JP2008133255A - ヒドロキシ化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、該触媒の性能を高い水準に保ってスタートを行い、かつ触媒の活性低下を抑制することができるという優れた特徴を有するヒドロキシ化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】スタートに祭し、410℃以上の温度において、まず触媒層に水蒸気を導入し、その後触媒層に塩素化炭化水素化合物を導入するヒドロキシ化合物の製造方法。塩素化炭化水素化合物の導入を開始する時期は、触媒層がすべて水蒸気雰囲気のなった後であれば、いつでも可能である。触媒層がすべて水蒸気雰囲気のなったことは、たとえば水の導入場所から触媒層の出口までの体積と水蒸気の流量から計算することができる。
【選択図】なし
【解決手段】スタートに祭し、410℃以上の温度において、まず触媒層に水蒸気を導入し、その後触媒層に塩素化炭化水素化合物を導入するヒドロキシ化合物の製造方法。塩素化炭化水素化合物の導入を開始する時期は、触媒層がすべて水蒸気雰囲気のなった後であれば、いつでも可能である。触媒層がすべて水蒸気雰囲気のなったことは、たとえば水の導入場所から触媒層の出口までの体積と水蒸気の流量から計算することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、ヒドロキシ化合物の製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、該触媒の性能を高い水準に保ってスタートを行い、かつ触媒の活性低下を抑制することができるという優れた特徴を有するヒドロキシ化合物の製造方法に関するものである。
ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒を用いて塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法は公知である(たとえば、特許文献1〜2参照。)。
しかしながら、従来の方法は、スタート時の触媒の高い活性水準を維持できないという問題があった。
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、該触媒の性能を高い水準に保ってスタートを行い、かつ触媒の活性低下を抑制することができるという優れた特徴を有するヒドロキシ化合物の製造方法を提供する点に存する。
すなわち、本発明は、ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法のスタートに祭し、410℃以上の温度において、まず触媒層に水蒸気を導入し、その後触媒層に塩素化炭化水素化合物を導入するヒドロキシ化合物の製造方法に係るものである。
本発明により、ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法であって、該触媒の性能を高い水準に保ってスタートを行い、かつ触媒の活性低下を抑制することができるという優れた特徴を有するヒドロキシ化合物の製造方法を提供することができる。
本発明において用いられる触媒は、ニッケルをメタロシリケートに担持させて得られる触媒である。該触媒を得る好ましい方法としては、下記の方法をあげることができる。
すなわち、塩化ニッケルを溶解させた溶液にメタロシリケートを70℃以上の温度で共存させる工程を用いる。メタロシリケートとは、Siを必須成分として含み、Al、Cu、Ga、Fe、B、Zn、Cr、Be、Co、La、Ge、Ti、Zr、Hf、V、Ni、Sb、Bi、Nb等から選ばれる1種又は2種以上の金属元素を含み、Siと他金属原子比、Si/Me原子比(ここに、Meは、Al、Cu、Ga、Fe、B、Zn、Cr、Be、Co、La、Ge、Ti、Zr、Hf、V、Ni、Sb、Bi、Nb等から選ばれる1種又は2種以上の金属元素を示す)が、5以上であるメタロシリケートがより好ましいが、Me成分を実質的に含まない二酸化ケイ素からなる結晶性シリケートでもよい。メタロシリケートには結晶性のものと非晶性のものがあり、本発明はどちらも使用できるが、加水分解反応の収率、選択率向上の観点から結晶性のものがこのましい。ここで結晶性とはX線回折において回折ピークが観察されるものを示す意味する。塩化ニッケルを溶解させた溶液に用いる溶媒としては水が好ましい。
溶液における塩化ニッケルの濃度は0.001〜7モル/Lが好ましい。該濃度が低すぎると触媒中のニッケル含有量が低くなり、加水分解反応の収率が低下することがあり、一方該濃度が高すぎると不溶の塩化ニッケルが析出し、後の濾過等の操作で触媒と分離できなくなるため不均一な混合触媒になり、触媒性能が低下することがある。
溶液を調製するには、溶媒に塩化ニッケルを添加し、攪拌することにより均一な溶液とすればよい。このときの溶液の温度は通常10〜40℃である。塩化ニッケルを溶解させた溶液にメタロシリケートを70℃以上の温度で共存させる。共存させるときの溶液の温度は70℃以上であり、好ましくは80〜100℃である。該温度が低すぎると触媒中のニッケル含有量が低くなり、加水分解反応の収率が低下することがあり、一方該温度が高すぎると高圧力設備が必要になるとともに、メタロシリケートが変質することがある。この操作は、溶液中にメタロシリケートを添加し、攪拌することにより行われる。溶液との量比は0.001〜1gメタロシリケート/g溶液が好ましい。溶液に対してメタロシリケートが過少であると触媒中のニッケル含有量が低くなり、加水分解反応の収率が低下することとなることがあり、一方過多であるとメタロシリケートを濾過分離した際の廃液の量が多くなることがある。処理時間は1〜48時間が好ましい。該時間が短かすぎると触媒中のニッケル含有量が低く加水分解反応収率(転化率)が低下することがあり、一方該時間が長すぎると触媒中のニッケル含有量が多なりすぎて選択率が低下することがある。
上記の操作の後は、濾過、乾燥(たとえば、80〜150℃、1〜24時間)及び焼成(たとえば、300〜600℃、1〜8時間)することにより粉状の触媒を得ることができる。必要に応じ、成形して用いることができる。また、濾過せずに蒸発乾燥させた後、焼成してもよい。
本発明は、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造するものである。塩素化炭化水素化合物としては、メチルクロライド、エチルクロライド、アリルクロライドのような鎖状炭化水素に塩素原子が一つ置換した塩素化炭化水素化合物や、四塩化炭素のような塩素原子が複数個置換されたもの、モノクロルベンゼン、1,2−、1,3−又は1,4−ジクロルベンゼン、1,2,3−、1,2,4−又は1,3,5−トリクロルベンゼン、テトラクロルベンゼン、ペンタクロルベンゼン又はヘキサクロルベンゼン、モノ又はポリクロロトルエン、モノ又はポリクロロキシレン等の芳香族化合物に塩素原子が、一つ、または複数個置換された化合物を挙げることができる。また、それらの化合物の芳香環がニトロ基、アミノ基、アルキル基(メチル基を除く。)等の置換基で置換されていてもよい。更に、上記の単環式芳香族化合物の他に、ナフタレン環、アントラセン環等の多環式芳香族化合物であってもよい。また、芳香環に直接塩素が置換された化合物のみならず、塩化ベンジル、クミルクロライドのように芳香環の置換基が塩素化されたものであってもよい。加水分解反応の具体例としては、クロルベンゼンをフェノールに変換する反応をあげることができる。
本発明の最大の特徴は、スタートに祭し、410℃以上の温度において、まず触媒層に水蒸気を導入し、その後触媒層に塩素化炭化水素化合物を導入する点にある。このようにすることにより、触媒の活性低下を抑制することができる。本発明によることなく、触媒層に先に塩素化炭化水素化合物を導入した場合、触媒の活性低下を招く。
スタート時の温度は410℃以上であり、好ましくは435℃以上である。この温度が低すぎるとスタート時に触媒の高い活性を実現できない。なお、スタート時の温度は600℃以下であることが好ましい。この温度が高すぎると、急激に触媒の活性が低下する。
塩素化炭化水素化合物の導入を開始する時期は、触媒層がすべて水蒸気雰囲気のなった後であれば、いつでも可能である。触媒層がすべて水蒸気雰囲気のなったことは、たとえば水の導入場所から触媒層の出口までの体積と水蒸気の流量から計算することができる。
加水分解反応させる方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用することができる。クロルベンゼンをフェノールに変換する反応を例にしてあげれば次のとおりである。反応は、液相、気相いずれによっても実施されるが、通常は気相反応を用いる。反応形態としては、固定床、流動床、移動床のいずれでもよい。塩酸中の水と塩素化炭化水素のモル比(水/塩素化炭化水素)は通常0.5〜10である。
反応圧力は減圧、常圧、加圧いずれでもよいが、通常は常圧である。
スタート後の定常運転時の反応温度は160〜600℃の範囲で可能であるが、触媒の性能を十分に発現させる観点からは410℃以上が好ましく、より好ましくは435℃以上である。なお、反応温度が高すぎると選択率が低くなる場合がある。ここで、反応温度とは、塩素化炭化水素および水が存在する状態での触媒層の温度である。
反応後、生成ガスを冷却して得られた反応液から目的物であるフェノールを分離すればよい。
本発明は、クロルベンゼンをフェノールに変換する反応に最適に適用し得る。
次に本発明を実施例により説明する。
実施例1
触媒の調製
イオン交換水150ml中に、市販の酢酸ニッケル四水和物(和光純薬工業製 99.9%)1.87gを室温で攪拌、溶解させ酢酸ニッケル水溶液を調製した。その酢酸ニッケル水溶液中に、市販のNa−ZSM−5ゼオライト(エヌ・イー ケムキャット製 Si/Al=25 パウダー)30.0gを添加し(0.20gメタロシリケート/g溶液)、撹拌機にて攪拌下に100℃で加熱し、25時間含浸しイオン交換を行った。固形分をろ過、イオン交換水による水洗をした後、120℃で4時間乾燥、更に空気流通下400℃で5時間焼成し、白色の粉末を得た。この粉末を打錠成形したのち粉砕し、1〜2mmの顆粒状触媒とした。
実施例1
触媒の調製
イオン交換水150ml中に、市販の酢酸ニッケル四水和物(和光純薬工業製 99.9%)1.87gを室温で攪拌、溶解させ酢酸ニッケル水溶液を調製した。その酢酸ニッケル水溶液中に、市販のNa−ZSM−5ゼオライト(エヌ・イー ケムキャット製 Si/Al=25 パウダー)30.0gを添加し(0.20gメタロシリケート/g溶液)、撹拌機にて攪拌下に100℃で加熱し、25時間含浸しイオン交換を行った。固形分をろ過、イオン交換水による水洗をした後、120℃で4時間乾燥、更に空気流通下400℃で5時間焼成し、白色の粉末を得た。この粉末を打錠成形したのち粉砕し、1〜2mmの顆粒状触媒とした。
反応の実施
200℃の固定床蒸発器と内径17mmφの石英固定床反応器を直列に配置した。石英固定床反応器に内温測定のために外経4mmφ石英保護管を入れ、上記触媒1.00gを充填した後、454℃に保持した。窒素11ml/minを流通させた200℃の固定床蒸発器に、水を2.9g/h供給し、60ml/minの水蒸気として石英固定床反応器に供給した。水の導入場所から触媒層の出口までの体積、600ml、と水蒸気および窒素混合の流量から計算することにより、水の導入9分後から触媒層がすべて水蒸気雰囲気になるが、2時間経過後、クロルベンゼン(和光純薬工業製 特級)を3.0g/h固定床蒸発器に供給し、クロルベンゼン蒸気として10ml/min(水/クロルベンゼン=6.0)を石英固定床反応器に供給して反応を開始した。
反応開始(クロルベンゼン供給開始)1.5時間経過後、生成ガスをトルエン溶媒に吸収させ、生成物をガスクロマトグラフにより分析としたところ、クロルベンゼン転化率16.5%、フェノール選択率94.8%、ベンゼン選択率5.0%であった。
200℃の固定床蒸発器と内径17mmφの石英固定床反応器を直列に配置した。石英固定床反応器に内温測定のために外経4mmφ石英保護管を入れ、上記触媒1.00gを充填した後、454℃に保持した。窒素11ml/minを流通させた200℃の固定床蒸発器に、水を2.9g/h供給し、60ml/minの水蒸気として石英固定床反応器に供給した。水の導入場所から触媒層の出口までの体積、600ml、と水蒸気および窒素混合の流量から計算することにより、水の導入9分後から触媒層がすべて水蒸気雰囲気になるが、2時間経過後、クロルベンゼン(和光純薬工業製 特級)を3.0g/h固定床蒸発器に供給し、クロルベンゼン蒸気として10ml/min(水/クロルベンゼン=6.0)を石英固定床反応器に供給して反応を開始した。
反応開始(クロルベンゼン供給開始)1.5時間経過後、生成ガスをトルエン溶媒に吸収させ、生成物をガスクロマトグラフにより分析としたところ、クロルベンゼン転化率16.5%、フェノール選択率94.8%、ベンゼン選択率5.0%であった。
比較例1
スタート時に、水とクロルベンゼンの200℃固定床蒸発器への供給について、クロルベンゼンを先に供給し、2時間経過後水を供給して、反応開始したこと以外は実施例1と同様に行った。反応開始(水供給開始)1.5時間経過後、実施例1と同様の操作で分析したところ、クロルベンゼン転化率13.5%、フェノール選択率65.2%、不要副生生物であるベンゼン選択率が34.7%であった。
スタート時に、水とクロルベンゼンの200℃固定床蒸発器への供給について、クロルベンゼンを先に供給し、2時間経過後水を供給して、反応開始したこと以外は実施例1と同様に行った。反応開始(水供給開始)1.5時間経過後、実施例1と同様の操作で分析したところ、クロルベンゼン転化率13.5%、フェノール選択率65.2%、不要副生生物であるベンゼン選択率が34.7%であった。
Claims (2)
- ニッケルをメタロシリケートに担持させた触媒の存在下、塩素化炭化水素化合物を加水分解してヒドロキシ化合物を製造する方法のスタートに祭し、410℃以上の温度において、まず触媒層に水蒸気を導入し、その後触媒層に塩素化炭化水素化合物を導入するヒドロキシ化合物の製造方法。
- 加水分解反応がクロルベンゼンをフェノールに変換する反応である請求項1記載の製造方法。
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JP2007159907A JP2008133255A (ja) | 2006-10-30 | 2007-06-18 | ヒドロキシ化合物の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010137641A1 (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-02 | 住友化学株式会社 | フェノールの製造方法 |
-
2007
- 2007-06-18 JP JP2007159907A patent/JP2008133255A/ja active Pending
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WO2010137641A1 (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-02 | 住友化学株式会社 | フェノールの製造方法 |
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