JP2008522877A - 多層複合フィルム及びそれから調製された物品 - Google Patents

Abstract

本発明は、少なくとも３層のフィルムを含む、光学的に透明な積層フィルムであって、少なくとも３層のうち少なくとも２層はアイオノマーフィルムを含み、フィルムは光電池または包装での使用に適することが可能な積層フィルムである。

Description

本願は、２００４年１２月７日付で出願された米国仮特許出願第６０／６３４，４２１号明細書からの優先権を主張する。

本発明は、一般に、包装に有用な積層フィルム、特に、光電池モジュール内の封止材として有用な積層フィルムに関する。本発明は、詳細には、エチレン酸コポリマーのアイオノマーを含む透明な包装フィルムに関する。

一般に、包装材料、詳細には、太陽電池モジュールを包装する際には、良好な光学特性が重要である。この理由は、性能が良好だと、電池への入射光が、効率的且つ効果的に電圧生成層に伝わることを必要とするからである。光透過率が不十分だと、太陽光発電プロセスの効率および／または生産性が低下する。

一般的な形態の太陽電池モジュールは、例えば、結晶シリコン等でできた、個々に形成された別個の太陽電池を相互に接続し、その後、電池を積層太陽電池モジュールに一体化することで、電池を環境悪化から機械的に支持、保護することによって、作られている。積層モジュールは、通常、硬質な透明の保護前面パネルまたはシートと、典型的には「バックスキン」と称される背面パネルまたはシートとを備えている。前面シートと背面シートとの間には、サンドイッチ配置を形成するために、相互接続された太陽電池および封止材が配置されている。

この封止材（または電池の前側と透明な前面パネルとの間に延びる封止材の少なくとも一部）に必要な要件として、封止材は太陽放射を透過することが挙げられる。積層モジュールを形成する典型的な態様は、透明パネル、例えば、ガラスまたは透明なポリマーでできた前面パネル、と、少なくとも１枚の封止材である前面層と、電気導体によって相互接続された太陽電池アレイ（この電池の前側は透明パネルと対向している）と、少なくとも１枚の封止材である背面層と、バックスキンまたは背面パネルとを、順に備えており、次に、真空タイプのラミネータを用いて、加熱加圧下で、これらの構成要素を共に接合しているサンドイッチ構造を積層することである。封止材でできた背面層は、透明または任意の他の色であってもよく、従来技術のモジュールは、熱可塑性または熱硬化性のポリマー、ガラスまたは何らかの他の材料からなるバックスキンを用いて形成されてきた。

さらなる封止材の要件として、寸法安定性がある。損傷を与える可能性がある応力がシリコン電池にかからないようにするために、封止材および周囲の構造は、モジュールの最終用途地点で見られる温度変動に対して安定しているべきである。

個々のシリコン太陽電池を構成するモジュールにおいて封止材として使用するために、多数の材料が使用または考慮されてきた。エチレン酢酸ビニルコポリマー（一般的には「ＥＶＡ」として知られている）が、結晶シリコン太陽電池を備えたモジュールの封止材として、一般的に使用されている。しかし、ＥＶＡは、変色する傾向があるといった、ある種の限定または欠陥があり得る。また、ＥＶＡは、酢酸を分解および放出することができる。ＥＶＡはまた、寸法安定性を付与するために、例えば米国特許第６，０９３，７５７号明細書で記載されているような架橋剤を必要とし得る。架橋剤は、生成物のばらつきの原因となる可能性があり、続くＥＶＡの酸化および分解を促進し得る。さらに、ＥＶＡ中には架橋促進剤として過酸化物が存在しているため、ＥＶＡは、モジュールを作製する際に、真空で積層されなければならない。封止材料として使用するＥＶＡは、通常、３３％（重量で）の酢酸ビニルを含有し、それゆえに非常に柔軟性と粘着性のある材料であるため、製造環境におけるＥＶＡの取り扱いが幾分厄介である。

封止材としてアイオノマーを用いることが、米国特許第５，４７８，４０２号明細書に記載され、その全内容を参照により本明細書に援用する。封止材としてアイオノマーを用いることは、さらに、米国特許第５，７４１，３７０号明細書に開示されている。「アイオノマー」という用語とそれによって特定される樹脂のタイプとは、リチャード・Ｗ・リーズ（Ｒｉｃｈａｒｄ Ｗ． Ｒｅｅｓ）著、「熱可塑性樹脂におけるイオン結合（“Ｉｏｎｉｃ Ｂｏｎｄｉｎｇ Ｉｎ Ｔｈｅｒｍｏｐｌａｓｔｉｃ Ｒｅｓｉｎｓ”）」、デュポン・イノベーション（ＤｕＰｏｎｔ Ｉｎｎｏｖａｔｉｏｎ），１９７１年、第２（２）巻、１〜４ページ、およびリチャード・Ｗ・リーズ（Ｒｉｃｈａｒｄ Ｗ． Ｒｅｅｓ）著、「「サーリン（Ｓｕｒｌｙｎ）」（登録商標）アイオノマー樹脂の物理的特性および構造的特徴（“Ｐｈｙｓｉｃａｌ Ｐｒｏｐｅｒｔｉｅｓ Ａｎｄ Ｓｔｒｕｃｔｕｒａｌ Ｆｅａｔｕｒｅｓ Ｏｆ Ｓｕｒｌｙｎ(登録商標） Ｉｏｎｏｍｅｒ Ｒｅｓｉｎｓ”）」、ポリエレクトロライツ（Ｐｏｌｙｅｌｅｃｔｒｏｌｙｔｅｓ）、１９７６年、第Ｃ巻，１７７〜１９７ページで立証されているように、当業界で周知である。アイオノマーは、エチレンメタクリル酸コポリマーまたはエチレンアクリル酸コポリマーを、周期表の第Ｉ族、第ＩＩ族または第ＩＩＩ族の元素、特にナトリウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、マグネシウムおよびバリウムの陽イオンを有する有機塩基と部分中和することで形成されてもよい。「サーリン（Ｓｕｒｌｙｎ）」（登録商標）アイオノマーは、融点が典型的には８３〜９５℃の範囲にある、エチレンとメタクリル酸またはアクリル酸のコポリマーとして同定されてきた。

光電池における封止材料として有用な材料であって、架橋剤が封止材料の許容可能な寸法安定性を必要としない材料を提供することが望ましい。

本発明者らは、意外なことに、ポリマーをアイオノマー層間の積層体内でコア層として挟むと、ポリマーの１つまたは複数の物理的特性が著しく改善されることを発見した。

一態様において、本発明は、
（１）アイオノマーポリマーである２層の外側ポリマー層と、
（２）少なくとも１つのコア層ユニットと、
を含む、少なくとも３つのポリマー層を含む積層体であって、
各外層は、コア層ユニットの少なくとも１つの面と対向する面と直接接触し、少なくとも１つのコア層ユニットは、少なくとも１つの非アイオノマーポリマー層を含む単層または多層ポリマーフィルムもしくはシートであり、透過率で測定される光学的透明度と積層体の寸法安定性とをそれぞれ、個々の積層体層の上記特性の期待値を超えて向上させる積層体である。

別の態様において、本発明は、
（ｉ）第１のアイオノマーを含む第１の外層と、
（ｉｉ）コア層ユニットであって、コア層ユニットの第１の面が第１の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた少なくとも１つのポリマー層を含むコア層ユニットと、
（ｉｉｉ）第２の外層であって、コア層ユニットの第２の面が第２の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた第２のアイオノマーを含む第２の外層と、
を含む積層体であって、
少なくとも１つのコア層ポリマーは非アイオノマーポリマーであり、第１のアイオノマー層と、第２のアイオノマー層と、コア層ユニットと、積層体のそれぞれに対する、同じ波長での個々の光透過率が、それぞれ測定可能であり、積層体の測定透過率は、積層体における各厚さで加重した、積層されていない状態での３つの個々の層の透過率から算出された透過率の期待値よりも大きい、積層体である。

別の態様において、本発明は、
（ｉ）第１のアイオノマーを含む第１の外層と、
（ｉｉ）コア層ユニットであって、コア層ユニットの第１の面が第１の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた少なくとも１つのポリマー層を含むコア層ユニットと、
（ｉｉｉ）第２の外層であって、コア層ユニットの第２の面が第２の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた第２のアイオノマーを含む第２の外層と、
を含む封止材を含む太陽電池モジュールであって、
少なくとも１つのコア層ポリマーは非アイオノマーポリマーであり、第１のアイオノマー層と、第２のアイオノマー層と、コア層ユニットと、積層体のそれぞれに対する、同じ波長での個々の光透過率が、それぞれ測定可能であり、積層体の測定透過率は、積層体における各厚さで加重した、積層されていない状態での３つの個々の層の透過率から算出された透過率の期待値よりも大きい、太陽電池モジュールである。

別の態様において、本発明は、
（ｉ）第１のアイオノマーを含む第１の外層と、
（ｉｉ）コア層ユニットであって、コア層ユニットの第１の面が第１の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた少なくとも１つのポリマー層を含むコア層ユニットと、
（ｉｉｉ）第２の外層であって、コア層ユニットの第２の面が第２の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた第２のアイオノマーを含む第２の外層と、
を含む封止材を含む、相互接続された複数の太陽電池であって、
少なくとも１つのコア層ポリマーは非アイオノマーポリマーであり、第１のアイオノマー層と、第２のアイオノマー層と、コア層ユニットと、積層体のそれぞれに対する、同じ波長での個々の光透過率が、それぞれ測定可能であり、積層体の測定透過率は、積層体における各厚さで加重した、積層されていない状態での３つの個々の層の透過率から算出された透過率の期待値よりも大きい、太陽電池である。

一実施形態においては、本発明は、（ａ）アイオノマーポリマーを含む外層と、（ｂ）外層の間に置かれ、非アイオノマーポリマーを含むコア層ユニットとを有する積層物品である。本発明の積層体では、積層体の測定された光学および／または寸法の安定性を、積層体の個々の層に対する上記特性のいずれかまたはその両方の期待値を超えて向上させることができる。

特性の「期待値」とは、層厚さの加重平均を考慮して、積層体の個々の層から算出されるような上記積層体の特性の予測された値のことを意味する。一例として、各層が光減衰係数を有する３層の積層体が、個々の減衰係数の層厚さの加重合計である吸光度を有すると期待され得る。同様に、各層が引張係数を有する３層の積層体は、個々の層の層厚さの加重平均である引張係数を有すると期待され得る。

積層体は、この用語は本明細書で用いられているように、互いに対向する多層ポリマー層を含み、層間の接着は、構造体が上記積層体の通常使用または目的使用中に晒されるような応力が印加されている間も、層が共に接着したままであるような接着である。接着は、材料の製造中に互いに接着する異なった層にポリマーを用いることによって、または更なる接着剤もしくは下塗剤を用いることによって、達成することができる。

本発明の外層は、本発明の積層体の構造層であり、これらの構造層は、上記コア層ユニットの少なくとも１つの面上のコア層ユニットと直接接触するように位置付けられている。本発明の積層体の外層は、本発明の積層体の良好な光学特性に寄与する。本発明の積層体の外層は、アイオノマーポリマー（アイオノマー）を含んでいる。外層はそれぞれ、互いに同一のアイオノマー組成を含むことができ、または互いに異なったアイオノマー組成であってもよい。本発明の実施に有用なアイオノマーは、エチレンとエチレン性不飽和Ｃ₃〜Ｃ₈カルボン酸との共重合によって得られたコポリマーである。好ましくは、不飽和カルボン酸は、アクリル酸またはメタアクリル酸のいずれかである。酸性コポリマーは、好ましくは、コポリマーの総重量を基準にして、約８重量％〜約２５重量％の酸を含んでいる。本発明の実施において光学層として有用なアイオノマーは、好ましくは約１１重量％〜約２５重量％の酸、より好ましくは約１４重量％〜約１９重量％の酸、最も好ましくは約１５重量％〜約１９重量％の酸を含んでいる。

本明細書で使用するのに好適なアイオノマーは、エチレン性不飽和Ｃ₃〜Ｃ₈カルボン酸のエステルである第３のコモノマー成分を含むことができる。エステルのアルキル置換基は、好ましくは、Ｃ₁〜Ｃ₁₂のアルコールから得られることができる。しかし、本明細書で記載した光学特性を与えることが可能な任意の不飽和エステルが、本発明の実施で使用するのに適し得る。第３のコモノマーを含む従来のアイオノマーは、例えば、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー（Ｅ．Ｉ．ｄｕ Ｐｏｎｔ ｄｅ Ｎｅｍｏｕｒｓ ａｎｄ Ｃｏｍｐａｎｙ）から市販されており、光学的および物理的特性が本発明の用途に適切である限り、本発明の実施で使用するのに適し得る。

本発明のコア層ユニットは、本発明の積層体内の構造成分であって、この構造成分は、少なくとも１つの外層の少なくとも１つの面上の少なくとも１つの外層と直接接触している。本発明のコア層ユニットは、外層だけでは与えられない特性をこの積層体に与える。例えば、コア層は、より高い弾性率またはより低い弾性率、バリア特性、強度、吸光度、浸透率、または包装もしくは他の物品に望ましい他の特性を与えることができる。

コア層ユニットは、それ自体が単一のポリマー層、または積層ポリマー構造、またはフィルムおよび／またはシートの多層堆積層であり得る。本発明のコア層ユニットに含まれるまたはコア層ユニットで用いられるいかなる層も、本明細書の目的のために、コア層と見なされる。本明細書での使用に適したコア層は、この積層体に望ましい特性を付与する任意のポリマーを含むことができる。例えば、このコア層は、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル（ＥＶＡ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリエステル、ポリアセタール、（エチレン酸ターポリマーまたはより高次のコポリマーを含み得る）エチレン酸コポリマー、（ターポリマーまたはより高次のコポリマーを含み得る）エチレンアクリル酸コポリマーまたは好適な物理的特性を有し、アイオノマーに積層されて、直接または連結もしくは接着層を介して、多層フィルムを生ずることができる他のポリマー層であり得る。本発明の積層体には、２つ以上のコア層ユニットを含むことができる。

別の実施形態においては、本発明は、少なくとも３つのフィルム層を含む、光学的に透明な多層積層フィルム構造である。光学的に透明とは、多層フィルム構造の少なくとも３層の組み合わせにおいて得られる光学測定値として、光スペクトルの可視領域の光の透過が少なくとも８５％であることを意味する。光学的透明性は、多層積層フィルムの曇価（ヘイズ）に関係し得る。本発明の実施では、多層積層構造のヘイズは６％以下である。

本発明の光学的に透明な積層体は、外層がコア層と接触し、少なくとも１つのコア層の対向面との界面を形成するように構成されている。

本発明の積層構造は、入射光の少なくとも約８５％を透過させ、および／または積層構造のヘイズは約６％未満であるが、積層体の個々の成分は、これらの基準を満たす光学特性を有する必要はない。特に、本発明の少なくとも１つのコア層の光学特性は、積層体の最小の光学基準を満たしていなくてもよい。実のところ、本発明の１つの目的は、コア構造層を本明細書に記載した本発明の外層または光学層と組み合わせることによって、コア層の成分内の比較的劣った光学特性を克服し、それによって許容可能な光学特性を有する積層体を提供することである。

別の実施形態においては、本発明の光学的に透明な多層積層体は、（１）少なくとも２つのアイオノマー外層であり、独立して、透明度が少なくとも約８５％および／またはヘイズ値が約６％未満であるアイオノマー外層と、（２）光学層によって与られないが、単独で、外層を備えた積層体内に無い場合に得ると、透明度が約８５％未満および／またはヘイズ値が約６％超である、他の所望の特性を与える、少なくとも１つのコア層とを含む。

外層は、それぞれ独立して、入射光の少なくとも約８５％を透過することができる。好ましくは、外層は入射光の少なくとも約８８％、より好ましくは、入射光の少なくとも約８９％を透過する。最も好ましくは、外層は、入射光の少なくとも約９０％を透過する。さらに好適な実施形態では、外層は、それぞれ独立して、入射光の少なくとも約９１％、９２％、９３％、９４％、９５％またはそれ以上を透過することができる。外層のヘイズは、好ましくは約５％未満、より好ましくは約４％未満、最も好ましくは約３％未満である。本発明の特に好適な実施形態においては、外層のヘイズは約２％未満であり、１％以下まで下げることができ、光透過率は、少なくとも９８％または９９％以上にさえなることができる。

本発明の実施においては、多層フィルムの外層は少なくとも１つのコア層と化学的に異なり、また、互いに化学的に異なり得る。例を挙げて説明するために、アイオノマー内の酸成分のパーセンテージは、少なくとも２層のアイオノマー層間で変化し得、酸成分の中和レベルも変化し得、少なくとも２つのアイオノマー内に存在する対イオンの同一性も変化し得、第３のコモノマーの有無も変化し得る。これらの条件、およびその他の条件を、外層がコア層と化学的に異なるように、および／または外層が互いに化学的に異なるように、それぞれ単独でまたは組み合わせて変化させることができる。費用の理由から、または複雑さを低減するために、外層は互いに同一であることが好ましい。

本発明の好適な実施形態においては、本発明の積層体の、ＤＭＡによって測定した（以下の実施例に記載する）転移温度は、１Ｈｚで６５℃以上である。より好ましくは、この材料の転移温度は、１Ｈｚで約６５℃より高く、コア層単独の転移温度は４０℃以下である。

本発明の透明な多層フィルムは、例えば、車両のフロントガラスまたはサイドライト、建物の安全ガラス、キャビネットガラス、ドアの窓ガラス、棚、その他の従来の用途でラミネート加工した窓ガラスなどのラミネート窓ガラスシステムにおける中間層としての使用に適し得る。

本発明の多層フィルムは、意外なことに、コア層単独と比べて優れた光学特性を表し、外層によって多層フィルムに他の物理的特性が与えられる。この結果は意外なことである。というのは、コア層の劣った光学特性にもかかわらず、光学層が所望の光学特性を与えるからである。

本発明の多層積層体の全厚は、４０．０ミル以下である。好ましくは、積層体の全厚は、２０．０以下である。より好ましくは、積層体の全厚は、１０．０ミル以下であり、さらにより好ましくは、４．０ミル以下である。さらにより好ましくは、積層体の全厚は、約３．０ミル以下、または２．０ミル以下であり得る。多層フィルムに必要な厚さによって、例えば包装の中身を保護するのに必要な構造特性を得ることと、透明度の光学的要件を満たすこと、費用効率が高い材料を用いること、および／または製造費を最小限にすることなどの他の目標を達成することとの間のバランスを取ることができる。

本発明の外層は、本発明のコア層よりも薄くすることができる。しかし、これは、本発明の全ての用途の要件でなくてもよい。外層の厚さは、それぞれ独立して、外層の厚さの約５０％以下であり得る。本発明の積層体の外層の厚さは、それぞれ独立して、２０．０ミル以下、好ましくは１５ミル以下、より好ましくは１０ミル以下であり得る。ただし、どのフィルム厚も、所望の光学特性および他の物理的特性と、費用効率が高いフィルムを製造するという実用面とのバランスを取るために変更可能である。

本発明の多層積層フィルムは、多様な用途で有用であり、太陽電池モジュールやラミネート加工された窓や他の安全ガラスやペットボトルやスクイーズボトルなど、光学的に透明なまたは透過性のラミネート物品を作製するために、ガラスまたは透明なプラスチックと組み合わせて用いるのに適している。

別の実施形態においては、本発明は、感光シリコン装置が、多層積層体の層（「第１の層」）を含むアイオノマーのうちの１つに対向して配置された光電池であって、外層はアイオノマーを含み、内側のコア層は非アイオノマーポリマーを含んでいる、光電池である。シリコン装置の感光部分は、３層積層体と対向している。シリコン装置の他の面は、第２の３層積層体を含み得る第２の層、または第１の層と対向して封止体を形成可能な任意のポリマーと対向して配置される。また、第２の層はバックシート層を含んでいてもよく、バックシート層は第２の層と共に積層され、または第２の層から分離することができる。

好適な実施形態においては、本発明は、少なくとも１つの太陽電池を備えた太陽電池モジュールであり、太陽電池の少なくとも１つの面に隣接して位置付けられた透明な封止材料を含む太陽電池モジュールである。封止材料は、積層材料を含み、積層材料は、
（ｉ）第１のアイオノマーを含む第１の外層と、
（ｉｉ）コア層ユニットであって、コア層ユニットの第１の面が、第１の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた少なくとも１つのポリマー層を含むコア層ユニットと、
（ｉｉｉ）第２の外層であって、コア層ユニットの第２の面が、第２の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた第２のアイオノマーを含む第２の外層と、
をさらに含み、
少なくとも１つのコア層ポリマーは非アイオノマーポリマーであり、第１のアイオノマー層と、第２のアイオノマー層と、コア層ユニットと、積層体のそれぞれに対する、同じ波長での個々の光透過率が、それぞれ測定可能であり、積層体の測定透過率は、積層体における各厚さで加重した、積層されていない状態での３つの個々の層の透過率から算出された透過率の期待値よりも大きい。

本発明のモジュールは、封止材料の前面に隣接して配置された光透過材料で形成された前方支持層と、封止材料の背面に隣接して配置されたバックスキン層とをさらに含んでいる。

太陽電池モジュールは、少なくとも１つの太陽電池をさらに備えることができ、太陽電池は次に相互接続された複数の太陽電池を備えている。

別の実施形態においては、本発明は、次にアイオノマーを含む外層とコア層とを含む積層体であって、コア層は、外層の間に配置され、積層体の相転移温度が個々の積層体層単独から予測されるであろう温度を超えて高まるような、非アイオノマーポリマーを含んでいる。動的機械分析下の積層体構造のＤＭＡ相転移温度は、コア材料が作製される材料の相転移温度よりも高くなり得る。この高温になった転移温度によって、周囲温度で寸法が安定する材料が生成される。場合により、この実施形態の積層体は、光学的透明性を有している。しかし、本発明のこの実施形態は、透明な積層体に限定するものではない。

実施例および比較例をあくまで例示のために示すが、いかなる方法においても、本発明の範囲を限定するよう意図するものではない。

以下の実験では、「サノ（Ｓａｎｏ）」多層押出ライン上でキャストフィルムを作製した。全構造の厚さが４６０ミクロンの構造体は、第２の樹脂を含む厚さ４１０ミクロンのコア層と境界を接する厚さ２５ミクロンの同一の「サーリン（Ｓｕｒｌｙｎ）」（登録商標）１７０５−１（デラウェア州ウィルミントンのデュポン（ＤｕＰｏｎｔ，Ｗｉｌｍｉｎｇｔｏｎ，ＤＥ））の外層からなっていた。

フィルム試料上で割線係数を測定した（ＡＳＴＭ規格Ｄ８８２−０１を用いたインスツルメット社（Ｉｎｓｔｒｕ−Ｍｅｔ）製ロードフレーム１１２２の引張試験機）。

フィルム試料上で％へイズを測定した（ＡＳＴＭ規格Ｄ１００３−００を用いたビック ガードナー（ＢＹＫ Ｇａｒｄｎｅｒ）社製ヘイズガードプラス）。

フィルム試料上で％透過率を測定した（システムＩＤがＣａｒｙ５−１０８１１３９のバリアン社（Ｖａｒｉａｎ）製Ｃａｒｙ５可視紫外分光光度計（ｕｖ／ｖｉｓ／ｎｉｒ）が８００ｎｍ〜２００ｎｍを走査し、５００ｎｍで記録した）。透過率の期待値を、各層が含む材料の単位厚さ当たりの吸光度から算出した層厚さの加重値として算出した。

試料の寸法安定性を確認するために、動的機械分析（ＤＭＡ）を行った。実験は、セイコー（Ｓｅｉｋｏ）ＤＭＳ２１０上で、引張モードで、周囲温度から１５０℃まで、加熱速度１℃／分、周波数１Ｈｚ、および振幅１０μｍで行った。「ＤＭＡ転移」とは、試験片対温度のグラフの長さの勾配が、急激に方向転換する温度を意味し、所定温度での試料の収縮または膨張のいずれか、すなわち、寸法安定性の欠如（寸法の不安定性）を示している。

以下の実施例では、「エルバロイ（Ｅｌｖａｌｏｙ）」（登録商標）１３３０は、メチルアクリレート（ＭＡ）が３０％およびメルトインデックス（ＭＩ）が３のエチレン−メチルアクリレートコポリマーである。「エルバロイ（Ｅｌｖａｌｏｙ）」（登録商標）１３３５は、ＭＡが３５％およびＭＩが３のエチレン−メチルアクリレートコポリマーである。「エルバロイ（Ｅｌｖａｌｏｙ）」（登録商標）３４２７は、ブチルアクリレート（ＢＡ）が２７％およびＭＩが４のエチレン−ブチルアクリレートコポリマーである。「サーリン（Ｓｕｒｌｙｎ）」（登録商標）１７０５−１は、ＭＩが５．５の、亜鉛で中和されたエチレン−メタクリル酸コポリマーで、「サーリン（Ｓｕｒｌｙｎ）」（登録商標）１８５７は、ＭＩが４の、亜鉛で中和されたエチレン−メタクリル酸−イソブチルアクリレートターポリマーである。

ＤＭＡデータ
対照試料

ＮＭ＝測定なし

積層体試料

１Ｈｚで０℃〜１５０℃のＤＭＡデータによれば、ＥＭＡコア（１６ミル）の外側に「サーリン（Ｓｕｒｌｙｎ）」（登録商標）（１ミル）の薄い積層体を有することによって、周囲温度から最大７０℃超まで多層構造の寸法安定性が与えられ、単層の「サーリン（Ｓｕｒｌｙｎ）」（登録商標）１７０５−１とほぼ等しい結果となっている。

光学および引張データ
対照試料

積層体試料

引張データ（割線係数）

３層構造の透明度は、単層の「エルバロイ（Ｅｌｖａｌｏｙ）」（登録商標）ＡＣフィルムよりも改善されるが、ＥＭＡの低弾性率の利点は維持される。一方、３層構造のＤＭＡ転移によって測定された寸法安定性もまた、単層の「エルバロイ（Ｅｌｖａｌｏｙ）」（登録商標）ＡＣフィルムよりも著しく改善される。コア層の架橋剤の必要性がなくなる。

本発明を、いくつかの実施形態および実施例に関して記載してきた。しかし、当業者は、明らかな変更で本発明を変更することができよう。特許請求の範囲で記載された本発明の範囲は、このような全ての変更を包含するよう意図され、本明細書で記載した実施例および実施形態に限定されるように解釈すべきではない。

Claims (29)

1. （ｉ）第１のアイオノマーを含む第１の外層と、
   （ｉｉ）コア層ユニットであって、前記コア層ユニットの第１の面が前記第１の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた少なくとも１つのポリマー層を含むコア層ユニットと、
   （ｉｉｉ）第２の外層であって、前記コア層ユニットの第２の面が前記第２の外層の少なくとも１つの面と直接接触するように位置付けられた第２のアイオノマーを含む第２の外層と、
   を含む積層物品であって、
   前記少なくとも１つのコア層ポリマーが非アイオノマーポリマーであり、
   前記第１のアイオノマー層と、前記第２のアイオノマー層と、前記コア層ユニットと、前記積層体のそれぞれに対する、同じ波長での個々の光透過率が、それぞれ測定可能であり、
   前記積層体の前記測定透過率が、前記積層体における各厚さで加重した、積層されていない状態での前記３つの個々の層の前記透過率から算出された前記透過率の期待値よりも大きい積層物品。
2. 前記第１および第２のアイオノマーが同一の組成を含む、請求項１に記載の積層物品。
3. 波長５００ｎｍの光の前記積層材料の前記光学透過率が８５％より大きい、請求項１に記載の積層物品。
4. １Ｈｚで６５℃より高いＤＭＡ転移温度を示す、請求項１に記載の積層物品。
5. 前記コア層ポリマーが、前記外層に積層されていない場合には、１Ｈｚで４０℃未満のＤＭＡ転移温度を示す、請求項５に記載の積層物品。
6. 前記コア層ポリマーが積層体である、請求項１に記載の積層物品。
7. 前記コア層ポリマーが、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル（ＥＶＡ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリエステル、ポリアセタール、（エチレン酸ターポリマーまたはより高次のコポリマーを含み得る）エチレン酸コポリマー、（ターポリマーまたはより高次のコポリマーを含み得る）エチレンアクリル酸コポリマー、およびそれらのブレンド、積層体または組み合わせよりなる群から選択されるポリマーを含む、請求項１に記載の積層物品。
8. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、エチレンとエチレン性不飽和Ｃ₃〜Ｃ₈カルボン酸との共重合によって得られたコポリマーを含む、請求項１に記載の積層物品。
9. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、コポリマーの総重量を基準にして、約８重量％〜約２５重量％の酸を含む酸性コポリマーを含む、請求項１に記載の積層物品。
10. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、コポリマーの総重量を基準にして、約１１重量％〜約２５重量％の酸を含む酸性コポリマーを含む、請求項９に記載の積層物品。
11. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、コポリマーの総重量を基準にして、約１４重量％〜約１９重量％の酸を含む酸性コポリマーを含む、請求項１０に記載の積層物品。
12. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、コポリマーの総重量を基準にして、約１５重量％〜約１９重量％の酸を含む酸性コポリマーを含む、請求項１１に記載の積層物品。
13. 少なくとも３層のフィルムを含む光学的に透明な積層フィルムであって、
    （ａ）前記少なくとも３層のうちの少なくとも２層が、アイオノマーフィルムを含み、
    （ｂ）独立して非積層状態にある、前記積層体の少なくとも１層が、（ｉ）入射可視光の約８５％未満を透過し、および／または（ｉｉ）厚さが約４０ミル以下の前記少なくとも１層を、ＡＳＴＭ規格Ｄ１００３−００に従って測定したところ、ヘイズ値が約６％以上であり、
    （ｃ）透明の積層体が、（ｉ）入射可視光の少なくとも約８５％を透過し、および／または（ｉｉ）ＡＳＴＭ規格Ｄ１００３−００に従って測定したところ、ヘイズ値が約６％以下である積層フィルム。
14. 請求項１３の前記光学的に透明な積層フィルムを含む物品。
15. 前記物品が包装または容器である、請求項１４に記載の物品。
16. 前記物品が前記アイオノマーフィルムの少なくとも１つに積層された１つまたは複数のガラス層を含む、請求項１５に記載の物品。
17. （ａ）少なくとも１つの太陽電池と、
    （ｂ）前記太陽電池の少なくとも１つの面に隣接して配置された透明な封止材料であって、請求項１に記載の積層体を含む封止材料と、
    を含む太陽電池モジュールであって、
    前記太陽電池モジュールが、前記封止材料の前面に隣接して配置された光透過材料で形成された前方支持層と、前記封止材料の背面に隣接して配置されたバックスキン層とをさらに含む太陽電池モジュール。
18. 相互接続された複数の太陽電池を備える、請求項１７に記載の太陽電池モジュール。
19. （ｉ）第１のアイオノマーを含む第１の外層と、
    （ｉｉ）第１の面が前記第１の外層の面の隣になるように位置された、少なくとも１つのコア層ポリマーから構成されるコア層ユニットと、
    （ｉｉｉ）前記コア層ユニットの第２の面の隣に位置された、第２のアイオノマーを含む第２の外層と、
    を含む積層物品であって、
    前記コア層ポリマーがアイオノマーではなく、
    前記積層材料と、前記第１および第２アイオノマーと、前記コア層ポリマーとが、引張条件下で１ＨｚでＤＭＡによって測定される各転移温度によって特徴付けられ、前記積層材料に対する前記転移温度の値が、同一条件下で測定された、前記積層体内に無い前記コア層ポリマーの前記転移温度の値よりも大きくなる積層物品。
20. 前記第１および第２のアイオノマーが同じものである、請求項１９に記載の積層物品。
21. １００Ｈｚで６５℃よりも高いＤＭＡ転移温度を有する、請求項２０に記載の積層物品。
22. 前記コア層ポリマーのＤＭＡ転移温度が、前記外層に積層されていない場合に、１００Ｈｚで４０℃未満である、請求項２１に記載の積層物品。
23. 前記コア層ポリマーが積層体である、請求項２２に記載の積層物品。
24. 前記コア層ポリマーが、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル（ＥＶＡ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリエステル、ポリアセタール、（エチレン酸ターポリマーまたはより高次のコポリマーを含み得る）エチレン酸コポリマー、（ターポリマーまたはより高次のコポリマーを含み得る）エチレンアクリル酸コポリマー、およびそれらのブレンドまたは組み合わせよりなる群から選択されるポリマーを含む、請求項２３に記載の積層物品。
25. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、エチレンとエチレン性不飽和Ｃ₃〜Ｃ₈カルボン酸との共重合によって得られたコポリマーを含む、請求項２４に記載の積層物品。
26. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、コポリマーの総重量を基準にして、約８重量％〜約２５重量％の酸を含む酸性コポリマーを含む、請求項２５に記載の積層物品。
27. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、コポリマーの総重量を基準にして、約１１重量％〜約２５重量％の酸を含む酸性コポリマーを含む、請求項２６に記載の積層物品。
28. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、コポリマーの総重量を基準にして、約１４重量％〜約１９重量％の酸を含む酸性コポリマーを含む、請求項２７に記載の積層物品。
29. 前記第１および第２のアイオノマーが、独立して、コポリマーの総重量を基準にして、約１５重量％〜約１９重量％の酸を含む酸性コポリマーを含む、請求項２８に記載の積層物品。