JP2008516509A - パネル音響トランスデューサを有する表示装置及び透光性パネル音響トランスデューサ - Google Patents

Abstract

表示装置１は、透光性パネル音響トランスデューサ６を有する。透光性フロントパネル６は、外側透光性薄板パネル６ｂ及び支持パネル６ａを有する積層体を持つ。支持パネル６ａは、透光性薄板パネル６ｂよりも相当に大なる剛性を有し、透光性薄板パネル６ｂは、支持パネルの少なくとも一方の側において、支持パネル６ａを越えて延びる側部領域７を有し、その延在する側部領域７には、表示スクリーン２に面する側に励振器８又はレシーバが設けられる。

Description

本発明は、パネル音響トランスデューサを有する表示装置に関する。

パネル音響トランスデューサというのは、例えばパネルスピーカやパネルマイクロフォンに相当するものである。

パネルスピーカは、拡声スピーカのような音声発生装置のために用いられるものであり、しばしば、移動電話機、ラジオ、テレビなどの他の装置の一部として用いられる。パネルマイクロフォンは、音声を録音するために用いられる。

本発明はまた、透光性パネル音響トランスデューサに関する。

パネル音響トランスデューサの使用は、標準的な拡声スピーカを有する装置と比較して装置のサイズ及び／又は重量を小さくする可能性を提供するので、新しい構成が可能になっている。

フロントパネルの背後にトランスデューサを置くことが知られている。拡声スピーカがフロントパネルの背後にある装置においては、自由な空気移動を可能とするために当該パネルに穴を設ける必要がある。こうした穴は望ましくない。

例えば、国際特許出願に係る文献のＷＯ９７／０９８５４からは、ディスプレイの前部に埋め込まれた矩形状の平坦パネル拡声スピーカの形態で表示装置の近くにパネル音響トランスデューサを置くことが知られている。しかしながら、これら平坦パネル拡声スピーカでは、パネル音響トランスデューサの２つの長い側部が自由に振動することができることが必要となる。これは、これら拡声スピーカをフロントパネル自体の部分ではなく個別の部分としなければならないことを意味し、装置及びその製造の複雑さを増大させる。さらに、これらは個別の部分として見分けることができ、その構成の全体の印象を散漫なものとする影響がある。

透明音響トランスデューサを用いて表示スクリーンの前部にパネル音響トランスデューサを配置することは、米国特許出願に係る文献の２００３０５９０６９から知られており、透明なフロントパネルとして形成される透明音響トランスデューサが記述されている。これは例えば移動電話機又はＬＣＤ若しくはＰＤＰディスプレイの表示スクリーンのような表示スクリーンの前部に位置づけられる。しかしながら、この構成は、画質に悪い影響を及ぼすものである。この透明音響トランスデューサは、振動する。したがって、このフロントパネルにおけるランプ及び他のオブジェクトの反射も振動し、これにより、観察者の気を散らすことになる。何故なら、可視のアーチファクトが生まれるからである。特に、フロントパネルの振動は、フロントパネルの中央における大きな変位により低周波数（＜４００Ｈｚ）において視認可能である。さらに、音声を発生するのに必要な励振器は、表示スクリーンが視認性を維持することを可能にするためにフロントパネルの側部に置かれなければならず、特に低い周波数で当該励振があまり効率的でなくなる。このため、パネルの各側部において強力な励振器を多数用いなければならない。さらに、かかる相当に強力な励振器の電力の大部分はパネル自体に伝送されないが、表示装置の他の部分には伝送される。

本発明の目的は、上述した問題の１つ又は２つ以上を少なくとも軽減する比較的簡単な構成を備えるパネル音響トランスデューサを有する表示装置を提供することである。

このため、本表示装置は、表示スクリーンの前部に位置づけられる透光性フロントパネルを有し、この透光性フロントパネルは、外側透光性薄板パネルと、支持パネルと、を有する積層体を備え、前記支持パネルは、前記透光性薄板パネルよりも相当に大なる剛性を有し、前記透光性薄板パネルは、前記支持パネルの少なくとも一方の側において、前記支持パネルを越えて延びる側部領域を有し、その延在する側部領域には、前記表示スクリーンに面する側に励振器又はレシーバが設けられていることを特徴としている。

本発明は、次の認識に基づいている。

この薄板パネル及び支持パネルは、自由に振動することができる１つ以上の側部領域と、当該支持パネルの剛性により振動しないか又は少なくとも非常に微小な程度しか振動しない中央領域とを備えた積層体すなわち１つの構造体に組み合わせられる。

この構成により、当該トランスデューサの１つ又は複数とフロントパネルとの間の視覚的区別がなく、また可視のアーチファクトもない。何となれば、
・外側の薄板パネルは、支持パネルにわたって延び、単一のフロント表面を形成し、
・フロントパネルの中央部は、振動せず又は振動し難く、これにより可視アーチファクトが回避される、
という理由があるからである。

さらに、薄板パネルの側部領域は励振器が設けられるので、自由に振動する領域は、非常に効率的に励振される。

本発明による表示装置は、１つ以上の励振器及び／又は１つ以上のレシーバの存在に応じて、パネルスピーカ、パネルマイクロフォン又はこれら両者の組み合わせとすることができる。

好適な実施例では、薄板パネルは、パネルの対向側部において少なくとも２つの側部領域を有し、各側部領域には励振器又はレシーバが設けられる。これにより、効率が向上し、ステレオ音声を生成することも可能となる。

好適実施例においては、支持パネルには、当該支持パネルの周辺部において１つ以上の剛化部分が設けられる。

このような剛化部により、支持パネルの剛性が増し、重量の削減が可能となる。好適実施例において、かかる剛化部は、表示スクリーンのような他の要素のための台として用いることができる。

本発明はまた、透光性パネル音響トランスデューサであって、外側透光性薄板パネルと、支持パネルと、を有する積層体を備え、前記支持パネルは、前記透光性薄板パネルよりも相当大なる剛性を有し、前記透光性薄板パネルは、前記支持パネルの少なくとも一方の側において、前記支持パネルを越えて延びる側部領域を有し、この延在する側部領域には、前記支持パネルに近接して励振器又はレシーバが設けられている、トランスデューサにも関する。

本発明によるパネル音響トランスデューサの実施例は、請求項５及び６に規定されている。

本発明の上記態様及びその他の態様は、添付図面に基づき例示により詳しく説明する。

図面は、一律の縮尺で描かれたものではない。概して、同一の部分は図において同じ参照符号により指し示されている。

図１は、外囲体３において表示スクリーン２を有する表示装置１を概略的に示している。本発明の範囲内で、「表示スクリーン」は、例えば、ＬＣＤ若しくはＰＤＰ又は他のフラットタイプのディスプレイ、或いはＣＲＴディスプレイといったあらゆるディスプレイ、すなわち画像を表示するあらゆる装置とすることができる。

このような表示装置にはしばしば、音声発生手段が設けられる。従来の拡声スピーカは、一般には音声を発生するために用いられる。フラットパネル音響トランスデューサは、本発明による装置に用いられる。このようなトランスデューサは、それらが平坦であるという点で従来の拡声スピーカよりも利点を奏するものである。図２Ａは、拡声スピーカＬＳがスクリーン２の後方に設けられる構成を示している。但し、自由な空気の移動を可能とするために穴が設けられる必要がある。これらの穴は望ましくない。

例えば、国際特許出願に係る文献のＷＯ９７／０９８５４からは、当該表示装置の前部に埋め込まれた矩形の平坦パネル拡声スピーカの形態で表示パネルに近接してパネル音響トランスデューサ４を置くことが知られている。但し、これらフラットパネル拡声スピーカにおいては、当該パネルの２つの長い側部が自由に振動することができることが必要である。これは、これらの拡声スピーカはフロントパネル自体の部分ではなく個別の部分となっていなければならないことを意味し、これにより、当該装置及びその製造の複雑さが増す。さらに、これら個別のフラットパネル拡声スピーカは個別の部分として見分けることができ、スリット５が明確に視認できるので、デザインの全体の印象に散漫な影響を与える。

透光性パネル音響トランスデューサ６を用いて表示スクリーン２の前部にパネル音響トランスデューサ６を配置することは、米国特許出願に係る文献の２００３０５９０６９から知られており、そこでは、透光性フロントパネルとして形成された透光性パネル音響トランスデューサが表示スクリーンの前部に位置づけられている。表示スクリーン自体は、例えば、移動電話機、又はＬＣＤ若しくはＰＤＰディスプレイの表示スクリーンとすることができる。

但しこの構成は、画質に悪い影響を与える。透光性音響トランスデューサは振動するのである。したがって、このフロントパネルにおけるランプ及び他のオブジェクトの反射も振動し、これにより、観察者の気を散らすことになる。何故なら、可視のアーチファクトが生じるからである。特に、フロントパネルの振動は、フロントパネルの中央における大きな変位により低周波数（＜４００Ｈｚ）において視認することができてしまう。さらに、音を発生するのに必要な励振器は、表示スクリーンが視認可能なままとするためにフロントパネルの側部に置かれなければならず、当該励振を非効率なものとしてしまう。このため、多数の強力な励振器をパネル各側部に用いなければならない。さらに、相当に強力な励振器の電力の多くはパネル自体には伝送されず、表示装置の他の部分には伝送される。

図３は、本発明による表示装置の詳細を示している。この表示装置は、
・外側の透光性薄板パネル６ｂと、
・支持パネル６ａと、
を有する積層体を備えた透光性フロントパネル６を有し、ここでは、
・支持パネル６ａは透光性薄板パネル６ｂよりも非常に大きな剛性を有し、
・透光性薄板パネル６ｂは、当該支持パネルの少なくとも一方の側において、支持パネル６ａを越えて延びる側部領域７を有し、この延在する側部領域７は、表示スクリーン２に面する側に励振器８が設けられる、
ものとしている。

当該薄板パネル及び支持パネルは、自由に振動可能な１つ以上の側部領域と、支持パネルの剛性により振動しないか又は少なくとも非常に僅かな程度しか振動しない中央領域とを有して積層体すなわち１つの構造体に組み合わせられる。

なお、本発明の範囲内で当該積層体は、付加的な層、例えば光学的又は安全性の理由によりアンチグレア又は耐擦傷性の層を有するようにしてもよい。

この構成により、薄板パネルは支持パネルを跨越するものとなっており、１つ又は複数のトランスデューサとフロントパネルとの視覚的区別がなく、また可視アーチファクトもない。何故なら、
・外側の薄板パネルは、支持パネルを跨って延在し、単一のフロント表面を形成し、
・フロントパネルの中央部分は、振動しないか又は振動し難く、これにより可視アーチファクトを避ける、
という理由があるからである。

透光性薄板パネル６ｂは、例えば透光性の堅い支持パネル６ａの上面に貼り付けられる。フロントパネルを振動させるための励振器（８）は、側部領域７において薄板パネル６ｂの裏に取り付けられる。

音響的かつ視覚的条件を満たせば、別のパネル材料を用いることができる。

透光性薄板パネルの有益な材料は、薄いガラス及びポリカーボネートである。支持パネルの有益な材料は、ガラスである。

振動自在な側部領域７は、当該側部領域に励振器が設けられるので非常に効率的に励振される。

薄板パネルは、１つの側部領域を有してもよいが好ましくは２つの側部領域を有するのがよく、各側部領域には１つ以上の励振器が設けられる。これにより、得られる最大のラウドネスを増大させ、ステレオ音声を発生することもできる。

支持パネル６ａは、表示領域をカバーするような寸法を有するとともに、薄板パネル６ｂは、当該側部において自在に振動可能となっている。振動領域は、薄板パネルが上部においても下部においても固定され１つだけ振動自在な側部を残すように全体のパネルよりも高さが低いものとすることができる。図４は、透光性フロントプレートの実施例を例証として示しており、これら側部領域は、全体のパネルよりも小さい高さを有し、側部９が固定され側部１０が自由なものとなっている。

支持パネル６ａは、薄板パネル６ｂの剛性よりも少なくとも３倍、好ましくは少なくとも５倍、さらに好ましくは少なくとも１０倍大きい剛性を有する。

次の材料も、薄板パネル６ｂ及び支持パネル６ａのために用いることができる。

薄板パネル６ｂ：０．２ないし１ｍｍの厚さを持つ硬化ガラス。例えば０．５ｍｍとすることができる。或いは、０．４ないし２ｍｍの厚さを持つポリカーボネート。例えば１ｍｍとすることができる。これらは２ないし１０、好ましくは３ないし７ｍｍの厚さのガラス又はポリカーボネートの支持パネル６ａをカバーするものとする。

要約すると、本発明は、次のように述べることができる。

表示装置１は、透光性パネル音響トランスデューサ６を有する。透光性フロントパネル６は、
・外側透光性薄板パネル６ｂと、
・支持パネル６ａと、
を有する積層体を備える。

支持パネル６ａは、透光性薄板パネル６ｂよりも相当に大なる剛性を有し、透光性薄板パネル６ｂは、支持パネルの少なくとも一方の側において支持パネル６ａを越えて延びる側部領域７を有し、この延在する側部領域７は、表示スクリーン２に面する側において励振器８又はレシーバを具備する。

本発明の範囲内で数多くの変形が可能であることは明らかである。当業者であれば、本発明がこれまでに詳しく図示し説明したものによって限定されないことが分かる筈である。

例えば、薄板パネル及び支持パネルの積層体には、このパネルの１つ以上の周辺部分において支持パネルに付けられた硬化部分が設けられるようにしてもよい。

図５は、このような構成を示している。支持パネル６ａの周辺部上に硬化部分１１を設けることにより、中央領域の剛性を増大させる効果を奏する。硬化部分１１は、例えば、支持パネル６ａの周囲の全体を取り囲む支持リングとしたり、支持パネルの２つの側部における硬化隆起部としてもよい。１つ又は複数の硬化部分１１は、表示スクリーンのような装置の他の構成要素を取り付けるために用いられるようにしてもよい。

さらに、上記の例はＰＤＰやＬＣＤなどの表示スクリーンのための表示装置に関するものであるが、本発明の範囲内で、「表示スクリーン」は絵又は彩色したものとすることもできる。この場合において、「表示スクリーンは、例えばフロントプレートを伴う絵のフレームとなる。例えば、美術館において、絵画に、当該絵画から気をそらすことなく、透光性音響トランスデューサを介して視認される画像についての情報を提供する、本発明の透光性音響トランスデューサを設けることができる。

かかる透光性音響トランスデューサは、平坦又は（少し）湾曲したものとすることができる。

当該例においては、透光性音響トランスデューサは励振器で示される。すなわち、当該トランスデューサは、音を発生するために用いられる。本発明の範囲内で、当該側部領域又は当該側部領域のうちの１つ以上がレシーバを具備するものとしてもよい。例えば、延在する側部領域のうちの１つ又は２つが音を発生する励振器を具備し、他の延在する側部領域がレシーバを具備するものとすることができる。これにより、視認される拡声スピーカ又はマイクロフォンを伴うことなく２方向通信が可能となる。

本発明は、ありとあらゆる新規な特徴事項及び特徴事項のありとあらゆる新規な組み合わせに存するものである。請求項における参照符号は、それらの保護範囲を限定するものではない。「有する」なる動詞及びその活用形の使用は、当該請求項に記載のもの以外の要素の存在を排除するものではない。要素の単数表現は、かかる要素の複数の存在を排除するものではない。

表示装置を示す概略図。 拡声スピーカを備えた表示装置の既知の構成を概略的に示す図。 側部音響パネルを供えた表示装置の既知の構成を概略的に示す図。 本発明による表示装置の詳細を概略的に示す図。 本発明による透光性パネル音響トランスデューサを示す図。 本発明による表示装置の他の例の詳細を概略的に示す図。

Claims (6)

1. パネル音響トランスデューサを有する表示装置であって、表示スクリーンの前部に位置づけられる透光性フロントパネルを有し、この透光性フロントパネルは、
   外側透光性薄板パネルと、
   支持パネルと、
   を有する積層体を備え、
   前記支持パネルは、前記透光性薄板パネルよりも相当に大なる剛性を有し、
   前記透光性薄板パネルは、前記支持パネルの少なくとも一方の側において、前記支持パネルを越えて延びる側部領域を有し、その延在する側部領域には、前記表示スクリーンに面する側に励振器又はレシーバが設けられている、
   装置。
2. 請求項１に記載の表示装置であって、前記薄板パネルは、当該パネルの対向する側部において少なくとも２つの側部領域を有し、各側部領域には、励振器又はレシーバが設けられている、装置。
3. 請求項１に記載の表示装置であって、前記支持パネルには、前記支持パネルの周辺部分において１つ以上の硬化部分が設けられている、装置。
4. 透光性パネル音響トランスデューサであって、
   外側透光性薄板パネルと、
   支持パネルと、
   を有する積層体を備え、
   前記支持パネルは、前記透光性薄板パネルよりも相当大なる剛性を有し、
   前記透光性薄板パネルは、前記支持パネルの少なくとも一方の側において、前記支持パネルを越えて延びる側部領域を有し、この延在する側部領域には、前記支持パネルに近接して励振器又はレシーバが設けられている、トランスデューサ。
5. 請求項４に記載の透光性パネル音響トランスデューサであって、前記薄板パネルは、当該パネルの対向する側部において少なくとも２つの側部領域を有し、各側部領域には、励振器又はレシーバが設けられている、トランスデューサ。
6. 請求項４に記載の透光性パネル音響トランスデューサであって、前記支持パネルには、前記支持パネルの周辺部分において１つ以上の硬化部分が設けられている、トランスデューサ。

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