JP2008528550A - 駆虫性イミダゾール−チアゾール誘導体 - Google Patents

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Abstract

本発明は新規な駆虫性化合物、テトラヒドロ−フラン−2−カルボン酸−[3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニル]−アミドならびのその製薬学的に許容され得る酸付加塩及び立体化学的異性体ならびに該新規な化合物を含んでなる製薬学的組成物、該化合物及び組成物の調製方法ならびに特に温血動物における内部−及び外部寄生虫感染の処置、抑制及び予防における薬剤としてのその使用に関する。

Description

本発明は新規な駆虫性テトラミソール(tetramisole)誘導体及びその製薬学的に許容され得る酸付加塩、該新規な化合物を含んでなる組成物、該化合物及び組成物の調製方法ならびに特に温血動物における内部−及び外部寄生虫感染の処置、抑制及び予防における薬剤としてのその使用に関する。
テトラミソール及びレバミソール(levamisole)は、以下の構造を有する非常に良く知られた駆虫薬である:
Figure 2008528550
(テトラミソールはラセミdl−型であり、レバミソールはエナンチオマー的に純粋なl−型である)。
最も良く知られた駆虫薬の1つはレバミソールであり、それは農場動物において、特にヒツジ及びウシにおいて線形動物寄生虫の抑制に広く用いられてきた。しかしながら、駆虫薬に耐性の線形動物の出現が農場動物において、特に線形動物、ハエモンクス・コントルツス(Haemonchus contortus)に関して大きな問題となってきた。さらに畑環境において、レバミソール、メベンダゾール(mebendazole)及びイベルメクチン(ivermectin)のような広く用いられる駆虫薬に対して耐性を発現した多剤−耐性株が見出された。従って、レバミソール耐性及び多剤−耐性線形動物に対する駆虫活性を有する新規な駆虫薬を見出す必要がある。
他のテトラミソール駆虫薬は、例えば特許文献1に開示されており、それはフラン−2−カルボン酸[3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニル]−アミドを化合物(163)として及び(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−[3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニル]−アミンを化合物(110)として例示している。後者の化合物は特許文献2にも化合物(81)として開示されている。
米国特許第4,014,892号明細書 英国特許第1,365,515号明細書
本発明は新規な式(I)
Figure 2008528550
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸付加塩及び立体化学的異性体に関する。
薬理学的実施例C.1に示される通り、本発明の化合物はハエモンクス・コントルツスの多剤−耐性株(レバミソール、メベンダゾール、イベルメクチン及びクロサンテル(closantel)に対して耐性)に対し、当該技術分野において既知の化合物、フラン−2−カルボン酸[3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニル]−アミド(記述中で化合物(A)と言及される)及び(テトラヒドロフラン−2−イルメチル)−[3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニル]−アミン(記述中で化合物(B)と言及される)より予期に反する優れた駆虫活性を有する。
上記で言及した製薬学的に許容され得る酸付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性酸付加塩の形態を含むものとする。塩基の形態をそのような適した酸で処理することにより、これらの製薬学的に許容され得る酸付加塩を簡単に得ることができる。適した酸は、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などを含んでなる。
逆に、適した塩基を用いる処理により、該塩の形態を遊離の塩基の形態に転換することができる。
前記で用いられた「立体化学的異性体」という用語は、式(I)の化合物が有し得るすべての可能な異性体を定義する。他にことわるか又は示さなければ、式(I)の化合物の化学的名称は、すべての可能な立体化学的異性体の混合物を包含し、該混合物は、基となる分子構造のすべてのジアステレオマー及びエナンチオマーを含有する。さらに特定的に、ステレオジェン中心はR−もしくはS−立体配置を有し得る。式(I)の化合物は、下記の構造中で星印により示される2個のキラル炭素原子を有し、
Figure 2008528550
合計で4種の立体異性体を与える。式(I)の化合物の4種の個々の立体化学的異性体のすべてならびにすべての可能なそれらの混合物が明らかに本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
式(I)の化合物及びそれらの製造において用いられる中間体の絶対立体化学的配置は、例えばX−線回折のような周知の方法を用いて当該技術分野における熟練者が容易に決定することができる。
さらに、いくつかの式(I)の化合物及びそれらの製造において用いられる中間体のいくつかは多形を示し得る。本発明は上記に記した状態の処置において有用な性質を有するいずれの多形相も包含することが理解されるべきである。
特別な群の化合物は、2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール部分の6−位において(S)−立体配置を有する式(I)の化合物として定義される式(I−a)の化合物である。
Figure 2008528550
好ましい化合物は、(2R)−テトラヒドロ−フラン−2−カルボン酸(6S)−[3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニル]−アミドである。
式(I)の化合物は一般に、HClを用いて酸性化されたジオキサン溶液中に溶解された式(V)の中間体を、アセトニトリルのような反応に不活性な適した溶媒中で式(IV)の中間体と反応させることにより製造することができる。
Figure 2008528550
式(IV)の中間体は、下記に概述される通りに製造することができる。商業的に入手可能な出発化合物、2−ブロモ−1−(3−ニトロフェニル)−エタノン酸を4,5−ジヒドロチアゾールアミンと反応させ、得られる中間体(I)を次いでエタノールのような適した溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムのような適した還元剤を用いて還元し、中間体(II)を与える。次いでジクロロエタンのような反応に不活性な溶媒中で塩化チオニルを用いて中間体(II)を処理し、それにより中間体(III)の2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾリル環を形成する。中間体(III)を最初にそのHCl付加塩に転換してから、鉄粉末及びNHCl水溶液又はSnClのような当該技術分野において既知の還元剤を用いてそのニトロ基をアミノ基に還元し、それにより中間体(IV)を与える。
Figure 2008528550
中間体(V)は、テトラヒドロ−2−フランカルボン酸を塩化オキサリルと反応させることにより、それをその塩化アシル類似体に転換することにより製造される。(R)−もしくは(S)−テトラヒドロ−2−フランカルボン酸から出発することにより、中間体(V)をその立体異性体的に純粋なそれぞれ(R)−もしくは(S)−エナンチオマーとして製造することもできる。
Figure 2008528550
キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーのような当該技術分野において既知の分離法を用い、式(III)の中間体をその(+)−もしくは(−)−立体異性体に分離することができる。
Figure 2008528550
上記の方法で製造される式(I)の化合物は、エナンチオマーのラセミ混合物の形態で合成され得、それを当該技術分野において既知の分割法に従って互いから分離することができる。ラセミ形態で得られる式(I)の化合物を、適したキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩の形態に転換することができる。該ジアステレオマー塩の形態を続いて例えば選択的もしくは分別結晶化により分離し、アルカリによりそこからエナンチオマーを遊離させる。式(I)の化合物のエナンチオマー形態を分離する別の方法は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。該純粋な立体化学的異性体を、適した出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもでき、但し、反応は立
体特異的に起こる。好ましくは、特定の立体異性体が望ましい場合、該化合物は立体特異的な製造方法により合成されるであろう。これらの方法は、有利にはエナンチオマー的に純粋な出発材料を用いるであろう。
式(I)の化合物、その製薬学的に許容され得る塩及び立体異性体は、好ましい駆虫活性を有する。従って本式(I)の化合物は、温血動物における内部−及び外部寄生虫感染の処置、抑制及び予防における薬剤として有用である。
内部−及び外部寄生虫には線形動物、例えばアミドストムム(Amidostomum)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma)、アンギオストロンギルス(Angiostrongylus)、アニサキス(Anisakis)、カイチュウ(Ascaris)、ブルギア(Brugia)、ブノストムム(Bunostomum)、毛細線虫(Capillaria)、チャベルチア(Chabertia)、コーペリア(Cooperia)、シアトストムム(Cyathostomum)、シリコシクルス(Cylicocyclus)、ジクチオカウルス(Dictyocaulus)(肺虫)、ジペタロネマ(Dipetalonema)、犬糸状虫(Dirofilaria)(イヌシジョウチュウ(heartworm))、メディナ虫(Dracunculus)、エラエオフォラ(Elaeophora)、ガイゲリア(Gaigeria)、グロボセファルス・ウロスブラツ(Globocephalus urosubulatu)、捻転胃虫(Haemonchus)、ヘテラキス(Heterakis)、ヒオストロンギルス(Hyostrongylus)、肺虫(Metastrongylus)(肺虫)、ムエレリウス(Muellerius)(肺虫)、ネカトル・アメリカヌス(Necator americanus)、ネマトジルス(Nematodirus)、ネオアスカリス(Neoascaris)、オエソファゴストムム(Oesophagostomum)、オンコセルカ(Onchocerca)、オステルタギア(Ostertagia)、ウマギョウチュウ(Oxyuris)、馬回虫(Parascaris)、プロトストロンギルス(Protostrongylus)(肺虫)、セタリア(Setaria)、ステファノフィラリア(Stephanofilaria)、糞線虫(Strongyloides)、円虫(Strongylus)、交合線虫(Syngamus)、テラドルサギア(Teladorsagia)、トクスアスカリス(Toxascaris)、犬回虫(Toxocara)、旋毛虫(Trichinella)、毛様線虫(Trichostrongylus)、鞭虫(Trichuris)、ウンシナリア・ステノセファラ(Uncinaria stenocephala)及びウチェレリア・バンクロフチ(Wuchereria bancrofti)が含まれる。
本文を通じて用いられる温血動物はヒト及びヒト以下の動物、例えば農場動物(例えばヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギ又はウマ)、家庭動物(例えばイヌ、ネコ又はモルモット)ならびに捕われている野生動物及び鳥類(例えば家禽)の両方を含む。
式(I)の化合物の有用性の観点から、本発明は温血動物における内部−及び外部寄生虫感染の処置、抑制及び予防の方法も提供することになる。この方法は、その必要のある温血動物に式(I)の化合物の治療的に有効な量を投与することを含む。
本明細書で用いられる「式(I)の化合物の治療的に有効な量」という用語は、医師又は獣医師が求めている生物学的又は医学的反応を温血動物において引き出す式(I)の化合物の量を意味し、反応には処置されている状態の症状の軽減が含まれる。治療的に有効な量は慣例的な最適化法を用いて決定され得、処置されるべき特定の状態、温血動物の状態、投与経路、調剤及び開業医(practitioner)の判断ならびに当該技術分野における熟練者に明らかな他の因子に依存する。治療的に有効な量を複数の投薬により達成することができる。
さらに本発明は、少なくとも1種の製薬学的に許容され得る担体及び式(I)の化合物の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
ヒトを含む温血動物における使用のために、式(I)の化合物を単独で投与することができるが、一般に意図される投与経路及び標準的な製薬学的慣習の点で選ばれる製薬学的もしくは獣医学的に許容され得る希釈剤又は担体との混合物において投与されるであろう。例えばデンプン又はラクトースのような賦形剤を含有する錠剤の形態で、あるいは単独でもしくは賦形剤との混合物においてカプセル又は卵(ovules)中で、あるいは風味剤もしくは着色剤を含有するエリキシル剤、溶液又は懸濁剤の形態で、舌下を含んで経口的にそれらを投与することができる。経口的投与に続く特定の時間、カプセル、錠剤又は大型丸剤の溶解を遅らせることを介して結腸又は十二指腸を標的とするために、式(I)の化合物を該カプセル、錠剤又は大型丸剤中に導入することができるはずである。式(I)の化合物を非経口的に、例えば静脈内、筋肉内又は皮下に注入することができる。非経口的投与のために、それらは無菌の水溶液又は水性懸濁剤の形態で最適に用いられ、それは他の物質、例えば溶液を血液と等張にするのに十分な塩又はグルコースを含有することができる。式(I)の化合物を無菌のクリーム、ジェル、ポア−オン又はスポット−オン調剤、懸濁剤、ローション、軟膏、散布剤、スプレー、薬剤−導入包帯の形態で、あるいは皮膚パッチを介して局所的に投与することができる。例えば式(I)の化合物を、ポリエチレングリコール又は液体パラフィンの水性又は油性エマルジョンから成るクリーム中に導入することができるか、あるいはそれらを白蝋軟質パラフィン基材から成る軟膏中に導入することができるか、あるいはセルロース又はポリアクリレート誘導体又は他の粘度調整剤を有するヒドロゲルとして、あるいは乾燥粉末又は液体スプレー又はブタン/プロパン、HFAもしくはCFCプロペラントを有するエアゾールとして、あるいは白色軟質パラフィンを有するチュール包帯又はポリエチレングリコール含浸ガーゼ包帯としての薬剤−導入包帯として、あるいはヒドロゲル、ヒドロコロイド、アルギネート又はフィルム包帯を用いて(投与することができる)。式(I)の化合物を適した緩衝剤、粘度調整剤(例えばセルロース誘導体)、防腐剤(例えばベンズアルコニウムクロリド(BZK))及びテニシティ(tenicity)を調整するための薬剤(例えば塩化ナトリウム)を有する点眼剤として眼内に投与することもできる。すべてのそのような調剤は、適した安定剤及び防腐剤も含有することができる。
獣医学的使用のために、通常の獣医学的慣習に従って適切に許容され得る調剤として化合物を投与することができ、獣医学者は特定の動物に最も適しているであろう投薬管理及び投与経路を決定することができるであろう。
局所的適用のために、浸漬剤(dip)、スプレー、粉剤、微粉剤、ポア−オン、スポット−オン、乳化可能な濃厚液、噴射液、シャンプー、カラー、タグ又はハーネスを用いることができる。そのような調剤は標準的な獣医学的及び製薬学的慣習に従って通常の方法で調製される。かくして活性成分を、場合により崩壊剤及び/又は結合剤、例えばデンプン、ラクトース、タルク又はステアリン酸マグネシウムを含有することができる適した微粉砕された希釈剤又は担体と混合することにより、カプセル、大型丸剤又は錠剤を調製することができる。活性成分を水溶液中に分散剤又は湿潤剤と一緒に分散させることにより飲薬調剤を調製することができ、無菌の溶液又は乳剤の形態で注入可能な調剤を調製することができる。活性成分を許容され得る液体担体ビヒクル、例えばブチルジゴール(butyl digol)、液体パラフィン又は不揮発性エステル中に、イソプロパノールのような揮発性成分を加えてかもしくは加えずに溶解することにより、ポア−オン又はスポット−オン調剤を調製することができる。
あるいはまた、ポア−オン、スポット−オン又はスプレー調剤をカプセル封入により調
製し、動物の表面上に残留活性成分を残すことができる。これらの調剤は、処置されるべき宿主動物の種、感染の重度及び型ならびに宿主の型及び体重に依存して、活性化合物の重量に関して多様であろう。式(I)の化合物を含んでなる調剤を既知の方法により継続的に、特に予防のために投与することができる。
代わりに、動物の飼料との組み合わせを投与することができ、この目的のために濃厚飼料添加物又はプレミックスを通常の動物飼料との混合用に調製することができる。
ヒトにおける使用のために、式(I)の化合物は通常の医学的慣習に従う製薬学的に許容され得る調剤として投与される。
作用範囲を広げるか又は耐性の発生(buildup)を妨げるために、式(I)の化合物を他の駆虫薬又は抗寄生虫薬と一緒に用いることができる。他の駆虫薬は、例えばアベルメクチン類(avermectines)及びミルベマイシン類(milbemycines)、例えばアバメクチン(abamectin)、シデクチン(cydectin)、ドラメクチン(doramectin)、エプリノメクチン(eprinomectin)、イベルメクチン(ivermectin)、ミルベマイシン、ミルベマイシンD、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチン(moxidectin)、セラメクチン(selamectin)など;ベンズイミダゾール類、例えばアルベンダゾール(albendazole)、カムベンダゾール(cambendazole)、フェンベンダゾール(fenbandazole)、フルベンダゾール(flubendazole)、メベンダゾール(mebendazole)、オクスフェンダゾール(oxfendazole)、パルベンダゾール(parbendazole)、オキシベンダゾール(oxibandazole)及びシクロベンダゾール(cyclobendazole);プロ−ベンズイミダゾール類、例えばフェバンテル(febantel)、チオファネート(thiophanate)及びネトビミン(netobimin);サリチルアニリド類、例えばクロサンテル(closantel)及びニクロサミド(niclosamide);イミダゾチアゾール類、例えばブタミソール(butamisole)及びレバミソール(levamisole);テトラヒドロピリミジン類、例えばモランテル(morantel)、ピランテル(pyrantel)及びピランテルパモエート;ヘキサヒドロ−ピラジノイソキノリン類、例えばプラジクアンテル(praziquantel);ならびにサッカロポリスポラ・スピノサ(Saccharopolyspora spinosa)の発酵により生産されるマクロライド類、例えばスピノシンA(spinosyn A)、スピノシンD又はスピノサド(spinosad)である。
寄生虫病の処置における熟練者は、後記に示される試験結果から、式(I)の化合物の治療的に有効な量を容易に決定するであろう。一般に治療的に有効な用量は、処置されるべき温血動物の体重のkg当たり約0.1mg〜約20mg、より好ましくは体重の1kg当たり約1mg〜約10mgであろうことが意図されている。治療的に有効な用量を、1日を通じて適した間隔で2回もしくはそれより多い細分投薬量の形態で投与するのが適しているかも知れない。
正確な用量及び投与の頻度は、当該技術分野における熟練者に周知の通り、用いられる特定の式(I)の化合物、処置されている特定の状態、処置されている状態の重度、特定の温血動物の年令、体重及び一般的身体条件ならびに温血動物が摂取している可能性のある他の投薬(上記で挙げた追加の駆虫薬又は抗寄生虫薬を含む)に依存する。さらに、処置される動物の反応に依存して、及び/又は本発明の化合物を処方する医師又は獣医師の評価に依存して、該有効な1日の量を減少させるか又は増加させることができる。従って上記で挙げた有効な1日の量の範囲は、単に指針である。
実験部分
A.中間体の合成
実施例A.1
Figure 2008528550
ジクロロメタン(250ml)中の(+)−(R)−テトラヒドロ−2−フランカルボン酸(6.65ml)の溶液を窒素下に、室温で攪拌し、次いでエタンジオイルジクロリド(12.1ml)及び無水ジメチルホルムアミド(3滴)を加えた。反応混合物を2.5時間攪拌し、次いで溶媒を蒸発させ、2回トルエンと共蒸発させ、(2R)−テトラヒドロ−2−フランカルボニルクロリド(中間体1)を与えた。
類似の方法で、商業的に入手可能なテトラヒドロ−2−フランカルボン酸から出発してラセミテトラヒドロ−2−フランカルボニルクロリドを製造し、商業的に入手可能な(−)−(S)−テトラヒドロ−2−フランカルボン酸から出発して(2S)−テトラヒドロ−2−フランカルボニルクロリドを製造した。
実施例A.2
Figure 2008528550
機械的攪拌機、温度計及び滴下ロートを有する4−口フラスコ中で、2−プロパノン(1000ml)中の4,5−ジヒドロチアゾールアミン(1.95モル)の懸濁液を攪拌した。次いで温度を20℃より低く保つために氷浴上で冷却しながら、2−プロパノン(2500ml)中の2−ブロモ−1−(3−ニトロフェニル)エタノン(1.93モル)の溶液を滴下した。反応混合物を終夜攪拌した。得られる沈殿を濾過し、2−プロパノンで洗浄し、乾燥し、640gの中間体(2)を与えた。
Figure 2008528550
エタノール(3000ml)中の中間体(2)(1.85モル)の懸濁液を氷浴上で冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(2.78モル)を分けて加え、反応混合物が室温に温まるのを終夜許した。飽和NaHCO溶液(1000ml)及び水(500ml)を加え、クエンチングの後、ジクロロメタンを加えた。得られる混合物を1時間攪拌し、水層をジクロロメタンで抽出した(4x1000ml)。有機層を合わせ、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、469gの中間体(3)を与えた。
Figure 2008528550
1,2−ジクロロエタン(3000ml)中の中間体(3)(0.34モル)の懸濁液を室温で攪拌し、1,2−ジクロロエタン(150ml)中の塩化チオニル(0.68モル)の溶液を6時間かけて滴下した。反応混合物を終夜攪拌し、NaHCO(1500ml)を注意深く加えた。反応混合物を40℃に温め、6時間攪拌し、次いで水層を除去した。有機層を飽和NaHCO溶液で洗浄し(4x1000ml)、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた。得られる残留物をCHCl/CHOH(95/5;2000ml)中に溶解し、シリカゲル(250g)と一緒に攪拌した。シリカゲルを濾過した。濾液をシリカゲル(1000g)上で再び濾過し、溶媒を蒸発させ、253gの中間体(4)を与えた。
Figure 2008528550
Chiralcel AS 1000Å 20μm上のキラルカラムクロマトグラフィーにより中間体(4)をそのエナンチオマーに分離した(溶離剤:エタノール/ヘプタン30/70)。(S)−エナンチオマーを含んでなる所望の画分を集め、溶媒を蒸発させ、(6S)−(3−ニトロ−フェニル)−2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール(中間体5)を与えた。(R)−エナンチオマーを含んでなる画分も集め、溶媒の蒸発後、(6R)−(3−ニトロ−フェニル)−2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール(中間体6)を与えた。
実施例A.3
Figure 2008528550
a)酢酸エチル中の中間体(5)(0.15モル)の溶液を室温で攪拌した。ジエチルエーテル(190ml)中の塩酸の1M溶液(0.199モル)を滴下した。得られる沈殿を濾過し、低圧で乾燥し、39.4gの中間体(5)の塩酸塩を与えた。
b)中間体(5)の塩酸塩(0.0122モル)、鉄粉末(0.061モル)及び塩化アンモニウム(0.061モル)の混合物に水(105ml)及び次いでメタノール(35ml)を加えた。反応混合物を30分間攪拌し、且つ70℃に温め、次いで室温に冷めるのを許した。0.1N HCl(14ml)を加え、得られる混合物をKieselguhr上で濾過した。Kieselguhrを0.01N HCl(175ml)及びジクロロメタン(175ml)で洗浄した。得られる濾液を、飽和NaHCO溶液(175ml)及びNaHCO(10g)を加えながら攪拌した。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出した(4x175ml)。有機層を合わせ、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸
発させ、2.61gの中間体(7)を与えた。
類似の方法を用いるが、中間体(4)から出発して、3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニルアミンを中間体(8)として製造した。
Figure 2008528550
実施例A.4
Figure 2008528550
−60℃において、ジクロロメタン(700ml)中のジメチルスルホキシド(36.5ml,0.514モル)の溶液を、ジクロロメタン中の塩化オキサリル(26.9ml,0.308モル)の2M溶液に滴下した。混合物を30分間攪拌し、次いでジクロロメタン(100ml)中のテトラヒドロフルフリルアルコール(25ml,0.257モル)の溶液を滴下した。混合物を20分間攪拌し、次いでトリエチルアミン(181ml,1.29モル)をゆっくり加えた。反応混合物を室温に温め、30分間攪拌した。反応混合物を濾過し、残留物をジクロロメタン(250ml)で洗浄した。合わせたジクロロメタン層を水(150ml)で洗浄し、乾燥し、25℃で注意深く蒸発させた。残留物にジエチルエーテルを加え、沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した。合わせた有機層を注意深く蒸発させた。生成物をバルブ−ツウ−バルブ蒸留(bulb−to−bulb distillation)(75℃,20ミリバール)により精製し、12.6グラムの中間体(9)を与えた。
B.最終的化合物の製造
実施例B.1
Figure 2008528550
ジオキサン中の塩酸の4M溶液(16.43ml)を無水アセトニトリル(500ml)中の中間体(7)(0.066モル)の溶液に滴下した。得られる混合物を氷−浴上で冷却した。アセトニトリル(100ml)中の中間体(1)(0.069モル)の混合物を滴下し、反応混合物が室温に達するのを終夜許した。アセトニトリルを蒸発させた。飽和NaHCO溶液(500ml)を加え、得られる混合物をジクロロメタンで抽出した(3x500ml)。有機層を合わせ、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH 95/5)により精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させ、12.23gの化合物(1)(融点42〜57℃)(比旋光度OR=−3.77(589nm,c=0.4636w/v%,メタノール,20℃))を与えた。
上記に概述された方法を用い、それぞれ中間体(8)とラセミテトラヒドロ−2−フランカルボニルクロリド又は中間体(7)とラセミテトラヒドロ−2−フランカルボニルクロリド又は中間体(7)と(2S)−テトラヒドロ−2−フランカルボニルクロリドの組み合わせを出発材料として用い、化合物(2)、(3)及び(4)も製造された。
Figure 2008528550
実施例B.2
Figure 2008528550
中間体(7)(470mg)を無水アセトニトリル(40ml)中に溶解した。ジオキサン中の4M HClの溶液(0.538ml)を滴下した。氷浴を用いて混合物を冷却し、アセトニトリル(20ml)中の2−フランカルボニルクロリド(0.213ml)の溶液を滴下した。反応混合物を終夜40℃で加熱した。飽和NaHCO水溶液(150ml)を反応混合物に加えた。反応混合物をジクロロメタン(150ml)で3回抽出し、合わせた有機層を乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発により除去した。溶離剤としてジクロロメタン/メタノール(95:5)の混合物を用いる調製的薄層クロマトグラフィーを用いて残留物を単離し、且つ精製し、210mgの化合物(A)(融点77℃)を与えた。
この化合物(A)は、米国特許第4,014,892号明細書から化合物(163)として既知である。
実施例B.3
Figure 2008528550
乾燥アセトニトリル(30ml)中の中間体(7)(550mg)の溶液を攪拌し、NaHCO(181mg)を加えた。乾燥アセトニトリル(15ml)中の中間体(9)の溶液を加え、15分後、ある量のNaBH(OAc)(547mg)を固体として加えた。2時間後、TLCは反応が完了したことを明らかにした。飽和NaHCO水溶液を加え、生成物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた酢酸エチル層を乾燥し、蒸発させた。得られる残留物をシリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーを用い、30ml/分の流量でジクロロメタンとメタノールの混合物を以下の比率及び溶離時間:10分間3%メタノール;20分間3%メタノールから5%メタノール;20分間5%メタノールで用いて精製し、237mgの化合物(B)を与えた。
この化合物(B)は米国特許第4,014,892号明細書から化合物(163)として及び英国特許第1,365,515号明細書から化合物(81)として既知である。
C.薬理学的実施例
C.1.生体内H.コントルツス/スナネズミモデルにおける駆虫薬の有効性研究
薬物を投薬されていないスナネズミ(メリオネス・ウングイクラツス(Meriones unguiculatus))を用いる生体内モデルにおいて、約300個のハエモンクス・コントルツス(多剤耐性株)のエクスシースした(exsheated)感染性幼虫を3回接種し、それらのH.コントルツス幼虫への最初の感染から11日後に試験化合物で経口的に処置し、14日に検死して回収されるH.コントルツス虫の数をカウントして、本発明の化合物の駆虫有効性を評価した。当該技術分野において既知の化合物(A)及び(B)の駆虫有効性も同じモデルを用いて評価した。
動物
28〜35日令及び30〜35gの体重の雌のCRWスナネズミ(Charles River,Sulzfeld,Germany)を用いた。到着したらそれぞれ3匹のスナネズミを、木材削りくずを含有するそれぞれに換気された半透明ポリスルホンのカゴ(48x37.5x21cm)に無作為に指定した。任意に市販のネズミ用食物及び水を与えた。4日間の新環境順応期間の後、スナネズミを人工的に感染させた。
寄生虫
ハエモンクス・コントルツスのPolyRes株(レバミソール、メベンダゾール、イベルメクチン及びクロサンテルに対して耐性)を用いた。この株を、人工的に感染させた雄のドナー子羊中に保持した。ハエモンクスの卵を含有するそれぞれの排泄物を排泄物袋中に集めた。排泄物ペレットを破壊し、木炭と混合し、湿らせ、28℃及び95%相対湿度において孵化のためのインキュベーター中に入れた。7日後、この混合物をBaermannロート中に置き、12時間後に第3期(third stage)被鞘幼虫を集めた。これらの幼虫を清浄化のために水で濯ぎ、2%ホルマリン溶液で消毒した。そのような幼虫を人工的感染のためにすぐに使用できるか、あるいは約8℃において冷蔵庫中で6ヶ月の最大持続期間、保存することができる。感染性幼虫(<6ヶ月令)を、3.3容量%の市販の次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて10分間濯ぎ、ブフナーロートを介して濾過し、水で濯ぎ、Baermannロート中で濃縮し、2時間後に集めることにより、エクスシースさせた(exsheathed)。この方法で調製されるエクスシースした幼虫を続くスナネズミの感染に用いることができるか、又は液体窒素上の気体中で1時間冷却し、液体窒素中で−196℃において保存することにより長期間、供給材料(supply)中に置くことができる。
感染
連続する3日に、すべてのスナネズミに用量当たり約300個のH.コントルツスのエ
クスシースした感染性幼虫を経口的に接種した。1mlシリンジに取り付けられた先が鋭くない(blunted)18G投薬針(dosing needle)を用いて接種を施した。
処置
スナネズミの最初の感染から11日後、0.4mlのDMSO中に懸濁もしくは溶解された試験化合物でスナネズミを処置し、調べられるべき用量は、1mlシリンジに取り付けられた先が鋭くない18G投薬針を介して体重の50g当たり0.1mlの用量で投与された。各実験に含まれる標準動物は未処置のままであった。レバミソール塩酸塩、メベンダゾール、イベルメクチン及びクロサンテルを種々の用量滴定実験において用い、モデルを確かなものとした。
検死
検死前の20時間、すべてのスナネズミを断食させ、最初の感染から後の14日にCO吸入により殺害した。それらの胃を虫の回収のために取り出し、縦に開き、20mlの消化液(10gペプシン+30m濃塩酸)を有するビーカー中で37℃において3時間インキュベーションした。消化に続き、胃の内容物に茶漉しを通過させ、通過液を篩(32μm)中に捕獲し、水道水を用いて虫を回収した。続くカウンティングのために、ビーカーを冷蔵庫中に保存した。
試験及びパーセンテージ有効性
各ビーカー中の内容物を混合し、6−ウェルプレート中に6種のアリコートにおいて注ぎ、倒立顕微鏡下で虫をカウントした。各試験化合物に関してパーセンテージ有効性を決定し、結果を下記の表1にまとめる。
Figure 2008528550
表1からわかる通り、化合物(1)及び(4)の両方は当該技術分野における既知化合物(A)及び(B)より優れた駆虫有効性を示した。

Claims (10)

  1. 式(I)
    Figure 2008528550
    の化合物、その製薬学的に許容され得る酸付加塩及び立体化学的異性体。
  2. 2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール部分の6位が(S)−立体配置を有する請求項1に記載の化合物。
    Figure 2008528550
  3. 化合物が(2R)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸−(6S)−[3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニル]−アミド及びその製薬学的に許容され得る酸付加塩である請求項2に記載の化合物。
  4. 化合物が(2S)−テトラヒドロフラン−2−カルボン酸−(6S)−[3−(2,3,5,6−テトラヒドロ−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)−フェニル]−アミド及びその製薬学的に許容され得る酸付加塩である請求項2に記載の化合物。
  5. 製薬学的に許容され得る担体及び請求項1〜4のいずれかに従う化合物の治療的に活性な量を含んでなる製薬学的組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに従う化合物の治療的に活性な量を製薬学的に許容され得る担体と緊密に混合する請求項4に従う製薬学的組成物の調製方法。
  7. 薬剤として使用するための請求項1〜4のいずれかに従う化合物。
  8. 内部及び外部寄生虫感染の処置、抑制及び予防用の薬剤の製造のための請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
  9. 第1の活性成分として請求項1〜4のいずれかに記載の化合物及び第2の活性成分として他の駆虫薬又は抗寄生虫薬を含んでなる組成物。
  10. 式(V)の中間体を反応に不活性な適した溶媒中で式(IV)の中間体と反応させるか、
    Figure 2008528550
    あるいは所望に応じて;式(I)の化合物を製薬学的に許容され得る酸付加塩に転換するか、又は逆にアルカリを用いて式(I)の化合物の酸付加塩を遊離の塩基の形態に転換し;そして所望に応じて、その立体化学的異性体を製造する
    式(I)の化合物の製造方法。
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