JP2008303276A - 粉体塗料の製造方法および塗膜付き鉄系部材の製造方法 - Google Patents

粉体塗料の製造方法および塗膜付き鉄系部材の製造方法 Download PDF

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顕宣 橋本
Hisao Uei
久雄 上井
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Abstract

【課題】
低環境負荷で、帯電性、防食性に優れた粉体塗料を簡便かつ低コストに製造する方法および該方法により得られる粉体塗料を用いて、塗膜付き鉄系部材を製造する方法を提供する。
【解決手段】
金属フィラーおよび熱硬化性樹脂を含む塗料形成材料を、前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上硬化温度未満の温度で加熱、溶融した後、冷却、粉砕することを特徴とする粉体塗料の製造方法および該方法で得られた粉体塗料を、鉄系材料からなる母材表面に静電塗布することを特徴とする塗膜付き鉄系部材の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粉体塗料の製造方法および塗膜付き鉄系部材の製造方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、特に、低環境負荷で、帯電性、防食性に優れた粉体塗料を簡便かつ低コストに製造する方法および該方法により得られた粉体塗料を用いて塗膜付き鉄系部材を製造する方法に関するものである。
車両用のディスクブレーキ装置として、いわゆる、フローティング・キャリパ式のディスクブレーキ装置が知られている。このタイプのブレーキ装置は、通常、構成部材として、車輪と一体回転する円盤状のロータと、このロータを挟んで対向配置される一対の摩擦パッドと、該摩擦パッドをロータに押し付けるためのピストンを内蔵するキャリパボディと、車体側に取り付けられると共にキャリパボディをロータの軸方向に摺動可能に支持するサポートとを有している。
そして、上記キャリパボディは、上記ロータの上を跨ぐブリッジ部と、該ブリッジ部の一端側に装備されて上記ピストンを進退可能に収容したシリンダ部と、上記ブリッジ部の他端側に装備されて他方の摩擦パッドの背面を押さえるキャリパ爪とを有している。
上記ディスクブレーキ装置を構成するキャリパボディやサポートは、通常球状黒鉛鋳鉄(FCD450相当材)からなり、その表面には亜鉛メッキおよび六価クロムによるクロメート処理が施され耐食性が確保されている。
しかし、クロメート処理して形成した皮膜中には六価クロムが残留するため、人体への影響が懸念されるとともに、クロメート処理物が廃棄された後、六価クロムが溶出し、環境中に蓄積される可能性を有している。また、亜鉛メッキ処理は大量の水洗水を必要とし、廃液量や設備の設置面積が増大することから製造コストが上昇してしまうという課題を有していた。
このため、表面処理方法として、金属粉末や金属酸化物粉末からなる顔料および樹脂を含む粉体塗料を静電塗装法により塗布する乾式の方法が報告されるに至っている。しかしながら、静電塗装法においては、摩擦(トリボ)やコロナといった方法を用いて粉体を帯電させて塗装するため、金属粉末等の電気伝導性の高い物質が添加されていると、絶縁性が低下して帯電性も低下してしまい、粉体塗料が塗装対象物に付着しにくくなる。
特許文献1には、金属粉末等からなる顔料や樹脂を含む塗料形成材料を、ニーダー等の混合装置により溶融混練した後、粉砕して粉体塗料を製造する方法が開示されており、上記溶融混練により、金属粉末等の電気伝導性の高い物質が樹脂中に分散され粉体塗料表面に露出する割合が低減することから、粉体塗料の絶縁性が向上し、粉体塗料の帯電性を向上させることが可能になる。しかしながら、上記溶融混練により粉体塗料を製造する場合、ニーダー等の混合装置を必要とするため、粉体塗料の製造コストが上昇してしまうという課題を有していた。
特開2002−173637号公報
本発明は、このような事情のもとで、低環境負荷で、帯電性、防食性に優れた粉体塗料を簡便かつ低コストに製造する方法および該方法により得られた粉体塗料を用いて塗膜付き鉄系部材を製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、金属フィラーおよび熱硬化性樹脂を含む塗料形成材料を、熱硬化性樹脂の溶融温度以上硬化温度未満の温度で加熱、溶融した後、冷却、粉砕することにより、目的とする粉体塗料が簡便かつ低コストで得られること、および得られた粉体塗料を用いて塗膜付き鉄系部材が得られることを見出し、本知見に基いて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)金属フィラーおよび熱硬化性樹脂を含む塗料形成材料を、前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上硬化温度未満の温度で加熱、溶融した後、冷却、粉砕することを特徴とする粉体塗料の製造方法、
(2)前記金属フィラーが、亜鉛および/または亜鉛合金を含む上記(1)に記載の粉体塗料の製造方法、
(3)前記金属フィラーの形状が、粒子状またはフレーク状である上記(1)または(2)に記載の粉体塗料の製造方法、
(4)前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびこれらの樹脂を2種以上含む混合物から選ばれる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粉体塗料の製造方法、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法で得られた粉体塗料を、鉄系材料からなる母材表面に静電塗布することを特徴とする塗膜付き鉄系部材の製造方法、
(6)前記塗膜付き鉄系部材が、ディスクブレーキ装置の構成部材である上記(5)に記載の塗膜付き鉄系部材の製造方法
を提供するものである。
本発明によれば、金属フィラーおよび熱硬化性樹脂を含む塗料形成材料を加熱、溶融および冷却処理することにより、金属フィラーとして用いた金属粉末等の電気伝導性の高い物質が樹脂中に良好に分散されて、樹脂表面に露出する割合が低減することから、帯電性が向上した粉体塗料を製造することができる。また、上記加熱、溶融処理を既存のオーブン等で行うことができることから、ニーダー等の混合装置を必要とせずに、簡便かつ低コストで粉体塗料を製造することができる。
加えて、本発明によれば、上記方法により得られる粉体塗料を静電塗布することにより、塗膜付き鉄系部材を製造することができる。
先ず、本発明の粉体塗料の製造方法について説明する。
本発明の粉体塗料の製造方法は、金属フィラーおよび熱硬化性樹脂を含む塗料形成材料を、前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上硬化温度未満の温度で加熱、溶融した後、冷却、粉砕することを特徴とするものである。
本発明の粉体塗料の製造方法において、塗料形成材料を構成する金属フィラーは、亜鉛および/または亜鉛合金を含むものであり、例えば亜鉛単独、亜鉛と他金属との混合物、亜鉛合金、亜鉛と亜鉛合金との混合物等を挙げることができる。
上記亜鉛と他金属との混合物としては、亜鉛とアルミニウムとの混合物、亜鉛とマグネシウムとの混合物、亜鉛とアルミニウムとマグネシウムとの混合物を挙げることができ、また、上記亜鉛合金としては、亜鉛−アルミニウム合金、亜鉛−マグネシウム合金、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金を挙げることができる。
塗料形成材料全体に占める金属フィラーの含有割合は、体積%基準で、5〜40%であることが好ましく、10〜35%であることがより好ましく、20〜30%であることがさらに好ましい。
本発明の粉体塗料の製造方法において、金属フィラーの形状は粒子状またはフレーク状といった粉末形状であることが好ましい。
金属フィラーの平均粒子径は、3〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましく、5〜10μmであることがさらに好ましい。本明細書において、平均粒子径とは、体積平均粒子径を意味し、体積平均粒子径は、例えば、粒度分布測定器等で測定することができる。なお、金属フィラーがフレーク状である場合、平均粒子径とは、電子顕微鏡(SEM)観察等により求められる長径の平均値を意味する。
本発明の粉体塗料の製造方法において、塗料形成材料を構成する熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれる樹脂を単独で、またはこれらの樹脂を2種以上含む混合物を用いることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合反応物、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの縮合反応物等のグリシジルエーテル型樹脂、グリシジルエステル樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、フェノール−ノボラック型またはクレゾール−ノボラック型のエポキシ樹脂等を挙げることができ、これらのエポキシ樹脂のうち、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合反応物、またはビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの縮合反応物等のグリシジルエーテル型樹脂が好ましい。
具体的には、東都化成社製「エポトート YD903N、YD 128、YD14、PN639、CN701、NT114、ST−5080、ST−5100、ST−4100D」、ダイセル化学社製「EITPA3150」、チバ・ガイギー社製「アルダイトCY179、PT810、PT910、GY6084」、ナガセ化成社製「テコナールEX711」、大日本インキ社製「エピクロン 4055RP、N680、HP4032、N−695、HP7200H」、油化シェルエポキシ社製「エピコート1001、1002、1003、1004、1007」、ダウ・ケミカル社製「DER662」、日本化薬社製「EPPN201、202、EOCN1020、102S」等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、β−オキシプロピオン酸等のカルボン酸とを常法に従って重合させて得たものが挙げられる。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、500〜100,000が好ましく、2,000〜80,000がより好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価は、0〜300mgKOH/gが好ましく、30〜120mgKOH/gがより好ましい。また、ポリエステル樹脂の酸価は、0〜200mgKOH/gが好ましく、10〜100mgKOH/gがより好ましい。ポリエステル樹脂の融点は、50〜200℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
具体的には、ダイセルUCB社製「クリルコート341、7620、7630」、大日本インキ社製「ファインディックM−8010、8020、8024、8710」、日本ユピカ社製「ユピカコートGV110、230」、日本エステル社製の「ER6570」、ヒュルス社製の「VESTAGON EP−P100」等を挙げることができる。
アクリル樹脂としては、アクリル酸またはその誘導体の重合物や、アクリル酸またはその誘導体と他のモノマーとの共重合物を挙げることができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸またはその誘導体からなるモノマーや、該モノマーとスチレンなどの他のモノマーを、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドなどのラジカル開始剤を用いてラジカル重合したものを挙げることができる。具体的には、三洋化成工業社製「サンペックスPA−70」等を挙げることができる。
塗料形成材料を構成する熱硬化性樹脂としては、上記エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂の中から任意の樹脂を単独で用いることができるが、これらの樹脂を2種以上含む混合物を用いてもよい。
例えば、エポキシ樹脂とポリエステル樹脂の混合物としては、上記エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂を所定量づつ配合したものを挙げることができ、このエポキシ樹脂とポリエステル樹脂の混合物において、エポキシ樹脂の配合量は、組成物全量基準で、10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。
エポキシ樹脂とアクリル樹脂の混合物としては、上記エポキシ樹脂およびアクリル樹脂を所定量づつ配合したものを挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂との混合物としては、上記ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂を所定量づつ配合したものを挙げることができる。
エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂の混合物としては、上記エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂を所定量づつ配合したものを挙げることができる。
また、本発明の粉体塗料の製造方法において、塗料形成材料は、さらに硬化剤を含んでもよく、硬化剤としては、ポリアミン系、ジシアンジアミド系、フェノール系、アミノアミド系、ブロックドイソシアネート系、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)系、エポキシ系(ポリエポキシド、エポキシ樹脂)のもの等が挙げられ、ポリアミン系、ジシアンジアミド系、フェノール系のものが特に好ましい。
ポリアミン系の硬化剤としては、(1)ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、変性ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン類、(2)イソフォロンジアミン、ラロミンC−260(BASF社製)などの脂環族ポリアミン類、(3)ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン類が挙げられ、さらにポリオキシプロピルジアミンやN−アミノエチルピペラジン等も挙げられる。
フェノール系の硬化剤としては、2−ジメチルアミノメチルフェノール、2、4、6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等を挙げることができる。
アミノアミド系の硬化剤としては、重合脂肪酸とポリエチレンポリアミンから合成されるポリアミノアミドが使用できる。上記重合脂肪酸としては二量体あるいは三量体以上のポリカルボン酸および該ポリカルボン酸とモノカルボン酸との混合物を挙げることができ、上記ポリエチレンポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびこれらの縮合物であるポリアミノイミダゾリンを挙げることができる。
ブロックドイソシアネート(ブロック化イソシアネート)系の硬化剤は、イソシアネート基(−NHCO−)の一部がブロック剤でブロックされた、軟化点が20〜100℃、好ましくは25〜80℃の範囲のものが好ましく、イソシアネート基の割合(%)は、5〜30%程度が好ましい。
本発明の粉体塗料の製造方法において、塗料形成材料は、適宜各種顔料を含んでもよく、具体的には、酸化チタン、ベンガラ、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料、タルク、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、クロム系顔料、モリブデン系顔料等を挙げることができる。
本発明の粉体塗料の製造方法においては、上記金属フィラーおよび熱硬化性樹脂を含む塗料形成材料を、塗料形成材料に含まれる熱硬化性樹脂の溶融温度以上硬化温度未満の温度で加熱、溶融する。
上記加熱、溶融温度は、用いる熱硬化性樹脂の種類によって変動するが、通常、70〜100℃が好ましく、75〜95℃がより好ましく、80〜90℃がさらに好ましい。
また、加熱、溶融時間も、用いる熱硬化性樹脂の種類および加熱方法によって変動するが、20〜50分が好ましく、20〜40分がより好ましく、25〜35分がさらに好ましい。
熱硬化性樹脂として2種以上の樹脂を混合して使用する場合には、それら複数の樹脂の溶融温度および硬化温度の中で、最も高い溶融温度を下限とし、最も低い硬化温度を上限とする温度範囲を規定して、その温度範囲内で加熱、溶融すればよい。
本発明の粉体塗料の製造方法においては、上記加熱、溶融処理により、金属フィラーとして用いた金属粉末等の電気伝導性の高い物質が樹脂中に良好に分散され、樹脂表面に露出する割合が低減することから、粉体塗料の絶縁性が向上し、粉体塗料の帯電性を向上させることが可能になる。また、上記加熱、溶融処理は、既存のオーブン等で行うことができることから、ニーダー等の混合装置を必要とせずに、簡便かつ低コストに処理することが可能になる。
上記塗料形成材料の加熱、溶融物は、その後、冷却、粉砕処理される。
塗料形成材料の加熱、溶融物を冷却処理することにより、金属フィラーとして用いた金属粉末等の分散状態を良好に保持することが可能となる。上記冷却は、冷風等による急速冷却が好ましい。
また、粉砕処理は、ボールミル等を用いて、所望形状、所望サイズの粉体塗料が得られるように行うことが好ましい。
本発明の方法で得られる粉体塗料の形状は、粒子状であることが好ましい。
粉体塗料の平均粒子径は、15〜50μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。また、50μm以上の粒子径を有する粒子が30質量%以下であることが好ましく、100μm以上の粒子径を有する粒子が5質量%以下であり、5μm以下の粒子径を有する粒子が15質量%以下であることがより好ましい。このように、平均粒子径が小さくかつ粒径を均一にすることにより、塗膜厚さが薄く、スコーチ(加熱)処理性に優れた塗膜を得ることができる。
次に、本発明の塗膜付き鉄系部材の製造方法について説明する。
本発明の塗膜付き鉄系部材の製造方法は、上述の本発明の方法で得られた粉体塗料を、鉄系材料からなる母材表面に静電塗布することを特徴とするものである。
本発明の塗膜付き鉄系部材の製造方法において、母材を構成する鉄系材料とは、鉄そのものまたは鉄を主成分とする鉄合金を意味し、鉄合金としては、鉄とともに、炭素、ケイ素、マグネシウム、ニッケル、クロム、モリブデン、銅等を含有するものを挙げることができる。上記鉄合金として、具体的には、鋼や鋳鉄等を挙げることができ、鋼としては、冷間圧延鋼、ステンレス鋼等を挙げることができ、鋳鉄としては、ねずみ鋳鉄、白鋳鉄、まだら鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、可鍛鋳鉄、合金鋳鉄等を挙げることができる。
母材は、通常、得られる鉄系部材の形状に対応する形状を有しており、例えば、砂型鋳造、金型鋳造、ダイキャスト鋳造、射出成形等の鋳造法や鍛造法により、作製することができる。
上記母材に対し、上述の本発明の方法で得られた粉体塗料を、静電塗装法により塗布する。上記静電塗装法においては、高圧静電発生機で得られる−40KV〜−90KV程度の直流高電圧により、粉体塗料を負に帯電させて、被塗物である母材の表面に静電引力によって付着させた後、焼付炉で加熱、溶融、硬化して塗膜を形成する。
得られる塗膜付き鉄系部材において、上記塗膜の膜厚は15〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましく、30〜50μmがさらに好ましい。
本発明の塗膜付き鉄系部材の製造方法は、静電塗装法により塗膜を形成することから、塗装工程で有機溶剤や水等の溶媒を一切使用せず、廃液処理装置を設置する必要がない。また、使用した粉体塗料のうち、塗膜形成に使用されなかったものは回収して再利用できるので、固形廃棄物の発生や、大気の汚染もなく、環境負荷を低減することができる。
本発明の方法で得られる塗膜付き鉄系部材としては、特に、ディスクブレーキ装置の構成部材等を挙げることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜実施例4(粉体塗料の製造例)
(1)秤量および混合処理
金属フィラーとして、実施例1〜実施例3においては亜鉛粒子(平均粒径約7μm、高純度化学社製)、実施例4においては亜鉛フレーク(平均粒径約10μm、福田金属箔工業社製)を用い、熱硬化性樹脂として、いずれもエポキシ樹脂(ビスフェノールAタイプ)を用いて、表1に示す配合割合になるようにそれぞれ秤量し、遊星ボールミルを用いて100rpmで5分間混合して、塗料形成材料とした。
(2)加熱、溶融処理
上記塗料形成材料を、それぞれステンレス製トレイに移し、予め90℃に加熱したオーブンで30分間加熱して混合物中の樹脂を溶融させた。
なお、本実施例で用いたエポキシ樹脂を熱分析したところ、樹脂の溶融に起因する吸熱ピーク温度が70℃、樹脂の硬化に起因する発熱ピークの開始温度が110℃であることから、上記加熱温度(90℃)においては、エポキシ樹脂は溶融するが硬化していない状態にある。
(3)冷却、粉砕処理
上記加熱処理終了後、冷風にて速やかに冷却処理することにより、金属フィラーと熱硬化性樹脂の複合体を得た。
この複合体の塊をハンマーで粗粉砕後、遊星ボールミルを用いて100rpmで5分間更に粉砕して、粉砕処理物を得た。
得られた粉砕処理物を目開き63μmのふるいにかけ、ふるいを通ったものを各粉体塗料とした。
比較例1〜比較例4(粉体塗料の製造例)
金属フィラーとして、比較例1〜比較例3においては亜鉛粒子(平均粒径約7μm、高純度化学社製)、比較例4においては亜鉛フレーク(平均粒径約10μm、福田金属箔工業社製)を用い、熱硬化性樹脂として、いずれもエポキシ樹脂(ビスフェノールAタイプ)を用いて、表1に示す配合割合になるようにそれぞれ秤量し、遊星ボールミルを用いて100rpmで5分間混合して、粉体塗料とした。
比較例5(粉体塗料の製造例)
実施例1において、亜鉛粉末およびエポキシ樹脂の配合割合を、それぞれ30体積%および70体積%とし、実施例1(2)の加熱、溶融処理に代えて、ニーダーによる溶融混練処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして粉体塗料を得た。
Figure 2008303276
実施例5〜実施例8、比較例6〜比較例10(鉄系部材の製造例)
鉄系材料からなる母材として、縦50mm×横60mm×厚さ3mmの鋼板を用い、静電塗布装置(旭サナック社製コロナガン)により、実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例5で得られた各粉体塗料を、それぞれ、塗膜厚さが30μmになるように静電塗布し、その後、180℃で60分間焼き付け処理することにより、実施例5〜実施例8および比較例6〜比較例10の塗膜付き鉄系部材を得た。
各鉄系部材表面に形成された塗膜断面写真をオリンパス社製XD200を用いて10点づつ得、樹脂中に分散している金属フィラーの面積割合((金属フィラー面積/塗膜面積)×100)の平均値を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2008303276
表2より、粒子状の金属フィラーを含む粉体塗料を用いた、実施例5〜7で得られた塗膜付き鉄系部材の塗膜は、同じく粒子状の金属フィラーを含む粉体塗料を用いた、比較例6〜8で得られた塗膜付き鉄系部材の塗膜に比べ、1.7〜4.6倍量の金属フィラーを含んでいることが分かる。
また、フレーク状の金属フィラーを含む粉体塗料を用いた、実施例8で得られた塗膜付き鉄系部材の塗膜は、使用した粉体塗料とほぼ同量の金属フィラーを含んでいるが、同じくフレーク状の金属フィラーを含む粉体塗料を用いた、比較例9で得られた塗膜付き鉄系部材の塗膜は、金属フィラーを含んでいないことが分かる。
さらに、実施例5〜7と比較例10とを対比することにより、本発明の方法で得られた粉体塗料を用いて形成した塗膜は、溶融混練法で得られた粉体塗料を用いて形成した塗膜と同等の金属フィラーを含むものであることが分かる。
(耐食性試験)
実施例5〜8および比較例6〜10で得られた各塗膜付き鉄系部材の塗装面に1辺の長さが40mmのクロスカットを施し、濃度5質量%の塩水を、湿度96%、温度35℃の雰囲気下、240時間連続して噴霧することにより、耐食性試験を行った。
試験終了後、クロスカット全体の長さ(80mm)に対する、赤錆が発生している部位の長さ(mm)の割合(赤錆発生率(%))を求めることにより、耐食性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2008303276
実施例5〜8で得られた塗膜付き鉄系部材の耐食性と比較例6〜9で得られた塗膜付き鉄系部材の耐食性とを対比することにより、本発明の方法で得られた塗膜付き鉄系部材は、耐食性が高いものであることが分かる。
また、実施例5〜8で得られた塗膜付き鉄系部材の耐食性と比較例10で得られた塗膜付き鉄系部材の耐食性を対比することにより、本発明の方法で得られた粉体塗料は、溶融混練法で得られた粉体塗料と同等の耐食性を付与するものであることが分かる。
本発明によれば、低環境負荷で、帯電性、防食性に優れた粉体塗料を簡便かつ低コストに製造する方法を提供することができ、該方法により得られる粉体塗料を静電塗布することにより、耐食性に優れた塗膜付き鉄系部材を提供することができる。

Claims (6)

  1. 金属フィラーおよび熱硬化性樹脂を含む塗料形成材料を、前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上硬化温度未満の温度で加熱、溶融した後、冷却、粉砕することを特徴とする粉体塗料の製造方法。
  2. 前記金属フィラーが、亜鉛および/または亜鉛合金を含む請求項1に記載の粉体塗料の製造方法。
  3. 前記金属フィラーの形状が、粒子状またはフレーク状である請求項1または請求項2に記載の粉体塗料の製造方法。
  4. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびこれらの樹脂を2種以上含む混合物から選ばれる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の粉体塗料の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の方法で得られた粉体塗料を、鉄系材料からなる母材表面に静電塗布することを特徴とする塗膜付き鉄系部材の製造方法。
  6. 前記塗膜付き鉄系部材が、ディスクブレーキ装置の構成部材である請求項5に記載の塗膜付き鉄系部材の製造方法。

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