JP2008302428A - アーク溶接品質検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビート形状の計測誤差が小さく、しかも、レーザー変位計により照射されるレーザー光線の照射方向が母材表面に対して傾いていても高精度な溶接品質検査を可能とするアーク溶接品質検査方法を提供する。
【解決手段】本発明のアーク溶接品質検査方法は、表面形状を測定するための3次元変位計としての3次元レーザー変位計を用いて、2つの母材5a,5bが突き合わされ溶接接合されたビード8を含む部分の表面変位zを測定し、この変位zにより溶接品質を検査するものであって、3次元レーザー変位計により得られたビード8を含む部分の表面変位データに基づいて、溶接母材5a,5bの表面形状データと、ビード8の表面形状データとを取得して、母材5aまたは母材5bの表面をビード8側に外挿した仮想面(仮想直線L)を特定して、この仮想面(仮想直線L)からビード8表面までの変位zに基づいて溶接品質検査の合否を判定する。
【選択図】図5
【解決手段】本発明のアーク溶接品質検査方法は、表面形状を測定するための3次元変位計としての3次元レーザー変位計を用いて、2つの母材5a,5bが突き合わされ溶接接合されたビード8を含む部分の表面変位zを測定し、この変位zにより溶接品質を検査するものであって、3次元レーザー変位計により得られたビード8を含む部分の表面変位データに基づいて、溶接母材5a,5bの表面形状データと、ビード8の表面形状データとを取得して、母材5aまたは母材5bの表面をビード8側に外挿した仮想面(仮想直線L)を特定して、この仮想面(仮想直線L)からビード8表面までの変位zに基づいて溶接品質検査の合否を判定する。
【選択図】図5
Description
本発明は、レーザー変位計により溶接ビードの断面形状を捉えて、この断面形状に基づいてアーク溶接の品質検査を行うアーク溶接品質検査方法に関する。
従来から、レーザー変位計により溶接ビードの断面形状を捉えて、この断面形状に基づいてアーク溶接の品質検査を行うアーク溶接品質検査方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図1(a)において、符号1は品質検査装置のセンサー部、符号2は被溶接体としての母材、符号3は溶接によって母材2,2間に生じるビードである。
センサー部1には、スリット光を放射するレーザー光源と被検査体の像を撮像するCCDカメラとが備えられている。
図1(a)に示すように、母材2の表面に対してスリット光の放射方向が略垂直になるようにし、センサー部1をビード3に略平行にかつ母材2と略一定の距離を保ってロボット(図示省略)により移動させ、スリット光のビード3による反射光をCCDカメラによって受光して、ビード3の断面プロファイル(断面外形線)を測定する。
特許文献1のアーク溶接品質検査方法では、断面プロファイルのデータに基づいて断面プロファイルの屈曲点や断面プロファイルの凹状部の面積などを算出して、これらの屈曲点や面積などにより溶接品質の検査を行う。
図1(b)に示すように、例えば、ビード3の上にピット3a(溶接欠陥として生じるビード上の穴)などが発生していると、断面プロファイルの凹状部の面積が所定値より大きくなり、これによりピット3aが検出されて溶接品質が不良であると判断される。
特開平6−94640号公報
ところで、従来例のアーク溶接品質検査方法では、図1(a)に示すように、屈曲点の位置や凹部の面積を正確に得るために、センサー部1の移動中、常にスリット光の照射方向を母材2に対して可能な限り垂直に保つ必要がある。
仮に、スリット光の照射方向を母材2に対して垂直に保って移動させないと、測定される断面プロファイルの形状に歪みが生じてしまう可能性があった。
また、同様に、センサー部1と母材2との距離を正確に一定に保って移動させないと、定される断面プロファイルの形状に歪みが生じてしまう可能性があった。
従来例のアーク溶接品質検査方法では、ロボットアーム等によってセンサー部1を直線移動させるので、ロボットアームの加速・減速やセンサー部1の姿勢などにより、得られるビード形状に誤差が生じるおそれがあった。
例えば、図1(b)に示すように、センサー部1をロボットアーム等によって、高速に移動させた場合、始端・終端では、それぞれ加速・減速が行われるために、図1(c)に示すように、取得されるピット3aの像3a’の形状が間延びした形となり、定速状態で走行している部分に比べて歪みが生じる。
特に、裏波の検査を行う場合には、裏波の幅は表ビードの幅に比べて一般に細いので、この細い裏波にセンサー部1を正確に平行に移動させるのは困難であり、従来例のアーク溶接品質検査方法では、十分な検査精度を得るのが困難であった。
ところで、アーク溶接では、溶接の入熱により母材中の亜鉛の温度が沸点(約900℃)を超えるので、亜鉛が気化されて、周囲に存在する空気中の酸素と結合し、酸化亜鉛粉として母材およびビードに付着し堆積する。
アーク溶接においては、図2(a)に示すように、溶接トーチ4からCO2ガスが放出されているので、溶接の表側では、このCO2ガスにより周辺空気が遮断されており、ビード3の表側には酸化亜鉛粉が堆積しにくくなっているが、ビード3の裏側には、溶接トーチ4からのCO2ガスが届かないために、図2(b)に示すように発生した酸化亜鉛粉が母材2,2および裏波(裏ビード)の表面に付着する。
裏波の表面形状により溶接品質を検査する場合には、裏波の表面に付着した酸化亜鉛粉を人手で除去するなど、なんらかの手間が必要になり、しかも、母材の溶接部の裏側形状が入り組んでいる場合には、酸化亜鉛粉の除去自体が非常に困難な場合もある。
このように、母材2に酸化亜鉛粉が付着・堆積した状態で母材2から裏波表面までの変位を検査しようとすると、酸化亜鉛粉の分だけ表面変位が増加した状態で計測することになるので、図2(c)に示すように、裏波上面に堆積した酸化亜鉛粉により精密な断面プロファイルが得られないという問題があった。
そこで、本発明では、ビート形状の計測誤差が小さく、しかも、レーザー変位計により照射されるレーザー光線の照射方向が母材表面に対して傾いていても高精度な溶接品質検査を可能とするアーク溶接品質検査方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、表面形状を測定するための3次元変位計を用いて、2つの溶接母材が突き合わされ溶接接合された溶接部を含む部分の表面変位を測定し、この表面変位により溶接品質を検査する溶接品質検査方法であって、 3次元変位計により得られた溶接部を含む部分の表面変位データに基づいて、少なくとも一方の溶接母材の表面形状データと溶接部の表面形状データとを取得して、少なくとも一方の溶接母材の表面を溶接部側に外挿した仮想面を特定して、この仮想面から溶接部表面までの変位を取得して、
取得された変位に基づいて溶接品質検査の合否を判定するアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
取得された変位に基づいて溶接品質検査の合否を判定するアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
そして、請求項2に記載された発明は、表面形状を測定するための3次元変位計を用いて、2つの溶接母材が突き合わされ溶接接合された溶接部を含む部分の表面変位を測定し、この表面変位により溶接品質を検査する溶接品質検査方法であって、
3次元変位計で捉えた溶接部の裏波形状の3次元変位データに基づいて溶接部の延びる方向に垂直な断面に関する一定ピッチの断面外形線のデータを生成し、
断面外形線のデータに基づいて断面外形線の直線部分を抽出し、
抽出された直線を裏波部分まで外挿することによって得られた仮想直線から溶接部表面上の任意の点までの変位を取得して、
取得された変位に基づいて溶接品質を判定するアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
3次元変位計で捉えた溶接部の裏波形状の3次元変位データに基づいて溶接部の延びる方向に垂直な断面に関する一定ピッチの断面外形線のデータを生成し、
断面外形線のデータに基づいて断面外形線の直線部分を抽出し、
抽出された直線を裏波部分まで外挿することによって得られた仮想直線から溶接部表面上の任意の点までの変位を取得して、
取得された変位に基づいて溶接品質を判定するアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
また、請求項3に記載された発明は、各断面外形線のデータに基づいて、一方の母材の裏側表面に対応する第1の仮想線と、他方の母材の裏側表面に対応する第2の仮想線とを抽出し、抽出された2つの仮想線を溶接部まで外挿し、第1の仮想線と第2の仮想線との交点を特定して、この交点から溶接部表面上の任意の点までの変位によって溶接品質を判定する請求項2に記載のアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
さらに、請求項4に記載された発明は、母材が湾曲している場合に、その母材断面の曲率などのデータを予め設定しておく請求項3に記載のアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
そして、請求項5に記載された発明は、母材が湾曲している場合に、その母材断面の曲率などのデータを3次元変位データにより測定した点群データから特定する請求項3に記載のアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
また、請求項6に記載された発明は、各断面外形線毎に溶接部裏側部の重心点を抽出し、それらの重心点を溶接部の延びる方向に結んで得られる重心線と、第1の仮想線と第2の仮想線との交点を結んだ仮想交線とを求め、各断面外形線毎の重心線と仮想交線との距離によって溶接部裏側部の蛇行を検査して溶接品質を判定する請求項3ないし請求項5のうちいずれか一項に記載のアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
さらに、請求項7に記載された発明は、3次元変位データから前記合否判定の基準となる溶接部と母材との境界点を検索するために、該検索の検索方向を溶接部から外側に向かって検索する請求項1ないし請求項6のうちいずれか一項に記載のアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
そして、請求項8に記載された発明は、3次元変位計の投射角度を母材表面に垂直な方向から傾けて投射する請求項1ないし請求項6のうちいずれか一項に記載のアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
また、請求項9に記載された発明は、前記溶接部は、2つの母材が突き合わされた被溶接部の裏面側をバックシールド治具によって覆い、2つの母材とバックシールド治具とによって囲われかつシールドされた空間にCO2ガスを放出した状態で、溶接トーチにより溶接接合されている請求項1ないし請求項8のうちいずれか一項に記載のアーク溶接品質検査方法を特徴としている。
このように構成された本発明の請求項1または請求項2に記載されたものは、3次元変位計としての3次元レーザー変位計により照射されるレーザー光線の照射方向が、被検査対象としての母材表面に対して垂直方向から傾いていても、傾いた状態で捉えた3次元変位データに基づいて仮想直線や、この仮想直線から溶接部表面までの相対的な変位を捉えて溶接状態を判定しているので、レーザー光線の照射方向が母材表面に垂直方向でなくても高精度な溶接品質検査が可能となる。
また、これにより、広い照射角のレーザー光線によっても高精度な溶接品質検査が可能となるので、一度に広範囲の溶接部を検査することができる。
さらに、一度に広範囲の溶接部を検査することが可能となるので、3次元変位計を移動させながら計測する必要がないので、定位置で安定した測定が可能となり、細い溶接部の画像からでも正確に溶接品質を検査することができる。
そして、請求項3に記載されたものは、第1の仮想線と第2の仮想線との交点から溶接部端部までの距離(いわゆる隅肉サイズ)や、交点から溶接部表面上の任意の点までの変位によって溶接品質を判定することにより、一層正確な溶接品質の検査が可能になる。
また、請求項4に記載されたものは、母材が湾曲している場合でも、その曲率などのデータを予め設定することにより、湾曲形状の母材の仮想線を特定でき、これにより仮想線の交点も特定可能となり、第1の仮想線と第2の仮想線との交点から溶接部端部までの距離(隅肉サイズ)や、交点から溶接部表面上の任意の点までの変位によって溶接品質を判定することにより、一層正確な溶接品質が可能になる。
さらに、請求項5に記載されたものは、母材が湾曲している場合に、その母材断面の曲率などのデータを3次元変位データにより測定した点群データから特定するので、検査対象となる母材の曲率が未知であっても高精度の検査が可能となる。
そして、請求項6に記載されたものは、重心曲線と仮想交線とは等距離を保つことが理想的であるので、重心曲線の仮想交線からの変位に基づいて溶接部裏側部の蛇行状態を検査することにより、溶接部裏側部の蛇行状態を正確に検査できる。
また、請求項7に記載されたものは、3次元変位データから合否判定の基準となる溶接部と母材との境界点を検索するために、該検索の検索方向を溶接部から外側に向かって検索するので、溶接部より外側にスパッタがある場合でも、スパッタと母材との境界点を溶接部と母材との境界点と誤認識することがなくなり、一層精度の高い検査が可能になる。
さらに、請求項8に記載されたものは、溶接部の延びる方向に湾曲した母材であっても、母材の曲げ部分を見込む位置からセンサー部によって測定することによって、比較的少ない回数の測定で溶接品質合否を判定することができる。
そして、請求項9に記載されたものは、アーク溶接によって生じる酸化亜鉛粉の付着・堆積を防ぐことができ、酸化亜鉛粉を人手で除去するなどの手間が必要なくなり、しかも、正確な溶接品質検査を行うことができる。
以下、本発明に係る実施の形態を実施例に基づいて説明する。
〈構成・方法〉
図3(a)〜図3(c)において、符号5a,5bは被溶接体としての母材、符号6はバックシールド装置、符号7は溶接トーチ、符号8は溶接によって母材5a,5b間に生じるビード(溶接部)、符号9は品質検査装置のセンサー部である。
図3(a)〜図3(c)において、符号5a,5bは被溶接体としての母材、符号6はバックシールド装置、符号7は溶接トーチ、符号8は溶接によって母材5a,5b間に生じるビード(溶接部)、符号9は品質検査装置のセンサー部である。
本実施例のアーク溶接品質検査方法では、母材(亜鉛メッキ鋼板)5a,5bの溶接を予めバックシールド法により行う。
図3(a)に示すように、母材5a,5bの接合側端部を突き合わせて、突き合わされた被溶接部の裏面側をバックシールド装置6のシールド部6aによって覆い、母材5a,5bとバックシールド装置6とによって囲われかつシールドされた空間にCO2ガスを放出した状態で、溶接トーチ7により被溶接部を溶接する。
このように、溶接中に母材5a,5bの裏側をバックシールド装置6のシールド部6aで覆って、CO2ガス雰囲気にすることによって、シールド空間内を減酸素状態にして、母材5a,5bに含まれる亜鉛が酸化するのを防ぎ、酸化亜鉛の形成を抑制するので、結果として、図3(b)に示すように、裏波(溶接部裏側の表面)上への酸化亜鉛粉の付着・堆積が防止される。
このとき、裏波周辺にだけシールドガスの雰囲気をつくればよいので、溶接中のCO2の供給流量は、溶接線400mm当たり5〔リットル/分〕程度の流量があれば十分である。
バックシールド装置6によって覆われたシールド空間にはCO2が充填され、CO2によって正圧になっているので、バックシールド装置6が母材5a,5bに完全に密着していなくても空気中の酸素はほとんど混入しない。
母材形状が複雑な場合には、シールド部6aと母材5a,5bとの密着が不十分となり得るが、CO2ガスの流量を増加させることによって、シールド空間の気圧を高めて、空気中の酸素の混入を抑制することが可能である。
そして、溶接が完了した後に溶接部を検査する。
本実施例のアーク溶接品質検査方法では、母材5a,5bの溶接がバックシールド法により行われるので、酸化亜鉛粉の裏波(裏ビード)表面上への付着・堆積が防止され、図3(c)に示すように、酸化亜鉛粉が堆積していない清浄な裏波が形成された状態で、3次元レーザー変位計を用いて裏波の断面プロファイル(断面外形線)が測定される。
裏波(裏ビード)の幅は表ビードの幅に比べて一般に細いために、裏波の検査では、従来例のように、2次元レーザー変位計のセンサー部を移動して裏波をトレースするよりも、センサー部を固定して測定ができる3次元レーザー変位計の方が精度面で有利である。
そこで、本実施例のアーク溶接品質検査方法では、センサー部を移動する必要がなく、細い裏波を捉えることができる3次元レーザー変位計を用いる。
裏波形状による溶接品質の判定は、まず、3次元レーザー変位計によってビード周辺の母材も含め溶接線の全長にわたってビードの外観形状を計測することにより、図4に示すような3次元レーザー変位計で捉えた3次元変位データとしての点群データを得る。
点群データとは、3次元レーザー変位計の分解能に相当する一定のピッチを持つ3次元空間上の変位を示す点の集合体のデータである。
そして、この点群データに基づいて、溶接線方向(ビードの伸びる方向)に垂直な断面に関する一定ピッチの断面プロファイル(断面輪郭線あるいは断面外形線)のデータを生成し、各断面プロファイルの形状から判定する。
このような断面プロファイルのデータは、3次元変位データに基づいて3次元レーザー変位計と接続されたコンピューターのプログラムなどによって生成される。
なお、後述されるデータの処理などは、このコンピューターによって行われる。
本実施例では、図5(a)に示すように、母材5a,5b同士が面一に突き合わされて溶接接合された検査対象を使用する。
図5(a),図5(b),図6(a),図6(b)において、符号E1,E2は、ビード8と母材5a,5bとのそれぞれの境界点であり、符号Lは境界点E1,E2を結んだ仮想直線を示している。
仮想直線Lは、断面プロファイルのデータに基づいて断面プロファイルの直線部分を抽出し、この抽出された直線を裏波部分まで外挿(延長)することによって得られる。
ここで、図5(a),図5(b),図6(a),図6(b)に示すように、ビード8の
裏側表面上の任意の点をPとし、この点Pの仮想直線Lからの変位をzとする。ただし、変位zは溶接部裏側(センサー部9側)を正とする。
裏側表面上の任意の点をPとし、この点Pの仮想直線Lからの変位をzとする。ただし、変位zは溶接部裏側(センサー部9側)を正とする。
そして、例えば、図5(a),図5(b)に示すように、点Pの変位zが0≦z≦h(hは許容されるzの上限値)を満たしていれば溶接状態は良好と判断し、図6(a),図6(b)に示すように、点Pの変位zが負となれば溶接状態は不良と判断する。ただし、hの値は溶接対象によって異なる。
このように、本実施例の溶接品質検査方法では、表面形状を測定するための3次元変位計としての3次元レーザー変位計を用いて、2つの溶接母材が突き合わされ溶接接合された溶接部を含む部分の表面変位を測定し、この表面変位により溶接品質を検査する溶接品質検査方法であって、
3次元変位計により得られた溶接部を含む部分の表面変位データに基づいて、少なくとも一方の溶接母材の表面形状データと溶接部の表面形状データとを取得して、少なくとも一方の溶接母材の表面を溶接部側に外挿した仮想面を特定して、この仮想面から溶接部表面までの変位を取得して、取得された変位に基づいて溶接品質検査の合否を判定する。
3次元変位計により得られた溶接部を含む部分の表面変位データに基づいて、少なくとも一方の溶接母材の表面形状データと溶接部の表面形状データとを取得して、少なくとも一方の溶接母材の表面を溶接部側に外挿した仮想面を特定して、この仮想面から溶接部表面までの変位を取得して、取得された変位に基づいて溶接品質検査の合否を判定する。
〈作用効果〉
3次元変位計としての3次元レーザー変位計により照射されるレーザー光線の照射方向が、被検査対象としての母材表面に対して垂直方向から傾いていても、傾いた状態で捉えた3次元変位データに基づいて仮想直線や、この仮想直線から溶接部表面までの相対的な変位を捉えて溶接状態を判定しているので、レーザー光線の照射方向が母材表面に垂直方向でなくても高精度な溶接品質検査が可能となる。
3次元変位計としての3次元レーザー変位計により照射されるレーザー光線の照射方向が、被検査対象としての母材表面に対して垂直方向から傾いていても、傾いた状態で捉えた3次元変位データに基づいて仮想直線や、この仮想直線から溶接部表面までの相対的な変位を捉えて溶接状態を判定しているので、レーザー光線の照射方向が母材表面に垂直方向でなくても高精度な溶接品質検査が可能となる。
また、これにより、広い照射角のレーザー光線によっても高精度な溶接品質検査が可能となるので、一度に広範囲の溶接部を検査することができる。
さらに、一度に広範囲の溶接部を検査することが可能となるので、3次元レーザー変位計を移動させながら計測する必要がないので、定位置で安定した測定が可能となり、細い溶接部の画像からでも正確に溶接品質を検査することができる。
さらに、仮想直線Lから溶接部表面上の任意の点Pまでの変位zによって溶接品質を判定することにより、一層正確な溶接品質の検査が可能になる。
しかも、アーク溶接によって生じる酸化亜鉛粉の付着・堆積を防ぐことができ、酸化亜鉛粉を人手で除去するなどの手間が必要なくなり、しかも正確な溶接品質検査を行うことができる。
以下、実施例2について、実施例1とは異なる部分を中心に説明し、実施例1と同一ないし均等な部分については説明を省略する。なお、図面の符号については、実施例1と同一ないし均等な部分には同一の符号を付すものとする。
〈構成・方法〉
本実施例では、図7(a)に示すように、母材5a,5bのそれぞれの端縁が垂直に突き合わされて溶接接合された検査対象を使用する。
本実施例では、図7(a)に示すように、母材5a,5bのそれぞれの端縁が垂直に突き合わされて溶接接合された検査対象を使用する。
図7(a),図7(b),図8(a),図8(b)において、符号E1,E2はビード8と母材5a,5bとのそれぞれの境界点であり、各断面プロファイルのデータに基づいて、これらの境界点E1,E2を抽出し、母材5aの裏側表面に対応する仮想直線L1と、母材5bの裏側表面に対応する仮想直線L2とを抽出し、抽出された直線を裏波部分まで外挿(延長)し、仮想直線L1と仮想直線L2との交点Cを特定して、仮想直線L1,L2よりセンサー部9側にある部分を裏波と特定する。
ここで、図7(a),図7(b),図8(a),図8(b)に示すように、ビード8の裏側表面上の任意の点をPとし、この点Pの仮想交点Cからの変位を(x,y)とする。ただし、変位x,yは、仮想直線L1,L2よりセンサー部9側を正とする。
そして、例えば、図7(a),図7(b)に示すように、点Pの変位(x,y)について、0≦x≦X,0≦y≦Y(X,Yは許容されるx,yの上限値)を満たしていれば溶接状態は良好と判断し、図8(a),図8(b)に示すように、点Pの変位(x,y)について、x,yのうちいずれかが負値となる場合には溶接状態は不良と判断する。ただし、X,Yの値は溶接対象によって異なる。
〈作用効果〉
仮想直線L1と仮想直線L2との交点Cから境界点E1,E2までの距離(いわゆる隅肉サイズ)や、交点Cから溶接部表面上の任意の点Pまでの変位(x,y)によって溶接品質を判定することにより、一層正確な溶接品質の検査が可能になる。
仮想直線L1と仮想直線L2との交点Cから境界点E1,E2までの距離(いわゆる隅肉サイズ)や、交点Cから溶接部表面上の任意の点Pまでの変位(x,y)によって溶接品質を判定することにより、一層正確な溶接品質の検査が可能になる。
以下、実施例3について、実施例1または実施例2とは異なる部分を中心に説明し、実施例1または実施例2と同一ないし均等な部分については説明を省略する。なお、図面の符号については、実施例1または実施例2と同一ないし均等な部分は同一の符号を付すものとする。
〈構成・方法〉
本実施例では、図9(a)に示すように、母材5aの湾曲部と母材5bの端縁とが突き合わされて溶接接合された検査対象を使用する。なお、母材5aの湾曲部断面の曲率Rなどのデータは、予め上述のコンピューターに設定しておくものとする。
本実施例では、図9(a)に示すように、母材5aの湾曲部と母材5bの端縁とが突き合わされて溶接接合された検査対象を使用する。なお、母材5aの湾曲部断面の曲率Rなどのデータは、予め上述のコンピューターに設定しておくものとする。
図9(a),図9(b),図10(a),図10(b)において、符号E1,E2はビード8と母材5a,5bとのそれぞれの境界点であり、各断面プロファイルの一定曲率Rの曲線部分のデータと直線部分のデータとに基づいて、これらの境界点E1,E2を抽出し、母材5aの裏側表面に対応する仮想曲線L1と、母材5bの裏側表面に対応する仮想直線L2とを抽出し、仮想曲線L1と仮想直線L2との交点Cを特定して、仮想曲線L1,仮想直線L2よりセンサー部9側にある部分を裏波と特定する。
図9(a),図9(b)に示すように、母材5aの断面が湾曲形状の場合には、演算を行う上での基礎データとなる、その断面の曲率半径Rを予め設定しておくことによって、設計上特定可能なR部の始点位置と曲率中心とから母材の仮想曲線が特定でき、母材が平坦な場合と同様に、仮想交点Cからの裏波の大きさが計算できる。
ここで、図9(a),図9(b),図10(a),図10(b)に示すように、ビード8の裏側表面上の任意の点をPとし、この点Pの仮想交点Cからの変位を(x,y)とする。ただし、変位x,yは、仮想曲線L1,仮想直線L2よりセンサー部9側の変位を正とする。
そして、例えば、図9(a),図9(b)に示すように、点Pの変位(x,y)について、0≦x≦X,0≦y≦Y(X,Yは許容されるx,yの上限値)を満たしていれば溶接状態は良好と判断し、図10(a),図10(b)に示すように、点Pの変位(x,y)について、x,yのうちいずれかが負値となる場合には溶接状態は不良と判断する。ただし、X,Yの値は溶接対象によって異なる。
〈作用効果〉
母材が湾曲している場合でも、その曲率Rなどのデータを予め設定することにより、湾曲形状の母材の仮想曲線L1を特定でき、これにより仮想曲線L1と仮想直線L2との交点Cも特定可能となり、交点Cから境界点E1,E2までの距離(隅肉サイズ)や、交点Cから溶接部表面上の任意Pの点までの変位(x,y)によって溶接品質を判定することにより、一層正確な溶接品質が可能になる。
母材が湾曲している場合でも、その曲率Rなどのデータを予め設定することにより、湾曲形状の母材の仮想曲線L1を特定でき、これにより仮想曲線L1と仮想直線L2との交点Cも特定可能となり、交点Cから境界点E1,E2までの距離(隅肉サイズ)や、交点Cから溶接部表面上の任意Pの点までの変位(x,y)によって溶接品質を判定することにより、一層正確な溶接品質が可能になる。
以下、実施例4について、実施例1ないし実施例3とは異なる部分を中心に説明し、実施例1ないし実施例3と同一ないし均等な部分については説明を省略する。なお、図面の符号については、実施例1ないし実施例3と同一ないし均等な部分は同一の符号を付すものとする。
〈構成・方法〉
本実施例では、図11(a)に示すように、母材5a,5bのそれぞれの端縁が垂直に突き合わされて溶接接合された検査対象を使用する。
本実施例では、図11(a)に示すように、母材5a,5bのそれぞれの端縁が垂直に突き合わされて溶接接合された検査対象を使用する。
図11(a),図11(b),図11(c)において、符号L1は母材5aの裏側表面に対応する仮想直線、符号L2は母材5bの裏側表面に対応する仮想直線、符号Cは仮想直線L1と仮想直線L2との交点Cであり、符号Gは各断面プロファイルにおける抽出されたビード部分の重心点である。
裏波の蛇行を検査するには、裏波の各断面プロファイル毎に裏ビードの重心点Gを抽出し、図11(a)に示すように、例えば、それらの重心点Gを溶接線方向に結んだ重心曲線LGと、仮想直線L1と仮想直線L2と交点Cを結んだ仮想交線LCとを求め、各断面プロファイル毎の重心曲線LGと仮想交線LCの距離をbとし、bが溶接品質基準0≦b≦B(Bは許容されるbの上限値)に適合しているかどうかによって品質の合否を判断する。ただし、Bの値は溶接対象によって異なる。
〈作用効果〉
重心曲線LGと仮想交線LCとは等距離を保つことが理想的であるので、各断面プロファイル毎の重心曲線LGの仮想交線LCからの変位bに基づいて溶接部裏側部の蛇行状態を検査することにより、溶接部裏側部の蛇行状態を正確に検査できる。
重心曲線LGと仮想交線LCとは等距離を保つことが理想的であるので、各断面プロファイル毎の重心曲線LGの仮想交線LCからの変位bに基づいて溶接部裏側部の蛇行状態を検査することにより、溶接部裏側部の蛇行状態を正確に検査できる。
以下、実施例5について、実施例1ないし実施例4とは異なる部分を中心に説明し、実施例1ないし実施例4と同一ないし均等な部分については説明を省略する。なお、図面の符号については、実施例1ないし実施例4と同一ないし均等な部分は同一の符号を付すものとする。
上述した実施例1〜実施例4では、仮想直線および仮想曲線の決定方法、ビードと母材との境界点の決定方法については、具体的には述べていない。
以下、これらの方法について具体的に述べる。
〈構成・方法〉
〈基準平面の決定方法〉
図12は、突き合わされた母材5a,5bの被溶接部裏側の部分破断図であり、溶接ビードの裏波部と、その両側の母材5a,5bとを示した図である。
〈基準平面の決定方法〉
図12は、突き合わされた母材5a,5bの被溶接部裏側の部分破断図であり、溶接ビードの裏波部と、その両側の母材5a,5bとを示した図である。
図面中では、溶接線に沿う方向をX軸方向、X軸方向に垂直かつ母材5aの検査される表面に沿う方向をY軸方向、母材5aの検査される表面に垂直な方向(法線方向)かつ裏波側の向きをZ軸方向としている。
図12に示すように、母材5a,5bの各表面部分Ra,Rbに対応する点群データのデータ空間内に適当な仮の参照平面Pa,Pbをそれぞれ設定する。
ここで点群とは、3次元レーザー変位計によって測定される検査対象の表面に対応する点の集合であり、本発明のアーク溶接品質検査方法では、上述のコンピューターによって、これらの多数の点に対応する座標(あるいは基準点からの変位)のデータとして扱われる。
また、点群データのデータ空間とは、3次元レーザー変位計によって測定される多数の点に対応する座標(あるいは基準点からの変位)のデータによって構成される数学的な意味での抽象的な空間を示している。
図13は、図12のA−A断面における母材5aの表面Raおよび、その近傍に仮定された参照平面Pa、この参照平面Pa近傍の点群P1〜P3,Pe,P4,…の一例を示した概念図である。
なお、図13(a)に示すように、これらの点群P1〜P3,Pe,P4,…の参照平面Paからの変位(参照平面Paを基準とした法線方向の変位)をそれぞれz1〜z3,ze,z4,…としている。
本発明のアーク溶接品質検査方法では、点群P1〜P3,Pe,P4,…に対応する変位z1〜z3,ze,z4,…の何れかが、予め設定された規定値以上となっている場合には、その点のデータを除外するようになっている。
図13(a)中では、点Peが、そのような点であるとし、点Peのデータをエラーデータとして除外する。
そして、図13(b)に示すように、点Pe以外の各点群P1〜P3,P4,…について、参照平面Paからの変位z1〜z3,z4,…の平均値を求め、この平均値が0となるような参照平面Paを決定する。
この決定された参照平面Paを基準平面Aとする。また、参照平面Pbについても同様にして対応する基準平面Bを決定する。
なお、図12における符号Lは、基準平面A,Bに含まれかつX軸に垂直な仮想直線である。
〈基準曲面の決定方法〉
図14(a)は、直角に湾曲した母材5aと、母材5aの角部に溶接された母材5bとの被溶接部裏側の部分破断図であり、溶接ビードの裏波部と、その両側の母材5a,5bとを示した図である。
図14(a)は、直角に湾曲した母材5aと、母材5aの角部に溶接された母材5bとの被溶接部裏側の部分破断図であり、溶接ビードの裏波部と、その両側の母材5a,5bとを示した図である。
図面中では、溶接線に沿う方向をX軸方向、X軸方向に垂直かつ母材5aの検査される表面に沿う方向をY軸方向、母材5aの検査される表面に垂直な方向(法線方向)かつ裏波側の向きをZ軸方向としている。
図14(a)に示すように、まず、上述した基準平面の決定方法によって、一対の母材5a,5bの表面に対応する各基準平面A,Bを決定する。
次に、図14(b)に示すように、決定された一組の基準平面A,Bのデータに基づいて、これらの交線CLを求める。
なお、図14における符号L1,L2は、それぞれ基準平面A,Bに含まれかつX軸に垂直な仮想直線であり、仮想直線L1,L2の交点を点Cとしている。
図15は、図14(a)のB−B断面の断面図である。
図15に示すように、本発明のアーク溶接品質検査方法では、一定曲率Rを有する母材5aの表面Ra上の点群について、基準平面A側から交線CL側に向かって(Y軸方向の正の向きに向かって)、母材5aの湾曲面上の点群P1,P2,P3,…と基準平面Aとの各変位z1,z2,z3,…をY方向に変位Δy移動しながら順次取得する。
通常、本実施例のようなR鋼材と平鋼材との溶接部の裏波部では、図15に示すように、仮想直線L1(基準平面A)からの変位zは負値となり、交点C(交線CL)に近づくにしたがい、次第にその絶対値が増大する。
ここで、Z方向の変位zについて、基準値Δz(>0)を設定する。
データ空間中の点群P1,P2,P3,…の各変位をY方向に1ステップずつ(変位Δy毎に)検索して変位z1,z2,z3,…を取得し、変位zの絶対値|z|が|z|<Δzであれば、その近傍の母材5a表面は平坦面であると判定し、|z|≧Δzであれば湾曲面であると判定する。
図15中では、点P1と点P2との間は平坦面であると判定され、点P3は湾曲面上にあると判定される。
そして、Y方向の1ステップの移動量Δyと点P3の変位z3の値などから、これらの点を通過する仮想円筒面Saが決定される。
図16は、図15のE部分の拡大図である。
仮想円筒面Saの決定方法は、具体的には、図16に示すように、点P3のz方向の変位z3が−Δzと一致するか否かを判定し、z3=−Δzならば点P2でL1に接しかつ点P3(Δy,−Δz)を通過する曲率半径R1の仮想円筒面R1を選択し、z3≠−Δzならば、今度は、変位z3が−2Δzと一致するか否かを判定し、z3=−2Δzならば点P2でL1に接しかつ点P3(Δy,−2Δz)を通過する曲率半径R2の仮想円筒面R2を選択する。このような判定を繰り返し、点P3を通過する仮想円筒面を検索する。
図16中では、z3=−3Δzであるので、点P2でL1に接しかつ点P3(Δy,−3Δz)を通過する曲率半径R3の仮想円筒面R3を選択し、この仮想円筒面を仮想円筒面Saとする。
ただし、上述の点P3の括弧による表示は、点P2を基準としたY方向およびZ方向の変位を示している。
実施例3などでは、母材5aが湾曲しているときには、この仮想円筒面Saを基準曲面とする。
なお、本発明のアーク溶接品質検査方法では、基準値Δzを3次元レーザー変位計のZ方向の分解能(最小の測定限界値)δに設定する。
母材5aの平坦部の変位zを計測する際に、変位zは分解能δ程度の統計誤差をもって測定されるので、基準値Δzを分解能δに設定すると、変位zがz<δ(分解能)となる点は平坦部上の点と認識でき、一方、変位zがz≧δ(分解能)となる場合は、平坦部の単なる統計誤差による変位ではないものと判定できるからである。
このように、本発明のアーク溶接品質検査方法では、分解能δを、点群の測定変位zから統計誤差を除外するための閾値としている。
〈作用効果〉
本発明のアーク溶接品質検査方法では、母材5aが湾曲している場合に、その母材5a断面の曲率Rなどのデータを3次元変位データにより測定した点群データから特定するので、検査対象となる母材5aの曲率が未知であっても高精度の検査が可能となる。
本発明のアーク溶接品質検査方法では、母材5aが湾曲している場合に、その母材5a断面の曲率Rなどのデータを3次元変位データにより測定した点群データから特定するので、検査対象となる母材5aの曲率が未知であっても高精度の検査が可能となる。
以下、実施例6について、実施例1ないし実施例5とは異なる部分を中心に説明し、実施例1ないし実施例5と同一ないし均等な部分については説明を省略する。なお、図面の符号については、実施例1ないし実施例5と同一ないし均等な部分は同一の符号を付すものとする。
図17(a)は、互いに垂直に突き合わされた母材5a,5bの端縁同士の被溶接部裏側の部分破断図であり、溶接ビード8の裏波部と、その両側の母材5a,5bとを示した図である。また、図17(b)は、図17(a)のF部分の拡大図である。
図18(a)は、互いに垂直に突き合わされた母材5a,5bの端縁同士の被溶接部裏側の部分破断図であり、溶接ビード8の裏波部と、その両側の母材5a,5bとを示した図である。また、図18(b)は、図18(a)のG部分の拡大図である。
ただし、図18に示す被溶接部裏側には、ビード8の近傍に溶接時のスパッタSが形成されている。
図17(a)に示すように、まず、上述した基準平面の決定方法によって、一対の母材5a,5bの表面に対応する各基準平面A,Bを決定する。
ビード8と母材5aとの境界点E1を検索するのに、母材5aの表面からビード8の表面に至る点群を、仮に基準平面A側から交線CL側に向かって(Y軸方向の正の向きに向かって)検索するならば、点P1,P2,P3の変位yは0であり、P4の変位が正値となるので、P3をビード8と母材5aとの境界点E1に設定することができる。
しかしながら、図18(a)に示すように、ビード8の近傍にスパッタSが形成されている場合には、ビード8と母材5aとの境界点E1を検索するのに、母材5aの表面からビード8の表面に至る点群を、基準平面A側から交線CL側に向かって(Y軸方向の正の向きに向かって)検索すると、スパッタSの表面上の点P4で、最初に変位yが0から正値になるので、スパッタSと母材5aとの境界点P3がビード8と母材5aとの境界点E1と誤認識される問題が生じる。
〈構成・方法〉
〈ビードと母材との境界点の検索方法〉
本実施例のアーク溶接品質検査方法では、ビード8と母材5aとの境界点E1を検索するのに、検索方向を、交線CL側から基準平面A側に向かって、すなわちビード8から外側に向かって検索する。
〈ビードと母材との境界点の検索方法〉
本実施例のアーク溶接品質検査方法では、ビード8と母材5aとの境界点E1を検索するのに、検索方向を、交線CL側から基準平面A側に向かって、すなわちビード8から外側に向かって検索する。
図19に示すように、点P1,P2,P3,…の順に検索すると、…P8まで正値をとっていた変位yが点P9,P10,P11で一旦0になり、スパッタSの表面上で、再び変位yが正値になる。
このとき、変位yが正値から最初に0になる点P9を、ビード8と母材5aとの境界点E1とする。
〈作用効果〉
交線CL側から基準平面A側に向かって、すなわちビード8から外側に向かって検索して、変位yが正値から最初に0になる点P9を、ビード8と母材5aとの境界点E1とすることにより、スパッタSと母材5aとの境界点をビード8と母材5aとの境界点と誤認識することがなくなり、一層精度の高い検査が可能になる。
交線CL側から基準平面A側に向かって、すなわちビード8から外側に向かって検索して、変位yが正値から最初に0になる点P9を、ビード8と母材5aとの境界点E1とすることにより、スパッタSと母材5aとの境界点をビード8と母材5aとの境界点と誤認識することがなくなり、一層精度の高い検査が可能になる。
以下、実施例7について、実施例1ないし実施例6とは異なる部分を中心に説明し、実施例1ないし実施例6と同一ないし均等な部分については説明を省略する。なお、図面の符号については、実施例1ないし実施例6と同一ないし均等な部分は同一の符号を付すものとする。
〈構成・方法〉
図20(a),図20(b),図20(c)において、符号5は被溶接体としての母材、符号8は母材5,5間にビード、符号9は品質検査装置のセンサー部である。
図20(a),図20(b),図20(c)において、符号5は被溶接体としての母材、符号8は母材5,5間にビード、符号9は品質検査装置のセンサー部である。
本実施例では、図20(a)に示すように、L型の母材5,5のそれぞれの端縁が突き合わされて溶接接合された検査対象を使用する。
本発明のアーク溶接品質検査方法では、断面プロファイルのデータに基づいて母材表面を検出して、裏波表面の母材表面からの変位により溶接品質検査の合否を判定しているので、レーザー変位計により照射されるレーザー光線の照射方向が被検査対象の母材表面に対して傾いていても高精度な溶接品質検査が可能となる。
したがって、必ずしも、図20(b)に示すように、溶接線(ビード8)および母材5,5の表面に対して垂直な方向(図20(b)の(1),(2),(3)の方向)からレーザー変位計のレーザー光線を照射する必要がない。
このため、本実施例の母材5,5のように、溶接線(ビード8)方向に湾曲した母材5,5についても、母材5,5の曲げ部分を見込む位置からセンサー部9によって測定することによって、曲げ部分であっても一度の測定で溶接品質合否を判定することができる。
本実施例では、検査精度を高めるために、図20(c)に示すように、母材5,5の表面に垂直な方向から角方向に10°〜20°だけ傾けた方向(図20(c)の(1),(2)の方向)からレーザー変位計のレーザー光線を照射して検査する。
〈作用効果〉
溶接部の延びる方向に湾曲した母材5,5であっても、母材の曲げ部分を見込む位置からセンサー部によって測定することによって、比較的少ない回数の測定で溶接品質合否を判定することができる。
溶接部の延びる方向に湾曲した母材5,5であっても、母材の曲げ部分を見込む位置からセンサー部によって測定することによって、比較的少ない回数の測定で溶接品質合否を判定することができる。
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は本発明に含まれる。
なお、実施例1〜実施例7のアーク溶接品質検査方法では、溶接部の延びる方向に垂直な断面に関する一定ピッチの断面プロファイルのデータに基づいて溶接品質を判定したが、必ずしも、断面プロファイルに基づく必要はなく、溶接母材の表面形状データと溶接部の表面形状データとを取得して、溶接母材の表面を溶接部側に外挿した仮想面を特定して、この仮想面から溶接部表面までの変位を取得し、この変位に基づいて溶接品質検査の合否を判定するものであれば何でもよい。
例えば、溶接母材の表面を溶接部側に外挿した仮想面を断面プロファイルのデータを用いずに特定して、この仮想面から溶接部表面までの変位に基づいて溶接品質検査の合否を判定してもよい。
また、実施例1〜実施例7では、溶接母材の形状や溶接母材の突き合わせ角度を限定したが、本発明では、これらを限定するものではない。
5a,5b 母材(溶接母材)
6 バックシールド装置(バックシールド治具)
7 溶接トーチ
8 ビード(溶接部)
9 センサー部
L,L1,L2 仮想直線(仮想線),仮想曲線(仮想線)
P ビード(溶接部)表面上の任意の点
R 母材(溶接母材)断面の曲率半径
G ビード(溶接部)裏側部の重心点
C 第1の仮想線(L1)と第2の仮想線(L2)との交点
LG 重心曲線(重心線)
LC 仮想交線
b 断面プロファイル(断面外形線)毎の重心線と仮想交線との距離
x,y,z 変位
6 バックシールド装置(バックシールド治具)
7 溶接トーチ
8 ビード(溶接部)
9 センサー部
L,L1,L2 仮想直線(仮想線),仮想曲線(仮想線)
P ビード(溶接部)表面上の任意の点
R 母材(溶接母材)断面の曲率半径
G ビード(溶接部)裏側部の重心点
C 第1の仮想線(L1)と第2の仮想線(L2)との交点
LG 重心曲線(重心線)
LC 仮想交線
b 断面プロファイル(断面外形線)毎の重心線と仮想交線との距離
x,y,z 変位
Claims (9)
- 表面形状を測定するための3次元変位計を用いて、2つの溶接母材が突き合わされ溶接接合された溶接部を含む部分の表面変位を測定し、この表面変位により溶接品質を検査する溶接品質検査方法であって、
3次元変位計により得られた溶接部を含む部分の表面変位データに基づいて、少なくとも一方の溶接母材の表面形状データと溶接部の表面形状データとを取得して、少なくとも一方の溶接母材の表面を溶接部側に外挿した仮想面を特定して、この仮想面から溶接部表面までの変位を取得して、
取得された変位に基づいて溶接品質検査の合否を判定することを特徴とするアーク溶接品質検査方法。 - 表面形状を測定するための3次元変位計を用いて、2つの溶接母材が突き合わされ溶接接合された溶接部を含む部分の表面変位を測定し、この表面変位により溶接品質を検査する溶接品質検査方法であって、
3次元変位計で捉えた溶接部の裏波形状の3次元変位データに基づいて溶接部の延びる方向に垂直な断面に関する一定ピッチの断面外形線のデータを生成し、
断面外形線のデータに基づいて断面外形線の直線部分を抽出し、
抽出された直線を裏波部分まで外挿することによって得られた仮想直線から溶接部表面上の任意の点までの変位を取得して、
取得された変位に基づいて溶接品質を判定することを特徴とするアーク溶接品質検査方法。 - 各断面外形線のデータに基づいて、一方の母材の裏側表面に対応する第1の仮想線と、他方の母材の裏側表面に対応する第2の仮想線とを抽出し、抽出された2つの仮想線を溶接部まで外挿し、第1の仮想線と第2の仮想線との交点を特定して、この交点から溶接部表面上の任意の点までの変位によって溶接品質を判定することを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接品質検査方法。
- 母材が湾曲している場合に、その母材断面の曲率などのデータを予め設定しておくことを特徴とする請求項3に記載のアーク溶接品質検査方法。
- 母材が湾曲している場合に、その母材断面の曲率などのデータを3次元変位データにより測定した点群データから特定することを特徴とする請求項3に記載のアーク溶接品質検査方法。
- 各断面外形線毎に溶接部裏側部の重心点を抽出し、それらの重心点を溶接部の延びる方向に結んで得られる重心線と、第1の仮想線と第2の仮想線との交点を結んだ仮想交線とを求め、各断面外形線毎の重心線と仮想交線との距離によって溶接部裏側部の蛇行を検査して溶接品質を判定することを特徴とする請求項3ないし請求項5のうちいずれか一項に記載のアーク溶接品質検査方法。
- 3次元変位データから合否判定の基準となる溶接部と母材との境界点を検索するために、該検索の検索方向を溶接部から外側に向かって検索することを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか一項に記載のアーク溶接品質検査方法。
- 3次元変位計の投射角度を母材表面に垂直な方向から傾けて投射することを特徴とする請求項1ないし請求項7のうちいずれか一項に記載のアーク溶接品質検査方法。
- 前記溶接部は、2つの母材が突き合わされた被溶接部の裏面側をバックシールド治具によって覆い、2つの母材とバックシールド治具とによって囲われかつシールドされた空間にCO2ガスを放出した状態で、溶接トーチにより溶接接合されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のうちいずれか一項に記載のアーク溶接品質検査方法。
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