A.第1実施形態:
A−1.点火プラグ100の構成:
図1は、一実施形態としての点火プラグ100の断面図である。図中には、点火プラグ100の中心軸CL(「軸線CL」とも呼ぶ)と、点火プラグ100の中心軸CLを含む平らな断面と、が示されている。以下、中心軸CLに平行な方向を「軸線CLの方向」、または、単に「軸線方向」または「前後方向」とも呼ぶ。軸線CLを中心とする円の径方向を「径方向」とも呼ぶ。径方向は、軸線CLに垂直な方向である。軸線CLを中心とする円の円周方向を、「周方向」とも呼ぶ。中心軸CLに平行な方向のうち、図1における下方向を先端方向Df、または、前方向Dfと呼び、上方向を後端方向Dfr、または、後方向Dfrとも呼ぶ。先端方向Dfは、後述する端子金具40から中心電極20に向かう方向である。また、図1における先端方向Df側を点火プラグ100の先端側と呼び、図1における後端方向Dfr側を点火プラグ100の後端側と呼ぶ。
点火プラグ100は、軸線CLに沿って延びる貫通孔12(軸孔12とも呼ぶ)を有する筒状の絶縁体10と、貫通孔12の先端側で保持される中心電極20と、貫通孔12の後端側で保持される端子金具40と、貫通孔12内で中心電極20と端子金具40との間に配置された抵抗体73と、中心電極20と抵抗体73とに接触してこれらの部材20、73を電気的に接続する導電性の第1シール部72と、抵抗体73と端子金具40とに接触してこれらの部材73、40を電気的に接続する導電性の第2シール部74と、絶縁体10の外周側に固定された筒状の主体金具50と、一端が主体金具50の先端面55に接合されるとともに他端が中心電極20とギャップgを介して対向するように配置された接地電極30と、を有している。
絶縁体10の軸線方向の略中央には、外径が最も大きな大径部14が形成されている。大径部14より後端側には、後端側胴部13が形成されている。大径部14よりも先端側には、後端側胴部13よりも外径の小さな先端側胴部15が形成されている。先端側胴部15よりもさらに先端側には、縮外径部16と、脚部19とが、先端側に向かってこの順に形成されている。縮外径部16の外径は、前方向Dfに向かって、徐々に小さくなっている。縮外径部16の近傍(図1の例では、先端側胴部15)には、前方向Dfに向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部11が形成されている。絶縁体10は、機械的強度と、熱的強度と、電気的強度とを考慮して形成されることが好ましく、例えば、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。
中心電極20は、金属製の部材であり、絶縁体10の貫通孔12内の前方向Df側の端部に配置されている。中心電極20は、略円柱状の棒部28と、棒部28の先端に接合(例えば、レーザ溶接)された第1チップ29と、を有している。棒部28は、後方向Dfr側の部分である頭部24と、頭部24の前方向Df側に接続された軸部27と、を有している。軸部27は、軸線CLに平行に前方向Dfに向かって延びている。頭部24のうちの前方向Df側の部分は、軸部27の外径よりも大きな外径を有する鍔部23を形成している。鍔部23の前方向Df側の面は、絶縁体10の縮内径部11によって、支持されている。軸部27は、鍔部23の前方向Df側に接続されている。第1チップ29は、軸部27の先端に接合されている。
棒部28は、外層21と、外層21の内周側に配置された芯部22と、を有している。外層21は、芯部22よりも耐酸化性に優れる材料(例えば、ニッケルを主成分として含む合金)で形成されている。ここで、主成分は、含有率(重量パーセント(wt%))が最も高い成分を意味している。芯部22は、外層21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅、銅を主成分として含む合金、等)で形成されている。第1チップ29は、軸部27よりも放電に対する耐久性に優れる材料(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の貴金属)を用いて形成されている。中心電極20のうち第1チップ29を含む先端側の一部分は、絶縁体10の軸孔12から前方向Df側に露出している。なお、芯部22は、省略されてもよい。また、第1チップ29は、省略されてもよい。
端子金具40は、軸線CLに平行に延びる棒状の部材である。端子金具40は、導電性材料を用いて形成されている(例えば、鉄を主成分として含む金属)。端子金具40は、前方向Dfに向かって順番で並ぶ、キャップ装着部49と、鍔部48と、軸部41と、を有している。軸部41は、絶縁体10の軸孔12の後方向Dfr側の部分に挿入されている。キャップ装着部49は、絶縁体10の後端側で、軸孔12の外に露出している。
絶縁体10の軸孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための抵抗体73が配置されている。抵抗体73は、導電性材料(例えば、ガラスと炭素粒子とセラミック粒子との混合物)を用いて形成されている。抵抗体73と中心電極20との間には、第1シール部72が配置され、抵抗体73と端子金具40との間には、第2シール部74が配置されている。これらのシール部72、74は、導電性材料(例えば、金属粒子と抵抗体73の材料に含まれるものと同じガラスとの混合物)を用いて形成されている。中心電極20は、第1シール部72、抵抗体73、第2シール部74によって、端子金具40に電気的に接続されている。
主体金具50は、軸線CLに沿って延びる貫通孔59を有する筒状の部材である。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入され、主体金具50は、絶縁体10の外周に固定されている。主体金具50は、導電材料(例えば、主成分である鉄を含む炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。絶縁体10の前方向Df側の一部は、貫通孔59の外に露出している。また、絶縁体10の後方向Dfr側の一部は、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、工具係合部51と、先端側胴部52と、を有している。工具係合部51は、点火プラグ用のレンチ(図示せず)が嵌合する部分である。先端側胴部52は、主体金具50の先端面55を含む部分である。先端側胴部52の外周面には、内燃機関(例えば、ガソリンエンジン)の取付孔に螺合するためのネジ部57が形成されている。ネジ部57は、軸線CLの方向に延びる雄ねじが形成された部分である。
主体金具50の工具係合部51と先端側胴部52との間の外周面には、径方向外側に張り出したフランジ状の中胴部54が形成されている。中胴部54の外径は、ネジ部57の最大外径(すなわち、ネジ山の頂の外径)よりも、大きい。中胴部54の前方向Df側の面300は、内燃機関のうちの取付孔を形成する部分である取り付け部(例えば、エンジンヘッド)とのシールを形成する座面である。
先端側胴部52のネジ部57と中胴部54の座面300との間には、環状のガスケット90が配置されている。ガスケット90は、点火プラグ100が内燃機関に取り付けられた際に押し潰されて変形し、点火プラグ100の中胴部54の座面300と、図示しない内燃機関の取り付け部(例えば、エンジンヘッド)と、の隙間を封止する。なお、ガスケット90が省略されてもよい。この場合、中胴部54の座面300は、直接に内燃機関の取り付け部に接触することによって、座面300と、内燃機関の取り付け部と、の隙間を封止する。
主体金具50の先端側胴部52には、先端側に向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部56が形成されている。主体金具50の縮内径部56と、絶縁体10の縮外径部16と、の間には、先端側パッキン8が挟まれている。本実施形態では、先端側パッキン8は、例えば、鉄製の板状リングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。
主体金具50の工具係合部51より後端側には、薄肉の部分であるカシメ部53が形成されている(カシメ部53は、主体金具50の後端を形成する後端部である)。また、中胴部54と工具係合部51との間には、薄肉の部分である座屈部58が形成されている。主体金具50の工具係合部51からカシメ部53にかけての内周面と、絶縁体10の後端側胴部13の外周面との間には、円環状のリング部材61、62が挿入されている。さらにこれらのリング部材61、62の間には、タルク70の粉末が充填されている。点火プラグ100の製造工程において、カシメ部53が内側に折り曲げられて加締められると、座屈部58が圧縮力の付加に伴って外向きに変形(座屈)し、この結果、主体金具50と絶縁体10とが固定される。タルク70は、この加締め工程の際に圧縮され、主体金具50と絶縁体10との間の気密性が高められる。また、パッキン8は、絶縁体10の縮外径部16と主体金具50の縮内径部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。
接地電極30は、金属製の部材であり、棒状の本体部37と、本体部37の先端部34に取り付けられた第2チップ39と、を有している。本体部37の他方の端部33(基端部33とも呼ぶ)は、主体金具50の先端面55に接合されている(例えば、抵抗溶接)。本体部37は、主体金具50に接合された基端部33から先端方向Dfに向かって延び、中心軸CLに向かって曲がって、先端部34に至る。第2チップ39は、先端部34の後方向Dfr側の部分に固定されている(例えば、抵抗溶接やレーザ溶接)。本体部37は、チップ39が接合される基部に対応する。接地電極30の第2チップ39と、中心電極20の第1チップ29とは、ギャップgを形成している。すなわち、接地電極30の第2チップ39は、中心電極20の第1チップ29の前方向Df側に配置されており、第1チップ29とギャップgを介して対向している。第2チップ39は、本体部37よりも放電に対する耐久性に優れる材料(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の貴金属)を用いて形成されている。なお、第2チップ39は、省略されてもよい。
本体部37は、外層31と、外層31の内周側に配置された内層32と、を有している。外層31は、内層32よりも耐酸化性に優れる材料(例えば、ニッケルを主成分として含む合金)で形成されている。内層32は、外層31よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅、銅を主成分として含む合金、等)で形成されている。なお、内層32は、省略されてもよい。
A−2.製造方法:
図2は、点火プラグ100の製造方法の例を示すフローチャートである。S100では、棒状の接地電極30が準備される。本実施形態では、曲げられていない棒状の本体部37と、第2チップ39とが、準備される。これらの部材を準備する方法としては、公知の種々の方法を採用可能である(詳細な説明を省略する)。そして、本体部37の先端部34に、第2チップ39が、抵抗溶接によって、接合される。図3(A)は、接合される前の本体部37と第2チップ39との斜視図を示し、図3(B)は、接合された後の本体部37と第2チップ39とを示している。図中の中心軸CLと方向Df、Dfrとは、完成した点火プラグ100(図1)における本体部37の先端部34と第2チップ39とから見た、中心軸CLと方向Df、Dfrを示している。以下、軸線CLと方向Df、Dfrとを用いて、位置関係を説明する。図示するように、第2チップ39は、本体部37の先端部34の後方向Dfr側の面S1に、接合される(以下、特定面S1とも呼ぶ)。第2チップ39の後方向Dfr側の面S2は、放電面である(以下、放電面S2とも呼ぶ)。また、図中には、特定面S1の縁E1、E2、E3が示されている。縁E1は、特定面S1の先端を示す縁である。この縁E1は、特定面S1と、本体部37の先端面37eと、の接続部分を示している。縁E2、E3は、先端部34が先端面37eに向かって延びる方向D37に垂直な方向の縁を示している(方向D37を、延長方向D37とも呼ぶ)。本実施形態では、延長方向D37は、軸線CLに垂直に、先端面37eに向かう方向である。
図3(C)〜図3(E)は、先端部34と第2チップ39とを接合する様子の説明図である。各図には、前方向Dfに垂直な方向を向いて見た、本体部37と第2チップ39との外観が示されている。まず、図3(C)に示すように、先端部34の後方向Dfr側の特定面S1上に、第2チップ39が、載せ置かれる。そして、図3(D)に示すように、第1支持部410が、第2チップ39の後方向Dfr側の面に押し付けられ、第2支持部420が、先端部34の前方向Df側の面に押し付けられる。支持部410、420は、導電材料(例えば、ステンレス鋼)で形成されている。そして、支持部410、420の間に、抵抗溶接のための電圧が印加される。これにより、電流が、先端部34と第2チップ39とを流れる。この電流によって、先端部34の後方向Dfr側の特定面S1と、第2チップ39の前方向Df側の面と、の相互に接触する部分が溶融し、先端部34と第2チップ39とが接合される。
図3(E)は、溶接後の外観を示している。図示するように、先端部34と第2チップ39との境界部分には、接合部200が形成されている。図3(B)に示すように、接合部200は、先端部34の特定面S1と、第2チップ39の外周面S3と、の境界部分に、全周に亘って、形成される。接合部200は、先端部34と第2チップ39とを接合する部分である。接合部200は、溶接時に先端部34と第2チップ39との溶融した部分が冷えて固まった部分である(溶融部200とも呼ぶ)。接合部200は、先端部34の成分と第2チップ39の成分とを含んでいる。換言すれば、接合部200は、先端部34の成分と第2チップ39の成分との合金層である。また、接合部200は、先端部34と第2チップ39とが一体化した部分である。
なお、接合部200の形状は、複数の接地電極30の間で、個々に異なり得る。図3(B)には、適切な形状の接合部200が示されている。本実施形態では、適切な接合部200は、先端部34の特定面S1の縁E1、E2、E3よりも内側、かつ、第2チップ39の放電面S2よりも本体部37側の範囲内に、形成される。そして、接合部200の表面は、滑らかな曲面を形成する。しかし、同じ方法で本体部37と第2チップ39とを接合する場合であっても、接合部に、意図しない部分が形成される場合がある。例えば、接合部が、先端部34の特定面S1に沿って拡がり、特定面S1の縁E1、E2、E3よりも外側にはみ出る場合がある。また、スパッタが生じ、接合部に細長い棘のような突出部が形成される場合がある。また、接合部が、第2チップ39の放電面S2よりも後方向Dfr側まで拡がる場合がある。接合部に、このような意図しない部分が形成されると、不具合が生じ得る。例えば、放電面S2ではなく接合部で放電が生じ得る。また、点火プラグの運搬時に、接合部のうちの突出する部分が他の部材に接触して、接地電極が破損し得る。
そこで、本実施形態では、図2のS100では、接合部の立体的な形状を特定し、接合部が意図しない部分を含むか否かを判断する。そして、接合部が意図しない部分を含まないと判断された場合に、接地電極を、点火プラグ100の製造用の部材として採用する。接合部が意図しない部分を含むと判断された場合に、接地電極を、製造対象から除外する。これらの処理の詳細については、後述する。
図2のS110では、接地電極30以外の他の部材が準備される。具体的には、主体金具50と、絶縁体10と、中心電極20と、シール部72、74と抵抗体73とのそれぞれの粉末材料と、端子金具40と、を含む部材が準備される。これらの部材を準備する方法としては、公知の種々の方法を採用可能である(詳細な説明を省略する)。なお、接地電極の準備(S100)と他の部材の準備(S110)とは、互いに独立に行われる。
S120では、準備された部材を用いて、点火プラグ100が組み立てられる。例えば、先ず、絶縁体10と中心電極20と端子金具40とを有する組立体が作成される。例えば、絶縁体10の後方向Dfr側の開口から中心電極20が挿入される。中心電極20は、絶縁体10の縮内径部11に支持されることにより、貫通孔12内の所定位置に配置される。次に、第1シール部72、抵抗体73、第2シール部74のそれぞれの材料粉末の投入と投入された粉末材料の成形とが、部材72、73、74の順番に、行われる。粉末材料は、絶縁体10の後方向Dfr側の開口から貫通孔12内に投入される。次に、絶縁体10を、部材72、73、74の材料粉末に含まれるガラス成分の軟化点よりも高い所定温度まで加熱し、所定温度に加熱した状態で、絶縁体10の後方向Dfr側の開口から、端子金具40の軸部41を貫通孔12に挿入する。この結果、部材72、73、74の材料粉末が圧縮および焼結されて、部材72、73、74が形成される。そして、端子金具40が、絶縁体10に固定される。また、主体金具50には、接地電極30が接合される(例えば、抵抗溶接)。
次に、主体金具50に絶縁体10を含む上記の組立体が固定される。具体的には、主体金具50の貫通孔59内に、先端側パッキン8と、組立体と、リング部材62と、タルク70と、リング部材61とが配置され、そして、主体金具50のカシメ部53を内側に折り曲げるように加締めることによって、主体金具50に絶縁体10が固定される。そして、棒状の接地電極30を曲げることによって、ギャップgの距離が調整される。以上により、点火プラグ100が完成する。
図4は、図2のS100での接地電極を準備する方法の例を示すフローチャートである。S200では、棒状の本体部37と第2チップ39とが準備され、S210では、本体部37に第2チップ39が接合される。これらのステップS200、S210は、図3で説明した通りである。S220では、測距装置を用いて、接地電極30のうちの第2チップ39を含む対象部分の外面上の複数の点のそれぞれの相対的な位置を特定する。
図5は、測定システム1000の例を示す概略図である。本実施形態では、測定システム1000は、測距システム700と、測距システム700を制御する制御装置800と、を含んでいる。測距システム700は、測距装置710と、測距装置710を支持するとともに測距装置710を移動させることが可能な支持装置720と、を含んでいる。測距装置710は、測距装置710と測定対象との間の距離を測定する装置である。測距装置710の構成としては、任意の構成を採用可能である。本実施形態では、測距装置710は、レーザ距離計である。測距装置710は、予め決められた照射方向LDに向かって、測定対象にレーザ光Lz1を照射し、測定対象からの反射光Lz2を受信する。そして、測距装置710は、レーザ光Lz1と反射光Lz2とを用いて(例えば、位相差を用いて)、測距装置710と測定対象との間の照射方向LDの距離を特定する。距離の分解能は、例えば、20μm以下である。また、本実施形態では、測距装置710は、走査方向SDの位置が互いに異なる複数の測定位置のそれぞれと、測距装置710と、の間の照射方向LDの距離を測定可能である(走査方向SDは、予め決められており、照射方向LDに垂直な方向である)。測距装置710は、例えば、測距装置710に含まれる光学システム(例えば、レンズなど)を動かすことによって、レーザ光Lz1の射出位置や照射方向を動かすことによって、走査方向SDの測定位置を変更する。
本実施形態では、接地電極30は、測距装置710から、照射方向LDに向かって予め決められた距離だけ離れた位置に、配置される。そして、測距装置710に対する接地電極30の向きは、第2チップ39の放電面S2が測距装置710側を向くとともに、先端部34の延長方向D37が、予め決められた目標方向Dt37とおおよそ同じとなるように、調整される。この状態では、照射方向LDは、接地電極30の特定面S1におおよそ垂直であり、また、放電面S2におおよそ垂直であり、そして、接地電極30に対する前方向Dfとおおよそ同じである。また、走査方向SDは、延長方向D37に、おおよそ垂直である。
支持装置720は、測距装置710を支持するアーム722と、アーム722を移動させる駆動源724(例えば、電気モータ)と、を含んでいる。支持装置720は、走査方向SDに交差する方向である移動方向MDの測距装置710の位置を、移動させることが可能である。本実施形態では、移動方向MDは、走査方向SDと照射方向LDとに垂直な方向である。
図中の複数の点Mpは、測距システム700によって距離が測定される測定位置を示している(測定位置Mpとも呼ぶ)。図示するように、複数の測定位置Mpは、接地電極30の対象部分30tの後方向Dfr側の面上に、分布している。対象部分30tは、第2チップ39と、特定面S1のうちの第2チップ39を囲む一部分と、を含む部分である。このような対象部分30tは、接合部200と、縁E1と、縁E2の延長方向D37側の一部と、縁E3の延長方向D37側の一部と、を含んでいる。複数の測定位置Mpは、対象部分30tの後方向Dfr側の面上に、おおよそ均等に分布するように、配置される。また、複数の測定位置Mpは、接地電極30の外側にも配置されている(この理由については、後述する)。本実施形態では、複数の測定位置Mpは、格子状に、配置される。
制御装置800は、例えば、パーソナルコンピュータである(例えば、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ)。制御装置800は、プロセッサ810と、記憶装置815と、画像を表示する表示部840と、ユーザによる操作を受け入れる操作部850と、インタフェース870と、を有している。記憶装置815は、揮発性記憶装置820と、不揮発性記憶装置830と、を含んでいる。制御装置800の各要素は、バスを介して互いに接続されている。
プロセッサ810は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。揮発性記憶装置820は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置830は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置830は、プログラム832を格納している。プロセッサ810は、プログラム832を実行することによって、測距システム700を制御し、そして、接合部200を検査する(詳細は後述)。プロセッサ810は、プログラム832の実行に利用される種々の中間データを、記憶装置815(例えば、揮発性記憶装置820、不揮発性記憶装置830のいずれか)に、一時的に格納する。
表示部840は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。操作部850は、ユーザによる操作を受け取る装置であり、例えば、表示部840上に重ねて配置されたタッチパネルである。ユーザは、操作部850を操作することによって、種々の指示を制御装置800に入力可能である。インタフェース870は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、USBインタフェース)。測距システム700(具体的には、測距装置710と支持装置720)は、このインタフェース870に接続されている。
図4のS220では、ユーザは、制御装置800の操作部850を操作することにより、検査処理を開始する指示を、入力する。プロセッサ810は、指示に応じて、プログラム832に従って、検査処理を開始する。具体的には、S220では、プロセッサ810は、測距装置710を制御することによって、走査方向SDの位置が互いに異なる複数の測定位置Mpのそれぞれの距離を測距装置710に測定させ、距離を表す距離情報を測距装置710から取得する。また、プロセッサ810は、支持装置720を制御することにより、移動方向MDの測距装置710の位置を、移動させる。プロセッサ810は、距離の測定と、測距装置710の移動とを、交互に繰り返すことによって、複数の測定位置Mpのそれぞれの距離情報を取得する。測定位置Mpの距離は、接地電極30の対象部分30tの外面上の位置に応じて、変化する。例えば、放電面S2は、特定面S1の測距装置710側に位置している。従って、放電面S2上の測定位置Mpの距離は、特定面S1上の測定位置Mpの距離よりも、短い。
プロセッサ810は、支持装置720を制御するので、支持装置720によって動かされる測距装置710の移動方向MDの複数の位置のそれぞれを、特定できる。S220では、プロセッサ810は、測距装置710の移動方向MDの位置と、測定位置Mpの走査方向SDの位置と、測定された距離と、の対応関係を表すジオメトリ情報を、取得する。1個の対応関係は、1個の測定位置Mpを表している。ジオメトリ情報は、複数の測定位置Mpのそれぞれの対応関係を、表している。なお、レーザ光Lz1の照射方向LDは、予め決められている。従って、ジオメトリ情報は、接地電極30の対象部分30tの後方向Dfr側の外面上の複数の測定位置Mpのそれぞれの相対的な三次元の位置を表している。このように、プロセッサ810は、ジオメトリ情報を取得することによって、複数の測定位置Mpのそれぞれの相対的な三次元の位置を特定している、といえる。
なお、図5では、複数の測定位置Mpが、簡略化して示されている。実際には、より高密度に配置された多数の測定位置Mpのそれぞれの距離が、測定される。また、複数の測定位置Mpは、特定面S1の縁E1、E2、E3よりも外側まで、広く分布している。後述するように、接合部200が、縁E1、E2、E3の外側まで延びる場合、その延びた部分上の測定位置Mpの距離も、測定される。
対象部分30tから外れた測定位置Mpに関しては、測距装置710と接地電極30との間の距離を大幅に超える距離が、測定される。従って、距離が予め決められた閾値を超える場合、その距離に対応する測定位置Mpは、対象部分30tから外れていると判断できる。距離の閾値は、対象部分30t上の測定位置Mpの距離の測定され得る範囲よりも大きな値に、設定される。
図4のS230では、プロセッサ810は、S220で得られたジオメトリ情報を用いて、接地電極30の対象部分30tの立体形状を表す三次元の座標データ(単に、三次元データとも呼ぶ)を、生成する。三次元データは、S220で測定された複数の測定位置Mpのそれぞれの座標を表すデータである。以下、三次元の座標によって表される点を、座標点とも呼ぶ。
図6は、三次元の座標を表す座標系の説明図である。図6(A)の第1座標系CS1では、原点Oaは、特定面S1上に配置されている。そして、互いに垂直な3個の座標軸Xa、Ya、Zaが、原点Oaから延びている。第1軸Xaと第2軸Yaとは、特定面S1におおよそ平行な座標軸であり、第3軸Zaは、特定面S1におおよそ垂直な座標軸である。第1軸Xaの正の方向は、本体部37の先端部34の延長方向D37とおおよそ同じである。第2軸Yaは、延長方向D37におおよそ垂直である。第3軸Zaの正の方向は、後方向Dfrとおおよそ同じである。
第1座標系CS1で表される座標を用いる場合、第1軸Xaと第2軸Yaとの座標を参照せずに、第3軸Zaの座標を参照することによって、座標点が、特定面S1よりも後方向Dfr側であるか否かを、容易に特定できる。また、第3軸Zaの座標を参照せずに、第1軸Xaの座標と第2軸Yaの座標とを参照することによって、座標点の特定面S1に平行な方向の位置が、特定面S1の縁E1、E2、E3よりも外側であるか否かを、容易に特定できる。
図6(B)の第2座標系CS2では、原点Obは、放電面S2上に配置されている。そして、互いに垂直な3個の座標軸Xb、Yb、Zbが、原点Obから延びている。第1軸Xbと第2軸Ybとは、放電面S2におおよそ平行な座標軸であり、第3軸Zbは、放電面S2におおよそ垂直な座標軸である。第1軸Xbの正の方向は、本体部37の先端部34の延長方向D37とおおよそ同じである。第2軸Ybは、延長方向D37におおよそ垂直である。第3軸Zbの正の方向は、後方向Dfrとおおよそ同じである。第2座標系CS2で表される座標を用いる場合、第1軸Xbと第2軸Ybとの座標を参照せずに、第3軸Zbの座標を参照することによって、座標点が、放電面S2よりも後方向Dfr側であるか否かを、容易に特定できる。
以下、第1軸Xaの正の方向を、+Xa方向とも呼び、第1軸Xaの負の方向を、−Xa方向とも呼ぶ。他の軸Ya、Za、Xb、Yb、Zbの正の方向と負の方向とについても、同様の標記を用いる。
図4のS230では、プロセッサ810は、第1座標系CS1で表される第1種三次元データと、第2座標系CS2で表される第2種三次元データと、の両方を生成する。このような三次元データは、ジオメトリ情報を解析することによって、生成される。プロセッサ810は、例えば、以下の手順に従って、三次元データを生成する。
プロセッサ810は、複数の測定位置Mpのそれぞれの座標を、ジオメトリ情報、すなわち、測定位置Mpに対応付けられた測距装置710(図5)の移動方向MDの位置と、測定位置Mpの走査方向SDの位置と、照射方向LDの距離と、から、算出する。算出される座標は、予め決められた基準座標系で表されている(例えば、測距装置710の特定の位置を原点とする座標系)。次に、プロセッサ810は、複数の測定位置Mpのそれぞれの座標を、第1座標系CS1の座標に変換することによって、第1種三次元データを生成する。第1種三次元データは、特定面S1を基準とする相対的な座標を表すデータであり、対象部分30tの後方向Dfr側の面の立体形状を表している。また、プロセッサ810は、複数の測定位置Mpのそれぞれの座標を、第2座標系CS2の座標に変換することによって、第2種三次元データを生成する。第2種三次元データは、放電面S2を基準とする相対的な座標を表すデータであり、対象部分30tの後方向Dfr側の面の立体形状を表している。
基準座標系と第1座標系CS1との第1対応関係と、基準座標系と第2座標系CS2との第2対応関係と、を特定する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、プロセッサ810は、以下の手順に従って、第1対応関係と第2対応関係とを特定する。
プロセッサ810は、複数の測定位置Mpから、対象部分30t上の測定位置Mpを、抽出する。例えば、プロセッサ810は、距離が予め決められた閾値以下である測定位置Mpを、対象部分30t上の測定位置Mpとして抽出する。以下、抽出された測定位置Mpを、対象位置Mptとも呼ぶ(図5)。また、抽出されなかった測定位置Mp(すなわち、対象部分30tから外れた測定位置Mp)を、外位置Mpoとも呼ぶ。
プロセッサ810は、複数の対象位置Mptから、特定面S1上の対象位置Mptで構成される特定面グループと、放電面S2上の対象位置Mptで構成される放電面グループと、抽出する。特定面グループの距離は、放電面グループの距離よりも、長い。また、特定面グループと放電面グループとの間の距離の差は、標準的な接地電極30の特定面S1と放電面S2との間の距離である基準距離と、おおよそ同じである。このような特定面グループと放電面グループとを抽出する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、プロセッサ810は、複数の対象位置Mptの距離のヒストグラムを生成し、ヒストグラムの複数のピークを特定する。そして、プロセッサ810は、複数のピークから、距離差が基準距離である2つのピークを検索する。2つのピークの複数の候補が見つかる場合、対象位置Mptの総数が最も多い2つのピークを採用する。プロセッサ810は、見つかった2つのピークのうち、距離が長いピークを構成する複数の対象位置Mptのグループを、特定面グループとして採用し、距離が短いピークを構成する複数の対象位置Mptのグループを、放電面グループとして採用する。
プロセッサ810は、特定面グループの複数の対象位置Mptの座標を平面で近似することによって、特定面S1を表す近似平面を算出する。そして、プロセッサ810は、算出された近似平面上に原点Oaを配置する。プロセッサ810は、原点Oaを通り、近似平面に垂直な軸を、第3軸Zaとして採用する。また、プロセッサ810は、近似平面に平行、かつ、予め決められた目標方向Dt37(図5)に最も近い方向を算出する。そして、プロセッサ810は、原点Oaを通り、算出された方向に平行な軸を、第1軸Xaとして採用する。また、プロセッサ810は、原点Oaを通り、第1軸Xaに垂直、かつ、第3軸Zaに垂直な軸を、第2軸Yaとして採用する。以上により、第1座標系CS1が決定される。そして、プロセッサ810は、決定された第1座標系CS1を用いて、基準座標系と第1座標系CS1との対応関係を、特定する。
プロセッサ810は、基準座標系と第2座標系CS2との対応関係も、同様に、特定する。放電面S2を表す近似平面が、放電面グループの複数の対象位置Mptの座標を平面で近似することによって、算出される。算出された近似平面上に、原点Obが配置される。原点Obを通り、近似平面に垂直な軸が、第3軸Zbとして採用される。近似平面に平行、かつ、予め決められた目標方向Dt37(図5)に最も近い方向が算出され、原点Oaを通り、算出された方向に平行な軸が、第1軸Xbとして採用される。原点Obを通り、第1軸Xbに垂直、かつ、第3軸Zbに垂直な軸が、第2軸Ybとして採用される。以上により、第2座標系CS2が決定される。そして、プロセッサ810は、決定された第2座標系CS2を用いて、基準座標系と第1座標系CS1との対応関係を、特定する。
図4のS240では、プロセッサ810は、第1種三次元データを解析することによって、第1種非意図的部分を検索する。図7は、第1種非意図的部分の説明図である。図7(A)は、前方向Df(すなわち、−Za方向)を向いて見た接地電極30aを示し、図7(B)は、延長方向D37に反対の方向(すなわち、−Xa方向)を向いて見た接地電極30aを示している。図中の方向Xa、Ya、Zaは、それぞれ、原点Oa位置とは無関係に、座標軸Xa、Ya、Zaの正の方向を示している。以下、図7の接地電極30aを参照して、説明する。
図中の接地電極30aでは、接合部200aは、特定面S1の縁E3を超えて、外側まで延びている。このように特定面S1の縁E1、E2、E3よりも外側まで延びる意図しない接合部は、種々の要因によって、形成され得る。接合部200aのうちの意図しない突出する部分は、点火プラグの運搬時に他の部材(例えば、他の点火プラグ)と接触し得、その様な接触によって、接地電極30aが破損し得る(例えば、第2チップ39が本体部37から外れ得る)。このような接合部は、特定面S1の縁E1、E2、E3よりも外側、かつ、特定面S1よりも第2チップ39側の部分である第1種非意図的部分を含む。図7の例では、ハッチングで示された部分P1が、第1種非意図的部分である。
プロセッサ810は、第1種三次元データを解析することにより、特定面S1を表す近似平面上における、特定面S1の縁E1、E2、E3をそれぞれ近似する線を特定する。縁E1、E2、E3を近似する線の算出方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、プロセッサ810は、特定面S1を表すグループの複数の対象位置Mpt(図5)が分布する領域のうち、+Xa方向側の端を形成する複数の対象位置Mptを抽出する。端を形成する対象位置Mptを抽出する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、+Xa側の隣の測定位置Mpが外位置Mpoであるような対象位置Mptを、+Xa方向側の端を形成する対象位置Mptとして抽出してよい。抽出される複数の対象位置Mptは、縁E1に沿って並ぶ複数の対象位置Mptである。
プロセッサ810は、抽出された複数の対象位置Mptを表す複数の座標点(ここでは、第1軸Xaと第2軸Yaとの二次元座標で表される座標点)を近似する線を、算出する。近似線としては、縁E1の形状に適した線が利用される。縁E1が直線状である場合、近似直線が、算出される。縁E1が曲線状である場合、近似曲線(例えば、スプライン関数で表される曲線)が、算出される。縁E2を近似する線と、縁E3を近似する線とについても、同様に、算出される。
プロセッサ810は、対象部分30tを表す複数の対象位置Mptから、以下の条件1A、1Bを満たす対象位置Mptを、検索する。
<条件1A>第1軸Xaと第2軸Yaとの二次元の座標が、縁E1、E2、E3の近似線で囲まれる領域の外の座標である。
<条件1B>第3軸Zaの座標が、特定面S1(具体的には、特定面S1の近似平面)よりも第2チップ39側の座標である。
これらの条件1A、1Bを満たす対象位置Mptは、図7の部分P1のような第1種非意図的部分上の測定位置Mpを表している。
図4のS250では、プロセッサ810は、条件1A、1Bを満たす対象位置Mptが見つかったか否かを判断する。条件1A、1Bを満たす対象位置Mptが見つかることは、図7(A)、図7(B)の接地電極30aの対象部分30atのように、接地電極の対象部分が第1種非意図的部分を含むことを意味している。条件1A、1Bを満たす対象位置Mptが見つかった場合、すなわち、対象部分が第1種非意図的部分を含むと判断される場合(S250:Yes)、接地電極は、不採用であり、製造対象から除外される(S298)。S298では、プロセッサ810は、判断結果を表す結果情報を、結果情報を受け付ける装置に、出力する。例えば、プロセッサ810は、結果情報を表示部840に出力し、表示部840に判断結果を表示させる。ユーザは、表示部840を観察することによって、判断結果を特定できる。また、プロセッサ810は、結果情報を記憶装置(例えば、不揮発性記憶装置830)に出力してもよい(すなわち、結果情報を記憶装置に格納してもよい)。ユーザは、記憶装置の結果情報を参照することによって、判断結果を特定できる。そして、図4の処理が終了する。
条件1A、1Bを満たす対象位置Mptが見つからない場合(S250:No)、S260で、プロセッサ810は、第1種三次元データを解析することによって、第2種非意図的部分を検索する。図8は、第2種非意図的部分の説明図である。図8(A)は、前方向Df(すなわち、−Za方向)を向いて見た接地電極30bを示し、図8(B)は、延長方向D37に反対の方向(すなわち、−Xa方向)を向いて見た接地電極30bを示している。図中の方向Xa、Ya、Zaは、それぞれ、原点Oa位置とは無関係に、座標軸Xa、Ya、Zaの正の方向を示している。以下、図8の接地電極30bを参照して、説明する。
図中の接地電極30bでは、接合部200bは、棘のように突出する部分P2を含んでいる。このように局所的に突出する意図しない突出部分P2は、種々の要因によって、形成され得る。例えば、スパッタが生じる場合に、突出部分P2も形成される。このような突出部分P2は、図7の第1種非意図的部分P1と同様に、点火プラグの運搬時に不具合を引き起こし得る。また、細く尖った突出部分P2は、放電面S2の代わりに、放電の起点となり得る。
このような突出部分(すなわち、第2種非意図的部分)を検出する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、プロセッサ810は、対象部分30btのうちの特定面S1よりも第2チップ39側の複数の対象位置Mptが分布する領域の輪郭を利用して、第2種非意図的部分を検出する。
図8(C)は、接合部200b上の複数の対象位置Mptの説明図である。図中には、第1軸Xaと第2軸Yaとで表される二次元平面上での複数の対象位置Mptの配置例が示されている。図中には、突出部分P2を含む一部分が示されている。白丸で示される対象位置Mptは、複数の対象位置Mptが分布する領域の輪郭を形成する対象位置Mptであり、接合部200bの輪郭を表している(輪郭位置Mpeとも呼ぶ)。太線で示される近似曲線AOは、複数の輪郭位置Mpeの配置を近似する曲線である(近似輪郭線AOとも呼ぶ)。適切な接合部の輪郭は、緩やかな曲線を描くので、接合部の輪郭を近似する近似輪郭線AOとしては、曲率半径が過度に小さくならないように、構成されている。例えば、近似輪郭線AOは、円、楕円、次数の小さい多項式などで、表される。このような近似輪郭線AOは、突出部分P2のように細い突出部の輪郭位置Mpeをなぞらずに、接合部200bの複数の輪郭位置Mpeのうち突出部分P2以外の部分の複数の輪郭位置Mpeを滑らかになぞるように、算出される。なお、本実施形態では、近似輪郭線AOとしては、接合部の輪郭を全周に亘ってなぞるループ状の線が、算出される。ただし、接続部のうちの突出部分P2のような突出部分を含む一部分のみの輪郭を表す近似輪郭線が、算出されてもよい。
図中の対象位置Mphxは、突出部分P2上の測定位置Mpである。距離dmは、対象位置Mphxと近似輪郭線AOとの間の最短距離である。突出部分P2は、近似輪郭線AOの外側に向かって突出しているので、距離dmは、大きくなる。このように、近似輪郭線AOの外側において、近似輪郭線AOから遠い位置に接合部200b上の対象位置Mptが検出される場合、検出される対象位置Mptは、細い突出部分(例えば、図8(C)の突出部分P2)を表していると推定される。プロセッサ810は、このように近似輪郭線AOの外側において近似輪郭線AOから遠い対象位置Mptが検出される場合に、接合部が第2種非意図的部分を含むと判断する。
具体的には、プロセッサ810は、複数の対象位置Mptから、第3軸Zaの座標が特定面S1(具体的には、特定面S1の近似平面)よりも第2チップ39側の座標である対象位置Mptを、抽出する。抽出される複数の対象位置Mptは、特定面S1上の対象位置Mptを含まずに、特定面S1よりも高い部分(すなわち、接合部と第2チップ)の外面上の対象位置Mptを含む(高対象位置Mphとも呼ぶ)。プロセッサ810は、抽出された複数の高対象位置Mphから、複数の高対象位置Mphの第1軸Xaと第2軸Yaとの2次元座標(すなわち、特定面S1に平行な方向の座標)が分布する領域の輪郭を形成する輪郭位置Mpeを特定する。
輪郭位置Mpeを特定する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、注目している高対象位置Mphを囲む8個の測定位置Mpのうちの高対象位置Mphとは異なる測定位置Mpの総数を数える(外総数と呼ぶ)。高対象位置Mphとは異なる測定位置Mpは、例えば、特定面S1上の測定位置Mp、または、対象部分30btから外れた測定位置Mpである。外総数が多いことは、注目している高対象位置Mphが、複数の高対象位置Mphの分布する領域の外の領域に接していることを、示している。従って、外総数が予め決められた閾値N以上である場合に、注目している高対象位置Mphが、輪郭位置Mpeであると判断できる。閾値Nは、1以上、7以下の整数である。図8(C)の例では、閾値Nは、3である。
プロセッサ810は、特定された複数の輪郭位置Mpeを近似する近似輪郭線AOを算出する。近似輪郭線AOは、突出部分P2のように局所的に突出する部分の輪郭位置Mpeをなぞらずに、適切な接合部の緩やかに湾曲する輪郭をなぞることができるように、構成されている。例えば、円、楕円、次数の小さい多項式などで、複数の輪郭位置Mpeが近似される。
プロセッサ810は、算出された近似輪郭線AOの外側の高対象位置Mphと近似輪郭線AOとの間の最短距離を、高対象位置Mph毎に算出する。そして、プロセッサ810は、算出された最短距離が予め決められた距離閾値Dt以上である高対象位置Mphを、検索する。すなわち、プロセッサ810は、以下の条件2A、2B、2Cを満たす対象位置Mptを、検索する。
<条件2A>第3軸Zaの座標が、特定面S1(具体的には、特定面S1の近似平面)よりも第2チップ39側の座標である。
<条件2B>第1軸Xaと第2軸Yaとの二次元の座標が、近似輪郭線AOの外の座標である。
<条件2C>最短距離が距離閾値Dt以上である。
ここで、距離閾値Dtは、接合部の形状が適切である場合に近似輪郭線AOの外側において検出される高対象位置Mphの最短距離の取り得る値よりも、十分に大きな値に設定される。これらの条件2A、2B、2Cを満たす対象位置Mptは、図8の突出部分P2のような局所的に突出する部分(すなわち、第2種非意図的部分)上の測定位置Mpを表している。
図4のS270では、プロセッサ810は、条件2A−2Cを満たす対象位置Mptが見つかったか否かを判断する。条件2A−2Cを満たす対象位置Mptが見つかることは、図8(A)、図8(B)の接地電極30bの対象部分30btのように、接地電極の対象部分が第2種非意図的部分を含むことを意味している。条件2A−2Cを満たす対象位置Mptが見つかった場合、すなわち、対象部分が第2種非意図的部分を含むと判断される場合(S270:Yes)、接地電極は、不採用であり、製造対象から除外される(S298)。そして、図4の処理が終了する。
条件2A−2Cを満たす対象位置Mptが見つからない場合(S270:No)、S280で、プロセッサ810は、第2種三次元データを解析することによって、第3種非意図的部分を検索する。図9は、第3種非意図的部分の説明図である。図9(A)は、前方向Df(すなわち、−Zb方向)を向いて見た接地電極30cを示し、図9(B)は、延長方向D37に反対の方向(すなわち、−Xb方向)を向いて見た接地電極30cを示している。図中の方向Xb、Yb、Zbは、それぞれ、原点Ob位置とは無関係に、座標軸Xb、Yb、Zbの正の方向を示している。以下、図9の接地電極30cを参照して、説明する。
図中の接地電極30cでは、接合部200cは、放電面S2よりも後方向Dfr側まで延びる部分P3を含んでいる。このように放電面S2よりも後方向Dfr側まで延びる意図しない接合部は、種々の要因によって、形成され得る。接合部200cのうちの意図しない突出する部分は、放電面S2の代わりに、放電の起点となり得る。このような接合部は、放電面S2を挟む両側のうち第2チップ39側とは反対側にある部分である第3種非意図的部分を含む。図9の例では、ハッチングで示された部分P3が、第3種非意図的部分である。
プロセッサ810は、第2種三次元データを解析することにより、接地電極30cの対象部分30ctを表す複数の対象位置Mptを特定する。そして、プロセッサ810は、複数の対象位置Mptから、以下の条件3Aを満たす対象位置Mptを、検索する。
<条件3A>第3軸Zbの座標が、放電面S2(具体的には、放電面S2の近似平面)の第2チップ39側とは反対側の座標である。
この条件3Aを満たす対象位置Mptは、図9の部分P3のような第3種非意図的部分上の対象位置Mptを表している。
図4のS290では、プロセッサ810は、条件3Aを満たす対象位置Mptが見つかったか否かを判断する。条件3Aを満たす対象位置Mptが見つかることは、図9(A)、図9(B)の接地電極30cの対象部分30ctのように、接地電極の対象部分が第3種非意図的部分を含むことを意味している。条件3Aを満たす対象位置Mptが見つかった場合、すなわち、対象部分が第3種非意図的部分を含むと判断される場合(S290:Yes)、接地電極は、不採用であり、製造対象から除外される(S298)。そして、図4の処理が終了する。
接地電極の対象部分が、第1種非意図的部分と第2種非意図的部分と第3種非意図的部分とのいずれも含まないと判断される場合(S250:No、S270:No、S290:No)、接地電極は、製造対象として採用される(S294)。S294では、S298と同様に、プロセッサ810は、判断結果を表す結果情報を、結果情報を受け付ける装置に、出力する。そして、図4の処理が終了する。図2の処理では、製造対象として採用される接地電極を用いて、点火プラグ100が製造される。
以上のように、図4のS220では、プロセッサ810(図5)は、本体部37と、本体部37の特定面S1に接合された第2チップ39と、を含む接地電極30のうち、本体部37の特定面S1の一部と第2チップ39とを含む対象部分30tの外面上の複数の測定位置Mpのそれぞれの相対的位置を特定する。S230では、プロセッサ810は、対象部分の立体形状を表す三次元の座標データを生成する。S240−S250、S260−S270、S280−S290のそれぞれでは、プロセッサ810は、座標データを解析することによって、対象部分が非意図的部分を含むか否かを判断する。S298では、非意図的部分を含む接地電極が、製造対象から除外される。S294では、非意図的部分を含まないと判断された接地電極30が、製造対象の部材として採用され、点火プラグ100が組み立てられる(図2)。このように、接地電極の対象部分が非意図的部分を含むか否かの判断に、三次元の座標データが用いられるので、接地電極の汚れなどの影響を緩和でき、接地電極の本体部とチップ39との接合の不具合の有無を適切に判断できる。
また、図4のS230と図6(A)、図6(B)とで説明したように、三次元の座標データを生成することは、第1座標系CS1での座標(すなわち、本体部37の特定面S1を基準とする相対的な座標)を表す第1種三次元座標データと、第2座標系CS2での座標(すなわち、第2チップ39の放電面S2を基準とする相対的な座標)を表す第2種三次元座標データと、を生成することを含む。図4のS240、S260で説明したように、第1種三次元座標データを用いる場合、特定面S1を基準とする解析を容易に行うことができる。例えば、対象位置Mptが特定面S1よりもチップ39側にあるか否かを、第3軸Zaの座標のみを用いて、判断できる。また、対象位置Mptが、縁E1、E2、E3の外にあるか否かを、第1軸Xaと第2軸Yaとの2個の座標のみを用いて、判断できる。また、図4のS280で説明したように、第2種三次元座標データを用いる場合、放電面S2を基準とする解析を容易に行うことができる。例えば、対象位置Mptが放電面S2のチップ39側とは反対側にあるか否かを、第3軸Zbの座標のみを用いて、判断できる。このように、第1種三次元座標データと第2種三次元座標データとを用いることによって、解析を容易に行うことができる
また、図4のS240、S250、図7で説明したように、座標データの解析の結果において、接地電極30aの対象部分30atが、本体部37の特定面S1に垂直な方向の位置(ここでは、第3軸Zaの座標)が特定面S1を挟む両側のうちの本体部37側とは反対側(すなわち、チップ39側)にあり、かつ、特定面S1に平行な方向の位置が特定面S1の縁E1、E2、E3よりも外側にある部分である第1種非意図的部分P1を含む場合には、接地電極30aの対象部分30atが非意図的部分を含むと判断される。従って、接合部200aが本体部37の縁E1、E2、E3の外側にはみ出る場合に、接地電極30aの対象部分30atが非意図的部分を含むという適切な判断が可能である。
また、図4のS260、S270、図8で説明したように、座標データの解析の結果において、接地電極30bの対象部分30btは、本体部37の特定面S1に垂直な方向の位置(ここでは、第3軸Zaの座標)が特定面S1を挟む両側のうちの本体部37側とは反対側(すなわち、チップ39側)にある部分である反対部分(具体的には、接合部200bとチップ39とを含む部分)を含む。図8(C)で説明したように、反対部分は、複数の高対象位置Mphによって、表される。そして、近似輪郭線AOの外側において、近似輪郭線AOまでの最短距離が距離閾値Dt以上である高対象位置Mphが検出される場合、すなわち、反対部分が、特定面S1に平行な方向に局所的に突出する部分である第2種非意図的部分P2を含む場合に、接地電極30bの対象部分30btが非意図的部分P2を含むと判断される。従って、接合部200bが局所的に突出する部分P2を含む場合に、接地電極30bの対象部分30btが非意図的部分を含むという適切な判断が可能である。
また、図4のS280、S290、図9で説明したように、座標データの解析の結果において、接地電極30cの対象部分30ctが、チップ39の放電面S2に垂直な方向の位置(ここでは、第3軸Zbの座標)が放電面S2を挟む両側のうちのチップ39側とは反対側にある部分である第3種非意図的部分P3を含む場合には、接地電極30cの対象部分30ctが非意図的部分P3を含むと判断される。従って、接合部200cが放電面S2よりも後方向Dfr側に飛び出す場合に、接地電極30cの対象部分30ctが非意図的部分を含むという適切な判断が可能である。
B.変形例:
(1)接地電極30(図5)のうちの三次元座標データによって表される対象部分としては、本体部37の特定面S1の少なくとも一部とチップ39とを含む種々の部分を採用可能である。例えば、対象部分から、特定面S1のうちのチップ39が接合された部分の近傍の3個の縁E1、E2、E3から任意に選択された1以上の縁が省略されてもよい。ただし、図8の第1種非意図的部分P1のように、特定面S1の縁よりも外側に配置される第1種非意図的部分を検索するためには、対象部分は、特定面S1の縁の少なくとも一部を含むことが好ましい。
(2)接地電極30の本体部37とチップ39との接合部200が意図しない部分である予め決められた非意図的部分を含むか否かを判断する方法は、上記実施形態の方法に代えて、他の種々の方法であってよい。例えば、図4のS240、S260の処理において、特定面S1を表す近似平面は、特定面グループの複数の対象位置Mptの全てに代えて、特定面グループの複数の対象位置Mptの少なくとも1つの対象位置Mptを用いて、算出されてよい。例えば、特定面グループの複数の対象位置Mptのうちの最も距離の短い対象位置Mpt(すなわち、測距装置710に最も近い対象位置Mpt)を含み、照射方向LDに垂直な平面を、特定面S1を近似する平面として採用してもよい。図4のS280の処理で用いられる、放電面S2を表す近似平面も、同様に、種々の方法で算出されてよい。
また、図4のS240の処理において、特定面S1の縁E1、E2、E3を表す線は、特定面グループの複数の対象位置Mptのうち端を形成する複数の対象位置Mptの座標点を近似する方法に代えて、他の方法によって特定されてもよい。例えば、プロセッサ810は、デジタルカメラを用いて特定面S1を撮影することによって得られる撮影画像を解析することによって、特定面S1の縁を特定し、撮影画像の解析結果と第1種三次元座標データとを組み合わせることによって、第1種三次元座標データを表す第1座標系CS1における縁を決定してもよい。
(3)図4のS260の処理において、局所的に突出する第2種非意図的部分P2を検出する方法としては、図8(C)で説明した方法に代えて、他の種々の方法を採用可能である。例えば、輪郭位置Mpeの密度を用いて第2種非意図的部分を検出してもよい。図8(C)には、予め決められた同じ形状と同じ大きさの2つの領域Aj1、Aj2が示されている(図8(C)の例では、領域Aj1、Aj2は、正方形の領域である)。第1領域Aj1は、突出部分P2と重なる位置に配置され、第2領域Aj2は、接合部200bの輪郭のうち突出部分P2とは異なる部分と重なる位置に配置されている。これらの領域Aj1、Aj2は、検出対象の細長い突出部分の幅よりも大きく、かつ、接合部200bよりも十分に小さい領域である。
第1領域Aj1は、突出部分P2の先端部と重なっている。一般的に、突出部分の先端部は細いので、先端部の周囲は、高対象位置Mphとは異なる測定位置Mpに囲まれている。従って、先端部を構成する複数の高対象位置Mphは、輪郭位置Mpeとして特定されやすい。この結果、領域Aj1内の輪郭位置Mpeの総数は、多くなる。
一方、第2領域Aj2は、接合部200bの突出部分P2とは異なる部分の輪郭と重なっている。突出部分とは異なる部分の輪郭は、緩やかな曲線で表されるので、第2領域Aj2内では、1本の線に重なる高対象位置Mphのみが、輪郭位置Mpeとして特定され得る。この結果、領域Aj2内の輪郭位置Mpeの総数は、少なくなる。
このように、第1領域Aj1内の輪郭位置Mpeの総数は、第2領域Aj2内の輪郭位置Mpeの総数と比べて、多い。すなわち、接合部200bのうちの局所的に突出する部分P2では、接合部200bの他の部分と比べて、輪郭位置Mpeの密度が大きくなる。従って、輪郭位置Mpeの密度が予め決められた密度閾値以上である部分を、第2種非意図的部分として検出してよい。この方法では、近似輪郭線AOを用いずに、第2種非意図的部分を検出できる。なお、輪郭位置Mpeの密度は、予め決められた形状と大きさの領域を用いて算出される密度であり、局所的な密度である。また、密度閾値は、接合部の形状が適切である場合に検出され得る輪郭位置Mpeの密度よりも、十分に大きな値に設定される。
一般的には、以下のような種々の方法を採用可能である。すなわち、特定面S1に垂直な方向の位置が特定面S1よりもチップ39側(すなわち、基部である本体部37とは反対側)である複数の高対象位置Mphを特定する。特定された複数の高対象位置Mphの特定面S1に平行な方向の位置が分布する領域の輪郭を表す輪郭位置Mpeを特定する。特定された輪郭位置Mpeを解析することによって、高対象位置Mphの分布する領域が、特定面S1に平行な方向に局所的に突出する部分を含むか否かを判断する。高対象位置Mphの分布領域が突出する部分を含む場合、電極の対象部分は第2種非意図的部分を含む、と判断できる。
(4)電極の対象部分に含まれるか否かが判断される非意図的部分としては、図7、図8、図9で説明した3種類の非意図的部分に代えて、種々の非意図的部分を採用してよい。例えば、上記3種類の非意図的部分のうち、予め任意に選択された1種または2種の非意図的部分の判断が、省略されてもよい。すなわち、図4の「S240−S250」と「S260−S270」と「S280−S290」とのうちの1つまたは2つが、省略されてもよい。また、上記3種類の非意図的部分とは異なる別の種類の非意図的部分が、電極の対象部分に含まれるか否かが判断されてもよい。なお、図7−図9の3種類の非意図的部分は、いずれも、不具合を引き起こし得る。従って、これら3種類の非意図的部分のうちの少なくとも1種類の非意図的部分が、電極の対象部分に含まれるか否かの判断の対象であることが、好ましい。
(5)三次元座標データとしては、図6(A)に示す特定面S1を基準とする第1座標系CS1で表される第1種三次元座標データと、図6(B)に示す放電面S2を基準とする第2座標系CS2で表される第2種三次元座標データと、のいずれか一方のみが、生成されてもよい。また、第1座標系CS1と第2座標系CS2との何れとも異なる座標系で表される三次元座標データが生成されてもよい(例えば、予め決められた座標系)。いずれの場合も、プロセッサ810は、非意図的部分が電極の対象部分に含まれるか否かの判断を、三次元座標データを解析し、上述した判断方法と同様の方法で、行うことができる。
なお、特定面S1を基準とする相対的な座標を表す座標系としては、1本の座標軸が特定面S1に垂直であるような、種々の座標系を採用可能である。例えば、互いに直交する3本の座標軸のうち、1本の座標軸が特定面S1に垂直であり、2本の座標軸が特定面S1に平行であってよい。ここで、原点は、特定面S1から離れた位置に配置されてもよい。また、特定面S1に平行な方向の位置が、極座標系で表されてもよい。同様に、放電面S2を基準とする相対的な座標を表す座標系としては、1本の座標軸が放電面S2に垂直であるような、種々の座標系を採用可能である。例えば、互いに直交する3本の座標軸のうち、1本の座標軸が放電面S2に垂直であり、2本の座標軸が放電面S2に平行であってよい。ここで、原点は、放電面S2から離れた位置に配置されてもよい。また、放電面S2に平行な方向の位置が、極座標系で表されてもよい。
なお、測距装置710(図5)に対する接地電極30の向きが、特定面S1が照射方向LD(ひいては、測距装置710によって測定される距離の方向)におおよそ垂直となるように、調整される場合、測距装置710によって測定される距離を、そのまま、特定面S1に垂直な方向の座標として用いてもよい。放電面S2に垂直な方向の座標についても、同様である。
(6)電極の対象部分の外面上の複数の点のそれぞれの相対的な位置を特定するために利用される測定装置は、図5で説明した測距装置710に代えて、対象部分上の複数の点の立体的な位置関係を測定可能な任意の装置であってよい。例えば、タッチプローブを電極の対象部分の複数の点のそれぞれに接触させることによって、複数の点の立体的な位置関係を測定する装置を用いてもよい。ただし、立体的な位置関係の高精度の測定を行うためには、非接触の三次元座標測定装置を用いることが好ましい。
(7)本体部37とチップ39とを接合する方法は、抵抗溶接に代えて、他の種々の方法であってよい。例えば、レーザ溶接によって、本体部37に第2チップ39が接合されてもよい。いずれの場合も、本体部37とチップ39とを接合する接合部が、非意図的部分を含むか否かの判断結果を利用して、接地電極30を準備することが好ましい。
(8)非意図的部分を含むか否かの判断結果を利用して準備される電極は、接地電極30に代えて、中心電極20であってもよい。この場合、棒部28と第1チップ29との接合部分が、非意図的部分を含むか否かの判断結果を利用して、中心電極20を準備することが好ましい。
(9)点火プラグの構成としては、上記各実施形態の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、先端側パッキン8(図1)が省略されてもよい。この場合、主体金具の縮内径部56は、直接的に、絶縁体の縮外径部16を、支持する。また、中心電極の先端部の先端面(例えば、図1の第1チップ29の前方向Df側の面)に代えて、中心電極の先端部の側面(軸線CLに垂直な方向側の面)と、接地電極とが、放電用のギャップを形成してもよい。放電用のギャップの総数が2以上であってもよい。抵抗体73が省略されてもよい。絶縁体の貫通孔内の中心電極と端子金具との間に、磁性体が配置されてもよい。
(10)図5の制御装置800は、パーソナルコンピュータとは異なる種類の装置であってもよい。例えば、制御装置800は、測距装置710に組み込まれていてもよい。また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、制御装置によるデータ処理の機能を一部ずつ分担して、全体として、制御装置の機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムが制御装置に対応する)。
上記各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図4のS230の機能を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。