JP2024061646A - 粉体塗料、コイルおよびコイルエンドの封止方法 - Google Patents

粉体塗料、コイルおよびコイルエンドの封止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温硬化性および保存安定性に優れるコイルエンド被覆用の粉体塗料を提供する。【解決手段】コイルエンドを被覆するために用いられる粉体塗料であって、熱硬化性樹脂組成物を含み、前記熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、を含み、キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が、200秒以上1000秒以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、粉体塗料、コイルおよびコイルエンドの封止方法に関する。
エポキシ樹脂が配合された粉体塗料に関する技術として、特許文献1および2に記載のものがある。
特許文献1(特開2021-169593号公報)には、ビスフェノール型エポキシ樹脂、融点が130~200℃の硬化剤を必須成分として含有し、200℃におけるゲルタイムが30~70秒であり、硬化剤がイミダゾール誘導体及び有機酸ヒドラジドから選ばれる少なくとも1つであるエポキシ樹脂粉体塗料が記載されており、放冷硬化性に優れ、長期保管、高温下保管後も塗料性状の変化が少なく塗膜性能を発現することができるエポキシ樹脂粉体塗料を提供することができるとされている。
特許文献2(特開2018-48314号公報)には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、平均粒子径16~50μm球状無機粒子、及びアクリル系コアシェル型粒子を必須成分として含有するエポキシ樹脂粉体塗料について記載されており、かかるエポキシ樹脂粉体塗料により、塗工時の作業性や塗装性を損なうことなく、近年の金属部品(材質が異なる複数種の金属を複雑に組み合わせた構造からなり、かつ高基準の性能が要求される金属部品)に対しても、耐ヒートサイクル性に優れた塗膜を形成することができるとされている。
特開2021-169593号公報 特開2018-48314号公報
一方、コイル溶接部への粉体塗装において、大型のモーターステータを用いる場合、粉体塗料を溶融付着し、硬化させることが可能な温度まで、モーターステータを加熱する事が必要となる。粉体塗料を低温で硬化させることができれば、使用エネルギーを減少させ、CO排出削減に繋がる。上記文献に記載の技術について本発明者が検討したところ、低温硬化性に優れるコイルエンド被覆用の粉体塗料を提供するという点で、改善の余地があることが見出された。
さらに、上記文献に記載の技術については、保存安定性に優れるコイルエンド被覆用の粉体塗料を提供するという点で、改善の余地があることが見出された。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、低温硬化性および保存安定性に優れるコイルエンド被覆用の粉体塗料を提供する。
本発明は、以下の粉体塗料、コイルおよびコイルエンドの封止方法を提供する。
[1]
コイルエンドを被覆するために用いられる粉体塗料であって、
熱硬化性樹脂組成物を含み、
前記熱硬化性樹脂組成物が、
(A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
を含み、
キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が、200秒以上1000秒以下となる、粉体塗料。
[2]
コイルエンドを被覆するために用いられる粉体塗料であって、
熱硬化性樹脂組成物を含み、
前記熱硬化性樹脂組成物が、
(A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
を含み、
キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が、200秒以上400秒以下となる、粉体塗料。
[3]
(C)アクリルゴム粒子をさらに含む、[1]または[2]に記載の粉体塗料。
[4]
前記(C)アクリルゴム粒子がコアシェル型アクリルゴム粒子である、[3]に記載の粉体塗料。
[5]
前記コアシェル型アクリルゴム粒子が水酸基含有コアシェル型アクリルゴム粒子である、[4]に記載の粉体塗料。
[6]
前記(C)アクリルゴム粒子の含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、0.5質量%以上10質量%以下である、[3]~[5]のいずれかに記載の粉体塗料。
[7]
前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張伸び率>に従って測定される引張伸び率が4%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の粉体塗料。
<引張伸び率>
前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張伸び率(%)を測定する。
[8]
前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張伸び率>に従って測定される引張伸び率が4%以上である、[3]~[6]のいずれかに記載の粉体塗料。
<引張伸び率>
前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張伸び率(%)を測定する。
[9]
前記熱硬化性樹脂組成物が粒子状である、[1]~[8]のいずれかに記載の粉体塗料。
[10]
キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、前記Tmaxの50%のトルク値をT50とし、T50に達する時刻をt50としたとき、(t50-t10)が、20秒以上150秒以下となる、[1]~[9]のいずれかに記載の粉体塗料。
[11]
前記(B)硬化剤が、イミダゾール化合物を含む、[1]~[10]のいずれかに記載の粉体塗料。
[12]
前記イミダゾール化合物が、トリアジン骨格を有する化合物、および炭化水素基および水酸基をそれぞれ一つ以上有する化合物からなる群から選択される1種または2種である、[11]に記載の粉体塗料。
[13]
前記イミダゾール化合物が、トリアジン骨格を有する、[12]に記載の粉体塗料。
[14]
前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂およびビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上である、[1]~[13]のいずれかに記載の粉体塗料。
[15]
前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<三点曲げ試験>に従って測定される曲げ強度が、80Mpa以上160Mpa以下である、[1]~[14]のいずれかに記載の粉体塗料。
<三点曲げ試験>
前記硬化物を、幅10mm、長さ100mm、厚さ2mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 6911に準拠した方法により、2支点間距離L:50mm、測定温度:25℃、試験速度:5mm/分の条件にて、オートグラフによって曲げ試験を行い、曲げ強度(Mpa)を測定する。
[16]
前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張強度>にしたがって測定される引張強度が、40MPa以上80MPa以下である、[1]~[15]のいずれかに記載の粉体塗料。
<引張強度>
前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張強度(Mpa)を測定する。
[17]
以下の手順1に従って測定される当該粉体塗料の流れ率変化指数R10が、0%以上45%以下であり、
前記手順1に従って測定される当該粉体塗料の保存前の流れ率X(0)が、15%以上60%以下である、[1]~[16]のいずれかに記載の粉体塗料。
(手順1)
当該粉体塗料を10℃にて15日間保存し、以下の方法で保存前後の流れ率および流れ率変化指数Rを算出する。
(流れ率の測定方法)
(1)0.5gの当該粉体塗料を10mmφの成形用金型に入れ、20kgfで10秒間加圧成形し、筒状の試料を作製する。
(2)前記試料の直径D0を測定した後、70mm×150mm×0.8mmのSPCC板上に前記試料を配置し、150℃の熱風乾燥機中に30分静置する。
(3)静置後の前記試料の前記SPCC板との接触面における直径D1を測定する。
(4)保存前(t=0日)および10℃、15日保存後(t=15日)のそれぞれについて、前記D0およびD1を測定し、下記式(i)に基づき、前記保存前の試料の流れ率X(0)および前記15日保存後の試料の流れ率X10(15)をそれぞれ算出する。
X(t)(%)=(D1-D0)/D0×100(i)
(5)下記式(ii)に基づき、流れ率変化指数R10を算出する。
10=X(0)-X10(15)(ii)
[18]
以下の手順2に従って測定される当該粉体塗料の流れ率変化指数R40が、0%以上45%以下であり、
前記手順2に従って測定される当該粉体塗料の保存前の流れ率X(0)が、15%以上60%以下である、[1]~[17]のいずれかに記載の粉体塗料。
(手順2)
当該粉体塗料を40℃にて15日間保存し、以下の方法で保存前後の流れ率および流れ率変化指数Rを算出する。
(流れ率の測定方法)
(1)0.5gの当該粉体塗料を10mmφの成形用金型に入れ、20kgfで10秒間加圧成形し、筒状の試料を作製する。
(2)前記試料の直径D0を測定した後、70mm×150mm×0.8mmのSPCC板上に前記試料を配置し、150℃の熱風乾燥機中に30分静置する。
(3)静置後の前記試料の前記SPCC板との接触面における直径D1を測定する。
(4)保存前(t=0日)および40℃、15日保存後(t=15日)のそれぞれについて、前記D0およびD1を測定し、下記式(i)に基づき、前記保存前の試料の流れ率X(0)および前記15日保存後の試料の流れ率X40(15)をそれぞれ算出する。
X(t)(%)=(D1-D0)/D0×100(i)
(5)下記式(ii)に基づき、流れ率変化指数R40を算出する。
40=X(0)-X40(15)(ii)
[19]
前記コイルエンドは、絶縁被覆で導体部が覆われているとともに前記絶縁被覆から前記導体部が露出する露出部が設けられており、
前記粉体塗料は、前記コイルエンドを、粉体塗料が流動する流動槽に浸漬し、前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる工程を含む、粉体塗装方法に用いられる、[1]~[18]のいずれかに記載の粉体塗料。
[20]
粉体塗料の溶融物を露出部の外側に付着させる前記工程において、前記コイルエンドの前記露出部から前記絶縁被覆にわたって前記溶融物を付着させる前記粉体塗装方法に用いられる、[19]に記載の粉体塗料。
[21]
[19]または[20]に記載の粉体塗料により前記露出部が封止されている前記コイルエンドを有する、コイル。
[22]
絶縁被覆で導体部が覆われているとともに前記絶縁被覆から前記導体部が露出する露出部が設けられたコイルエンドを有するコイルの前記コイルエンドを、粉体塗料が流動する流動槽に浸漬し、前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる工程を含み、
前記粉体塗料が、[1]~[20]のいずれかに記載の粉体塗料である、コイルエンドの封止方法。
[23]
前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる前記工程の後に、前記粉体塗料の前記溶融物を150℃以下で硬化させる工程をさらに含む、[22]に記載のコイルエンドの封止方法。
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
たとえば、本発明によれば、前記本発明における粉体塗料により塗装されてなる、物品を得ることもできる。
本発明によれば、低温硬化性および保存安定性に優れるコイルエンド被覆用の粉体塗料を提供することができる。
実施形態における固定子の構成例を示す斜視図である。 図1に示した固定子における固定子コイルのコイルエンドの構成例を示す上面図である。 実施例の耐ヒートサイクル試験に用いられる、固定子コイルのコイルエンドを模した模擬テストピースを示す上面図である。
以下、実施の形態について説明する。本実施形態において、組成物は、各成分をいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。
(粉体塗料)
本実施形態において、粉体塗料は、コイルエンドを被覆するために用いられる粉体塗料であって、熱硬化性樹脂組成物を含む。この熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、を含み、キュラストメーターを用いて、130℃にて熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が、200秒以上400秒以下である。
また本実施形態において、粉体塗料は、コイルエンドを被覆するために用いられる粉体塗料であって、熱硬化性樹脂組成物を含む。この熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、を含み、キュラストメーターを用いて、130℃にて熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が、200秒以上1000秒以下である。
本実施形態においては、粉体塗料に含まれる粒子状の熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含むとともに、キュラストメーターを用いて測定される熱硬化性樹脂組成物のトルクが特定の範囲を有するため、低温硬化性と保管安定性に優れる粉体塗料を提供することができる。
低温硬化性について、例えば130℃程度でも硬化させることができる。また、トルクについて、より具体的には、キュラストメーターを用いて、130℃にて熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が所定の上限下限値以内であることにより、硬化反応を速やかに、かつ、安定的に十分に行うことができる。
以下、粉体塗料の構成を具体的に説明する。
キュラストメーターを用いて、130℃にて熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10とする。(tmax-t10)は、硬化反応を安定的に十分に行う観点から、200秒以上であり、好ましくは230秒以上であり、より好ましくは250秒以上であり、さらに好ましくは300秒以上であり、また、硬化反応を速やかに行う観点から、例えば400秒以下であり、好ましくは380秒以下であり、より好ましくは350秒以下である。
また、キュラストメーターを用いて、130℃にて熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10とする。(tmax-t10)は、硬化反応を安定的に十分に行う観点から、200秒以上であり、好ましくは230秒以上であり、より好ましくは250秒以上であり、さらに好ましくは300秒以上であり、また、硬化反応を速やかに行う観点から、1000秒以下であり、好ましくは800秒以下であり、より好ましくは700秒以下、さらに好ましくは600秒以下、さらに好ましくは500秒以下である。
キュラストメーターを用いて、130℃にて熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、Tmaxの50%のトルク値をT50とし、T50に達する時刻をt50とする。(t50-t10)は、硬化反応を安定的に十分に行う観点から、好ましくは20秒以上であり、より好ましくは25秒以上であり、さらに好ましくは30秒以上であり、また硬化開始直後の硬化反応を速やかに行う観点から、好ましくは150秒以下であり、より好ましくは120秒以下であり、さらに好ましくは100秒以下であり、さらにより好ましくは80秒以下であり、より一層好ましくは60秒以下である。
次に、粉体塗料および粉体塗料中の熱硬化性樹脂組成物の物性をさらに具体的に説明する。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の引張伸び率は、衝撃時の割れ防止の観点から、好ましくは4%以上であり、より好ましくは4.5%以上であり、さらに好ましくは5%以上である。また、粉砕時の生産性をより良好とする観点から、引張伸び率は、好ましくは8%以下であり、より好ましくは7.5%以下であり、さらに好ましくは7%以下である。
なお、引張伸び率は、以下のように測定される。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分で硬化した硬化物から、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片を切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張伸び率(%)を測定する。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、三点曲げ試験に従って測定される曲げ強度は、塗装の強度をより高める観点から、好ましくは80Mpa以上であり、より好ましくは90Mpa以上であり、さらに好ましくは100Mpa以上である。また塗装のクラックの発生をより抑制し、生産性をより高める観点から、曲げ強度は、好ましくは160Mpa以下であり、より好ましくは145Mpa以下であり、さらに好ましくは130Mpa以下である。
なお、三点曲げ試験は、以下のように実施される。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分で硬化した硬化物から、幅10mm、長さ100mm、厚さ2mmの試験片を切り出す。得られた試験片をJIS K 6911に準拠した方法により、2支点間距離L:50mm、測定温度:25℃、試験速度:5mm/分の条件にて、オートグラフによって曲げ試験を行い、曲げ強度(Mpa)を測定する。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物のJIS K 6911に準拠して測定される25℃における曲げ弾性率は、耐ヒートサイクル性等の機械的強度をより一層良好とする観点から、好ましくは6000MPa以上であり、より好ましくは7800MPa以上であり、さらに好ましくは8000MPa以上である。また、熱硬化性樹脂組成物の曲げ弾性率の上限は制限されないが、例えば、好ましくは13000MPa以下である。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物のJIS K 7161に準拠して測定される引張強度は、塗装の機械的強度をより向上させる観点から、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは45MPa以上であり、より好ましくは52MPa以上である。熱硬化性樹脂組成物の引張強度の上限は限定されないが、たとえば80MPa以下である。
なお、引張強度は以下のように測定される。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分で硬化した硬化物から、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片を切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張強度(Mpa)を測定する。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の引張弾性率は、塗装の機械的強度をより向上させる観点から、好ましくは900Mpa以上であり、より好ましくは950Mpa以上であり、さらに好ましくは1000Mpa以上であり、さらにより好ましくは1050Mpa以上である。熱硬化性樹脂組成物の引張弾性率の上限は限定されないが、たとえば2000Mpa以下である。
なお、引張弾性率は以下のように測定される。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分で硬化した硬化物から、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張弾性率(Mpa)を測定する。
粉体塗料を130℃、30分硬化した硬化物のせん断引張強度は、硬化後の塗膜の剥離を防ぐ観点から、好ましくは8.5Mpa以上であり、より好ましくは9.0Mpa以上であり、さらに好ましくは9.5Mpa以上であり、また、好ましくは15.0Mpa以下であり、より好ましくは14.0Mpa以下であり、さらに好ましくは13.0Mpa以下である。
また、粉体塗料を130℃、30分硬化した硬化物のせん断引張強度は、硬化後の塗膜の剥離を防ぐ観点から、好ましくは8.5Mpa以上であり、より好ましくは9.0Mpa以上であり、さらに好ましくは9.5Mpa以上であり、また、好ましくは25.0Mpa以下であり、より好ましくは23.0Mpa以下であり、さらに好ましくは20.0Mpa以下である。
なお、せん断引張強度は、以下のように測定される。
2枚の銅板(材質C1100:幅15mm×長さ100mm×厚さ1mm)を重ね合わせて長さ方向に互いに逆方向にずらし、2枚の重なり部分が長さ方向に10mmとなるように配置する。すなわち、2枚の銅板の重なり領域は幅15mm×長さ10mmの領域となる。重なり領域の2枚の銅板間に粉体塗料0.1gを静置し、130℃、30分加熱を実施し、テストピースを得る。このテストピースの両端、すなわち各銅板における重なり領域と逆側の端部をオートグラフに挟み、10mm/分にて破断するまで引っ張ることにより、せん断引張強度を測定する。
熱硬化性樹脂組成物の、熱機械分析装置を使用し、昇温条件5℃/minにて0℃~320℃まで温度上昇させ、窒素雰囲気下条件にて測定されるガラス転移温度は、耐熱性により優れる観点から、好ましくは105℃以上であり、より好ましくは110℃以上であり、さらに好ましくは115℃以上であり、また好ましくは150℃以下であり、より好ましくは145℃以下であり、さらに好ましくは140℃以下である。
熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、熱機械分析装置を用いて温度範囲0℃以上320℃以下、昇温速度5℃/分の条件で測定したときの、40℃以上50℃以下における線膨張係数をα1(ppm/℃)とし、170℃以上180℃以下における線膨張係数をα2(ppm/℃)としたときの、α1/α2は、コイルに対する密着性をより良好とする観点から、好ましくは0.18以上であり、より好ましくは0.20以上であり、また好ましくは0.35以下であり、より好ましくは0.33以下であり、さらに好ましくは0.30以下である。なお、α1は、ガラス転移温度以下における線膨張係数、α2は、ガラス転移温度以上における線膨張係数である。
なお、α1(ppm/℃)の数値範囲としては、好ましくは16以上であり、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは23以上であり、また好ましくは35以下であり、好ましくは33以下である。
α2(ppm/℃)の数値範囲としては、好ましくは90以上であり、より好ましくは95以上であり、また好ましくは125以下であり、好ましくは120以下である。
粉体塗料の保存前(t=0日)の流れ率X(0)は、流動槽内での粉体塗料の流動性を好ましい状態としてコイルエンドへの塗布性を向上する観点から、たとえば15%以上であり、好ましくは20%以上であり、より好ましくは25%以上であり、さらに好ましくは30%以上である。
また、塗膜の垂れを抑制する観点から、流れ率X(0)は、好ましくは60%以下であり、より好ましくは55%以下であり、さらに好ましくは50%以下であり、さらにより好ましくは45%以下であり、さらにより好ましくは40%以下であり、より一層好ましくは38%以下である。
粉体塗料において、10℃で15日保存後(t=15日)の流れ率X10(15)は、ボイドが少なく、良好な塗膜外観とする観点から、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは25%以上であり、さらにより好ましくは30%以上である。
また、塗膜の垂れ抑制の観点から、流れ率X10(15)は、好ましくは60%以下であり、より好ましくは55%以下であり、さらに好ましくは50%以下であり、さらにより好ましくは45%以下であり、さらにより好ましくは40%以下であり、よりいっそう好ましくは35%以下である。
また、粉体塗料の10℃保存前後の流れ率変化指数R10は、形成される塗膜の厚みの変動や外観変動を抑える観点から、例えば45%以下であり、好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である。
また、流れ率変化指数R10はたとえば0%以上であり、さらに具体的には0%または0%超である。
保存前後の流れ率および流れ率変化指数R10は、具体的には以下の手順で測定される。
まず、保存前(t=0日)の粉体塗料の流れ率は以下の手順で測定される。すなわち、0.5gの粉体塗料を10mmφの成形用金型に入れ、20kgfで10秒間加圧成形し、筒状の試料を作製し、得られた試料の直径D0を測定する。
次に、70mm×150mm×0.8mmのSPCC板上に試料を配置し、150℃の熱風乾燥機中に30分静置する。静置後、試料のSPCC板との接触面における直径D1を測定する。
下記式(i)に基づき、保存前の流れ率X(0)が算出される。
X(t)(%)=(D1-D0)/D0×100・・・(i)
保存後(t=15日)の流れ率については、まず、粉体塗料を10℃にて15日間保存する。具体的には、上述の成形工程をおこなっていない粉体塗料を保存する。保存後、保存前の粉体塗料(t=0)の流れ率の測定手順に準じて、保存後の粉体塗料の試料の作製、D0の測定、150℃にて30分静置、D1の測定をそれぞれおこなう。上記式(i)に基づき、保存後の流れ率X10(15)が算出される。
10℃保存前後の流れ率変化指数R10は、得られた流れ率X(0)および流れ率X10(15)より、下記式(ii)に基づき算出される。
10=X(0)-X10(15)・・・(ii)
粉体塗料において、40℃で15日保存後(t=15日)の流れ率X40(15)は、ボイドが少なく、良好な塗膜外観とする観点から、好ましくは15%以上であり、より好ましくは18%以上であり、さらに好ましくは20%以上であり、さらにより好ましくは25%以上である。
また、塗膜の垂れ抑制の観点から、流れ率X40(15)は、好ましくは60%以下であり、より好ましくは55%以下であり、さらに好ましくは50%以下であり、さらにより好ましくは45%以下であり、さらにより好ましくは40%以下であり、よりいっそう好ましくは35%以下である。
また、粉体塗料の40℃保存前後の流れ率変化指数R40は、形成される塗膜の厚みの変動や外観変動を抑える観点から、例えば45%以下であり、好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、さらにより好ましくは5%以下である。
また、流れ率変化指数R40はたとえば0%以上であり、さらに具体的には0%または0%超である。
粉体塗料における、40℃で15日保存後(t=15日)の流れ率X40(15)および流れ率変化指数R40は、上述した10℃で15日保存後(t=15日)の流れ率X10(15)および流れ率変化指数R10の測定において、保存温度を40℃とする以外は、流れ率X10(15)および流れ率変化指数R10と同様に測定することができる。
粉体塗料は、流動槽内で好ましく流動する観点から、好ましくは粒子状である。
熱硬化性樹脂組成物の粒径d90は、コイルエンドの被覆時に粉体塗料が流動槽内で好ましく流動するようにする観点から、たとえば50μm以上であり、好ましくは70μm以上、より好ましくは90μm以上、さらに好ましくは100μm以上、さらにより好ましくは120μm以上、よりいっそう好ましくは140μm以上である。
また、流動槽底面への粗粉の堆積を防ぎ、より安定的に塗装する観点から、熱硬化性樹脂組成物の粒径d90は、たとえば200μm以下であり、好ましくは180μm以下、より好ましくは160μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。
ここで、熱硬化性樹脂組成物の粒径d90および他の粒度特性については、レーザー回折法により、具体的には、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置(たとえば、島津製作所社製、SALD-7000)を用いて粒子の粒度分布を体積基準で測定することにより得ることができる。
熱硬化性樹脂組成物の粒径d50は、粉体塗料により形成される塗膜の膜厚の確保や凝集抑制の観点から、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上、さらにより好ましくは50μm以上である。
また、生産コスト低減の観点から、熱硬化性樹脂組成物の粒径d50は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下、さらにより好ましくは70μm以下である。
熱硬化性樹脂組成物の粒径d10は、粉体塗料により形成される塗膜の膜厚の確保や凝集抑制の観点から、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、さらにより好ましくは25μm以上である。
また、生産コスト低減の観点から、熱硬化性樹脂組成物の粒径d10は、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、さらにより好ましくは35μm以下、よりいっそう好ましくは30μm以下である。
粉体塗料の構成成分について説明する。
粉体塗料は、熱硬化性樹脂組成物を含み、熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂および(B)硬化剤を含む。
(A)エポキシ樹脂の具体例として、分子中に2個以上のエポキシ基を有し、室温下で固形のものが挙げられる。このようなエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ノボラック型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、ナフタレン型、ビフェニルアラルキル型、芳香族アミン型などのエポキシ樹脂が挙げられる。
コイルエンドをより安定的に被覆する観点から、(A)エポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂およびビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含み、より好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
熱硬化性樹脂組成物中の(A)エポキシ樹脂の含有量は、粉体塗料の硬化物の表面の平滑性を向上する観点から、熱硬化性樹脂組成物全体に対して好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上、さらにより好ましくは30質量%以上である。
また、粉体塗料の塗装成形性を良好なものとする観点から、熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体に対して好ましく95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、さらにより好ましくは60質量%以下、より一層好ましくは40質量%以下である。
また、熱硬化性樹脂組成物は、他の熱硬化性樹脂を含んでもよい。他の熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂組成物は、後述するフェノール樹脂硬化剤等の樹脂硬化剤を含んでもよい。
(B)硬化剤の具体例としては、
ジアミノジフェニルメタンやアニリン樹脂などの芳香族アミン、脂肪族アミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合物、ジシアンジアミドおよびその誘導体等のアミン類;
各種イミダゾール化合物やイミダゾリン化合物;
アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ピロメリット酸などのポリジカルボン酸またはその酸無水物;
ノボラック型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;
アジピン酸やフタル酸などのジヒドラジッド、フェノール、クレゾール、キシレノール、ビスフェノールAなどとアルデヒドとの縮合物であるノボラック類;
カルボン酸アミド;
メチロール化メラミン類;および
ブロック型イソシアヌレート類が挙げられる。
低温硬化性をより良好とする観点から、(B)硬化剤はイミダゾール化合物を含むことが好ましい。
(B)硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の硬化性および硬化速度をより適正な範囲とする観点から、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、保存安定性を高める観点から、熱硬化性樹脂組成物中の(B)硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、例えば、5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。
(A)エポキシ樹脂に対する(B)硬化剤の割合は、たとえば使用する(A)エポキシ樹脂および(B)硬化剤の種類により調整することができる。
(A)エポキシ樹脂に対する(B)硬化剤の割合は、良好な硬化性および硬化物特性を得る観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。
イミダゾール化合物としては、たとえば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-ウンデシルイミダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-エチル-4-メチルイミダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。
これらの中でも、イミダゾール化合物として、硬化反応の開始温度が120℃~130℃であるものが好ましい。このようなイミダゾール化合物としては、例えばトリアジン骨格を有する化合物、および炭化水素基および水酸基をそれぞれ一つ以上有する化合物からなる群から選択される1種または2種が挙げられ、好ましくはトリアジン骨格を有する化合物である。
このようなイミダゾール化合物を選択することで、熱硬化性樹脂組成物の混錬中に、エポキシ樹脂が発熱し、熱硬化性樹脂組成物の温度が90℃近くまで上昇してしまう場合にも、反応が緩やかに進むため、熱硬化性樹脂組成物が予期せず硬化反応を起こしてしまうことによる、硬化ムラの発生およびそれに伴う生産性の低下を抑制することができる。
熱硬化性樹脂組成物は、(B)硬化剤以外の硬化促進剤を含んでもよい。
硬化促進剤の具体例として、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン;3級アミン等のアミン化合物が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、良好な硬化特性を得る観点から、熱硬化性樹脂組成物全体に対して好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、さらにより好ましくは0.2質量%以下、よりいっそう好ましくは0.1質量%以下である。
熱硬化性樹脂組成物は、(B)硬化剤を含むことによる熱硬化性樹脂組成物の接着性の低下を抑制する観点から、好ましくは(C)アクリルゴム粒子をさらに含む。
中でも、(C)アクリルゴム粒子がコアシェル型アクリルゴム粒子を含むことがより好ましく、シェルに水酸基を有する水酸基含有コアシェル型アクリルゴム粒子を含むことがさらに好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂および(B)硬化剤を含むとともに、水酸基含有コアシェル型アクリルゴム粒子を含むことにより、塗膜の接着性の低下を抑制するメカニズムは定かではないが、水酸基を有することにより、エポキシ樹脂との相溶性が良好となるため、熱硬化性樹脂全体の柔軟性を高めることができ、引張伸びを良好とすることにより、接着性を良好とすることができると考えられる。
(C)アクリルゴム粒子の市販品としては、アイカ工業社製、AC4030等を用いることができる。
(C)アクリルゴムの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、引張伸びをより上昇させ、熱硬化性樹脂組成物の接着性の低下を抑制する観点から、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上であり、さらに好ましくは2.5質量%以上である。また線膨張係数の増加を抑制する観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下であり、さらにより好ましくは5質量%以下である。
熱硬化性樹脂組成物は、無機充填剤をさらに含んでもよい。
無機充填材として、具体的には、結晶シリカ、溶融破砕シリカ等の溶融シリカ、球状シリカ、表面処理シリカ等のシリカ;炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム化合物;硫酸バリウム、酸化アルミニウム(具体的にはアルミナ)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、カオリン、クレー、マイカ、ドロマイト、ウォラストナイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、ジルコン、モリブデン化合物が挙げられる。
入手の容易さの観点から、無機充填材は、好ましくは、シリカ、アルミナおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される1種または2種以上を含み、より好ましくはシリカ、アルミナおよび炭酸カルシウムからなる群から選択される1種または2種以上である。
熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の機械的強度を向上する観点から、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、さらにより好ましくは50質量%以上である。また、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の平滑性を高める観点から、熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体に対して、好ましくは75質量%以下であり、より好ましくは65質量%以下である。
熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外の成分をさらに含んでもよい。たとえば、熱硬化性樹脂組成物が、着色剤、レベリング材、難燃剤、カップリング剤等を配合してもよい。
熱硬化性樹脂組成物は、顔料等の着色剤をさらに含んでもよい。
顔料の具体例として、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラックおよびシアニンブルーからなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
粉体塗料中の顔料の含有量は、好ましい着色性を得る観点から、粉体塗料全体に対して好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、さらにより好ましくは1質量%以下である。
本実施形態における粉体塗料は、たとえば、絶縁被覆で導体部が覆われているとともに絶縁被覆から導体部が露出する露出部が設けられたコイルエンドを有するコイルのコイルエンドを、粉体塗料が流動する流動槽に浸漬し、粉体塗料の溶融物を露出部の外側に付着させる工程を含む、粉体塗装方法に用いることができる。
また、本実施形態における粉体塗料は、好ましくは、粉体塗料の溶融物を露出部の外側に付着させる工程において、コイルエンドの露出部から絶縁被覆にわたって溶融物を付着させる粉体塗装方法に用いられる。さらに具体的には、本実施形態における粉体塗料により、露出部における導体の結線部分、溶接部分等を安定的に封止することができ、これにより、たとえば結線部分や溶接部分の強度を向上することも可能となる。
次に、粉体塗料の製造方法を説明する。粉体塗料の製造方法は、具体的には、熱硬化性樹脂組成物を準備する工程を含む。また、粉体塗料が熱硬化性樹脂組成物以外の成分(たとえば無機微粒子)を含むとき、粉体塗料の製造方法は、たとえば、熱硬化性樹脂組成物と他の成分とを混合する工程をさらに含んでもよい。
ここで、キュラストメーターを用いて、130℃にて熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、(tmax-t10)が特定の範囲にある粉体塗料を得るためには、たとえば、熱硬化性樹脂組成物の組成および粉体塗料の組成を適切に選択するとともに、熱硬化性樹脂組成物の製造工程を適切に選択することが重要である。
ここで、熱硬化性樹脂組成物の製造方法は、たとえば、(A)エポキシ樹脂の種類および硬化反応の開始温度が120~130℃である(B)硬化剤の種類、およびこれらの組み合わせを適切に選択し、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤および任意成分の全部を混合した後、加熱中の温度が100℃を超えないように調整しつつ加熱し、溶融混練して、全原料の混練物を得る。次いで、得られた全原料混練物を、室温で十分に冷却後に、衝撃式微粉砕機により粉砕し、気流分級、篩分けにより微粉、粗粒カットを実施し、エポキシ樹脂粉体塗料を得る。篩分けにおいては、たとえば90メッシュ程度の篩を用いることができる。
(コイル)
コイルは、本実施形態における粉体塗料により、露出部が封止されているコイルエンドを有する。
コイルの具体例として、駆動モーターコイル等のモーターコイルが挙げられる。以下、モーターの固定子コイルを例にさらに具体的に説明する。
図1は、実施形態における固定子の構成例を示す斜視図である。図1に示した固定子100は、固定子鉄心101と固定子コイル103とを有する。固定子コイル103は、固定子鉄心101の内壁に設けられた溝部(スロット、不図示)に配設されている。
図2は、固定子コイル103のコイルエンド105の構成例を示す上面図である。コイルエンド105には、絶縁被覆、たとえばエナメルで導体部が覆われているエナメル被覆部107と、エナメル被覆から導体部が露出している露出部109とが設けられており、露出部109が、本実施形態における粉体塗料により封止されている。図2においては、露出部109からエナメル被覆部107にわたって被覆部111が設けられている。被覆部111は、本実施形態における粉体塗料の硬化物により構成される。
(粉体塗装方法)
粉体塗装方法は、たとえば本実施形態における粉体塗料を用いてコイルエンドを封止する方法である。かかる方法は、具体的には、絶縁被覆で導体部が覆われているとともに絶縁被覆から導体部が露出する露出部109が設けられたコイルエンド105を有するコイル(固定子コイル103)のコイルエンド105を、粉体塗料が流動する流動槽に浸漬し、粉体塗料の溶融物を露出部の外側に付着させる工程(工程1)を含む。
工程1は、たとえば、粉体塗料が収容された流動槽に空気を導入して粉体塗料を流動させる工程(工程1-1)と、粉体塗料が流動している流動槽にコイルエンド105を浸漬する工程(工程1-2)と、を含んでもよい。
工程1-1は、たとえば、底部に多孔板が設けられている流動槽を用いて多孔板の上部に粉体塗料を充填し、多孔板の外側から空気を導入することにより、多孔板を介して流動槽中に空気を導入しておこなうことができる。
工程1-2において、流動槽にコイルエンド105を浸漬すること、および、粉体塗料の溶融物を露出部の外側に付着させることは、単一の工程としておこなわれてもよいし、段階的におこなわれてもよいが、露出部109の封止安定性向上の観点から、好ましくは単一の工程としておこなわれる。すなわち、粉体塗料の溶融物の露出部の外側への付着は、好ましくはコイルエンド105を流動槽に浸漬している際に生じる。
粉体塗装方法は、露出部109の封止安定性向上の観点から、好ましくは、流動槽にコイルエンド105を浸漬する前に、コイルエンド105を加熱する工程をさらに含む。このとき、粉体塗料が流動する流動槽に加熱されたコイルエンド105を浸漬することにより、流動槽中で、コイルエンド105の近傍の粉体塗料が溶融物としてコイルエンド105に付着する。また、コイルエンド105に付着した粉体塗料をさらに安定的に溶融物とする観点から、コイルエンド105を流動槽から取り出した後、コイルエンド105を加熱してもよい。
コイルエンド105の加熱は、たとえば、流動槽の上部に配置されたヒータにておこなうことができる。
上記コイルエンド105を加熱する工程をさらに含む場合、150℃以下の温度にて、加熱することが好ましい。これにより、使用エネルギーをより減少させ、CO排出量をより削減することができる。
本実施形態において、粉体塗装方法は、粉体塗料の溶融物を105の露出部109の外側に付着させる工程の後、コイルエンド105を加熱して粉体塗料を150℃以下で硬化する工程(工程2)をさらに含んでもよい。温度条件以外の加熱硬化条件は、コイルエンド105の種類や大きさ、粉体塗料の構成成分等に応じて適宜設定することができる。
また、粉体塗装方法は、被覆の厚さを増す観点から、工程1および工程2を交互に複数回繰り返してもよい。
本実施形態においては、特定の成分を有する熱硬化性樹脂組成物を含むとともに、キュラストメーターを用いて測定されるトルクについて特定の性質を有する粉体塗料を用いることにより、低温で硬化した場合においても、コイルエンド105を安定的に封止して被覆部111を形成することができるとともに、粉体塗料を保管した場合においても、コイルエンド105を安定的に封止して被覆部111を形成することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
コイルエンドを被覆するために用いられる粉体塗料であって、
熱硬化性樹脂組成物を含み、
前記熱硬化性樹脂組成物が、
(A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
を含み、
キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が、200秒以上400秒以下となる、粉体塗料。
2.
(C)アクリルゴム粒子をさらに含む、1.に記載の粉体塗料。
3.
前記(C)アクリルゴム粒子がコアシェル型アクリルゴム粒子である、2.に記載の粉体塗料。
4.
前記コアシェル型アクリルゴム粒子が水酸基含有コアシェル型アクリルゴム粒子である、3.に記載の粉体塗料。
5.
前記(C)アクリルゴム粒子の含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、0.5質量%以上10質量%以下である、2.に記載の粉体塗料。
6.
前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張伸び率>に従って測定される引張伸び率が4%以上である、1.に記載の粉体塗料。
<引張伸び率>
前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張伸び率(%)を測定する。
7.
前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張伸び率>に従って測定される引張伸び率が4%以上である、2.に記載の粉体塗料。
<引張伸び率>
前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張伸び率(%)を測定する。
8.
前記熱硬化性樹脂組成物が粒子状である、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料。
9.
キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、前記Tmaxの50%のトルク値をT50とし、T50に達する時刻をt50としたとき、(t50-t10)が、20秒以上150秒以下となる、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料。
10.
前記(B)硬化剤が、イミダゾール化合物を含む、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料。
11.
前記イミダゾール化合物が、トリアジン骨格を有する化合物、および炭化水素基および水酸基をそれぞれ一つ以上有する化合物からなる群から選択される1種または2種である、10.に記載の粉体塗料。
12.
前記イミダゾール化合物が、トリアジン骨格を有する、11.に記載の粉体塗料。
13.
前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂およびビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上である、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料。
14.
前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<三点曲げ試験>に従って測定される曲げ強度が、80Mpa以上160Mpa以下である、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料。
<三点曲げ試験>
前記硬化物を、幅10mm、長さ100mm、厚さ2mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 6911に準拠した方法により、2支点間距離L:50mm、測定温度:25℃、試験速度:5mm/分の条件にて、オートグラフによって曲げ試験を行い、曲げ強度(Mpa)を測定する。
15.
前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張強度>にしたがって測定される引張強度が、40MPa以上80MPa以下である、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料。
<引張強度>
前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張強度(Mpa)を測定する。
16.
以下の手順1に従って測定される当該粉体塗料の流れ率変化指数Rが、0%以上45%以下であり、
前記手順1に従って測定される当該粉体塗料の保存前の流れ率X(0)が、15%以上60%以下である、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料。
(手順1)
当該粉体塗料を10℃にて15日間保存し、以下の方法で保存前後の流れ率および流れ率変化指数Rを算出する。
(流れ率の測定方法)
(1)0.5gの当該粉体塗料を10mmφの成形用金型に入れ、20kgfで10秒間加圧成形し、筒状の試料を作製する。
(2)前記試料の直径D0を測定した後、70mm×150mm×0.8mmのSPCC板上に前記試料を配置し、150℃の熱風乾燥機中に30分静置する。
(3)静置後の前記試料の前記SPCC板との接触面における直径D1を測定する。
(4)保存前(t=0日)および10℃、15日保存後(t=15日)のそれぞれについて、前記D0およびD1を測定し、下記式(i)に基づき、前記保存前の試料の流れ率X(0)および前記15日保存後の試料の流れ率X(15)をそれぞれ算出する。
X(t)(%)=(D1-D0)/D0×100(i)
(5)下記式(ii)に基づき、流れ率変化指数Rを算出する。
R=X(0)-X(15)(ii)
17.
前記コイルエンドは、絶縁被覆で導体部が覆われているとともに前記絶縁被覆から前記導体部が露出する露出部が設けられており、
前記粉体塗料は、前記コイルエンドを、粉体塗料が流動する流動槽に浸漬し、前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる工程を含む、粉体塗装方法に用いられる、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料。
18.
粉体塗料の溶融物を露出部の外側に付着させる前記工程において、前記コイルエンドの前記露出部から前記絶縁被覆にわたって前記溶融物を付着させる前記粉体塗装方法に用いられる、17.に記載の粉体塗料。
19.
17.又は18.に記載の粉体塗料により前記露出部が封止されている前記コイルエンドを有する、コイル。
20.
絶縁被覆で導体部が覆われているとともに前記絶縁被覆から前記導体部が露出する露出部が設けられたコイルエンドを有するコイルの前記コイルエンドを、粉体塗料が流動する流動槽に浸漬し、前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる工程を含み、
前記粉体塗料が、1.~7.のいずれか一項に記載の粉体塗料である、コイルエンドの封止方法。
21.
前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる前記工程の後に、前記粉体塗料の前記溶融物を150℃以下で硬化させる工程をさらに含む、20.に記載のコイルエンドの封止方法。
(実施例1~5、比較例1)
本例の粉体塗料に用いた成分を以下に示す。
(熱硬化性樹脂組成物の原料)
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製、JER1002(1002番タイプ)、軟化点78℃
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製、JER1003F(1003番タイプ)、軟化点89℃
(無機充填材)
無機充填材1:球状シリカ、日鉄ケミカル&マテリアル社製、HS-208
(顔料)
顔料1:酸化チタン、石原産業社製、CR-500
(硬化剤)
硬化剤1:3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)
硬化剤2:2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、四国化成社製、2MZ-A
硬化剤3:2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジンのイソシアヌル酸付加物、四国化成社製、2MA-OK
(硬化促進剤)
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィン(TPP)、ケイアイ化成社製
(アクリルゴム粒子)
アクリルゴム粒子1:水酸基含有コアシェル型アクリルゴム粒子、アイカ工業社製、AC4030
(粉体塗料の製造)
表1に記載の配合で熱硬化性樹脂組成物を調製し、得られた熱硬化性樹脂組成物を常法にしたがって混合することにより、各例の粉体塗料を得た。
ここで、熱硬化性樹脂組成物については、原料成分をミキサー(徳寿社製、V-10)により混合し、60℃で溶融混練した後、室温で十分冷却後に、粉砕機(ホソカワミクロン社製、ACM粉砕機)により、微粉砕し、気流分級および90メッシュの篩を用いて、表1に記載の粉体塗料を得た。
なお、得られた各例の粉体塗料について、粒径d90、d50およびd10を、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SALD-7000)にて測定した。結果を表1に示す。
Figure 2024061646000002
(粉体塗料の物性)
各例で得られた粉体塗料を硬化させたときの硬化物のキュラストメーターを用いたトルク、曲げ強度、曲げ弾性率、引張伸び、引張強度、引張弾性率、ガラス転移温度および線膨張係数、および粉体塗料の流れ率およびせん断引張強度を以下の方法で測定した。測定結果を表2にあわせて示す。
(硬化物の作成)
実施例1~5で得られた粉体塗料については、加熱プレス機(テスター産業株式会社製 SA-302)を用いて、温度:130℃、圧力:0.2MPa、30分の条件で硬化させ、硬化物を得た。
比較例1で得られた粉体塗料については、加熱プレス機(テスター産業株式会社製 SA-302)を用いて、190℃、圧力:0.2MPa、30分の条件で硬化させ、硬化物を得た。
(キュラストメーターを用いたトルクの測定)
キュラストメーター(JSRトレーディング株式会社製、CURELASTOMETER7)を用い、粉体塗料の硬化トルクを経時的に測定した。なお、実施例1~5については、金型温度130℃とし、比較例1については、金型温度150℃とした。
次いで、最大硬化トルクをTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10とし、T10に達した後、Tmaxの50%のトルク値をT50とし、T50に達する時刻をt50としたとき、tmaxおよびt10を測定結果に基づいて(tmax-t10)を算出した。さらにt50およびt10を測定結果に基づいて(t50-t10)を算出した。
(曲げ強度)
得られた硬化物から、幅10mm、長さ100mm、厚さ2mmの試験片を作製する。得られた試験片をJIS K 6911に準拠した方法により、2支点間距離L:50mm、測定温度:25℃、試験速度:5mm/分の条件にて、オートグラフによって曲げ試験を行い、曲げ強度(Mpa)を測定した。
(曲げ弾性率)
得られた硬化物を、幅10mm、長さ100mm、厚さ2mmの試験片に切り出した。試験片の25℃における曲げ弾性率を、JIS K 6911に準拠して測定した。
(引張伸び、引張強度、引張弾性率)
得られた硬化物から、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片を切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、25℃における引張伸び率(%)、引張強度(Mpa)および引張弾性率(Mpa)を測定した。
(ガラス転移温度、線膨張係数(α1、α2))
得られた硬化物のガラス転移温度および線膨張係数を、次のように測定した。
得られた硬化物を、20mm×5mm×5mmの試験片に切り出した。次いで、得られた試験片について、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃~320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行った。この測定結果から、ガラス転移温度Tg、ガラス転移温度以下における線膨張係数(α1)、ガラス転移温度以上における線膨張係数(α2)を算出した。α1は、40℃以上50℃以下における線膨張係数、α2は、170℃以上180℃以下における線膨張係数とした。α1とα2の単位はppm/℃であり、ガラス転移温度の単位は℃である。α1およびα2の値から、α1/α2を算出した。
(せん断引張強度)
2枚の銅板(材質C1100:幅15mm×長さ100mm×厚さ1mm)を重ね合わせて長さ方向に互いに逆方向にずらし、2枚の重なり部分が長さ方向に10mmとなるように配置した。すなわち、2枚の重なり領域は幅15mm×長さ10mmの領域である。重なり領域の2枚の銅板間に、各例で得られた粉体塗料0.1gを広げて静置し、実施例については130℃、30分、比較例については190℃、30分の条件で加熱を実施し、粉体塗料を溶融硬化してテストピースを得た。
上記テストピースの両端、すなわち各銅板における重なり領域と逆側の端部をオートグラフ(島津製作所社製)に挟み、10mm/分にて破断するまで引っ張ることにより、せん断引張測定を実施した。
次に各例で得られた粉体塗料を用いて流れ率、耐熱性および耐ATF性評価(引張強度、曲げ強度、絶縁破壊の測定)および耐ヒートサイクル試験を行った。評価結果を表1にあわせて示す。
(流れ率)
(保存前(t=0))
各例で得られた粉体塗料0.5gを10mmφの成形用金型に入れ、20kgfで10秒間加圧成形し、筒状の試料を作製し、得られた試料の直径D0を測定した。次に、70mm×150mm×0.8mmのSPCC板上に試料を配置し、150℃の熱風乾燥機中に30分静置した。静置後、試料のSPCC板との接触面における直径D1を測定した。
下記式(i)に基づき、保存前の水平流れ率すなわち流れ率X(0)[%]を算出した。
X(t)(%)=(D1-D0)/D0×100・・・(i)
(保存後(t=15)(10℃))
各例で粉体塗料を、成形せずに、10℃にて15日間保存した。保存後、保存前の粉体塗料(t=0)の流れ率の測定手順に準じて、保存後の試料の作製、D0の測定、150℃にて30分静置、D1の測定をそれぞれおこなった。上記式(i)に基づき、保存後の水平流れ率すなわち流れ率X10(15)[%]を算出した。
(流れ率変化指数R10
得られた流れ率X(0)および流れ率X10(15)より、下記式(ii)に基づきR10[%]を算出した。
10=X(0)-X10(15)・・・(ii)
(保存後(t=15)(40℃))
各例で粉体塗料を、成形せずに、40℃にて15日間保存した。保存後、保存前の粉体塗料(t=0)の流れ率の測定手順に準じて、保存後の試料の作製、D0の測定、150℃にて30分静置、D1の測定をそれぞれおこなった。上記式(i)に基づき、保存後の水平流れ率すなわち流れ率X40(15)[%]を算出した。
(流れ率変化指数R40
得られた流れ率X(0)および流れ率X40(15)より、下記式(iii)に基づきR40[%]を算出した。
40=X(0)-X40(15)・・・(iii)
(耐熱性および耐ATF性評価)
各例の粉体塗料について、熱処理およびATF処理を行った後の物性(曲げ強度、引張強度、絶縁破壊評価)を測定し、耐熱性および耐ATF性を評価した。具体的には以下の方法にしたがっておこなった。
(試験片サンプルの準備)
各例で得られた粉体塗料の(硬化物の作成)に従って得られた硬化物から、以下のサイズの試験片を切り出した。
・幅10mm、長さ100mm、厚さ2mm(曲げ強度測定用試験片)
・幅10mm、長さ80mm、厚さ1mm(引張強度測定用試験片)
・100mm×100mm×1mm(絶縁破壊評価用試験片)
(耐熱性評価)
(試験片サンプルの準備)で得られた試験片について、保管前、200℃500時間保管後および200℃1000時間保管後の、曲げ強度、引張強度の測定および絶縁破壊評価を行った。測定方法は、(曲げ強度)、(引張伸び、引張強度、引張弾性率)および後述する(絶縁破壊評価)に記載の方法に従った。
(耐ATF性評価)
(試験片サンプルの準備)で得られた試験片を、ATF(Automatic transmission fluid、トヨタ自動車製、AUTO FLUID WS)に浸漬し、150℃の温度で保管し、保管前、500時間保管後および1000時間保管後の、曲げ強度、引張強度および絶縁破壊評価を行った。測定方法は、(曲げ強度)、(引張伸び、引張強度、引張弾性率)および後述する(絶縁破壊評価)に記載の方法に従った。
(絶縁破壊評価)
上記(耐熱性評価)および(耐ATF性評価)で得られた、各条件にて保管前後の試験片の絶縁破壊電圧をJIS K 6911に準じて、次のように測定した。
まず、得られた試験片を円電極に挟んだ状態で絶縁油中に設置した。
次いで、耐電圧・絶縁抵抗試験器(菊水電子社製、TOS9201)を用いて、両電極に昇圧速度2.5kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。試験片が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧(kV/mm)とした。
(耐ヒートサイクル試験)
固定子コイルのコイルエンドを模した、PEEK樹脂にて被覆された模擬テストピース(図3に示す)のコイルエンド部分を実施例については130℃30分、比較例については190℃30分加熱し、各例で得られた粉体塗料を、模擬テストピースのコイルエンド部分を被覆するように溶融付着させ(図3、粉体塗料による被覆部201)、実施例については130℃30分、比較例については190℃30分硬化させることにより、膜厚0.5mmとなるように塗装された塗装物を作製した。
各例の塗装物を、-40℃および150℃各20分を1サイクルとし、2500サイクルまで繰り返し、ヒートサイクル試験を行った。
ヒートサイクル試験後の塗装物の塗装表面を観察し、クラックの観察されない塗装物数を計測し、以下式により、クラック無塗装物(%)を算出した。なお、計測は500サイクル毎に行った。
クラック無塗装物(%)=(ヒートサイクル試験後クラック無塗装物の個数/作製直後塗装物の個数)×100
Figure 2024061646000003
表2より、各実施例で得られた粉体塗料においては、比較例1と比べて、低温硬化性が良好であった。
各実施例で得られた粉体塗料においては、引張伸び率、曲げ弾性率およびせん断引張強度等の物性も好ましいものであった。また、各実施例で得られた粉体塗料においては、耐熱性、耐ATF性、耐ヒートサイクル試験および10℃保管後の流れ率についても良好な結果が得られた。
各実施例における粉体塗料は、低温硬化性および保存安定性に優れるものであり、コイルエンドの露出部の被覆に好ましく用いることができる。
100 固定子
101 固定子鉄心
103 固定子コイル
105 コイルエンド
107 エナメル被覆部
109 露出部
111 被覆部
200 耐ヒートサイクル試験用模擬テストピース
201 粉体塗料による被覆部

Claims (23)

  1. コイルエンドを被覆するために用いられる粉体塗料であって、
    熱硬化性樹脂組成物を含み、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、
    (A)エポキシ樹脂と、
    (B)硬化剤と、
    を含み、
    キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が、200秒以上1000秒以下となる、粉体塗料。
  2. コイルエンドを被覆するために用いられる粉体塗料であって、
    熱硬化性樹脂組成物を含み、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、
    (A)エポキシ樹脂と、
    (B)硬化剤と、
    を含み、
    キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルク値をTmaxとし、Tmaxに達する時刻をtmaxとし、Tmaxの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10としたとき、(tmax-t10)が、200秒以上400秒以下となる、粉体塗料。
  3. (C)アクリルゴム粒子をさらに含む、請求項1または2に記載の粉体塗料。
  4. 前記(C)アクリルゴム粒子がコアシェル型アクリルゴム粒子である、請求項3に記載の粉体塗料。
  5. 前記コアシェル型アクリルゴム粒子が水酸基含有コアシェル型アクリルゴム粒子である、請求項4に記載の粉体塗料。
  6. 前記(C)アクリルゴム粒子の含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、0.5質量%以上10質量%以下である、請求項3に記載の粉体塗料。
  7. 前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張伸び率>に従って測定される引張伸び率が4%以上である、請求項1または2に記載の粉体塗料。
    <引張伸び率>
    前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張伸び率(%)を測定する。
  8. 前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張伸び率>に従って測定される引張伸び率が4%以上である、請求項3に記載の粉体塗料。
    <引張伸び率>
    前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張伸び率(%)を測定する。
  9. 前記熱硬化性樹脂組成物が粒子状である、請求項1または2に記載の粉体塗料。
  10. キュラストメーターを用いて、130℃にて前記熱硬化性樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、前記Tmaxの50%のトルク値をT50とし、T50に達する時刻をt50としたとき、(t50-t10)が、20秒以上150秒以下となる、請求項1または2に記載の粉体塗料。
  11. 前記(B)硬化剤が、イミダゾール化合物を含む、請求項1または2に記載の粉体塗料。
  12. 前記イミダゾール化合物が、トリアジン骨格を有する化合物、および炭化水素基および水酸基をそれぞれ一つ以上有する化合物からなる群から選択される1種または2種である、請求項11に記載の粉体塗料。
  13. 前記イミダゾール化合物が、トリアジン骨格を有する、請求項12に記載の粉体塗料。
  14. 前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂およびビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1または2に記載の粉体塗料。
  15. 前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<三点曲げ試験>に従って測定される曲げ強度が、80Mpa以上160Mpa以下である、請求項1または2に記載の粉体塗料。
    <三点曲げ試験>
    前記硬化物を、幅10mm、長さ100mm、厚さ2mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 6911に準拠した方法により、2支点間距離L:50mm、測定温度:25℃、試験速度:5mm/分の条件にて、オートグラフによって曲げ試験を行い、曲げ強度(Mpa)を測定する。
  16. 前記熱硬化性樹脂組成物を130℃、30分硬化した硬化物の、以下<引張強度>にしたがって測定される引張強度が、40MPa以上80MPa以下である、請求項1または2に記載の粉体塗料。
    <引張強度>
    前記硬化物を、幅10mm、長さ80mm、厚さ1mmの試験片に切り出す。得られた試験片をJIS K 7161に準拠した方法により、オートグラフによって引張試験を行い、引張強度(Mpa)を測定する。
  17. 以下の手順1に従って測定される当該粉体塗料の流れ率変化指数R10が、0%以上45%以下であり、
    前記手順1に従って測定される当該粉体塗料の保存前の流れ率X(0)が、15%以上60%以下である、請求項1または2に記載の粉体塗料。
    (手順1)
    当該粉体塗料を10℃にて15日間保存し、以下の方法で保存前後の流れ率および流れ率変化指数Rを算出する。
    (流れ率の測定方法)
    (1)0.5gの当該粉体塗料を10mmφの成形用金型に入れ、20kgfで10秒間加圧成形し、筒状の試料を作製する。
    (2)前記試料の直径D0を測定した後、70mm×150mm×0.8mmのSPCC板上に前記試料を配置し、150℃の熱風乾燥機中に30分静置する。
    (3)静置後の前記試料の前記SPCC板との接触面における直径D1を測定する。
    (4)保存前(t=0日)および10℃、15日保存後(t=15日)のそれぞれについて、前記D0およびD1を測定し、下記式(i)に基づき、前記保存前の試料の流れ率X(0)および前記15日保存後の試料の流れ率X10(15)をそれぞれ算出する。
    X(t)(%)=(D1-D0)/D0×100(i)
    (5)下記式(ii)に基づき、流れ率変化指数R10を算出する。
    10=X(0)-X10(15)(ii)
  18. 以下の手順2に従って測定される当該粉体塗料の流れ率変化指数R40が、0%以上45%以下であり、
    前記手順2に従って測定される当該粉体塗料の保存前の流れ率X(0)が、15%以上60%以下である、請求項1または2に記載の粉体塗料。
    (手順2)
    当該粉体塗料を40℃にて15日間保存し、以下の方法で保存前後の流れ率および流れ率変化指数Rを算出する。
    (流れ率の測定方法)
    (1)0.5gの当該粉体塗料を10mmφの成形用金型に入れ、20kgfで10秒間加圧成形し、筒状の試料を作製する。
    (2)前記試料の直径D0を測定した後、70mm×150mm×0.8mmのSPCC板上に前記試料を配置し、150℃の熱風乾燥機中に30分静置する。
    (3)静置後の前記試料の前記SPCC板との接触面における直径D1を測定する。
    (4)保存前(t=0日)および40℃、15日保存後(t=15日)のそれぞれについて、前記D0およびD1を測定し、下記式(i)に基づき、前記保存前の試料の流れ率X(0)および前記15日保存後の試料の流れ率X40(15)をそれぞれ算出する。
    X(t)(%)=(D1-D0)/D0×100(i)
    (5)下記式(ii)に基づき、流れ率変化指数R40を算出する。
    40=X(0)-X40(15)(ii)
  19. 前記コイルエンドは、絶縁被覆で導体部が覆われているとともに前記絶縁被覆から前記導体部が露出する露出部が設けられており、
    前記粉体塗料は、前記コイルエンドを、粉体塗料が流動する流動槽に浸漬し、前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる工程を含む、粉体塗装方法に用いられる、請求項1または2に記載の粉体塗料。
  20. 粉体塗料の溶融物を露出部の外側に付着させる前記工程において、前記コイルエンドの前記露出部から前記絶縁被覆にわたって前記溶融物を付着させる前記粉体塗装方法に用いられる、請求項19に記載の粉体塗料。
  21. 請求項19に記載の粉体塗料により前記露出部が封止されている前記コイルエンドを有する、コイル。
  22. 絶縁被覆で導体部が覆われているとともに前記絶縁被覆から前記導体部が露出する露出部が設けられたコイルエンドを有するコイルの前記コイルエンドを、粉体塗料が流動する流動槽に浸漬し、前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる工程を含み、
    前記粉体塗料が、請求項1または2に記載の粉体塗料である、コイルエンドの封止方法。
  23. 前記粉体塗料の溶融物を前記露出部の外側に付着させる前記工程の後に、前記粉体塗料の前記溶融物を150℃以下で硬化させる工程をさらに含む、請求項22に記載のコイルエンドの封止方法。
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