JP2020020009A - カチオン性電着塗料の塗装方法 - Google Patents
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(A)カチオン基を有するアミン変性エポキシ樹脂、(B)ブロック化ポリイソシアネート、(C)顔料ペースト、および(D)アミン変性エポキシ樹脂とアクリル変性ポリブタジエン樹脂の付加反応で作られ、かつ平均粒子径が40〜160nmであるカチオン性マイクロゲルを含むカチオン性電着塗料を用いて電着塗装する方法において、カチオン性電着塗料が、(D)カチオン性マイクロゲルを0.1〜1.0重量%含むこと、および電着塗装が、2回の通電によって行なわれ、1回目の通電と2回目の通電との間の無通電時間が50〜300秒であり、1回目の通電によって形成される塗膜の厚さが5〜40μmであり、1回目の通電によって形成される塗膜の厚さと2回目の通電によって形成される塗膜の厚さの合計が40μm以上であることを特徴とする方法。
(A)カチオン基を有するアミン変性エポキシ樹脂は、カチオン性電着塗料の基剤樹脂を構成するものであり、その成分のうち、エポキシ骨格は平均して1分子当り2個のエポキシ基を有し、数平均分子量は400〜2400、特に1000〜1600が好ましい。具体的に例示すると、1分子中に2個のフェノール性水酸基を有するポリフェノールのグリシジルエーテル、あるいはその重縮合物であり、好ましいポリフェノールとしては、レゾルシン、ハイドロキノン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニール等が挙げられるが、特に好ましくは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、いわゆるビスフェノールAである。さらに、1分子中に2個のアルコール性水酸基を有するジオールのグリシジルエーテル、あるいはその重縮合物が挙げられ、好ましいジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の低分子ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオリゴマージオールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(B)ブロック化ポリイソシアネートは、カチオン性電着塗料の硬化剤樹脂を構成するものであり、その構成成分はポリイソシアネートとブロック剤であり、ポリイソシアネートとしては、2,4−または2,6−トルエンジイソシアネートおよびこれらの混合物、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−あるいは1,4−ビス−(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビス−(イソシアネートメチル)−ノルボルナン、3−あるいは4−イソシアネートメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート、m−あるいはp−キシレンジイソシアネート、m−あるいはp−テトラメチルキシレンジイソシアネート、さらには上記イソシアネートのビュレット変性体あるいはイソシアヌレート変性体が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、混合物も可能である。
(C)顔料ペーストは、顔料分散樹脂を水溶化し、必要に応じて消泡剤や界面活性剤、はじき防止剤等の添加剤を配合したビヒクルに、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、硬化触媒等を混合し、分散機を通して顔料分散したものである。
(D)カチオン性マイクロゲルは、(d−1)1分子中に2個以上の1級アミノ基を含有するエポキシ樹脂誘導体(アミン変性エポキシ樹脂)と、(d−2)1分子中に2個以上のα、β−エチレン性不飽和基を含有するポリブタジエン誘導体成分(アクリル変性ポリブタジエン樹脂)との付加反応生成物であって、その平均粒径は40〜160nmの範囲にある。
本発明のカチオン性電着塗料は、上記の(A)、(B)、(C)、(D)の必須成分以外に、電着塗料分野で一般的に用いられる塗料添加物、例えば消泡剤、粘度調整剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤、および各種有機溶剤あるいは硬化触媒等の成分を任意に含有することができる。
本発明のカチオン性電着塗料は、(A)カチオン基を有するアミン変性エポキシ樹脂(基剤樹脂)と、(B)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤樹脂)と、中和剤としてのギ酸、酢酸、乳酸等とを水性媒体中に分散させて樹脂水分散液を調製し、そこに(C)顔料成分から得られる顔料ペースト、(D)カチオン性マイクロゲルおよび必要により有機溶剤を混合し、水で濃度調整を行うことによって得られるが、(A)カチオン基を有するアミン変性エポキシ樹脂(基剤樹脂)、(B)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤樹脂)、(C)顔料成分から得られる顔料ペースト、(D)カチオン性マイクロゲルおよび中和剤の全てをあらかじめ混合した後、水性媒体中に分散させることによっても得ることができる。電着塗料の固形分は、20重量%前後に調整し塗装に供せられる。好ましい中和剤量は、塗料pHが5〜8程度に調整されるように決定される。
本発明の塗装方法は、浴温20〜35℃の条件下で、被塗物を陰極として、陽極との間に50〜400Vの塗装電圧を合計1〜5分程度印加し、所望の被塗物に上述のカチオン性電着塗料を塗装することによって行なうことができる。被塗物については、あらかじめリン酸亜鉛処理等の表面処理が施された導体が好ましいが、処理が施されていないものであっても特に問題はない。
攪拌装置、温度計、冷却管を有する反応装置を準備し、それにグリシエールPP−300P(三洋化成工業(株)製ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル)35部とDER−331(ダウ・ケミカル日本株式会社製ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂)409部とビスフェノールA175部とジメチルベンジルアミン1部を仕込み、攪拌、加熱を行って150℃まで昇温した。150℃で6時間保持した後、メチルイソブチルケトン287部を徐々に投入し、80℃まで冷却した。次いでジエタノールアミン73部とジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンのジケチミン物21部を投入し、100℃まで昇温した。100℃で2時間保持した後、80℃まで冷却してから取り出した。得られた(A)アミン変性エポキシ樹脂は固形分70重量%であった。
攪拌装置、温度計、冷却管を有する反応装置を準備し、それにミリオネートMR−400(日本ポリウレタン工業株式会社製ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)400部とメチルイソブチルケトン200部を仕込み、攪拌、加熱を行って100℃まで昇温した。その後、反応装置温度を100℃に保ちながら予め混合していたエチレングリコールモノブチルエーテル169部とジエチレングリコールモノブチルエーテル231部を1時間かけて滴下し、100℃で2時間反応させた。その後、80℃まで冷却して取り出した。得られた(B)ブロック化ポリイソシアネートは固形分80重量%であった。
撹拌器、温度計、冷却管を有する反応装置を準備し、それにDER−331(ダウ・ケミカル日本株式会社製ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂)243部、DER−560(ダウ・ケミカル日本株式会社製ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂)305部、プロピレングリコールモノメチルエーテル300部を仕込み、撹拌、加熱を行って100℃まで昇温した。次いでジエチルアミノプロピルアミン84部、ジエタノールアミン68部を仕込み、100℃で2時間保温し80℃まで冷却して取り出した。得られた顔料分散樹脂は固形分70重量%であった。
1リットルのステンレス容器に脱イオン水190部を投入し、撹拌を開始した。上記の顔料分散樹脂99部をゆっくりと投入して溶解させた。次いでカオリン140部、カーボンブラック14部、酸化ビスマス15部を投入し、常温で1時間均一混合したものを横型サンドミルで粒度10μm以下になるまで分散した。分散が終了したものにプロピレングリコールモノフェニルエーテルとジエチレングリコールモノブチルエーテルを予め1:1で混合していたものを3部添加し、常温で1時間均一混合して、固形分50重量%の(C)顔料ペーストを得た。
撹拌器、温度計、冷却管を有する反応装置を準備し、エポキシ当量475のビスフェノールA型エポキシ樹脂950部、プロピレングリコールメチルエーテルを588部を仕込み、撹拌下で110℃に加熱し、エポキシ樹脂を溶解させた。これを80℃に冷却し、ジケチミン化合物(メチルエチルケトン2モルとジエチレントリアミン1モルとを加熱し、脱水縮合によって得られたもの)422部を加え、80℃で2時間保持した後、酢酸12部と脱イオン水180部を加え、80℃で1時間反応させて固形分濃度70%で、1分子当たり4個の1級アミノ基を含有するエポキシ樹脂誘導体を得た。
撹拌器、温度計、冷却管を有する反応装置を準備し、オキシラン酸素含有量6.5%、数平均分子量1800のエポキシ化ポリブタジエンを1000部、エチレングリコールモノブチルエーテルを377部、メチルエタノールアミンを131部仕込み、窒素ガス気流中撹拌下に170℃で6時間保持した。次いで、120℃に冷却し、アクリル酸81.4部、ハイドロキノン8.8部およびエチレングリコールモノブチルエーテル27.1部を投入し、120℃で4時間保持し、固形分濃度75%で1分子当たり2個のα、β−エチレン性不飽和基を含有するアクリル変性ポリブタジエン樹脂を得た。
撹拌器、温度計、冷却管を有する反応装置を準備し、それに上記の(d−2)成分の160部とイソプロピルアルコール13部を仕込み、撹拌を開始する。次いでギ酸88重量%水溶液2部と上記の(d−1)成分の60部を投入し、50℃で2時間保温し、その後、脱イオン水600部を投入する。70℃まで昇温し、300〜600mmHg(ゲージ圧)の減圧下で65〜70℃を保持しながら、80部脱溶剤する。35℃以下に冷却し、(D1)カチオン性マイクロゲルを製造した。固形分濃度は20%であった。また、(D1)カチオン性マイクロゲルの平均粒子径は、レーザー散乱型粒径解析装置(大塚電子製 PAR−III)で測定すると、100nmであった。
ギ酸88重量%水溶液量を2.5部にした以外は、(D1)カチオン性マイクロゲルと同様の操作を行い、(D2)カチオン性マイクロゲルを製造した。カチオン性マイクロゲルの平均粒子径は、50nmであった。
ギ酸88重量%水溶液量を1.8部にした以外は、(D1)カチオン性マイクロゲルと同様の操作を行い、(D3)カチオン性マイクロゲルを製造した。カチオン性マイクロゲルの平均粒子径は、150nmであった。
ギ酸88重量%水溶液量を1.6部にした以外は、(D1)カチオン性マイクロゲルと同様の操作を行い、(D4)カチオン性マイクロゲルを製造した。カチオン性マイクロゲルの平均粒子径は、200nmであった。
撹拌機、温度計、冷却管および減圧装置を備えた3リットルのフラスコに、(A)成分500部および(B)成分296部を投入し、撹拌を開始した。次いで、ギ酸88%水溶液8部と脱イオン水359部を順に投入し、300〜600mmHg(ゲージ圧)の減圧下で60〜80℃を保持しながら、溶剤留出が完全になくなるまで脱溶剤を実施した。その後抜き取った溶剤と同量の脱イオン水を加えながら55℃以下に冷却し、さらに脱イオン水804部を投入して、固形分30重量%の(E)エマルションを得た。
表1及び表2に記載の配合に従って、比較例1〜10及び実施例1〜10の電着塗料浴液を製造した。具体的には、容器に(E)エマルションおよび(D1)〜(D4)のいずれかのカチオン性マイクロゲルをはかりとり、撹拌下で脱イオン水を投入し、次いで(C)顔料ペーストを投入して、固形分20重量%の各電着塗料を得た。そして、比較例1〜10及び実施例1〜10の電着塗料を使用して、表1に記載の塗装条件に従って、電着塗装を行なった。電着塗装結果及び防錆試験結果も合わせて表1および表2に示す。また、これらの試験方法も以下に記載する。
素材種:市販鋳物パネル(FC200パルテック株式会社製、70×150×8mm)
塗装方法:未処理SPCC鋼板にて膜厚条件出しを実施し、水洗のみを実施した上記市販鋳物板を同条件にて塗装した。
焼付条件:160℃×10分キープ(ワークの物温度を実測)
[塩水噴霧試験(SST)]
JIS−Z−2371に準じて、塗膜へのクロスカット等はなしにて実施した。
[複合サイクル試験(CCT)]
JIS−H−8502に準じて、塗膜へのクロスカット等はなしにて実施した。
Claims (1)
- (A)カチオン基を有するアミン変性エポキシ樹脂、(B)ブロック化ポリイソシアネート、(C)顔料ペースト、および(D)アミン変性エポキシ樹脂とアクリル変性ポリブタジエン樹脂の付加反応で作られ、かつ平均粒子径が40〜160nmであるカチオン性マイクロゲルを含むカチオン性電着塗料を用いて電着塗装する方法において、カチオン性電着塗料が、(D)カチオン性マイクロゲルを0.1〜1.0重量%含むこと、および電着塗装が、2回の通電によって行なわれ、1回目の通電と2回目の通電との間の無通電時間が50〜300秒であり、1回目の通電によって形成される塗膜の厚さが5〜40μmであり、1回目の通電によって形成される塗膜の厚さと2回目の通電によって形成される塗膜の厚さの合計が40μm以上であることを特徴とする方法。
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