以下、本発明の露光装置の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1の実施形態>
図1は本発明の露光装置の第1の実施形態を示す概略構成図、図2は図1の要部拡大図である。図1において、露光装置EXSは、クリーンルーム内の床面F上に設置された本体チャンバCH1と、この本体チャンバCH1に隣接して配置された機械室CH2とを備えている。本体チャンバCH1の内部に設けられた露光室100は、空調系KCによって空調されており、その内部の環境(清浄度、温度、圧力等)をほぼ一定に維持されている。本実施形態においては、露光室100は清浄な空気で満たされる。露光室100には、露光装置本体EXが収容されている。露光室100は、本体チャンバCH1内部に設けられた給気流路101及び接続部102を介して、機械室CH2の内部に設けられた気体流路の出口114に接続されている。
露光室100に収容されている露光装置本体EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、光洗浄効果を有する所定の照射光Luを射出する光洗浄装置80とを備えている。本実施形態においては、光洗浄装置80は紫外光(UV光)を射出する。露光装置EXS(露光装置本体EX)全体の動作は、制御装置CONTによってを統括制御される。
なお、「光洗浄効果」とは、部材に、所定の光が照射されることによって、その部材が浄化されることを意味し、その部材に、所定の波長、特には紫外光またはそれより短波長の真空紫外光などの光が照射されることで、部材の表面に付着(吸着)または生成している有機物質や炭素などの不純物または汚染物が除去、分解または変性されて部材表面が浄化されること、及び/又はその部材近傍の気体中の酸素が所定の波長、特には紫外光またはそれより短波長の真空紫外光などを吸収して励起状態となり、酸化力を増したオゾンなどに化学変化することによって、部材の表面の有機物質や炭素などの不純物または汚染物が除去、分解または変性されて部材表面が浄化されることが含まれる。また、部材表面の不純物や汚染物は、基板Pに塗布されるフォトレジスト、液体や、周囲の気体、オペレータなどから導入されると考えられる。
また、露光装置EXSは、露光室100に隣接する位置に、基板ステージPSTに対して基板Pを搬入及び搬出する基板搬送系150を備えている。基板搬送系150は不図示の基板搬送系収容室に収容されている。同様に、不図示ではあるが、露光室100に隣接する位置には、マスクステージMSTに対してマスクMを搬入及び搬出するマスク搬送系を収容するマスク搬送系収容室が設けられている。これら基板搬送系収容室及びマスク搬送系収容室は、露光室100に対して機械室CH2とは反対側に設けられている。基板搬送系収容室及びマスク搬送系収容室のそれぞれは、露光室100同様、空調系KCによってその内部の環境をほぼ一定に維持されている。
本実施形態の露光装置EXS(露光装置本体EX)は、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。露光装置EXSは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の少なくとも一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXSは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面(露光面)との間、すなわち投影光学系PLの像面側の光路空間を液体LQで満たした状態で露光光ELを照射し、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによって、基板Pを露光する。
ここで、本実施形態では、露光装置EXSとしてマスクMと基板Pとを走査方向(所定方向)における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向、所定方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上にレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光が用いられる。上述したように、本実施形態における液体LQは純水であって、露光光ELがArFエキシマレーザ光であっても透過可能である。また、純水は輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTはリニアモータ等のマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上には移動鏡50が設けられている。また、移動鏡50に対向する位置にはレーザ干渉計51が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計51によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計51の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、屈折素子を含まない反射系、反射素子を含まない屈折系、屈折素子と反射素子とを含む屈折反射系のいずれであってもよい。また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられている。また、先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQは光学素子2に接触する。これにより、金属からなる鏡筒PKの腐蝕等が防止されている。
基板ステージPSTは、基板Pを基板ホルダPHを介して保持するZチルトステージ52と、Zチルトステージ52を支持するXYステージ53とを備えている。基板ステージPSTはリニアモータ等の基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。Zチルトステージ52は基板ホルダPHに保持されている基板PをZ軸方向、及びθX、θY方向(傾斜方向)に移動可能である。XYステージ53は基板ホルダPHに保持されている基板PをZチルトステージ52を介してXY方向(投影光学系PLの像面と実質的に平行な方向)、及びθZ方向に移動可能である。なお、ZチルトステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。
基板ステージPST上には凹部32が設けられており、基板ホルダPHは凹部32に配置されている。そして、基板ステージPST(Zチルトステージ52)のうち凹部32以外の上面31は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。また、移動鏡55の上面も、基板ステージPSTの上面31とほぼ同じ高さ(面一)となっている。基板Pの周囲に基板P表面とほぼ面一の上面31を設けたので、基板Pのエッジ領域を液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、基板Pのエッジ部とその基板Pの周囲に設けられた平坦面(上面)31との間には0.1〜2mm程度のギャップが形成されるが、液体LQの表面張力によりそのギャップに液体LQが流れ込むことはほとんどなく、基板Pの周縁近傍を露光する場合にも、上面31により投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。
基板ステージPSTの上面31は撥液化処理されて撥液性を有している。上面31の撥液化処理としては、例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料あるいはアクリル系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する処理が挙げられる。基板ステージPSTの上面31を形成する部材そのものをフッ素系樹脂などの撥液性部材で形成してもよい。上面31を撥液性にすることで、液浸露光中においては基板ステージPST外側への液体LQの流出を防止でき、液浸露光後においては、上面31に残留した液体LQを良好に回収(除去)することができる。
本実施形態においては、後述するように、この上面31には光洗浄装置80より紫外光(UV光)が照射されるが、紫外光を照射されても、上面31の撥液性が大きく損なわれない膜材料が使用されている。
基板ステージPST(Zチルトステージ52)上には移動鏡55が設けられている。また、移動鏡55に対向する位置にはレーザ干渉計56が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計56によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計56の計測結果に基づいて、レーザ干渉計56で規定される2次元座標系内で基板ステージ駆動装置PSTDを介してXYステージ53を駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
図2に示すように、露光装置EXS(露光装置本体EX)は、基板P表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系60を有している。フォーカス・レベリング検出系60は、投射部60Aと受光部60Bとを有し、投射部60Aから液体LQを介して基板P表面(露光面)に斜め方向から検出光Laを投射するとともに、その基板Pからの反射光を液体LQを介して受光部60Bで受光することによって、基板P表面の面位置情報を検出する。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系60の動作を制御するとともに、受光部60Bの受光結果に基づいて、所定基準面(像面)に対する基板P表面のZ軸方向における位置(フォーカス位置)を検出する。また、基板P表面における複数の各点での各フォーカス位置を求めることにより、フォーカス・レベリング検出系60は基板Pの傾斜方向の姿勢を求めることもできる。なお、フォーカス・レベリング検出系60の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。なお、フォーカス・レベリング検出系60は、液体LQを介さずに基板Pの表面位置を検出するものであってもよい。
制御装置CONTは、基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTのZチルトステージ52を駆動することにより、Zチルトステージ52に保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置を制御する。すなわち、Zチルトステージ52は、フォーカス・レベリング検出系60の検出結果に基づく制御装置CONTからの指令に基づいて動作し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面(露光面)を投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に合わせ込む。
投影光学系PLの先端近傍には、基板P上のアライメントマークあるいはZチルトステージ52上に設けられた後述する基準部材(計測部材)上の基準マークを検出する基板アライメント系350が設けられている。本実施形態の基板アライメント系350では、例えば特開平4−65603号公報に開示されているような、基板ステージPSTを静止させてマーク上にハロゲンランプからの白色光等の照明光を照射して、得られたマークの画像を撮像素子により所定の撮像視野内で撮像し、画像処理によってマークの位置を計測するFIA(フィールド・イメージ・アライメント)方式が採用されている。
図1に戻って、マスクステージMST、投影光学系PL、及び基板ステージPSTは、本体コラム1に支持されている。本体コラム1は、本体チャンバCH1の底面上に設置されたベースプレートBPの上方に複数の防振ユニット3を介して支持されている。本体コラム1は、防振ユニット3によって支持されたメインコラム4と、メインコラム4の上に設けられたサポートコラム5とを備えている。投影光学系PLは、メインコラム4の上面4Aに保持部材PFを介して保持されている。サポートコラム5は、照明光学系ILの少なくとも一部を下方から支持している。
マスクステージMSTは、メインコラム4に支持された不図示のマスクステージベース上を2次元移動可能に設けられている。また、基板ステージPST(XYステージ53)は、メインコラム4の底面によって構成されている基板ステージベース57上を2次元移動可能に設けられている。
また、マスクステージMSTの近傍には、マスクMと投影光学系PLとを介してZチルトステージ52上に設けられた後述する基準部材上の基準マークを検出するマスクアライメント系360が設けられている。本実施形態のマスクアライメント系360では、例えば特開平7−176468号公報に開示されているような、マークに対して光を照射し、CCDカメラ等で撮像したマークの画像データを画像処理してマーク位置を検出するVRA(ビジュアル・レチクル・アライメント)方式が採用されている。
次に、露光装置本体EXを収容している露光室100を空調する空調系KCについて、図1を参照しながら説明する。
空調系KCは、本体チャンバCH1の内部と機械室CH2の内部とを含む循環流路の複数の所定位置のそれぞれ配置されたフィルタユニット103、105、118、121、及び温調装置110、111、116を備えている。空調系KCは、前記フィルタユニット及び温調装置等を介して気体を循環することで、露光室100の環境(清浄度、温度、圧力等)を所望状態に維持する。また、機械室CH2の所定位置には、フィルタユニット109を配置された外気取り入れ口(OA口)108が形成されている。清浄度を維持するために、本体チャンバCH1の内部、特に露光室100の内部は外部に対して陽圧に維持されている。そのため、本体チャンバCH1の内部から外部に対して気体が漏洩する。OA口108は、前記漏洩分の気体を外部から取り入れるために設けられている。
本体チャンバCH1の内部に設けられた給気流路101の一端部(機械室CH2側の端部)には、気体中の化学汚染物質を化学吸着及び物理吸着にて除去するケミカルフィルタ等を備えたフィルタユニット103が設けられている。給気流路101の一端部は、接続部102を介して機械室CH2の内部に設けられた気体流路の出口114に接続されている。一方、給気流路101の他端部は、露光室100の上部に設けられた開口(給気口)104に接続されている。給気口104には、露光室100に流入する気体中のパーティクルを除去するパーティクルフィルタであるULPAフィルタ(ultra low penetration air-filter)等を備えたフィルタユニット105が設けられている。空調系KCは、給気口104より露光室100の上部空間に対して横方向、本実施形態では−X方向に気体を供給する。
露光室100の底部には排気部(リターン部)106が設けられている。リターン部106は、排気流路(リターンダクト)107を介して、機械室CH2の床面に形成された開口107Aに接続されている。露光室100の内部の気体は、排気部106より排気され、機械室CH2に送られる。
機械室CH2の所定位置に設けられたOA口108には、ケミカルフィルタ等を備えたフィルタユニット109が設けられている。機械室CH2内部の気体流路中には、冷却装置(温調装置)110が設けられている。冷却装置110の上方には、加熱装置(温調装置)111が所定距離だけ離れて配置されている。加熱装置111の上方に設けられた機械室CH2の出口114近傍には、給気用ファン112が設けられている。また、冷却装置110の下方には、ドレインパン122が配置されている。温調装置110、111で温度調整された気体は、出口114を介して本体チャンバCH1に供給される。
機械室CH2の内部において加熱装置111の下方には、冷却装置110を下方から上方に通過した気体の一部(例えば約1/5)が流れ込む分岐路113の一端部が接続されている。分岐路113の一端部には伸縮可能な蛇腹状部材113aが設けられており、分岐路113の一端部と機械室CH2の内部とは蛇腹状部材113aを介して接続されている。一方、分岐路113の他端部に設けられた開口(給気口)115は、基板ステージPST近傍に配置されている。図1に示すように、分岐路113の大部分は、露光室100内部に設けられている。
分岐路113の内部には加熱装置116が設けられている。また、分岐路113のうち給気口115の近傍には、給気用ファン117が設けられている。給気口115は、メインコラム4の−X側の側壁に設けられている。給気口115には、ケミカルフィルタ及びULPAフィルタ等を備えたフィルタユニット118が設けられている。温調装置110、116で温度調整された気体は、給気口115を介して、露光室100の内部うち、投影光学系PLの一部を含む基板ステージPST近傍の空間(空調空間)125に供給される。以下の説明では、投影光学系PLの一部及び基板ステージPSTを含み、メインコラム4で囲まれた空間を、空調空間125として説明する。
空調系KCは、給気口115より、投影光学系PLの一部を含む基板ステージPST近傍の空間(空調空間)125に対して横方向、本実施形態では+X方向に気体を供給し、その空調空間125を空調する。すなわち、空調空間125においては、空調系KCによって形成される気体の流れは、ほぼ+X方向に設定されている。
一方、基板ステージPSTに対して給気口115と反対側には、排気流路(リターンダクト)119の一端部である排気口120が配置されている。排気口120は、メインコラム4の+X側の側壁に設けられており、給気口115と排気口120とは対向している。一方、リターンダクト119の他端部は、機械室CH2の床面に形成された開口119Aに接続されている。機械室CH2の床面に形成された開口107A、119Aには、ケミカルフィルタ等を備えたフィルタユニット121が設けられている。露光室100の内部のうち空調空間125の気体は、排気口120より排気され、機械室CH2に送られる。
次に、図1及び図2を参照しながら液体供給機構10及び液体回収機構20について説明する。
液体供給機構10は、所定の液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13とを備えている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、及び液体LQ中に含まれる異物や気泡を取り除くフィルタユニット等を備えている。液体供給部11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成する際、液体供給機構10は液体LQを基板P上に供給する。
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23とを備えている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系、気液分離器、タンクなどの少なくとも一部を、露光装置EXSに設けずに、露光装置EXSが配置される工場の設備などを用いるようにしてもよい。液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成するために、液体回収機構20は液体供給機構10より供給された基板P上の液体LQを所定量回収する。
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍にはノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、投影光学系PLの像面側の露光光ELが通過する光路空間を液体LQで満たすためのものであって、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。ノズル部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、ノズル部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。また、その隙間に液体LQが浸入しないように、且つその隙間から液体LQ中に気泡が混入しないように構成されている。ノズル部材70は、例えばステンレス鋼、チタンなどによって形成されている。
ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された供給口12を備えている。本実施形態において、ノズル部材70は2つの供給口12A、12Bを有している。供給口12A、12Bはノズル部材70の下面70Aに設けられている。
ノズル部材70の内部には、基板P上に供給される液体LQが流れる供給流路が形成されている。ノズル部材70の供給流路の一端部は供給管13の他端部に接続され、供給流路の他端部は供給口12A、12Bのそれぞれに接続されている。ここで、ノズル部材70の内部に形成された供給流路の他端部は、複数(2つ)の供給口12A、12Bのそれぞれに接続可能なように途中から分岐している。
また、ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された回収口22を備えている。本実施形態において、回収口22は、ノズル部材70の下面70Aにおいて、投影光学系PLの光学素子2(投影領域AR1)及び供給口12を囲むように環状に形成されている。
また、ノズル部材70の内部には、回収口22を介して回収された液体LQが流れる回収流路が形成されている。ノズル部材70の回収流路の一端部は回収管23の他端部に接続され、回収流路の他端部は回収口22に接続されている。ここで、ノズル部材70の内部に形成された回収流路は、回収口22に応じた環状流路と、その環状流路を流れた液体LQを集合するマニホールド流路とを備えている。
本実施形態において、ノズル部材70は、液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成している。液体供給機構10を構成する供給口12A、12Bは、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの位置に設けられており、液体回収機構20を構成する回収口22は、投影光学系PLの投影領域AR1に対して液体供給機構10の液体供給口12A、12Bの外側に設けられている。なお本実施形態における投影光学系PLの投影領域AR1は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とした平面視矩形状に設定されている。
液体供給部11の動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは液体供給部11による単位時間あたりの液体供給量を制御可能である。基板P上に液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13及びノズル部材70内部に形成された供給流路を介して、基板Pの上方に設けられている供給口12A、12Bより基板P上に液体LQを供給する。液体LQは、供給口12A、12Bを介して、投影領域AR1の両側から供給される。
液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは液体回収部21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。基板Pの上方に設けられた回収口22から回収された基板P上の液体LQは、ノズル部材70内部に形成された回収流路、及び回収管23を介して液体回収部21に回収される。
なお、ノズル部材70の構成(供給口、回収口の位置、形状、数など)は、上述のものに限られず、露光光ELの光路の液体LQで満たすように液浸領域AR2を維持できる構成であればよい。例えば、供給口12A、12Bは、投影光学系PLの投影領域AR1に対してY軸方向両側にそれぞれ配置してもよいし、ノズル部材70を複数の部材で構成するようにしてもよい。
投影光学系PLの光学素子2の下面(液体接触面)2A、及びノズル部材70の下面(液体接触面)70Aは親液性(親水性)を有している。本実施形態においては、光学素子2は、純水との親和性が高い蛍石で形成されている。なお光学素子2は、水との親和性が高い石英であってもよい。また光学素子2の液体接触面2A及びノズル部材70の液体接触面70Aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。親液化処理としては、MgF2、Al2O3、SiO2などの親液性材料を前記液体接触面に設ける処理が挙げられる。あるいは、本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、親液化処理(親水化処理)として、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を設けるようにしてもよい。光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aを親液性にすることで、液体LQの表面張力を利用して、液体LQの液浸領域AR2を、光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aと、基板Pの上面及び/又は基板ステージPSTの上面との間で良好に形成することができる。
なお、本実施形態においては、光学素子2の下面2Aとノズル部材70の下面70Aはほぼ面一となるようにノズル部材70が配置されているが、光学素子2の下面2Aとノズル部材70の下面70Aとに段差があってもよい。例えば、ノズル部材70の下面70Aと基板Pの上面及び/又は基板ステージPSTの上面との距離が、光学素子2の下面2Aと基板Pの上面及び/又は基板ステージPSTの上面との距離よりも小さくなるように、ノズル部材70を配置してもよい。
次に、図2を参照しながら光洗浄装置80について説明する。
光洗浄装置80は、光洗浄効果を有する照射光Luを射出するものである。光洗浄装置80は、光源82と、その光源82を保持する筐体81とを備えている。本実施形態においては、光洗浄装置80は、紫外光(UV光)を下方に向けて射出するものである。光源82としては、Xe2エキシマレーザ(波長172nm)、KrClエキシマレーザ(波長222nm)、XeClエキシマレーザ(波長308nm)などが使用されている。光洗浄装置80は、投影光学系PLの先端部の光学素子2、ノズル部材70、及び基板ステージPSTを収容した空調空間125の内側であって、投影光学系PLと並んだ位置に設けられている。具体的には、光洗浄装置80は、空調空間125の内側であって、メインコラム4の天井面4Bのうち、投影光学系PL(露光光ELの光路)に対して+X側に所定距離離れた位置に取り付けられている。ここで、上述したように、空調空間125においては、給気口115から供給された気体は+X方向に流れる。したがって、光洗浄装置80は、投影光学系PLに対して空調系KCによって形成される気体(空気)の流れの下流側に設けられた構成となっている。
本実施形態においては、空調空間125の+X側の外側に、基板ステージPSTに対して基板Pを搬入(ロード)及び搬出(アンロード)する基板搬送系150が配置されている。制御装置CONTは、基板ステージPSTに対して基板Pをロード・アンロードするとき、基板ステージPSTを空調空間125の+X側に移動し、基板搬送系150の近傍位置(ロード・アンロード位置)に配置する。光洗浄装置80はそのロード・アンロード位置の上方に設けられており、基板ステージPSTは、光洗浄装置80の直下に移動可能な構成となっている。
また、空調空間125の内側には、その空調空間125の気体成分を検出する検出器84(84A、84B)が設けられている。本実施形態においては、検出器84は、空調空間125の酸素濃度を検出可能な酸素濃度計によって構成されている。検出器84は一つでもよいが、本実施形態においては、空調空間125の複数の所定位置のそれぞれに検出器84A、84Bが設けられている。具体的には、検出器84Aは、メインコラム4の天井面4Bのうち、光洗浄装置80に並ぶ位置に取り付けられている。検出器84Bは、光洗浄装置80より射出される紫外光Luの光路近傍に設けられている。
図3は基板ステージPSTのZチルトステージ52を上方から見た平面図である。なお図3においては、基板Pは破線で仮想的に図示されている。平面視矩形状のZチルトステージ52の互いに垂直な2つの縁部に移動鏡55が配置されている。また、Zチルトステージ52のほぼ中央部に凹部32が形成されており、この凹部32に基板Pを保持する基板ホルダPHが配置されている。
基板ホルダPHは、略円環状の周壁部33と、この周壁部33の内側に配置され、基板Pを保持(支持)する複数のピン状の支持部34とを備えている。ピン状の支持部34のそれぞれは、その上面34Aを基板Pの裏面に接触させて基板Pを保持する。なお、図においては、支持部34は比較的大きく示されているが、実際には非常に小さなピン状の支持部が周壁部33の内側に多数形成されている。
周壁部33は支持部34の周囲に配置されており、支持部34は周壁部33の内側において一様に配置されている。上述したように、基板ホルダPHに保持されている基板Pの側面とZチルトステージ52の上面31との間には所定のギャップが形成されている。なお図においては、周壁部33の上端面は比較的広い幅を有しているが、実際には0.1〜2mm程度の幅しか有していない。
基板ホルダPHの支持部34以外の上面には、吸引口41が複数設けられている。吸引口41は、基板ステージPST外部に設けられた真空ポンプを含む不図示の真空系に流路を介して接続されている。制御装置CONTは、真空系を駆動し、周壁部33及び支持部34を含む基板ホルダPHと支持部34に支持された基板Pとの間に形成された空間38内部のガス(空気)を吸引口41より吸引してこの空間38を負圧にすることで、支持部34に基板Pを吸着保持する。すなわち、本実施形態における基板ホルダPHは、所謂ピンチャック機構を備えた構成である。
また、基板ステージPST上において、基板Pの外側の所定位置には、光計測部として基準部材(計測部材)300が配置されている。基準部材300には、基板アライメント系350により検出される基準マークPFMと、マスクアライメント系360により検出される基準マークMFMとが所定の位置関係で設けられている。基準部材300の上面はほぼ平坦面となっており、基板ステージPSTに保持された基板P表面、及び基板ステージPSTの上面31とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。基準部材300の上面は、フォーカス・レベリング検出系60の基準面としての役割も果たすことができる。
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、光計測部として例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ400、例えば特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ500、及び例えば特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)600、特開昭62−183522に開示されているような不図示の反射部材(計測部材)など、各種光計測部が設けられている。
また、各光計測部の上面は、基板ステージPSTの上面31とほぼ面一で、光透過性の撥液材料で被覆されている。本実施形態においては、液体LQとして純水を使用しており、各光計測部の上面は撥水性のサイトップ(旭硝子社製、登録商標)で被覆されている。
また、各光計測部の上面の撥液材料は、露光光ELや光洗浄装置80からの紫外光(UV光)が照射されても、その撥液性が損なわれにくいものを用いているが、撥液性が劣化した場合や、不純物が付着して汚染された場合には、各光計測部の上面を形成する部材を交換するようにしてもよい。
また、基板ステージPST上に基準部材300,センサ400,500、600のすべてを設ける必要はなく、それらの少なくとも一つを省略してもよい。
なお、各光計測部の上面は、基板ステージPSTの上面31と一体的に形成してもよいし、基板ステージPSTの上面31を形成する部材とは別の部材に形成してもよい。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
基板Pの露光処理を行うために、まず、制御装置CONTは、基板ステージPST上に基板Pを支持した状態で、液体供給機構10及び液体回収機構20による液体LQの供給及び回収を行い、投影光学系PLの像面側に液体LQの液浸領域AR2を形成する。
制御装置CONTは、基板Pの露光処理を行う前に、光計測部300、400、500、600を使った各種計測動作を行い、その計測結果に基づいて、基板Pのアライメント処理や、投影光学系PLの結像特性調整(キャリブレーション)処理を行う。例えば光計測部400を使った計測動作を行う場合には、制御装置CONTは、基板ステージPSTをXY方向に移動することで液体LQの液浸領域AR2に対して基板ステージPSTを相対的に移動し、光計測部400上に液体LQの液浸領域AR2を配置し、その状態で液体LQを介した計測動作を行う。同様に、光計測部300を使った計測動作や、光計測部500、600を使った計測動作を行う際にも、液体LQの液浸領域AR2に対して基板ステージPSTを相対的に移動し、光計測部300、500、600上に液体LQの液浸領域AR2を配置した状態で液体LQを介した計測動作を行う。
上記アライメント処理及びキャリブレーション処理を行った後、制御装置CONTは、液体供給機構10による基板P上に対する液体LQの供給と並行して、液体回収機構20による基板P上の液体LQの回収を行い、基板Pよりも小さく且つ投影領域AR1よりも大きい液浸領域AR2を局所的に形成しつつ、基板Pを支持する基板ステージPSTをX軸方向(走査方向)に移動しながら、マスクMのパターン像を投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介して基板P上に投影露光する。
本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板PとをX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに投影露光するものであって、走査露光時には、液浸領域AR2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMの一部のパターン像が投影領域AR1内に投影され、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板Pが投影領域AR1に対して+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。基板P上には複数のショット領域が設定されており、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。なお、投影光学系PLの構造によっては、マスクMと基板Pとを同一の方向(例えば、+X方向)へ移動して各ショット領域が露光される。
基板Pの中央領域に設定されたショット領域を露光するときは、液浸領域AR2は基板P上に配置される。一方、基板Pのエッジ領域に設定されたショット領域を露光するときは、液浸領域AR2は、基板Pと基板ステージPSTの上面31とのそれぞれに跨るように配置される。
基板Pの液浸露光終了後、制御装置CONTは、液体供給機構10による液体供給を停止した後、液体回収機構20を使って、基板P上や基板ステージPSTの上面31、あるいは光計測部、300、400、500、600上に残留している液体LQを回収する。次いで、制御装置CONTは、露光処理を終えた基板Pを搬出(アンロード)するとともに、未だ露光されていない未露光基板Pを基板ステージPSTに搬入(ロード)するために、図4に示すように、基板ステージPSTを投影光学系PLに対して+X側に移動し、空調空間125の+X側、すなわち基板搬送系150の近傍位置(ロード・アンロード位置)に配置する。上述したように、そのロード・アンロード位置の上方には光洗浄装置80が設けられている。
制御装置CONTは、基板搬送系150によって露光処理を終えた基板Pを基板ステージPSTからアンロードした後、未露光基板Pを基板ステージPSTにロードする前に、基板ステージPST上に基板Pが無い状態で、基板ステージPSTを移動して光洗浄装置80の直下に配置する。その状態で、制御装置CONTは光洗浄装置80を駆動し、光洗浄装置80より紫外光Luを下方に向けて射出する。光洗浄装置80より射出された紫外光Luは基板ステージPSTに対して照射される。光洗浄装置80は、基板ステージPSTの上面31、基板ステージPSTの上面31に設けられている光計測部300、400、500、600、及び基板ホルダPHに紫外光Luを所定時間だけ照射する。なお、光洗浄装置80は、移動鏡55の上面に紫外光Luを照射してもよい。
紫外光Luが照射されることにより、基板ステージPST上面の不純物(有機物)を気化(除去)することができる。また、基板ステージPST上面近傍では、空気中の酸素が紫外光Luを吸収して励起状態となり、酸化力を増したオゾンなどに化学変化し、基板ステージPST上面に付着した不純物(有機物)が酸化分解される。
液浸領域AR2の液体LQ中には、例えば基板P上に塗布された感光剤から発生した不純物(異物)が混入する可能性がある。なお、感光剤から発生する不純物とは、感光剤の破片や感光剤に含まれる電解質の析出物等を含む。上記感光剤は有機物を含んでいるため、液浸領域AR2の液体LQ中に有機物を含む不純物が混入する可能性がある。上述したように、液体LQの液浸領域AR2は、基板P表面、光計測部300、400、500、600を含む基板ステージPSTの上面31上を移動するが、液浸領域AR2が基板ステージPST上を相対的に移動することにより、基板ステージPSTの上面31、基板ステージPST上に設けられた光計測部300、400、500、600等に不純物(有機物)が付着する可能性がある。また、空中を浮遊している不純物(有機物)が、基板ステージPSTの上面31や、光計測部300、400、500、600等に付着する可能性もある。
本実施形態においては、基板ステージPSTの上面31、光計測部300、400、500、600、基板ホルダPH上に付着した有機物は、酸化力の強化された雰囲気下で、前記紫外光Luにより除去される。このようにして、上記基板ステージPSTの上面31、光計測部300、400、500、600の上面、及び基板ホルダPHが光洗浄され、液体LQの付着跡の形成も抑制できる。
また、基板Pの液浸露光終了後、基板ステージPST上の液体LQを回収しきれずに、基板ステージPST上に液体LQが残留する可能性もある。残留した液体LQを放置しておくと、液体LQが乾燥した後、基板ステージPSTの上面31や、光計測部300、400、500、600の上面等に、液体LQの付着跡(所謂ウォーターマーク)が形成される可能性がある。また、液体LQが基板Pの裏面側に入り込んで基板ホルダPHに付着すると、その基板ホルダPHにも液体LQの付着跡(ウォーターマーク)が形成される可能性がある。また、基板Pの液浸露光終了後に、基板ステージPST上の液体LQが回収しきれたとしても、不純物(有機物)を基板ステージPST上に付着させた状態で長時間放置しておくと、付着跡(ウォーターマーク)が形成される可能性がある。
本実施形態においては、光洗浄装置80によって、上記基板ステージPSTの上面31、光計測部300、400、500、600の上面、及び基板ホルダPHに紫外光を照射することで、光洗浄効果による付着跡(ウォーターマーク)の除去も期待できる。
基板ステージPSTの光洗浄処理を終えた後、制御装置CONTは、その光洗浄された基板ステージPSTに未露光基板Pをロードする。基板ホルダPHに不純物(有機物)が付着していたり、付着跡(ウォーターマーク)が形成されていると、それらが異物として作用し、基板ホルダPHで基板Pを良好に吸着保持できなくなったり、あるいは保持した基板Pの平坦度(フラットネス)が劣化し、良好な露光精度及び計測精度を得られない不都合が生じる。本実施形態においては、未露光の基板Pを基板ホルダPHで保持する前に、その基板ホルダPHを光洗浄することで、上記不都合の発生を防止することができる。
また、基板Pを露光する前に、上述したように、光計測部300、400、500、600を使った計測処理を行う場合には、その計測処理を行う前に、それら光計測部300、400、500、600を光洗浄することで、付着した不純物(有機物)や付着跡(ウォーターマーク)に起因する計測精度の劣化を防止することができる。
また、上述したように、基板Pのエッジ領域を液浸露光するときは、液浸領域AR2の一部が基板ステージPSTの上面31に配置されるが、液浸露光を行う前に、基板ステージPSTの上面31を光洗浄することで、付着した不純物(有機物)や付着跡(ウォーターマーク)に起因する基板ステージPSTの上面31の液体LQとの接触角の変化や、光計測部300、400、500、600の上面の液体LQとの接触角の変化を防止することができる。例えば、基板ステージPSTの上面31の液体LQとの接触角が変化すると、液浸領域LQの液体LQの圧力が変化し、それに伴って、基板Pや基板ステージPST、投影光学系PLの光学素子2に及ぼす液体LQの力も変化する。すると、基板Pやその基板Pを支持する基板ステージPSTが変形したり、光学素子2の位置が変動する等の不都合が生じ、露光精度及び計測精度が劣化する可能性がある。また、基板Pなどに及ぼす液体LQの力が変化すると、液浸領域AR2の液体LQが基板Pの外側に流出したり、液浸領域AR2中に気泡が発生したり、上面31と基板Pのエッジ部との隙間に液体LQが入り込むなどの不都合が発生し易くなる。本実施形態においては、液浸露光を行う前に、基板ステージPSTの上面31を光洗浄することで、上面31の液体LQとの接触角の変化を防止し、上記不都合の発生を防止することができる。
また、基板ステージPST上などに形成された付着跡(ウォーターマーク)は異物として作用するため、その異物が例えば空中を浮遊して基板P上に付着し、その状態で露光処理が行われると、基板P上のパターン欠陥を招く。本実施形態においては、光洗浄装置80は、付着跡(ウォーターマーク)が基板ステージPST上に形成されないように、紫外光Luを照射しているので、付着跡(ウォーターマーク)の形成を抑制し、上記パターン欠陥などの不都合の発生を防止することができる。
本実施形態においては、光洗浄装置80は投影光学系PLに並んだ位置に設けられている。このような配置にすることにより、露光処理をしていないときは、基板ステージPSTを直ちに光洗浄装置80の直下に移動することができ、光洗浄処理時間の短縮化を図ることができる。
ところで、光洗浄装置80(光源82)は発熱源となるため、投影光学系PLに近づけすぎると、投影光学系PLの結像特性の変動などを引き起こし、露光精度及び投影光学系PLを介した計測精度を劣化させる。また、光洗浄装置80の光洗浄によって空中に飛散した異物(不純物)が露光精度や計測精度に影響を及ぼすおそれもある。したがって、光洗浄装置80は、投影光学系PL(露光光ELの光路)から所定距離だけ離れた位置に設けることが望ましい。
本実施形態においては、光洗浄装置80は、投影光学系PLに対して空調系KCによって形成される気体(空気)の流れの下流側に設けられた構成となっている。したがって、光洗浄装置80で発生した熱が、投影光学系PL(露光光ELの光路)に伝わることを効果的に防止することができる。また、光洗浄装置80による光洗浄によって分解された異物(不純物)が空中に飛散しても、投影光学系PL側へ流れることなく、排気口120から排出することができる。
このように、空調系KCによって形成される気体の流れの方向を考慮して、光洗浄装置80の設置位置を設定することで、光洗浄装置80に起因する露光精度及び計測精度の劣化を防止することができる。
なお、光洗浄装置80から射出する照射光Luとしては、光洗浄効果を有する照射光であれば、例えばArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などでもよい。あるいは、水銀ランプ、重水素ランプなどを用いることもでき、この場合には光洗浄装置80の低コスト化を図ることができる。
ところで、上述したように、光洗浄は、酸素による紫外光Luの吸収に基づいて、紫外光Luの照射領域近傍の雰囲気の酸化力を強化し、不純物(有機物)を酸化分解し、その除去を促進させる構成であるが、紫外光Luの照射領域近傍の雰囲気中の酸素は必ずしも必要ではない。一方で、酸素は、紫外光Luに対する吸光物質として作用するため、前記雰囲気中の酸素濃度が高すぎると、紫外光Luは十分な光強度で照射されない。したがって、照射する紫外光Luの波長などに応じて、前記雰囲気中の酸素濃度を最適に設定することが望ましい。
そこで、制御装置CONTは、紫外光Luの光路を含む空調空間125の酸素濃度を検出器84(84A、84B)を使って検出し、光洗浄するときは、検出器84の検出結果に基づいて、空調空間125のうち、少なくとも紫外光Luの光路を含む空間の酸素濃度を調整するとよい。例えば、検出器84で検出した酸素濃度が、所望濃度に対して低い場合には、制御装置CONTは、空調系KCの給気口115より空調空間125に対して供給する気体に酸素を追加することで、空調空間125の酸素濃度を高くすることができる。一方、検出器84で検出した酸素濃度が、所望濃度に対して高い場合には、制御装置CONTは、空調系KCの給気口115より空調空間125に対して供給する気体に窒素などの不活性ガスを追加することで、空調空間125の酸素濃度を低くすることができる。
空調空間125の気体は、排気口120より回収される。
<第2の実施形態>
図5は本発明の第2の実施形態を示す概略構成図である。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上述したように、光洗浄装置80(光源82)は発熱源となるため、図5に示すように、空調空間125の外側に配置するようにしてもよい。こうすることにより、光洗浄装置80で発生した熱が、投影光学系PL(露光光ELの光路)に伝わることを更に効果的に防止することができる。図5において、光洗浄装置80はメインコラム4の上面4Aに設けられており、空調空間125よりも外側に配置されている。メインコラム4の上壁の一部には、紫外光Luを透過可能な透過窓83が設けられており、光洗浄装置80は透過窓83の上に設けられている。透過窓83は、例えば石英ガラスや蛍石、あるいはフッ化マグネシウムなど、紫外光Luに対して吸収の少ない材料で構成されている。光洗浄装置80は下方に向けて紫外光Luを射出する。光洗浄装置80より射出された紫外光Luは、透過窓83を通過した後、光洗浄装置80及び透過窓83の直下に配置されている基板ステージPST上に照射される。
また、図5に示す実施形態においては、光洗浄装置80を空調空間125の外側に配置しているため、空調系KCによって形成される空調空間125における気体の流れ方の設計に対する自由度を広げることができる。
<第3の実施形態>
図6は第3の実施形態を示す図である。図6において、光洗浄装置80は、空調空間125の外側に配置され、紫外光Luを射出する光源82と、光源82から射出された紫外光Luを空調空間125の内部に配置された基板ステージPST上に導く光学系86とを備えている。光学系86は、メインコラム4の+X側の側壁の一部に設けられ、紫外光Luを透過可能な透過窓83と、空調空間125の内側に配置され、透過窓83を通過した紫外光Luの光路を折り曲げる反射ミラー85とを備えている。透過窓83は、上述同様、例えば石英ガラスや蛍石、あるいはフッ化マグネシウムなど、紫外光Luに対して吸収の少ない材料で構成されている。光源82はハウジング81に収容された状態で、メインコラム4の+X側の外側において、透過窓83の近くに配置されている。光源82から射出された紫外光Luは、透過窓83を通過した後、反射ミラー85で反射し、基板ステージPSTに照射される。なお、反射ミラー85は、凸面であっても凹面であってもよい。反射ミラー85を凸面にすることにより、基板ステージPSTの広い領域を紫外光Luで一括して照射することができる。一方、反射ミラー85を凹面にすることにより、光源82から射出された紫外光Luを反射ミラー85で集光した後、基板ステージPSTに照射することができる。また、反射ミラー85を移動可能(揺動可能)に設け、その反射ミラー85を動かすことで、反射ミラー85で反射した紫外光Luを基板ステージPSTの所望位置に照射することができる。なお、反射ミラー85に代えてあるいは反射ミラー85に加えて、紫外光Luを偏向または集光させるレンズやプリズムなどの光学素子を用いても良い。
図6に示した実施形態においても、発熱源となる光源82は、空調空間125の外側に配置されているので、光洗浄装置80の光源82で発生した熱が、投影光学系PL(露光光ELの光路)に伝わることを更に効果的に防止することができる。
また、図6に示す実施形態においても、光洗浄装置80の光源82を空調空間125の外側に配置しているため、空調系KCによって形成される空調空間125における気体の流れ方の設計に対する自由度を広げることができる。例えば、図6に示す実施形態においては、空調空間125に対して気体を供給する給気口115(115A、115B)は2つ設けられており、メインコラム4の上壁に設けられている。なお、上述した実施形態同様、給気口115A、115Bのそれぞれにはフィルタユニット118(118A、118B)が設けられている。本実施形態においては、空調系KCは、給気口118A、118Bより空調空間125に対して縦方向、本実施形態では−Z方向に気体を供給する。また、メインコラム4の+X側及び−X側それぞれの側壁の下部には、空調空間125の気体を排気する排気口120(120A、120B)が設けられている。
なお、図4〜6に示した例(第1〜第3実施形態)では基板ステージPSTを投影光学系PLの下方の位置からX方向に所定位置まで移動させ、所定位置にて紫外光Luを基板ステージPSTに照射していた。しかし、これに限らず、基板ステージPSTを投影光学系PLの下方の位置に維持したまま、図6に示したような反射鏡やその他の光学部材を用いて紫外光Luを投影光学系PLの下方に位置する基板ステージPSTに導いても良い。
また、図4〜6に示した例(第1〜第3実施形態)空調系KCによって、空調空間125内の酸素濃度が光洗浄可能な状態に維持される場合には、検出器84を省略して、検出器84の検出結果に基づく酸素濃度の調整を積極的に行わなくてもよい。
ここで、図2などを参照して説明した第1の実施形態においては、空調空間125における気体の流れは横方向なので、その気体の流れる距離が長くなり、上流部と下流部とで温度差が生じる可能性が高くなる。したがって、レーザ干渉計56の計測ビームの照射方向に関して温度分布が生じることとなり、計測ビームの光路が変動する可能性が高くなり、その結果、レーザ干渉計56による基板ステージPSTの位置計測精度が低下するおそれもある。一方、図6に示した第3の実施形態においては、空調空間125における気体の流れの方向が縦方向なので、その気体の流れる距離を短くすることができ、上流部と下流部とで温度差が生じる不都合を抑えることができる。また、気体の流れの方向はレーザ干渉計56の計測ビームの照射方向とほぼ直交するため、計測ビームの照射方向に関して温度分布が生じる不都合を抑えることができる。したがって、レーザ干渉計56による基板ステージPSTの位置計測精度を維持することができる。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について図7を参照しながら説明する。上述した第1〜第3の実施形態のように、空調空間125全体の酸素濃度を空調系KCを使って調整する構成では、空調空間125全体を所望の酸素濃度に置換するまでに時間がかかる可能性がある。そこで、図7に示すように、光洗浄装置80は、基板ステージPSTのうち紫外光Luが照射される照射領域近傍に対して所定の気体を供給する気体供給系87と、気体を吸引回収する気体回収系88とを備えた構成とするとよい。気体供給系87の供給口87A及び気体回収系88の回収口88Aは、基板ステージPSTの近傍に設けられ、基板ステージPSTを挟んで互いに対向するように配置されている。
制御装置CONTは、紫外光Luの光路を含む空調空間125の酸素濃度を検出器84(84A、84B)を使って検出し、光洗浄するときは、検出器84の検出結果に基づいて、気体供給系87より供給する気体成分(酸素濃度)を調整する。例えば、検出器84で検出した酸素濃度が、所望濃度に対して低い場合には、制御装置CONTは、気体供給系87より前記照射領域に対して供給する気体に酸素を追加することで、前記照射領域近傍の酸素濃度を高くすることができる。一方、検出器84で検出した酸素濃度が、所望濃度に対して高い場合には、制御装置CONTは、気体供給系87より前記照射領域に対して供給する気体に窒素などの不活性ガスを追加することで、前記照射領域近傍の酸素濃度を低くすることができる。
このような構成とすることにより、光洗浄対象領域(紫外光Luの照射領域)近傍の比較的小さい空間のみを光洗浄に適した環境に迅速に設定することができ、光洗浄処理時間を短くすることができる。また、図7に示した実施形態においては、紫外光Luの照射領域近傍に気体回収系88の回収口88Aが設けられているので、基板ステージPST上などから異物が発生した場合でも、その異物を吸引回収することができる。例えば、基板ステージPSTを光洗浄したとき、その基板ステージPSTに付着している有機物が気化して浮遊する場合があるが、その気化した有機物を気体回収系88で迅速に回収することで、空調空間125の清浄度を維持することができる。また、気体供給系87は、オゾンガスのような酸化促進ガス(光洗浄促進ガス)を供給することも可能である。こうすることにより、光洗浄対象領域(紫外光Luの照射領域)近傍の空間(雰囲気)をオゾンガスで満たすことができ、酸化力の強化された雰囲気下で、基板ステージPST上に付着した不純物(有機物)を紫外光Luにより酸化分解して光洗浄することができる。
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について図8を参照しながら説明する。図8に示す光洗浄装置80は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち最も像面側の光学素子2、及びノズル部材70に紫外光Luを照射し、光洗浄する。光学素子2及びノズル部材70は、液浸領域AR2の液体LQに接触する部材であって、光洗浄装置80は、光学素子2及びノズル部材70のうち液浸領域AR2の液体LQに接触する液体接触面2A、70Aに少なくとも紫外光Luを照射する。光洗浄装置80は、基板ステージPSTのうち、基板ホルダPH、基準部材、光計測部以外の所定位置に設けられている。光洗浄装置80の光源82は基板ステージPSTの所定位置に設けられた凹部59の内側に設けられており、その凹部59の開口は、紫外光Luを透過可能な透過窓83で塞がれている。光洗浄装置80の光源82は、上方に向けて紫外光Luを射出する。光源82から射出された紫外光Luは、透過窓83を通過した後、光学素子2及びノズル部材70を照射する。
また、図8においては、光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aの汚染を検出する検出装置90が設けられている。検出装置90は、下面2A、70Aに付着している不純物(有機物)を検出可能である。また、ここでいう不純物は、上述同様、液体LQの付着跡(ウォーターマーク)や、基板Pの感光剤(フォトレジスト)から発生した異物(感光剤の破片や感光剤に含まれる電解質の析出物等)を含む。なお、以下の説明では、光学素子2の下面2Aの汚染(異物)を検出する場合について説明するが、ノズル部材70の下面70Aの汚染(異物)を検出する場合も、同様の手順で検出可能である。
図8において、検出装置90は、基板ステージPST(Zステージ52)上に設けられ、投影光学系PLの光学素子2の下面2A(又はノズル部材70の下面70A)に対して斜め下方から所定の検出光を照射する発光部91と、光学素子2の下面2Aと発光部91とを結ぶ光路上に配置された分岐ミラー93と、基板ステージPST上に設けられ、発光部91からの照射に基づく光学素子2の下面2Aからの反射光を受光するための第1受光部92と、基板ステージPSTの上方位置に配置され、発光部91からの照射に基づく分岐ミラー93からの分岐光を受光するための第2受光部94とを備えている。検出装置90を構成する発光部91及び第1受光部92等は、基板ステージPST上のうち基板ホルダPHや基準部材、光計測部以外の位置に設けられている。そして、第1、第2受光部92、94の受光結果は、制御装置CONTへ出力される。制御装置CONTは、第1、第2受光部92、94の受光結果に基づいて、光学素子2の下面2Aの光反射率を求め、その求めた光反射率と、予め記憶している所定反射率とを比較し、その比較した結果に基づいて、光学素子2の下面2Aの汚染(汚染度)を検出(測定)する。つまり、光学素子2に異物が付着していれば、この異物に起因して散乱光が生じて反射率が変化し、第1受光部92で受光される受光量が変化する。制御装置CONTは、光学素子2の下面2Aが光学特性に影響を与えるほど汚染されていないと想定される本装置完成時及び/または前回の光洗浄後に測定された光学素子2の下面2Aの光反射率を所定反射率として予め記憶している。
光学素子2の汚染を検出するとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTを移動して検出装置90を投影光学系PLの下に配置する。そして、発光部91から所定の検出光が照射されると、その検出光のうち分岐ミラー93を透過した検出光は光学素子2の下面2Aを照射した後この下面2Aで反射し、その反射光は第1受光部92により受光される。一方、分岐ミラー93により分岐された検出光(分岐光)は光学素子2の下面2Aに至ることなく第2受光部94により受光される。そして、両受光部92、94の受光結果が制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、第1受光部92の受光結果と第2受光部94の受光結果とに基づいて光学素子2の下面2Aの光反射率を求め、その求めた光反射率が上記所定反射率に対して許容値以上であるか否かを求める。すなわち、求めた光反射率が上記所定反射率に対して許容値未満である場合、制御装置CONTは、光学素子2の下面2Aは汚染されていないと判断する。一方、求めた光反射率が上記所定反射率に対して許容値以上である場合、制御装置CONTは、光学素子2の下面2Aは汚染されていると判断する。
制御装置CONTは、検出装置90の検出結果に基づいて、光洗浄装置80の動作を制御する。具体的には、検出装置90の検出結果に基づいて、光学素子2の下面2Aが汚染されていないと判断した場合、制御装置CONTは、光洗浄装置80による光洗浄処理を行わず、露光動作を継続する。こうすることにより、不必要な光洗浄処理を行うことが無くなるので、スループット(露光装置の稼働率)を向上することができる。一方、検出装置90の検出結果に基づいて、光学素子2の下面2Aが汚染されていると判断した場合、制御装置CONTは、光洗浄装置80による光洗浄処理を行う。投影光学系PLの光学素子2の下面2Aが汚染され、液体の付着跡などが形成されてしまうと、投影光学系PLを通過する露光光や計測光の照射量や照度分布が変化するなどして、露光精度や計測精度が劣化する可能性がある。本実施形態においては、光洗浄装置80を使って光学素子2の下面2Aを光洗浄処理しているので、汚染された状態の光学素子2を使って露光処理や計測処理を行ってしまうといった不都合の発生を防止することができる。また、光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aを光洗浄装置80を用いて光洗浄処理を行うことで、光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aの親液性(液体LQの接触角が20度以下)を維持することができ、光学素子2及びノズル部材70と、基板ステージPST(基板P)との間で液体LQを良好に保持し続けることができる。また、ノズル部材70の供給口12、回収口22に付着した汚染物(異物)も除去することができるので、光学素子2の像面側の光路空間への液体の供給及び回収が安定的に行われ、液体LQの液浸領域AR2を良好に維持することができる。
なお、本実施形態において、光洗浄装置80を使って光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aを光洗浄するときに、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aと光洗浄装置80との間を液体LQで満たしてもよい。この場合、液体供給装置10の供給動作と液体回収装置20の回収動作を行わなくても、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aと光洗浄装置80との間を液体LQで満たし続けることも可能であるが、液体の供給動作と回収動作を実行しながら光洗浄することによって、光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aから除去された不純物(汚染物)を液体LQと一緒に回収することができる。
なお、光学素子2の下面2Aの汚染を検出するために、検出装置90として、マスクアライメント系360を用いることもできる。また、基板ステージPST上に配置されている光計測部を使って、投影光学系PLの露光光の透過率変化から光学素子2の下面2Aの汚染状態を判断するようにしてもよい。あるいは、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの下方に観察系(カメラなど)を対向させて、その観察系を使って、光学素子2の下面2Aおよびノズル部材70の下面70Aの光洗浄を実行するか否かを判断するようにしてもよい。また、図8を用いて説明した第5実施形態においては、検出装置90を使って光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの汚染状態を確認してから、光洗浄装置80による光洗浄処理を行うようにしているが、検出装置90を省いて、例えば、所定時間毎、あるいは所定枚数の基板処理毎に光洗浄処理を行うこともできる。
また、第5実施形態においては、光学素子2の下面2Aおよびノズル部材70の下面70Aの両方を光洗浄しているが、どちらか一方を行うだけでもよい。
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について図9を参照しながら説明する。上述した第1〜第5の各実施形態においては、露光装置EXS(露光装置本体EX)は、1つの基板ステージPSTを備えた構成であるが、本発明の光洗浄装置80は、特開平11−135400号公報に開示されているような、2つのステージを備えた露光装置にも適用可能である。
図9に示す露光装置本体EXは、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板Pを保持した状態で移動可能な基板ステージPST1と、基板ステージPST1に並ぶ位置に設けられ、上述した光計測部300、400、500、600を備えた計測ステージPST2とを備えている。本実施形態においては、基板ステージPST1には基準部材(計測部材)及び光計測部は設けられていない。また計測ステージPST2は計測専用のステージであって基板Pを保持しない。基板ステージPST1及び計測ステージPST2は、リニアモータ等を含むステージ駆動装置をそれぞれ有しており、XY平面内で互いに独立して2次元移動可能となっている。また、基板ステージPST1及び計測ステージPST2のXY方向の位置は、レーザ干渉計によって計測される。
各種計測処理を行う場合には、計測ステージPST2が投影光学系PLの下に配置され、その計測ステージPST2上に液体LQの液浸領域AR2が形成される。そして、その液浸領域AR2の液体LQを介して、光計測部300、400、500、600を使った計測処理が行われる。計測ステージPST2を使った計測処理を行っている間、基板ステージPST1には未露光基板Pがロードされる。
そして、上記計測処理を終えた後、制御装置CONTは、計測ステージPST2上に形成されている液体LQの液浸領域AR2を、基板Pを支持している基板ステージPST1上に移動する。液浸領域AR2を計測ステージPST2から基板ステージPST1上に移動する場合には、制御装置CONTは、例えば計測ステージPST2と基板ステージPST1との間から液体LQが漏出しない程度に互いを近接させた状態で、投影光学系PLの像面側に形成されている液浸領域AR2に対して計測ステージPST2と基板ステージPST1とを一緒に移動する。そして、基板ステージPST1上に液浸領域AR2を移動した後、制御装置CONTは、上記計測ステージPST2を使って計測した計測結果に基づいて、基板Pのアライメント処理や、投影光学系PLの結像特性調整(キャリブレーション)処理を行った後、基板ステージPST1上の基板Pを液浸露光する。
このように、図9に示す実施形態においては、基板ステージPST1上及び計測ステージPST2上の双方に液体LQの液浸領域AR2が形成されるため、それら基板ステージPST1の上面及び計測ステージPST2の上面のそれぞれに、不純物(有機物)が付着したり、液体LQの付着跡(ウォーターマーク)が形成される可能性があるが、第1〜第4の実施形態で説明したような光洗浄装置80を用いて、基板ステージPST1や計測ステージPST2の光洗浄を行うことができる。例えば、制御装置CONTは、所定時間間隔毎(所定処理基板枚数毎)に、光洗浄装置80を使って、基板ステージPST1及び計測ステージPST2それぞれに紫外光Luを照射して光洗浄を行うことができる。あるいは、制御装置CONTは、上記検出装置90を使って、基板ステージPST1及び計測ステージPST2の汚染を検出し、その検出結果に基づいて、光洗浄装置80の動作を制御する。また、基板ステージPST1上の基板Pの露光中に、計測ステージPST2を光洗浄装置80を使って光洗浄することもできる。あるいは、計測ステージPST2で計測動作を実行している間に、基板ステージPST1の光洗浄を行ってもよい。また、上述のような基板ステージPST1と計測ステージPST2とを備えた露光装置の場合には、第5の実施形態に示したような光洗浄装置80を計測ステージPST2に設けて、光学素子2の下面2A及び/又はノズル部材70の下面70Aを光洗浄することができる。この場合、光学素子2の下面2A及び/又はノズル部材70の下面70Aの汚染状態を検出する検出系の少なくとも一部を計測ステージに設けてもよい。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されている複数の基板ステージを備えるツインステージ型の露光装置にも適用できる。上述のようなツインステージ型の露光装置の場合には、第5の実施形態などに示したような光洗浄装置80をどちらか一方の基板ステージに設けてもよいし、両方に設けてもよい。このようなツインステージ型の露光装置においては、一方の基板ステージ上の基板が露光されている間または位置合わせ動作が行われている間に、別の基板ステージの光洗浄を行うことができる。
また、上述の第5の実施形態及び第6実施形態においては、光洗浄装置80が基板ステージPSTや計測ステージPST2に固定される構成となっているが、光洗浄装置80を基板ステージPSTや計測ステージPST2に脱着可能な構成とすることもできる。この場合には、所定のタイミングで行われる露光装置EXのメンテナンスのときに、オペレータが基板ステージPSTや計測ステージPST2への光洗浄装置80の脱着を行うようにしてもよいし、露光装置EX内に配置された所定の搬送機構や工具を用いて光洗浄装置80を露光装置EX内に設置するようにしてもよい。
なお、投影光学系PLの像面側で移動可能な可動体(基板ステージPSTや計測ステージPST2)に設けられた光洗浄装置80は、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aを光洗浄するものであるが、空調空間125内で浮遊している不純物や液滴が、通常ならば液体LQと接することがない部材、例えば液浸領域AR2の近傍に配置された基板アライメント系350の一部(対物レンズなど)やフォーカス・レベリング検出系60の一部に付着する可能性がある場合には、その光洗浄装置80を使って、液浸領域AR2の近傍に配置された部材を光洗浄処理するようにしてもよい。
なお、上述した第5の実施形態においては、光洗浄装置80を基板ステージPSTに設けているが、基板ステージPSTとは別に、投影光学系PLの下(像面側)でXY方向に2次元的に移動可能な可動体を配置して、その可動体に光洗浄装置80を配置するようにしてもよい。そして、そのような可動体として、上述したように、第6の実施形態のような計測ステージPST2を用いることができる。
なお、上述した第1〜第4の実施形態や第6の実施形態において、光洗浄装置80の近傍に液浸領域AR2を形成するための機構とは別に、液体LQの供給機構と回収機構とを配置して、例えば基板ステージPSTの上面31を光洗浄するとき、光洗浄装置80による紫外光Luの照射動作と並行して、上面31の紫外光Luの照射領域に対する液体LQの供給及び回収動作を行ってもよい。こうすることによっても、基板ステージPSTの上面31から発生した異物を、液体LQとともに回収することができる。
なお、上述した第1〜第6の実施形態においては、露光光ELとして、光洗浄効果を有するArFエキシマレーザ光が使用されているため、光洗浄するための照射光として、基板Pを露光するための露光光ELを用いてもよい。基板ステージPSTを光洗浄する場合には、光洗浄対象である基板ステージPST上に基板Pが無い状態で、その基板ステージPSTを投影光学系PLの直下に配置し、基板ステージPSTに対して投影光学系PLを介して照明光学系ILからの露光光EL(照射光)を照射すればよい。また、計測ステージを備えた露光装置において、計測ステージを光洗浄する場合には、計測ステージを投影光学系PLの直下に配置し、計測ステージに対して投影光学系PLを介して露光光EL(照射光)を照射すればよい。また、投影光学系PLに露光光ELを通過させることにより、液浸領域AR2の液体LQに接触する光学素子2も光洗浄することができる。この場合も、例えば基板ステージPSTの上面や光計測部300、400、500、600の上面を光洗浄しているときに、液体供給機構10と液体回収機構20とを併用するようにしてもよい。
なお、上述した第1〜第4、第6の実施形態においては、光洗浄装置80から射出される紫外光Luの光束の径は比較的大きく、基板ステージPST(あるいは計測ステージ)の全域を一括して照射可能であるが、光洗浄装置80から射出される紫外光Luの光束の径を小さくし、その光束及び基板ステージPSTのうち少なくとも一方を相対的に移動しながら、基板ステージPSTの全域あるいは予め定められた一部の領域に紫外光Luを照射するようにしてもよい。こうすることにより光洗浄装置80を小型化でき、省スペース化を実現できる。また、光洗浄装置80は、基板ステージPST(あるいは計測ステージ)の上面31、光計測部300、400、500、600の上面、基板ホルダPHの上面の全てを毎回光洗浄しなくてもよく、また紫外光Luの照射時間もそれぞれ異なっていてもよい。例えば光計測部400の上面など、基板ステージPST上の特定領域に対して紫外光Luを重点的に(長い時間)照射するようにしてもよい。また、第5の実施形態などにおいても、光洗浄装置80から射出される紫外光Luの光束の径を小さくし、その光束及び光洗浄装置80を搭載した基板ステージPSTのうち少なくとも一方を相対的に移動しながら、光学素子2やノズル部材70の全域あるいは予め定められた一部の領域に紫外光Luを照射するようにしてもよい。
なお、上述した第1〜第4、第6の実施形態において、基板ステージPSTより露光処理を終えた基板Pをアンロードした後、未露光基板Pをロードする前に、基板ステージPSTを光洗浄装置80を使って光洗浄処理する構成であるが、予め定められた所定時間間隔毎、あるいは所定処理基板枚数毎に、光洗浄処理を行う構成であってもよい。その場合、制御装置CONTは、基板ステージPST上に基板Pが無い状態で、基板ステージPSTを光洗浄装置80の直下まで移動する。光洗浄装置80は、制御装置CONTの制御の下、基板ステージPSTの移動とともに紫外光Luの照射を開始する。そして、制御装置CONTは、光洗浄装置80を使って基板ステージPSTに対して所定時間だけ紫外光Luを照射した後、再び露光動作に戻ればよい。また、上記時間間隔が長すぎたり、上記処理基板枚数が多すぎると、基板ステージPST上などに液体LQの付着跡(ウォーターマーク)が形成される確率が高くなるため、基板ステージPST上などに液体LQの付着跡(ウォーターマーク)が形成されないように、光洗浄装置80による紫外光Luを照射する時間間隔(処理基板枚数)を適宜決定すればよい。
なお、上述の第1〜第6の実施形態において、光洗浄処理を行うための照射光Luを発する光源としては、上述の記載と一部重複するが、Ar2エキシマランプ(波長126nm)、Ar2エキシマレーザ(波長126nm)、Kr2エキシマランプ(波長146nm)、Kr2エキシマレーザ(波長146nm)、F2ダイマランプ(波長157nm)、F2ダイマレーザ(波長157nm)、Xe2エキシマランプ(波長172nm)、Xe2エキシマレーザ(波長172nm)、ArFエキシマランプ(波長193nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、KrClエキシマランプ(波長222nm)、KrClエキシマレーザ(波長222nm)、KrFエキシマランプ(波長248nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、XeClエキシマランプ(波長308nm)、XeClエキシマレーザ(波長308nm)、低圧水銀ランプ(波長185nmと254nmとの光を同時に発光)、重水素ランプ(真空紫外〜可視まで広域な波長を有する光)などを使用することができる。
それらの光源を用いて、照射光Luを連続照射してもよく、パルス光として断続的に照射してもよい。また、照射光Luのパワーや照射時間は、汚染度や光洗浄の対象などに応じて適宜調整することができる。また、複数の光源を用いたり、波長可変レーザーを用いて複数の波長の光を液体と接触する部材に照射することもできる。
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態について図10を参照しながら説明する。図10に示す露光装置EXS(露光装置本体EX)は、図7を用いて説明した第6の実施形態同様、2つのステージを備えたものである。図10において、投影光学系PLの像面側には、光学部材として反射部材700が設けられている。反射部材700は例えばガラスによって形成されており、その上面は光を反射可能な反射面となっている。本実施形態においては、反射部材700は、投影光学系PLの像面側で移動可能な計測ステージPST2上に配置されている。制御装置CONTは、計測ステージPST2を駆動して、投影光学系PLの下に反射部材700を配置した状態で、投影光学系PLを介して露光光ELを反射部材700上に照射する。投影光学系PLからの露光光ELを照射された反射部材700は、露光光ELを反射することで、その露光光ELと同一波長の光を発生する。反射部材700から発生した露光光ELと同一波長の反射光は、液浸領域AR2の液体LQに接触する光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aに照射される。本実施形態においても、露光光ELとして、光洗浄効果を有するArFエキシマレーザ光が使用されている。なお本実施形態においては、ノズル部材70の下面70Aに形成された回収口22には多孔部材(又はメッシュ部材)22Pが配置されいる。この多孔部材22Pは下面70Aの一部を構成しており、反射部材700から発生した反射光は、この多孔部材22Pにも照射される。このように、光洗浄装置の一部として機能する反射部材700を投影光学系PLの像面側に配置し、光洗浄効果を有する露光光ELを反射部材700を介して光学素子2の下面2Aや、多孔部材22Pを含むノズル部材70の下面70Aに照射することで、これら光学素子2やノズル部材70(多孔部材22P)を光洗浄することができる。それにより、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの親液性を維持する(高める)ことができる。
なお、投影光学系PLの像面側に配置する光学部材700としては、照射された光(露光光EL)を反射する反射部材に限られず、照射された光を散乱する散乱面を有する散乱部材であってもよい。光学部材700として、散乱部材を用いることによって、散乱部材に照射された露光光ELは、散乱して光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aに達するため、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの比較的広い領域に、光洗浄作用を有する露光光ELと同一波長の照射光を照射することができる。更には、光学部材700として、照射された光を回折する回折面を有する回折部材を用いてもよく、その場合においても、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの比較的広い領域に、光洗浄作用を有する露光光ELと同一波長の照射光を照射することができる。
なお、計測ステージPST2上に配置された光学部材(反射部材、回折部材、散乱部材)700に露光光ELを照射する場合、計測ステージPST2をXY方向に移動しながら、この光学部材700に露光光ELを照射するようにしてもよい。あるいは、光学部材700を可動にして、光学部材700からの照射光(露光光)の方向を変化させてもよい。こうすることにより、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aの比較的広い領域に照射光(露光光)を照射して良好に光洗浄することができる。
また、ノズル部材70の下面70A(多孔部材22Pを含む)に、光触媒作用を有する材料701を被覆しておいてもよい。そのような材料としては酸化チタンが挙げられる。ノズル部材70の下面70Aに酸化チタン701を被覆した状態で、そのノズル部材70の下面70Aに、光洗浄作用を有する露光光ELと同一波長の光を照射することで、有機物などの汚染物は光触媒反応によって酸化分解されるので、より効果的に光洗浄することができる。また、光触媒反応により、ノズル部材70の下面70Aの親液性が向上されるため、ノズル部材70Aの下に液浸領域AR2を良好に形成できるという効果も期待できる。
また、図10に示すように、光洗浄中においては、制御装置CONTは、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、投影光学系PLと光学部材700との間に、基板Pを液浸露光するときに用いる液体と同じ液体LQを満たした状態で、投影光学系PL及び液体LQを介して露光光ELを光学部材700に照射するようにしてもよい。光学部材700から発生した露光光ELと同一波長の光は、液浸領域AR2の液体LQを介して光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aに照射される。液体供給機構10及び液体回収機構20を使って液体LQの供給及び回収を行いながら光洗浄することで、光洗浄したことによって光学素子2やノズル部材70から発生した異物を、液体LQとともに回収することができる。
ところで、基板Pを液浸露光するときに用いる液体LQは、液浸領域AR2における気泡発生の防止等を目的として、投影光学系PLの像面側に供給される前に脱気処理されている。すなわち、液体供給機構10(液体供給部11)は、液体LQ中の溶存酸素(溶存気体)を低減するための脱気装置を備えており、投影光学系PLの像面側に供給する前の液体LQに対して脱気処理を行った後に、その脱気処理した液体LQを投影光学系PLの像面側に供給している。一方で、光洗浄は、光洗浄効果を有する光を照射することによって汚染物(有機物)を酸化分解することができるため、光洗浄するときにおいては、液体LQ中に所定濃度の酸素が存在(溶存)していることが望ましい。したがって、投影光学系PLと光学部材700との間に液体LQを満たした状態で、光学部材700に露光光ELを照射して、光学素子2やノズル部材70を光洗浄するときには、制御装置CONTは、投影光学系PLの像面側に供給する液体LQの酸素濃度を、基板Pを露光するときの液体LQの酸素濃度よりも多くするようにしてもよい。すなわち、光洗浄するときには、制御装置CONTは、例えば脱気処理を施さない液体LQを投影光学系PLの像面側に供給する。あるいは、投影光学系PLと光学部材700との間に液体LQを満たした状態で、光学部材700に露光光ELを照射して、光学素子2やノズル部材70を光洗浄するときには、制御装置CONTは、基板Pの露光に用いる液体(純水)とは別の、例えば過酸化水素水を、投影光学系PLの像面側に供給するようにしてもよい。
なお本実施形態において、光学部材(反射部材、回折部材、散乱部材)700の設置位置としては、計測ステージPST2に限られず、例えば基板ステージPST1の上面のうち、基板Pが配置される以外の領域に配置してもよい。更には、基板ステージPST1及び計測ステージPST2とは別の、投影光学系PLの像面側に配置されている部材で支持するようにしてもよい。また、光学部材700を、基板ステージPSTや計測ステージPST2に脱着可能とすることもできる。あるいは、基板ステージPSTの基板ホルダに、反射面、回折面、及び散乱面のうち少なくともいずれか1つを有するダミー基板を配置し、そのダミー基板に露光光ELを照射するようにしてもよい。ダミー基板を用いる場合には、基板搬送系150を使ってダミー基板を基板ステージPST(基板ホルダPH)に容易に搭載することができる。
なお、基板ステージPSTに光学部材700を配置したり、回折面などを有するダミー基板を基板ステージPSTに搭載する場合には、上述したようなツインステージ型の露光装置にも適用できることはいうまでもない。
また、光学部材700からの光洗浄作用を有する光で、液浸領域AR2の近くに配置された基板アライメント系350の一部やフォーカス・レベリング検出系60の一部を光洗浄処理するようにしてもよい。こうすることによって、基板アライメント系350の一部やフォーカス・レベリング検出系60の一部に不純物や液滴が付着することによって生じる計測精度の劣化を防止することができる。
なお、第7の実施形態においては、ノズル部材70の下面70Aを酸化チタン(二酸化チタン)などの光触媒作用を有する親液性(親水性)の材料で被膜しているが、ノズル部材70そのもの、またはその一部(液体と接触する部分)を光触媒作用を有する材料で形成するようにしてもよい。
また、光学素子2の下面2Aを光触媒作用を有する酸化チタンなどの材料で被膜して、光学部材700からの光により光洗浄を行ってもよい。このようにすることで、光学素子2の下面2Aの汚染をより確実に防止することができる。
また、上述の第5の実施形態などで説明した光洗浄装置80を用いる場合にも、ノズル部材70の下面70Aや光学素子2の下面2Aを酸化チタンなどの材料で被膜してもよい。
また、基板ステージPST1の上面や計測ステージPST2の上面(光計測部の上面を含む)の少なくとも一部を、必要に応じて酸化チタンなどの光触媒作用を有する材料で形成するようにしてもよい。この場合も、第1〜第4の実施形態及び第6の実施形態のように、光洗浄装置80を用いることによって、基板ステージPSTや計測ステージPST2の上面の汚染を防止することができる。
また、ノズル部材70やステージ(PST1、PST2)など、液体LQに接触する部材をチタンや二酸化亜鉛を含む材料で形成してもよい。チタンや二酸化亜鉛は、光触媒作用を有する不動態膜が表面に形成されるため、酸化チタンコーティングと同様に、光洗浄処理を行うことによって、その表面の汚染物(有機物)を除去することができる。
<第8の実施形態>
次に、第8の実施形態について図11を参照しながら説明する。図11に示す露光装置EXS(露光装置本体EX)は、ノズル部材70を振動させる振動機構800を備えている。本実施形態においては、振動機構800は、超音波振動子によって構成されており、ノズル部材70の所定位置に取り付けられている。図11に示す例では、超音波振動子800は、ノズル部材70の側面に取り付けられている。超音波振動子としては、ピエゾ素子や電磁式の振動子が挙げられる。超音波振動子800は、多孔部材22Pを含むノズル部材70の70Aや、側面に付着した汚染物を除去するためのものであって、ノズル部材70を振動させることで、付着している汚染物を振るい落とし、このノズル部材70を洗浄する。更に、超音波振動子800を使ってノズル部材70を振動させることにより、供給口12近傍や、その供給口12に接続するノズル部材70内部に形成された供給流路に付着した汚染物を除去することもできるし、回収口22近傍や、回収口22に配置された多孔部材22P、その回収口22に接続するノズル部材70内部に形成された回収流路に付着した汚染物を除去することもできる。なお、超音波振動子800を使った洗浄作業は、基板Pの交換時やロット間で行うことができる。
また、超音波振動子800を使ってノズル部材70を振動させている状態においては、制御装置CONTは、液体供給機構10及び液体回収機構20を使って、投影光学系PLと基板ステージPSTの上面31との間の光路空間に、基板Pを液浸露光するときに用いる液体と同じ液体LQを満たすようにしてもよい。こうすることにより、ノズル部材70より除去(分離)された汚染物を、液体LQとともに回収することができる。なお、超音波振動子800を使ってノズル部材70を振動させているときに、投影光学系PLと基板ステージPSTの上面31との間の光路空間に満たす液体としては、基板Pを液浸露光するときに用いる液体(純水)とは別の、例えばアルコールや過酸化水素水を用いるようにしてもよい。また、超音波振動子800を使った洗浄作業と、第5の実施形態の光洗浄装置80や第7の実施形態の光学部材700を使った洗浄作業とを併用してもよい。
なお、上述した第1〜第3、第5〜第8の実施形態において、第4の実施形態で説明したような気体供給系87及び気体回収系88を設け、光学素子2及びノズル部材70のうち、紫外光Luの照射領域近傍の空間(雰囲気)を、光洗浄に適した環境に設定するようにしてもよい。
また、上述した第1〜第4、第6〜第8の実施形態において、第5の実施形態のような検出装置90を設け、その検出装置90で基板ステージPSTの上面31、光計測部300、400、500、600、基板ホルダPHなどの汚染を検出するようにしてもよい。制御装置CONTは、その検出装置90の検出結果に基づいて、基板ステージPSTが汚染しているか否かを判断し、光洗浄装置80の動作を制御することができる。また、この場合、検出装置90として、基板アライメント系350やマスクアライメント系360を用いることもできる。
また、上述の第1〜第8の実施形態における投影光学系PLは、光学素子2の下面2A側の光路空間を液体LQで満たす構成になっているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、光学素子2のマスクM側の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。この場合、照明光学系ILからの露光光ELや、第5の実施形態や第7の実施形態で説明した光洗浄装置80を用いて、投影光学系PLの終端の光学部材(光学素子2)の上面側、及び終端の光学部材のマスクM側の光学部材の下面を光洗浄処理するようにしてもよい。
なお、上述した第1〜第8の実施形態においては、洗浄作業を基板交換時などに行うように説明したが、予め定められた所定期間間隔毎に露光装置のメンテナンスを行う場合においては、そのメンテナンスの項目の一つとして、上記光洗浄効果を有する照射光を照射して光洗浄する処理を加えてもよい。
<第9の実施形態>
次に、第9の実施形態について図12を参照しながら説明する。本実施形態においては、露光装置EXSの光洗浄処理は、露光装置EXSとは別に設けられたメンテナンス機器900によって行われる。図12において、メンテナンス機器900は、露光装置EXS内で液体LQに接触する部材に対して、光洗浄効果を有する所定の照射光Luを発生する発光部901を備えている。発光部901は光源を有しており、その光源としては、上述の実施形態と同様の光源(Xe2エキシマレーザ、KrClエキシマレーザ、XeClエキシマレーザなど)を用いることができる。また、本実施形態のメンテナンス機器900は、発光部901を移動可能に支持する支持機構902を備えている。支持機構902は、露光装置EX内部と外部との間で発光部901を移動可能であって、発光部901を支持する支持台903と、支持台903を移動可能に支持するステージ904と、ステージ904と台車905とを連結する連結部材906とを備えている。ステージ904はアクチュエータ等の駆動機構を有しており、発光部901を支持した支持台903は、ステージ904上でX軸方向及びY軸方向に移動可能である。なお、ステージ904は、支持台903をZ軸方向に移動可能であってもよい。
露光装置EXSのメインコラム4の一部には、空調空間125に対して発光部901を出し入れ可能な開口部120Cが形成されている。メンテナンス機器900は、開口部120Cを介して、露光装置EXSのうち空調空間125の内部に対して発光部901を移動可能である。
本実施形態においては、露光装置EXSのメンテナンス時に、メンテナンス機器900を使った光洗浄処理が行われる。メンテナンス機器900を使って光洗浄処理を行う場合には、例えば作業者が、メンテナンス機器900を露光装置EXSの開口部120C近傍に搬送する。メンテナンス機器900は台車905を有しているので、作業者はメンテナンス機器900を容易に搬送可能である。そして、連結部材906の先端部に支持されているステージ904及びそのステージ904上の支持台903が、発光部901とともに開口部120Cを介して空調空間125の内部に移動される。そして、発光部901は投影光学系PL及びノズル部材70の下方の位置に配置される。このとき、基板ステージPSTは、投影光学系PLの下方の位置以外の所定の退避位置に退避している。そして、メンテナンス機器900は、ステージ904を駆動して、支持台903に支持されている発光部901を投影光学系PLの光学素子2の下面2Aに対して位置決めする。発光部901の発光面は上方を向いており、光学素子2の下面2Aと対向する。この状態で、メンテナンス機器900は、発光部901より照射光Luを射出する。光学素子2の下面2Aは照射光Luを照射されることにより光洗浄される。また、メンテナンス機器900は、ステージ904を駆動することにより、発光部901をノズル部材70の下面70Aに対して位置決めすることができ、その状態で発光部901より照射光Luを射出することにより、ノズル部材70の下面70Aを良好に光洗浄することができる。このように本実施形態のメンテナンス方法及びメンテナンス機器においても、露光装置内で、洗浄すべき部材を露光装置から取り外すことなく、露光装置内でかかる部材だけを光洗浄することが可能であるので、部材を露光装置から取り外す場合に比べて短時間でメンテナンスを完了することができる。上述のように、液浸領域AR2を良好に形成するためには、投影光学系PLの光学素子2の下面2A、及びノズル部材70の下面70Aは親液性(親水性)であることが好ましく、照射光(紫外光)Luを照射することで、光学素子2の下面2A、及びノズル部材70の下面70Aに親液性を付与することもできる。
またメンテナンス機器900は、ステージ904を駆動して、発光部901を移動することにより、基板アライメント系350やフォーカス・レベリング検出系60等の他の部材も良好に光洗浄することができる。
またメンテナンス機器900は、発光部901の発光面を下方に向けて、基板ステージPSTの上面31や、基板ステージPST上の各光計測部300、400、500、600を光洗浄することができる。あるいは、メンテナンス機器900は、発光部901の発光面を上方に向けた状態で照射光Luを射出し、反射部材を使って発光部901から射出した照射光Luを基板ステージPSTに導くこともできる。すなわち、メンテナンス機器900が反射部材を有する構成とすることで、発光部901から射出された照射光Luを所定方向に導くことができる。
なお、本実施形態においても、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aと発光部901の発光面との間を液体LQで満たしながら光洗浄処理を行うようにしてもよい。
<第10の実施形態>
次に、第10の実施形態について図13を参照しながら説明する。図13に示すメンテナンス機器900Aは、発光部901と、発光部901を支持する支持面908Aを有する支持部材908とを備えている。支持部材908は、ノズル部材70と接続可能な接続部909を備えている。ノズル部材70の側面には、支持部材908の接続部909と接続する被接続部70Sが設けられており、接続部909と被接続部70Sとが接続することで、支持部材908とノズル部材70とが接続する。そして、ノズル部材70と支持部材908とを接続部909を介して接続することにより、支持部材908の支持面908A上の発光部901と、投影光学系PLの光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aとが対向するようになっている。また、本実施形態においては、発光部901は、支持面908A上でX軸方向及びY軸方向のそれぞれに移動可能に設けられている。
メンテナンス機器900Aを使って光洗浄処理を行う場合には、例えば作業者によって、発光部901を支持した支持部材908とノズル部材70とが接続される。このとき、基板ステージPSTは投影光学系PLの下方の位置以外の所定の退避位置に退避している。そして、光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aと発光部901の発光面とを対向させた状態で、発光部901から照射光Luを射出することにより、光学素子2の下面2A及びノズル部材70Aの下面70Aは照射光Luに照射されて光洗浄される。また、発光部901は支持面908Aで移動可能であるため、発光部901を光学素子2の下面2A及びノズル部材70Aの下面70Aのそれぞれに対して所望の位置に位置決めした状態で照射光Luを照射することができる。
なお、本実施形態においても、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aと発光部901の発光面との間を液体LQで満たしながら光洗浄処理を行うようにしてもよい。
また、上述の第9及び第10の実施形態においては、1つの基板ステージPSTを備えた露光装置のメンテナンスについて述べているが、上述のような計測ステージと基板ステージとを備えた露光装置や、複数の基板ステージを備えた露光装置にも、第9及び第10の実施形態のメンテナンス機器を適用することができる。
<第11の実施形態>
次に、第11の実施形態について図14を参照しながら説明する。図14に示す露光装置EXSは、図9や図10の実施形態同様、投影光学系PLの像面側で移動可能な基板ステージPST1及び計測ステージPST2を備えている。また、図14に示すメンテナンス機器900Bは、発光部901と、発光部901を支持する支持部材912とを備えている。支持部材912は、計測ステージPST2と接続可能な接続部913を備えている。計測ステージPST2には、支持部材912の接続部913と接続する被接続部914が設けられており、接続部913と被接続部914とが接続することで、支持部材912と計測ステージPST2とが接続する。
メンテナンス機器900Bを使って光洗浄処理を行う場合には、例えば作業者によって、図14(A)に示すように、発光部901を支持した支持部材912と計測ステージPST2とが接続部913を介して接続される。そして、図14(B)に示すように、計測ステージPST2を移動して、発光部901を投影光学系PLの下方の位置に配置し、光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aと発光部901の発光面とを対向させる。その状態で、発光部901から照射光Luを射出することにより、光学素子2の下面2A及びノズル部材70Aの下面70Aは照射光Luに照射されて光洗浄される。また、発光部901は計測ステージPST2の移動に伴って移動可能であるため、発光部901を光学素子2の下面2A及びノズル部材70Aの下面70Aのそれぞれに対して所望の位置に位置決めした状態で、照射光Luを照射することができる。
なお、メンテナンス機器900Bは、計測ステージPST2に限らず、基板ステージPST1に接続されてもよい。メンテナンス機器900Bの支持部材912に基板ステージPST1と接続可能な接続部を設けることで、メンテナンス機器900Bと基板ステージPST1とを接続することができる。
また、本実施形態においても、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aと発光部901の発光面との間を液体LQで満たしながら光洗浄処理を行うようにしてもよい。
<第12の実施形態>
次に、第12の実施形態について図15を参照しながら説明する。図15に示すメンテナンス機器900Cは、発光部901と、発光部901を支持する支持部材915とを備えている。支持部材915は、基板ステージPST1及び計測ステージPST2を移動可能に支持するステージベース(ベース部材)57と接続可能な接続部916を備えている。ステージベース57には、支持部材915の接続部916と接続する被接続部917が設けられており、接続部916と被接続部917とが接続することで、支持部材915とステージベース57とが接続する。本実施形態においては、ステージベース57の上面と、そのステージベース57に接続されたメンテナンス機器900C(発光部901)の表面とはほぼ面一となっている。これにより、基板ステージPST1及び計測ステージPST2がメンテナンス機器900C(発光部901)の表面上を移動可能であり、メンテナンス機器900Cをステージベース57に設けることによるステージベース57上の基板ステージPST1及び計測ステージPST2の移動範囲を拘束することはない。そして、ステージベース57に接続部916を介して接続された支持部材915上の発光部901から照射光Luを射出することにより、投影光学系PLの光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aを光洗浄することができる。
なお、本実施形態においては、メンテナンス機器900Cは、ベース部材57に常駐させることもできる。また、メンテナンス機器900C(発光部901)をベース部材57に対して上下動可能に配置しておき、メンテナンス機器900(発光部901)を光学素子2やノズル部材70に近接させて光洗浄処理を行うこともできる。
なお、上述の第11及び第12の実施形態においては、基板ステージPST1と計測ステージPST2とを備えた露光装置のメンテナンス機器について述べているが、一つ又は複数の基板ステージのみを備えた露光装置に、第11及び第12の実施形態のメンテナンス機器を用いることもできる。
<第13の実施形態>
次に、第13の実施形態について図16を参照しながら説明する。図16には基板ステージPSTの一例が示されている。図16において、基板ステージPSTは、Xガイド部材920によりX軸方向への移動を案内され、Xリニアモータ921によりX軸方向に移動する。Xリニアモータ921は、基板ステージPSTに設けられた可動子921MとXガイド部材920に設けられた固定子921Cとによって構成されている。基板ステージPSTは、Xガイド部材920を囲むように設けられた枠部材930を有しており、その下面934に、ステージベース57の上面に対して基板ステージPSTを非接触支持するためのエアベアリング935が設けられている。エアベアリング935によって、枠部材930を含む基板ステージPSTがステージベース57に対して非接触支持され、枠部材930とXガイド部材920とのZ軸方向に関するギャップが維持されている。また、枠部材930の内側面にはエアベアリング935が設けられており、このエアベアリング935によって、枠部材930の内側面とXガイド部材920とのY軸方向に関するギャップが維持されている。
Xガイド部材920は、ステージベース57のX軸方向両側のそれぞれに設けられた側面視略L字状の支持部材923の上端部のガイド部923BによりY軸方向への移動を案内される。ガイド部923B(支持部材923)は、Xガイド部材920の両端部のそれぞれに対応する位置に設けられており、Xガイド部材920の両端部のそれぞれには、ガイド部923Bに対応する被ガイド部924が設けられている。ガイド部923Bと被ガイド部924との間にはエアベアリングが介在しており、被ガイド部924はガイド部923Bに対して非接触支持されている。Xガイド部材920は、Yリニアモータ922によりY軸方向に移動可能に設けられている。基板ステージPSTは、Yリニアモータ922の駆動により、Xガイド部材920と一緒にY軸方向へ移動可能である。Yリニアモータ922は、Xガイド部材920の長手方向両端部のそれぞれに設けられた可動子922Mと、この可動子922Mに対応するように、支持部材923の平面部923A上にエアベアリングを介して非接触支持されている固定子922Cとを備えている。Yリニアモータ922の可動子922Mが固定子922Cに対して駆動することで、Xガイド部材920が基板ステージPSTと一緒にY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ922、922のそれぞれの駆動を調整することでXガイド部材920はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ922、922により基板ステージPSTがXガイド部材920とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
図16の実施形態において、メンテナンス機器900Dを構成する発光部901は、ガイド部923Bに接続された支持部材919上に支持されている。支持部材919は、ステージベース57のX軸方向両側に設けられたガイド部923Bのそれぞれに接続可能な接続部918を有している。メンテナンス時においては、基板ステージPSTは、投影光学系PLの下方の位置以外の所定の退避位置に退避する。そして、メンテナンス機器900Dの支持部材919がガイド部923Bに支持される。このとき、発光部901が投影光学系PLの下方の位置に配置されるように、支持部材919がガイド部923Bに支持される。この状態で、発光部901が照射光Luを射出することにより、投影光学系PLの光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aを光洗浄することができる。
なお、メンテナンス機器900Dの発光部901をXガイド部材920上に設置し、Xガイド部材920上に設置された発光部901と光学素子2の下面2A及びノズル部材70の下面70Aとを対向させ、その発光部901から照射光Luを射出して、光学素子2の下面2Aやノズル部材70の下面70Aに照射するようにしてもよい。
また本実施形態においては、1つの基板ステージPSTを備えた露光装置のメンテナンスについて述べているが、上述のような計測ステージと基板ステージとを備えた露光装置や、複数の基板ステージを備えた露光装置にも本実施形態のメンテナンス機器を適用することができる。
なお、上述の第10〜第13の実施形態おいては、メンテナンス機器を、ノズル部材、ステージ、ベース部材に接続しているが、露光装置EXSに対してメンテナンス機器を接続する接続位置(取り付け位置)としては、例えばメインコラム4(図1など参照)であってもよい。
なお、上述の第10〜第13の実施形態のメンテナンス機器においても、発光部901から射出した照射光Luを反射部材で反射し、その反射光を光学素子2やノズル部材70、あるいはステージに照射するようにしてもよい。
また、第9〜第13の実施形態においても、第7の実施形態で述べたように、光洗浄を行う部材の表面に光触媒作用を有する膜が形成されていることが望ましい。
なお上述のメンテナンス機器においては、発光部901に光源が内蔵されたものとして説明したが、光源を発光部901とは離れた位置(例えば露光装置EXSの外部)に設け、その光源から射出された照射光Luを光ファイバ等で発光部901まで伝送するようにしてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、ステージの基準部材、光計測部、光学素子2の下面2A,ノズル部材70の下面70Aなどを光洗浄しているが、これらのすべてを光洗浄する必要はなく、必要に応じて、これらの少なくとも一部に光洗浄を行うようにすればよい。
また、上述の実施形態においては、露光装置EXSに搭載された部材を光洗浄する場合について説明したが、液体LQに接触する部材を、露光装置EXSに組み込む前や、露光装置EXSから取り外したときに光洗浄することも効果的である。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44程度と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nm程度に短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍程度に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになるので、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。この場合、平行平面板のマスクM側及び基板P側の両方に液体LQを配置するようにしてもよい。特に、投影光学系PLの開口数NAが1以上となる場合には、平行平面板のマスクM側にも液体が必要となる。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの光学素子2の射出側の光路空間を液体(純水)で満たして基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系PLの光学素子2の入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。この場合、光学素子2の入射側の光路空間の液体に接触する部材を、上述したように光洗浄処理するようにしてもよい。また、光洗浄処理要の照射光Luを使って光学素子2の入射側の液体の殺菌に用いてもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報や特開平10−303114号公報などに開示されているような、露光対象の基板の表面全体が液体で覆われている液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(US S/N 08/416,558)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図17に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
2…光学素子、12…供給口、22…回収口、31…上面、57…ステージベース(ベース部材)、70…ノズル部材、80…光洗浄装置、82…光源、84(84A、84B)…検出器、86…光学系、87…気体供給系、88…気体回収系、90…検出装置、125…空調空間、300…基準部材(計測部材)、400、500、600…光計測部、700…光学部材、800…振動機構、900…メンテナンス機器、901…発光部、AR1…投影領域、AR2…液浸領域、CONT…制御装置、EL…露光光、EX…露光装置本体、EXS…露光装置、KC…空調系、LQ…液体、Lu…照射光(紫外光)、P…基板、PH…基板ホルダ、PL…投影光学系、PST(PST1)…基板ステージ、PST2…計測ステージ