JP2008297452A - アルキルベンゼン類の製造方法 - Google Patents

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【課題】本発明は、重質炭化水素油をコーキングなどのトラブルを起こさず水素化分解して軽質な炭化水素留分に転換するとともに、付加価値の高いアルキルベンゼン類である1環芳香族炭化水素を効率よく選択的に製造する方法を提供する。
【解決手段】多環芳香族炭化水素を含有し、1環芳香族炭化水素の含有量が10容量%未満であり、全炭素に対する芳香族環を構成する炭素の割合(芳香族環構成炭素比率)が35モル%以上である重質炭化水素油を精製する第一工程、第一工程で生成したガス中不純物を低減する第二工程、及び第二工程で得られた精製油を水素化分解することにより、少なくとも重質炭化水素油に含まれる沸点215℃以上留分の10容量%以上を215℃未満留分に転化し、1環芳香族炭化水素を10容量%以上含有する水素化分解生成油を得る第三工程を含むアルキルベンゼン類の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、重質炭化水素油からのアルキルベンゼン類の製造方法であって、特には多環芳香族炭化水素を含有する重質炭化水素油を精製し、ガス中不純物を低減した後、水素化分解し、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表されるアルキルベンゼン類(1環芳香族炭化水素)に効率よく転化せしめるアルキルベンゼン類の製造方法に関する。
最近の石油製品の需要は軽質化傾向にあり、とりわけBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)に代表される石油化学原料の需要はますます高まっている。さらにBTXに加え芳香族炭化水素は全体的にオクタン価が高いため、ガソリン基材にも多く使用されている。これらBTXに代表される芳香族炭化水素分を含有するナフサ留分を効率的に製造する方法として流動接触分解プロセスが挙げられるが、通常ナフサ留分は50%程度得られるものの、そのうち芳香族炭化水素は2割程度に留まり、BTXに関してはナフサ中1割にも満たない。同様に芳香族炭化水素を選択的に製造する方法として接触改質プロセスが挙げられるが、原料油は同等の沸点範囲であるナフサ留分に限定される。このため、原料油の多様化、並びに、より安価な原料油という観点から、目的とする芳香族炭化水素をより重質な留分から効率良く製造する方法が期待されている。
重質炭化水素油を分解して軽質な炭化水素油を製造する方法としては、流動接触分解プロセスの他、減圧軽油を水素化分解する方法などが広く採用されている。減圧軽油の水素化分解では、高圧の水素存在下、高温で原料油を触媒と接触させることによって目的の留分を得ることができるが、従来では専ら軽油やジェット燃料など、沸点が約150〜370℃の留分を製造するために用いられてきた。したがって、これまでは軽油やジェット燃料として望ましい性状が得られる方法、すなわち芳香族分を極力低減させる方法が採られていた。
中重質油中には多くの硫黄分や窒素分が含有されているため、水素化分解処理に先立ちこれら不純物を除去するための水素化精製工程を設置する方法は広く採用されている。また、色相を悪化させずに硫黄濃度を10重量ppm以下に低減することが期待される軽油製品に関しては、二段の反応において温度差を付けることにより高度に脱硫を進行させながら、色相を改善させる方法等が採られていた。
一方、石油精製工程から得られる各種基材に目を向けると、国内外の環境対応の観点から、硫黄分が多い留分や芳香族分が多い留分は、燃料として使用量が減少する傾向にある。例えば、流動床接触分解プロセスから得られる軽油留分、いわゆるLight Cycle Oil(LCO)や熱分解装置から得られる軽油留分等は硫黄分や多環芳香族分が多く含まれるため、軽油として使用すると燃焼時に硫黄酸化物や粒子状物質を排出してしまうことから、大量に配合して使用することは困難である。
特許文献1及び2は、LCO留分を水素化分解してガソリン留分を製造する方法も提案しているが、軽油留分をある程度残存させるために比較的温和な反応を行い、ガソリン留分等の軽油留分よりも軽質な留分への転化率を抑制するものである。特許文献3には、LCO留分をVGO(Vacuum Gas Oil)と混合した原料油を水素化分解して灯軽油留分やナフサ留分を製造する方法も開示されているが、灯軽油留分を得ることが主目的であり、BTX類を優先的に製造する方法ではない。特許文献4には、9個以上の炭素数を有する重質芳香族炭化水素を軽質化させる方法も開示されているが、芳香環の環数に関する情報は無く、2環以上の芳香族炭化水素から1環の芳香族炭化水素へ変換する困難さは認識されていない。また、非特許文献1にはLCOを原料油に用いて一部BTXを製造する方法も提案されているが、同様に目的は軽油とガソリンの製造であり、BTXを優先的に製造する方法ではなかった。同様に、非特許文献2にはLCO留分に多く含まれる2環芳香族炭化水素である1−メチルナフタレンの水素化分解を行い、高オクタン価ガソリンを製造する方法が開示されているが、シクロパラフィンやイソパラフィンを多く生成する反応であるためオクタン価が85程度と依然として低く、1環芳香族炭化水素を選択的に製造する方法ではない。
一方、特許文献5では、軽油の低硫黄化方法として二塔反応の間に気液分離装置を設置し、一塔目に生成した硫化水素を分離することで後段触媒の負荷が低減し、長期にわたって脱硫軽油を製造する方法が提案されている。しかし、この場合も、軽油を製造する方法であり、特に色相改善を目的とした低温化反応であり、また窒素分の影響度に関しては全く記載されていない。特許文献6及び7には、具体的な目標硫黄濃度にまで低減することにより脱硫軽油を製造する方法が記載されているが、これも軽油の製造方法でありアルキルベンゼン類にまで変換するような過酷な反応ではなかった。
多環芳香族炭化水素を核水添してナフテンを製造する方法や多環芳香族炭化水素を部分核水添する方法、さらには二塔反応において一塔目で生成した硫化水素を低減させることで二塔目の触媒負荷を低減させる方法は種々提案されているものの、重質炭化水素を原料として、BTXに代表されるアルキルベンゼン類を選択的に製造する方法はこれまで確立されていなかった。
特許第3001963号公報 特公平3−170598号公報 国際公開第2006/062712号パンフレット 特許第3302553号公報 特開2000−212578号公報 国際公開第2001/074973号パンフレット 国際公開第2002/010314号パンフレット Thakkar et al.,National Petrochemical & Refiners Association,Annual Meeting,AM−05−53(2005) Demirel et al.,Fuel,Vol.77,No.4,p301−311(1998)
このような状況下、本発明は、多環芳香族炭化水素を含有する重質炭化水素油を精製し、ガス中不純物を低減した後、水素化分解するアルキルベンゼン類の製造方法を提供すること、特にはコーキングなどのトラブルを起こさず水素化分解して軽質な炭化水素留分に転換するとともに、付加価値の高いアルキルベンゼン類である1環芳香族炭化水素を効率よく選択的に製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、水素化活性と分解活性のバランスを高度に制御した触媒を使用して、水素化分解方法を選定することで、アルキルベンゼンに代表される1環芳香族炭化水素及び各種の軽質な炭化水素留分を効率よく製造することができることを見出し、本発明のアルキルベンゼン類の製造方法に想到した。
すなわち本発明は、次のとおりのものである。
(1)多環芳香族炭化水素を含有する重質炭化水素油を精製する第一工程、第一工程で生成したガス中不純物を低減する第二工程、及び第二工程で得られた精製油を水素化分解する第三工程を含むアルキルベンゼン類(1環芳香族炭化水素)の製造方法であって、重質炭化水素油は1環芳香族炭化水素の含有量が10容量%未満であり、全炭素に対する芳香族環を構成する炭素の割合(芳香族環構成炭素比率)が35モル%以上あり、かつ第三工程において、精製油を水素の存在下、水素化分解触媒に接触させることにより、少なくとも重質炭化水素油に含まれる沸点215℃以上留分の10容量%以上を215℃未満留分に転化して、1環芳香族炭化水素を10容量%以上含有する水素化分解生成油を得るアルキルベンゼン類の製造方法。
(2)重質炭化水素油の芳香族環構成炭素比率に対する水素化分解生成油の芳香族環構成炭素比率の比(芳香族環炭素残存率)が0.5以上である上記(1)に記載のアルキルベンゼン類の製造方法。
本発明のアルキルベンゼン類の製造方法によれば、多環芳香族炭化水素を多く含有する重質炭化水素油を原料として使用し、水素の存在下で最適な水素化分解触媒に接触させる際、前処理方法として水素化分解触媒の被毒原因物質である硫黄分や窒素分を水素化精製処理し、さらに生成した硫化水素などのガス分を低減することにより、触媒被毒の影響も回避され、高沸点炭化水素留分が低沸点炭化水素留分に転化され、しかもBTXに代表される付加価値の高いアルキルベンゼン類(1環芳香族炭化水素)が効率よく製造される。また、このように水素化分解に最適な、分解活性と水素化活性が適度にバランスされた、特定の組成、物性を有する水素化分解触媒を用いることから、過分解によるガス生成が抑制され、かつ水素化能不足によるコーキングによる活性低下が抑制される。
本発明において、多環芳香族炭化水素とは2以上の芳香環を有する炭化水素を指し、1環芳香族炭化水素とはベンゼンの水素を0〜6個の鎖状炭化水素基で置換したものを意味しアルキルベンゼン類とも呼ぶ。また、1.5環芳香族炭化水素とはテトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)やインダン(2,3−ジヒドロインデン)等のように1個の芳香環と飽和された1個のナフテン環を1分子内に有する化合物を指す。
以下、本発明のアルキルベンゼン類の製造方法について、原料油、かかる原料油を水素化分解に先立って精製(第一工程)し、ガス中不純物を低減(第二工程)する前処理方法、水素化分解(第三工程)、水素化分解触媒、水素化分解触媒の製造方法、水素化分解生成油の精製方法、及び製品炭化水素について順次説明する。
[原料油]
本発明において、原料として使用する重質炭化水素油は、多環芳香族炭化水素を含有し、該炭化水素油中の全炭素に対する芳香族環を構成する炭素の割合(芳香族環構成炭素比率)が35モル%以上、好ましくは40モル%以上、特に好ましくは45モル%以上である。ここで、全炭素中芳香族環構成炭素の割合が35モル%未満の場合、目的とする1環芳香族炭化水素(アルキルベンゼン類)を高収率で得ることができず好ましくない。尚、芳香族環構成炭素比率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて13C−NMRの測定を行うことにより算出することができる。
また、芳香環数は多ければ多いほど良いというわけではなく、最終的に1環の芳香族を優先的に製造する観点から、原料中の多環芳香族は2環のものが好ましい。中でも、原料中の多環芳香族は3環以上のものが少なく、1.5環や2環のものが多いほど好ましい。3環以上の芳香族炭化水素の含有量は5.0容量%以下が好ましく、より好ましくは3.0容量%以下、特に好ましくは1.0容量%以下であり、2環以上の芳香族炭化水素としては10容量%以上が好ましく、より好ましくは20容量%以上、特に好ましくは30容量%以上である。3環未満の芳香族炭化水素(1環と1.5環と2環の芳香族炭化水素の合計)を50容量%以上含むものが好ましく、より好ましくは60容量%以上、特に好ましくは70容量%以上含むものを好適に用いることができる。
前記芳香族組成に基づき、好ましい蒸留性状を設定することができる。すなわち、2環芳香族炭化水素のナフタレンの沸点(218℃)を考慮して、少なくとも215〜280℃の留分が10容量%以上であり、215℃以上の留分として30容量%以上、より好ましくは40容量%以上である。従って、好ましい原料油の蒸留性状としては、10%留出温度が100〜230℃、より好ましくは140〜230℃、さらに好ましくは150〜220℃であり、90%留出温度が230〜600℃、より好ましくは230〜400℃、さらには230〜310℃、特には265〜300℃である。
水素化分解反応阻害物質として、窒素分と硫黄分が挙げられる。原料中に、通常、窒素分が0.1〜3,000重量ppm、硫黄分が0.1〜3重量%程度含まれるが、少ないほど好ましい。主な硫黄化合物としては、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類、スルフィド類であるが、本発明に用いる原料油の沸点範囲では、ベンゾチオフェン類とジベンゾチオフェン類が多い。ジベンゾチオフェンは電子的に非局在化しているため安定であり反応しにくいことから、本発明に使用する原料油中にはあまり多く含まれない方が好ましい。水素化分解工程(第三工程)への供給に先立って原料油を後述のように第一工程及び第二工程で精製することにより窒素分と硫黄分は水素化分解反応を阻害しないよう低減される。
本発明において、原料として用いる多環芳香族炭化水素を含有する重質炭化水素油として、炭化水素油中の全炭素に対する芳香族環を構成する炭素の割合(芳香族環構成炭素比率)が35モル%以上であり、沸点215℃以上の留分を30容量%以上含む炭化水素油であれば、どのようなものでも使用することができる。
具体的には、原油を常圧蒸留して得られる留出分、常圧残渣を減圧蒸留して得られる減圧軽油、各種の重質油の軽質化プロセス(接触分解装置、熱分解装置等)から得られる留出物、例えば接触分解装置から得られる接触分解油(特に、LCO)、熱分解装置(コーカーやビスブレーキング等)から得られる熱分解油、エチレンクラッカーから得られるエチレンクラッカー重質残渣、接触改質装置から得られる接触改質油、さらに接触改質油を抽出、蒸留、あるいは膜分離して得られる芳香族リッチな接触改質油(ここで、芳香族リッチな接触改質油とは、接触改質装置から得られる炭素数10以上でかつ芳香環を有する化合物の含有量が50容量%を超えるものを指す)、潤滑油ベースオイルを製造する芳香族抽出装置から得られる留分、溶媒脱ろう装置から得られる芳香族リッチな留分などが挙げられる。その他、常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、脱ろうオイル、オイルサンド、オイルシェール、石炭、バイオマス等などを精製する脱硫法又は水素化転化法(例えば、H−Oilプロセス、OCRプロセス等の重油分解プロセスや重油の超臨界流体による分解プロセス)から生ずる留出物等も好ましく用いることができる。
[精製工程(第一工程)]
本発明において、水素化分解処理により多環芳香族炭化水素から選択的に1環芳香族炭化水素へ変換するが、その水素化分解処理(第三工程)に先立ち前処理を施すことにより、後段の水素化分解工程の触媒性能を充分に発揮することができる。原料は、前記の通り様々なものがあり、それらに含まれる硫黄化合物や窒素化合物の含有量も様々である。したがって、特にその濃度が高すぎる場合、水素化分解触媒の機能を充分に発揮できないこともある。そこで、水素化分解工程の前に、あらかじめ周知の精製方法を適用して硫黄分や窒素分を低減しておく第一工程を実施する。前処理方法としては水素化精製、吸着分離、収着分離、酸化処理等が挙げられるが、特に水素化精製が好ましい。水素化精製で対処する場合、精製前の原料と水素化精製触媒とを、水素の存在下で、温度150〜400℃、より好ましくは200〜380℃、さらに好ましくは250〜360℃で、圧力1〜10MPa、より好ましくは2〜8MPa、液空間速度(LHSV)0.1〜10.0h−1、より好ましくは0.1〜8.0h−1、さらに好ましくは0.2〜5.0h−1、水素/炭化水素比(容積比)100〜5,000NL/L、好ましくは150〜3,000NL/Lで接触させることが好ましい。
第一工程の処理により、硫黄分は好ましくは500重量ppm以下、より好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは50重量ppm以下、窒素分は好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは20重量ppm以下、特に好ましくは10重量ppm以下に低減される。この水素化精製処理による脱硫、脱窒素反応に伴い、芳香族分の水素化も一部進行してしまう。本発明において、多環芳香族炭化水素の量を減少させることは問題ないが、1環芳香族炭化水素の量も減少させることは望ましくない。従って、多環芳香族分を1環あるいは1.5環芳香族炭化水素へ水素化するところまでで留めることができるような反応条件で処理することが好ましく、このためには、容量ベースで反応後の全芳香族炭化水素量が反応前の0.50以上が残存するように制御することが好ましく、より好ましい残存割合は0.60以上であり、さらに好ましくは0.70以上である。
第一工程の水素化精製に用いる水素化精製触媒としては特に限定されるものではないが、耐火性酸化物担体に周期律表の第6族及び第8族から選ばれる少なくとも1種の金属を担持した触媒を好適に用いることができる。このような触媒として、具体的には、アルミナ、シリカ、ボリア、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種が含まれる担体に、周期律表の第6族及び第8族の金属としてモリブデン、タングステン、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属が担持された触媒が挙げられる。水素化精製触媒は必要に応じて、水素化反応前に乾燥、還元、硫化等の処理をしてから使用する。また、前処理工程に用いる触媒の量は、水素化分解触媒に対して10〜200容量%の範囲で使用することが好ましい。ここで、10容量%以下の場合、硫黄分の除去が不十分であり、一方200容量%以上の場合、装置が大規模なものになってしまい非効率である。
[ガス中不純物低減工程(第二工程)]
本発明において、第一工程である水素化精製工程と後述する第三工程である水素化分解工程の間に、第二工程として、水素化精製反応器からの流出流体の気液を分離し、水素化精製反応に用いたあとの反応排出ガスの一部又は全部を系外に抜き出し、水素化精製反応器からの液体(精製油)と反応排出ガスの残部を水素化分解工程(第三工程)に送る。水素化分解工程では反応に必要な水素ガスを、フレッシュな水素ガスを供給して補い反応を推進する。
水素化精製工程において生成する硫化水素やアンモニアは、後述する第三工程の水素化分解触媒を被毒して活性を低下させるため、第三工程である水素化分解工程に導入されるこれらの濃度は少ない方が好ましい。第三工程に導入される水素含有ガス中の硫化水素としては、0.1mol%以下が好ましく、0.08mol%以下がより好ましく、0.06mol%以下が特に好ましく、アンモニアとしては、0.1mol%以下が好ましく、0.05mol%以下がより好ましく、0.03mol%以下が特に好ましい。
ここで、第二工程は、第一工程で生成した硫化水素やアンモニアに関し、第三工程へ導入されるガス中の濃度を低減するものであるので、分離抜き出しに限定されるものではなく、洗浄塔や吸収塔を用いても良いし、第一工程で生成した混合ガスの一部を抜き出すこと、あるいは大量の高純度水素で希釈しても良い。
また、気液分離した精製油中に硫化水素やアンモニアが溶存して含まれていることがあるので、窒素ガスバブリング、水素ガスバブリング、水洗、スチームストリッピングなどの方法で硫化水素やアンモニアをできるだけ除去しておくことも効果的である。こうして水素化分解工程(第三工程)に送ると、触媒被毒を軽減し長期間活性を低下させることなく水素化分解を継続することができる。
[水素化分解工程(第三工程)]
本発明における第三工程である水素化分解工程において、精製された水素化分解反応用原料を、硫化水素やアンモニア等のガス分が低減された水素の存在下で、後で詳しく説明する水素化分解触媒と接触させ、沸点215℃以上留分の10%以上を215℃未満の留分に転化して、1環芳香族炭化水素を10容量%以上含有する水素化分解生成油に変換する。すなわち、原料の炭化水素油から、その炭化水素油に含まれる特定の温度よりも高い沸点を有する留分の炭化水素を転化して、換言すれば、多環芳香族炭化水素の芳香環数を減少させて、1環芳香族炭化水素(アルキルベンゼン類)に変換して1環芳香族炭化水素を10容量%以上含む水素化分解生成油を生成する。
本発明における炭化水素油の水素化分解の反応形態は、特に限定されるものではなく、従来から広く使用されている反応形態、すなわち、固定床、沸騰床、流動床、移動床等が適用できる。この中で、固定床式が好ましく、シンプルで操作も容易である。
本発明における炭化水素油の水素化分解方法において、水素化分解触媒は反応器に充填した後、乾燥、還元、硫化などの前処理をして用いられる。これらの処理は当業者に周知であり、適宜反応器内で又は反応器外で実施できる。触媒の硫化による活性化は、一般的には水素化分解触媒を水素/硫化水素混合物流下150〜500℃、好ましくは200〜400℃の温度で処理することによって行われる。
水素化分解において、例えば、反応温度、反応圧力、水素流量、液空間速度などの操作条件は、原料の性状、生成油の品質、生産量や精製設備・後処理能設備の能力に応じて適宜調整すればよい。水素化分解反応用の原料炭化水素油と水素化分解触媒とを、水素の存在下で反応温度200〜450℃、より好ましくは250〜430℃、さらに好ましくは280〜400℃で、反応圧力2〜10MPa、より好ましくは2〜8MPaで、液空間速度(LHSV)0.1〜10.0h−1、より好ましくは0.2〜5.0h−1、さらに好ましくは0.3〜3.0h−1で、水素/炭化水素比(容積比)100〜5,000NL/L、好ましくは150〜3,000NL/Lで接触させる。以上の操作により、水素化分解反応用の原料炭化水素油中の多環芳香族炭化水素は分解され、所望の1環芳香族炭化水素(アルキルベンゼン類)に転化する。上記の操作条件の範囲外では、分解活性が不足したり触媒の急激な劣化を引き起こしたりするなどの理由から好ましくない。
[水素化分解触媒]
本発明の水素化分解触媒は、複合酸化物とそれを結合するバインダーとから構成される担体に周期律表の第6族及び第8族から選ばれる少なくとも1種の金属成分を担持し、ペレット状(円柱状、異形柱状)、顆粒状、球状等に成形したものである。また、その物性として、比表面積が100〜800m/g、中央細孔直径が3〜15nm、細孔直径2〜60nmの細孔の占める細孔容積が0.1〜1.0mL/gであることが好ましい。
水素化分解触媒の比表面積はASTM規格D3663−78に基づき窒素吸着によって求めたBET比表面積の値であり、より好ましくは150〜700m/g、さらに好ましくは200〜600m/gである。中央細孔直径は、より好ましくは4.0〜12nm、特に好ましくは5.0〜10nmである。また、細孔直径2〜60nmの細孔の占める細孔容積は、より好ましくは0.15〜0.8mL/g、特に好ましくは0.2〜0.7mL/gである。
BET比表面積が上記範囲よりも小さい場合は活性金属の分散が不十分になり活性が向上せず、逆に大きすぎる場合は、一般的に比表面積と細孔容積の間にトレードオフの関係が成り立つことから十分な細孔容積を確保できず、反応生成物の拡散が不十分になり反応の進行が急激に阻害されるので好ましくない。中央細孔直径及び細孔容積は、反応に関与する分子の大きさと拡散との関係から適正範囲が存在するため、大きすぎても小さすぎても好ましくない。
いわゆるメソポアの細孔特性、すなわち上記細孔直径、細孔容積は窒素ガス吸着法によって測定し、BJH法などによって細孔容積と細孔直径の関係を算出することができる。また、中央細孔直径は、窒素ガス吸着法において相対圧0.9667の条件で得られる細孔直径2〜60nmの細孔の占める細孔容積の累積をVとするとき、各細孔直径の容積量を累積させた累積細孔容積曲線において、累積細孔容積がV/2となる細孔直径をいう。
本発明における水素化分解触媒は、マクロポア、メソポア、ミクロポアを有するものを用いることができる。通常、複合酸化物担体のメソポアの細孔特性が、触媒が形成されるまで維持されることから、上記水素化分解触媒のメソポアの細孔特性は、基本的には複合酸化物の担体の細孔特性を上記メソポアの細孔特性を持つように混練条件(時間、温度、トルク)や焼成条件(時間、温度、雰囲気ガスの組成と流量)を制御することにより調節することができる。
マクロポアの細孔特性は、複合酸化物粒子間の空隙とバインダーによる充填率とにより制御することができる。複合酸化物粒子間の空隙は複合酸化物粒子の粒径分布により、充填率はバインダーの配合量により制御することができる。
ミクロポアの細孔特性は、主にゼオライト等、複合酸化物が本来有する細孔に依存するところが大きいが、スチーミングなどの脱アルミニウム処理により制御することもできる。
メソポアとマクロポアの細孔特性は、また、後述するバインダーの性状及び混練条件により影響され得る。複合酸化物は、無機酸化物マトリックス(バインダー)と混合して担体とする。
[複合酸化物]
本発明でいう複合酸化物とは、固体酸性を有する複合酸化物である。例えば、二元複合酸化物では、K.Shibata, T.Kiyoura, J.Kitagawa,K.Tanabe,Bull.Chem.Soc.Jpn., 46,2985 (1973)で酸性発現が確認されているものをはじめ、数多くのものが知られている。本発明に用いる複合酸化物としては、それらの中でも特にシリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシアを好ましく用いることができる。三元複合酸化物としては、シリカ−アルミナ−チタニア、シリカ−アルミナ−ジルコニアを好ましく用いることができる。また、本発明でいう複合酸化物には、USYゼオライトなどのゼオライトも含まれる。
複合酸化物は、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア、シリカ−アルミナ−チタニア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、酸化タングステン−ジルコニア、硫酸化ジルコニア、硫酸アルミナ、ゼオライトから選ばれる1種を単独で使用することもできるし、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。特に、複合酸化物としてシリカ−アルミナを用いる場合、シリカ/アルミナ(SiO/Al)比(モル比)が1〜20になるように用いることが好ましい。
前記ゼオライトとしては特に限定されるものではないが、X型、Y型、β型、MOR型及びMFI型のゼオライトが好ましく、中でもY型、β型及びMFI型のゼオライトを好適に用いることができる。Y型ゼオライトのうち、Na−Y型のようなアルカリ金属型のものよりも、アルカリ金属をイオン交換したH−Y型のような酸性タイプのものが好ましく用いられ、H−Y型ゼオライトを脱アルミニウム処理したUSY型ゼオライト(超安定Y型ゼオライト)を用いることもできる。これは、酸処理、高温処理、水蒸気処理などによって得られるものであり、結晶性の劣化に高い抵抗力を有し、アルカリ金属イオンの含有量が1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満で、かつ2.46nm以下の格子定数、ならびにシリカ/アルミナ比(モル比)が5以上であることによって特徴付けられる。
本発明で用いる上記H−Y型ゼオライトやUSY型ゼオライトは、アルミニウムとケイ素のモル比率が1:2.0〜1:10.0でフォージャサイト構造を有するものであれば、製法の如何にかかわらず、いずれをも支障なく用いることができる。本発明では、先ずY型ゼオライトを脱アルカリ処理し、次いで水蒸気処理及び/又は酸処理し、格子定数が2.43〜2.46nmの結晶性アルミノシリケートとすることが好ましい。格子定数が2.46nmを超えるものでは、後述する酸処理の際にpH3未満の水溶液と接触したときに結晶構造の崩壊が生じて分解活性が低下し、目的留分の収率が減少する。また、格子定数が2.43nmより小さいものでは、結晶性が悪く酸量も少ないことから同様に分解活性が低下し、目的留分の収率が減少する。なお、格子定数とはX線回折法により得られた面間隔dの値より、次の式で算出される。
格子定数=d×(h+k+l1/2
ただし、h、k、lはミラー指数を示す。
前述の脱アルカリ処理は、Y型ゼオライトをアンモニア含有溶液等に浸漬処理して、Naのようなアルカリ金属イオンをアンモニウムイオン等によりイオン交換し、これを焼成することにより行う。まずH−Y型ゼオライトを得、さらにこの一連の処理を数回繰り返すことにより、SY(Stable Y)型ゼオライトを経て、アルカリ金属含有量をより低減したUSY(Ultra Stable Y)型ゼオライトを調製することができる。脱アルカリ処理をしたUSY型ゼオライトのアルカリ金属含有量は1.0重量%未満にすることが好ましく、さらに好ましくは0.5重量%未満である。
また、水蒸気処理は、前記脱アルカリ処理したゼオライトを500〜800℃、好ましくは550〜750℃の水蒸気と接触させる方法により行うとよい。さらに酸処理はpH3以下の硝酸水溶液等に浸漬することにより行うとよい。この水蒸気処理と酸処理はどちらか一方でもよいが、両処理を併用することにより部分的な脱アルミニウム化処理を行い、これの乾燥、焼成により簡便に上記格子定数を有する結晶性アルミノシリケートを調製することができる。
Y型ゼオライトの他、β型、モルデナイトに代表されるMOR型やZSM−5に代表されるMFI型ゼオライトを使用することもできる。この場合、これらゼオライトはシリカ/アルミナ比は高いものなので、特段、脱アルミニウム処理を施さずに使用することができる。
このようにしてシリカ/アルミナ比を調整した結晶性アルミノシリケートを、鉄、コバルト、ニッケル、モリブテン、タングステン、銅、亜鉛、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニア、カドミウム、スズ、鉛等の遷移金属の塩や、ランタン、セリウム、イッテルビウム、ユウロピウム、ジスプロシウム等の希土類の塩を含有する溶液に浸漬することにより、これらの金属イオンを導入し、遷移金属含有結晶性アルミノシリケートや希土類含有結晶性アルミノシリケートとしてもよい。後述する水素化分解反応に供する際には、前記結晶性アルミノシリケート、遷移金属含有結晶性アルミノシリケート、あるいは希土類含有結晶性アルミノシリケートを単独で用いても、これらの2種以上を混合して使用してもよい。
[バインダー]
バインダーとしては、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、ボリア−アルミナなど、多孔質でかつ非晶質のものを好適に用いることができる。中でも、複合酸化物を結合する力が強く、また比表面積が高いことから、アルミナ、シリカ−アルミナ及びボリア−アルミナが好ましい。これらの無機酸化物は活性金属を担持する物質として働くと共に、上記複合酸化物を結合するバインダーとして働き、触媒の強度を向上させる役割がある。このバインダーの比表面積は30m/g以上であることが望ましい。
担体の構成成分の一つであるバインダーは、アルミニウム水酸化物及び/又は水和酸化物からなる粉体(以下、単にアルミナ粉体ともいう)、特には、擬ベーマイトなどのベーマイト構造を有する酸化アルミニウム1水和物(以下、単にアルミナともいう)が水素化分解活性や選択性を向上できるので好ましく用いられる。また、ボリア(ホウ素酸化物)を含むアルミニウム水酸化物及び/又は水和酸化物からなる粉体、特にはボリアを含む擬ベーマイトなどのベーマイト構造を有する酸化アルミニウム1水和物も水素化分解活性や選択性を向上できるので好ましく用いることができる。
酸化アルミニウム1水和物としては、市販のアルミナ源(例えば、SASOL社から市販されているPURAL(登録商標)、CATAPAL(登録商標)、DISPERAL(登録商標)、DISPAL(登録商標)、UOP社から市販されているVERSAL(登録商標)、又はALCOA社から市販されているHIQ(登録商標)など)を使用することができる。あるいは、酸化アルミニウム3水和物を部分的に脱水する周知の方法によって調製することもできる。上記酸化アルミニウム1水和物がゲルの形である場合、ゲルを水又は酸性水によって解こうする。アルミナを沈殿法で合成する場合、酸性アルミニウム源としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどから選択することができ、塩基性アルミニウム源としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどから選択できる。
バインダーの配合割合は、触媒を構成する複合酸化物とバインダーの合計重量に対して5〜70重量%、特には10〜60重量%とすることが好ましい。5重量%未満では触媒の機械的強度が低下しやすく、70重量%を超えると相対的に水素化分解活性や選択性が低下する。複合酸化物としてUSYゼオライトを用いる場合、触媒を構成する複合酸化物部分及びバインダー部分の合計重量に対するUSYゼオライトの重量は1〜80重量%、特には10〜70重量%とすることが好ましい。1重量%未満では、USYゼオライトを用いたことによる分解活性向上効果が発現しにくく、80重量%を超えると相対的に中間留分選択性が低下する。
[金属成分]
本発明の水素化分解触媒は、周期律表の第6族及び第8族から選ばれる金属を活性成分として含む。第6族及び第8族の金属の中でも、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金が特に好適に用いられる。これらの金属は1種のみで用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これら金属の添加量は、水素化分解触媒中に占める第6族と第8族の金属元素の合計量が0.05〜35重量%、特には0.1〜30重量%となるように含有することが好ましい。金属としてモリブデンを用いる場合、その含有量は水素化分解触媒中5〜20重量%、特には7〜15重量%とすることが好ましい。金属としてタングステンを用いる場合、その含有量は水素化分解触媒中5〜30重量%、特には7〜25重量%とすることが好ましい。モリブデンやタングステンの添加量は、上記の範囲より少ないと、水素化分解反応に必要な活性金属の水素化機能が不足し好ましくない。逆に、上記の範囲より多いと、添加した活性金属成分の凝集が起こりやすく好ましくない。
金属としてモリブデン又はタングステンを用いる場合には、さらにコバルト又はニッケルを添加すると、活性金属の水素化機能が向上し一層好ましい。その場合のコバルト又はニッケルの合計含有量は、水素化分解触媒中0.5〜10重量%、特には1〜7重量%とすることが好ましい。金属としてロジウム、イリジウム、白金、パラジウムのうちの1種又は2種以上を用いる場合、その含有量は0.1〜5重量%、特には0.2〜3重量%とすることが好ましい。この範囲未満では十分な水素化機能が得られず、この範囲を超えると添加効果が少なく経
済的でないため好ましくない。
なお、活性成分として担持する第6族金属成分は、パラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸、無水タングステン酸、タングストリン酸などの化合物の水溶液を用いるとよい。
また、第8族金属成分は、ニッケルやコバルトの硝酸塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物、臭化物、酢酸塩、炭酸塩、リン酸塩などの水溶液や、塩化白金酸、ジクロロテトラアンミン白金、テトラクロロヘキサアンミン白金、塩化白金、ヨウ化白金、塩化白金酸カリウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、酢酸ロジウム、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、塩化ルテニウム、塩化オスミウム、塩化イリジウムなどの化合物の水溶液を用いるとよい。
さらに、第三成分として、リン、ホウ素、カリウム、及びランタン、セリウム、イッテルビウム、ユウロピウム、ジスプロシウム等の希土類を添加しても良い。
[水素化分解触媒の製造方法]
本発明の水素化分解触媒は、複合酸化物とバインダーを混練して成形した後、乾燥、焼成して担体を作成し、さらに金属成分を含浸担持した後、乾燥、焼成することによって調製することができる。本発明の水素化分解触媒の製造方法をより詳細に下記に説明するが、下記の方法に限定するものでなく、所定の細孔特性、性能を有する触媒を作製できる他の方法を用いることもできる。
混練には、一般に触媒調製に用いられている混練機を用いることができる。通常は原料を投入し、水を加えて攪拌羽根で混合するような方法が好適に用いられるが、原料及び添加物の投入順序など特に限定はない。混練の際には通常水を加えるが、原料がスラリー状の場合などには特に水を加える必要はない。また、水以外にあるいは水の代わりに、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶媒を加えてもよい。混練時の温度や混練時間は、原料となる複合酸化物、バインダーにより異なるが、好ましい細孔構造が得られる条件であれば特に制限はない。同様に、本発明の触媒の性状が維持される範囲内であれば、硝酸などの酸やアンモニアなどの塩基、クエン酸やエチレングリコールなどの有機化合物、セルロースエーテル類やポリビニルアルコールのような水溶性高分子化合物、セラミックス繊維などを加えて混練しても構わない。
混練後、触媒調製に一般的に用いられている周知の成形方法を用いて成形することができる。特に、ペレット状(円柱状、異形柱状)、顆粒状、球状等の任意の形状に効率よく成形できるスクリュー式押出機などを用いた押出成形や、球状に効率よく成形できるオイルドロップ法による成形が好ましく用いられる。成形物のサイズに特に制限はないが、例えば円柱状のペレットであれば、直径0.5〜20mm、長さ0.5〜15mm程度のものを容易に得ることができる。
上記のようにして得られた成形物は、乾燥、焼成処理をすることにより担体とされる。この焼成処理は、空気又は窒素などのガス雰囲気中において300〜900℃の温度で0.1〜20時間焼成すればよい。
担体に金属成分を担持する方法に特に制限はない。担持したい金属の酸化物やその塩、例えば硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ハロゲン化物などの水溶液を用意して、スプレー法、浸漬などによる含浸法や、イオン交換法等により担持する。担持処理と乾燥処理を繰り返すことにより、より多くの金属成分を担持することができる。
例えば、担体に第6族の金属成分を含有した水溶液を含浸させた後、常温〜150℃、好ましくは100〜130℃で0.5時間以上乾燥させるか、或いは乾燥させることなくそのまま第8族の金属成分を含有した水溶液を含浸させ、常温〜150℃、好ましくは100〜130℃で0.5時間以上乾燥させた後、350〜800℃、好ましくは450〜600℃で0.5時間以上焼成することにより触媒を調製することができる。
本発明の触媒に担持された第6族及び第8族の金属は、金属、酸化物、硫化物などの何れの形態であってもよい。
[水素化分解触媒及び担体の機械的強度]
水素化分解触媒の機械的強度は高いほど好ましく、例えば直径1.6mmの円柱ペレットの場合、後述の測定プローブ径が5mm(円柱状)のものを用いた際の側面圧壊強度として3kgf以上が好ましく、より好ましくは4kgf以上である。また、成形担体を作成した後、金属成分を含浸担持して触媒を作成する場合においては、歩留りよく触媒を製造するために成形担体についても十分な機械的強度を有することが好ましい。具体的には、本発明における成形担体の機械的強度としては、同様に直径1.6mmの円柱ペレットの側面圧壊強度として3kgf以上が好ましく、より好ましくは4kgf以上である。
触媒のバルク密度は、0.4〜2.0g/cmが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5g/cm、特に好ましくは0.6〜1.2g/cmである。
[水素化分解生成油の性状]
水素化分解工程において、原料の炭化水素油中の沸点215℃以上に相当する留分のうち10容量%以上は215℃未満の留分に転化される。水素化分解生成油は、沸点215℃以下の炭化水素、すなわちナフタレンよりも軽質な炭化水素の含有量が10容量%以上であり、好ましくは20容量%以上、より好ましくは25容量%以上である。また、水素化分解生成油は1環芳香族炭化水素(アルキルベンゼン類)を10容量%以上含有する。1環芳香族炭化水素の好ましい含有量は15容量%以上である。また、1.5環芳香族炭化水素は45容量%以下含有することが好ましく、さらに好ましくは40容量%以下である。2環以上の多環芳香族炭化水素は10容量%以下含有することが好ましく、さらに好ましくは8容量%以下である。
さらに、原料の炭化水素油中に占める芳香族環を構成する炭素比率に対する水素化分解生成油中に占める芳香族環を構成する炭素比率の比(芳香族環炭素残存率)が0.5以上であり、より好ましくは0.6以上、特に好ましくは0.7以上である。ここで、芳香族環炭素残存率が0.5よりも小さい場合、目的生成物である1環芳香族炭化水素を多く得ることができず、また分解反応が起こりすぎてしまうなどコーキングの原因となり、触媒寿命が短くなるため好ましくない。
[後処理工程]
本発明において、前処理工程と同様、必要に応じて後処理工程を設置することも可能である。後処理工程は特に限定されるものではないが、前処理工程と同様の触媒種、触媒量及び反応条件を設定することができる。後処理工程は、水素化分解工程直後に設置して水素化分解生成油を処理しても良いし、その後の分離工程の後に設置して分離された各炭化水素留分を個々に処理しても良い。この後処理工程の設置により製品中の不純物は大幅に低減することができ、例えば硫黄分や窒素分を0.1重量ppm以下にすることも可能である。
[水素化分解生成油の分離方法]
本発明の水素化分解生成油は、適宜の分離工程を経て、LPG留分、ガソリン留分、灯油留分、軽油留分、非芳香族ナフサ留分及び1環芳香族炭化水素などの製品に加工される。これらの製品は、石油製品等の規格を満足すれば、そのままLPG、ガソリン、灯油、軽油や石油化学原料として用いることもできるが、通常は、主にそれらを調合、精製して製造するための基材として用いる。分離プロセスは特に限定するものではなく、精密蒸留、吸着分離、収着分離、抽出分離、膜分離等など公知の任意の方法を製品性状に応じて採用できる。また、それらの運転条件も適宜設定すればよい。
一般的に広く使用されているのは蒸留法であるが、これは沸点の差を利用して、例えばLPG留分、ガソリン留分、灯油留分、及び軽油留分に分離することができる。具体的には、沸点−10〜30℃までの部分をLPG留分、沸点30〜215℃までの部分をガソリン留分、さらに沸点が高く215〜260℃までの部分を灯油留分、そしてそれより高沸点で260〜370℃までの部分を軽油留分とすることができ、それより重質な留分は未反応物として、再度水素化分解工程で処理しても良いし、A重油などの基材に使用しても良い。
芳香族分を分離する抽出方法の場合、適宜な溶剤を使用して芳香族分と非芳香族分に分離することができるが、上記蒸留方法と適宜組み合わせて使用しても良い。この場合、蒸留分離から得られたガソリン留分及び/又は灯油留分を用いて、芳香族分を選択的に抽出する溶剤、例えばスルフォラン(テトラヒドロチオフェンジオキサイド)を混合し、温度が20〜100℃、圧力が常圧から1.0MPaの抽出条件で処理することにより、芳香族化合物がスルフォランにより選択的に抽出されたエキストラクト留分と、スルフォランに抽出されないパラフィン系炭化水素が濃縮されたラフィネート留分とに分離される。この抽出処理で得た少なくとも80℃以上の沸点成分を含むエキストラクト留分は、芳香族化合物を選択的に抽出しているため、必要に応じて水素化精製処理を施すことにより芳香族基材として製品に使用することができる。また、ラフィネート留分は比較的多くのイソパラフィンやナフテンを含有しているので、高オクタン価ガソリン組成物を製造するためのガソリン基材としてそのまま用いることができ、さらに接触改質工程原料油として用いることにより芳香族炭化水素へ変換することもできる。
スルフォランで抽出されたエキストラクト留分の芳香族分とスルフォランとは蒸留操作により容易に分離され、分離されたスルフォランは抽出溶剤として再使用される。分離された芳香族分は、トランスアルキレーション処理、異性化処理などを経て、さらに付加価値の高いパラキシレンやベンゼン等に転換することもできる。
[製品炭化水素]
上記の分離工程を経て得られる炭化水素製品としては、沸点−10〜30℃のLPG留分、沸点30〜215℃のガソリン留分、沸点215〜260℃の灯油留分、沸点260〜370℃の軽油留分、及び以上の留分を分離した後に残った残渣分が挙げられる。本発明において、残渣分は少ないほど好ましく、再度水素化分解工程にリサイクルして軽質化することもできる。
また、ガソリン留分をスルフォランなどの溶剤で抽出してエキストラクト留分とラフィネート留分を得ることもできる。ラフィネート留分は非芳香族ナフサ留分であり、ガソリン基材、溶剤原料などとして有用である。エキストラクト留分は石油化学原料として有用な1環芳香族炭化水素(アルキルベンゼン類)である。
以下、本発明のアルキルベンゼン類の製造方法を、実施例及び比較例を用いて詳細且つ具体的に説明する。
[水素化精製触媒]
水素化精製触媒として、市販のNiMoP担持脱硫触媒である触媒Aを用いた。触媒Aの組成はMo12.3重量%、Ni3.5重量%、P2.0重量%、Al43.3重量%であった。
この触媒Aの細孔特性を窒素ガス吸着法で測定したところ、比表面積が185m/g、細孔直径2〜60nmの範囲にある細孔の容積が0.415mL/g、中央細孔直径は7.9nmであった。
[水素化分解触媒の調製]
SiO/Al比が10.5、格子定数が2.439nm、比表面積が650m/gであるUSY型ゼオライト(東ソー製HSZ−350HUA)1,078gをアルミナ粉末(SASOL社製アルミナPural SB)1,303gと混合し、4.0重量%の希硝酸溶液500mL、イオン交換水875gを添加して混練し、断面三つ葉形の柱状(ペレット)に押し出し成形し、130℃で6時間乾燥した後、600℃で2時間焼成して担体とした。
この担体150gに、モリブデン酸アンモニウム26.24gの水溶液をスプレー含浸して130℃で6時間乾燥した後、硝酸ニッケル26.06gの水溶液をスプレー含浸して130℃で6時間乾燥した。次いで、空気の気流下で、500℃で30分間焼成して水素化分解用の触媒Bを得た。触媒Bの組成はMo7.1重量%、Ni3.0重量%、Si15.8重量%、Al23.5重量%であった。
この触媒Bの細孔特性を窒素ガス吸着法で測定したところ、比表面積が387m/g、細孔直径2〜60nmの範囲にある細孔の容積が0.543mL/g、中央細孔直径は9.6nmであった。また、この触媒Bは安定径1.2mm、平均長さ4.0mmであり、平均側面圧壊強度は12.0kgf、バルク密度は0.688g/cmであった。
(実施例1及び2)
[脱硫油の調製]
水素化精製触媒として触媒Aを水素化精製反応器に充填し、反応圧力=5.0MPa、LHSV=1.0hr−1、水素/原料油比=1,400NL/L、反応温度=280℃の条件下で、原料油A(接触分解軽油:LCO)の水素化精製処理を行った。水素は市販の純水素を用い、リサイクルせずワンスルーで流した。水素化精製処理中、定常状態で得られた精製油は全量ドラムに回収し、水素ガスは全て系外に放出した。また、水素化精製油中に溶存する硫化水素を除去するために、窒素バブリング処理(20℃、24時間、100mL/min.)して精製油(原料油B)を得た。原料油A及び原料油Bの性状を表1に示した。
次いで、水素化分解触媒として触媒Bを使用し、反応圧力=3.0MPa、LHSV=1.0hr−1、水素/原料油比=1,400NL/L、反応温度=320℃(実施例1)、350℃(実施例2)の条件下で、原料油Bの水素化分解を行った。水素は市販の純水素を用い、リサイクルせずワンスルーで流したため、反応器に導入される水素ガス中に含まれる硫化水素濃度、及びアンモニア濃度は、共に検出限界以下(0.01mol%以下)であった。反応の結果得られた水素化分解生成油の性状を表2に示した。表2において、215℃以上留分の転化率は、次式で得られた値である。

215℃以上留分の転化率(%)=100−生成油中の215℃以上留分(容量%)/原料油A中の215℃以上留分(容量%)×100

原料油A(接触分解軽油)に占める芳香族環を構成する炭素比率に対する水素化分解生成油中に占める芳香族環を構成する炭素比率の比(芳香族環炭素残存率)も表2に記載した。なお、表2において各炭化水素留分の数値(容量%)は原料油Aを基準(100容量%)とした割合で示す。
(比較例1及び2)
水素化精製反応器に触媒Aを、水素化分解反応器に触媒Bをそれぞれ等量充填し、原料油として接触分解軽油(原料油A)を用い、反応圧力3.0MPa、LHSV0.5hr−1、水素/原料油比1,400NL/L、水素化精製反応温度280℃、水素化分解反応温度320℃(比較例1)、水素化分解反応温度350℃(比較例2)とした以外は実施例1及び実施例2とほぼ同様に反応を行った。ただし、水素は市販の純水素を水素化精製反応器に供給し、水素化精製反応器で生成したガス分を除去せずにそのまま水素化精製油と流出ガスを水素化分解反応器に導入し、リサイクルはせずワンスルーで流した。このとき、水素化分解反応器に導入されるガス中に含まれる硫化水素濃度は0.049mol%、アンモニア濃度は0.021mol%であった。反応の結果得られた生成油の性状及び芳香族炭化水素の組成を表2に示す。

(実施例3及び4)
水素化分解の反応圧力を5.0MPaとした以外は、それぞれ実施例1及び実施例2と同じ方法で試験した。その結果を表3に示した。
(比較例3及び4)
同様に、水素化分解の反応圧力を5.0MPaとした以外は、それぞれ比較例1及び比較例2と同じ方法で試験した。その結果を表3に示した。
(実施例5及び6)
水素化分解の反応圧力を7.0MPaとした以外は、それぞれ実施例1及び実施例2と同じ方法で試験した。その結果を表4に示した。
(比較例5及び6)
同様に、水素化分解の反応圧力を7.0MPaとした以外は、それぞれ比較例1及び比較例2と同じ方法で試験した。その結果を表4に示した。
(実施例7及び8)
SiO/Al比が6.9、格子定数が2.452nm、比表面積が700m/gであるNH−Y型ゼオライト(東ソー製HSZ−341NHA)1,202gを使用し、アルミナ粉末(UOP社製アルミナVersal 250)を1,202g使用した以外は、触媒Bと同様の方法により触媒Cを得た。
この触媒Cの細孔特性を窒素ガス吸着法で測定したところ、比表面積が438m/g、細孔直径2〜60nmの範囲にある細孔の容積が0.470mL/g、中央細孔直径は6.1nmであった。また、この触媒Cは安定径1.2mm、平均長さ4.0mmであり、平均側面圧壊強度は12.0kgf、バルク密度は0.668g/cmであった。
触媒Bの代わりに触媒Cを使用した以外は、それぞれ実施例3及び実施例4と全く同じ方法で試験した。その結果を表5に示した。
上記の実施例及び比較例において使用した触媒物性測定装置及び方法、並びに原料油及び生成油性状の分析方法を以下に示す。
窒素ガス吸着法による細孔特性(比表面積、細孔直径2〜60nmの範囲にある細孔の容積、中央細孔直径)の測定にはMicromeritics社製ASAP2400型測定器を用いた。
サンプルの側面圧壊強度の測定には、富山産業(株)製TH−203CP錠剤破壊強度測定器を用いた。測定プローブは先端が直径5mmの円形状のものを使用した。測定サンプルを柱状サンプルの側面中央に当てて加圧し、サンプルが破壊されるときの圧力を測定した。ランダムに抽出して測定した20個のサンプルの平均値を平均側面圧壊強度とした。
密度はJIS K 2249の振動式密度試験方法、蒸留性状はJIS K 2254の常圧法蒸留試験方法によって測定した。
芳香族環構成炭素比率の測定には、溶媒に重クロロホルム、内部標準にテトラメチルシラン(0ppm)を用い、日本電子製GSX270型核磁気共鳴装置を用いて行った。炭素種分類ごとの芳香族環構成炭素と脂肪族構成炭素の定量は、H−ゲーテッドデカップリング法を用い、データポイント32,768点、観測周波数領域幅27,027Hz、パルス幅2μs、パルス待ち時間30S、積算回数2,000回で測定し、フーリエ変換したスペクトルのシグナルの積分比から算出した。得られたスペクトルのシフト値において、120〜150ppmの領域のものを芳香族炭素に帰属するものとし、全炭素に対するモル%として表した。
1環芳香族炭化水素(アルキルベンゼン類)の組成(ベンゼン、トルエン、キシレン類)及び1.5環芳香族炭化水素(テトラリン類)の組成は、島津製作所製の炭化水素全成分分析装置を用いて測定し、JIS K 2536に準じて算出した。
芳香族化合物のタイプ分析(環分析)は、石油学会法JPI−5S−49−97に従って、高速液体クロマトグラフ装置を使用し、移動相にはノルマルヘキサン、検出器にはRI法を用いて実施した。
硫黄分の測定は、JIS K 2541の硫黄分試験方法に従い、高濃度領域では蛍光X線法を、低濃度領域では微量電量滴定法を使用して行った。窒素分の測定は、JIS K 2609の窒素分試験方法に従い、化学発光法を使用して行った。
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表2〜表5に示したとおり、実施例1〜8のように、適切な水素化精製油の処理方法を選定することにより、水素化精製反応器で生成するガス中不純物を除去しない場合(比較例1〜6)と比較して、目的とする1環芳香族炭化水素(アルキルベンゼン類)、とりわけ付加価値の高いベンゼンやトルエンなどのBTX留分が高収率で得られ、かつ低温で反応できることから、好ましくないコーキング等の生成を抑制し触媒の長寿命化が可能となる。加えて、不純物である硫黄分や窒素分を低減させることが可能となる。

Claims (2)

  1. 多環芳香族炭化水素を含有する重質炭化水素油を精製する第一工程、第一工程で生成したガス中不純物を低減する第二工程、及び第二工程で得られた精製油を水素化分解する第三工程を含むアルキルベンゼン類(1環芳香族炭化水素)の製造方法であって、重質炭化水素油は1環芳香族炭化水素の含有量が10容量%未満であり、全炭素に対する芳香族環を構成する炭素の割合(芳香族環構成炭素比率)が35モル%以上あり、かつ第三工程において、精製油を水素の存在下、水素化分解触媒に接触させることにより、少なくとも重質炭化水素油に含まれる沸点215℃以上留分の10容量%以上を215℃未満留分に転化して、1環芳香族炭化水素を10容量%以上含有する水素化分解生成油を得ることを特徴とするアルキルベンゼン類の製造方法。
  2. 重質炭化水素油の芳香族環構成炭素比率に対する水素化分解生成油の芳香族環構成炭素比率の比(芳香族環炭素残存率)が0.5以上である請求項1に記載のアルキルベンゼン類の製造方法。
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