以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに保持されている基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。制御装置CONTには、露光処理に関する各種情報を記憶する記憶装置MRYが接続されている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQの液浸領域LRを形成するための液浸機構1を備えている。液浸機構1は、投影光学系PLの像面の近傍に設けられ、液体LQを供給する供給口18及び液体LQを回収する回収口28を有するノズル部材70と、ノズル部材70に設けられた供給口18を介して投影光学系PLの像面側に液体LQを供給する液体供給機構10と、ノズル部材70に設けられた回収口28を介して投影光学系PLの像面側の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、投影光学系PLを構成する複数の光学素子LS1〜LS5のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1を囲むように環状に形成されている。
また、投影光学系PLのうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1は、液浸領域LRの液体LQに接する凹面部2を有している。凹面部2は、第1光学素子LS1のうち、基板Pに対向する下面T1に設けられている。また、露光装置EXは、第1光学素子LS1の凹面部2の内側の異物を除去する除去装置40を備えている。除去装置40は、投影光学系PLの像面側で移動可能な基板ステージPSTに設けられ、異物を吸引するための吸引口43を有する吸引部材42を備えている。また、露光装置EXは、凹面部2の内側に異物が有るか否かを検出する検出装置50を備えている。検出装置50は、CCD等の撮像素子を含み、基板ステージPSTに設けられている。
露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に投影している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域ARを含む基板P上の一部に、投影領域ARよりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域LRを局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1と、投影光学系PLの像面側に配置された基板P表面との間の光路空間を液体LQで満たす局所液浸方式を採用し、基板Pの一部に液体LQの液浸領域を形成して、液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMを通過した露光光ELを基板Pに照射することによってマスクMのパターンを基板Pに投影露光する。制御装置CONTは、液体供給機構10を使って基板P上に液体LQを所定量供給するとともに、液体回収機構20を使って基板P上の液体LQを所定量回収することで、基板P上に液体LQの液浸領域LRを局所的に形成する。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上にレジスト(感光材)を塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能である。マスクステージMSTは、マスクMを真空吸着(又は静電吸着)により保持する。マスクステージMSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MSTDの駆動により、マスクMを保持した状態で、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。マスクステージMST上には移動鏡81が設けられている。また、移動鏡81に対向する位置にはレーザ干渉計82が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計82によりリアルタイムで計測される。レーザ干渉計82の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計82の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動し、マスクステージMSTに保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、複数の光学素子LS1〜LS5を含み、それら光学素子LS1〜LS5は鏡筒PKで保持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、本実施形態の投影光学系PLは反射素子を含まない屈折系であるが、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系であってもよい。
また、投影光学系PLには、例えば特開昭60−78454号公報や特開平11−195602号公報に開示されているような結像特性調整装置LCが設けられている。結像特性調整装置LCは、投影光学系PLに含まれる複数の光学素子LS1〜LS5のうち特定の光学素子を駆動したり、鏡筒PK内部の圧力調整を行うことで、投影光学系PLの像面位置などの結像特性を調整可能である。
基板ステージPSTは、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、その基板ホルダPHを投影光学系PLの像面側で移動可能である。基板ホルダPHは、例えば真空吸着等により基板Pを保持する。基板ステージPST上には凹部86が設けられており、基板Pを保持するための基板ホルダPHは凹部86に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部86以外の上面87は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。
基板ステージPSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDの駆動により、基板Pを基板ホルダPHを介して保持した状態で、ベース部材BP上でXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。したがって、基板ステージPSTに支持された基板Pの表面は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。基板ステージPSTの側面には移動鏡83が設けられている。また、移動鏡83に対向する位置にはレーザ干渉計84が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計84によりリアルタイムで計測される。また、露光装置EXは、例えば特開平8−37149号公報に開示されているような、基板ステージPSTに支持されている基板P表面の面位置情報を検出する斜入射方式のフォーカス・レベリング検出系(不図示)を備えている。フォーカス・レベリング検出系は、基板P表面の面位置情報(Z軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報)を検出する。なお、フォーカス・レベリング検出系は、静電容量型センサを使った方式のものを採用してもよい。レーザ干渉計84の計測結果は制御装置CONTに出力される。フォーカス・レベリング検出系の検出結果も制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動装置PSTDを駆動し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角(θX、θY)を制御して基板P表面を投影光学系PLの像面に合わせ込むとともに、レーザ干渉計84の計測結果に基づいて、基板PのX軸方向、Y軸方向、及びθZ方向における位置制御を行う。
次に、露光光ELの光路空間を満たすための液体LQについて説明する。なお、以下の説明において、露光光EL(ArFレーザ光:波長193nm)に対する液体LQの屈折率や第1光学素子LS1の屈折率を、単に「屈折率」と記載する。本実施形態において、液体供給機構10は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子LS1〜LS5のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1の屈折率よりも高い屈折率を有する液体LQを供給するようになっている。その高い屈折率を有する液体LQによって、投影光学系PLの像面側に配置された基板P(あるいは基板ステージPST)と第1光学素子LS1との間の光路空間が満たされる。本実施形態においては、第1光学素子LS1は石英で形成されており、液体LQの屈折率は石英の屈折率より高い。ここで、石英の屈折率は約1.5程度であり、液体供給機構10から供給される液体LQは1.6程度である。なお、第1光学素子LS1は蛍石で形成されていてもよい。
第1光学素子LS1の形成材料である石英は、露光光ELであるArFエキシマレーザ光を透過可能である。また、石英は屈折率の大きい材料であるため、例えば第1光学素子LS1の大きさ(径)を小さくすることができ、投影光学系PL全体や露光装置EX全体をコンパクト化できる。また、例えば光学素子LS2〜LS5を蛍石で形成し、光学素子LS1を石英で形成してもよいし、光学素子LS2〜LS5を石英で形成し、光学素子LS1を蛍石で形成してもよいし、光学素子LS1〜LS5の全てを石英(あるいは蛍石)で形成してもよい。
図2は投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1近傍を示す拡大断面図である。図2において、第1光学素子LS1のうち、基板Pと対向する下面T1には凹面部2が形成されている。また、ノズル部材70のうち、基板Pと対向する下面70Aには、投影光学系PLの投影領域ARを囲むように供給口18が設けられている。また、ノズル部材70の下面70Aにおいて、投影領域ARに対して供給口18の外側には回収口28が設けられている。回収口28はノズル部材70の下面70Aにおいて環状のスリット状に形成されている。そして、液浸領域LRの液体LQは、第1光学素子LS1の下面T1及びノズル部材70の下面70Aと基板Pとの間に満たされている。
第1光学素子LS1の上面T2側の光路空間は気体(窒素)であり、第1光学素子LS1の下面T1側の光路空間は液体LQで満たされている。第1光学素子LS1の上面T2の形状は、投影光学系PLの物体面側(マスク側)に向かって膨らむような凸状の曲面形状であり、基板P表面(像面)に結像するすべての光線が入射するような形状となっている。
第1光学素子LS1の下面T1は、基板Pから離れるように凹んだ凹面部2を有し、その凹面部2の形状は曲面形状となっている。そして、その下面T1の形状は、上面T2の形状と同様に、基板P表面に結像する全ての光線が入射するような形状となっている。
なお、図2において、第1光学素子LS1の下面T1及び上面T2は、同じ曲率中心を有する球面状に記載されているが、それぞれの曲率及び曲面形状は、投影光学系PLが所望の性能を得られるように適宜決定することができ、非球面形状とすることもできる。下面T1及び上面T2が球面を含む曲面状である場合には、基板P表面に結像する全ての光線がそれらの面に入射するとともに、下記の原理に従って、下面T1及び上面T2に入射する光の入射角を低減させるように下面T1及び上面T2の曲率を適宜決定することができる。
投影光学系PLの像面側の開口数NAは以下の式で表される。
NA=n・sinθ … (1)
ここで、nは液体LQの屈折率であり、θは収束半角である。また、解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k1・λ/NA … (2)
δ=±k2・λ/NA2 … (3)
ここで、λは露光波長、k1、k2はプロセス係数である。このように、高い屈折率(n)を有する液体LQによって開口数NAを約n倍にすることで、(2)式、(3)式より、解像度及び焦点深度を大幅に向上することができる。
また、第1光学素子LS1の屈折率以上の投影光学系PLの開口数NAを得ようとした場合、下面T1が光軸AXとほぼ垂直な平坦面であると、露光光ELの最外の光線Kを含む一部が、第1光学素子LS1と液体LQとの界面で全反射して、投影光学系PLの像面まで到達することができない。例えば、第1光学素子LS1の屈折率をn1、液体LQの屈折率をn2、第1光学素子LS1と液体LQとの界面(下面T1)へ入射する露光光ELの最外の光線Kの光軸AXに対する角度をθ1、その界面から射出する(液体LQへ入射する)光線Kの光軸AXに対する角度をθ2とすると、スネルの法則により以下の式が成立する。
n1sinθ1=n2sinθ2 … (4)
また、投影光学系PLの開口数は、液体LQの屈折率n2、液体LQへ入射する光線Kの光軸AXに対する角度θ2を使うと次式で表される。
NA=n2sinθ2… (5)
(4)、(5)式より以下の式が成立する。
sinθ1=NA/n1 … (6)
したがって、(6)式からも明らかなように、第1光学素子LS1と液体LQとの界面(下面T1)が光軸AXとほぼ垂直な平坦面であって、投影光学系PLの開口数NAが第1光学素子LS1の屈折率n1よりも大きい場合には、露光光ELの最外光線Kを含む一部の光が液体LQに入射することができない。これに対して、本実施形態の第1光学素子LS1の下面T1は凹面部2を有しているので、第1光学素子LS1と液体LQとの界面(下面T1)に入射する光、特に投影光学系PLの光軸AXに対して傾斜している光線の前記界面への入射角を低下させることができる。これにより、投影光学系PLの開口数NAが、第1光学素子LS1の屈折率n1よりも大きい場合であっても、前記界面で全反射することなく露光光ELの最外の光線Kは像面上まで良好に到達することができる。
次に、液浸機構1の液体供給機構10及び液体回収機構20について説明する。図3は液体供給機構10の一部を示す図である。図1及び図3に示すように、本実施形態の液体供給機構10は、第1液体LQ1を送出可能な第1液体供給部11と、第2液体LQ2を送出可能な第2液体供給部12と、第1液体供給部11から送出された第1液体LQ1と第2液体供給部12から送出された第2液体LQ2とを混合する混合装置19とを備えており、混合装置19で生成された液体LQを投影光学系PLの像面側に供給する。第1液体LQ1と第2液体LQ2とは異なる液体であって、混合装置19はこの2種類の液体LQ1、LQ2を混合する。このように、本実施形態の露光装置は2種類の液体LQ1、LQ2を混合する混合装置を備えることによって、液浸領域LRを形成する液体LQの屈折率や透過率など光学的特性を適宜調整することができる。本実施形態においては、第1液体LQ1として屈折率が約1.61のグリセロール、第2液体LQ2として屈折率が約1.50のイソプロパノール(Isopropanol)を用い、それらを混合した液体LQの屈折率が約1.60になるように第1液体LQ1及び第2液体LQ2の量を調整した。
第1、第2液体供給部11、12のそれぞれは、第1、第2液体LQ1、LQ2を収容するタンク、加圧ポンプ、供給する第1、第2液体LQ1、LQ2の温度を調整する温調装置、及び第1、第2液体LQ1、LQ2中の異物(気泡を含む)を除去するフィルタユニット等を備えている。なお、液体供給機構10のタンク、加圧ポンプ、フィルタユニット等は、その全てを露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場などの設備を代用してもよい。第1液体供給部11には第1供給管13の一端部が接続されており、第1供給管13の他端部は集合管15に接続されている。また、第2液体供給部12には第2供給管14の一端部が接続されており、第2供給管14の他端部は集合管15に接続されている。第1液体供給部11から送出された第1液体LQ1は、第1供給管13を流れた後、集合管15を介して混合装置19に供給される。第2液体供給部12から送出された第2液体LQ2は、第2供給管14を流れた後、集合管15を介して混合装置19に供給される。
また、第1、第2供給管13、14にはバルブ13B、14Bがそれぞれ設けられている。バルブ13B、14Bの動作は制御装置CONTに制御される。制御装置CONTは、バルブ13B、14B(バルブ13B、14Bの開度)を調整することで、第1、第2液体供給部11、12より第1、第2供給管13、14、及び集合管15を介して混合装置19に供給される第1、第2液体LQ1、LQ2のそれぞれの単位時間あたりの供給量を調整する。
また、混合装置19には、液体回収機構20から戻された液体LQも供給できるようになっている。液体回収機構20から戻された液体LQは、戻し管27を介して混合装置19に供給される。混合装置19は、第1、第2供給管13、14、及び集合管15を介して第1、第2液体供給部11、12より供給された第1、第2液体LQ1、LQ2と、戻し管27を介して液体回収機構20より供給された液体LQとを混合する。また、混合装置19には、供給管16の一端部が接続され、他端部はノズル部材70に接続されている。ノズル部材70には、その一端部を供給口18に接続した供給用内部流路が形成されており、供給管16の他端部はノズル部材70の供給用内部流路の他端部に接続されている。混合装置19で生成された液体LQは、供給管16を介してノズル部材70に供給され、ノズル部材70の供給用内部流路を流れた後、供給口18より投影光学系PLの像面側に供給される。
図1において、液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するために、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管26とを備えている。回収管26の他端部はノズル部材70に接続されている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお、液体回収機構20の真空系、気液分離器、タンク等は、その全てを露光装置EXが備えている必要はなく、露光装置EXが設置される工場などの設備を代用してもよい。ノズル部材70には、その一端部を回収口28に接続した回収用内部流路が形成されており、回収管26の他端部はノズル部材70の回収用内部流路の他端部に接続されている。液体回収部21の真空系が駆動されることにより、投影光学系PLの像面側に配置されている基板P上の液体LQは、回収口28より回収用内部流路に流入し、回収管26を介して液体回収部21に回収される。
また、液体回収機構20は、回収した液体LQに対して所定の処理を施す処理装置60を備えている。液体回収機構20は、処理装置60で処理した後の液体LQを戻し管27を介して液体供給機構10の混合装置19に戻す。処理装置60は、回収した液体LQを清浄にするものであって、例えばフィルタユニットや蒸留装置等を備えている。液体回収機構20により回収される液体LQは、レジストを塗布された基板Pに接して、基板Pより発生した不純物を含んでいる可能性がある。そこで、液体回収機構20は、回収した液体LQの一部を処理装置60で清浄にした後、その清浄化された液体LQを液体供給機構10の混合装置19に戻す。なお、液体回収機構20は、回収した液体LQの残りの一部を液体供給機構10に戻さずに露光装置EXの外部に排出(廃棄)する。
また、液体供給機構10は、投影光学系PLの像面側に供給する液体LQの光学的な特性を計測する計測装置30を備えている。計測装置30は、液体回収機構20の処理装置60と混合装置19との間の戻し管27の途中に設けられた第1計測器31と、混合装置19とノズル部材70との間の供給管16の途中に設けられた第2計測器32とを備えている。第1計測器31は、液体回収機構20の処理装置60から戻され、混合装置19に供給される前の液体LQの光学的な特性を計測し、第2計測器32は、混合装置19で生成され、ノズル部材70を介して投影光学系PLの像面側に供給される前の液体LQの光学的な特性を計測する。第1計測器31と第2計測器32とはほぼ同等の構成を有しており、液体LQの屈折率、及び液体LQの透過率のうち少なくとも一方を計測可能となっている。
制御装置CONTは、第1計測器31の計測結果に基づいて、第1、第2供給管13、14に設けられている第1、第2バルブ13B、14Bを調整し、第1、第2液体供給部11、12のそれぞれから混合装置19に供給される第1、第2液体LQ1、LQ2の単位時間当たりの供給量を調整する。換言すれば、制御装置CONTは、第1計測器31の計測結果に基づいて、第1、第2液体供給部11、12のそれぞれから供給され、混合装置19で混合される第1、第2液体LQ1、LQ2の混合比を調整する。本実施形態においては、屈折率がほぼ1.60となるように、第1液体LQ1と第2液体LQ2との混合比が調整される。
第1、第2液体LQ1、LQ2は異なる種類の液体であるため、その光学的な特性(屈折率、光透過率)も互いに異なっている可能性が高い。そこで、制御装置CONTは、混合装置19で生成される液体LQの光学的な特性を所望状態にするために、具体的には混合装置19で生成された液体LQの屈折率及び光透過率のうち少なくとも一方を所定値に維持するために、第1計測器31の計測結果に基づいて、混合装置19で混合される第1、第2液体LQ1、LQ2の混合比を調整する。第1計測器31は、液体回収機構20から戻された液体LQの光学的な特性を計測するので、制御装置CONTは、その第1検出器31の計測結果に基づいて、戻された液体LQに対して、第1、第2液体供給部11、12より、第1、第2液体LQ1、LQ2を適宜、適量だけ追加することで、混合装置19で生成される液体LQの光学的な特性を所望状態に維持することができる。なお、前述のように、第1、第2液体供給部11、12が第1、第2液体LQ1、LQ2の温度をそれぞれ一定に維持する温調装置を備えているので、制御装置CONTは温調装置を制御することにより、液体LQの温度の変動による液体LQの光学特性の変動を防止している。
ここで、第1、第2液体LQ1、LQ2の混合比と、その混合比で生成された液体LQの光学的な特性との関係が、例えば実験あるいはシミュレーションによって予め求められており、その関係に関する情報が、制御装置CONTに接続されている記憶装置MRYに予め記憶されている。制御装置CONTは、記憶装置MRYに記憶されている情報と、第1計測器31の計測結果とに基づいて、第1、第2バルブ13B、14Bを調整し、液体LQの所望な光学的な特性を得るための、第1、第2液体LQ1、LQ2の混合比を決定することができる。
混合装置19で生成された液体LQの光学的な特性は、第2計測器32で計測される。制御装置CONTは、第2計測器32の計測結果に基づいて、例えば、投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面位置と、基板P表面との位置関係を調整する。具体的には、制御装置CONTは、第2計測器32の計測結果に基づいて、投影光学系PLに設けられている結像特性調整装置LCを使って、投影光学系PLを構成する複数の光学素子LS1〜LS5のうち特定の光学素子を駆動したり、鏡筒PK内部の圧力調整を行うことで、投影光学系PLの像面位置を調整する。こうすることにより、混合装置19で生成された液体LQの光学的な特性のうち、例えば屈折率が僅かながら変動し、投影光学系PL及び液体LQを介した像面位置が変動しても、その液体LQの光学的な特性(屈折率)に応じて、結像特性を調整することで、投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面位置と、基板P表面とを合致させることができる。また、制御装置CONTは、結像特性調整装置LCによる投影光学系PLの調整に代えて、あるいは結像特性調整装置LCによる調整と併用して、基板ステージPSTを駆動して基板Pの面位置を調整してもよいし、マスクMを保持したマスクステージMSTを駆動してもよいし、供給する液体LQの温度を調整してもよい。ここで、液体LQの光学的な特性と投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面位置との関係が、例えば実験あるいはシミュレーションによって予め求められており、その関係に関する情報が、制御装置CONTに接続されている記憶装置MRYに予め記憶されている。制御装置CONTは、記憶装置MRYに記憶されている情報と、第2計測器32の計測結果とに基づいて、結像特性調整装置LC等を使って、投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面位置と、基板P表面とを合致させることができる。また、液体LQの光学的な特性のうち光透過率が変動した場合には、制御装置CONTは、第2計測器32の計測結果に基づいて、光源を含む照明光学系IL等を調整して、基板Pの走査速度や露光光ELの照射量(照度)等の走査露光における露光量制御パラメータを調整することができる。
次に、除去装置40について説明する。図4は除去装置40を示す図である。図1及び図4に示すように、露光装置EXは、第1光学素子LS1の凹面部2の内側の異物を除去する除去装置40を備えている。除去装置40は、基板ステージPSTに設けられ、異物を吸引するための吸引口43を有する吸引部材42を備えている。図4に示すように、除去装置40は、基板ステージPSTの上面87の一部に設けられた穴部45の内側に配置された吸引部材42と、吸引部材42を駆動する駆動機構44とを備えている。吸引部材42はパイプ状部材であって、その上端部(一端部)は吸引口43となっている。吸引口43は、基板ステージPSTの上面87に設けられており、基板Pの露光中においては、露光光ELの外側に配置される。吸引部材42は、駆動機構44の駆動力によって、Z軸方向に移動可能となっており、吸引口43は、基板ステージPSTの上面87に対して出没するようになっている。本実施形態においては、吸引部材42が下降して穴部45の内側に配置されている場合には、図4に示すように、吸引部材42の上端部の吸引口43は、基板ステージPSTの上面87とほぼ面一となるように設けられている。なお、吸引部材42は、Z軸方向に関して斜め方向に移動可能であってもよい。
また、基板ステージPSTの上面87に設けられた吸引口43は、基板ステージPSTの移動によって、投影光学系PLの第1光学素子LS1の下面T1の凹面部2と対向することができる。一方、吸引部材42の下端部(他端部)は、流路形成部材46を介して吸引部41に接続されている。吸引部41は、例えば真空ポンプ等の真空系等を含み、液体を吸引回収可能な構成となっている。また、流路形成部材46の一部は、吸引部材42の移動を妨げないように、伸縮可能な伸縮部47を有している。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを使って基板Pを露光する動作について図12のフローチャートを参照しながら説明する。基板Pを露光するに際し、制御装置CONTは、液浸機構1を使って、液体LQの液浸領域LRの形成動作を開始する。なお、露光処理されるべき基板Pは基板ホルダPHに既にロードされているものとする。液浸領域LRの形成動作を開始するときにおいては、制御装置CONTは、基板ステージPSTを移動し、投影光学系PLの第1光学素子LS1の凹面部2と、除去装置40の回収口43とを対向させる。そして、投影光学系PLの第1光学素子LS1の凹面部2と、除去装置40の回収口43とを対向させた状態で、制御装置CONTは、液浸機構1の液体供給機構10による液体LQの供給動作、及び液体回収機構20による液体LQの回収動作を開始する(S1)。
図5は、液浸領域LRの形成動作を開始した直後の状態を示す図である。図5に示すように、液浸領域LRの形成動作開始時においては、液体LQ中に気泡(気体部分)が生成される可能性がある。なお、液浸機構1の状態によっては、気泡は、液浸領域LRの形成動作を開始してから所定時間経過後においても生成される可能性がある。本実施形態においては、第1光学素子LS1は凹面部2を有しているため、液体LQよりも比重が小さい気泡は、凹面部2の最も高い位置、あるいはその近傍に滞留する可能性が高い。制御装置CONTは、除去装置40の駆動機構44を駆動して吸引部材42を上昇させ、吸引部材42の上端部に設けられている吸引口43を+Z方向に移動するとともに、吸引部材42が設けられている基板ステージPSTを基板ステージ駆動装置PSTDを介してXY方向に移動する。こうして、制御装置CONTは、駆動機構44や基板ステージ駆動装置PSTDを使って吸引口43を凹面部2に対して相対移動し、吸引口43を凹面部2に対して最適な位置に配置する。具体的には、制御装置CONTは、駆動機構44や基板ステージ駆動装置PSTDを使って、除去装置44の吸引口43を、気泡が配置されている位置近傍、すなわち、凹面部2の最も高い位置もしくはその近傍に配置する。そして、制御装置CONTは、吸引口43を凹面部2に所定距離(例えば1mm程度)まで近づけた状態で、吸引部41を駆動し、吸引口43を介して、凹面部2の内側に配置された液体LQ中の、液体LQよりも比重が小さい気泡を吸引して除去する(S2)。ここで、除去装置40による気泡の除去動作が行われている間においても、液浸機構1の液体供給機構10による液体供給動作及び液体回収機構20による液体回収動作は継続されている。なお、吸引口43が気泡を吸引するときの、吸引口43と凹面部2との相対距離や吸引量は、使用する液体LQの粘性等の物性に応じて最適に調整される。なお、吸引口43をZ方向(+Z方向及び/又は−Z方向)に移動しながら吸引動作(除去動作)を実行するようにしてもよいし、吸引口43が凹面部2と衝突しないように吸引口43をZ軸と垂直な方向に移動しながら吸引動作(除去動作)を実行するようにしてもよい。
また、除去装置40は、液体LQ中の気泡に限らず、凹面部2の内側に配置された液体LQ中の、液体LQよりも比重が小さい異物を吸引して除去することができる。
なおここでは、吸引口43と凹面部2とを対向させた状態で、液浸機構1による液浸領域LRの形成動作が開始されているが、基板ステージPSTの上面87のうち、吸引口43が設けられた領域とは離れた領域(基板P表面を含む)において液浸領域LRを形成した後、基板ステージPSTをXY方向に移動して、第1光学素子LS1の凹面部2と吸引口43とを対向させるようにしてもよい。そして、凹面部2と吸引口43とを対向させた後、吸引口43を凹面部2に近づけて吸引動作を開始することによっても、凹面部2の内側の異物を円滑に除去することができる。
液体LQ中の気泡の除去動作が完了した後、制御装置CONTは、除去装置40の吸引部材42を下降し、穴部45の内側に配置する。そして、制御装置CONTは、凹面部2の内側に配置された液体LQ中の気泡(異物)が除去されたか否かを検出装置50を使って確認する。すなわち、制御装置CONTは、基板ステージPSTをXY方向に移動して、基板ステージPSTの上面87上に形成されている液浸領域LRを、検出装置50上に移動する。ここで、基板ステージPSTがXY方向へ移動している間においても、液浸機構1の液体供給機構10による液体供給動作及び液体回収機構20による液体回収動作は継続されている。
図6は検出装置50が異物(気泡を含む)を検出している状態を示す図である。図6において、検出装置50は基板ステージPSTの内部に設けられている。検出装置50は、基板ステージPSTの内部空間56に配置されている。検出装置50は、透明部材54の下側に配置された光学系51と、CCD等によって構成されている撮像素子53とを備えている。撮像素子53は、液体LQや第1光学素子LS1などの光学像(画像)を透明部材54及び光学系51を介して取得可能である。撮像素子53は取得した画像を電気信号に変換し、その信号(画像情報)を制御装置CONTに出力する。また、検出装置50は、光学系51の焦点位置を調整可能な調整機構52を有している。また、検出装置50は、凹面部2の内側に配置された液体LQの全体を観察可能な視野を有している。なお検出装置50の全部が基板ステージPSTの内部に配置されていてもよいが、例えば光学系51を構成する複数の光学素子のうち一部の光学素子や撮像素子53等が基板ステージPSTの外側に配置されていてもよい。また、調整機構52が省略された構成であってもよい。
制御装置CONTは、検出装置50を使って、透明部材54上に形成された液浸領域LRの液体LQ中に気泡(異物)が有るか否かを検出する(S3)。検出装置50は、透明部材54の上面の液浸領域LRの液体LQを、透明部材54を介して観察する。なお、観察装置50が液浸領域LRの状態を観察しているときには、基板ステージPSTはほぼ静止している。検出装置50の撮像素子53は、透明部材54上にある液浸領域LRを形成する液体LQの画像を透明部材54及び光学系51を介して取得する。検出装置50を使って凹面部2の内側に配置された液体LQ中の気泡(異物)を検出するとき、制御装置CONTは、調整機構52を使って光学系51の焦点位置を凹面部2近傍の位置に合わせる。したがって、撮像素子53は透明部材54上にある凹面部2の内側に配置されたLQの画像を良好に取得可能である。また、検出装置50は、凹面部2よりも大きい視野を有しているため、凹面部2の内側に配置された液体LQの画像を一括して取得可能である。
撮像素子53で取得された画像情報は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、撮像素子53から出力された信号(画像情報)を演算処理(画像処理)し、その処理結果に基づいて、液体LQ中に気泡(異物)が有るか否かを判別する(S4)。
検出装置50の検出結果に基づいて、液体LQ中に気泡(異物)が無いと判断した場合、制御装置CONTは、基板ステージPST上に搭載された各種計測器(不図示)を使って計測処理を行う(S5)。すなわち、制御装置CONTは、基板ステージPSTをXY方向に移動し、液浸領域LRを透明部材54上から、計測器上に移動する。これら計測器は、露光処理に関する計測処理を行うためのものであって、そのような計測器としては、例えば特開平4−65603号公報に開示されているようなFIA(フィールド・イメージ・アライメント)方式の基板アライメント系、あるいは例えば特開平7−176468号公報に開示されているようなVRA(ビジュアル・レチクル・アライメント)方式のマスクアライメント系により計測されるマークを有する基準部材が挙げられる。更に、計測器としては、例えば特開昭57−117238号公報に開示されているように照度ムラを計測したり、特開2001−267239号公報に開示されているように投影光学系PLの露光光ELの透過率の変動量を計測するためのムラセンサ、特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ、及び特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)が挙げられる。そして、上記各計測器のうち所定の計測器上に液体LQの液浸領域LRを配置した状態で計測処理が行われ、その計測結果に基づいて、制御装置CONTは、投影光学系PLのキャリブレーション処理やベースライン量の導出を行う。これらの計測処理に用いる基準部材及びセンサについて後述する第3実施形態で簡単に説明する。
投影光学系PLのキャリブレーション処理等が完了した後、制御装置CONTは、基板ステージPSTをXY方向に移動して、基板ステージPSTの上面87に形成されている液浸領域LRを、基板P上に移動する。そして、制御装置CONTは、気泡(異物)を除去された液体LQと投影光学系PLとを介して基板P上に露光光ELを照射して、基板Pを露光する(S6)。
一方、検出装置50の検出結果に基づいて、液体LQ中に気泡(異物)が有ると判断した場合(S4のYES)、制御装置CONTは、基板ステージPSTをXY方向に移動し、液浸領域LRを、透明部材54上から除去装置40の回収口43上へ再び移動する。そして、制御装置CONTは、再度、除去装置40を使った気泡(異物)除去動作を行う(S1)。そして、制御装置CONTは、除去装置40を使った気泡(異物)除去動作を行った後、再び検出装置50を使って、液体LQ中に気泡(異物)が有るか否かを検出する(S2)。そして、検出装置50によって液体LQ中の気泡(異物)が検出されなくなるまで、上述の動作が繰り返され、液体LQ中の気泡(異物)が検出されなくなった後、基板Pの液浸露光が行われる(S6)。
なおここでは、制御装置CONTは、液浸機構1を使って液浸領域LRを形成した後、除去装置40を使って液体LQ中の気泡(異物)の除去動作を行い、その後、検出装置50を使って液体LQ中の気泡(異物)が除去されたか否かを検出しているが、液浸機構1を使って液浸領域LRを形成した後、除去装置40を使った液体LQ中の気泡(異物)の除去動作を行わずに、検出装置50を使って液体LQ中に気泡(異物)が有るか否かを検出するようにしてもよい。この場合、制御装置CONTは、検出装置50の検出結果に基づいて、液体LQ中に気泡(異物)が無いと判断した場合、除去装置40を使った除去動作を行うことなく、計測器を使った計測処理や基板Pの露光処理を行うことができる。したがって、液体LQ中に気泡(異物)が無いにもかかわらず、除去装置40を使った除去動作を行ってしまうといった無駄な動作を省くことができる。
なお、制御装置CONTは、除去装置40による気泡(異物)除去動作を、検出装置50の検出結果によらずに、所定時間間隔毎あるいは所定基板処理枚数毎などに行うこともできる。また、除去装置40による気泡(異物)除去動作や検出装置50による検出動作は、基板Pの露光後(基板Pを基板ホルダPHからアンロードする前)に行ってもよい。
以上説明したように、投影光学系PLを構成する複数の光学素子LS1〜LS5のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1は、液体LQに接する凹面部2を有しているので、液体LQが第1光学素子LS1よりも高い屈折率を有している場合であっても、その第1光学素子LS1及び液体LQを介して露光光ELを投影光学系PLの像面側に配置された基板P(像面)まで良好に到達させることができる。また、凹面部2の内側に気泡(異物)が侵入しても、その気泡(異物)は除去装置40によって除去されるので、露光光ELを投影光学系PLの像面側に配置された基板P(像面)まで良好に到達させることができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について図7を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分についてはその説明を簡略もしくは省略する。第2の実施形態と第1の実施形態との異なる部分、すなわち第2の実施形態の特徴的な部分は、除去装置40の一部がノズル部材70’に設けられている点にある。すなわち、第2の実施形態においては、ノズル部材70’に除去装置40の吸引口43’が設けられている。そして、吸引口43’は、ノズル部材70’の内部に形成された流路46’を介して吸引部41に接続されている。図7に示すように、ノズル部材70’の一部は、第1光学素子LS1の凹面部2の下側に配置されており、その凹面部2の下側に配置されたノズル部材70’の一部によって、凹面部2に対向する対向面71が形成されている。そして、吸引口43’はその対向面71に形成されている。
本実施形態における投影光学系PLにおいて、露光光ELの光路は、光軸AX(Z軸)に対してずれている。すなわち、凹面部2において露光光ELが通過する領域(以下、「有効領域」と称する)A1は、凹面部2の中心(凹面部2の最も高い位置)に対してずれており、その凹面部2の最も高い位置近傍には、露光光ELが通過しない領域(以下、「非有効領域」と称する)A2が設けられる。そして、対向面71は、凹面部2の非有効領域A2に対向するように設けられている。対向面71に設けられた吸引口43’は、凹面部2に対向する位置であって、且つ露光光ELの光路の外側に設けられた構成となっている。
このように、ノズル部材70’の一部に、凹面部2に対向し、且つ露光光ELの光路の外側の位置に吸引口43’を設けることによっても、露光光ELの通過を妨げることなく、その吸引口43’を介して、凹面部2の内側の気泡(異物)を除去することができる。また、本実施形態においては、第1光学素子LS1と基板Pとの間の露光光ELの光路空間を液体LQで満たした状態での基板Pの露光動作と、除去装置40による吸引口43’を介した吸引動作とを並行して行うこともできる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について図8〜図10を参照しながら説明する。第3の実施形態と第1の実施形態との異なる部分、すなわち第3の実施形態の特徴的な部分は、露光装置EX2は、投影光学系PLの像面側で移動可能な第1、第2ステージPST1、PST2を有している点にある。第1ステージPST1は、基板Pを保持して移動可能な基板ステージであり、第2ステージPST2は、例えば特開平11−135400号公報に開示されているような、露光処理に関する計測処理を行う計測器を搭載した計測ステージである。そして、計測ステージPST2に、除去装置40及び検出装置50が設けられている。
図9の平面図に示すように、計測ステージPST2の上面88には、計測器として、上述したようなマークを有する基準部材300が設けられている。また、上面88には、計測器として、上述したようなムラセンサの一部を構成する上板400、空間像計測センサの一部を構成する上板500、及び照射量センサ(照度センサ)の一部を構成する上板600が設けられている。これら基準部材300の上面や上板400、500、600の上面は、計測ステージPST2の上面88や、検出装置50の透明部材54の上面とほぼ面一になっている。なお、計測ステージPST2に設けられる計測器は、ここで述べたものに限らず、必要に応じて、各種の計測器を搭載することができる。
露光装置EX2を使って基板Pを露光する際には、まず、制御装置CONTは、投影光学系PLの第1光学素子LS1と計測ステージPST2とを対向させた状態で、液浸機構1を駆動し、液浸領域LRを計測ステージPST2上に形成する。次に、制御装置CONTは、第1の実施形態同様、計測ステージPST2に設けられている除去装置40を使って、第1光学素子LS1の凹面部2の内側の気泡(異物)の除去動作を行う。また、制御装置CONTは、検出装置50を使って、凹面部2の内側の気泡(異物)が除去されたか否かを確認する。検出装置50の検出結果に基づいて、凹面部2の内側に気泡(異物)が有ると判断した場合には、制御装置CONTは、除去装置40による気泡(異物)の除去動作を再度行う。一方、検出装置50の検出結果に基づいて、凹面部2の内側に気泡(異物)が無いと判断した場合には、制御装置CONTは、上記各計測器を使った計測処理を行った後、液浸領域LRを基板ステージPST1上に移動する。ここで、計測ステージPST2に搭載された除去装置40を使った気泡(異物)除去動作や、検出装置50を使った気泡(異物)検出動作、あるいは計測器を使った計測処理が行われている間、制御装置CONTは、基板ステージPST1をロード位置まで移動し、基板ステージPST1に露光処理されるべき基板Pをロードする。
計測ステージPST2上の液浸領域LRを基板ステージPST1上に移動する際には、図10に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPST1と計測ステージPST2とを近接又は接触した状態で、基板ステージPST1と計測ステージPST2とをXY方向に一緒に移動し、第1液浸領域LR1を基板ステージPST1の上面87と計測ステージPST2の上面88との間で移動する。基板ステージPST1上に液浸領域LRを移動した後、制御装置CONTは、基板ステージPST1上の基板Pを投影光学系PL及び液体LQを介して露光する。制御装置CONTは、計測ステージPST2で行った計測処理の計測結果を反映して、基板Pの露光処理を行う。
なお、上述した第1〜第3の実施形態において、液浸領域LRの形成動作を開始する前に、すなわち、凹面部2の下面T1側に液体LQが満たされていない状態のときに、制御装置CONTは、除去装置40の吸引口43を凹面部2に所定距離近づけて吸引動作を開始してもよい。そして、吸引口43を介した吸引動作を継続した状態で、液浸機構1による液体LQの供給動作及び回収動作を開始するようにしてもよい。こうすることにより、気泡(気体部分)の生成をより抑制することができる。また、液体LQを満たす前に吸引口43を介した吸引動作を開始することで、凹面部2の内側のガス空間中を浮遊している異物を除去した後、凹面部2の下面T1側を液体LQで満たすことができる。
なお、上述した実施形態においては、除去装置の吸引口を、投影光学系PLの像面側で移動可能な可動部材(基板ステージ、計測ステージなど)や、ノズル部材等に設けた場合を例にして説明したが、例えば投影光学系PLを支持するコラム(ボディ)と呼ばれる支持部材に、吸引口を有する吸引部材を支持するようにしてもよい。あるいは、第1光学素子LS1の凹面部2のうち、露光光ELの光路の外側に、吸引部に接続する吸引口を形成するようにしてもよい。
なお、上述した実施形態においては、除去装置40は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子LS1〜LS5のうち、投影光学系PLの像面に最も近い第1光学素子LS1の下面T1に形成された凹面部2の内側の気泡(異物)を除去しているが、投影光学系PLの構成によっては、第1光学素子LS1の下面以外の面に、液体に接する凹面部を形成してもよく、また、第1光学素子LS1以外の光学素子LS2〜LS5に、液体に接する凹面部を形成してもよい。例えば、第1光学素子と第2光学素子の間に液体を導入し、第2光学素子として下面(第1光学素子と対向する面)が凹曲面のレンズを用いることができる。そのような場合であっても、除去装置を設けて、その凹面部の内側の異物を除去することによって、投影光学系PLの特性を維持することができる。
なお、上述した実施形態においては、液体供給機構10は、混合装置19で2種類の第1、第2液体LQ1、LQ2を混合し、その混合装置19で生成された液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するが、3種類以上の任意の複数種類の液体を混合装置19で混合し、その混合装置19で生成された液体LQを供給することはもちろん可能である。
あるいは、液体供給機構10は、複数種類の液体を混合せずに、1種類の液体(第1光学素子LS1の屈折率よりも高い屈折率を有する液体)を供給するようにしてもよい。この場合、液体供給機構10は混合装置19を有していない構成となる。
液体供給機構10が供給する液体LQとしては、例えばイソプロパノールやグリセロールといったC−H結合やO−H結合を持つ所定液体、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の所定液体(有機溶剤)が挙げられる。あるいは、これら所定液体のうち任意の2種類以上の液体が混合されたものであってもよいし、純水に上記所定液体が添加(混合)されたものであってもよい。あるいは、液体供給機構10が供給する液体LQとしては、純水に、H+、Cs+、K+、Cl−、SO4 2−、PO4 2−等の陽イオンまたは陰イオンなどを放出する塩基又は酸を添加(混合)したものであってもよい。更には、純水にAl酸化物等の微粒子を添加(混合)したものであってもよい。これら液体LQは、ArFエキシマレーザ光を透過可能である。また、液体LQとしては、光の吸収係数が小さく、屈折率などの特性の温度依存性が少なく、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているレジストに対して安定なものであることが好ましい。
なお、液体LQとしては、屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用してもよい。更に、第1光学素子LS1として、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で第1光学素子LS1を形成してもよい。
前記実施形態では、第1光学素子LS1の屈折率よりも高い屈折率の液体で液浸領域LRを形成していたが、これに限らず第1光学素子LS1の屈折率よりも低い屈折率の液体、例えば、第1光学素子LS1として石英製のレンズを用い、液体LQとして純水を用いてもよい。このような場合、第1光学素子LS1から第1光学素子LS1と液体LQの界面に入射する光束の光軸AXに対して傾斜している光成分、特に光束の最外の光線の光軸AXに対する傾斜角(またはNA)が大きくなると全反射が生じ易くなる。それゆえ、投影光学系に含まれる光学素子の液体と接する面を凹面、特に凹曲面にすることは、液体と光学素子との界面への入射角を低下させることができるので、光学素子の屈折率に対する液体LQの屈折率に拘わらず有効である。
また、上述の第1〜第3の実施形態においては、露光光ELとしてArFエキシマレーザを用いているが、上述したように、F2レーザなどの各種露光光(露光ビーム)を採用することができ、液体供給機構10から供給される液体LQは、露光光(露光ビーム)EL、投影光学系PLの開口数、露光光ELに対する第1光学素子LS1の屈折率などに応じて最適なものを適宜使用することができる。
また、上述の第1〜第3の実施形態においては、液体回収機構20で回収された少なくとも一部の液体LQを液体供給機構10に戻すようにしているが、液体回収機構20で回収された液体を全て廃棄して、新しい清浄な液体LQを液体供給機構10から供給するようにしてもよい。なお、ノズル部材70などの液浸機構1の構造は、上述のものに限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057589号公報、国際公開第2004/057590号公報、国際公開第2005/029559号公報に記載されているものも用いることができる。
また、上述の第1〜第3の実施形態においては、検出装置50を有しているが、検出装置50を省いて、除去装置40による除去動作の完了によって凹面部2の内側に気泡(異物)は無いものと判断するようにしてもよい。
また、上述の第3の実施形態において、除去装置40を基板ステージPST1に配置してもよい。
また、上述の第1〜第3の実施形態においては、露光光ELに対する第1光学素子LS1の屈折率が投影光学系PLの開口数NAよりも小さい場合について説明したが、第1光学素子LS1のように凹面部2を有する光学素子は、その光学素子の露光光に対する屈折率が投影光学系PLの開口数NAよりも大きい場合にも採用することができ、この場合も、第1〜第3の実施形態で説明した除去装置40を適用することができる。
なお、上述したように液浸法を用いることにより投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。特に、直線偏光照明法とダイポール照明法との組み合わせは、ライン・アンド・スペースパターンの周期方向が所定の一方向に限られている場合や、所定の一方向に沿ってホールパターンが密集している場合に有効である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイポール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイポールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
また、直線偏光照明と小σ照明法(照明系の開口数NAiと投影光学系の開口数NApとの比を示すσ値が0.4以下となる照明法)との組み合わせも有効である。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在(周期方向が異なるライン・アンド・スペースパターンが混在)する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
更に、上述の各種照明法に加えて、例えば特開平4−277612号公報や特開2001−345245号公報に開示されている累進焦点露光法や、多波長(例えば二波長)の露光光を用いて累進焦点露光法と同様の効果を得る多波長露光法を適用することも有効である。
なお、第1光学素子LS1を交換可能とするのではなく、第1光学素子LS1が動かないように堅固に固定してもよい。この場合、曲面状の下面T1を有する第1光学素子LS1と基板P(像面)との間に交換可能な光学部材を配置してもよい。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
なお、上述の第1〜第3の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、例えば、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているように、露光対象基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で基板の露光を行う露光装置にも本発明を適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(US S/N 08/416,558)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図11に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光し、露光した基板を現像する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程の加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。なお、基板処理ステップには、図5〜7及び12を用いて説明した異物の除去工程及び異物の検査工程などのプロセスが含まれる。
1…液浸機構、2…凹面部、10…液体供給機構、18…供給口、19…混合装置、20…液体回収機構、28…回収口、40…除去装置、43…吸引口、44…駆動機構、50…検出装置、70…ノズル部材、CONT…制御装置、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、LS1…第1光学素子、P…基板、PL…投影光学系、PST(PST1)…基板ステージ、PST2…計測ステージ、PSTD…基板ステージ駆動装置、T1…下面