JP2008297108A - エレベーター用非常止め装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
制動子の摺動面が高温になっても制動子の割れを防止し、信頼性の高いものとする。
【解決手段】
異常発生時にエレベーターの乗りかごを停止させるためガイドレール2に制動子5を押し付け摺動させることで制動力を発生させるエレベーター用非常止め装置において、ガイドレール2に対して略直交する方向に形成された複数の溝3を有し、鋳鉄材とされた制動子5と、溝3の間として形成され制動子5との摺動面となる歯と、を備え、溝深さは、3mm以上で歯幅の1.7倍以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明はエレベーター用非常止め装置に関し、特にエレベーターの速度が所定速度以上になったときに動作させるものに好適である。
エレベーターには、乗りかごが一定以上で下降した際に、適切な減速度で乗りかごを停止させる安全装置、すなわち非常止め装置を設置することが義務づけられている。
非常止め装置は、弾性体で囲われた内側に2個の台形型の摩擦材を配した制動子を用い、乗りかごが所定の速度以上に達した場合に、昇降路の壁に設置されたエレベーター用ガイドレールを2個の制動子で押し付ける。そして、弾性体の弾性変形によって生じる力で制動力を発生させるもので、従来、制動子は適度な摩擦係数と耐摩耗性を有する鋳鉄材料により形成されることが多い。
鋳鉄材料を用いた非常止め装置には、ガイドレールとの摺動面に複数の溝を設けた制動子を備えている。この溝は、非常制動時にガイドレールとの摩擦摺動で発生する摩耗粉を摺動面から外部に排除して摺動面の摩擦係数を確保し、摩耗粉やかけらがガイドレールに食い込み、制動子が異常摩耗するのを防ぐためのものであり、例えば特許文献1に記載されている。
また、他の非常止め装置においては、制動子とガイドレール間に多くの摩擦熱が発生しても安定した摩擦力が得られるように、耐熱性に優れたセラミックス製の摩擦材を分割して制動子本体に埋設することが知られ、例えば特許文献2に記載されている。
特開2006−131384号公報 特開2000−191252号公報
建築物の高層化に伴って、エレベーターの仕様は高速,大容量化にシフトしており、非常止め装置においては、動作時の制動子とガイドレール間に発生する摩擦熱による高温環境下でも安定した摩擦力が得られることが要求される。
鋳鉄を用いた従来技術においては、高速,大容量化に伴い摺動面での発熱量が多くなる結果、摺動面近傍に作用する熱応力によって、応力が集中する溝底から制動子が割れる恐れがある。
また、制動子に耐熱性に優れたセラミックス摩擦材を用いると摩擦材強度は確保できるが、セラミックスは鋳鉄に比べて材料コストが10倍以上と高価であること、制動子との締結構造が複雑になることで装置全体のコスト高に繋がる。さらに、脆性材料のため鋳鉄材に比べ所定の品質を確保するには厳しい工程管理が必要であり、機械加工,組立て時の取り扱いを十分注意しなければならない。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、簡易な管理で取り扱いを容易にし、かつ装置コストを抑え、制動子の摺動面が高温となっても割れを防止し、緊急時には乗りかごを確実に停止できる信頼性の高いエレベーター用非常止め装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、異常発生時にエレベーターの乗りかごを停止させるためガイドレールに制動子を押し付け摺動させることで制動力を発生させるエレベーター用非常止め装置において、前記ガイドレールに対して略直交する方向に形成された複数の溝を有し、鋳鉄材とされた前記制動子と、前記溝の間として形成され前記制動子との摺動面となる歯と、を備え、前記溝深さは、3mm以上で前記歯幅の1.7 倍以下とされたものである。
本発明によれば、制動子を鋳鉄材とし、溝深さが3mm以上で歯幅の1.7 倍以下とされた溝を形成するので、溝底に作用する熱応力が制動子材料の降伏点を越えず、かつ溝底の曲げ応力が引張り強さを超えないようにすることができる。したがって、鋳鉄材を使用しても、制動子の摺動面が1000℃超の高温環境下でも割れを防止して、緊急時には確実に乗りかごを停止できる信頼性の高いものとすることができる。
以下、エレベーター用非常止め装置について図を参照して説明する。
図2は、非常止め装置の縦断面図であり、非常止め装置4は、ガイドレール2を挟んで左右対称に構成されている。そして、断面台形状に形成された一対の制動子5を有し、制動子5は上端側が短辺となり、下端側が長辺となっている。
一対の制動子5は、ガイドレール2を挟持可能にガイドレール2と僅かな隙間を持って略平行に配置されている。制動子5の背面は上方が狭くなるくさび状の平滑な傾斜面になっている。
また、制動子5が所定位置に移動するように、移動を案内する案内板8がガイド部材10に設けられている。ガイド部材10は、内側が制動子5の傾斜面と平行な傾斜面を成し、外側は垂直面となっており、垂直面を弾性体6で挟み込んでいる。ガイド部材10の外周部は、ガイドレール2に対向する側が開放されたU字状に形成された弾性体6に囲まれている。制動子5、および案内板8,ガイド部材10,弾性体6は、筐体9内に収容され、制動子5の一端には、非常止め装置を起動させる図示しない駆動手段が有する引き上げ棒が接続されている。
図3は、非常止め装置が動作した状態を示す図である。制動子5の傾斜面には複数の案内ローラ11が押し当てられている。ローラ11は、ガイド部材10に回転可能に保持されており、制動子が上方に円滑に移動できるように作用する。
ガイド部材10は、制動子5の傾斜面と平行な傾斜面を有しており、ガイド部材10の背面側は垂直面となっているので、ガイド部材10の垂直面を弾性体6で挟み込むようになっている。したがって、非常止め装置が動作したときは、制動子5がガイド部材10に対して引き上げられ、ガイド部材10を押し広げる。ガイド部材10が押し広げられた反力が制動子5に作用し、制動子5は互いの距離が狭まるように移動する。そして、ガイドレール2を挟み込む。
図1は、制動子の概略斜視図である。制動子5は、四角柱状の鋳鉄材からなり、ガイドレールと摺動する摺動面1は、中央部が平らで上端部、および下端部がそれぞれの端部に向かってガイドレールから離れる方向に傾斜する傾斜面12,13を有している。
摺動面1には、制動中に発生する摩耗粉を取り込んで摺動面1の外部に排出し、摩耗粉やかけらがガイドレールに食い込み異常摩耗するのを防ぐための溝3が設けられている。溝3は、ガイドレールに対して略直交する方向に複数形成されている。また、溝3は略半円形状あるいはU字形状を成し、加工性を容易にすると共に溝底部の応力集中を緩和するようにしている。
溝深さxは、溝3の底部に作用する応力が極力小さくなるように設定することが良い。また、摺動面1は複数の凸形状構造とされ、凸形状の歯幅hは、溝深さxに伴って設定する。
非常止め装置の動作を説明する。乗りかご(図示せず)の移動速度が定格速度を超える設定速度に達すると、最上階に設置された速度感知装置(図示せず)が動作し、引き上げ棒(図示せず)によって制動子5が引き上げられ、制動子5は乗りかごの両側の昇降路壁に設置されたガイドレール2を挾み込む。そして、制動子5はU字状の弾性体6を押し広げて弾性変形させることでガイドレール2と制動子5の間に切削あるいは凝着による摩擦力を発生させ、乗りかごを停止させる。
非常止め装置は、装着されるエレベーターの定格速度や積載質量、すなわち非常止め装置が担う制動エネルギーによって弾性体の仕様を決定するため、制動エネルギーが大きいほど弾性体,制動子の大きさも必然的に大きくする必要がある。また、制動エネルギーが大きいほど制動子摺動面の温度は高温となり、大きな熱負荷が加わる。その結果、摺動面に設けた溝の底位置によっては、溝に応力が集中して溝底から制動子が割れる恐れがある。
図4は、制動開始速度650m/min、落下質量25ton のエレベーターに取り付けられた非常止め装置の制動子温度特性であり、制動停止直後の制動子厚さ方向対温度を示す。
本計算は、摺動面から制動エネルギーに相当する熱量が一定投入された場合の1次元熱伝導計算を行った結果である。本計算の条件は、制動子は摺動面積が6×10-32 の8本の鋳鉄を用いた場合(非常止め装置を上下2段組)とし、非常止め動作時の平均減速度は規格範囲の上限値である9.8m/s2とし、発生熱量はガイドレールと制動子に1/2ずつ分配されるとした。図4において、○印は、上記同様の条件で制動試験を行った際の制動子側面温度の実測値であり、計算値と実測値は、ほぼ一致している。
図4に示すように、摺動面の温度は鋳鉄の融点である約1150℃(図中17で示す値)を超えるものの、投入された熱が制動子厚さ方向に及ぶ範囲18は、摺動面から約10×10-3m(10mm)までであり、摺動面近傍のみ加熱される。
また、その温度特性19は、破線20で近似すれば、制動子厚さ方向距離x(m)の温度T(℃)は3式で表される。
T=Tmax(1−x/L) (3式)
ここで、Tmaxは鋳鉄融点(1150℃)、Lは加熱厚さ(制動子厚さ方向に及ぶ範囲)10×10-3m(10mm)である。
各種エレベーターにおいて、摺動面温度が融点を超えるような仕様では、摺動面温度は上昇するものの熱が及ぶ範囲Lは、ほとんど変化しない。摺動面温度は実際には融点が限界値となるので、3式で近似した温度分布になる。
次に、エレベーターの仕様条件と制動子表面温度が融点1150℃との関係を説明する。
非常制動時の減速度を9.8m/s2とした時に発生する制動エネルギーE(J)は、4式になる。また、制動中に制動子に投入される熱エネルギーQ(J)は、5式になる。
E=mV2 (4式)
Q=CT (5式)
ここで、mは落下質量(kg)、Vは制動開始速度(m/s)、Cは制動子の熱容量(J/K)、Tは制動子温度(℃)である。
制動エネルギーEの1/2が制動子温度Tとして熱分配されるとすれば、E/2=Qであり、n本の制動子において熱エネルギーQを生じるとすれば、Qは制動子厚さ方向距離xを0〜Lまでを積分した値、nC(TmaxL)/2となり、4式,5式よりTmaxは6式になる。
max=mV2/nCL (6式)
ここで、nは制動子の本数、である。また、cは制動子比熱(J/kgK)、νは制動子密度(kg/m3)、Aは制動子の摺動面面積(m2)とすればC=cνAである。
6式に鋳鉄の物性値c=546(J/kgK)、ν=7.2×103(kg/m3)及びLは加熱長さ10mmを代入し、制動子表面温度が融点1150℃を超えるエレベーターの仕様条件、つまり、Tmax ≧1150℃なる条件は、7式になる。
mV2/An≧4.5×107(J/m2) (7式)
ただし、鋳鉄材料は、摺動によって摩耗するので、1000m/min級のエレベーターでは使用が困難であり、実質的には速度1000m/min以下が良い。
次に、上記7式を満足するエレベーターに搭載される非常止め装置の制動子に作用する熱応力と曲げ応力から摺動面に設ける溝深さと摺動部の凸形状歯幅を適正化する。
図5はガイドレールと摺動中の制動子の側面図を示す。制動子中央の平坦な摺動面は、弾性体によってガイドレール2に押し付けられながら摺動するので摩擦熱が投入され温度上昇する。一方、制動子の上端部、および下端部はガイドレールから離れる方向に傾斜した傾斜面を有するので制動子とは摺動しないので温度上昇は殆どない。
図4で示したように制動子厚さ方向では、熱が投入される加熱厚さLは制動面から約10mmまでとなる。そこで、ウェッジ厚さは、台形状の上端部でも20mm以上必要になる。したがって、加熱部23は図6で示す上端部22,加熱厚さLの部分と下端部24から囲まれた摺動面近傍のみになる。その結果、加熱部23の周囲を囲むコの字状の部分は殆ど熱膨張せず加熱部を拘束する。
図6はひずみ・応力線図を示し、制動子の加熱部23が熱膨張することにより発生する圧縮応力が降伏点27を超えて塑性域28まで達すると、冷却後(落下停止後)には引張応力σ1が作用する(破線矢印の過程)。この際に加熱部内に溝部が設けられていると引張応力が溝底部に集中して、制動子材料の引張り強度を越えると、溝底から割れる恐れがある。したがって、制動子には引張応力が作用しないようにする必要があり、そのためには加熱膨張しても弾性域27(実線矢印の過程)の範囲内に留めることが良い。
次に、加熱領域について制動子厚さ方向の熱応力分布を求める。図7は、制動子の加熱範囲を垂直方向に細分割した計算モデルを示している。
制動子が拘束の無い状態で加熱されたときの伸び量λは、λ=αΔTkとなる。ここで、αは線膨張係数、ΔTは上昇温度、kは制動子の熱膨張前の長さである。
摺動面からのみ熱が投入されるので、伸び量は破線で示したように高温側の摺動面側が多く、厚さ方向xに向かう低温側が少ない。さらに、上下方向からの拘束が加わると、隣り合う要素の拘束力に影響を受けながら厚さ方向全域で所定の伸び量に収まる。このときに発生する拘束力P(N)は、制動子温度Tとして8式で表される。
P=Eb{αTmax(1−x/L)k−δ}Δx/k (8式)
Eはヤング率(MPa)、αは線膨張係数(1/K)、Tmaxは鋳鉄融点(1150℃)、Lは加熱厚さ10mm、kは制動子の熱膨張前の長さ(m)、δは伸び量(m)、Δxは制動子厚さ方向の要素長さ(m)、bは制動子の幅(m)である。
全拘束力Ptotalは、6式を摺動面から加熱厚さLまで積分した値であり内力の総和なのでPtotal=0となる。よって、制動子の熱膨張後の長さδは、9式になる。
δ=αTmaxk/2 (9式)
8式に9式を代入すると、拘束力Pは10式となる。
P=EbαTmax(1/2−x/L)Δx (10式)
発生応力σ(MPa)はP/Δxbであるので、11式となる。
σ=EαTmax(1/2−x/L) (11式)
制動子の熱膨張を弾性域の範囲内にとどめるには、溝底の位置、すなわち溝深さxでの発生応力σ<制動子材料の降伏点σaの関係にしなければならないので、12式のようにすればよい。
x>(1−2σa/EαTmax)/200 (12式)
次に、溝深さの上限値について説明する。
図8は、制動子の摺動部凸形状構造(以下、歯と称す)の側断面図である。非常止め制動時には、歯29の摺動面に矢印Fで示す方向の摩擦力が作用する。よって、歯元30に最も大きな曲げ応力σ2が作用する。溝深さの上限値は曲げ応力σ2<制動子引張強さσBなる条件とする。
図8において、歯元30に発生する曲げ応力σ2は、13式となる。
σ2=6μmaxNx/bh2 (13式)
μmaxはガイドレールと制動子間に作用する最大摩擦係数、Nは歯1本当たりの弾性体反力(N)、xは溝深さ(m)、bは制動子幅(m)、hは歯高さ(m)である。よって、σ2<σBとするには溝深さxを14式となるようにすることが良い。
x<σBbh2/6μmaxN (14式)
また、平均減速度9.8(m/s2)を確保するための制動子1本当たりの弾性体反力N(N)は15式とすれば良い。
N=2mg/nμavr (15式)
mは落下質量(kg)、gは重力加速度(m/s2)、nは制動子本数、μavrはガイドレールと制動子間に作用する平均摩擦係数である。
また、制動子1本あたりの歯数をeとすると、制動子の面圧Np(MPa)=N/ebhとなるので変換して、溝深さx(m)は16式とすれば良い。
x<σBh/6μmaxNp (16式)
図9は、実験により得られた制動子面圧Npに対する摩擦係数の変化である。面圧Npは制動子の引張強さσB(MPa)に対する相対値、摩擦係数は引張強さσBの1/10以下での摩擦係数を基準値1.0として相対値に変換して表している。図9に示すように、面圧Np/引張り強さσBが1/4以上(図中31で示す位置)になると急激に摩擦係数が低下する。
以上より、面圧Npの上限値は、引張り強さσBの約1/4とすることが望ましい。これに基づき、16式を変換して、溝深さxは17式に示すように2h/3μmax以下であれば良い。
x<2h/3μmax (17式)
以上をまとめると、エレベーターの仕様において、mV2/nAの値が4.52×107(J/m2)以上とした場合、非常止め装置の制動子に鋳鉄材を用い、ガイドレールと摺動する摺動面に設けた溝の溝深さxは、(1−2σa/EαTmax)/200より大きく、2h/3μmaxより小さくする、つまり以下の式を満足する範囲に設定することで、熱応力、および曲げ応力に耐えられる強度を確保することができる。
(1−2σa/EαTmax)/200<x<2h/3μmax (18式)
さらに、FCD400相当の強度からなる鋳鉄材を選択した場合は、降伏点σa=250(MPa),ヤング率E=1.6×105(MPa),線膨張係数α=1×10-5(1/K),鋳鉄融点Tmax=1150(℃),最大摩擦係数μmax=0.4とすると、溝深さxは、3mm以上で歯幅の1.7倍以下とする。
また、摺動面の歯幅h=5×10-3(m)が望ましく、この場合、溝深さxは、18式より3×10-3mより大きく、8×10-3mより小さく(3mm<x<8mm)すれば良い。
また、溝幅は切粉排出の容易さ、溝底部の応力集中を軽減するため、広いほうがよい。さらに、溝本数を多くすれば切粉排出は容易になる。
図10は、制動子の形状の一例を示し、ガイドレールと摺動する摺動面のうち先頭の歯幅を後続よりも広くしている(歯幅h1>歯幅h2,歯幅h1>歯幅h3)。これにより、先頭歯(図の下)は常にガイドレールの新生面と摺動するので最も摩擦力が作用し、大きい摩擦力が作用する部分の歯幅を広く実質的な摺動面積を確保でき、制動子寸法を大きくすることなく、溝数をより多く設けることができる。したがって、切粉排出が容易になり摩耗粉やかけらがガイドレールに食い込み異常摩耗するのを防ぐことができる。また、それぞれの溝の溝深さは、同一とすれば加工が容易で、かつ溝底の亀裂を防ぐことができる。
本発明による一実施の形態である制動子を示す斜視図。 本発明による一実施の形態である非常止め装置を示す正面図。 図2の非常止め装置の部分斜視図。 一実施の形態による制動子厚さ方向距離に対する温度分布を示すグラフ。 一実施の形態による制動子部の加熱領域を示す側断面図。 一実施の形態による制動子に作用するひずみ対応力線グラフ。 一実施の形態による制動子の計算モデルを示す斜視図。 一実施の形態による制動子の摺動部における歯を示す側断面図。 一実施の形態による制動子の面圧と摩擦係数の関係を示すグラフ。 他の実施の形態による制動子を示す側面図。
符号の説明
1 摺動面
2 ガイドレール
3 溝
4 非常止め装置
5 制動子
6 弾性体
8 案内板
10 ガイド部材
L 加熱厚さ
h,h1,h2,h3 歯幅

Claims (7)

  1. 異常発生時にエレベーターの乗りかごを停止させるためガイドレールに制動子を押し付け摺動させることで制動力を発生させるエレベーター用非常止め装置において、
    前記ガイドレールに対して略直交する方向に形成された複数の溝を有し、鋳鉄材とされた前記制動子と、
    前記溝の間として形成され前記制動子との摺動面となる歯と、
    を備え、前記溝深さは、3mm以上で前記歯幅の1.7 倍以下とされたことを特徴とするエレベーター用非常止め装置。
  2. 異常発生時にエレベーターの乗りかごを停止させるためガイドレールに制動子を押し付け摺動させることで制動力を発生させるエレベーター用非常止め装置において、
    前記ガイドレールに対して略直交する方向に形成された複数の溝を有し、鋳鉄材とされた前記制動子と、
    前記溝の間として形成され前記制動子との摺動面となる歯と、
    を備え、前記エレベーターの質量m(kg),制動開始速度V(m/s),制動子の本数n,摺動面の面積A(m2)とした場合、mV2/nA≧4.5×107 (J/m2)であり、前記溝深さxは、(1−2σa/EαTmax)/200以上、2h/3μmax以下、とされたことを特徴とするエレベーター用非常止め装置。
    σa:制動子材料の降伏点(MPa)
    E:制動子材料のヤング率(MPa)
    α:制動子材料の線膨張係数(1/K)
    max :制動子材料の融点(℃)
    h:歯幅(m)
    μmax :ガイドレールと制動子摺動面との間に発生する最大摩擦係数
  3. 請求項1又は2に記載のものにおいて、前記溝の溝深さxは、3mm以上,8mm以下としたことを特徴とするエレベーター用非常止め装置。
  4. 請求項1又は2に記載のものにおいて、前記溝は略半円形状あるいはU字形状とされたことを特徴とするエレベーター用非常止め装置。
  5. 請求項1又は2に記載のものにおいて、それぞれの前記溝の溝深さは、同一とされたことを特徴とするエレベーター用非常止め装置。
  6. 請求項1又は2に記載のものにおいて、前記摺動面の上端部および下端部は、それぞれの端部に向かってガイドレールから離れる方向に傾斜していることを特徴とするエレベーター用非常止め装置。
  7. 請求項1又は2に記載のものにおいて、前記歯幅は、前記制動子の先頭側が後続側よりも広くされたことを特徴とするエレベーター用非常止め装置。
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