以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
A−2.遊技盤の構成 :
A−3.制御回路の構成 :
B.遊技の概要 :
C.制御の概要 :
C−1.遊技制御処理 :
C−2.特別図柄遊技処理 :
C−3.特別電動役物遊技処理 :
D.演出制御処理 :
E.第1の変形例 :
F.第2の変形例 :
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。尚、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技を効果的に演出するための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の前面側の略中央部には、複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。また、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを操作することによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、ハンドル8の操作角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立すると、遊技球の入球可能性が開口状態よりも小さくなる通常状態となる。なお、本実施例の始動口(普通電動役物)17は、遊技球が常時入球可能となるように構成されているが、通常状態のときは遊技球の入球を不可能とし、開口状態のときのみ入球可能となるようにしてもよい。この場合には、開口状態のときのみ入球可能な始動口(普通電動役物)に加え、翼片部を有していない一般入球口により構成される常時入球可能な始動口を設けることが望ましい。
中央装置26のほぼ中央には、演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は、液晶画面を搭載しており、キャラクタ図柄、背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。演出表示装置27の画面上で表示される各種図柄については後述する。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dと、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると、所定の態様で開口する動作を複数回繰り返すようになっている。尚、大入賞口31dが開口動作を繰り返す遊技状態は特別遊技状態(または、大当り遊技)と呼ばれている。一般的には、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなるので、遊技者は多数の遊技球を獲得することが可能となる。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せずに戻ってきた遊技球が、発射位置まで戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は、大まかには、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cと、背景図柄27dとが表示されている。このうち、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄表示部30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。演出表示装置27で行われる演出の詳細な内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、複数の制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、遊技に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板220と、演出表示装置27の液晶画面上で演出用の各種図柄を用いて遊技を演出する表示制御を司る演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201や、ROM202、RAM203のみが図示されており、その他の各種ディバイスについては図示が省略されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、演出制御基板230、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した演出表示装置27を制御する演出制御基板230や、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に向けて、各種のコマンドや駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。また、図1に示したように上皿部5の前面側に設けられた操作スイッチSW1,SW2は、演出ボタン基板228を介してサブ制御基板220に接続されている。遊技者が操作スイッチSW1,SW2を操作すると、この操作信号がサブ制御基板220に供給され、サブ制御基板220は受け取った操作信号を、演出表示装置27を初めとする各種の演出内容に反映させることが可能となっている。
演出制御基板230は、サブ制御基板220からのコマンドを受け取ると、コマンドの内容に従って、演出表示装置27を制御することにより、液晶画面上で3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cなどを変動表示させる演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から払出制御基板240に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28の普通図柄表示部29において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部28aと、右普通図柄表示部28bとが設けられている。左普通図柄表示部28aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部28bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部28a,28bが点滅表示を行う。
図6は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図6(a)に示した状態は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図6(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図6(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図6(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。本実施例では、図6(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了した後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図7は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」、または「Y」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図7に示す12種類の状態を表示することが可能となっている。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
図7に示した12種類の表示態様の中で、赤色の「Y」と赤色の「コンマ」との組合せ(以下では、この組合せを「赤Y−赤コンマ」と表すものとする)、および、橙色の「Y」と赤色の「コンマ」との組合せ(すなわち、「橙Y−赤コンマ」)は外れ図柄に設定されている。そして、残りの10種類の図柄の組合せが「当り図柄」となっている。図柄表示装置28で特別図柄が変動表示された後、停止表示された図柄が当り図柄であった場合には、いわゆる特別遊技状態が開始され、大入賞口31dが所定態様で開口する遊技状態(ラウンド)が、所定回数だけ繰り返されるようになっている。尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
本実施例の遊技機では、当り図柄として「通常当り図柄」および「確変当り図柄」に加えて「特定確変当り図柄」が設けられている。図7では、「通常当り図柄」を破線で囲って表しており、「確変当り図柄」を実線で囲って表し、「特定確変当り図柄」は一点鎖線で囲って表している。始動口17に遊技球が入球すると、特別図柄の当否判定が行われ、当否判定の結果に応じて、これら12種類の特別図柄の中の何れかの図柄が特別図柄表示部30に停止表示される。例えば、当否判定結果が通常当りであった場合には、図7に破線で囲って示した通常当り図柄が停止表示され、当否判定結果が確変当りであった場合には、実線で囲って示した確変当り図柄が、当否判定結果が特定確変当りであった場合には、一点鎖線で囲った特定確変当り図柄が、そして、当否判定結果が外れであった場合は、細い実線で囲った外れ図柄が停止表示される。このように、特別図柄は、主制御基板200で行われる当否判定の結果を表す図柄となっている。
図柄表示装置28における特別図柄表示部30の特別図柄が、「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」で停止表示された場合は、特別遊技状態が開始されて、大入賞口31dが所定の態様で開口するラウンドが15ラウンドまで繰り返される。「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」が停止表示されて大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が入球し易くなり、遊技者は15ラウンドを終了するまでの間に多数の賞球を獲得することが可能となる。このような遊技の状態が、いわゆる「大当り遊技」と呼ばれる状態である。更に、特別遊技状態の終了後も、しばらくの期間は、始動口17の開口時間が延長されて遊技球が始動口17に入球し易くなるとともに、普通図柄および特別図柄の変動時間が短縮された状態(いわゆる時短状態)となる。加えて、当り図柄が「確変当り図柄」であった場合は、再び当り図柄が停止表示される確率が高い値に設定される。尚、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確率変動状態(若しくは、確変状態)と呼ばれる。このように「通常当り図柄」あるいは「確変当り図柄」が停止表示されると、遊技者はたいへん有利に遊技を進めることができるので、これらの当り図柄が停止表示されることを強く願いながら遊技を行うことが通常である。
これに対して、図柄表示装置28の特別図柄が「特定確変当り図柄」で停止表示された場合も大当り遊技が開始され、大当り遊技の終了後は、前述した確変状態となる。もっとも、「特定確変当り図柄」で停止表示されたことにより開始される大当り遊技は、2ラウンドしか行われない。加えて、1回のラウンドも大入賞口31dがごく僅かな時間(本実施例では、0.1秒)開口しただけで終わってしまう。このため「特定確変当り図柄」によって大当り遊技が開始されても、ほとんど賞球が払い出されることなく、ごく短い時間で終了してしまい、遊技者が、大当り遊技が行われたことに気が付かないまま遊技が継続される。その結果、図柄表示装置28が「特定確変当り図柄」で停止表示された場合は、遊技者が気付かない間に、通常の遊技状態から確変状態へと遊技状態を切り換えることができる。
このように図柄表示装置28で変動表示された特別図柄が、何れの図柄で停止表示されるかは、遊技状態を大きく左右するものとなっている。もっとも、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が「通常当り図柄」、「確変当り図柄」、または「外れ図柄」の何れであるかの判別は、必ずしも容易ではない。また、本実施例の遊技機1では、これら図柄に加えて「特定確変当り図柄」も設けられていることから、図柄表示装置28に停止表示された特別図柄に基づいて、当否態様を判別することは困難である。そこで、上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、演出表示装置27においてもキャラクタ図柄27a,27b,27cを変動停止表示させる演出を行う。
図8は、演出表示装置27の液晶画面上に表示される3つのキャラクタ図柄を用いて行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cや、背景図柄27dが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27では、これら3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cも一斉に変動表示を開始する。本実施例では、キャラクタ図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、背景画像27dが表示された画面上で、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左キャラクタ図柄27bが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右キャラクタ図柄27dが停止表示され、最後に中キャラクタ図柄27cが停止表示される。これら演出表示装置27で停止表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が「通常当り図柄」で停止する場合は、演出表示装置27の3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが、偶数を表す同じ図柄で停止表示され、「確変当り図柄」で停止する場合は、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が「特定確変当り図柄」で停止する場合は、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない所定の組合せで停止表示され、「外れ図柄」で停止する場合は、その他の組合せ(3つの図柄が同じ図柄で揃わず、特定確変当りでもない図柄の組合せ)で停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、演出表示装置27で表示される3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定するタイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも演出表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置27の画面に表示された3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cを見ながら遊技を行うことが通常である。従って、演出表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左キャラクタ図柄27bと、続いて停止表示される右キャラクタ図柄27dとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中キャラクタ図柄27cも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つのキャラクタ図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
また、本実施例の遊技機1では、演出表示装置27において、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cが同じ図柄で揃わなかった場合(いわゆる「ばらけ目」)でも単なる「外れ」とは限らず、図柄表示装置28において「特定確変当り図柄」で停止表示されている場合がある。もっとも、図柄表示装置28の特別図柄は何れの図柄もよく似た図柄に設定されているので、停止表示された特別図柄が「外れ図柄」、「特定確変当り図柄」の何れであるかを判別することは難しく、また、演出表示装置27に停止表示されるキャラクタ図柄も、3つの図柄が揃わない「バラケ目」となる点では全く同じであって判別は難しい。しかも、「特定確変当り図柄」の停止表示に続いて行われる2ラウンドの大当り遊技は、特に賞球も得られないまま極めて短い時間で終了することから、大当り遊技が行われたことに遊技者が気付かないことが多い。このため、遊技者が知らない間に、いつの間にか遊技状態を確変状態に切り換えることが可能となり、その結果、遊技者は常に「もうすぐ大当りするのではないか」と期待感を抱きながら遊技を行うことが可能となっている。
更に、本実施例の遊技機1では、演出表示装置27において「チャンス目演出」とよばれる特別な演出を行うことも可能となっている。図9には、演出表示装置27でチャンス目演出が行われている様子が示されている。チャンス目演出では、まず、通常の演出と同じように3つのキャラクタ図柄が変動表示され(図8(a)参照)、一定時間が経過すると、3つのキャラクタ図柄は「チャンス目」と呼ばれる特定の組合せ(図9の例では、1、3、5の数字の組合せ)で仮停止される。そして、チャンス目演出では、キャラクタ図柄の仮停止に続いて、発展演出と呼ばれる特別な演出を演出表示装置27に表示する。
チャンス目演出中に行われる発展演出では、図9(b)に示されている様に、巨大なゴリラが高層ビルに登っていく様子が演出表示装置27に表示される。ここで、図柄表示装置28の特別図柄が大当りを示す「通常当り図柄」、「確率変当り図柄」、「特定確変当り図柄」のいずれかで停止表示されると、それに連動して、巨大なゴリラが高層ビルの頂上まで登りきることによって大当りとなったことを遊技者に報知する(図9(c)参照)。一方、図柄表示装置28の特別図柄が「外れ図柄」で停止表示された場合には、ゴリラは高層ビルを途中まで登ったところで転落してしまい、これによって外れであることを遊技者に報知して演出が終了する(図9(d)参照)。この様に、チャンス目演出では、チャンス目でのキャラクタ図柄の仮停止表示と、それに続く発展演出とが行われ、最後に大当りか否かが示される。こうすると、通常の見慣れた演出から一転して特殊な演出が展開されるので、遊技者に驚きを与えると共に、発展演出に続いて大当りに当選するのではないかとの期待感を持たせることが可能となり、遊技の興趣をさらに高めることが可能となっている。
以下では、上述した遊技を実現するために、主制御基板200およびサブ制御基板220を中心として実行される制御内容について詳しく説明する。
C.制御の概要 :
遊技機1で行われる遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下では、遊技を進行させるために、主制御基板200で行われる遊技制御処理について説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図10は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されるように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、普通電動役物停止処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。そして、主制御基板200は、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて各種コマンドを送信することにより、遊技機1全体の遊技を進行させている。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)に遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。
主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取ると、払出制御基板240はコマンドの内容を解釈する。そして、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S50)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S90)。かかる判断は、普通電動役物が作動中であるか否か、換言すると始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。普通電動役物が作動中でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S90:yes)、普通電動役物が作動中であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S90:no)。
そして、普通図柄遊技処理を行うと判断した場合は(S90:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う(S100)。一方、普通図柄遊技処理を行わないと判断した場合は(S90:no)、普通図柄遊技処理(S100)はスキップする。
普通図柄遊技処理(S100)では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留が存在するか否か(保留数が「0」であるか否か)を判定し、保留が存在する場合には普通図柄の当否判定を行う。ここで、普通図柄の保留数は遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過することにより設定されるもので、本実施例では、その保留数の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当否判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄(図6(c)参照)で停止表示させるか、それ以外の何れの外れ図柄で停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる。普通図柄遊技処理では、以上のようにして普通図柄の変動停止表示を行い、普通図柄が当り図柄で停止表示された場合には普通電動役物を作動させる処理を行う。普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。そして、作動中である場合は(S190:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S200)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S190:no)、普通電動役物停止処理を行う必要はないのでスキップする。
図11は、普通電動役物停止処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。普通電動役物停止処理では、先ず初めに、普通電動役物の所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると始動口17が開口状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後(S206)、普通電動役物遊技処理を終了して図10に示した遊技制御処理に復帰する。尚、普通電動役物作動時間(すなわち、始動口17の開口時間)は、通常の遊技状態では短時間(本実施例では0.5秒)に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると長時間(本実施例では5秒)に延長される。
一方、始動口17は開口中に規定数の遊技球が入球すると、開口時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物に規定数の遊技球が入球したか否かを判断し(S204)、規定数の遊技球が入球したと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して、図11に示した普通電動役物遊技処理を終了する。逆に、規定数の入球がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図11に示した普通電動役物遊技処理を終了して、図10に示した遊技制御処理に復帰する。
遊技制御処理では、普通電動役物停止処理から復帰すると、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
図12は、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(特別図柄遊技開始判断処理、図10のS300)の流れを示すフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、先ず初めに、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S302)。前述したように、始動口17の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ17sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。
遊技球が始動口スイッチ17sを通過している場合は(S302:yes)、特別図柄の保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断する(S304)。そして、保留数が上限値に達していなければ(S304:no)、特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数を取得して記憶するとともに(S306)、特別図柄の保留数に「1」を加算する(S308)。ここで、特別図柄当否判定乱数は、特別図柄の当否判定を行うために用いられる乱数であり、図柄決定乱数は、特別図柄の当否判定結果に応じて停止表示させる特別図柄を決定するための乱数である。一方、特別図柄の保留数が4に達している場合は(S304:no)、特別図柄当否判定乱数および図柄決定乱数の取得は行わない。その結果、特別図柄に関するこれらの乱数も、前述した普通図柄当否判定乱数と同様に、最大4つまで記憶することが可能となっている。尚、特別図柄の保留の記憶は、主制御基板200のCPU201によって行われることから、本実施例のCPU201は、本発明における「保留記憶手段」に対応するものとなっている。
以上のようにして特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中か否かを判断する(S310)。後述する特別遊技処理は、特別図柄を変動表示させ、所定の当り図柄で停止表示された場合には、遊技者にとって有利な特別遊技である大当り遊技を開始する処理である。そして、現在、大当り遊技を行っているのであれば、重ねて大当り遊技を開始する必要はない。そこで、特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中であるか否かを判断し(S310)、大当り遊技中で無かった場合には(S310:no)、後述する特別図柄遊技処理を開始すると判断する(すなわち、S300:yes)。一方、現在、既に大当り遊技中であった場合は(S310:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S300:no)。
以上のような判断の結果、特別図柄遊技処理を行うと判断された場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を行う(S320)。一方、特別図柄遊技処理を行わないと判断された場合は(S300:no)、特別図柄遊技処理(S320)はスキップする。
詳細には後述するが、特別図柄遊技処理(S320)では、次のような処理が行われる。先ず、特別図柄の当否判定を行って、「通常当り」、「確変当り」、「特定確変当り」、または「外れ」の何れかに当否を決定する。そして、「通常当り」、「確変当り」、または「特定確変当り図柄」の何れかであれば、いわゆる大当り遊技を開始するべく、条件装置および役物連続作動装置を作動させる。
特別図柄遊技処理(S320)を終了して、図10に示した遊技制御処理に復帰すると、条件装置が作動中(大当り遊技中)か否かを判断する(S390)。そして、条件装置が作動中(大当り遊技中)であると判断されれば(S390:yes)、大当り遊技の実行に係る処理(特別電動役物遊技処理)を開始する(S400)。特別電動役物遊技処理の詳細については後述するが、その条件装置を作動させることとなった特別図柄の当り図柄に応じて、15ラウンド大当りまたは2ラウンド大当りの何れかの態様で大当り遊技が行われる。一方、条件装置が作動中でないと判断された場合は(S390:no)、特別電動役物遊技処理を行うことなく、遊技制御処理の先頭に戻って、再び賞球関連処理を開始する。
本実施例の遊技機1では、主制御基板200に搭載されたCPU201が、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって遊技が進行するようになっている。そして、特別図柄遊技処理(S320)の中で特別図柄の当否判定が行われ、その結果に応じて条件装置の作動が開始され、特別電動役物遊技処理(S400)で大当り遊技が実行されるようになっている。以下では、特別図柄遊技処理(S320)、および特別電動役物遊技処理(S400)の詳細な内容について説明する。
C−2.特別図柄遊技処理 :
図13および図14は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。上述したように、かかる処理は図10に示した遊技制御処理の中で、主制御基板200に搭載されたCPU201によって実行される処理である。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図3を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄表示部30の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、遊技者が停止図柄を確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。ここで、特別図柄保留数は、遊技球が始動口17に入球した場合に設定されるもので、上限値「4」に達するまで設定可能となっている。そして、特別図柄保留数が「0」である場合には(S326:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図10に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を開始する。
本実施例の遊技機1では、特別図柄の当否判定に先立って、大当りの発生確率が高確率状態(確変状態)となっているか否かを判断する(S328)。確変状態は、特別図柄表示部30に表示される特別図柄が、図7に示した「確変当り図柄」または「特定確変当り図柄」のいずれかで停止した場合に、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまで継続される。このことから、S328では、現在の遊技状態が確変状態であるか否かを判断して、確変中であれば(S328:yes)、大当りの確率が高めに設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S330)。逆に、確変中でなければ(S328:no)、大当りの確率が通常の値に設定された状態で特別図柄の当否判定を行う(S332)。
特別図柄の当否判定は、次のような当否判定テーブルおよび大当り態様判定テーブルを参照することによって行う。図15は、本実施例の特別図柄遊技処理において特別図柄の当否判定を行うために参照する当否判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定テーブルには、図15(b)に示す確変用のテーブルと図15(a)に示す非確変用のテーブルとが用意されており、それぞれのテーブルには、特別図柄当否判定用乱数に対して、「大当り」、または「外れ」の何れかの当否判定結果が対応付けて記憶されている。また、図15(a)と図15(b)とを比較すれば明らかなように、確変用の当否判定テーブルは、非確変用の当否判定テーブルよりも「大当り」の発生確率が高くなっている。ここで特別図柄当否判定用乱数とは、遊技球が始動口17に入球したときに取得されて、主制御基板200上のRAM203に記憶される乱数である。特別図柄当否判定用乱数から当否判定テーブルを参照することによって特別図柄の当否判定を行い、その結果、「大当り」と判定された場合は、更に、大当り態様判定テーブルを参照することで、特別図柄の大当り態様を決定する。
図16は、特別図柄の当否判定結果が大当りの場合に、大当り態様を判定するために参照される大当り態様判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されるように、大当り態様判定テーブルには、大当り態様判定用乱数に対して、「通常当り」、「確変当り」、「特定確変当り」の何れかの大当り態様が対応付けて記憶されている。ここで大当り態様判定用乱数は、特別図柄の当否判定結果が「大当り」であった場合に取得される乱数である。なお、大当り態様の決定は、後述する特別図柄変動パターン設定処理(図17参照)における特別図柄の停止図柄の決定と共に行っても良く、この場合には、特別図柄の停止図柄決定用乱数により大当り態様も決定されることとなるので、大当り態様判定用乱数や大当り態様判定テーブルを設ける必要はない。
図13に示した特別図柄遊技処理のS328〜S332では、特別図柄の当否判定に先立って確変中か否かを判断し、確変中であれば、図15(b)に示した当否判定テーブルおよび図16の大当り態様判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行い、確変中でなければ、図15(a)の当否判定テーブルおよび図16の大当り態様判定テーブルを参照して特別図柄の当否判定を行うのである。以上のようにして、特別図柄の当否を判断したら、今度は、特別図柄の変動パターンを設定する処理を行う(S338)。
図17は、特別図柄遊技処理の中で特別図柄の変動パターンを設定する処理(特別図柄変動パターン設定処理)の流れを示すフローチャートである。ここで、特別図柄変動パターンとは特別図柄の変動時間を定めるものであり、この特別図柄の変動時間は、キャラクタ図柄27a,27b,27cの変動時間にも相当する。特別図柄変動パターン設定処理を開始すると、先ず初めに、当否判定の結果が確変当りであったか否かを判断する(S3380)。そして、確変当りであった場合には(S3380:yes)、確変当り用の特別図柄の停止図柄を決定する(S3382)。図7に示したように、確変当り図柄としては4通りの図柄が設定されているから、抽選を行って何れか1つの図柄を決定する。
一方、当否判定の結果が確変当りでなかった場合には(S3380:no)、通常当りであったか否かを判断する(S3384)。そして、通常当りであったと判断された場合には(S3384:yes)、通常当り用の特別図柄の停止図柄を決定する(S3386)。図7に示したように、通常当り図柄としては5通りの図柄が設定されているから、抽選を行って何れか1つの図柄を決定する。
また、当否判定の結果が通常当りでもなかった場合には(S3384:no)、今度は、特定確変当りであったか否かを判断する(S3388)。そして、特定確変当りであったと判断された場合には(S3388:yes)、特定確変当り図柄を決定する(S3390)。図7に示したように、本実施例の遊技機1では、特定確変当り図柄は1つだけしか設定されていないから、当否判定結果が特定確変当りであった場合には、抽選を行うことなく停止図柄を決定することができる。もちろん、特定確変当り図柄を複数種類設けておき、抽選によって図柄を決定しても良い。
以上のようにして、特別図柄の当否判定結果が当りであった場合には、確変当り、通常当り、特定確変当りといった当り態様に応じて、特別図柄の停止図柄を決定した後、続いて、変動パターン決定乱数を取得し(S3396)、これら当り態様および取得した変動パターン決定乱数に応じて特別図柄の変動パターンを決定する(S3400)。
図18は、主制御基板200のROM202に設定されている特定確変当り用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように変動パターンテーブルには、変動パターン決定乱数の値に対応付けて、特別図柄の変動パターンが設定されている。また、それぞれの変動パターンには、特別図柄の変動時間が予め設定されている。例えば、変動パターン決定乱数が「0〜127」の範囲の値に対しては、「パターン特1」という変動パターンが設定されており、この変動パターンは、特別図柄の変動時間が121.3秒間の変動パターンである旨が設定されている。同様に、「128〜255」の範囲の乱数値に対しては、「パターン特2」という変動パターンが設定され、この変動パターンは、特別図柄の変動時間が130.2秒間である旨が設定されている。
また、図19は、確変当り用の変動パターンテーブルを概念的に示した説明図である。図18に示した特定確変当り用の変動パターンテーブルと同様に、確変当り用の変動パターンテーブルについても、変動パターン決定乱数に対応付けて、特別図柄の変動パターンと変動時間とが設定されている。同様に、図20には、通常当り用の変動パターンテーブルが示されている。
図17のS3400では、こうした変動パターンテーブルを用いて、特別図柄の変動パターンを決定する。すなわち、確変当り、通常当り、特定確変当りのそれぞれに対応する変動パターンテーブルを選択し、選択した変動パターンテーブルから、変動パターン決定乱数に対応する特別図柄変動パターンを実際に使用する特別図柄変動パターンとして選択する。こうして、特別図柄の当り態様に応じて特別図柄変動パターンを決定したら、図17の特別図柄変動パターン設定処理を終了して、図13に示した特別図柄遊技処理に復帰する。
一方、当否判定の結果が特定確変当りでもないと判断された場合は(S3388:no)、「確変当り」、「通常当り」、「特定確変当り」の何れでもないから、当否の判定結果が「外れ」であると判断できるので、外れ用の停止図柄と変動パターンとを決定すればよい。もっとも、「外れ」の場合には、リーチ演出の後に外れとなる場合と、リーチ演出とならずに外れる場合とが存在する。そこで、停止図柄および変動パターンを決定する前に、先ず、抽選を行って、リーチ演出を行うか否かを決定する(S3392)。そして、変動パターン決定乱数を取得した後(S3394)、リーチ演出の有無に応じて、特別図柄の停止図柄を決定し、更に、取得した変動パターン決定乱に応じて、特別図柄の変動パターン(図21参照)を決定する(S3398)。
以上のような処理を行うことにより、当否判定結果に応じて、特別図柄の停止図柄と変動パターンとを決定したら、図17に示した特別図柄変動パターン設定処理を終了して、図13の特別図柄遊技処理に復帰する。尚、特別図柄の変動時間が対応付けられた変動パターンを決定する処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201が上述した特別図柄変動パターン設定処理を実行することによって行われる処理である。従って、本実施例のCPU201は、本発明における「変動時間決定手段」に対応するものとなっている。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄変動パターン設定処理から復帰すると、図柄表示装置28における特別図柄の変動表示を開始するとともに(S340)、特別図柄保留数から1を減算する処理を行い(S342)、さらに、サブ制御基板220に向かって特別図柄の変動パターン指定コマンドを出力する(S344)。ここで出力する特別図柄変動パターン指定コマンドは、図17に示した特別図柄変動パターン設定処理中で決定しておいた特別図柄変動パターンを指定するコマンドである。
さらに、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に向かって、特別図柄停止情報指定コマンドを出力する(S346)。ここで出力する特別図柄停止情報指定コマンドは、図17を用いて前述した特別図柄変動パターン設定処理の中で、特別図柄の変動パターンとともに決定された特別図柄の停止図柄を指定するコマンドである。
サブ制御基板220側のCPU221は、主制御基板200から出力されたこれらのコマンドに基づいて、特別図柄変動パターンおよび特別図柄の停止図柄を取得する。そして、演出表示装置27での演出態様を決定した後、演出表示装置27の動作を制御する演出制御基板230に向かって、各種のコマンドを出力する。演出制御基板230では、こうしてサブ制御基板220からのコマンドに基づいて演出表示装置27の制御が実行され、その結果、演出表示装置27の液晶画面上では、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの変動表示が開始される。ここで、3つのキャラクタ図柄27a,27b,27cの変動開始タイミングは、図13に示すフローチャートによれば、図柄表示装置28での特別図柄の変動開始よりも遅くなっており、キャラクタ図柄27a,27b,27cの変動開始タイミングと特別図柄の変動開始タイミングとには時間差が生じていることとなる。しかしながら、この時間差は、制御処理時間として約100ms程度であることから、両図柄の変動表示開始タイミングは見かけ上略同時となっている。尚、ここで説明した様に、CPU221は演出の変動態様を決定して演出を実行することから、本実施例のCPU221は、本発明における「演出実行手段」に対応している。
主制御基板200のCPU201は、以上のようにして、特別図柄の変動パターンと特別図柄の停止図柄とを決定し、これらに対応する特別図柄変動パターン指定コマンドと特別図柄停止情報指定コマンドとをサブ制御基板220に向けて出力したら、図13に示した特別図柄遊技処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄遊技処理を開始した直後のS322の処理で、特別図柄表示部30の特別図柄が変動中であると判断された場合は(S322:yes)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されていることとなる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S348)。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図10に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、サブ制御基板220に向かって演出表示装置27で変動表示されているキャラクタ図柄27a,27b,27c(および場合によっては背景図柄27d)の図柄停止コマンドを出力するとともに(S350)、図柄表示装置28において変動表示している特別図柄表示部30の特別図柄を停止表示する(S352)。そして、図柄表示装置28上での特別図柄の停止表示時間を設定した後(S354)、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する(S356)。特別図柄の停止表示時間が経過していなければ(S356:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図10に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S356:yes)、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させることとなる図柄であるか否かを判断する(図14のS358)。ここで、条件装置を作動させることとなる図柄とは、図7に示した通常当り図柄、確変当り図柄、特定確変当り図柄の何れかの図柄(すなわち、大当り図柄)である。図14のS358では、図柄表示装置28の特別図柄表示部30に停止表示された図柄が、これら大当り図柄であるか否かを判断する。
停止表示された図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合は(S358:yes)、その図柄が特定確変当り図柄に該当するか否かを判断する(S360)。特定確変当り図柄ではなかった場合、すなわち条件装置を作動させることとなった図柄が通常当り図柄または確変当り図柄であった場合は(S360:no)、役物連続作動装置を連続して作動させる回数(連続作動回数、いわゆるラウンド数)を標準回数(本実施例では、15回)に設定する(S364)。一方、条件装置を作動させることとなった図柄が特定確変当り図柄であった場合は(S360:yes)、連続作動回数を特定確変当り用の回数(本実施例では、2回)に設定する(S362)。
こうして、大入賞口の開口時間および連続作動回数(ラウンド数)を設定した後、条件装置および役物連続作動装置を作動させる(S360)。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が前述した「確変当り図柄」または「通常当り図柄」の何れかで停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開口状態とする装置である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開口させる装置である。詳細には後述するが、こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させることにより、特別図柄遊技処理を抜けて図10の遊技制御処理に復帰すると特別電動役物遊技処理が開始され、特別遊技状態が開始されることになる。
また、本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置の作動時は、確変機能や時短機能は働かないこととしている。尚、時短機能とは、図柄表示装置28および演出表示装置27で図柄が変動表示される時間を短縮する機能である。そこで、図14のS360において条件装置および役物連続作動装置を作動させたら、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S362)。そして、確変中であれば(S362:yes)、確変機能および時短機能が作動しているので、これらの機能を停止させる(S364,S366)。一方、現在の遊技状態が確変中ではなかった場合は(S362:no)、続いて、時短中か否かを確認し(S368)、時短中であった場合は(S368:yes)、時短機能を停止させる(S366)。また、本実施例の遊技機1では、時短機能が作動している場合は、始動口17(普通電動役物)の開口時間を延長する機能も働いているので、時短機能を停止したら(S366)、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S368)、図13および図14に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。一方、条件装置および役物連続作動装置を作動させたときの遊技状態が確変中でも時短中でもなかった場合は(S368:no)、そのまま特別図柄遊技処理を抜けて、遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が、条件装置を作動させることとなる図柄であった場合(S358:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が条件装置を作動させる図柄でなかった場合は(S358:no)、次のような処理を行う。
まず、現在の遊技状態が時短中か否かを判断する(S374)。そして、時短中と判断された場合は(S374:yes)、時短中の特別図柄の変動回数を計数した後(S376)、変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S378)。本実施例の遊技機1では、「通常当り」の発生に伴う特別遊技の終了後に時短状態が開始されると、その時短状態は、次の大当り遊技状態が発生するか、もしくは特別図柄が所定回数変動するまでは継続する設定となっている。そこで、現在の遊技状態が時短中と判断された場合は(S374:yes)、特別図柄の変動回数を計数した後(S376)、変動回数の計数値が所定回数に達したか否かを判断するのである。そして、所定回数に達していれば(S378:yes)、時短機能を停止させ(S380)、続いて、普通電動役物開口時間の延長機能も停止させた後(S368)、図13および図14に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ所定回数に達していなければ(S378:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。
図10に示すように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、特別遊技状態を開始させる装置である。そこで、主制御基板200に搭載されたCPU201は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
C−3.特別電動役物遊技処理 :
図22は、特別電動役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、いわゆる特別遊技状態が発生する。以下、図22を参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる特別遊技(大当り状態)と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図2を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口31dが設けられており、この大入賞口31dは通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技が開始されると、大入賞口31dが開口状態となる。本明細書中で言う「特別電動役物」とは、大入賞口31dを備えた可変入球装置を指している。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、遊技球が高い確率で入球することになる。開口された大入賞口31dは、所定の開口時間が経過するか、あるいは所定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開口状態となる。また、本明細書中で言う「役物連続作動装置」とは、閉鎖状態にある大入賞口31dを所定時間に亘って開口状態とした後で再度閉鎖状態とする処理を、所定回数繰り返して行うための手段を指しており、主制御基板200のCPU201が実行する制御プログラムによって具現化されるものである。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら特別遊技が終了する。以下、上述した特別遊技を実行するために、主制御基板200のCPU201が行う特別電動役物遊技処理について、図22を参照しながら説明する。
主制御基板200のCPU201は、特別電動役物遊技処理(S400)を開始すると先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S402)。大入賞口31dは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って特別遊技の開始直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開口中ではないと判断して(S402:no)、特別電動役物の連続作動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S404)。前述したように、特別遊技状態が発生すると、閉鎖状態にある大入賞口31d(特別電動役物)が作動して、大入賞口31d(特別電動役物)は開口状態となる。この作動回数が所定回数に到達するまで大入賞口31dが繰り返し作動することで、所定回数のラウンドが繰り返されることになっている。このことに対応して、大入賞口31dが閉鎖されている場合は(S402:no)、特別電動役物の作動回数が所定回数に達したか否か、換言すれば、所定回数のラウンドが終了したか否かを判断する(S404)。
当然のことながら、特別遊技が開始された直後は、特別電動役物の作動回数(ラウンド数)が所定回数に達していないから(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S406)。大入賞口の閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口31dが閉鎖状態となっている時間である。特別遊技が開始された直後は、大入賞口31dは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口31dの閉鎖時間が経過していると判断され(S406:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S408)、図22に示した特別電動役物遊技処理を一旦終了して、図10の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図10に示したように、賞球関連処理(S50)以降の一連の各種処理を行った後、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。前述したように、図10に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図22に示した特別電動役物遊技処理も、約4msec毎に実行されることになる。そして、特別遊技が開始されて、図22の特別電動役物遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにS408において大入賞口31dを開口させて、そのまま処理を終了するが、約4msec後に2周目の処理を行う場合には、S402にて、大入賞口31dが開口中(S402:yes)と判断されることになる。
次いで、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口31dが開口状態となるが、開口時間が所定時間に達するか、または大入賞口31dに所定数の遊技球が入球すると、大入賞口31dは閉鎖される。このことに対応して、S410では大入賞口31dの開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。そして、開口時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S414)、図22に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。一方、開口時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口31dに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S414)。これに対して、規定数に達していない場合は(S412:no)、大入賞口31dの開口時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口31dに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口31dを開口させたまま、図22に示した特別電動役物遊技処理を抜けて、図10の遊技制御処理に復帰する。
図10の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31dの開口時間が所定時間に達するか(S410:yes)、もしくは大入賞口31dに規定数数の遊技球が入球して(S412:yes)、大入賞口31dが閉鎖される(S414)。こうして、1ラウンドの遊技が終了する。そして、次に特別電動役物遊技処理が実行された時には、S402において大入賞口31dが閉鎖中と判断され(S402:no)、所定回数のラウンドが終了したか否かが判断され(S404)、全てのラウンドが終了していなければ(S404:no)、大入賞口の閉鎖時間が所定時間に達したことを確認した後(S406:yes)、再び大入賞口31dを開口状態として新たなラウンドを開始する(S408)。一方、S404において、所定回数のラウンドが終了したと判断された場合は(S404:yes)、特別遊技(大当り状態)を終了させるべく、条件装置および役物連続作動装置の作動を停止する(S416)。
以上のようにして特別遊技が終了したら、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」または「通常当り図柄」のいずれであったかを判断する(S418)。そして、「確変当り図柄」によるものであった場合は(S418:yes)、確変機能の作動を開始した後(S420)、時短機能および普通電動役物の開口時間延長機能の作動を開始して(S422、S424)、図22に示す特別電動役物遊技処理を終了する。一方、条件装置を作動させることとなった特別図柄が「確変当り図柄」ではないと判断された場合は(S418:no)、条件装置は「通常当り図柄」によって作動したことになる。そこで、確変機能の作動を開始する処理(S420)はスキップして、時短機能の作動を開始し(S422)、続いて普通電動役物開口時間延長機能の作動を開始した後(S424)、図22に示す特別電動役物遊技処理を終了して、図10の遊技制御処理に復帰する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技機1の遊技を進行させる。そして、遊技制御処理中の特別図柄遊技処理の中で特別図柄の当否判定が行われ(図13のS330、S332)、当否判定結果が「当り」であった場合には、条件装置および役物連続作動装置が作動して(図14のS360)、特別遊技(大当り状態)が開始される。また、主制御基板200のCPU201は、このような処理を行う中で、特別図柄の変動パターン指定コマンドや、特別図柄停止情報指定コマンド、図柄停止コマンドなどの各種コマンドを、サブ制御基板220に向かって出力する。
サブ制御基板220では、主制御基板200から受け取ったコマンドに基づいて、演出内容を決定した後、演出制御基板230に対して制御コマンドを出力することにより、演出表示装置27上で行われる演出内容を制御している。また、前述した様に、本実施例の遊技機1では、遊技者の興趣を喚起するために、チャンス目演出と呼ばれる特殊な演出を行っている(図9参照)。チャンス目演出は仮停止を伴う関係から長い時間がかかるので、サブ制御基板220がチャンス目演出を行うためには、主制御基板200が変動時間の長い変動パターンを選択することが前提となる。しかしこれでは、如何にチャンス目演出が有効であったとしても、演出を行う機会は限られてしまう。そこで、本実施例のサブ制御基板220では、特別な方法を用いてチャンス目演出を行うことで、主制御基板200が変動時間の長い変動パターンを選択していない場合でもチャンス目演出を行うことを可能としている。以下では、こうしたことを実現するために本実施例のサブ制御基板220および演出制御基板230が行う演出制御処理について詳しく説明する。
D.演出制御処理 :
図23及び図24は、本実施例のサブ制御基板220のCPU221と演出制御基板230のCPU(図示せず)とが協働して実行する演出制御処理の流れを示したフローチャートである。前述した様に、サブ制御基板220には、主制御基板200から変動パターン指定コマンドが送られてくるので(図13のS344参照)、演出制御処理では、まず、この変動パターン指定コマンドを受信したか否かを確認する(S1002)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合には(S1002:no)、受信するまでS1002の判定を繰り返しながら待機する。一方、変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S1002:yes)、次いで、変動パターン指定コマンドの直後に送られてくる特別図柄停止情報指定コマンドの受信の確認を行う(S1004)。特別図柄停止情報指定コマンドを受信していない場合には(S1004:no)、S1004の判断を繰り返しながら特別図柄停止情報指定コマンドを受信するまで待機する。
一方、特別図柄停止情報指定コマンドを受信した場合は(S1004:yes)、「合成チャンス目演出」を実行中であるか否かを示すフラグ(合成チャンス目演出フラグ)の確認を行う(図24のS1006)。ここで、「合成チャンス目演出」とは、本実施例の演出制御処理が行う特殊なチャンス目演出のことである。詳しくは後で説明するが、合成チャンス目演出では、通常のチャンス目演出と同様にチャンス目での停止表示と発展演出とを行うものの、通常のチャンス目演出と異なり、主制御基板200が変動時間の長い変動パターンを選択しない場合であってもチャンス目演出を実行することが可能となっている。尚、合成チャンス目演出フラグは、ON/OFFの何れかの状態を取り得るが、通常の遊技状態(例えば、遊技機に電源が投入されて遊技が開始された状態)では、合成チャンス目演出フラグはOFFに設定されており、ほとんどの場合はS1006において「no」と判断される。
合成チャンス目演出フラグの確認をしたら、次いで、当否判定の結果が当りか否かを判断する(S1008)。当否判定の結果は、主制御基板200から受信した特別図柄停止情報指定コマンドを調べることで判断することができる。ここで、当り(通常大当り、確変大当り、特定確変当り)が発生した場合には、遊技者にとって有利な遊技状態が始まることにより遊技者の興味が強く引き付けられるので、合成チャンス目演出を行わなくてもよい。そこで、当否判定の結果が当りであれば(S1008:yes)、合成チャンス目演出を行うことなく、変動パターンに従って当りの演出を実行することで遊技者に当りを報知する(S1018)。そして、図23のS1002に復帰し、再びコマンドが送られてくるまで待機する。
一方、当否判定の結果が当りでない場合には(S1008:no)、次いで、特別図柄の保留があるか否かを判定する(S1010)。詳しくは後で説明するが、合成チャンス目演出を行う為には特別図柄の保留が必要となるため、特別図柄の保留がない場合には(S1010:no)合成チャンス目演出を行うことはできない。そこで、この場合は、通常通り変動パターンに従って外れの演出を実行し(S1018)、図23のS1002に復帰して再びコマンドが送られてくるまで待機する。
一方、特別図柄の保留がある場合には(S1010:yes)、合成チャンス目演出を実行することが可能であるので、実際に合成チャンス目演出を実行するか否かを決定する(S1012)。合成チャンス目演出を行うか否かは、様々な方法で決定することができる。例えば、前回の大当り遊技が終了してからの経過時間あるいは特別図柄の変動回数を計測しておき、大当り遊技状態が発生しないまま一定時間あるいは所定の変動回数を経過した場合には、合成チャンス目演出を行うとすることができる。こうすれば、長時間に渡って大当り遊技状態が発生しなかった場合でも、チャンス目演出によって遊技者の興味を再び遊技に引き付けることが可能である。あるいは、より簡単に、受け取った変動パターンに基づいて合成チャンス目演出を行うか否かを決定してもよい。すなわち、合成チャンス目演出を行う変動パターンを予め決めておき、その変動パターンを受け取った場合に合成チャンス目演出を行うこととすれば、他に特別な処理をすることなく簡単に合成チャンス目演出を行うか否かを決定することができる。
更には、変動パターンと、そのときの演出モードとに基づいて、合成チャンス目演出を実行するか否かを決定することとしてもよい。例えば、比較的選択されやすい変動パターンを所定の演出モードで受け取った場合にのみ、合成チャンス目演出を実行することとすれば、その特定の演出モードでは頻繁に合成チャンス目演出を行うことが可能となり、一方、その他の演出モードでは、同じ変動パターンであっても合成チャンス目演出は実行されないためチャンス目演出の頻度は変わることがないので、特定の演出モードの場合にのみチャンス目演出の発生頻度を増加させることが可能となる。こうすれば、演出モードごとにチャンス目演出の頻度を変えて遊技に変化を生じさせることも可能となるので、遊技の興趣をいっそう高めることが可能となる。
合成チャンス目演出フラグがOFFであり、かつ特別図柄の保留が残っている場合には(S1010:yes)、こうした種々の方法によって合成チャンス目演出を行うか否かを決定する(S1012)。そして、合成チャンス目演出を行わない場合には(S1012:no)、変動パターンに従って外れの演出を実行し、図23のS1002に復帰する。一方、合成チャンス目演出を行う場合には、合成チャンス目演出フラグをONに設定した後(S1014)、キャラクタ図柄の変動表示を開始して、所定時間が経過した後にチャンス目で停止させる演出を行う(S1016)。
前述した様に、チャンス目演出は、キャラクタ図柄をチャンス目で停止表示させた後に、直ぐに続いて発展演出を開始することによって行われる。従って、合成チャンス目演出フラグをONにして、キャラクタ図柄をチャンス目で停止させただけでは、チャンス目演出を行ったことにはならない。しかし、上述したように、合成チャンス目演出フラグをONに設定するのは、特別図柄の保留が残っている場合に限られるので(S1010において「yes」と判断されている)、キャラクタ図柄をチャンス目で停止表示させた後は(S1016)、直ぐに主制御基板200から、特別図柄の変動パターン指定コマンドが送られてくる。このため、チャンス目で停止表示させた後に(S1016)、演出制御処理の先頭に戻ると直ちに、変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ったと判断されて(図23のS1002、S1004)、合成チャンス目演出フラグがONに設定されているか否かが判断される(図24のS1006)。
合成チャンス目演出フラグは、キャラクタ図柄をチャンス目で停止させる前に「ON」に設定されているから(S1014)、S1006においては「yes」と判断されて、発展演出が開始される(S1020)。すなわち、本実施例では、特別図柄の保留が残っていることを確認してキャラクタ図柄をチャンス目で停止させることにより、保留を消化するために直ちに開始される次の変動表示で発展演出を行うことで、遊技者にはチャンス目演出と同様に見える演出を行っている。もちろん、実際には、チャンス目で停止表示させる変動表示、および発展演出を行う変動表示の2回の変動表示を行っているので、主制御基板200が変動時間の短い変動パターンを選択した場合でも、十分に実行することが可能である。
チャンス目停止に続いて行われる発展演出(S1020)では、主制御基板200から受け取った変動パターンおよび特別図柄停止情報に基づいて、当りの発展演出あるいは外れの発展演出を行う。本実施例の発展演出では、図9を用いて前述したように、巨大なゴリラが高層ビルを登っていく演出が行われており、これに合わせて、当りの発展演出では、ゴリラが高層ビルを頂上まで登りきった画像を表示する演出を行い(図9(c)参照)、外れの発展演出では、ゴリラが途中で転落する画像を表示する演出を行っている(図9(d)参照)。
以上のような画像を表示することによって、当りまたは外れの発展演出を行ったら(S1020)、2つの変動を合成して行うチャンス目演出(合成チャンス目演出)が完了したことになる。そこで、合成チャンス目演出フラグをOFFに戻した後(S1022)、再び、演出制御処理の先頭の処理(図23のS1002)に戻って、主制御基板200からコマンドが送られてくるまで待機状態となる。
以上に説明したように、本実施例の演出制御処理では、主制御基板200から、チャンス目演出を実行可能な長い変動時間の変動パターンが送られてこなかった場合でも、チャンス目演出と同様な演出(合成チャンス目演出)を、サブ制御基板220の側で実行することが可能である。そして、合成チャンス目演出は、主制御基板200が行う制御とは全く独立して行うことができるので、このような演出を行っても、主制御基板200が行う処理が何ら複雑になることはない。以下では、この点について若干補足して説明する。
図25は、合成チャンス目演出を実行する際の主制御基板200の処理およびサブ制御基板220と演出制御基板230とが協働して行う演出制御処理と、演出表示装置27の表示画面に出力される演出画像とを概念的に示した説明図である。図25の上の欄には、合成チャンス目演出を実行する際の主制御基板200の処理および演出制御処理が示されている。ここで、主制御基板200の処理に着目すると、主制御基板200は変動パターン指定コマンドを送信しているが、これは通常の演出の際にも行われる処理であるから、合成チャンス目演出のために特別な処理を行っているわけではない。また、送信する変動パターンについても、合成チャンス目演出は変動時間の長い変動パターンでなくても実行可能であるから、主制御基板200は、何ら特別な処理をすることなく通常の演出の際と同じように変動パターンを選択すればよい。このことは、特別図柄の変動状態にも現れている。すなわち、合成チャンス目演出であっても、通常の演出と同様に特別図柄の変動表示から停止表示までが一つの変動パターンに対応しているので、2つの変動パターンを使って行われる合成チャンス目演出では、1つ目の変動パターンに対応して特別図柄が一旦停止表示され、その後、2つ目の変動パターンに対応して、再び変動表示が行われている。この様に、主制御基板200では、合成チャンス目演出の実行に際して特別な処理を行う必要は無いので、主制御基板200の処理が何ら複雑になることはない。
以上に説明した様に、本実施例の演出制御処理では、主制御基板200の制御を何ら複雑にすることなく、サブ制御基板220の側で自由に合成チャンス目演出を実行することが可能となっている。更に、このことから、演出モードや遊技の進行状況などに応じてチャンス目演出の発生頻度を変化させることも容易に可能となる。すなわち、従来のチャンス目演出では、変動時間の長い変動パターンを選択する必要があることから、演出モードなどに応じてチャンス目演出の頻度を変えようとすると、演出モードごとに変動パターンの抽選方法を変えるなどの処理が必要となって主制御基板の制御が複雑化してしまうので、チャンス目演出の頻度を変えることは容易ではなかった。これに対して、本実施例の演出制御処理では、主制御基板200の制御は何ら複雑になることがないので、演出モードや遊技の進行状況などに応じて合成チャンス目演出の発生頻度を変化させることが容易に可能となっている。この結果、遊技者の興味を強く引き付けて興趣をより高めることが可能な遊技機が実現可能となる。
E.第1の変形例 :
前述の実施例の合成チャンス目演出では、発展演出を行うに際して、2つ目の変動パターン(特別図柄の保留に対応する変動パターン)の変動時間に合わせて発展演出を行うものとして説明した。しかし、別の方法で発展演出を行うことも可能である。以下では、こうした変形例の合成チャンス目演出について説明する。
図26は、変形例の合成チャンス目演出における主制御基板200の処理およびサブ制御基板220と演出制御基板230とが協働して行う演出制御処理を概念的に示した説明図である。図26の「演出制御処理」の欄に示されている様に、変形例の合成チャンス目演出では、主制御基板200からサブ制御基板220に対して2つ目の変動パターン(特別図柄の保留に対応する変動パターン)が送信されると、発展演出を開始するだけでなく、通常の演出(キャラクタ図柄の変動表示)も発展演出と同時に開始する。ここで、2つの演出を同時に開始するといっても、演出表示装置27に表示できる演出は1つなので、サブ制御基板220は演出制御基板230に対してコマンドを送って、2つの演出のうち発展演出の方を演出表示装置27に表示するように指示を出す。これによって、演出表示装置27では、発展演出が開始される(図26(c)参照)。一方、通常の演出については、演出表示装置27には表示しないものの、発展演出と同時進行する。この同時進行の処理は、演出制御基板230に搭載される画像LSI(図示せず)によって行われる。なお、このように、通常の演出(キャラクタ図柄の変動表示)と発展演出とが同時に開始されるのは、上述の合成チャンス目演出においてサブ制御基板220が受信した2つ目の変動パターンが、比較的長い変動時間に対応している場合である(例えば、「当り変動パターン」や「リーチ有り外れ変動パターン」を受信した場合)。
ここで、変形例の合成チャンス目演出では、発展演出の継続時間が比較的短時間に設定されており、このため、演出表示装置27で行っている発展演出は、非表示の状態で進行している通常の演出よりも早く終了する。そこで、演出制御基板230に搭載された画像LSIは、発展演出の表示(再生)が終了したら(図26(d)参照)、演出表示装置27に表示させる演出の内容を、発展演出と同時進行させていた通常の演出に切り替える。すると、遊技者には、発展演出が終了して再び通常の演出に戻ったかの様に見えるので、そのまま通常の演出を続けることができる。そして、2つ目の変動パターンに対応する変動時間が経過したら、キャラクタ図柄を停止表示することによって演出を終了させる(図26(f)参照)。
この様に、変形例の合成チャンス目演出では、発展演出と通常の演出とを同時に実行しておき、発展演出が終わったら通常の演出に切り替えることとしている。こうすると、合成チャンス目演出の際に送信される2つ目の変動パターンとして、変動時間が異なる複数種類のパターンが存在するとしても、サブ制御基板220(および演出制御基板230)側では発展演出を1つ用意しておくだけで合成チャンス目演出の実行が可能となる。すなわち、同時進行させる通常の演出については、主制御基板200から送信される変動パターンの種類に応じて予め複数種類の演出内容が用意されているので、変動パターンがどのような変動時間を指定しても、それに合わせて通常の演出を行うことが可能である。そこで、発展演出を通常の演出と同時進行させてやれば、変動パターンが指定する変動時間に合わせて通常の演出が終了するので、それよりも早く終了する発展演出については、変動パターンに合わせなくてもよい。図27には、こうした様子が概念的に示されている。
以上に説明した様に、変形例の合成チャンス目演出では、変動パターンに応じて複数の発展演出を用意しておく必要はなく、一つだけ発展演出を用意しておけばよいので、複数の発展演出を作成するために多大な労力を要求されることがなく、また、複数の発展演出を記憶する為の大きな記憶容量が必要となることもない。更に、複数の発展演出の中から発展演出を選び出す処理も不要となるので、制御を簡素化することも可能となる。この結果、チャンス目演出によって興趣が高められた遊技機を、より容易に実現可能となっている。
尚、図26および図27においては、発展演出と同時に通常の演出を実行するものとして説明したが、通常の演出ではなく、チャンス目演出を実行することも可能である。図28には、この場合の演出制御処理(サブ制御基板220および演出制御基板230の処理)および演出表示装置27の表示画面に出力される演出の内容が示されている。図28に示されている様に、チャンス目演出を行う場合であっても、通常の演出の場合と同様に、発展演出とチャンス目演出とを同時に実行しておき、発展演出が終わったら、発展演出からチャンス目演出へと演出を切り替えればよい。例えば、図28(a)の例では、発展演出が終了してチャンス目演出へと切り替えると、発展演出に続いてキャラクタ図柄の変動表示が出力されるので、それに続けてチャンス目での停止表示から発展演出を行えば、通常のチャンス目演出と同様の演出が可能である。
また、図28(b)の例では、発展演出が終了した際に、すでにキャラクタ図柄の変動表示が終了して発展演出が開始されているが、この場合も図28(a)と同様に、演出を切り替えればよい。すると、発展演出が終了したのに続いて再び発展演出が出力されるので、そのまま発展演出を行ってチャンス目演出を終了することが可能である。
この様に、変形例の合成チャンス目演出では、発展演出と同時にチャンス目演出を実行することも可能である。このため、チャンス目演出に対応する変動パターンが主制御基板200から送られてきた場合であっても、チャンス目演出に代えて通常の演出を行う等の特別な処理は必要ないので、遊技機の制御が複雑になることはない。もちろん、この場合にも、発展演出を予め1つ用意しておけばよいので、発展演出の用意のために多大な労力が要求されることもない。こうして、興趣の高い遊技機がより容易に実現可能となる。
F.第2の変形例 :
前述した第1の変形例では、特別図柄の変動時間の経過よりも先に発展演出を終了し、その後、通常の演出に切り換えることによって演出を実行するものとして説明した。しかし、特別図柄の保留が多く溜まった場合には、溜まった保留をできるだけ早く消費したいという要請から、特別図柄の変動時間が短縮されることがあり、その結果、特別図柄の変動時間が発展演出の演出時間よりも短くなってしまうことがある。この様な場合でも、以下の様な方法で発展演出を行えば、第1の変形例と同様に、複数の発展演出を予め用意しておかなくても演出を実行することが可能となる。以下では、こうした第2の変形例について説明する。
図29は、第2の変形例における演出制御処理(サブ制御基板220および演出制御基板230の処理)と、演出表示装置27に表示される演出とを、概念的に示した説明図である。第2の変形例においても、第1の変形例と同様に、サブ制御基板220は、変動パターン指定コマンドを受け取ると発展演出と通常の演出とを同時に実行開始する。そして、演出制御基板230にコマンドを送ることによって、2つの演出の中で、まずは発展演出を演出表示装置27に表示させる(図29(a)参照)。
ここで、先に説明した様に、特別図柄の保留が多く溜まっており、この保留を早く消化するために特別図柄の変動時間が短縮されている場合には、この変動時間が短縮された特別図柄の変動表示(以下、短縮変動という)を終了しても、発展演出は途中までしか実行されていないことが起こりえる。この様な場合、サブ制御基板220は、短縮変動が終了しても、そのまま演出表示装置27上で発展演出を継続する(図29(a)参照)。
一方、演出制御基板230側では、演出表示装置27上で行われている発展演出と同時に通常の演出も進行しており、この通常の演出については、短縮変動が終了するのに合わせて演出を終了する。そして、保留を消化するために再び特別図柄が変動表示を開始すると、その変動表示(以下、保留消化変動という)に対応する変動パターンを受信したサブ制御基板220は、演出制御基板230に対して、保留消化変動に対応する演出表示を開始すべく指令を送信し、この指令を受けた演出制御基板230は、保留消化変動に対応する新たな通常の演出を非表示の状態で開始する。この時、演出表示装置27上では発展演出が継続されているので、保留消化変動に対応する通常の演出は、演出表示装置27上に表示されないまま終了したり開始したりするにすぎない。しかし、演出表示装置27上で行われている発展演出もやがては終了するので、発展演出が終了したら、非表示の状態で開始された保留消化変動に対応する通常の演出を演出表示装置27上に表示させる。こうすれば、前述した第1の変形例と同様に、遊技者には、発展演出が終了して新たな演出が開始されたかのように見えることとなる(図29(c)参照)。もちろん、発展演出の終了後に演出表示装置27上に表示される演出は、保留消化変動に対応して開始された通常の演出であるため、保留消化変動が終了すると、演出表示装置27上での演出も同じタイミングで終了することになる(図29(d)参照)。
この様に、第2の変形例では、短縮変動の開始に伴って開始される、短縮変動よりも演出時間(変動時間)が長い発展演出を、短縮変動に続く保留消化変動の実行時にも継続して行い、発展演出が終了した時点で、保留消化変動に対応する通常の演出の表示を演出表示装置27上で行うこととしている。このため、短縮変動が行われる場合であっても、それに合わせて発展演出を短くする必要がないので、第1の変形例と同様に、発展演出を予め一つ用意しておけば演出を実行することが可能である。したがって、複数の発展演出を用意するための労力が要求されることがなく、また、複数の発展演出を記憶しておくための記憶容量が必要とされることもない。更に、複数の発展演出の中から適切な演出を選択する処理も必要ないので、制御が複雑化することもない。この結果、興趣の高い遊技機が容易に実現可能となっている。
尚、以上の説明では、発展演出と同時進行される通常の演出は、発展演出が表示されている最中は演出表示装置27上には全く表示されないものとして説明した。しかし、発展演出と同時進行される通常の演出を、演出表示装置27の表示画面の一部を用いて小さく表示してもよい。例えば、図30(a)に示されている様に、演出表示装置27の左下に通常の演出と同じキャラクタ図柄27sを表示させてもよい。あるいは、図30(b)に示すような図柄をモザイク状に点滅させながら尚且つ回転可能としておき、モザイク状に点灯表示された図柄およびその回転位置によって、それぞれの特別図柄に対応する図柄を表示可能としておく。そして、特別図柄の変動表示中は、モザイク状に図柄を点滅表示させつつ回転させ、特別図柄が停止したらその停止図柄に対応する態様で図柄を停止させてもよい。こうすれば、特別図柄を停止表示させたときに、演出表示装置27の一部で行われている演出を停止表示(図30右の図)させることも可能となる。
また、発展演出と同時進行させる通常の演出は、発展演出が表示されている最中も演出制御基板230の画像LSI上で実行されるものとして説明したが、通常の演出を画像LSI上で実際に実行するのではなく、発展演出の終了後に通常の演出のどの箇所から演出を開始すべきかを管理することで仮想的に同時進行させるものとしてもよい。例えば、通常の演出が記憶されている記憶装置のアドレスを取得して、これをサブ制御基板220あるいは演出制御基板230上のアドレスカウンタに設定する。そして、発展演出を開始したら、発展演出の進行にあわせてアドレスカウンタをカウントアップしていく。すると、アドレスカウンタに示されるアドレスは、発展演出を行った分だけ時間が経過した箇所を示すことになるので、このアドレスから通常の演出のデータを読み出してやれば、発展演出の時間分だけ進めた状態から通常の演出を開始することが可能である。この結果、前述した変形例と同様に、指定された変動時間に合わせて演出を終了することが可能となる。こうすれば、演出制御基板230の画像LSIで2つの演出を同時に実行しなくてもよいので、画像LSIの処理負担を軽減することも可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。