JP2008303485A - 粗紡機の運転制御方法及びその運転制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドラフトローラ12〜15を有するドラフト機構11と、フライヤ22を回転させるフライヤ回転機構21と、ボビンBを回転させるボビン回転機構31と、ボビンレール32を昇降させるボビンレール昇降機構41とを有し、少なくとも、ドラフト機構11がフライヤ回転機構21、ボビン回転機構31、ボビンレール昇降機構41と独立して作動可能な粗紡機10の運転制御方法において、粗糸口出しのときにドラフト機構11のみを作動させて粗糸Rをドラフトローラ12〜15から送り出し、予め設定した長さの粗糸Rを送り出した後、ドラフトローラ12〜15の回転を停止させる。
【選択図】 図1
Description
紡出準備の作業としては、ドラフト機構から所定長さの粗糸を送り出しておき、送り出した粗糸をフライヤからプレッサを経て、ボビンを臨むプレッサパドルの先端に達するように通す必要がある。
このとき、ドラフト機構から粗糸を必要な長さだけ送り出す作業を「粗糸口出し」と称する。
インチングスイッチを押し続けることによりドラフト機構が備えるドラフトローラの作動を継続させることができる。
ドラフトローラが回転するとき、フライヤ回転機構、ボビン回転機構、ボビンレール昇降機構は作動されない。
従って、粗糸口出しにおいて、オペレータの感覚に左右されることなく予め設定した適切な長さの粗糸をドラフト機構から送り出すことができる。また、粗糸口出し作業中には、フライヤ、ボビンレール、ボビンホイールは作動されないので、フライヤのプレッサパドルと空ボビンの巻付け部との位置がずれたり、粗糸が存在しない状態でプレッサパドルが空ボビンに摺接されるということがない。
ドラフトローラが回転するとき、フライヤ回転機構、ボビン回転機構、ボビンレール回転機構は作動されない。
従って、粗糸口出しにおいて、オペレータの感覚に左右されることなく予め設定した適切な長さの粗糸をドラフト機構から送り出すことができる。また、粗糸口出し作業中には、フライヤ、ボビンレール、ボビンホイールは作動されないので、フライヤのプレッサパドルと空ボビンの巻付け部との位置がずれたり、粗糸が存在しない状態でプレッサパドルが空ボビンに摺接されることがない。
従って、粗糸口出しの粗糸の送り出しを途中で止める必要があるとき、口出し停止スイッチを操作することにより粗糸の送り出しを直ちに停止することができる。
従って、口出し開始スイッチの操作により予め設定した長さの粗糸がドラフトローラから送り出された後、口出しインチングスイッチの操作により粗糸をさらにドラフト機構から送り出すことができる。
図1は、本発明の実施形態に係る粗紡機の要部を示す概略図である。
粗紡機10は、複数のドラフトローラ12〜15を有するドラフト機構11、フライヤ22を有するフライヤ回転機構21、ボビンBを回転させるボビン回転機構31及びボビンレール32を昇降させるボビンレール昇降機構41とを有し、駆動系であるこれらの機構11、21、31、41はそれぞれ単独で駆動される構成となっている。
これらのドラフトローラ12〜15は粗紡機10の正面側(図1では左)からフロントローラ12、セカンドローラ13、サードローラ14、バックローラ15の順に配設されている。
各ドラフトローラ12〜15は上下一対のローラを有し、下側のローラがボトムローラ、上側がトップローラである。
ドラフト用モータ16と、ドラフト機構11の間には、複数の歯車列(図示せず)を有する歯車機構17が介在されている。
歯車機構17は、ドラフト機構11が備える被動歯車(図示せず)に対して、ドラフトローラ12〜15への回転を図るための回転力を伝達する。
この実施形態におけるドラフト用モータ16はサーボアンプ19により制御されるサーボモータである。
ドラフト機構11はドラフト用モータ16の駆動により歯車機構17を介して独立して作動する機構となっている。
被動歯車24はスピンドル22cを軸心として一体回転可能にフライヤ22に固定されている。
被動歯車24は、回転軸25に取り付けられた駆動歯車26と噛合していることから、駆動歯車26を介してフライヤ22とともに回転する。
フライヤ回転用モータ27と駆動歯車26との間にはベルト伝動機構29が介在されている。
フライヤ回転用モータ27の回転はベルト伝動機構29を介して回転軸25に伝達される。
この実施形態におけるフライヤ回転用モータ27はインバータ30により制御されるインダクションモータである。
回転軸36には、巻取用モータ37による回転力とフライヤ回転用モータ27による回転力が差動歯車機構38により合成されて伝達されるようになっている。
ボビン回転機構31を駆動する巻取用モータ37は、粗糸巻層の増加に対応してボビンホイール33に装着されたボビンBの回転速度を減少させるように変速制御される。
ボビンレール32にはリフターラック42が固定されている。
リフターラック42と噛合するピニオンギヤ43は回転軸44に固定されている。
ボビンレール昇降機構41は昇降用モータ45により昇降される。
昇降用モータ45の回転は、歯車機構47を介して回転軸44へ伝達される。
この実施形態におけるサーボアンプ48により制御される昇降用モータ45はサーボモータである。
回転軸44の端部にはボビンレール32の移動方向及び移動量を検知するロータリエンコーダ49が接続されている。
昇降用モータ45と回転軸44との間には、歯車列を含む歯車機構47を介在されているが、両者44、45を一体回転可能となるように連結してもよい。
また、ロータリエンコーダ49は、昇降用モータ45に付属したレゾルバ又はエンコーダであってもよい。
又、被動歯車24の近傍にはフライヤ22の回転数を検出するためのセンサ51が配設されている。
フロントローラ12から送り出された粗糸Rは、フライヤトップ22aから導糸管を通ってフライヤレッグ22bに導かれ、さらにフライヤレッグ22bの下部からプレッサ52を介してボビンBに導かれる。
この実施形態のプレッサ52は、プレッサパドル53にガイド孔54と、ガイド孔54に粗糸Rを案内するガイド溝55とが形成された構成のものが使用されている。
制御手段56は、CPU(中央処理部)57、プログラムメモリ58、作業用メモリ59及び入力インターフェース60、出力インターフェース61、入力装置62を有する。
CPU57はプログラムメモリ58に記憶された所定のプログラムを実行し、出力インターフェース61、インバータ30、サーボアンプ19、39、48を介して対応する各モータ16、27、37、45を制御する。
ロータリエンコーダ49及びセンサ50、51からの出力信号は、入力インターフェース60を介してCPU57に入力されるようになっている。
プログラムとしては粗糸巻き取り運転中のフライヤ回転用モータ27、巻取用モータ37の制御プログラム、玉揚げ停止時の制御プログラム、粗糸口出しのためのフロントローラ12からの粗糸Rの送り出しのプログラム等が存在する。
各種データとしては、例えば、紡出運転時のボビンレール32の移動速度と、粗糸巻の巻径と、ボビンホイール33の回転速度との対応データがある。
作業用メモリ59はバックアップ電源(図示せず)を備えている。
入力装置62における操作パネル62aには、通常紡出運転に必要な紡出粗糸重量(ゲレン)、繊維種、撚数等の紡出条件のほか、粗糸口出し紡出準備における粗糸の送り出しに必要な粗糸の長さを予め設定することができる。入力装置62は口出し長さ設定手段を構成する。
操作パネル62aは、表示手段として各種情報を表示することができる表示画面を有するほか、画面内に表示された各種操作スイッチを操作することにより、作業の目的に応じた画面の切り換えが可能である。
TB1は口出し開始スイッチであり、口出し開始スイッチTB1を操作(押圧)することによりドラフト機構11のみを作動させ、予め設定した長さの粗糸Rをドラフトローラ12〜15から送り出し、粗糸Rを送り出した後にドラフトローラ12〜15の回転を自動的に停止するようにする。
口出し停止スイッチTB2を押すと、粗糸口出しにおいて送り出されている粗糸Rの送り出しを途中で停止する。
この口出しインチングスイッチTB3は、押している間だけ、粗糸Rを送り出すことができる。
粗紡機10による通常の紡出運転を行うためには、予め紡出のための準備作業(紡出準備)を行う。
紡出準備としては、まず、紡出粗糸重量(ゲレン)、繊維種、撚数等紡出条件を入力装置62に入力するほか、粗糸口出しにおいて必要な粗糸Rの長さを入力する。
入力された各データは作業用メモリ59に格納される
粗糸口出しにおける粗糸Rの送り出し作業では、図2に示す口出し開始スイッチTB1を操作パネル62aに表示させ、表示画面から口出し開始スイッチTB1を操作する。
ドラフトローラ12〜15は、予め設定された回転数で以って回転される。
このときのドラフトローラ12〜15の回転は、通常の紡出運転時と比較して低速である。
ドラフト機構11から送り出される粗糸Rは、図3(b)に示すように、予め設定した長さの粗糸RがフライヤレールFR上に貯溜される。
また、粗糸Rの送り出しが完了した後に、粗糸Rの長さをさらに長くする場合には、口出しインチングスイッチTB3を操作すればよい。
口出しインチングスイッチTB3を押し続けた分だけドラフト機構11から粗糸Rが送り出される。
この時点で粗紡機10は、図3(d)に示すように粗糸口出しが完了の状態にある。
切り換えた後の操作パネル62aにおいて通常紡出運転に必要な操作を行い、粗紡機10の紡出運転を開始する。
粗紡機10の運転開始により、紡出条件に基づいてドラフト用モータ16、フライヤ回転用モータ27、巻取用モータ37及び昇降用モータ45が所定の回転速度で同期して駆動される。
ボビンホイール33は巻取用モータ37駆動とフライヤ回転用モータ27の駆動が差動歯車機構38により合成されて回転され、各時点におけるボビンBに対する粗糸Rの巻径に応じた速度で変速駆動される。
そして、フロントローラ12から紡出された粗糸RがボビンBに巻き取られていく。紡出運転中はセンサ50の出力信号に基づくカウント数がCPU57より計数される。
紡出運転中は運転状況を各種情報が操作パネル62aに表示される。
具体的には操作を行う各スイッチTB1〜TB3を表示する画面を表示しない仕組み、あるいは画面が表示されても各スイッチTB1、TB3を押してもドラフト機構11のみによる粗糸Rの送り出しが実行されない仕組みとなっている。
これらの仕組みはプログラムメモリ58に格納されているプログラムにより実現されている。
玉揚げ停止制御では、機台の運転を停止させる工程と、その後、玉揚げ位置までボビンレール32を下降させる工程を経て、粗糸切断動作が完了する。
あるいは、粗紡機10に対する保守作業の後に、粗糸口出しを実施する場合がある。
(1)粗糸口出しのとき、ドラフト機構11のみを作動させ、ドラフトローラ12〜15を回転させ、予め設定した長さの粗糸Rがドラフト機構11から送り出されるから、ドラフトローラ12〜15が回転するとき、フライヤ回転機構21、ボビン回転機構31、ボビンレール昇降機構41は作動されず、ドラフト機構11のみで粗糸Rの送り出しを完結することができる。従って、粗糸口出しにおいて、オペレータの感覚に左右されることなく、予め設定した適切な長さの粗糸Rをドラフト機構11から送り出すことができる。また、粗糸口出し作業中には、フライヤ22、ボビンレール32、ボビンホイール33は作動されないので、フライヤ22のプレッサパドル53と空ボビンBの巻付け部との位置がずれたり、粗糸Rが存在しない状態でプレッサパドル53が空ボビンBに摺接されるということがない。
○上記の実施形態では、ドラフト機構11、フライヤ回転機構21、ボビン回転機構31、ボビンレール昇降機構41が夫々独立したモータにより駆動される構成の粗紡機10としたが、少なくともドラフト機構11が独立して駆動される粗紡機であればよい。例えば、ドラフト機構11とフライヤ回転機構21とが単一のモータで駆動されるような構成であれば、このモータとフライヤ回転機構21との間にクラッチを設け、ドラフト機構11のみを作動させるような粗紡機にも本発明を提供することができる。
○上記の実施形態では、各スイッチTB1〜TB3をタッチパネル式の操作パネル62aに表示するようにしたが、特に限定される趣旨ではなく、各スイッチの種類や形式は自由である。
○上記の実施形態では、粗糸口出しにおける粗糸Rの送り出しの際、必要な粗糸Rの長さを入力するとしたが、紡出条件等に応じた複数の粗糸Rの長さを粗糸長さデータとして予め登録しておき、作業の都度、登録されている適切な粗糸長さデータを選択設定するようにしてもよい。また、送り出す粗糸Rの長さを設定する際、粗糸Rの縮率の多寡に応じた補正係数を用いて粗糸Rの送り出しの長さを求めるようにしてもよい。
11 ドラフト機構
12〜15 ドラフトローラ
16 ドラフト用モータ
21 フライヤ回転機構
22 フライヤ
27 フライヤ回転用モータ
31 ボビン回転機構
32 ボビンレール
37 巻取用モータ
41 ボビンレール昇降機構
45 昇降用モータ
50、粗糸長さ検知手段としてのセンサ、51 センサ
56 制御手段
62 口出し長さ設定手段としての入力装置
62a 操作パネル
TB1 口出し開始スイッチ
TB2 口出し停止スイッチ
TB3 口出しインチングスイッチ
R 粗糸
Claims (5)
- ドラフトローラを有するドラフト機構と、フライヤを回転させるフライヤ回転機構と、ボビンを回転させるボビン回転機構と、ボビンレールを昇降させるボビンレール昇降機構とを有し、少なくとも、前記ドラフト機構が前記フライヤ回転機構、前記ボビン回転機構及び前記ボビンレール昇降機構とは独立して作動可能な粗紡機の運転制御方法において、
粗糸口出しのときに前記ドラフト機構のみを作動させて粗糸を前記ドラフトローラから送り出し、
予め設定した長さの前記粗糸を送り出した後、前記ドラフトローラの回転を停止させることを特徴とする粗紡機の運転制御方法。 - 前記粗糸口出し時における前記ドラフト機構のみの作動は、通常紡出時には実施不可とすることを特徴とする請求項1記載の粗紡機の運転制御方法。
- ドラフトローラを有するドラフト機構と、フライヤを回転させるフライヤ回転機構と、ボビンを回転させるボビン回転機構と、ボビンレールを昇降させるボビンレール昇降機構とを有し、少なくとも、前記ドラフト機構が独立して作動される粗紡機の運転制御装置において、
粗糸口出しのための粗糸の送り出し動作を開始する口出し開始スイッチと、
前記口出し開始スイッチの操作後に紡出される粗糸の長さを検知する粗糸長さ検知手段と、
前記粗糸口出し時の前記粗糸の送り出し長さを設定する口出し長さ設定手段とを設け、
該口出し開始スイッチの操作により、前記ドラフト機構のみが作動されて前記粗糸が前記ドラフトローラから送り出され、前記粗糸長さ設定手段により予め設定した長さの前記粗糸の送り出しが前記粗糸長さ検知手段により検知された後、前記ドラフトローラの回転が停止されることを特徴とする粗紡機の運転制御装置。 - 前記口出し開始スイッチ操作による粗糸の送り出しを、任意のタイミングで停止させる口出し停止スイッチが設けられたことを特徴とする請求項3記載の粗紡機の運転制御装置。
- 操作が継続している間前記ドラフト機構のみを作動させる口出しインチングスイッチが設けられたことを特徴とする請求項3又は4記載の粗紡機の運転制御装置。
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