JP2009000173A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートの間に配置される液保持性の吸収体と、を有する吸収性物品であって、前記表面シートは、表面が凹凸形状となるように、凹部と凸部を有し、前記凹部は前記凸部よりも目付が少なく、前記吸収体は、高吸収性樹脂が密集した点在部を有することを特徴とする吸収性物品。
【選択図】図1
Description
そこで、肌と接触する表面シートを凹凸形状に成形し、空気(湿気)の流れ道となり得る隙間を確保した吸収性物品が提案されている。(特許文献1参照)
このような吸収性物品では、湿気(液体)が凹部内をスムーズに通過することが出来ず、使用者の肌と吸収性物品との間に湿気がこもり、ムレを生じさせてしまう。
そこで、本発明は、ムレを生じさせ難い吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
このような吸収性物品によれば、表面シートの凹部により使用者の肌と吸収体とが近付き、また、凹部の目付が低いため、湿気(液体)が吸収体に吸収されやすくなる。更に、高吸収性樹脂により凹部を通過した湿気をより吸収することができる。即ち、上述の吸収性物品はムレが生じ難い吸収性物品である。また、高吸収性樹脂が液体を吸収した際に、互いに結合し合う領域が点在するため、排泄された液体の吸収が阻害されてしまうこと(ブロッキング現象)を防止することができる。即ち、表面シートを乾燥状態に保つことができるため、ムレが生じ難い。他に、表面シートの凸部により使用者の肌と吸収体とが遠ざかり、液体の逆戻りも防止することができる。
このような吸収性物品によれば、高吸収性樹脂が水分を多量に保持し、膨潤した際に、吸収体が厚さ方向に隆起してしまうことを防止できる。
このような吸収性物品によれば、端部に位置する点在部は、中央部に排泄された液体が端部側に移行するまで、湿気吸収の役割を果たすことができるため、凹部を通過する湿気をより吸収することができる。
このような吸収性物品によれば、低密度領域により多量の液体や粘性のある液体を素早く通過させることができ、高密度領域により少量の液体や表面シート内に残留している液体を毛管力により引き込み、液体を吸収体へ移行させることができる。また、セカンドシートの厚さ分だけ、液体の逆戻りを防止することができる一方で、表面シートに凹部が設けられているため、使用者の肌と吸収体とが遠ざかり過ぎてしまうことを防止でき、ムレが生じ難くなる。
このような吸収性物品によれば、表面シートの表面を凹凸形状にし、凹部の目付けを凸部の目付よりも少なくすることができる。
以下、吸収性物品として生理用ナプキンを例に挙げて説明を行う。図1Aは、生理用ナプキン1の上面図であり、図1Bは、生理用ナプキン1の断面図である。本実施形態の生理用ナプキン1(吸収性物品)は、透液性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート5と、表面シート2と裏面シート5との間に配置される液保持性の吸収体4と、表面シート2と吸収体4の間に配置されるセカンドシート3と、幅方向両端側に配置されるサイドシート8とを有する。更に、表面シート2は、表面が凹凸形状となるように、凹部7と凸部6を有する。そして、凹部7は凸部6よりも目付けが少ない。また、吸収体4は、高吸収性樹脂45(SAP)が密集した点在部48を有する。なお、図1Aでは、吸収体4に設けられた点在部48を点線にて仮想的に示している。このような構成である本実施形態の吸収性物品は生理用ナプキンの他にも、ライナーやオムツ等に使用可能である。
図2Aは、不織布10の上面図(表面)であり、図2Bは、不織布10の拡大斜視図である。本実施形態の生理用ナプキン1では、流体fが噴き当てられて、表面が凹凸形状である不織布10を表面シート2に用いる。以下、この不織布10について詳しく説明する。
図3Aは、繊維ウェブ11に流体fが噴き当てられる様子を示す図であり、図3Bは、不織布10の製造装置を示す図である。
また、凹部の目付は、3g/m2以上150g/m2以下(好ましくは5g/m2以上80g/m2以下)とする。
具体的には、凹部7の繊維密度は0.002g/cm3以上0.18g/cm3以下(好ましくは0.005g/cm3以上0.05g/cm3以下)とし、凸部6は、0.005g/cm3以上0.20g/cm3以下(好ましくは0.007g/cm3以上0.07g/cm3以下)とする。
なぜなら、表面シート2の表面上の凹部7により、使用者の肌と表面シートの間の湿気を吸収体4に近付けることができ、且つ、本実施形態の凹部7は凸部よりも目付が低く、繊維による抵抗が少ないため、湿気が吸収体4に吸収され易いからである。
図4Aは、セカンドシート3の斜視図であり、図4Bは、セカンドシート3の断面図である。本実施形態の生理用ナプキン1は、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート3を設けている。表面シート2の平均繊維密度よりもセカンドシート3の平均繊維密度を高くし、セカンドシート3の液引き込み性を表面シート2よりも良くすることで、排泄された液体をスムーズに吸収体4へ移行することができる。
また、セカンドシート3を設けることで、セカンドシート3の厚さの分だけ、吸収体4と使用者の肌とを遠ざけることができるため、リウェットが防止される。しかし、ムレ防止の観点からすると、セカンドシート3を設けることで、吸収体4と使用者の肌とが遠くなるため、湿気が吸収されにくくなってしまう。但し、本実施形態の表面シート2の表面は凹凸形状であり、凹部7により、吸収体4と使用者の肌とが遠ざかり過ぎてしまうことを防止できる。
図6Aは、吸収体4の上面図を示す図である。生理用ナプキン1の外形を点線により仮想的に示している。吸収体4は、吸収体素材43と、それを覆う被覆材により構成される。また、吸収体素材43は、吸収性繊維44と高吸収性樹脂45によって構成される。吸収性繊維44の一例として、パルプ繊維(繊維状に粉砕されたパルプ)を挙げられ、パルプ繊維をシート状に集積して用いる。高吸収性樹脂45の一例として、粒状の高吸収性ポリマー(以下、SAPとする)を挙げられる。なお、本実施形態の吸収体4では、SAPが吸収体素材43中に部分的に密集しており、均等に分散していはいない(詳細は後述)。なお、吸収体素材43中には、パルプ繊維以外に、コットン等のセルロース、レーヨンやフィブリレーヨン等の再生セルロース、アセテートやトリアセテート等の半合成セルロース、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水化学繊維などが含まれていてもよい。
また、吸収体素材43を覆う被覆材は、液透過性を有し、且つ、SAPの粒径より目の細かなシートであり、被覆材の外側にSAPやパルプ繊維が漏れることを防止する機能を有している。被覆材の一例として、ティッシュペーパー等の薄葉紙などが挙げられる。
そして、本実施形態の吸収体4では、被覆材と吸収体素材43を一体化するために、吸収体4の所定の部分が圧搾され、当該部分にエンボスが形成されている。
吸収体4の裏面側(反肌面側)には、裏面シート5がホットメルト系接着剤HMAにて接合されている。また、吸収体4の肌面側には吸収体4の両側部にそれぞれわずかに重なる位置から裏面シート5上にかけて、サイドシート8がホットメルト系接着剤にて接合されている。そして、生理用ナプキン1の外縁部が低い温度にて熱溶着するラウンドシール加工が施され、表面シート2と裏面シート5との間に、セカンドシート3と吸収体4が保持される。
裏面シート5は、液不透過性を有するシート部材である。この裏面シート5は、ポリエチレンやポロプロピレン等の樹脂からなるフィルムシートによって形成されている。そして、裏面シート5は、生理用ナプキン1の反対面側にて吸収体4より十分に広く形成されており、その外縁部は全周において吸収体4の外縁部より外側に位置している。裏面シート5の裏面側には接着剤が設けられ、生理用ナプキン1は、裏面シート5と下着との間に介在された接着剤によって下着の内側に接着される。
また、幅方向における両側には、幅方向外側に延出されたウィング部9が形成されている。ウィング部9は、生理用ナプキン1の着用時、反対面側に折り返された状態で下着に固定される。
本実施形態に係る裏面シートは、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性繊維から形成された液不透過性のシートであるが、熱可塑性かつ液不透過性のシートを含み、薄葉紙や不織布等が積層されたシート部材が用いられることとしてもよい。
サイドシート8は、表面シート2の一部(より正確には表面シート2の幅方向の両端部)と重なったシートであり、生理用ナプキン1の肌面側にて、生理用ナプキン1の幅方向端部に備えられている。このサイドシート8は、合成樹脂繊維で形成されたエアースルー不織布やスパンボンド不織布、スパンボンドメルトブローンスパンボンド層からなる不織布等の適宜な不織布によって形成されている。
図7Aから図7Dは、生理用ナプキン1に排泄される液体50の吸収挙動を示す図である。なお、図は点在部48を有さない膨らみ部41の断面図とする。
前述の実施形態では、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート3を配しているがこれに限らない。例えば、この第2実施形態(不図示)のように、表面が凹凸形状で、凹部が凸部よりも目付が少ない表面シート2と、高吸収性樹脂が密集した点在部を有する吸収体4を有する吸収性物品であれば、表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート3を配さなくとも、ムレを生じさせ難い吸収性物品を提供することができる。
前述の表面シートやセカンドシート(不織布)を実際に製造し、リウェット性の評価を行った。まず、リウェット性の評価方法について説明する。
測定器具として、下記の器具を用いる。
1)人工経血
2)オートビュレット(メトローム社(株)725型)
3)はかり
4)穴あきアクリル板(中央に40mm×10mmの穴、長さ×幅=200mm×100mm、重量125g)
5)アクリル板(おもりの荷重を均等にろ紙に加えるため、長さ×幅=100mm×70mm、重量45g)
6)おもり
7)ストップウォッチ
8)ろ紙(アドバンテック東洋製No.2、長さ×幅=50mm×35mm)
なお、人工経血は、イオン交換水1リットルに対して以下を配合する。(1)グリセリン80g(2)カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)8g(3)塩化ナトリウム(NaCl)10g(4)炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)4g(5)赤色102号8g(6)赤色2号2g(7)黄色5号2g
1)ろ紙10枚の重量を測定する。…A
2)アクリル板の穴の中央と評価対象物(不織布+吸収体)の中央とが重なり合うように、評価対象物の上にアクリル板を載せる。
3)オートビュレットのノズルをアクリル板から10mm上の位置に合わせる。
4)人工経血を滴下する。(速度:95ml/min、滴下量:6ml)
5)人工経血が不織布の表面からハケた直後から1分後に、表面シートの中央に合うようにろ紙10枚を載せ、その上に、掛かる力が合わせて50g/cm2となるようにアクリル板(穴なし)とおもりを重ねる。
6)1分間後、おもり、アクリル板を外し、ろ紙の重量を測定する。…B
測定結果AとBより、リウェット率を算出する。
リウェット率(%)=((B−A)×100)/(滴下量=6ml)
実際に製造した不織布(表面シート、セカンドシート)の製造条件や評価結果等を以下に説明する。図8は、評価に用いた不織布の構成繊維を説明する表である。図8の表に記載するように、比較表面シートa(エアースルー製法により製造された不織布)と、実施表面シートb(前述の図3Aに示す空気流処理により製造された不織布10)と、比較セカンドシートc(エアースルー製法により製造された不織布)と、実施セカンドシートd(前述の図5に製法を示した不織布3´)とを製造した。そして、これら4種類の不織布と吸収体とを組み合わせた評価対象物のリウェット率を測定した。
また、エアースルー製法とは、繊維ウェブを通気性のネットやドラムの上に載置し、熱風を吹き付けることで構成繊維の交点を熱融着させて不織布化する方法である。エアースルー不織布は、表面が略平面であり、不織布の全域において繊維密度が略均一である。
(1)比較例1=比較表面シートa+吸収体
(2)比較例2=比較表面シートa+比較セカンドシートc+吸収体
(3)比較例3=比較表面シートa+実施セカンドシートd+吸収体
(4)実施例1=実施表面シートb+吸収体
(5)実施例2=実施表面シートb+実施セカンドシートd+吸収体
また、比較表面シートaが平面形状であるのに対して、実施表面シートbは凹凸形状である。そのため、実施表面シートbの方が、比較表面シートaに比べて、ろ紙(肌)との接触面積を少なくすることができるため、実施例1の方が比較例1よりもリウェット率が低いといえる。
図10Aは、第3実施形態の表面シート51を示す図である。この表面シート51(不織布)では、幅方向に隣接する凸部6A,6Bの高さが異なっている。このような表面シート51の場合、凸部の数を減らさずに、使用者の肌と表面シート51の接触面積を減少することができる。即ち、この第3実施形態の表面シート51は、強度を大幅に低下させることなく、肌と表面シート51との接触面積を減らすことができる。
なお、このような表面シート51を製造するには、例えば、図3Aに示す、CD方向に並ぶ噴き出し口16の各面積(風量)を変えればよい。
図10Bは、第4実施形態の表面シート52を示す図である。この表面シート52の凹部7には開口部53が設けられている。この開口部53により、凹部7に入り込んだ液体を、前述の表面シート2よりも更に素早く吸収体4(セカンドシート3)へ移行することができる。また、大量の液体や粘性の高い液体も開口部53によりスムーズに吸収体4へ移行することができる。
但し、凹部7に開口部53を設けているため、前述の表面シート2に比べると、強度が低下する。
また、図10Bに示す開口部53は、厚さ方向に貫通した孔となっているが、凹部7に窪みを設けてもよく、この場合にも、液体を素早く吸収体4へ移行することができる。
なお、このような開口部53を有する表面シート52を製造するには、例えば、通気性支持部材12の上に、不通気性の板等をMD方向に一定間隔に配置すればよい(不図示)。不通気性の板上の繊維は他の領域に比べて繊維量が少なくなるため、流体fにより、板上の繊維は全て(又は大部分が)、凸部となる領域に吹き寄せら、開口部53が形成される。
前述の実施形態の表面シート2では、凸部6が幅方向に等間隔で形成されているが、これに限らず、凸部6が異なる間隔ごとに形成されてもよい。
4 吸収体、5 裏面シート、6 凸部、61 中央部、62 側部、
7 凹部、8 サイドシート、9 ウィング部、10 不織布、
11 繊維ウェブ、12 通気性支持部材、13 コンベア、
131 ベルト部、14 噴き当て装置、15 噴き出し部、
16 噴き出し口、17 吸気部、18 ヒータ部、31 高密度領域、
32 低密度領域、33 通気性ネット、35 凸部、36 凹部、
41 膨らみ部、43 吸収体素材、
44 吸収性繊維(パルプ繊維)、45 高吸収性樹脂(SAP)、
46 エンボス加工、47 深溝部、48 点在部、50 液体
51 第3実施形態の表面シート、52 第4実施形態の表面シート、
53 開口部
Claims (5)
- 透液性の表面シートと、
不透液性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートの間に配置される液保持性の吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記表面シートは、表面が凹凸形状となるように、凹部と凸部を有し、前記凹部は前記凸部よりも目付が少なく、
前記吸収体は、高吸収性樹脂が密集した点在部を有することを特徴とする吸収性物品。 - 請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体は吸収性繊維を有し、
前記点在部における前記吸収性繊維の繊維密度は、前記点在部外の前記吸収体における前記吸収性繊維の繊維密度よりも低いことを特徴とする吸収性物品。 - 請求項1または請求項2に記載の吸収性物品であって、
前記吸収体の長手方向における端部は、前記長手方向における前記吸収体の中央部よりも、前記点在部の含有率が高くなっていることを特徴とする吸収性物品。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記吸収体と前記表面シートとの間に、透液性のセカンドシートを有し、
前記セカンドシートは不織布であり、前記不織布における平均繊維密度よりも高い繊維密度である高密度領域と、前記平均繊維密度よりも低い繊維密度である低密度領域を有し、前記高密度領域と前記低密度領域とは前記不織布の厚さ方向における前記表面シート側から前記吸収体側へ連通していることを特徴とする吸収性物品。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記表面シートは、流体を噴き当てられて、表面が凹凸形状となった繊維集合体により形成された不織布であることを特徴とする吸収性物品。
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