ところが、上記の基板検査装置には、以下の問題点がある。すなわち、この基板検査装置では、非接触センサにおける広ピッチ側の面に設けたシールドによって導体パターンにおける広ピッチ側の部分から放射される検査対象電極以外からの放射波(外乱)の影響の低減を図っている。しかしながら、この基板検査装置では、非接触センサにおける広ピッチ側の面以外の部分にはシールドが設けられていないため、例えば、非接触センサの背面側や側面側に存在する導電体等から放射された放射波(外乱)の影響を受けるおそれがある。また、例えば、検査対象の導体パターンとその導体パターンに隣接する他の導体パターンとが短絡しているときには、隣接する導体パターンから放射波が放射されるため、その放射波の影響を受けるおそれもある。したがって、この基板検査装置には、非接触センサが検査対象の導体パターン以外からの放射波の影響を受けること、つまり非接触センサの指向性が低いことに起因して、検査精度の向上が困難であるという問題点が存在する。
この問題点を解決可能な技術として、図11に示すように、その先端部325で放射波を非接触で検出する円柱状の検出電極321の周囲を円筒状のシールド電極323で取り囲んだ非接触型のプローブ311を備えた検査装置が知られている。この検査装置では、プローブ311における検出電極321の周囲がシールド電極323で取り囲まれているため、導体パターン(例えば、同図に示す回路基板100の基板本体101上に形成された各導体パターン102)以外の導電体等から放射された放射波の影響を比較的受け難くすることが可能となっている。しかしながら、この検査装置においても、例えば、検査対象の導体パターン102(同図に示す中央部の導体パターン102)とその導体パターン102に隣接する他の導体パターン102との距離が短い構成の基板に対する検査を行うときには、同図に示すように、隣接する他の導体パターン102から放射された放射波がシールド電極323によっては遮蔽されずに、検出電極321によって検出されるおそれがある。したがって、この検査装置においても、プローブ311が十分な指向性を有していないことに起因して、検査精度の向上が困難であるという問題点が存在する。
一方、電極のピッチが狭いために検査用信号を供給するコンタクトプローブの接触が困難な基板や、コンタクトプローブの接触によって電極が傷付き易い基板の検査を可能とするために、上記したプローブ311と同様の構成のプローブを用いて非接触で検査用信号を供給する検査装置が知られている。この場合、この種の検査装置においても、プローブが十分な指向性を有していないため、供給対象の導体パターンとは異なる導体パターンに検査用信号が供給される結果、検査精度の向上が困難であるという問題点が存在する。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、導体パターンについての検査における検査精度を向上させ得るプローブ、プローブ装置および検査装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載のプローブは、検査用信号が供給されている検査対象体の導体パターンに先端部が近接させられた状態において当該検査用信号の供給に伴って当該導体パターンとの間の静電容量を介して流れる電気信号を検出する検出用電極と、当該検出用電極の周囲に絶縁体を挟んで設けられたシールド電極とを備えたプローブであって、前記検出用電極は、前記先端部が前記シールド電極の先端部よりも当該検出用電極の基端部側に後退するように構成されている。
また、請求項2記載のプローブは、請求項1記載のプローブにおいて、前記シールド電極は、筒状に形成されると共に前記検出電極を取り囲むようにして設けられている。
また、請求項3記載のプローブは、請求項1記載のプローブにおいて、前記シールド電極は、板状に形成された一対のシールド板で構成され、当該各シールド板は、前記検出電極を挟み込むようにして設けられている。
さらに、請求項4記載のプローブは、請求項1から3のいずれかに記載のプローブにおいて、前記絶縁体は、発泡性ポリエチレンで形成されている。
また、請求項5記載のプローブは、検査対象体の導体パターンに先端部が近接させられた状態において当該導体パターンとの間の静電容量を介して検査用信号を供給する供給用電極と、当該供給用電極の周囲に絶縁体を挟んで設けられたシールド電極とを備えたプローブであって、前記供給用電極は、前記先端部が前記シールド電極の先端部よりも当該供給用電極の基端部側に後退するように構成されている。
また、請求項6記載のプローブは、請求項5記載のプローブにおいて、前記シールド電極は、筒状に形成されると共に前記供給用電極を取り囲むようにして設けられている。
さらに、請求項7記載のプローブは、請求項5記載のプローブにおいて、前記シールド電極は、板状に形成された一対のシールド板で構成され、当該各シールド板は、前記供給用電極を挟み込むようにして設けられている。
また、請求項8記載のプローブは、請求項5から7のいずれかに記載のプローブにおいて、前記絶縁体は、発泡性ポリエチレンで形成されている。
また、請求項9記載の信号検出用のプローブ装置は、請求項1から4のいずれかに記載のプローブと、当該プローブによって検出された前記電気信号に対して所定の処理を実行する処理回路とを備えている。
また、請求項10記載の信号供給用のプローブ装置は、請求項5から8のいずれかに記載のプローブと、当該プローブに前記検査用信号を出力する検査用信号出力部とを備えている。
また、請求項11記載の検査装置は、請求項9記載の信号検出用のプローブ装置と、検査対象体の導体パターンに検査用信号を供給する検査用信号供給部と、当該信号検出用のプローブ装置の前記処理回路によって処理された処理信号に基づいて前記導体パターンの検査を実行する検査部とを備えている。
さらに、請求項12記載の検査装置は、請求項11記載の検査装置において、複数の前記導体パターンにおける各々の一端部に近接可能に構成された電極板を備え、前記検査用信号供給部は、前記各一端部に近接させられた前記電極板と当該各一端部との間の静電容量を介して前記各導体パターンに前記検査用信号を供給する。
また、請求項13記載の検査装置は、請求項10記載の信号供給用のプローブ装置と、当該信号供給用のプローブ装置による前記検査用信号の供給に伴って前記導体パターンを流れる電気信号に対して所定の処理を実行する処理回路と、当該処理回路によって処理された処理信号に基づいて前記導体パターンの検査を実行する検査部とを備えている。
また、請求項14記載の検査装置は、請求項13記載の検査装置において、複数の前記導体パターンにおける各々の一端部に近接可能に構成された電極板を備え、前記処理回路は、前記各一端部に近接させられた前記電極板と当該各一端部との間の静電容量を介して当該電極板によって検出された前記電気信号に対して前記所定の処理を実行する。
また、請求項15記載の検査装置は、請求項9記載の信号検出用のプローブ装置と、請求項10記載の信号供給用のプローブ装置と、前記信号供給用のプローブ装置からの前記検査用信号の供給に伴って流れて前記信号検出用のプローブ装置によって処理された処理信号に基づいて前記導体パターンの検査を実行する検査部とを備えている。
また、請求項16記載の検査装置は、請求項11から15のいずれかに記載の検査装置において、前記プローブを任意の方向に移動可能な移動機構と、当該移動機構を制御して前記プローブの先端部を前記導体パターンに近接させる制御部とを備えている。
請求項1記載のプローブによれば、検出用電極の先端部がシールド電極の先端部よりも基端部側に後退するように構成したことにより、プローブの指向性を十分に向上させることができるため、外乱の影響を十分に軽減することができる。したがって、このプローブによれば、検査対象体の導体パターンについての検査における検査精度を十分に向上させることができる。
また、請求項2記載のプローブによれば、筒状に形成したシールド電極を検出用電極を取り囲むようにして設けたことにより、検出用電極の外周面をシールド電極で確実に覆うことができるため、外乱の影響をさらに少なく抑えることができる結果、プローブの指向性をさらに向上させることができる。
また、請求項3記載のプローブによれば、板状に形成された一対のシールド板でシールド電極を構成し、各シールド板を検出電極を挟み込むようにして設けたことにより、構成が簡易な分、プローブの作製コストを十分に低減することができる。
さらに、請求項4記載のプローブによれば、絶縁体を誘電率の低い発泡性ポリエチレンで形成したことにより、検出用電極とシールド電極との間の静電容量を小さく抑えることができる結果、電流信号の減衰率を十分に低減することができる。
また、請求項5記載のプローブによれば、供給用電極の先端部がシールド電極の先端部よりも基端部側に後退するように構成したことにより、プローブの指向性を十分に向上させることができるため、検査用信号を狭い範囲に集中して供給することができる結果、十分に高いレベルの検査用信号を検査対象の導体パターンに供給することができる。また、プローブの指向性を十分に向上させることができるため、検査対象の導体パターンに隣接する他の導体パターンに検査用信号が供給されることによる影響を十分に低く抑えることができる。したがって、このプローブによれば、検査対象体の導体パターンについての検査における検査精度を十分に向上させることができる。
また、請求項6記載のプローブによれば、筒状に形成したシールド電極を供給用電極を取り囲むようにして設けたことにより、供給用電極の外周面をシールド電極で確実に覆うことができるため、検査用信号の漏れ(検査対象以外の導体に対する検査用信号の供給)を確実に防止することができる。
さらに、請求項7記載のプローブによれば、板状に形成された一対のシールド板でシールド電極を構成し、各シールド板を供給用電極を挟み込むようにして設けたことにより、構成が簡易な分、プローブの作製コストを十分に低減することができる。
また、請求項8記載のプローブによれば、絶縁体を誘電率の低い発泡性ポリエチレンで形成したことにより、供給用電極とシールド電極との間の静電容量を小さく抑えることができる結果、検査用信号の減衰率を十分に低減することができる。
また、請求項9記載の信号検出用のプローブ装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載のプローブを備えたことにより、これらのプローブが有する効果と同様の効果を実現することができる。
また、請求項10記載の信号供給用のプローブ装置によれば、請求項5から8のいずれかに記載のプローブを備えたことにより、これらのプローブが有する効果と同様の効果を実現することができる。
また、請求項11記載の検査装置によれば、請求項9記載の信号検出用のプローブ装置を備えたことにより、このプローブ装置に備えられている各プローブが有する効果と同様の効果を実現することができる。
さらに、請求項12記載の検査装置によれば、検査用信号供給部が複数の導体パターンにおける各々の一端部に近接させられた電極板と各一端部との間の静電容量を介して各導体パターンに検査用信号を供給することにより、導体パターンの一端部のピッチが極めて狭く、各一端部に対して信号供給用のコンタクトプローブを個別的に接触させるのが困難な場合においても、各導体パターンに検査用信号を確実に供給することができる。
また、請求項13記載の検査装置によれば、請求項10記載の信号供給用のプローブ装置を備えたことにより、このプローブ装置に備えられている各プローブが有する効果と同様の効果を実現することができる。
また、請求項14記載の検査装置によれば、処理回路が複数の導体パターンにおける各々の一端部に近接させられた電極板と各一端部との間の静電容量を介して電極板によって検出された電気信号に対して所定の処理を実行することにより、導体パターンの一端部のピッチが極めて狭く、各一端部に対して信号検出用のコンタクトプローブを個別的に接触させるのが困難であったり、上記の信号検出用のプローブ装置による電気信号の検出が困難であったりする場合においても、電気信号を確実に検出することができる。
また、請求項15記載の検査装置によれば、請求項9記載の信号検出用のプローブ装置と請求項10記載の信号供給用のプローブ装置とを備えたことにより、検査用信号の供給および電気信号の検出の双方をプローブを用いて非接触で行うことができる。このため、導体パターンにコンタクトプローブを直接接触させる構成とは異なり、プローブの接触による導体パターンの傷付きを確実に防止することができる。
また、請求項16記載の検査装置によれば、プローブを任意の方向に移動可能な移動機構を備えたことにより、導体パターンの形状が互いに異なったり、導体パターンがランダムに配置されている場合においても、導体パターン(導体パターンの一端部や他端部)にプローブを確実に近接させることができる。
以下、本発明に係るプローブ、プローブ装置および検査装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、回路基板検査装置1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す回路基板検査装置1は、本発明に係る検査装置の一例であって、例えば、同図に示すフレキシブル基板100に対する所定の電気的検査を実行可能に構成されている。ここで、フレキシブル基板100は、本発明における検査対象体の一例であって、同図に示すように、基板本体101上に複数の導体パターン102が設けられて構成されている。この場合、各導体パターン102のピッチは一端部102a(同図における下端部)が広く、他端部102b(同図における上端部)が狭く形成されている。
一方、回路基板検査装置1は、図1に示すように、プローブ装置(本発明に係る信号検出用のプローブ装置)2、移動機構3、検査用信号供給部4、アンプ5、A/D変換部6、操作部7、表示部8、制御部9、記憶部10および載置台50(図3参照)を備えて構成されている。
プローブ装置2は、プローブ11およびI/V変換回路12を備えて構成されている。プローブ11は、本発明に係るプローブの一例であって、図2,3に示すように、検出用電極21、絶縁体22、シールド電極23および被覆体24を備えて、全体として円柱状に構成されている。
検出用電極21は、導電性を有する材料によって柱状(一例として円柱状)に形成されると共に、基端部26(図2,3では上端部)がI/V変換回路12の信号入力端子(図示せず)に接続されている。また、検出用電極21は、先端部25(両図では下端部)がシールド電極23の先端部27(検出用電極21の先端部25側に位置する端部であって、両図では下端部)よりも基端部26側に後退するように構成されている。この場合、検出用電極21は、検査時において先端部25がフレキシブル基板100の導体パターン102に近接されたとき、つまり導体パターン102と容量結合された状態において、後述する検査用信号Seの供給に伴って導体パターン102と検出用電極21との間の静電容量C0を介して流れる電流信号Si(本発明における電気信号)を非接触で検出する。
絶縁体22は、図2,3に示すように、円筒状に形成されると共に、検出用電極21を取り囲むようにして設けられている。この場合、絶縁体22は、誘電率の低い絶縁材料としての発泡性ポリエチレンで形成されている。シールド電極23は、測定対象以外からの外乱の影響を防止(シールド)するための電極であって、導電性を有する材料によって形成されると共に、I/V変換回路12を介してグランド電位に接続されている。また、シールド電極23は、両図に示すように、円筒状に形成されると共に、絶縁体22を挟んで検出用電極21を取り囲むようにして設けられている。被覆体24は、絶縁材料(例えば熱可塑性エラストマー)で円筒状に形成されると共に、シールド電極23を取り囲む(被覆する)ようにして設けられている。
ここで、このプローブ11では、図4に示すように、検出用電極21の先端部25がシールド電極23の先端部27よりも基端部26側に後退するように構成されているため、従来のプローブ(図11に示すプローブ311)と比較して、指向性を向上させることが可能となっている。具体的に説明すると、従来のプローブ311では、同図に示すように、検出用電極321の先端部325とシールド電極323の先端部327とが面一となるように構成されている。つまり、従来のプローブ311では、検出用電極321の端面325aが露出している。このため、同図に示すように、このプローブ311では、検査対象の導体パターン102に十分に近接させたとしても、検査対象の導体パターン102(例えば、同図に示す中央部の導体パターン102)以外の導体パターン102に電気信号が供給されているときには、その電気信号に伴う外乱がシールド電極323によってシールドされることなく検出用電極321によって検出されることとなる。つまり、プローブ311は、検査対象以外からの外乱の影響を受け易く、指向性が低いということができる。これに対して、このプローブ11では、検出用電極21の先端部25がシールド電極23の先端部27よりも基端部26側に後退している。つまり、プローブ11では、検出用電極21の端面25aがプローブ11における先端部の端面から奥まった位置(例えば10μm以上500μm以内の範囲内)に位置しておりその端面から露出しないように構成されている。このため、このプローブ11では、図4に示すように、検査対象の導体パターン102(例えば、同図に示す中央部の導体パターン102)に近接させた状態では、検査対象以外の導体パターン102に電気信号が供給されているとしても、その電気信号に伴う外乱がシールド電極23によって確実にシールドされる。つまり、プローブ11は、検査対象以外からの外乱の影響を受け難く、プローブ311と比較して指向性が十分に向上されている。
I/V変換回路12は、本発明における処理回路に相当し、プローブ11によって検出された電流信号Siを電圧信号Sv(本発明における処理信号)に変換(本発明における所定の処理)して出力する。この場合、電流信号Siの減衰を少なく抑えるために、プローブ11は、I/V変換回路12に直接接続されている。
移動機構3は、制御部9の制御に従い、載置台50(図3参照)における載置面51(フレキシブル基板100が載置される面)に沿った方向(同図における左右方向、および同図における紙面手前から奥に向かう方向:XY方向)、並びに載置面51に対して接離する方向(同図における上下方向:Z方向)、つまり任意の方向にプローブ装置2を移動させる。検査用信号供給部4は、図1に示すように、電源部31、切替回路32、および複数の信号供給プローブ33を備えて構成されている。電源部31は、検査用信号Se(例えば交流信号)を出力する。切替回路32は、同図に示すように、プローブ11と同数のスイッチ32aを備えて構成され、制御部の制御に従ってオン状態またはオフ状態に移行することにより、各信号供給プローブ33に対する検査用信号Seの出力および出力停止を行う。信号供給プローブ33は、フレキシブル基板100における導体パターン102の一端部102aに接続されて電源部31からの検査用信号Seを導体パターン102に供給する。この場合、この検査用信号供給部4には、フレキシブル基板100における導体パターン102の数と同数の信号供給プローブ33が備えられている。
アンプ5は、プローブ装置2のI/V変換回路12から出力された電圧信号Svを所定の増幅率で増幅する。A/D変換部6は、アンプ5によって増幅された電圧信号Svをアナログ/デジタル変換して電圧データDvを出力する。操作部7は、電源スイッチや、検査開始スイッチ等の各種スイッチを備えて構成され、これらのスイッチが操作されたときに操作信号Soを出力する。表示部8は、制御部9の制御に従って各種の表示を行う。
制御部9は、本発明における検査部に相当し、操作部7からの操作信号Soに従って各種の処理を実行する。具体的には、制御部9は、検査用信号供給部4の電源部31による検査用信号Seの出力を制御すると共に、検査用信号供給部4の切替回路32におけるスイッチ32aのオンオフを制御する。また、制御部9は、A/D変換部6から出力された電圧データDvに基づいて電圧値Vdを算出すると共に、電圧値Vdと記憶部10に記憶されている基準値Vsとを比較することにより、導体パターン102の良否を判定(検査)する。つまり、制御部9は、プローブ11によって検出された電流信号Siに基づいて導体パターン102の良否を判定する。さらに、制御部9は、導体パターン102についての良否判定の結果を表示部8に表示させる。記憶部10は、基準値Vsを記憶すると共に、制御部9によって算出された電圧値Vdを一時的に記憶する。載置台50は、図3に示すように、フレキシブル基板100を載置可能に構成されている。
次に、回路基板検査装置1を用いてフレキシブル基板100の導体パターン102の良否を検査する方法、およびその際の回路基板検査装置1の動作について説明する。
まず、図3に示すように、載置台50の載置面51にフレキシブル基板100を載置して固定する。次いで、図1に示すように、各導体パターン102の一端部102aに回路基板検査装置1の検査用信号供給部4における信号供給プローブ33をそれぞれ接触させる。続いて、操作部7を操作して、回路基板検査装置1を作動させる。この際に、制御部9が、検査用信号供給部4の電源部31を制御して、検査用信号Seの出力を開始させる。
また、制御部9は、検査用信号供給部4の切替回路32を制御して、各スイッチ32aのうちの1つのスイッチ32a(例えば、同図における左端のスイッチ32a)をオン状態に移行させると共に、そのスイッチ32aを除く他のスイッチ32aをオフ状態に移行させる。これにより、各導体パターン102のうちの1つの導体パターン102における一端部102aに、電源部31からの検査用信号Seが信号供給プローブ33を介して供給される。
次いで、制御部9は、移動機構3を制御して、検査用信号Seが供給されている導体パターン102(この例では、図1における左端の導体パターン102)の他端部102bにプローブ11の先端部が近接するようにプローブ装置2を移動させる。この場合、図3に示すように、導体パターン102の他端部102bに近接させられたプローブ11は、導体パターン102に対して容量結合された状態となっている。このため、導体パターン102に対する交流の検査用信号Seの供給に伴い、プローブ11の検出用電極21には、導体パターン102との間の静電容量(同図に示す静電容量C0)を介して電流信号Siが流れる(つまり検出用電極21によって電流信号Siが検出される)。
次いで、プローブ装置2のI/V変換回路12がプローブ11によって検出された電流信号Siを電圧信号Svに変換する。続いて、アンプ5が、電圧信号Svを所定の増幅率で増幅し、A/D変換部6が、増幅された電圧信号Svをアナログ/デジタル変換して電圧データDvを出力する。次いで、制御部9は、電圧データDvに基づいて電圧値Vdを算出して記憶部10に記憶させる。続いて、制御部9は、検査用信号供給部4の切替回路32を制御してオン状態またはオフ状態に移行させるスイッチ32aを順次切り替えると共に、移動機構3を制御してプローブ11を移動させつつ、フレキシブル基板100における全ての導体パターン102についての上記の電圧値Vdの算出および記憶を行う。
次いで、制御部9は導体パターン102の良否判定処理を実行する。この良否判定処理では、制御部9は、記憶部10に記憶されている全ての導体パターン102についての電圧値Vdと、記憶部10に記憶されている基準値Vsとを比較する。この場合、電圧値Vdが基準値Vs以上のときには、制御部9は、その導体パターン102は断線していない良好な状態であると判定する。一方、電圧値Vdが基準値Vsよりも小さいときには、導体パターン102に断線が発生している可能性があるため、制御部9は、その導体パターン102が不良状態であると判定する。次いで、制御部9は、各導体パターン102についての良否の判定結果を記憶部10に記憶する。これにより、良否判定処理が完了する。
次いで、制御部9は、良否の判定処理の結果を記憶部10から読み出して、表示部8に表示させる。これにより、フレキシブル基板100の導体パターン102の検査が完了する。この場合、上記したように、この回路基板検査装置1では、プローブ11における検出用電極21の先端部25がシールド電極23の先端部27よりも基端部26側に後退するように構成されているため、プローブ11の指向性が十分に向上されている。したがって、外乱の影響が十分に小さい電流信号Siに基づいて導体パターン102についての検査を正確に行うことが可能となっている。
このように、このプローブ11、プローブ装置2および回路基板検査装置1によれば、プローブ11における検出用電極21の先端部25がシールド電極23の先端部27よりも基端部26側に後退するように構成したことにより、プローブ11の指向性を十分に向上させることができる。したがって、このプローブ11、プローブ装置2および回路基板検査装置1によれば、導体パターン102についての検査における検査精度を十分に向上させることができる。
また、このプローブ11、プローブ装置2および回路基板検査装置1によれば、筒状に形成したシールド電極23を検出用電極21を取り囲むようにして設けたことにより、検出用電極21の外周面をシールド電極23で確実に覆うことができるため、外乱の影響をさらに少なく抑えることができる結果、プローブ11の指向性をさらに向上させることができる。
また、このプローブ11、プローブ装置2および回路基板検査装置1によれば、絶縁体22を誘電率の低い発泡性ポリエチレンで形成したことにより、検出用電極21とシールド電極23との間の静電容量を小さく抑えることができる結果、電流信号Siの減衰率を十分に低減することができる。
次に、図7に示す回路基板検査装置1aの構成について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記した回路基板検査装置1の各構成要素と同じ構成要素については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。回路基板検査装置1aは、本発明に係る検査装置の他の一例であって、例えば、同図に示すフレキシブル基板500に対する所定の電気的検査を実行可能に構成されている。ここで、フレキシブル基板500は、本発明における検査対象体の他の一例であって、同図に示すように、基板本体501上に複数の導体パターン502が設けられて構成されている。この場合、各導体パターン502のピッチは一端部502a(同図における下端部)が極めて狭く、他端部502b(同図における上端部)が広く形成されている。
一方、回路基板検査装置1aは、図7に示すように、プローブ装置2、移動機構3、検査用信号供給部4a、アンプ5、A/D変換部6、操作部7、表示部8、制御部9、記憶部10および載置台50(図3参照)を備えて構成されている。この場合、検査用信号供給部4aは、図7に示すように、電源部31および電極板34を備えて構成されている。電極板34は、導電性を有する材料によって板状に形成されている。この検査用信号供給部4aは、フレキシブル基板500における各(全ての)導体パターン502の一端部502aに電極板34が近接させられた状態において、電極板34と各一端部502aとの間の静電容量を介して各(全ての)導体パターン502に検査用信号Seを供給する。
この回路基板検査装置1aを用いてフレキシブル基板500の導体パターン502の良否を検査する際には、まず、載置台50にフレキシブル基板500を載置して固定する。次いで、図7に示すように、各導体パターン502の一端部502aに検査用信号供給部4aの電極板34を近接させる。この際に、電源部31から出力された検査用信号Seが電極板34と各一端部502aとの間の静電容量を介して各導体パターン502に供給される。
次いで、プローブ11における検出用電極21の先端部25が各導体パターン502のうちの1つの導体パターン502(例えば、図7における左端の導体パターン502)の他端部502bに近接するように移動機構3がプローブ装置2を移動させ、プローブ装置2のI/V変換回路12がプローブ11によって検出された電流信号Siを電圧信号Svに変換する。続いて、A/D変換部6が、アンプ5によって増幅された電圧信号Svをアナログ/デジタル変換して電圧データDvを出力し、制御部9が、電圧データDvに基づいて電圧値Vdを算出して記憶部10に記憶させる。次いで、制御部9は、移動機構3を制御してプローブ11を移動させつつ、フレキシブル基板500における全ての導体パターン502についての上記の電圧値Vdの算出および記憶を行う。
続いて、制御部9は、導体パターン502の良否判定処理を実行して、各導体パターン502についての良否の判定結果を記憶部10に記憶させると共に、その判定結果を表示部8に表示させる。これにより、フレキシブル基板500の導体パターン502の検査が完了する。この場合、この回路基板検査装置1aでは、上記したように、フレキシブル基板500における各(全ての)導体パターン502の一端部502aに検査用信号供給部4aの電極板34を近接させることで、電源部31から出力された検査用信号Seが電極板34と各一端部502aとの間の静電容量を介して各導体パターン502に供給される。このため、フレキシブル基板500のように、導体パターン502の一端部502aのピッチが極めて狭い場合においても、各導体パターン502に検査用信号Seを確実に供給することが可能となっている。
このように、この回路基板検査装置1aによれば、検査用信号供給部4aが各導体パターン502の一端部502aに近接させられた電極板34と各一端部502aとの間の静電容量を介して各導体パターン502に検査用信号Seを供給することにより、導体パターン502の一端部502aのピッチが極めて狭く、各一端部502aに対して信号供給プローブ33を個別的に接触させるのが困難な場合においても、各導体パターン502に検査用信号Seを確実に供給することができる。
次に、図8に示す回路基板検査装置1bの構成について、図面を参照して説明する。回路基板検査装置1bは、本発明に係る検査装置の他の一例であって、例えば、上記したフレキシブル基板100に対する所定の電気的検査を実行可能に構成されている。具体的には、回路基板検査装置1bは、同図に示すように、プローブ装置(本発明に係る信号供給用のプローブ装置)2a、移動機構3、アンプ5、A/D変換部6、操作部7、表示部8、制御部9、記憶部10、I/V変換回路12、切替回路32、信号検査用プローブ33aおよび載置台50(図3参照)を備えて構成されている。
プローブ装置2aは、プローブ11a、電源部31を備えて構成されている。プローブ11aは、図2,3,4に示すように、上記したプローブ11と同様に構成されている。この場合、プローブ11aの検出用電極21は、フレキシブル基板100の導体パターン102に先端部25が近接させられた状態において導体パターン102との間の静電容量を介して検査用信号Se供給する。つまり、この回路基板検査装置1bでは、プローブ11aの検出用電極21は、検査用信号Se供給用の電極として機能する(以下、プローブ11aの検出用電極21を「供給用電極21a」ともいう)。
また、この回路基板検査装置1bでは、電源部31が、本発明における検査用信号出力部として機能し、プローブ11aに検査用信号Seを出力する。また、この回路基板検査装置1bでは、移動機構3がプローブ装置2aのプローブ11aを任意の方向に移動させる。さらに、この回路基板検査装置1bでは、導体パターン102の一端部102aに接続された信号検査用プローブ33aが、検査用信号Seの供給に伴って導体パターン102を流れる電流信号Siを検出し、切替回路32を介して、その電流信号SiをI/V変換回路12に出力する。
この回路基板検査装置1bを用いてフレキシブル基板100の導体パターン102の良否を検査する際には、まず、載置台50にフレキシブル基板100を載置して固定する。次いで、図8に示すように、各導体パターン102の一端部102aに信号検査用プローブ33aをそれぞれ接触させる。続いて、制御部9が、切替回路32を制御して、各スイッチ32aのうちの1つのスイッチ32a(例えば、同図における左端のスイッチ32a)をオン状態に移行させると共に、そのスイッチ32aを除く他のスイッチ32aをオフ状態に移行させる。
次いで、供給用電極21aの先端部25が各導体パターン102のうちの1つの導体パターン102(例えば、図8における左端の導体パターン102)の他端部102bに近接するように、移動機構3がプローブ11aを移動させる。この際に、電源部31から出力された検査用信号Seが、プローブ11aの供給用電極21aと他端部102bとの間の静電容量を介して各導体パターン102に供給される。
ここで、供給用電極21aの先端部25がシールド電極23の先端部27よりも基端部26側に後退するように構成されているため、プローブ11aの指向性が十分に向上されている。このため、この回路基板検査装置1bでは、検出用電極321の先端部325とシールド電極323の先端部327とが面一となるように構成されている上記のプローブ311(図11参照)を用いる構成と比較して、検査用信号Seを狭い範囲に集中して供給することができる。したがって、この回路基板検査装置1bでは、十分に高いレベルの検査用信号Seを検査対象の導体パターン102に供給することが可能となっている。また、プローブ11aの指向性が十分に向上されているため、検査対象の導体パターン102に隣接する他の導体パターン102に対する検査用信号Seの供給が低く抑えられている。この結果、他の導体パターン102に検査用信号Seが供給されることによる影響を十分に低く抑えることが可能となっている。
続いて、I/V変換回路12が信号検査用プローブ33aおよび切替回路32を介して入力した電流信号Siを電圧信号Svに変換する(本発明における所定の処理)。次いで、A/D変換部6が、アンプ5によって増幅された電圧信号Svをアナログ/デジタル変換して電圧データDvを出力し、制御部9が、電圧データDvに基づいて電圧値Vdを算出して記憶部10に記憶させる。続いて、制御部9は、切替回路32を制御してオン状態またはオフ状態に移行させるスイッチ32aを順次切り替えると共に、移動機構3を制御してプローブ11aを移動させつつ、フレキシブル基板100における全ての導体パターン102についての上記の電圧値Vdの算出および記憶を行う。
次いで、制御部9は、導体パターン102の良否判定処理を実行して、各導体パターン102についての良否の判定結果を記憶部10に記憶させると共に、その判定結果を表示部8に表示させる。これにより、フレキシブル基板100の導体パターン102の検査が完了する。
このように、この回路基板検査装置1bによれば、供給用電極21aの先端部25がシールド電極23の先端部27よりも基端部26側に後退するように構成されたプローブ11aを有するプローブ装置2aを備えたことにより、プローブ11aの指向性が十分に向上されているため、検査用信号Seを狭い範囲に集中して供給することができる。したがって、この回路基板検査装置1bによれば、十分に高いレベルの検査用信号Seを検査対象の導体パターン102に供給することができる。また、プローブ11aの指向性が十分に向上されているため、検査対象の導体パターン102に隣接する他の導体パターン102に検査用信号Seが供給されることによる影響を十分に低く抑えることができる。
次に、図9に示す回路基板検査装置1cの構成について、図面を参照して説明する。回路基板検査装置1cは、本発明に係る検査装置の他の一例であって、例えば、上記したフレキシブル基板500に対する所定の電気的検査を実行可能に構成されている。具体的には、回路基板検査装置1cは、同図に示すように、プローブ装置2a、移動機構3、アンプ5、A/D変換部6、操作部7、表示部8、制御部9、記憶部10、I/V変換回路12、電極板34および載置台50(図3参照)を備えて構成されている。この場合、この回路基板検査装置1cでは、フレキシブル基板500における各導体パターン502の一端部502aに電極板34が近接させられた状態において、電極板34が、各導体パターン502に対する検査用信号Seの供給に伴って電極板34と各一端部502aとの間の静電容量を介して流れる電流信号Siを検出する。
この回路基板検査装置1cを用いてフレキシブル基板500の導体パターン502の良否を検査する際には、まず、載置台50にフレキシブル基板500を載置して固定する。次いで、図9に示すように、各導体パターン502の一端部502aに電極板34を近接させる。続いて、供給用電極21aの先端部25が各導体パターン502のうちの1つの導体パターン502(例えば、同図における左端の導体パターン502)の他端部502bに近接するように移動機構3がプローブ11aを移動させる。
この際に、電源部31から出力された検査用信号Seがプローブ11aの供給用電極21aと他端部502bとの間の静電容量を介して各導体パターン502に供給される。この場合、プローブ11aの指向性が十分に向上されているため、回路基板検査装置1bと同様にして、検査対象の導体パターン502に対して十分に高いレベルの検査用信号Seが供給されると共に、検査対象の導体パターン502に隣接する他の導体パターン502に対する検査用信号Seの供給が低く抑えられる。
次いで、電極板34が、導体パターン502に対する検査用信号Seの供給に伴って電極板34と各一端部502aとの間の静電容量を介して流れる電流信号Siを検出し、I/V変換回路12が電流信号Siを電圧信号Svに変換する。続いて、A/D変換部6が、アンプ5によって増幅された電圧信号Svをアナログ/デジタル変換して電圧データDvを出力し、制御部9が、電圧データDvに基づいて電圧値Vdを算出して記憶部10に記憶させる。次いで、制御部9は、移動機構3を制御してプローブ11aを移動させつつ、フレキシブル基板500における全ての導体パターン502についての上記の電圧値Vdの算出および記憶を行う。
次いで、制御部9は、導体パターン502の良否判定処理を実行して、各導体パターン502についての良否の判定結果を記憶部10に記憶させると共に、その判定結果を表示部8に表示させる。これにより、フレキシブル基板500の導体パターン502の検査が完了する。この場合、この回路基板検査装置1cでは、上記したように、フレキシブル基板500における各導体パターン502の一端部502aに電極板34を近接させることで、検査用信号Seの供給に伴って電極板34と各一端部502aとの間の静電容量を介して流れる電流信号Siを検出することが可能となっている。このため、フレキシブル基板500のように、導体パターン502の一端部502aのピッチが極めて狭く、各一端部502aに対して信号検査用プローブ33a(図9参照)を個別的に接触させるのが困難な場合においても、電流信号Siを確実に検出することが可能となっている。
このように、この回路基板検査装置1cによれば、I/V変換回路12が各導体パターン502の一端部502aに近接させられた電極板34と各一端部502aとの間の静電容量を介して電極板34によって検出された電流信号Siを電圧信号Svに変換することにより、導体パターン502の一端部502aのピッチが極めて狭く、各一端部502aに対して信号供給プローブ33を個別的に接触させるのが困難であったり、プローブ11による電流信号Siの検出が困難であったりする場合においても、電流信号Siを確実に検出することができる。
次に、図10に示す回路基板検査装置1dの構成について、図面を参照して説明する。回路基板検査装置1dは、本発明に係る検査装置の他の一例であって、例えば、同図に示すフレキシブル基板600に対する所定の電気的検査を実行可能に構成されている。ここで、フレキシブル基板600は、本発明における検査対象体の他の一例であって、同図に示すように、互いに形状の異なる複数の導体パターン602a,602b,602c(以下、区別しないときには「導体パターン602」ともいう)が基板本体601上に設けられて構成されている。
一方、回路基板検査装置1dは、図10に示すように、プローブ装置2,2a、一対の移動機構3a,3b、アンプ5、A/D変換部6、操作部7、表示部8、制御部9、記憶部10および載置台50(図3参照)を備えて構成されている。この場合、移動機構3aは、プローブ装置2(プローブ11)を任意の方向に移動させ、移動機構3bは、プローブ装置2aのプローブ11aを任意の方向に移動させる。
この回路基板検査装置1dを用いてフレキシブル基板600の導体パターン602の良否を検査する際には、まず、載置台50にフレキシブル基板600を載置して固定する。次いで、例えば、プローブ11の先端部が導体パターン602aの一端部603に近接するように移動機構3aがプローブ装置2を移動させると共に、供給用電極21aの先端部25が導体パターン602aの他端部604に近接するように移動機構3bがプローブ11aを移動させる。この際に、電源部31から出力された検査用信号Seがプローブ11aの供給用電極21aと他端部604との間の静電容量を介して導体パターン602aに供給される。
この場合、この回路基板検査装置1dでは、移動機構3a,3bがプローブ装置2およびプローブ11aをそれぞれ任意の方向に移動させる、このため、フレキシブル基板600のように、導体パターン602の形状が互いに異なる(導体パターン602がランダムに配置されている)場合においても、導体パターン602の一端部603および他端部604にプローブ11,11aをそれぞれ確実に近接させることが可能となっている。また、この回路基板検査装置1dでは、検査用信号Seの供給、および電流信号Siの検出の双方をプローブ11,11aを用いて非接触で行うことができるため、導体パターン602の傷付きを確実に防止することが可能となっている。
続いて、プローブ装置2のI/V変換回路12がプローブ11によって検出された電流信号Siを電圧信号Svに変換する。次いで、A/D変換部6が、アンプ5によって増幅された電圧信号Svをアナログ/デジタル変換して電圧データDvを出力し、制御部9が、電圧データDvに基づいて電圧値Vdを算出して記憶部10に記憶させる。次いで、制御部9は、移動機構3a,3bを制御してプローブ11,11aを移動させつつ、フレキシブル基板600における全ての導体パターン602についての上記の電圧値Vdの算出および記憶を行う。
次いで、制御部9は、導体パターン602の良否判定処理を実行して、各導体パターン602についての良否の判定結果を記憶部10に記憶させると共に、その判定結果を表示部8に表示させる。これにより、フレキシブル基板600の導体パターン602の検査が完了する。この場合、例えば、隣り合う一対の導体パターン602の一方における一端部603または他端部604にプローブ11を近接させ、他方の導体パターン602における一端部603または他端部604にプローブ11aを近接させて上記の電圧値Vdの算出を行うことで、その隣接する導体パターン602間の短絡を検査することもできる。
このように、この回路基板検査装置1dによれば、プローブ装置2,2aを備えたことにより、検査用信号Seの供給および電流信号Siの検出の双方をプローブ11,11aを用いて非接触で行うことができる。このため、導体パターン602にコンタクトプローブを直接接触させる構成とは異なり、プローブの接触による導体パターン602の傷付きを確実に防止することができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、円筒状に形成したシールド電極23で検出用電極21を取り囲んで全体として円柱状に構成したプローブ11,11aに本発明を適用した例について上記したが、図5,6に示すように、全体として板状に構成したプローブ211に適用することもできる。このプローブ211は、両図に示すように、検出用電極221、一対の絶縁体222、および一対のシールド板(本発明におけるシールド電極の他の一例)223を備えて構成されている。検出用電極221は、導電性を有する材料によって円柱状に形成されて、プローブ11の検出用電極21と同様に機能する。また、検出用電極221は、先端部225(両図では下端部)がシールド板223の先端部227(検出用電極221の先端部225側に位置する端部であって両図では下端部)よりも基端部226(両図では上端部)側に後退するように構成されている。つまり、このプローブ211では、検出用電極221の端面225aがプローブ211における先端部の端面から奥まった位置に位置しておりその端面から露出しないように構成されている。絶縁体222,222は、板状にそれぞれ形成されて、検出用電極221を挟み込むようにして設けられている。シールド板223,223は、板状にそれぞれ形成されて、絶縁体222によって挟み込まれた検出用電極221を絶縁体222の外側からさらに挟み込むようにして設けられている。このプローブ211においても、検出用電極221の先端部225がシールド板223の先端部227よりも基端部226側に後退するように構成したことにより、プローブ11と同様の効果を実現することができる。また、このプローブ211によれば、構成が簡易な分、プローブ211の作製コストを十分に低減することができる。
また、プローブ211と同様に構成されて、検出用電極221が検査用信号Se供給用の供給用電極221aとして機能するプローブ211a(図5,6参照)を採用することもできる。このプローブ211aにおいても、プローブ11aと同様の効果を実現することができると共に、構成が簡易な分、作製コストを十分に低減することができる。
さらに、円柱状の検出用電極21,221や供給用電極21a,221aに代えて、球状の検出用電極や供給用電極を採用することもできる。この球状の検出用電極や供給用電極を備えた構成においても、これらの電極の先端部をシールド電極23の先端部27やシールド板223の先端部227よりも基端部側に後退させることで、プローブ11,11a,211,211aと同様の効果を実現することができる。
また、絶縁体22,222を発泡性ポリエチレンで形成した例について上記したが、発泡性ポリエチレンに代えて他の絶縁材料を用いることもできる。さらに、検査対象体としてのフレキシブル基板100,500,600を検査する例について上記したが、検査対象としては、これに限定されず、ベアボード、ハード基板、有機EL用のガラス基板およびフラットパネルディスプレイ用(液晶用)のガラス基板等の任意の基板に対する検査に回路基板検査装置1,1a〜1dを用いることができるのは勿論である。また、上記した回路基板検査装置1,1bにおいて、各スイッチ32aを流れる電流信号Siの大きさを測定して、その測定した電流信号Siの測定値に基づいて各導体パターン102間の短絡を検査する機能を付加することもできる。