JP3441610B2 - 鋳鉄管内面への粉体塗料の塗装方法 - Google Patents
鋳鉄管内面への粉体塗料の塗装方法Info
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Description
体塗料の塗装方法に関し、さらに詳しくは、上水道用の
鋳鉄管のす(巣)穴に基づくピンホールの発生を抑制
し、長期間の耐食性、耐水性などの基本性能を満足しつ
つ、水道水(本発明において、「水道水」とは「上水道
水」を意味する)に要求される残留塩素の消費を抑制す
る効果が優れた鋳鉄管内面への粉体塗料の塗装方法に関
する。
には、主としてイミダゾリン系、ヒドラジド系、アマイ
ド系、ジシアンジアミド系、イミダゾール系などの窒素
系硬化剤を使用したエポキシ粉体塗料が用いられてき
た。これは、主として、窒素系硬化剤を使用したエポキ
シ粉体塗料が鋳鉄管のす穴に基づくピンホールの発生を
抑制する効果が優れているという理由によるものであ
る。
エポキシ粉体塗料は、硬化剤中に含まれている窒素原子
が水道水中の塩素イオン濃度を減少させるため、水道水
の末端消費段階で水質が低下するという問題があった。
な従来の上水道用鋳鉄管の内面塗装に関する問題点を解
決し、長期間の耐食性、耐水性、適正なエリクセン値の
ほか、耐温度勾配性、耐ピンホール性などの諸性能を維
持し、さらに水道水中の残留塩素の消費を抑制する効果
が優れた鋳鉄管内面への粉体塗料の塗装方法を提供する
ことを目的とする。
管の内面にまず窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料を
塗装して、鋳鉄管のす穴に基づくピンホールの発生を抑
制し、ついでエポキシ当量が400〜2000のエポキ
シ樹脂、酸価が10〜200のアクリル樹脂および平均
粒子径1〜50μmのシリカを含み、上記エポキシ樹脂
とアクリル樹脂の配合比率がエポキシ基:カルボキシル
基の当量比で1:0.6〜1:1.6であり、180℃
のゲルタイム(糸引き法)が10〜200秒に調整され
た窒素系硬化剤を含まないアクリル−エポキシハイブリ
ッド粉体塗料を塗装することによって、水道水中の残留
塩素の消費を抑制することにより、上記目的を達成した
ものである。
最初に鋳鉄管の内面に窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体
塗料を塗装するが、その窒素系硬化剤を含むエポキシ粉
体塗料としては、たとえば、エポキシ当量が400〜2
000のエポキシ樹脂100重量部に対してイミダゾリ
ン系および/またはヒドラジド系硬化剤1〜20重量部
を含み、かつ平均粒子径1〜50μmのシリカを含み、
180℃のゲルタイム(糸引き法)が10〜200秒に
調整されたエポキシ粉体塗料が好ましい。このエポキシ
粉体塗料がまず最初に鋳鉄管の内面に第1層目として塗
装されることによって、鋳鉄管のす穴に基づくピンホー
ルの発生が抑制されるとともに、長期間の耐食性や付着
性が確保される。
体塗料についで塗装する窒素系硬化剤を含まない粉体塗
料としては、前記のように、エポキシ当量が400〜2
000のエポキシ樹脂、酸価が10〜200のアクリル
樹脂および平均粒子径1〜50μmのシリカを含み、上
記エポキシ樹脂とアクリル樹脂の配合比率がエポキシ
基:カルボキシル基の当量比で1:0.6〜1:1.6
であり、180℃のゲルタイム(糸引き法)が10〜2
00秒に調整されたアクリル−エポキシハイブリッド粉
体塗料が用いられる。この窒素系硬化剤を含まないアク
リル−エポキシハイブリッド粉体塗料が水道水と接触す
る面に第2層目として塗装されることにより、水道水中
の残留塩素の消費が最小限に抑制される。
の基材樹脂となるエポキシ樹脂として、たとえば、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビス
フェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ノボラック型
エポキシ樹脂、イソシアヌル酸エポキシ樹脂、テレフタ
ル酸エポキシ樹脂などが挙げられ、これらは単独で用い
てもよいし、また2種類以上を混合して用いてもよい。
当量は400〜2000であることが好ましいが、これ
は次の理由によるものである。すなわち、エポキシ樹脂
のエポキシ当量が400未満の場合は、エポキシ粉体塗
料の反応性が強くなるため、そのゲルタイムが経時的に
速くなり、ピンホールが発生しやすくなったり、固着性
が強くなるおそれがある。また、エポキシ樹脂のエポキ
シ当量が2000を超える場合は、エポキシ粉体塗料の
反応性が低下して、ピンホールの発生を抑制する効果が
低下し、またエリクセン値が1mm以下になり、塗膜が
鋳鉄管の変形に対して追随できなくなって、塗膜にクラ
ックが生じるようになるおそれがある。
化剤を含むエポキシ粉体塗料の窒素系硬化剤としては、
たとえば、2−エチルイミダゾリン、2−フェニルイミ
ダゾリン、2−フェニルイミダゾリン−イソシアヌル酸
付加物、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリン
などのイミダゾリン系硬化剤、コハク酸ジヒドラジド、
アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イ
ソフタル酸ジヒドラジド酸などのヒドラジド系硬化剤な
どが挙げられ、これらのイミダゾリン系硬化剤、ヒドラ
ジド系硬化剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、また2
種類以上を混合して用いてもよく、さらにはイミダゾリ
ン系硬化剤とヒドラジド系硬化剤とを併用してもよい。
ド系硬化剤などの窒素系硬化剤の配合量は、エポキシ樹
脂100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。イ
ミダゾリン系硬化剤やヒドラジド系硬化剤などの窒素系
硬化剤の配合量がエポキシ樹脂100重量部に対して1
重量部より少ない場合は、充分な架橋密度が得られず、
従って長期間の耐食性、付着性が得られなくなるおそれ
があり、イミダゾリン系硬化剤やヒドラジド系硬化剤な
どの窒素系硬化剤の配合量がエポキシ樹脂100重量部
に対して20重量部より多い場合は、硬化剤が多すぎて
塗料の貯蔵安定性が極度に低下する上に、硬化塗膜の架
橋密度が低くなって充分な耐食性、付着性が得られなく
なるおそれがある。
化剤を含まないアクリル−エポキシハイブリッド粉体塗
料の基材樹脂となるエポキシ樹脂としては、前記エポキ
シ粉体塗料の場合と同様に、たとえば、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ハロゲン化ノボラック型エポキシ樹
脂、テレフタル酸エポキシ樹脂などが挙げられ、これら
は単独で用いてもよいし、また2種類以上を混合して用
いてもよい。
塗料の一方の基材樹脂となるエポキシ樹脂は、そのエポ
キシ当量が400〜2000であることが必要である
が、これは次の理由によるものである。すなわち、エポ
キシ樹脂のエポキシ当量が400未満の場合は、アクリ
ル−エポキシハイブリッド粉体塗料の反応性が強くなる
ため、そのゲルタイムが経時的に速くなり、ピンホール
が発生しやすくなったり、固着性が強くなる。また、エ
ポキシ樹脂のエポキシ当量が2000を超える場合は、
アクリル−エポキシハイブリッド粉体塗料の反応性が低
下して、ピンホールの発生を抑制する効果が低下し、エ
リクセン値が1mm以下になって塗膜が鋳鉄管の変形に
追随できなくなり、塗膜にクラックが発生するようにな
る。
ッド粉体塗料の他方の基材樹脂であるアクリル樹脂は、
その酸価が10〜200であることが必要である。アク
リル樹脂の酸価が10未満の場合は、官能基が少なすぎ
て充分な架橋密度が得られないため、塗膜が脆くなり、
アクリル樹脂の酸価が200を超える場合は、反応性が
強くなりすぎて塗料調製時にゲル化したり、塗料のゲル
タイムが極端に短くなって貯蔵安定性が悪くなる上に、
硬化塗膜の分子量が小さくなって塗膜が脆くなる。
塗料におけるエポキシ樹脂とアクリル樹脂の配合比率
は、エポキシ基:カルボキシル基の当量比で1:0.6
〜1:1.6であることが必要であるが、これは次の理
由によるものである。すなわち、アクリル樹脂の配合比
率が上記範囲より少ない場合は、架橋が充分に行われな
いため、長期間の耐食性、付着性が確保できなくなり、
アクリル樹脂の配合比率が上記範囲より多い場合も、同
様に架橋が充分に行われないため、長期間の耐食性、付
着性が確保できなくなる。
塗料には、平均粒子径1〜50μmのシリカを含有させ
るが、これは上記シリカが溶融時の粘度を上昇させるこ
となく、塗膜を適度に多孔質化して鋳鉄管のす穴に含ま
れている空気や水分などの気化成分に基づくピンホール
の発生を抑制する作用を有するからである。
アクリル−エポキシハイブリッド粉体塗料の基材樹脂1
00重量部に対して10〜100重量部であることが好
ましい。上記シリカの配合量が基材樹脂100重量部に
対して10重量部より少ない場合は、充分なピンホール
発生抑制効果や温度勾配によるふくれ防止効果が得られ
なくなるおそれがあり、上記シリカの配合量が基材樹脂
100重量部に対して100重量部より多い場合は、粉
体塗料の溶融粘度が高くなるため、充分なピンホール発
生抑制効果が得られなくなるおそれがある。
さらに着色顔料、体質顔料、レベリング剤、垂れ止め剤
などを適宜添加することができる。
タン(TiO2 )、カーボンブラックなどが挙げられ、
上記体質顔料としては、たとえば、タルク、炭酸カルシ
ウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。また、上記レベ
リング剤としては、たとえば、アクロナール(商品名、
アクリルオリゴマー系レベリング剤、BASF社製)、
モダフローパウダー(商品名、アクリルオリゴマー系レ
ベリング剤、モンサント社製)などが挙げられ、上記垂
れ止め剤としては、たとえば、微粉末シリカ、アエロジ
ル2000(商品名、日本アエロジル社製)などが挙げ
られる。
シ樹脂、アクリル樹脂などの基材樹脂、硬化剤、シリカ
などをヘンシェルミキサーなどでドライブレンドし、コ
ニーダーなどで溶融混練することによって行われる。そ
して、得られた混合物をハンマーミルなどで粉砕し、ふ
るいで粗粒をカットして、粉体塗料として使用に供され
る。
は、180℃のゲルタイム(糸引き法)が10〜200
秒に調整されていることが好ましい。180℃のゲルタ
イム(糸引き法)が10秒より短い場合は、塗料調製中
にゲル化したり、貯蔵中に経時変化して貯蔵安定性が悪
くなるおそれがあり、180℃のゲルタイム(糸引き
法)が200秒より長い場合は、鋳鉄管のす穴に含まれ
ている空気や水分などの気化成分に基づくピンホールの
発生を充分に抑制することができなくなるおそれがあ
る。そして、窒素系硬化剤を含まないアクリル−エポキ
シハイブリッド粉体塗料は、180℃のゲルタイム(糸
引き法)が10〜200秒に調整されていることが必要
である。180℃のゲルタイム(糸引き法)が10秒よ
り短い場合は、塗料調製中にゲル化したり、貯蔵中に経
時変化して貯蔵安定性が悪くなり、180℃のゲルタイ
ム(糸引き法)が200秒より長い場合は、鋳鉄管のす
穴に含まれている空気や水分などの気化成分に基づくピ
ンホールの発生を充分に抑制することができなくなる。
シ粉体塗料を塗装するにあたり、鋳鉄管はあらかじめ1
50〜300℃に加熱しておく必要がある。これは上記
予熱により、鋳鉄管のす穴に存在する空気や水分などの
気化成分をできるかぎり除去しておくためである。
場合は、鋳鉄管のす穴に含まれている空気や水分などの
気化成分を充分に除去することができず、また、鋳鉄管
の予熱温度が300℃より高い場合は、粉体塗料の熱分
解によるピンホールの発生や硬化が早すぎることによる
脱気不足などによって、良好な塗膜外観が得られなくな
る。
体塗料は塗膜の平均膜厚が300〜700μmになるよ
うに塗装することが好ましい。上記第1層目の窒素系硬
化剤を含むエポキシ粉体塗料の塗膜の平均膜厚が300
μmより薄い場合は、鋳鉄管内部の凹凸面を充分に平滑
化することができなくなるおそれがあり、またピンホー
ルの抑制効果も不充分になり、塗膜の平均膜厚が700
μmより厚い場合は、不経済である上に、塗膜のたるみ
(弛み)が生じ、付着力の低下が生じるおそれがある。
いアクリル−エポキシハイブリッド粉体塗料は塗膜の平
均膜厚が10〜300μmになるように塗装することが
好ましい。この第2層目のアクリル−エポキシハイブリ
ッド粉体塗料の塗膜の平均膜厚が10μmより薄い場合
は、造膜性が不充分なため、第1層目の塗膜の表面を完
全に覆うことができなくなるおそれがあり、また、塗膜
の平均膜厚が300μmより厚い場合は、不経済である
上に、合計膜厚が過大になり、鋳鉄管の変形に追随でき
なくなって、塗膜にクラックが発生するようになるおそ
れがある。
エポキシ粉体塗料の塗装後に一旦焼付けを行い、ついで
第2層目の窒素系硬化剤を含まないアクリル−エポキシ
ハイブリッド粉体塗料の塗装後に再度焼付けを行う、い
わゆる2コート2ベーク方式で行ってもよいし、また、
第1層目の窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料を塗装
し、ついで第2層目の窒素系硬化剤を含まないアクリル
−エポキシハイブリッド粉体塗料を塗装した後、焼付け
を行う、いわゆる2コート1ベーク方式で行ってもよ
い。さらには、鋳鉄管の予熱温度を高目にし、その熱を
利用して焼付けを行い、塗料塗装後の加熱を行わなくて
もよい。
で行う場合、150〜200℃で5〜30分間程度加熱
することによって行うのが好ましく、また、2コート2
ベーク方式で行う場合、第1層目は150〜200℃で
5〜20分間程度加熱し、第2層目は150〜200℃
で5〜30分間程度加熱することによって行うのが好ま
しい。
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。
剤を含むエポキシ粉体塗料を調製した。なお、表1中の
各成分の数値の単位は重量部である。
キシ樹脂 ※3:エポミックR−364(商品名) 三井石油化学工業(株)製のエポキシ当量800のエポ
キシ樹脂 ※4:2−フェニルイミダゾリン 四国化成(株)製の窒素系硬化剤 ※5:アジピン酸ジヒドラジド 日本ヒドラジン工業(株)製の窒素系硬化剤
ルミキサー〔三井三池製作所(株)製〕でドライブレン
ドし、コニーダー(ブッス社製)で溶融混練することに
よって行い、ついで、ハンマーミル〔不二バウダル
(株)社製〕で粉砕し、60メッシュの篩で粗粒をカッ
トして、平均粒子径50μmの粉体塗料を得た。
系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料の180℃のゲルタイ
ム(糸引き法)を測定した。測定方法は次の通りであ
り、測定結果は後記の表2に示す。
を100mgずつ置き、全体が溶融した時点を開始点と
して、スパチュラーで攪拌しつつ一定時間ごとに上方に
引っ張って溶融塗料が糸を引かなくなるまでの時間を測
定し、それをゲルタイム(秒)とする。
に使用する窒素系硬化剤を含まない粉体塗料を調製し
た。この表3中の各成分の数値の単位も重量部である。
また、表3に記載の塗料Dはアクリル−エポキシハイブ
リッド粉体塗料であるが、そのエポキシ樹脂とアクリル
樹脂との配合比率はエポキシ基:カルボキシル基の当量
比で1:1である。そして、調製した粉体塗料について
前記第1層目のエポキシ粉体塗料と同様にゲルタイムを
測定した。その結果を後記の表4に示す。
(商品名) 大日本インキ化学工業(株)製のエポキシ当量630の
アクリル樹脂 ※11:アルマテックスPD−6300(商品名) 三井東圧化学(株)製のエポキシ当量530のアクリル
樹脂 ※12:ジョンクリルSCX−839(商品名) ジョンソンポリマー社製の酸価105のハイブリッド用
アクリル樹脂
試験片)に塗装して、ピンホールの発生状況を調べた。
その結果を耐ピンホール性として後記の表11〜表14
に示す。
6に示す組み合わせで第1層目に窒素系硬化剤を含むエ
ポキシ粉体塗料と第2層目に窒素系硬化剤を含まないア
クリル−エポキシハイブリッド粉体塗料を塗装した。第
1層目のエポキシ粉体塗料と第2層目のアクリル−エポ
キシハイブリッド粉体塗料との組み合わせは表5および
表6に示す通りであるが、その表示にあたっては、第1
層目のエポキシ粉体塗料の種類を前記表1に記載の第1
層目塗料の番号で示し、第2層目の粉体塗料の種類を前
記表3に記載の第2層目塗料の記号で示す。
層目塗料として記載した窒素系硬化剤を含むエポキシ粉
体塗料のみを鋳鉄管(ただし、試験片)に塗装し、比較
例5〜8では、前記表3に第2層目塗料として記載した
窒素系硬化剤を含まない粉体塗料のみを鋳鉄管(ただ
し、試験片)に塗装した。比較例番号と塗料との関係は
表7および表8に示す通りである。ただし、表7には粉
体塗料の種類を前記表1に記載の第1層目塗料の番号で
示し、表8には粉体塗料の種類を表3に記載の第2層目
塗料の記号で示す。
方法は、次に示す通りである。
法〕 内径150mmの鋳鉄管を半径方向に4等分し、断面が
四分円となるように円筒軸に沿って切り出した長さ15
0mmの鋳鉄管片をオートクレーブ内で水中に入れ、5
0kgf/cm2 の圧力を30分間かけて含水させた。
上記鋳鉄管を水中から取り出した後、常温で24時間乾
燥して試験片とした。
00℃まで昇温させ、実施例1〜2では、190℃で第
1層目の窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料を塗膜の
平均膜厚が500μmになるように塗装し、ついで第2
層目の窒素系硬化剤を含まない粉体塗料を塗膜の平均膜
厚が250μmになるように塗装し、180℃の熱風炉
中で10分間焼き付けた。各実施例における第1層目の
窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料と第2層目の窒素
系硬化剤を含まない粉体塗料の組み合わせは前記表5お
よび表6に示す通りである。
第1層目塗料として記載した窒素系硬化剤を含むエポキ
シ粉体塗料のみを塗膜の平均膜厚が750μmになるよ
うに塗装し、また、比較例5〜8では、表3に第2層目
塗料として記載した窒素系硬化剤を含まない粉体塗料の
みを塗膜の平均膜厚が750μmになるように塗装し、
それぞれ180℃の熱風炉中で10分間焼き付けた。
ルの発生状況を調べ、それを耐ピンホール性として評価
した。その評価方法の詳細は次の通りである。
評価結果を耐ピンホール性として後記の表11〜表14
に記号化して示すが、その記号と評価との関係は次の表
9に示す通りである。
塗装した場合のエリクセン値の測定、温度勾配試験およ
び残留塩素の消費量の測定を行った。塗装にあたり、実
施例1〜2では、表1に記載の第1層目の窒素系硬化剤
を含むエポキシ粉体塗料と表3に記載の第2層目の窒素
系硬化剤を含まないアクリル−エポキシハイブリッド粉
体塗料を表5および表6に示す組み合わせで用い、比較
例1〜4では、表1に第1層目塗料として記載した窒素
系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料のみを表7に示すよう
に用い、比較例5〜8では、表3に第2層目塗料として
記載した窒素系硬化剤を含まない粉体塗料のみを表8に
示すように用いた。
試験の方法、残留塩素の消費量の測定方法は次に示す通
りである。
トブラスト面に粉体塗料を塗膜の平均膜厚が200μm
になるように塗装し、180℃の炉内で20分間焼き付
けて塗板を作製し、該塗板を冷却した後、JIS−K−
5400 8.2.2に規定のエリクセン試験に準じて
塗膜にクラックが出るまで押し出し、それをエリクセン
値とする。なお、実施例1〜2では、第1層目の窒素系
硬化剤を含むエポキシ粉体塗料を塗膜の平均膜厚が10
0μmになるように塗装し、第2層目の窒素系硬化剤を
含まないアクリル−エポキシハイブリッド粉体塗料を塗
膜の平均膜厚が100μmになるように塗装する。エリ
クセン値の測定結果を後記の表11〜表14に示す。な
お、エリクセン値の測定にあたって塗膜の全厚を200
μmにしているのはJWWAG−112−1980の規
定に適合するようにしたためである。
トブラスト面に粉体塗料を塗膜の平均膜厚が300μm
になるように塗装し、180℃の炉内で20分間焼き付
けて塗板を作製する。得られた塗板をNASA(Nat
ional Association of Corr
osion Engineers)TM−01−74に
例示された装置を用いて、塗膜面が50℃、裏面(非塗
膜面)が25℃の温度勾配をつけて14日間浸漬し、取
り出し後の塗膜のふくれ面積により評価する。なお、こ
の温度勾配試験においても、実施例1〜2では、第1層
目の窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料を塗膜の平均
膜厚が150μmになるように塗装し、第2層目の窒素
系硬化剤を含まないアクリル−エポキシハイブリッド粉
体塗料を塗膜の平均膜厚が150μmになるように塗装
する。
後記の表11〜表14に記号化して示すが、その記号と
評価との関係は表10に示す通りである。
面に粉体塗料をそれぞれの面の塗膜の平均膜厚が200
μmになるように塗装し、180℃で20分間焼き付け
て塗板を作製する。ただし、実施例1〜2では、それぞ
れの面に、第1層目の窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体
塗料を塗膜の平均膜厚が100μmになるように塗装
し、第2層目の窒素系硬化剤を含まないアクリル−エポ
キシハイブリッド粉体塗料を塗膜の平均膜厚が100μ
mになるように塗装する。
ーに残留塩素濃度が1.0ppmとなるように次亜塩素
酸ナトリウムで調整した水道水を1リットル入れ、その
水道水中に塗装面積が500cm2 になるように上記塗
板を浸漬し、密封する。
の残留塩素の消費量をJWWA−K−139−1992
に基づいて測定する。その結果を表11〜表14に示
す。また、表11〜表14にはそれぞれの実施例および
比較例で使用した粉体塗料も併せて示す。
に示すが、表11には実施例1の評価結果を示し、表1
2には実施例2の評価結果を示し、表13には比較例1
〜4の評価結果を示し、表14には比較例5〜8の評価
結果を示す。
いて対比すると、表11〜表12に示す実施例1〜2の
評価結果と表13に示す比較例1〜4の評価結果との対
比から明らかなように、実施例1〜2は、比較例1〜4
に比べて、残留塩素の消費が少なかった。
ついて対比すると、表11〜表12に示す実施例1〜2
の評価結果と表14に示す比較例5〜8の評価結果との
対比から明らかなように、実施例1〜2は、耐ピンホー
ル性、耐温度勾配性のいずれもが優れていたが、比較例
5〜8は、耐ピンホール性、耐温度勾配性のいずれかま
たは両方が悪かった。
3.0mmと適正な範囲内にあって、塗膜が鋳鉄管の変
形に充分に追随できることが明らかであり、耐温度勾配
性も良好で、長期間の耐食性、耐水性を有していること
が明らかにされていた。
剤を含むエポキシ粉体塗料のみを塗装しているため、耐
ピンホール性は良好であるものの、残留塩素の消費が実
施例1〜2に比べて大きかった。
まない粉体塗料のみを塗装しているため、残留塩素の消
費は少なかったものの、前述したように、耐ピンホール
性、耐温度勾配性のいずれかまたは両方が悪かった。
管の内面に対して、鋳鉄管のす穴に基づくピンホールの
発生を抑制し、長期間の耐食性、耐水性などの基本性能
を満足しつつ、水道水中の残留塩素の消費を抑制する効
果が優れた粉体塗料の塗装をすることができた。
Claims (2)
- 【請求項1】 あらかじめ150〜300℃に加熱され
た鋳鉄管の内面に窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料
を塗装し、ついでエポキシ当量が400〜2000のエ
ポキシ樹脂、酸価が10〜200のアクリル樹脂および
平均粒子径1〜50μmのシリカを含み、上記エポキシ
樹脂とアクリル樹脂の配合比率がエポキシ基:カルボキ
シル基の当量比で1:0.6〜1:1.6であり、18
0℃のゲルタイム(糸引き法)が10〜200秒に調整
された窒素系硬化剤を含まないアクリル−エポキシハイ
ブリッド粉体塗料を塗装することを特徴とする鋳鉄管内
面への粉体塗料の塗装方法。 - 【請求項2】 窒素系硬化剤を含むエポキシ粉体塗料
が、エポキシ当量が400〜2000のエポキシ樹脂1
00重量部に対してイミダゾリン系および/またはヒド
ラジド系硬化剤1〜20重量部を含み、かつ平均粒子径
1〜50μmのシリカを含み、180℃のゲルタイム
(糸引き法)が10〜200秒に調整されたエポキシ粉
体塗料である請求項1記載の鋳鉄管内面への粉体塗料の
塗装方法。
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