JP2009002249A - 内燃機関のスロットル上流圧推定装置 - Google Patents

内燃機関のスロットル上流圧推定装置 Download PDF

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智章 中野
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Abstract

【課題】スロットル上流圧の推定に用いるモデルの適合工数を不要又は削減しながらスロットル上流圧の推定精度を確保する。
【解決手段】吸気圧センサで検出した吸気圧Pm (スロットル下流圧)と前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)との圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値Bよりも大きい非臨界圧領域では、吸気系モデルの式に含まれる2つの項のスロットル上流圧Pthrup(i)のうちの一方を前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)で代用して今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算する。前記圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値B以下の臨界圧領域では、吸気圧Pm と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]をパラメータとする物理値f(Pm /Pthrup(i))を一定値fc と見なして、今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算する。
【選択図】図5

Description

本発明は、吸気系モデルを用いてスロットルバルブの上流側圧力を演算する内燃機関のスロットル上流圧推定装置に関する発明である。
将来、益々厳しくなる排出ガス浄化規制に対応するには、空燃比制御(燃料噴射制御)を高精度化する必要があり、そのためには、エンジンの筒内に充填される空気量(筒内充填空気量)を精度良く演算して、その筒内充填空気量に見合った適正な燃料噴射量を設定する必要がある。
筒内充填空気量の演算精度を高めるには、スロットルバルブの上流側圧力(以下「スロットル上流圧」という)のデータを必要とする。ここで、スロットル上流圧は、自然吸気エンジンでは大気圧に相当するが、過給機付きのエンジンの場合は、過給機の過給圧が発生する運転領域では、過給圧によってスロットル上流圧が大気圧によりも高くなる。
従来より、スロットル上流圧(又は大気圧)を検出する圧力センサを設けたものがあるが、コストアップするという欠点がある。
そこで、過給機付きのエンジンにおいては、特許文献1(特開2006−22763号公報)、特許文献2(特開2006−194107号公報)に記載されているように、過給機のコンプレッサによる過給効果をモデル化したコンプレッサモデル(ターボチャージャモデル)を用いてスロットル上流圧(コンプレッサ下流圧)を演算するようにしたものがある。
特開2006−22763号公報 特開2006−194107号公報
しかし、コンプレッサモデル(ターボチャージャモデル)は、適合対象が多いため、適合工数が多くなるばかりか、個々の適合対象の製造ばらつきの影響が大きく、スロットル上流圧の推定値のばらつきが大きくなるという欠点がある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、スロットル上流圧の推定に用いるモデルの適合工数を不要又は削減しながらスロットル上流圧の推定精度を確保することができる内燃機関のスロットル上流圧推定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の吸気通路に設けられたスロットルバルブの下流側圧力(以下「吸気圧」という)Pm を検出する吸気圧検出手段と、前記スロットルバルブの上流側圧力(以下「スロットル上流圧」という)の変化とスロットル開度の変化が吸気圧Pm の変化を生じさせて実際の筒内充填空気量の変化を生じさせるまでの吸入空気の挙動をモデル化した吸気系モデルの式を用いてスロットル上流圧を演算する処理を所定周期で繰り返すスロットル上流圧推定手段とを備え、前記スロットル上流圧推定手段は、前記吸気系モデルの式に含まれる複数のスロットル上流圧のうちの一部を前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)で代用して今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算するようにしたものである。
本発明は、筒内充填空気量を算出する吸気系モデルを用いてスロットル上流圧を演算することで、新たな適合工数を不要又は削減することを可能にする技術思想である。
但し、筒内充填空気量を算出する吸気系モデルの式には、スロットル上流圧をパラメータとする複数の項が含まれ、特に、吸気圧Pm と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))を算出する関数は複雑であるため、吸気系モデルの式を今回のスロットル上流圧Pthrup(i)に関して解くことは困難である。
そこで、本発明では、吸気系モデルの式に含まれる複数のスロットル上流圧のうちの一部を前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)で代用して今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算するようにしたものである。つまり、図3、図4に示すように、過渡変化時にスロットルバルブの下流側圧力(以下「吸気圧」という)Pm がステップ状に急変しても、その変化に比べればスロットル上流圧の変化は微小であり、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との差は微小であるため、吸気系モデルの式に含まれる複数のスロットル上流圧Pthrup(i)のうちの一部を前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)で代用しても、モデル精度を確保することができる。これにより、筒内充填空気量を算出する吸気系モデルを用いてスロットル上流圧を精度良く演算することが可能となるため、スロットル上流圧Pthrup(i)の推定に用いるモデルの適合工数を不要又は削減しながらスロットル上流圧Pthrup(i)の推定精度を確保することができる。
この場合、請求項2のように、吸気系モデルの式は、次の[数3]式を用いるようにすれば良い。
Figure 2009002249
上記[数3]式において、吸気圧Pm と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))を算出する関数は複雑であるため、まず、上記[数3]式を変形して得られた次の[数4]式により物理値f(Pm /Pthrup(i))を算出する。
Figure 2009002249
物理値f(Pm /Pthrup(i))の算出後、図2(b)に示す物理値f(Pm /Pthrup(i))の逆変換マップf{f(Pm /Pthrup(i))}を用いて、物理値f(Pm /Pthrup(i))の算出値に応じた圧力比[Pm /Pthrup(i)]を算出して、今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を次式により算出するようにすれば良い。
Pthrup(i)=Pm /f{f(Pm /Pthrup(i))}
ところで、図2(a)に示すように、吸気圧Pm と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))は、当該圧力比[Pm /Pthrup(i)]が所定値B以下の領域では、一定値となる。
この特性を考慮して、請求項3のように、吸気圧検出手段で検出した吸気圧Pm と前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)との圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値Bよりも大きい場合に、前記前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)を含む前記[数3]、[数4]式を用いて今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算し、前記圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値B以下の場合には、吸気圧Pm と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))を一定値fc と見なして、次の[数5]式により今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算するようにすれば良い。
Figure 2009002249
このようにすれば、圧力比[Pm /Pthrup(i)]に応じて今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算する2つの式を適切に切り換えることができ、今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を精度良く演算することができる。
また、請求項4のように、前記前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)の初期値として内燃機関の始動直前に前記吸気圧検出手段で検出した吸気圧Pm を用いるようにすると良い。要するに、内燃機関の停止中は、吸気通路内がスロットルバルブの上流側も下流側も大気圧の空気で満たされた状態となっているため、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)の初期値は、大気圧相当値を用いれば良く、また、内燃機関の始動直前に吸気圧検出手段で検出した吸気圧Pm は大気圧相当値であるため、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)の初期値として内燃機関の始動直前の吸気圧Pm を使用できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を過給機付きの内燃機関に適用して具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12(吸気通路)の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14(吸入空気量検出手段)が設けられ、このエアフローメータ14には、吸気温度Tを検出する吸気温度センサ(図示せず)が設けられている。
このエアフローメータ14の下流側には、後述する排気タービン式過給機25のコンプレッサ27と、このコンプレッサ27で加圧された吸入空気を冷却するインタークーラー31が設けられている。このインタークーラー31の下流側には、モータ等によって開度調節されるスロットルバルブ15と、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17には、スロットルバルブ15の下流側圧力(以下「吸気圧」という)Pm を検出する吸気圧センサ18(吸気圧検出手段)が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。
また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ21が取り付けられ、各点火プラグ21の火花放電によって各気筒の混合気に着火される。更に、エンジン11には、吸気バルブ41と排気バルブ42の開閉タイミング(バルブタイミング)VVTをエンジン運転状態に応じて変化させる可変バルブタイミング装置43,44が搭載されている。尚、吸気側の可変バルブタイミング装置43のみを設け、排気側の可変バルブタイミング装置44を省略した構成としても良く、勿論、吸排気両側の可変バルブタイミング装置43,44を省略した構成としても良い。
一方、エンジン11の排気管22(排気通路)には、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサ24が設けられ、この空燃比センサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒23が設けられている。
このエンジン11には、排気タービン式の過給機25が搭載されている。この過給機25は、排気管22のうちの空燃比センサ24と触媒23との間に排気タービン26が配置され、吸気管12のうちのエアフローメータ14とスロットルバルブ15との間にコンプレッサ27が配置されている。過給機25は、排気タービン26とコンプレッサ27とが連結され、排出ガスの運動エネルギーで排気タービン26を回転駆動することでコンプレッサ27を回転駆動して吸入空気を過給するようになっている。
更に、吸気管12には、スロットルバルブ15の上流側においてコンプレッサ27の上流側と下流側とをバイパスさせる吸気バイパス通路28が設けられ、この吸気バイパス通路28の途中に、吸気バイパス通路28を開閉するエアバイパスバルブ(以下「ABV」と表記する)29が設けられている。このABV29は、ABV用バキュームスイッチングバルブ30を制御することでABV29の開閉動作が制御されるようになっている。
一方、排気管22には、排気タービン26の上流側と下流側とをバイパスさせる排気バイパス通路32が設けられ、この排気バイパス通路32の途中に、排気バイパス通路32を開閉するウェイストゲートバルブ(以下「WGV」と表記する)33が設けられている。このWGV33は、WGV用バキュームスイッチングバルブ34を制御してダイヤフラム式のアクチュエータ35を制御することでWGV33の開度が制御されるようになっている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温Thwを検出する冷却水温センサ36や、エンジン11のクランク軸が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ37が取り付けられている。このクランク角センサ37の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度Ne が検出される。
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)38に入力される。このECU38は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御ルーチンを実行することで、燃料噴射量や点火時期を制御すると共に、WGV33の開度を制御して排気タービン26に供給する排出ガス量を制御することで、排気タービン26とコンプレッサ27の回転を制御して過給圧を制御する。
更に、ECU38は、スロットルバルブ15の上流側圧力(以下「スロットル上流圧」という)の変化とスロットル開度の変化が吸気圧Pm の変化を生じさせて実際の筒内充填空気量の変化を生じさせるまでの吸入空気の挙動をモデル化した吸気系モデルの式を用いてスロットル上流圧を演算する処理を所定周期で繰り返すスロットル上流圧推定手段として機能する。
一般に、筒内充填空気量を算出する吸気系モデルのうち、スロットル通過空気量を算出する式は、次式で表される。
Figure 2009002249
ここで、吸気圧Pm とスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))は、当該圧力比[Pm /Pthrup(i)]に応じて次の(3)式と(4)式のいずれかが選択される。
Figure 2009002249
ところで、前記[数6]式で表される吸気系モデルの式には、スロットル上流圧Pthrup(i)をパラメータとする2つの項が含まれ、特に、圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))を算出する関数[数7]は複雑であるため、吸気系モデルの式をスロットル上流圧Pthrup(i)に関して解くことは困難である。
そこで、本実施例では、吸気系モデルの式に含まれる2つの項のスロットル上流圧Pthrup(i)のうちの一方を前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)で代用して今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算するようにしている。つまり、図3、図4に示すように、過渡変化時に、スロットル下流圧である吸気圧Pm がステップ状に急変しても、その変化に比べればスロットル上流圧の変化は微小であり、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との差は微小であるため、吸気系モデルの式に含まれる2つの項のスロットル上流圧Pthrup(i)のうちの一方を前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)で代用しても、モデル精度を確保することができる。
この場合、スロットル上流圧Pthrup(i)を演算するのに用いる吸気系モデルの式は、次の[数8]式を用いる。
Figure 2009002249
上記[数8]式において、吸気圧Pm と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))を算出する関数[数7]は複雑であるため、まず、上記[数8]式を変形して得られた次の[数9]式により物理値f(Pm /Pthrup(i))を算出する。
Figure 2009002249
物理値f(Pm /Pthrup(i))の算出後、図2(b)に示す物理値f(Pm /Pthrup(i))の逆変換マップf{f(Pm /Pthrup(i))}を用いて、物理値f(Pm /Pthrup(i))の算出値に応じた圧力比[Pm /Pthrup(i)]を算出して、今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を次式により算出する。
Pthrup(i)=Pm /f{f(Pm /Pthrup(i))}
ところで、図2(a)に示すように、圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))は、当該圧力比[Pm /Pthrup(i)]が所定値B以下の領域では、一定値fc となる。
以下、物理値f(Pm /Pthrup(i))が一定値fc となる圧力比[Pm /Pthrup(i)]が所定値B以下の領域を「臨界圧領域」と呼び、所定値Bよりも大きい領域を「非臨界圧領域」と呼ぶ。所定値Bは、次式で表される。
Figure 2009002249
このような物理値f(Pm /Pthrup(i))の特性を考慮して、吸気圧センサ18で検出した吸気圧Pm と前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)との圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値Bよりも大きい非臨界圧領域では、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)を含む前記[数8]、[数9]式を用いて今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算する。
一方、前記圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値B以下の臨界圧領域では、吸気圧Pm と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))を一定値fc と見なして、今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を次の[数11]式により演算する。
Figure 2009002249
このようにすれば、圧力比[Pm /Pthrup(i)]に応じて今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算する2つの式を適切に切り換えることができ、今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を精度良く演算することができる。
また、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)の初期値としてエンジン始動直前に吸気圧センサ18で検出した吸気圧Pm を用いる。要するに、エンジン停止中は、吸気通路内がスロットルバルブ15の上流側も下流側も大気圧の空気で満たされた状態となっているため、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)の初期値は、大気圧相当値を用いれば良く、また、エンジン始動直前に吸気圧センサ18で検出した吸気圧Pm は大気圧相当値であるため、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)の初期値としてエンジン始動直前の吸気圧Pm を使用できる。
以上説明したスロットル上流圧Pthrup(i)を演算は、ECU38によって図5乃至図11の各ルーチンに従って実行される。以下、これら各ルーチンの処理内容を説明する。
[スロットル上流圧推定演算メインルーチン]
図5のスロットル上流圧推定演算メインルーチンは、ECU38の電源オン中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいうスロットル上流圧推定手段として機能する。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、吸気圧センサ18で検出した吸気圧Pm 、吸気温度T、エンジン回転速度Ne 、バルブタイミングVVT、冷却水温Thw等が読み込まれる。
この後、ステップ102に進み、吸気圧Pm と前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)との圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値B以下となる臨界圧領域[図2(a)参照]であるか否かを判定する。この際、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)の初期値は、エンジン始動直前に吸気圧センサ18で検出した吸気圧Pm が用いられる。
上記ステップ102で、臨界圧領域(Pm /Pthrup(i-1)≦B)と判定されれば、ステップ103に進み、後述する図6の臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチンを実行し、非臨界圧領域(Pm /Pthrup(i-1)>B)と判定されれば、ステップ104に進み、後述する図7の非臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチンを実行する。
[臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチン]
図6の臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチンは、図5のスロットル上流圧推定演算メインルーチンのステップ103で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、後述する図8の吸気圧に基づくスロットル通過空気量演算ルーチンを実行して、吸気圧センサ18で検出した吸気圧Pm に基づいてスロットル通過空気量Qinを演算する。
この後、ステップ202に進み、後述する図10の臨界圧領域でのf(Pm /Pthrup(i-1))演算ルーチンを実行して、臨界圧領域における物理値f(Pm /Pthrup(i-1))を演算する。この臨界圧領域における物理値f(Pm /Pthrup(i-1))は、一定値fc となる。この後、ステップ203に進み、後述する図11のスロットル流量パラメータμ・A演算ルーチンを実行することで、スロットル流量パラメータμ・Aを演算する。
この後、ステップ204に進み、臨界圧領域における物理値f(Pm /Pthrup(i-1))を用いて、今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を次式により演算する。
Figure 2009002249
[非臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチン]
図7の非臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチンは、図5のスロットル上流圧推定演算メインルーチンのステップ104で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、後述する図8の吸気圧に基づくスロットル通過空気量演算ルーチンを実行して、吸気圧センサ18で検出した吸気圧Pm に基づいてスロットル通過空気量Qinを演算する。
この後、ステップ302に進み、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)を用いて圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))を次式により算出する。
Figure 2009002249
この後、ステップ303に進み、図2(b)に示す物理値f(Pm /Pthrup(i))の逆変換マップf{f(Pm /Pthrup(i))}を用いて、物理値f(Pm /Pthrup(i))の算出値に応じた圧力比[Pm /Pthrup(i)]を算出して、今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を次式により算出する。
Pthrup(i)=Pm /f{f(Pm /Pthrup(i))}
[吸気圧に基づくスロットル通過空気量演算ルーチン]
図8の吸気圧に基づくスロットル通過空気量演算ルーチンは、図6のステップ201と図7のステップ301で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ401で、吸気圧Pm に基づいてスロットル下流吸気通路内の空気量Qm を次式により演算する。
Qm =Pm ・Vim/(R・T)
ここで、Vimはスロットル下流吸気通路の内容積、Rは気体定数、Tは吸気温度である。
この後、ステップ402に進み、後述する図9の体積効率η演算ルーチンを実行することで、体積効率ηを演算し、次のステップ403で、体積効率ηを用いて、モデル時定数τIMを次式により演算する。
τIM=2・Vim/(Vc ・η・Ne /60)
ここで、Vimはスロットル下流吸気通路の内容積、Vc はシリンダ容積、Ne はエンジン回転速度(rpm)である。
この後、ステップ404に進み、モデル時定数τIMを用いて、吸気圧Pm に基づくスロットル通過空気量Ginを次式により演算する。
Gin={Qm(i)−Qm(i-1)}/Ts +Qm(i-1)/τIM
ここで、Qm(i)は今回のスロットル下流吸気通路内の空気量、Qm(i-1)は前回のスロットル下流吸気通路内の空気量、Ts はサンプリング時間である。
[体積効率η演算ルーチン]
図9の体積効率η演算ルーチンは、前記図8の吸気圧に基づくスロットル通過空気量演算ルーチンのステップ402で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、ステップ501で、圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]、エンジン回転速度Ne 、バルブタイミングVVTをパラメータとする体積効率マップを検索して、現在のエンジン運転状態に応じた基本体積効率ηr を演算し、この基本体積効率ηr を冷却水温Thwに応じた補正値で補正して体積効率ηを求める。
[臨界圧領域でのf(Pm /Pthrup(i-1))演算ルーチン]
図10の臨界圧領域でのf(Pm /Pthrup(i-1))演算ルーチンは、図6の臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチンのステップ202で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ601で、臨界圧領域における物理値f(Pm /Pthrup(i-1))を次式により演算する。
Figure 2009002249
この場合、臨界圧領域における物理値f(Pm /Pthrup(i-1))は、一定値fc となるため、予め上式により算出した一定値fc をECU38のROMに記憶しておき、これを読み込むようにしても良い。
[スロットル流量パラメータμ・A演算ルーチン]
図11のスロットル流量パラメータμ・A演算ルーチンは、図6の臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチンのステップ203で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まずステップ701で、現在のスロットル開度θを読み込み、次のステップ702で、スロットル開度θをパラメータとするスロットル流量パラメータμ・Aのマップを検索して、現在のスロットル開度θに応じたスロットル流量パラメータμ・Aを算出する。
尚、現在のスロットル開度θからスロットル開口有効断面積Aを下記の式により算出して、このスロットル開口有効断面積Aと流量係数μとを乗算してスロットル流量パラメータμ・Aを求めるようにしても良い。
A=π・r2 (1−cos2 θ)
ここで、πは円周率、rはスロットルバルブ15の半径[m]である。
以上説明した図5乃至図11の各ルーチンによって推定演算された今回のスロットル上流圧Pthrup(i)は、吸気系モデルを用いて筒内充填空気量を推定する際に用いられる。
以上説明した本実施例では、図3、図4に示すように、過渡変化時に、スロットルバルブ15の下流側圧力である吸気圧Pm がステップ状に急変しても、その変化に比べればスロットル上流圧の変化は微小であり、前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との差は微小であることに着目して、吸気系モデルの式に含まれる2つの項のスロットル上流圧Pthrup(i)のうちの一方を前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)で代用することで、モデル精度を確保しながら、吸気系モデルの式を今回のスロットル上流圧Pthrup(i)に関して解くことを可能としたものである。これにより、筒内充填空気量を算出する吸気系モデルを用いてスロットル上流圧Pthrup(i)を精度良く演算することが可能となるため、スロットル上流圧Pthrup(i)の推定に用いるモデルの適合工数を不要又は削減しながらスロットル上流圧Pthrup(i)の推定精度を確保することができる。
尚、本発明は、過給機付きエンジンに限定されず、過給機を持たない自然吸気エンジンにも適用して実施できる。
本発明の一実施例を示すエンジン制御システム全体の概略構成図である。 (a)は吸気圧Pm とスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))のマップを示す図であり、(b)は物理値f(Pm /Pthrup(i))の逆変換マップf{f(Pm /Pthrup(i))}を示す図である。 全負荷域における過渡変化時の吸気圧Pm (スロットル下流圧)とスロットル上流圧の挙動を示すタイムチャートである。 部分負荷域における過渡変化時の吸気圧Pm (スロットル下流圧)とスロットル上流圧の挙動を示すタイムチャートである。 スロットル上流圧推定演算メインルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 非臨界圧領域でのスロットル上流圧推定演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 吸気圧に基づくスロットル通過空気量演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 体積効率η演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 臨界圧領域でのf(Pm /Pthrup(i-1))演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 スロットル流量パラメータμ・A演算ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管(吸気通路)、14…エアフローメータ(吸入空気量検出手段)、15…スロットルバルブ、18…吸気圧センサ(吸気圧検出手段)、20…燃料噴射弁、21…点火プラグ、22…排気管(排気通路)、24…空燃比センサ、25…過給機、26…排気タービン、27…コンプレッサ、28…吸気バイパス通路、29…ABV(エアバイパスバルブ)、32…排気バイパス通路、33…WGV(ウェイストゲートバルブ)、38…ECU(スロットル上流圧推定手段)

Claims (4)

  1. 内燃機関の吸気通路に設けられたスロットルバルブの下流側圧力(以下「吸気圧」という)Pm を検出する吸気圧検出手段と、
    前記スロットルバルブの上流側圧力(以下「スロットル上流圧」という)の変化とスロットル開度の変化が吸気圧Pm の変化を生じさせて実際の筒内充填空気量の変化を生じさせるまでの吸入空気の挙動をモデル化した吸気系モデルの式を用いてスロットル上流圧を演算する処理を所定周期で繰り返すスロットル上流圧推定手段とを備え、
    前記スロットル上流圧推定手段は、前記吸気系モデルの式に含まれる複数のスロットル上流圧のうちの一部を前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)で代用して今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算することを特徴とする内燃機関のスロットル上流圧推定装置。
  2. 前記吸気系モデルの式は、次の[数1]式で表されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のスロットル上流圧推定装置。
    Figure 2009002249
  3. 前記スロットル上流圧推定手段は、前記吸気圧検出手段で検出した吸気圧Pm と前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)との圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値よりも大きい場合に、前記前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)を用いた前記[数1]式により今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算し、
    前記圧力比[Pm /Pthrup(i-1)]が所定値以下の場合には、吸気圧Pm と今回のスロットル上流圧Pthrup(i)との圧力比[Pm /Pthrup(i)]で決まる物理値f(Pm /Pthrup(i))を一定値fc と見なして、次の[数2]式により今回のスロットル上流圧Pthrup(i)を演算することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のスロットル上流圧推定装置。
    Figure 2009002249
  4. 前記スロットル上流圧推定手段は、前記前回のスロットル上流圧Pthrup(i-1)の初期値として内燃機関の始動直前に前記吸気圧検出手段で検出した吸気圧Pm を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関のスロットル上流圧推定装置。
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