以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持しながら移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持しながら移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、計測器を搭載して移動可能な計測ステージ3と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置4とを備えている。
また、露光装置EXは、マスクステージ1を移動可能な第1駆動システム5と、基板ステージ2を移動可能な第2駆動システム6と、計測ステージ3を移動可能な第3駆動システム7と、マスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の位置情報を計測可能な干渉計システム8と、基板Pの表面の面位置情報を計測可能なフォーカス・レベリング検出システム9とを備えている。
また、露光装置EXは、露光処理及び計測処理等に関する各種情報を記憶した記憶装置10を備えている。記憶装置10は、制御装置4に接続されている。
なお、基板Pは、デバイスを製造するための基板であって、例えばシリコンウエハのような半導体ウエハ等の基材に感光膜が形成されたものを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pには、感光膜とは別に保護膜(トップコート膜)等の各種の膜が形成されていてもよい。マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含み、例えばガラス板等の透明板部材上にクロム等の遮光膜を用いて所定のパターンが形成されたものである。この透過型マスクは、遮光膜でパターンが形成されるバイナリーマスクに限られず、例えばハーフトーン型、あるいは空間周波数変調型などの位相シフトマスクも含む。また、本実施形態においては、マスクMとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いてもよい。
本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置であって、露光光ELの光路空間Kの少なくとも一部を液体LQで満たすように液浸空間LSを形成する。なお、露光光ELの光路空間Kは、露光光ELが通過する光路を含む空間である。液浸空間LSは、液体LQで満たされた空間である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
本実施形態においては、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子11の像面側の光路空間Kを液体LQで満たすように液浸空間LSが形成される。終端光学素子11は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面(下面)12を有する。液浸空間LSは、終端光学素子11の射出側(像面側)の光路空間Kを液体LQで満たすように形成される。具体的には、液浸空間LSは、終端光学素子11とその終端光学素子11の射出面12と対向する位置に配置された物体との間の光路空間Kを液体LQで満たすように形成される。液浸空間LSの液体LQは、終端光学素子11の射出面12と接触する。終端光学素子11の射出面12と対向する位置は、露光光ELが照射可能な位置を含む。
露光装置EXは、液浸空間LSを形成するための液浸部材13を備えている。液浸部材13は、終端光学素子11の近傍に配置されている。液浸部材13は、液浸空間LSの液体LQと接触する液体接触面(下面)14を有する。本実施形態において、終端光学素子11の射出面12と対向可能な物体は、液浸部材13の液体接触面14と対向可能である。物体の表面が終端光学素子11の射出面12と対向する位置に配置されたとき、液浸部材13の液体接触面14の少なくとも一部と物体の表面とが対向する。終端光学素子11の射出面12と物体の表面とが対向しているとき、終端光学素子11は、終端光学素子11の射出面12と物体の表面との間に液体LQを保持できる。また、液浸部材13の液体接触面14と物体の表面とが対向しているとき、液浸部材13は、液浸部材13の液体接触面14と物体の表面との間に液体LQを保持できる。終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と物体の表面との間に液体LQを保持することによって、終端光学素子11の射出面12と物体の表面との間の光路空間Kを液体LQで満たすように液浸空間LSが形成される。
本実施形態において、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向可能な物体は、終端光学素子11及び液浸部材13に対して、終端光学素子11の射出側(像面側)で移動可能な物体を含み、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向する位置に移動可能な物体を含む。本実施形態においては、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向可能な物体は、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、及び計測ステージ3の少なくとも一つを含む。なお、以下においては、説明を簡単にするために、主に、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と基板Pとが対向している状態を例にして説明する。
本実施形態においては、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向する位置に配置された基板Pの表面の一部の領域(局所的な領域)が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成され、その基板Pの表面と液浸部材13の液体接触面14との間に液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGが形成される。すなわち、本実施形態においては、露光装置EXは、基板Pの露光時に、投影光学系PLの投影領域PRを含む基板P上の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSを形成する局所液浸方式を採用する。
照明系ILは、マスクM上の所定の照明領域IRを均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージ1は、第1駆動システム5により、マスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。第1駆動システム5は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含む。マスクステージ1(マスクM)のX軸、Y軸、及びθZ方向の位置情報は、干渉計システム8のレーザ干渉計8Aによって計測される。レーザ干渉計8Aは、マスクステージ1に設けられた反射ミラー1Rを用いて位置情報を計測する。制御装置4は、レーザ干渉計8Aの計測結果に基づいて第1駆動システム5を駆動し、マスクステージ1に保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で基板Pに投影する。投影光学系PLの複数の光学素子は、鏡筒に保持されている。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXはZ軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、第2駆動システム6により、基板Pを保持した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。第2駆動システム6は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含む。基板ステージ2(基板P)のX軸、Y軸、及びθZ方向の位置情報は、干渉計システム8のレーザ干渉計8Bによって計測される。レーザ干渉計8Bは、基板ステージ2に設けられた反射ミラー2Rを用いて位置情報を計測する。また、基板ステージ2に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、フォーカス・レベリング検出システム9によって検出される。フォーカス・レベリング検出システム9は、検出光SLを照射する照射装置9Aと、検出光SLに対して所定の位置に配置された受光装置9Bとを備える。制御装置4は、レーザ干渉計8Bの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システム9の検出結果に基づいて第2駆動システム6を駆動し、基板ステージ2に保持されている基板Pの位置制御を行う。
図2は、基板ステージ2を示す側断面図である。図1及び図2において、基板ステージ2は、基板Pを保持する第1ホルダ15と、第1ホルダ15の周囲に配置され、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向可能な上面16とを有する。第1ホルダ15は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。第1ホルダ15に保持された基板Pの表面は、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向可能である。また、基板ステージ2の上面16は、XY平面とほぼ平行な平坦面である。第1ホルダ15に保持された基板Pの表面と基板ステージ2の上面16とは、ほぼ同一平面内に配置され、ほぼ面一である。
本実施形態においては、基板ステージ2は、着脱可能なプレート部材Tを有する。基板ステージ2は、第1ホルダ15の周囲に配置され、プレート部材Tを着脱可能に保持する第2ホルダ17を有する。プレート部材Tは、基板Pを配置可能な開口TKを有する。第2ホルダ17に保持されたプレート部材Tは、第1ホルダ15に保持された基板Pの周囲に配置される。本実施形態においては、基板ステージ2の上面16は、プレート部材Tの上面を含む。
本実施形態において、第2ホルダ17に保持されたプレート部材Tの開口TKの内面と、第1ホルダ15に保持された基板Pの外面とは、所定のギャップを介して対向するように配置される。第2ホルダ17は、プレート部材Tの上面16とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持する。本実施形態においては、プレート部材Tの上面16は、例えばフッ素を含む材料で形成されており、液体LQに対して撥液性を有する。プレート部材Tの上面16と液体LQとの接触角は、例えば80°以上である。
図1において、計測ステージ3は、第3駆動システム7により、計測器を搭載した状態で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。第3駆動システム7は、例えばリニアモータ等のアクチュエータを含む。計測ステージ3には、基準マークが形成された基準部材、露光光ELが照射される光学部材等を含む計測部材、及び露光光ELの状態を計測可能な光電センサ等を含む計測器が搭載されている。なお、基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置に関する技術の一例が、例えば米国特許第6,897,963号等に開示されている。
計測ステージ3は、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向可能な上面18を有する。計測ステージ3の上面18は、XY平面とほぼ平行な平坦面である。計測ステージ3の上面18と基板ステージ2の上面16とは、ほぼ同一平面内に配置され、ほぼ面一である。
本実施形態においては、計測ステージ3の上面18は、例えばフッ素を含む材料で形成されており、液体LQに対して撥液性を有する。計測ステージ3の上面18と液体LQとの接触角は、例えば80°以上である。
計測ステージ3のX軸、Y軸、及びθZ方向の位置情報は、干渉計システム8のレーザ干渉計8Cによって計測される。レーザ干渉計8Cは、計測ステージ3に設けられた反射ミラー3Rを用いて位置情報を計測する。また、計測ステージ3の上面18の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、フォーカス・レベリング検出システム9によって検出される。制御装置4は、レーザ干渉計8Cの計測結果及びフォーカス・レベリング検出システム9の検出結果に基づいて第3駆動システム7を駆動し、計測ステージ3の位置制御を行う。
露光装置EXは、基板ステージ2及び計測ステージ3を移動可能に支持するガイド面19を有する定盤20を備えている。本実施形態においては、ガイド面19は、XY平面とほぼ平行である。基板ステージ2及び計測ステージ3は、ガイド面19に沿って、XY方向(二次元方向)に移動可能である。
また、本実施形態においては、例えば欧州特許出願公開第1,713,113号公報等に開示されているように、制御装置4は、基板ステージ2及び計測ステージ3の少なくとも一方と終端光学素子11及び液浸部材13との間で液体LQを保持可能な空間を形成し続けるように、基板ステージ2の上面16と計測ステージ3の上面18とを接近又は接触させた状態で、基板ステージ2の上面16及び計測ステージ3の上面18の少なくとも一方と終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14とを対向させつつ、終端光学素子11及び液浸部材13に対して、基板ステージ2と計測ステージ3とをXY方向に同期移動させる。これにより、液体LQの漏出を抑制しつつ、基板ステージ2の上面16と計測ステージ3の上面18との間で液浸空間LSを移動可能である。
次に、液浸部材13について、図3〜図5を参照して説明する。図3は、液浸部材13を示す概略斜視図の一部破断図、図4は、YZ平面と平行な側断面図、図5は、XZ平面と平行な側断面図である。
なお、以下の説明においては、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向する位置に基板Pが配置されている場合を例にして説明するが、上述のように、終端光学素子11の射出面12及び液浸部材13の液体接触面14と対向する位置には、基板ステージ2及び計測ステージ3等、基板P以外の物体も配置可能である。また、以下の説明においては、終端光学素子11の射出面12を適宜、終端光学素子11の下面12、と称し、液浸部材13の液体接触面14を適宜、液浸部材13の下面14、と称する。
液浸部材13は、環状の部材であって、光路空間Kを囲むように配置されている。本実施形態においては、液浸部材13は、終端光学素子11の周囲に配置される上板部31と、Z軸方向に関して少なくとも一部が終端光学素子11の下面12と基板Pの表面との間に配置される下板部32とを有する。
下板部32は、中央に開口33を有する。終端光学素子11の下面12から射出された露光光ELは、開口33を通過可能である。例えば、基板Pの露光中、終端光学素子11の下面12から射出された露光光ELは、開口33を通過し、液体LQを介して基板Pの表面に照射される。本実施形態においては、開口33は、露光光ELの断面形状に応じて、XY方向において略矩形状(スリット状)に形成されている。
液浸部材13の下面14は、光路空間Kの周囲に配置された第1面21と、光路空間Kに対して第1面21の外側に配置された第2面22と、光路空間Kに対して第1面21の外側に配置された第3面23とを有する。第2面22は、Y軸方向に関して光路空間Kの両側に配置されている。第3面23は、X軸方向に関して光路空間Kの両側に配置されている。
第1面21は、基板Pの表面との間で液体LQを保持可能である。本実施形態においては、第1面21は、平坦であり、基板Pの表面(XY平面)とほぼ平行である。本実施形態においては、XY平面内における第1面21の外形は、矩形状である。本実施形態においては、第1面21は、下板部32の下面を含む。第1面21は、開口33の周囲に配置されている。第1面21は、液体LQを回収しない面である。
第2面22は、基板Pの表面との間で液体LQを保持可能である。第2面22は、基板Pの表面に対して第1面21よりも離れた位置に配置されている。第2面22は、Y軸方向に関して光路空間Kから離れる方向において、基板Pの表面から徐々に離れるように傾斜している。第2面22は、液体LQを回収しない面である。
第3面23は、第1面21と同一平面内に配置されている。すなわち、第1面21と第3面23とは面一であり、基板Pの表面(XY平面)と平行である。
第3面23は、液体LQを回収可能な面である。第3面23は、終端光学素子11の下面12及び液浸部材13の下面14と基板Pの表面との間の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。第3面23は、多孔部材(メッシュ部材)24の表面(下面)を含む。第3面23の−Z側に配置された基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第3面23を介して回収される。第3面23は、第3面23に接触した液体LQを回収可能である。
露光装置EXは、液体LQを供給するための供給口41と、液体LQを回収するための回収口42とを備えている。本実施形態においては、供給口41及び回収口42は、液浸部材13に設けられている。
供給口41は、液浸空間LSを形成するために、光路空間Kに液体LQを供給可能である。本実施形態においては、液浸部材13は、終端光学素子11の下面12との間に所定の間隙を介して対向する上面34を有する。上面34は、開口33の周囲に配置されている。供給口41は、終端光学素子11の下面12と上面34との間の所定空間35の近傍に配置されており、所定空間35に液体LQを供給可能である。また、本実施形態においては、供給口41は、光路空間Kに対してY軸方向両側のそれぞれに設けられている。以下の説明において、所定空間35を適宜、内部空間35、と称する。
また、露光装置EXは、液体供給装置45を備えている。液体供給装置45は、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。供給口41と液体供給装置45とは、流路46を介して接続されている。流路46は、液浸部材13の内部に形成された供給流路46A、及びその供給流路46Aと液体供給装置45とを接続する供給管で形成される流路46Bを含む。液体供給装置45から送出された液体LQは、流路46を介して供給口41に供給される。供給口41は、液体供給装置45からの液体LQを光路空間Kに供給する。
回収口42には多孔部材24が配置されており、第3面23を形成する。本実施形態においては、多孔部材24は、プレート状の部材に複数の孔を設けたものである。多孔部材24として、複数の孔を有する焼結部材(焼結金属)、発泡部材(発泡金属)などを用いることもできる。
また、露光装置EXは、液体LQを回収可能な液体回収装置47を備えている。液体回収装置47は、真空システムを含み、液体LQを吸引して回収可能である。回収口42と液体回収装置47とは、流路48を介して接続されている。流路48は、液浸部材13の内部に形成された回収流路48A、及びその回収流路48Aと液体回収装置47とを接続する回収管で形成される流路48Bを含む。本実施形態においては、制御装置4は、真空システムを含む液体回収装置47を駆動して、多孔部材24の上面と下面との間に圧力差を発生させることによって、第3面23(多孔部材24)より液体LQを回収する。第3面23から回収された液体LQは、流路48を介して、液体回収装置47に回収される。
供給口41からの液体供給動作と並行して回収口42(第3面23)による液体回収動作を行うことで、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間に液浸空間LSを形成可能である。液浸部材13は、少なくとも基板Pの露光時に、終端光学素子11の光射出側の光路空間Kが液体LQで満たされるように、液浸空間LSを形成する。
また、液浸部材13は、内部空間35と外部空間36とを連通させるための排気口40を有している。排気口40は、内部空間35の近傍に配置されており、内部空間35の気体を排気可能である。本実施形態においては、排気口40は、光路空間Kに対してX軸方向両側のそれぞれに設けられている。排気口40は、液浸部材13の内部に形成されている排気流路37、及びその排気流路37の上端の開口38を介して、外部空間36と接続されている。なお、外部空間36は真空システムと接続可能であり、内部空間35内の気体と液体と少なくとも一方を排気口40から排出してもよい。
なお、ここでは、供給口41が光路空間Kに対してY軸方向両側のそれぞれに設けられ、排気口40が光路空間Kに対してX軸方向両側のそれぞれに設けられているが、供給口41が光路空間Kに対してX軸方向両側のそれぞれに設けられ、排気口40が光路空間Kに対してY軸方向両側のそれぞれに設けられていてもよい。
液浸部材13の下面14と対向する位置に基板Pが配置されているとき、液浸部材13は、少なくとも第1面21と基板Pの表面との間で液体LQを保持できる。本実施形態においては、液浸部材13のうち、少なくとも第1面21は、液体LQに対して親液性を有する。例えば、第1面21と液体LQとの接触角は、40度以下であり、好ましくは20度以下である。
また、本実施形態においては、第2面22も、液体LQに対して親液性を有する。
図6は、基板ステージ2に保持されている基板Pの平面図である。図6に示すように、基板P上には、露光対象領域である複数のショット領域S(S1〜S21)がマトリクス状に設けられている。また、図6に示すように、本実施形態においては、投影光学系PLの投影領域PRは、X軸方向を長手方向とするスリット状である。また、基板Pは、XY平面内において、略円形状である。なお、図6において、基板P上のショット領域Sの配置は一例にすぎない。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。基板Pのショット領域Sの露光時において、マスクM及び基板Pは、Z軸とほぼ平行な投影光学系PLの光軸AX(露光光ELの光路)と交差するXY平面内の所定の走査方向に移動される。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。露光装置EXは、基板Pのショット領域Sを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMのパターン形成領域をY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pのショット領域Sに投影され、基板Pのショット領域Sは露光光ELで露光される。
本実施形態においては、制御装置4は、投影光学系PLの投影領域PRと基板Pとが、図6中、例えば矢印R1に示す移動軌跡に沿って相対的に移動するように基板ステージ2を移動しつつ、投影領域PRに露光光ELを照射して、基板P上の各ショット領域S1〜S21を露光する。各ショット領域Sを露光するときには、制御装置4は、基板ステージ2を制御して、投影光学系PLの投影領域PRに対して基板PをY軸方向に移動する。また、あるショット領域(例えば第1ショット領域S1)の露光が終了した後、次のショット領域(例えば第2ショット領域S2)を露光するために、制御装置4は、投影領域PRが次のショット領域Sの露光開始位置に配置されるように、基板ステージ2を制御して、基板PをXY平面内の所定方向に移動する。以下の説明において、ショット領域Sを露光するために基板PをY軸方向に移動することを適宜、スキャン移動、と称する。また、あるショット領域に対する露光が終了した後、次のショット領域を露光するために、投影領域PRが次のショット領域の露光開始位置に配置されるように基板Pを移動することを適宜、ステッピング移動、と称する。
本実施形態において、露光装置EXの動作の少なくとも一部は、予め定められている露光に関する制御情報(露光制御情報)に基づいて実行される。露光制御情報は、露光装置の動作を規定する制御命令群を含み、露光レシピとも呼ばれる。以下の説明において、露光に関する制御情報を適宜、露光レシピ、と称する。
露光レシピは、終端光学素子11及び液浸部材13に対する基板P(基板ステージ2)の移動軌跡R1を含む。すなわち、本実施形態においては、基板P(基板ステージ2)の移動軌跡R1は、予め決定されている。本実施形態においては、移動軌跡R1は、基板P上に設定されるショット領域S1〜S21の配置に基づいて決定される。移動軌跡R1を含む露光レシピは、記憶装置10に予め記憶されている。制御装置4は、記憶装置10に記憶されている露光レシピに基づいて、露光装置EXの動作を制御する。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いて、基板Pを露光する方法の一例について説明する。図7のフローチャート図に示すように、本実施形態の露光方法は、記憶装置10に予め記憶されている、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態を維持可能な、終端光学素子11及び液浸部材13に対する基板Pの相対的な移動速度と移動距離との関係に関する情報に基づいて、終端光学素子11及び液浸部材13に対する基板Pの移動条件を決定する処理(ステップSA1)と、決定された移動条件に基づいて基板Pを移動しつつ、その基板Pを露光する処理(ステップSA2)とを含む。
図8は、記憶装置10に記憶されている、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態を維持可能な、終端光学素子11及び液浸部材13に対する基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を説明するための図である。移動距離Lは、連続的な直線移動距離を含む。換言すれば、移動距離Lは、所定の一方向への移動距離を含む。
また、液体LQが所定状態とは、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の空間からの液体LQの漏出が抑制される状態を含む。また、液体LQが所定状態とは、基板P上での液体LQの残留が抑制される状態を含む。
終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQ(液浸空間LS)の状態は、基板Pの移動速度に応じて変化する。例えば、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間に液浸空間LSを形成した状態で、基板Pの移動速度を高めると、液浸空間LSの液体LQが、移動する基板Pに引っ張られて、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の所定空間の外側に漏出する可能性がある。また、基板Pの移動速度を高めると、例えば基板P上で液体LQが膜になったり、滴になったり、基板P上に残留したりする可能性がある。
また、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQ(液浸空間LS)の状態は、基板Pの移動距離(連続的な直線移動距離を含む)に応じて変化する。例えば、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間に液浸空間LSを形成した状態で、基板Pの移動距離を長くすると、液浸空間LSの液体LQが、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の所定空間の外側に漏出する可能性がある。また、基板Pの移動距離を長くすると、基板P上に液体LQが残留する可能性がある。
液体LQが所定空間から漏出すると、基板P上に液体LQが残留したり、例えば基板ステージ2、計測ステージ3、周辺機器などに悪影響を及ぼす可能性がある。また、基板P上に液体LQが残留すると、その液体LQの気化熱が、基板Pに影響を及ぼす可能性がある。
一方、スループットの向上等の観点から、基板P(基板ステージ2)の移動速度は高いほうが望ましい。したがって、液体LQの漏出、残留等が生じない範囲において、可能な限り高い移動速度で基板Pを移動することが望ましい。
本実施形態においては、記憶装置10には、液浸空間LSの液体LQが所定状態を維持可能な、すなわち、液体LQの漏出、残留等が抑制される状態を維持可能な、基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報が記憶されている。本実施形態においては、制御装置4は、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQ(液浸空間LS)が所定状態を維持するように、記憶装置10の記憶情報に基づいて、終端光学素子11及び液浸部材13に対する基板Pの移動条件を決定する。
記憶装置10の記憶情報は、液体LQ(液浸空間LS)が所定状態に維持される、基板Pの移動距離に対する最高移動速度(臨界移動速度)に関する情報を含む。例えば、図8において、基板Pを第1の移動距離L1だけ移動(直線移動)させる場合、液体LQを所定状態に維持できる最高移動速度はV1である。すなわち、基板Pの移動速度Vが第1の移動速度V1以下であれば、液体LQの漏出、残留等を抑制しつつ、基板Pを第1の移動距離L1だけ移動させることができる。同様に、基板Pを第2の移動距離L2だけ移動(直線移動)させる場合には、基板Pの移動速度Vを第2の移動速度V2以下に抑えることによって、液体LQの漏出、残留等を抑制することができる。
液浸空間LSの液体LQが所定状態を維持可能な基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係は、例えば実験、又はシミュレーションによって予め求めることができる。本実施形態においては、図8に示すように、基板Pの移動距離が短い場合、基板Pの移動速度が高速化しても、液体LQの漏出、残留等が抑制される。逆に、基板Pの移動距離が長い場合、基板Pの移動速度が低ければ、液体LQの漏出、残留等が抑制される。
制御装置4は、図8を参照して説明したような記憶装置10の記憶情報に基づいて、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態を維持するように、すなわち液体LQの漏出、残留等が抑制されるように、基板Pを露光するときの基板Pの移動条件を決定する。なお、記憶装置10に記憶されている情報は、図8に示すようなグラフを示す関数情報、あるいは図8に示すようなグラフに対応するテーブル情報であってもよい。
本実施形態においては、制御装置4は、基板Pの露光が開始されてから終了するまでの時間が短くなるように、基板Pの移動速度を決定する。例えば、制御装置4は、第1ショット領域S1の露光が開始されてから第21ショット領域S21の露光が終了するまでの時間が短くなるように、基板Pの移動速度を決定する。
上述のように、本実施形態においては、基板P上に設定されるショット領域S1〜S21に基づいて、基板Pの移動軌跡R1が予め決定されている。制御装置4は、移動軌跡R1に沿って基板Pを移動させるときに、液体LQが所定状態に維持されるように、スキャン移動中の基板Pの移動距離、及びステッピング移動中の基板Pの移動距離に応じて、基板Pの移動速度をそれぞれ決定する。図6に示すように、基板Pの露光時において、例えばスキャン移動における基板Pの移動距離と、ステッピング移動における基板Pの移動距離とが異なる。また、例えば第1ショット領域S1から第2ショット領域S2へステッピング移動するときの基板Pの移動距離と、第3ショット領域S3から第4ショット領域S4へステッピング移動するときの基板Pの移動距離とが異なる。制御装置4は、基板Pの露光が開始されてから終了するまでの時間が短くなるように、例えば各スキャン移動時、各ステッピング移動時における基板Pの移動距離と、記憶装置10に記憶されている記憶情報とに基づいて、基板Pの移動速度(最高移動速度)をそれぞれ決定する。すなわち、基板Pの移動距離が短い場合には、移動速度を高め、移動距離が長い場合には、移動速度を低くする。例えば、第1ショット領域S1から第2ショット領域S2へステッピング移動するときのX軸方向への基板Pの移動距離がL1、第3ショット領域S3から第4ショット領域S4へステッピング移動するときのX軸とY軸とに交差するXY方向への移動距離がL2とした場合、制御装置4は、記憶装置10に記憶されている記憶情報(図8参照)に基づいて、第1ショット領域S1から第2ショット領域S2へステッピング移動するときのX軸方向への基板Pの移動速度をV1に設定し、第3ショット領域S3から第4ショット領域S4へステッピング移動するときXY方向への基板Pの移動速度をV2に設定する。これにより、液体LQの漏出、残留等を抑制しつつ、基板Pの露光が開始されてから終了するまでの時間を短くすることができる。これにより、スループットを向上することができる。
また、本実施形態においては、基板Pは、ショット領域Sの露光時にY軸方向へスキャン移動し、あるショット領域Sの露光終了位置から次のショット領域Sの露光開始位置へ移行するときにXY平面内の所定方向(X軸方向、Y軸方向、X軸とY軸とに交差するXY方向を含む)へステッピング移動する。換言すれば、基板Pは、終端光学素子11及び液浸部材13に対して、XY平面内において複数の方向へ移動する。
本実施形態においては、記憶装置10の記憶情報は、基板Pがいずれの方向に移動する場合にも共通に使用される情報であるが、液浸部材13の構造によって、液浸空間LSの液体LQが所定状態を維持可能な基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係が、基板Pの移動方向によって異なる場合がある。その場合は、XY平面内における基板Pの複数の方向(例えば、X軸方向、Y軸方向、XY方向)のそれぞれに対応する複数の情報を記憶装置10に記憶してもよい。
また、本実施形態において、記憶装置10に記憶されている記憶情報は、基板Pの表面の状態によらずに使用される情報であるが、基板Pの表面状態によって、液浸空間LSの液体LQが所定状態を維持可能な基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係が異なる場合がある。その場合、例えば、表面が第1状態の基板Pと、表面が第2状態の基板Pとが露光装置EXに搬入される場合には、基板Pの表面が第1状態のときの基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報と、基板Pの表面が第1状態と異なる第2状態のときの基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報とを記憶装置10に記憶すればよい。例えば、第1状態と第2状態とは、基板Pの表面と液体との接触角が異なる。また、例えば、第1状態と第2状態とは、基板Pの表面を形成する膜が異なる。なお、二つの表面状態に限られず、記憶装置10は、基板Pの表面状態に応じた、複数の情報を記憶できる。
図9(A)及び図9(B)は、基板Pの一例を示す図である。図9(A)に示す基板Pは、基材Wと、基材W上に形成された感光膜Rgとを有する。基材Wは、シリコン基板等の半導体ウエハを含む。図9(A)に示す基板Pの表面は、感光膜Rgによって形成されている。図9(B)に示す基板Pは、基材Wと、基材W上に形成された感光膜Rgと、感光膜Rg上に形成された保護膜(トップコート膜)Tcとを有する。図9(B)に示す基板Pの表面は、保護膜Tcによって形成されている。
図9(A)及び図9(B)に示すように、基板Pの表面を形成する膜が異なる場合、基板Pの表面と液体LQとの接触角が異なる可能性が高い。基板Pの表面と液体LQとの接触角に応じて、液体LQ(液浸空間LS)を所定状態に維持可能な基板Pの移動条件(移動速度、移動距離、加速度条件の少なくとも一つを含む)が異なる。制御装置4は、基板Pの表面状態に対応する記憶情報を記憶措置10から読み出し、その情報に基づいて、液体LQが所定状態に維持されるように、基板Pを移動するときの移動条件を決定することができる。
また、制御装置4は、決定した移動条件に基づいて、露光光ELの照射条件を決定してもよい。例えば制御装置4は、記憶装置10の記憶情報に基づいて決定された基板Pの移動速度に基づいて、各ショット領域が所望のドーズ量で露光されるように、露光光ELの照射条件(照度(強度)及び/又は露光光ELのパルスの発振周期)を調整する。
また、移動軌跡R1と記憶装置10の記憶情報に基づいて基板Pの移動条件を決定した場合、第1ショット領域S1の露光中(スキャン移動中)における基板Pの移動速度と、第13ショット領域S13の露光中(スキャン移動中)における基板Pの移動速度とが異なる場合もある。その場合も、各ショット領域がほぼ同一のドーズ量で露光されるように、制御装置4は、露光光ELの照射条件を調整する。
以上説明したように、本実施形態によれば、液体LQが所定状態を維持可能な範囲内において可能な限り高い移動速度で基板Pを移動することができる。したがって、露光不良の発生を抑制しつつ、スループットの低下を抑制できる。
なお、本実施形態においては、予め決定されている移動軌跡R1に沿って基板Pを移動したときに、液体LQが所定状態に維持されるように、基板Pの移動速度を決定しているが、制御装置4は、液体LQが所定状態に維持されるように、且つ基板Pの露光が開始されてから終了するまでの時間が短くなるように、基板Pを露光するときの、終端光学素子11及び液浸部材13に対する基板Pの移動距離(移動軌跡)を決定してもよい。
また、制御装置4は、液体LQが所定状態に維持されるように、且つ基板Pの露光が開始されてから終了するまでの時間が短くなるように、基板Pが移動するときの加速度条件を決定してもよい。
また、制御装置4は、液体LQが所定状態に維持されるように、且つ基板Pの露光が開始されてから終了するまでの時間が短くなるように、基板Pを所定の一方向に直線的に移動するときに、減速動作(停止動作)を所定回数実行するようにしてもよい。
なお、上述の実施形態においては、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態を維持可能な、基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を記憶装置10に記憶し、その記憶情報に基づいて、液体LQが所定状態を維持するように、基板Pの移動条件を決定しているが、終端光学素子11及び液浸部材13と基板ステージ2(プレート部材T)の上面16との間の液体LQが所定状態を維持可能な、基板ステージ2(プレート部材T)の移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を記憶装置10に記憶し、その記憶情報に基づいて、液体LQが所定状態を維持するように、基板ステージ2(プレート部材T)の移動条件を決定することができる。
また、終端光学素子11及び液浸部材13と計測ステージ3の上面18との間の液体LQが所定状態を維持可能な、計測ステージ3の移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を記憶装置10に記憶し、その記憶情報に基づいて、液体LQが所定状態を維持するように、計測ステージ3の移動条件を決定することができる。
すなわち、より所定枚数の基板がより短時間で露光処理できるように、記憶装置10に記憶されている情報に基づいて、基板ステージ2(基板P,プレート部材T)、及び計測ステージ3の移動条件を決定するのが望ましい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
本実施形態の特徴的な部分は、制御装置4が、記憶装置10の記憶情報を追加する点にある。例えば、新しい感光材が使用され、基板Pの表面状態が変更されたときに記憶装置10に記憶されている既存情報では対応できない場合がある。その場合、液体LQが所定状態を維持可能な、基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を新たに求める必要がある。そこで、本実施形態においては、露光装置EX内で基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を求め、記憶装置10に新たに記憶する。
基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を求めるために、制御装置4は、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間に液浸空間LSを形成した状態で、基板Pを移動しつつ液浸空間LSの状態を検出する。液浸空間LSの状態を検出する際、制御装置4は、基板Pを複数の移動条件で移動させるとともに、所定の検出装置を使って、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQ(液浸空間LS)の状態を検出する。
本実施形態においては、制御装置4は、検出システム9を用いて、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間に形成された液浸空間LSの状態を検出する。本実施形態において、検出システム9は、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態か否かを検出可能である。制御装置4は、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間に液浸空間LSを形成した状態で、基板ステージ2を用いて基板Pを複数の移動条件で移動し、検出システム9を使って液浸空間LSの状態を検出する。
図10は、液浸空間LSの状態が検出されているときの基板Pの表面の平面図である。図10に示すように、検出システム9の照射装置9Aは、検出光SLを、基板Pの表面の複数の所定位置のそれぞれに照射する。本実施形態においては、照射装置9Aは、基板P上に形成された液浸空間LSの界面LGの近傍に複数の検出光SLを照射する。本実施形態においては、照射装置9Aは、液浸空間LSを囲むように、基板Pの表面における液浸空間LSの界面LGの近傍の複数位置のそれぞれに検出光SLを照射する。すなわち、照射装置9Aから射出された複数の検出光SLの光路は、液浸空間LSを囲むように設定されている。なお本実施形態においては、図10に示すように、基板Pの表面に照射された検出光SLのXY平面内における形状はスリット状である。
基板P上の液浸空間LSが所定状態である場合、複数の検出光SLのそれぞれは、液浸空間LSの界面LGに対して外側における基板Pの表面の所定位置に照射される。すなわち、液浸空間LSが所定状態であるとき、照射装置9Aより射出された複数の検出光SLのそれぞれは、照射装置9Aの液体LQに照射されず、液体LQを介さないで受光装置9Bに到達する。
液体LQが所定状態でない場合、すなわち、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間に液体LQを良好に保持できず、液体LQが漏出したり、残留したりした場合、検出光SLの光路上に液体LQが介在する。検出光SLが液体LQに照射される状態と照射されない状態とでは、受光装置9Bの受光状態(受光位置、受光量など)が異なる。例えば、検出光SLが液体LQに照射されると、受光装置9Bで受光できなかったり、受光装置9Bでの受光位置が大きく異なったりする。このように、検出システム9は、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態か否かを検出することができる。
また、本実施形態においては、複数の検出光SLは、液浸空間LSを囲むように照射されるため、制御装置4は、受光装置9Bの受光結果に基づいて、液体LQが漏出する方向を検出することができる。
制御装置4は、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態を維持可能な、終端光学素子11及び液浸部材13に対する基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を求めるために、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間に液浸空間LSを形成した状態で、基板ステージ2を用いて基板Pを移動しつつ、検出システム9を使って液浸空間LSの状態を検出する。このとき、制御装置4は、基板Pの移動条件を変えつつ、検出システム9を使って液浸空間LSの状態を検出する。基板Pの移動条件は、基板Pの移動速度、移動距離(連続的な直線移動距離を含む)、及び移動方向の少なくとも1つを含む。
制御装置4は、例えば複数の移動速度で、基板Pを所定の一方向に第1の移動距離だけ移動しながら、検出システム9を用いて、液浸空間LSの状態を検出する。そして、制御装置4は、液浸空間LSが所定状態に維持される、第1の移動距離に対応する基板Pの最高移動速度を決定する。
また、制御装置4は、複数の移動速度で、基板Pを所定の一方向に第2の移動距離だけ移動しながら、検出システム9を用いて、液浸空間LSの状態を検出する。そして、制御装置4は、液浸空間LSが所定状態に維持される、第2の移動距離に対応する基板Pの最高移動速度を決定する。
同様に、制御装置4は、液浸空間LSが所定状態に維持される、第3の移動距離、第4の移動距離、…、第nの移動距離のそれぞれに対応する基板Pの最高移動速度を決定する。これにより、図8に示したような、基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報が求められ、制御装置4は、その情報を新たに記憶装置10に記憶する。
なお、XY平面内の複数の方向に対応する複数の情報が記憶装置10に記憶されている場合には、同様にして、液浸空間LSが所定状態に維持される、XY平面内における複数の所定方向のそれぞれについて、第1の移動距離、第2の移動距離、…、第nの移動距離のそれぞれに対応する基板Pの最高移動速度を決定すればよい。
以上説明したように、露光装置EXは、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態を維持可能な、基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を記憶装置10に追加することができる。
なお、基板Pの表面状態(膜)が変更されたときに、記憶装置10に新たに情報を追加する場合を説明したが、露光装置EXを使い始める前に、本実施形態で説明した手順を用いて、記憶装置10に記憶される情報を求めることができる。
また、本実施形態においては、基板Pの表面状態(膜)が変更されたときに、記憶装置10に新たに情報を追加する場合を例にして説明したが、制御装置4は、例えば所定時間間隔毎に、記憶装置10の記憶情報を更新するようにしてもよい。例えば、終端光学素子11の下面12、及び/または液浸部材13の下面14の状態(例えば液体LQに対する接触角)が変化すると、液体LQが漏出したり、残留したりする可能性が高くなる。そのような可能性がある場合には、例えば所定時間間隔毎に、本実施形態で説明した手順を用いて、終端光学素子11及び液浸部材13と基板Pとの間の液体LQが所定状態を維持可能な、基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を更新し、その更新後の記憶情報に基づいて、基板Pの移動条件を決定することにより、液体LQの漏出、残留等を抑制することができる。同様にして、プレート部材T(基板ステージ2)の移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報、及び計測ステージ3の移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報も更新することができる。
また、例えばプレート部材T(基板ステージ2)の上面16の状態が変化する可能性がある場合には、記憶装置10の記憶されている、プレート部材Tの移動速度と移動距離との関係に関する情報を更新することができる。例えばプレート部材Tの上面16の液体LQに対する撥液性が劣化した場合、液体LQが漏出したり、プレート部材T上に残留したりする可能性が高くなる。そのため、プレート部材Tの上面16の状態が変更されたときに、終端光学素子11及び液浸部材13とプレート部材T(基板ステージ2)との間の液体LQが所定状態を維持可能な、プレート部材T(基板ステージ2)の移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を更新し、その更新後の記憶情報に基づいて、プレート部材T(基板ステージ2)の移動条件を決定することにより、液体LQの漏出、残留等を抑制することができる。同様に、計測ステージ3の上面18の状態が変化する可能性がある場合には、記憶装置10の記憶情報を更新することができる。これにより、その更新後の記憶情報に基づいて、計測ステージ3の移動条件を決定することにより、液体LQの漏出、残留等を抑制することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
本実施形態の特徴的な部分は、検出システム9の検出結果に基づいて、液浸空間LSを形成する物体(終端光学素子11、液浸部材13、プレート部材T(基板ステージ2)、計測ステージ3の少なくとも一つを含む)の保守、メンテナンスを実行する点にある。
例えば、検出システム9の検出結果に基づいて、計測ステージ3を保守、メンテナンスなどを実行することができる。例えば、上述の第2実施形態のように、記憶装置10に記憶されている計測ステージ3の移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を更新したときに、液浸部材13の下面14の親液性が維持されているにもかかわらず、液体LQが所定状態を維持可能な計測ステージ3の最高移動速度が許容できないほど低下した場合には、計測ステージ3の上面18の撥液性が劣化(上面18が親液化)している可能性がある。本実施形態において、制御装置4は、液体LQが所定状態を維持可能な計測ステージ3の最高移動速度が低下した場合に、計測ステージ3の上面18をクリーニングしたり、計測ステージ3の上面18を形成する部品の交換要求をディスプレイに表示したりする。計測ステージ3の上面18をクリーニングしたり、上面18を形成する部品を交換したりすることによって、所望の表面状態を有する計測ステージ3を用いて液浸空間LSを形成することができる。
また、検出システム9の検出結果に基づいて、基板ステージ2のプレート部材Tの保守、メンテナンスを実行することもできる。例えば、上述の第2実施形態のように、記憶装置10に記憶されているプレート部材T(基板ステージ2)の移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を更新したときに、液浸部材13の下面14の親液性が維持されているにもかかわらず、液体LQが所定状態を維持可能なプレート部材T(基板ステージ2)の最高移動速度が許容できないほど低下した場合には、プレート部材Tの上面16の撥液性が劣化(上面16が親液化)している可能性がある。例えばプレート部材Tの上面16の撥液性が劣化していると判断した場合、制御装置4は、プレート部材Tの上面16をクリーニングしたり、プレート部材Tの交換要求をディスプレイに表示したりする。プレート部材Tの上面16をクリーニングしたり、プレート部材Tを交換したりすることによって、所望の表面状態を有するプレート部材Tを用いて液浸空間LSを形成することができる。
また、検出システム9の検出結果に基づいて、液浸部材13のメンテナンスを実行することができる。例えば、上述の第2実施形態のように、記憶装置10に記憶されている基板Pの移動速度Vと移動距離Lとの関係に関する情報を更新したときに、基板Pの表面状態が変更されていないにもかかわらず、液体LQが所定状態を維持可能な基板Pの最高移動速度が低下した場合には、液浸部材13の下面14の親液性が劣化(撥液化)している可能性がある。本実施形態において、制御装置4は、液体LQが所定状態を維持可能な基板Pの最高移動速度が許容できないほど低下した場合に、液浸部材13をクリーニングしたり、液浸部材13の交換要求をディスプレイに表示したりする。例えば、液浸部材13の下面14をクリーニングしたり、液浸部材13を交換したりすることによって、所望の表面状態を有する液浸部材13を用いて液浸空間LSを形成することができる。
なお、液浸部材13のクリーニングとして、液浸部材13の下面14に紫外光を照射して、液浸部材13の下面14を光洗浄してもよい。
また、メンテナンス処理は、例えばクリーニング用液体を用いたクリーニング処理であってもよい。例えば、供給口41よりクリーニング用液体を供給し、クリーニング用液体で液浸空間を形成することによって、終端光学素子11、液浸部材13、基板ステージ2(プレート部材T)、及び計測ステージ3等、露光用の液体LQと接触する部材を、クリーニング用液体で良好にクリーニングできる。
なお、上述の各実施形態に液浸部材13は一例であって、液浸空間を形成する部材は、米国特許出願公開第2006/0087630号公報、国際公開第2005/122221号公報などに開示されているものを用いてよい。
なお、上述の各実施形態において、投影光学系PLは、終端光学素子11の射出側(像面側)の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子11の入射側(物体面側)の光路空間も液体LQで満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、上述の実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系、あるいは基板の表面を形成する感光材(フォトレジスト)の膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル、セダー油等を用いることも可能である。また、液体LQとして、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英及び蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で、液体LQと接触する投影光学系PLの光学素子(終端光学素子など)を形成してもよい。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
また、例えば露光光ELがF2レーザ光である場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能なもの、例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フッ素系オイル等のフッ素系流体を用いることができる。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報、米国特許6,341,007号、米国特許6,400,441号、米国特許6,549,269号、及び米国特許6,590,634号、米国特許6,208,407号、米国特許6,262,796号などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置においては、各ステージ毎に、液体LQ(液浸空間LS)が所定状態を維持可能な、ステージの移動即と移動距離との関係に関する情報を求め、記憶装置に記憶することによって、その記憶情報を用いて、液体LQの漏出、残留等を抑制できる各ステージの移動条件を決定できる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計8A、8B、8Cを含む干渉計システムを用いてマスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の各位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージ1、2、3に設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムとの両方を備えるハイブリッドシステムとし、干渉計システムの計測結果を用いてエンコーダシステムの計測結果の較正(キャリブレーション)を行うことが好ましい。また、干渉計システムとエンコーダシステムとを切り換えて用いる、あるいはその両方を用いて、ステージの位置制御を行うようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、国際公開第1999/46835号パンフレット(対応米国特許7,023,610号)に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、前述の各照明領域と、投影領域がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状などでもよい。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、可変成形マスクとしては、DMDに限られるものでなく、DMDに代えて、以下に説明する非発光型画像表示素子を用いても良い。ここで、非発光型画像表示素子は、所定方向へ進行する光の振幅(強度)、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)以外に、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)等が例として挙げられる。また、反射型空間光変調器としては、上述のDMDの他に、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:Electro Phonetic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)等が例として挙げられる。
また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。この場合、照明系は不要となる。ここで自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。また、パターン形成装置が備える自発光型画像表示素子として、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、または複数の発光点を1枚の基板に作り込んだタイプのもの等を用い、該固体光源チップを電気的に制御してパターンを形成しても良い。なお、固体光源素子は、無機、有機を問わない。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図11に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
2…基板ステージ、3…計測ステージ、4…制御装置、9…フォーカス・レベリング検出システム、9A…照射装置、9B…受光装置、10…記憶装置、11…終端光学素子、12…射出面、13…液浸部材、14…液体接触面、16…上面、18…上面、21…第1面、22…第2面、23…第3面、80…搬送装置、EL…露光光、EX…露光装置、IL…照明系、K…光路空間、LQ…液体、LS…液浸空間、P…基板、PL…投影光学系、Rg…感光膜、S1〜S21…ショット領域、T…プレート部材、Tc…保護膜