JP2015195374A - 太陽電池用封止材及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用封止材及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】透明性及び接着性を両立しつつ、剛性に優れた太陽電池用封止材の提供、及び、耐久性に優れ、電池性能がより安定した太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー及びシランカップリング剤を含み、前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体100質量%中のα,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合が3質量%以上25質量%以下である(A)層と、中和度が35モル%以上であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のマグネシウムアイオノマーを含む(B)層と、を有する太陽電池用封止材。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子を固定するための太陽電池用封止材、及び該太陽電池用封止材により太陽電池素子が封止された太陽電池モジュールに関する。
近年の環境問題の高まりを背景に、クリーンなエネルギーとして水力発電、風力発電、並びに太陽光発電が脚光を浴びている。このうち、太陽光発電は、太陽電池モジュールの発電効率等の性能向上が著しい一方、価格の低下が進んだこと、国や自治体が住宅用太陽光発電システム導入促進事業を進めてきたことから、ここ数年その普及が著しく進んでいる。
太陽光発電は、シリコンセル等の半導体(太陽電池素子)を用いて太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変換するが、ここで用いられている太陽電池素子は直接外気と接触するとその機能が低下するため、一般に太陽電池素子を封止材ないし保護膜で挟み、緩衝とともに、異物の混入や水分等の侵入を防いでいる。
太陽電池素子を封止する太陽電池用封止材は、太陽電池の発光効率を低下させないために、高い透明性(光線透過性)が求められている。また、太陽電池用封止材は、太陽電池素子が直接外気と接触することを防ぐため、太陽電池素子や、太陽電池モジュールの裏面保護用の樹脂シート(バックシート)等)との接着性に優れていることが求められている。
例えば、特許文献1には、酸ターポリマーから誘導されたターイオノマーを含む組成物か、又はターイオノマーでできているフィルム又はシートが開示されている。上記の酸ターポリマーは、α−オレフィンから導かれる構成単位、酸ターポリマーの総質量を基準として、約15〜約30質量%の3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸から導かれる構成単位、及び約0.5〜約40質量%の4〜12個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位を含む共重合である。上記のターイオノマーは、上記の酸ターポリマーに含まれるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸から導かれる構成単位が有するカルボン酸の約5%〜約90%が1つ以上の金属イオンで中和されたアイオノマーである。
特許文献1に記載されたフィルム又はシートは透明であり、かつ他のラミネート層に高接着性を有すると記載されている。
また、例えば、特許文献2には、透明性に優れた材料(例えば、太陽電池用封止材)として、エチレン系ナトリウムアイオノマー等のアイオノマーを有する材料が開示されている。
特開2011−507278号公報 国際公開第95/22843号
特許文献1及び2に示されるように、太陽電池用封止材として、アイオノマーを一成分とする、透明性と接着性とを備えた封止材は従来から知られている。
しかしながら、太陽電池用封止材の成分として、ただ単にアイオノマーを用いるのみでは、透明性と接着性とがより優れたものとすることは難しい。
具体的には例えば、汎用の亜鉛(Zn)アイオノマーを用いた太陽電池用封止材では、接着性は良好なものの、高い透明性(高全光線透過率、低ヘイズ)が得られにくく、特に可視領域の中心である400nm近傍から600nm付近に至る領域では透明性に劣る。
また、汎用のZnアイオノマーを用いた太陽電池用封止材は、封止材としての剛性が中程度であり、モジュール強度が必要(たとえば合わせガラスタイプのモジュール)な場合には強度が不足する場合がある。一方でNaやマグネシウム(Mg)アイオノマーを使用した場合、透明性は、剛性と共に優れる。
しかし、NaやMgアイオノマーを含む太陽電池用封止材は、Znアイオノマーを含む太陽電池用封止材と比較して、被接着体との接着性が比較的弱く、経時で劣化(剥離等)し易いことから、シランカップリング剤等の添加や、アイオノマー中のベースポリマーを調整する、といった対策により接着性を向上させることが必要となる。ところが、Naアイオノマー又はMgアイオノマーは、シランカップリング剤等を添加しても接着性を向上させることが困難であり、特にNaアイオノマーはその傾向が顕著である。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、透明性及び接着性を両立しつつ、剛性に優れた太陽電池用封止材を提供することを目的とする。
また、本発明は、耐久性に優れ、かつ電池性能がより安定した太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、以下の通りである。
<1> エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー及びシランカップリング剤を含み、前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体100質量%中のα,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合が3質量%以上25質量%以下である(A)層と、中和度が35モル%以上であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のマグネシウムアイオノマーを含む(B)層と、を有する太陽電池用封止材である。
<2> 前記(A)層及び前記(B)層における、厚みの比率((A)/(B))が1/2以下である<1>の太陽電池用封止材である。
<3> 前記(A)層の前記アイオノマーの中和度が、20モル%以上75モル%以下である<1>又は<2>の太陽電池用封止材である。
<4> 前記(A)層中の前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体が、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体であり、前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体100質量%中のα,β−不飽和カルボン酸エステル由来の構成単位の含有割合が5質量%以上14質量%以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の太陽電池用封止材である。
<5> 前記(B)層の前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体100質量%中の不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合が、5質量%以上25質量%以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の太陽電池用封止材である。
<6> 前記(A)層に含まれるアイオノマーが、マグネシウムアイオノマー又は亜鉛アイオノマーである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の太陽電池用封止材。
<7> <1>〜<6>のいずれか1つに記載の太陽電池用封止材を備えた太陽電池モジュール。
本発明によれば、透明性及び接着性を両立しつつ、剛性に優れる太陽電池用封止材が提供される。
また、本発明によれば、耐久性に優れ、かつ電池性能がより安定した太陽電池モジュールが提供される。
本発明に係る太陽電池モジュールの一例を示す概略構成図である。
[太陽電池用封止材]
本発明の太陽電池用封止材は、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー及びシランカップリング剤を含み、前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体(以下、「ベースポリマー」ともいう。)100質量%中のα,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合が3質量%以上25質量%以下である(A)層と、中和度が35モル%以上であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のマグネシウムアイオノマーを含む(B)層と、を有する。
なお、「中和度」とは、アイオノマーのベースポリマーであるエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体中に含まれるカルボキシル基のうち、金属イオンとの反応によって失われる度合(カルボキシル基のモル数を基準とする%で表す。)を示す。
本発明の太陽電池用封止材は、上記構成であることにより、互いに相反する傾向にある透明性及び接着性を両立しつつ、剛性に優れる。
その理由としては、以下のことによるものと推定する。
まず、本発明の太陽電池用封止材は、(A)層が、不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合(以下、「酸含量」と称する場合がある)がベースポリマー100質量%中に3質量%以上25質量%以下であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー(以下、「特定アイオノマー」と称する場合がある)と、シランカップリング剤と、を含むことにより、被接着体(例えばガラス基板や太陽電池モジュールの裏面保護用の樹脂シート(バックシート)など)との高い接着性を実現することとなる。
そして、本発明の太陽電池用封止材は、(B)層が、中和度が35モル%以上であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のマグネシウムアイオノマー(以下、「特定Mgアイオノマー」と称する場合がある)を含む層であることにより、高い透明性を実現し、かつ、剛性にすぐれる。
以上より、本発明の太陽電池用封止材は、透明性及び接着性を両立しつつ、剛性に優れる太陽電池用封止材となる。
以下、本発明の太陽電池用封止材について、詳細に説明する。
<(A)層>
(A)層は、不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合がベースポリマー100質量%中に3質量%以上25質量%以下であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー及びシランカップリング剤を含む。
(特定アイオノマー)
(A)層は、不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合がベースポリマー100質量%中に3質量%以上25質量%以下であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー(特定アイオノマー)を含む。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体は、2元系であっても、3元系であってもよい。
−特定アイオノマー中の金属−
特定アイオノマー中の金属としては、例えば、Zn、Mg、Li(リチウム)、Na(ナトリウム)等が挙げられ、Zn、Mgがより好ましい。
特定アイオノマー中の金属がMgである場合、(A)層の透明性が高まると共に、剛性に優れることとなると考えられる。
また、特定アイオノマー中の金属がZnである場合、(A)層と被接着体との接着性が高まることとなると考えられる。
なお、(A)層に含まれる特定アイオノマー中の金属は、上記の金属のうちいずれか単独であってもよいし、上記の金属を複数種用いたものであってもよい。
−特定アイオノマーのベースポリマー−
特定アイオノマーは、ベースポリマーとして、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を含有する。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体としては、例えば、エチレンから導かれる構成単位と不飽和カルボン酸から導かれる構成単位とを有する2元共重合体、エチレンから導かれる構成単位と不飽和カルボン酸から導かれる構成単位とα,β−不飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位とを有する3元共重合体、が挙げられる。
これらの中でも、(A)層に含まれる特定アイオノマーのベースポリマーとしては、被接着体との接着性に重要な役割を果たす観点から、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸の2元共重合体、及び、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステルの3元共重合体が好ましく、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステルの3元共重合体が、特に好ましい。
これは、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステルの3元共重合体が、主に、接着性を与えると考えられる、α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位及びα,β−不飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位を含むためである。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体における、上記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸モノエステル等が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体における、上記不飽和カルボン酸エステルにおけるエステルの種類としては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体として、具体的には、例えば、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸メチルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸エチルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸n−ブチルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体が好ましい。中でも、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸メチルエステル共重合体、及びエチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体がより好ましい。
なお、(A)層に含まれる特定アイオノマーは、ベースポリマーがエチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体のMgアイオノマーである場合、例えば、エチレン・アクリル酸・アクリル酸エステル共重合体のMgアイオノマー、エチレン・アクリル酸・メタクリル酸エステル共重合体のMgアイオノマー、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸エステル共重合体のMgアイオノマー(例えば、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体のMgアイオノマー)、エチレン・メタクリル酸・メタクリル酸エステル共重合体のMgアイオノマー、が挙げられる。
一方、(A)層に含まれる特定アイオノマーは、ベースポリマーがエチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体のNaアイオノマーである場合、例えば、エチレン・アクリル酸・アクリル酸エステル共重合体のNaアイオノマー、エチレン・アクリル酸・メタクリル酸エステル共重合体のNaアイオノマー、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸エステル共重合体のNaアイオノマー(例えば、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体のNaアイオノマー)、エチレン・メタクリル酸・メタクリル酸エステル共重合体のNaアイオノマー等が挙げられる。
(A)層に含まれる特定アイオノマーは、ベースポリマーがエチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体である場合、接着性の観点から、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体の全質量に対する、α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位及びα,β−不飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位の合計の含有割合が、3質量%以上であることが好ましい。
この含有割合が3質量%以上であることにより、透明性や柔軟性が良好となる。
一方、べたつき抑制および加工性向上の観点からは、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体の全質量に対する、α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位及びα,β−不飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位の合計の含有割合は、30質量%以下であることが好ましい。
より具体的な含有割合としては、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体(ベースポリマー)中のα,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合が、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
α、β−不飽和カルボン酸量はIR法により求めることができる。
また、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体(ベースポリマー)中のα,β−不飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位の含有割合は、1.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、3以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更により好ましく、5質量%以上14質量%以下であることが特に好ましい。
なお、ベースポリマーがエチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体である場合、エチレンから導かれる構成単位の含有割合は、60質量%以上97質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上95質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以上94質量%以下であり、特に好ましくは60質量%以上90質量%以下である。
また、(A)層に含まれる特定アイオノマーは、ベースポリマーがエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体(2元系共重合体)である場合、接着性の観点から、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体の全質量に対する、α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合が、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく3質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合が3質量%以上であることにより、透明性や柔軟性が良好となる。
また、ベースポリマーがエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体である場合、エチレンから導かれる構成単位の含有割合は、75質量%以上97質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以上97質量%以下であり、さらに好ましくは85質量%以上95質量%以下である。
なお、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、及び、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体は、例えば、各重合成分を、高温、高圧下にラジカル共重合させることによって得ることができる。
また、これらの共重合体のアイオノマーは、例えば、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体と、金属水酸化物、金属酸化物、及び金属酢酸塩等のうち、いずれか1種以上と、を反応させることによって得ることができる。
−特定アイオノマーの特性等−
(A)層に含まれる特定アイオノマーのベースポリマー中の酸含量は、ベースポリマー100質量%中に3質量%以上25質量%以下とされる。α,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有量は、ベースポリマー100質量%中に3質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の太陽電池用封止材は、特定アイオノマーの酸含量が3質量%以上であることにより、接着性及び透明性を両立する材料が得られる。
また、本発明の太陽電池用封止材は、ベースポリマー中の酸含量が25質量%以下であることにより、後述のシランカップリング剤を配合した際の加工性が損なわれない。
(A)層に含まれる特定アイオノマーの中和度は、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、20モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。
中和度は中和滴定法で求めることができる。
特定アイオノマーは、加工性および機械強度を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR;JIS K7210−1999に準拠)が0.1g/10分以上150g/10分以下であることが好ましく、特に0.1g/10分以上50g/10分以下であることがより好ましい。
(A)層に含まれる特定アイオノマーの総量は、(A)層の固形分の60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
特定アイオノマーの総量が60質量%以上であると、透明性を高く保ちながら、良好な接着性および耐久性等が得られ、また遮音特性にも優れる。
(シランカップリング剤)
(A)層は、少なくとも1種のシランカップリング剤を含有する。
(A)層がシランカップリング剤を含むことにより、太陽電池用封止材と被接着体との接着性(経時における接着性を含む)が向上する傾向にある。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどを例示することができる。
これらの中でも、シランカップリング剤としては、接着性を高め、ガラス等の基材やバックシート等との接着加工を安定して行なう点で、アミノ基およびアルコキシ基を有するシランカップリング剤(例えばアミノ基を有するアルコキシシラン)が好ましい。
アミノ基およびアルコキシ基を有するシランカップリング剤としては、具体的には、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ−トリアルコキシシラン類、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンなどのアミノ−ジアルコキシシラン類などを挙げることができる。
これらの中でも、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが好ましい。特に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどの、アミノ基および2個のアルコキシ基を含むシランカップリング剤が好ましい。
このようなアミノ基および2個のアルコキシ基を含むシランカップリング剤(ジアルコキシシランと略称することがある)を用いた場合には、よりシート成形時の加工安定性を維持することができるのでより好ましい。
(A)層において、シランカップリング剤の量(2種以上である場合には総量)は、接着性の向上及びシート成形時の加工安定性の観点から、特定アイオノマー100質量部に対し、0質量部超3質量部以下が好ましく、より好ましくは0.03質量部以上3質量部以下であり、特に好ましくは0.05質量部以上1.5質量部以下である。シランカップリング剤が上記範囲内であることにより、太陽電池用封止材と被接着体との接着性を向上させることができる。
(その他添加剤)
(A)層には、本発明の目的を損なわない範囲内において、その他各種の添加剤を含有させることができる。かかる添加剤としては紫外線に曝されることによる劣化を防ぐ観点から、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、および酸化防止剤などを含有させることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフェノンおよび2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系;フェニルサリチレートおよびp−オクチルフェニルサリチレートなどのサリチル酸エステル系のものが用いられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系のものが用いられる。ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキサノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(o−クロロベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェノキシアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチル−2,4−ジオキソ−3−nオクチル−スピロ[4,5]デカン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−アセトキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)トリアジン−2,4,6−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)ホスファイト、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3−トリカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロパン−1,1,2,3−テトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレートなどを挙げることができる。
酸化防止剤としては、各種ヒンダードフェノール系やホスファイト系のものが用いられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、トコフェロール、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオ)−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。
また、前記ホスファイト系酸化防止剤の具体例としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファネートジメチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファネートなどを挙げることができる。
酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤は、特定アイオノマー100質量部に対し、各々、好ましくは5質量部以下の量で含有することであり、より好ましくは0.1質量部〜3質量部の量で含有することである。
さらに、酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤のいずれかは、太陽光を太陽電池セルに最大限取り込むことを鑑みて、任意の組合せ、任意の配合量を配合することができる。
また、(A)層には、上述した添加剤以外に、必要に応じて、着色剤、光拡散剤、および難燃剤、金属不活性剤などの添加剤を含有させることができる。
着色剤としては、顔料(無機顔料、有機顔料)、染料等が挙げられる。これらの着色剤は公知の種々のものが使用可能である。
無機顔料としては、例えば酸化チタン、亜鉛華、鉛白、リトポン、バライト、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、せっこう、沈降性シリカ等の白色無機顔料、カーボンブラック、ランプブラック、チタンブラック、合成鉄黒等の黒色無機顔料、亜鉛末、亜酸化鉛、スレート粉等の灰色無機顔料、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、銀朱、べんがら、モリブテン赤、鉛丹等の赤色無機顔料、アンバー、酸化鉄茶等の褐色無機顔料、カドミウム黄、亜鉛黄、オーカ、シエナ、合成オーカ、黄鉛、チタン黄等の黄色無機顔料、酸化クロム緑、コバルト緑、クロム緑等の緑色無機顔料、群青、紺青、鉄青、コバルト青等の青色無機顔料、金属粉無機顔料が例示できる。
有機顔料としては、例えばパーマネント・レッド4R、パラ・レッド、ファースト・エローG、ファースト・エロー10G、ジスアゾ・エローG、ジスアゾ・エローGR、ジスアゾ・オレンジ、ピラゾロン・オレンジ、ブリリアント・カーミン3B、ブリリアント・カーミン6B、ブリリアント・スカーレットG、ブリリアント・ボルドー10B、ボルドー5B、パーマネント・レッドF5R、パーマネント・カーミンFB、リソール・レッドR、リソール・レッドB、レーキ・レッドC、レーキ・レッドD、ブリリアント・ファスト・スカーレット、ピラゾロン・レッド、ボン・マルーン・ライト、ボン・マルーン・メジアム、ファイア・レッド等のアゾ顔料、ナフトール・グリーンB等のニトロソ顔料、ナフトール・エローS等のニトロ顔料、ローダミンBレーキ、ローダミン6Gレーキ等の塩基性染料系レーキ、アリザリン・レーキ等の媒染染料系レーキ、インダンスレン・ブルー等の建染染料系顔料、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、ファスト・スカイ・ブルー等のフタロシアニン顔料、ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン系顔料が提示できる。
このほかにも、有機蛍光顔料やパール顔料などが使用可能である。
光拡散剤としては、例えば、無機系の球状物質として、ガラスビーズ、シリカビーズ、シリコンアルコキシドビーズ、中空ガラスビーズなどが挙げられる。有機系の球状物質として、アクリル系やビニルベンゼン系などのプラスチックビーズなどが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、臭素化物などのハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水和物などが挙げられる。
金属不活性剤としては、熱可塑性樹脂の金属害を抑制する化合物として周知のものを用いることができる。金属不活性剤は、二種以上を併用してもよい。金属不活性剤の好ましい例としては、ヒドラジド誘導体、またはトリアゾール誘導体を挙げることができる。具体的には、ヒドラジド誘導体として、デカメチレンジカルボキシル−ジサリチロイルヒドラジド、2’,3−ビス[3−[3,5−ジーtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]プロピオノヒドラジド、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニル−ヒドラジド)が好適に挙げられ、またトリアゾール誘導体として、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾールが好適に挙げられる。ヒドラジド誘導体、トリアゾール誘導体以外にも、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル・ジフェニルメタン、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三−ブチルフェニル)ブタン、2−メルカプトベンズイミダゾールとフェノール縮合物との混合物などを挙げることができる。
また、(A)層は、上述の(A)層に含まれる特定アイオノマーと共に、他の樹脂材料を含んでいてもよい。
他の樹脂材料としては、特定アイオノマーと相溶性がよく、(A)層の透明性や機械的物性を損なわないものであれば、いずれの樹脂材料も使用可能であるが、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体が好ましい。
また、他の樹脂材料が、特定アイオノマーよりも融点が高い樹脂材料であれば、(A)層の耐熱性や耐久性を向上させることも可能である。
<(B)層>
(B)層は、中和度が35モル%以上であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のマグネシウムアイオノマーを含む。
本発明の太陽電池用封止材は、少なくとも一つの(B)層を有している。
(特定Mgアイオノマー)
(B)層に含まれるアイオノマーが特定Mgアイオノマーであることにより、太陽電池用封止材全体の透明性及び剛性が向上する。
−特定Mgアイオノマーのベースポリマー−
(B)層に含まれる特定Mgアイオノマーは、ベースポリマーとして、例えば、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を含有することが好ましい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体としては、例えば、エチレンから導かれる構成単位と不飽和カルボン酸から導かれる構成単位とを有する2元共重合体、エチレンから導かれる構成単位と不飽和カルボン酸から導かれる構成単位とα,β−不飽和カルボン酸エステルから導かれる構成単位とを有する3元共重合体、が挙げられる。
特定Mgアイオノマーのベースポリマーは、これらの中でも、透明性、剛性の観点から、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸2元共重合体であることが好ましい。
特定Mgアイオノマーのベースポリマーとして具体的には、例えば、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸メチルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸エチルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸n−ブチルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体が挙げられ、これらの中でも、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸メチルエステル共重合体、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステルが好ましく、エチレン・メタクリル酸共重合体がより好ましい。
特定Mgアイオノマーのベースポリマーは、エチレンから導かれる構成単位の含有割合が、75質量%以上97質量%以下であることが好ましく、75質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
また、特定Mgアイオノマーのベースポリマーは、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体である場合、共重合体中のα,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合は、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
エチレンから導かれる構成単位の含有割合が75質量%以上であると、上記共重合体(ベースポリマー)の耐熱性、及び機械的強度等が良好である。一方、エチレンから導かれる構成単位の含有割合が97質量%以下であると、接着性等が良好である。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体(ベースポリマー)に含まれる、α,β−不飽和カルボン酸から導かれる構成単位は、被接着体等の基材との接着性に重要な役割を果たすものである。配線材料に接触し、被接着体等の基材と接着されないことがある(B)層中のアイオノマーは、比較的接着性が低いことがあるが、その接着性向上にも寄与する。
かかる接着性の観点から、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体の全質量に対する、不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合は、3質量%以上であることが好ましい。また、前記含有割合が3質量%以上であると、透明性や柔軟性が良好である。
一方、べたつき抑制および加工性向上の観点からは、前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体の全質量に対する、前記不飽和カルボン酸から導かれる構成単位の含有割合は、25質量%以下であることが好ましい。本発明の太陽電池用封止材は、特定Mgアイオノマーの酸含量が、ベースポリマー中3質量%以上であることにより、光学性、剛性が高くなる。
また、特定Mgアイオノマーにおけるベースポリマー中の酸含量が25質量%以下であることにより、本発明の太陽電池用封止材は、透湿性及び耐熱性が、より優れることとなる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体は、例えば、各重合成分を、高温、高圧下にラジカル共重合させることによって得ることができる。また、そのアイオノマーは、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体と、金属水酸化物、金属酸化物、金属酢酸塩などと、を反応させることによって得ることができる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体には、エチレン及びα,β−不飽和カルボン酸の合計100質量部に対し、0質量部超30質量部以下、好ましくは0質量部超25質量部以下のその他の共重合性モノマーから導かれる構成単位が含まれていてもよい。
その他の共重合性モノマーとしては、不飽和エステル、例えば、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。その他の共重合体モノマーから導かれる構成単位が上記範囲で含まれていると、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の柔軟性が向上するので好ましい。
−特定Mgアイオノマーの特性等−
(B)層に含まれる特定Mgアイオノマーの中和度は、35モル%以上であり、35モル%以上70モル%以下が好ましく、40モル%以上60モル%以下が特に好ましい。
本発明の太陽電池用封止材は、特定Mgアイオノマーの中和度が35モル%以上であることにより、透明性及び剛性が、より優れることとなる。
また、中和度は、加工性、柔軟性の観点から、45モル%以上が好ましい。
また、中和度は、特に加工性の観点の観点から、60モル%以下が好ましい。
なお、(B)層中の特定Mgアイオノマーの中和度の測定は、特定アイオノマーにおいて既述の方法で行う。
特定Mgアイオノマーは、加工性および機械強度を考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR;JIS K7210−1999に準拠)が、0.1g/10分以上150g/10分以下であることが好ましく、特に0.1g/10分以上50g/10分以下であることがより好ましい。
(B)層は、加工性および機械強度の観点から、(A)層に含まれる特定アイオノマー及び(B)層に含まれる特定Mgアイオノマーの両方のメルトフローレートが、0.1g/10分以上150g/10分以下であることが好ましく、特に0.1g/10分以上50g/10分以下であることがより好ましい。
特定Mgアイオノマーの総量は、(B)層の固形分の60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
特定Mgアイオノマーの総量が60質量%以上であると、透明性を向上させることができる。
(B)層は、特定Mgアイオノマーと共に、他の樹脂材料を含んでいてもよい。
他の樹脂材料としては、特定Mgアイオノマーと相溶性がよく、(B)層の透明性や機械的物性を損なわないものであれば、いずれの樹脂材料も使用可能である。
他の樹脂材料としては、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体が好ましい。
また、他の樹脂材料が、特定Mgアイオノマーよりも融点が高い樹脂材料であれば、(B)層の耐熱性や耐久性を向上させることも可能である。
(B)層には、本発明の目的を損なわない範囲内において、各種添加剤や着色剤を含有させることができる。かかる添加剤としては、(A)層に含有することができる添加剤として上述したものを全て挙げることができる。また、(B)層に添加剤を含有する場合、(A)層に添加剤を含ませる場合の量と同じ量の添加剤を含ませることができる。
本発明では、シランカップリング剤が(A)層に含有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、(B)層にもシランカップリング剤を含有させてもよい。
具体的には、生産安定性の観点から、(B)層中のシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の含有率は、(B)層の固形分の0.1質量%以下であることが好ましく、(B)層中にシランカップリング剤が含まれない場合(0質量%)が特に好ましい。
<太陽電池用封止材の形態>
太陽電池用封止材の(A)層及び(B)層の厚みの比率((A)/(B))としては、1/2以下であることが好ましく、1/3以下がより好ましい。
厚みの比率((A)/(B))が、1/2以下であることにより、(B)層の封止材の剛性の影響により太陽電池モジュールの強度が優れることとなる。
(A)層は、厚みが、1μm以上500μm以下であることが好ましく、10μm以上500μm以下であることがより好ましく、20μm以上300μm以下の範囲であることが特に好ましい。
(A)層は、1μm以上であることにより、接着性が向上することとなる。また、(A)層は、500μm以下であることにより、より透明性に優れることとなる。
(B)層は、厚みが、50μm以上1000μm以下であることが好ましく、50μm以上700μm以下であることがより好ましい。
(B)層は、100μm以上であることにより、モジュール強度を付与できる。また、(B)層は、1000μm以下であることにより、透明性に優れることとなる。
本発明の太陽電池用封止材の総厚は、特に限定はないが、該総厚は、5μm以上2000μm以下(0.005mm〜2mm)の範囲であることが好ましく、100μm以上2000μm以下(0.1mm〜2mm)の範囲であることがより好ましく、100μm以上1500μm以下(0.1mm〜1.5mm)の範囲であることが更に好ましい。
総厚が5μm以上2000μm以下にあることにより、経済性に優れ(すなわち製品としての適正なコストでありながら)、かつ、接着性および透明性に優れることとなる。
本発明における(A)層の形態は、単一の層である形態が好ましい。但し、(A)層の形態は単一の層である形態には限定されず、例えば、含有されるアイオノマーの種類(例えば、ベースポリマーの共重合比、中和度、金属種、等)等が異なる複数の層からなる形態であってもよい。
本発明の太陽電池用封止材の(B)層は、(B)層の配線材料と接触する面と反対側の面に、(A)層が設けられることが好ましい形態である。
また、本発明の太陽電池用封止材は、2層以上の(A)層と2層以上の(B)層とを含んでもよく、この場合には、配線材料と接触する層が(B)層であり、被接着体に接触する層が(A)層である層構造であることが好ましい。
このような層構造であることにより、本発明の太陽電池モジュールに優れた光学性と強度を付与できる。
また、(B)層は、(A)層と同様に、単一の層である形態が好ましい。但し、(B)層の形態は単一の層である形態には限定されず、例えば、含有されるアイオノマーの種類(例えば、ベースポリマーの共重合比、中和度、金属種、等)等が異なる複数の層からなる形態であってもよい。
本発明の太陽電池用封止材の成形は、単層T−ダイ押出機、多層T−ダイ押出機、カレンダー成形機、単層インフレーション成形機、多層インフレーション成形機などを用いた公知の方法によって行なうことができる。
例えば、本発明の太陽電池用封止材は、原料であるアイオノマーに、必要に応じ、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、および紫外線吸収剤等の添加剤を添加してドライブレンドし、T−ダイ押出機の主押出機および従押出機のホッパーから供給し、シート状に押出成形することにより得られる。
本発明の太陽電池用封止材は、この太陽電池用封止材を2枚の3.2mm厚の青板フロートガラスの間に挟んだ状態で2重真空槽貼り合せ機にて貼り合せ(条件:150℃、8分間)、その後23℃の大気中で放冷(すなわち徐冷)を行なったときに、JIS−K7105に準拠した全光線透過率を83質量%以上とすることができる。すなわち、一般的には貼り合せた後に徐冷すると透明性は悪くなる傾向にあるため、貼り合せた後は急冷するのが通例であって急冷後の全光線透過率で評価されるが、本発明においては、徐冷後の全光線透過率が83質量%以上と極めて良好な透明性を示す。
また、全光線透過率は、85質量%以上であることがより好ましい。
全光線透過率は、ヘイズメーター(スガ試験機社製)を用い、JIS−K7105に準じて測定される値である。なお、放冷(徐冷)とは、15℃/min以下の降温速度で冷却することをいう(冷却開始から5分後の温度から算出)。
本発明の太陽電池用封止材は、透明性、接着性及び高い剛性を実現することから、例えば、合わせガラス用の中間膜に用いることができる。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、上述した本発明の太陽電池用封止材を備える。
本発明の太陽電池モジュールは、透明性及び接着性を両立しつつ、剛性に優れる太陽電池用封止材を備えることにより、耐久性に優れ、電池性能がより安定することとなる。
太陽電池モジュールの一実施形態について、図1を参照して説明する。
なお、本発明の太陽電池モジュール10は、図1に示すものに限られない。
図1に示す太陽電池モジュール10は、太陽光が入射する側に配置された上部透明保護材1(例えば、ガラス)、セル(太陽電池素子)3、及び太陽光が入射する側と反対側の裏面を保護する下部保護材(例えば、バックシート)5を、この順番に積層した構成である。
上部透明保護材1及び下部保護材5に挟まれた空間は、(A)層2A及び(B)層2Bを有する、太陽電池用封止材2により封止されている。
具体的には、太陽電池用封止材2は、(A)層2Aと、(B)層2Bと、(A)層2Aと、をこの順に積層した積層構造である。ここで、(B)層2Bは、(B)層2bが積層された2層構造となっている。
太陽電池用封止材2は、(A)層2Aと(B)層2bとからなる封止シートを2枚用いて、(B)層2b同士が接するように重ね合せて形成されている。
すなわち、上部透明保護材1及び下部保護材5に挟まれた空間は、太陽電池用封止材2を、セル3の上部透明保護材1側とセル3の下部保護材5側とを、それぞれ、(B)層2bにより挟み込む状態となるように配置することで、封止されている。
そして、図1の太陽電池モジュール10においては、(B)層2bと(A)層2Aとからなる封止シート2枚からなる太陽電池用封止材2を適用することで、一方の封止シートの(A)層が、上部透明保護材1に接触し、もう一方の封止シートの(A)層が、下部保護材5に接触している。
セル3は、n型シリコン12及びp型シリコン14の積層体であり、n型シリコン12上には、第1電極16が、p型シリコン14上には第2電極18が、それぞれ備えられている。
セル3は、太陽電池モジュール10中に複数備えられており、n型シリコン12の第1電極16と、隣接する他のセル3におけるp型シリコン14の第2電極18とが、配線材料4で接続されており、両端のセル3におけるp型シリコン14の第2電極18が、それぞれ、配線材料4で、例えば端子に接続されている。
ここで、太陽電池モジュール10は、複数のセル3を並べて備えているため、太陽電池用封止材2は、セル3だけでなく、セル3同士との間隙や、下部保護材5も被覆することとなる。そのため、太陽電池用封止材2における、上部透明保護材1に接触する面と反対側の面は、セル3同士の間隙から露出している配線材料4や、下部保護材5にも接触することとなる。
また、上記太陽電池モジュールは、上記積層構造の端面が、端面封止材6や、金属フレーム7(例えば、アルミニウムのフレーム)により保護されていてもよい。
配線材料4は、銅を含む配線材料であり、例えば、銅配線が形成された配線基板などが挙げられる。
セル3としては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、及びアモルファスシリコンなどのIV族半導体;ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン及びカドミウム−テルルなどのIII−V族並びにII−VI族の化合物半導体などが好ましく用いられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「ppm」は質量基準である。
なお、「エチレン含量」、「メタクリル酸含量」、および「アクリル酸イソブチル含量」は、それぞれ、樹脂中におけるエチレンから導かれる構造単位の含有割合、樹脂中におけるメタクリル酸から導かれる構造単位の含有割合、および、樹脂中におけるアクリル酸イソブチルから導かれる構造単位の含有割合を表す。
本実施例において用いた材料、各層の配合、基材、および評価方法は、以下の通りである。
<1.アイオノマー>
(アイオノマー1)
・種類:マグネシウムアイオノマー
・ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体(エチレン含量=80質量%、メタクリル酸含量=10質量%、アクリル酸イソブチルエステル含量=10質量%)
・特性:中和度45モル%、MFR2.5g/10分
(アイオノマー2)
・種類:亜鉛アイオノマー
・ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=85質量%、メタクリル酸含量=15質量%)
・特性:中和度23モル%、MFR5.0g/10分
(アイオノマー3)
・種類:マグネシウムアイオノマー
・ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量85質量%、メタクリル酸含量=15質量%)
・特性:中和度54モル%、MFR0.7g/10分
(アイオノマー4)
・種類:亜鉛アイオノマー
・ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=85質量%、メタクリル酸含量=15質量%)
・特性:中和度23モル%、MFR5.0g/10分
(アイオノマー5)
・種類:亜鉛アイオノマー
・ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=91質量%、メタクリル酸含量=9質量%)
・特性:中和度18モル%、MFR14.0g/10分
(アイオノマー6)
・種類:亜鉛アイオノマー
・ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体(エチレン含量=80質量%、メタクリル酸含量=10質量%、アクリル酸イソブチルエステル含量=10質量%)
・特性:中和度56モル%、MFR2.1g/10分
(アイオノマー7)
・種類:亜鉛アイオノマー
・ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体(エチレン含量=75質量%、メタクリル酸含量=8質量%、アクリル酸イソブチルエステル含量=17質量%)
・特性:中和度65モル%、MFR2.5g/10分
(アイオノマー8)
・種類:マグネシウムアイオノマー
・ベースポリマー:エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=85質量%、メタクリル酸含量=15質量%)
・特性:中和度20モル%、MFR10.0g/10分
(ポリマー1)
・種類:エチレン・メタクリル酸共重合体
・ポリマー組成:エチレン・メタクリル酸共重合体(エチレン含量=96質量%、メタクリル酸含量=4質量%)
・特性:MFR7.0g/10分
(ポリマー2)
・種類:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体
・ポリマー組成:エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチルエステル共重合体(エチレン含量=75質量%、メタクリル酸含量=8質量%、アクリル酸イソブチルエステル含量=17質量%)
・特性:MFR2.5g/10分
<2.シランカップリング剤>
・N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン:信越化学工業(株)製「KBM602」
−(3)配合−
(A)層へのシランカップリング剤の配合は、成形前に、予め、アイオノマーとシランカップリング剤とを所定の比率で混合することにより行なった。
−(4)基材−
・3.2mm厚の青板強化ガラス(旭硝子(株)製)
[実施例1]
100質量部のアイオノマー1に対して、0.05質量部(500ppm)のシランカップリング剤(KBM602)を添加して得られた樹脂組成物をシート成形機によって成形し、(A)層用の単層シート(厚み100μm)を作製した。
また、アイオノマー3を100質量部用いて、上記と同様にシート成形機によって成形し、(B)層用の単層シート(厚み300μm)を作製した。
上記シート成形機としては、いずれも、ダイ幅40mmのダイスを装着した40mmφ単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製)を用いた。
<評価>
上記の各単層シートを用い、以下のようにして評価を行なった。評価結果を下記表1に示す。
(中和度及び酸含量の測定)
上記(A)層に含まれる特定アイオノマー及び上記(B)層に含まれる特定Mgアイオノマーについて、既述の方法で、中和度及び酸含量を測定した。
(透明性)
3.2mm厚の青板強化ガラス(75mm×120mm)と、上記(A)層用の単層シートと、上記(B)層用の単層シートと、3.2mm厚の青板強化ガラス(75mm×120mm)とを、真空加熱貼合器(LM−50x50S、NPC社製の2重真空槽貼り合せ機)を用い、170℃、8分間の条件でこの順に貼り合せた後、短片側の一端を固定してガラス立てに立てた状態にして温度23℃の大気中に放置して徐冷(降温速度=13℃/min、冷却開始5分後のガラス中央の表面温度85℃)し、青板強化ガラス/(A)層/(B)層/青板強化ガラスからなる構成の試料を作製した。
この試料を用い、ヘイズメーター(スガ試験機社製)にてJIS−K7105に準じ、全光線透過率(%)、ヘイズ(%)を測定した。
この透明性の評価は、「(A)層/(B)層の多層シートを想定した評価である。
(接着性)
3.2mm厚の青板強化ガラス(75mm×120mm)と、(A)層用の単層シートと、(B)層用の単層シートと、を真空加熱貼合器(LM−50x50S、NPC社製)により、170℃、8分間の条件でこの順に貼り合わせ、青板強化ガラス/(A)層/(B)層からなる構成の接着性評価用試料を作製した。
得られた接着性評価用試料を用い、初期接着強度及び耐湿接着強度を、15mm幅で引張速度100mm/分の条件で行なった。
初期接着強度は、作製後の上記試料を用いて測定を行い、耐湿接着強度については、上記試料を、85℃、90%RH環境下で1000時間エージング後の試料について、同様に測定を行なった。
なお、この接着性の評価は、「(A)層/(B)層のシート」(太陽電池用封止材)を用いた場合における、(A)層とガラスとの接着性を想定した評価である。
(剛性)
−曲げ剛性の測定−
(A)層/(B)層の2層シートをダイ幅40mmのダイスを装着した40mmφ単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製)を用いて多層シート成形を実施し、さらにこの試料を使用して曲げ剛性評価用試料を作製した。
この曲げ剛性評価用試料をJIS−K7106に従い試験片を作製し、曲げ剛性(MPa)を求めた。
[実施例2〜4、比較例1〜4]
実施例1の(A)層におけるアイオノマー又はポリマーを、表1、2に従って変更したこと以外は、実施例1と同様にして(A)層用及び(B)層用の単層シートをそれぞれ作製し、評価用の試料を作製後、各種評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
表1、2から明らかなように、実施例の太陽電池用封止材は、比較例の太陽電池用封止材に比べ、透明性(高全光線透過率、低ヘイズ)及び接着性を両立しつつ、強度に優れている。
また、このように透明性と耐熱収縮性を両立する太陽電池封止材用シートを太陽電池モジュールの作製に適用すれば、耐久性に優れ、電池性能がより安定した太陽電池モジュールが得られることが見込まれる。
1 上部透明保護材
2 太陽電池用封止材
2A (A)層
2B、2b (B)層
3 セル
4 配線材料
5 下部保護材
6 端面封止材
7 金属フレーム
10 太陽電池モジュール
12 n型シリコン
14 p型シリコン
16 第1電極
18 第2電極

Claims (7)

  1. エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のアイオノマー及びシランカップリング剤を含み、前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体100質量%中のα,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合が3質量%以上25質量%以下である(A)層と、中和度が35モル%以上であるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体のマグネシウムアイオノマーを含む(B)層と、を有する太陽電池用封止材。
  2. 前記(A)層及び前記(B)層における、厚みの比率((A)/(B))が1/2以下である請求項1に記載の太陽電池用封止材。
  3. 前記(A)層の前記アイオノマーの中和度が、20モル%以上75モル%以下である請求項1又は請求項2に記載の太陽電池用封止材。
  4. 前記(A)層中の前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体が、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体であり、前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体100質量%中のα,β−不飽和カルボン酸エステル由来の構成単位の含有割合が5質量%以上14質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
  5. 前記(B)層の前記エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体100質量%中の不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合が、5質量%以上25質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
  6. 前記(A)層に含まれる前記アイオノマーが、マグネシウムアイオノマー又は亜鉛アイオノマーである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材を備えた太陽電池モジュール。
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