ところで、このような磁気テープカートリッジ等の記録媒体カートリッジにカートリッジメモリを搭載する場合には、カートリッジメモリは、通常、カートリッジの内部構成に応じて、カートリッジメモリを配置可能な空間に、必要に応じて組み立ての作業性や生産性を考慮して、適宜、配置される。
ところが、このようなカートリッジには、上ハーフと下ハーフとを固定してカートリッジを組み上げるビス、ハブブレーキの解除手段を付勢するバネ(ブレーキバネ)等、各種の金属部品が配置される。
ここで、前述のように、カートリッジメモリのような非接触式メモリは、電磁誘導方式や静電方式等によって駆動電力を得、信号の送受信を行う。そのため、非接触式メモリのアンテナ近傍に金属部品が有ると、電力供給が適正になされずに誤動作が生じたり、信号の送受信に悪影響を与え、不適正な信号の送受信が行われてしまう場合がある。
このような問題は、用いられている金属部品を全て樹脂製に変えることができれば解消する。しかしながら、この方法では、部品は高価になり、また、機械的や熱的に強度も低下してしまう可能性も高く、記録媒体カートリッジの品質とコストの両方の面から、非常に困難を伴うという問題があった。
次に、別の従来技術の問題として、上述したように、その構造,寸法諸元が規格として細かく規定されている磁気テープカセットや磁気テープカートリッジにおいて、その中に収容されている磁気テープに記録されている情報の内容を示すために、カートリッジメモリを取り付ける場合、その取り付けに際しては、磁気テープの走行に支障をきたさないように、また、構造的に剛性を低下させることのないように、充分配慮することが必要である。
次に、さらに別の従来技術の問題として、磁気テープカートリッジのようなデータ記録用の記録媒体カートリッジは、カートリッジ自体小さいものもあり、しかもその構造から、その内部は、磁気テープ巻き玉のためのスペースや誤消去防止機構あるいはモード検出機構のためのスペースでほとんどが占められている。さらに、今では、記録容量を増大させるために磁気テープ巻き玉の巻き径が大きくなっており、従来のような組み込み方法では、ますますカートリッジメモリ(メモリIC)をカートリッジ内部に組み入れる事が難しくなっているという問題があった。
続いて、他の従来技術の問題として、カートリッジメモリを上述の図示例のような配置方式で磁気テープカートリッジのような記録媒体カートリッジの内部に取り付けた場合、被取り付け側の記録媒体カートリッジによっては、記録媒体カートリッジを記録再生装置(デッキ)にセットした際に、カートリッジメモリと記録再生装置(デッキ)との間におけるデータ送受信に支障が現われる場合があるという問題があった。
また、さらに他の、上述のようなカートリッジメモリを記録媒体カートリッジへ取り付ける従来方法としては、上述した図26に示す例の他、例えば、カートリッジメモリを記録媒体カートリッジの背ラベルに組み込んで、ラベルとして記録媒体カートリッジへの取り付けが提案されている。具体的には、例えば、ビデオテープカセットへのカートリッジメモリの取り付け例が、特開平10−177776号公報に開示されている。
この技術では、ビデオテープカセット背面に取り付ける背ラベル内に、前述のカートリッジメモリを配置している。すなわち、この背ラベル(カートリッジラベル)では、カートリッジメモリのIC部を構成するICチップ(ICメモリ)をクッション層上に配置し、さらにその上方には保護シートを配置して、取り扱い易いカートリッジメモリの取り付け方法を実現しているものである。
ところで、上述の従来技術に示されているカセットラベルにおいては、ユーザが、当該ビデオテープカセットに記録されている情報の内容などをこのカートリッジラベルに記載する際に、ユーザによっては、ボールペンで高い筆圧をかけるなどの理由により、上記カートリッジラベル中のカートリッジメモリ内のIC部のICチップ(ICメモリ)を傷つけてしまう場合があった。
これに対する対策として、特開平10−177776号公報に開示された技術においては、カートリッジラベル内に収容されているカートリッジメモリ内のICチップ(ICメモリ;記憶部と信号処理部とを有する集積回路)が収容されている領域(IC部)に関しては、ここに実質的に文字・図形などが記載できないようにするために、予め所定の文字図形などが記載されたロゴ記載領域を設けている。
しかし、この従来技術の問題として、ここに開示された従来技術に示されているカートリッジラベルでは、カートリッジメモリ内のICチップの保護については配慮されているが、実際には、アンテナ部についても、アンテナ線(コイル)の損傷(断線など)を防止するため、これと同様に保護することが重要であるという点については配慮がなされていなかった。
本発明の目的は、上述の種々の従来技術における問題点のうちの、記録媒体カートリッジに取り付けて用いるカートリッジラベルであって、非接触式メモリのIC部のICチップのみならず、アンテナ部の損傷防止にも配慮したカートリッジラベルを提供することにある。
また、以下の説明では、上記従来技術の他の問題点の解決策についても言及する。例えば、ICメモリ等の情報記憶および信号処理部(IC部)と信号の送受信を行うアンテナ部とを有する非接触式メモリ(カートリッジメモリ)が搭載された磁気テープカートリッジ等の記録媒体カートリッジであって、非接触式メモリの誤動作や不適正な信号の送受信が生じることがなく、非接触式メモリへの信号の送受信を安定して、適正に行うことができる記録媒体カートリッジについても説明する。
また、さらに他の問題点を解決するための、磁気テープの走行に支障をきたさず、また、構造的に剛性を低下させることのない位置に、非接触式メモリを取り付け可能とした磁気テープカセットである記録媒体カートリッジについても説明する。
また、上記従来技術の別の問題点を解決するための、小型のカートリッジケースに対しても、その内部に非接触式メモリ(ICメモリ)を容易に組み込むことができるようにした磁気テープカートリッジである記録媒体カートリッジについても説明する。
また、さらに別の問題点を解決するための、記録媒体カートリッジを記録再生装置(デッキ)にセットした際に、記録媒体カートリッジ内部に取り付けた非接触式メモリと記録再生装置(デッキ)との間におけるデータ送受信に支障が現われることのない記録媒体カートリッジについても説明する。
上記目的を達成するため、本発明に係るカートリッジラベルは、カートリッジケース内に記録媒体が収容された記録媒体カートリッジに添付可能な非接触式メモリを含むカートリッジラベルであって、前記非接触式メモリは、当該記録媒体カートリッジやこれに収容される記録媒体に関する情報を記録するための情報記憶および信号処理部と、信号の送受信を行うためのアンテナ部とを有し、前記カートリッジラベル上には、少なくとも、前記アンテナ部のアンテナコイル上を避けた情報記載個所を指示するアンテナ部保護表示を施したことを特徴とする。
なお、上述のアンテナ部保護表示を施す方法としては、例えば、印刷により形成する方法が最も簡便であるが、予めアンテナ部の大きさに合わせて用意したシールを貼り付ける方法も、変化に対応し易いという点で、有効な方法である。
ここで、前記アンテナ部保護表示は、前記アンテナ部を構成するループ状(コイル状)アンテナの内側のエリアを情報記載エリアとするものであるのが好ましい。
また、前記アンテナ部保護表示は、前記アンテナ部を構成するループ状アンテナの内側のエリアが前記情報記載エリアであることを示す、デザインと一体化されているものであるのが好ましい。ここで、デザインと一体化されているという意味は、ループ状アンテナをカバーする枠状のエリアの表記が、他のエリアの周囲の枠と結合ないしは関連して、全体として1つのデザインを形成している状況をいう。
なお、上述の非接触式メモリは高価であるので、これを再使用できるように配慮しておくのが好ましい。そのためには、例えば上記カートリッジラベルを、記録媒体カートリッジに設けたスライド溝内に挿通・引出し可能に構成し、用済み後は、当該記録媒体カートリッジのスライド溝から引出して、別の記録媒体カートリッジに挿通・保持するように構成する方法が、好適に示される。
また、前述の、非接触式メモリのアンテナ近傍に金属部品が有ると、電力供給が適正になされずに誤動作が生じたり、信号の送受信に悪影響を与え、不適正な信号の送受信が行われてしまうという問題を解決するためには、上ケースおよび下ケースにより構成されたカートリッジケース内に、記録媒体が収容された記録媒体カートリッジであって、情報記憶および信号処理を行うIC部と信号の送受信を行うアンテナ部とを有する非接触式メモリを有し、かつ、前記非接触式メモリのアンテナ部が金属部品から最も離れた領域に配置されている特徴とする記録媒体カートリッジが好適に用い得る(以下、第1の関連技術という)。
また、前述の、磁気テープカセットや磁気テープカートリッジにおいて、その中に収容されている磁気テープに記録されている情報の内容を示すために、カートリッジメモリを取り付ける場合、その取り付けに際しては、磁気テープの走行に支障をきたさないように、また、構造的に剛性を低下させることのないように、充分配慮することが必要であるという問題を解決するためには、情報記憶および信号処理を行うIC部と信号の送受信を行いデータを伝送するアンテナ部とを有する非接触式メモリにより、データの読み書きを非接触で行う記録媒体カートリッジであって、前記非接触式メモリが収納される部分の近傍は、周囲よりも一段凹んだ状態に形成されたことを特徴とする記録媒体カートリッジが好適に用い得る(以下、第2の関連技術という)。
ここで、前記記録媒体カートリッジは、磁気テープカートリッジであるのが好ましい。
また、前記周囲よりも一段凹んだ状態に形成された前記非接触式メモリが収納される部分のうちの、前記非接触式メモリが固定・位置決めされる部分については、さらに一段凹んだ状態となっており、このさらに一段凹んだ部分で、前後左右の位置規制を行うのが好ましい。
また、シート位置規制ピンの補強リブが、前記周囲よりも一段凹んだ状態に形成された前記非接触式メモリが収納される部分に一部張り出しており、この張り出し部により前記非接触式メモリの前後の位置規制を行うのが好ましい。
また、前記シート位置規制ピンの補強リブの張り出し部は、前記非接触式メモリに対向する側が誘いを付けた形状になっているのが好ましい。
また、ハブに巻かれた磁気テープ巻き玉が遊動した際に位置規制を行うためのリブが、一定の曲率を以って前記非接触式メモリが収納される部分の近傍に形成されており、その長さは少なくとも、前記磁気テープ巻き玉が遊動した際にも、これが前記非接触式メモリに接触することのないような長さで形成されているのが好ましい。
また、前記磁気テープ巻き玉が遊動した際に位置規制を行うためのリブが、少なくとも前記非接触式メモリの、前記磁気テープカートリッジの長手方向の位置規制を行うような形状としたのが好ましい。
また、前記磁気テープ巻き玉が遊動した際に位置規制を行うためのリブには、モールド時の抜き勾配が設けられており、この抜き勾配は、上記リブの前記非接触式メモリ側が、前記磁気テープ巻き玉側よりも大きく設定されているのが好ましい。
また、磁気テープカートリッジ背面側の、前記磁気テープ巻き玉対応部分の肉盗み部の根元に設けられた肉厚部(非肉盗み部)を、前記非接触式メモリが収納される位置の近傍の、前記凹んだ部分まで張り出させて、その部分により前記非接触式メモリの前記磁気テープカートリッジの長手方向の位置規制を行うように構成したのが好ましい。
またさらに、前記周囲よりも一段凹んだ状態に形成されたが収納される部分の中には、前記非接触式メモリの長手方向の寸法と略同寸法の長さまでのリブが、前記磁気テープカートリッジの長手方向に沿って設けられているのが好ましい。
また、前述の、カートリッジ自体の構造から、その内部は、磁気テープ巻き玉のためのスペースや誤消去防止機構あるいはモード検出機構のためのスペースでほとんどが占められており、今では、記録容量を増大させるために磁気テープ巻き玉の巻き径が大きくなっており、従来のような組み込み方法では、ますますカートリッジメモリ(メモリIC)をカートリッジ内部に組み入れる事が難しくなっているという問題を解決するためには、上ケースおよび下ケースにより構成されたカートリッジケース内に磁気テープ巻き玉を収容する磁気テープカートリッジであって、前記磁気テープに記録された情報の内容や該磁気テープカートリッジの情報を記録する非接触式メモリを、前記カートリッジケースに収容された磁気テープ巻き玉の最大巻き径の外周の形状に対応させて湾曲させ、該湾曲させた非接触式メモリが、前記カートリッジケース内の前記磁気テープ巻き玉を収容するリールエリアの内壁の一部を形成するように、前記カートリッジケース内に前記非接触式メモリを取り付けたことを特徴とする磁気テープカートリッジが好適に用い得る(以下、第3の関連技術という)。
また、前述の、カートリッジメモリを上述の図示例のような配置方式で磁気テープカートリッジのような記録媒体カートリッジの内部に取り付けた場合、被取り付け側の記録媒体カートリッジによっては、記録媒体カートリッジを記録再生装置(デッキ)にセットした際に、カートリッジメモリと記録再生装置(デッキ)との間におけるデータ送受信に支障が現われる場合があるという問題を解決するためには、カートリッジケース内に記録媒体が収容された記録媒体カートリッジであって、当該記録媒体カートリッジの情報や前記記録媒体に記録された情報の内容を記録する非接触式メモリを、前記記録媒体カートリッジをドライブに装填する際に露出される位置に取り付けたことを特徴とする記録媒体カートリッジが好適に用い得る(以下、第4の関連技術という)。
また、この関連技術においては、カートリッジケース内に記録媒体が収容された記録媒体カートリッジであって、当該記録媒体カートリッジの情報や前記記録媒体に記録された情報の内容を記録する非接触式メモリを、前記記録媒体カートリッジが有するカバー部材を開いたときに露出される位置に取り付けたことを特徴とする記録媒体カートリッジが好適に用い得る。
ここで、前記記録媒体カートリッジは、カートリッジケース内に磁気テープを巻装した単一のリールが回転可能に収容されたもの、カートリッジケース内に単一の磁気ディスクが回転可能に収容されたものであるのが好ましい。また、前記記録媒体カートリッジは、JISX6141にその構造,寸法諸元が規定されているものを始めとする、磁気テープを巻回した一対の巻取りハブを収容する2リール方式の、磁気テープカートリッジであってもよく、この場合、前記非接触式メモリは、前記カバー部材の裏側に取り付けられるのが好ましい。
また、この関連技術においては、例えば、JISX6141にその構造,寸法諸元が規定されているものを始めとする、磁気テープを巻回した一対の巻取りハブを収容する2リール方式で、かつ、開口部を有する記録媒体カートリッジであって、当該記録媒体カートリッジの情報や当該記録媒体カートリッジに収容されている記録媒体に記録された情報の内容を記録する非接触式メモリを、前記開口部に対向する位置に取り付けたことを特徴とする記録媒体カートリッジが好適に用い得る。
また、この関連技術においては、例えば、JISX6141にその構造,寸法諸元が規定されているものを始めとする、磁気テープを巻回した一対の巻取りハブを収容する2リール方式で、かつ、開口部を有する記録媒体カートリッジであって、当該記録媒体カートリッジの情報や当該記録媒体カートリッジに収容されている記録媒体に記録された情報の内容を記録する非接触式メモリを、前記記録媒体カートリッジが有するカバー部材を開いたときに露出される位置に取り付けたものであってもよく、この場合には、前記非接触式メモリは、前記カバー部材の裏側に取り付けられることを特徴とする記録媒体カートリッジが好適に用い得る。
また、この関連技術においては、例えば、JISX6141にその構造,寸法諸元が規定されているものを始めとする、磁気テープを巻回した一対の巻取りハブを収容する2リール方式で、かつ、開口部を有する記録媒体カートリッジであって、当該記録媒体カートリッジの情報や当該記録媒体カートリッジに収容されている記録媒体に記録された情報の内容を記録する非接触式メモリを、前記記録媒体カートリッジの内側面で、かつ、前記記録媒体と接触する位置に取り付けたことを特徴とする記録媒体カートリッジが好適に用い得る。
なお、上記各記録媒体カートリッジは、前記非接触式メモリを取り付ける位置においては、その周辺部を、凹状に形成してあるのが好ましい。
本発明によれば、記録媒体カートリッジに取り付けて用いるカートリッジラベルであって、非接触メモリ(カートリッジメモリ)のIC部のICチップの損傷防止に加え、アンテナ部の損傷防止にも配慮したカートリッジラベルを実現できるという大きな効果が得られる。さらに、本態様によれば、非接触メモリのIC部のICチップおよびアンテナ部に加え、これらを接続するリード線が必要な場合でもこのリード線の損傷防止にも配慮したカートリッジラベルを実現できるという大きな効果が得られる。
本発明の第1の関連技術によれば、ICメモリ等の情報記憶および信号処理部と信号の送受信を行うアンテナ部とを有する非接触式メモリを搭載する記録媒体カートリッジにおいて、非接触式メモリの誤動作や不適正な信号の送受信が生じることがなく、デッキと記録媒体カートリッジ(非接触式メモリ)との信号の送受信を、安定して、適正に行うことができる。
また、本発明の第2の関連技術によれば、磁気テープの走行に支障をきたさず、また、構造的に剛性を低下させることのない位置に、非接触式メモリ(カートリッジメモリ)を取り付け可能とした磁気テープカートリッジを提供することが可能となる。
本発明の第3の関連技術によれば、カートリッジケースの構造を変えることなく、小さなカートリッジケースにも非接触式メモリ(カートリッジメモリ)を簡単に組み込むことが可能となる。
また、本発明の第4の関連技術によれば、記録媒体カートリッジを記録再生装置(デッキ)にセットした際に、記録媒体カートリッジ内部に取り付けた非接触式メモリ(カートリッジメモリ)と記録再生装置(デッキ)との間におけるデータ送受信に支障が現われることのない記録媒体カートリッジを提供できるという大きな効果が得られる。
より具体的には、記録媒体カートリッジ内部にカートリッジメモリを取り付ける際に、その取り付け場所として、通常、つまり、記録媒体カートリッジの非使用時にはカートリッジメモリを何らかの保護部材により保護しておくが、記録媒体カートリッジの使用時、つまり、記録媒体カートリッジを記録再生装置にセットした場合には、上記保護部材が退去してカートリッジメモリが露出し、この露出したカートリッジメモリと記録再生装置のデータ読取・書込装置との間でデータ通信(送受信)が支障なく行われることを可能とするものである。
本発明並びに関連技術に係る記録媒体カートリッジおよびカートリッジラベルを添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本発明の関連技術に係る記録媒体カートリッジとして、磁気テープカートリッジを代表例にとり、本発明が適用される磁気テープカートリッジの概略構成について説明する。
図1に、本発明の関連技術に係る記録媒体カートリッジが適用される磁気テープカートリッジの一実施例の概略構成を斜視分解図として示す。
この磁気テープカートリッジ(以下、カートリッジとする)10は、JISX6127(1992)、同6129(1993)、同6130(1996)、同6141(1993)あるいはECMA−288等で、その構造,寸法諸元が規定されている、公知の磁気テープカートリッジ(または、磁気テープカセットとも呼ばれている)を、その基本的な構成とするものであって、主に、上ハーフ(上ケース)11および下ハーフ(下ケース)12と、両ハーフ11,12によって形成される筐体(カートリッジケース)内の所定位置において両ハーフ11,12に回転自在に軸支される供給側の巻取ハブ14aおよび巻取側の巻取ハブ14bと、両ハーフ11,12の間に収容され、両巻取ハブ14a、14bに巻回される記録媒体としての磁気テープ16とから構成される。
このようなカートリッジ10においては、上ハーフ11の前面側(デッキへのテープ供給側)には、カートリッジ10の非使用時に磁気テープ16を覆って保護する前蓋(リッド)18が、支軸18aを中心に回転可能に取り付けられている。また、下ハーフ12の図中下面(以下、下面とする)には、下ハーフ12に形成される穴等の開放部分を塞いで密閉性を高めるためのスライダ20が、下ハーフ12下面に摺動して前面〜背面方向(以下、これを前後方向、直交する方向を左右(横)方向とする)に移動可能に係合される。すなわち、下ハーフ12の外側下面には、ケース下側の開放部分を塞いで密閉性を高めるため、スライダ20が前後方向摺動可能に取り付けられている。
カートリッジ10には、非使用時に巻取ハブ14a,14bに巻回された磁気テープ16が弛むのを防止するために、上ハーフ11にブレーキ部材22が付設されている。ブレーキ部材22は、2つの制動片22a,22bを有し、制動片22aを巻取ハブ14aの上部に設けられた歯車15aに、制動片22bを巻取ハブ14bの上部に設けられた歯車15bに、それぞれ係合させることにより、両巻取ハブ14a、14bの回転を止め(禁止し)、磁気テープ16の弛みを防止する。
ブレーキ部材22は、上ハーフ11に設けられた突起11aに係止されているブレーキバネ24によって、背面方向に付勢されており、カートリッジ非使用時には、制動片22a,22bを歯車14a,14bに係合する位置に移動している。他方、カートリッジの使用時には、ブレーキ部材22は、前蓋18によって前方向に移動され、歯車14a,14bとの係合を開放して、巻取ハブ14a,14bが回転可能となる。
下ハーフ12の長方形状の底板12aは、カートリッジ使用時にカートリッジケース内にデッキのリール軸を挿入するためのリール軸挿入孔12b,12b、左右両端から前方に伸びる張出部12c,12c、および、背面側の左右両端部近傍の上方(上ハーフ11側)に突出する円柱状のリブの中心を下ハーフ12を貫通して穿孔されるビス孔12i,12iを有する。
また、両張出部12cには、上方に突出して、磁気テープ16をガイドする円柱状のリブ12d,12dが設けられており、さらに両リブ12dの中心には、下ハーフ12を貫通して穿孔されたビス孔12j,12jが形成される。
この左右の両張出部12c,12cの間の空間は、カートリッジ10が装填されるデッキ側にもうけられている、いわゆるテープローディング装置が進入するための空間である。
図示例のカートリッジにおいては、4本のビスが、下ハーフ12のビス孔12i,12iおよびビス孔12j,12jを下方から挿通し、上ハーフ11内面の対応位置に螺合することにより、上ハーフ11と下ハーフ12とを組み合わせたカートリッジケースが固定される。
さらに、下ハーフ底面12aの前面側、すなわち、このテープローディング装置が進入するための空間に面する側(磁気テープを露出する側)において、下ハーフ12の底面12aには、両張出部12cの間の空間に対面して、これに垂直に、2つの割筒型のリブを連続してハの字状に設けた壁状の部材(リールエリアリブ)12e が立設されている。この部材12eは、磁気テープ16を巻回した巻取ハブ14a,14b(磁気テープ16の巻き玉)の遊動を防止するもので、この部材12e のハの字状の湾曲部は、巻取ハブ14a、14bに巻回された磁気テープ16が置かれた場合に、この磁気テープ巻き玉の外周、すなわち、最大巻き径の周に沿うような形状となっている。
また、部材12e の前方の、この部材12eによって三角形状に区切られた底板12aの部分12fの中央部には、底面12aに垂直に柱状のリブ12gが立設されている。この柱状のリブ12gと部材12eとの間に、スライダ20を前方へ付勢するための板バネ(スライダばね)26が嵌め込まれる。
また、下ハーフ12の周囲側壁には、磁気テープ16の巻き玉と干渉しないように、磁気テープ巻き玉の外周、すなわち、最大巻き径の周に合わせて円弧状の凹部12kが設けられている。そして、これらの凹部12kおよび部材12e 等によってリールエリア(の内壁)が形成される。
さらに、下ハーフ12の底板12aの背面側(後方)には、肉盗み溝として溝部12hが形成されている。
前述のように、スライダ20は、下ハーフ12の下面に摺接して(底面12aに下側から接して)前後方向に移動(摺動)するが、前方に位置するときは、防塵のため、下ハーフ12の前面側のテープローディング装置が進入するための両張出部12cの間の空間およびリール軸挿入孔12bを、スライダ20の底面20aにより塞ぐようになっている。
また、スライダ20が後方に位置するときは、テープローディング装置が進入するための両張出部12cの間の空間を開放するとともに、スライダ20の底板20aに設けられた2つの孔20b,20bがリール軸挿入孔12b,12bと一致し、デッキ側のリール軸が挿入可能となるようになっている。
さらに、スライダ20には、板ばね26の付勢力を受けるために、底面20aの前方、すなわち前面側の端部近傍に、上方に垂直な壁状のリブ20cが設けられ、前述の下ハーフ12に設けられた板バネ26が当接している。すなわち、スライダ20は、この板バネ26によって前方の位置に固定されるように付勢されている。
スライダ20は、カートリッジ10がデッキに装着された際には、デッキ内の装置の作用により自動的に後方に位置されるが、カートリッジ非使用時には、この板バネ26の作用によって前方に移動して位置され、前述のように、両張出部12cの間の空間およびリール軸挿入孔12bを閉塞する。
さらに、本発明が適用される磁気テープカートリッジの構成を、図1に示す磁気テープカートリッジに加え、図2および図3に示す磁気テープカートリッジを用いて以下により詳細に説明する。なお、図2および図3に示す磁気テープカートリッジは、上記JISX6127(1992)にその構造,寸法諸元が規定されているものであるが、基本的に、図1に示す磁気テープカートリッジ10と同様な構成を有し、同一の構成要素を有するものである。このため、図1、図2および図3においては、同一の構成要素には同一の参照符号を付すものであるが、説明の都合上、構成要素や符号が省略されたり、さらなる区別をするために、異なる参照符号が付されている。
図2に示す磁気テープカートリッジ10も、図1に示すもの同様、基本的に、上ハーフ11と、該上ハーフ11に結合されてケース本体を構成する下ハーフ12と、下ハーフ12の底面および側面に沿って矢印A方向に摺動自在に嵌装されたスライダ20と、ケース本体内に収納される磁気テープ16とを主要構成部材とするものである。
この磁気テープカートリッジにおいて、上ハーフ11には、ケース本体内に収納された磁気テープ16を外側から視認するためのテープ視認窓11bが嵌設されている。また、上ハーフ11の前端には、塵埃や異物の侵入、あるいは磁気テープの取扱時に手指が接触することから磁気テープを保護するために、前蓋18が装着されている。前蓋18は、左右の側端部18clおよび18crのそれぞれの内側に突設された支軸18aによって、上ハーフ前側端に配設された支軸受け部に回動自在に装着されている。
上述の前蓋18は、この磁気テープ(カートリッジ)の不使用時には、下ハーフ12の前側面を覆って磁気テープを塵埃や異物等から保護し、磁気テープの使用時には、前記スライダ20が矢印(a)方向に沿って摺動後退すると共に、左右の側端部18caおよび18cbが、前記支軸を回動軸として矢印B方向に回動して、ケース本体の前面を開放し、磁気テープを記録・再生装置に供するようにするものである。
下ハーフ12には、磁気テープに記録および/または再生をする際に、記録および/または再生装置のテープ駆動部材(図示せず)を、下方から挿入するための供給側ハブのリール(駆動)軸挿入孔12baと巻き戻し側ハブのリール(駆動)挿入孔12bbとが穿設されている。この下ハーフ12において、供給側ハブのリール軸挿入孔12baおよび巻き戻し側ハブのリール軸挿入孔12bbの外周縁には、磁気テープを巻回する供給側ハブ14aと巻き戻し側ハブ14bの各下部を係止する溝12maおよび12mbが周設されている。
また、スライダ20は、下ハーフ12の底面および側面に沿って摺動自在に嵌装されるものである。このスライダ20は、その左右の側壁20daおよび20dbの後端内縁に、長辺状の係合摺動部20eaおよび20ebを有するものである。この係合摺動部20eaおよび20ebは、上ハーフ11と下ハーフ12とを結合してケース本体を構成したときに、図3に破線で示すとおり、上ハーフ11の左側壁11caと、下ハーフ12の左側壁12naとの間、ならびに上ハーフ11の右側壁11cbと下ハーフ12の右側壁12nbとの間に、それぞれ形成される摺動溝28aおよび28bに、摺動自在に嵌挿される。
このスライダ20は、この磁気テープ(カートリッジ)の不使用時には、図3に示すように、その前端部20fが、前蓋18の内側端に突き当たる位置に、下ハーフ12の底面に配設された係合ロック機構によって、係合・保持され、下ハーフ12の供給側ハブのリール軸挿入孔12baおよび巻き戻し側ハブのリール軸挿入孔12bbを閉塞して、該リール軸挿入孔12baおよび12bbの下側からの塵埃や異物の侵入を防止するものである。
また、磁気テープの使用時には、磁気テープ記録・再生装置によって、係合ロック機構が解除されるとともに、その後端部20gが下ハーフの後端12pに突き当たる位置に摺動後退される。このとき、スライダ20の底面に穿設された案内孔20baおよび20bbが、前記下ハーフ12の供給側ハブのリール軸挿入孔12baおよび巻き戻し側ハブのリール軸挿入孔12bbと合致して、該リール軸挿入孔12baおよび12bbが開口される。
本発明が適用される磁気テープカートリッジは、基本的に以上のように、構成される。
次に、図1〜図3および図4〜図6を参照して、本発明の第1の関連技術に係る記録媒体カートリッジについて説明する。
図4に、本発明の第1の関連技術に係る記録媒体カートリッジの要部として、磁気テープカートリッジの下ハーフの一実施例を示す。なお、図4に示す下ハーフ12は、図1に示す磁気テープカートリッジの下ハーフに、非接触式メモリが取り付けられた実施例である。
同図に示すように、下ハーフ12の底板12aの背面側(後方)に形成される溝部12hには、本関連技術の特徴的な部材である非接触式メモリ(以下、カートリッジメモリという)30が、挿入・保持されている。
なお、本関連技術においては、カートリッジメモリ30の保持および位置決め方法には特に限定はなく、その形状、カートリッジケースの構成等に応じて、公知の方法によればよい。
カートリッジメモリ30は、前述のように、デッキ側の送受信手段から電磁誘導方式や静電方式を利用して、デッキ側の送受信手段から駆動電流を得、信号(データ)の送受信を行うアンテナ部と、信号の記憶や信号の供給(読取・書込)等の信号処理を行うIC部(ICメモリ)とを有し、デッキ側の信号の記録読取手段(その信号の送受信手段)との間で、カートリッジの情報やカートリッジの記録内容に関する情報等を、送受信する。
図示例においては、カートリッジメモリ30は、図5(a)に示されるように、略矩形の基板の一端部にICチップ化されたICメモリからなるIC部30aが形成され、IC部30aを囲むように基板の外縁(外周)部にデータ通信(送受信)用アンテナ部30bが形成され、一枚の基板に、一体的にIC部30aとアンテナ部30bとが形成されてなるものである。このように、図示例のカートリッジメモリ30は、略矩形の板状の部材であって、少なくとも、その一端部にアンテナ部30bに囲まれるように配置されたIC部30aは、樹脂で封入されているのがよい。なお、IC部30aを除いた部分の、その外周部に配置されているアンテナ部30bも樹脂で封入されていてもよい。カートリッジメモリ30は、その全体が樹脂で封入されているのが最も好ましい。
なお、本関連技術において、カートリッジメモリ30は上記構成および形状には限定されず、例えば、図5(b)に示されるように、IC部30aとアンテナ部30bとが別体とされている、すなわちIC部30aが形成された基板とは別体にアンテナ部30bが形成されたものであっても良いなど、種々の構成のものや、種々の形状のものであってもよい。
上述のように、このように構成されるカートリッジメモリ30自体は無電源であり、これを収納したカートリッジ10が図示しない記録再生装置(デッキ)に挿入されたときに、そこに設けられているカートリッジメモリ30へのデータ読取・書込装置のアンテナから送出される磁場により電磁誘導された誘導電流により動作して、記録再生装置(デッキ)のデータ読取・書込装置とIC部30aとの間でデータ送受信を行うものである。
ここで、本関連技術に係るカートリッジ10においては、このカートリッジメモリ30は、カートリッジに配置される金属部品から、最も離れた領域に配置される(アンテナ部とIC部が別体のものは、アンテナ部のみで可)。
前述のように、(非接触式の)カートリッジメモリ30は、電磁誘導方式や静電方式を利用して、駆動電力を得、信号の送受信を行う。そのため、カートリッジメモリ30のアンテナ部30bの近傍に金属部品が配置されると、誤動作や、不適正な信号の送受信等の問題が発生する場合がある。
これに対し、本関連技術のカートリッジ10(記録媒体カートリッジ)においては、このようなカートリッジメモリ30(そのアンテナ部30b)が、カートリッジの金属部品から、最も離れた領域に配置される。そのため、前記不都合を解消することができ、デッキとカートリッジ(カートリッジメモリ30)との間で、安定して、適正な信号の送受信を行うことができる。
図6に、図4に示されるカートリッジ10(図1参照)の下ハーフ12の平面図を示す。
図示例のカートリッジ10に配置される金属部品の主たるものは、スライダ20を付勢する板バネ26(図6では、点線で示す)と、上ハーフ11と下ハーフ12を固定する4本のビスである。前述のように、板バネ26は、下ハーフ12の壁状の部材12eと柱状のリブ12gの間に嵌入され、ビスは、下ハーフ12に形成される張出部12cのビス孔12jおよび背面側の左右両端部近傍のビス孔12iに挿通され、上ハーフ11の対応位置に螺合する。
カートリッジ10内における金属部品からの距離は、金属部品を中心に描いた円で示すことができる。なお、カートリッジ10には、上記5つの金属部品以外にも、前蓋18を付勢するバネや、ブレーキ部材22を付勢するブレーキバネ24等も含まれるが、これらを中心に描いた円は、カートリッジ10内では上記5つに対応する円に含まれるので、ここでは省略する。
各金属部品を中心(板バネ26は背面側先端を中心としている)に同じ径の円(点線)を描いた際に、各円の径を大きくして行くと、最後まで各円に含まれない領域は、図6に示されるように、背面側の横方向の中央部分である。すなわち、カートリッジ10内においては、この領域が、最も金属部品から遠い領域となる。
従って、図6に示されるように、金属部品を中心に同じ径の円を描いて、この円に含まれない領域を金属部品から最も遠い領域として、図示例のように、この領域にカートリッジメモリ30を配置することにより、金属部品による悪影響を最小限にして、適正な情報の送受信を行うことが可能になる。
例えば、図示例のように、ブレーキ部材22の解除手段(巻取ハブのブレーキ解除手段)が、巻取ハブ14aおよび14bの間にない(磁気テープ)カートリッジの場合には、通常は、この背面側の中央部分が金属部品から最も遠い領域であり、この領域に、カートリッジメモリ30を配置するのが好ましい。
本関連技術においては、金属部品から最も離れた領域は、一例として、図6に示されるように、金属部品を中心に適当なサイズの同径の円を描いて、この円に含まれない領域とすればよい。
なお、この円の大きさには、特に限定はなく、金属部品の数や密度、デッキから供給される信号の強度、アンテナ部30bの感度等に応じて、適宜決定すればよい。ここで、信号の送受信を好適に行うためには、図6に示されるように、この平面方向において、少なくとも互いに最も近接する金属部品同士では、円が接触する以上の径とするのが好ましい。
あるいは、前述のようにして、金属部品を中心とする円を大きくして行き、カートリッジメモリ30のサイズや形状、カートリッジ内の構成等に応じて、この円に包含されずにカートリッジメモリ30(そのアンテナ部)を配置できる最小限の領域を知見し、この領域を、最も金属部品から遠い領域としてもよい。
また、同様に大きくしていった円が、最後に包含した位置を中心にして、この周辺を金属部品から最も遠い領域として、カートリッジメモリ30の配置位置を決定してもよい。
ところで、現在では、デジタルビデオカセットやβカムのシステムで記録再生可能なカセットのように、水平方向(前述の前後左右方向)および厚み方向(水平方向と直交方向)の少なくとも一方で寸法が異なるものの、同じデッキでの使用が可能な(磁気テープ)カートリッジが実用化されている。すなわち、カートリッジケースのサイズは異なるが、同じデッキで使用可能なカートリッジが実用化されている。
また、多くの場合、これらのカートリッジは、デッキに配置される、デッキ内におけるカートリッジの水平方向の位置決め手段を、共通に使用する。すなわち、カートリッジに形成されるデッキ内における水平方向の位置決めの基準部は、サイズによらず、形状および位置共に、基本的に同一である。
本関連技術を、これらのカートリッジに利用する場合には、少なくとも2つのサイズのカートリッジにおいて、前述の条件を満たした上で、カートリッジに設けられる水平方向の位置決め基準部に対して、前記横(左右)方向の位置が略同一になるようにカートリッジメモリ30を配置するのが好ましい。
例えば、図示例のカートリッジ10において、下ハーフ12下面のネジ孔12jの位置に水平方向の基準部が有る場合には、一例として、サイズの異なるカセットで、基準部から前後方向に引いた線と、カートリッジメモリ30の横方向の中心との距離aが等しくなるように、カートリッジメモリ30を配置する。
すなわち、サイズの異なるカートリッジにおいて、デッキ内におけるカートリッジメモリ30の横方向の位置が略同一となるように、カートリッジメモリ30を配置する。
このような構成とすることにより、デッキにカートリッジを装填して、カートリッジメモリ30とデッキの記録読取手段との間で情報の送受信を行う際に、デッキ内に配置される記録読取手段(信号の送受信手段)の移動を無くすことができ、この移動に起因する信号送受信精度の低下、誤動作の発生、デッキのコスト向上等を防止して、カートリッジ(カートリッジメモリ30)とデッキとの間で、好適な情報の送受信を行うことができる。
なお、本関連技術においては、サイズの異なるカートリッジにおけるカートリッジメモリ30の位置は、前後方向および垂直方向(厚さ方向)には、必ずしも、一致させる必要はない。
前述のように、本関連技術のカートリッジに配置されるカートリッジメモリ30は、非接触で信号の送受信を行うものである。通常、通信の電波等は送受信の対象に向けて発信され、かつ、発信された方向には、ある程度の有効距離を有するので、デッキ内におけるカートリッジメモリ30の位置が前後方向に異なっていても、信号は十分に届く。また、通常のデッキでは、異なるサイズのカートリッジであっても、垂直方向の位置は、大きく変わることはない。
従って、同じデッキで利用可能なサイズの異なるカートリッジにおいて、カートリッジメモリ30(アンテナ部)の位置は、前述の横方向の位置が略同一であれば、通常、デッキの記録読取手段の検知範囲に入る。
以上、本発明の第1の関連技術の記録媒体カートリッジについて、磁気テープカートリッジを例に詳細に説明したが、本関連技術は、上述の例には限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
例えば、上述の記録媒体カートリッジでは、下ハーフ内にメモリを保持したが、本関連技術は、これに限定はされず、金属部品から最も遠い領域という条件を満たせば、カートリッジケースの外部、上ハーフや前蓋等の別の部材に非接触式メモリ(そのアンテナ部)を保持してもよく、あるいは、複数の部材でメモリを保持してもよい。
また、以上の例は、カートリッジ内に磁気テープを巻回する一対の巻取ハブを収容する磁気テープカートリッジであるが、本関連技術は、これに限定されず、1リール方式の磁気テープカートリッジ、磁気ディスク、光学記録媒体等の記録媒体カートリッジにも好適に利用可能である。
次に、図1〜図3、図5(a)、(b)および図7〜図15(b)を参照して、本発明の第2の関連技術に係る記録媒体カートリッジについて説明する。
なお、以下においても、本発明の第2の関連技術を、前述のJISX6127(1992)にその構造,寸法諸元が規定されている、図1〜図3に示す実施例を代表例として説明するが、本関連技術はこれに限定されるものではなく、同様の構成を有する他の磁気テープカートリッジに広く適用できることはいうまでもない。
図7は、本発明の第2の関連技術の記録媒体カートリッジの一参考例に係る磁気テープカートリッジの下ハーフに、前述の非接触式メモリであるカートリッジメモリを取り付けた状況を示す斜視図であり、図8は、その背面側からの側面図である。
図7に示す磁気テープカートリッジ(カートリッジ)10においては、下ハーフ12の背面にある溝部(肉盗み溝)12h内に、上述したカートリッジメモリ30(図5(a)および(b)参照)を落とし込む形でセットしているものである。このセットは、接着剤,粘着テープ(両面テープ)など、公知の手段により行ってよい。
なお、上述の肉盗み溝12hの中央部には、磁気テープ保護シートの位置規制ピン12lが立設されており、さらに、この位置規制ピン12lの変形防止のための支承リブ32が、その後ろ側の肉盗み溝12h内に設けられているので、この支承リブ32の一部を、上記カートリッジメモリ30の厚さに相当する分、切り欠くことが好ましい。この状況を、図9に示す。
図9は、上記支承リブ32を通り、カートリッジの長さ方向に直交する垂直面で切った要部断面図であり、前記肉盗み溝12h内に設けられている支承リブ32の一部(32aで示す部分)が上述の切り欠かれた部分を示している。
また、この際、支承リブ32のカートリッジメモリ30側の角部を面取り(符号34で示した部分)しておくと、カートリッジメモリ30のセット時の案内効果が出せる。
図10は、本発明の他の参考例に係るカートリッジの下ハーフ12に、カートリッジメモリ30を取り付けた状況を示す図であり、上記支承リブ32を通り、カートリッジの長さ方向に直交する垂直面で切った断面図である。図10中に、破線で示されている36は、前記肉盗み溝12h内に、カートリッジの長さ方向に沿って、カートリッジメモリ30の厚さ,長さに相当する大きさで設けられている、前記肉盗み溝12hより一段深い溝である。
上述の、前記肉盗み溝12h内の一段深い溝36は、溝12h内にカートリッジメモリ30をセットする際の位置決めを簡略化するためのもので、この溝36を、予め、セットされるカートリッジメモリ30の大きさに合わせて刻設しておくことにより、カートリッジメモリ30をセットする際の位置決めが、簡単に、かつ精度よく行えるようになるという効果が得られる。
上述の肉盗み溝12h内に、これより一段深い溝36を穿設する代わりに、図11に示すような、L字状の2個のカートリッジメモリストッパ38を対向させて肉盗み溝12h内に設けてもよい。このカートリッジメモリストッパ38は、カートリッジメモリ30の磁気テープカートリッジの長さ方向に沿った長さに相当する距離を隔てた位置に立設されるものであり、その形状には特に制限はないが、カートリッジメモリ30に対向する側には、後述する抜き勾配をかねる勾配を付けるのがよい。
図12は、上述の参考例に関連する変更例を示しており、カートリッジの背面側、すなわち下ハーフ12の背面壁に、肉盗み溝12h内から、カートリッジメモリ30の両端を規制する、または支持する形状のカートリッジメモリストッパ40を示すものである。この場合にも、このカートリッジメモリストッパ40と同様に、カートリッジメモリ30をセットする際の位置決めが、簡単に、かつ精度よく行えるようになるという効果が得られる。
また、本関連技術のさらに他の参考例に係るカートリッジとしては、カートリッジの下ハーフ12に、ハブに巻かれた磁気テープ巻き玉(図示されていない)が遊動した際に、その位置規制を行うためのリブが、一定の曲率を以ってカートリッジメモリ30が収納される肉盗み溝12h部分の近傍に形成されているものを挙げることができる。
なお、この磁気テープ巻き玉位置規制リブの長さ(カートリッジの長さ方向に直交する垂直面に沿った長さ)は、少なくとも、この磁気テープ巻き玉が遊動した際にも、これがカートリッジメモリ30に接触することのないような長さで形成されている。
さらに、上記の磁気テープ巻き玉位置規制リブの、カートリッジの長さ方向に沿った先端の位置は、その相互間の距離が前述のカートリッジメモリ30のカートリッジの長さ方向に沿った長さに設定されており、この磁気テープ巻き玉位置規制リブにより、前記肉盗み溝12h内にセットされるカートリッジメモリ30の、カートリッジの長さ方向に沿った位置決めを行うことが可能に形成されている。
なお、上に説明した磁気テープ巻き玉位置規制リブには、モールド時に必要な抜き勾配が付けられているが、この抜き勾配の大きさについては、カートリッジメモリ30に対向する側(カートリッジメモリ30を挟んで互いに向かい合う面)の抜き勾配の大きさが、上記磁気テープ巻き玉側(カートリッジの前面側)の抜き勾配の大きさよりも大きく設定することが好ましい。
磁気テープ巻き玉位置規制リブの抜き勾配の大きさを、上述のように設定することにより、カートリッジメモリ30を上記磁気テープ巻き玉位置規制リブの間のセット位置にセットする際の案内効果が向上する。なお、この抜き勾配の大きさの変更は、モールドに用いる型のごく一部を変更するものであり、容易に実施することが可能である。
図13に、上で説明した下ハーフ12に設けられた磁気テープ巻き玉遊動位置規制リブに、より確実なカートリッジメモリ30の位置決め機能を持たせた具体例を示す要部拡大平面図である。本実施例においては、上述の磁気テープ巻き玉遊動位置規制リブ42のカートリッジメモリ30に対向する面に、カートリッジメモリ30の前後左右方向(カートリッジの長さ方向およびこれと直交する方向の両方向)の位置規制を行う切り欠き部42a、42aを設けたものである。
図14は、本態様のさらに他の参考例に係るカートリッジの下ハーフ12、カートリッジメモリ30を取り付けた状況を示す斜視図である。本参考例においては、先に説明したハブに巻かれた磁気テープ巻き玉の遊動位置を規制するリブとして、肉盗み溝12h内のみに磁気テープ巻き玉遊動位置規制リブ42bを形成し、その対向する端面により、カートリッジメモリ30の、カートリッジの長さ方向に沿った位置決めを行うものである。
ここでは、先に説明した各位置決め手段を、適宜組み合わせて用いることも有効である。例えば、カートリッジの長さ方向に沿った位置決めは、上記位置決め部56aによって行い、また、これと直交する方向に沿った位置決めは、前述の支承リブ32のカートリッジメモリ30の厚さに相当する切り欠き部によって行うことができる。
上述の各参考例の説明では、前述の通り、いずれも、本関連技術を、JISX6127(1992)にその構造,寸法諸元が規定されている磁気テープカートリッジに適用した例を説明したが、本関連技術はこれに限らず、他の種類の(すなわち、別の構造を有する)磁気テープカートリッジにも適用することが可能である。
例えば、本関連技術を、前述のJISX6127(1992)にその構造,寸法諸元が規定されている磁気テープカートリッジよりも一回り大サイズのDVC(DigitalVideoCassette )に適用した例を、図15(a)および図15(b)に示す。ここでは、図15(a)に示すDVCの磁気テープ移動防止リブにより形成される三角形の空きスペースC(図15(b)の詳細図参照)内に、カートリッジメモリ30をセットするようにしている。
ここでは、上記の磁気テープ移動防止リブ44,44の間に、カートリッジメモリ30を係止するための突起44a,44aを設けることにより、簡単な構成で、精度よくカートリッジメモリ30をセットすることを可能にしている。
これ以外にも、本関連技術が適用可能な磁気テープカートリッジは各種存在し、本関連技術の範囲には、そのような磁気テープカートリッジに適用した場合をすべて含むものである。
すなわち、上記実施例はいずれも本関連技術の一例を示したものであり、本関連技術はこれらに限定されるべきものではないことは言うまでもない。
次に、図1〜図3、図5(a)、(b)、図16および図17を参照して、本発明の第3の関連技術に係る記録媒体カートリッジについて説明する。
ここでは、記録媒体カートリッジとして、一対の巻取ハブに巻き回された磁気テープ巻き玉を収容した磁気テープカートリッジを代表例として説明するが、本関連技術はこれに限定されるものではなく、他の磁気テープカートリッジに広く適用できることはいうまでもない。
本発明の第3の関連技術の記録媒体カートリッジは、図1〜図3に示す磁気テープカートリッジ(カートリッジ)等において、図5(a)および(b)に示す磁気テープに記録された情報の内容やカートリッジの情報を記録する非接触式メモリ(カートリッジメモリ)を、カートリッジケース内に収容される磁気テープ巻き玉の最大巻き径の周の形状に対応させて湾曲させ、その湾曲させた形状を利用して、カートリッジメモリがカートリッジケース内のリールエリアの内壁の一部を形成するように、カートリッジメモリをカートリッジケース内に組み込むようにしたものである。
まず、本発明の第3の関連技術の第1実現形態について説明する。
第1実現形態は、図16に示すように、下ハーフ12の後端部の一方の隅に、カートリッジケース内に収容される磁気テープの最大巻き径の周(最外周)の形状に対応するように湾曲させたカートリッジメモリ30(図5(a)および(b)参照)を、上述した側壁の凹部12kやハの字状に設けた壁状の部材(本形態では、リールエリアリブという)12e 等とともに同一の円周上に配置し、リールエリアの内壁を形成するように取り付けたものである。
このように、カートリッジメモリ30は、所定の曲率を持つように折り曲げて取り付けることができるだけの剛性を有している。また、カートリッジケースの隅の部分は、強度的にも強く、カートリッジメモリ30を取り付けるのに適している。また、この隅の場所は、スライダ20と、下ハーフ12あるいは上ハーフ11との間にある程度の隙間が生じるため、この場所にカートリッジメモリ30を取り付けることで、防塵のための壁の役割を果たすこともできる。
また、カートリッジメモリ30の取り付け箇所は、図16に示す位置のみでなく、下ハーフ12の後端部のもう一方の隅でもよい。これらの例のようにカートリッジケースの隅にカートリッジメモリ30を取り付けた場合には、デッキにカートリッジを装填したとき、カートリッジケースの後方側と側面との2方向からカートリッジメモリ30の情報をアクセスすることができる。
次に、本関連技術の第2実現形態について説明する。
第2実現形態は、図17に示すように、第1実現形態と同様に、カートリッジケース内に収容される磁気テープの最大巻き径の周(最外周)の形状に対応するように湾曲させたカートリッジメモリ30を、今度は、下ハーフ12のリールエリアリブ12e の一部を切り欠いて、その部分に、その湾曲を合わせて取り付けて、カートリッジメモリ30によってリールエリアの内壁(の一部)を形成するようにしたものである。
このとき、カートリッジメモリ30でリールエリアリブ12e を置き換えた部分は強度的には弱くなるが、一部を切り欠いただけであり、また、リールエリアリブ12e の端の部分を残すようにすることで、リールエリアリブ12e の強度を十分保つことができる。
また、このようにリールエリアリブ12e の一部を切り欠いてその代わりにカートリッジメモリ30を取り付けるのではなく、リールエリアリブ12e を薄く削ってそこにカートリッジメモリ30を貼り付けるようにしてもよい。貼り付ける場合には、リールエリアリブ12e の外側に貼り付けてもよいし、カートリッジメモリ30を逆の湾曲となるように撓ませてリールエリアリブ12e の内側に貼り付けてもよい。
以上説明した各実現形態によれば、湾曲させたカートリッジメモリを、その湾曲形状を利用して取り付けるようにしたことによって、カートリッジケース内のスペースを特に割くことなく取り付けが可能となるため、カートリッジケース内の他の諸機能を害することなく、小さなカートリッジケースにもカートリッジメモリを組み込むことが可能となる。
なお、本関連技術は上で説明した磁気テープカートリッジに限定されるものではなく、1リール方式の磁気テープカートリッジや、さらに磁気テープカートリッジ以外にも磁気ディスクや光学記録媒体等の記録媒体カートリッジにも適用可能である。例えば1リール方式の磁気テープカートリッジの場合には、カートリッジメモリをそのリールの外周の形状に合わせて湾曲させて、リールエリアの内壁を構成する任意の位置に取り付ければよい。
以上、本発明の第3の関連技術の磁気テープカートリッジついて、詳細に説明したが、本関連技術は、以上の例には限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
次に、図1〜図3、図5(a)、(b)および図18〜図21を参照して、本発明の第4の関連技術に係る記録媒体カートリッジについて説明する。
本発明の第4の関連技術に係る記録媒体カートリッジの各種の実現形態の説明に先だって、本実現形態における関連技術の適用対象である記録媒体カートリッジについて、その構成を説明する。
本発明の第4の関連技術の第1の適用対象としては、平板状の四角形を有する下ハーフとこの下ハーフと相似の平面形状を有し、下ハーフの上部に重ね合わされる上ハーフとが、四隅部で互いにビス等の結合手段で結合されている、扁平な硬質プラスチック製のカートリッジケースを備え、このカートリッジケース内に、磁気テープを巻装した単一の磁気テープリール(以下、単にリールという)が回転可能に収容されている1リール方式の磁気テープカートリッジを挙げることができる。
図18に、上述のような構成を有する本関連技術の第1の実現形態の磁気テープカートリッジ50に、前述のカートリッジメモリ30(図5(a)および(b)参照)を取り付けた状況を示す。本実施形態においては、カートリッジメモリ30を、上述のカートリッジ50の上ハーフ52および下ハーフ54からなるカートリッジケースの側壁に設けられている開口部分のリッド56の裏側に取り付けている。この取り付けは、例えば、カートリッジメモリ30のデータ通信用アンテナ部30b(図5(a)および(b)参照)の内側のスペースを利用して、ビスにより行っている。
このように構成された本実現形態に係るカートリッジ50は、記録再生装置(デッキ)にセットされた際に、内部に収納されている磁気テープ58を引き出すために、記録再生装置に設けられている開扉手段により、上記開口部分のリッド56が開かれ、その裏側に取り付けているカートリッジメモリ30が露出され、このカートリッジメモリ30とデッキのデータ読取・書込装置との間でデータ通信が支障なく行えるようになる。
すなわち、上記実現形態に示した磁気テープカートリッジ50は、通常は、上記開口部分のリッド56が閉じられており、カートリッジメモリ30を、外部からの損傷から保護しているが、この磁気テープカートリッジ50が記録再生装置にセットされた際には、内部の磁気テープ58を引き出すために、上記開口部分のリッド56が開かれて、カートリッジメモリ30が露出され、媒介物の影響を受けずに、カートリッジメモリ30と記録再生装置のデータ読取・書込装置との間でデータ通信(送受信)が支障なく行えるようになるという効果を有するものである。
本発明の第4の関連技術の第2の適用対象としては、平板状の略四角形を有する上ハーフと下ハーフとが重ね合わされて四隅部で互いに結合されている扁平な硬質プラスチック製のカートリッジケース内に、磁気ディスクまたは光磁気ディスク等が回転可能に収容されているディスクカートリッジを挙げることができる。
図19は、本関連技術の第2の実現形態に係るものであり、いわゆるフロッピディスク(FD)と同様のスライド方式のシャッタを有する磁気ディスクカートリッジ60に、前述のカートリッジメモリ30を取り付けた状況を示すものである。ここで、磁気ディスクカートリッジ60は、上ハーフ62と下ハーフ64から構成されており、その間に磁気ディスク68を収納しているものである。
上ハーフ62と下ハーフ64には、それぞれ対向する位置に開口部62a,64aが形成されており、また、上ハーフ62と下ハーフ64にまたがって、それらの表面(上側,下側)に形成されているスライド溝62b,64bに沿ってスライド可能なシャッタ66が設けられている。このシャッタ66は、図示されていないスプリングにより、通常は、上記開口部62a,62bを遮蔽する方向に付勢されている。
そして、上ハーフ62の、通常はシャッタ66により保護されている、上述の開口部62aの近傍に、前述のカートリッジメモリ30が取り付けられている。このカートリッジメモリ30は、磁気ディスクカートリッジ60が記録再生装置にセットされた際に、記録再生装置に設けられている開扉手段により、上記開口部62aのシャッタ66が開かれ、その下側の上ハーフ62表面に取り付けているカートリッジメモリ30が露出される。
本実施形態に示した磁気ディスクカートリッジ60は、通常は、上記開口部62aのシャッタ66が閉じられており、カートリッジメモリ30を、外部からの損傷から保護しているが、この磁気ディスクカートリッジ60が記録再生装置にセットされた際には、上記シャッタ66が開かれてカートリッジメモリ30が露出され、媒介物の影響を受けずに、カートリッジメモリ30と記録再生装置のデータ読取・書込装置との間でデータ送受信が支障なく行えるようになるという効果を有するものである。
本発明第4の関連技術の第3の適用対象としては、図1〜図3に示すように、平板状の四角形を有する下ハーフとこの下ハーフと相似の平面形状を有し、下ハーフの上部に重ね合わされる上ハーフとが、四隅部で互いにビス等の結合手段で結合されている、扁平な硬質プラスチック製のカートリッジケース内に、一対の回転可能な巻取ハブ間に巻き回された磁気テープが収容されている2リール方式の磁気テープカートリッジを挙げることができる。
図20は、本態様の第3の実現形態に係るもので、上述の磁気テープカートリッジ10に前述のカートリッジメモリ30を取り付けた状況を示すものである。ここでは、カートリッジメモリ30は、カートリッジ10の上ハーフ11の下面(裏側)の、スライダ20が後退したときに形成される開口46に対応する部分に取り付けられている。なお、取り付けは、カートリッジメモリ30のアンテナ部30bの内側のスペースを利用して、ビスにより行っている。
上述のカートリッジ10の上ハーフ11の下面(裏側)へのカートリッジメモリ30の取り付けに際しては、上ハーフ11の下面(裏側)のカートリッジメモリ30の取り付け位置周辺部を、できるだけ凹状にしておくことが好ましい。これは、磁気テープカートリッジ10内における磁気テープ16の走行時に無用の接触を避けるためである。
上述のように構成された本実施形態に係る磁気テープカートリッジ10においては、通常は、上述の開口46がスライダ20により遮蔽されているが、磁気テープカートリッジ10が記録再生装置にセットされた際には、記録再生装置に設けられているテープローディング装置によって上記スライダ20が後退させられて開口46が出現することにより、磁気テープカートリッジ10の上ハーフ11の裏側に取り付けられているカートリッジメモリ30が露出され、このカートリッジメモリ30と記録再生装置のデータ読取・書込装置との間でデータ通信(送受信)が支障なく行えるようになるという効果を有するものである。
図21は、本発明の第4の実現形態に係るもので、前述のカートリッジ10に前述のカートリッジメモリ30を取り付けた状況を示すものである。ただし、図20に示した第3の実現形態と異なる点は、ここでは、カートリッジメモリ30は、カートリッジ10の上ハーフ11に回動可能に取り付けられている裏蓋(リッド)18の裏面(内側)に取り付けられている点である。なお、取り付けは、カートリッジメモリ30のアンテナ部30bの内側のスペースを利用して、ビスにより行っている。
ここでも、上述のカートリッジ10のリッド18の裏面(内側)へのカートリッジメモリ30の取り付けに際しては、リッド18の裏面(内側)のカートリッジメモリ30の取り付け位置周辺部を、できるだけ凹状にしておくことが好ましい。理由は、上記と同様で、カートリッジ10内における磁気テープ16の走行時に無用の接触を避けるためである。
上述のように構成された本実施形態に係るカートリッジ10においては、通常は、上記リッド18が閉じているため、カートリッジメモリ30は外部からの損傷に対し保護されているが、カートリッジ10が記録再生装置にセットされた際には、記録再生装置に設けられているテープローディング装置によって上記リッド18が開かれることにより、カートリッジ10のリッド18の裏面(内側)に取り付けられているカートリッジメモリ30が露出され、このカートリッジメモリ30と記録再生装置のデータ読取・書込装置との間でデータ送受信が支障なく行えるようになるという効果を有するものである。
また、これとは全く別の発想に基づく実施形態としては、例えば、上述のカートリッジ10のリッド18の裏面(内側)に取り付けられているカートリッジメモリ30を、カートリッジ10内を走行する磁気テープ16の走行には悪影響を及ぼさない範囲で、軽く接触させるようにするという実施態様が挙げられる。
この実施態様においては、前述の各実施態様によって得られる効果は極力維持したままで、さらに、磁気テープ16の走行によって磁気テープ16が帯電し、また、停止時に若干のたるみが発生したような場合にも、上述の帯電とたるみに起因する磁気テープ16のジャミング(本来の行路から外れて、別の行路内で引っ掛かったりすること)を解消することが可能になるという効果が得られる。
なお、上記各実施形態は本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるべきものではないことは言うまでもない。
次に、図22〜図25(b)を参照して、本発明の実施態様に係る記録媒体カートリッジ用カートリッジラベルについて説明する。
図22は、本発明の一実施態様に係る記録媒体カートリッジ用カートリッジラベルの一適用対象としてのビデオテープカセットへの適用例を示す斜視図である。
同図に示すように、本態様のカートリッジラベル100は、記録媒体カートリッジとしてのビデオテープカセット(以下、単にビデオカセットという)140の背面に背ラベルとして取り付けられるものであって、このビデオカセット140に記録したデータ(ビデオデータ)に関して、記録時期やその内容などの情報を容易に確認できるようにしておくために用いられるものである。
ところで、このような目的を達成するには、ビデオカセット140の背面に背ラベルとして取り付けられる従来のカートリッジラベルにおいては、カートリッジラベル上に、筆記または印字などで記録するというのが主要な方法である。近年では、前述のようなICチップおよびアンテナ部を含む非接触式メモリ(ICメモリ)であるカートリッジメモリなどが、従来のカートリッジラベル中に埋め込まれ、筆記などによる記録に加えて、このカートリッジメモリへの非接触式の磁気的記録を行う方法が提案され、利便性の大幅な向上が期待されるとされている。しかし、この従来技術のカートリッジラベルでは、カートリッジメモリ内のICチップの保護については配慮されているが、アンテナ部の保護については考慮されておらず、アンテナ線(コイル)の損傷(断線など)を十分に防止できていないことは、先に説明した通りである。
なお、ここで、留意すべき点は、ICチップの場合は、所定の大きさの連続したエリアとして保護することが必要であるのに対して、アンテナ部については、これがコイル状のエリアを占有するものであることから、そのエリアの内側は、むしろ、区画されたエリアとして、積極的に利用することが有効であるという点である。
ここで、本態様のカートリッジラベル100としては、図23に示すように、カートリッジメモリ102を埋め込んだものが用いられるが、例えば、カートリッジラベル100を構成するラベル基体110の中に、情報記憶および信号処理を行うIC部104、電力の供給を受け、情報の送受信を行うアンテナ部106およびこの両者を接続するリード線108を埋設した形に形成されているものが用いられる。なお、上記ラベル基体110は、ラベル本体112とその(図中)下面に貼接された両面接着テープ114とから構成されている。
さらに、このラベル本体112は、図24に示すように、コート紙112a,補強材112b,IC部104とアンテナ部106とを保持するポリイミド基板112cならびにこれらを貼接するための感圧性接着剤層112eを有し、上記コート紙112a,補強材112b,ポリイミド基板112cは、それぞれの間に介挿される2枚の感圧性接着剤層112eにより相互に接着され、一体的な構成をなしている。
上記補強材112bの、IC部104の取り付け位置に対応する位置には、IC部104がポリイミド基板112cから突出していることに鑑みて、IC部104を衝撃から保護するために、切り欠き(孔)116を設けている。
なお、ここでは、カートリッジメモリ102として、IC部104とアンテナ部106とが別体に構成され、これらをリード線108で接続したものを用いている。すなわち、図23に示したように、カートリッジメモリ102のIC部104はビデオカセット140(図22参照)の一端部に位置しており、一方、アンテナ部106はビデオカセットの略中央部に位置しており、これらの間はリード線108により接続されている。
そして、これらのカートリッジメモリの各構成要素の上層のラベル表面には、IC部104の部分については、例えばメーカー名,このビデオカセットのタイプ,このビデオカセット内に収容されているビデオテープのタイプなどの情報が記載(印刷)されており、実質的に、ユーザが付加的な記載を行うことができないような領域が形成されている。
また、一方、アンテナ部106については、アンテナの形状、すなわち、コイル状のアンテナの線幅よりも少し広めの枠状の印刷(アンテナ部保護表示)を行ってあり、この枠の内側が一つの情報記載欄、すなわち情報記載エリアであることを強調する構成となっている。この情報記載欄であることを強調する方法としては、ここに、例えば、記録(放送)年月日,タイトルなどの記載項目を印刷しておく方法がある。
さらに、この枠を、カートリッジラベル全体の中での統一的なタイトル記載欄と位置付けたり、ナンバリングするための数字記載用の7セグメントの数字素子をプレ印刷した数字記載欄としたりすることで、複数のビデオカセットを通しての見出し記載用の領域としたりすることにより、この枠内が記載領域(情報記載エリア)であることを強調することも有効である。
以下、これについて具体的に説明する。
図25(a)および図25(b)は、それぞれ本発明に係るカートリッジラベルの一実施例を示す上面図である。図25(a)および図25(b)に示すように、カートリッジラベル100の内層には、その内部に収納されているカートリッジメモリ102内のIC部104とアンテナ部106およびこれらを接続するリード線108が、破線で示されるように配設されている。
そして、これらのIC部104とアンテナ部106の上方のカートリッジラベル100の表面には、それぞれ、IC保護用の記載欄124とアンテナ保護用の記載欄(アンテナ部保護表示)126とが設けられている。このうち、IC保護用の記載欄124は、先に説明したような、このビデオカセット140(図22参照)のメーカー名,タイプ、さらにはこのビデオカセット140内に収容されているビデオテープのタイプなどの情報が記載(印刷)された、実質的に、ユーザが付加的な記載を行うことができないような領域である。
また、アンテナ保護用の記載欄126としては、ここでは、アンテナ部106のコイル状のアンテナのコイル幅よりも幾分広めの幅を持った、コイル状のアンテナと略同形状の枠(アンテナ部保護表示)127が形成され、この枠127上へのユーザの付加的な記載を実質的に不可としてアンテナを保護するとともに、この枠127の内部は、ユーザがこのビデオカセット140(図22参照)を用いて記録するデータに関する情報を記載できる情報記載エリアとなっている。
例えば、図25(a)に示すように、この枠127の内部には、ユーザに、このビデオカセット140を用いて記録するデータの、記録(放送)年月日,タイトルなどを記載を促すためのこれらについての記載項目が予め印刷されている。
また、図25(b)に示す例では、アンテナ保護用の記載欄126の枠127の内部には、このビデオカセット140(図22参照)の保存番号のような番号付けを容易にするための、数字記載用の7セグメントの数字形成素子をプレ印刷した数字記載欄としている。
このように、アンテナ保護用の記載欄126では、その枠127の内部へのユーザの記載を積極的に促すことにより、記載欄126の枠127の内部の有効利用を図るとともに、その枠127への記載を回避し、アンテナ保護を図ることができる。
なお、図25(a)に示す例では、これらのリード線108の上方のカートリッジラベル100表面にも、リード線保護用の記載欄128が設けられている。このリード線保護用の記載欄128では、リード線108を保護するために、リード線108で囲まれる領域の内側にリード線108と略同形状の枠129が形成されている。このリード線保護用の記載欄128においても、アンテナ保護用の記載欄126と同様に、この枠127の内部のみに、ユーザの記載領域を制限し、この枠129外へのユーザの付加的な記載を実質的に不可としてリード線108を保護するとともに、ユーザの記載を促すように、タイトルなどの記載項目を印刷している。このリード線保護用の記載欄128でも、アンテナ保護用の記載欄126と同様に、リード線108をカバーし、保護するために、リード線108の線幅よりも幾分広めの幅を持った、リード線108と略同形状の枠129が形成されていてもよい。その結果、このリード線保護用の記載欄128でも、アンテナ保護用の記載欄126と同様な保護効果および有効利用効果を図ることができる。
なお、図25(a)および図25(b)において、130、132、134は、IC保護またはアンテナ保護の機能を有しない一般的な記載欄を示している。
上述のように構成された本実施形態に係るビデオカセット用のカートリッジラベル100においては、ユーザにより、ボールペンなどによる筆記が行われた場合に、IC部104はもとより、アンテナ部106についても、さらには、リード線108についても、損傷が生ずる危険性が回避可能になるという効果が得られる。
また、例えば任意の時点において、このカートリッジラベル100を貼接したビデオカセット140(図22参照)を図示しない記録再生装置にセットして、この記録再生装置に設けられている書込・読出手段により、上記カートリッジラベル100内のカートリッジメモリ102と記録再生装置のデータ読取・書込装置との間で、データ送受信を行うことができるようになる。
なお、カートリッジラベル100の表面にユーザによる記載を実質的に不可とするアンテナ保護用の記載欄126を形成して、アンテナ部保護表示を施す方法としては、例えば、印刷により形成する方法が最も簡便であるが、予めアンテナ部の大きさに合わせて用意したシールを貼り付ける方法も、変化に対応し易いという点で、有効な方法である。
また、アンテナ保護用の記載欄126は、アンテナ部106を構成するループ状アンテナの内側のエリア、すなわち枠127の内側の領域が情報記載エリアであることを示す、デザインと一体化されているものであるのがよい。ここで、デザインと一体化されているという意味は、ループ状アンテナをカバーする枠状のエリアの表記が、他のエリアの周囲の枠と結合ないしは関連して、全体として1つのデザインを形成している状況をいう。
なお、非接触式メモリであるカートリッジメモリ102は高価であるので、これを再使用できるように配慮しておくのがよい。そのためには、例えば、カートリッジラベル100を、記録媒体カートリッジであるビデオカセット150に設けたスライド溝内に挿通・引出し可能に構成し、用済み後は、当該ビデオカセット150のスライド溝から引出して、別の記録媒体カートリッジに挿通・保持するように構成する方法が、好適に示される。
なお、上記実施形態は、本発明の一例を示したものであり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更や改良を行ってもよいことはいうまでもない。