JP2014092391A - 溶接きずの外観検査システム、及び溶接きずの外観検査方法 - Google Patents

溶接きずの外観検査システム、及び溶接きずの外観検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザーを照射した画像を用いて、溶接部のきずを検出し得る、溶接きずの外観検査システム、及び溶接きずの外観検査方法を提供する。
【解決手段】レーザー照射装置5、撮像装置7、移動手段8、溶接位置取得手段、記憶手段、及びきず検出手段を備える。レーザー照射装置は、溶接部3の溶接線を横断するように照射する。撮像装置は、照射されたレーザー光を撮像する。移動手段は、照射装置と撮像装置を支持したうえで溶接線に沿って移動することができ、溶接位置取得手段は、撮像装置で撮像した溶接位置を取得し、記憶手段は、撮像装置で撮像して得られた画像と撮像した溶接位置を関連づけて記憶する。きず検出手段は、画像に基づいて溶接きずを検出するもので、画像に関連づいた溶接位置に基づいて溶接きずの位置を特定する。溶接きずの有無の判断、及びその寸法測定は、画像に含まれる溶接線を横断したレーザー光の形状に基づいて行う。
【選択図】図5

Description

本願発明は、橋梁の鋼部材を接合する溶接のきずを検出する技術に関するものであり、より具体的には、溶接線を横断するレーザー光に基づいて溶接きずの有無とその位置を特定し得る溶接きずの外観検査システム、及び溶接きずの外観検査方法に関するものである。
橋梁は多くの部材で構成されており、例えば鋼橋のプレートガーダー橋の場合、床組、主桁、対傾構、横桁、横構などによって構成される。これら部材間では、応力や変形を設計どおり円滑に伝達させる必要があり、そのため状況に応じた適切な接合法が採られている。
床組や主桁など鋼橋を構成する主要な部材は、鋼板や形鋼といった鋼材を使用したもの(以下、鋼材を用いた部材を「鋼部材」という。)が多く、この鋼部材を接合する場合、機械的接合や溶接接合によるのが一般的である。機械的接合とは、接合しようとする接合面に機械的な圧力を加えて接合する手法であり、代表的なボルト接合をはじめ、リベット接合やピン結合などの種類がある。
溶接接合は、接合しようとする2つの鋼材(母材)を溶かして合わせることによって、あるいはさらに同質の鋼材(溶加材)を溶かして添加することで、接合された継手を形成する手法である。溶接接合は、継手の構造が簡単であり、継手部の水密性や気密性が高いといった特長を備えることから、橋梁の製作・架設において最も利用される接合方法の一つである。
ところで溶接作業は、工場で実施されることも、橋梁を施工する現場で行われることもあり、また手動で行うことも、自動溶接とすることもある。いずれの場合も、材料,設計,施工の条件が適切でないと、溶接により接合された溶接接合部(以下、単に「溶接部」という。)に「きず」を生じることがある。
溶接部に生じるきずには、様々な種類があることが知られている。例えばアーク溶接部に生じるきずには、気孔、スラグ巻込み、溶込み不良、融合不良、アンダーカット、オーバーラップ、余盛不良などがある。
図9は溶接部のきずを示す模式図で、(a)は気孔、スラグ巻込み、溶込み不良、融合不良を示す図、(b)はアンダーカット、オーバーラップ、ピットを示す図である。気孔は、溶接時に溶融した金属が凝固する際、過飽和となったガスが気泡となり、この気泡が溶接部内に残留するか、あるいは溶接部表面を突き破って外部に出ることによって生ずるきずである。図9にも示すように、溶接部内に残留したものがブローホール(球状の気孔)やウォームホール(芋虫状の気孔)であり、気泡が表面を突き破った痕跡がピットである。
スラグ巻込みは、溶接の際に溶け出た非金属であるスラグが、溶接部内に残留することで生じるきずである。溶け込み不良は、本来溶け込むべき個所に溶加材が溶け込まなかった結果生じるきずで、融合不良は、溶接の境界面同士が十分に溶け合わない結果生じるきずである。図9(b)に示すように、アンダーカットは溶接部の境界に不要な溝が形成されるきずで、オーバーラップは溶接部の境界から必要以上に漏れこぼれた結果生じるきずである。
溶接部のきずは、表面からの確認の可否で分けられ、表面から確認できるきずが表面きず、そうでないものが内部きずである。上記で説明したきずのうち、内部残留の気孔(ブローホールやウォームホール)、スラグ巻込み、溶け込み不良、融合不良は内部きずで、アンダーカット、オーバーラップ、ピットは表面きずである。
このようなきずは、静的強さ、延性、疲れ強さ、ぜい性破壊など溶接部の性能に影響を及ぼしかねないもので、きずの程度によっては継手の強度が低下し、ひいては橋梁全体に影響を与える可能性がある。そのため、溶接部では検査の実施が要求されており、その結果、検出されたきずの数や程度によっては適切な対策が講じられる。溶接部におけるきずの有無を調べる場合、当該溶接部を破壊することなく調査する非破壊検査が主流となっている。この非破壊検査にはいくつかの手法があり、内部きずの検出と表面きずの検出では採用される手法が異なる。
内部きずを検出する非破壊検査としては、放射線透過試験や超音波試験を採用するのが一般的である。放射線透過試験は、溶接部にX線やガンマ線などの放射線を照射し、透過後の放射線を画像化してきずの有無を検出する方法である。内部のきずと健全部における透過の程度の違いを利用して判断するわけである。超音波試験は、溶接部に超音波を与え、反射波を受信するまでの時間に基づいてきずの有無を検出する方法である。
一方、表面きずを検出する非破壊検査としては、磁粉探傷試験、浸透探傷試験、外観検査を採用するのが一般的である。磁粉探傷試験は、図10に示すように、溶接部を磁化して材料中に磁束の流れを作り、磁束の乱れを発見することできずを検出する方法である。すなわち、表面にきずがあればそこから磁束が漏出するので、表面に散布した磁粉が集結し、これによってきずを検出することができる。したがって、図10(a)に示すように表面にあるきずを検出するのに適しているが、図10(b)に示すように表面から比較的浅い位置にあるきずを検出することもできる。
浸透探傷試験は、表面に開口した微細なきずを検出するのに適した方法で、染色物質や蛍光物質を溶解した着色液体を溶接部表面に塗布し、これをふき取った後、白色粉末を散布することできずを検出する方法である。きずに浸透した着色液体が、散布された白色粉末を着色することできず位置を指し示すわけである。
外観検査は、検査者が目視によって表面きずを検出する方法であり、磁粉探傷試験や浸透探傷試験に比べると、特別な試験具を必要とせず手軽に実施できることから、鋼橋の製作・架設においては必ず実施され、かつ重要度の高い検査方法である。外観検査が単独で採用されることもあるが、磁粉探傷試験や浸透探傷試験との併用検査として用いられることも多い。
一方で、外観検査の問題点も指摘されている。この検査は、きずの種類によっては検査者の主観的な判断によらざるを得ないことから、検査者の経験や能力によって、あるいは検査時の状態によって、検査結果が異なる可能性がある。また、どのように判断してきずと認めたのかという経緯を記録に残すことは難しく、事後に第三者が確認することができないといういわゆるトレーサビリティの問題も挙げられる。
そこで、目視に頼らずカメラなどによって得られる画像を用いて、外観検査を行う手法が提案されている。この手法は、画像を処理することで客観的な判断を行い、画像データを保存することでトレーサビリティを確保するのが狙いであるが、単に画像を取得するだけでは客観的にきず部を検出することは難しい。
画像から目的の物(ここでは溶接部)を抽出する場合、その色情報が重要な手掛かりになるが、通常は母材と溶接部の色(色相、彩度、明度)が近似しているためコンピュータによる自動抽出は難しいか、相当の誤抽出を覚悟しなければならない。ましてや橋梁の鋼部材の場合で考えれば、撮像環境は限定的であり、照明をはじめ十分な環境での撮像は期待できない。したがって、撮像した画像で溶接部のきずを検出するためコンピュータによる客観的な検出を図ったとしても、目視によるチェックが避けられないことは十分予想される。その結果、この検査結果には主観要素が入ることになり、トレーサビリティの確保も満足できるものとはならない。
画像のみから抽出する問題点を解消すべく、特許文献1では、レーザー光を照射した状態で撮像した画像に基づいて、検査する技術を提案している。
特開2007−333732号公報
特許文献1は、鋼板等の製造ラインにおいて、表面の疵を光学的に検査するシステムに関するものであり、検査システムそのものの性能を診断する技術である。具体的には、鋼板の搬送速度と、鋼板に向けて照射するレーザー光の照射時間をもとに、あらかじめ画像に表示されるはずのレーザー光の形状を予測し、実際に撮像した画像と比較することによって、当該検査システムが適切に稼働しているか否かを検証する。
単に撮像した画像を用いるよりも、レーザー光が照射された検査対象の画像を用いることで、より多くの情報を得ることができるため、判断がより確実となり、コンピュータによる処理も実行しやすくなる。しかも、レーザー光の照射は、その照射方向や照射時間など自在に制御できるため、画像上に表示されたレーザー光をもとに様々な判断が可能となる。
しかしながら特許文献1は、開発された目的が異なることから、当然ながら溶接部の表面きずを検出することはできない。橋梁の鋼部材を連続溶接や断続溶接によって接合した結果生じる線状の接合部に対して、アンダーカットやオーバーラップ、ピット、余盛不良をつぶさに検出することはできない。さらに、製造ラインにおいては所定の速度で鋼板等が移動することが前提であるのに対して、橋梁の場合は検査対象が移動することは通常ありえない。すなわち、特許文献1の技術を応用したとしても、橋梁における鋼部材の溶接部を外観検査する技術にはなりえない。
本願発明の課題は、上記問題を解消することであり、溶接部に生じた表面きずを客観的に検出するとともに、その検出過程に関するトレーサビリティを確保した外観検査を実現することにある。より具体的には、レーザー光を照射した画像を用いて、溶接部のきずを検出し得る、溶接きずの外観検査システム、及び溶接きずの外観検査方法を提供することが本願発明の課題である。
本願発明は、溶接部にレーザー光を照射することで強調された溶接部の形状に基づいて溶接きずを抽出するという点に着目するとともに、検査側機器(レーザー照射装置と撮像装置)の方を移動させるという点に着目して開発されたものであり、従来にはない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の溶接きずの外観検査システムは、少なくとも、レーザー照射装置、撮像装置、移動手段、溶接位置取得手段、記憶手段、及びきず検出手段を備えたものである。このうちレーザー照射装置は、溶接部の溶接線を横断するようにレーザー光を照射するもので、また撮像装置は、照射されたレーザー光を撮像できるものである。移動手段は、照射装置と撮像装置を支持したうえで溶接線に沿って移動することができ、溶接位置取得手段は、撮像装置で撮像した溶接位置を取得し、記憶手段は、撮像装置で撮像して得られた画像とその溶接位置を関連づけて記憶する。きず検出手段は、画像に基づいて溶接きずを検出するもので、画像に関連づいた溶接位置に基づいて溶接きずの位置とその寸法を特定する。なお、溶接きずの有無の判断は、画像に含まれる溶接線を横断したレーザー光の形状に基づいて行う。
本願発明の溶接きずの外観検査システムは、溶接位置取得手段が測位手段と位置算出手段を備えたものとすることもできる。測位手段は、撮像位置(撮像したときの撮像装置の位置)を計測するものであり、位置算出手段は、撮像位置に基づいて、これに対応する溶接位置を特定するものである。
本願発明の溶接きずの外観検査システムは、表示手段を備えたものとすることもできる。この表示手段は、溶接部の溶接線を横断したレーザー光を撮像した複数の異なる画像に基づいて、溶接部の溶接形状を表示することができるものである。
本願発明の溶接きずの外観検査システムは、軌道と移動体を含んだ移動手段を備えたものとすることもできる。この移動体は、レーザー照射装置と撮像装置を支持するとともに、軌道を利用して移動するものである。また、この軌道は、磁力等によって橋梁の鋼部材の母材に脱着可能なものである。
本願発明の溶接きずの外観検査方法は、次のように行う方法である。溶接部の溶接線を横断するようにレーザー光を照射するとともに、このレーザー光を溶接線に沿って移動させる。レーザー光の移動に合わせて撮像装置を移動させながら、照射されたレーザー光の画像を取得し、画像を取得したときの溶接位置(又は撮像装置の位置)を記録する。そして、レーザー光の画像に基づいて溶接きずを検出し、この画像を取得したときの溶接位置(又は撮像装置の位置)に基づいて溶接きずの位置を特定する。
本願発明の溶接きずの外観検査システム、及び溶接きずの外観検査方法には、次のような効果がある。
(1)溶接線を横断するようにレーザー照射を行うので、溶接線が強調された画像を取得することができる。その結果、容易に画像処理を行うことができ、溶接きずの有無を定量的かつ客観的に判断することができる。
(2)画像と、この画像から求めた溶接部の形状を記録し、さらにきずの判断基準、及びその基準に沿った判断結果を記録することで、溶接きずの検出に関するトレーサビリティを確保することができる。
(3)検査側機器(レーザー照射装置と撮像装置)を移動させるため、比較的長く連続(又は断続)する溶接部であっても容易に外観検査することができる。しかも、撮像した溶接部の位置、あるいは撮像したときの撮像装置の位置を測位して記録するので、溶接きずの位置を確実に特定することができる。
(4)複数の画像を利用して溶接部の断面形状を連続させれば、溶接部を立体的に表示することができ、より鮮明に溶接きずを検出することができる。
(5)レーザー照射装置と撮像装置を装着する移動体が、軌道を利用して移動するものとし、さらにこの軌道が磁力によって橋梁の鋼部材に脱着可能なものとすれば、検査装置の搬入等が容易となるうえ、取付けや取り外しの手間がかからない。
鋼床版橋における現場溶接部を示す部分斜視図。 (a)は運棒方向に沿った縦断面でアーク溶接の状況を示す説明図、(b)は運棒方向に直交する横断面でアーク溶接の状況を示す説明図。 グルーブ溶接による継手部の詳細を模式化したモデル図。 (a)はX形の開先形状を示すモデル図、(b)はV形の開先形状を示すモデル図。 (a)は本願発明による溶接きずの外観検査を実施している状況を示す説明図、(b)はレーザー光が照射された鋼板片を示す断面図。 本願発明の外観検査システムを構成するレーザー照射装置、撮像装置、及び記憶手段を示す模式図。 レーザー光の横断形状をディスプレイに連続表示させた状態を示すモデル図。 溶接きずの程度を示す数値を実測した結果と、本願発明の溶接きずの外観検査システムを用いて計測した結果を比較した比較図。 (a)は気孔、スラグ巻込み、溶込み不良、融合不良といったきずを示す模式図、(b)はアンダーカット、オーバーラップ、ピットといったきずを示す模式図。 (a)は表面にきずがある場合の磁粉探傷試験を示す模式図、(b)は表面から比較的浅い位置にきずがある場合の磁粉探傷試験を示す模式図。
本願発明の溶接きずの外観検査システム、及び溶接きずの外観検査方法の実施形態の一例を図に基づいて説明する。
[全体概要]
本願発明は、橋梁を構成する鋼部材の溶接部に関する技術である。例えば図1に示す鋼床版橋の場合、主桁1の上に設置された鋼板2と鋼板2は突合せ溶接され、その結果、線状の溶接部3が形成される。この線状に形成された溶接部は、通常、きずの有無を検出するための外観検査が実施される。この溶接部の外観検査に関して技術的特徴を備えたものが本願発明であり、したがってまずは溶接接合について簡単に説明する。なお、図1は鋼床版橋を示しているが、鋼部材を接合した溶接部を備えれば、鋼床版橋に限らず鋼・コンクリート合成床版橋やコンクリート系床版橋においても本願発明を利用することができる。また、後に説明するように検査側の機器が移動することから、本願発明は、連続した(あるいは断続した)溶接線を具備する溶接部で実施するのに適しているが、必ずしもこのような場合に限定されるものではなく、多数の溶接点が連続する場合、面状や塊状に形成された溶接部等にも適用することができる。
既述のとおり溶接接合は、接合しようとする2つの鋼材(母材)を溶かして合わせることによって、あるいはさらに同質の鋼材(溶加材)を溶かして添加することで、接合された継手を形成する手法である。母材や溶加材を溶かすためには加熱することになるが、その熱の加え方によって、ガス溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接、アーク溶接などに分類される。ガス溶接は、アセチレンガスと酸素の混合ガスに点火し、その燃焼の際に生じる熱で母材や溶加材を溶かす方法である。電子ビーム溶接は、高真空中で加熱されたタングステンフィラメントから発せられる電子をレンズ等で収束させて電子ビームを形成し、この電子ビームが母材等に衝突したときのエネルギーを利用して母材等を溶かす方法である。レーザー溶接は、レーザービームを母材等に照射して熱を発生させる方法である。
橋梁の建造において最も多用されているのがアーク溶接である。このアーク溶接は、わずかに離れた電極間に電位差を与えてアークを発生させ、この空中放電のアークによって生じた熱で母材や溶加材を溶かす方法である。アーク溶接について、図2に基づいてより詳しく説明する。図2はアーク溶接の状況を示す説明図で、(a)は運棒方向に沿った縦断面で、(b)は運棒方向に直交する横断面でその状況を示している。電極の一端を接続した母材に、電極他端を接続した溶接棒(溶加材)を接近させて白熱のアークを発生させる。すると、アークの熱によって母材が溶融するとともに、溶接棒の鋼材が溶けだした溶融鋼が母材に添加される。この溶融鋼は、一部は母材内に溶け込むが、残りは母材から盛り上がり、これらが凝固して溶接金属部(ビード)を形成する。なお、母材から盛り上がって凝固した部分は、余盛と呼ばれる。
アーク溶接は、さらにいくつかの手法に分類することができ、固形フラックスで被覆した溶接棒(溶加材)を用いる被覆アーク溶接や、微細な粒状フラックス中に銅被膜の溶接棒を入れるサブマージアーク溶接、母材の溶融部分を不活性ガスで保護しながら行う炭酸ガスアーク溶接、そのほか合成桁のスタッドジベルの溶接に用いられるスタッド溶接などの手法が知られている。なお、前出の図2は被覆アーク溶接の場合を示している。
溶接によって形成される溶接継手も、その構造形式よってすみ肉溶接とグルーブ溶接に大別される。すみ肉溶接は、おもに直交する2面の交差部に断面三角形の溶接部を形成するもので、重ね継手や、T形継手、角継手などに用いられることが多い。一方、グルーブ溶接は、開先溶接とも呼ばれるように母材の接合面に開先(グルーブ)を形成するもので、この開先内を溶接して接合する方法であり、突合せ継手、十字継手、T形継手、角継手など多くの継手に用いられる。
図3は、グルーブ溶接による継手部の詳細を模式化したモデル図である。この図は、突合せ継手を形成する場合であり、接合する両母材に開先を設け(この図では母材に対して斜角で切断して開先を設けている)、この開先によって形成される空間を溶接する。なお、過熱することによって母材が変質した部分が「熱影響部」で、溶融鋼が凝固した部分が「溶接金属部(ビード)」である。また、既述のとおり、溶接金属部のうち母材から盛り上がった部分が「余盛」である。
グルーブ溶接の場合、母材に開先を設けるのは既に述べたとおりであるが、用途に応じて種々の開先形状が選択される。図4は、開先形状の一例を示すモデル図である。例えば、図4(a)は母材片の断面中央から両端に向けて切断し、これを突き合わせてX字状の開先形状をなすX形と呼ばれるものである。また、図4(b)は母材片の端部から他端に向けて切断し、これを突き合わせてV字状の開先形状をなすV形と呼ばれるものである。このほか、I形や、K形、レ形などが知られている。
このように、溶接の手法や溶接部の形状には様々なものがあるが、本願発明では溶接部が形成されれば、あらゆる溶接手法や溶接部形状が対象となる。すなわち、好ましくはアーク溶接によって形成された溶接部であるが、ガス溶接や、電子ビーム溶接、レーザー溶接による溶接部であっても本願発明は実施できる。もちろんアーク溶接のうち、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接、スタッド溶接のいずれの手法を使用した溶接部でも本願発明は実施できる。また、グルーブ溶接による溶接部でも、すみ肉溶接による溶接部でも、さらにV形や、I形、K形、レ形を含むあらゆる開先形状の溶接部に、本願発明を実施することができる。
次に、本願発明の概要について説明する。図5(a)は、本願発明による溶接きずの外観検査を実施している状況を示す説明図であり、(b)はレーザー光が照射された鋼板片4を示す断面図である。この図では、試験用の鋼板片4を突合せ溶接により接合しており、その結果形成された線状の溶接部3の外観検査を行っている。
図5(a)に示すように、レーザー照射装置5から鋼板片4に向けてレーザー光6が照射されており、その照射された溶接位置を撮像装置7が捉えて撮像している。なお、レーザー光6は、鋼板片4の溶接部3の溶接線を横断するように照射されており、その結果、図5(b)からもわかるように溶接部3の形状が強調される。これを撮像装置7が画像として取得し、この画像を処理することによって溶接部3のきずを検出するのである。
また、レーザー照射装置5と撮像装置7は、溶接部3の溶接線方向に沿って移動することができる。移動しながら外観検査することで、検査対象が移動しなくとも線状の溶接部を連続して検査できるわけである。そのため、レーザー照射装置5と撮像装置7は、移動手段8に支持されている。移動手段8は、後に説明するように種々の形態をとりうるが、図5(a)では軌道形式としている。すなわち移動手段8は、軌道81(レール)と、この軌道81を利用して移動する移動体82からなり、さらに移動体82は、移動するための動力を備えた動力体82aと、レーザー照射装置5及び撮像装置7を支持する支持体82bを備えている。
撮像装置7は移動しながら撮像するため、後になってどの場所を撮像したものなのか判別できないのでは、きずを検出してもその位置が不明となってしまう。そのため、どの場所を撮像したかを特定する溶接位置取得手段(図示しない)を備えている。この溶接位置取得手段は、撮像した画像から位置を把握する手法と、撮像したときの撮像装置の位置から判断する手法に大別できる。
以下、本願発明を「溶接きずの外観検査システム」と「溶接きずの外観検査方法」に分けて、それぞれ構成する要素ごとに詳述する。
[溶接きずの外観検査システム]
1.レーザー照射装置
図5(a)に示すように、レーザー照射装置5は溶接部3に向けてレーザー光6を照射するものであり、移動手段8に支持される。このレーザー照射装置5は、従来から用いられている市販品を使用することができ、例えば、波長660nmで、出力10mWのレーザー光源を搭載したものが例示できる。なお、レーザー光6はその波長によって発光色が異なるが、ここでは画像上の溶接部3を強調する目的で照射されることから、より視認性の高い発光色レーザー(例えば赤色レーザーや緑色レーザー、あるいは青色、黄色レーザーなど)となる波長を選択することが望ましい。
レーザー光6は、溶接部3を横断するように照射されるが(図5)、通常のレーザー光6は光源から直進するため、レーザー光6を拡散させる手段をレーザー照射装置5の照射部に設ける。この拡散手段を事前に調整しておくことで、図5に示すような溶接部を横断するレーザー光6の照射が実現できる。あるいは拡散手段の設置に代えて、高速でレーザー照射装置5の照射角度を変化(いわゆる首振り)させることもできる。高速でレーザー光6の照射位置を変えることで、溶接部3を横断したように撮像させるわけであるが、照射角度を変える動力や制御手段を伴ううえ、繊細な調整を必要とすることから、その採用には十分な検討を要する。
レーザー照射装置5は、その姿勢(つまり照射方向)や設置位置(移動手段8に対する相対的な位置)が変動しないように、移動手段8に固定されるのが望ましい。もちろん、前記した照射角度を変える場合は、その姿勢を変えることになるが、それ以外の方向や設置は固定しておく。なぜなら、後に説明するように移動手段8が移動するため、レーザー照射装置5による照射条件が一定でないと、溶接部3全長にわたって検査できない可能性があるからである。
2.撮像装置
撮像装置7は、レーザー光6が照射された溶接部3を撮像して、その画像を取得するものである。撮像装置7としては、カメラ、ビデオカメラ、あるいはこれらを搭載した機器などが採用され、この場合もレーザー照射装置5と同様、従来から用いられている市販品を使用することができる。なお、撮像装置7は、アナログ形式の画像を取得するものでも良いが、画像処理の手間を考慮すると、デジタル形式の画像を取得するものが望ましい。
撮像装置7は、移動手段8によって支持される。レーザー照射装置5が、その姿勢や設置位置が変動しないように移動手段8に固定された場合、やはり撮像装置7もその姿勢(つまり撮像方向)や設置位置が変動しないように移動手段8に固定されるのが望ましい。なぜなら、撮像装置7の姿勢や設置位置を可動とすると、照射されたレーザー光6を捉えるため、精密な制御手段を必要とし、そのコストがかさむうえ、誤作動する機会が増大するからである。
撮像装置7は、移動しながら撮像するため、その移動速度に応じた撮像速度が求められる。例えば、50msec〜100msecの間隔で撮像することのできるものであれば好適である。また撮像装置7は、レーザー光6の発光色を記録できるものであり、例えば24bitカラーの解像度を具備するカメラなどが好例となる。
3.移動手段
移動手段8は、レーザー照射装置5と撮像装置7を支持し、これらを溶接部3の溶接線方向に沿って移動させるものである。この移動の方法は、従来からある様々な方法をとりうるが、本願発明が橋梁における溶接部を対象としていることを考えると、状況に応じた移動方法を採用する必要がある。例えば、図1に示すように平坦な鋼板2上を移動する場合は、タイヤ方式による移動方法、軌道(レール)方式による移動方法、チェーンやワイヤー等で牽引する移動方法など、あらゆる方法を採択することができる。ところが、溶接部3の下面側を対象とした場合、移動方法は限定される。
溶接部3の下面側を検査する場合、軌道方式の移動手段8を採用することができる。もちろん、この軌道方式は鋼板2上でも採用することができるし、ここで軌道方式について説明するのは、本願発明からタイヤ式等の方法を除外する目的でもない。軌道式の移動手段8を図5(a)に基づいて説明する。既述のとおりこの図の移動手段8は、軌道81と移動体82からなり、さらに移動体82は動力体82aと支持体82bを備えている。
動力体82aは、電力等の動力によって軌道81を移動するもので、図のようにモノレール式としてもよいし、2以上の軌道81を平行に敷設して、その上を車輪で移動することもできる。支持体82bは、レーザー照射装置5と撮像装置7を支持するもので、進行方向の前方に撮像装置7、後方にレーザー照射装置5を設置することができる。あるいは、前後逆でレーザー照射装置5と撮像装置7を支持することもできる。そのため、図5(a)に示すように、逆T形状(ハンガー状)とし、一方の腕にレーザー照射装置5を、他方の腕に撮像装置7を装着することもできる。この支持体82bは動力体82aに固定され、動力体82aとともに溶接部3の溶接線方向に沿って移動する。この結果、レーザー照射装置5と撮像装置7が溶接部3の溶接線方向に沿って移動し、移動しながらレーザー光6を照射し、移動しながら撮像できるわけである。
溶接部3の下面側を検査する場合、移動手段8が天地逆転した状態で移動するケースも考えられる。このとき、移動手段8が軌道方式であれば軌道81が落下しないように固定する必要がある。軌道81の固定には、ボルト等を用いた固定や、仮溶接による固定などが採用できるが、いずれも手間がかかるうえ、橋梁本体を構成する部材に影響を及ぼすこととなる。鋼部材であることを利用して、磁力によって軌道81を固定すればその脱着が容易となって極めて好適となる。この磁力としては、通常の永久磁石による他、電磁石による方法等が挙げられる。
4.溶接位置取得手段
溶接位置取得手段は、移動しながら撮像した画像が、溶接部のどの個所を撮像したものなのか(溶接位置)を把握するものである。既述のとおり溶接位置取得手段は、撮像した画像から溶接位置を把握する手法と、撮像したときの撮像装置7の位置から判断する手法に大別できる。
まずは、撮像した画像から溶接位置を把握する手法について説明する。この手法では、位置を示す情報を画像に納めることとなる。つまり溶接部3付近に位置を示す標尺を配置し、レーザー光6が照射された溶接部3とともに標尺を撮像する。この標尺としては、移動手段8の距離程を表すものや、直接座標を記したものなど種々のものが用いられ、また、測量テープや箱尺などを用意してもよいし、鋼部材に直接マーキングすることもできる。取得した画像に位置が表示されているので、特段の演算処理を必要とせずに、その画像がどの溶接位置を撮像したものなのか容易に判断できる。反面、その溶接位置をコンピュータで処理可能なデータ形式で保存するためには、別途入力するか、自動読み取り可能な特殊な標尺を用いる必要があるという短所も備える。
次に、撮像したときの撮像装置7の位置(以下、「撮像位置」という。)から溶接位置を判断する手法について説明する。この手法では、移動している撮像装置7の位置(例えば、移動手段8の移動の距離程)を測位手段で計測し、その結果をリアルタイムで記録していくこととなる。移動中の位置を計測する測位手段としては、従来から種々のものが用いられており、例えばエンコーダーやGPS、あるいはレーザーによる測量機器などが挙げられ、本願発明ではこれらのいずれを採用することもできる。測位手段を利用して、少なくとも撮像手段8が撮像したタイミングでその位置を計測し、これを撮像位置として記録する。
撮像位置から判断する手法を採用した場合、この撮像位置に基づいて溶接位置を求める必要がある。当然ながら撮像位置と、撮像した溶接位置は一致せず、計算によって溶接位置を求める位置算出手段を備えることとなる。溶接位置は、撮像位置と、撮像装置7を設置した溶接部3からの高低差、撮像姿勢(撮像方向)、及び撮像装置7の諸元(焦点距離や画角等)を利用すれば比較的簡単に算出することができる。なおこの算出処理は、プログラムとしてコンピュータに実行させることもできる。そのため、計測によって得られる撮像位置は、コンピュータで処理可能なデータ形式として記録することが望ましい。
5.記憶手段
図6は、本願発明の外観検査システムを構成するレーザー照射装置5、撮像装置7、及び記憶手段9を示す模式図である。記憶手段9は、撮像装置7で取得した画像、溶接位置、および画像と溶接位置の関係を記憶するもので、具体的にはコンピュータのハードディスクやCD−ROMといった記憶媒体である。つまり、撮像装置7で取得した画像や溶接位置は、コンピュータで処理可能なデータ形式で形成される。なお、デジタル形式の画像を取得する撮像装置7を用いた場合、そのままの形式で記憶することができるが、アナログ形式の画像を取得する撮像装置7を用いた場合、アナログ形式からデジタル形式に変換したうえで記憶させることとなる。
図6に示すように、撮像装置7は給電装置10を介して記憶手段9(図6ではノート型パーソナルコンピュータのハードディスク)に接続されている。給電装置10は、撮像装置7から送信されてくる画像データを受信して記憶手段9に送信するとともに、撮像装置7に対して電源を供給するものである。さらに、ノート型パーソナルコンピュータからの指令を受けて、撮像装置7に対して送信することもできる。この図のように、撮像装置7が撮像したタイミングで、記憶手段9に画像を記憶させることもできるし、撮像装置7にいったん画像を記憶させ、後で記憶手段9に画像を移行(記憶)させることもできる。
また、画像に納められた溶接位置の情報は、その画像データと関連付けて記憶される。つまり、画像データとその溶接位置がセットで記憶されるわけである。撮像した画像から溶接位置を把握する手法の場合、画像を参考にしながら溶接位置を入力するか、自動読み取り可能な特殊な標尺を用いたときは画像処理によって自動的に記憶させる。撮像位置から判断する手法を採用した場合は位置算出手段を備えており、これをプログラムとしてコンピュータに実行させれば、画像に紐づけて溶接位置を記憶することができる。例えば、図6に示すノート型パーソナルコンピュータが位置算出手段のプログラムを格納し、撮像装置7で撮像した画像データと、測位手段により得られた撮像位置を読みだすことができれば、撮像位置に基づいて溶接位置を算出し、これと画像データを関連付けたうえで記憶手段9に記憶させることができる。
6.きず検出手段
きず検出手段は、記憶手段9に記憶された画像に基づいて溶接きずを検出するものである。また、溶接きずを確認すると、その画像に紐づく溶接位置を読み取ることによってきずの位置を特定する。さらに、従来からの画像技術を用いて、きずの寸法を測定することもできる。具体的には、プログラムを用いてコンピュータに処理させる。
まずは、画像の中からレーザー光6部分を抽出する。記憶手段9に記憶された画像は、多数の画素によって構成されており、これら画素には輝度や色(色相、彩度、及び明度)の情報(画素値)が付与されている。なおこの画素値としては、従来から用いられているRGBや、CMYK、NCSといったものが利用できる。画像中のレーザー光6は、この画素値が周囲に比べて著しく異なるため、その相違を利用してコンピュータにレーザー光6部分を自動抽出させる。
ここで抽出されるのはレーザー光6の横断形状であり、この横断形状は溶接部の形状を含むものであって、すなわち溶接部3の横断形状が抽出されたと考えることができる。あらかじめ健全な溶接部3を含む横断形状を標準パターンとして用意しておき、抽出された溶接部3の横断形状と標準パターンを比較する。この場合、従来から用いられるパターンマッチング等の画像処理技術を利用することができる。
この比較の結果、所定の閾値を超えるような形状の相違が見られたときに、溶接きずと認めることができる。なお、形状の相違に応じて、アンダーカット、オーバーラップ、ピット、あるいは余盛不良といった種別を判定することも可能となる。また、溶接きずありと認識された画像から抽出されるレーザー光6の横断形状、すなわちきずを有する溶接部の横断形状から、ビード幅、ピット径、アンダーカット幅、余盛高さなど、溶接きずの程度を示す数値(きずの寸法)を読み取ることもできる。ここで読み取ったきずも、溶接位置と同様、画像に紐づけて記憶される。
溶接きずが確認されると、その溶接きずを含む画像が読みだされ、さらにその画像に紐づく溶接位置やきずの寸法が読みだされる。なお、ここで読みだされた溶接位置が、すなわち溶接きずが存在する位置である。
また、レーザー光6の横断形状を連続して表示させることもできる。この場合、複数の異なるレーザー光6の横断形状を用い、これらを溶接位置に合わせて連続配置し、ディスプレイ等の表示手段に表示する。図7は、レーザー光6の横断形状をディスプレイに連続表示させた状態を示すモデル図である。この図に示すように、レーザー光6の横断形状を連続表示させると、溶接部3の形状が立体的に確認できるので、さらに溶接きずが認識しやすくなる。とくに、溶接部3の表面に生じるピットは、健全部に比べて明らかに輝度や色が異なるので検出しやすい。また、このような表示をすることで、溶接線方向(縦断方向)のきずの寸法も明確にすることができるようになる。
図8は、溶接きずの程度を示す数値(きずの寸法)を実測した結果と、本願発明の溶接きずの外観検査システムを用いて計測した結果を比較した比較図である。この図からわかるように、本願発明で検出し得なかったのは径1.0mmのピット1箇所(No7)のみであり、他は全て検出している。さらにNo7に関しても、これをピットとして検出するか否かは個人差があると考えられ、必ずしも本願発明による検出漏れとは言えない。また計測誤差を見るといずれもわずかであり、アンダーカットではやや大きい誤差を示しているものの、ほとんどの誤差が3%を下回っている。このように、本願発明の溶接きずの外観検査システムは、実測と同レベルの精度を有するものであり、しかも客観性(普遍性)があり、トレーサビリティが確保できるという効果を奏するものである。
[溶接きずの外観検査方法]
次に、本願発明の溶接きずの外観検査方法について説明する。なお、溶接きずの外観検査システムと共通する技術内容については繰り返しの説明を避け、ここでは溶接きずの外観検査方法に特有の内容のみ説明することとする。
まず図5(a)に示すように、レーザー照射装置5を用いて溶接部3の溶接線を横断するようにレーザー光6を照射する。これによりレーザー光6が照射された溶接部3を、撮像装置7で撮像し画像を取得する。なお、レーザー光6を照射するレーザー照射装置5の設置位置や姿勢は固定した方が望ましいこと、同様に撮像装置7も設置位置と撮像姿勢は固定した方が望ましいことは既に述べたとおりである。
レーザー光6の照射工程と画像の撮像工程を、レーザー照射装置5と撮像装置7を移動させながら連続して実施する。このとき、溶接部3の溶接線に沿って移動すること、この移動は移動手段8を用いること、また移動手段8は種々の手法を採用できることは既に述べたとおりである。
移動しながら撮像した画像が、どこの溶接位置を撮像したものなのかを把握(溶接位置取得)する。この溶接位置取得の手法は、撮像した画像から直接、溶接位置を把握する手法と、撮像したときの撮像装置7の位置から判断する手法に大別できるのは既述のとおりである。なお、ここで得られた溶接位置と、撮像された画像は記録される。画像とその溶接位置が関連付けられるのは既述のとおりである。
取得した画像に基づいて既述した画像処理を実施し、溶接きずを検出する。また、溶接きず箇所が検出されると、その画像を取得した溶接位置に基づいて溶接きずの位置を特定し、きずの寸法を計測する。
本願発明の溶接きずの外観検査システム、及び溶接きずの外観検査方法は、鋼部材の溶接接合を具備する橋梁であれば、鋼床版橋をはじめ、鋼・コンクリート合成床版橋やコンクリート系床版橋で利用可能であり、もちろん道路橋、鉄道橋、管路橋といったあらゆる用途の橋梁に利用できる。また橋梁に限らず、建築物の鉄骨、鋼製屋根、鋼製の立体駐車場など、鋼部材の接合部を有する種々の構造物に応用することができる。本願発明が、安全な公共構造物を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
1 主桁
2 鋼板
3 溶接部
4 鋼板片
5 レーザー照射装置
6 レーザー光
7 撮像装置
8 移動手段
81 軌道
82 移動体
82a 動力体
82b 支持体
9 記憶手段
10 給電装置

Claims (5)

  1. 橋梁の鋼部材を接合する溶接部における表面きずを、検出し得る溶接きずの外観検査システムであって、
    前記溶接部の溶接線を横断するようにレーザー光を照射し得るレーザー照射装置と、
    照射されたレーザー光を撮像可能な撮像装置と、
    前記照射装置及び前記撮像装置を支持するとともに、前記溶接線に沿って移動可能な移動手段と、
    前記撮像装置で撮像した溶接位置を取得する溶接位置取得手段と、
    前記撮像装置で撮像して得られた画像と、該撮像における前記溶接位置と、を関連づけて記憶する記憶手段と、
    前記画像に基づいて溶接きずを検出するとともに、該画像に関連づいた前記溶接位置に基づいて該溶接きずの位置を特定するきず検出手段と、を備え、
    前記きず検出手段は、前記画像に含まれる溶接線を横断したレーザー光の形状に基づいて、溶接きずの有無を判断する、ことを特徴とする溶接きずの外観検査システム。
  2. 前記溶接位置取得手段が、測位手段と位置算出手段を含み、
    前記測位手段は、撮像したときの前記撮像装置の位置である撮像位置を計測するものであり、
    前記位置算出手段は、前記撮像位置に基づいて、該撮像位置で撮像した前記溶接位置を特定するものである、ことを特徴とする請求項1記載の溶接きずの外観検査システム。
  3. 前記溶接線を横断したレーザー光を撮像した複数の異なる画像に基づいて、前記溶接部の溶接形状を表示する表示手段を備えた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の溶接きずの外観検査システム。
  4. 前記移動手段が、軌道及び移動体を含み、
    前記移動体は、前記照射装置及び前記撮像装置を支持するとともに、前記軌道を利用して移動するものであり
    前記軌道は、磁力によって前記鋼部材の母材に脱着可能である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の溶接きずの外観検査システム。
  5. 橋梁の鋼部材を接合する溶接部で、溶接の表面きずを検出する外観検査方法において、
    前記溶接部の溶接線を横断するようにレーザー光を照射するとともに、該レーザー光を該溶接線に沿って移動させ、
    前記レーザー光の移動に合わせて撮像装置を移動させながら、照射された前記レーザー光の画像を取得するとともに、該画像を取得したときの溶接位置を記録し、
    前記レーザー光の画像に基づいて溶接きずを検出するとともに、該画像を取得したときの溶接位置に基づいて該溶接きずの位置を特定する、ことを特徴とする溶接きずの外観検査方法。
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