JP2008308468A - ヒドロキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、スタート時における触媒の性能低下を防止し、かつ定常運転時には触媒の活性を高水準に発現できるという優れた特徴を有するヒドロキシ化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】405℃以下の温度において反応を開始し、その後昇温する。反応の開始温度とは、触媒上に塩素化炭化水素と水蒸気を共存させ始めるときの温度であり、その温度は405℃以下であり、好ましくは300〜400℃である。該温度が高すぎると、反応の開始に祭し、水蒸気の不存在下に塩素化炭化水素のみを触媒に接触させた場合、触媒の性能の低下を招く。また、該温度が低すぎると触媒の性能が十分に発現できず、塩素化炭化水素の転化率が低くなる場合がある。
【選択図】なし
【解決手段】405℃以下の温度において反応を開始し、その後昇温する。反応の開始温度とは、触媒上に塩素化炭化水素と水蒸気を共存させ始めるときの温度であり、その温度は405℃以下であり、好ましくは300〜400℃である。該温度が高すぎると、反応の開始に祭し、水蒸気の不存在下に塩素化炭化水素のみを触媒に接触させた場合、触媒の性能の低下を招く。また、該温度が低すぎると触媒の性能が十分に発現できず、塩素化炭化水素の転化率が低くなる場合がある。
【選択図】なし
Description
本発明は、ヒドロキシ化合物の製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、スタート時における触媒の性能低下を防止し、かつ定常運転時には触媒の活性を高水準に発現できるという優れた特徴を有するヒドロキシ化合物の製造方法に関するものである。
ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒を用いて塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法は公知である。たとえば、特許文献1及び特許文献2には、450℃以上の高温で反応を行う技術が開示されている。
しかしながら、高温で反応を行う場合、スタート時に塩素化炭化水素化合物を先に供給すると、触媒の活性を高い水準に維持できないという問題があった。
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、スタート時における触媒の性能低下を防止し、かつ定常運転時には触媒の活性を高水準に発現できるという優れた特徴を有するヒドロキシ化合物の製造方法を提供する点に存する。
すなわち、本発明は、ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、405℃以下の温度において反応を開始し、その後昇温するヒドロキシ化合物の製造方法に係るものである。
本発明により、ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、スタート時における触媒の性能低下を防止し、かつ定常運転時には触媒の活性を高水準に発現できるという優れた特徴を有するヒドロキシ化合物の製造方法を提供することができる。
本発明において用いられる触媒は、ニッケルをメタロシリケートに担持させて得られる触媒である。該触媒を得る好ましい方法としては、下記の方法をあげることができる。
すなわち、塩化ニッケルを溶解させた溶液にメタロシリケートを70℃以上の温度で共存させる工程を用いる。メタロシリケートとは、Siを必須成分として含み、Al、Cu、Ga、Fe、B、Zn、Cr、Be、Co、La、Ge、Ti、Zr、Hf、V、Ni、Sb、Bi、Nb等から選ばれる1種又は2種以上の金属元素を含み、Siと他金属原子比、Si/Me原子比(ここに、Meは、Al、Cu、Ga、Fe、B、Zn、Cr、Be、Co、La、Ge、Ti、Zr、Hf、V、Ni、Sb、Bi、Nb等から選ばれる1種又は2種以上の金属元素を示す)が、5以上であるメタロシリケートがより好ましいが、Me成分を実質的に含まない二酸化ケイ素からなる結晶性シリケートでもよい。メタロシリケートには結晶性のものと非晶性のものがあり、本発明はどちらも使用できるが、加水分解反応の収率、選択率向上の観点から結晶性のものがこのましい。
ここで結晶性とはX線回折において回折ピークが観察されるものを示す意味する。塩化ニッケルを溶解させた溶液に用いる溶媒としては水が好ましい。溶液における塩化ニッケルの濃度は0.001〜7モル/Lが好ましい。該濃度が低すぎると触媒中のニッケル含有量が低くなり、加水分解反応の収率が低下することがあり、一方該濃度が高すぎると不溶の塩化ニッケルが析出し、後の濾過等の操作で触媒と分離できなくなるため不均一な混合触媒になり、触媒性能が低下することがある。
溶液を調製するには、溶媒に塩化ニッケルを添加し、攪拌することにより均一な溶液とすればよい。このときの溶液の温度は通常10〜40℃である。塩化ニッケルを溶解させた溶液にメタロシリケートを70℃以上の温度で共存させる。共存させるときの溶液の温度は70℃以上であり、好ましくは80〜100℃である。該温度が低すぎると触媒中のニッケル含有量が低くなり、加水分解反応の収率が低下することがあり、一方該温度が高すぎると高圧力設備が必要になるとともに、メタロシリケートが変質することがある。この操作は、溶液中にメタロシリケートを添加し、攪拌することにより行われる。溶液との量比は0.001〜1gメタロシリケート/g溶液が好ましい。溶液に対してメタロシリケートが過少であると触媒中のニッケル含有量が低くなり、加水分解反応の収率が低下することとなることがあり、一方過多であるとメタロシリケートを濾過分離した際の廃液の量が多くなることがある。処理時間は1〜48時間が好ましい。該時間が短かすぎると触媒中のニッケル含有量が低く加水分解反応収率(転化率)が低下することがあり、一方該時間が長すぎると触媒中のニッケル含有量が多なりすぎて選択率が低下することがある。
上記の操作の後は、濾過、乾燥(たとえば、80〜150℃、1〜24時間)及び焼成(たとえば、300〜600℃、1〜8時間)することにより粉状の触媒を得ることができる。必要に応じ、成形して用いることができる。また、濾過せずに蒸発乾燥させた後、焼成してもよい。
本発明は、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造するものである。塩素化炭化水素化合物としては、メチルクロライド、エチルクロライド、アリルクロライドのような鎖状炭化水素に塩素原子が一つ置換した塩素化炭化水素化合物や、四塩化炭素のような塩素原子が複数個置換されたもの、モノクロルベンゼン、1,2−、1,3−又は1,4−ジクロルベンゼン、1,2,3−、1,2,4−又は1,3,5−トリクロルベンゼン、テトラクロルベンゼン、ペンタクロルベンゼン又はヘキサクロルベンゼン、モノ又はポリクロロトルエン、モノ又はポリクロロキシレン等の芳香族化合物に塩素原子が、一つ、または複数個置換された化合物を挙げることができる。また、それらの化合物の芳香環がニトロ基、アミノ基、アルキル基(メチル基を除く。)等の置換基で置換されていてもよい。更に、上記の単環式芳香族化合物の他に、ナフタレン環、アントラセン環等の多環式芳香族化合物であってもよい。また、芳香環に直接塩素が置換された化合物のみならず、塩化ベンジル、クミルクロライドのように芳香環の置換基が塩素化されたものであってもよい。加水分解反応の具体例としては、クロルベンゼンをフェノールに変換する反応をあげることができる。
本発明の最大の特徴は、405℃以下の温度において反応を開始し、その後昇温する点にある。
反応の開始温度とは、触媒上に塩素化炭化水素と水蒸気を共存させ始めるときの温度であり、その温度は405℃以下であり、好ましくは300〜400℃である。該温度が高すぎると、反応の開始に祭し、水蒸気の不存在下に塩素化炭化水素のみを触媒に接触させた場合、触媒の性能の低下を招く。また、該温度が低すぎると触媒の性能が十分に発現できず、塩素化炭化水素の転化率が低くなる場合がある。
反応開始後、反応温度は昇温される。昇温後の定常運転時の反応温度は、410〜500℃が好ましく、より好ましくは420〜450℃である。該温度が低すぎると転化率が低くなる場合があり、一方該温度が高すぎると選択率が低くなるの場合がある。
なお、反応温度とは、塩素化炭化水素および水蒸気が存在する状態での触媒層の温度である。
本発明によると、反応の開始にあたり、塩素化炭化水素と水蒸気の触媒層への導入順序は任意であり、特に工業的実施の観点から好都合である。
加水分解反応させる方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用することができる。クロルベンゼンをフェノールに変換する反応を例にしてあげれば次のとおりである。反応は、液相、気相いずれによっても実施されるが、通常は気相反応を用いる。反応形態としては、固定床、流動床、移動床のいずれでもよい。塩酸中の水と塩素化炭化水素のモル比(水/塩素化炭化水素)は通常0.5〜10であり、反応圧力は減圧、常圧、加圧いずれでもよいが、通常は常圧である。反応後、生成ガスを冷却して得られた反応液から目的物であるフェノールを分離すればよい。
本発明は、クロルベンゼンをフェノールに変換する反応に最適に適用し得る。
次に本発明を実施例により説明する。
実施例1
触媒の調製
イオン交換水150ml中に、市販の酢酸ニッケル六水和物(和光純薬工業製 99.9%)1.87gを室温で攪拌、溶解させ酢酸ニッケル水溶液を調製した。その酢酸ニッケル水溶液中に、市販のNa−ZSM−5ゼオライト(エヌ・イー ケムキャット製 Si/Al=25 パウダー)30.0gを添加し(0.20gメタロシリケート/g溶液)、撹拌機にて攪拌下に100℃で加熱し、25時間含浸しイオン交換を行った。固形分をろ過、イオン交換水による水洗をした後、120℃で4時間乾燥、更に空気流通下400℃で5時間焼成し、白色の粉末を得た。この粉末を打錠成形したのち粉砕し、1〜2mmの顆粒状触媒とした。
実施例1
触媒の調製
イオン交換水150ml中に、市販の酢酸ニッケル六水和物(和光純薬工業製 99.9%)1.87gを室温で攪拌、溶解させ酢酸ニッケル水溶液を調製した。その酢酸ニッケル水溶液中に、市販のNa−ZSM−5ゼオライト(エヌ・イー ケムキャット製 Si/Al=25 パウダー)30.0gを添加し(0.20gメタロシリケート/g溶液)、撹拌機にて攪拌下に100℃で加熱し、25時間含浸しイオン交換を行った。固形分をろ過、イオン交換水による水洗をした後、120℃で4時間乾燥、更に空気流通下400℃で5時間焼成し、白色の粉末を得た。この粉末を打錠成形したのち粉砕し、1〜2mmの顆粒状触媒とした。
反応の実施
200℃の固定床蒸発器と内径17mmφの石英固定床反応器を直列に配置した。石英固定床反応器に内温測定のために外経4mmφ石英保護管を入れ、上記触媒1.00gを充填した後、400℃に保持した。窒素11ml/minを流通させた200℃の固定床蒸発器に、クロルベンゼン(和光純薬工業製 特級)を3.0g/h固定床蒸発器に供給し、クロルベンゼン蒸気として10ml/min(水/クロルベンゼン=6.0)を石英固定床反応器に供給した。2時間経過後、水蒸気を2.9g/h供給し、60ml/minの水蒸気として石英固定床反応器に供給して反応を開始し、反応開始 (クロルベンゼン供給開始)15分経過後温度を453℃に上昇した。
反応開始 (クロルベンゼン供給開始)1.5時間経過後、生成ガスをトルエン溶媒に吸収させ、生成物をガスクロマトグラフにより分析としたところ、クロルベンゼン転化率18.8%、フェノール選択率93.3%、ベンゼン選択率6.5%であった。
200℃の固定床蒸発器と内径17mmφの石英固定床反応器を直列に配置した。石英固定床反応器に内温測定のために外経4mmφ石英保護管を入れ、上記触媒1.00gを充填した後、400℃に保持した。窒素11ml/minを流通させた200℃の固定床蒸発器に、クロルベンゼン(和光純薬工業製 特級)を3.0g/h固定床蒸発器に供給し、クロルベンゼン蒸気として10ml/min(水/クロルベンゼン=6.0)を石英固定床反応器に供給した。2時間経過後、水蒸気を2.9g/h供給し、60ml/minの水蒸気として石英固定床反応器に供給して反応を開始し、反応開始 (クロルベンゼン供給開始)15分経過後温度を453℃に上昇した。
反応開始 (クロルベンゼン供給開始)1.5時間経過後、生成ガスをトルエン溶媒に吸収させ、生成物をガスクロマトグラフにより分析としたところ、クロルベンゼン転化率18.8%、フェノール選択率93.3%、ベンゼン選択率6.5%であった。
比較例1
実施例1と同様の操作をしたが、石英固定床反応器は最初から454℃で保持した。反応開始(水蒸気供給開始)1.5時間経過後、実施例1と同様の操作で分析したところ、クロルベンゼン転化率13.5%、フェノール選択率65.2%、不要副生成物であるベンゼン選択率が34.7%であった。
実施例1と同様の操作をしたが、石英固定床反応器は最初から454℃で保持した。反応開始(水蒸気供給開始)1.5時間経過後、実施例1と同様の操作で分析したところ、クロルベンゼン転化率13.5%、フェノール選択率65.2%、不要副生成物であるベンゼン選択率が34.7%であった。
Claims (2)
- ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、405℃以下の温度において反応を開始し、その後昇温するヒドロキシ化合物の製造方法。
- 加水分解反応がクロルベンゼンをフェノールに変換する反応である請求項1記載の製造方法。
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JP2007159908A JP2008308468A (ja) | 2007-06-18 | 2007-06-18 | ヒドロキシ化合物の製造方法 |
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