以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。本実施形態においては、露光装置EXが、米国特許第6,897,963号公報、欧州特許出願公開第1,713,113号公報などに開示されているような、基板Pを保持しながら移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光に関する所定の計測を実行可能な計測器を搭載して移動可能な計測ステージ3とを備えた露光装置である場合を例にして説明する。
また、本実施形態においては、露光装置EXが、例えば国際公開第99/49504号パンフレット等に開示されているような、液体を介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である場合を例にして説明する。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持しながら移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持しながら移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光に関する所定の計測を実行可能な計測器を搭載し、基板ステージ2とは独立して移動可能な計測ステージ3と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置4とを備えている。また、露光装置EXは、マスクステージ1の近傍に配置された第1アライメントシステム17と、投影光学系PLの先端の近傍に配置された第2アライメントシステム18と、各ステージ1、2、3の位置情報を計測するための干渉計システム19とを備えている。
なお、ここでいう基板Pは、デバイスを製造するための基板であって、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光膜が形成されたものを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pには、感光膜とは別に保護膜(トップコート膜)等の各種の膜が形成されていてもよい。マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含み、例えばガラス板等の透明板部材上にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成されたものである。この透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型などの位相シフトマスクも含む。また、本実施形態においては、マスクMとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いてもよい。
本実施形態の露光装置EXは、第1液体L1で第1液浸空間S1を形成する第1液浸部材5と、第2液体L2で第2液浸空間S2を形成する第2液浸部材6とを備えている。第1液浸部材5は、第1液浸空間S1の第1液体L1と接触可能な下面(液体接触面)7を有し、その下面7と対向する所定部材との間に第1液浸空間S1を形成可能である。第2液浸部材6は、第2液浸空間S2の第2液体L2と接触可能な下面(液体接触面)8を有し、その下面8と対向する所定部材との間に第2液浸空間S2を形成可能である。第2液浸部材6は、第1液浸部材5と異なる位置で、第2液浸空間S2を形成する。なお、液浸空間は、液体で満たされた空間である。
本実施形態においては、第1液浸部材5が、露光光ELの光路空間Kを第1液体L1で満たすように第1液体L1で第1液浸空間S1を形成する。なお、露光光ELの光路空間Kは、露光光ELが通過する光路を含む空間である。本実施形態においては、露光用液体である第1液体L1として、水(純水)を用いる。本実施形態においては、第1液浸部材5は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子9の近傍に配置されている。本実施形態においては、第1液浸部材5によって、投影光学系PLの像面側(射出面側)の光路空間Kが第1液体L1で満たされるように第1液浸空間S1が形成される。
第1液浸部材5の下面7と対向する位置に配置可能な所定部材は、投影光学系PLからの露光光ELが照射される位置を含む所定領域内を移動可能な部材を含む。終端光学素子9は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する下面(射出面)10を有し、露光光ELが照射される位置は、終端光学素子9の下面10と対向する位置を含む。終端光学素子9の下面10及び第1液浸部材5の下面7と、その終端光学素子9の下面10及び第1液浸部材5の下面7と対向する位置に配置された所定部材との間に第1液体L1が保持されることによって、第1液体L1で第1液浸空間S1が形成される。
また、上述の所定部材は、第2液浸部材6の下面8と対向する位置に移動可能である。第2液浸部材6の下面8と、その第2液浸部材6の下面8と対向する位置に配置された所定部材との間に第2液体L2が保持されることによって、第2液体L2で第2液浸空間S2が形成される。
また、本実施形態の露光装置EXは、上述の所定部材をクリーニングするためのクリーニング装置11を備えている。クリーニング装置11は、所定部材を研磨する研磨部材12を含む研磨装置13を備えている。研磨部材12は、所定部材と対向する下面(研磨面)14を有する。所定部材は、研磨部材12の下面14と対向する位置に移動可能である。また、本実施形態においては、クリーニング装置11は、第2液浸部材6を含む。
本実施形態において、上述の所定部材は、基板ステージ2、計測ステージ3、及び計測ステージ3に搭載された計測部材(光学部材)の少なくとも1つを含む。基板ステージ2及び計測ステージ3は、露光光ELが照射される位置を含む定盤15のガイド面16に沿って所定領域内を移動可能である。ガイド面16は、XY平面とほぼ平行であり、基板ステージ2及び計測ステージ3のそれぞれは、ガイド面16に沿って互いに独立して移動可能である。第1液浸部材5の下面7、第2液浸部材6の下面8、終端光学素子9の下面10、及び研磨部材12の下面14のそれぞれは、ガイド面16と対向する位置に配置されている。なお、図1に示すように、本実施形態においては、第1液浸部材5は、終端光学素子9の下面10の周囲に配置され、第2液浸部材6は、終端光学素子9及び第1液浸部材5に対して−Y側に配置され、研磨部材12は、終端光学素子9及び第1液浸部材5に対して+Y側に配置されている。
また、基板ステージ2に保持された基板Pも、第1液浸部材5の下面7と対向する位置、第2液浸部材6の下面8と対向する位置、終端光学素子9の下面10と対向する位置、及び研磨部材12の下面14と対向する位置のそれぞれに移動可能である。第1液浸部材5は、その第1液浸部材5の下面7と対向する位置に配置された基板Pとの間に第1液浸空間S1を形成可能である。
照明系IL及び投影光学系PLについて説明する。照明系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光が用いられる。
投影光学系PLは、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。投影光学系PLの複数の光学素子は、鏡筒PKに保持されている。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXはZ軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
次に、マスクステージ1について説明する。マスクステージ1は、リニアモータ等のアクチュエータを含む第1駆動システム41により、マスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。マスクステージ1(マスクM)の位置情報は、干渉計システム19のレーザ干渉計19Aによって計測される。レーザ干渉計19Aは、マスクステージ1に設けられている計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。制御装置4は、レーザ干渉計19Aを含む干渉計システム19の計測結果に基づいて第1駆動システム41を駆動し、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置制御を行う。
次に、基板ステージ2及び計測ステージ3について説明する。基板ステージ2は、ステージ本体21と、ステージ本体21上に搭載され、基板Pを保持可能な基板テーブル22とを有する。基板テーブル22は、終端光学素子9の下面10、第1液浸部材5の下面7、第2液浸部材6の下面8、及び研磨部材12の下面14と対向可能な上面23を有する。基板テーブル22の上面23は、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。基板テーブル22は、第2駆動システム42により、基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。第2駆動システム42は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含み、ステージ本体21をX軸、Y軸、及びθZ方向に移動することによって、ステージ本体21上の基板テーブル22を、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能な粗動システム42Aと、例えばボイスコイルモータ等のアクチュエータを含み、ステージ本体21に対して基板テーブル22をZ軸、θX、及びθY方向に移動可能な微動システム42Bとを含む。基板テーブル22(基板P)のX軸、Y軸、及びθZ方向の位置情報は、干渉計システム19のレーザ干渉計19Bによって計測される。レーザ干渉計19Bは、基板テーブル22に設けられている反射ミラー2Rを用いて位置情報を計測する。また、基板テーブル22に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、フォーカス・レベリング検出システム(不図示)によって検出される。制御装置4は、レーザ干渉計19Bを含む干渉計システム19の計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて第2駆動システム42を駆動し、基板テーブル22に保持されている基板Pの位置制御を行う。
計測ステージ3は、ステージ本体31と、ステージ本体31上に搭載され、計測器を搭載可能な計測テーブル32とを有する。計測テーブル32は、終端光学素子9の下面10、第1液浸部材5の下面7、第2液浸部材6の下面8、及び研磨部材12の下面14と対向可能な上面33を有する。計測テーブル32の上面33は、平坦であり、XY平面とほぼ平行である。計測テーブル32は、第3駆動システム43により、計測器を搭載した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。第3駆動システム43は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含み、ステージ本体31をX軸、Y軸、及びθZ方向に移動することによって、ステージ本体31上の計測テーブル32を、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能な粗動システム43Aと、例えばボイスコイルモータ等のアクチュエータを含み、ステージ本体31に対して計測テーブル32をZ軸、θX、及びθY方向に移動可能な微動システム43Bとを含む。計測テーブル32(計測器)のX軸、Y軸、及びθZ方向の位置情報は、干渉計システム19のレーザ干渉計19Cによって計測される。レーザ干渉計19Cは、計測テーブル32に設けられている反射ミラー3Rを用いて位置情報を計測する。また、計測テーブル32の上面33の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、フォーカス・レベリング検出システム(不図示)によって検出される。制御装置4は、レーザ干渉計19Cを含む干渉計システム19の計測結果及びフォーカス・レベリング検出システムの検出結果に基づいて第3駆動システム43を駆動し、計測テーブル32の位置制御を行う。
次に、第1、第2アライメントシステム17、18について説明する。第1アライメントシステム17は、露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)方式のアライメントシステムであって、マスクM上のアライメントマークと、そのアライメントマークに対応するように計測ステージ3に設けられた第1基準マークFM1の投影光学系PLを介した共役像とを同時に観察する。本実施形態の第1アライメントシステム17は、例えば米国特許5,646,413号公報に開示されているような、対象マーク(マスクM上のアライメントマーク、及び第1基準マークFM1等)に対して光を照射し、CCD等の撮像素子で撮像したマークの画像データを画像処理してマーク位置を検出するVRA(Visual Reticle Alignment)方式を採用する。
第2アライメントシステム18は、オフアクシス方式のアライメントシステムであって、基板P上のアライメントマーク、及び計測ステージ3に設けられた第2基準マークFM2等を検出する。本実施形態の第2アライメントシステム18は、例えば米国特許5,493,403号公報に開示されているような、基板P上の感光材を感光させないブロードバンドな検出光を対象マーク(基板P上のアライメントマーク、及び第2基準マークFM2等)に照射し、その対象マークからの反射光によって受光面に結像された対象マークの像と指標(第2アライメントシステム18内に設けられた指標板上の指標マーク)の像とをCCD等の撮像素子を用いて撮像し、それらの撮像信号を画像処理することでマークの位置を計測するFIA(Field Image Alignment)方式のアライメントシステムを採用する。
また、撮像素子を含む第2アライメントシステム18は、マークのみならず、第2アライメントシステム18の検出領域に配置された所定部材の光学像(画像)を取得可能である。
次に、研磨装置13について説明する。図2は、研磨装置13を示す概略斜視図の一部破断図、図3は、研磨装置13を下側(−Z側)から見た図である。図2及び図3において、研磨装置13は、研磨部材12と、研磨部材12を支持可能な支持部材50と、支持部材50を移動可能な駆動装置51とを備えている。本実施形態において、研磨部材12の下面(研磨面)14は、XY平面とほぼ平行である。また、図3に示すように、本実施形態においては、研磨部材12の下面14は、XY平面内において円環状である。
本実施形態において、研磨部材12は、砥石を含む。砥石は、多孔質部材(例えば、アルミナ(AL2O3)、白セラミックス、アルカンサスストーン、TiO2、ZrO2、ルビー、アルテック等)を材料としている。本実施形態においては、研磨部材12は、円筒状の側板部12Aと、側板部12Aの上端に接続された上板部12Bとを有する。上板部12Bの中央には開口12Cが形成されている。下面(研磨面)14は、側板部12Aの下端に配置されている。
支持部材50は、Z軸方向に長いロッド部50Aと、ロッド部50Aの下端に接続されたフランジ部50Bとを有する。フランジ部50Bは、研磨部材12の側板部12Aと上板部12Bとで形成される内部空間に配置される。ロット部50Aの一部は、上板部12Bの開口12Cの内側に配置される。XY平面内におけるフランジ部50Bの外形は、開口12Cよりも大きい。また、XY平面内におけるロッド部50Aの外形(ロッド部50Aの直径)は、開口12Cよりも小さい。ロッド部50Aは、開口12Cの内側において、研磨部材12に対してZ軸方向に移動可能(昇降可能)である。
駆動装置51は、支持部材50をZ軸方向に移動可能である。本実施形態において、駆動装置51は、シリンダ部51Aを含み、そのシリンダ部51Aの内部に、支持部材50のロッド部50Aが配置される。駆動装置51は、シリンダ部51Aの内部に配置されたロッド部50AをZ軸方向に移動可能である。駆動装置51によって、ロッド部50AがZ軸方向に移動することによって、フランジ部50Bの上面50Tと上板部12Bの下面12Uとが接触したり、離れたりする。駆動装置51は、フランジ部50Bの上面50Tと上板部12Bの下面12Uとを接触させた状態で、ロッド部50Aを+Z方向に移動(上昇)することによって、支持部材50とともに、研磨部材12を+Z方向に移動(上昇)することができる。
次に、図4〜図6を参照しながら、基板ステージ2及び計測ステージ3について説明する。図4は、基板ステージ2及び第1液浸部材5の近傍を示す側断面図、図5は、基板ステージ2及び計測ステージ3を示す概略斜視図、図6は、基板ステージ2及び計測ステージ3を示す平面図である。
図4に示すように、基板テーブル22は、基板Pを保持する第1保持部24を備えている。基板テーブル22の上面23は、第1保持部24の周囲に設けられている。第1保持部24は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。第1保持部24に保持された基板Pの表面は、終端光学素子9の下面10、第1液浸部材5の下面7、第2液浸部材6の下面8、及び研磨部材12の下面14と対向可能である。本実施形態においては、第1保持部24に保持された基板Pの表面と基板テーブル22の上面23とは、ほぼ平行である。また、本実施形態においては、第1保持部24に保持された基板Pの表面と基板テーブル22の上面23とは、ほぼ同一平面内に配置され、ほぼ面一である。
本実施形態においては、基板テーブル22は、着脱可能なプレート部材Tを有する。基板テーブル22は、第1保持部24の周囲に配置され、プレート部材Tをリリース可能に保持する第2保持部25を有する。図4、図5、及び図6に示すように、プレート部材Tは、基板Pを配置可能な開口THを有する。第2保持部25に保持されたプレート部材Tは、第1保持部24に保持された基板Pの周囲に配置される。本実施形態においては、基板テーブル22の上面23は、第2保持部25に保持されたプレート部材Tの上面を含む。
本実施形態において、第2保持部25に保持されたプレート部材Tの開口THの内面と、第1保持部24に保持された基板Pの外面とは、所定のギャップを介して対向するように配置される。第2保持部25は、プレート部材Tの上面23とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持する。また、第2保持部25は、プレート部材Tの上面23と第1保持部24に保持された基板Pの表面とがほぼ面一となるように、プレート部材Tを保持する。
第1保持部24及び第2保持部25のそれぞれは、所謂ピンチャック機構を含む。図4に示すように、第1保持部24は、基板テーブル22の基材22B上に形成され、基板Pの裏面を支持する複数のピン部材24Aと、基材22上において複数のピン部材24Aの周囲に形成された第1周壁24Bと、第1周壁24Bの内側の基材22B上に複数設けられ、気体を吸引可能な第1吸引口24Dとを備えている。第2保持部25は、基材22B上において第1周壁24Bの周囲に形成された第2周壁25Bと、基材22B上において第2周壁25Bの周囲に形成された第3周壁25Cと、第2周壁25Bと第3周壁25Cとの間の基材22B上に形成され、プレート部材Tの裏面を支持する複数のピン部材25Aと、第2周壁25Bと第3周壁25Cとの間の基材22B上に複数設けられ、気体を吸引可能な第2吸引口25Dとを備えている。基板Pの裏面と第1周壁24Bと基材22Bとで囲まれた空間の気体が第1吸引口24Dにより吸引され、その空間が負圧になることによって、基板Pの裏面がピン部材24Aに吸着保持される。また、プレート部材Tの裏面と第2周壁25Bと第3周壁25Cと基材22Bとで囲まれた空間の気体が第2吸引口25Dにより吸引され、その空間が負圧になることによって、プレート部材Tの裏面がピン部材25Aに吸着保持される。また、第1吸引口24Dを用いた吸引動作が停止されることによって、第1保持部24より基板Pを外すことができ、第2吸引口25Dを用いた吸引動作が停止されることによって、第2保持部25よりプレート部材Tを外すことができる。
第2保持部25に保持されたプレート部材Tの上面23は、第1保持部24に保持された基板Pの裏面と対向しないように設けられる。第2保持部25に保持されたプレート部材Tの上面23は、基板Pを保持する第1保持部24とともに移動可能である。基板テーブル22が移動すると、第1保持部24、第1保持部24に保持されている基板P、第2保持部25、及び第2保持部25に保持されているプレート部材Tは、一緒に移動する。
図4に示すように、プレート部材Tは、基材Tbと、基材Tb上に形成された膜Tfとを含む。プレート部材Tの上面23は、膜Tfの表面によって形成されている。基材Tbは、例えばステンレス鋼で形成されている。膜Tfは、例えばフッ素を含む材料で形成されており、第1液体L1に対して撥液性を有する。すなわち、プレート部材Tの上面23は、第1液体L1に対して撥液性を有している。プレート部材Tの上面23と第1液体L1との接触角は、例えば80度以上である。本実施形態においては、膜Tfを形成する材料は、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)を含む。
また、図4に示すように、基板Pは、基材Wと、基材W上に形成された感光膜Rgとを含む。基板Pの表面は、感光膜Rgの表面によって形成されている。感光膜Rgは、感光材(フォトレジスト)の膜である。基材Wは、シリコンウエハ等の半導体ウエハを含む。本実施形態において、感光膜Rgは、第1液体L1に対して撥液性を有する。すなわち、基板Pの表面は、第1液体L1に対して撥液性を有している。基板Pの表面と第1液体L1との接触角は、例えば80度以上である。なお、基板Pの表面が、感光膜を保護するための保護膜(トップコート膜)等、感光膜Rg以外の膜で形成されていてもよい。
計測ステージ3は、露光に関する各種計測を行うための複数の計測器、及び計測部材を備えている。図5及び図6に示すように、本実施形態においては、計測ステージ3は、計測部材として、第1基準マークFM1及び第2基準マークFM2が形成された基準板55を備えている。また、本実施形態においては、計測ステージ3は、計測器として、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号公報等に開示されているような空間像計測器56と、例えば欧州特許出願公開第1,079,223号公報等に開示されているような、波面収差計測器57とを備えている。
基準板55は、第1アライメントシステム17によって計測される第1基準マークFM1及び第2アライメントシステム18によって計測される第2基準マークFM2を有している。基準板55は、低熱膨張材料からなる基材55bを含む。第1基準マークFM1及び第2基準マークFM2は、基材55bの上面に、例えばCr(クロム)等の金属によって形成されている。基準板55は、計測テーブル32の上面33の所定位置に配置されている。
空間像計測器56は、光を透過可能な光学部材60と、光学部材60を介した光を受光する受光器68とを含む。光学部材60は、計測テーブル32の上面33の所定位置に配置されている。受光器68は、計測テーブル32の内部(光学部材60の−Z側)に配置されている。
光学部材60は、合成石英、蛍石等、光(露光光EL)を透過可能な材料からなるプレート状の基材60bと、基材60bの上面の中央に設けられたCr(クロム)等からなる遮光膜62と、基材60bの上面において遮光膜62の周囲に設けられたアルミニウム等からなる反射膜63と、遮光膜62の一部に形成されたスリット状の開口61とを有する。開口61を介して基材60bに入射した光(露光光EL)は、基材60bを透過可能である。基材60bを透過した光は、空間像計測器56の受光器に受光される。以下の説明において、空間像計測器56の光学部材60を適宜、スリット板60、と称する。
波面収差計測器57は、光を透過可能な光学部材70と、光学部材70を介した光を受光する受光器(不図示)とを含む。光学部材70は、計測テーブル32の上面33の所定位置に配置されている。受光器は、計測テーブル32の内部(光学部材70の−Z側)に配置されている。
光学部材70は、合成石英、蛍石等、光(露光光EL)を透過可能な材料からなるプレート状の基材70bと、基材70bの上面に設けられたCr(クロム)等からなる遮光膜72と、遮光膜72の一部に形成された開口71とを有する。開口71を介して基材70bに入射した光(露光光EL)は、基材70bを透過可能である。基材70bを透過した光は、波面収差計測器70の受光器に受光される。以下の説明において、波面収差計測器57の光学部材70を適宜、上板70、と称する。
基準板55の上面は、ほぼ平坦であり、XY平面とほぼ平行である。スリット板60の上面は、ほぼ平坦であり、XY平面とほぼ平行である。上板70の上面は、ほぼ平坦であり、XY平面とほぼ平行である。基準板55の上面、スリット板60の上面、及び上板70の上面のそれぞれの周囲には、計測テーブル32の上面33が配置される。基準板55の上面と、スリット板60の上面と、上板70の上面と、計測テーブル32の上面33とは、同一平面内に配置され、ほぼ面一である。
基準板55の上面、スリット板60の上面、及び上板70の上面のそれぞれは、第1液体L1に対して撥液性を有している。基準板55の上面は、膜55fの表面で形成され、スリット板60の上面は、膜60fの表面で形成され、上板70の上面は、膜70fの表面で形成されている。膜55f、60f、70fは、光(露光光EL)を透過可能なフッ素を含む透明な撥液性を有する材料で形成されている。基準板55の上面、スリット板60の上面、及び上面70の上面のそれぞれと第1液体L1との接触角は、例えば80度以上である。
また、本実施形態においては、基準板55、スリット板60、及び上板70それぞれの上面以外の計測テーブル32の上面33は、PFA等、フッ素を含む材料の膜32fの表面で形成されており、第1液体L1に対して撥液性を有する。計測ステージ32の上面33と第1液体L1との接触角は、例えば80度以上である。
また、本実施形態において、計測テーブル32は、基準板55をリリース可能に保持する第3保持部26と、スリット板60をリリース可能に保持する第4保持部27と、上板70をリリース可能に保持する第5保持部28とを有している。計測テーブル32の上面33は、第3保持部26、第4保持部27、及び第5保持部28のそれぞれの周囲に設けられている。第3保持部26は、基準板55の上面とXY平面とがほぼ平行となるように、基準板55を保持する。第4保持部27は、スリット板60の上面とXY平面とがほぼ平行となるように、スリット板60を保持する。第5保持部28は、上板70の上面とXY平面とがほぼ平行となるように、上板70を保持する。第3保持部26に保持された基準板55の上面、第4保持部27に保持されたスリット板60の上面、及び第5保持部28に保持された上板70の上面のそれぞれは、終端光学素子9の下面10、第1液浸部材5の下面7、第2液浸部材6の下面8、及び研磨部材12の下面14と対向可能である。
なお、計測ステージ3に設けられる計測器としては、上述のものに限られず、例えば米国特許第4,465,368号公報等に開示されているように照度むらを計測可能な計測器、例えば米国特許第6,721,039号公報に開示されているような投影光学系PLの露光光ELの透過率の変動量を計測するためのむら計測器、例えば米国特許出願公開第2002/0061469号公報等に開示されているような照射量計測器(照度計測器)等が設けられていてもよい。これら計測器も、光(露光光EL)を透過可能な光学部材を備えており、その光学部材の上面は、第1液体L1に対して撥液性を有する。
次に、図4を参照しながら、第1液浸部材5について説明する。第1液浸部材5は、環状の部材であって、終端光学素子9の周囲に配置されている。第1液浸部材5は、終端光学素子9の下面10と対向する位置に配置された開口80を有する。また、第1液浸部材5は、第1液体L1を供給可能な第1供給口81と、第1液体L1を回収可能な第1回収口82とを備えている。
第1供給口81は、第1液浸空間S1を形成するために、光路空間Kに第1液体L1を供給可能である。第1供給口81は、光路空間Kの近傍において、光路空間Kと対向する第1液浸部材5の所定位置に配置されている。また、露光装置EXは、第1液体供給装置83を備えている。第1液体供給装置83は、清浄で温度調整された第1液体L1を送出可能である。第1供給口81と第1液体供給装置83とは、流路84を介して接続されている。流路84は、第1液浸部材5の内部に形成された供給流路84A、及びその供給流路84Aと第1液体供給装置83とを接続する供給管で形成される流路84Bを含む。第1液体供給装置83から送出された第1液体L1は、流路84を介して第1供給口81に供給される。第1供給口81は、第1液体供給装置83からの第1液体L1を光路空間Kに供給する。
第1回収口82は、第1液浸部材5の下面7と対向する所定部材上の第1液体L1の少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、第1回収口82は、露光光ELの光路の周囲に配置されている。第1回収口82は、所定部材の表面と対向する第1液浸部材5の所定位置に配置されている。また、露光装置EXは、第1液体L1を回収可能な第1液体回収装置86を備えている。第1液体回収装置86は、真空システムを含み、第1液体L1を吸引して回収可能である。第1回収口82と第1液体回収装置86とは、流路87を介して接続されている。流路87は、第1液浸部材5の内部に形成された回収流路87A、及びその回収流路87Aと第1液体回収装置86とを接続する回収管で形成される流路87Bを含む。第1回収口82から回収された第1液体L1は、流路87を介して、第1液体回収装置86に回収される。
本実施形態においては、制御装置4は、第1供給口81を用いる液体供給動作と並行して、第1回収口82を用いる液体回収動作を実行することによって、終端光学素子9及び第1液浸部材5と、終端光学素子9及び第1液浸部材5と対向する所定部材との間に第1液体L1で第1液浸空間S1を形成可能である。
少なくとも基板Pを露光するとき、制御装置4は、露光光ELの光路空間Kを第1液体L1で満たすように第1液浸空間S1を形成する。本実施形態においては、第1液浸部材5の下面7と対向する所定部材の表面の一部の領域(局所的な領域)が第1液体L1で覆われるように第1液浸空間S1が形成され、その所定部材の表面と第1液浸部材5の下面7との間に第1液体L1の界面(メニスカス、エッジ)が形成される。すなわち、本実施形態においては、露光装置EXは、基板Pの露光時に、投影光学系PLの投影領域を含む基板P上の一部の領域が第1液体L1で覆われるように第1液浸空間S1を形成する局所液浸方式を採用する。
次に、図7及び図8を参照しながら、第2液浸部材6について説明する。図7は、第2液浸部材6の近傍を示す側断面図、図8は、第2液浸部材6を下方から見た図である。図7及び図8に示すように、第2液浸部材6は、第2液浸部材6の下面8と対向する所定部材との間に第2液体L2で第2液浸空間S2を形成可能である。なお、図7においては、第2液浸部材6の下面8と対向する位置に、所定部材として、基板テーブル22(プレート部材T)が配置されている状態が示されている。
第2液浸部材6は、第2液体L2を供給可能な第2供給口91と、第2液体L2を回収可能な第2回収口92とを備えている。第2供給口91は、第2液浸空間S2を形成するために、第2液体L2を供給可能である。第2供給口91は、第2液浸部材6の下面8のほぼ中央に配置されている。また、露光装置EXは、第2液体供給装置93を備えている。第2液体供給装置93は、第2液体L2を送出可能である。第2供給口91と第2液体供給装置93とは、流路94を介して接続されている。流路94は、第2液浸部材6の内部に形成された供給流路94A、及びその供給流路94Aと第2液体供給装置93とを接続する供給管で形成される流路94Bを含む。第2液体供給装置93から送出された第2液体L2は、流路94を介して第2供給口91に供給される。第2供給口91は、第2液体供給装置93からの第2液体L2を、第2液浸部材6の下面8と、下面8と対向する所定部材との間に供給する。
第2回収口92は、第2液浸部材6の下面8と対向する所定部材上の第2液体L2の少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、第2回収口92は、第2液浸部材6の下面8において、第2供給口91の周囲に配置されている。また、露光装置EXは、第2液体L2を回収可能な第2液体回収装置95を備えている。第2液体回収装置95は、真空システムを含み、第2液体L2を吸引して回収可能である。第2回収口92と第2液体回収装置95とは、流路96を介して接続されている。流路96は、第2液浸部材6の内部に形成された回収流路96A、及びその回収流路96Aと第2液体回収装置95とを接続する回収管で形成される流路96Bを含む。第2回収口92から回収された第2液体L2は、流路96を介して、第2液体回収装置95に回収される。
本実施形態において、制御装置4は、第2供給口91を用いる液体供給動作と並行して、第2回収口92を用いる液体回収動作を実行することによって、第2液浸部材6と、第2液浸部材6と対向する所定部材との間に第2液体L2で第2液浸空間S2を形成可能である。
本実施形態において、第2液体L2は、所定部材をクリーニングするためのクリーニング用液体である。第2液浸部材6と、第2液浸部材6の下面8と対向する所定部材との間に第2液体L2で第2液浸空間S2を形成することによって、その所定部材がクリーニングされる。
本実施形態においては、第2液浸部材6の下面8と対向する所定部材の表面の一部の領域(局所的な領域)が第2液体L2で覆われるように第2液浸空間S2が形成され、その所定部材の表面と第2液浸部材6の下面8との間に第2液体L2の界面(メニスカス、エッジ)が形成される。
本実施形態においては、第2液体L2として、第1液体L1と異なるものを用いる。本実施形態においては、第2液体L2として、水素ガスを水に溶解させた水素水(水素溶解水)を用いる。なお、第2液体L2として、オゾンガスを水に溶解させたオゾン水(オゾン溶解水)、窒素ガスを水に溶解させた窒素水(窒素溶解水)、アルゴンガスを水に溶解させたアルゴン水(アルゴン溶解水)、二酸化炭素ガスを水に溶解させた二酸化炭素水(二酸化炭素溶解水)等、所定のガスを水に溶解させた溶解ガス制御水を用いてもよい。また、第2液体L2として、過酸化水素を水に添加した過酸化水素水、塩酸(次亜塩素酸)を水に添加した塩素添加水、アンモニアを水に添加したアンモニア水、及び硫酸を水に添加した硫酸添加水等、所定の薬液を水に添加した薬液添加水を用いてもよい。また、第2液体L2として、エタノール、及びメタノール等のアルコール類、エーテル類、ガンマブチロラクトン、シンナー類、界面活性剤、HFE等のフッ素系溶剤を用いてもよい。
また、本実施形態において、露光装置EXは、第2液浸空間S2の第2液体L2に振動を与える振動発生装置100を備えている。振動発生装置100は、超音波発生装置を含む。超音波発生装置(振動発生装置)100は、第2液浸空間S2の第2液体L2に超音波(振動)を与える。本実施形態においては、超音波発生装置100は、第2液浸部材6に接続された超音波振動子101を有し、第2液浸部材6を振動させることによって、第2液浸空間S2の第2液体L2に超音波を与える。本実施形態においては、超音波発生装置100(超音波振動子101)は、第2液浸部材6の側面に配置されている。
図9は、第3保持部26に保持された基準板55を示す断面図である。第3保持部26は、計測テーブル32の上面33の一部に設けられた凹部に配置されている。第3保持部26は、所謂ピンチャック機構を含み、基準板55をリリース可能に保持する。第3保持部26は、計測テーブル32の基材32B上に形成され、基準板55の裏面を支持する複数のピン部材26Aと、基材32上において複数のピン部材26Aの周囲に形成された周壁26Bと、周壁26Bの内側の基材32B上に複数設けられ、気体を吸引可能な吸引口26Dとを備えている。基準板55の裏面と周壁26Bと基材32Bとで囲まれた空間の気体が吸引口26Dにより吸引され、その空間が負圧になることによって、基準板55の裏面がピン部材26Aに吸着保持される。また、吸引口26Dを用いた吸引動作が停止されることによって、第3保持部26より基準板55を外すことができる。
図9に示すように、制御装置4は、基準板55を用いた計測処理を実行する際、終端光学素子9の下面10と対向する位置に基準板55を配置し、終端光学素子9と基準板55との間の光路空間Kを第1液体L1で満たすように第1液体L1で第1液浸空間S1を形成した状態で、露光光EL又は露光光ELとほぼ同じ波長の光(紫外光)を、基準板55に照射する。
なお、図示は省略するが、計測テーブル32には、スリット板60をリリース可能に保持するピンチャック機構を含む第4保持部が設けられている。制御装置4は、スリット板60用いた計測処理を実行する際、終端光学素子9の下面10と対向する位置にスリット板60を配置し、終端光学素子9とスリット板60との間の光路空間Kを第1液体L1で満たすように第1液体L1で第1液浸空間S1を形成した状態で、露光光ELをスリット板60に照射する。スリット板60の下方に配置されている受光器は、開口61に照射され、スリット板60を透過した露光光ELを、光学系を介して受光し、空間像の計測を実行する。
また、図示は省略するが、計測テーブル32には、上板70をリリース可能に保持するピンチャック機構を含む第5保持部が設けられている。制御装置4は、上板70を用いた計測処理を実行する際、終端光学素子9の下面10と対向する位置に上板70を配置し、終端光学素子9と上板70との間の光路空間Kを第1液体L1で満たすように第1液体L1で第1液浸空間S1を形成した状態で、露光光ELを上板70に照射する。上板70の下方に配置されている受光器は、上板70を透過した露光光ELを受光し、所定の計測を実行する。
このように、計測テーブル32を用いて計測処理を実行する場合等においては、終端光学素子9及び第1液浸部材5と対向する位置に配置された計測テーブル32と、終端光学素子9及び第1液浸部材5との間に第1液体L1で第1液浸空間S1が形成される。
また、本実施形態においては、例えば欧州特許出願公開第1,713,113号公報、米国特許公開第2006/0023186号公報等に開示されているように、制御装置4は、基板テーブル22及び計測テーブル32の少なくとも一方が終端光学素子9及び第1液浸部材5との間で第1液体L1を保持可能な空間を形成し続けるように、基板テーブル22の上面23と計測テーブル32の上面33とを接近又は接触させた状態で、基板テーブル22の上面23及び計測テーブル32の上面33の少なくとも一方と終端光学素子9の下面10及び第1液浸部材5の下面7とを対向させつつ、終端光学素子9及び第1液浸部材5に対して、基板テーブル22と計測テーブル32とをXY方向に同期移動させる。これにより、制御装置4は、第1液体L1の漏出を抑制しつつ、基板テーブル22の上面23と計測テーブル32の上面33との間で第1液体L1の第1液浸空間S1を移動可能である。なお、基板テーブル22の上面23と計測テーブル32の上面33との間で第1液体L1の第1液浸空間S1を移動するときに、基板テーブル22の上面23と計測テーブル32の上面33とはほぼ同じ高さ(面一)となるように調整される。
同様に、制御装置4は、基板テーブル22及び計測テーブル32の少なくとも一方が第2液浸部材6との間で第2液体L2を保持可能な空間を形成し続けるように、基板テーブル22の上面23と計測テーブル32の上面33とを接近又は接触させた状態で、基板テーブル22の上面23及び計測テーブル32の上面33の少なくとも一方と第2液浸部材6の下面8とを対向させつつ、第2液浸部材6に対して、基板テーブル22と計測テーブル32とをXY方向に同期移動させることができる。これにより、制御装置4は、第2液体L2の漏出を抑制しつつ、基板テーブル22の上面23と計測テーブル32の上面33との間で第2液体L2の第2液浸空間S2を移動可能である。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法の一例について説明する。
まず、制御装置4は、終端光学素子9及び第1液浸部材5と基板テーブル22及び計測テーブル32の少なくとも一方とを対向させた状態で、露光光ELの光路空間Kを第1液体L1で満たす。次に、制御装置4は、基板Pを露光する前に、計測テーブル32に搭載されている計測器(計測部材)の少なくとも一つを用いて、各種の計測を実行する。例えば、制御装置4は、空間像計測器56を用いて投影光学系PLの結像特性を計測した後、その計測結果に基づいて、各種調整(キャリブレーション)を行う。例えば、空間像計測器56の計測結果に基づいて、投影光学系PLの結像特性の調整が行われる。
計測テーブル32を用いた計測が終了した後、制御装置4は、上述したように基板テーブル22と計測テーブル32とを同期移動して、第1液体L1の第1液浸空間S1を計測テーブル32から基板テーブル22へ移動する。次に、制御装置4は、基板テーブル22に保持されている基板Pに対するアライメント処理を開始する。制御装置4は、基板テーブル22をXY方向に移動し、第2アライメントシステム18の検出領域に、基板P上の各ショット領域に対応するように設けられている複数のアライメントマークを順次配置する。そして、制御装置4は、レーザ干渉計19Bを含む干渉計システム19を用いて、基板テーブル22の位置情報を計測しつつ、第2アライメントシステム18を用いて、基板P上の複数のアライメントマークを、第1液体L1を介さずに順次検出する。これにより、制御装置4は、干渉計システム19によって規定される座標系内での基板P上のアライメントマークの位置情報を求めることができる。
そして、制御装置4は、基板Pのアライメントマークの位置情報に基づいて、基板テーブル22上の基板Pの位置を制御し、基板P上の複数のショット領域に対する露光を開始する。制御装置4は、基板P上のショット領域を露光するために、照明系ILより露光光ELを射出する。照明系ILより射出された露光光ELは、マスクMを照明する。マスクMを介した露光光ELは、投影光学系PL及び第1液浸空間S1の第1液体L1を介して、基板Pに照射される。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pは露光光ELで露光される。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pを投影光学系PLの投影領域に対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域に対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと第1液体L1とを介して基板Pに露光光ELを照射して、その基板Pを露光する。
ところで、プレート部材T(基板テーブル22)、基準板55、スリット板60、上板70、及び計測テーブル32等を含む所定部材の表面状態が悪化する可能性がある。ここで、以下の説明において、プレート部材T(基板テーブル22)、基準板55、スリット板60、上板70、及び計測テーブル32等を総称して適宜、所定部材S、と称する。所定部材Sの表面は、プレート部材T(基板テーブル22)の上面23、基準板55の上面、スリット板60の上面、上板70の上面、及び計測テーブル32の上面33の少なくとも1つを含む。また、所定部材Sの表面を形成する、第1液体L1に対して撥液性を有する膜を適宜、膜Sf、と称する。膜Sfは、上述の膜Tf、55f、60f、70f、32fの少なくとも1つを含む。
所定部材Sの表面状態の悪化は、所定部材Sの表面の汚染、所定部材Sの表面に対する異物の付着、所定部材Sの表面の損傷部分の発生、及び第1液体L1に対する所定部材Sの表面の撥液性の低下の少なくとも1つを含む。
例えば、基板Pを露光するとき、第1液浸空間S1の第1液体L1は、基板Pの表面に接触するとともに、終端光学素子9、第1液浸部材5、及び所定部材Sの表面に接触する。基板Pと接触した第1液体L1に、例えば基板Pの一部の物質(例えば感光材の一部)が混入(溶出)した場合、その物質が所定部材Sの表面に付着し、その所定部材Sの表面が汚染される可能性がある。また、基板Pから発生した物質に限られず、例えば、露光装置EXが置かれている空間中を浮遊する物質(異物)によっても、所定部材Sの表面が汚染される可能性がある。
また、所定部材Sの表面に対する露光光EL(紫外光)の照射によって、第1液体L1に対する所定部材Sの撥液性が低下する可能性がある。例えば、図10(A)に示すような初期状態の膜Sfに対して、露光光ELが照射されると、図10(B)に示すように、膜Sfの表層の物性(性質、材料特性)が変化し、変質領域Scが形成される可能性がある。なお、初期状態は、露光光ELが照射される前、あるいは第1液体L1と接触する前、あるいは第1液体L1と接触した状態で露光光ELが照射される前の状態を含む。すなわち、フッ素を含む材料(有機材料)からなる膜Sfに露光光ELが照射されると、その膜Sfの分子の結合が切れる等の現象が生じ、膜Sfの表面を含む表面近傍の厚み方向における一部の領域の物性が変化し、変質領域Scが形成される可能性がある。変質領域Scの形成に伴って、第1液体L1に対する膜Sfの表面の撥液性が低下する(表面エネルギーが増大する)可能性がある。
また、所定部材Sの表面は、液体LQとの接触が繰り返されるので、膜Sfが損傷し、その一部が剥離する可能性もある。
所定部材Sの表面状態が悪化している状態を放置しておくと、露光不良が発生し、露光装置EXの性能が低下する可能性がある。例えば、所定部材Sの表面に汚染物が付着している状態を放置しておくと、その汚染物が基板Pの表面に付着し、例えば基板Pに形成されるパターンに欠陥を引き起こす等、露光不良が発生する可能性がある。また、計測器(光学部材)の表面が汚染している状態を放置しておくと、その計測器を用いた計測精度の低下に起因して、露光不良が発生し、露光装置EXの性能が低下する可能性がある。
また、第1液体L1に対する所定部材S(膜Sf)の表面の撥液性が低下した状態を放置しておくと、第1液浸部材5の下面7と所定部材Sの表面との間で第1液体L1を良好に保持することができず、第1液浸空間S1を良好に形成できなくなる可能性がある。また、所定部材S上に第1液体L1の滴が残留する可能性が高くなる。
そこで、本実施形態においては、所定部材Sの表面状態を所望の状態にするために、研磨装置13及び第2液浸部材6を含むクリーニング装置11を用いて、所定部材Sの表面をクリーニングする。研磨装置13を用いて所定部材Sの表面を研磨することによって、所定部材Sの表面の汚染(異物)を除去することができる。
以下、クリーニング装置11を用いて所定部材Sの表面をクリーニングする方法の一例について、図11のフローチャート図、及び図12〜図16の模式図を参照して説明する。図11に示すように、本実施形態においては、研磨装置13を用いて所定部材Sの表面を研磨する処理(ステップSA1)と、第2液浸部材6と所定部材Sの表面との間に第2液浸空間S2を形成して、所定部材Sの表面の異物を除去する処理(ステップSA2)とが実行される。
以下の説明においては、所定部材Sとして、プレート部材Tの上面23をクリーニングする場合を例にして説明する。
研磨装置13を用いてプレート部材Tの上面23を研磨するために、図12に示すように、制御装置4は、基板テーブル22を移動し、研磨装置13の研磨部材12の下面(研磨面)14とプレート部材Tの上面23とを対向させ、研磨部材12をプレート部材Tの上面23と接触可能な位置に配置する。図12に示す状態においては、支持部材50のフランジ部50Bの上面50Tと研磨部材12の上板部12Bの下面12Uとが接触しており、支持部材50は、研磨部材12がプレート部材Tの上方に配置されるように、研磨部材12を支持している。プレート部材Tの上面23は、膜Tfの表面で形成されている。また、図12においては、膜Tfの表層に変質領域Scが形成されている。
制御装置4は、駆動装置51により、支持部材50を−Z方向に移動する。これにより、図13に示すように、研磨部材12の下面14とプレート部材Tの上面23とが接触する。また、制御装置4は、支持部材50のフランジ部50Bの上面50Tと研磨部材12の上板部12Bの下面12Uとが離れるように、駆動装置51を用いて支持部材50をさらに−Z方向に移動する。これにより、研磨部材12は、プレート部材Tの上面23に載った状態となり、プレート部材Tの上面23と研磨部材12の下面14との間には、研磨部材12の自重に応じた力が作用する。
そして、図14に示すように、制御装置4は、研磨部材12の下面14とプレート部材Tの上面23とを接触させた状態で、研磨部材12とプレート部材Tの上面23とが下面14とほぼ平行なXY方向へ相対的に移動するように、第2駆動システム42を用いて基板テーブル22を移動する。これにより、研磨部材12による、プレート部材Tの上面23を形成する膜Tfの表面に対する研磨処理が開始される(ステップSA1)。制御装置4は、プレート部材Tの上面23のほぼ全面が研磨部材12によって研磨処理されるように基板テーブル12を移動する。研磨部材12によって膜Tfの表面を研磨するにより、膜Tfの表面に固着した異物がプレート部材Tより剥がされる(分離される)。なお、本実施形態においては、研磨部材12を用いた研磨処理中において、研磨部材12の開口12Cの内側に、支持部材50のロッド部50Aが配置されているので、プレート部材TのXY方向への移動に伴って、研磨部材12がXY方向に大きく移動してしまうことを抑制することができる。
研磨部材12を用いた研磨処理が終了した後、図15に示すように、制御装置4は、研磨部材12の下面14とプレート部材Tの上面23とが離れるように、駆動装置51を用いて、支持部材50とともに、研磨部材12を+Z方向に移動する。支持部材50が+Z方向に移動することによって、支持部材50のフランジ部50Bの上面50Tと研磨部材12の上板部12Bの下面12Uとが接触する。支持部材50のフランジ部50Bの上面50Tと研磨部材12の上板部12Bの下面12Uとが接触した状態で、駆動装置51によって支持部材50をさらに+Z方向に移動することによって、その支持部材50の+Z方向への移動とともに、研磨部材12が+Z方向に移動する。これにより、研磨部材12とプレート部材Tとを離すことができる。
研磨部材12とプレート部材Tとを離した後、制御装置4は、第2液浸部材6を用いて、プレート部材Tの上面23の異物の除去を開始する。(ステップSA2)。なお、プレート部材Tの表面23の異物には、研磨部材12の一部、あるいは膜Tfの一部が含まれる可能性もあるが、本実施形態においては、これらも異物も第2液浸部材6を用いて除去される。
制御装置4は、第2液浸部材6を用いてプレート部材T上の異物を除去するために、第2駆動システム42を用いて基板テーブル22をXY方向に移動して、第2液浸部材6の下面8と対向する位置に、プレート部材Tを配置する。そして、プレート部材T上の異物を除去するために、制御装置4は、図16に示すように、第2液浸部材6とプレート部材Tとの間に、第2液体L2による第2液浸空間S2を形成する。第2液浸部材6は、第2液体L2を供給する第2供給口91と、第2液体L2を回収する第2回収口92とを有しており、第2供給口91を用いる液体供給動作と並行して、第2回収口92を用いる液体回収動作を実行して、第2液体L2で第2液浸空間S2を形成する。第2液浸空間S2は、第2液浸部材6の下面8と、プレート部材Tの上面23との間に形成される。
第2供給口91を用いる液体供給動作と並行して、第2回収口92を用いる液体回収動作が実行されることによって、プレート部材T上の異物は、第2液体L2とともに、第2回収口92より回収され、プレート部材T上より除去される。プレート部材Tの表面23の異物(汚染物)は、研磨部材12を用いた研磨処理によって容易に除去可能な状態となっているので、プレート部材Tの表面23上に第2液浸空間S2を形成することによって、第2液体L2とともに、第2回収口92から容易に回収することができる。また、プレート部材T上には、第2供給口91より、新たな(清浄な)第2液体L2が供給され続けるので、その第2液体L2によって、プレート部材Tの上面23をクリーニングすることができる。なお、図14〜図16においては、プレート部材Tの表面23から剥がされた(分離された)異物が、プレート部材Tの表面23の近傍を浮遊しているように図示されているが、実際には、プレート部材Tの表面23から剥がされた(分離された)異物のほとんどは、容易に除去可能な状態で、プレート部材Tの表面に接触している。
また、本実施形態においては、制御装置4は、超音波発生装置100を用いて、第2液浸空間S2の第2液体L2に超音波(振動)を与える。すなわち、本実施形態においては、制御装置4は、第2液体L2で第2液浸空間S2を形成し、プレート部材Tに第2液浸空間S2の第2液体L2を接触させるとともに、第2液浸空間S2の第2液体L2に超音波を与える。第2液体L2に与える超音波は、1kHz以上、好ましくは10kHz以上である。これにより、プレート部材Tの表面23に接触している異物(汚染物)を、より確実に表面23より分離して、第2液体L2とともに第2回収口92から回収することができる。
また、制御装置4は、第2液浸空間S2を形成した状態で、第2駆動システム42を用いて、第2液浸部材6に対してプレート部材TをXY方向に移動する。これにより、プレート部材Tの上面23のほぼ全面が第2液浸部材6を用いてクリーニングされる。
そして、第2液浸部材6を用いた異物の除去処理を所定時間続けることによって、図19に示すように、プレート部材T上の異物が全て除去される。プレート部材T上の異物が除去された後、制御装置4は、第2供給口91による液体供給動作を停止し、第2回収口92による液体回収動作を所定時間継続する。これにより、第2液浸空間S2の第2液体L2が全て回収される。以上により、プレート部材Tに対するクリーニング処理が終了する。
クリーニング処理が終了した後、制御装置4は、基板Pの露光処理を含む通常シーケンスに移行することができる。クリーニング処理によって、プレート部材Tの上面23は異物(汚染物)がない、良好な状態になっており、終端光学素子9及び第1液浸部材5とプレート部材Tとの間に第1液体L1で第1液浸空間S1を良好に形成することができる。また、プレート部材T上に第1液体L1が残留したりすることを抑制することができる。
なお、以上の説明においては、プレート部材Tの表面に固着した異物を除去する場合について説明したが、プレート部材Tの表面を研磨することによって、膜Tfの変質領域Sc(図10参照)を除去してもよい。この場合、除去された膜Tfの一部は第2液浸部材6を用いて第2液体L2とともに、第2回収口92から回収される。これにより、プレート部材Tの表面エネルギーが減少し、第1液体L1に対する撥液性が回復する。例えば、変質領域Scを除去することによって、プレート部材Tの表面状態を、上述の初期状態とほぼ等しくすることができる。第1液体L1に対する所定部材Sの表面の撥液性を、上述の初期状態のレベルまで回復させることができる。なお、初期状態において、所定部材Sの表面(膜Sfの表面)は、第1液浸部材5との間で第1液体L1の第1液浸空間S1を良好に形成できる程度に高い撥液性を有している。また、プレート部材Tの表面を研磨することによって、プレート部材Tの表面23(膜Tf)の損傷部分を治してもよい。
また、本実施形態において、クリーニング装置11を用いたクリーニング処理は、定期的に実行される。クリーニング装置11を用いたクリーニング処理は、例えば基板Pを所定枚数露光処理した毎、ロット毎、所定時間間隔毎等に実行することができる。
以上、クリーニング装置11を用いてプレート部材Tをクリーニングする場合を例にして説明した。クリーニング装置11は、プレート部材Tの上面23(膜Tfの表面)のみならず、基準板55の上面、光学部材60、70の上面、計測テーブル32の上面33もクリーニングすることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、所定部材Sの表面をクリーニングして、所定部材Sの表面状態を良好な状態にすることができる。したがって、その所定部材Sを用いた液浸空間の形成、計測処理等、各種処理を良好に実行することができる。したがって、露光不良の発生を抑制でき、不良デバイスの発生を抑制できる。
また、本実施形態においては、露光装置EX内で所定部材Sをクリーニングできる。そのため、表面状態が悪化した所定部材Sを交換したり、その交換のために露光装置EXの稼動を長時間停止したりすることなく、所定部材Sの表面状態を良好な状態にすることができる。また、表面状態が悪化した所定部材Sを交換する必要が生じても、その交換の頻度を抑えることができる。したがって、露光装置EXの稼動率の低下を抑制し、露光不良の発生を抑制できる。
また、露光用液体である第1液体L1で第1液浸空間S1を形成する第1液浸部材5とは別に、クリーニング用液体である第2液体L2で第2液浸空間S2を形成する専用の第2液浸部材6を設けたので、露光用の第1液体L1とは別の、クリーニングに適したクリーニング用の第2液体L2を使用することができる。第1液浸部材5は、露光用の第1液体L1の物性等に応じた最適な材料で形成されていたり、あるいは第1液体L1の物性等に応じた最適な表面処理が施されている。そのような第1液浸部材5を用いて、第1液体L1とは別の第2液体L2を、第1液浸部材5の内部の流路84A、87Aに流したり、第1液浸部材5の下面7と第2液体L2とを接触させた場合、第1液浸部材5の表面が変質する等、不具合が生じる可能性がある。また、クリーニング処理のために、第1液体L1とは別の第2液体L2を第1液浸部材5の内部の流路84A、87Aに流したり、第1液浸部材5の下面7と第2液体L2とを接触させた場合、クリーニング処理終了後、露光処理を開始するとき、第1液浸部材5に付着した第2液体L2を十分に取り去るための処理(第2液体L2を第1液体L1に置換する処理)に多くの時間を要する可能性がある。その場合、露光装置EXの稼動率の低下を招く。本実施形態においては、クリーニング専用の第2液浸部材6を設けたので、上述の不具合の発生を抑制できる。また、第2液浸部材6によって、使用可能なクリーニング用の第2液体L2の種類の選択の幅が拡がる。
また、本実施形態においては、第2液浸空間S2の第2液体L2に超音波を与える超音波発生装置100を設けたので、クリーニング効果を高めることができる。本実施形態においては、クリーニングに適した第2液体L2と超音波との相乗効果によって、部材Sを良好にクリーニングすることができる。ただし、第2液体L2だけで十分な場合は、超音波発生装置100を省略してもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上述の第1実施形態においては、研磨部材12を所定部材Sの表面に載せ、研磨部材12と所定部材Sの表面との間にほぼ研磨部材12の自重に応じた力のみが作用する状態で、研磨部材12に対して所定部材SをXY方向に移動する場合を例にして説明したが、第2実施形態の特徴的な部分は、研磨部材12と所定部材Sの表面とをZ軸方向へ相対的に移動する駆動装置を設け、その駆動装置を使って、研磨部材12と所定部材Sの表面との間に作用する力を調整して、研磨部材12と所定部材SとをXY方向に相対的に移動する点である。
図17は、第2実施形態に係る研磨装置13Bを示す図である。研磨装置13Bは、研磨部材121と、研磨部材121を支持する支持部材52と、支持部材52を移動する駆動装置51Bとを備えている。本実施形態において、研磨部材121の下面(研磨面)14は、XY平面とほぼ平行である。また、研磨部材121の下面14は、XY平面内において円環状である。
本実施形態において、研磨部材121は、円筒状の側板部121Aと、側板部121Aの上端に接続された上板部121Bとを備えている。下面(研磨面)14は、側板部121Aの下端に配置されている。
支持部材52は、Z軸方向に長いロッド状の部材である。支持部材52の下端は、研磨部材121の上板部121Bに接続されている。駆動装置51Bは、支持部材52をZ軸方向に移動する。駆動装置51Bは、支持部材52をZ軸方向に移動(昇降)することによって、支持部材52とともに、研磨部材121をZ軸方向に移動(昇降)することができる。
図17に示すように、研磨装置13Bを用いて、例えばプレート部材Tの上面23を研磨する際、制御装置4は、研磨部材121の下面(研磨面)14と、プレート部材Tの上面23とを対向させた状態で、駆動装置51Bを用いて、研磨部材121を−Z軸方向に所定量移動し、研磨部材121の下面14とプレート部材Tの上面23との相対的な位置関係を調整する。これにより、制御装置4は、Z軸方向に関するプレート部材Tの上面23と研磨部材121の下面14との間に作用する力を調整することができる。駆動装置51Bを用いて、Z軸方向に関するプレート部材Tの上面23と研磨部材121の下面14との間に作用する力を調整した状態で、研磨部材121に対してプレート部材Tの上面23をXY方向に移動することにより、研磨装置13Bは、プレート部材Tの上面23を良好に研磨することができる。
なお、図18に示すように、研磨部材121の下面14とプレート部材Tの上面23との相対的な位置関係を調整するときに、第2駆動システム42の微動システム42Bを用いて、プレート部材T(基板テーブル22)を+Z軸方向に所定量移動してもよい。
すなわち、第2実施形態において、研磨部材121とプレート部材Tの少なくとも一方をZ軸方向に移動して、研磨部材121の下面14とプレート部材Tの上面23との位置関係を調整して、研磨部材121の下面(研磨面)14とプレート部材Tの上面23との間に作用する力を調整することができる。
なお、上述の第2実施形態においては、プレート部材Tをクリーニング(研磨処理)する例を説明したが、計測テーブル32の上面33、基準板55の上面、光学部材60、70の上面をクリーニング(研磨)できる。例えば、Z軸方向に関する研磨部材121の下面14と計測テーブル32の上面33との間に作用する力を調整する場合、制御装置4は、駆動装置51Bと第3駆動システム43の微動システム43Bの少なくとも一方を用いて、研磨部材12と計測テーブル32の少なくとも一方をZ軸方向に移動することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図19は、第3実施形態に係る研磨装置13Dの一部を示す側断面図、図20は、研磨装置13Dを下側(−Z側)から見た図である。図19及び図20において、研磨装置13Dは、下面(研磨面)14を有する研磨部材12と、研磨部材12を支持する支持部材53とを備えている。研磨部材12は、上述の第1実施形態の研磨部材12と同様の構造を有し、側板部12Aと、開口12Cが形成された上板部12Bとを有する。
支持部材53は、Z軸方向に長いロッド部53Aと、ロッド部53Aの下端に接続されたフランジ部53Bとを有する。フランジ部53Bは、研磨部材12の側板部12Aと上板部12Bとで形成される内部空間に配置される。ロット部53Aの一部は、上板部12Bの開口12Cの内側に配置される。支持部材53は、不図示の駆動装置によって、Z軸方向に移動可能である。ロッド部53AがZ軸方向に移動することによって、フランジ部53Bの上面53Tと上板部12Bの下面12Uとが接触したり、離れたりする。
本実施形態において、支持部材53は、第2液体L2を供給可能な供給口91Bと、第2液体L2を回収可能な回収口92Bとを備えている。供給口91Bは、第2液浸空間S2を形成するために、第2液体L2を供給可能である。供給口91Bは、所定部材Sの表面と対向可能なフランジ部53Bの下面53Uのほぼ中央に配置されている。供給口91Bには、第2液体供給装置93から、支持部材53の内部に形成された流路94Cを介して、第2液体L2が供給される。供給口91Bは、第2液体供給装置93からの第2液体L2を、フランジ部53Bの下面53Uと、下面53Uと対向する所定部材Sとの間に供給する。
回収口92Bは、フランジ部53Bの下面53Uと対向する所定部材S上の第2液体L2の少なくとも一部を回収可能である。本実施形態においては、回収口92Bは、フランジ部53Bの下面53Uにおいて、供給口91Bの周囲に配置されている。回収口92Bは、支持部材53の内部に形成された流路96Cを介して、第2液体回収装置95と接続されている。回収口92Bから回収された第2液体L2は、流路96Cを介して、第2液体回収装置95に回収される。
研磨部材12の少なくとも一部は、供給口91B及び回収口92Bの周囲に配置されている。本実施形態においては、下面14を含む研磨部材12の側板部12Aが、フランジ部53Bに形成された供給口91B及び回収口92Bの周囲に配置されている。
本実施形態においては、制御装置4は、供給口91Bを用いる液体供給動作と並行して、回収口92Bを用いる液体回収動作を実行することによって、支持部材53のフランジ部53Bと、フランジ部53Bと対向する所定部材Sとの間に第2液体L2で第2液浸空間S2を形成可能である。
次に、研磨装置13Dを用いて所定部材Sの表面をクリーニングする方法の一例について、図21及び図22を参照して説明する。以下の説明においては、第1実施形態と同様に、所定部材Sとして、プレート部材Tの上面23をクリーニングする場合を例にして説明する。
研磨装置13Dを用いてプレート部材Tの上面23を研磨するために、制御装置4は、研磨装置13Dの支持部材53(フランジ部53B)を−Z方向に移動し、研磨部材12の下面(研磨面)14とプレート部材Tの上面23とを接触させる。研磨部材12の下面(研磨面)14とプレート部材Tの上面23とを接触させた状態において、研磨部材12と支持部材53とは離れており、研磨部材12は、プレート部材Tの上面23に載った状態となる。これにより、プレート部材Tの上面23と研磨部材12の下面14との間には、研磨部材12の自重に応じた力が作用する。また制御装置4は、フランジ部53の下面53Uとプレート部材T(研磨部材12の下面14)とのZ軸方向の距離が所定間隔(例えば1mm)になるまで研磨装置13Dの支持部材53(フランジ部53B)を−Z方向に移動する。さらに制御装置4は、供給口91Bを用いた第2液体L2の供給動作と回収口92Bを用いた第2液体L2の回収動作とを実行し、図22に示すように、フランジ部53Bとプレート部材Tとの間に、第2液体L2の第2液浸空間S2を形成する。
そして、図22に示すように、制御装置4は、研磨部材12の下面14とプレート部材Tの上面23とを接触させた状態で、研磨部材12に対してプレート部材Tの上面23をXY方向へ移動する。これにより、プレート部材Tの上面23は、研磨部材12によって研磨される。研磨処理によって、プレート部材Tの上面に固着した異物が、プレート部材Tより剥がされる(分離される)。
また、プレート部材T上の異物は、第2液体L2とともに、回収口92Bより回収され、プレート部材T上より除去される。
また、プレート部材T上には、供給口91Bより、新たな(清浄な)第2液体L2が供給され続けるので、その第2液体L2によって、プレート部材Tの上面23がクリーニングされる。なお、図22においても、プレート部材Tの表面23から剥がされた(分離された)異物が、プレート部材Tの表面23の近傍を浮遊しているように図示されているが、実際には、プレート部材Tの表面23から剥がされた(分離された)異物のほとんどは、容易に除去可能な状態で、プレート部材Tの表面に接触している。
以上説明したように、研磨装置13Dを用いて、プレート部材Tの上面23を良好にクリーニングできる。また、研磨装置13Bは、計測テーブル32の上面33など、プレート部材T以外の部材の上面もクリーニングできる。
なお、本実施形態においては、研磨部材12を用いた研磨処理の少なくとも一部と並行して、支持部材53(第2液浸空間S2)を用いた異物の除去処理を実行しているが、研磨部材12を用いた研磨処理を実行した後に、支持部材53(第2液浸空間S2)を用いた異物の除去処理を実行してもよい。この場合、研磨処理が完了した後に、研磨部材12を所定部材S(プレート部材T)の表面(23)から離すことが望ましいので、支持部材53と研磨部材12とをZ軸方向に相対的に移動するための駆動装置を別途設けてもよい。
なお、本実施形態においては、第2液浸部材6を省略してもよいし、支持部材53を用いた異物除去処理が完了した後に、第2液浸部材6を用いて再度異物除去処理を実行してもよい。
また、本実施形態において、支持部材53(フランジ部53B)に、上述の第1実施形態で説明したような超音波発生装置100を設け、その超音波発生装置100を用いて、第2液浸空間S2の第2液体L2に超音波を与えることができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。上述の第1〜第3実施形態においては、第2液浸空間S2の第2液体L2を用いて、所定部材S上の異物を除去する場合を例にして説明したが、本実施形態の特徴的な部分は、異物を吸引して除去する点にある。
図23は、第4実施形態に係る除去装置110を示す模式図である。図23において、除去装置110は、所定部材S上の異物を除去するためのものであって、気体を吸引する吸引口111を有する吸引部材112と、吸引口111と流路113を介して接続された吸引装置114とを備えている。所定部材Sの表面は吸引口111と対向する位置に配置可能である。吸引装置114は、真空システムを含み、気体を吸引可能である。流路113は、吸引部材112の内部に形成された内部流路113Aと、内部流路113Aと吸引装置114とを接続する流路113Bとを含む。除去装置110は、所定部材Sの表面と吸引口111とを対向させた状態で、吸引口111を用いる吸引動作を実行することによって、所定部材Sの表面の異物を周囲の気体とともに吸引することができる。これにより、除去装置110は、所定部材Sの表面の異物を、所定部材Sより除去できる。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。本実施形態の特徴的な部分は、異物に対して気体を供給してその異物を除去する点にある。
図24は、第5実施形態に係る除去装置120を示す模式図である。図24において、除去装置120は、所定部材S上の異物を除去するためのものであって、気体を供給する給気口125を有する供給部材122と、給気口125と流路123を介して接続された気体供給装置124とを備えている。所定部材Sの表面は、給気口125と対向する位置に配置可能である。気体供給装置124は、清浄で温度調整された気体を供給可能である。流路123は、供給部材122の内部に形成された内部流路123Aと、内部流路123Aと気体供給装置124とを接続する流路123Bとを含む。除去装置120は、所定部材Sの表面と給気口125とを対向させた状態で、給気口125を用いる気体供給動作を実行することによって、所定部材Sの表面の異物に気体を吹き付けて、飛ばすことができる。これにより、除去装置120は、所定部材Sの表面の異物を、所定部材Sより除去できる。
なお、図23、図24においても、プレート部材Tの表面23から剥がされた(分離された)異物が、プレート部材Tの表面23の近傍を浮遊しているように図示されているが、実際には、プレート部材Tの表面23から剥がされた(分離された)異物のほとんどは、容易に除去可能な状態で、プレート部材Tの表面に接触している。
なお、第4実施形態の吸引部材112、及び第5実施形態の供給部材122は、上述の第1、第2実施形態の第2液浸部材6の代わりに設けることができる。
また、第3実施形態の支持部材53に、本実施形態のような吸引口、あるいは供給口を設けてもよい。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上述の第1〜第5実施形態においては、所定部材Sのクリーニング処理が定期的に実行される場合を例にして説明したが、第6実施形態の特徴的な部分は、図25のフローチャート図に示すように、第1液浸部材5と所定部材Sとの間に第1液浸空間S1を形成した状態で、第1液浸部材5に対して所定部材Sの表面を移動する処理(ステップSB1)と、第1液浸部材5に対して所定部材Sを移動したときに、第1液浸空間S1の状態を検出する処理(ステップSB2)と、その検出結果に基づいて、研磨処理を含むクリーニング処理を実行するか否かを判断する処理(ステップSB3)とが実行される点にある。
図26は、第6実施形態に係る露光装置EXの一部を示す図である。図26において、露光装置EXは、第1液浸空間S1の状態を検出する検出装置130を備えている。
検出装置130は、所定部材Sの表面に対して傾斜方向から検出光SLを照射する照射装置130Aと、検出光SLに対して所定の位置に配置された受光装置130Bとを備える。図26においては、所定部材Sとして、プレート部材Tの上面23に検出光SLが照射されている状態が示されている。なお、検出装置130は、所定部材Sの表面、及び基板Pの表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出システムとして機能することができる。
本実施形態においては、制御装置4は、第1液浸部材5と所定部材Sとの間に第1液浸空間S1を形成した状態で、第1液浸部材5に対して所定部材SをXY平面内の所定方向に移動したときに、検出装置130を用いて、第1液浸空間S1が所定状態か否かを検出する。
図27は、第1液浸空間S1の状態が検出されているときの所定部材Sの表面の平面図である。図27に示すように、検出装置130の照射装置130Aは、検出光SLを、所定部材Sの表面の複数の所定位置のそれぞれに照射する。本実施形態においては、照射装置130Aは、所定部材S上に形成された第1液浸空間S1の界面LGの近傍に複数の検出光SLを照射する。本実施形態においては、照射装置130Aは、第1液浸空間S1を囲むように、所定部材Sの表面における第1液浸空間S1の界面LGの近傍の複数位置のそれぞれに検出光SLを照射する。すなわち、照射装置130Aから射出された複数の検出光SLの光路は、第1液浸空間S1の周囲に設定されている。なお本実施形態においては、図27に示すように、所定部材Sの表面に照射された検出光SLのXY平面内における形状はスリット状である。
所定部材S上の第1液浸空間S1が所望状態である場合、複数の検出光SLのそれぞれは、第1液浸空間S1の界面LGに対して外側における所定部材Sの表面の所定位置に照射される。すなわち、第1液浸空間S1が所望状態であるとき、照射装置130Aより射出された複数の検出光SLのそれぞれは、第1液浸空間S1の第1液体L1に照射されず、第1液体L1を介さないで受光装置130Bに到達する。
一方、所定部材Sの表面状態が悪化している場合、例えば第1液体L1に対する所定部材Sの表面の撥液性が低下している場合、終端光学素子9及び第1液浸部材5と所定部材Sとの間に第1液体L1を良好に保持できなくなる可能性がある。第1液浸部材5と、表面状態が悪化している所定部材Sとの間に第1液浸空間S1を形成した状態で、第1液浸部材5に対して所定部材SをXY平面内の所定方向に移動した場合、図28の模式図に示すように、第1液浸部材5と所定部材Sとの間の所定空間の外側に、第1液体L1が漏出したり、所定部材S上に残留したりする可能性が高くなる。第1液体L1が漏出したり、残留したりした場合、検出光SLの光路上に第1液体L1が介在する。検出光SLが第1液体L1に照射される状態と照射されない状態とでは、受光装置130Bの受光状態が異なる。例えば、検出光SLが第1液体L1に照射されると、受光装置130Bで受光できなかったり、受光装置130Bでの受光位置が大きく異なったりする。検出装置130は、受光装置130Bの受光結果に基づいて、終端光学素子9及び第1液浸部材5と所定部材Sとの間の第1液浸空間S1が所望状態か否かを検出することができる。
制御装置4は、所定のタイミングで、第1液浸部材5と所定部材Sとの間に第1液浸空間S1を形成した状態で、第1液浸部材5に対して所定部材Sを移動する(ステップSB1)。制御装置4は、第1液浸部材5に対して所定部材Sを移動したときに、検出装置130を用いて第1液浸空間S1の状態を検出し(ステップSB2)、その検出結果に基づいて、所定部材Sの表面に対する研磨処理を実行するか否かを判断する(ステップSB3)。例えば、検出装置130の検出結果に基づいて、第1液浸空間S1が所望状態でないと判断した場合、すなわち、第1液体L1の漏出、残留等が発生したと判断した場合、制御装置4は、所定部材Sの表面状態(撥液性)が悪化したと判断し、所定部材Sの表面状態を良好にするために、研磨処理を含むクリーニング処理を実行する。一方、検出装置130の検出結果に基づいて、第1液浸空間S1が所望状態であると判断した場合、すなわち、第1液体L1の漏出、残留等が発生していないと判断した場合、制御装置4は、所定部材Sの表面状態(撥液性)が良好であると判断し、基板Pの露光処理を含む通常シーケンスを実行する。
このように、第1液浸空間S1の状態の検出結果に基づいて、研磨処理を含むクリーニング処理を実行するか否かを判断することができる。
なお、第1液浸空間S1の状態を撮像装置で撮像して、研磨処理を含むクリーニング処理を実行するか否かを判断してもよい。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図29は、第7実施形態に係る研磨処理を含むクリーニング方法の一例を説明するためのフローチャート図である。図29に示すように、本実施形態においては、制御装置4は、例えば光学部材60を介して露光光ELを検出し(ステップSC1)、その検出結果に基づいて、研磨処理を含むクリーニング処理を実行するか否かを判断する(ステップSC2)。例えば、光学部材60の表面状態が良好な状態と、悪化している状態とで、受光器による露光光ELの受光状態が異なる。例えば、光学部材60の表面が汚染していない状態と、光学部材60の表面が汚染している状態とで、受光器による露光光ELの受光量が異なる可能性がある。制御装置4は、光学部材60を介した露光光ELの検出結果(受光結果)に基づいて、光学部材60の表面状態が悪化していると判断した場合、その光学部材60の表面に対する、研磨処理を含むクリーニング処理を実行する。これにより、光学部材60の表面状態を良好にすることができる。
なお、第1アライメントシステム17と第2アライメントシステム18の少なくとも一方を用いて、所定部材Sの表面の光学像(画像)を取得し、その取得した画像情報に基づいて、所定部材Sの表面状態が悪化しているか否かを判断し、悪化していると判断したとき、所定部材Sに対する研磨処理を含むクリーニング処理を実行するようにしてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、第2液浸部材6に接続された超音波発生装置100を用いて、第2液浸空間S2の第2液体L2に振動を与える場合を例にして説明したが、所定部材Sに超音波発生装置を接続し、所定部材Sを振動させることによって、第2液浸部材6と所定部材Sとの間に形成された第2液浸空間S2の第2液体L2に振動を与えるようにしてもよい。例えば、基板テーブル22に超音波発生装置100Bを接続して、基板テーブル22(プレート部材T)を振動させることによって、第2液浸部材6と基板テーブル22(プレート部材T)との間に形成された第2液浸空間S2の第2液体L2に振動を与えることができる。
また、第2液浸部材6と基板テーブル22(プレート部材T)との間に形成された第2液浸空間S2の第2液体L2に振動を与えるために、第2駆動システム42の微動システム42Bを用いて、第2基板テーブル22(プレート部材T)を振動させるようにしてもよい。
また、上述の第1、第2、第3、第6、第7形態においては、第1液浸部材5とは別の部材を用いて、第2液体L2で第2液浸空間S2を形成し、所定部材Sの表面の異物を除去する場合を例にして説明したが、第1液浸部材5を用いて形成される第1液浸空間S1を用いて所定部材Sの表面の異物を除去してもよい。この場合、露光用の第1液体L1を使っても良いし、クリーニング用の第2液体L2を用いてもよい。また、第1液浸部材5を用いる場合、第2液浸部材6を省略できる。
なお、上述の各実施形態においては、研磨部材12の下面(研磨面)14が、XY平面内において円環状である場合を例にして説明したが、研磨面14の形状は任意である。例えば、図30(A)に示すように、XY平面内における研磨面14の形状が円形でもよいし、図30(B)に示すように、枠状でもよいし、図30(C)に示すように、四角形でもよい。
なお、上述の各実施形態で説明した研磨装置を用いて、基板Pを保持する第1保持部24を研磨することができる。例えば、ピン部材24Aの上端面、及び第1周壁24Bの上端面を含む第1保持部24の保持面を、研磨装置を用いて研磨することができる。これにより、第1保持部24で基板Pを良好に保持することができる。
また、上述の各実施形態で説明した研磨装置を用いて、プレート部材Tを保持する第2保持部25を研磨することができる。例えば、ピン部材25Aの上端面、及び第2、第3周壁25B、25Cの上端面を含む第2保持部25の保持面を、研磨装置を用いて研磨することができる。これにより、第2保持部25でプレート部材Tを良好に保持することができる。
また、上述の各実施形態で説明した研磨装置を用いて、基準板55を保持する第3保持部の保持面、光学部材60を保持する第4保持部の保持面、及び光学部材70を保持する第5保持部の保持面を研磨することができる。
なお、上述の各実施形態においては、研磨部材12が1つである場合を例にして説明したが、複数配置されていてもよい。また、研磨対象領域に応じて、互いに異なる大きさ(構造、形状)の研磨部材を複数配置してもよい。例えば、プレート部材Tの上面23を研磨するための研磨部材の大きさ(構造、形状)と、第4保持部の保持面を研磨するための研磨部材の大きさ(構造、形状)とを異ならせてもよい。
なお、上述の各実施形態において、投影光学系PLは、終端光学素子9の射出側(像面側)の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子9の入射側(物体面側)の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、上述の実施形態の第1液体L1は水であるが、水以外の液体であってもよい。第1液体L1としては、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系、あるいは基板の表面を形成する感光材(フォトレジスト)の膜に対して安定なものが好ましい。例えば、第1液体L1として、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル、セダー油等を用いることも可能である。また、第1液体L1として、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英及び蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で、第1液体L1と接触する投影光学系PLの光学素子(終端光学素子など)を形成してもよい。また、第1液体L1として、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
また、例えば露光光ELがF2レーザ光である場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、第1液体L1としてはF2レーザ光を透過可能なもの、例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フッ素系オイル等のフッ素系流体を用いることができる。この場合、第1液体L1と接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。
なお、上述の各実施形態においては、露光装置EXが、液体を介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である場合を例にして説明したが、液体を用いずに、気体を介して露光光ELで基板Pを露光するドライ露光装置であってもよい。ドライ露光装置であっても、例えば基板Pを保持する保持部の周囲の所定面の表面状態が悪化したり、計測器(光学部材)の表面状態が悪化すると、露光不良が発生する可能性がある。研磨処理を含むクリーニング処理を実行することで、露光不良の発生を抑制することができる。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許6,341,007号、米国特許6,400,441号、米国特許6,549,269号、及び米国特許6,590,634号、米国特許6,208,407号、米国特許6,262,796号などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計19A、19B、19Cを含む干渉計システム19を用いてマスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージ1、2、3に設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムとの両方を備えるハイブリッドシステムとし、干渉計システムの計測結果を用いてエンコーダシステムの計測結果の較正(キャリブレーション)を行うことが好ましい。また、干渉計システムとエンコーダシステムとを切り換えて用いる、あるいはその両方を用いて、ステージの位置制御を行うようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、米国特許7,023,610号に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、前述の各照明領域と、投影領域がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状などでもよい。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、可変成形マスクとしては、DMDに限られるものでなく、DMDに代えて、以下に説明する非発光型画像表示素子を用いても良い。ここで、非発光型画像表示素子は、所定方向へ進行する光の振幅(強度)、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)以外に、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)等が例として挙げられる。また、反射型空間光変調器としては、上述のDMDの他に、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electro Phonetic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)等が例として挙げられる。
また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。この場合、照明系は不要となる。ここで自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。また、パターン形成装置が備える自発光型画像表示素子として、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、または複数の発光点を1枚の基板に作り込んだタイプのもの等を用い、該固体光源チップを電気的に制御してパターンを形成しても良い。なお、固体光源素子は、無機、有機を問わない。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図31に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…マスクステージ、2…基板ステージ、3…計測ステージ、4…制御装置、5…第1液浸部材、6…第2液浸部材、11…クリーニング装置、12…研磨部材、13…研磨装置、14…研磨面、23…上面、24…第1保持部、25…第2保持部、26…第3保持部、27…第4保持部、28…第5保持部、32f…膜、33…上面、42…第2駆動システム、43…第3駆動システム、50…支持部材、51…駆動装置、55…基準板、55f…膜、60…スリット板、60f…膜、70…上板、70f…膜、81…第1供給口、82…第1回収口、91…第2供給口、92…第2回収口、100…振動発生装置、110…除去装置、111…吸引口、120…除去装置、125…給気口、EL…露光光、EX…露光装置、IL…照明系、K…光路空間、L1…第1液体、L2…第2液体、S1…第1液浸空間、S2…第2液浸空間、P…基板、PL…投影光学系、T…プレート部材、Tf…膜