチルケトン1200重量部を加えて撹拌混合し、真空脱気した。得られたワニスを、基材として厚さ50μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、120℃で10分間乾燥して膜厚が75μmのBステージ状態の接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着剤の硬化度は、DSC(デュポン社製商品名・912型DSC)を用いて測定(昇温速度、10℃/分)した結果、硬化度は全硬化発熱量の16%の発熱を終えた状態であった。
【0049】
<実施例2>
硬化剤を4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸に変更した以外は、実施例1と同様の方法で接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着剤の硬化度は、DSCを用いて測定した結果、硬化度は全硬化発熱量の13%の発熱を終えた状態であった。
【0050】
<実施例3>
硬化剤を4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸25重量部及びビスフェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業製のLF2882を使用)15重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着剤の硬化度は、DSCを用いて測定した結果、硬化度は全硬化発熱量の20%の発熱を終えた状態であった。
【0051】
<実施例4>
硬化促進剤を用いない以外は、実施例1と同様の方法で接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着剤の硬化度は、DSCを用いて測定した結果、硬化度は全硬化発熱量の10%の発熱を終えた状態であった。
【0052】
<比較例1>
硬化剤をビスフェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業製のLF2882を使用)25重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着剤の硬化度は、DSCを用いて測定した結果、硬化度は全硬化発熱量の30%の発熱を終えた状態であった。
【0053】
<比較例2>
硬化剤をビスフェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業製のLF2882を使用)25重量部に変更し、さらに硬化促進剤を用いない以外は、実施例1と同様の方法で接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着剤の硬化度は、DSCを用いて測定した結果、硬化度は全硬化発熱量の5%の発熱を終えた状態であった。
以上の配合を表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
得られた接着フィルムを用いて、流れ性及び接着強度(引き剥し強度)の経時変化を評価した。
流れ性は、一定サイズで切り出した接着剤をスライドグラス上に接着剤層を貼り付けた評価用サンプルをテスター産業株式会社作製の熱圧着機で、金型温度160℃(両面)、圧力2MPa、圧着時間18秒の条件で熱圧着させた際、従来のサイズからどの程度接着剤が流れ出たかを測定し、ワニス作製直後に塗工した接着剤の流れ性を100とし、25℃保存下での7日後、30日後、60日後、90日後の流れ性を測定した。流れ性が80〜120の範囲内にあるものを○、それ以上に変動しているものを×とした。
【0056】
引き剥がし強度は同じ熱圧着機を用い、ガラス板とポリイミド(宇部興産株式会社製 ユーピレックス50S)の間に接着剤を挟み、金型温度160℃(両面)、圧力2MPa、圧着時間18秒の条件で熱圧着させた後、170℃の条件下に1時間放置し硬化反応を終了させ、テスター産業株式会社製90度ピール強度測定機を用いて、ポリイミドフィルムの引き剥がし強度を測定し、接着剤製造時の異なる3サンプルの平均値が200g/cm未満のものを×、200〜500g/cmの範囲内のものを△、500g/cm以上のものを○とした。さらに、25℃保存下での7日後、30日後、60日後及び90日後の引き剥がし強度を測定し、数値により上記と同様の判定を行った。
これらの結果を表2に示した。
【0057】
【表2】
【0058】
<実施例5>
実施例1〜4の接着剤組成物を、基材として厚さ25μmのポリイミドフィルム(宇部興産性のユーピレックスSGA−25を使用)の両面に温度85℃、圧力2.5MPa、ラミネート速度1.0m/分の条件でホットロールラミネーターを用いて貼り付け、ポリイミドフィルムの両面に接着剤層を備えた接着フィルムを作製した。
得られた接着フィルムを25℃保存下での7日、30日、60日及び90日放置したものを用いて、図2に示すような半導体チップと75μmのポリイミドフィルムを基材に用いた配線基板を接着剤で貼り合わせた半導体装置サンプル(片面にはんだボールを形成)を作製し、耐熱性及び耐湿性を評価した。
図2はその断面図を示し、図2において、3は配線、4は半導体配線基板、5は半導体チップ、6は半導体チップ接続部材、7は封止材、8ははんだボールである。
【0059】
耐熱性の評価方法には、耐リフロークラック性と温度サイクル試験を適用した。耐リフロークラック性の評価はサンプル表面が240℃でこの温度を20秒間保持するように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通し、室温で放置することにより冷却する処理を2回繰り返したサンプル中のクラックを観察することにより行った。クラックの発生していないものを○とし、発生したものを×とした。
温度サイクル試験はサンプルを−55℃雰囲気に30分間放置し、その後120℃の雰囲気に30分放置する工程を1サイクルとして測定し、500サイクルまでに破壊が生じなかったものを○で示した。
また、耐湿性評価は、プレッシャークッカー試験機中で96時間処理(121℃、2気圧、PCT処理)後接着部材の剥離を観察することにより行った。接着部材の剥離の認められなかったものを○とし、剥離のあったものを×とした。
【0060】
<比較例3>
比較例1および2の接着剤組成物を用いて、実施例5と同様にポリイミドフィルムの両面に接着剤層を備えた接着フィルムを作製し、実施例5と同様に25℃保存下での7日、30日、60日及び90日放置したものを用いて、耐熱性と耐湿性の評価を行った。以上の結果を表3に示した。
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】
本発明の接着剤組成物、これを用いた接着フィルム、この接着フィルムを用いた半導体チップ搭載用基板及び半導体装置は、室温付近での弾性率が低いために、半導体装置において、半導体チップと配線基板との熱膨張率差から加熱冷却時に発生する熱応力を緩和させることができる。そのため、リフロー時のクラックの発生が認められず、耐熱性に優れている。またエポキシ基含有アクリル系共重合体を低弾性率成分として含んでおり、耐湿性、特にPCT処理等厳しい条件下で耐湿試験を行った場合の劣化が少なく優れた特長を有する接着剤組成物、接着フィルム、半導体チップ搭載用基板及びこれを用いた半導体装置を提供することができる。さらに本発明の接着剤組成物、及びこれを用いた接着フィルムは、保存安定性が良好であるために、長期間保存した後でも、配線基板に対する貼り付け性やチップとの接着性が低下することがなく、パッケージの信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる基材の両面に接着剤層を備えた接着フィルムの断面図。
【図2】本発明になる基材の両面に接着剤を備えた接着フィルムを用いた半導体装置の断面図。
【符号の説明】
1 接着剤
2 基材
3 配線
4 半導体配線基板
5 半導体チップ
6 半導体チップ接続部材
7 封止材
8 はんだボール
Claims (8)
- さらに(4)硬化促進剤0.01〜10重量部を配合した請求項1に記載の接着剤組成物。
- さらに(5)カップリング剤0.01〜10重量部を配合した請求項1または2に記載の接着剤組成物。
- さらに(6)イオン捕捉剤0.01〜10重量部を配合した請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- さらに(7)溶剤を配合した請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤組成物をフィルム化した接着フィルム。
- 請求項6記載の接着フィルムを接着してなる半導体チップ搭載用基板。
- 請求項6に記載の接着フィルムを用いて製造される半導体装置。
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