JP5213231B2 - 金属フィラー含有塗料、金属フィラー含有塗料の製造方法および鉄系部材 - Google Patents
金属フィラー含有塗料、金属フィラー含有塗料の製造方法および鉄系部材 Download PDFInfo
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Description
(1)亜鉛または亜鉛とともにアルミニウムまたはマグネシウムのいずれか1種以上を含む亜鉛合金からなる球状またはフレーク状の金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末と未硬化エポキシ樹脂粉末とを含む金属フィラー含有塗料を製造する方法であって、
金属フィラーおよび未硬化エポキシ樹脂を混合、加熱、粉砕することにより金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末を作製する工程と、
前記金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末と未硬化エポキシ樹脂粉末を30:70〜50:50の組成(体積%)で混合する工程と
を含み、
前記2つの工程における混合をせん断力を加えることなく攪拌によって行うことを特徴とする金属フィラー含有塗料の製造方法、
を提供するものである。
本発明の金属フィラー含有塗料は、金属フィラー含有硬化樹脂粉末と未硬化樹脂粉末とを含むことを特徴とするものである。
本発明の方法は、上記本発明の金属フィラー含有塗料を製造する方法であって、未硬化樹脂および金属フィラーを混合、加熱、粉砕することにより金属フィラー含有硬化樹脂粉末を作製する工程と、前記金属フィラー含有硬化樹脂粉末と未硬化樹脂粉末を混合する工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明の鉄系部材は、上記本発明の金属フィラー含有塗料からなる皮膜を表面の少なくとも一部に有することを特徴とするものである。
実施例1(金属フィラー含有塗料の製造例)
(A)金属フィラー含有硬化樹脂粉末の作製工程
(1)構成材料の混合処理
金属フィラーである亜鉛粉末(平均粒子径7μm、日本高純度化学(株)製)、亜鉛フレーク(長径10μm、短径0.5μm、福田金属箔工業(株)製)または亜鉛合金粉末(亜鉛42質量%、アルミニウム55質量%、マグネシウム3質量%を含有するガスアトマイズ品をふるい分けした、粒子径が38μm以下のもの)と、未硬化樹脂であるエポキシ樹脂とを、それぞれ表1の塗料1〜4に示す割合になるように秤量した。
次いで、上記金属フィラーおよび未硬化樹脂を、遊星ボールミルを用いて100rpmで、5分間、攪拌、混合して、金属フィラーおよび未硬化樹脂の混合物を得た。
(2)混合物の加熱処理
上記金属フィラーおよび未硬化樹脂の混合物をステンレス製トレイに移し、あらかじめ180℃に加熱しておいたオーブン中で2時間加熱して混合物中の未硬化樹脂を完全に溶融させ、硬化させることにより、硬化物を得た。
なお、未硬化樹脂として用いた上記エポキシ樹脂は,示差走査熱量計(DSC)で測定したときに約160℃に硬化発熱のピークがあり,その温度より高い180℃では硬化剤を用いなくとも十分に硬化反応が起こり得るものである。
(3)硬化物の粉砕処理
(2)で得た硬化物の塊をハンマーで粗粉砕した後,遊星ボールミルを用いて300rpmで、5分間粉砕処理した。得られた粉砕物を目開き45μmのふるいにかけることにより、粒径が45μm以下である金属フィラー含有硬化樹脂粉末を得た。
(A)で得た金属フィラー含有硬化樹脂粉末と、未硬化樹脂粉末であるエポキシ樹脂粉末(平均粒子径30μm)とを、表1に示す割合になるように秤量し、遊星ボールミルを用いて100rpmで、5分間、攪拌、混合することにより、金属フィラー含有塗料である塗料1〜4を得た。
このようにして、ニーダー等の特別な装置を必要とせずに、簡易な方法により金属フィラー含有塗料を得ることができた。
得られた塗料1〜4は、後記の実施例2において、母材としての鉄系材料に塗布して鉄系部材を製造するために用いられる。
金属フィラー含有硬化樹脂粉末の代わりに、それぞれ実施例1の塗料1〜4で用いた金属フィラーの粉末またはフレークをそのまま用い、この金属フィラーと未硬化樹脂粉末であるエポキシ樹脂粉末(平均粒子径30μm)とを、表1に示す割合になるように秤量し、遊星ボールミルを用いて100rpmで5分間、攪拌、混合することにより、金属フィラーを含有する比較塗料1〜4を得た。
得られた比較塗料1〜4は、後記の比較例2において、母材としての鉄系材料に塗布して比較鉄系部材を製造するために用いられる。
(製造例1)
鉄系部材の母材として、鋼板(SAPH400相当)製試験片(縦50mm×横60mm×厚さ3.2mm)を用い、上記母材の主表面全体に、実施例1で得た金属フィラー含有塗料(塗料1〜4)を、旭サナック(株)製コロナガンを用いて厚さが約30μmになるように塗布し、その後、180℃で60分間加熱することにより、金属フィラー含有塗料からなる皮膜を有する鉄系部材を得た。
鉄系部材の母材としてシリンダボディから切り出した球状黒鉛鋳鉄(FCD450相当材)製試験片(縦50mm×横60mm×厚さ10mm)を用い、上記母材の主表面全体に、実施例1で得た金属フィラー含有塗料(塗料1〜4)を、旭サナック(株)製コロナガンを用いて厚さが約30μmになるように塗布し、その後、190℃で30分間加熱することにより、金属フィラー含有塗料からなる皮膜を有する鉄系部材を得た。
製造例1および製造例2によれば、皮膜形成のための亜鉛メッキ処理や六価クロムによるクロメート処理を行うことなく、金属フィラー含有塗料皮膜を加熱処理のみで母材である鉄系材料の表面に形成することが可能であり、環境負荷を低減し得るものであることが分かる。
(評価方法)
(1)金属フィラーの含有状況
上記製造例1で得られた鉄系部材において、部材表面における皮膜の断面写真を10点づつ撮影し、得られた断面写真から各金属フィラーの面積率((金属フィラーの面積/塗膜面積)×100)を算出し、その平均値を求めた。得られた結果を表1に示す。なお、表1において、各金属フィラーの面積率は、使用した各金属フィラー含有塗料(塗料1〜4)に対応するように記載している。
上記製造例1および製造例2で作製した各鉄系部材に対して連続塩水噴霧試験を行った。
製造例1で作製した鉄系部材(鋼板製試験片)には、より厳しい条件とするために、1辺の長さが40mmになるようにクロスカットを入れ、このクロスカット部を評価部として目視で観察した。
また、製造例2で作製した鉄系部材(鋳鉄製試験片)は鋳肌部を残しており、鋳肌(凹凸100μm)の凸部で基材表面が露出し、錆が発生しやすいため、この凸部を評価部として目視で観察した。
塩水噴霧試験は、塩水濃度5%、湿度96%、温度35℃の条件下、72時間実施し、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、鉄系部材の防食性は、使用した各金属フィラー含有塗料に対応するように記載している。
A:亜鉛の腐食に起因する白錆によりクロスカット部が保護されており、クロスカット部全長に対して赤錆が発生している長さが5%以内である。
B:クロスカット部全長に対して赤錆が発生している長さが5%を超え20%未満である。
C:クロスカット部全長に対して赤錆が発生している長さが20%以上100%未満である。
D:クロスカット部のほぼ全長で赤錆が発生している。
(製造例2で得た鉄系部材(鋳鉄製試験片)の評価基準)
a:鋳肌の凸部において亜鉛の腐食に起因する白錆の発生面積率が5%以内であり、赤錆が発生していない。
b:鋳肌の凸部において点状赤錆の発生面積率が0%を超え5%未満である。
c:鋳肌の凸部における点状赤錆の発生面積率が5%以上20%未満である。
d:鋳肌の凸部における点状赤錆の発生面積率が20%以上である。
実施例1で得た塗料1〜4の代わりに、比較例1で得た比較塗料1〜4を用いた以外は、実施例2の製造例1および製造例2と同様にして鉄系部材を作製し、得られた鉄系部材について、実施例2と同様にして、金属フィラーの含有状況および防食性の評価を行った。結果を表1に示す。表1において、鉄系部材の防食性は、使用した各金属フィラー含有塗料に対応するように記載している。
Claims (1)
- 亜鉛または亜鉛とともにアルミニウムまたはマグネシウムのいずれか1種以上を含む亜鉛合金からなる球状またはフレーク状の金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末と未硬化エポキシ樹脂粉末とを含む金属フィラー含有塗料を製造する方法であって、
金属フィラーおよび未硬化エポキシ樹脂を混合、加熱、粉砕することにより金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末を作製する工程と、
前記金属フィラー含有硬化エポキシ樹脂粉末と未硬化エポキシ樹脂粉末を30:70〜50:50の組成(体積%)で混合する工程と
を含み、
前記2つの工程における混合をせん断力を加えることなく攪拌によって行うことを特徴とする金属フィラー含有塗料の製造方法。
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