以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ3と、基板Pを保持する基板ホルダ4Hを有し、基板ホルダ4Hに基板Pを保持して移動可能な基板ステージ4と、露光処理に関する計測を行う計測器を搭載し、基板ステージ4とは独立して移動可能な計測ステージ5と、各ステージの位置情報を計測するレーザ干渉システム6と、マスクステージ3に保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板P上に投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。また、制御装置7には、露光処理に関する各種情報を記憶した記憶装置8と、露光処理に関する情報を表示する表示装置9とが接続されている。表示装置9は、例えば液晶ディスプレイ等の画像を表示可能なディスプレイ装置を含んで構成されている。
なお、ここでいう基板は半導体ウエハ等の基材上に感光材(フォトレジスト)を塗布したものを含み、マスクは基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。なお、本実施形態においては、マスクとして透過型のマスクを用いるが、反射型のマスクを用いてもよい。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をY軸方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向をX軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、露光光ELの光路K1、K2を液体LQで満たす第1液浸システム1及び第2液浸システム2を備えている。第1液浸システム1及び第2液浸システム2の動作は制御装置7に制御される。
第1液浸システム1は、露光光ELが通る投影光学系PLの複数の光学素子LS1〜LS7のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1と、投影光学系PLの像面側に配置された基板ホルダ4H上の基板Pの表面との間の露光光ELの光路K1を液体LQで満たして第1液浸領域LR1を形成する。第2液浸システム2は、第1光学素子LS1と、第1光学素子LS1に次いで投影光学系PLの像面に近い第2光学素子LS2との間の露光光ELの光路K2を液体LQで満たして第2液浸領域LR2を形成する。また、本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板Pに投影している間、第1液浸システム1及び第2液浸システム2を用いて、露光光ELの光路K1、K2を液体LQで満たす。露光装置EXは、投影光学系PLと露光光ELの光路K1、K2に満たされた液体LQとを介してマスクMを通過した露光光ELを基板ホルダ4Hに保持された基板P上に照射することによって、マスクMのパターン像を基板P上に投影して、基板Pを露光する。また、本実施形態の露光装置EXは、第1光学素子LS1と基板Pとの間の露光光ELの光路K1に満たされた液体LQが、投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部の領域に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液体LQの第1液浸領域LR1を局所的に形成する局所液浸方式を採用している。
なお、本実施形態においては、主に第1液浸領域LR1が基板P上に形成される場合について説明するが、投影光学系PLの像面側において、第1光学素子LS1と対向する位置に配置された物体上、例えば基板ステージ4の一部や計測ステージ5の一部などにも形成可能である。
また、後に詳述するように、露光装置EXは、第1液浸領域LR1の状態、第2液浸領域LR2の状態、及び第1光学素子LS1の状態の少なくとも一部を計測(観察)する計測装置60を備えている。計測装置60は、基板Pとほぼ同じ外形を有しており、基板ホルダ4Hは、計測装置60を保持可能である。また、露光装置EXは、基板ホルダ4Hに対して基板Pを搬送する搬送装置10を備えている。搬送装置10は、基板ホルダ4Hに対して計測装置60を搬送可能である。計測装置60は、基板ホルダ4Hに保持された状態で、第1液浸領域LR1の状態、第2液浸領域LR2の状態、及び第1光学素子LS1の状態の少なくとも一部を計測(観察)する。
照明光学系ILは、マスクM上の所定の照明領域を均一な照度分布の露光光ELで照明するものである。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージ3は、リニアモータ等のアクチュエータを含むマスクステージ駆動装置3Dの駆動により、マスクMを保持した状態で、X軸、Y軸、及びθZ方向に移動可能である。マスクステージ3(ひいてはマスクM)の位置情報は、レーザ干渉システム6の一部を構成するレーザ干渉計6Mによって計測される。レーザ干渉計6Mは、マスクステージ3上に設けられた移動鏡3Kを用いてマスクステージ3の位置情報を計測する。制御装置7は、レーザ干渉計6Mの計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置3Dを駆動し、マスクステージ3に保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターン像を所定の投影倍率で基板Pに投影するものであって、複数の光学素子LS1〜LS7を有しており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ4は、基板Pを保持する基板ホルダ4Hを有しており、リニアモータ等のアクチュエータを含む基板ステージ駆動装置4Dの駆動により、基板ホルダ4Hに基板Pを保持した状態で、ベース部材BP上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ホルダ4Hは、基板ステージ4上に設けられた凹部4Rに配置されており、基板ステージ4のうち凹部4R以外の上面4Fは、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面となっている。なお、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの表面と、基板ステージ4の上面4Fとの間に段差があってもよい。
基板ステージ4(ひいては基板P)の位置情報は、レーザ干渉システム6の一部を構成するレーザ干渉計6Pによって計測される。レーザ干渉計6Pは、基板ステージ4に設けられた移動鏡4Kを用いて、基板ステージ4のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。また、基板ステージ4に保持されている基板Pの表面の面位置情報(Z軸、θX、及びθY方向に関する位置情報)は、不図示のフォーカス・レベリング検出系によって検出される。制御装置7は、レーザ干渉計6Pの計測結果及びフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置4Dを駆動し、基板ステージ4に保持されている基板Pの位置制御を行う。
計測ステージ5は、基準マークが形成された基準部材(計測部材)や各種の光電センサ等、露光処理に関する計測を行う計測器を搭載しており、リニアモータ等のアクチュエータを含む計測ステージ駆動装置5Dの駆動により、計測器を搭載した状態で、ベース部材BP上で、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。計測ステージ5の位置情報は、レーザ干渉システム6の一部を構成するレーザ干渉計6Pによって計測される。レーザ干渉計6Pは、計測ステージ5に設けられた移動鏡5Kを用いて、計測ステージ5のX軸、Y軸、及びθZ方向に関する位置情報を計測する。
制御装置7は、レーザ干渉計6Pの計測結果に基づいて、計測ステージ駆動装置5Dを駆動し、計測ステージ5の位置制御を行う。なお、計測ステージを備えた露光装置については、例えば特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報等により詳細に開示されている。
次に、第1液浸システム1及び第2液浸システム2について、図2を参照しながら説明する。図2は図1の要部を示す拡大図である。
第1液浸システム1は、投影光学系PLの第1光学素子LS1と、その第1光学素子LS1と対向する位置に配置され、基板ホルダ4Hに保持された基板Pとの間の露光光ELの光路K1を液体LQで満たすものである。第1液浸システム1は、第1光学素子LS1と基板Pとの間の露光光ELの光路K1の近傍に設けられ、その光路K1に対して液体LQを供給するための第1供給口12及び液体LQを回収するための第1回収口22を有する第1ノズル部材71と、第1供給管13、及び第1ノズル部材71の内部に形成された第1供給流路14を介して第1供給口12に液体LQを供給する第1液体供給装置11と、第1ノズル部材71の第1回収口22から回収された液体LQを、第1ノズル部材71の内部に形成された第1回収流路24、及び第1回収管23を介して回収する第1液体回収装置21とを備えている。第1供給口12と第1供給管13とは第1供給流路14を介して接続されており、第1回収口22と第1回収管23とは第1回収流路24を介して接続されている。本実施形態においては、第1ノズル部材71は、露光光ELの光路K1を囲むように環状に設けられており、液体LQを供給する第1供給口12は、第1ノズル部材71のうち、露光光ELの光路K1を向く内側面に設けられ、液体LQを回収する第1回収口22は、第1ノズル部材71のうち、基板Pの表面と対向する下面に設けられている。
第1液体供給装置11は、供給する液体LQの温度を調整する温度調整装置、液体LQ中の気体成分を低減する脱気装置、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えており、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。また、第1液体回収装置21は、真空系等を備えており、液体LQを回収可能である。第1液体供給装置11及び第1液体回収装置21の動作は制御装置7に制御される。第1液体供給装置11から送出された液体LQは、第1供給管13、及び第1ノズル部材71の第1供給流路14を流れた後、第1供給口12より露光光ELの光路K1に供給される。また、第1液体回収装置21を駆動することにより第1回収口22から回収された液体LQは、第1ノズル部材71の第1回収流路24を流れた後、第1回収管23を介して第1液体回収装置21に回収される。制御装置7は、第1液浸システム1を制御して、第1液体供給装置11による液体供給動作と第1液体回収装置21による液体回収動作とを並行して行うことで、第1光学素子LS1と基板Pとの間の露光光ELの光路K1を液体LQで満たし、基板P上の一部の領域に液体LQの第1液浸領域LR1を局所的に形成する。
第2液浸システム2は、投影光学系PLの第1光学素子LS1と、第2光学素子LS2との間の露光光ELの光路K2を液体LQで満たすものである。第2液浸システム2は、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の露光光ELの光路K2の近傍に設けられ、その光路K2に対して液体LQを供給するための第2供給口32及び液体LQを回収するための第2回収口42を有する第2ノズル部材72と、第2供給管33、及び第2ノズル部材72の内部に形成された第2供給流路34を介して第2供給口32に液体LQを供給する第2液体供給装置31と、第2ノズル部材72の第2回収口42から回収された液体LQを、第2ノズル部材72の内部に形成された第2回収流路44、及び第2回収管43を介して回収する第2液体回収装置41とを備えている。第2供給口32と第2供給管33とは第2供給流路34を介して接続されており、第2回収口42と第2回収管43とは第2回収流路44を介して接続されている。本実施形態においては、第2ノズル部材72は露光光ELの光路K2を囲むように環状に設けられており、鏡筒PKの下端に接続されている。また、本実施形態の第2ノズル部材72は、第1光学素子LS1を保持している。すなわち、本実施形態の第2ノズル部材72は、鏡筒PKの一部を構成している。
液体LQを供給する第2供給口32は、第2ノズル部材72のうち、露光光ELの光路K2を向く内側面に設けられ、液体LQを回収する第2回収口42は、第2ノズル部材72の露光光ELの光路K2を向く内側面のうち、光路K2を挟んで第2供給口32と対向する位置に設けられている。
第2液体供給装置31は、供給する液体LQの温度を調整する温度調整装置、液体LQ中の気体成分を低減する脱気装置、及び液体LQ中の異物を取り除くフィルタユニット等を備えており、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。また、第2液体回収装置41は、真空系等を備えており、液体LQを回収可能である。第2液体供給装置31及び第2液体回収装置41の動作は制御装置7に制御される。第2液体供給装置31から送出された液体LQは、第2供給管33、及び第2ノズル部材72の第2供給流路34を流れた後、第2供給口32より露光光ELの光路K2に供給される。また、第2液体回収装置31を駆動することにより第2回収口42から回収された液体LQは、第2ノズル部材72の第2回収流路44を流れた後、第2回収管43を介して第2液体回収装置41に回収される。制御装置7は、第2液浸システム2を制御して、第2液体供給装置31による液体供給動作を所定時間行うことで、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の露光光ELの光路K2を液体LQで満たし、第1光学素子LS1の上面に液体LQの第2液浸領域LR2を形成する。
本実施形態においては、少なくともマスクMのパターン像を基板Pに投影している間、制御装置7は、第1液浸システム1の第1供給口12からの液体供給動作と第1回収口22を介した液体回収動作とを並行して行う。一方、制御装置7は、少なくともマスクMのパターン像を基板Pに投影している間、第2液浸システム2の第2供給口32からの液体供給動作及び第2回収口42を介した液体回収動作を行わない。すなわち、制御装置7は、マスクMのパターン像を基板Pに投影する前に、第2供給口32から第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間に液体LQを供給し、露光光ELの光路K2を液体LQで予め満たしておき、マスクMのパターン像を基板Pに投影するときには、第2供給口32からの液体供給動作及び第2回収口42を介した液体回収動作を停止する。そして、制御装置7は、所定のタイミング(例えば所定基板処理枚数毎)で、露光光ELの光路K2を満たす液体LQの入れ換え(交換)作業を、第2供給口32及び第2回収口42を用いて実行する。
図3は基板ステージ4及び計測ステージ5の動作の一例を説明するための模式図である。制御装置7は、ステージ駆動装置4D、5Dを用いて、基板ステージ4及び計測ステージ5のそれぞれをベース部材BP上で互いに独立して移動可能である。また、制御装置7は、基板ステージ4と計測ステージ5との位置関係を調整可能である。例えば、図3に示すように、制御装置7は、基板ステージ4と計測ステージ5とを接近又は接触させることができ、基板ステージ4の上面4Fと計測ステージ5の上面5Fとをほぼ同じ高さ(面一)にすることができる。また、制御装置7は、投影光学系PLの直下の位置を含む所定領域内で、基板ステージ4の上面4Fと計測ステージ5の上面5Fとを接近又は接触させた状態で、基板ステージ4と計測ステージ5とをXY方向に一緒に移動することにより、第1液浸システム1によって形成された第1液浸領域LR1を、基板ステージ4の上面4Fと計測ステージ5の上面5Fとの間で移動することができる。
また、基板ステージ4の上面4Fは、液体LQに対して撥液性を有している。本実施形態においては、上面4Fは、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系材料等の撥液性を有する材料を含む。同様に、計測ステージ5の上面5Fも、液体LQに対して撥液性を有している。
また、図1に示したように、本実施形態においては、計測ステージ5には、第1液浸領域LR1の状態、第2液浸領域LR2の状態、及び第1光学素子LS1の状態を観察可能な観察カメラ100が設けられている。観察カメラ100は計測ステージ5の内部空間に配置されている。計測ステージ5の上面5Fには、内部空間に接続する開口が形成されており、その開口には石英等からなる透明部材103が配置されている。透明部材103の上面は平坦であり、計測ステージ5の上面5Fの一部を形成している。観察カメラ100は、透明部材103の上面を含む計測ステージ5の上面5Fに形成された第1液浸領域LR1の状態、第2液浸領域LR2の状態、及び第1光学素子LS1の状態を、透明部材103を介して観察可能である。観察カメラ100は、光学系102と、CCD(charge coupled device)等によって構成される撮像素子101とを備えている。撮像素子101は、液体及び光学素子等の画像(光学像)を透明部材103及び光学系102を介して取得可能である。撮像素子101は、取得した画像情報を制御装置7に出力する。制御装置7は、観察カメラ100の撮像結果に基づいて、第1液浸領域LR1の状態、第2液浸領域LR2の様態、及び第1光学素子LS1の状態の少なくとも一部を求めることができる。
次に、計測装置60について図4、図5、及び図6を参照しながら説明する。図4(A)は計測装置60を示す平面図、図4(B)は側面図である。また、図5は計測装置60の要部を示す平面図であり、図6は図5の側断面図である。
計測装置60は、基材61と、基材61に設けられたイメージセンサモジュール62とを備えている。基材61は、露光光ELが照射されるデバイスを製造するための基板Pとほぼ同じ外形を有しており、計測装置60は、基板ホルダ4Hに着脱可能に保持される。また、イメージセンサモジュール62のそれぞれは、基材61に対して着脱可能に設けられている。
本実施形態においては、基板Pは半導体ウエハを含むものであって、その基板Pの表面の法線方向から見た状態においてほぼ円形状であり、計測装置60の基材61もほぼ円形状である。また、本実施形態においては、基材61は、基板Pを形成する材料とほぼ同じ材料によって構成されている。すなわち、本実施形態においては、基材61は半導体ウエハを含む。
イメージセンサモジュール62は、所定の画像(光学像)を取得可能な撮像素子63と、撮像素子63の入射側に設けられたマイクロレンズ64と、撮像素子63に接続された回路素子69とを備えている。また、不図示ではあるが、イメージセンサモジュール62(又は基材61)には、撮像素子63や回路素子69等を駆動するため動力源(バッテリ)が設けられている。本実施形態において、撮像素子63は、CCD(charge coupled device)を含んで構成されており、受光した画像情報を含む光を電気信号(電荷)に変換する受光素子(フォトダイオード)63Aと、その電気信号を回路素子69に転送する転送電極63Bとを備えている。撮像素子63の受光素子63A及び転送電極63Bは、それぞれ複数設けられている。
マイクロレンズ64は、イメージセンサモジュール62の上面に配置されている。なお、マイクロレンズ64の表面には、このマイクロレンズ64を保護するための膜が被覆(コーティング)されている。マイクロレンズ64は、複数の受光素子63Aのそれぞれに対応するように複数設けられている。複数のマイクロレンズ64は、複数の受光素子63Aの入射側のそれぞれに設けられている。図6に示すように、マイクロレンズ64と受光素子63Aとの間には、光を透過可能な樹脂等からなる中間層65及び絶縁層66が設けられている。マイクロレンズ64より入射した光は、中間層65及び絶縁層66を介して、撮像素子63の受光素子63Aに入射する。受光素子63Aは、マイクロレンズ64、中間層65、及び絶縁層66を通過した光を受光する。受光素子63Aは、受光した光を電気信号に変換する。転送電極63Bは、受光素子63Aの電気信号(出力信号)を回路素子69に転送する。
本実施形態の回路素子69は、撮像素子63(転送電極63B)に接続され、その撮像素子63から出力された出力信号、すなわち撮像素子63の撮像結果を無線送信する送信装置を含んで構成されている。また、露光装置EXは、回路素子69(送信装置)から送信された撮像結果を含む無線信号を受信する受信装置20を備えている。受信装置20は制御装置7に接続されている。制御装置7は、マイクロレンズ64を介して撮像した撮像素子63の撮像結果、すなわち撮像素子63で撮像した画像情報を、送信装置を含む回路素子69を介して取得する。また、回路素子69は、撮像素子63で撮像した画像情報を圧縮した後、送信することもできる。
計測装置60の上面60Fは、液体LQに対して撥液性を有している。ここで、計測装置60の上面60Fとは、基板ホルダ4Hで保持したとき、露光光ELが通過する第1光学素子LS1と対向する面であり、イメージセンサモジュール62の上面(マイクロレンズ64が配置された面)を含む。したがって、投影光学系PLの光学素子LS1〜LS7のうち、第1光学素子LS1が、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fに最も近い位置に配置され、第2光学素子LS2が、第1光学素子LS1に次いで上面60Fに配置された構成となっている。そして、本実施形態においては、計測装置60の上面60Fには撥液性を有する膜が形成され、この膜によって、計測装置60の上面60Fに撥液性が付与されている。膜41は、例えばフッ素系材料等の撥液性を有する材料を含んで構成されている。
また、本実施形態の撮像素子63は、受光素子63Aを所定方向にライン状に並べたラインセンサを形成している。図においては、X軸方向に複数並んだ受光素子63Aによって1つのラインセンサが構成され、そのラインセンサがY軸方向に6つ並んで設けられている。すなわち、本実施形態においては、1つのイメージセンサモジュール62は、第1〜第6ラインセンサ67A〜67Fを備えている。そして、本実施形態においては、図4(A)に示すように、6つのラインセンサ67A〜67Fを有するイメージセンサモジュール62が、基材61の上面の中央、及びエッジ領域の複数(4箇所)の所定位置のそれぞれに設けられている。
上述のように、マイクロレンズ64は、複数の受光素子63Aのそれぞれに対応するように複数設けられている。以下の説明においては、第1〜第6ラインセンサ67A〜67Fのそれぞれに対応するように、すなわちラインセンサの長手方向(X軸方向)に複数並んで配置されたマイクロレンズ64の集合体を適宜、マイクロレンズアレイと称する。すなわち、本実施形態においては、図5に示すように、1つのイメージセンサモジュール62は、第1〜第6ラインセンサ67A〜67Fと、それら第1〜第6ラインセンサ67A〜67Fに対応するように、X軸方向に並んだ複数のマイクロレンズ64からなる第1〜第6マイクロレンズアレイ68A〜68Fとを備えた構成となっている。
本実施形態において、複数のマイクロレンズアレイ68A〜68Fのそれぞれは、互いに異なる焦点位置を有している。これにより、基板ホルダ4Hで計測装置60を保持したとき、その計測装置60上の各ラインセンサ67A〜68Fを構成する撮像素子63(受光素子63A)は、露光光ELの光路方向、すなわちZ軸方向における複数(6箇所)の互いに異なる位置での画像を取得することができる。
なお、マイクロレンズ64及び撮像素子63を含むイメージセンサモジュール62は、例えばフォトリソグラフィの手法を用いて形成可能である。フォトリソグラフィの手法を用いることにより、マイクロレンズ64及び撮像素子63を含むイメージセンサモジュール62を精度良く形成することができる。
図7は、上述の第1〜第6ラインセンサ67A〜67F、及びそれら第1〜第6ラインセンサ67A〜67Fに対応する第1〜第6マイクロレンズアレイ68A〜68Fのうち、1つのラインセンサ及びその1つのラインセンサに対応する1つのマイクロレンズアレイを拡大した模式図である。以下の説明においては、第1ラインセンサ67A及びその第1ラインセンサ67Aに対応する第1マイクロレンズアレイ68Aについて説明するが、他の第2〜第6ラインセンサ67B〜67F及び第2〜第6マイクロレンズアレイ68B〜68Fのそれぞれは、第1ラインセンサ67A及び第1マイクロレンズアレイ68Aと同等の構成を有するため、その説明を省略する。
第1マイクロレンズアレイ68Aは、第1マイクロレンズ64A及びその第1マイクロレンズ64Aに対して複数設けられた第2マイクロレンズ64Bからなるレンズモジュール64Mを複数有する。本実施形態においては、第2マイクロレンズ64Bは、第1マイクロレンズ64Aに対して3つ設けられている。
図7に示すように、第1マイクロレンズアレイ68Aは、X軸方向に並べられた複数のレンズモジュール64Mからなるレンズモジュール列64Lを有しており、そのレンズモジュール列64LはY軸方向に複数列並べられている。レンズモジュール列64Lの−X側の端と+X側の端との距離と、投影領域ARのX軸方向の距離とはほぼ等しく、本実施形態においては、1つの第1マイクロレンズアレイ68Aに関して、レンズモジュール64Mは、X軸方向に102組並べられている。そして、その102組のレンズモジュール64Mからなるレンズモジュール列64Lが、Y軸方向に3列並べられている。すなわち、第1マイクロレンズアレイ68Aは、102×3個のレンズモジュール64Mを含む。
レンズモジュール列64L同士は、X軸方向に関して1つの第2マイクロレンズ64Bの大きさ(X軸方向の大きさ)と所定の間隔分だけずれるように配置されている。本実施形態においては、第2マイクロレンズ64Bは、XY平面内において円形状であり、第2マイクロレンズ64Bの直径をD2、第2マイクロレンズ64B同士のX軸方向に関する距離(間隔)をD4としたとき、Y軸方向に関して互いに隣り合うレンズモジュール64M同士(レンズモジュール列64L同士)は、X軸方向に関して距離D2+D4だけずれるように配置されている。
図8は、1つのレンズモジュール64M及びそのレンズモジュール64Mに対応する受光素子63AのCCD画素63Gを示す斜視図、図9は、側断面図である。図8及び図9に示すように、本実施形態においては、第1マイクロレンズ64Aは、XY方向それぞれに曲率を有したシリンドリカルレンズを含む。
本実施形態においては、撮像素子63(受光素子63A)は、第2マイクロレンズ64Bのそれぞれに対応するように所定間隔でX軸方向に並べられた複数のCCD画素63Gからなる画素列63Lを複数有する。本実施形態においては、1つの第2マイクロレンズ64Bに対して、CCD画素63Gが7個設けられている。すなわち、1つの画素列63Lは、X軸方向に並べられた7個のCCD画素63Gによって構成されている。また、上述のように、1つのレンズモジュール64Mは、第2マイクロレンズ64を3つ有している。したがって、画素列63Lは、1つのレンズモジュール64Mに対して、3組設けられており、CCD画素63Gは、1つのレンズモジュール64Mに対して、21個設けられている。
以下の説明において、1つの第1マイクロレンズ64A、3つの第2マイクロレンズ64B、及び3組の画素列63L(21個のCCD画素63G)によって構成される、液体LQの状態を観察可能(計測可能)なモジュールを適宜、観察モジュール62M、と称する。すなわち、1つの観察モジュール62Mは、1組のレンズモジュール64Mと、3組の画素列63Lとを有する。また、上述のように、X軸方向に並べられた102組のレンズモジュール64Mからなるレンズモジュール列64Lは、Y軸方向に3列並べられており、観察モジュール62Mは、レンズモジュール列64Lに対応するように、X軸方向に102組配置されるとともに、Y軸方向に3列並べられている。
また、以下の説明において、1つの観察モジュール62Mに関して3組設けられた画素列63Lのうち、図9中、最も−X側の画素列63Lを適宜、左側画素列63L、と称し、最も+X側の画素列63Lを適宜、右側画素列63L、と称し、中央の画素列63Lを適宜、中央画素列63L、と称する。
図9に示すように、第1マイクロレンズ64Aと第2マイクロレンズ64Bとの間には、光を透過可能な樹脂等からなる第1中間層65Aが設けられ、第2マイクロレンズ64BとCCD画素63Gとの間には、光を透過可能な樹脂等からなる第2中間層65B及び絶縁層66が設けられている。第1マイクロレンズ64Aより入射した光は、第1中間層65Aを通過し、第2マイクロレンズ64Bを通過した後、第2中間層65B及び絶縁層66を介して、撮像素子63(受光素子63A)のCCD画素63Gに入射する。
図9において、第1マイクロレンズ64Aは、X軸方向に関して大きさD1を有し、第2マイクロレンズ64Bは、X軸方向に関して大きさ(直径)D2を有し、CCD画素63Gは、X軸方向に関して大きさD3を有し、第1マイクロレンズ64Aは、焦点距離F1を有し、第2マイクロレンズ64Bは、焦点距離F2を有する。また、第2マイクロレンズ64B同士のX軸方向に関する間隔はD4に設定されており、Z軸方向に関する第1中間層65Aの厚みはF3に設定されている。第2マイクロレンズ64Bの配置、画素列63Lの配置、大きさ等は、第1マイクロレンズ64Aの焦点距離F1等に応じて最適に設定されている。また、第1マイクロレンズ64Aの光軸と、X軸方向に3つ並んだ第2マイクロレンズ64Bのうち、中央の第2マイクロレンズ64Bの光軸とがほぼ同軸となるように、第1、第2マイクロレンズ64A、64Bのそれぞれが配置されている。また、第1マイクロレンズ64Aの光軸に対して、X軸方向に3つ並んだ第2マイクロレンズ64Bのうち、左側の第2マイクロレンズと右側の第2マイクロレンズとが対称に配置されている。
また、第2マイクロレンズ64Bのそれぞれの光軸に、7個のCCD画素63Gのうち、中央の第4CCD画素63Gが配置されるように、第2マイクロレンズ64Bと画素列63Lとの位置関係が設定されている。
本実施形態においては、第1マイクロレンズ64Aの大きさD1は、200μmであり、第2マイクロレンズ64Bの大きさD2は、50μmであり、CCD画素63Gの大きさD3は、6μmであり、第1マイクロレンズ64Aの焦点距離F1は、500μmであり、第2マイクロレンズ64Bの焦点距離F2は、50μmであり、第2マイクロレンズ64B同士の間隔D4は、35μmであり、第1中間層65Aの厚みF3は、50μmである。
図9において、例えば第1マイクロレンズ64Aの焦点位置FU1に物体が配置された場合、その焦点位置FU1に配置された物体の像は、図9中、ラインL1で示すように、左側画素列63Lの7個のCCD画素63Gのうち、第4CCD画素63G上に形成される(結像される)。同様に、焦点位置FU1に配置された物体の像は、中央画素列63L及び右側画素列63Lそれぞれの7個のCCD画素63Gのうち、第4CCD画素63G上に形成される(結像される)。
図9において、第1マイクロレンズ64Aの焦点位置FU1よりも−Z側の位置FU2に物体が配置された場合、その位置FU2に配置された物体の像は、図9中、ラインL2で示すように、左側画素列63Lの7個のCCD画素63Gのうち、第4CCD画素63Gよりも−X側(左側)の第3CCD画素63G上に形成され、右側画素列63Lの7個のCCD画素63Gのうち、第4CCD画素63Gよりも+X側(右側)の第5CCD画素63G上に形成される。また、位置FU2に配置された物体の像は、図9中、ラインL2で示すように、中央画素列63Lの7個のCCD画素63Gのうち、第4CCD画素63Gを含む領域にぼけて形成される。また、焦点位置FU1と位置FU2との距離が大きくなるほど、位置FU2に配置された物体の像は、左側画素列63Lにおいて、第4CCD画素63Gに対して−X側(左側)に離れた位置に形成され、右側画素列63Lにおいて、第4CCD画素63Gに対して+X側(右側)に離れた位置に形成され、中央画素列63Lにおいて、第4CCD画素63Gを含む領域にぼけて形成される。
図9において、第1マイクロレンズ64Aの焦点位置FU1よりも+Z側の位置FU3に物体が配置された場合、その位置FU3に配置された物体の像は、図9中、ラインL3で示すように、左側画素列63Lの7個のCCD画素63Gのうち、第4CCD画素63Gよりも+X側(右側)の第5CCD画素63G上に形成され、右側画素列63Lの7個のCCD画素63Gのうち、第4CCD画素63Gよりも−X側(左側)の第3CCD画素63G上に形成される。また、位置FU3に配置された物体の像は、図9中、ラインL3で示すように、中央画素列63Lの7個のCCD画素63Gのうち、第4CCD画素63Gを含む領域にぼけて形成される。また、焦点位置FU1と位置FU3との距離が大きくなるほど、位置FU3に配置された物体の像は、左側画素列63Lにおいて、第4CCD画素63Gに対して+X側(右側)に離れた位置に形成され、右側画素列63Lにおいて、第4CCD画素63Gに対して−X側(左側)に離れた位置に形成され、中央画素列63Lにおいて、第4CCD画素63Gを含む領域にぼけて形成される。
なお、位置FU1、FU2、FU3のそれぞれは、第1マイクロレンズ64Aの光軸上の位置である。
一例として、焦点位置FU1に対して−Z側に200μmの位置FU2に物体が配置された場合、その位置FU2に配置された物体の像は、焦点位置FU1に配置された物体の像に対して、左側画素列63Lにおいて−X側に約7μmの位置に形成され、右側画素列63Lにおいて+X側に約7μmの位置に形成される。また、焦点位置FU1に対して+Z側に200μmの位置FU3に物体が配置された場合、その位置FU3に配置された物体の像は、焦点位置FU1に配置された物体の像に対して、左側画素列63Lにおいて+X側に約3μmの位置に形成され、右側画素列63Lにおいて−X側に約3μmの位置に形成される。なお、これらの数値は、近軸光線計算法等の所定の演算手法を用いて導出可能である。
このように、第1マイクロレンズ64Aの焦点位置FU1と物体が配置される位置FU2、FU3との距離(位置関係)と、画素列63L上において焦点位置FU1に配置された物体の像が形成される位置と位置FU2、FU3に配置された物体の像が形成される位置との距離(位置関係)とは対応関係にあり、第1マイクロレンズ64Aの焦点位置FU1に対する物体の位置に応じて、左側画素列63L及び右側画素列63Lのそれぞれにおける物体の像の形成位置(結像位置)が変化する。
したがって、制御装置7は、複数(7個)のCCD画素63Gからなる左側画素列63L及び右側画素列63Lのうち、物体の像が形成されるCCD画素63Gを検出することによって、換言すれば、7×2個のCCD画素63Gのうち、どのCCD画素63Gが物体を検出したかを求めることによって、焦点位置FU1に対するZ軸方向における物体の位置を求めることができる。
また、制御装置7は、焦点位置FU1に配置された物体の像が形成される画素列63Lにおける位置(第4CCD画素63G上の所定位置)を検出基準位置として予め求めたり、予め制御装置7に記憶しておくことによって、その記憶情報と、画素列63L上において物体の像が形成される位置を検出した検出結果とに基づいて、画素列63L上における検出基準位置に対する物体の像の形成位置を検出することができる。また、画素列63L上における検出基準位置に対する物体の像の形成位置と、焦点位置FU1に対する物体の配置位置との関係は対応関係にあり、予め求めたり、予め制御装置7に記憶することができる。制御装置7は、画素列63L上における検出基準位置に対する物体の像の形成位置を検出することによって、その検出結果と、上述の記憶情報とに基づいて、焦点位置FU1に対する物体のZ軸方向に関する位置を求めることができる。
また、観察モジュール62Mは、XY平面内において複数配置されている。上述のように、本実施形態においては、観察モジュール62Mは、X軸方向に102組配置されるとともに、Y軸方向に3列並べられている。制御装置7は、各CCD画素63Gの出力に基づいて、複数の観察モジュール62Mのうち、第1マイクロレンズ64Aの光軸上(中央の第2マイクロレンズ64Bの光軸上)から一番近い位置に物体が配置された観察モジュール62Mを選択する。基材61上における各観察モジュール62Mの位置情報は、例えば設計値上既知であり、制御装置7は、レーザ干渉システム6を用いて、基材61を保持した基板ステージ4の位置情報を計測することによって、レーザ干渉システム6によって規定される座標系内(XY方向における座標系内)における各観察モジュール62Mの位置情報を計測可能である。制御装置7は、複数の観察モジュール62Mのうち、第1マイクロレンズ64Aの光軸上から一番近い位置で物体の像を検出できた観察モジュール62Mを選択し、その選択された観察モジュール62MのXY方向の位置情報に基づいて、物体のXY方向に関する位置を求めることができる。
なお、第1マイクロレンズ64Aの焦点距離F1に応じて、画素列63Lにおける検出基準位置と物体の像の形成位置との距離が変化するので、第1マイクロレンズ64Aの焦点距離F1に応じて、CCD画素63Gの大きさD3、あるいは数を最適化することによって、焦点位置FU1に対する物体の位置を良好に検出することができる。例えば、第1マイクロレンズ64の焦点距離F1が大きいほど、画素列63Lにおける検出基準位置に対する物体の像の形成位置のずれ量は小さくなるので、第1マイクロレンズ64の焦点距離F1が大きい場合には、CCD画素63Gの大きさD3を小さくすることが望ましい。
後述するように、制御装置7は、計測装置60(イメージセンサモジュール62)を用いて、液体LQ中の異物を検出することができる。以下、観察モジュール62Mを含む計測装置60(イメージセンサモジュール62)を用いて、液浸領域LR1、LR2の液体LQ中の異物を検出する動作の一例について説明する。
制御装置7は、複数の観察モジュール62Mのうち、第1マイクロレンズ64Aの光軸上から一番近い位置で物体(異物)の像を検出できる観察モジュール62Mを探し出すために、各画素列63LのCCD画素63Gからの出力をモニタしつつ、液浸領域LR1、LR2に対して、観察モジュール62Mを含む計測装置60を保持した基板ステージ4をXY方向に移動する。制御装置7は、各観察モジュール62Mの各画素列63LのCCD画素63Gからの出力結果に基づいて、複数の観察モジュール62Mのうち、第1マイクロレンズ64Aの光軸上から一番近い位置で物体(異物)の像を検出できた観察モジュール62Mを選択する。
本実施形態においては、レンズモジュール列64L同士が、X軸方向に関して1つの第2マイクロレンズ64Bの大きさD2と第2マイクロレンズ64B同士の間隔D4との和の距離分だけずれるように配置されているので、計測装置60をY軸方向に移動したときに、Y軸方向に並んでいる3列のレンズモジュール列64Lのうち、やがていずれかのレンズモジュール列64Lの第1マイクロレンズ64Aの光軸上に物体(異物)を配置することができる。計測装置60をY軸方向に移動したときに、Y軸方向に並んでいる3列の観察モジュール62Mのうち、やがていずれかの観察モジュール62Mの第1マイクロレンズ64Aの光軸上から一番近い位置で物体(異物)の像を検出することができ、複数の観察モジュール62Mのうち、第1マイクロレンズ64Aの光軸上から一番近い位置で物体(異物)の像を検出できる観察モジュール62Mを素早く探し出すことができる。
複数の観察モジュール62Mのうち、第1マイクロレンズ64Aの光軸上から一番近い位置で物体(異物)の像を検出できた観察モジュール62Mを選択し、物体(異物)のXY方向における位置情報を求めた後、その選択された観察モジュール62Mの左側画素列63L及び右側画素列63LそれぞれのCCD画素63Gの出力に基づいて、第1マイクロレンズ64Aの焦点位置FU1に対する物体(異物)のZ軸方向における位置情報を求める。
このように、制御装置7は、観察モジュール62Mを用いて、液浸領域LR1、LR2の液体LQ中の物体(異物)のX軸、Y軸、及びZ軸方向の位置情報を求めることができる。また、観察モジュール62Mは、撮像素子63(CCD画素63G)を含み、そのCCD画素63Gで撮像した画像情報に基づいて、物体(異物)の大きさに関する情報、及び形状に関する情報を求めることができる。
また、液体LQ中の物体(異物)の大きさ、数によって、複数の観察モジュール62Mのうち、選択される観察モジュール62Mの位置、数が変化する。ここで、選択される観察モジュール62Mとは、第1マイクロレンズ64Aの光軸上から一番近い位置に物体(異物)が配置される観察モジュール62Mである。したがって、それら選択された観察モジュール62Mの位置、数によっても、物体(異物)の大きさ、数等を求めることができる。
図10は基板ホルダ4Hに保持された状態の計測装置60を示す図である。図10に示すように、基板ホルダ4Hは計測装置60を保持可能である。搬送装置10は、基板ホルダ4Hに対して計測装置60及び基板Pのそれぞれを搬送可能である。本実施形態の基板ホルダ4Hは、基材50と、基材50の上面に設けられ、計測装置60の下面60Sを支持する複数のピン状部材からなる支持部51と、計測装置60の下面60Sと対向する上面を有し、支持部51を囲むように設けられた周壁52とを備えている。また、基材50の上面には、不図示の真空系と接続された吸気口53が設けられている。制御装置7は、真空系を駆動し、基材50と周壁52と支持部51に支持された計測装置60の下面60Sとの間で形成される空間54の気体を吸気口53を介して吸引することによってその空間54を負圧にすることにより、計測装置60の下面60Sを支持部51で吸着保持する。すなわち、本実施形態の基板ホルダ4Hは、所謂ピンチャック機構を備えた構成となっており、計測装置60及び基板Pを吸着保持可能である。また、制御装置7は、吸気口53を介した吸引動作を解除することにより、基板ホルダ4Hに対して計測装置60(基板P)を離すことができる。このように、基板ステージ4に設けられた基板ホルダ4Hは、計測装置60及び基板Pのそれぞれを着脱可能に保持する。
基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fの周囲には、基板ステージ4の上面4Fが配置される。計測装置60の上面60Fと基板ステージ4の上面4Fとはほぼ面一となっている。また、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の側面と対向する位置には、基板ステージ4の凹部4Rの内側面が配置されている。計測装置60の側面と基板ステージ4の内側面との間には所定のギャップが形成されている。計測装置60は基板Pとほぼ同じ外形を有しているため、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の側面と基板ステージ4の内側面との間に形成されるギャップと、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの側面と基板ステージ4の内側面との間に形成されるギャップとはほぼ同じ(0.1〜1mm程度)である。したがって、計測装置60の上面60Fと基板ステージ4の上面4Fとの間から液体LQが基板ステージ4の内部や計測装置60の下面60S側に浸入することが抑制されている。また、基板ステージ4の上面4F及び計測装置60の上面60Fは撥液性であるので、液体LQが基板ステージ4の内部や計測装置60の下面60S側に浸入することが抑制されている。
次に、計測装置60を用いて第1液浸領域LR1の状態、及び第2液浸領域LR2の状態を計測するときの動作について、図11を参照しながら説明する。図11は計測装置60が第1液浸領域LR1及び第2液浸領域LR2の状態を観察(計測)している状態を示す図である。計測装置60は、基板ホルダ4Hに保持された状態で、第1液浸領域LR1の状態、及び第2液浸領域LR2の状態を計測する。制御装置7は、第1、第2液浸システム1、2を用いて、第1、第2液浸領域LR1、LR2を形成し、計測装置60を用いて、第1光学素子LS1と計測装置60の上面60Fとの間に満たされた液体LQの状態(第1液浸領域LR1の状態)、及び第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間に満たされた液体LQの状態(第2液浸領域LR2の状態)を観察する。イメージセンサモジュール62は、基材61に装着された状態で、第1液浸領域LR1の状態、及び第2液浸領域LR2の状態を観察する。計測装置60の撮像素子63は、第1液浸領域LR1、及び第2液浸領域LR2を形成する液体LQの画像を、マイクロレンズ64を介して取得する。
上述のように、複数のマイクロレンズアレイ68A〜68Fのそれぞれは、互いに異なる焦点位置を有している。例えば、第1マイクロレンズアレイ68Aは、第1液浸領域LR1のうちZ軸方向において下側、すなわち、計測装置60の上面60F近傍に焦点位置を有し、第2マイクロレンズアレイ68Bは、第1液浸領域LR1のうちZ軸方向において中間位置に焦点位置を有し、第3マイクロレンズアレイ68Cは、第1液浸領域LR1のうちZ軸方向において上側、すなわち、第1光学素子LS1の下面近傍に焦点位置を有し、第4マイクロレンズアレイ68Dは、第2液浸領域LR2のうちZ軸方向において下側、すなわち、第1光学素子LS1の上面近傍に焦点位置を有し、第5マイクロレンズアレイ68Eは、第2液浸領域LR2のうちZ軸方向において中間位置に焦点位置を有し、第6マイクロレンズアレイ68Fは、第2液浸領域LR2のうちZ軸方向において上側、すなわち、第2光学素子LS2の下面近傍に焦点位置を有している。
したがって、計測装置60の各ラインセンサ67A〜67Fは、各マイクロレンズアレイ68A〜68Fを介した光を受光することによって、露光光ELの光路方向(Z軸方向)における互いに異なる位置での液体LQの状態を観察し、その画像を取得することができる。
また、液体LQの状態を観察(計測)するとき、制御装置7は、基板ステージ4を制御して、露光光ELの光路K1、K2に対して、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fを移動しつつ、液体LQの状態を観察する。ここで、計測装置60は、ラインセンサ67A〜67Fの長手方向とX軸方向とがほぼ平行となるように、基板ホルダ4Hに保持されており、制御装置7は、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fを、Y軸方向に移動しつつ、その計測装置60を用いて液体LQの状態を観察する。
これにより、複数のラインセンサ67A〜67Fのそれぞれは、第1液浸領域LR1、及び第2液浸領域LR2のほぼ全域の画像を取得できる。
また、ラインセンサ67A〜67FのX軸方向の大きさ(長さ)を、第1液浸領域LR1、及び第2液浸領域LR2のX軸方向の大きさよりも大きく形成しておくことにより、計測装置60のY軸方向への移動の回数が少なくても(例えば1回)、各ラインセンサ67A〜67Fのそれぞれは、第1液浸領域LR1、及び第2液浸領域LR2のほぼ全域の画像を取得することができる。
また、制御装置7は、第1液浸領域LR1の状態、及び第2液浸領域LR2の状態のみならず、第1光学素子LS1の状態を観察することができる。例えば、マイクロレンズアレイの焦点位置を、第1光学素子LS1の下面、及び第1光学素子LS1の上面の少なくとも一方に設定することにより、制御装置7は、計測装置60のラインセンサからの出力信号に基づいて、第1光学素子LS1の下面の表面状態、及び第1光学素子LS1の上面の表面状態の少なくとも一方を観察することができる。また、マイクロレンズアレイの焦点位置を第2光学素子LS2の下面に設定することにより、第2光学素子LS2の下面の表面状態を観察することも可能である。
また、制御装置7は、第1液浸領域LR1及び第2液浸領域LR2の状態を求めるために、計測装置60の計測結果を解析し、その解析結果に基づいて、第1、第2液浸領域LR1、LR2の液体LQが所望状態か否かを判別することができる。具体的には、制御装置7は、露光光ELの光路K1、K2を満たす液体LQ中に異物が有るか否かを判別する。異物には、液体LQ中の気泡(bubble)や気塊(void)等の気体部分、及びパーティクル等が含まれる。また、露光光ELの光路K1を満たす液体LQは基板Pと接触するが、異物としては、基板Pから発生した物質(例えば感光材の一部)や、空中の不純物も含まれる。また、基板Pから発生した物質等は、第1ノズル部材71、供給管13、及び回収管23等の液体LQと接触する部材の一部に付着する可能性があるが、その付着した異物が液体LQに混入する可能性もある。また、露光光ELの光路K1、K2を満たす液体LQ中や、液体LQに接触する部材(供給管13、33、光学素子LS1、SL2等)に生菌(バクテリア)が発生する可能性があるが、異物としてはバクテリアも含まれる。また、制御装置7は、計測装置60を用いて、液体LQの汚染状態を計測することもできる。
また、制御装置7は、計測装置60を用いて、第1光学素子LS1の下面及び上面の少なくとも一方に気泡、パーティクル、及びバクテリアを含む異物が付着しているか否かを判別することもできる。また、第1光学素子LS1の下面及び上面の少なくとも一方の汚染状態を計測することもできる。第1光学素子LS1の下面には、基板Pの表面と接触した液体LQが接触するため、基板Pから発生した物質(例えば感光材の一部)や、空中の不純物が付着する可能性があるが、制御装置7は、その異物を計測装置60を用いて計測することができる。
また、制御装置7は、撮像素子63から出力された信号(画像情報)を画像処理し、第1液浸領域LR1の液体LQの画像、第2液浸領域LR2の液体LQの画像、及び第1光学素子LS1の画像の少なくとも一部を表示装置9で表示することができる。
図12は露光装置EXを含むデバイス製造システムの概略を示す模式図である。露光装置EXを含むデバイス製造システムSYSは、工場内に設けられ、それぞれ通信手段COM(通信ラインやLAN等のネットワークなど)を含む通信装置を介して接続されており、基板Pの露光処理を行う露光装置EX、露光処理されるべき基板P(半導体ウエハ等の基材)に感光材等を塗布する塗布装置及び露光処理された基板Pを現像する現像装置を含むコータ・デベロッパ装置CD、露光工程の管理を行う露光工程管理コントローラEC、計測装置60等から出力される各種データの解析等を行うデータ処理装置DA、及び基板Pの検査・測定を行う検査・測定装置MT等を備えており、これらは工場内生産管理ホストシステムMCによって管理される。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について、図13及び図14のフローチャート図を参照しながら説明する。
本実施形態では、制御装置7は、所定のタイミングで、計測装置60を用いた観察動作を実行するが、計測装置60を用いた観察動作を行う前に、第1、第2液浸領域LR1、LR2の液体LQの状態を観察するときの観察条件が設定される(ステップSA1)。観察条件としては、計測装置60の計測結果を解析するときの解析方式、計測装置60の計測感度、及び計測装置60を用いた観察を行うタイミング等が挙げられる。
第1、第2液浸領域LR1、LR2の状態を求めるために、制御装置7は、計測装置60の計測結果を解析し、その解析結果に基づいて、第1、第2液浸領域LR1、LR2の液体LQが所望状態か否かを判別するが、本実施形態では、以下の(1)〜(3)の方式のうち、少なくとも一部の解析方式を用いて、計測装置60の計測結果を解析する。
(1)Z軸方向画像比較方式
これは、露光光ELの光路方向(Z軸方向)における互いに異なる位置での計測装置60の計測結果同士を比較し、その比較結果に基づいて、液体LQの状態を求める方式である。具体的には、各ラインセンサ67A〜67Fのそれぞれからの出力信号に基づく画像同士を比較し、その比較結果に基づいて、液体LQが所望状態か否か、すなわち液体LQ中に例えば気泡等の異物が有るか否かが判断される。本実施形態の各ラインセンサ67A〜67Fは、Z軸方向における互いに異なる6つの位置の画像情報を取得可能であるが、その6つの位置に同時に異物が存在する状況が発生することはほぼ無いと考えられる。したがって、6つの位置の画像を比較し、そのうちの例えば1つの画像が他の画像と異なる場合には、その異なる画像を取得したラインセンサで計測された位置(Z位置)に、異物が存在すると判断される。なお、この方式では、Z軸方向における互いに異なる位置での画像を比較するが、XY方向に関しては、同じ位置での画像であることが好ましい。
すなわち、レーザ干渉計6Mで、計測装置60を保持した基板ステージ4の位置情報を計測しつつ、基板ステージ4をXY方向に動かしながら、計測装置60の各ラインセンサ67A〜67Fを用いて画像を取得することにより、制御装置7は、レーザ干渉計6Mの計測結果と、各ラインセンサ67A〜67Fの出力信号とに基づいて、XY方向についてはほぼ同じ位置で、Z軸方向について互いに異なる位置での画像を取得できる。
(2)参照画像比較方式
これは、予め求められている正常状態での基準画像情報と、計測装置60の計測結果とに基づいて、液体LQの状態を求める方式である。具体的には、異物等が存在していない正常状態(理想的な状態)の液体LQの画像情報(基準画像)が実験又はシミュレーション等によって予め求められ、その基準画像が記憶装置8に記憶される。記憶装置8には、各ラインセンサ67A〜67Fの計測位置(各マイクロレンズアレイ68A〜68Fの焦点位置)に対応するように、複数の基準画像が記憶される。そして、計測装置60の各ラインセンサ67A〜67Fのそれぞれの出力信号に基づいて取得した画像情報と、記憶装置8に記憶してある基準画像情報とが比較され、その比較した結果に基づいて、液体LQが所望状態か否かが判断される。
なお、基準画像を求める場合には、まず、制御装置7が、計測装置60及び観察カメラ100の少なくとも一方で液体LQの状態の画像を取得し、その画像を表示装置9で表示する。そして、例えば作業者が、表示装置9で表示された画像に基づいて、正常状態の液体LQの画像であるか否かを判断する。そして、正常状態であると判断された画像が基準画像として採用され、記憶装置8に記憶される。ここで、計測ステージ5に搭載された観察カメラ100が計測装置60よりも高精度に画像を取得可能であるならば、観察カメラ100で取得した画像に基づいて、基準画像が決定されることが好ましい。
(3)特徴抽出方式
これは、予め求められている異常状態での基準画像情報と、計測装置60の計測結果とに基づいて、液体LQの状態を求める方式である。例えば、異物が存在するなど異常状態の液体LQを撮像したときの撮像素子63は、異物の種類(特徴)に応じた出力信号を出力する。すなわち、撮像素子63は、異物の大きさ、形状等の特徴に応じた出力信号を出力する。例えば、液体LQ中に気泡が存在する場合と、パーティクルが存在する場合とでは、撮像素子63の出力信号、あるいはその出力信号に基づいて所定の演算処理(例えば微分処理)を行った結果が互いに異なる可能性がある。そこでまず、その異物の特徴などを含む異常状態の液体LQの画像情報(基準画像)が実験又はシミュレーション等によって予め求められる。求められた基準画像は記憶装置8に記憶される。記憶装置8には、異物の特徴に対応するように、複数の基準画像が記憶される。そして、計測装置60の計測結果と、記憶装置8に記憶してある基準画像情報とが比較され、その比較した結果に基づいて、液体LQが所望状態か否かが判断される。
本実施形態においては、ステップSA1において、特徴抽出方式が指定される。解析方式として特徴抽出方式を採用することで、液体LQ中の異物の種類(特徴)が判別可能となる。例えば、液体LQ中に存在する異物が気泡なのかパーティクルなのかが判別可能となる。なお、上述の(1)〜(3)の各解析方式を適宜組み合わせて用いてもよい。
なお、本実施形態では、計測装置60の計測結果を上述の(1)〜(3)の方式で露光装置EX内の制御装置7において解析するようにしているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、露光装置EX外部に解析用の装置を別に設け、その外部解析装置にて行うようにしてもよい。例えば、図12に示したデータ処理装置DAにおいて上述の(1)〜(3)の方式でデータ解析を行うようにしてもよい。
また、計測装置60の計測感度は、基板P上に形成される目標パターン形状精度(目標線幅精度)に応じて設定される。例えば、高い線幅精度が要求される場合には、液体LQ中に存在する異物がたとえ微小又は少量であっても、その液体LQが所望状態でないと判断されるように、計測装置60の計測感度が高く設定される。また、線幅精度が比較的低くても許容される場合には、予め定められた許容レベル以下の異物は、異物として判断されないように、計測装置60の計測感度が設定される。換言すれば、基板Pの目標露光精度(目標パターン転写精度)に応じて、液体LQ中の異物(液体LQの品質)に関する許容値が設定される。液体LQの状態と基板P上に形成されるパターン形状との関係は、実験、シミュレーション、及び履歴データの少なくとも一部に基づいて予め求めることができ、その関係と目標パターン形状精度(目標線幅精度)とに基づいて、計測装置60の計測感度が設定される。また、計測装置60の計測感度(液体LQ中の異物に関する許容値)は、例えばロット毎に設定される。
また、計測装置60を用いた観察を行うタイミングとしては、所定基板処理枚数毎、所定ロット処理数毎、所定時間間隔毎等が挙げられる。また、本実施形態では、所定のタイミングで、露光光ELの光路K2を満たす液体LQの入れ換え(交換)作業が、第2供給口32及び第2回収口42を用いて行われるが、露光光ELの光路K2を満たす液体LQの入れ換え作業を行った後毎に、計測装置60を用いた観察を行うことができる。本実施形態では、露光光ELの光路K2を満たす液体LQの入れ換え作業を、所定処理基板枚数毎に行うものとし、計測装置60を用いた観察動作は、後述する初期満たし動作の後、及び所定処理基板枚数毎(すなわち露光光ELの光路K2を満たす液体LQの入れ換え作業を行った後毎)に実行するものとする。
また、ステップSA1においては、後述するように、液体LQ中に存在する気泡の消滅を待つための待ち時間T、所定の処理を繰り返し行うときの繰り返し回数(以下適宜、リトライ回数、と称する)Th1、Th2等も設定される。本実施形態では、待ち時間Tは10秒に設定され、リトライ回数Th1は6回に設定され、リトライ回数Th2は2回に設定される。
ステップSA1において観察条件の設定が行われた後、制御装置7は、搬送装置10を用いて、基板ステージ4の基板ホルダ4Hに対して計測装置60を搬入(ロード)する(ステップSA2)。計測装置60は、露光装置EX内の所定の収容位置に予め収容されており、搬送装置10は、その収容位置から基板ホルダ4Hに計測装置60を搬送する。このとき、露光装置EXは、露光に関する所定の動作を行う前の初期状態であり、露光光ELの光路K1、K2には液体LQは存在していない。制御装置7は、搬送装置10によって搬入された計測装置60を、基板ホルダ4Hに保持する。
なお、計測装置60を基板ホルダ4Hに搬入する前に、基板ホルダ4Hに対する計測装置60の大まかな位置合わせ(プリアライメント)が実行される。計測装置60には、プリアライメントで用いる切り欠き(ノッチ、オリエンテーションフラットなど)が設けられていてもよい。
基板ホルダ4Hに計測装置60を保持した後、制御装置7は、基板ステージ4を制御して、基板ステージ4の基板ホルダ4Hに保持された計測装置60を、計測位置に移動する。すなわち、制御装置7は、投影光学系PLの第1光学素子LS1と基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fとが対向するように、基板ステージ4を動かす。
そして、制御装置7は、投影光学系PLの第1光学素子LS1と基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fとを対向させた状態で、第2液浸システム2を用いて、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の光路K2を液体LQで満たして、第2液浸領域LR2を形成する動作を開始する(ステップSA3)。
以下の説明においては、液体LQが存在していない初期状態(空の状態)における露光光ELの光路を液体LQで満たすために、その光路に対して液体LQを供給する動作を適宜、初期満たし動作、と称する。すなわち、初期満たし動作とは、液体LQが無い状態の露光光ELの光路に対して液体LQを供給することによって、液浸領域を形成する動作を言う。
なお、投影光学系PLと基板ステージ4とを対向させた状態で初期満たし動作を行っているとき、計測ステージ5は、所定位置に退避している。また、初期満たし動作の開始が指令された後、カウンタ(m、n)が初期値に設定される(ステップSA4、SA5)。
制御装置7は、第2液浸システム2を用いて、第2液浸領域LR2を形成した後、計測装置60を用いて、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間に満たされた液体LQの状態(第2液浸領域LR2の状態)を観察する(ステップSA6)。液体LQの状態を観察するときには、図11を参照して説明したように、制御装置7は、露光光ELの光路K2と基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fとを相対的に移動しつつ、第2液浸領域LR2の状態を観察する。
撮像素子63で取得された第2液浸領域LR2に関する画像情報は、送信装置を含む回路素子69を介して制御装置7に出力される。制御装置7は、計測装置60の計測結果を解析し、その解析した結果に基づいて、露光光ELの光路K2を満たす液体LQが所望状態であるか否かを判別する(ステップSA7)。
ステップSA7において、露光光ELの光路K2を満たす液体LQが所望状態であると判断された場合、すなわち、露光光ELの光路K2上に気泡等の異物が存在しない、あるいは、液体LQ中に存在する異物の大きさ又は量が許容値以下であると判断された場合、露光光ELの光路K2の初期満たし動作が終了する(ステップSA8)。
一方、ステップSA7において、露光光ELの光路K2を満たす液体LQが所望状態でないと判断した場合、制御装置7は、液体LQの不具合が気泡によるものか否かを判別する(ステップSA24)。
ステップSA24において、液体LQ中に気泡が存在すると判断した場合、制御装置7は、カウンタnが予め定められたリトライ回数Th1(6回)を超えたか否かを判別する(ステップSA25)。カウンタnがリトライ回数Th1を超えていないと判断した場合、制御装置7は、液体LQ中に存在する気泡が消滅するのを所定時間T(10秒)だけ待つ(ステップSA26)。また、このとき、カウンタnが1つ加算される。本実施形態では、第2液体供給装置31は脱気装置を備えており、第2供給口32から露光光ELの光路K2に供給された液体LQは脱気されたものである。そのため、露光光ELの光路K2を満たす液体LQ中に気泡が生成された場合でも、所定時間Tだけ待つことで、その脱気された液体LQに気泡を溶け込ませて、その気泡を消滅させることができる可能性がある。そこで、制御装置7は、液体LQ中に気泡が存在すると判断した場合、所定時間Tだけ待つ。そして、所定時間Tだけ待った後、制御装置7は、計測装置60を用いて、第2液浸領域LR2の状態を観察し(ステップSA6)、第2液浸領域LR2の液体LQが所望状態であると判断した場合、初期満たし動作を終了する(ステップSA8)。
また、ステップSA25において、カウンタnがリトライ回数Th1(6回)を超えたと判断した場合、制御装置7は、カウンタmが予め定められたリトライ回数Th2(2回)を超えたか否かを判別する(ステップSA27)。具体的には、ステップSA27においては、露光光ELの光路K2の液体LQの入れ換え作業を、所定回数Th2以上実行したか否かが判断される。カウンタmがリトライ回数Th2を超えていないと判断した場合、制御装置7は、露光光ELの光路K2の液体LQの入れ換え作業を、第2供給口32及び第2回収口42を用いて実行する(ステップSA28)。すなわち、制御装置7は、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の露光光ELの光路K2に満たされている液体LQを第2回収口42を介して回収するとともに、第2供給口32から新たな液体LQを露光光ELの光路K2に対して供給する。また、このとき、カウンタmが1つ加算される。露光光ELの光路K2を満たす液体LQ中に異物が存在する場合でも、液体LQの入れ換え作業を実行することにより、その異物を露光光ELの光路K2から取り去ることができる可能性がある。そこで、制御装置7は、液体LQ中に気泡等の異物が存在すると判断した場合、液体LQの入れ換え作業を行う。そして、液体LQの入れ換え作業を実行した後、制御装置7は、計測装置60を用いて、第2液浸領域LR2の状態を観察し(ステップSA6)、第2液浸領域LR2の液体LQが所望状態であると判断した場合、初期満たし動作を終了する(ステップSA8)。
ステップSA24において、液体LQの不具合が気泡によるものではないと判断した場合、制御装置7は、液体LQの不具合が気泡以外の異物、例えばパーティクル(ゴミ)や汚れによるものであるか否かを判別する(ステップSA29)。ステップSA29において、液体LQ中に気泡以外の異物が存在すると判断した場合、制御装置7は、露光光ELの光路K2の液体LQの入れ換え作業を、第2供給口32及び第2回収口42を用いて実行する(ステップSA28)。その後、制御装置7は、計測装置60を用いて、第2液浸領域LR2の状態を観察する(ステップSA6)。
ステップSA29において、液体LQの不具合が異物によるものでは無いと判断した場合、制御装置7は、露光シーケンスを中断する(ステップSA30)。また、ステップSA27において、液体LQの入れ換え作業が所定回数Th2以上行われたと判断された場合も、制御装置7は、露光シーケンスを中断する(ステップSA30)。
以上、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の露光光ELの光路K2に対する初期満たし動作、液体LQの計測装置60による計測動作、及び計測装置60の計測結果に基づく動作について説明した。本実施形態では、計測装置60の計測結果に基づいて、第2液浸領域LR2が所望状態であると判断された後、第1光学光学素子LS1と基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fとの間の露光光ELの光路K1に対する初期満たし動作、及びその光路K1に満たされた液体LQの状態(第1液浸領域LR1の状態)の計測装置60による計測動作が実行される。制御装置7は、露光光ELの光路K1に対する初期満たし動作、その光路K1に満たされた液体LQの状態の計測装置60による計測動作、及び計測装置60の計測結果に基づく動作を、図13のフローチャート図を用いて説明した手順とほぼ同様に実行することができる。
なお、ここでは、まず第2液浸領域LR2を形成した後、その第2液浸領域LR2の状態を観察し、次いで、第1液浸領域LR1を形成した後、その第1液浸領域LR1の状態を観察しているが、第1液浸領域LR1を形成した後、その第1液浸領域LR1の状態を観察し、次いで、第2液浸領域LR2を形成した後、その第2液浸領域LR2の状態を観察するようにしてもよい。また、第1液浸領域LR1及び第2液浸領域LR2をほぼ同時に形成した後、第1液浸領域LR1の状態と第2液浸領域LR2の状態とをほぼ同時に観察するようにしてもよい。
なお、上述の初期満たし動作は、投影光学系PLの第1光学素子LS1と計測ステージ5の上面5Fとを対向させた状態で行ってもよい。この場合、第1液浸領域LR1及び第2液浸領域LR2の状態は、計測ステージ5に設けられた観察カメラ100で観察(計測)される。また、このときに、上述の参照画像比較方式や特徴抽出方式に基づいて計測装置60の計測結果を解析するときに用いる基準画像を取得するようにしてもよい。
初期満たし動作が終了した後、露光処理を開始する旨の指令が発せられる(ステップSA9)。制御装置7は、基板ホルダ4H上の計測装置60を用いた観察動作が終了した後、図3を参照して説明したように、基板ステージ4と計測ステージ5とを接触(又は接近)させ、基板ステージ4と計測ステージ5との相対的な位置関係を維持しつつ、ステージ駆動装置4D、5Dを用いて、基板ステージ4と計測ステージ5とをXY平面内で一緒に移動することによって、第1液浸領域LR1を、基板ステージ4の上面4Fから計測ステージ5の上面5Fへ移動する(ステップSA10)。そして、制御装置7は、計測ステージ5上の計測器(計測部材)を用いた所定の計測処理を実行する。この計測としては、例えばアライメント系のベースライン計測や、露光光ELの照度計測などが挙げられる。
また、計測ステージ5上の計測器(計測部材)を用いた計測動作を行っている間、制御装置7は、基板ステージ4を基板交換位置(ローディングポジション)に移動する。そして、制御装置7は、基板ホルダ4Hによる計測装置60の保持を解除する。そして、基板交換位置(ローディングポジション)において、基板ステージ4の基板ホルダ4Hから計測装置60が搬出(アンロード)されるとともに、デバイスを製造するための露光処理されるべき基板Pが基板ホルダ4Hに搬入(ロード)される(ステップSA11)。
基板ステージ4に対する基板Pのロードが完了するとともに、計測ステージ5において計測器(計測部材)を用いた計測が終了した後、制御装置7は、図3を参照して説明したように、基板ステージ4と計測ステージ5とを接触(又は接近)させ、基板ステージ4と計測ステージ5との相対的な位置関係を維持しつつ、ステージ駆動装置4D、5Dを用いて、基板ステージ4と計測ステージ5とをXY平面内で一緒に移動することによって、第1液浸領域LR1を、基板ステージ4の上面4Fから計測ステージ5の上面5Fへ移動する(ステップSA12)。
第1液浸領域LR1の基板ステージ4上への移動が完了すると、制御装置7は、基板ステージ4から計測ステージ5を離し、計測ステージ5を所定の退避位置へ移動し、基板Pを露光する(ステップSA13)。制御装置7は、露光光ELの光路K1、L2を液体LQで満たした状態で、露光光ELの光路に対して基板PをY軸方向に移動しつつ、液体LQを介して基板P上に露光光ELを照射する。
基板ステージ4上の基板Pに対する液浸露光を終了した後、制御装置7は、ステージ駆動装置4D、5Dを用いて、基板ステージ4の上面4Fと計測ステージ5の上面5Fとを接触(又は接近)させる。そして、制御装置7は、基板ステージ4と計測ステージ5とをXY平面内で一緒に移動して、第1液浸領域LR1を計測ステージ5上に移動する(ステップSA14)。そして、制御装置7は、基板ステージ4を基板交換位置などの所定位置に退避させる。そして、制御装置7は、予め定められた所定枚数の基板Pを露光したか否かを判別する(ステップSA15)。制御装置7は、未だ所定枚数の基板Pを露光していないと判断したとき、基板交換位置に移動した基板ステージ4上より露光済みの基板Pをアンロードするとともに、次に露光処理されるべき基板Pを基板ステージ4にロードするといった基板交換作業を行う(ステップSA31)。
そして、基板ステージ4上に露光処理されるべき基板Pがロードされた後、制御装置7は、上述のステップSA12同様、第1液浸領域LR1を基板ステージ4上に移動し、その基板Pを液浸露光する。そして、その基板Pの露光が終了した後、制御装置7は、第1液浸領域LR1を計測ステージ5上に移動するとともに、基板ステージ4を基板交換位置に移動し、基板交換作業を行う。このように、制御装置7は、基板ステージ4上と計測ステージ5上との間での液浸領域LR1の移動、基板交換位置での基板交換作業、及び基板ステージ4上の基板Pの液浸露光等の所定の処理(ステップSA9〜SA12)を所定回数繰り返す。
所定枚数の基板Pの露光処理が終了すると(ステップSA16)、制御装置7は、搬送装置10を用いて、基板ステージ4の基板ホルダ4Hに対して計測装置60を搬入し(ステップSA17)、計測装置60を用いた観察動作を開始する(ステップSA18)。基板ホルダ4Hに対する計測装置60の搬入は、基板交換位置(ローディングポジション)で行われる。このとき、第1液浸領域LR1は、計測ステージ5の上面5Fに形成されている。
基板ホルダ4Hに計測装置60が保持されるとともに、計測ステージ5での計測が終了した後、制御装置7は、基板ステージ4を制御して、基板ステージ4の基板ホルダ4Hに保持された計測装置60を、計測位置に移動する。すなわち、制御装置7は、基板ステージ4と計測ステージ5とを接触(又は接近)させ、基板ステージ4と計測ステージ5との相対的な位置関係を維持しつつ、ステージ駆動装置4D、5Dを用いて、基板ステージ4と計測ステージ5とをXY平面内で一緒に移動することによって、第1液浸領域LR1を、計測ステージ5の上面5Fから基板ステージ4の上面4Fへ移動する。そして、制御装置7は、投影光学系PLの第1光学素子LS1と基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fとが対向するように、基板ステージ4の位置調整を行う。第1液浸領域LR1は、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fに形成される。また、制御装置7は、第2液浸システム2を用いて、露光光ELの光路K2を満たす液体LQの入れ換え作業を行う。また、観察動作の開始が指令された後、カウンタ(m、n)が初期値に設定される(ステップSA19、SA20)。
そして、制御装置7は、計測装置60を用いて、第1光学素子LS1と計測装置60の上面60Fとの間に満たされた液体LQの状態(第1液浸領域LR1の状態)、及び第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間に満たされた液体LQの状態(第2液浸領域LR2の状態)を観察する(ステップSA21)。
液体LQの状態を観察するとき、制御装置7は、図11を参照して説明したように、基板ステージ4を制御して、露光光ELの光路K1、K2に対して、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60FをY軸方向に移動しつつ、液体LQの状態を観察する。
ここでは、制御装置7は、計測装置60を用いて、第1液浸領域LR1の状態と第2液浸領域LR2の状態とをほぼ同時に観察する。制御装置7は、計測装置60を用いて、第1液浸領域LR1、及び第2液浸領域LR2のほぼ全域の画像を取得する。制御装置7は、計測装置60の各ラインセンサ67A〜67Fを用いて、露光光ELの光路方向(Z軸方向)における互いに異なる位置での画像を取得する。
撮像素子63で取得された第1液浸領域LR1、及び第2液浸領域LR2に関する画像情報は、送信装置を含む回路素子69を介して制御装置7に出力される。制御装置7は、計測装置60からの出力信号を解析し、その結果に基づいて、光路K1、K2を満たす液体LQが所望状態であるか否かを判別する(ステップSA22)。
ステップSA22において、露光光ELの光路K1、K2を満たす液体LQが所望状態であると判断された場合、計測装置60を用いた観察動作が終了する(ステップSA23)。そして、制御装置7は、基板Pの露光処理を継続する。
一方、ステップSA22において、露光光ELの光路K1、K2のうち、例えば露光光ELの光路K2を満たす液体LQが所望状態でないと判断した場合、制御装置7は、液体LQの不具合が気泡によるものか否かを判別する(ステップSA32)。
ステップSA32において、液体LQ中に気泡が存在すると判断した場合、制御装置7は、カウンタnが予め定められたリトライ回数Th1を超えたか否かを判別する(ステップSA33)。カウンタnがリトライ回数Th1を超えていないと判断した場合、制御装置7は、液体LQ中に存在する気泡が消滅するのを所定時間Tだけ待つ(ステップSA34)。所定時間Tだけ待った後、制御装置7は、計測装置60を用いて、第2液浸領域LR2の状態を観察し(ステップSA21)、第2液浸領域LR2の液体LQが所望状態であると判断した場合、観察動作を終了する(ステップSA23)。
また、ステップSA33において、カウンタnがリトライ回数Th1を超えたと判断した場合、制御装置7は、カウンタmが予め定められたリトライ回数Th2(2回)を超えたか否かを判別する(ステップSA35)。カウンタmがリトライ回数Th2を超えていないと判断した場合、制御装置7は、露光光ELの光路K2の液体LQの入れ換え作業を実行する(ステップSA36)。そして、液体LQの入れ換え作業を実行した後、制御装置7は、計測装置60を用いて、第2液浸領域LR2の状態を観察し(ステップSA21)、第2液浸領域LR2の液体LQが所望状態であると判断した場合、観察動作を終了する(ステップSA23)。
ステップSA32において、液体LQの不具合が気泡によるものではないと判断した場合、制御装置7は、液体LQの不具合が気泡以外の異物、例えばパーティクル(ゴミ)や汚れによるものであるか否かを判別する(ステップSA37)。ステップSA37において、液体LQ中に気泡以外の異物が存在すると判断した場合、制御装置7は、露光光ELの光路K2の液体LQの入れ換え作業を実行する(ステップSA36)。その後、制御装置7は、計測装置60を用いて、第2液浸領域LR2の状態を観察する(ステップSA21)。
ステップSA37において、液体LQの不具合が異物によるものでは無いと判断した場合、制御装置7は、露光シーケンスを中断する(ステップSA38)。また、ステップSA35において、液体LQの入れ換え作業が所定回数Th2以上行われたと判断された場合も、制御装置7は、露光シーケンスを中断する(ステップSA38)。
以上、第1光学素子LS1と第2光学素子LS2との間の露光光ELの光路K2を満たす液体LQの観察動作、及びその観察結果に基づく動作について説明した。制御装置7は、露光光ELの光路K1を満たす液体LQの観察動作、及びその観察結果に基づく動作を、図14のフローチャート図を用いて説明した手順とほぼ同様に実行することができる。
また、制御装置7は、計測装置60の計測結果に基づいて、基板Pを良好に露光するための適切な処置を講ずることができる。例えば、制御装置7は、計測装置60の計測結果に基づいて、露光条件を調整する。露光条件は、露光光ELの光路を液体LQで満たすときの液浸条件、及び露光光の光路に対して基板Pを移動するときの移動条件を含む。
液浸条件には、露光光ELの光路に液体LQを供給するときの液体供給条件、及び液体LQを回収するときの液体回収条件が含まれる。例えば、上述のステップSA7、SA22において、露光光ELの光路K2を満たす液体LQが所望状態でないと判断され、その液体LQの不具合が気泡によるものと判断された場合には、制御装置7は、第2液体供給装置31の脱気装置による脱気処理条件を調整する。例えば、制御装置7は、気泡の生成を抑え、液体LQ中の気泡の消滅を促進するために、脱気装置の脱気能力を上昇させる。
また、例えば、制御装置7は、第2供給口32から露光光ELの光路K2に液体LQを供給するときの単位時間当たりの液体供給量(供給する液体の流速)、及び第2回収口42を介した単位時間当たりの液体回収量の少なくとも一方を調整することができる。例えば、供給する液体の流速を変えることにより、露光光ELの光路K2を満たす液体LQ中での気泡の生成を抑えることができる可能性がある。同様に、単位時間当たりの液体回収量を変えることにより、気泡の生成を抑えることができる可能性がある。
また、ステップSA28、SA36等において、第2供給口32及び第2回収口42を用いて露光光ELの光路K2を満たす液体LQの入れ換え(交換)作業を実行する場合、計測装置60の計測結果に基づいて、露光光ELの光路K2に満たされている液体LQを第2回収口42を介して全て回収した後、第2供給口32から新たな液体LQを露光光ELの光路K2に対して供給するようにしてもよいし、露光光ELの光路K2に満たされている液体LQの一部を第2回収口42を介して回収した後、第2供給口32から新たな液体LQを露光光ELの光路K2に対して供給するようにしてもよい。例えば、異物の量が多い場合等には、液体LQを全て入れ換え、異物の量が比較的少ない場合には、一部の液体LQを入れ換えるようにしてもよい。
同様に、上述のステップSA7、SA22において、露光光ELの光路K1を満たす液体LQが所望状態でないと判断され、その液体LQの不具合が気泡によるものと判断された場合には、制御装置7は、第1液体供給装置11の脱気装置による脱気処理条件を調整することができる。また、制御装置7は、第1供給口12から露光光ELの光路K1に液体LQを供給するときの単位時間当たりの液体供給量(供給する液体の流速)、及び第1回収口22を介した単位時間当たりの液体回収量の少なくとも一方を調整することができる。
また、ステップSA6、SA21等において、制御装置7は、光路K1(K2)に対する液体LQの供給条件及び回収条件の少なくとも一方を含む液浸条件を変えながら液体LQの状態を計測装置60を用いて計測(観察)し、その計測結果に基づいて、液体LQが所望状態となるような液浸条件を求めることができる。例えば、第1の液浸条件で露光光ELの光路K1(K2)を液体LQで満たしつつその液体LQの状態を計測したとき、その第1の液浸条件においては液体LQに気泡が生成される等、不具合が生じる場合には、制御装置7は、第2の液浸条件で露光光ELの光路K1(K2)を液体LQを満たしつつ、液体LQの状態を計測する。そして、第2の液浸条件においては液体LQが所望状態である場合には、その第2の液浸条件を、実際に基板Pを露光するときの液浸条件に反映させる。
このように、制御装置7は、基板Pの露光に先立って、液浸条件を変えながら液体LQの状態を順次計測し、その計測結果に基づいて、基板Pを露光するときの液浸条件を決定することができる。
また、本実施形態においては、制御装置7は、露光光ELの光路K1、K2と基板Pとを露光光ELの光路に対して略垂直方向(Y軸方向)に相対的に移動しながら基板Pを露光するが、その基板Pと接触する露光光ELの光路K1を満たす液体LQの状態は、基板Pの移動条件に応じて変化する可能性がある。基板Pの移動条件とは、露光光ELの光路K1に対する基板Pの移動速度、加速度(減速度)、移動方向、及び所定の一方向に基板Pを移動するときの移動距離の少なくとも一部を含む。例えば、基板Pの移動速度に応じて、液体LQ中に気泡が生成されやすくなったり、あるいは、露光光ELの光路K1から液体LQが流出する可能性がある。本実施形態においては、露光光ELの光路K1を満たす液体LQの状態を計測装置60を用いて計測(観察)するとき、制御装置7は、基板ホルダ4H上の計測装置60を移動するため、基板Pを露光するときの移動条件とほぼ同等の条件の下で、液体LQの状態を計測(観察)することができる。
また、ステップSA6、SA21等において、制御装置7は、計測装置60を露光光ELの光路K1に対して所定の移動条件で移動しながらその光路K1を満たす液体LQの状態を計測(観察)し、その計測結果に基づいて、液体LQが所望状態となるような移動条件を求めることができる。例えば、計測装置60を第1の移動条件で移動しつつ液体LQの状態を計測したとき、その第1の移動条件においては液体LQに気泡が生成される等、不具合が生じる場合には、制御装置7は、計測装置60を第2の移動条件で移動しつつ液体LQの状態を計測する。そして、第2の移動条件においては液体LQが所望状態である場合には、その第2の移動条件を、実際に基板Pを露光するときの移動条件に反映させる。
このように、制御装置7は、基板Pの露光に先立って、計測装置60の移動条件を変えながら液体LQの状態を順次計測し、その計測結果に基づいて、基板Pを露光するときの移動条件を決定することができる。
また、第1液浸領域LR1と基板Pとの位置関係、ひいては第1液浸領域LR1に接触する物体の表面条件に応じて、露光光ELの光路K1を満たす液体LQの状態が変化する可能性がある。例えば、第1液浸領域LR1を、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの上面のエッジ領域と基板ステージ4の上面4Fとに跨るようにして形成し、その状態で基板Pを所定の移動条件で移動した場合、液体LQ中に気泡が生成されたり、液体LQが流出する等の不具合が生じる可能性がある。本実施形態では、計測装置60は基板Pとほぼ同じ外形を有しており、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fのエッジ領域と基板ステージ4の上面4Fとに跨るようにして形成される第1液浸領域LR1の状態を、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの上面と基板ステージ4の上面4Fとに跨るようにして形成される第1液浸領域LR1の状態とほぼ同じにすることができる。したがって、計測装置60の上面60Fのエッジ領域に配置されたイメージセンサモジュール62を用いて、基板ホルダ4Hに保持された基板Pの上面のエッジ領域と基板ステージ4の上面4Fとに跨るようにして形成される第1液浸領域LR1とほぼ同じ状態の第1液浸領域LR1の状態を計測することができる。そして、基板ホルダ4Hに保持された計測装置60の上面60Fのエッジ領域と基板ステージ4の上面4Fとに跨るようにして第1液浸領域LR1を形成した状態で、その計測装置60を第3の移動条件で移動し、その第3の移動条件においては液体LQに不具合が生じる場合には、制御装置7は、計測装置60を第4の移動条件で移動しつつ液体LQの状態を計測する。そして、第4の移動条件においては液体LQが所望状態である場合には、その第4の移動条件を、実際に基板Pのエッジ領域を露光するときの移動条件に反映させる。
また、露光条件には、基板Pのうち露光光ELの光路K1を満たす液体LQと接触する接触面条件が含まされる。基板Pのうち液体LQと接触する接触面条件とは、液体LQに対する接触角が含まれる。基板Pの液体LQと接触する接触面の液体LQに対する接触角に応じて、液体LQ中に気泡が生成されやすくなったり、液体LQが流出しやすくなる可能性がある。例えば、基板Pが、半導体ウエハ等の基材上に、感光材からなる第1膜、あるいはその第1膜を覆う第2膜を備えている場合、それら膜の種類(物性)等に応じて、液体LQに対する接触角が変化する可能性がある。なお、第2膜としては、第1膜を覆うトップコート膜と呼ばれる撥液性の膜や、反射防止膜等が挙げられる。そのため、計測装置60の上面60Fの液体LQに対する接触角を調整しつつ、計測装置60を用いて露光光ELの光路K1を満たす液体LQの状態を計測し、制御装置7は、その計測結果に基づいて、基板Pを露光するときに液体LQの状態が所望状態となるような、基板Pの液体LQに対する接触角を求めることができる。そして、そのような接触角を有する種類(物性)の膜を基板Pに塗布することで、液体LQを所望状態に維持しつつ、基板Pを露光することができる。
このように、制御装置7は、基板Pの露光に先立って、計測装置60のうち液体LQと接触する上面60Fの条件(接触角条件)を変えながら液体LQの状態を順次計測し、その計測結果に基づいて、基板Pのうち液体LQと接触する接触面条件を決定することができる。
また、ステップSA7、SA22等において、液体LQが異常状態であると判断した場合には、制御装置7は、例えば液体LQが異常である旨(液体LQ中に異物が存在する旨)を表示装置9で表示することができる。また、制御装置7は、表示装置9を用いて、例えば作業者に、第2液体供給装置31(第1液体供給装置11)のフィルタユニット等のメンテナンスの実行を指示することができる。また、計測装置60の計測結果に基づいて、液体LQが異常状態であると判断した場合、表示装置9は、画像のみならず、音や光を用いて、警告を発することができる。
また、計測装置60の計測結果は、図12を参照して説明したような、露光装置EXの各種周辺装置に出力されるようにしてもよい。例えば、上述の第1膜や第2膜が、図12に示したコータ・デベロッパ装置CDによって半導体ウエハ等の基板Pの基材上に塗布される場合には、計測装置60の計測結果を、コータ・デベロッパ装置CDに出力することができる。コータ・デベロッパ装置CDは、計測装置60の計測結果に基づいて、露光装置EXにおいて基板Pが良好に露光されるように、例えば液体LQに対して最適な接触角を有する所定の第1膜(又は第2膜)を基板Pの基材上に塗布する。
また、例えば、第1のタイミングの後、計測装置60を用いた計測動作を行い、その後、複数の基板Pを順次露光した後、第2のタイミングで計測装置60を用いた計測動作を行った場合において、第2のタイミングでの計測装置60の計測結果が異常である場合、制御装置7は、例えば、露光後の基板Pの検査を行う検査・測定装置MTに、第1のタイミングと第2のタイミングとの間で露光した基板Pの検査を、通常時よりも(例えば第1のタイミングより前に露光された基板Pの検査時よりも)、詳細に(重点的に)行う旨の指示を発することもできる。また、第1のタイミングと第2のタイミングとの間で露光された基板Pは、露光不良(エラー)である可能性が高いため、制御装置7は、例えば、露光工程管理コントローラECに対して、その基板Pを取り除いたり、次の重ね合わせ露光のときは露光しないようにする等の処置を施すように指示することができる。
このように、計測装置60の計測結果を周辺装置に出力し、その出力結果に基づいて、周辺装置が制御されるようにしてもよい。また、計測装置60の計測結果を周辺装置に無線送信するようにしてもよい。周辺装置に、計測装置60から無線送信される計測結果を受信可能な受信装置を設けることにより、それら周辺装置は、計測装置60の計測結果に基づいて、所定の処理を実行することができる。
また、制御装置7は、計測装置60の計測結果を、記憶装置8に記憶することができる。また、上述のように、本実施形態においては、所定のタイミング(例えば所定基板処理枚数毎)で、計測装置60を用いた液体LQの状態の計測動作が行われるが、制御装置7は、計測装置60の計測結果を、時間経過に対応付けて記憶することができる。以下の説明では、計測装置60の計測結果を時間経過に対応付けて記憶した情報を適宜、「ログ情報」と称する。制御装置7は、ログ情報を用いて、露光不良(エラー)の解析を行うことができる。
例えば、ログ情報に基づいて、第1液体供給装置11を構成する各調整装置(脱気装置、フィルタユニット等の液体LQの品質を調整する調整装置)を最適なタイミングでメンテナンス(点検・交換)することができる。また、ログ情報に基づいて、各調整装置に応じた点検・交換の頻度を最適に設定できる。例えば、ログ情報より、異物の量が時間経過に伴って悪化している場合、時間経過に伴う計測値の変化の度合いに基づいて、例えばフィルタユニットの最適な交換時期(交換頻度)を予測し、設定することができる。
また、ログ情報は、時間経過に対応付けた液体LQの状態に関する情報であるため、どの時点から液体LQの状態が悪化したかを特定することができる。したがって、露光不良の発生原因を時間経過に対応付けて解析することができる。基板Pを露光後、その後工程である検査工程で検査・測定装置MTを用いて基板Pを検査したとき、検査結果とログ情報とを照合・解析することで、不具合原因の解析及び特定を行うことができる。
なお、図12に示したような、データ処理装置DAが、ログ情報を用いて、露光不良(エラー)の解析を行うようにしてもよい。
また、計測装置60の計測結果に基づいて、例えば第1光学素子LS1が汚染していると判断したときには、制御装置7は、第1光学素子LS1のメンテナンスを表示装置9を用いて指示したり、あるいは液体LQの供給条件を調整して第1光学素子LS1を洗浄する等の処置を講ずることができる。
以上説明したように、計測装置60を用いて、液体LQの状態、及び第1光学素子LS1の状態を効率良く把握することができる。本実施形態の計測装置60は、デバイスを製造するための基板Pとほぼ同じ外形を有しており、省スペース化、低コスト化を図ることができる。また、本実施形態の計測装置60の発熱は小さいため、発熱に起因する露光精度の劣化や、周辺機器への影響を抑えることができる。
また、本実施形態の計測装置60は、搬送装置10を用いて搬送でき、また基板ホルダ4Hで保持できる等、ハンドリングが容易である。そして、計測装置60は、デバイスを製造するための基板Pの露光シーケンス中において、容易に露光光ELの光路上(液浸領域と対向する位置)に配置可能であり、必要に応じて、任意のタイミングで、計測装置60を基板ホルダ4Hにロードして、液体LQの観察を円滑に且つ容易に行うことができる。また、計測装置60は、基板ホルダ4Hに対して着脱可能であるため、計測装置60のメンテナンスも容易に行うことができる。
また、本実施形態においては、露光光ELの光路と計測装置60の上面60Fとを相対液に移動しつつ、液体LQの状態を観察しているので、デバイスを製造するための基板Pを露光するときの条件とほぼ同じ条件での液体LQの状態を観察することができる。
なお、本実施形態においては、計測装置60を用いた観察動作は、例えば所定基板処理枚数毎に行われているが、露光装置EXの状態に応じて、その観察動作の頻度を適宜設定することができる。例えば、計測装置60の計測結果のログ情報を参照し、例えば、計測装置60の計測値が時間経過に伴って急速に悪化している場合等、液体LQの状態が急速に変化している場合には、観察動作の頻度を高めることができる。
なお、上述の実施形態においては、イメージセンサモジュール62は、基材61上に5つ設けられているが、その数及び配置は任意に設定可能である。例えば、デバイスを製造するための基板P上に設定されたショット領域に対応した数及び配置で基材61上に設けるようにしてもよい。
なお、上述の実施形態では、撮像素子63で撮像した画像情報を制御装置7が解析しているが、撮像素子63で撮像した画像情報を回路素子69が解析するようにしてもよい。
そして、回路素子69で解析した結果(液体LQの状態の判断結果)を、制御装置7等に送信するようにしてもよい。
なお、上述の実施形態において、基材61を形成する材料としては、基板Pを形成する材料と同じものでなくてもよく、液体LQと接触した場合に、その液体LQに与える影響が少ない材料であれば、任意の材料を用いることができる。例えば、基板61は、チタン等の金属や、例えばPTFE(ポリテトラフロエラエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)などのフッ素系樹脂を含む材料によって形成可能である。これらの材料は、液体(水)LQに不純物(汚染物質)を溶出し難い材料、すなわち液体(水)を汚染し難い材料である。
なお、上述の実施形態におけるラインセンサの数や、各マイクロレンズアレイの焦点位置は一例であり、適宜変更可能である。例えば、ラインセンサの数を7つ以上にしたり、5つ以下にすることができる。また、複数(例えば6つ)のマイクロレンズアレイのうち、一部(例えば4つ)のマイクロレンズアレイの焦点位置が第1液浸領域LR1の内側に設定され、他の一部(2つ)のマイクロレンズアレイの焦点位置が第2液浸領域LR2の内側に設定されていてもよいし、全部のマイクロレンズアレイの焦点位置が、第1液浸領域LR1及び第2液浸領域LR2の少なくとも一方に設定されるようにしてもよい。また、露光光ELの光路方向(Z軸方向)における互いに異なる位置での液体LQの状態を計測するために、マイクロレンズ64を有する計測装置60を保持した基板ホルダ4H(基板ステージ4)をZ軸方向に動かしつつ計測するようにしてもよい。また、上述の実施形態においては、複数のラインセンサを同時に使用しているが、特定のラインセンサのみを使用して液体LQの状態を計測したり、複数のラインセンサを切り換えながら液体LQの状態を計測するようにしてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図15は第2実施形態に係る計測装置60(イメージセンサモジュール62)の要部を拡大した図である。マイクロレンズ64の周囲には、マイクロレンズ64の焦点位置を調整可能な調整装置64Fが設けられている。調整装置64は、イメージセンサモジュール62の上面においてマイクロレンズ64を囲むようにリング状に配置された、電歪素子を含んで構成されている。電歪素子に可変電圧を加えることにより、マイクロレンズ64の焦点位置を調整することができる。
なお、本実施形態において、露光光ELの光路方向(Z軸方向)における互いに異なる位置での液体LQの状態を計測するために、マイクロレンズ64を有する計測装置60を保持した基板ホルダ4H(基板ステージ4)をZ軸方向に動かしつつ計測するようにしてもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図16は第3実施形態に係る計測装置60を示す図である。本実施形態の回路素子69は、撮像素子63に接続され、撮像素子63から出力された出力信号を記憶する記憶素子を含んで構成されている。回路素子69は、撮像素子63の出力信号により、マイクロレンズ64を介して撮像した撮像素子63の撮像結果、すなわち撮像素子63で撮像した画像情報を取得する。基板ステージ4からアンロードされた計測装置60は、記憶素子に記憶された記憶情報を所定位置に配置された解析装置(例えば制御装置7、データ処理装置DAなど)に抽出(読み出し)される。
なお、第1実施形態で説明したような送信装置と、第3実施形態で説明したような記憶素子とを共用してもよい。例えば、撮像素子63で撮像した撮像結果の一部を無線装置で送信し、残りの一部の撮像結果を記憶素子で保持することができる。また、記憶素子で保持された情報、あるいは回路素子69で解析した結果を、無線装置を用いて、任意のタイミングで制御装置7等へ送信するようにしてもよい。
また、制御装置7等の解析装置と、計測装置60(撮像素子63)とを所定のケーブル(有線)で接続し、そのケーブルを介してデータ等のやりとりを行うようにしてもよい。
すなわち、撮像素子63の撮像結果を有線通信するようにしてもよい。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図17は第4実施形態に係る計測装置60を示す図である。図17において、計測装置60は発光素子80を備えている。発光素子80は、計測装置60によって観察される領域、すなわち第1、第2液浸領域LR1、LR2を照明するものであって、本実施形態においては、イメージセンサモジュール62の上面に設けられている。なお、発光素子80は、基材61の上面に設けられていてもよい。要は、計測装置60によって観察される領域を照明することができる部位であれば、任意の位置に発光素子80を設けることができる。
<第5実施形態>
また、図18に示すように、第1、第2液浸領域LR1、LR2を照明するための照明装置81を、第1、第2液浸領域LR1、LR2の上方、すなわち第1、第2液浸領域LR1、LR2を挟んで計測装置60と対向する位置に配置し、第1、第2液浸領域LR1、LR2に対して上方から照明光を照射するようにしてもよい。図18に示す例では、照明装置81はマスクステージ3(マスクM)と投影光学系PLとの間に配置される。照明装置81は、例えばLED(白色LEDなど)やEL素子(無機ELシートなど)によって構成可能である。図18に示す照明装置81は、露光光ELの光路に対して進退可能に設けられており、制御装置7は、計測装置60を用いて第1、第2液浸領域LR1、LR2の観察を行う場合、照明装置81を露光光ELの光路上に配置し、照明装置81より射出された照明光を、第1、第2液浸領域LR1、LR2に対して上方から照射する。照射装置81から射出された照明光は、投影光学系PLの各光学素子を通過した後、第1、第2液浸領域LR1、LR2を照明する。そして、基板Pを露光するときなど、投影光学系PLに露光光ELを通過させる場合には、制御装置7は、照明装置81を露光光ELの光路より退避させる。なお、照明装置81は、マスクステージ3(マスクM)の上方に配置されてもよい。
また、照明装置82を第1ノズル部材71近傍に設け、その照明装置82より照明光を射出するようにしてもよい。図18に示す例では、照明装置82は、第1液浸領域LR1を傾斜方向から照明する。
第4、第5実施形態において、撮像素子63としては、発光素子から発光された光の波長、又は照明装置から射出された光の波長に十分な感度を有するものが用いられる。なお、撮像素子63の感度に応じて、発光素子又は照明装置から発光される光の波長を調整するようにしてもよい。なお、撮像素子63として、露光光ELに感度を有するものを使用した場合には、第1、第2液浸領域LR1、LR2露光光ELで照明しつつ、計測装置60を用いた計測を行うようにしてもよい。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。図19は第6実施形態に係るイメージセンサモジュール20を示す図である。図19において、イメージセンサモジュール62は、デバイスを製造するための基板Pに装着されている。基板P上には複数のショット領域S1〜S21が設定されており、イメージセンサモジュール62は、基板Pの上面のうち、ショット領域S1〜S21以外の領域に接着されている。本実施形態においては、イメージセンサモジュール62は、複数のショット領域S1〜S21のうち、最初に露光される第1ショット領域S1の手前に装着されている。
本実施形態においては、基板P上に装着されたイメージセンサモジュール62によって、第1、第2液浸領域LR1、LR2の状態が観察される。これにより、通常の露光シーケンス中の任意のタイミングで、第1、第2液浸領域LR1、LR2の状態を観察することができる。例えば、複数の基板Pを順次露光する場合において、定期的に第1、第2液浸領域LR1、LR2の状態を観察したい場合には、図19に示したようなイメージセンサモジュール62が装着された基板Pを、所定枚数間隔毎(例えば10枚毎)に、基板ホルダ4Hにロードすればよい。このように、イメージセンサモジュール62は、基板Pとともに搬送される。もちろん、全ての基板Pにイメージセンサモジュール62を装着しておいてもよい。そして、液浸領域のログ情報を取得するようにしてもよい。
また、本実施形態のイメージセンサモジュール62は、実際に露光される基板Pと接触する液体LQの状態を計測することができる。基板Pと接触した液体LQ中には、基板Pから発生した物質(例えば感光材の一部)が混入(溶出)する可能性があるが、イメージセンサモジュール62は、基板Pから液体LQ中に混入(溶出)する物質に関する情報を、リアルタイムで計測することができる。そして、その計測した情報に基づいて、例えば溶出量が多い場合には、使用する膜の種類(接触面条件)の見直しをする旨を指示を発することができる。
<実施例>
撮像素子63及びマイクロレンズ64を含むイメージセンサモジュール62の構成の一例について述べる。マイクロレンズ64の直径を8〔μm〕とした場合、中間層65等の厚み、マイクロレンズの明るさ(Fナンバー)、開口効率、マイクロレンズの反射率、マイクロレンズの加工精度などを考慮すると、焦点距離(≒中間層の厚さ)は12〔μm〕程度が適当であると考えられる。マイクロレンズの直径D=8〔μm〕、焦点距離f=12〔μm〕とすると、Fナンバー=f/D=1.5となる。照明装置として、白色LEDを使用する場合、焦点深度±0.61λF/NA=±1.22λF2=±1.22×560〔nm〕×2.25=±1.54〔μm〕となる。この際のマイクロレンズの中心厚は、2〜3〔μm〕程度が可能となる。
CCDは、信号電荷を転送する構造によって、インターライン(IL)方式、フレームインターライン(FIT)方式、及びフレームトランスファー(FT)方式等があり、どの方式を用いてもよい。CCD画素サイズCs=8.0〔μm〕(不感帯2.0〔μm〕含む)、CCDラインセンサ有効画素数Cp=4000(32〔mm〕長)、CCD走査データレートCd=25〔nsec/pixel〕(=40MHz)とすると、CCD1ライン走査時間は、Tc=Cp×Cd=4000×25〔nsec〕=100〔μsec〕となり、液浸領域を計測するときの計測装置60を保持した基板ステージ4の移動速度は、Sp=Cs/Tc=8〔μm〕/100〔μsec〕=80〔mm/sec〕となる。
第1液浸領域LR1の厚さを3.0〔mm〕とした場合、この範囲を0.5〔mm〕ずつ、Z軸方向における互いに異なる位置に焦点位置を有するマイクロレンズアレイを設ける場合には、計測装置60の上面60Fの位置を基準として、焦点位置が0.25〔mm〕、0.75〔mm〕、1.25〔mm〕、1.75〔mm〕、2.25〔mm〕、2.75〔mm〕であるマイクロレンズアレイ、及びそれに対応したラインセンサを用いることができる。本例での光学理論上の焦点深度は±1.54〔μm〕であるが、異物の検出分解能に応じた実質的な焦点深度を考慮して、マイクロレンズアレイ毎の焦点位置を設定することができる。
なお、上述の各実施形態においては、回路素子69は、イメージセンサモジュール62に保持されているが、例えば回路素子69を基材61で保持するとともに、イメージセンサモジュール62と基材61との間に、イメージセンサモジュール62の撮像素子63と基材61の回路素子69とを電気的に接続するコネクタ回路を設けるようにしてもよい。
同様に、動力源(バッテリ)等も、イメージセンサモジュール62に設けてもよいし、基材61に設けてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、液浸領域LR1、LR2の液体LQの状態を観察可能なイメージセンサモジュール62は、液体LQの状態を計測するための基材61、あるいはデバイスを製造するための基板Pに装着されているが、液体LQを介して露光光ELが照射される部位、すなわち第1光学素子LS1の下面と対向する位置に配置可能な部位であれば、任意の部位に装着することができる。例えば、イメージセンサモジュール62を、基板ステージ4の一部(上面4Fなど)に装着したり、基板ホルダ4Hの一部に装着したり、計測ステージ5の一部(上面5Fなど)に装着することができる。
なお、上述の各実施形態においては、イメージセンサモジュール62を基材61や基板Pに装着しているが、基材61上に撮像素子63及びマイクロレンズ64等を直接的に形成するようにしてもよい。例えばフォトリソグラフィの手法を用いることにより、半導体ウエハ等の基材61上に撮像素子63及びマイクロレンズ等を直接的に形成することができる。
なお、上述の各実施形態においては、計測装置60は、複数のラインセンサを有した構成であるが、2次元エリアセンサを有した構成であってもよい。その場合、制御装置7は、露光光ELの光路に対して計測装置60をほぼ静止させた状態で、第1、第2液浸領域LR1、LR2を観察することができる。また、マイクロレンズ(光学系)を有するエリアセンサを複数設け、各マイクロレンズの焦点位置をそれぞれ異ならせて、それらエリアセンサのそれぞれで、露光光ELの光路方向における互いに異なる位置を計測するようにしてもよい。あるいは、マイクロレンズの焦点位置を調整可能な調整装置を用いて、複数の2エリアセンサのそれぞれで、互いに異なる位置を計測するようにしてもよい。
また、上述の各実施形態において、カラーの画像情報を出力可能な撮像素子を用いてもよいし、モノクロの画像情報を出力可能な撮像素子を用いてもよい。
また、上述の各実施形態においては、基板Pは半導体ウエハを含むものであり、その基板Pに合わせて、計測装置60の形状が設定されているが、露光対象である基板Pが矩形状のガラス基板を含むものである場合には、計測装置60も、そのガラス基板に合わせて矩形状に形成される。また、そのガラス基板を含む基板P上に、上述のイメージセンサモジュール62を装着することができるし、その基板P上に撮像素子63等を直接的に形成することもできる。
なお、上述の実施形態において、デバイス製造システムSYSが複数の露光装置EXを有している場合には、計測装置60をそれら複数の露光装置EXで共用してもよい。
また、計測装置60(イメージセンサモジュール62)を用いて、液体LQの状態のみならず、露光装置EXを構成する各種機器の状態をモニタ(観察)することができる。例えば、イメージセンサモジュール62が装着された基材61(すなわち計測装置60)、又はイメージセンサモジュール62が装着された基板Pを、搬送装置10で搬送することにより、露光装置EXの搬送経路上に設けられている各種機器の状態をモニタ(観察)することができる。そして、その観察結果に基づいて、それら機器をメンテナンスすることができる。また、計測装置60を用いて、液体LQを介さずに、第1光学素子LS1の状態を計測することもできる。また、イメージセンサモジュール62が装着された基材61(すなわち計測装置60)、又はイメージセンサモジュール62が装着された基板Pを用いて、露光装置EXのみならず、例えば図12に示したコータ・デベロッパ装置CDなど、露光装置EX以外の装置(周辺装置)の状態を観察することもできる。
また、例えばデバイスを製造するための基板Pにイメージセンサモジュール62を装着する(例えば、基板Pのエッジ近傍や、エッジショット領域(デバイスとして使えない領域)や、ストリートライン上などに装着する)ことにより、そのイメージセンサモジュール62の画像情報に基づいて、所定の部材に対する基板Pの位置合わせを行うことができる。例えば、基板Pを基板ホルダ4Hにロードする前に、基板Pを基板ホルダ4Hに対して大まかに位置合わせする処理(プリアライメント)が実行される場合において、プリアライメント部に設けられた基準部材を基板Pに装着されたイメージセンサモジュール62で撮像し、その撮像結果に基づいて、基板Pを位置合わせするといったことが可能である。また、基板Pの向き(回転)を計測するためのサーチアライメント計測や、基板P上の各サンプルショット位置を計測するためのファインアライメント計測にも適用するようにしてもよい。その場合には、基板アライメント計測部(アライメント顕微鏡)に設けられた基準部材を、イメージセンサモジュール62で撮像して、その撮像結果に基づいて、サーチアライメントやファインアライメントをすることになる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
また、上述の実施形態の投影光学系は、先端の光学素子の像面側の光路を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の光学素子の物体面側の光路も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。
また、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で光学素子LS1を形成してもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。
また、本発明は、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されているように、計測ステージを備えていない露光装置にも適用できる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
更に、露光装置EXの他、各種観察装置、検査装置、及び計測装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図20に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
1…第1液浸システム、2…第2液浸システム、4…基板ステージ、4H…基板ホルダ、5…計測ステージ、7…制御装置、10…搬送装置、60…計測装置、60F…上面、61…基材、62…イメージセンサモジュール、62M…観察モジュール、63…撮像素子、63G…CCD画素、63L…画素列、64…マイクロレンズ、64A…第1マイクロレンズ、64B…第2マイクロレンズ、64F…調整装置、69…回路素子、80…発光素子、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、LR1…第1液浸領域、LR2…第2液浸領域、LS1…第1光学素子、LS2…第2光学素子、P…基板、PL…投影光学系