JP2008214467A - 粉体塗料、鉄系部材の製造方法および鉄系部材 - Google Patents

粉体塗料、鉄系部材の製造方法および鉄系部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 車両用のディスクブレーキ装置として用いられる、フローティング・キャリパ式のディスクブレーキ装置を構成する、キャリパボディやサポートといった鉄系部材等を、防食性よく、低環境負荷で、簡便かつ低コストに製造するための粉体塗料を提供する。
【解決手段】
アミノ変性エポキシ樹脂またはアミノ変性エポキシ樹脂とポリエステル樹脂との混合物を含むマトリクス樹脂に、シリカ粒子を分散させてなることを特徴とする粉体塗料である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粉体塗料、鉄系部材の製造方法および鉄系部材に関する。
さらに詳しくは、本発明は、特に、防食性に優れた粉体塗料、低環境負荷で、簡便かつ低コストに鉄系部材を製造する方法および鉄系部材に関するものである。
車両用のディスクブレーキ装置として、いわゆる、フローティング・キャリパ式のディスクブレーキ装置が知られている。このタイプのブレーキ装置は、通常、構成部材として、車輪と一体回転する円盤状のロータと、このロータを挟んで対向配置される一対の摩擦パッドと、該摩擦パッドをロータに押し付けるためのピストンを内蔵するキャリパボディと、車体側に取り付けられると共にキャリパボディをロータの軸方向に摺動可能に支持するサポートとを有している。
そして、上記キャリパボディは、上記ロータの上を跨ぐブリッジ部と、該ブリッジ部の一端側に装備されて上記ピストンを進退可能に収容したシリンダ部と、上記ブリッジ部の他端側に装備されて他方の摩擦パッドの背面を抑えるキャリパ爪とを有している。
上記ディスクブレーキ装置を構成するキャリパボディやサポートは、通常球状黒鉛鋳鉄(FCD450相当材)からなり、その表面には亜鉛メッキおよび六価クロムによるクロメート処理が施され耐食性が確保されている。
しかし、クロメート処理して形成した皮膜中には六価クロムが残留するため、人体への影響が懸念され、またクロメート処理物が廃棄された後、六価クロムが溶出し、環境中に蓄積される可能性を有している。
このため、亜鉛メッキした鋼製のボルトを水洗し、硝酸溶液あるいは塩酸溶液に浸漬することで酸活性処理を行った後、水洗し、三価クロム、モリブデン酸、及びリン酸を含む溶液によって一種の化成処理を施すことにより、従来のクロメート皮膜に匹敵する化成処理皮膜を形成する方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載された方法においては、亜鉛メッキ処理が大量の水洗水を必要としたり、化成処理に三価クロム等を含む溶液を必要とするものであるため、処理工程が煩雑になるばかりか、廃液量や設備の設置面積が増大することによって製造コストが上昇するという課題を有していた。
特開2000−54157号公報
本発明は、このような事情のもとで、防食性に優れた粉体塗料、低環境負荷で、簡便かつ低コストに鉄系部材を製造する方法および該方法により得られる鉄系部材を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アミノ変性エポキシ樹脂またはアミノ変性エポキシ樹脂とポリエステル樹脂との混合物を含むマトリクス樹脂に、シリカ粒子を分散させてなる粉体塗料により、上記課題を解決し得ることを見出し、本知見に基いて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)アミノ変性エポキシ樹脂またはアミノ変性エポキシ樹脂とポリエステル樹脂との混合物を含むマトリクス樹脂に、シリカ粒子を分散させてなることを特徴とする粉体塗料、
(2)シリカ粒子の平均粒子径が0.1〜10μmである上記(1)に記載の粉体塗料、
(3)シリカ粒子の少なくとも一部の表面がアクリル樹脂でコーティングされている上記(1)または(2)に記載の粉体塗料、
(4)表面の少なくとも一部に塗膜を有する鉄系部材を製造する方法であって、
鉄系材料からなる母材表面に亜鉛粒子を投射して下地皮膜を形成する工程と、該下地皮膜上の少なくとも一部に上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粉体
塗料を塗布することにより塗膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする鉄系部
材の製造方法、
(5)得られる鉄系部材において、前記下地皮膜の膜厚が0.3〜3μmであり、前記塗膜の膜厚が15〜100μmである上記(4)に記載の鉄系部材の製造方法、
(6)得られる鉄系部材がディスクブレーキ装置の構成部材である上記(4)または(5)に記載の鉄系部材の製造方法、および
(7)上記(4)〜(6)のいずれかに記載の方法で得られたことを特徴とする鉄系部材
を提供するものである。
本発明によれば、防食性に優れた粉体塗料を提供することができるとともに、該粉体塗料を用いて、低環境負荷で、簡便かつ低コストに鉄系部材を製造する方法を提供することができ、また、該方法により得られる鉄系部材を提供することができる。
先ず、本発明の粉体塗料について説明する。
本発明の粉体塗料は、アミノ変性エポキシ樹脂またはアミノ変性エポキシ樹脂とポリエステル樹脂との混合物を含むマトリクス樹脂に、シリカ粒子を分散させてなることを特徴とするものである。
本発明の粉体塗料において、マトリクス樹脂を構成するアミノ変性エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂と、1級アミン、2級アミン、3級アミンまたはこれらの酸塩等から選ばれるアミン類とを反応させることにより、エポキシ樹脂のエポキシ環を開環させたものを挙げることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、ジイソシアネート系化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記エポキシ樹脂は、アミン類やアミン酸塩によるエポキシ環の開環反応の前に、2官能のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ビスフェノール類、2塩基性カルボン酸等により鎖延長したものでもよい。また、同じくエポキシ環の開環反応の前に、分子量またはアミン当量の調節、熱フロー性の改良等を目的として、一部のエポキシ環に対して2−エチルヘキサノール、ノニルフェノール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルのようなモノヒドロキシ化合物を付加したものでもよい。
エポキシ樹脂に導入するアミン類としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどの1級、2級または3級アミンや、これらの酸塩等を挙げることができる。
アミノ変性エポキシ樹脂の数平均分子量は400〜3800が好ましく、900〜1500がより好ましい。すなわち、数平均分子量が400未満の場合は、本発明の粉体塗料を用いて得られる塗膜の耐溶剤性および耐食性等の物性が劣る傾向があり、逆に、3800を超える場合は、塗料粘度の上昇による、塗料の生産性、塗装作業性が低下する傾向にある。
なお、上記アミノ変成エポキシ樹脂は、例えば、乳化重合法、強制乳化法、自己乳化法等の従来公知の手法により、調製することができる。
本発明の粉体塗料において、マトリクス樹脂をアミノ変性エポキシ樹脂とポリエステル樹脂との混合物とすることもできる。ここにアミノ変性エポキシ樹脂としては上で説明したものが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、β−オキシプロピオン酸等のカルボン酸とを常法に従って重合させて得たものが挙げられる。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、500〜100,000が好ましく、2,000〜80,000がより好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価は、0〜300mgKOH/gが好ましく、30〜120mgKOH/gがより好ましい。また、ポリエステル樹脂の酸価は、0〜200mgKOH/gが好ましく、10〜100mgKOH/gがより好ましい。ポリエステル樹脂の融点は、50〜200℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
具体的には、ダイセルUCB社製「クリルコート341、7620、7630」、大日本インキ社製「ファインディックM−8010、8020、8024、8710」、日本ユピカ社製「ユピカコートGV110、230」、日本エステル社製の「ER6570」、ヒュルス社製の「VESTAGON EP−P100」等を挙げることができる。
エポキシ樹脂とポリエステル樹脂の混合物において、ポリエステル樹脂の配合量は、組成物全量基準で、10〜90質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。
本発明の粉体塗料において用いられるシリカ粒子としては、平均粒子径が0.1〜10μmであるものが好ましく、2〜8μmであるものがより好ましく、2〜5μmであるものがさらに好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、体積平均粒子径を意味し、体積平均粒子径は、例えば、粒度分布測定器等で測定することができる。
シリカ粒子は、その少なくとも一部の表面がアクリルオリゴマー等のアクリル樹脂、あるいはメチルシリコーンやジメチルシリコーンなどのシリコーン類でコーティングされていることが好ましく、特にアクリル樹脂でコーティングされていることが好ましい。シリカ粒子表面におけるコーティングの厚さは、0.1〜3μmが好ましく、0.3〜0.5μmがより好ましい。
このようなコーティング樹脂として、具体的には、モンサント化成社製の「モダフロー」、BASF社製の「アクロナール4F」、BYKchemie社製の「BYK−360P」、楠本化成社製の「チィスパロンPL540」、東芝シリコーン社製の「CF−1056」などが挙げられる。
本発明の粉体塗料は、マトリクス樹脂中に、シリカ粒子を5〜40質量%含むことが好ましく、20〜40質量%含むことがより好ましく、10〜35質量%含むことがさらに好ましい。
上記シリカ粒子は、例えば、一般式(I)
Si(OR ・・・(I)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)で表されるケイ素のアルコキシド化合物またはその部分加水分解物を、加水分解、縮合させることにより得ることができる。上記方法によって得られるシリカ粒子には、さらに焼成処理を施してもよく、焼成処理を施すことによりシリカ粒子の強度および硬度を上昇させることができる。
本発明の粉体塗料は、マトリクス樹脂中にシリカ粒子を含むことにより、塗膜面からの水蒸気透過を抑制し、下地となる亜鉛皮膜や鉄系材料からなる母材と水との接触を断つという効果を得ることができる。また、シリカ表面の少なくとも一部をアクリル樹脂やシリコーン類でコーティングすることにより、後述するように、亜鉛粒子を投射してなる下地皮膜上に本発明の粉体塗料を塗布する際、下地皮膜と粉体塗料の塗膜との密着性を向上させることができる。
また、本発明の粉体塗料は、さらに硬化剤を含んでもよく、硬化剤としては、ポリアミン系、アミノアミド系、ブロックドイソシアネート系、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)系、エポキシ系(ポリエポキシド、エポキシ樹脂)のもの等が挙げられ、ポリアミン系、アミノアミド系およびブロックドイソシアネート系のものが特に好ましい。
ポリアミン系の硬化剤としては、(1)ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、変性ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン類、(2)イソフォロンジアミン、ラロミンC−260(BASF社製)などの脂環族ポリアミン類、(3)ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン類が挙げられ、さらにポリオキシプロピルジアミンやN−アミノエチルピペラジン等も挙げられる。
アミノアミド系の硬化剤としては、重合脂肪酸とポリエチレンポリアミンから合成されるポリアミノアミドが使用できる。上記重合脂肪酸としては二量体または三量体以上のポリカルボン酸および該ポリカルボン酸とモノカルボン酸との混合物を挙げることができ、上記ポリエチレンポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびこれらの縮合物であるポリアミノイミダゾリンを挙げることができる。
ブロックドイソシアネート(ブロック化イソシアネート)系の硬化剤は、イソシアネート基(−NHCO−)の一部がブロック剤でブロックされた、軟化点が20〜100℃、好ましくは25〜80℃の範囲のものが好ましく、イソシアネート基の割合(%)は、5〜30%程度が好ましい。
本発明の粉体塗料は、適宜着色顔料、防錆顔料または体質顔料等の顔料を含んでもよく、具体的には、酸化チタン、ベンガラ、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料等の着色顔料、クロム系顔料、リン酸塩系顔料、モリブデン系顔料等の防錆顔料、タルク、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料を挙げることができる。
また、本発明の粉体塗料に用いられるシリカ粒子が、その表面にアクリル樹脂やシリコーン類等をコーティングしていない場合もあるが、このような場合、本発明の粉体塗料は、必要に応じて、レベリング剤(表面調整剤)として、別途アクリル樹脂やシリコーン類を含んでもよい。レベリング剤として用いられるアクリル樹脂やシリコーン類の具体例としては、上記シリカ粒子の表面にコーティングされるものと同様のものを挙げることができる。
その他、本発明の粉体塗料は、フィラー等を含むこともできる。
上記粉体塗料は、平均粒子径が15〜50μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。また、50μm以上の粒子径を有する粒子が30質量%以下であることが好ましく、100μm以上の粒子径を有する粒子が5質量%以下であり、5μm以下の粒子径を有する粒子が15質量%以下であることがより好ましい。このように、平均粒子径が小さくかつ粒径を均一にすることにより、塗膜厚さが薄く、スコーチ(加熱)処理性に優れた塗膜を得ることができる。
本発明の粉体塗料は、例えば、各成分が均一に加熱混練された分散物を冷却後、所定の粒子径になるように、微粉砕、分級する方法により製造することができる。
次に、本発明の鉄系部材の製造方法について説明する。
本発明の鉄系部材の製造方法は、表面の少なくとも一部に塗膜を有する鉄系部材を製造する方法であって、鉄系材料からなる母材表面に亜鉛粒子を投射して下地皮膜を形成する工程と、該下地皮膜上の少なくとも一部に本発明の粉体塗料を塗布することにより塗膜を形成する工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明の方法において、母材を構成する鉄系材料とは、鉄そのものまたは鉄を主成分とする鉄合金を意味し、鉄合金としては、鉄とともに、炭素、ケイ素、マグネシウム、ニッケル、クロム、モリブデン、銅等を含有するものを挙げることができる。上記鉄合金として、具体的には、鋼や鋳鉄等を挙げることができ、鋼としては、冷間圧延鋼、ステンレス鋼等を挙げることができ、鋳鉄としては、ねずみ鋳鉄、白鋳鉄、まだら鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、可鍛鋳鉄、合金鋳鉄等を挙げることができる。
母材は、通常、得られる鉄系部材の形状に対応する形状を有しており、例えば、砂型鋳造、金型鋳造、ダイキャスト鋳造、射出成形等の鋳造法や鍛造法により、作製することができる。
本発明の方法においては、上記鉄系材料からなる母材表面に亜鉛粒子を投射して下地皮膜を形成する工程を先ず実施する。
下地皮膜の形成工程において、投射する亜鉛粒子としては、亜鉛のみからなる粒子や、鉄、鉄合金あるいはセラミック粒子等からなる核の周囲に亜鉛を被覆した粒子を用いることができる。
亜鉛粒子は、ビッカース硬さ(HV)が150HV以下であるものが好ましく、亜鉛粒子が亜鉛のみからなる粒子である場合は、40〜60HV程度であることが好ましい。
亜鉛粒子の平均粒子径は、0.5〜2.0mmであることが好ましく、0.8〜1.5mmであることがより好ましく、1.0〜1.5mmであることがさらに好ましい。
亜鉛粒子の投射は、既存のブラスト装置を用いて行うことができ、例えば、インペラーと呼ばれる耐摩耗合金製の羽根車の遠心力により投射材を投射するショットブラスト装置を用いることができる。
亜鉛粒子の投射速度は、毎秒40〜75mが好ましく、毎秒40〜60mがより好ましく、毎秒45〜50mがさらに好ましい。投射距離は被処理物(鉄系材料からなる母材)のサイズにより適宜設定すればよい。また、投射角度は、約45°〜135°から選択することが好ましい。
下地皮膜の膜厚は、0.3〜3μmが好ましく、0.5〜1μmがより好ましい。
本発明の方法においては、鉄系材料からなる母材表面に亜鉛粒子を投射し、衝突させることによって、亜鉛粒子の表層の一部が母材表面層と結合すると同時に、亜鉛粒子の表層部が破断して、安定した皮膜が形成されると考えられる。
なお、亜鉛粒子の投射条件によっては、母材表面に衝突せず、下地皮膜の形成に供することができない亜鉛粒子も存在するが、該粒子を回収し、これを再利用することによって、製造コストを低減することもできる。
上述したように、本発明の方法においては、母材表面に亜鉛めっきによる皮膜を形成する代わりに、亜鉛粒子を投射して下地皮膜を形成しているため、製造工程を簡略化できるだけでなく、廃液に起因する環境負荷を低減することができ、また、安価な亜鉛粒子を用い、設備の設置面積を減少させることにより、鉄系部材の製造コストを低減することができる。さらに、低融点の金属である亜鉛を投射することにより、母材上にピンホールを形成することなく安定に皮膜を形成することが可能になる。
本発明の方法においては、上記下地皮膜上の少なくとも一部に本発明の粉体塗料を塗布することにより塗膜を形成する工程を次に実施する。
粉体塗料からなる塗膜は、粉体塗装法により形成することができる。粉体塗装法としては、静電塗装法と流動浸漬法が挙げられる。静電塗装法においては、高圧静電発生機で得られる−40KV〜−90KV程度の直流高電圧により、本発明の粉体塗料の粒子を負に帯電させて、被塗物である下地皮膜形成母材の表面に静電引力によって付着させた後、焼付炉で加熱、溶融、硬化して塗膜を形成する。また、流動浸漬法においては、底部に多孔質の板を置いた流動槽内で、本発明の粉体塗料をエアー流動させ、この浮遊する粉体中に250〜300℃程度に予熱された被塗物(下地皮膜を形成した母材)を浸漬し、被塗物表面に付着した粉体塗料を熱溶融させることによって、塗膜を形成する。
得られる鉄系部材において、上記塗膜の膜厚は15〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましく、30〜50μmがさらに好ましい。
本発明の方法においては、粉体塗装法により塗膜を形成することから、塗装工程で有機溶剤や水等の溶媒を一切使用せず、廃液処理装置を設置する必要がない。また、使用した粉体塗料のうち、塗膜形成に使用されなかったものは回収して再利用できるので、固形廃棄物の発生や、大気の汚染もなく、環境負荷を低減することができる。
本発明の方法は、特に、ディスクブレーキ装置の構成部材等を製造する方法として好適である。
次に、本発明の鉄系部材について説明する。
本発明の鉄系部材は、本発明の鉄系部材の製造方法により得られたことを特徴とするものである。本発明の鉄系部材は、上記本発明の鉄系部材の製造方法により好適に製造することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(1)下地皮膜の形成工程
鉄系材料からなる母材として、SPCC(冷間圧延鋼板;縦100mm×横100mm×厚さ3.6mm)を用い、これを有機溶剤(アセトン)でよく洗浄した後、80℃の恒温炉で30分間加熱して、脱脂した。
上記脱脂処理を施したSPCCの両主表面に対し、インペラー式ショットブラスト装置を用いて、亜鉛のみからなる粒子(平均粒子径1.5mm、ビッカース硬さ50HV)を、鉛直上方向から毎秒45mの投射速度で、15kg投射して、下地皮膜を形成した。
得られた下地皮膜形成SPCCの主表面5箇所における皮膜の厚さを、電磁式膜厚計(ケット社製LE−300J)を用いて測定したところ、0.5〜1.0μmであった。
(2)塗膜の形成工程
二軸押出タイプの混練機を用いて各成分を混練し、冷却した後、所定の粒子径になるように、微粉砕、分級することにより、下記組成を有する粉体塗料(平均粒子径40μm)を作製した。
<粉体塗料>
・ アミノ変性エポキシ樹脂(関西ペイント社製エバクラッド3600) 80質量%
・表面処理シリカ粒子(平均粒子径4μmのシリカ粒子の表面に、湿式法でアクリル樹脂(住友化学社製スミペックス)をコーティングしたもの) 20質量%
(1)で得られた下地皮膜形成SPCCの主表面に対して、上記粉体塗料を、静電塗装法(コロナ荷電方式)により付着させ、次いで恒温炉で180℃、20分間加熱、溶融、硬化して塗膜を形成することにより、主表面の全面に塗膜を有する鉄系部材を作製した。
(3)鉄系部材の評価
得られた鉄系部材において、以下の方法により、塗膜の膜厚を測定し、また、塩水噴霧試験による耐食性の評価を行った。
(膜厚)
鉄系部材の主表面5箇所における塗膜の膜厚を、電磁式膜厚計(ケット社製LE−300J)で測定したところ、28〜40μmであった。
(塩水噴霧試験)
塗装面にクロスカットを入れ、JIS Z−2371に準じて塩水噴霧試験を行った。結果を表1に示す。
比較例1
鉄系材料からなる母材として、SPCC(冷間圧延鋼板;縦100mm×横100mm×厚さ3.6mm)を用い、この母材に以下の(1)〜(4)の処理、すなわち、
(1)アルカリ(主成分:苛性ソーダ)による脱脂処理、
(2)酸(主成分:塩酸)による洗浄処理、
(3)塩化亜鉛/アンモン浴による電気亜鉛めっき処理、
(4)日本表面科学社製処理液ジャスコトライナーTR−173Aを用いた三価クロメート処理を順次施すことにより、SPCC上に、亜鉛めっき膜および三価クロメート膜を順次形成した、鉄系部材を作製した。
得られた鉄系部材の主表面5箇所における亜鉛めっきの膜厚を、電解式膜厚計(電測工業社製EF−1000)で測定したところ、8〜16μmであった。
また、得たれた鉄系部材において、実施例1(3)と同様の方法により、塩水噴霧試験を行った。結果を表1に示す。
比較例2
比較例1(4)の三価クロメート処理の代わりに六価クロメート処理を行い、六価クロメートからなる膜を形成した以外は、比較例1と同様の方法により鉄系部材を作製した。
得られた鉄系部材の主表面5箇所における亜鉛めっきの膜厚を、電解式膜厚計(電測工業社製EF−1000)で測定したところ、8〜16μmであった。
また、得たれた鉄系部材において、実施例1(3)と同様の方法により、塩水噴霧試験を行った。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1(1)と同様にして下地皮膜形成SPCCを作製した後、90秒間三価クロメート処理液(日本表面科学社製処理液ジャスコトライナーTR−173A)に浸漬することにより三価クロメートからなる膜を形成し、鉄系部材を作製した。
得られた鉄系部材の主表面5箇所における亜鉛めっきの膜厚を、電解式膜厚計(電測工業社製EF−1000)で測定したところ、0.4〜0.7μmであった。
また、得たれた鉄系部材において、実施例1(3)と同様の方法により、塩水噴霧試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008214467
本発明の実施例1においては、母材表面に亜鉛めっきによる皮膜を形成する比較例1および比較例2と異なり、亜鉛粒子を投射して下地皮膜を形成しているため、製造工程を簡略化できるだけでなく、廃液に起因する環境負荷を低減できることが分かる。また、安価な亜鉛粒子を用い、設備の設置面積を減少させることにより、鉄系部材の製造コストを低減でき、さらに、低融点の金属である亜鉛を投射することにより、母材上にピンホールを形成することなく安定に皮膜を形成できることが分かる。加えて、本発明の実施例1においては、最表面に三価クロメートからなる膜を形成する比較例3と異なり、粉体塗料を用いて塗膜を形成しているため、塗装工程で有機溶剤や水等の溶媒を一切使用せず、廃液処理装置を設置する必要がないことが分かり、また、使用した粉体塗料のうち、塗膜形成に使用されなかったものは回収して再利用できるので、固形廃棄物の発生や、大気の汚染もなく、環境負荷を低減することができることが分かる。さらに加えて、表1の結果より、本発明の実施例1で得られた鉄系部材は、比較例1〜比較例3で得られた鉄系部材に比べて高い耐食性を有するものであることが分かる。
本発明によれば、防食性に優れた粉体塗料、低環境負荷で、簡便かつ低コストに鉄系部材を製造する方法および該方法により得られる鉄系部材を提供することができる。

Claims (7)

  1. アミノ変性エポキシ樹脂またはアミノ変性エポキシ樹脂とポリエステル樹脂との混合物を含むマトリクス樹脂に、シリカ粒子を分散させてなることを特徴とする粉体塗料。
  2. シリカ粒子の平均粒子径が0.1〜10μmである請求項1に記載の粉体塗料。
  3. シリカ粒子の少なくとも一部の表面がアクリル樹脂でコーティングされている請求項1または請求項2に記載の粉体塗料。
  4. 表面の少なくとも一部に塗膜を有する鉄系部材を製造する方法であって、
    鉄系材料からなる母材表面に亜鉛粒子を投射して下地皮膜を形成する工程と、該下地皮膜上の少なくとも一部に請求項1〜3のいずれかに記載の粉体塗料を
    塗布することにより塗膜を形成する工程と
    を含むことを特徴とする鉄系部材の製造方法。
  5. 得られる鉄系部材において、前記下地皮膜の膜厚が0.3〜3μmであり、前記塗膜の膜厚が15〜100μmである請求項4に記載の鉄系部材の製造方法。
  6. 得られる鉄系部材がディスクブレーキ装置の構成部材である請求項4または請求項5に記載の鉄系部材の製造方法。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の方法で得られたことを特徴とする鉄系部材。


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