JP2008542470A - ポリオレフィン添加剤組成物のブレンド及び物品 - Google Patents

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Abstract

ポリプロピレンのような透明化ポリオレフィンは重合体製品、容器等を作るのに広く用いられる。この製品は高速製造過程において融解重合体の型又は成形装置への射出によって製造できる。透明化組成物は低い処理温度及び/又は高メルトフローレートを有するポリプロピレン樹脂内で最適透明性及び官能検査の成果を達成できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ジベンジリデンソルビトール(「DBS」)の誘導体である核形成剤を用いる高透明度ポリオレフィンの製造方法に関する。
背景技術
ポリオレフィン物品は融解方法で製造されるので、重合体は結晶化する。結晶はクラスタを構成する傾向がある。DBS−ベースの化合物は重合体に繊維状ネットワークを生じてポリオレフィンの核形成(nucleation)及び透明化(clarification)を向上する。DBS誘導体は、重合体冷却過程でより迅速でより規則的に結晶成長を生じるポリオレフィン再結晶化のための型板として作用する繊維状ネットワークを提供する。
DBS誘導体化合物は、ソルビトール又はキシリトールのような多価アルコールの1モルと芳香族アルデヒドの2モルとの縮合で製造されるのが通常である。この方法の例は、Murai等の米国特許第4,429,140号;Machellの米国特許第4,562,265号;Kobayashi等の米国特許第4,902,807号;及び、Scrivens等の米国特許第5,731,474号に見出すことができる。DBS及びその誘導体化合物ビス−(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール)(3,4-DMDBS、又は単に「DMDBS」)及びこれらの化合物を含むポリオレフィン物品は、米国特許第6,586,007号及び米国特許第5,049,605号にも開示されている。これらの化合物はかなり低いヘイズ(haze)を付与する添加剤として知られている。
ヘイズは物品を通過する光として散乱する透過光の量の測定である。ヘイズは百分率で表される(ASTM法D1003−00)。射出成形ポリプロピレン物品のヘイズが大きくなればなるほど、物品は不透明に見える。低いヘイズは美的観点からだけでなく、実用の観点から多くの用途においても高度に望ましい。例えば、消費者の用途において、蓋を取ることなく食品貯蔵容器の内容が明確に見えることが望ましい。医学プラスティックの用途において、医薬の配布に用いられる注射器の容積を明確に見ることは重要であり得る。このように、ヘイズの低いことは多くの用途において極めて望ましい。
上述した個別の化合物を含む物品の典型的なヘイズ値は、3,4-DMBSについてはおおよそ8%及び未置換DBS(単に「DBS」という)については約20%である。これらの引用したヘイズ値は、約2000ppmの全クラリファイヤ(clarifier)充填を含む50mLのプラークに約230℃で射出成形したときにランダムポリプロピレン共重合体(RCP)でとった。
メルトフローインデックス(MFI)は、メルトフローレート(MFR)としても知られ、グラム/10分で表される、所定の温度における(ポリオレフィン樹脂のような)材料の粘度の測定値である。ASTM−1238−04は、所定の条件下で特定の長さと直径のダイを通して融解樹脂の押出しの速度を定める国際的に既知の基準である。ASTM−D1238−04(手順C)は、半分の高さ、半分の直径ダイを用い高流速ポリオレフィンについて自動時間流速測定を指示する。一般に、所定の温度で材料の粘度が低くなればなるほど、その材料のMFRは高くなる。
改良されたポリオレフィンの方法及び製品について、工業では継続する要望がある。これらの物品の製造において、製造コストはサイクル時間によって大きく影響される。即ち、サイクル時間は完全成形サイクルのための時間間隔、即ち型を閉鎖し、流体プラスチックを注入し、部品を成形し、及び部品を排出するのに必要な時間である。典型的には、サイクル時間は高い処理温度が求められるときには否定的に影響され、冷却時間が長引く結果となり得る。更に、エネルギー消費のコストは高い処理温度を用いると高くなる。従って、短いサイクル時間及び低い処理温度が望ましい。然し、サイクル時間及び処理温度に関する限界は、樹脂、処理条件、及び樹脂内の核形成剤の挙動によって示される。これらの因子は極めて予測しがたいことがある。
DBS誘導体を用いる場合、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(ミリケン社から販売されているMillad(R)3988又は「DMDBS」として市場で知られている)は優れた核形成剤であり、ポリオレフィンにおいてかなり低い水準のヘイズに貢献できる。然し、この化合物はきわめて低い処理温度で望ましくない高レベルのヘイズを示すことも知られている。
Lake等の米国特許第6,586,007号(本出願の共同譲渡人ミリケン社に譲渡)は、表1の比較例16及び17でビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4-DMDBS)及びジベンジリデンソルビトール(DBS)のブレンドの使用を開示している。このブレンドは、4つの加熱帯を通って約230℃で処理されたベース樹脂に用い、次いで220度Cの成形温度に付されことが開示されている。米国特許第6,586,007号1欄、60-67行参照。この特許に報告された結果は、更に詳細に議論するように、本願の図1にグラフ的に示されている。
日本特許出願平6(1994)−93764(1995年10月24日に公開)は、次の化合物A、B及びCの合成法を単一反応系と共に述べている。成分A(非対称):1,3-o-3,4-ジメチルベンジリデン-2,4-o-ベンジリデンソルビトール及び/又は1,3-o-ベンジリデン-2,4-o-3,4-ジメチルベンジリデンソルビトール;成分B:ビス(o-3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール;及び成分C(対称):ジベンジリデンソルビトール。
これらの困難性の多くを避ける、組成物、方法、又は重合体物品製造システムを開発することは極めて望ましい。減少された量の熱エネルギー及び減少された成形サイクル時間で低へイズの物品を製造を容易にする必要性がある。高MFR樹脂は粘稠性が低く、低温で処理できるので、高MFR樹脂に適用するのに有用な組成物も望ましい。物品製造アウトプットの増大をもたらす製品、組成物、又は方法は望ましい。エネルギー消費が少なくかつ高製造効率で、仕上げ重合体製品がヘイズが低度である(即ち、高透明性)ことを提供する核形成剤組成物又は混合物を見出すことは望ましい。
図面の説明
図1は、Lake等(譲受人ミリケン社)の米国特許第6,586,007号の表1(比較例16及び17)のデータからとった、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4-DMDBS)及びジベンジリデンソルビトール(DBS)の既知のブレンドのヘイズ曲線を示す。データ線及び直線の間の陰影領域は、これらの条件で結合に利益のある効果を示す。
図2(本発明との関係で後述する)は、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4-DMDBS)及びジベンジリデンソルビトール(DBS)のブレンドを用いる本発明の一観点における予期されなかった及び優れた結果を示す。点線及び曲線の間の陰影部分は、かなり高いMFR樹脂を用いて低い処理温度及び条件で、このブレンド組合せによって観察される予測されなかった及び大量の相乗作用効果を表す。
従来のDBS/DMDBSブレンドの性能
図1は、Lake等(ミリケン社に譲渡)の米国特許第6,586,007号の表1(比較例16及び17)のデータからとったビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4-DMDBS)及びジベンジリデンソルビトール(DBS)の従来の公表ブレンドのヘイズ曲線を示す。DMDBS及びDBSを一緒にとって(「ブレンド」)約2000ppmの全充填において約220℃の成形温度で樹脂に用いた。用いた樹脂はエチレン含量3%のRCP(ランダム共重合体)であった。この公表された特許における樹脂は、かなり粘稠な樹脂で、約12MFRであった。約220Cの処理温度を用いた。一般に(20MFR以下のような)より粘稠な樹脂を製造操作に適切な樹脂フローにするにはより加熱しなければならない。
データ線と破線の間の領域は、この条件下での組合せの使用における潜在的相乗作用効果を示す。破線は、各添加成分のみを用いたデータ挙動の外挿に基づいて予測することができる予期される(又は「比例する」)結果を示し、及び示されたブレンド組合せの全範囲についての予期されるヘイズ値に近付く結果に連結する。破線「予期」値以下の実際に観察された変移は、組合せを用いた条件での組合せの使用における相乗作用効果の量を表す。220Cにおける純粋100%DMBSはかなり好ましいヘイズ値を有することに留意できる(図1の右側のデータ点を参照)。
相対的「相乗作用因子(synergy factor)」は、図1の斜線部分の面積を計算することによって推定でき、ヘイズ%DMDBS%の単位で表す。この例においては、相対的相乗作用因子(線の間の実際に計算された斜線部分)は、約204ヘイズ%DMDBS%である。この「相乗作用因子」数204は、単独では固有の意義を有しないが、異なる方法の間で相乗作用効果の相対的量を比較する場合に極めて有用であり得る。
発明の詳細説明
ここで、本発明の態様を説明し、1以上の例を次に示す。それぞれの例は本発明の説明のためであって本発明の限界を示すものではない。事実、当業者には本発明の範囲又は精神を外れることなく各種の変形及び変性が可能であることは明らかであろう。
メルトフローインデックス(MFI)は、メルトフローレート(MFR)としても知られ、所定の温度におけるg/10分で表される材料(ポリオレフィン樹脂のような)の粘度の測定である。ASTM1238−04は、所定の条件下で特定の長さ及び直径のダイを通して融解樹脂の押出し速度を測定する国際的に知られた基準である。ASTM−04はここで全ての目的に引用して挿入する。一般に所定の温度における材料の粘度が低くなればなるほど、その材料のMFRは高くなる。高いMFR値は低い粘度を示す。
3,4-DMBSは相対的に高いメルトフローレート(MFR)樹脂を用いるポリオレフィン法のような低温処理用途に広く用いられていないと信じられる。かなり低い処理温度では3,4-DMBSは低くて好ましいレベルのヘイズを提供する能力を失うことが知られているからであり得る。従って、高いMFR処方を用いて低いヘイズを示す高品質のポリオレフィン又はポリプロピレン部品を製造する強いニーズが工業にある。本発明はこのニーズに向けたものである。
本発明の実施において、予期されずかつ相対的に高い相乗作用効果が、1)ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(DMDBS)及び2)ジベンジリデンソルビトール(DBS)の両者を用いるポリオレフィンについて相対的に低い温度で添加ブレンド組成物を使用するときに見出された。この相乗作用効果は、約210℃のような相対的に低い処理又は成形温度で高メルトフロー樹脂を用いるときに特に有用であり利用できる。若干の態様では、本発明は約200℃より高くない処理温度で用い得る。更に他の利用では、処理温度は約190℃より高くない処理温度が望ましい。ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールとジベンジリデンソルビトールの樹脂割合は、若干の用途において約80:20及び10:90の間であり得る。
成形プラスチック部品における好ましくかつ予期できない好ましいヘイズ値は、この核形成剤の組合せについて従来知られていたよりもはるかに低い処理温度(配合温度及び成形温度)を用いて得ることができる。低い処理温度はプラスチック部品の成形においてより少ないエネルギーの利用を可能にする。エネルギーは重合体を配合及び成形温度にもたらすために必要である。低い温度は減少したエネルギーコストをもたらし、大量製造操作に重要であり得る。低温のひとつの利点は、低温を用いてサイクル時間(一のプラスチック部品の成形に必要な時間)が減少できることである。これは単位時間当たり極めて大量の部品の製造を可能にする。
ブレンドしたDBS含有添加剤組成物を含むポリオレフィンは、(a)ポリプロピレン樹脂、該ポリプロピレン樹脂は少なくとも約20のMFR値を有する;(b)ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールを包含する第1コンパウンド;及びジベンジリデンソルビトールを包含する第2コンパウンドを包含する本発明の1の観点で提供される。ポリプロピレン(PP)樹脂は少なくとも約20、及び他の例では少なくとも約30又は40のMFR値を示し得る。他の用途ではPP樹脂のMFR値は、用途に応じて約50以上であり得る。
ポリプロピレン樹脂組成物のヘイズを減少する方法は本発明の実施において可能である。この方法は、ポリプロピレン(PP)樹脂を提供し、及び次いでPP樹脂とビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールを包含する第1化合物及びジベンジリデンソルビトールを包含する第2化合物を一緒にして核形成樹脂を形成する。核形成樹脂は約210度Cより高くない温度で処理する。他の用途では、約190度Cより高くない温度で樹脂を処理する。ポリプロピレン樹脂は、本発明の1の観点において、低MFR(即ち、12MFR)から少なくとも30のMFR値までビスブレーキングされ得る。ビスブレーキング(vis bisbreaking)は、制御されたレオロジー又は重合体の重合体鎖を破断してポリオレフィン樹脂のMFR値を上げる方法である。この鎖破断は融解コンパウンディング中に有機過酸化物で典型的には達成される。然し、ビスブレーキングは高MFR樹脂を得るために常には用いられず、かつ必要とされない。若干の場合には、例えば少なくとも約30のMFRを提供するポリプロピレン(PP)樹脂は反応器中で製造できる。
メルトインデックス(MFI)は、メルトフローレート(MFR)としても知られ、g/10分で表され、所定の温度で(ポリオレフィン樹脂のような)材料の粘度の測定である。ASTM1238−04は所定の条件下で特定の長さと直径のダイを通して融解樹脂の押出し速度を測定する国際的に知られた標準である。ASTM1238−04は全ての目的において引用して挿入する。一般に所定の温度における材料の粘度が低くなればなるほど、その材料のMFRは高くなる。高いMFR値は低粘度を示す。
本発明の一の態様において、添加剤組成物は高メルトフローレートポリオレフィンへの適用に適合する。添加剤は少なくとも2の核形成剤化合物、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、及びジベンジリデンソルビトールの組合せを提供する。ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(DMDBS)の重量パーセントは組合せたDMDBS/DBS全体の約15〜約60パーセントの範囲である。このようなブレンドは高メルトフローレートポリオレフィンのヘイズを減少するのに有用でかつ適している。全体の百分率として第1化合物の重量百分率は、1の特定の用途が用いられると、25パーセントより多く及び50パーセント未満である。
下記はDBS(未置換ジベンジリデンソルビトール)の構造である。
Figure 2008542470
下記はDMDBS(ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールとしても知られる)である。
Figure 2008542470
本発明におけるブレンド性能
図2は、3,4-ジメチルベンジリデン(3,4-DMDBS)及びジベンジリデンソルビトール(DBS)のブレンドが示す本発明の1の態様における予期しないかつ優れた効果を示す。極めて減少したヘイズ値、及び従来知られていない相乗作用を得ることができる。
図2に示されたデータ及び表3は、かなり低い処理温度(約190度Cの配合温度及び約190度Cの成形温度)で操業するときに得られた。樹脂はビスブレーキングして粘度を減少した。グラム/10分で測定して50−60MFRを有した。ブレンドの仕込みは1800ppmであった。従って、樹脂は、図1において上述した通常方法に用いた樹脂より粘稠さが非常に少なかった。本発明は、製品の製造において減少したサイクル時間及び減少したエネルギー消費を容易にする。
観察された相乗作用の量は、このブレンドを用いる先行技術方法に比べると一層重要である。破線と曲った線との間の領域は、この処理温度及び条件において、この組合せで観察された相乗作用の量を示す。この「相乗作用」領域は図2において陰影が付けられている。相乗作用レベルはこのブレンドについて15−60重量%DMDBSで最も明白で、25−50重量%DMDBS(DMDBS/DBS全体の百分率で)に対応する最低ヘイズ値でピークになる。この実質的なヘイズ改良は予測できないもので、かつ重要である。
図2に報告されたデータについての相乗作用因子は806ヘイズ%DMDBS%と計算された。これは、図1において上述した先行技術の通常方法で計算した相乗作用の約4倍の計算された相乗作用を示す(図1の先行技術の通常方法についての204と比較すると本発明の特定の利用では204)。これは、実質的で、予期できない、かつ驚くべき結果である。この相違は、樹脂の配合と押出しにおいて低温を用いた利用におけるこのようなブレンドの使用によると信じられる。これは、優れたヘイズ特性を達成しながらも粘稠性が少ない高MFR樹脂の使用を可能にする。
ポリオレフィン組成物
ポリオレフィン又はポリオレフィン樹脂の語は、少なくとも1のポリオレフィン化合物を含む材料を包含することを意図する。例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、及びそれらの任意のブレンド又は共重合体、組成物において高密度であるか低密度であるかを問わず含み得る。然し、本発明にはポリプロピレンを適用するのが最も有用である。
「高メルトフロー」ポリプロピレン(PP)組成物(樹脂)の典型的定義は、約30より大きいMFRを有するPP樹脂である。高MFR樹脂は相対的に低温で処理することができる。MFR値は、この公表データのために、引用してここに導入する標準ASTM試験D1238を用いて測定できる。
ポリオレフィン樹脂の結晶化度測定
結晶化(crystalization)は、融解ポリオレフィン樹脂から固体物品を形成するのに必要な時間を定めるのに重要である。重合体結晶化温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する。試料(例えば、ポリプロピレン対照試料、又は核形成ポリプロピレン試料)を60度Cから毎分20度C上昇の速度で200度Cまで加熱して融解処方を得ることができる。次いで該処方を200度Cに2分間保持する。このときに、毎分20度Cの割合で60度Cの開始温度に達するまで温度を下げる。重合体結晶化温度は結晶化発熱中にピーク極大として測定する。重合体の結晶化開始温度は結晶化法の開始時の温度であり、DSCソフトウエアを用いて計算できる。ここで分析された試料のヘイズ測定は、2インチ×0.05インチプラークでBYKガードナーヘイズガードプラスのようなヘイズメータを用いてASTMD1003−00によって得られる。
核形成剤は結晶化が起こる温度に影響する。DBSタイプの核形成剤は典型的に溶液から来るときに最も有効でかつ開始結晶化の僅か上の温度で融解重合体に不溶となる。小さいよく分散した核形成剤粒子が融解重合体に不溶になったときに、重合体が冷却するにつれて重合体が結晶化する核形成の場を提供する。核形成剤組成物及び量及び処理条件の間の関係のバランスが、最終重合体に所望のヘイズ特性を達成するのに重要である。本発明はこれらの因子の間に好ましいバランスを達成する。
官能検査
ポリオレフィン物品が望ましくない味及び匂いを与えないこと(良い「官能検査」を示すとして知られる)が望ましい。この特徴は多くの用途、特に食物に接触する用途に用いるのに重要である。工業においては3,4−DMDBSが極めて良好な官能検査特性を有することが広く知られている。ブラインドテースト試験で、本発明の組合せは、ビスブレーキング樹脂を含む各種のMFR樹脂において3,4−DMDBS単独の使用と同等であった。
ビス(o-4-メチルベンジリデン)ソルビトール(MDBS)はポリプロピレン用の他の市販のクラリファイヤ(clarifier)である。これはその官能検査特性が乏しいので、多くの用途、特に食物接触用途には好ましくない。DMBSを含むポリプロピレン部分はポリプロピレン部分と接触する食品に望ましくない味及び匂いを移す。Rekersへの米国特許第5,049,605号はDMDBSが官能検査特性においてMDBSより優れていることを示している。ブラインドテースト試験で、本発明の組合せは12MFRのリアクターグレードポリプロピレン樹脂及び約50-60MFRのビスブレーキングポリプロピレン樹脂の両者において、官能検査でMDBSより優れている。
処理の範囲
広い範囲の条件(温度のような)で処理を行う能力は、ポリオレフィン成形工業において重要である。これは広範囲処理「ウインドウ」として知られている。広い「ウインドウ」は製造を容易にし、かつ一層堅実な最終製品に導き得る。かなり低い処理温度でポリオレフィン製品を製造する能力は製造コストを低下するのに望ましい。
請求した発明は広い処理ウインドウを容易にする。ポリオレフィン処方におけるDBS及び3,4−DMDBSの全濃度は、3,4−DMDBSを単独で用いる場合のポリオレフィン処方内の3,4−DMDBSの典型的濃度と同等である。それぞれ190℃、210℃、及び230℃で射出成形した各種核形成剤組合せのヘイズは、表3及び表4に示されている。これらの測定は、ここに詳細に述べるように調製されかつ配合されたビスブレーキング50−60MFRポリオレフィン処方で得られた。表3における190度C成形温度でのヘイズ値は図2に示されており、ここで議論する。
表4のデータは、約230℃の射出成形温度、両処方についてのヘイズ測定は全クラリファイヤ充填が増大すると減少することを示している。単独クラリファイヤとして3,4−DMDBSを含む最適ヘイズ値が約160ppmの全クラリファイヤ充填で得られた。比較して、DBS及び3,4−DMDBSのブレンドからなるクラリファイヤ混合物を含む試料について全クラリファイヤ充填が増大するとヘイズ測定が減少する。これは、DBS及び3,4−DMDBSの両者を包含するクラリファイヤ混合物は3,4−DMDBS単独と比べると大きいプロセスウインドウを容易にすることを示している。射出成形を190℃で行う場合、3,4−DMDBSのみを含む試料は全クラリファイヤが増大するとヘイズ値を著しく増大する。対照的に、3,4−DMDBS/DBSの混合物はほぼ1800ppmの全濃度で最適ヘイズに達し、ほぼ2200ppmのレベルでかなり一定に止まる。これは、190℃の温度で射出成形する場合、3,4−DMDBS/DBSブレンド混合物が極めて改良された成果を示すことを示している。要約すると、3,4−DMDBSとDBSのブレンドは3,4−DMDBS単独よりはるかに広いプロセスウインドウを有し、望ましい。
製造
本発明は、別個の反応で調製された、2個の別個の生成物である、DBS(MILLAD(R)3905)及び3,4−DMDBS(MILLAD(R)3988)の、重量基準の、所望の混合物を物理的にブレンドすることによる製造環境で作ることができる。従って、これらは独立して添加されるので、互いの相対的量は所望の程度で変化し得る。両化合物は、高純度、及びマスターバッチ処方で、サウスカロライナ、Spatanburgのミリケン社から市場で入手できる。両生成物は所定の利用についてコスト及び透明性要件に適するように適合できる。
例及びデータ
表1: ヘイズとTc試料のためのポリプロピレン組成物及び調製条件
Figure 2008542470
基礎樹脂は、MFRが約12g/10分のランダム共重合体(「RCP」)である。基礎樹脂及び全ての添加剤(表1に示した)を秤量した後、高強度ヘンシェルミキサーで約1分間ブレンドした。次いでL/D比30:1のデルタプラスト25mm単一スクリュー押出機を用いて試料を押出した。押出機の全ての帯域を190℃にセットした。
ペレット化した試料を、表2に示す例についてArburg40トン射出成形機で2”×3”×0.05”プラークに成形した。プラーク厚みはディジタルマイクロメータでチェックした。
表2: 本発明のDBSブレンドの調製
Figure 2008542470
プラークを%ヘイズについて試験し、示した各種成形温度での結果を表3及び表4に示した。
表3: 1800ppm全濃度におけるパーセントヘイズデータ 対 成形温度
Figure 2008542470
Figure 2008542470
表4: パーセントヘイズ 対 変化する充填レベル及び処理温度
Figure 2008542470
Figure 2008542470
本発明のピーク結晶化温度(Tc)を、例番号によって、表5に示す。
表5: 本発明のブレンドのピークTc
Figure 2008542470
この記載は説明的記載のみであり、本発明の広い観点を限定することを意図するものではないことは当業者には理解される。
米国特許第6,586,007号の表1(比較例16及び17)のデータからとった、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4-DMDBS)及びジベンジリデンソルビトール(DBS)の既知のブレンドのヘイズ曲線を示す図。 ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(3,4-DMDBS)及びジベンジリデンソルビトール(DBS)のブレンドを用いる本発明の一観点における予期されなかった及び優れた結果を示す図。

Claims (15)

  1. (a)ポリプロピレン樹脂、該ポリプロピレン樹脂はASTM1238−04で測定して少なくとも約20のMFR値を有する;
    (b)ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールを包含する第1化合物;及び
    (c)ジベンジリデンソルビトールを包含する第2化合物
    を包含するポリオレフィン組成物。
  2. 該MFR値が少なくとも約30である請求項1に記載の組成物。
  3. 該MFR値が少なくとも約50である請求項1に記載の組成物。
  4. ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール対ジベンジリデンソルビトールの割合が約80:20及び10:90の間である請求項1に記載の組成物。
  5. (a)ポリプロピレン樹脂を準備し;
    (b)該ポリプロピレン樹脂をビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールを包含する第1化合物及びジベンジリデンソルビトールを包含する第2化合物を一緒にして核形成化ポリプロピレン樹脂を形成し;
    (c)該核形成化ポリプロピレン組成物を210℃より高くない温度でプラスチック製品を形成する工程を包含する、ポリプロピレン樹脂組成物のヘイズを減少する方法。
  6. 該工程(c)を約200℃より高くない温度で行う請求項5に記載の方法。
  7. 該ポリプロピレン樹脂MFR値が少なくとも約20である請求項5に記載の方法。
  8. 該ポリプロピレン樹脂MFR値が少なくとも約30である請求項5に記載の方法。
  9. 該ポリプロピレン樹脂MFR値が少なくとも約50である請求項5に記載の方法。
  10. (a)ポリプロピレン樹脂を準備し;
    (b)該ポリプロピレン樹脂をビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールを包含する第1化合物及びジベンジリデンソルビトールを包含する第2化合物を一緒にして核形成化ポリプロピレン樹脂を形成し;
    (c)該核形成化ポリプロピレン組成物を190℃より高くない温度で押出し成形及び/又は射出成形してプラスチック製品を形成する工程を包含する、ポリプロピレン樹脂組成物のヘイズを減少する方法。
  11. 高メルトフローレートポリオレフィンへの適用に適した添加剤組成物であって、該添加剤組成物が少なくとも2の核形成剤化合物を包含し、
    (a)ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールを包含する第1化合物;及び
    (b)ジベンジリデンソルビトールを包含する第2化合物;及び
    (c)第1及び第2化合物の両者を一緒にした合計に対する該第1化合物の重量パーセントが約10−80重量%の範囲にあり、該第1及び第2化合物が該高メルトフローレートポリオレフィンのヘイズを減少するに適した、添加剤組成物。
  12. 該第1化合物の重量パーセンテージが、一緒にした(a)及び(b)の両者の合計のパーセンテージとして、25パーセントより多くかつ50パーセントより少ない請求項11に記載の添加剤組成物。
  13. 核形成ポリプロピレン樹脂が
    (a)ポリプロピレン樹脂、該ポリプロピレン樹脂はASTM1238−04で測定して少なくとも約20のMFR値を有する;
    (b)ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールを包含する第1化合物;及び
    (c)ジベンジリデンソルビトールを包含する第2化合物
    から本質的になる、2のDBS含有種をその中に適用した核形成ポリプロピレン樹脂。
  14. (a)ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、
    (b)ジベンジリデンソルビトール、及び
    (c)ビスブレーキング剤
    を包含する組成物。
  15. 更に(d)ASTM−1238−04で測定して少なくとも約20のMFR値を有するポリプロピレン樹脂を包含する請求項14に記載の組成物。
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