JP2009011229A - 酸性濃厚流動食用ゲル化剤、及び該ゲル化剤を用いて調製された酸性ゲル状濃厚流動食 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸性濃厚流動食用ゲル化剤として、脱アシル型ジェランガム、グルコマンナン及び/又はグァーガムを併用する。
【選択図】図2
Description
項1.脱アシル型ジェランガム、及びグルコマンナン及び/又はグァーガムを含有することを特徴とする酸性濃厚流動食用ゲル化剤。
項2.以下の条件を満たす濃厚流動食に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤;
タンパク質 3〜12質量%、
脂質 2〜10質量%、
糖質 10〜30質量%、
pH3〜4。
項3.脱アシル型ジェランガム1質量部に対し、グルコマンナン及び/又はグァーガムを1〜30質量部含有することを特徴とする、項1又は2に記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤。
項4.酸性濃厚流動食が経管投与に用いられることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤。
項5.項1〜4のいずれかに記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤を添加することにより調製された酸性ゲル状濃厚流動食。
本発明の酸性濃厚流動食を構成するタンパク質としては、従来から食品に汎用されているものであれば特に限定されず、各種タンパク質を用いることができる。具体的には、脱脂粉乳、脱脂豆乳粉末、カゼイン、ホエイタンパク質、全乳タンパク質及び大豆タンパク質、小麦タンパク質、上記タンパク質の塩類分解物等が挙げられる。係るタンパク質、特に乳タンパク質は酸性条件下で著しく凝集する傾向を示す。しかし、本発明に係るゲル化剤を用いた場合は、乳タンパク質を含有する場合においても、タンパク質の凝集や沈殿が抑制され、滑らかな食感で付着性の小さい酸性ゲル状濃厚流動食を提供できる。本発明の対象である酸性濃厚流動食中のタンパク質の含有量としては、1〜20質量%、好ましくは3〜12質量%である。
本発明の酸性濃厚流動食を構成する脂質は、一般に食用として利用されている脂質であれば特に限定されず、各種脂質を用いることができる。具体的には、大豆油、綿実油、サフラワー油、コーン油、米油、ヤシ油、シソ油、ゴマ油、アマニ油等の植物油や、イワシ油、タラ肝油等の魚油、ガマ油等の、必須脂肪酸源としての長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)を挙げることができる。また、該脂質成分は、好ましくは通常炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)であることもできる。長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)に代わり、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を用いることによって、経口、経腸投与後の脂質の吸収性を高めることが可能であるが、MCTを用いることによって濃厚流動食の付着性が大きくなったり、固形物が沈殿する傾向がみられる。しかし、本発明に係るゲル化剤を用いた場合は、MCTを含有する場合においても、脂質の分離や固形物の沈殿を抑制し、更に付着性の小さい酸性ゲル状濃厚流動食を提供できる。本発明の対象である酸性濃厚流動食中の脂質の含有量としては、1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%である。
本発明の酸性濃厚流動食を構成する糖質は、一般に食用として利用されている糖質であれば特に限定されず、各種糖質を用いることができる。具体的には、グルコース、フラクトース等の単糖類、マルトース、蔗糖等の二糖類等の通常の各種の糖類や、キシリトール、ソルビトール、グリセリン、エリスリトール等の糖アルコール類、デキストリン、シクロデキストリン等の多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラクトスクロース等のオリゴ糖類等が挙げられ、好ましくは、デキストリンを用いることができる。味覚に与える影響が糖質の中では低いためである。本発明の対象である酸性濃厚流動食中の糖質の含有量としては、5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%である。ここで、糖質の含有量が50質量%より高くなると、味や浸透圧に与える影響が大きくなり、また、粘度調製が難しくなるといった問題がある。
(1)咀嚼・嚥下困難者の経口摂取が可能となる。なお、咀嚼・嚥下困難者用ゲル状食品に適した物性として、前述のとおり、1)適度なかたさを有すること、2)食塊形成性(口中での食品のまとまりやすさ)に優れること、3)口腔及び咽頭への付着性が少ないこと、及び4)保水性が高いこと(離水が少ないこと)などが挙げられる。ゲル状濃厚流動食のゲル強度としては、20℃におけるゲル強度が5×102〜5×105N/m2、好ましくは5×102〜5×104N/m2、更に好ましくは5×102〜1×104N/m2であることが挙げられる。この場合のゲル強度とは、厚生労働省特別用途食品「高齢者用食品」のかたさの測定方法で測定したときの圧縮応力をいう。なお、本発明においてゲル強度の測定は、テクスチャーアナライザー(TA−XT2i,Stable Micro Systems社)を用い、プランジャー:直径20mmの円柱形、圧縮速度:10mm/秒、クリアランス:5mmで行った。本発明のゲル化剤は、タンパク質、脂質及び糖質を複合的に含有し、安定的にゲルを形成しにくい酸性濃厚流動食であっても良好なゲル化性を示すため、品質の安定化が図れる。
(酸性濃厚流動食用ゲル化剤の調製)
下記、表1に示す処方に従い、各組成物を粉体混合し、実施例1〜4及び比較例1の酸性濃厚流動食用ゲル化剤を調製した。
下記、表2に記す添加量に従い、イオン交換水及びヤシ油を混合した溶液に、乳タンパク質濃縮物(MPC)、デキストリン、カゼインナトリウム、乳化剤(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 ホモゲン※No.897:グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル含有製剤)、食物繊維(グァーガム分解物)を加え80℃で10分間加熱溶解した。この溶液に、別途調製しておいた10%大豆多糖類溶液を10質量部加え、更に混合したのち、酸性メタ燐酸ナトリウムでpH3.8に調整し、全量が50重量部になるようにイオン交換水にて補正した。補正後、均質機(14700kPa=150kgf/cm2)に通し、酸性濃厚流動食用混合液(タンパク質4.4質量%、脂質2.8質量%、糖質14.3質量%)を得た。先に調製しておいた実施例1〜4及び比較例1からなる本発明のゲル化剤を、イオン交換水にて、80℃で10分間加熱溶解し、50重量部に調製した。上記酸性濃厚流動食用混合液と実施例1〜4、比較例1〜2の溶液とを各々混合攪拌した後、85℃で30分間殺菌し、酸性タイプのゲル状濃厚流動食を得た。得られた酸性ゲル状濃厚流動食を、外観、食感、付着性及び総合評価の観点で評価した。評価結果を表3に示す。
外観:タンパク質の凝集、沈殿や脂質の分離が見られず良好な外観を示したものを◎、タンパク質の凝集、沈殿や脂質の分離が顕著に発生したものを×として、◎>○>△>×の4段階で評価した。
食感:滑らかな食感を有するものを◎、ざらつきが感じられるものを×として、◎>○>△>×の4段階で評価した。
喉への付着性:喉への付着性が小さく、飲み込みやすかったものを◎、喉への付着性が大きく粘りがあり、飲み込みにくかったものを×として、◎>○>△>×の4段階で評価した。
総合評価:◎>○>△>×の4段階で評価した。
(酸性濃厚流動食用ゲル化剤の調製)
下記、表4に示す処方に従い、各組成物を粉体混合し、実施例5〜8及び比較例3の酸性濃厚流動食用ゲル化剤を調製した。
下記、表5に記す添加量に従い、イオン交換水及びヤシ油を混合した溶液に、乳タンパク質濃縮物(MPC)、デキストリン、カゼインナトリウム、乳化剤(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 ホモゲン※No.897:グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル含有製剤)、食物繊維(グァーガム分解物)を加え80℃で10分間加熱溶解した。この溶液に、別途調製しておいた10%大豆多糖類溶液を10質量部加え、更に混合したのち、酸性メタ燐酸ナトリウムでpH3.8に調整し、全量が50重量部になるようにイオン交換水にて補正した。補正後、均質機(14700kPa=150kgf/cm2)に通し、酸性濃厚流動食用混合液(タンパク質4.4質量%、脂質2.8質量%、糖質14.3質量%)を得た。先に調製しておいた実施例5〜8及び比較例2からなる本発明のゲル化剤を、イオン交換水にて、80℃で10分間加熱溶解し、50重量部に調製した。上記酸性濃厚流動食用混合液と実施例5〜8、比較例3の溶液とを各々混合攪拌した後、85℃で30分間殺菌し、酸性タイプのゲル状濃厚流動食を得た。
経管投与の際のチューブ流動性、付着性を検討するため、実施例5〜8及び比較例3のゲル化剤を用いて調製した酸性ゲル状濃厚流動食をシリコンチューブ(口径8mm)に注入し、水平状態にチューブをセットし、5mlの空気又はイオン交換水で試料を押し出し残存物を評価した。結果を図1(チューブ中の試料を空気で押し出した場合)及び図2(チューブ中の試料をイオン交換水で押し出した場合)に示す。
Claims (5)
- 脱アシル型ジェランガム、及びグルコマンナン及び/又はグァーガムを含有することを特徴とする酸性濃厚流動食用ゲル化剤。
- 以下の条件を満たす濃厚流動食に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤;
タンパク質 3〜12質量%、
脂質 2〜10質量%、
糖質 10〜30質量%、
pH3〜4。 - 脱アシル型ジェランガム1質量部に対し、グルコマンナン及び/又はグァーガムを1〜30質量部含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤。
- 酸性濃厚流動食が経管投与に用いられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤を添加することにより調製された酸性ゲル状濃厚流動食。
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