JP2008507530A - Toll様受容体を発現する腫瘍細胞におけるアポトーシスの誘導 - Google Patents

Toll様受容体を発現する腫瘍細胞におけるアポトーシスの誘導 Download PDF

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Abstract

いくつかの型の癌細胞は、1つまたはそれより多くのToll様受容体(TLR)を発現する。これらのTLRが処置の標的である。本発明は、TLRを発現する腫瘍細胞を選択し、そしてその細胞を治療的に有効な量のTLRリガンドと接触させることによって、Toll様受容体を発現する癌および腫瘍細胞を処置するための方法に関連する。本発明は特に、TLR3アゴニストを用いて、TLR3を発現する癌および腫瘍細胞を処置する方法に関連する。

Description

(関連出願の引用)
本願は、米国出願第60/589,616号に対する優先権を主張する。
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、TLRを発現する腫瘍細胞を選択し、そしてその細胞を治療的に有効な量のTLRリガンドと接触させることによって、Toll様受容体(TLR)を発現する癌および腫瘍細胞を処置するための方法に関連する。本発明は特に、TLR3アゴニストを用いて、TLR3を発現する癌および腫瘍細胞を処置するための方法に関連する。
(背景)
癌は、世界中で主な死因の1つである。従って、我々がこの致命的な疾患を処置する新規な方法を開発することが必須である。多くの現在の癌治療は、急速に分裂する細胞に影響を与える。これらの治療は、癌細胞のみでなく、胃腸管および毛包の細胞のような、全ての急速に分裂する細胞に影響を与えるので、破壊的な副作用を有する。従って、そのような破壊的な副作用を有さない、新規の処置方法が必要である。本出願は、Toll様受容体3を、癌処置における処置標的として同定する。
Drosophila tollタンパク質は、Drosophila胚において、背側−腹側パターン形成を制御し、そして太古からの宿主防御メカニズムを表すとも考えられる。
Toll様受容体(TLR)と呼ばれる、Drosophila tollのヒト相同体も同定された。ヒトのTollタンパク質とDrosophilaのTollタンパク質との配列の整列は、このタンパク質鎖の全長にわたって相同性が存在することを示す。よって、TLRはヒトの先天免疫の重要な構成要素であると考えられる。
ヒトToll様受容体のファミリーは、10個の高度に保存された受容体タンパク質であるTLR1〜TLR10から構成される。Drosophila tollと同様に、ヒトTLRは、病原体関連分子パターン(pathogen−associated molecular patterns;PAMP)を認識するロイシンリッチリピート(LRR)ドメインからなる細胞外ドメイン、およびヒトインターロイキン−1(IL−1)受容体の細胞質ドメインと相同的な細胞質ドメインを有するI型膜貫通タンパク質である。Drosophila tollおよびIL−1受容体の両方のシグナル伝達経路と同様に、ヒトToll様受容体はNF−κB経路を介してシグナル伝達する。
哺乳類TLRは多くの特徴およびシグナル伝達メカニズムを共有するが、その生物学的機能は非常に異なる。これは、部分的には、4つの異なるアダプター分子(MyD88、TIRAP、TRIF、およびTRAF)が、TLRと様々な組み合わせで会合し、そして異なるシグナル伝達経路を媒介するという事実による。それに加えて、1つのTLRに対する異なるリガンドが、異なるシグナル伝達経路を優先的に活性化し得る。さらに、TLRは、様々な造血系細胞および非造血系細胞において、識別的に発現される。よって、TLRリガンドに対する応答は、TLRによって活性化されるシグナル伝達経路だけでなく、個々のTLRを発現する細胞の性質にも依存する。
いくつかのTLRのリガンドはまだ同定されていないが、多くのTLR特異的リガンドが既に報告されている。例えば、ポリICおよびポリAUは、どちらもTLR3アゴニストである。
ポリイノシン酸−ポリシチジル酸(ポリIC)は、大きさが不均一な、高分子量合成2本鎖RNAである。ポリICはTLR3アゴニストであるが、抗ウイルス応答および遺伝子の転写後調節に関与する普遍的な酵素であるPKRの強力な活性化因子でもある。
ポリアデニル酸−ポリウリジル酸(ポリAU)は、合成ポリリボヌクレオチドの2本鎖複合体である。ポリAUは、TLR3アゴニストである。ポリAUは、体液性免疫応答および細胞性免疫応答の両方の修飾因子であり、そしてインターフェロンの誘導因子でもある。
ポリICおよびポリAUはどちらも、乳房、膀胱、腎臓、および胃の癌のような、異なる型の癌でのアジュバント治療としていくつかの臨床試験において使用されたが、これらの薬剤は、本明細書中で開示される新規方法において以前に使用されたことはない。
先に述べたように、本出願は、Toll様受容体3を、癌の処置における処置標的として同定する。以下の発表された研究は、TLRとアポトーシスとの間の関係に関連する。
非特許文献1(Aliprantisら)は、ヒトToll様受容体2(hTLR2)を発現する単球細胞株におけるアポトーシスの誘導に対する細菌リポタンパク質(BLP)の影響を調査する実験について報告する。非特許文献1を参照のこと。
Aliprantisらによる別の参考文献(非特許文献2)は、FADDの補充によるカスパーゼ8の活性化の誘発におけるTLR2の役割に関連する。非特許文献2を参照のこと。
非特許文献3(Sabroeら)は、好中球の生存におけるTLR2の役割に関連する。非特許文献3を参照のこと。
非特許文献4(BannermanおよびGoldblum)は、細菌リポ多糖(LPS)受容体としてTLR4およびTLR2を示す研究に関連する。非特許文献4を参照のこと。
非特許文献5(Meyerら)は、ヒト上皮細胞株(HeLaS3)、ケラチノサイト(HaCaTおよびA431細胞)、およびマウス線維芽細胞(McCoy細胞)におけるTLR7アゴニストによるアポトーシスの誘導についての研究に関連する。非特許文献5を参照のこと。
非特許文献6(Wenら)は、糖尿病が、先天免疫受容体であるTLR3の発現を介した、膵島によるウイルス様刺激の直接認識の組み合わせによって部分的に誘導されることを示唆する。Wenらはまた、ポリICによるアポトーシスの誘導がおそらくTLR3によって媒介されることを推測する。非特許文献6を参照のこと。
最後に、非特許文献7(Hanら)は、TRIFを過剰発現する293細胞におけるアポトーシスの誘導に関連する。非特許文献7はまた、TLR3によって活性化される、TRIF誘導細胞内シグナル伝達経路(ISRE/IFNβ、NFκBおよびアポトーシス)の提案されたモデルに言及する。非特許文献7を参照のこと。
Aliprantisら、「Cell Activation and Apoptosis by Bacterial Lipoproteins Through Toll−like Receptor−2」、Science、第285巻、736−739頁(1999年7月30日) Aliprantisら、「The apoptotic signaling pathway activated by Toll−like receptor−2」、Embo J.,第19(13)巻、3325−3336頁(2000) Sabroeら、「Selective Roles for Toll−Like Receptor(TLR)2 and TLR4 in the Regulation of Neutrophil Activation and Life Span」、J.Immunology、第170巻、5268−5275頁(2003) BannermanおよびGoldblum、「Mechanisms of bacterial lipopolysaccharide−induced endothelial apoptosis」、Am.J.Physiology Lung Cell Molecular Physiology、第284巻、L899−L914頁(2003) Meyerら、「Induction of apoptosis by Toll−like Receptor−7 agonist in tissue cultures」、British J.Dermatology、第149巻(supp.66)、9−13頁(2003) Wenら、「The Effect of Innate Immunity on Autoimmune Diabetes and the Expression of Toll−Like Receptors on Pancreatic Islets」、J.Immunology、第172巻、3173−3180頁(2004) Hanら、「Mechanisms of the TRIF−induced Interferon−stimulated Response Element and NF−κB Activation and Apoptosis Pathways」、J.Biological Chemistry、第279巻、第15号、15652−15661頁(2004)
(発明の要旨)
本発明の実施態様は、a)TLRを発現する癌を有する患者を選択する工程、およびb)その患者に、治療的に有効な量のTLRリガンドを投与する工程を包含する、癌を処置するための方法を提供する。好ましくは、そのリガンドはアゴニストまたはアンタゴニストである。
本発明の別の実施態様は、a)TLRを発現する腫瘍細胞を選択する工程、およびb)その細胞を、その細胞においてアポトーシスを誘導するために有効な量のTLRリガンドと接触させる工程を包含する、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供する。好ましくは、そのリガンドはアゴニストまたはアンタゴニストである。
本発明の別の実施態様は、a)TLR3を発現する癌を有する患者を選択する工程、およびb)その患者に、治療的に有効な量のTLR3リガンドを投与する工程を包含する、癌を処置するための方法を提供する。好ましくは、そのリガンドはアゴニストまたはアンタゴニストである。より好ましくは、そのアゴニストはポリAUである。最も好ましくは、そのアゴニストはポリICである。あるいは、そのアンタゴニストは抗体またはその断片である。好ましくは、TLR3を発現する癌は大腸癌である。最も好ましくは、TLR3を発現する癌は乳癌である。その方法はさらに、患者に化学療法剤または癌処置を投与することを含み得る。その方法はまたさらに、TLR3リガンドの投与前に、患者に低用量のI型IFNを投与することを含み得る。
本発明の別の実施態様は、a)TLR3を発現する腫瘍細胞を選択する工程、およびb)その細胞を、その細胞においてアポトーシスを誘導するために有効な量のTLR3リガンドと接触させる工程を包含する、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するための方法を提供する。好ましくは、そのリガンドはアゴニストまたはアンタゴニストである。より好ましくは、そのアゴニストはポリAUである。最も好ましくは、そのアゴニストはポリICである。あるいは、そのアンタゴニストは抗体またはその断片である。好ましくは、TLR3を発現する腫瘍細胞は大腸癌細胞である。最も好ましくは、TLR3を発現する腫瘍細胞は乳癌細胞である。その方法はさらに、その細胞を化学療法剤または癌処置と接触させることを含み得る。その方法はまたさらに、TLR3リガンドの投与前に、細胞を低用量のI型IFNと接触させることを含み得る。
本発明の前述および他の特徴は、以下の発明の詳細な説明および図面の簡単な説明からより容易に明らかである。
(発明の詳細な説明)
本明細書中で引用された全ての刊行物は、その全体が参考として援用される。
(定義)
「アポトーシス」という用語は、プログラム細胞死を意味する。
「アゴニスト」という用語は、受容体に結合し、そして活性化し得るリガンドを意味する。
「アンタゴニスト」という用語は、受容体に結合し、そして受容体をブロックまたは不活性化し得るリガンドを意味する。あるいは、「アンタゴニスト」は、アゴニストが受容体に結合するのを防止するように、アゴニストに結合し、そしてアゴニストをブロックまたは不活性化し得る。
「抗体」という用語は、免疫グロブリン全体、すなわちF断片に結合した2つのFab断片を含むものを意味する。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、霊長類化(primatized)抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体を包含する。「抗体」という用語は、免疫グロブリンの5つの主要なクラス(IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM)および免疫グロブリンのサブクラス(アイソタイプ、すなわちIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2)のいずれか1つを含む。
「抗体断片」という用語は、Fab断片、F断片、F(ab)2断片およびF断片のような、免疫グロブリン全体の任意の断片または断片の組み合わせを意味する。
「癌」という用語は、代表的に未制御の細胞増殖によって特徴付けられる生理学的状態を記述する。癌の例は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病を含むがこれらに限定されない。より具体的な例は、扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、大腸癌、直腸結腸癌、子宮内膜癌、唾液腺癌腫、腎臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌腫、および様々な型の頭部および頸部癌を含む。
「化学療法剤」という用語は、癌の処置に有用な化学的化合物を意味する。
「処置」という用語は、任意の臨床的に望ましいまたは有用な効果を引き起こす、疾患または異常の処置的、予防的または抑制的な手段を意味し、1つまたはそれより多くの症状の緩和、疾患または障害の進行の後退、遅延、または休止を含むがこれらに限定されない。
「siRNA」という用語は、短い干渉RNAを意味する。
「TLR」という用語は、Toll様受容体を意味する。TLRは、Toll様受容体の任意の種であり得る。好ましくは、その用語は、TLR1〜TLR10の1つのような、ヒトToll様受容体(hTLR)を指す。
「TLRを発現する癌」という用語は、Toll様受容体を発現する細胞を含む腫瘍を意味する。
「TLRを発現する腫瘍細胞」という用語は、Toll様受容体を発現する腫瘍細胞を意味する。
「発現する(express)」、「発現する(expresses)」、「発現」、および「発現している」という用語は全て、ポリペプチドを産生するための核酸の転写および翻訳を意味する。細胞において、これはそのポリペプチドが分泌されるか、細胞質にとどまるか、または少なくとも部分的に細胞膜に存在するかのいずれかであることを意味する。
「リガンド」という用語は、受容体のような、別の分子に特異的に結合し得る任意の分子を意味する。「リガンド」という用語は、アゴニストおよびアンタゴニストの両方を含む。「リガンド」は例えば、低分子(有機分子)、抗体または抗体断片、siRNA、アンチセンス核酸、ポリペプチド、DNAおよびRNAであり得る。
「TLRリガンド」という用語は、Toll様受容体、特にヒトTLR1〜TLR10に特異的に結合し得る任意の分子を意味する。「TLRリガンド」という用語は、TLRのアゴニストおよびアンタゴニストの両方を含む。「TLRリガンド」は例えば、低分子(有機分子)、抗体または抗体断片、siRNA、アンチセンス核酸、ポリペプチド、DNAおよびRNAであり得る。
「対応するTLRリガンド」という用語は、特定のTLRに結合するリガンドを意味する。例えば、TLR1リガンドは、TLR1の対応するTLRリガンドである。同様に、TLR2リガンドは、TLR2の対応するTLRリガンドである。この同じ原理がTLR3〜TLR10にもあてはまる。
「患者」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物の両方を意味する。
「ポリIC」という用語は、ポリイノシン酸−ポリシチジル酸を意味する。
「ポリAU」という用語は、ポリアデニル酸−ポリウリジル酸を意味する。
「治療的に有効な量」という用語は、癌のような、TLRによって引き起こされる、または媒介される医学的状態を特徴付ける1つまたはそれより多くのパラメーターを緩和する、TLRリガンドのような組成物の量を意味する。
「有効量(effective amount)」および「有効な量(amount effective)」という用語は、細胞におけるアポトーシスの誘導のような、ある効果を引き起こす、TLRリガンドのような医薬品組成物の量を意味する。
「低用量」という用語は、処置的効果のようなある効果を達成するために普通であると考えられるより低い物質の量を意味する。
(Toll様受容体(TLR)の特徴付け)
ヒトToll様受容体(hTLR)のファミリーは、10個のメンバーhTLR1〜hTLR10から構成される。hTLR1〜hTLR10のそれぞれの完全なオープンリーディングフレームのヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、当該分野で公知である。例えば、hTLR1〜hTLR10の配列はPCT公開第WO01/90151において開示されるが、その配列は公の命名法と異なって番号が付けられている。hTLR1〜hTLR10のそれぞれのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列はまた、下記の表1において示すように、GenBank(登録商標)データベースにおいても見出され得る。
Figure 2008507530
当業者は、任意のTLRの核酸配列およびアミノ酸配列を考慮して、標準的な分子生物学の技術を用いて、任意のTLRタンパク質またはその断片、そのタンパク質または断片に対する抗体、核酸またはその断片、核酸プローブ、アンチセンス、siRNA等を産生し得る。これらの分子を次いでTLRを発現する癌または腫瘍細胞を選択するために使用し得る。
下記の表2で示すように、いくつかのTLRリガンドが同定された。当業者は、下記のリガンドのいずれも単離または産生し得る。あるいは、そのリガンドを市販の供給源から購入し得る。
Figure 2008507530
TLRは、免疫応答のメディエーターとして機能する。従って、TLRの処置的適用は、腫瘍学、感染性疾患、自己免疫、アレルギー、喘息、COPDおよび心臓病学の分野に存在する。
本発明は、部分的には、ある型の腫瘍細胞はToll様受容体を発現すること、およびこれらのTLRへのリガンド結合は、腫瘍に対する免疫応答の確立を助け、そしてその有効性を改善するという知見に基づく。
(TLRを発現する癌または腫瘍細胞の選択)
本発明の方法の工程は、TLRを発現する癌を有する患者を選択すること、またはTLRを発現する腫瘍細胞を選択することを含む。
「選択すること」という用語は、目的の何かを同定することを意味する。本適用の文脈において、「患者を選択すること」という語句は、TLRを発現する癌のような、特定の特徴を有する患者を同定することを意味する。「TLRを発現する腫瘍細胞を選択すること」という語句は、Toll様受容体を発現する腫瘍細胞を同定することを意味する。
当該分野において公知であるように、TLRを発現する癌を有する患者を選択する、またはTLRを発現する腫瘍細胞を選択する多くの方法が存在する。例えば、TLRを発現する腫瘍細胞に結合し、そしてそれを同定するために、抗体または抗体断片を使用し得る。好ましくは、TLR3を発現する腫瘍細胞に結合し、そしてそれを同定するためにTLR3抗体を使用する。抗体またはその断片を、医薬品組成物においてインビボで、またはインビトロで投与し得る。好ましくは、患者に対して生検を実施し、そして腫瘍細胞をインビトロで選択する。そうでなければTLRリガンド処置のプロトコールに含まれない患者を補充する潜在的な手段として、生検の前にTLRの発現を増加させることも可能である。TLR3の場合、低用量のI型IFNまたはTLR3リガンド自身を、生検前、または他のあらゆる診断的手順(穿刺吸引または医学的映像)の前に、数日間投与し得る。あるいは、この出願の表2において同定されたTLRリガンドのいずれか1つ、または他の低分子を、TLRを発現する腫瘍細胞に結合し、そしてそれを同定するために使用し得る。好ましくは、TLR3を発現する細胞に結合し、そしてそれを同定するためにTLR3リガンドを使用する。再び、選択工程を好ましくはインビトロで行う。さらに、腫瘍細胞を溶解して、その細胞が増加したレベルの特定のTLRタンパク質(ウェスタンブロットによって)、または特定のTLR RNA(ノーザンブロットによって)を示すかどうかを決定し得る。
選択過程は、検出可能な標識の使用を含み得る。例えば、上記の抗体、抗体断片、低分子、DNA、RNA、および他のリガンドを、検出するために標識する必要があり得る。検出は視覚的に、またはデバイスの使用によって達成され得る。当該分野で通常使用される検出可能な標識は、例えば放射性標識、蛍光標識、および酵素的標識を含むが、任意の検出可能な標識を使用し得る。
TLRを発現する腫瘍細胞を同定することに加えて、選択工程はおそらく特定の腫瘍細胞がどのToll様受容体(TLR1〜TLR10)を発現しているかを同定する。これは、TLRを発現する腫瘍細胞を選択するために使用される多くの抗体、抗体断片、DNA、RNA、低分子、または他のリガンドが、TLR1〜TLR10のうちの個々のTLRに特異的に結合するという事実による。
TLRを発現する癌を有する患者を選択する、またはTLRを発現する腫瘍細胞を選択する工程を、間接的な様式でも実施し得る。例えば、癌による特定のTLRの発現を、特定の病因を有する癌の特定のサブタイプと関連させ得る。ウイルスのような、この特定の病因の任意のマーカーは、所定のTLRの発現を示し得、そして対応するTLRリガンドの使用を導く有用なマーカーであり得る。
(患者へのTLRリガンドの投与)
本発明の方法の別の工程は、患者に、治療的に有効な量のTLRリガンドを投与することを含む。この工程は、TLRリガンドを医薬品組成物中で投与することを含む。例えば、医薬品組成物は、錠剤の形式であり得、その結果、リガンドが血流中に吸収される。次いで循環系によってTLRリガンドがTLRを発現する癌へと送達され得、その結果、リガンドと癌とがお互いに接触し得る。この接触工程が、リガンドが癌のToll様受容体に結合し、そして癌における増殖阻害およびアポトーシスを誘導することを可能にする。あるいは、黒色腫の処置のためのように、医薬品組成物を局所的(locally)または表面(topically)に投与し得る。
上記で述べたように、選択工程はおそらく、その癌が発現している特定のTLRを同定する。好ましくは、投与工程は、Toll様受容体を発現する癌を有する患者に、対応するリガンドを投与することを含む。例えば、癌がTLR1を発現しているなら、好ましくは患者に有効な量のTLR1リガンドを投与する。同様に、癌がTLR2を発現しているなら、好ましくは患者に有効な量のTLR2リガンドを投与する。同じ原理がTLR3〜TLR10にもあてはまる。
好ましくは、本発明の方法は、TLR3を発現する癌を有する患者に、有効な量のTLR3リガンドを投与することを含む。好ましくは、TLR3リガンドはアゴニストである。より好ましくは、TLR3リガンドはポリAUである。最も好ましくは、TLR3リガンドはポリICである。好ましくは、癌は大腸癌細胞または乳癌である。
好ましくは、本発明の方法はさらに、患者に化学療法剤または癌処置を投与することを含む。
好ましくは、本発明の方法はさらに、患者に低用量のI型IFNまたはTLR3リガンドを投与することを含む。例えば、低用量のI型IFNは1〜3MUの範囲であり、そして好ましくは2MUである。より好ましくは、低用量のI型IFNは1MUより少ない。
(TLRを発現する腫瘍細胞とTLRリガンドとの接触)
あるいは、本発明の方法の工程は、TLRを発現する腫瘍細胞を、有効な量のTLRリガンドと接触させることを含む。インビボにおいて、接触工程は、TLRリガンドを医薬品組成物中で患者に投与することを含む。インビトロにおいて、接触工程は、TLRを発現する腫瘍細胞およびTLRリガンドを、リガンドと細胞とがお互いに接触し得るように、物理的に近づけることを含む。この接触工程は、リガンドが細胞のToll様受容体に結合し、そして腫瘍細胞において増殖阻害およびアポトーシスを誘導することを可能にする。
上記で述べたように、選択工程はおそらく、その腫瘍細胞が発現している特定のTLRを同定する。好ましくは、接触工程は、Toll様受容体を発現する細胞を、対応するリガンドと接触させることを含む。例えば、腫瘍細胞がTLR1を発現しているなら、好ましくは細胞を有効な量のTLR1リガンドと接触させる。同様に、腫瘍細胞がTLR2を発現しているなら、好ましくは細胞を有効な量のTLR2リガンドと接触させる。同じ原理がTLR3〜TLR10にもあてはまる。
好ましくは、本発明の方法は、TLR3を発現する腫瘍細胞を、有効な量のTLR3リガンドと接触させることを含む。好ましくは、TLR3リガンドはアゴニストである。より好ましくは、TLR3リガンドはポリAUである。最も好ましくは、TLR3リガンドはポリICである。好ましくは、細胞は大腸癌細胞または乳癌細胞である。
好ましくは、本発明の方法はさらに、細胞を化学療法剤または癌処置と接触させることを含む。
好ましくは、本発明の方法はさらに、細胞を低用量のI型IFNまたはTLR3リガンドと接触させることを含む。例えば、低用量のI型IFNは1〜3MUの範囲であり、そして好ましくは2MUである。より好ましくは、低用量のI型IFNは1MUより少ない。
(ポリペプチド)
抗体、抗体断片またはリポペプチドのようなポリペプチドを、本発明の方法において、TLRを発現する癌または細胞を選択するために選択工程において、TLRリガンドを患者に送達するために投与工程において、またはTLR発現細胞において増殖阻害およびアポトーシスを誘導するために接触工程において使用し得る。それに加えて、TLRに結合する(抗体のような)リガンドを同定または産生するために、TLRポリペプチドまたはその断片を産生し得る。
本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド」または「ペプチド」という用語は、例えば完全なタンパク質の残基の全数までおよびそれを含んで、少なくとも8個、好ましくは少なくとも12個、より好ましくは少なくとも20個、そして最も好ましくは少なくとも30個またはそれより多くの連続的なアミノ酸残基を含むポリペプチドの断片または部分を意味する。「ポリペプチド」という用語はまた、欠失体、付加体、修飾体、置換体、アナログ、変異体、および糖鎖付加ポリペプチドまたは非糖鎖付加ポリペプチドを含む。
置換は、保存的置換および非保存的置換の両方を含む。
アミノ酸残基の修飾は、カルボキシル末端またはカルボキシル側鎖を含む残基の脂肪族エステルまたはアミド、ヒドロキシル基を含む残基のO−アシル誘導体、およびアミノ末端アミノ酸またはアミノ基を含む残基、例えばリジンまたはアルギニンのN−アシル誘導体を含み得るがこれに限らない。
アナログは、非天然(unnatural)アミノ酸残基、またはホスホチロシン残基、ホスホセリン残基、もしくはホスホスレオニン残基のようなリン酸化アミノ酸残基の組み込みのような修飾を含むポリペプチドである。他の可能性のある修飾は、スルホン化、ビオチン化、または他の部分、特にリン酸基と類似の分子形状を有するものの付加を含む。
ポリペプチドの合成の技術は、例えばMerrifield、J.Amer.Chem.Soc.85:2149(1963);Merrifield、Science 232:341(1986);およびAthertonら、Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach、1989、IRL Press、Oxfordにおいて記載されている。
ポリペプチドのアナログを、化学的合成によって、または部位特異的変異誘導[Gillmanら、Gene 8:81(1979);Robertsら、Nature 328:731(1987)またはInnis(編)、1990、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、Academic Press、New York、NY]、または完全な受容体をコードする核酸を修飾するために、Daughertyら[Nucleic Acids Res.19:2471(1991)]によって例示されたように、ポリメラーゼ連鎖反応法[PCR;Saikiら、Science 239:487(1988)]を用いることによって調製し得る。組み換え産物の精製または検出のために、エピトープタグを加えることを想定する。
(核酸)
TLRを発現する癌を有する患者を選択するために、またはTLRを発現する腫瘍細胞を選択するために、核酸を使用し得る。患者を選択するために、好ましくは患者の腫瘍の生検を行う。次いで、その腫瘍細胞を、インビトロでTLR核酸の発現に関して分析し得る。
この出願の表1において示すように、hTLR1〜hTLR10のそれぞれの核酸配列およびアミノ酸配列は、当該分野で公知である。当業者は、特定の腫瘍細胞がTLR核酸を発現しているかどうかを決定するためのハイブリダイゼーションアッセイを行うために、公知の配列またはその断片を使用し得る。例えば、特定のTLRの公知の配列を使用して、当業者は、腫瘍細胞がその特定のTLRを発現しているかどうかを決定するためにノーザンブロット分析を行い得る。
それに加えて、特定のTLRまたはその断片をコードする核酸を使用して、TLRポリペプチドを産生し得る。次いでそのTLRポリペプチドを使用して、特定のTLRに対する抗体を産生し得る。
核酸「断片」は、本明細書中で、少なくとも17、一般的に少なくとも25、好ましくは少なくとも35、より好ましくは少なくとも45、そして最も好ましくは少なくとも55またはそれより多くの連続的なヌクレオチドを含むヌクレオチド配列として定義される。
核酸の操作および発現の一般的な技術が、例えばSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版)、1989、第1−3巻、Cold Spring Harbor Laboratoryにおいて一般的に記載されている。
(抗体産生)
TLRに特異的な抗体およびその断片を、本発明の方法の、TLR発現細胞を選択するために選択工程において、TLRリガンドを患者に送達するために投与工程において、またはTLR発現細胞において増殖阻害およびアポトーシスを誘導するために接触工程において使用し得る。
個々のTLRの抗原性(すなわち免疫原性)断片を産生し得る。それらがTLRリガンドに結合するかどうかに関わらず、そのような断片は、完全な受容体と同様、完全な受容体に結合し得る抗体を調製するための抗原として有用である。より短い断片をキャリアに連結または結合し得る。エピトープは一般的に少なくとも5つ、好ましくは少なくとも8個のアミノ酸残基を含むことが当該分野で周知であるので[Ohnoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:2945(1985)]、抗体の産生に使用される断片は、一般的に少なくともそのサイズである。好ましくは、それらは、上記で記載したように、さらにより多くの残基を含む。所定の断片が免疫原性かどうかを、慣用的な実験によって容易に決定し得る。
免疫学的にコンピテントな宿主において抗体産生を誘導するために完全なTLRを抗原として使用する場合には一般的に必要でないが、より小さい抗原性断片は、好ましくは免疫原性キャリア分子(すなわち、宿主動物において独立に免疫学的応答を惹起する性質を有する高分子)への架橋または連結によって、または結合によって、最初により免疫原性にする。小さいポリペプチド断片は、ハプテン(抗体に特異的に結合し得るが、抗体産生を誘導できない分子、すなわち、それらは免疫原性ではない)として作用することがあるので、キャリア分子への架橋または結合が必要であり得る。そのような断片の免疫原性キャリア分子への結合は、「キャリア効果」として通常公知であるものによって、それらをより免疫原性にする。
適切なキャリア分子としては、例えばタンパク質およびポリペプチド、多糖類、リポ多糖類等のような、天然または合成のポリマー化合物が挙げられる。キーホールリンペットヘモシアニン、ならびにヒトまたはウシのガンマグロブリン、ヒト、ウシ、またはウサギの血清アルブミン、またはそのようなタンパク質のメチル化または他の誘導体のような、哺乳類血清タンパク質を含むがこれらに限定されない、タンパク質キャリア分子が特に好ましい。他のタンパク質キャリアは、当業者に明らかである。好ましくは、そのタンパク質キャリアは、断片に対する抗体が惹起される宿主動物に対して外来性であるが、その必要はない。
キャリア分子に対する共有結合を、当該分野で周知の方法を用いて達成し得、その正確な選択は、使用されるキャリア分子の性質によって指示される。免疫原性キャリア分子がタンパク質である場合、本発明の断片を、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドのような、水溶性カルボジイミドまたはグルタルアルデヒドを用いて結合し得る。
これらのような結合薬剤を、別のキャリア分子を用いることなく、断片をそれ自身に架橋するためにも使用し得る。そのような凝集物への架橋も、免疫原性を増加させ得る。単独で、または結合もしくは凝集と組み合わせて、公知のアジュバントを使用することによっても、免疫原性を増加させ得る。
動物をワクチン接種するために適切なアジュバントとしては、アジュバント65(ピーナッツオイル、マンナイドモノオレエート、およびモノステアリン酸アルミニウムを含む);フロイント完全または不完全アジュバント;水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムおよびミョウバンのようなミネラルゲル;ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、リゾレシチン、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、N,N−ジオクタデシル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシメチル)プロパンジアミン、メトキシヘキサデシルグリセロールおよびプルロニックポリオールのような界面活性剤;ピラン、硫酸デキストラン、ポリIC、ポリアクリル酸およびカルボポールのようなポリアニオン;ムラミルジペプチド、ジメチルグリシンおよびタフトシンのようなペプチド;およびオイルエマルションが挙げられるがこれらに限定されない。ポリペプチドも、リポソームまたは他のマイクロキャリアへ組み込んだ後、投与し得る。
アジュバントおよびイムノアッセイの様々な局面に関する情報が、例えば、P.Tijssen、Practice and Theory of Enzyme Immunoassays、第3版、1987、Elsevier、New Yorkによるシリーズにおいて開示されている。ポリクローナル抗血清を調製する方法を含む他の有用な参考文献は、Microbiology、1969、Hoeber Medical Division、Harper and Row;Landsteiner、Specificity of Serological Reactions、1962、Dover Publications、New York、およびWilliamsら、Methods in Immunology and Immunochemistry、第1巻、1967、Academic Press、New Yorkを含む。
標準的な方法を用いて免疫された動物からの血清を直接使用し得る、またはIgG画分を、血漿分離交換法または固定化プロテインAのようなIgG特異的吸着剤を用いた吸着クロマトグラフィーのような、標準的な方法を用いて血清から分離し得る。あるいは、モノクローナル抗体を調製し得る。
TLRまたはその抗原性断片に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを、周知の技術によって産生する。通常、その過程は、不死化細胞株と、望ましい抗体を産生するBリンパ球との融合を含む。あるいは、不死の抗体産生細胞株を産生する、非融合技術、例えばウイルスにより誘導されたトランスフォーメーション[Casaliら、Science 234:476(1986)]を使用し得る。不死化細胞株は、通常トランスフォーメーションされた哺乳類細胞、特にげっ歯類、ウシ、およびヒト起源の骨髄腫細胞である。最も多くの場合、利便性および入手可能性の問題として、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株を採用する。
抗原を注射した哺乳類から抗体産生リンパ球を得る技術は周知である。一般的に、ヒト起源の細胞を採用するなら、末梢血リンパ球(PBL)を使用する、または非ヒト哺乳類の供給源からは脾臓またはリンパ節細胞を使用する。宿主動物に、精製抗原の反復投与量を注射し(ヒト細胞をインビトロで感作する)、そして動物に望ましい抗体産生細胞を産生させてから、それらを不死化細胞株と融合するために回収する。融合の技術も当該分野で周知であり、そして一般的に細胞をポリエチレングリコールのような融合剤と混合することを含む。
HAT(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン)選択のような、標準的な手順によってハイブリドーマを選択する。望ましい抗体を分泌するものを、ウェスタンブロッティング、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)等のような、標準的なイムノアッセイを用いて選択する。抗体を、標準的なタンパク質精製技術を用いて培地から回収する[Tijssen、Practice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevier、Amsterdam、1985)]。
上記の技術を適用する指針を提供するために、多くの参考文献が入手可能である[Kohlerら、Hybridoma Techniques(Cold SpringHarbor Laboratory、New York、1980);Tijssen、Practice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevier、Amsterdam、1985);Campbell、Monoclonal Antibody Technology(Elsevier、Amsterdam、1984);Hurrell、Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications(CRC Press、Boca Raton、FL、1982)]。モノクローナル抗体はまた、周知のファージライブラリーシステムを用いても産生され得る。例えば、Huseら、Science 246:1275(1989);Wardら、Nature 341:544(1989)を参照のこと。
ポリクローナルまたはモノクローナルに関わらず、そのように産生された抗体を、例えば免疫親和性クロマトグラフィーによって受容体を精製するために、周知の方法によって固体支持体に結合した固定化形式で使用され得る。
未標識または標準的な方法によって標識された、抗原性断片に対する抗体も、TLRのイムノアッセイの基礎として使用し得る。使用される特定の標識は、イムノアッセイの型に依存する。使用し得る標識の例としては、32P、125I、H、および14Cのような放射性標識;フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシルおよびウンベリフェロンのような蛍光標識;ルシフェリンおよび2,3−ジヒドロフタラジンジオンのような化学発光剤;および西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リゾチーム、およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼのような酵素が挙げられるがこれらに限定されない。
抗体を、公知の方法によって、そのような標識でタグ化し得る。例えば、アルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、イミデート、スクシンイミド、ビスジアゾ化ベンジジン等のような結合剤を使用して、抗体を蛍光標識、化学発光標識または酵素標識でタグ化し得る。関与する一般的な方法は、当該分野で周知であり、そして例えばImmunoassay: A Practical Guide、1987、Chan(編)、Academic Press,Inc.、Orlando、FLにおいて記載される。そのようなイムノアッセイを、例えば受容体の精製の間に得られた画分に対して実施し得る。
本発明の抗体をまた、発現クローニングシステムにおいて、TLRを発現する特定のcDNAクローンを同定するために使用し得る。
受容体のリガンド結合部位に特異的な中和抗体も、リガンド結合をブロックするためのアンタゴニスト(阻害剤)として使用され得る。そのような中和抗体を、慣用実験によって、例えば下記で記載する放射性リガンド結合アッセイを用いることによって、容易に同定し得る。TLR活性の拮抗作用を、完全な抗体分子、またはFab断片、Fc断片、F(ab)断片およびFv断片のような周知の抗原結合断片を用いて達成し得る。
そのような断片の定義を、例えば、Klein、Immunology(John Wiley、New York、1982);Weir編、Immunochemistry、第4版(Blackwell Scientific Publishers、Oxford、1986)のParham、第14章において見出し得る。抗体断片、例えばFab断片[Tijssen、Practice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevier、Amsterdam、1985)]、Fv断片[Hochmanら、Biochemistry 12:1130(1973);Sharonら、Biochemistry 15:1591(1976);Ehrlichら、米国特許第4,355,023号]および抗体半分子(half molecules)(Auditore−Hargreaves、米国特許第4,470,925号)の使用および産生もまた、記載された。公知の抗体重鎖および軽鎖可変領域配列に基づいて組み換えFv断片を作成する方法が、例えばMooreら(米国特許第4,642,334号)によって、およびPlueckthun[Bio/Technology 9:545(1991)]によって、さらに記載された。あるいは、それらを標準的な方法によって化学的に合成し得る。
ポリクローナルおよびモノクローナルの両方の抗イディオタイプ抗体も、抗原としての受容体に対して惹起された抗体を用いて産生され得る。そのような抗体は、受容体を模倣し得るので有用であり得る。
(医薬品組成物)
TLRアゴニストおよびアンタゴニストを、治療的に使用して、TLRの活性を刺激またはブロックし、そしてそれによってTLRによって引き起こされる、または媒介される任意の医学的状態を処置し得る。処置的適用に関わる投与レジメは、処置物質の作用を改変し得る様々な因子、例えば患者の状態、体重、性別および食事、投与時間、および他の臨床的因子を考慮して、担当医師によって決定される。
そのような物質の治療的投与のための代表的なプロトコールは、当該分野で周知である。医薬品組成物の投与は、代表的には非経口、腹腔内、静脈内、皮下もしくは筋肉内での注射による、または注入による、または任意の他の受容可能な全身性の方法による。多くの場合、処置投与量は、安全性および有効性を最適化するために、低いレベルから上へ向かってタイトレーションされる。一般的に、1日投与量は体重1キログラムあたり約0.01から20mgのタンパク質の範囲に入る。代表的には、投与量範囲は、体重1キログラムあたり約0.1から5mgまでである。
より小さな分子サイズおよびおそらく減少した投与後の半減期(クリアランス時間)を考慮して、投与量を調整する。しかし、TLRアンタゴニストは、本発明の方法を用いて同定し得る、有機低分子および阻害性リガンドアナログを含む他の型の阻害剤に加えて、中和抗体またはその結合断片を含むことが、当業者によって認識される。
医薬品組成物を単純な溶液中で投与し得るが、より代表的には、キャリア、好ましくは医薬品キャリアのような他の材料と組み合わせて使用される。有用な医薬品キャリアは、医薬品組成物を患者に送達するために適切な、任意の適合性の無毒性物質であり得る。滅菌水、アルコール、脂肪、ワックス、および不活性固体が、キャリアに含まれ得る。薬学的に受容可能な佐剤(緩衝剤、分散剤)も、医薬品組成物に含まれ得る。一般的に、そのような薬物の非経口投与に有用な組成物は周知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science、第17版(Mack Publishing Company、Easton、PA、1990))。あるいは、医薬品組成物を、移植可能な薬物送達システムによって、患者の体内に導入し得る[Urquhartら、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.24:199(1984)]。
多くの従来の投与処方物において、治療用処方物を投与し得る。処方物は、代表的には、1つまたはそれより多くの薬学的に受容可能なキャリアと共に、少なくとも1つの活性成分を含む。処方物としては、経口、直腸内、経鼻、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適切なものが挙げられ得る。
処方物は、簡便に単位投与形式で提示され得、そして薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。例えば、Gilmanら(編)(1990)、The Pharmacological Bases of Therapeutics、第8版、Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、前出、Easton、Penn;Avisら(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications、Dekker、New York;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets、Dekker、New York;およびLiebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems、Dekker、New Yorkを参照のこと。
(組み合わせ治療)
癌の予防または処置におけるTLRリガンドの有効性を、リガンドを、この同じ目的のために有効な、別の薬剤または処置と組み合わせて投与することによって改善し得る。例えば、TLRリガンドを、化学療法剤または癌処置と組み合わせて投与され得る。好ましくは、TLRリガンドはTLR3アゴニストである。
「化学療法剤」は、癌の処置に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例としては、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXANTM)のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファンのようなアルキルスルホネート;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、およびビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189およびCBI−TMIを含む);エレウテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン酸化物、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド、およびウラシルマスタードのようなナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンのようなニトロソウレア;エネジイン(enediyne)抗生物質(例えばカリチェアミシン、特にカリチェアミシンガンマ1lおよびカリチェアミシンphil1、例えばAgnew、Chem Intl.Ed.Engl.33:183−186(1994)を参照のこと)のような抗生物質;ダイネマイシンAを含むダイネミシン(dynemicin);クロドロネートのようなビスホスホネート;エスパラマイシン(esperamicin);ならびにネオカルチノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシンTM)(モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、チューバーシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシン;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)のような代謝拮抗剤;ドネプテリン(denopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)およびトリメトレキセートのような葉酸アナログ;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)およびチオグアニンのようなプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、およびフロクスウリジンのようなピリミジンアナログ;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、およびテストラクトンのようなアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトーテン、およびトリロスタンのような抗副腎(anti−adrenal);フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸補充剤;アセグラトン、アルドホスファミド(aldophosphamide)グリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デホホラミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルホルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイタンシンおよびアンサマイトシンのようなマイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン;ミトザントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン:フェナメト(phenamet);ピラルビシン;ロソキザントロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン(triaziquone);2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecene)(特にT−2毒素、バラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドキセタキセル(doxetaxel)(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);クロラムブシル;ゲムシタビン(GemzarTM);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンのような白金アナログ;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトザントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NavelbineTTM);ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸のようなレチノイド;カペシタビン;および上記のいずれかの薬学的に受容可能な塩、酸、または誘導体を含む。例えば、タモキシフェン(NolvadexTMを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(FarestonTM)を含め、抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)のような、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するよう作用する抗ホルモン剤;例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(MegaceTM)、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(RivisorTM)、レトロゾール(FemaraTM)、およびアナストロゾール(ArimidexTM)のような、副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリンのような抗アンドロゲン;および上記のいずれかの薬学的に受容可能な塩、酸、または誘導体も、この定義に含まれる。
癌の「処置」は、癌を除去するための手術、および癌または腫瘍を減少させるかまたは破壊するための放射線処置を含む。癌の予防または処置におけるTLRリガンドの有効性を、低用量のI型IFNと組み合わせてリガンドを投与することによっても改善し得る。例えば、低用量のI型IFNは、1〜3MUの範囲、そして好ましくは2MUである。より好ましくは、低用量のI型IFNは1MUより少ない。好ましくは、TLRリガンドはTLR3アゴニストである。
上記で述べたように、組み合わせ処置に関与する投与レジメンは、担当医師によって決定される。
本発明の例示として提供される、以下の制限しない実施例を参照することによって、本発明をより良く理解し得る。以下の実施例は、本発明をより完全に説明するために提供され、そして決して本発明の広い範囲を制限すると解釈されるべきでない。他に示さなければ、固体混合物中の固体、液体中の液体、および液体中の固体に関して下記で与えられるパーセンテージは、それぞれwt/wt、vol/vol、およびwt/volベースである。細胞培養中は一般的に滅菌条件が維持された。
(材料および一般的な方法)
例えば、Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、1982、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Press;Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)、第1−3巻、1989、Cold Spring Harbor Press、NY;Ausubelら、Biology、Greene Publishing Associates、Brooklyn、NY;またはAusubelら(1987および増刊)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene/Wiley、New York;Innisら(編)、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications、1990、Academic Press、N.Y.において記載されるような、標準的な方法を使用した。
(細胞株および試薬)
ヒト乳房腫瘍細胞株である、Cama−1、SW527、BT−483およびMCF−7を、ATCC(Rockville、MD)から得て、そして2mMのL−グルタミン(Life Technologies、Paisley Park、GB)、10%のウシ胎仔血清(Life Technologies)、160μg/mLのゲンタリン(gentalline)(Schering Plough、Kenilworth、NJ)、2.5mg/mLの炭酸水素ナトリウム(Life Technologies)、アミノ酸(Invitrogen)および1mMのピルビン酸ナトリウム(Sigma−Aldrich、Saint Louis、MO)を補充した4.5g/mLのグルコース(Invitrogen、San Diego、CA)を含むDMEM F12中で培養した(完全培地と呼ばれる)。ポリイノシン酸−ポリシチジン酸(ポリIC)を、Invitrogen(San Diego、CA)から得た。ペプチドグリカン(PGN)およびリポ多糖(LPS)を、Sigma−Aldrichから購入した。I型IFN受容体をブロックするmAbを、PBL Biochemical Laboratories(Piscataway、NJ)から購入し、そしてTNF−α中和mAbを、Genzyme(Cambridge、MA)から購入した。Stat1に対する抗体、リン酸化Stat1(チロシン701)に対する抗体およびPKRに対する抗体を、Cell Signaling(Beverly、MA)から購入した。ヒトIFN−βに対する抗体を、R&D Systems(Minneapolis、MIN)から購入した。NF−κB p65サブユニット、TRAF6およびβ−チューブリンに対する抗体を、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA)から購入した。一般的なカスパーゼ阻害剤z−VAD−fmkを、R&D Systemsから購入した。シクロヘキシミド(CHX)を、Sigma−Aldrichから購入した。
ヒト原発性乳房腫瘍サンプルを、病院の生命倫理プロトコールに従ってCentre Le’on Be’rard(Lyon、France)から得た。単一の細胞懸濁液を、コラゲナーゼA(Sigma−Aldrich)による消化、ならびに洗浄および製造会社の指示に従ってHEAマイクロビーズ(Mylteni Biotech、Bergisch Gladbach、Germany)を用いてヒト上皮抗原(HEA)陽性細胞を濃縮した後に得た。最終的な単一細胞懸濁液は、80%より多くのHEA陽性細胞、および2%より少ないCD4造血系の混入物を含んでいた。
(アポトーシス分析)
TLRリガンドによる処置後の細胞回復を、クリスタルバイオレット染色(Sigma−Aldrich)によって測定した。細胞を96穴プレートに、10細胞/ウェルでプレーティングした。TLRリガンド有りまたは無しのいずれかで72時間培養した後、細胞をPBSで洗浄し、6%のホルムアルデヒド(Sigma−Aldrich)で20分間固定し、2回洗浄し、そして次いで0.1%のクリスタルバイオレットで10分間染色した。洗浄および1%のSDS中で1時間インキュベートした後、Vmaxプレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)において、605nmで吸光度を読み取った。アネキシンV染色を、アネキシン−FITCアポトーシス検出キット(BD Pharmingen、San Diego、CA)で、製造会社の指示に従って行った。70%のエタノール中で一晩透過処理した後、3μg/mLのヨウ化プロピジウム(PI)(Molecular probes、Eugene、OR)で染色することによって、二倍体未満(sub−diploid)の細胞を検出した。二重線識別モジュールを備えたFACScalibur(Becton Dickinson、Mountain View、CA)で、そしてCellquest Proソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて、フローサイトメトリーによって蛍光を分析した。
(生化学)
Cama−1細胞を、1%のNonidet−P40を含む緩衝液中で溶解した。SDS−ポリアクリルアミドゲル(Invitrogen)に、1レーンあたり20μgの全タンパク質をローディングした。上記で記載した抗体を用いて、標準的な技術によってウェスタンブロット(WB)を行った。抗IRAK−4モノクローナル抗体を、Fossiezら、「T cell interleukin−17 induces stromal cells to produce proinflammatory and hematopoietic cytokines」、J.Exp.Med.、第183(6)巻、2593−2603(1996)において記載されたプロトコールに従って、研究室で作製した。
(サイトカイン分泌)
IL−6の分泌を、DuoSet ELISAキット(R&D Systems)を製造会社の指示に従って用いた標準的な酵素結合アッセイ(ELISA)によって、培養上清中で測定した。
(siRNA実験)
Cama−1細胞を、6穴プレートに1ウェルあたり3×10細胞でプレーティングした。一晩接着させた後、siRNAのトランスフェクションを、3μg/mLのリポフェクトアミン2000(Invitrogen)および100nMのsiRNAを含むOptiMEM培地(Life technologies)中で5時間行った。次いでポリICによる処理およびアポトーシス分析の前に、細胞を洗浄し、そして完全培地中で72時間培養した。TLR3に特異的なsiRNA二重鎖、PKRに特異的なsiRNA二重鎖、IRAK−4に特異的なsiRNA二重鎖、TRAF6に特異的なsiRNA二重鎖およびp65に特異的なsiRNA二重鎖を、Dharmacon(Lafayette、CO)からSMART−Poolsとして購入した。TRIF siRNAを、同じ供給会社から単一のオリゴ二重鎖(5’−GCUCUUGUAUCUGAAGCAC−3’)(配列番号23)として購入した。TLR3およびTRIFの発現を、以下のプライマーを用いて、TaqPCR ReadyMix(Sigma−Aldrich)によるPCR(35サイクル:1分94℃、1分55℃、2分72℃)によって評価した:TLR3に関して5’−AACGATTCCTTTGCTTGGCTTC−3’(前方向)(配列番号24)/5’−GCTTAGATCCAGAATGGTCAAG−3’(逆方向)(配列番号25)、およびTRIFに関して5’−ACTTCCTAGCGCCTTCGACA−3’(前方向)(配列番号26)/5’−ATCTTCTACAGAAAGTTGGA−3’(逆方向)(配列番号27)。PKR、IRAK−4、TRAF6およびp65の発現を、上記で記載したようにWBによって評価した。
(実施例1)
これらの実験のセットにおいて、TLR1〜TLR10のそれぞれに関するTLRの発現を、6つのヒト結腸直腸腺癌細胞株において、RT−PCRによって検出した。分析した6つの細胞株は、Caco2、LoVo、Colo320DM、SNU−C1、T84およびColo205であった。同量のmRNAを、各細胞株から抽出した。続いてmRNAを、hTLR特異的プライマーを用いて、PCRによって35サイクル(94℃で30秒、60℃で45秒、72℃で90秒)増幅した。以下のプライマーを使用した:
Figure 2008507530
次いでPCR産物を、エチジウムブロミドで染色したアガロースゲル上で分析した。
これらの実験の結果は、Caco2細胞株はTLR2、TLR5、TLR7およびTLR9を発現していたことを示す。LoVo細胞株は、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5およびTLR6を発現していた。Colo320 DM細胞株はTLR5およびTLR6を発現していた。SNU−C1細胞株は、TLR4を発現していた。T84細胞株はTLR4、TLR5、およびTLR6を発現していた。Colo205細胞株は、TLR4、TLR5、およびTLR6を発現していた。
同様の分析を、8つのヒト肺細胞株(NCI−H526、SHP−77、NCI−N417、A549、NCI−H358、A427、NCI−H292、NCI−H187)および4つのヒト乳癌細胞株(SW527、Cama−1、BT483、MCF−7)に対して行った。これらの実験の結果は、NCI−H526細胞株(小細胞肺癌)は、TLR2、TLR3、TLR5およびTLR9を発現していたことを示す。SHP−77細胞株(SCLCの大細胞改変体)は、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR9およびTLR10を発現していた。NCI−N417細胞株(小細胞肺癌)は、TLR5を発現していた。A549細胞株(肺癌)は、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、およびTLR10を発現していた。NCI−H358細胞株(細気管支肺胞上皮癌)は、TLR2、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7およびTLR10を発現していた。A427細胞株(肺癌)は、TLR2、TLR3、TLR5およびTLR6を発現していた。NCI−H292細胞株(類表皮肺癌)は、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6およびTLR10を発現していた。NCI−H187細胞株(小細胞肺癌)は、TLR5、TLR6、およびTLR10を発現していた。SW527細胞株(乳房腺癌)は、TLR2、TLR4、TLR6およびTLR10を発現していた。Cama−1細胞株(乳房腺癌)は、TLR2、TLR5、TLR6およびTLR10を発現していた。BT483細胞株(乳房腺癌)は、TLR2、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR9およびTLR10を発現していた。MCF−7細胞株(乳房腺癌)は、TLR2、TLR5、TLR6およびTLR9を発現していた。
大腸、乳房および肺由来の、試験したヒト腫瘍系統の全ては、多くのTLR転写物を発現することが明らかである。しかし、各細胞株においてどのTLRが発現するかおよびその発現レベルに関して、実質的な不均一性が存在する。
(実施例2)
4つのヒト乳房腫瘍細胞株である、Cama−1、SW527、BT483、およびMCF−7を、ポリICに応答した細胞死に関して分析した。細胞を5μg/mlのPGN、50μg/mlのポリICまたは10μg/mlのLPSと72時間インキュベートした。コントロール細胞を、PBSとともに培養した。クリスタルバイオレット染色によって細胞傷害性を評価し、そしてコントロールのパーセントとして表した。
平均して、コントロール細胞は100%の細胞回復率を示した。PGN細胞は、平均95%の細胞回復率を示した。LPS処理細胞は、平均して95%の回復率を示した。平均して、ポリICで処理した細胞は67.5%の細胞回復率を示した。具体的には、Cama−1、SW527、BT483およびMCF−7細胞株は、それぞれ33%、75%、67%、および100%の細胞回復率を示した。
そのデータは、ポリICが、試験した細胞株のうち3つ、Cama−1、BT483およびSW527において、細胞回復率の減少を引き起こしたことを示す。データからわかるように、Cama−1細胞株は、一貫して最も劇的な減少を示した。しかし、ポリICはMCF−7細胞においては細胞回復率の減少を引き起こさなかった。
さらに、さらなるTLRリガンドを試験して、細胞傷害性に対するあらゆる可能性のある影響を決定した。試験したリガンドは、PGN、LPS、フラジェリン、R848およびCpGであった。細胞を、5μg/mlのPGN、10μg/mlのLPS、50ng/mlのフラジェリン、6μg/mlのR848、10μg/mlのCpG ODNと、またはコントロールとしてPBSと、72時間培養した。クリスタルバイオレット染色によって細胞回復率を評価し、そしてコントロールのパーセントとして表した。それらのリガンドのうちどれも、4つの乳癌細胞株(Cama−1、BT483、SW527およびMCF−7)のいずれの細胞回復率も有意に減少させなかった。PGNは細胞回復率には影響を与えなかったが、それはある細胞株においてIL−8の分泌を誘導し、従って細胞傷害性の欠如は、TLR誘発が存在しないためではないことが確立された。
(実施例3)
Cama−1細胞を、ポリICに反応したTLR3 mRNAの発現に関して分析した。Cama−1細胞を、完全培地(4.5g/mLのグルコースを含み、そして2mMのL−グルタミン、10%のウシ胎仔血清、160μg/mLのゲンタリン、2.5mg/mLの炭酸水素ナトリウムを補足したDMEM F12)中で、単独で、またはLPS(5μg/ml)および/もしくはポリIC(5μg/ml)と共に、48時間培養した。各グループの細胞からmRNAを抽出した。次いでmRNAを逆転写し、そしてhTLR3特異的プライマー(TLR3F:aacgattcctttgcttggcttc(配列番号5)およびTLR3R:gcttagatccagaatggtcaag(配列番号6))を用いて35サイクル(上記の実施例1におけるように)PCR増幅した。TLR3 mRNAは、休止Cama−1細胞からは増幅できなかった。
hTLR3特異的プライマーを用いたRT−PCR由来の増幅DNAを、ゲルに流した。このゲルは、ポジティブコントロール(プラスミドTLR3)、ポリICで処理した細胞、およびポリICおよびLPSの両方で処理した細胞において、TLR3の発現を示した。ゲルは、LPSで処理した、または何も処理していない(ネガティブコントロール)細胞において、TLR3の発現を示さなかった。
そのデータは、ヒト乳癌Cama−1細胞において、TLR3 mRNAの発現が、ポリICによって誘導されることを示す。従って、ポリIC処理は、特定の腫瘍細胞株において、その認識された受容体であるTLR3の発現をアップレギュレートする。他方、LPSによる処理は、Cama−1細胞におけるTLR3 mRNAの発現に影響を与えなかった。
(実施例4)
2つの細胞株である、大腸癌細胞株LS174Tおよび乳癌細胞株Cama−1を、死および細胞周期の変化に関して分析した。細胞を、ポリIC(5μg/ml)の存在下または非存在下のいずれかで48時間培養した。1μg/mlのブロモデオキシウリジン(BrdU)の30分のパルスの後、細胞を70%エタノール中で4℃にて一晩固定した後、FITC結合抗BrdUモノクローナル抗体および3μg/mlのヨウ化プロピジウムで染色した。細胞死および細胞周期を、フローサイトメトリー(FACS)によって分析した。BrdUの組み込みは増殖の尺度であり、一方、ヨウ化プロピジウム染色はDNA含有量、特にアポトーシスを起こしている二倍体未満の細胞集団の定量を可能にする。
そのデータは、BrdUを組み込んだLS174T細胞のパーセンテージが、処理前の27%から、ポリICの存在下での48時間培養後に9%になったことを示す。逆に、二倍体未満のDNA含有量を有するLS174T細胞のパーセンテージは、処理前の3%から、ポリICの存在下で48時間培養後には23%になり、ポリICの強力な細胞傷害性を示す。
そのデータはまた、BrdUを組み込んだCama−1細胞のパーセンテージは、処理前の15%から、ポリICの存在下での48時間培養後に2%になったことを示す。逆に、二倍体未満のDNA含有量を有するCama−1細胞のパーセンテージは、処理前の4%から、ポリICの存在下での48時間培養後に17%になり、これは、ポリICによって引き起こされたアポトーシスを示す。
これらのデータは、ポリICによる48時間の処理で、LS174TおよびCama−1細胞株の両方が、分裂を停止し、そしてアポトーシスを起こすことを示す。
(実施例5)
乳房腫瘍細胞株に対するポリIC処置の効果をさらに調査するために、アネキシンV染色によって、Cama−1細胞において細胞死を分析した。細胞を、5μg/mlのポリIC有りまたは無しのいずれかで、24時間培養した。アポトーシスを、アネキシンV染色およびフローサイトメトリーによって測定した。そのデータは、70%を超えるCama−1細胞がアネキシンVによって染色されたことを示し、ポリICによって誘導されたアポトーシスをさらに示す。
本発明者らはまた、ポリIC誘導アポトーシスの動態を決定することを試みた。Cama−1細胞を、5μg/mlまたは50ng/mlのポリIC有りまたは無しのいずれかで培養した。培養中のアポトーシス(アネキシン陽性)細胞のパーセンテージを、続く30時間の間測定した。そのデータは、未処理の細胞が30時間後に15%の自然発生的なアポトーシスを示したことを示す。しかし、ポリICで処理した細胞の80%は細胞死を示した。具体的には、ポリICは、ポリICの添加から9時間後に始まるCama−1細胞におけるアポトーシスを引き起こし、そして処理の30時間後には80%までのアポトーシス細胞に達した。
本発明者らは次いで、ヒト初代乳房腫瘍細胞に対してポリICが有する効果を決定することを試みた。新規に回復した腫瘍単一細胞懸濁液を、PBSまたはポリIC(50μg/ml)のいずれかと共に48時間インキュベートした。アポトーシスをPI染色によって測定した。そのパーセンテージは、低いDNA含有量の細胞(サブG0/G1細胞)、すなわちアポトーシス細胞の割合を表す。そのデータは、PBSで処理した細胞の19.5%が低いDNA含有量を有し、一方ポリICで処理した細胞の38.6%が低いDNA含有量を有していたことを示す。従って、ポリICの同様の細胞傷害性効果が、ヒト乳房初代腫瘍細胞において観察された。
(実施例6)
TLR3を、ポリIC誘導アポトーシスにおけるその役割に関して分析した。Cama−1細胞を、無関係な配列(Scr RNA;配列:ACUAGUUCACGAGUCACCUtt)(配列番号21)、またはhTLR3(配列:CAGUGUUGAACCUUACCCAtt)(配列番号22)のいずれかに対応するsiRNAでトランスフェクトした。siRNAトランスフェクションを、3μg/mLのリポフェクトアミン2000および100nMのsiRNAを含む、1mLのOptiMEMTM培地中で、5時間行った。次いで細胞をリン酸緩衝化生理食塩水溶液(PBS)で洗浄し、完全培地中で72時間培養し、その後、5μg/mLのポリICによって48時間処理した。次いで細胞周期を、実施例3で記載されたように、エチジウムブロミドによって染色した後FACSによって分析した。
これらの実験の結果を図1に示す。そのデータは、ポリICの存在下で、無関係なスクランブルRNAでトランスフェクトしたCama−1細胞の48時間のインキュベーションは、二倍体未満の細胞のパーセンテージを2%から45%へと増加させたことを示す。しかし、ポリICの存在下でhTLR3 siRNAによりトランスフェクトしたCama−1細胞の48時間のインキュベーションは、二倍体未満の細胞のパーセンテージを増加させず、これは、3%で変化しないままであった。
これらのデータは、ポリICによってCama−1細胞に伝達されるアポトーシスシグナルは、TLR3の発現を必要とすることを示す。
(実施例7)
ポリAUを、そのアポトーシスに対する効果に関して分析した。Cama−1細胞を、PBSまたは5ng/mlから50μg/mlまでの範囲の漸増濃度のポリAUのいずれかと共に48時間培養した。アポトーシスを、アネキシンV陽性細胞のパーセンテージを測定することによって分析した。そのデータは、ポリICと同様、ポリAUはアポトーシスを引き起こすことを示す。
(実施例8)
本発明者らは、インビボでポリIC誘導アポトーシスに対するIFNの効果を分析した。TRP−Tagマウスは、網膜色素上皮にSV40のT抗原を発現し、そして代表的には生後数週間以内に完全な貫通を有する眼の腫瘍を発生させる。
これらの実験において、1実験あたり14〜16匹のTRP−Tag/IFNαβγR−/−マウス(これらは、I型インターフェロンの受容体(IFNαβR)およびII型インターフェロンの受容体(IFNγR)を同時に欠損したマウスと交雑させたTRP−Tagマウスである)を、ポリIC(100μg/用量)またはPBSのいずれかの静脈内注射によって、21、23、25、27および29日目に処置した。目に見える眼の腫瘍の発生の動態を、1週間に2〜3回モニターした。
眼腫瘍の出現は、PBSで処置したマウスと比較して、ポリICで処置したマウスにおいて、21日間まで遅延した。これらの実験に使用したマウスは、機能的なインターフェロン応答システムを有していないので、そのデータは、ポリIC誘導腫瘍増殖阻害は、インビボにおいてI型およびII型インターフェロンと独立であることを示す。
(実施例9)
ポリIC誘導Cama−1細胞傷害性の経路を決定するために、RNA干渉を使用してTRIFおよびPKRの発現を効率的にダウンレギュレートした。Cama−1細胞を、6穴プレートに1ウェルあたり3×10細胞でプレーティングした。一晩接着させた後、siRNAトランスフェクションを、3μg/mLのリポフェクトアミン2000(Invivogen)および100nMのsiRNAを含むOptiMEM培地(Life Technologies)中で5時間行った。細胞を、MOCK(水)、コントロールスクランブル二重鎖(scr)siRNA、TRIF siRNAまたはPKR siRNAのいずれかでトランスフェクトした。
PKRに特異的なsiRNA二重鎖を、Dharmacon(Lafayette、CO)からSMART−Poolsとして購入した。TRIF siRNAを、同じ供給会社から単一のオリゴ二重鎖5’−GCUCUUGUAUCUGAAGCAC−3’(配列番号23)として購入した。TLR3およびTRIF発現を、以下のプライマーを用いて、TaqPCR ReadyMix(Sigma−Aldrich)を用いたPCR(35サイクル:94℃で1分、55℃で1分、72℃で2分)によって評価した:TLR3に関して5’−AACGATTCCTTTGCTTGGCTTC−3’(配列番号24)(前方向)/5’−GCTTAGATCCAGAATGGTCAAG−3’(配列番号25)(逆方向)、およびTRIFに関して5’−ACTTCCTAGCGCCTTCGACA−3’(配列番号26)(前方向)/5’−ATCTTCTACAGAAAGTTGGA−3’(配列番号27)(逆方向)。PKRの発現を、ウェスタンブロットによって評価した。TRIF mRNAに関して、5μg/mlのポリIC有りまたは無しのいずれかでさらに24時間培養した後にPCRを行った。
そのデータは、RNA干渉を使用してTRIFおよびPKRの発現を効率的にダウンレギュレートしたことを示す。
siRNAトランスフェクションの72時間後、Cama−1細胞を、5μg/mlのポリIC有りまたは無しのいずれかでさらに24時間培養した。アポトーシスを、アネキシンV染色によって測定し、そして培養中のアポトーシス細胞のパーセンテージとして表した。平均して、未処理のコントロール細胞(MOCKおよびscr)の10%が、アポトーシスを起こした。対照的に、ポリICで処理したコントロール細胞(MOCKおよびscr)の約75%が、アポトーシスを起こした。TRIF siRNAグループにおいて、未処理の細胞は10%のアポトーシス細胞を示し、一方、TRIF siRNAで処理した細胞は20%のアポトーシス細胞を示した。最後に、PKR siRNAグループにおいて、未処理細胞は10%のアポトーシス細胞を示し、一方、PKR siRNAで処理した細胞は80%のアポトーシス細胞を示した。
従って、TRIFに対するsiRNAによる処理は、ポリIC誘導アポトーシスを実質的に抑止し、一方PKR発現の非存在下において細胞死は正常に起こった。
これらのデータは、Cama−1細胞におけるポリIC誘導アポトーシスは、TLR3およびTRIFの両方によって媒介され、そしてPKR非依存性であることを明らかに示す。
(実施例10)
TLR3によって媒介される細胞傷害性をさらに調査するために、どちらもTLRシグナル伝達の下流メディエーターであるシグナル伝達分子IRAK−4およびTRAF6の関与を評価した。Cama−1細胞を6穴プレートに1ウェルあたり3×10細胞でプレーティングした。一晩接着させた後、siRNAトランスフェクションを、3μg/mLのリポフェクトアミン2000(Invivogen)および100nMのsiRNAを含むOptiMEM培地(Life Technologies)中で5時間行った。細胞を、コントロールスクランブル二重鎖(scr)siRNA、IRAK−4 siRNAまたはTRAF−6 siRNAのいずれかでトランスフェクトした。次いで細胞を洗浄し、そしてポリICによる処理およびアポトーシス分析の前に、完全培地中で72時間培養した。IRAK−4およびTRAF6に特異的なsiRNA二重鎖を、Dharmacon(Lafayette、CO)からSMART−Poolsとして購入した。
IRAK−4およびTRAF6の発現を、ウェスタンブロットによって分析した。ウェスタンブロットは、IRAK−4およびTARF6 siRNAが、対応するタンパク質の発現を消滅させることを示す。
siRNAトランスフェクションの72時間後、Cama−1細胞を、5μg/mlのポリIC有りまたは無しのいずれかでさらに24時間培養した。アポトーシスを、アネキシンV染色によって測定し、そして培養中のアポトーシス細胞のパーセンテージとして表した。平均して、未処理のコントロール細胞(scr)の10%が、アポトーシスを起こした。対照的に、ポリICで処理したコントロール細胞(scr)の約75%が、アポトーシスを起こした。IRAK−4 siRNAグループにおいて、培養物は20%のアポトーシス細胞しか示さなかったが、一方、TRAF6 siRNAグループにおいては、75%の細胞が培養の最後にはアポトーシス性であった。TRAF6 siRNAグループにおいて、未処理細胞は15%のアポトーシス細胞を示し、一方、TRAF6 siRNAによって処理した細胞は、75%のアポトーシス細胞を示した。
そのデータは、IRAK−4発現の阻害が、TLR3によって媒介される細胞傷害性の阻害を引き起こしたことを示す。しかし、TRAF6発現の阻害は、TLR3によって媒介される細胞傷害性の阻害を引き起こさなかった。TRAF6は、TLRシグナル伝達経路においてIRAK−4の下流に位置すると考えられたので、この知見は予期されていなかった。従って、これは、TLR3がIRAK−4を介してシグナル伝達をして、TRAF6非依存性のアポトーシス経路を活性化し得たことを示唆する。
並行して、5μg/mlのポリIC有りまたは無しのいずれかで24時間培養した、siRNAトランスフェクトCama−1細胞の上清におけるIL−6濃度を、ELISAによって決定した。そのデータは、scrグループに関して、未処理細胞および処理細胞が、それぞれ10および110のIL−6濃度(pg/ml/10細胞)を有していたことを示す。siRNA IRAK−4グループにおいて、未処理細胞および処理細胞は、それぞれ10および40のIL−6濃度(pg/ml/10細胞)を有していた。siRNA TRAF6グループにおいて、未処理細胞および処理細胞は、それぞれ10および20のIL−6濃度(pg/ml/10細胞)を有していた。これらのデータは、IRAK−4およびTRAF6がどちらも、サイトカイン産生に必要であったことを示す。
(実施例11)
TLR3によって媒介されるアポトーシスにおける1型インターフェロンの関与を評価した。Cama−1細胞を、5μg/mlのポリICとともに、0時間、1時間、6時間、18時間または24時間のいずれかでインキュベートした。細胞溶解産物におけるIFN−β、リン酸化Stat1(チロシン701)(P−Stat−1)および総Stat−1の存在を、ウェスタンブロットによって分析した。
そのデータは、ポリIC処理時にIFN−β産生が強力に誘導されたことを示す。また、Stat1のリン酸化が観察された。これらの観察は、Cama−1細胞において、I型IFNのシグナル伝達が、ポリICによって引き起こされたことを示す。興味深いことに、Stat1のリン酸化は、ポリIC処理の6時間後に最大であり、その時IFN−βの産生はまだほとんど検出できなかった。
別の実験において、Cama−1細胞を、20μg/mlの中和IFN I型受容体mAb(抗IFN R1)またはアイソタイプコントロール(マウスIgG1)のいずれかとともに1時間プレインキュベートした。次いで細胞を5μg/mlのポリIC有りまたは無しで、またはそれぞれ1000U/mlのIFN−αまたはIFN−βの混合物と、24時間培養した。アポトーシスを、アネキシンV染色によって測定し、そして培養中のアポトーシス細胞のパーセンテージとして表した。
抗体の非存在下で、未処理細胞、ポリIC処理細胞およびIFNα/β処理細胞は、それぞれ10%、70%および20%のアポトーシス細胞を示した。mIgG1グループにおいて、未処理細胞、ポリIC処理細胞およびIFNα/β処理細胞は、それぞれ10%、70%および20%のアポトーシス細胞を示した。抗IFN R1グループにおいて、未処理細胞、ポリIC細胞およびIFNα/β処理細胞は、それぞれ10%、30%および15%のアポトーシス細胞を示した。
そのデータは、特異的モノクローナル抗体によるI型IFN受容体の中和が、ポリIC誘導アポトーシスを有意に減少させたことを示す。これは、I型IFNがTLR3によって媒介されるアポトーシスに必要であることを示す。
IFNαとIFNβとの混合物によるCama−1細胞の処理は、有意なアポトーシスを誘導することができなかった。これは、I型IFNシグナル伝達はTLR3によって引き起こされる細胞傷害性に必要であったが、単独で細胞死を誘導するのに十分でないことを示す。
(実施例12)
本発明者らは、TNF−αがTLR3によって媒介されるアポトーシスにおいて役割を果たしているかどうか決定することを試みた。Cama−1細胞を、20μg/mlの中和抗TNF−α mAbまたは10μg/mlのCHX有りまたは無しのいずれかでプレインキュベートした。次いで細胞を、5μg/mlのポリICまたは25ng/mlのTNF−α有りまたは無しのいずれかで培養した。アポトーシスを、アネキシンV染色によって測定し、そして培養中のアポトーシス細胞のパーセンテージとして表した。
抗体の非存在下で、未処理細胞、ポリIC処理細胞およびTNF−α処理細胞は、それぞれ10%、70%、および40%のアポトーシス細胞を示した。抗TNF−αmAbグループにおいて、未処理細胞、ポリIC処理細胞およびTNF−α処理細胞は、それぞれ10%、65%および10%のアポトーシス細胞を示した。CHXグループにおいて、未処理細胞、ポリIC処理細胞およびTNF−α処理細胞は、それぞれ15%、40%および70%のアポトーシス細胞を示した。
そのデータは、Cama−1細胞をTNF−α誘導アポトーシスから保護した中和抗TNF−α抗体は、ポリICによって引き起こされる細胞死に影響を与えなかったことを示す。従って、TNF−αはTLR3によって媒介されるアポトーシスにおいて役割を果たしていない。
上記で述べたように、NFκBが制御する生存プログラムをブロックすることによって細胞をTNF−α誘導性アポトーシスに感受性にすることが公知である一般的な転写阻害剤CHXによってCama−1細胞を前処理した。
そのデータは、CHXは有意にCama−1細胞をTNF−α誘導性アポトーシスに感受性にしたことを示す。対照的に、CHXはポリIC誘導性アポトーシスから細胞を部分的に保護した。これは、これら2つのアポトーシス促進性刺激によって、異なるメカニズムが引き起こされることを確認する。
次いでRNA干渉を使用して、TLR3によって媒介されるアポトーシスにおけるNFκBの関与を評価した。72時間前にp65に対するsiRNAまたはスクランブルコントロール二重鎖(scr)でトランスフェクトしたCama−1細胞を、50ng/mlまたは5μg/mlのポリIC有りまたは無しのいずれかで24時間培養した。ポリIC処理の前のp65タンパク質発現の消滅を、ウェスタンブロットによって評価した。アポトーシスをアネキシンV染色によって測定した。結果を、培養中のアポトーシス細胞のパーセントとして表した。
scrグループにおいて、未処理細胞、ポリIC(50ng/ml)処理細胞およびポリIC(5μg/ml)処理細胞は、それぞれ10%、20%および70%のアポトーシス細胞を示した。siRNA p65グループにおいて、未処理細胞、ポリIC(50ng/ml)処理細胞およびポリIC(5μg/ml)処理細胞は、それぞれ10%、10%および20%のアポトーシス細胞を示した。
そのデータは、siRNAによるNFκB p65発現の阻害は、ポリIC誘導細胞傷害性に対する有意な保護を引き起こしたことを示す。これは、ポリICによって引き起こされるアポトーシスにおける、NFκBのアポトーシス促進の役割を確認する。
まとめると、これらの結果は、TNF−αの分泌がポリIC誘導性アポトーシスの原因ではないことを示す。それに加えて、これらの結果は、TLR3によって媒介されるアポトーシスにおけるNFκBのアポトーシス促進の役割を示し、それはTNF処理時の抗アポトーシス効果と対照的である。
(実施例13)
本発明者らは、次にアポトーシスにおけるカスパーゼの役割に取り組んだ。Cama−1細胞を25μMの一般的なカスパーゼ阻害剤z−VAD−fmkまたはDMSOと共に1時間プレインキュベートし、その後、5μg/mlのポリICまたは25ng/mlのTNF−α(ポジティブコントロールとして使用した)有りまたは無しで24時間培養した。アポトーシスをアネキシンV染色によって測定し、そして培養中のアポトーシス細胞のパーセンテージとして表した。
DMSOグループにおいて、未処理細胞、ポリIC処理細胞およびTNF−α処理細胞は、それぞれ10%、70%および40%のアポトーシス細胞を示した。z−VAD−fmkグループにおいて、未処理細胞、ポリIC処理およびTNF−α処理細胞は、それぞれ10%、30%および10%のアポトーシス細胞を示した。
そのデータは、広いカスパーゼ阻害剤であるz−VAD−fmkによるカスパーゼ活性の阻害は、ポリIC誘導性アポトーシスを大きく抑制したことを示す。これは、TLR3によって引き起こされる細胞傷害性におけるカスパーゼの主な役割を示唆する。
別の実験において、上記で得られた細胞由来の溶解産物を、PARPの切断、カスパーゼ3およびカスパーゼ8に関してウェスタンブロットによって分析した。
そのデータは、カスパーゼ依存性アポトーシスの特徴であるPARPの切断が、ポリIC処理時にCama−1細胞において起こったことを示す。これは、TLR3によって媒介されるアポトーシスにおけるカスパーゼの関与を確認する。実際、ウェスタンブロット分析によって証明されるように、カスパーゼ3はポリIC処理時に活性化された。
(実施例14)
本発明者らは、TLR3リガンドとI型インターフェロンとの間に何らかの相乗作用が存在するかどうかをさらに調査しようと試みた。初代乳癌細胞SKBr3を、6穴プレートに1ウェルあたり3×10細胞でプレーティングした。一晩接着させた後、siRNAトランスフェクションを、3μg/mLのリポフェクトアミン2000(Invivogen)および100nMのsiRNAを含むOptiMEM培地(Life Technologies)中で5時間行った。細胞を、MOCK(水)、TLR3 siRNAまたはPKR siRNAのいずれかでトランスフェクトした。次いで細胞を洗浄し、完全培地中で72時間培養し、その後、50μg/mlのポリICにより24時間処理し、そしてアポトーシス分析を行った。
MOCKグループにおいて、未処理細胞およびポリIC(50μg/ml)処理細胞は、それぞれ10%および22%のアポトーシス細胞を示した。TLR3 siRNAグループにおいて、未処理細胞およびポリIC(50μg/ml)処理細胞は、それぞれ8%および13%のアポトーシス細胞を示した。PKR siRNAグループにおいて、未処理細胞およびポリIC(50μg/ml)処理細胞は、それぞれ12%および22%のアポトーシス細胞を示した。
そのデータは、乳房腺癌細胞株SKBr3は、ポリICで処理した場合に部分的なアポトーシスを起こしたことを示す。それに加えて、そのデータは、TLR3 siRNAによる細胞の前処理がアポトーシスを無効にし、一方、PKR siRNAが保護効果を有さなかったことを示す。
別の実験において、本発明者らは、IFNおよびポリICが、アポトーシスを誘導するために相乗的に作用するかどうかを決定することを試みた。SKBr3細胞を、未処理としたか、または10U/mlもしくは100U/mlのIFN−αもしくはIFN−βの低用量混合物のいずれかで処理した。ポリICを以下の投与量で投与した:0、0.5、5および50μg/mlで48時間。
そのデータは、未処理ポリICグループにおいて、未処理細胞、IFN−α/β(10U/ml)処理細胞およびIFN−α/β(100U/ml)処理細胞は、それぞれ10%、14%および22%のアポトーシス細胞を示したことを示す。0.5μg/mlポリICグループにおいて、未処理細胞、IFN−α/β(10U/ml)細胞およびIFN−α/β(100U/ml)処理細胞は、それぞれ15%、45%および55%のアポトーシス細胞を示した。5μg/mlポリICグループにおいて、未処理細胞、IFN−α/β(10U/ml)細胞およびIFN−α/β(100U/ml)処理細胞は、それぞれ20%、55%および60%のアポトーシス細胞を示した。50μg/mlポリICグループにおいて、未処理細胞、IFN−α/β(10U/ml)細胞およびIFN−α/β(100U/ml)処理細胞は、それぞれ20%、55%および60%のアポトーシス細胞を示した。
従って、IFNは、アポトーシスを誘導するためにポリICと相乗的に作用し得た。この相乗作用は、2つの徴候を有していた:1)前処理した場合、SKBr3細胞は、非前処理細胞より100倍低い濃度で、ポリIC誘導性アポトーシスに対して感受性になった;および2)ポリICによってアポトーシスに誘導されたSKBr3細胞のパーセンテージは、I型IFN前処理の後、22%から66%へと増加した。
結論として、I型IFN前処理は、TLR3によって媒介されるポリIC誘導性アポトーシスに対してSKBr3乳房腺癌細胞を感受性にした。従って、乳癌患者の低用量I型IFNによる前処置は、ポリIC処置の効力を高めるだけでなく、そうでなければポリICから利益を得られない患者の補充を可能にする。患者を手術の前に低用量のI型IFNで処置して、生検に対する免疫組織学によって陽性と評価される、およびTLR3リガンドに反応性となる腫瘍のパーセンテージを増加させることもできる。それに加えて、低用量のI型IFNと低用量のポリICとの組み合わせは、より高い投与量のポリIC単独よりも有効であり得る。この組み合わせはまた、副作用のリスクを減少させ得る。
図1は、ポリICとともに48時間インキュベーションした後の、Cama−1細胞のアポトーシスに対する、TLR3のsiRNAサイレンシングの効果を示すグラフのセットである。

Claims (22)

  1. 癌を処置するための方法であって、
    a)TLRを発現する癌を有する患者を選択する工程、および
    b)該患者に治療的に有効な量のTLRリガンドを投与する工程
    を包含する、方法。
  2. 前記リガンドがアゴニストまたはアンタゴニストである、請求項1に記載の方法。
  3. 腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、
    a)TLRを発現する腫瘍細胞を選択する工程、および
    b)該細胞を、該細胞においてアポトーシスを誘導するのに有効な量のTLRリガンドと接触させる工程
    を包含する、方法。
  4. 前記リガンドがアゴニストまたはアンタゴニストである、請求項3に記載の方法。
  5. 癌を処置するための方法であって、
    a)TLR3を発現する癌を有する患者を選択する工程;および
    b)該患者に治療的に有効な量のTLR3リガンドを投与する工程
    を包含する、方法。
  6. 前記リガンドがアゴニストまたはアンタゴニストである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記アゴニストがポリICである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記アゴニストがポリAUである、請求項6に記載の方法。
  9. 前記アンタゴニストが抗体またはその断片である、請求項6に記載の方法。
  10. 前記TLR3を発現する癌が乳癌である、請求項5に記載の方法。
  11. 前記TLR3を発現する癌が大腸癌である、請求項5に記載の方法。
  12. 前記方法が、前記患者に化学療法剤または癌処置を投与する工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
  13. 前記方法が、TLR3リガンドの投与前に、前記患者に低用量のI型IFNを投与する工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
  14. 腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するための方法であって、
    a)TLR3を発現する腫瘍細胞を選択する工程;および
    b)該細胞を、該細胞においてアポトーシスを誘導するのに有効な量でTLR3リガンドと接触させる工程
    を包含する、方法。
  15. 前記リガンドがアゴニストまたはアンタゴニストである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記アゴニストがポリICである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記アゴニストがポリAUである、請求項15に記載の方法。
  18. 前記アンタゴニストが抗体またはその断片である、請求項15に記載の方法。
  19. 前記TLR3を発現する腫瘍細胞が乳癌細胞である、請求項14に記載の方法。
  20. 前記TLR3を発現する腫瘍細胞が大腸癌細胞である、請求項14に記載の方法。
  21. 前記方法が、前記細胞を化学療法剤または癌処置に接触させる工程をさらに包含する、請求項14に記載の方法。
  22. 前記方法が、TLR3リガンドの投与前に、前記細胞を低用量のI型IFNと接触させる工程をさらに包含する、請求項14に記載の方法。
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