JP2008534515A - プロゲステロンの漸減投与を介した中枢神経系損傷の治療の方法 - Google Patents

プロゲステロンの漸減投与を介した中枢神経系損傷の治療の方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、CNSにおける神経損傷を治療または予防する方法を提供する。具体的には、本発明の方法は、CNSに外傷性または虚血性の傷害が起きた後に、治療上有効な量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与し、退薬を回避するために、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の投与を停止する前にその投与を漸減するように投与することを提供する。利用される薬剤の漸減法は、線形漸減法、指数的漸減法、投薬する用量を50%ずつに徐々に減らしていく方法などを含むことができ、または、治療に対する患者の応答を治療に当たっている医師の評価に基づいて決定することが可能である。本発明の漸減投与法は、外傷性または虚血性のCNS傷害を治療するために、治療上有効な量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与するための如何なる治療用プロトコールまたはレジメンとも併用することができる。

Description

(研究または開発の連邦政府による後援)
本発明は、the National Institute of Healthのthe National Institute of Neurological Disorders and Stroke(NINDS)によって与えられた助成金番号R01 N5038664−04およびR01 N5040825−03の下の米国政府支援によって行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
(発明の分野)
本発明は、中枢神経系に対する外傷性または虚血性の傷害を治療する方法に関する。
(発明の背景)
プロゲステロン、その代謝産物、およびその他の性腺ステロイド、例えばエストロゲンおよび場合によってはテストステロンが有効な神経保護薬であるとの実験的証拠が増えてきているが、これらのホルモンが中枢神経系に作用して修復を促す具体的な生理学的機序は完全には理解されていない。また、プロゲステロンは、性腺ホルモンであるだけでなく、神経ステロイドと呼ばれるオートクリン/パラクリンホルモンのファミリーにも属している。神経ステロイドは、内分泌源とは無関係に脳に蓄積し、グリア細胞にあるステロール前駆体から合成することができるステロイドである。これらの神経ステロイドは、GABA伝達を促進し、グルタミン酸塩の作用を調節し、ミエリンの産生を促進し、炎症性サイトカインの発現を低下させ、また、活性化ミクログリアからフリーラジカルが放出されるのを防止することができる。
インビボのデータによって、傷害された神経系におけるプロゲステロンの神経保護効果が実証されている。例えば、打撲傷の後、プロゲステロンによって、外傷後脳浮腫の重篤度が低下する。プロゲステロンによる浮腫の軽減化は、二次ニューロンが死することからニューロンを救うこと、および認知転帰の改善を伴う(非特許文献1)。さらに、ラットでは、虚血性傷害の後、プロゲステロンが、細胞損傷および神経障害を軽減することが示されている(非特許文献2)。プロゲステロンの保護効果は、GABAおよび/またはグルタミン酸エステル受容体との相互作用、ならびに、核内プロゲステロン受容体によって媒介される炎症性サイトカインおよびアクアポリンの発現に対する効果によってもたらされる。
プロゲステロンのさまざまな代謝産物も、神経保護特性を有することが示唆されている。例えば、プロゲステロン代謝産物であるアロプレグナノロンまたはエピプレグナノロン(epipregnanolone)は、GABA受容体の正の調節因子であり、ベンゾジアゼピンとは無関係にGABAの効果を上昇させる(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。さらに、これらの神経ステロイドは、シグマ受容体においてアンタゴニストとして、すなわちNMDAチャネル複合体を活性化することができる受容体として作用する(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。また、これらの神経ステロイドは、コリン作動性ニューロンの刺激を、および興奮性によるその後のアセチルコリン放出を、低減することも明らかになっている。数多くの研究によって、前脳基底部のコリン作動性ニューロンが外傷性脳損傷に対して感受性であること、およびアセチルコリンの過剰放出はグルタミン酸塩よりも興奮毒性が強いことが示されている(非特許文献11;非特許文献12)。
中枢神経系への外傷性損傷の後、一連の生理学的事象、例えば、炎症性免疫応答、および、グルタミン酸塩受容体系、アセチルコリン受容体系、コリン作動性受容体系、GABA受容体系、およびNMDA受容体系を破壊する初期作用の結果生じる興奮毒性などによって、ニューロンの損失をもたらす。また、外傷性CNS傷害の後には、傷害カスケードを促進して、さらには二次細胞死および患者の死亡率の増加をもたらす、脳および/または脊髄の浮腫がよくできる。
その他の種類のCNS傷害は、ニューロン損失をもたらす異なった生理学的事象を開始させ得る。例えば、虚血性傷害は、CNSへの血流が中断すると発生する。虚血している間は、酸素供給が行われない状態で、通常、消費された細胞ATPを十分に補充することができない。虚血性CNS傷害に関係する他の生理学的事象には、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、ミエリン塩基性タンパク質、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、S−100タンパク質、およびプロテインキナーゼCのγアイソフォーム(PKCg)などのタンパク質の放出または過剰発現、膜リン脂質分解の促進とその後の遊離脂肪酸の蓄積、細胞アシドーシス、グルタミン酸塩の放出および興奮毒性、カルシウムイオン流入、ならびにフリーラジカルの生成が含まれる。
CNSにおける顕著な虚血は卒中によって生じ、血流が正常量の約20%に低減する卒中の中心領域で急速な細胞死が起こる。しかし、血流の減少がそれよりも少ない、虚血周辺部と呼ばれる潜在的傷害をもつより広い領域がある。この領域の細胞は、危険には曝されているが、不可逆的には損傷を受けていない可能性がある。
Roofら(1994)Experimental Neurology 129:64−69 Jiangら(1996)Brain Research 735:101−107 Baulieu,E.E.(1992)Adv.Biochem.Psychopharmacol.47:1−16 Robelら(1995)Crit.Rev.Neurobiol.9:383−94 Lambertら(1995)Trends Pharmacol.Sd.16:295−303 Baulieu,E.E.(1997)Recent Prog.Horm.Res.52:1−32 Reddyら(1996)Psychopharmacology 128:280−92 Mauriceら(1998)Neuroscience 83:413−28 Mauriceら(1996)J.Neurosci.Res.46:734−43 Reddyら(1998)Neuroreport 9:3069−73 Lyethら(1992)J Neurotrauma 9(2):S463−74 Hayesら(1992)J Neurotrauma 9(1):S173−87
上記したように、現在のCNS傷害治療法には限界があるため、外傷性および虚血性のCNS傷害を治療するための改良法が必要とされている。
(発明の要旨)
CNSにおけるニューロン損傷を治療または予防する方法が提供される。特に、本発明は、CNSへの外傷性または虚血性の傷害の後、治療上有効な量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を、退薬を回避するために、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の投与を停止する前に漸減するように投与する方法を提供する。使用される薬剤漸減法は、線形漸減法、指数的漸減法、投薬する用量を50%ずつに徐々に減らしていく方法などを含むことができ、または、治療に対する患者の応答を治療に当たっている医師の評価に基づいて決定することも可能である。本発明の漸減投与法は、外傷性または虚血性のCNS傷害を治療するために、治療上有効な量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与するための如何なる治療用プロトコールまたはレジメンとも併用することができる。
(発明の詳細な説明)
本発明は、中枢神経系に対する外傷または虚血性傷害の後に起こる神経変性を治療または予防する方法および組成物を提供する。具体的には、本発明の方法は、CNSに外傷または虚血性傷害が起きた後に、治療上有効な量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与し、退薬を回避するために、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の投与を停止する前にその投与を漸減するように投与することを提供する。本明細書の他の箇所でさらに詳細に説明しているように、本発明は、漸減投与が、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の投与を突然中止する場合よりもより有利なCNS修復が可能であることを実証する。
「治療」とは、形態の回復(すなわち、組織生存率の上昇)および/または行動の回復の両者を含む、外傷または虚血性傷害を持つ被験体における改善を意図するものである。この改善は、外傷性もしくは虚血性のCNS損傷が起きた後に、行動上の、または解剖学的な回復の速度および/または程度のどちらかが増加することを特徴とすることができる。したがって、「正の治療応答」は、完全応答および部分応答を誘起する。完全な治療応答か、部分的な治療応答かを決める多様な方法は、本明細書の他の箇所に開示されている。
神経変性は、中枢神経系におけるニューロンの進行的損失である。本明細書において用いるとき、「神経保護」は、外傷性または虚血性の中枢神経系損傷が起きた後に、神経変性が停止または反転することである。したがって、本発明の方法は、神経変性をもたらす生理学的事象を低減および/または予防するのに利用することもできる。具体的には、本発明は、中枢神経系に対する外傷または虚血性傷害が起きた後の神経細胞の死滅、浮腫、虚血を減少および/または消失させて組織の生存率を高める方法を提供する。
性ホルモンは、化学構造および生理学的活性に従って機能的グループに分類することができるステロイドであって、卵胞ホルモン、黄体ホルモン、および男性ホルモンなどがある。本発明の方法で特に注目すべきは、本明細書では「プロゲスチン」または「プロゲストーゲン」と呼ばれる黄体ホルモン、ならびにその誘導体および生物活性代謝産物である。この広範なファミリーのメンバーとして、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Gennaroら、Mack Publishing Co.(18thed.1990),990−993に開示されているステロイドホルモンなどがある。その他すべてクラスのステロイドにとってと同様、立体異性は性ホルモンにとっても基本的に重要である。そのため、合成産物および天然産物を含む多様なプロゲスチン(すなわち、プロゲステロン)およびその誘導体が本発明に包含される。本発明の一つの態様において、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物はプロゲステロンである。
本明細書において用いるとき、「プロゲステロン」という用語は、プロゲスチンファミリーのメンバーを意味し、21個の炭素をもつステロイドホルモンを含む。また、プロゲステロンは、D4−プレグナン−3,20−ジオン、δ4−プレグナン−3,20−ジオン、またはプレグン−4−エン−3,20−ジオンとしても知られており、その構造を以下の化学式(I)に示す。本発明の方法で使用されるプロゲステロンは、天然のものであっても、合成されたものであってもよい。
Figure 2008534515
本発明の方法にさらに包含されるものは合成プロゲスチンである。本明細書において、「合成プロゲスチン」は、その構造がプロゲステロンの構造に関連する分子であって、合成によって生成され、プロゲステロンの生物活性を保持している(すなわち、外傷性CNS傷害を治療する)。代表的な合成プロゲスチンは、17a−OHエステル(すなわち、17αカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン)を生じる改変体、ならびにプロゲステロンの上に6α−メチル、6−Me、6−エン、および6−クロロ置換基を導入する改変体(すなわち、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、および酢酸クロマジノン)などであるが、これらに限定されない。表1は、合成プロゲスチンの非限定的な例をさらに示している。
(表1 合成プロゲスチンの分類)
Figure 2008534515
*−−従来の分類は、市場に導入されてからの時期に基づいており、構造上および生理学的な差異または効能に基づいていない。
本明細書において用いるとき、プロゲスチンの「生物活性代謝産物」または「誘導体」は、神経変性を予防するか、または遅らせる、天然に、または合成で製造されるあらゆるプロゲスチンを意図する。そのようなプロゲスチン誘導体は、例えば、プロゲステロンの誘導体、例えば、5−デヒドロプロゲステロン、6−デヒドロ−レトロプロゲステロン(ジドロゲステロン)、アロプレグナノロン(アロプレグナン−3αまたは3β−オール−20−オン)、エチノジオールジアセテート、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(プレグン−4−エン−3,20−ジオン、17−(1−オキソヘキシ)オキシ);レボノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセテート(19−ノルプレグン−4−エン−20−イン−3−オン、17−(アセチルオキシ)−、(17α)−);ノルエチノドレル、ノルゲストレル、プレグネノロン、および酢酸メゲストロールなどである。また、有用なプロゲスチンは、アロプレグノン−3αまたは3β,20αまたは20βジオール(Merck Index258−261を参照);アロプレグナン−3β,21−ジオール−11,20−ジオン;アロプレグナン−3β,17α−ジオール−20−オン;3,20−アロプレグナンジオン、アロプレグナン−3β,11β,17α,20β,21−ペントール;アロプレグナン−3β,17α,20β,21−テトロール、アロプレグナン−3αまたは3β,11β,17α,21−テトロール−20−オン;アロプレグナン−3β,17αまたは20β−トリオール;アロプレグナン−3β,17α,21−トリオール−11,20−ジオン;アロプレグナン−3β,11β,21−トリオール−20−オン;アロプレグナン−3β,17α,21−トリオール−20−オン;アロプレグナン−3αまたは3β−オール−20−オン;プレグナンジオール;3,20−プレグナンジオン;プレグナン−3α−オール−20−オン;4−プレグネン−20,21−ジオール−3,11−ジオン;4−プレグネン−11β,17α,20β,21−テトロール−3−オン;4−プレグネン−17α,20β,21−トリオール−3,11−ジオン;4−プレグネン−17α,20β,21−トリオール−3−オン、およびプレグネノロンメチルエーテルなどであってもよい。さらなるプロゲスチン誘導体は、酢酸、安息香酸、マレイン酸、リンゴ酸、カプロン酸、クエン酸などの非毒性有機酸を持つエステルなどである。無機塩類は、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩などである。さらに、本発明で使用することができる化合物は、参照されて本明細書に組み込まれる米国特許第5,232,917号に開示されているプロゲスチン誘導体などである。
プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物は、それ自体で、または薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。薬剤で使用する場合、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の塩は、薬理学的にも薬学的にも許容されるものでなければならないが、薬学的に許容されない塩を適宜使用して、遊離型の活性化合物またはその薬学的に許容される塩を調製することは可能であり、それらは本発明の範囲から排除されない。そのような薬理学的および薬学的に許容される塩は、文献に詳述されている標準的な方法を用いて、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を有機塩または無機塩と反応させて調製することができる。薬学的に許容される塩の例は、薬学的に許容される陰イオン、例えば、トスグレート(tosglate)、メテンスルフレート(methenesulfurate)、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩などから生成される有機酸塩である。無機酸塩は、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩から生成することができる。また、薬学的に許容される塩は、カルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩など、アルカリ金属塩またはアルカリ土類塩として調製することができる。
CNSへの外傷は、中枢神経系に対する物理的衝撃を特徴とする。例えば、脳が、進行性の神経細胞損傷および/または細胞死を引き起こす物理的な力に付されると、外傷性脳損傷が起こる。外傷性脳損傷は頭部への打撃の結果として起こる可能性があり、開放性または非開放性の傷害として現れる。例えば、爆風損傷は、爆発によって生じた複雑な圧力波によって引き起こされ、頭部外傷という外見的兆候のない脳震盪などの非開放性損傷も含む可能性がある。脳に作用する可能性があるその他の物理的力は、例えば、くも膜下出血もしくは脳出血、腫瘍増殖、脳室拡大、または脳浮腫による頭蓋内圧の増大などである。重度の脳損傷は、裂傷、頭蓋骨折から生じ得、また逆に、頭部の傷害という外見上の兆候がなくても生じ得る。外傷性脳損傷をもたらす物理的力は、三つの型の損傷、すなわち頭蓋骨折、実質損傷、および血管損傷を誘起することによって、その効果をもたらす。
実質損傷には、脳震盪、直接的な実質損傷およびびまん性軸索損傷などがある。脳震盪は、典型的には、頭部の動きが変化した(隆起部をもつ表面に対して停止する頭部の運動の)結果生じる頭部損傷に続いて起こる意識変容からなる臨床的症候群として特徴づけられる。神経の活動が突然破壊される病因は不明であるが、発生する生化学的および生理学的な異常には、例えば、興奮性アミノ酸が媒介する細胞膜全面でのイオン流動による脱分極、ミトコンドリアアデノシン三リン酸の欠乏、および血管透過性の変化などがある。脳震盪後症候群では、直接的な実質損傷の証拠が見られることがあるが、場合によっては、損傷の証拠がないことがある。
挫傷および裂傷とは、脳に運動エネルギーが伝達されて軟組織で見られるのと同様な打撲を与える(挫傷)か、または物体が貫入して組織を引き裂く(裂傷)ことによって、脳に直接的な実質損傷を受けた状態のことである。脳の表面に打撃を与えると、急激な組織変位、血管通路の破壊、それに続く出血、組織傷害および浮腫がもたらされる。神経細胞体における傷害の形態学的証拠は、核濃縮、細胞質の好酸球増加、および細胞崩壊などである。さらに、軸索腫張が、損傷ニューロンの近く、および衝撃部位から遠く離れたところでも発生するかもしれない。この現象は「びまん性神経損傷」として特徴づけることができ、これは軸索が伸ばされ且つ剪断されて引き起こされる。傷害組織に対する炎症性応答は、マクロファージが現れる前に好中球によって担われるという通常の経過をたどる。
CNSへの虚血性傷害は、例えば大脳、小脳、または脳幹であるが、これらに限定されない脳の部位への血液供給が不十分であるか、または阻害されるという特徴をもつ。CNSの一部である脊髄は、血流の低下の結果生じる虚血に対して同じように影響を受けやすい。虚血症状の発生は、血栓または塞栓の場合に起こるような、血管の狭窄または閉塞が原因となって起こり得る。あるいは、虚血症状の発生は、心停止など、何らかの形の心機能低下に起因しているかもしれない。この欠乏症が、十分に重症で長期にわたる場合、生理的機能の破壊、それに続くニューロンの死滅、および患部の壊死(梗塞)に至るかもしれない。傷害によってもたらされる神経の異常の範囲および型は、梗塞または虚血巣の位置およびサイズに依存する。虚血が脳卒中に付随している場合、範囲は全体的であるか、局所的であろう。
広範囲の虚血は、CNSに関して本明細書で用いられる場合、脳全体、前脳、または脊髄への血流が全般的に減少した結果起こる状態であって、これらの組織全体でニューロン、特に代謝的に活性な部位におけるニューロンの遅発性死を引き起こす状態を意味する。
局所的虚血は、CNSに関して本明細書で用いられる場合、脳または脊髄に血液を供給する一本の動脈がブロックされる結果起こる状態を意味し、その動脈によって供給される領域における全部の細胞成分の死滅(全壊死(pan−necrosis))をもたらす。
上記のように、本明細書は、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の投与を停止する前にその投与を漸減して退薬を回避するために、治療上有効な量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与することにより、CNSへの外傷性または虚血性の傷害によって引き起こされる神経損傷を治療または予防する方法を提供する。下記の実験の項により詳細に記載しているように、本発明は、プロゲステロン治療を停止するに際し、退薬を回避するためにプロゲステロンを漸減して投与すると、投与を突然中止した場合に較べて、プロゲステロン療法の効能を高めるという発見に関する。
「漸減投与」または「漸減投与投薬レジメン」は、一定期間、または外傷性または虚血性のCNS傷害に対する患者の治療応答を定期的にモニターすることに基づいた医師の評価によって経験的に決められた期間、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の用量を連続的に減らし、最終的に消失させることを意味する。プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を漸減投与する期間は約12、24、36、48時間、またはそれ以上であり得る。あるいは、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を漸減投与する期間は、約1時間から約12時間、約12時間から約48時間、または約24時間から36時間の範囲であり得る。本発明の一つの態様において、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を漸減投与することは、プロゲステロンを漸減投与することを含む。
使用される薬剤漸減法は、投薬する用量を50%ずつ徐々に減らすことを含み得る。例えば、500mgからの漸減法なら、500、250、125、62.5などとなるだろう。使用される薬剤漸減法は「線形」漸減法であり得る。例えば、500mgからの「10%」線形漸減法なら、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50などとなるだろう。あるいは、上記に概略したプログラムを例にとると、指数的漸減が、例えば、500、450、405、365、329、296、266、239などとなる指数漸減法を使用することができよう。したがって、約5%、10%、20%、30%、または40%の線形または指数の漸減法を、本発明の方法において使用することができる。また、約1%〜5%、約6%〜10%、約11%〜15%、約16%〜20%、約21%〜25%、約26%〜30%、約31%〜35%、約36%〜40%という線形または指数の漸減法を用いることができよう。あるいは、漸減投与計画を、治療に当たっている医師の、療法に対する患者の応答の評価に基づいて決定することも可能である。
本発明の漸減投与法は、外傷性または虚血性のCNS損傷を負う患者に対してプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物による療法と併用される。本明細書において、被験体は如何なる哺乳動物でもよいが、好ましくはヒト、または家畜、農業用動物、または珍しい動物などの動物である。特定の実施形態において、ヒトは成人(18歳以上)であるが、他の実施形態においては、ヒトは子供(18歳未満)である。子供は新生児、乳児、幼児、思春期前または思春期後の少年であり、年齢が生後約1月〜約2歳、約1歳〜約5歳、約4歳〜約9歳、約8歳〜約14歳、または約13〜約18歳の範囲であってよい。さらに、ヒトは約55〜60歳、60〜65歳、65〜70歳、70〜75歳、75〜80歳、85〜90歳、90〜95歳またはそれ以上であってもよい。
本発明の漸減投与法を行う前に、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を、CNS損傷を治療するために、それを必要とする被験体に、治療上有効なレベルで投与する。「治療上有効な量」は、治療効果を誘発するのに十分な、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の濃度を意味する。したがって、本発明に従って投与される用量単位中のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の濃度は、外傷性または虚血性のCNS傷害の後に行われる神経障害の治療または予防に有効であり、そのため、神経保護効果を誘発する。治療上有効な量は、例えば、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の具体的な活性、損傷の重篤度、パターン、および種類(例えば、外傷性または虚血性)、生じた神経損傷、患者の応答性、患者の体重その他の個人内変動性、投与方法、および使用されるプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の処方など、数多くの要素に応じて決められる。効能、用量、および投与経路の決定など、CNS損傷を治療する、治療上有効な量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与するための多様な方法が当技術分野において知られている(例えば、2005年3月24日出願に係る米国特許出願第60/664,728号、および2001年10月9日出願に係る米国特許出願第09/973,375号を参照。これらはいずれも参照されて本明細書に組み込まれる)。外傷性または虚血性のCNS傷害を治療するために、治療上有効な量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与するための任意の治療用プロトコールまたはレジメンを、本発明の漸減投与法と併用することができる。
本発明の一つの実施形態において、本発明の漸減投与法は、一日に一回または数回投与するなど、少なくとも一日一回、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与することと組み合わせて用いられる。この治療の継続期間は、二週間から三週間までの期間、一日あたり一回でもよく、何ヶ月または何年もの期間も続けることも可能である。一日の用量は、一回分の用量単位の形になっているか、もしくはいくつか少量の用量単位の形になった単回投薬によって、または細分化した用量を一定の間隔で複数回投与することによって投与することができる。
例えば、投薬単位は、傷害後約0時間から約1時間、約1時間から約24時間、約1から約72時間、約1から約120時間、または約24時間から少なくとも約120時間までに投与することができる。あるいは、投薬単位は、傷害後約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、40、48、72、96、120時間、またはそれ以上たってから投与することができる。その後の投薬単位は、治療効果が得られるように、初回投与後の任意の時に投与することができる。例えば、傷害後の最初の数日間にわたって生じるかもしれない第二波の浮腫から患者を保護するために、追加的な投薬単位を投与することも可能である。
本発明の別の実施形態において、本発明の漸減投与法は、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの一定量投薬レジメンと併用される。「プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの一定量投薬レジメン」とは、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンによる療法を受けている患者に、治療の間、一定の時間当り全用量のプロゲステロンまたは合成プロゲスチンを投与することである。この時間用量のプロゲステロンまたは合成プロゲスチンを、投与法に応じた適切な投与計画に従って投与される一連の等価用量に分割する。プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの一定量投薬レジメンの継続期間は約12、24、36、60、72、84、もしくは120時間、または約1〜24時間、約12〜36時間、約24〜48時間、約36〜60時間、約48〜72時間、約60〜96時間、約72〜108時間、約96〜120時間、もしくは約108〜136時間などである。
本発明の他の実施形態において、本発明の漸減投与法は「プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメン」と併用される。「プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメン」とは、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンによる療法を受けている患者に、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンを投与する二回の期間中、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンを投与することである。この二回の期間は、約12時間〜約7日の期間を組み合わせることができ、例えば、1、2、3、4、もしくは5日間、または約15、15、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、もしくは144時間、または約1〜24時間、約12〜36時間、約24〜48時間、約36〜60時間、約48〜72時間、約60〜96時間、約72〜108時間、約96〜120時間、もしくは約108〜136時間などを組み合わせた期間であり得る。一つの実施形態において、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメンは、約1日〜約5日の期間を組み合わせたもの;その他の実施形態において、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメンは、約1日〜約3日の期間を組み合わせたものがある。
一つの実施形態において、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメンの第一および第二の期間に投与すべきプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの時間当り全用量を、第一の期間により多くのプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの時間当り全用量が投与され、第二の期間には、より少ないプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの時間当り全用量が投与されるように選択する。プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメンの第一および第二の個々の期間の継続時間は、各人の健康状態および外傷性または虚血性の損傷の病歴に応じて変えることができる。一般的に、1日〜5日間のプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投与計画期間中の少なくとも1、2、3、4、5、6、12または24時間、より多い時間当り全用量のプロゲステロンまたは合成プロゲスチンを患者に投与する。第二の期間の長さは、しかるべく調整することができ、その範囲は、例えば、約12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間、120時間、または約12〜約36時間、約24〜約36時間、約24〜約48時間、約36〜約60時間、約48〜約72時間、約60〜約84時間、約72〜約96時間、または約108〜約120時間であり得る。このように、例えば、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメンの合計した期間が3日間である場合、最初の1時間は、時間当り全用量が高い方のプロゲステロンまたは合成プロゲスチンを投与し、2時間目〜72時間目には、時間当り全用量が低い方のプロゲステロンまたは合成プロゲスチンを投与することができよう。
さらに別の実施形態においては、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメンの第一および第二の期間内に投与すべきプロゲストロンの時間当り全用量が、より少ないプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの時間当り全用量が第一の期間に投与され、より多くのプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの時間当り全用量が第二の期間に投与されように選択される。
曲線下面積(AUC)とは、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの参照用標準をIV投与した後の所定の時間にわたるプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの血清濃度(nmol/L)を追跡した曲線の下の面積を意味する。「プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの参照用標準」とは、所望の陽性の効果、すなわち、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンを投与しない場合に見られる治療反応に対して改善された陽性の治療応答を達成するために、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの望ましい一定量型または二段階型の投薬レジメンに従って、外傷性または虚血性の中枢神経系の損傷を負うヒト患者に投与すべきプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの時間当り全用量を決定するための根拠として役立つ、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンのレジメンを意味する。したがって、その結果、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの一定量型または二段階型の投薬レジメンの過程で投与すべきプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの時間当り全用量は、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの最終血清中濃度を約100ng/ml〜約1000ng/ml、約1100ng/ml〜約1450ng/ml、約100ng/ml〜約250ng/ml、約200ng/ml〜約350ng/ml、約300ng/ml〜約450ng/ml、約400ng/ml〜約550ng/ml、約500ng/ml〜約650ng/ml、約600ng/ml〜約750ng/ml、約700ng/ml〜約850ng/ml、約800ng/ml〜約950ng/ml、約900ng/ml〜約1050ng/ml、約1000ng/ml〜約1150ng/ml、約1100ng/ml〜約1250ng/ml、約1200ng/ml〜約1350ng/ml、約1300ng/ml〜約1500ng/mlとすることができる。特定の実施形態において、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの最終血清中濃度は、約100ng/ml、250ng/ml、500ng/ml、750ng/ml、900ng/ml、1200ng/ml、1400ng/ml、1600ng/mlを含む。
また、本発明の漸減投与法は、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの一定量療法またはプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投与方式を受けている患者に、プロゲステロンまたは合成プロゲスチン投与を受けない期間を与える実施形態も想定している。例えば、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの投与法を実施する場合、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンを投与しない期間は、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投与方式の第一の期間が終る時と、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投与方式の第二の期間を開始する時との間に生じさせてもよい。例えば、第一の期間を、病院に到着する前の場面、例えば外傷が起きた場所で行うことが想定できよう。そして、第二の期間を、病院に到着したところで開始することができよう。これらの実施形態において、プロゲステロンおよび合成プロゲスチンの二段階投与方式は中断されて、約15分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間またはそれ以上の期間プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの投与が行われない。
既述の投薬レジメンに従って治療を受けている患者が、治療の完了後に部分的応答または再発を示す場合には、部分的または完全な応答を達成するために、引き続きプロゲステロンまたは合成プロゲスチンによる治療過程が必要となり得る。したがって、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの一定量投薬レジメン、またはプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの二段階投薬レジメンを含んでいた可能性のある治療をある期間停止した後、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの一定量投薬レジメンまたは二段階投薬レジメンのいずれかを含む、1回以上の追加的な治療期間を患者に受けさせることが可能である。治療期間の間に置かれるこのような期間のことを、本明細書では中断期間と呼ぶ。中断期間の長さは、その前のプロゲステロンまたは合成プロゲスチンによる療法の治療期間によってもたらされた患者の応答の程度(すなわち、完全対部分的)に依ると考えられている。さらに、停止または中断した期間に先立って、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの投与を漸減させることも可能である。
本発明の漸減投与法とともに使用するために、本明細書において、複数の治療セッションを維持周期と呼び、各維持周期が完結した投薬レジメンを含む。「完結した二段階投薬レジメン」とは、患者が第一期および第二期とも、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの投薬を受けたことをいうものとする。複数の維持周期の必要性は、患者の生理学的および行動上の改善を観察して評価することができる。主な維持周期の間の期間は、約1時間、15時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、または約1日〜約14日の範囲に入る期間であり得る。
本発明の漸減投与法で使用するために、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物は、無機または有機の、固体または液体の薬学的に許容される担体をさらに含むことが可能である。また、この担体は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、安定化剤、緩衝剤、溶媒および塩類を含むこともできる。組成物は滅菌することができ、固体、微粒子もしくは粉末、溶液、懸濁液もしくはエマルジョンとして存在することができる。前述の成分に加えて、本発明の組成物は、希釈剤、緩衝剤、香料添加剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、(酸化防止剤などの)保存剤などからなる群から選択された、一つ以上の副成分をさらに含むことができる。
プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物は、薬学的に許容される担体用媒体と混合するなどして、薬学的に有用な組成物を調製する既知の方法に従って処方することができる。適当な媒体およびその処方は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(16th ed.,Osol,A.(ed.),Mack,Easton PA(1980))に記載されている。効果的に投与するのに適した薬学的に許容される組成物を形成するためには、そのような組成物は、有効量のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を、単独または適当な量の担体用媒体とともに含む。
薬学的に許容される担体は、薬剤投与法に応じて変わり、例えば、固体、液体、または徐放性であってよい。代表的な固体担体は乳糖、白土、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、微結晶性セルロース、高分子ヒドロゲル類などである。典型的な液体担体はシロップ、落花生油、オリーブオイル、シクロデキストリンなどのエマルジョンである。当業者は、広く利用されている投与法のそれぞれに適した担体を熟知している。さらに、治療上有効な用量として投与されるプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の全量は、投与される薬学的組成物(すなわち、使用される担体)および投与方式によって決まる。
本発明の方法で使用される組成物は、経口、直腸、局所、鼻腔、眼、または非経口(腹腔内、静脈内、皮下、または筋肉内注射など)で投与するのに適したものを含む。この組成物は、単位剤形で適宜提供することができ、また、薬学技術分野において周知されている任意の方法によって調製することもできる。全ての方法が、活性薬剤を、一つ以上の副成分を構成する担体と結合させる工程を含む。一般に、この組成物は、活性化合物を、液体担体、微粉化した固形担体、またはその両方と均一および密接に結合させてから、必要であれば、この生成物を望ましい製剤にして調製する。
経口投与用の組成物は、カプセル剤、カシェ剤、錠剤、トローチ剤など、それぞれが所定量の活性薬剤を粉末または顆粒として含む個別単位、または水溶液中、もしくはシロップ、エリキシル、エマルジョン、ドラフト(draught)などの非水性液体中の懸濁剤として提供することができる。
錠剤は、任意で一つ以上の副成分とともに、圧縮または成型して製造することができる。圧縮錠剤は、任意で結合剤、崩壊剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合した粉末または顆粒などの自由流体の形態である活性化合物とともに、適当な機械で圧縮して調製することができる。適当な担体を含む成型錠剤は、適当な機械で成型して作ることができる。
シロップは、活性化合物を、糖、例えば、ショ糖の濃縮水溶液に加えて作ることができ、それに任意の副成分を添加してもよい。このような副成分には、香味料、適当な保存剤、糖の結晶化を遅延させる薬剤、および、例えば、グリセロールまたはソルビトールなどの多価アルコールなどの他の任意の成分の可溶性を高める薬剤などがあり得る。
非経口投与に適した製剤は、活性化合物の無菌水溶液を適宜に含むが、この水溶液はレシピエントの血液と等張性であってよい。
スプレー式点鼻薬製剤は、保存剤および等張剤を含む活性薬剤の精製水溶液を含む。このような製剤は、好ましくは、鼻粘膜に適合するpHおよび等張状態になるよう調整する。
直腸投与用の製剤は、ココアバター、または水素添加脂肪もしくは水素添加脂肪カルボン酸などの適当な担体による坐剤として提供することができる。
眼科用製剤は、pHおよび等張因子が眼のそれらに一致するよう調整されている以外は、スプレー式点鼻薬と同様の方法によって調製する。
局所用製剤は、鉱油、石油、ポリヒドロキシアルコール、または局所投与に使用される他の基剤など、一種類以上の媒体に溶解または懸濁された活性化合物を含む。上記したような他の副成分を加えることが望ましい場合がある。
さらに、本発明の方法に使用する組成物はリポソーム製剤を含む。リポソ−ム懸濁液を形成する技術は、当技術分野においてよく知られている。プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の塩が水溶性の塩である場合、通常のリポソーム技術を使用して、これらを脂質小胞に取り込むことができる。このような場合、化合物またはその塩が水溶性であるため、この化合物またはその塩は、リポソームの親水性中心またはコア内に実質的に取り込まれる。使用される脂質層は、通常の組成物からできていてよく、また、コレステロールを含んでいてもいなくても、どちらでもよい。目的とする化合物または塩が非水溶性の場合には、ここでも通常のリポソーム形成技術を用いれば、この塩を、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層中に実質的に取り込むことができる。どちらの場合にも、標準的な超音波処理およびホモジナイズ技術を使用することによって、作製されるリポソームの大きさを小さくすることができる。プロゲスチンもしくはプロゲスチン代謝産物またはその塩を含むリポソーム製剤を凍結乾燥させて、水などの薬学的に許容される担体で再構成してリポソーム懸濁液に再生させることができる凍結乾燥剤とすることも可能である。
また、本発明の方法で使用される医薬製剤には、エアロゾルとして、吸入により投与するのに適したものなども含まれる。これらの製剤は、所望のプロゲスチンもしくはプロゲスチン代謝産物またはその塩の溶液もしくは懸濁液、または該化合物もしくは塩の複数の固体粒子を含む。所望の製剤を小さなチャンバーに入れて噴霧することができる。噴霧化は、化合物または塩を含む複数の液滴または固体粒子を形成させる圧縮空気または超音波エネルギーによって行うことができる。
本発明の方法に使用するためのさらなる医薬製剤には徐放性製剤などがある。このような徐放性製剤は、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物と複合体を形成するか、またはこれらを吸収する高分子化合物を使用して得ることができる。徐放は適当な高分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニルピロリドン、エチレン酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、または硫酸プロタミン)を選択して行うことができる。また、薬剤放出速度は、そのような高分子の濃度を変えて調節することもできる。
作用の持続時間を調節するための別の可能な方法は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ乳酸またはエチレン酢酸ビニル共重合体などのポリマー物質の粒子中に治療薬剤を取り込ませることを含む。あるいは、例えば、コアセルべーション技術、または界面重合法により、例えば、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンのマイクロカプセル、またはポリメチルメタクリレートのマイクロカプセルをそれぞれ使用して調製したマイクロカプセル中に、または、例えば、リポソーム、アルブミン、マイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、ナノカプセル、もしくはマクロエマルジョンなどのコロイド薬送達系に治療薬を封入することが可能である。これらに関する記載は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)に開示されている。
本発明の方法で使用するために、治療上有効な濃度のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を含む組成物は、当技術分野で周知の許容される任意の方法を用いて投与することができる。したがって、例えば、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を含む薬学的組成物を、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、腹腔内、経皮、口腔、膣内、または脳室内への投与などを含む投与法を用いて投与することができる。静脈内に投与する場合、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンを含む薬学的組成物を、約1〜約120時間にわたって点滴により投与することができる。いくつかの実施形態において、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンの点滴は、約24〜約72時間にわたって、約48〜約96時間にわたって、または約24〜約120時間にわたって行われる。
本発明の実施形態は、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンまたはそのアナログを、体重1kgあたり約0.1ng〜約100g、体重1kgあたり約10ng〜約50g、体重1kgあたり約100ng〜約1g、体重1kgあたり約1μg〜約100mg、体重1kgあたり約1μg〜約50mg、体重1kgあたり約1mg〜約500mg;および体重1kgあたり約1mg〜50mgの用量でIV投与により投与することを提供する。あるいは、治療上有効な用量を達成するために投与されるプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの量は、体重1kgあたり約0.1ng、1ng、10ng、100ng、1μg、10μg、100μg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、500mgまたはそれ以上である。
別の実施形態では、本発明は、プロゲステロンまたは合成プロゲスチンまたはそのアナログを、体重1kgあたり約0.1ng〜約100g、体重1kgあたり約10ng〜約50g、体重1kgあたり約100ng〜約1g、体重1kgあたり約1μg〜約100mg、体重1kgあたり約1μg〜約50mg、体重1kgあたり約1mg〜約500mg、;および体重1kgあたり約1mg〜50mgの用量で非経口投与により投与することを提供する。あるいは、治療上有効な用量を達成するために投与されるプロゲステロンまたは合成プロゲスチンの量は、体重1kgあたり約0.1ng、1ng、10ng、100ng、1μg、10μg、100μg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、500mgまたはそれ以上である。本発明の一つの態様において、非経口投与用のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物はプロゲステロンまたはアロプレグナノロンである。
本発明のさらなる実施形態において、本発明の漸減投与法は、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の使用、および外傷性または虚血性のCNS傷害の後に神経保護を増強するための少なくとも一つの別の神経保護薬の使用と併用される。そのような薬剤は、例えば、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を併用するものなどである。その他対象となる神経保護薬は、例えば、グルタミン酸興奮毒性を低下させ、神経再生を促進する化合物などである。このような薬剤は、成長因子を含む群から選択することができるが、これらに限定されない。「成長因子」とは、細胞を刺激して成長または増殖させる細胞外ポリペプチドシグナル伝達分子のことである。好適な成長因子は、多様な細胞型が応答するものである。神経栄養性成長因子の例は、線維芽細胞成長因子ファミリーのメンバーである塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)(Abrahamら(1986)Science233:545−48)、酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)(Jayeら(1986)Science233:541−45)、hst/Kfgf遺伝子産物、FGF−3(Dicksonら(1987)Nature326−833)、FGF−4(Zhanら(1988)MoI Cell.Biol.8:3487−3495)、FGF−6(deLapeyriereら(1990)Oncogene5:823−831)、ケラチノサイト成長因子(KGF)(Finchら(1989)Science245:752−755)、およびアンドロゲン誘導性増殖因子(AIGF)(Tanakaら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci USA89:8928−8923)などであるが、これらに限定されない。
さらなる神経保護薬は、毛様体神経栄養因子(CNTF)、神経成長因子(NGF)(Seiler,M.(1984)Brain Research300:33−39;Hagg T.ら(1988)Exp Neurol101:303−312;Kromer L.F.(1987)Science235:214−216;およびHagg T.ら(1990)J.Neurosci10(9):3087−3092)、脳由来神経栄養因子(BDNF)(Kiprianova,I.ら(1999)J.Neurosci.Res.56:21−27)、ニューロトロフィン3(NT3)、ニューロトロフィン4(NT4)、形質転換成長因子−β1(TGF−β1)(Henrick−Noack,P.ら(1996)Stroke27:1609−14)、骨形態形成タンパク質(BMP−2)(Hattori,A.ら(1999)J Neurochem.72:2264−71)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)(Miyazaki,H.ら(1999)Neuroscience89:643−7)、活性依存型神経栄養因子(ADNF)(Zamostiano,R.ら(1999)Neurosci Letter264:9−12)、サイトカイン・白血病抑制因子(LIF)(Blesch,A.ら(1999)J.Neurosci.19:3356−66)、オンコスタチンM、インターロイキン、およびインスリン様成長因子1型ならびに2型などである。
その他の形態の神経保護治療薬は、例えば、クロメチアゾール(Zendra)(Marshal,LW.ら(1999)Exp.Neurol.156:121−9);キヌレン酸(KYNA)(Salvati,P.ら(1999)Prog Neruopsychopharmacol Biol Psychiatry23:741−52)、Semax(Miasoedova,N.F.ら(1999)Zh Nevrol Psikhiatr Imss Korsakova99:15−19)、FK506(タクロリムス)(Gold,B.G.ら(1999)J.Pharmacol.Exp.Titer.289:1202−10)、L−トレオ−1−フェニル−2−デカノイルアミノ−3−モルフォリノ−1−プロパノール(Inokuchi,J.ら(1998)Act Biochim Pol45:479−92)、アンドレノコルチコトロピン−(4−9)アナログ(ORG2766)、ならびにジゾルシピン(dizolcipine)(MK−801)(Herz,R.C.ら(1998)Eur J.Pharmacol346:159−65)、脳インターロイキン−6)(Loddick,S.A.ら(1998)J.Cereb Blood Flow Metab18:176−9)、セレギリン(Semkova,I.ら(1996)Eur J.Pharmacol315:19−30)、MK−801(Barth,A.ら(1996)Neuro Report7:1461−4);グルタミン酸拮抗薬、例えばNPS1506、GV1505260、MK801(Baumgartner,W.A.ら(1999)Ann Tliorac Surg67:1871−3)、GV150526(Dyker,A.G.ら(1999)Stroke30:986−92)など;AMPA拮抗薬、例えばNBQX(Baumgartner,W.A.(1999)ら、Ann Thorac Surg67:1871−3、PD152247(PNQX)(Schielke,G.P.ら(1999)Stroke30:1472−7)、SPD502(Nielsen,E.O.ら(1999)J Pharmacol Exp Ther289:1492−501)、LY303070およびLY300164(May,P.C.ら(1999)Neuroscience Lett262:219−221)などである。
本発明の漸減投与法を、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物、および少なくとも一つの別の神経保護薬の使用と併用して、外傷性または虚血性のCNS傷害の後の神経保護を増強させる場合、さらに少量にしたプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物が、治療効果を上げるために必要である場合がある。
本発明の方法は、中枢神経系の外傷性または虚血性の傷害を治療する際に使用される。中枢神経系の損傷(すなわち、神経変性)の程度を定量化して、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の投与後に、神経損傷が治療または予防されたか否かを決定する方法が当技術分野においてよく知られている。このような神経保護効果は、例えば、外傷性または虚血性の脳傷害の後、行動および形態における回復を促進(すなわち、組織生存力を増強)するなどして、さまざまなレベルで測定することができる。壊死、アポトーシス、神経グリア細胞の回復に対するプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物の効果を決定するために、さまざまな解剖学的、免疫細胞化学的、および免疫学的なアッセイ法が当技術分野において知られている。そのため、本発明の方法によってもたらされる神経保護は、対照群と比較して、ニューロンの生存率および/または行動の回復が、少なくとも約10%から20%、20%から30%、30%から40%、40%から60%、60%から80%、またはそれ以上増加する結果となり得る。
ニューロンの生存率の増加に関する組織学的および分子的マーカーアッセイ法が知られている。例えば、成長関連タンパク質43(GAP−43)は、CNS外傷後の新たな軸索成長のマーカーとして使用することができる。例えば、Stroemerら(1995)Stroke26:2135−2144、Vaudanoら(1995)J.of Neurosci.15:3594−3611を参照。他の組織学的マーカーには、アストログリオーシスおよび小膠細胞症の緩和などが含まれる。あるいは、細胞死の遅延を、傷害組織の中でTUNEL標識を用いてアッセイすることができる。神経保護の増加を測定するために使用することができる、さらなる解剖学的測定法には、特異的な神経細胞型を数えて、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物が、特定の細胞型(例えば、コリン作動性細胞)を選択的に保護するか、またはニューロン一般を保護するかを決定することなどが含まれる。
さらに、行動試験法を用いて、治療に応答した行動回復の速度と範囲とを測定することができる。患者の運動技術、学習能力、認知機能、知覚、言語行動の改善、および/または発作傾向の低下も、神経保護効果を測定するために利用することができる。感覚運動機能および反射運動機能を測定するために利用される、このような機能/行動試験については、例えば、Bedersonら(1986)Stroke17:472−476,DeRyckら(1992)Brain Res.573:44−60,Markgrafら(1992)Brain Res.575:238−246,Alexisら(1995)Stroke 26:2336−2346に記載されており、これらすべては、参照して本明細書に組み込まれる。また、ニューロン生存率の向上も、スカンジナビアン・ストローク・スケール(SSS)またはバーセルインデックス(Barthl Index)を用いて測定することができる。さらに、NIH/NINDSヒト頭部損傷センター(Head Injury Centers in Humans)の分科委員会の推奨事項を用いて測定することができる。この推奨内容は参照して本明細書に組み込まれる。行動回復は、例えば、Beaumontら(1999)Neurol.Res.21:742−754;Beckerら(1980)Brain Res.200:07−320;Buresovら(1983)Techniques and Basic Experiments for the Study of Brain and Behavior;Klineら(1994)Pharmacol.Biochem.Behav.48:773−779;Lindnerら(1998)J.Neurotrauma 15:199−216;Morris(1984)J.Neurosci.Methods11:47−60;Schallertら(1983)Pharmacol.Biochem.Behav.18:753−759に記載された方法を用いて、さらに測定することができる。
CNSへの外傷が、神経変性の範囲および速度に影響する複数の生理学的事象をもたらし、ひいては、外傷の最終的な臨床転帰をもたらすと認められている。CNSへの外傷の治療は、本発明によって定義されているように、最初の衝撃に続く多様な生理学的事象の一つ以上のものを軽減および/または予防することを含む。したがって、本発明の方法は、中枢神経系への外傷の後に神経変性を引き起こす生理学的事象を減少および/または予防する際に使用することができる。
例えば、CNSへの外傷の後に脳浮腫をしばしば発症し、これが、死因および障害の主要な原因となっている。皮質挫傷によって、例えば、脳組織の含水量が大幅に増加し、次には脳血流量を低下させて、さらなるニューロン脱落をもたらす頭蓋内圧増大を生じさせる可能性がある。したがって、本発明の方法は、CNSへの外傷後の脳浮腫を軽減および/または消失させたり、および/または浮腫が持続する期間を短縮させたりするのにも利用することができる。浮腫の軽減を測定するためのアッセイ法は当技術分野において周知であり、プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物を投与した後の組織含水量の減少などが含まれるが、これに限定されない(Betzら(1990)Stroke21:1199−204、これは参照されて本明細書に組み込まれる)。さらに、行動の回復における全体的な改善を、浮腫の軽減を示す目安として利用することもできる。作用を受けた組織の浮腫が少なくとも約15%〜30%、約30%〜45%、約45%〜60%、約60%〜80%、または約80%〜95%、またはそれ以上減少することは、浮腫の状態が続く期間が短縮するのと同様に治療上有益である。
外傷性脳傷害後の血管原性浮腫は、血管系への損傷および血管脳関門(BBB)の破損に付随している(Duvdevaniら(1995)J Neurotrauma 12:65−75。本文献は、参照されて本明細書に組み込まれる)。プロゲステロンは、BBBの透過性を、高分子に対しては低下させるが、インビトロにおけるナトリウムなどのイオンに対しては低下させないことが示されている(Betzら(1990)Stroke21:1199−204;Betaら(1990)Acta.Neurochir.Suppl.51:256−8;これらはいずれも参照されて、本明細書に組み込まれる)。したがって、本発明の方法は、外傷性脳傷害後の血管原性浮腫を軽減または消失させるために使用することができる。血管原性浮腫の軽減を測定するためのアッセイ法は当技術分野において周知であり、例えば、皮質挫傷後のエバンスブルー溢血の低下などが含まれる(Roofら、(1994)Society for Neuroscience20:91。本文献は参照されて本明細書に組み込まれる)。
外傷性の脳傷害のさらなる生理的影響には免疫反応などがある。例えば、Soaresら(1995)J.Neurosci15:8223−33;Holminら(1995)Acta Neurochir.132:110−9;Arvinら(1996)Neurosci.Biobehav.Rev.20:445−52を参照。皮質への衝撃の後、衝撃部位や障害の原発部位の遠位にある脳領域で、重篤な炎症反応および神経膠症が発生する。この炎症反応は、血管表面において接着分子が発現し、その結果、免疫細胞が付着して、その後、脳実質への溢血をもたらすことを特徴とする。侵入するマクロファージおよび好中球は、サイトカインを放出して、反応性星状細胞増加を促進する。他の細胞型がさまざまなケモカインを放出することによって、これらの免疫細胞は、フリーラジカルおよび炎症誘発性化合物、例えば、サイトカイン、プロスタグランジン、および興奮毒を同時に放出させながら、食作用性になるよう誘導される(Arvinら(1996)Neurosci.Biobehav.Ref.20:445−52;Raivichら(1996)Kelo J.Med.45:239−47;Mattsonら(1997)Brain Res.Rev.23:47−61;これらは全て参照されて、本明細書に組み込まれる)。
本発明の方法は、外傷性CNS傷害の後に起こる炎症性免疫反応を低下または除去する手段を提供する。さらに、傷害後の炎症応答を低下させることによって、本発明のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物は、脳腫脹および頭蓋内圧を実質的に減少させたり、放出される神経毒性物質(例えば、フリーラジカルおよび興奮毒)の量を減らしたりすることができる。したがって、CNSに対する外傷の後に起きる免疫/炎症応答を軽減させることにより、ニューロンの生存率および/または行動の回復が促進される。
本発明のプロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物が、外傷性のCNS傷害の後の免疫系に抗炎症性で非特異的な抑制効果を与えるか否かを測定するために用いることができるアッセイ法には、例えば、インビトロにおいてサイトカイン誘発性のミクログリア増殖が低下すること(Hoffmanら(1994)J Neurotrauma11:417−31;Garcia−Estradaら(1993)Brain Res.628:271−8;これらはいずれも、参照されて本明細書に組み込まれる)、活性化マクロファージによる細胞毒性フリーラジカルの発生が低下すること(Chaoら(1994)Am.J.Reprod.Immunol.32:43−52;Robertら(1997)Nitric Oxide1:453−62;Kellyら(1997)Biochem.Biophys.Res.Commun.239:557−61;Ganterら(1992)J.Neurosci.Res.33:218−30;これらは全て、参照されて本明細書に組み込まれる)、誘導型一酸化窒素合成酵素の発現とマクロファージによる一酸化窒素放出量とが減少すること(Robertら(1997)Nitric Oxide1:453−62;Millerら(1996)J.Leukoc.Biol.59:442−50;これらはいずれも、参照されて本明細書に組み込まれる)、ナチュラルキラー細胞の活性を阻害する「プロゲステロン誘発型遮断因子」が放出されること(Cheekら(1997)Am.J.Reprod.Immunol.37:17−20;Szekeres−Barthoら(1997)Cell Immunol.177:194−9;Szekeres−Barthoら(1996)Am.J.Reprod.Immunol.35:348−51;これらは全て、参照されて本明細書に組み込まれる)、二次的損傷がより少ないことを示唆する、脳傷害後のGFAP陽性星状細胞の数の減少(Garcia−Estrada et al.(1993)Brain Res.628:271−8;Garcie−Estrada et al.(1999)Int.J.Dev.Neurosci.17:145−51;Cheek et al.(1997)Am.J.Reprod.Immunol.37:17−20;Szekeres−Bartho et al.(1997)Cell Immunol.177:194−9;Szekeres−Bartho et al.(1996)Am.J.Reprod.Immunol.35:348−51;これらは全て、参照されて本明細書に組み込まれる)、炎症性免疫細胞(OX42陽性細胞)の数が減少すること、ChAT陽性およびCOX陽性のニューロンの脱落が抑制されること、TUNEL陽性かつMnSOD陽性のニューロンの数が減少すること、ならびにコハク酸デヒドロゲナーゼおよびシトクロムオキシダーゼの活性の強度が増大することなどが含まれる。
さらに、外傷性脳傷害後の炎症性免疫反応の低下は、模擬対照被験体対プロゲスチンまたはプロゲスチン代謝産物による処理被験体における傷害後のサイトカイン量を測定することによってアッセイすることができる。サイトカインは、炎症のメディエーターであり、脳傷害後に高濃度で放出される。炎症促進性サイトカイン(例えば、インターロイキン1−β、腫瘍壊死因子、およびインターロイキン6)のレベルおよび抗炎症性サイトカイン(例えば、インターロイキン10および形質転換成長因子−β)のレベルを測定することができる。例えば、「リアルタイム」ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、mRNAシグナルの強度を測定することができ、ELISAを用いて、タンパク質量を測定することができる。さらに、さまざまな炎症性細胞型(例えば、反応性の星状細胞、マクロファージ、およびミクログリア)の組織学的解析法を用いて、炎症応答の低下を測定することができる。
外傷性CNS傷害の別の生理学的影響は、脂質過酸化が増大することである。本発明の方法は、フリーラジカルによる損傷を軽減して、脂質過酸化を低下または消失させるのに使用される。この効果は、内因性フリーラジカル排除系を強化する過程で生じる可能性がある。脳ホモジネートおよびミトコンドリアにおける脂質過酸化の低下を測定するためのアッセイ法が本技術分野において知られており、たとえば、チオバルビツール酸法(Roofら(1997)Mol.Chem.Neuropathol.31:1−11;Subramanianら(1993)Neurosci.Lett.155:151−4;Goodmanら(1996)J.Neurochem.66:1836−44;Vedderら(1999)J.Neurochem.72:2531−8、これらは全て、参照されて本明細書に組み込まれる)、および多様なインビトロフリーラジカル発生系などが含まれる。さらに、ミトコンドリアグルタチオンなど、重要なフリーラジカル捕捉酵素の量の変化を測定することができる。例えば、Subramanianら(1993)Neurosci.Lett.155:151−4;およびVedderら(1999)J Neurochem.72:2531−8を参照。これらはいずれも、参照されて本明細書に組み込まれる。
さらに、培養されたサイトカイン刺激性マクロファージは亜硝酸塩、超酸化物、および過酸化水素を発生させる。マクロファージは、外傷性脳傷害後の48時間〜7日間、非常に活性が高いことが知られているため、これらの反応性細胞が減少すれば、ニューロンへの二次的損傷を軽減することができよう。例えば、Fulopら(1992)22nd Annual Meeting of the Society for Neuroscience18:178;Soaresら(1995)J.Neurosci.15:8223−33;Holminら(1995)Acta Neurochir.132:110−9を参照。これらは全て、参照されて本明細書に組み込まれる。
CNSへの虚血性傷害は、神経変性の程度および速度に影響を及ぼす一連の生理学的事象をもたらし、ひいては最終的な臨床転帰をもたらすことが認められている。CNSへの虚血性傷害の治療は、本発明によって明確にされているように、血液供給が最初に阻害された後に起こるさまざまな生理学的事象の一つ以上を抑制および/または予防することを包含する。したがって、本発明の方法は、中枢神経系に対する虚血性傷害の後に起こる神経変性をもたらすか、それに付随する生理学的事象を抑制および/または予防するのに利用することができる。
本明細書の他の箇所で説明されているように、虚血性CNS傷害は、例えば、NSE、ミエリン塩基性タンパク質、GFAP、S−100タンパク質、およびPKCgなどのタンパク質の放出または過剰発現、膜リン脂質分解およびその後の遊離脂肪酸の蓄積の促進、ATP枯渇によるエネルギー不全、細胞アシドーシス、グルタミン酸放出および興奮毒性、カルシウムイオン流入、ならびにフリーラジカル生成など、神経変性を引き起こす、特定の生理学的事象に関連している。虚血性CNS傷害後に神経変性を引き起こすか、またはそれに付随する生理学的事象を抑制および/または予防したことを測定するアッセイ法は、これらの生理学的事象のいずれかを測定することに向けられるかもしれない。例えば、NSE、ミエリン塩基性タンパク質、GFAP、S−100タンパク質、およびPKCgの量を測定するアッセイ法が当技術分野でよく知られている(例えば、Misslerら(1997)Stroke,28:1956−1960;Shashouaら(1984)J.Neurochem.,42:1536−1541;および米国特許第6,268,223号を参照。これらは全て、参照されて本明細書に組み込まれる)。脂肪酸の血清レベルの減少を測定ためのアッセイ法は、例えば、米国特許第4,071,413号、第5,512,429号、第5,449,607号、および第4,369,250号に記載されている、当技術分野において周知の方法によって測定することが可能である。
虚血性CNS傷害後に神経変性を引き起こすか、またはそれに関連する生理学的事象を抑制および/または回避したことを測定するための他のアッセイ法は、例えば、梗塞領域の縮小、体重の改善、および神経学的転帰の改善などを臨床的評価することに向けられる場合がある。そのような臨床検査法は当業者によく知られている。
ここまで本発明を一般的に説明してきたが、本発明は、例示のみのために本明細書に含まれ、特に記載がない限り、本発明を限定することを意図しないある具体的実施例を参照することによってよりよく理解することができよう。
実施例1:TBIによって引き起こされた神経損傷および行動異常に対するプロゲステロンの効果
方法:
雄のスプレイグ−ドーリー(Sprague−Dawley)ラット(300g)を飼育かごの中で個別に飼育し、逆転させた明暗周期(0800〜2000時)に置いた。動物を以下の4つの群の一つに割り当てた:(1)傷害(n=7)、(2)傷害+3日間のプロゲステロン処理(LP3;n=7)、(3)傷害+5日間のプロゲステロン処理(LP5;n=7)、および(4)模擬処理(n=8)。動物に対する処理はすべて、実験動物の管理と使用に関する指針(the Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)(U.S.Department of Health and Human Services,Pub no.85−23,1985)に示されたガイドラインに従って行い、エモリー大学実験動物管理使用委員会(the Emory University Institutional Animal Care and Use Committee)による承認を受けた。
既述されている通り[40]、空気衝撃装置により、内側前頭前皮質の両側に挫傷を作出した。要するに、ラットをケタミン/キシラジン(90mg/kg;10mg/kg)で麻酔にかけて、定位固定装置の中に置き、前頭前皮質の中線上で、その中心がブレグマに対して1.5mmAPとなるよう、頭蓋骨部分切除(直径6mm)を行った。骨を除去した後、衝撃装置の先端を+3.0mmAP、(ブレグマから)1.0mmMLの方向に動かし、クリアランスが十分であることを確認した。空気圧でピストンを駆動して、(硬膜から)−2.0mm DVのところに3m/sの速度で、脳との接触時間が0.5秒になるよう衝撃を与えて外傷を作出した。
プロゲステロンをピーナッツ油(Sigma、4mg/kg)で溶かし、傷害後1時間目および6時間目に注射し、その後、3日間または5日間連続して1日1回注射した。対照動物には、同じ時点でビヒクルの注射を行った。行動実験および組織学的検査の過程で実験者によるバイアスがかかるのを防止するために、手術および治療に関して動物を暗号化した。
手術後21日目に、100mlの0.1Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.4)、続いて、4%パラホルムアルデヒド入りの0.1Mリン酸緩衝液(PB;pH7.4)400mlで動物を潅流した。30%ショ糖で凍結保護した後、40μm厚の冠状切片を凍結ミロトーム上で切り、直ちにゲルコーティングしたスライドガラスに載せ、チオニンでニッスル染色して、傷害の配置および範囲を決定した。
300μmずつ離れた15の吻側−尾側レベルの切片から、傷害サイズの平均面積測定値を定量した。デジタル画像上で、トレースする各レベルについてmm単位で計算できるように較正したJandel Scientific SigmaScanソフトウエアを用いて、壊死空洞(傷害周縁部を含む)の周囲長をトレースした。線条体および側脳室の周囲長もトレースして、7つの吻側−尾側レベル(300μm間隔)の平均面積を定量した。
接眼ミクロメターグリッド(倍率400でサンプル領域=40μm)を備えたオリンパスBH−2顕微鏡で細胞計数を行った。以下の各領域中の3つの別々の切片について、ニッスル染色したニューロンの両側の細胞計数を行った:(1)STR(+1.8〜+1.2mm AP)、(2)GP(−0.3〜−1.2mm AP)、(3)DMN(−2.3〜−2.9mm AP)、および(4)VMN(−2.3〜−2.9mm AP)。ニューロン核と無傷の膜とを有する細胞だけをニューロンとして数えた。
本実験の処理条件について目隠しされた熟練者が、すべての組織学的解析および行動解析を行った。全てのデータは、パラメトリック分散分析(ANOVA)による解析を行う前に正規性および分散均一性(homeschedasticity)について検定を行った。2回の5日間の試験期間(それぞれ獲得および保持)のそれぞれについて、離散混合要因(separate mixed−factorial)(4群×5日間)分散分析法(ANOVA)を用いてMWMの結果を解析した。混合要因(4群×2回の傷害後試行)ANOVAを用いて、BSN作業の結果を解析した。平均のデンシトメトリー記録、面積測定、および細胞計数について、一元ANOVAを用いて、組織学的比較を行った。全ANOVAが群間で有意(p<05)であった場合に、テューキーの多重事後検定法(p<.05)を用いて、すべての群間比較を行った。ピアソン相関係数であるrを計算して、組織学的パラメーター(例えば、傷害サイズおよび細胞密度)と行動学的パラメーター(例えば、MWM作業の獲得および保持、ならびに感覚無視(sensory neglect))との間に有意な相関関係が検出され得るか否かを判定した。
手術後1週目から、空間学習能力を前述のモーリス水迷路(MWM)作業で評価した。2回の5日間の試行期間(それぞれ、獲得期間および保持期間)に分け、全部で10日間、各動物を試験した。動物を、(鼻をプールの壁に向けて)プールの無作為に決められた四つのスタート位置(例えば、N、S、E、W)に一つに置いた。各ラットは、隠されたプラットフォームを発見するか、または90秒経過するまで、プール内を自由に泳がせた。動物が90秒以内にプラットフォームを見つけなければ、その動物を人為的にそこに導いた。動物がプラットフォームにたどり着けば、そこで動物を10秒間休ませてから、プールから出して、暖を取らせるためにヒートランプの近くに置いた。各ラットにつき、20秒の試行間隔(ITI)で1日あたり2回試行を行わせた。この作業の依存的測定値は、隠されたプラットフォームを見つけるまでの所要時間および水泳戦略(内環で費やされた時間対外環で費やされた時間の割合)であった。学習不全に由来する運動機能障害を区別するために、水泳速度の測定結果を毎日記録した。
両側感覚無視(BSN)作業を用いて、手術の1日前(ベースライン)ならびに手術後6日目および20日目に認知能力を記録した。幾対もの円形の粘着紙(直径2cm)を各前肢の橈骨遠位部に貼付け、ラットがその刺激を取り除くまでの所要時間を記録した。各ラットにつき、最長試験時間を2分とした試験時間あたり4回の試行を行った(ITI2分)。ラットが標準時間内に粘着円盤を取り除かなければ、その試行に関して全所要時間である2分と記録した。
結果:
組織学:ほとんどの動物において、壊死組織は主に内側前頭前野および帯状皮質に限定されていた。しかし、場合によっては、より重篤な組織損傷が、脳梁、ならびに内側中隔および内側線条体の背側面の大部分の内部に広がっていた(データ省略)。壊死空洞形成に対する顕著な主効果が3つの傷害群の間で観察された(F2,19=3.57、P<.05)。テューキー事後分析により、壊死空洞形成が用量に依存して減少することが明らかになった。データ省略。とりわけ、プロゲステロンを投与された動物はすべて、ビヒクルを注射された傷害動物と比較して傷害が小さくなる傾向にあった。しかし、わずか5日間のプロゲステロンによって、壊死空洞形成全体が顕著に減少した(P<.05)。また、本発明者らは、対照動物と比較して、すべての傷害群において側脳室が拡大することを観察した(F3,25=5.28、P<.01)が、プロゲステロンはこの測定結果にまったく影響を及ぼさなかった。データ省略。平均線条体面積の測定値について、群間差異は見られなかった。
一元ANOVAによって、STR(F3,25=15.58、P<.01)、GP(F3,25=4.47、P<.01)、DMN(F3,25=5.37、P<.01)、およびVMN(F3,25=8.68、P<.01)で得られた計数結果に対する、群間における平均細胞密度の主な効果が明らかになった。テューキー事後検定の結果は、LP3処理およびLP5処理ともに、試験した脳領域のすべてで顕著な傷害誘導ニューロン損失の減少をもたらしたことを示した。ただし、5日間のプロゲステロンの方が、3日間のものよりも、VMN、すなわち傷害周縁部から最も遠位にある領域におけるニューロン損失の軽減に、より効果的であった。データ省略。
行動試験。MWM作業において、傷害群の全てが、最初の5日間の獲得期間中、対照動物に較べて、空間学習能力の欠如を示した(F3,25=19.45、P<.01)。しかし、テューキー事後検定によって、次の5日間の試行区では、LP5の動物では空間学習能力の改善が検出された(F3,25=6.76、P<.01)が、LP3の動物では検出されなかった。データ省略。
ANOVAによって、MWM作業の獲得(F3,25=28.23、P<.01)および保持(F3,25=12.25、P<.01)の間の水泳パターンに対する有意な主効果が明らかになった。データ省略。傷害を受けた動物はすべて、最初の5日間のMWM試行区間中、持続的な接触走性(壁に貼り付いた)水泳パターンを示した。しかし、LP5処理動物では、MWM試行の第二期の最後の2日間に接触走性行動の低下が観察され(対照と比較した場合、P<.05)、このグループで見られた、プラットフォームを発見するまでにかかる時間が減少したことと一致した。
手術の1日前に記録された感覚無視のベースライン測定値の群間差異はなかった。群間における有意な主効果(F3,25=6.17、P<.01)が、内側前頭前皮質に対する制御された皮質挫傷の後のBSN作業の結果で見られた。テューキー事後検定によって、傷害後6日目および20日目において、LP3処理動物だけが、対照動物と比較して、この作業が悪化したことが示された(データ省略)。
本発明者らは、組織学的測定値とMWM作業における能力との間に有意な相関があることを検出した。すなわち、第二の5日間試行区間において、壊死空洞形成とMWM能力の改善との間に正の相関があり、傷害が小さいほど、この作業の保持の改善をもたらすことを示唆した(r21=+.44、P<.05)。同様に、本発明者らは、MWM作業の第二期間において、細胞密度と空間学習能力との間に負の相関関係(r21=−.50、P<.05)があることを観察し、プロゲステロンによるニューロンのスペアリング(sparing)がより大幅な機能回復を可能にしたことを示している(データ省略)。最後に、本発明者らは、傷害サイズまたは細胞密度と感覚無視の測定値との間に有意な相関関係を観察しなかった。
まとめ:
傷害によって誘発される壊死空洞形成が減少したことは、傷害後の神経ステロイドによる介入が、この動物モデルにおいて、TBI後の傷害量を減少させ得ることの証拠となる。本実験において、本発明者らは、プロゲステロン処理された動物において、壊死空洞形成が用量に依存して減少することを観察した。特に、3日間だけしかプロゲステロンで処理されなかった動物(LP3)の脳の壊死空洞は、傷害動物の脳のものよりも小さくなる傾向があったが、わずか5日間の処理措置(LP5)により、著しく小さい傷害となった。ここで、本発明者らの研究は、プロゲステロンもTBIに誘発される実質損失を減弱することができるということの第一の証拠を提供する。
本発明者らの研究においては、プロゲステロンは、傷害領域の近位(例えば、STR)および遠位(例えば、GP、DMN、およびVMN)の脳領域における二次的な細胞損失に対しても防御した。興味深いことに、本実験において、3日間および5日間のプロゲステロン治療のどちらによっても、STR、GP、およびDMNにおけるニューロン損失が抑制されたが、LP−5処理だけが、無治療対照群と比較して、VMNの細胞損失の有意な低下をもたらした。
そして最終的に、本実験においては、すべての傷害処理群が、MWM試験の獲得段階に損なわれた。LP5動物は、対照のレベルにまではならなかったが、この作業の保持段階で空間能力に明白な改善を示した。神経病理学的パラメーター(例えば、壊死空洞形成およびニューロンのスペアリング)とMWMの成績との間に有意な相関関係が見出され、傷害サイズの細胞死がプロゲステロンによって減少すると同時に、プラットフォームを発見するまでの所要時間が減少することが示された。
実施例2:シクロデキストリンビヒクルに入れたプロゲステロンの投与に対する、TBI後の行動の回復の用量応答曲線
方法:
実施例1に概略したように、外傷性脳傷害を誘発するために手術を行った。実施例1に概略したように、モーリス水迷路を使用する行動試験を実施し、巧妙な接着物はがし(tactical adhesive removal)についての方法を実施した。
結果:
図1Aおよび1Bは、低用量および中用量のプロゲステロン(シクロデキストリン含有ビヒクル中8mg/kgおよび16mg/kg)では、モーリス水迷路の成績が一貫して向上を示したが、一方、高用量のプロゲステロン(シクロデキストリン含有ビヒクル中32mg/kg)では有益な効果が見られなかった。
ステッカーはがし作業(sticker removal task)は、前頭部傷害の一次障害である感覚無視をテストするものである。この作業では、最初のうちは、すべての用量で行動の回復が見られたが、高用量のプロゲステロンを受けた群は、傷害対照のレベルにまで退化し、中用量では、最初は傷害対照と同じレベルであったが、傷害後21日目までには、模擬処理レベルにまで改善した。図2参照。
実施例3:漸減的プロゲステロン退薬は外傷性脳傷害後の回復を促進させる
方法:
雄スプレイグ−ドーリーラットに、前頭前野中央部の傷害または模擬手術を施した。傷害後1時間目および6時間目、ならびに7日の間24時間ごとに注射を施した。処理群(n=8)は、傷害を受けた(I)および模擬処理(S)の急激な退薬(AW)、漸減的な退薬(TW)ならびにビヒクル(V)処理を包含していた。TW注射を、最後の2回の処理まで次第に半減させていった。手術後、退薬中および退薬後に行動実験を実施した。行動実験箱を使用して、上下運動および探索行動を調べた。また、感覚無視および不安行動も解析した。傷害後8日目または3週目に、脳採取を行った。潅流組織切片を、傷害量および免疫組織化学的応答に関して解析した。新鮮な脳組織は、冷却2−メチルブタンで急速冷凍してからウエスタンブロット解析のためにホモジナイズした。
結果:
急激な退薬と傷害(AWI)とは相互作用して、漸減的なプロゲステロン退薬(TWI)と較べると、不安、運動障害および感覚障害を増大させる。さらに、急激な退薬−模擬処理(AWS)ラットでは、他のすべての模擬ラットと比較して、運動不全が増大し、プロゲステロン漸減ラットと比較して不安を増大させた。神経保護因子BDNFおよびHSP70が、傷害後3週間で、TWI、AWI、VIの順に増加した。漸減ホルモン治療法のこの優れた効果は、傷害の復元(reconstruction)およびGFAP染色と相関した。すなわち、TWI動物の傷害容量が最も少なく、反応性星状細胞の数も最も少なく、次いてAWIで少なかったが、一方、VIの傷害容量が最も多く、また反応性星状細胞の数も最も多かった。アポトーシスおよび炎症は、p53、活性型カスパーゼ3、TNFα、およびNFκβによって示された通り、TWで低下した。
結論
急激なPWは、外傷性脳傷害後の行動回復および組織回復に対して強力な効果をもつ。退薬のピーク時に、プロゲステロン退薬症候群を起こしている動物は、不安、感覚障害、および運動障害の増大を示すが、これらは全て、傷害によってさらに悪化する。一週間後、AWI動物においては、行動障害の増大がなお顕著である。ウエスタンブロットにより、漸減的な退薬によって、アポトーシスおよび炎症に関連するタンパク質の発現が減少することが明らかになったが、すべてのプロゲステロン処理が、ビヒクルのみの対照よりも優れた転帰をもたらした。傷害後3週目で、傷害および急激なプロゲステロン退薬の複合効果は、プロゲステロン処理を徐々に減らした動物よりも大きな行動障害をもたらし続けた。これらの発見は、臨床試験において、投薬計画の最後に処理を突然停止するよりも、プロゲステロンを漸減的に退薬させた方が、CNS修復に有益であることを示唆するものと考えられ得る。
実施例4:プロゲステロンの漸減的退薬は、外傷性脳傷害後の長期にわたる回復を促進する。
TBIの後、AWが、TWに較べて不安行動や脳細胞の炎症の強化の原因となることが明らかになったため(実施例3参照)、本実験で、治療を停止してから2週間後のAWの行動および細胞に対する効果を調べて、傷害後の退薬の長期にわたる影響を判定した。
上記のように、外傷性の脳障害および脳卒中の後にプロゲステロン処理すると、二次的傷害および壊死の効果が低下する(Asburyら(1998)Behav.Brain Res.,97:99−106;Attellaら(1987)Behav.Neural.Biol.,48:352−367;Chenら(1999)J.Neurol.Sci,171:24−30;Galaniら(2001)Restor.Neurol.Neurosci,18:161−166;Gibsonら(2005)Exp.Neurol,193:522−530;Gibson and Murphy(2004)J.Cereb.Blood Flow Metab.,24:805−813;Grossmanら(2004)Brain Res.,1008:29−39;Kumonら(2000)J.Neurosurg.,92:848−852;Roofら(1994)Exp.Neurol.,129:64−69;Roofら(1994)“Progesterone Reduces BBB Damage Following Bilateral,Medial Frontal Contusion,”in Twenty−first Annual Meeting of the Society for Neuroscience,Miami Beach,FL,p.191;Roofら(1997)MoI.Chem.Neuropathol,31:1−11;Shearら(2002)Exp.Neurol,178:59−67;Vink and Van Den Heuvel(2004)Expert Opin.Investig.Drugs,13:1263−1274)。しかしながら、AWは、TWと比較して、TBI後の急速な回復期にアポトーシス、炎症、および不安行動の増加をもたらす(Cutlerら(2005)Exp.Neurol,195(2):423−429)。プロゲステロンを投与された動物はすべて、治療計画の内容とは無関係に、ビヒクル処理された動物よりも高い改善を示したが、TWを用いた場合には、炎症、アポトーシス、および機能不安の低下から明らかなように、より優れた回復を示した。AWは、GABA−Aと、プロゲステロン代謝物であるアロプレグナノロンとの相互作用を突然に低下させるため、不安、うつ状態、およびけいれん感受性をもたらす(Foldvary−Schaeferら(2004)Cleve.Clin.J.Med.,71:S11−18;Gulinelloら(2003)Eur.J.Neuroscl,17:641−648;Kulkarni and Reddy(1995)Drugs Today,31:433−455;Rupprecht(2003)Psychoneuroendocrinology,28:139−168;Smith(2002)Steroids,67:519−528)。その結果もたらされるNMDA活性化が、興奮性神経環境を生じさせる(Lukasiuk and Pitkanen(2000)J Neurochem.,74:2445−2454;Van Den Polら(1996)Neuroscience,74:653−674)。外傷ストレスが加わった場合、この効果が増幅されて、興奮毒性が増大する。段階的な退薬によって、この興奮毒性、二次傷害、および炎症が悪化することはない。
本実験では、TBI後3週間目に測定された機能回復に対するAWの効果を調べた。アポトーシスにおいて最も重要なタンパク質であるカスパーゼ3(Budihardjoら(1999)Annu.Rev.CellDev.Biol.15:269−290)が、退薬の際に増加するという発見を追究するために、アポトーシスの長期マーカーであるp53の上方制御および下方制御を測定した(Harris and Levine(2005)Oncogene 24:2899−2908)。p53タンパク質は、ミトコンドリア膜の透過性を変化させて、カスパーゼ3を含むアポトーシスプロテアーゼの活性化を誘導するチトクロームCを放出させる(Mattson(2003)Neuromolecular Med.3:65−94)。また、神経保護がTWによって増強されるか否かを判定するために、HSP70およびBDNF、ならびに壊死傷害空洞のサイズおよび反応性神経膠細胞症を測定した。BDNFおよびHSP70はともに、シナプス可塑性と栄養因子の放出とを促進するよう作用する(Binder and Scharfinan(2004)Growth Factors 22:123−131;Feinsteinら(1996)J.Biol Chem.271:17724−17732)が、一方、壊死傷害サイズが減少することは、保護および神経細胞のスペアリングがあることを示している。さらに、過去の研究では、プロゲステロンが、脳の浮腫および炎症に伴う反応性星状細胞の減少に関与していることが示されており(Djebailiら(2005)J.Neurotrauma22:106−118)、この利点も、漸減的退薬によって増強することができよう。
前述した退薬のピーク時における急激な退薬の広範な効果を考えると、これらの効果は、二次的傷害の当初のカスケードが治まった後の長期にわたる行動試験に現れると思われる。したがって、傷害後1週間から3週間TWを受けている被験動物群とAWを受けている被験動物群について、運動活性および体性感覚無視を測定した。
材料および方法:
被験体。傷害時に体重290〜310gの雄のスプレイグ−ドーリーラット60匹を本実験で使用した。手術の前後に食餌と水とは自由摂取させた。手術の7日前に到着してから、手術後3週目に脳を切除するまで、毎日動物の世話をし、体重を測定した。動物は、各実験条件につきn=10とし、12の小集団に分けて世話をした。動物の処理はすべて、エモリー大学実験動物管理使用委員会のプロトコール第131−2002号による承認を受けた。
手術。イソフルオラン(isofluorane)による麻酔を5%で4分45秒間誘導し、2.5%で維持した。滅菌ガーゼの下に置いた手術用暖房マットで正常な体温を維持した。頭皮の切開部位を剃って、ヨードとイソプロパノールとで消毒した。頭皮に沿って中線切開を行い、筋膜を除去して頭骨の表面を露出させた。中央、側面、および背面の定位座標をブレグマで決め、矢状縫合の中央(mid−sagitally)、ブレグマから3mm前方で、直径5〜7mmの両側性開頭手術を行った。前頭皮質中央(MFC)の傷害を、圧力1.7psi、速度2.25m/sで50msにわたって、2.5mmの深さまで、空気圧式皮質挫傷装置で作出した(直径5mm)。出血がなくなった後、縫合糸を用いて切開部を閉じた。動物は、覚醒するまで、暖房した清潔な回復用ケージの中に個別に置いてから、湿らせた食餌ペレットを食べることができる清潔な各別の飼育ケージに戻した。模擬処理動物は、麻酔させてから、頭頂部に切開を行った。筋膜を除去してブレグマを露出させてから、縫合糸で切開部を閉じた。模擬処理手術は、すべての実験条件について、傷害手術と同じであった。
プロゲステロン処理。模倣処理(S)および傷害処理(L)動物を、無作為に以下の3つの処理群のうち1つに振分けた:ビヒクル群(VS、VL)、急激退薬群(AWS、AWL)、および漸減退薬群(TWS、TWL)。16mg/kgのプロゲステロン治療薬を22.5%の2−ヒドロプロピル−β−シクロデキストリン(HBC)に溶かして、表2に示すように投与した。処理の最後の2日間、投薬量を半分ずつにして漸減を始めた。TW処理用の希釈液は、HBCの保存液を用いて作製した。注射は全て、傷害後1時間目は腹腔内に、手術後6時間目および処理サイクルが終るまでの毎24時間目には皮下に投与して行った。全実験で各実験群が全部でn=10になるよう、12匹ずつの動物を5セット用いた。これらの動物のうち、各試験条件について、行動データを取るためには全てを用い、タンパク質分析には4匹の試料を用い、組織学的解析には6匹の試料を用いた。
(表2 手術後プロゲステロン処理計画)
Figure 2008534515
デジスキャン自発運動測定箱。傷害の1日前と、退薬後1日目および7日目に、静かな環境中赤色光の下で、無作為順の盲検が行われた。各試験において、デジスキャン活動監視装置(AccuScan Instruments,Inc.Columbus,OH)を用いて、試験日当り全部で3回の試験を、最大4匹の動物に行った。デジスキャン自発運動測定箱の最も奥になる左側の隅にラットを置いた。その時、トグルスイッチを「オン」にした。正確に5分後、コンピュータは試験を停止し、すべての試験が、開始時間とは無関係に確実に同じ時間になるようにした。日付および試行番号に従ってファイルを保存し、糞便の塊の数を記録した。試験の合間に活動測定箱を70%エタノールで清掃して乾燥させた。センター部分滞在時間は、コンピュータによって、動物が隅から離れて、自発測定箱を探索するのに費やした時間と定義された。
前肢の体性感覚無視。退薬後1日目および7日目、自発運動試験の1時間後に静かな環境中赤色光の下で、無作為順の盲検が行われた。直径1.3cmの円形の標識を左前肢に付けて、ラットを、透明のプレキシガラス製の試験箱に入れた。各ラットがその口でステッカーを剥がすのに必要とした所要時間を、2分間の試験時間を最大として記録した。試験の合間に2分間の休憩時間を置いて、各動物を3回試験した。試験の合間に活動測定箱を70%エタノールで清掃して乾燥させた。
組織の調製。傷害後3週目に致死量である1mLのネンブタールを注射した後、全ての動物の頭部を切り離した。4%パラホルムアミドで経心的に灌流した後、組織学的解析のために脳を取り出した。4%パラホルムアミドで24時間固定し、その後、DI水中10%のショ糖溶液、次いで20%のショ糖溶液に入れた後、脳をマウントしてドライアイスで凍結させた。前頭部をクリオスタット上で25μmの切片に切り出して、1%ゼラチンでコートしたスライド上において−80℃で保存した。75μmの等間隔で並べた切片を、濃度勾配をつけたアルコール、すなわち100%および95%のアルコール(それぞれ5分間を2回)、そして70%アルコール(5分間を1回)で洗浄してから、傷害の復元を見るためにチオニン(300mLのDI HO中、チオニン1g、酢酸ナトリウム1.2g、氷酢酸0.4mL)で染色した。ブレグマから前方に4.2〜2.2mmの位置にあるチオニン染色した切片を確認して、コダック(Kodak)IDソフトウエアを用いて傷害領域を解析した。模擬処理脳切片の容量に対し標準化して、全脳面積を決定した。
タンパク質分析用の脳は、傷害の直近領域に切片化して、ドライアイス上で冷やした2−メチル−ブタンの中で素早く凍結させた。試料を−80℃で保存した。脳切片の重さを測定して一貫性を確保した上で、10μl/mlのプロテアーゼ阻害剤混合液(P8340,Sigma,St.Louis,MO)を加えた800mLのTperホモジナイズ用バッファー(78510,Pierce,Rockford,IL)中でガラス製の加圧型ホモジナイザー(Dounce)によってホモジナイズした。ホモジナイズした組織試料を−20℃で保存した。各試料に対し3段階希釈で3回反復して、BCAおよびクーマシータンパク質アッセイ法(23235,Pierce)を行ない、タンパク質濃度を測定した。これらのアッセイ結果から、ウエスタンブロットのための試料を2μg/μLに画一化するのに必要な脳ホモジネートの量を計算した。
免疫組織化学法。GFAP免疫蛍光染色に使用する切片をPBSで濯いでから、PBS中0.2%TritonXの中で5〜10分間インキュベートして、再び濯いだ。そして、切片をPBS中1.0%ウシ血清アルブミン(BSA)中で30分間インキュベートしてから、1%BSA中1:2000GFAP(MAB3402、Chemicon)下で4℃にて一晩放置した。PBSで濯ぎ、1%BSA中で10分間インキュベートした後、切片を、1%BSA中1:1000マウス結合AlexaFluor594(A21125,Invitrogen,Carlsbad,CA)二次抗体溶液中で4℃にて一晩インキュベートした。Vectashieldマウント用媒体(Mounting Medium)(H−1000、Vector Laboratories,Burlingame,CA)を用いて、スライドガラスにカバーを載せた。スライドガラスを、落射蛍光を装備したニコンオリンパス(Nikon Olympus)顕微鏡で拡大率40倍で調べた。画像を取得して解析する前に、顕微鏡を1μmに較正した。一切片につき、傷害領域に直接隣接する4つの別々の領域を解析した。Adobeフォトショップv.6.0で各処理群あたりn=6について明度を定量化した。144k+ピクセル画像のそれぞれについてレイティングを決めて、全体についてのピクセル当りの平均を求めた。
ウエスタンブロッティング。試料還元用バッファーを、Tris0.625M、10%グリセロール、2%のSDS、5%のβ−メルカプトエタノール、および0.001%のブロモフェノールブルーとして調製した。試料をタンパク質濃度2μg/μlに設定した。調製した試料を4〜20%勾配のTrisHCLゲル(345−0033,Biorad,Hercules,CA)に適用して、約1時間200mVで泳動した。そして、Criterionウエスタン転写用モジュール(165−6001,BioRad)中でタンパク質をPVDF膜上に転写して、ミルクタンパク質希釈液(50−82−00,KPL,Gaithersburg,MD)中で数時間ブロッキングしてから、p53(SC−1312,Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)、BDNF(AB1534,Chemicon,Temecula,CA)、およびHSP70(33−3800,Zymed,Carlsbad,CA)などの一次抗体の中で4℃にて一晩インキュベートした。翌日、HRP結合二次抗体(4−18−18,14−13−06,KPL)を2時間適用して、室温にて振とうさせた。ブロットを、SuperSignal West Dura基質(34076,Pierce)によって発色させ、濃度分析用にデンシトKodakスキャナーおよびKodak IDソフトウエアを用いた。泳動用の対照は、β−アクチンハウスキーピングタンパク質を用いて行った。
統計学。全ての結果を、平均値±平均値の標準誤差で表した。統計的有意性を、両側検定でp<0.05に設定し、データを、一元分散分析(ANOVA)を用いて解析した後、LSD事後検定を行った。F値は、すべての自由度をウエスタンブロッティングについては(5,18)、または行動については(5,26)にもつ、事後解析の開始値(preface)として提示される。
結果:
行動アッセイ。
退薬後1日目(図3A)および1週目(図3B)における体性感覚無視のデータを示す。どちらの時点でも、TWSおよびVSは差異を示さなかった。退薬後1日目に、AWSは、TWS群およびVS群と比較して高い感覚消失を示した(*、p<0.05、F=8.97)が、退薬後1週間目には、これらの差異は既に明確ではなくなっていた。どちらの時点でも、AWLとVLとは差異を示さなかったが、どちらも、1日から7日間で低下した。しかし、TWLは、実験の全コースにわたって同じ状態にあって、どちらの時点においても、VLおよびAWLと比較して消失が低下した(#、p<0.05、F=10.71、8.85)。
デジスキャン自発運動測定箱から測定されたセンター部分滞在時間は、退薬後1日目(図4A)から7日目(図4B)の間の感覚無視の進行に見られるパターンに類似したパターンをたどった。1日目には、AWS動物は、他の模擬処理に較べて有意に少ないセンター部分滞在時間を示し(*、p<0.05、F=6.79)、7日目には、すべての模擬処理動物は同じセンター部分滞在時間を費やした。TWS動物は、VS動物に較べるとセンター部分滞在時間が長かった(#、p<0.05、F=10.13)。このことは、退薬のピークを超えて、プロゲステロン退薬に不安惹起作用があることを示していた。どちらの時点においても、TWL動物は、AWL動物よりも長いセンター部分滞在時間を示したが(**、p<0.05、F=7.74、5.33)、AWL動物は、VL動物よりもセンター部分滞在時間が長かった(##、p<0.05、F=8/91、10.77)。
タンパク質解析。図5は、アポトーシスの長期間マーカーであるp53を示している。退薬後2週間目には、すべてのプロゲステロン処理動物は、ビヒクルによる模擬処理動物と区別できないp53レベルを示した。しかし、VL動物は、他の全ての群と較べて有意に高いp53レベルを示した(*、p<0.05、F=8.67)。神経保護タンパク質であるHSP70は、TWL動物で、VLおよびAWLよりも増加していた(*、p<0.05、F=26.94)(図6)。模擬処理動物は、処理群間における差異を全く示さなかった。
図7は、BDNFレベルが、AWLよりもTWLで増加し(*、p<0.05、F=6.88)、VLよりもAWLで増加した(#、p<0.05、F=6.57)ことを示している。模擬処理動物は、処理群間における差異を全く示さなかった。HSP70のデータと合わせて考えると、このことは、プロゲステロンの神経保護特性が漸減的治療レジメンによって増強されることを示している。
組織学。ブレグマから+2.2、+3.2、および+4.2mmのところで傷害の復元を行った。n=4で各深度について、全容量に対する傷害容量の割合を決定した。図8Aは、ブレグマの前方部の選択された切片の代表的な画像を示し、各傷害群について定量化したデータを図8Bに示している。TWL脳は、AWL動物およびVL動物より傷害が小さかった(*、#、p<0.05、F=7.32)が、AWLの傷害容量は、VL動物よりも減少していた(*、p<0.05、F=4.55)。
図9および図10は、傷害後3週間目に免疫蛍光GFAP染色によって測定された相対的な反応性星状細胞を示している。図9は、傷害部位、または模擬処理動物では対応する組織における各群の代表的な見え方を示しており、一方、図10は、n=6について平均した定量化された明度を示している。GFAPは、AWL(B)動物よりもVL(A)動物で上方制御されており、また、AWLでは、TWL(C)動物におけるよりも上方制御されていた(*、p<0.05、F=16.24、27.96)。AWS(E)動物は、VS(D)群およびTWS(F)群よりもGFAP反応性が上昇していた(#、p<0.05、F=9.71)。TWS群およびVS群は差異を示さなかった。
考察
本実験では、傷害後3週間の急激なプロゲステロン退薬の効果を調べ、選択的な長期にわたる影響があることを発見した。長期にわたる行動学的、解剖学的、および分子的な機能のいくつかの目安を調べて、活動、感覚、および細胞応答の回復を示した。
急激なプロゲステロン退薬と漸減的プロゲステロン退薬に対する長期間の行動応答を判定するために、自発運動試験と体性感覚無視試験とを実施した。プロゲステロンからの漸減退薬した動物の方が、感覚機能の回復および自発運動の両方について、退薬後1日目および1週間目によい成績を示した。さらに、退薬後1日目に、急激なプロゲステロン退薬を受けた模擬処理動物は、これらのアッセイにおいて、漸減処理またはビヒクル模擬処理された動物よりも大きな欠損を示したが、この効果は1週間後には消失した。退薬直後に見られた興味深い観察結果は、漸減模擬処理動物が運動箱のセンター部分で費やす時間が、ビヒクルによる模擬処理動物よりも多かったことである。この探索行動の増加は、急激な退薬のより重篤で興奮毒性かつ制限的な効果とは対照的に、段階的退薬による穏やかな興奮作用のせいであろう。また、穏やかな興奮状態は、TBI後の遅延運動が機能回復を改善したため、長期にわたる機能の回復をさらに促進する可能性がある(Griesbachら(2004)Neuroscience,125:129−139;Kleimら(2003)Neurochem.Res.,28:1757−1769;Willら(2004)Prog.Neurobiol,72:167−182)。
急激なPW対漸減的PWの選択的作用が、傷害後3週目の分子的解析についても見られた。退薬時には、漸減的PWよりも急激なPWの方でアポトーシスが増加した(Cutlerら(2005)Exp.Neurol,195:423−429)が、この効果は、p53タンパク質の量によって測定したところによると、2週間後にはもう明確ではなくなった。しかし、ビヒクル処理した動物は、プロゲステロン処理した動物よりも高いアポトーシスを維持した。
急激な退薬のより大きな長期間にわたる影響が神経保護に関して見られた。どちらも神経保護の指標であるBDNFとHSP70とが、急激な退薬よりも漸減的退薬で増加したが、すべてのプロゲステロン処理は、ビヒクル処理動物と比較してHSP70の増加をもたらした。特に、BDNFは、組織を損傷から保護するよう作用し、さまざまな機構を介して外傷後の神経可塑性を可能にする(Binder and Scharfman(2004)Growth Factors,22:123−131;Chuang(2004)Crit.Rev.Neurobiol,16:83−90;Gonzalezら(2004)Neuroscience,125:605−614)が、HSP70は、炎症応答と細胞毒性とを抑制することによって、神経保護因子として作用する(Feinsteinら(1996)J Biol Chem.,271:17724−17732)。これらをまとめると、今回の分子的な発見、および漸減的プロゲステロンの方が急激プロゲステロンよりも壊死傷害容量が少なく、急激プロゲステロンの方がビヒクル処理よりも壊死傷害容量が少ないことは、漸減的プロゲステロン投与により神経保護および神経可塑性が増強されるという全体像を明らかに示したのである。
GFAPに対する免疫蛍光染色によって、傷害部位に隣接した星状細胞の反応性の範囲が示された。GFAPの増加は、栄養因子が増加したことの顕著な特徴であり得るが、また、神経膠瘢痕、炎症、および脳浮腫があることも示す(Hattenら(1991)Glia,4:233−243;Leme and Chadi(2001)Arq.Neuropsiquiatr.,59:483−492)。予測されていたように、本実験では、ビヒクル処理傷害動物での応答の増強と、急激なプロゲステロン処理傷害動物でのGFAP反応の低下とが観察された。漸減的プロゲステロン処理傷害動物では、GFAP反応がさらに低下した。
また、急激なPW模擬処理群において、GFAP免疫蛍光の明度の増加が見られたことにも注意すべきである。理論にとらわれるのではないが、模擬処理応答のメカニズムは、急激なPWに起因する効果だけに基づき得る。急激なプロゲステロン退薬の後、NMDA受容体とシグマ受容体との作用の増加によって、神経が興奮する環境が作り出される。この興奮の程度は、投与用量および投与期間など、いくつかの要素に依存し(Rupprechtら(2001)Brain Res.Brain Res.Rev.,37:59−67;Rupprecht and Holsboer(2001)Int.Rev.Neurobiol.46:461−477)、外傷などの外部事象とも複合する可能性がある。したがって、興奮毒性環境から回復する効果は、急激なPW模擬処理動物に見られるように、栄養因子放出の増加であるかもしれない(Acarinら(1999)J.Neuropathol.Exp.Neurol,58:389−397;Horvathら(2000)Eur.J.Pharmacol.405:33−42)。
これらの分子的および免疫組織学的な複合データは、上記したこれまでの知見を支持するものであり(実施例3;Cutlerら(2005)Exp.Neurol,195(2):423−429を参照)、プロゲステロンは、重要な治療上の処置であり得るが、その有益な効果は、急激なPWに起因する二次的合併症を軽減させることでさらに高められる。これらの知見の臨床上の意義は、TBIの後の緊急なリハビリテーション要件および長期のリハビリテーション要件の両方に対する効果的な応答を設計する上で有望である。治療を最適化し、機能回復のすべての段階を促進するために、現在の研究を、運動や高密度の環境など、外傷後のリハビリテーションを包含して利用することができるかもしれない(Griesbachら(2004)Neuroscience,125:129−139;Kempermannら(2000)Prog.Brain Res.,127:35−48;Willら(2004)Prog.Neurobiol,72:167−182)。また、若年成人がTBIに関する最も大きな人口層であるが、未成熟な患者および高齢の患者も、揺さぶられっ子症候群、事故、および転落によって、TBIの統計に有意に寄与しており(CDC,2004)、このような治療戦略による恩恵も受けることができる。
最後に、長期および短期の回復の指標が、漸減的プロゲステロン治療によって上昇する。この知見は、TBIに対する安全で効果的な臨床治療をより効果的に設計、研究、および実施することを可能にする。
まとめ
成獣の雄スプレイグ−ドーリーラットに、両側性前頭皮質挫傷(L)手術または模擬(S)手術を行った。傷害後1時間目および6時間目、その後24時間おきに6日間、ラットに注射を行った。ビヒクル(V)処理したラットに22.5%シクロデキストリンを9回注射したが、AWラットには、16mg/kgのプロゲステロンを9回注射し、TWラットには、16mg/kgのプロゲステロンを7回注射した後、8mg/kgを1回、また4mg/kgを1回注射した。8日目に、感覚無視試験と自発運動試験とを開始した。TBI後22日目に動物を殺して、分子的解析または組織学的解析のために脳を調製した。ウエスタンブロッティングによって、TW動物対AW動物においてBDNFおよびHSP70が増加することが明らかになった。P53はVL動物で増加したが、プロゲステロン処理群はすべて、模擬処理群と同等であった。TW動物は、AW動物よりも感覚無視が顕著に低下し、自発運動アッセイ法ではセンター部分滞在時間が増加した。さらに、傷害の復元によって、AWL動物よりもTWL動物、VL動物よりもAWL動物で傷害サイズが減少したことを明らかにした。GFAP免疫蛍光染色も、このパターンをたどる。結論として、TBIの後、AWは、慢性回復期間における選択された行動および分子マーカーに影響を与える。
本明細書に記載した刊行物および特許出願はすべて、本発明が属する技術分野における当業者の技術水準を示すものである。刊行物および特許出願はすべて、各刊行物または特許出願が、具体的かつ個別に参照されて組み込まると記載されているのと同じ程度に、参照されて本明細書に組み込まれる。
前記発明を、明確に把握するために図解および実施例によって詳しく説明したが、添付の請求項の範囲内で一定の改変および修正を行うことができるのは自明のことである。
外傷性脳傷害の後の行動回復に関する用量応答曲線を示す。図1Aおよび1Bは、シクロデキストリン含有担体中の低用量(8mg/kg)、中用量(16mg/kg)、および高用量(32mg/kg)のプロゲステロンで処理した後、低用量および中用量のプロゲステロンではモーリス水迷路の成績が一貫して向上したことを示している。 外傷性脳傷害の後の行動回復に関する用量応答曲線を示す。図1Aおよび1Bは、シクロデキストリン含有担体中の低用量(8mg/kg)、中用量(16mg/kg)、および高用量(32mg/kg)のプロゲステロンで処理した後、低用量および中用量のプロゲステロンではモーリス水迷路の成績が一貫して向上したことを示している。 シクロデキストリン含有担体中の低用量(8mg/kg)、中用量(16mg/kg)、および高用量(32mg/kg)のプロゲステロンで処理した後の「ステッカーはがし作業」の結果を示している。 退薬後1日目(図3A)および1週間目(図3B)における体性感覚無視(somatosensory neglect)データを示す。図3Aは、退薬後1日目で、TWL動物が、VL動物およびAWL動物と比較して所要時間の減少を示したことを示している(#、p<0.05)。AWSラットは、TWSグループおよびVSグループと比較して高い感覚欠損を示した(*、p<0.05)。図3Bは、退薬後1週間目で、模擬処理動物が、同じような所要時間を示したのに対し、漸減処理は、急性およびビヒクルによる処理に比較して少ない所要時間を維持したことを示している(#、p<0.05)。 Digiscan自発運動測定箱(Digiscan Locomoter Activity Boxes)より測定した、退薬後1日目(図4A)と7日目(図4B)との間におけるセンター部分滞在時間(center time)を示す。図4Aは、退薬した1日後には、TWS動物でセンター部分滞在時間が、他のすべての模倣処理動物に比較して増加し(#、p<0.05)、一方、TWLのセンター部分滞在時間は、他の傷害グループと比較して増加した(**、p<0.05)ことを示している。AWL動物では、ビヒクル処理動物に較べてセンター部分滞在時間が増加し(##、p<0.05)、AWS動物では、VS動物と比較するとセンター部分滞在時間が有意に減少した(*、p<0.05)。図4Bは、退薬してから1週間後のTWLのセンター部分滞在時間が、AWLよりも増加しており(**、p<0.05)、AWLは、VLよりも増加している(##、p<0.05)ことを示した。模擬処理グループ間では差異が見られなかった。 実験グループ間におけるp53のウエスタンブロッティングのデンシトメトリーを示しており、VL動物で、他のすべての処理グループよりもアポトーシス活性が増加したことを明らかにしている(*、p<0.05)。 実験グループ間におけるHSP70のウエスタンブロッティングのデンシトメトリーを示しており、TWL動物における増加が、他のすべてのグループを上回ったことを明らかにしている(*、p<0.05)。 実験グループ間におけるBDNFのウエスタンブロッティングのデンシトメトリーを示しており、TWL動物における増加が、他のすべてのグループを上回っており(*、p<0.05)、続いてAWLにおいて増加したことを明らかにしている(#、p<0.05)。VL BDNFレベルは、模擬処理グループと同等であった。 ブレグマよりも前方部の選択された切片の代表的な画像(図8A)および各傷害グループについて定量化したデータ(図8B)を示す。図8Aは、傷害をもつ動物のブレグマから前方にmmにおける代表的なチオニン染色切片を示す。図8Bは、傷害後3週目の傷害量の割合が、ビヒクル処理された動物において最大であり、次に急に退薬した動物(*、p<0.05)および漸減的に退薬した動物がそれに続くことを示している。 傷害後3週目に免疫蛍光GFAP染色によって測定された相対的反応性星状細胞を示す。以下のグループに由来する脳切片におけるGFAPの免疫蛍光染色を示す:(A)VL;(B)AWL;(C)TWL;(D)VS;(E)AWS;および(F)TWS。画像は40倍で、10μmが示されている。 傷害後3週目に免疫蛍光GFAP染色によって測定された相対的反応性星状細胞を示す。反応性星状細胞のGFAP免疫蛍光染色の光度を定量化すると、VL(*、p<0.05)動物で最大応答、次いでAWL(**、p<0.05)動物およびTWL動物であることが示されたことを明らかにしている。AWS動物では、他の模倣グループmと比較して、反応性星状細胞のレベルが有意に上昇した(#、p<0.05)。

Claims (10)

  1. 治療上有効量のプロゲステロンを、それを必要とする被験体に投与することを含む、中枢神経系の外傷性傷害を治療する方法であって、プロゲステロンの投与を停止する前に、該投与が漸減投与投薬レジメンを含む方法。
  2. 中枢神経系の前記外傷性傷害が外傷性脳傷害である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記外傷性脳傷害が鈍器による挫傷によって生じる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記漸減投与投薬レジメンが、プロゲステロンの投薬量を50%ずつ徐々に減らしていくことを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記漸減投与投薬レジメンが線形の漸減を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記線形の漸減が10%の線形漸減である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記漸減投与投薬レジメンが指数漸減を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記漸減投与投薬レジメンを、プロゲステロンを一日に少なくとも一回投与することと併用して用いる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記漸減投与投薬レジメンの前に前記被験体に投与される前記治療上有効量のプロゲステロンが、プロゲステロンの一定量投薬レジメンを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記漸減投与投薬レジメンの前に前記被験体に投与される前記治療上有効量のプロゲステロンが、プロゲステロンの二段階投薬レジメンを含む、請求項1に記載の方法。
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