JP5213231B2 - 金属フィラー含有塗料、金属フィラー含有塗料の製造方法および鉄系部材 - Google Patents

金属フィラー含有塗料、金属フィラー含有塗料の製造方法および鉄系部材 Download PDF

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Description

本発明は、金属フィラー含有塗料、金属フィラー含有塗料の製造方法および鉄系部材に関する。
さらに詳しくは、本発明は、特に、防食性に優れた金属フィラー含有塗料、該金属フィラー含有塗料を特別な装置を必要とせずに簡易に製造する方法、および上記金属フィラー含有塗料からなる皮膜を表面に有する、環境負荷を低減した鉄系部材に関するものである。
車両用のディスクブレーキ装置としては、いわゆる、フローティング・キャリパ式のディスクブレーキ装置が知られている。このタイプのブレーキ装置は、通常、構成部材として、車輪と一体回転する円盤状のロータと、このロータを挟んで対向配置される一対の摩擦パッドと、該摩擦パッドをロータに押し付けるためのピストンを内蔵するキャリパボディと、車体側に取り付けられると共にキャリパボディをロータの軸方向に摺動可能に支持するサポートとを有している。
そして、上記キャリパボディは、上記ロータの上を跨ぐブリッジ部と、該ブリッジ部の一端側に装備されて上記ピストンを進退可能に収容したシリンダ部と、上記ブリッジ部の他端側に装備されて他方の摩擦パッドの背面を抑えるキャリパ爪とを有している。
上記ディスクブレーキ装置を構成するキャリパボディやサポートは、通常球状黒鉛鋳鉄(FCD450相当材)からなり、その表面には亜鉛メッキおよび六価クロムによるクロメート処理が施され耐食性が確保されている。
しかし、クロメート処理して形成した皮膜中には六価クロムが残留するため、人体への影響が懸念されるとともに、亜鉛メッキ処理やクロメート処理自体が、処理工程を煩雑にし、廃液処理や設備の設置面積を増大させるという課題を有していた。
このため、例えば、樹脂およびZn粉末のような防錆顔料を含み、六価クロムを含まない粉体塗料を用いて、静電塗装法により、金属材料の表面に塗膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、静電塗装法は、直流高電圧で帯電させた粉体塗料を静電引力によって被処理物表面に付着させる方法であり、粉体塗料がZn粉末等の電気伝導性の高い金属成分を含むものである場合、粉体塗料が帯電しにくくなって被処理物表面に付着しにくくなる。
そこで、樹脂とZn等の金属粉末とを、ニーダー等を用いて加熱、溶融、混練した後、粉砕することにより作製した粉体塗料を使用する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)が、この方法は、ニーダー等の特別な設備を必要とするものであることから、製造コストが上昇するという課題を有している。
特開2004−99808号公報 特開2002−212508号公報
本発明は、このような事情のもとで、防食性に優れた金属フィラー含有塗料、該金属フィラー含有塗料を特別な装置を必要とせずに簡易に製造する方法、および上記金属フィラー含有塗料からなる皮膜を表面に有する、環境負荷を低減した鉄系部材を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、金属フィラー含有硬化樹脂粉末と未硬化樹脂粉末とを含むことを特徴とする金属フィラー含有塗料により、上記課題を解決し得ることを見出し、本知見に基いて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
亜鉛または亜鉛とともにアルミニウムまたはマグネシウムのいずれか1種以上を含む亜鉛合金からなる球状またはフレーク状の金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末と未硬化エポキシ樹脂粉末とを含む金属フィラー含有塗料を製造する方法であって、
金属フィラーおよび未硬化エポキシ樹脂を混合、加熱、粉砕することにより金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末を作製する工程と、
前記金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末と未硬化エポキシ樹脂粉末を30:70〜50:50の組成(体積%)で混合する工程と
を含み、
前記2つの工程における混合をせん断力を加えることなく攪拌によって行うことを特徴とする金属フィラー含有塗料の製造方法
提供するものである。
本発明によれば、防食性に優れた金属フィラー含有塗料、該金属フィラー含有塗料を特別な装置を必要とせずに簡易に製造する方法、および上記金属フィラー含有塗料からなる皮膜を表面に有する、環境負荷を低減した鉄系部材を提供することができる。
先ず、本発明の金属フィラー含有塗料について説明する。
本発明の金属フィラー含有塗料は、金属フィラー含有硬化樹脂粉末と未硬化樹脂粉末とを含むことを特徴とするものである。
金属フィラー含有硬化樹脂粉末を構成する硬化樹脂としては、例えば、未硬化状態の熱硬化性樹脂を、熱硬化させてなるものが好ましく、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂とポリエステル樹脂の混合物等を挙げることができる。
エポキシ樹脂を熱硬化させてなる硬化樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合反応物、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの縮合反応物等のグリシジルエーテル型樹脂、グリシジルエステル樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、フェノール−ノボラック型またはクレゾール−ノボラック型のエポキシ樹脂といったエポキシ樹脂の熱硬化物を挙げることができ、これらの熱硬化物のうち、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合反応物、またはビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの縮合反応物等のグリシジルエーテル型樹脂の熱硬化物が好ましい。
具体的には、東都化成社製「エポトート YD903N、YD 128、YD14、PN639、CN701、NT114、ST−5080、ST−5100、ST−4100D」、ダイセル化学社製「EITPA3150」、チバ・ガイギー社製「アルダイトCY179、PT810、PT910、GY6084」、ナガセ化成社製「テコナールEX711」、大日本インキ社製「エピクロン 4055RP、N680、HP4032、N−695、HP7200H」、油化シェルエポキシ社製「エピコート1001、1002、1003、1004、1007」、ダウ・ケミカル社製「DER662」、日本化薬社製「EPPN201、202、EOCN1020、102S」等のエポキシ樹脂を熱硬化させたものを挙げることができる。
ポリエステル樹脂を熱硬化させてなる硬化樹脂としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、β−オキシプロピオン酸等のカルボン酸とを常法に従って重合させて得たポリエステル樹脂の熱硬化物が挙げられる。
ポリエステル樹脂の平均分子量は、500〜100,000が好ましく、2,000〜80,000がより好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価は、0〜300mgKOH/gが好ましく、30〜120mgKOH/gがより好ましい。また、ポリエステル樹脂の酸価は、0〜200mgKOH/gが好ましく、10〜100mgKOH/gがより好ましい。ポリエステル樹脂の融点は、50〜200℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。
具体的には、ダイセルUCB社製「クリルコート341、7620、7630」、大日本インキ社製「ファインディックM−8010、8020、8024、8710」、日本ユピカ社製「ユピカコートGV110、230」、日本エステル社製の「ER6570」、ヒュルス社製の「VESTAGON EP−P100」等のポリエステル樹脂を熱硬化させたものを挙げることができる。
エポキシ樹脂とポリエステル樹脂の混合物を熱硬化させてなる硬化樹脂としては、上記エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂を所定量づつ配合した混合物の熱硬化物を挙げることができ、上記エポキシ樹脂とポリエステル樹脂の混合物において、ポリエステル樹脂の配合量は、組成物全量基準で、10〜90質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましく、40〜50質量%がさらに好ましい。
本発明の金属フィラー含有塗料において、金属フィラー含有硬化樹脂粉末を構成する金属フィラーとしては、亜鉛または亜鉛合金からなるものであることが好ましい。
上記亜鉛合金としては、亜鉛とともにアルミニウムまたはマグネシウムのいずれか1種以上を含むものであることが好ましく、このような亜鉛合金としては、亜鉛−アルミニウム合金または亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金を挙げることができる。
金属フィラーが亜鉛合金からなる場合、合金全体に占める亜鉛の含有割合は、質量比で、30〜95%であることが好ましく、35〜95%であることがより好ましく、40〜90%であることがさらに好ましい。
金属フィラー含有硬化樹脂粉末を構成する金属フィラーの形状は、球状またはフレーク状であることが好ましい。
金属フィラーが球状のものである場合、その平均粒子径は3〜30μmが好ましく、3〜20μmがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは体積平均粒子径を意味し、体積平均粒子径は、例えば粒度分布測定器等で測定することができる。
また、金属フィラーがフレーク状のものである場合、その平均長径は5〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。また、その平均厚さは0.5〜5.0μmが好ましく、0.5〜2.0μmがより好ましく、0.5〜1.0μmがさらに好ましく、そのアスペクト比(平均長径/平均短径)は2.0〜20が好ましく、5〜20がより好ましく、10〜20がさらに好ましい。
金属フィラー含有硬化樹脂粉末全体に占める金属フィラーの含有割合は、体積割合で、5〜40%であることが好ましく、20〜30%であることがより好ましく、25〜30%であることがさらに好ましい。
本発明の金属フィラー含有塗料において、金属フィラー含有硬化樹脂粉末は、適宜、着色顔料、防錆顔料または体質顔料等の顔料を含んでもよく、具体的には、酸化チタン、ベンガラ、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料等の着色顔料、クロム系顔料、リン酸塩系顔料、モリブデン系顔料等の防錆顔料、タルク、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料を挙げることができる。
また、本発明の金属フィラー含有塗料において、金属フィラー含有硬化樹脂粉末は、適宜レベリング剤(表面調整剤)を含んでもよく、レべリング剤としては、アクリルオリゴマー等のアクリル重合系樹脂、ジメチルシリコーンやメチルシリコーンなどのシリコーン類が挙げられるが、特にアクリル重合系樹脂が好ましい。このような樹脂として、具体的には、モンサント化成社製の「モダフロー」、BASF社製の「アクロナール4F」、BYKchemie社製の「BYK−360P」、楠本化成社製の「チィスパロンPL540」、東芝シリコーン社製の「CF−1056」などが挙げられる。
本発明の金属フィラー含有塗料において、金属フィラー含有硬化樹脂粉末の平均粒子径は10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましく、30〜50μmであることがさらに好ましい。
本発明の金属フィラー含有塗料において、未硬化樹脂粉末を構成する未硬化樹脂としては、熱硬化性樹脂であることが好ましく、熱硬化性樹脂としては、上記金属フィラー含有硬化樹脂粉末を構成する硬化樹脂の熱硬化前におけるエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびエポキシ樹脂とポリエステル樹脂の混合物と同様のものを挙げることができる。
未硬化性樹脂は、上記金属フィラー含有硬化樹脂粉末を構成する硬化樹脂と同種の樹脂であってもよいし、異種の樹脂であってもよいが、同種の樹脂であることが好ましい。
本発明の金属フィラー含有塗料において、未硬化樹脂粉末の平均粒子径は10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましく、20〜40μmであることがさらに好ましい。
本発明の金属フィラー含有塗料において、金属フィラー含有硬化樹脂粉末と未硬化樹脂粉末との含有割合(金属フィラー含有硬化樹脂粉末:未硬化樹脂粉末)は、体積比で、10:90〜60:40であることが好ましく、20:80〜55:45であることがより好ましく、30:50〜50:50であることがさらに好ましい。
本発明の金属フィラー含有塗料は、金属フィラー含有硬化樹脂粉末や未硬化樹脂粉末とともに、さらに、上記顔料やレベリング剤を適宜含んでもよい。
本発明の金属フィラー含有塗料は、鉄系部材等の被処理物表面に塗布することにより、耐食性に優れた皮膜を形成することができる。
次に、本発明の金属フィラー含有塗料の製造方法について説明する。
本発明の方法は、上記本発明の金属フィラー含有塗料を製造する方法であって、未硬化樹脂および金属フィラーを混合、加熱、粉砕することにより金属フィラー含有硬化樹脂粉末を作製する工程と、前記金属フィラー含有硬化樹脂粉末と未硬化樹脂粉末を混合する工程とを含むことを特徴とするものである。
金属フィラー含有硬化樹脂粉末を作製する工程において、混合粉末の構成材料である未硬化樹脂と金属フィラーは、それぞれ所定量秤量された後、遊星ボールミル、ボールミル、ビーズミル、高速攪拌型混合機(ヘンシェルミキサーやハイスピードミキサー等)等により混合することができる。上記混合処理は、被処理物にせん断力を加える混練法等による処理とは異なり、単に攪拌によって未硬化樹脂と金属フィラーを均一に分散させる処理であるため、ニーダー等の特別な装置を必要とせず、簡易に行うことができる。
未硬化樹脂と金属フィラーの混合物は、次いで加熱処理され、加熱処理して得られた金属フィラー含有硬化樹脂をハンマー等で粉砕した後、適宜分級操作を加えることにより、所望粒径を有する金属フィラー含有硬化樹脂粉末を得ることができる。
上記金属フィラー含有硬化樹脂粉末は、次いで未硬化樹脂と混合する工程に付される。本工程における混合処理は、上記金属フィラー含有硬化樹脂粉末の作製工程における混合処理と同様に、遊星ボールミル、ボールミル、ビーズミル、高速攪拌型混合機(ヘンシェルミキサーやハイスピードミキサー等)等により行うことができる。上記混合処理は、被処理物にせん断力を加える混練法等による処理とは異なり、単に攪拌によって金属フィラー含有硬化樹脂粉末と未硬化樹脂とを均一に分散させる処理であるため、ニーダー等の特別な装置を必要とせず、簡易に行うことができる。
次に、本発明の鉄系部材について説明する。
本発明の鉄系部材は、上記本発明の金属フィラー含有塗料からなる皮膜を表面の少なくとも一部に有することを特徴とするものである。
本発明の鉄系部材は、その母材が鉄系材料からなるものであるが、ここで鉄系材料とは、鉄そのものまたは鉄を主成分とする鉄合金を意味し、鉄合金としては、鉄とともに、炭素、ケイ素、マグネシウム、マンガン、ニッケル、クロム、モリブデン、銅等を含有するものを挙げることができる。上記鉄合金として、具体的には、鋼や鋳鉄等を挙げることができ、鋼としては、冷間圧延鋼を挙げることができ、鋳鉄としては、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、合金鋳鉄等を挙げることができる。
本発明の鉄系部材において、金属フィラー含有塗料からなる皮膜の膜厚は、 30〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがより好ましく、30〜50μmであることがさらに好ましい。
鉄系部材としては、特にディスクブレーキ装置の構成部材が好ましく、このような構成部材としては、ディスクブレーキ装置のキャリパボディやサポート等を挙げることができる。
本発明の鉄系部材は、本発明の金属フィラー含有塗料を、粉体塗装法等により母材上に塗布することにより形成することができる。
粉体塗装法としては、静電塗装法と流動浸漬法が挙げられる。静電塗装法においては、高圧静電発生機で得られる−40KV〜−90KV程度の直流高電圧により、本発明の金属フィラー含有塗料を負に帯電させ、被塗物である母材表面に静電引力によって付着させた後、焼付炉で加熱、溶融、硬化して皮膜を形成する。また、流動浸漬法においては、底部に多孔質の板を置いた流動槽内で、本発明の金属フィラー含有塗料をエアー流動させ、この浮遊する金属フィラー含有塗料中に250〜300℃程度に予熱された被塗物(母材)を浸漬し、被塗物表面に付着した金属フィラー含有塗料を熱溶融させることによって、皮膜を形成する。
本発明の鉄系部材は、表面に有する皮膜が、六価クロムを含有しない本発明の金属フィラー含有塗料からなるものであり、また、皮膜の形成過程において、めっき処理やクロメート処理を必要としないものであるため、環境負荷を低減し得るものである。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1(金属フィラー含有塗料の製造例)
(A)金属フィラー含有硬化樹脂粉末の作製工程
(1)構成材料の混合処理
金属フィラーである亜鉛粉末(平均粒子径7μm、日本高純度化学(株)製)、亜鉛フレーク(長径10μm、短径0.5μm、福田金属箔工業(株)製)または亜鉛合金粉末(亜鉛42質量%、アルミニウム55質量%、マグネシウム3質量%を含有するガスアトマイズ品をふるい分けした、粒子径が38μm以下のもの)と、未硬化樹脂であるエポキシ樹脂とを、それぞれ表1の塗料1〜4に示す割合になるように秤量した。
次いで、上記金属フィラーおよび未硬化樹脂を、遊星ボールミルを用いて100rpmで、5分間、攪拌、混合して、金属フィラーおよび未硬化樹脂の混合物を得た。
(2)混合物の加熱処理
上記金属フィラーおよび未硬化樹脂の混合物をステンレス製トレイに移し、あらかじめ180℃に加熱しておいたオーブン中で2時間加熱して混合物中の未硬化樹脂を完全に溶融させ、硬化させることにより、硬化物を得た。
なお、未硬化樹脂として用いた上記エポキシ樹脂は,示差走査熱量計(DSC)で測定したときに約160℃に硬化発熱のピークがあり,その温度より高い180℃では硬化剤を用いなくとも十分に硬化反応が起こり得るものである。
(3)硬化物の粉砕処理
(2)で得た硬化物の塊をハンマーで粗粉砕した後,遊星ボールミルを用いて300rpmで、5分間粉砕処理した。得られた粉砕物を目開き45μmのふるいにかけることにより、粒径が45μm以下である金属フィラー含有硬化樹脂粉末を得た。
(B)金属フィラー含樹脂粉末と未硬化樹脂粉末との混合工程
(A)で得た金属フィラー含有硬化樹脂粉末と、未硬化樹脂粉末であるエポキシ樹脂粉末(平均粒子径30μm)とを、表1に示す割合になるように秤量し、遊星ボールミルを用いて100rpmで、5分間、攪拌、混合することにより、金属フィラー含有塗料である塗料1〜4を得た。
このようにして、ニーダー等の特別な装置を必要とせずに、簡易な方法により金属フィラー含有塗料を得ることができた。
得られた塗料1〜4は、後記の実施例2において、母材としての鉄系材料に塗布して鉄系部材を製造するために用いられる。
比較例1(金属フィラーを含有する比較塗料の製造例)
金属フィラー含有硬化樹脂粉末の代わりに、それぞれ実施例1の塗料1〜4で用いた金属フィラーの粉末またはフレークをそのまま用い、この金属フィラーと未硬化樹脂粉末であるエポキシ樹脂粉末(平均粒子径30μm)とを、表1に示す割合になるように秤量し、遊星ボールミルを用いて100rpmで5分間、攪拌、混合することにより、金属フィラーを含有する比較塗料1〜4を得た。
得られた比較塗料1〜4は、後記の比較例2において、母材としての鉄系材料に塗布して比較鉄系部材を製造するために用いられる。
実施例2(鉄系部材の製造例)
(製造例1)
鉄系部材の母材として、鋼板(SAPH400相当)製試験片(縦50mm×横60mm×厚さ3.2mm)を用い、上記母材の主表面全体に、実施例1で得た金属フィラー含有塗料(塗料1〜4)を、旭サナック(株)製コロナガンを用いて厚さが約30μmになるように塗布し、その後、180℃で60分間加熱することにより、金属フィラー含有塗料からなる皮膜を有する鉄系部材を得た。
(製造例2)
鉄系部材の母材としてシリンダボディから切り出した球状黒鉛鋳鉄(FCD450相当材)製試験片(縦50mm×横60mm×厚さ10mm)を用い、上記母材の主表面全体に、実施例1で得た金属フィラー含有塗料(塗料1〜4)を、旭サナック(株)製コロナガンを用いて厚さが約30μmになるように塗布し、その後、190℃で30分間加熱することにより、金属フィラー含有塗料からなる皮膜を有する鉄系部材を得た。
製造例1および製造例2によれば、皮膜形成のための亜鉛メッキ処理や六価クロムによるクロメート処理を行うことなく、金属フィラー含有塗料皮膜を加熱処理のみで母材である鉄系材料の表面に形成することが可能であり、環境負荷を低減し得るものであることが分かる。
次に製造例1および製造例2で得られた鉄系部材を用いて皮膜中の金属フィラーの含有状況および防食性を下記の方法によって評価した。
(評価方法)
(1)金属フィラーの含有状況
上記製造例1で得られた鉄系部材において、部材表面における皮膜の断面写真を10点づつ撮影し、得られた断面写真から各金属フィラーの面積率((金属フィラーの面積/塗膜面積)×100)を算出し、その平均値を求めた。得られた結果を表1に示す。なお、表1において、各金属フィラーの面積率は、使用した各金属フィラー含有塗料(塗料1〜4)に対応するように記載している。
(2)防食性
上記製造例1および製造例2で作製した各鉄系部材に対して連続塩水噴霧試験を行った。
製造例1で作製した鉄系部材(鋼板製試験片)には、より厳しい条件とするために、1辺の長さが40mmになるようにクロスカットを入れ、このクロスカット部を評価部として目視で観察した。
また、製造例2で作製した鉄系部材(鋳鉄製試験片)は鋳肌部を残しており、鋳肌(凹凸100μm)の凸部で基材表面が露出し、錆が発生しやすいため、この凸部を評価部として目視で観察した。
塩水噴霧試験は、塩水濃度5%、湿度96%、温度35℃の条件下、72時間実施し、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、鉄系部材の防食性は、使用した各金属フィラー含有塗料に対応するように記載している。
(製造例1で得た鉄系部材(鋼板製試験片)の評価基準)
A:亜鉛の腐食に起因する白錆によりクロスカット部が保護されており、クロスカット部全長に対して赤錆が発生している長さが5%以内である。
B:クロスカット部全長に対して赤錆が発生している長さが5%を超え20%未満である。
C:クロスカット部全長に対して赤錆が発生している長さが20%以上100%未満である。
D:クロスカット部のほぼ全長で赤錆が発生している。
(製造例2で得た鉄系部材(鋳鉄製試験片)の評価基準)
a:鋳肌の凸部において亜鉛の腐食に起因する白錆の発生面積率が5%以内であり、赤錆が発生していない。
b:鋳肌の凸部において点状赤錆の発生面積率が0%を超え5%未満である。
c:鋳肌の凸部における点状赤錆の発生面積率が5%以上20%未満である。
d:鋳肌の凸部における点状赤錆の発生面積率が20%以上である。
比較例2(比較鉄系部材の製造例)
実施例1で得た塗料1〜4の代わりに、比較例1で得た比較塗料1〜4を用いた以外は、実施例2の製造例1および製造例2と同様にして鉄系部材を作製し、得られた鉄系部材について、実施例2と同様にして、金属フィラーの含有状況および防食性の評価を行った。結果を表1に示す。表1において、鉄系部材の防食性は、使用した各金属フィラー含有塗料に対応するように記載している。
Figure 0005213231
表1の結果より、本発明の金属フィラー含有塗料1〜4を用いて形成した皮膜は、比較塗料1〜4を用いて形成した皮膜に比べて、金属フィラーの面積率(金属フィラーの含有率)が高く、また高い防食性を示すものであることが分かる。
本発明によれば、防食性に優れた金属フィラー含有塗料、該金属フィラー含有塗料を特別な装置を必要とせずに簡易に製造する方法、および上記金属フィラー含有塗料からなる皮膜を表面に有する、環境負荷を低減した鉄系部材を提供することができる。

Claims (1)

  1. 亜鉛または亜鉛とともにアルミニウムまたはマグネシウムのいずれか1種以上を含む亜鉛合金からなる球状またはフレーク状の金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末と未硬化エポキシ樹脂粉末とを含む金属フィラー含有塗料を製造する方法であって、
    金属フィラーおよび未硬化エポキシ樹脂を混合、加熱、粉砕することにより金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末を作製する工程と、
    前記金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末と未硬化エポキシ樹脂粉末を30:70〜50:50の組成(体積%)で混合する工程と
    を含み、
    前記2つの工程における混合をせん断力を加えることなく攪拌によって行うことを特徴とする金属フィラー含有塗料の製造方法。
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