図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品1の平面図である。図2は、吸収性物品1を図1中のII−IIの位置にて長手方向(すなわち、図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。図1および図2では、吸収性物品1の個別包装に使用される包装シート51も併せて示す。図2では、吸収性物品1の上下方向の大きさ(すなわち、厚さ)を実際よりも大きく描いている。また、図2では、図の理解を容易にするために、実際には接触している吸収性物品1の構成の一部を、上下方向に離間させて描いている。
吸収性物品1は、着用者からの尿等の液状の排泄物を受ける。吸収性物品1は、例えば、着用者が着用する外装物品(例えば、使い捨ておむつまたは下着)の内側に取り付けられて使用される軽失禁用の吸収パッドである。吸収性物品1は、外装物品の内側に取り付けられて使用される生理用ナプキン等であってもよい。図1では、着用者側の面(以下、「上面」という。)を手前側にして吸収性物品1を描いている。図1に示す例では、吸収性物品1の平面視における形状は、長手方向の長さが幅方向の幅よりも大きい略長円状である。以下の説明では、吸収性物品1の各部位の長手方向の長さを単に「長さ」ともいい、幅方向の幅を単に「幅」ともいう。
図1および図2に示すように、吸収性物品1は、透液性のトップシート21と、撥液性または不透液性のバックシート23と、吸収体22と、一対のサイドシート24とを備える。吸収性物品1のバックシート23には、包装シート51が、粘着材等により着脱可能に取り付けられている。包装シート51の幅は、吸収性物品1の幅よりも大きい。包装シート51の長さは、吸収性物品1の長さと略等しい。
トップシート21は、バックシート23の上側(すなわち、着用者側)に配置される。一対のサイドシート24は、トップシート21の幅方向(すなわち、図1中における左右方向)の両側に配置される。一対のサイドシート24も、バックシート23の上側に配置される。吸収体22は、トップシート21とバックシート23との間に配置されるシート状部材である。図1では、図の理解を容易にするために、吸収体22の輪郭を太い破線にて描く。
バックシート23の幅方向の幅は、トップシート21の幅方向の幅よりも大きい。このため、バックシート23の幅方向の両側の側部231は、トップシート21の幅方向の両側縁から幅方向の外側に延出する。各サイドシート24の幅は、トップシート21から延出するバックシート23の側部231の幅よりも大きい。また、トップシート21の幅は、吸収体22の幅よりも大きい。
一対のサイドシート24は、吸収性物品1の幅方向の両側において、バックシート23の側部231の上面を覆いつつ、トップシート21およびバックシート23に固定される。具体的には、一対のサイドシート24のそれぞれにおいて、幅方向の内側の側部である内側部241が、トップシート21の側部211の上面(すなわち、着用者側の面)に固定される。また、一対のサイドシート24のそれぞれにおいて、幅方向の外側の側部である外側部242は、トップシート21の両側縁から幅方向の外側に延出するバックシート23の側部231の上面(すなわち、着用者側の面)に固定される。
サイドシート24とトップシート21とは、融着により固定される。例えば、サイドシート24とトップシート21とは、加熱を伴うエンボス加工による圧着(すなわち、熱圧着)により固定される。当該エンボス加工が行われる際には、加熱ローラの複数の凸部をサイドシート24の上面(すなわち、着用者側の面)に接触させることが好ましい。また、サイドシート24とトップシート21とは、超音波接合により融着されてもよい。当該超音波接合が行われる場合、超音波ホーンをサイドシート24の上面に接触させることが好ましい。サイドシート24とトップシート21との間には、例えばホットメルト接着剤が介在していてもよい。以下の説明では、一対のサイドシート24のそれぞれとトップシート21とが融着される部位を「融着部27」という。融着部27は、上記以外の様々な方法により形成されてもよい。融着部27の詳細については後述する。
サイドシート24とバックシート23とは、例えば、バックシート23の上面にコーター塗工等により塗布された接着剤(図示省略)により固定される。サイドシート24とバックシート23との固定は、例えば、当該接着剤による接着に加えて(または、当該接着剤による接着に代えて)、熱圧着により実現されてもよい。
吸収性物品1の長手方向の両端部では、トップシート21がバックシート23の上面に固定される。トップシート21とバックシート23との固定は、サイドシート24とバックシート23との固定と同様に、例えば、バックシート23の上面にコーター塗工等により塗布された接着剤により実現される。トップシート21とバックシート23との固定は、例えば、当該接着剤による接着に加えて(または、当該接着剤による接着に代えて)、熱圧着により実現されてもよい。
吸収性物品1では、一対のサイドシート24の間において、トップシート21と吸収体22とが、例えばエンボス加工により互いに固定されてもよい。図1に示す例では、太い長破線にて示す略長円環状の部位にエンボス加工が施され、トップシート21と吸収体22とが互いに固定される。当該エンボス加工が施される部位の形状は、様々に変更されてよい。
トップシート21は、透液性のシート部材である。トップシート21は、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収体22へと移動させる。トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
吸収体22は、トップシート21を透過した水分を吸収して保持する。吸収体22は、例えば、粉砕したパルプ繊維またはセルロース繊維等の親水性繊維の集合体に、高吸収性材料を混合したものである。当該親水性繊維の集合体は、ティッシュペーパーまたは透液性不織布等により包まれてもよい。高吸収性材料としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。吸収体22としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマーを2枚の透液性のシート部材の間に挟んで固定したものが利用されてもよい。
バックシート23は、撥液性または不透液性のシート部材である。バックシート23は、バックシート23に到達した水分が吸収性物品1の外部にしみ出すことを防止する。バックシート23としては、例えば、撥液性または不透液性の不織布やプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。バックシート23に利用される不織布は、例えば、疎水性繊維にて形成されたスパンボンド不織布、メルトブロー不織布またはSMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布であり、必要に応じて撥液処理が施される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
一対のサイドシート24はそれぞれ、例えば、撥液性または不透液性のシート部材である。サイドシート24は、吸収性物品1の側部に到達した排泄物の水分等が、吸収性物品1の外部にしみ出すことを防止する。サイドシート24としては、例えば、撥液性または不透液性の不織布が利用される。サイドシート24に利用される不織布は、例えば、疎水性繊維にて形成されたエアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布またはSMS不織布であり、必要に応じて撥液処理が施される。
図2に示す例では、一対のサイドシート24のそれぞれの内側部241は、1枚の不織布が内側部241の幅方向の内縁にて二つ折りにされた積層構造を有する。例えば、一対のサイドシート24はそれぞれ、目付が20g/m2以上のエアスルー不織布製である。これにより、着用者に接する内側部241が厚くなって柔軟性が向上するため、吸収性物品1の着用感を向上することができる。なお、サイドシート24として、折り重ねられていない1枚の不織布が利用されてもよい。また、サイドシート24として、透液性の不織布や不織布以外のシート部材が利用されてもよい。サイドシート24の目付も様々に変更されてよい。
吸収性物品1では、一対のサイドシート24と平面視にて重なる領域において、長手方向に延びる弾性部材は非存在である。図1および図2に示す例では、各サイドシート24と上下方向に重なる弾性部材は設けられない。
図1に示すように、融着部27は、前方融着部271と、中間融着部272と、後方融着部273とを備える。前方融着部271は、吸収性物品1の長手方向の前方部(すなわち、着用者の股下部の前側に接する部位)に位置する。後方融着部273は、吸収性物品1の長手方向の後方部(すなわち、着用者の股下部の後側に接する部位)に位置する。中間融着部272は、吸収性物品1の長手方向において、前方融着部271と後方融着部273との間に位置する。中間融着部272は、前方融着部271および後方融着部273と長手方向に実質的に連続する。前方融着部271、中間融着部272および後方融着部273において、トップシート21には開口は形成されていない。トップシート21では、例えば、一対のサイドシート24の間において、比較的小さい複数の開口(例えば、ピンエンボス加工による複数の開口)が設けられてもよい。
中間融着部272は、幅方向において、前方融着部271および後方融着部273よりも外側に位置する。換言すれば、中間融着部272の幅方向の内縁は、前方融着部271の幅方向の内縁、および、後方融着部273の幅方向の内縁よりも、幅方向の外側に位置する。
各サイドシート24では、内側部241の内縁と中間融着部272との間の部位は、トップシート21に固定されていない非固定部である。また、上述のように、中間融着部272は、幅方向において、前方融着部271および後方融着部273よりも外側に位置するため、当該非固定部の前側および後側の部位は、トップシート21に固定されている固定部である。着用者に着用された状態の吸収性物品1では、一対のサイドシート24の非固定部が着用者に向かって起立する。これにより、一対の非固定部の間に排泄された排泄物の水分等が、一対の非固定部よりも幅方向の外側へと漏出することを抑制することができる。
また、各サイドシート24では、内側部241の内縁と中間融着部272との間の部位(すなわち、非固定部)において、好ましくは、上述の積層構造のエアスルー不織布の2つの層が非接合である。これにより、非固定部が着用者に向かって起立しやすくなるため、排泄物の水分等が一対の非固定部よりも幅方向の外側へと漏出することを、より一層抑制することができる。さらに、着用者に接する非固定部の柔軟性が向上するため、吸収性物品1の着用感を向上することもできる。なお、上記2つの層は、必要に応じて互いに接合されてもよい。
上述のように、吸収性物品1では、一対のサイドシート24と平面視にて重なる領域において、長手方向に延びる弾性部材は非存在である。このため、弾性部材が収縮して着用者の肌を圧迫することがない。その結果、吸収性物品1の着用感をさらに向上することができる。
中間融着部272は、長手方向に配列される複数の融着要素275を含む。以下の説明では、中間融着部272の融着要素275を「中間融着要素275」という。複数の中間融着要素275は、互いに離間して配置される。複数の中間融着要素275のそれぞれは、例えば幅方向に広がる。換言すれば、各中間融着要素275は、長手方向に平行に延びる直線とは異なる形状を有する。図1に示す例では、各中間融着要素275は、長手方向および幅方向の双方に対して傾斜する方向に延びる略矩形状である。
中間融着要素275の形状は略矩形状には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、各中間融着要素275は、幅方向に広がるとともに長手方向に略平行に延びる矩形状であってもよい。あるいは、各中間融着要素275は、植物の葉または花等の形状を模した図形であってもよい。複数の中間融着要素275は、同形状であってもよく、複数種類の形状を有していてもよい。上述の中間融着部272の幅方向の内縁は、例えば、中間融着部272に含まれる複数の中間融着要素275の幅方向内端を結んだ線である。
中間融着部272の複数の中間融着要素275において、長手方向に隣接する2つの中間融着要素275の長手方向の端部同士は、幅方向に重なる。換言すれば、一の中間融着要素275の長手方向の端部は、長手方向に隣接する他の中間融着要素275の長手方向の端部の左側または右側に隣接して配置される。
前方融着部271は、長手方向に配列される複数の融着要素274を含む。後方融着部273も、長手方向に配列される複数の融着要素276を含む。以下の説明では、前方融着部271の融着要素274および後方融着部273の融着要素276をそれぞれ、「前方融着要素274」および「後方融着要素276」という。複数の前方融着要素274は、互いに離間して配置される。複数の後方融着要素276も、互いに離間して配置される。各前方融着要素274および各後方融着要素276は、例えば幅方向に広がる。図1に示す例では、各前方融着要素274および各後方融着要素276は、長手方向および幅方向の双方に対して傾斜する方向に延びる略矩形状である。
前方融着要素274および後方融着要素276の形状は略矩形状には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、各前方融着要素274および各後方融着要素276は、幅方向に広がるとともに長手方向に略平行に延びる矩形状であってもよい。あるいは、各前方融着要素274および各後方融着要素276は、植物の葉または花等の形状を模した図形であってもよい。複数の前方融着要素274は、同形状であってもよく、複数種類の形状を有していてもよい。複数の後方融着要素276も、同形状であってもよく、複数種類の形状を有していてもよい。上述の前方融着部271の幅方向の内縁は、例えば、複数の前方融着要素274の幅方向内端を結んだ線である。また、上述の後方融着部273の幅方向の内縁は、例えば、複数の後方融着要素276の幅方向内端を結んだ線である。
前方融着部271の複数の前方融着要素274において、長手方向に隣接する2つの前方融着要素274の長手方向の端部同士は、幅方向に重なる。また、後方融着部273の複数の後方融着要素276においても、長手方向に隣接する2つの後方融着要素276の長手方向の端部同士は、幅方向に重なる。
図3は、サイドシート24とトップシート21との中間融着部272近傍を拡大して示す平面図である。図4は、サイドシート24およびトップシート21を図3中のIV−IVの位置にて長手方向に垂直な面で切断した断面図である。図4では、トップシート21の構造の理解を容易とするために、トップシート21の厚さを、サイドシート24に比べて相対的に大きく描いている(後述する図6においても同様)。図4に示す例では、トップシート21の厚さは、トップシート21の全面に亘っておよそ一定である。
トップシート21は、複数の高剥離強度領域213と、複数の低剥離強度領域214とを備える。図3および図4では、トップシート21の複数の高剥離強度領域213に平行斜線を密に付し、複数の低剥離強度領域214に平行斜線を粗に付す。また、幅方向に隣接する高剥離強度領域213と低剥離強度領域214との境界を二点鎖線にて示す。後述する図5および図6においても同様である。
複数の高剥離強度領域213はそれぞれ、長手方向に延びる帯状領域である。複数の高剥離強度領域213は、幅方向に互いに離間して配置される。図3および図4に示す例では、複数の高剥離強度領域213の幅は略同じである。また、複数の高剥離強度領域213はそれぞれ、トップシート21の略全長に亘って連続する。トップシート21の複数の高剥離強度領域213はそれぞれ、中間融着部272における一対のサイドシート24との単位面積あたりの剥離強度が比較的高い。
複数の低剥離強度領域214もそれぞれ、長手方向に延びる帯状領域である。複数の低剥離強度領域214は、複数の高剥離強度領域213と交互に幅方向に配列される。図3および図4に示す例では、複数の低剥離強度領域214の幅は略同じである。また、各低剥離強度領域214の幅は、各高剥離強度領域213の幅よりも小さい。複数の低剥離強度領域214はそれぞれ、トップシート21の略全長に亘って連続する。複数の低剥離強度領域214ではそれぞれ、中間融着部272における一対のサイドシート24との単位面積あたりの剥離強度が、複数の高剥離強度領域213のそれぞれの上記剥離強度よりも低い。
図3および図4に示すように、中間融着部272の幅方向の幅は、低剥離強度領域214の幅方向の幅よりも大きい。このため、中間融着部272は、幅方向に隣接する2つの高剥離強度領域213(具体的には、間に1つの低剥離強度領域214を挟んで幅方向に隣接する2つの高剥離強度領域213)に重なる。換言すれば、吸収性物品1の前方部と後方部との間に位置する中間部では、各サイドシート24が、トップシート21の隣接する2つの高剥離強度領域213に中間融着部272により融着される。これにより、中間融着部272において、サイドシート24の内側部241とトップシート21の側部211とを強固に固定することができる。その結果、一対のサイドシート24とトップシート21との剥離を抑制することができる。
吸収性物品1では、このように、サイドシート24の内側部241とトップシート21の側部211とを強固に固定することができるため、各サイドシート24の内側部241が、目付が20g/m2以上のエアスルー不織布を内側部241の幅方向の内縁にて二つ折りにした積層構造を有する場合であっても(すなわち、内側部241が比較的厚い場合であっても)、サイドシート24とトップシート21との剥離を好適に抑制することができる。
吸収性物品1では、好ましくは、中間融着部272が、幅方向に隣接する当該2つの高剥離強度領域213のそれぞれの幅方向中央と重なる。これにより、中間融着部272におけるサイドシート24と高剥離強度領域213との融着面積を大きくすることができる。その結果、一対のサイドシート24とトップシート21との剥離を、より一層抑制することができる。図3および図4に示す例では、中間融着部272の各中間融着要素275が、幅方向に隣接する当該2つの高剥離強度領域213のそれぞれの幅方向中央と重なる。これにより、一対のサイドシート24とトップシート21との剥離を、さらに抑制することができる。
吸収性物品1では、高剥離強度領域213は、例えば、低剥離強度領域214よりも密度が高い(すなわち、単位体積あたりの重量が大きい)領域である。これにより、トップシート21において、高剥離強度領域213と低剥離強度領域214とを容易に形成することができる。
上述のように、中間融着部272の複数の中間融着要素275において、長手方向に隣接する2つの中間融着要素275の長手方向の端部同士は、幅方向に重なる。すなわち、中間融着部272のうち、少なくとも中間融着要素275の長手方向の端部が位置する部位において、サイドシート24は、幅方向の2ヶ所にてトップシート21に固定される。これにより、一対のサイドシート24をトップシート21に強固に固定することができる。その結果、一対のサイドシート24とトップシート21との剥離を、さらに抑制することができる。
吸収性物品1では、トップシート21の構造は上述の例には限定されず、様々に変更されてよい。図5は、他の好ましいトップシート21aについて、図3と同様に、サイドシート24とトップシート21aとの中間融着部272近傍を拡大して示す平面図である。図6は、サイドシート24およびトップシート21aを図5中のVI−VIの位置にて長手方向に垂直な面で切断した断面図である。
図6に示すように、トップシート21aの厚さは、図4に示すトップシート21のように全面に亘っておよそ一定ではなく、部位によって異なる。具体的には、トップシート21aは、複数の凸部215と、複数の凹部216とを備える。複数の凸部215は、トップシート21aの上面において上方に突出する。複数の凹部216は、複数の凸部215よりも下方(すなわち、吸収性物品1の着用時に複数の凸部215よりも着用者から離れた位置)に位置する。
複数の凸部215はそれぞれ、長手方向に延びる帯状領域である。複数の凸部215は、幅方向に互いに離間して配置される。複数の凹部216もそれぞれ、長手方向に延びる帯状領域である。複数の凹部216は、複数の凸部215と交互に幅方向に配列される。図5および図6に示す例では、複数の凸部215および複数の凹部216はそれぞれ、トップシート21aの略全長に亘って連続する。
図5および図6に示す例では、複数の凸部215の幅は略同じであり、複数の凹部216の幅も略同じである。各凹部216の幅は、各凸部215の幅よりも小さい。各凹部216では、トップシート21aの厚さは、幅方向の全幅に亘っておよそ一定である。また、各凸部215におけるトップシート21aの厚さは、幅方向中央において最も大きく、当該幅方向中央から幅方向にて隣接する凹部216に向かうに従って漸次減少する。換言すれば、凸部215は、幅方向中央に位置する凸部中央部217と、凸部中央部217の幅方向両側に位置する2つの凸部側部218とを備える。凸部中央部217および凸部側部218は、長手方向に延びる帯状領域である。凸部側部218は、幅方向の一方側において凸部中央部217に連続し、幅方向の他方側において凹部216に連続する。
凸部側部218の密度は、凸部中央部217の密度よりも高い。すなわち、凸部側部218は、凸部中央部217よりも密度が高い凸部高密度部である。これにより、凸部側部218では、中間融着部272における一対のサイドシート24との単位面積あたりの剥離強度が、凸部中央部217の上記剥離強度よりも高い。換言すれば、トップシート21aの凸部215では、凸部側部218(すなわち、凸部高密度部)が高剥離強度領域であり、凸部中央部217が低剥離強度領域である。
また、凹部216の密度は、凸部側部218の密度とおよそ同じである。ただし、トップシート21aの凹部216は、凸部215に比べて、トップシート21aとの融着前のサイドシート24と上下方向に離れている。このため、凹部216では、中間融着部272における一対のサイドシート24との単位面積あたりの剥離強度が、凸部側部218の上記剥離強度よりも低い。換言すれば、凹部216は、凸部中央部217と同様に、低剥離強度領域である。
以上に説明したように、トップシート21aは、トップシート21(図3および図4参照)と同様に、幅方向に配列される複数の高剥離強度領域(すなわち、複数の凸部側部218)と、当該複数の高剥離強度領域と交互に幅方向に配列される複数の低剥離強度領域(すなわち、複数の凸部中央部217および複数の凹部216)とを備える。当該複数の高剥離強度領域および複数の低剥離強度領域はそれぞれ、長手方向に延びる帯状領域である。
吸収性物品1では、上記と同様に、一対のサイドシート24のそれぞれとトップシート21aとの融着部27が、長手方向の前方部に位置する前方融着部271(図1参照)と、長手方向の後方部に位置する後方融着部273(図1参照)と、長手方向において前方融着部271と後方融着部273との間に位置する中間融着部272とを備える。中間融着部272は、幅方向において前方融着部271および後方融着部273よりも外側に位置する(図1参照)。中間融着部272は、それぞれが幅方向に広がるとともに長手方向に配列される複数の中間融着要素275を含む。
図5および図6に示すように、中間融着部272の幅方向の幅は、上述の低剥離強度領域の幅方向の幅(すなわち、凸部中央部217の幅および凹部216の幅)よりも大きい。このため、中間融着部272は、幅方向に隣接する2つの高剥離強度領域(具体的には、間に1つの凹部216を挟んで幅方向に隣接する2つの凸部側部218)に重なる。これにより、上記と同様に、中間融着部272において、サイドシート24の内側部241とトップシート21aの側部211とを強固に固定することができる。その結果、一対のサイドシート24とトップシート21aとの剥離を抑制することができる。中間融着部272は、間に1つの凸部中央部217を挟んで幅方向に隣接する2つの凸部側部218に重なってもよい。この場合であっても、上記と同様に、一対のサイドシート24とトップシート21aとの剥離を抑制することができる。
トップシート21aは、上面において上方に突出する複数の凸部215と、複数の凸部215の間に位置する凹部216とを備える。このため、着用者からの排泄物が、トップシート21a上において凹部216を伝わって比較的迅速に拡散する。これにより、吸収性物品1の広い範囲にて排泄物の水分等を吸収および保持することができる。換言すれば、吸収性物品1を効率良く使用することができる。
また、トップシート21aでは、高剥離強度領域(すなわち、凸部側部218)が凸部215に含まれる。これにより、高剥離強度領域が凹部216に含まれる場合に比べて、サイドシート24とトップシート21aの高剥離強度領域との融着を容易に実現することができる。
上述のように、凸部215は、幅方向中央に位置する凸部中央部217と、凸部中央部217の幅方向両側に位置するとともに凸部中央部217よりも密度が高い2つの凸部高密度部(すなわち、2つの凸部側部218)とを備える。そして、上記高剥離強度領域が、当該凸部高密度部である。これにより、トップシート21aにおいて、高剥離強度領域と低剥離強度領域とを容易に形成することができる。
上述の吸収性物品1では、様々な変更が可能である。
例えば、図3および図4に示すトップシート21では、各低剥離強度領域214の幅は、各高剥離強度領域213の幅と略同じであってもよく、各高剥離強度領域213の幅よりも大きくてもよい。複数の高剥離強度領域213の幅は、互いに異なっていてもよい。また、複数の低剥離強度領域214の幅も、互いに異なっていてもよい。図5および図6に示すトップシート21aにおいても同様である。
図5および図6に示すトップシート21aでは、複数の凸部中央部217の間の部位(すなわち、凸部側部218および凹部216)の密度は凸部中央部217の密度よりも高いが、これらの部位の密度は様々に変更されてよい。例えば、凹部216の密度は、凸部側部218の密度よりも低くてもよく、凸部中央部217の密度以下であってもよい。
また、凸部215では、凸部中央部217の幅方向両側に凸部中央部217よりも密度が高い2つの凸部高密度部が設けられるのであれば、凸部側部218全体の密度が凸部中央部217の密度よりも高い必要はない。例えば、凸部側部218のうち、凸部中央部217に隣接する部位の密度は凸部中央部217の密度よりも高く、凹部216に隣接する部位の密度は凸部中央部217の密度以下であってもよい。
トップシート21aの上面の形状は、図6に示す例には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、トップシート21aの長手方向に垂直な断面では、トップシート21aの上面は、幅方向に延びる略正弦曲線状であってもよい。この場合、当該略正弦曲線状の上面における複数の上端部近傍の部位が上述の複数の凸部215に相当し、複数の下端部近傍の部位が複数の凹部216に相当する。
図3および図4に示すトップシート21では、高剥離強度領域213は、必ずしも低剥離強度領域214よりも密度が高い領域である必要はない。高剥離強度領域213と低剥離強度領域214との剥離強度の差は、例えば、密度以外の様々な構造差、または、水もしくは比熱が小さい油剤の塗工等により実現されてもよい。図5および図6に示すトップシート21aにおいても同様である。
中間融着部272では、各中間融着要素275は、必ずしも、幅方向に隣接する2つの高剥離強度領域213のそれぞれの幅方向中央と重なる必要はなく、例えば、一部の中間融着要素275のみが、幅方向に隣接する2つの高剥離強度領域213のそれぞれの幅方向中央と重なっていてもよい。また、中間融着部272は、幅方向に隣接する2つの高剥離強度領域213に重なるのであれば、必ずしも、当該2つの高剥離強度領域213のそれぞれの幅方向中央と重なる必要はない。
中間融着部272では、長手方向に隣接する2つの中間融着要素275の長手方向の端部同士は、必ずしも幅方向に重なる必要はなく、長手方向に離間してもよい。前方融着部271においても同様に、長手方向に隣接する2つの前方融着要素274の長手方向の端部同士は、長手方向に離間してもよい。後方融着部273においても同様に、長手方向に隣接する2つの後方融着要素276の長手方向の端部同士は、長手方向に離間してもよい。前方融着部271は、必ずしも複数の前方融着要素274を含む必要はなく、例えば、長手方向に沿って連続して延びる1つの帯状領域であってもよい。後方融着部273も同様に、必ずしも複数の後方融着要素276を含む必要はなく、例えば、長手方向に沿って連続して延びる1つの帯状領域であってもよい。
吸収性物品1では、一対のサイドシート24と平面視にて重なる領域に、例えば長手方向に延びる弾性部材が設けられてもよい。この場合、当該弾性部材は、上述の非固定部に設けられることが好ましい。
吸収性物品1の平面視における形状は、様々に変更されてよい。例えば、吸収性物品1の平面視における形状は、長手方向の両端部の幅が長手方向の中央部の幅よりも大きい略砂時計状であってもよい。
吸収性物品1の構造は、軽失禁用パッド以外の様々な用途に利用される吸収性物品(例えば、生理用ナプキン)に採用されてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。