JP2008291766A - バルブタイミング可変機構の異常診断装置 - Google Patents

バルブタイミング可変機構の異常診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008291766A
JP2008291766A JP2007138915A JP2007138915A JP2008291766A JP 2008291766 A JP2008291766 A JP 2008291766A JP 2007138915 A JP2007138915 A JP 2007138915A JP 2007138915 A JP2007138915 A JP 2007138915A JP 2008291766 A JP2008291766 A JP 2008291766A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve timing
value
variable
valve
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007138915A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4835515B2 (ja
Inventor
Tokiji Itou
登喜司 伊藤
俊夫 ▲高▼岡
Toshio Takaoka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2007138915A priority Critical patent/JP4835515B2/ja
Publication of JP2008291766A publication Critical patent/JP2008291766A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4835515B2 publication Critical patent/JP4835515B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

【課題】内燃機関にバルブリフト可変機構と併せて設けられるバルブタイミング可変機構において、油切れ判定カウント処理の再開不能に関係して同機構の異常有りの旨の判断を行えなくなることを回避する。
【解決手段】油切れ判定カウント処理の実行(再開)の待機を開始するとき、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大値となるようバルブリフト可変機構14が強制駆動される。このように吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最大値にされたときには、エンジン1が吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となる。従って、この運転状態とならないことに起因して油切れ判定カウント処理の実行を待機した状態が終了せず、その油切れ判定カウント処理が再開しなくなることは回避され、ひいては異常判断処理にてバルブタイミング可変機構13での異常有りの旨の判断が行われなくなることも回避される。
【選択図】図1

Description

本発明は、バルブタイミング可変機構の異常診断装置に関するものである。
自動車用エンジン等の内燃機関においては、機関出力の向上等を目的に、吸気バルブのバルブ特性を可変とする可変動弁機構として同吸気バルブのバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構を設けたものが知られている。こうしたバルブタイミング可変機構は、油圧駆動を通じて内燃機関のクランクシャフトに対する吸気カムシャフトの相対回転位相を変更し、それによって吸気バルブのバルブタイミングを可変とするものである。なお、吸気バルブのバルブタイミング制御に関しては、同バルブの実バルブタイミングが機関運転状態に応じて設定された目標バルブタイミングとなるよう、バルブタイミング可変機構を油圧駆動することによって実現される。
可変動弁機構としてバルブタイミング可変機構のみを設けた内燃機関では、アイドル運転などの低負荷運転時には吸気バルブのバルブタイミングが最遅角状態とされる。これは、低負荷運転時のバルブオーバラップを小とし、内燃機関の燃焼室内の排気が吸気通路側に吹き返されることを抑制することで、低負荷運転時の燃焼安定性向上、ひいては燃費改善を図るためである。また、内燃機関の中負荷運転時及び高負荷運転時には、吸気バルブのバルブタイミングが排気エミッション改善、燃費改善、及び機関出力向上を図るうえで最適なタイミングとなるよう、同バルブタイミングが最遅角状態よりも進角側の範囲内で機関運転状態に応じて可変とされる。
吸気バルブのバルブタイミング制御に用いられる上記実バルブタイミング及び上記目標バルブタイミングは、バルブタイミング可変機構での異常の有無を判断する異常診断にも用いられる。詳しくは、実バルブタイミングが目標バルブタイミングに近づくようバルブタイミング可変機構を駆動している状態にあって、実バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差(両者の差の絶対値)が予め定められた判定値以上であることが一定時間以上続くと、そのことに基づきバルブタイミング可変機構が異常である旨判断される。
ただし、このようにバルブタイミング可変機構での異常有りの旨の判断を行うと、同機構に作用する油圧の一時的な低下に起因して実バルブタイミングが目標バルブタイミングから離れ、両者の偏差が判定値以上になって一定期間以上経過したとき、異常有りの旨判断されてしまうことになる。なお、バルブタイミング可変機構に作用する油圧の一時的な低下が生じたときには、吸気バルブをリフトさせるときの反力が吸気カムシャフトに対しその回転方向と逆方向に働き、その反力によってクランクシャフトに対する吸気カムシャフトの相対回転位相が遅角する。その結果、吸気バルブの実バルブタイミングが目標バルブタイミングに対し最遅角側へと変化し、その実バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差が大となる。
上述した油圧の一時的な低下は、自動車のカーブ走行中などバルブタイミング可変機構を駆動するための油圧系のオイルに遠心力が作用し、同機構に対するオイル供給が一時的に遮断される場合などに生じる。このように一時的に低下した油圧は、自動車の走行を停止して内燃機関をアイドル運転状態としたときなど、上記遠心力の作用しない状況下では適正値へと回復することから、上記油圧の一時的な低下に起因して異常有りの旨判断すると、その判断が誤ったものとなる。こうした異常有りの旨の誤判断を抑制するため、実バルブタイミングと目標バルブタイミングとのずれが油圧の一時的な低下によるものである場合に異常である旨判断しないようにすることが望まれている。
そして、上記油圧の一時的な低下に起因した異常有りの旨の誤判断を回避するため、以下の[1]〜[3]の各処理を実行し、バルブタイミング可変機構での異常の有無を判断することが考えられる。
[1]油切れ判定カウント処理
実バルブタイミングが目標バルブタイミングとなるようバルブタイミング可変機構を油圧駆動しているとき、実バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差が判定値以上であることが一定時間以上続いたか否かを判断し、肯定であれば油切れカウンタをインクリメントする。また、実バルブタイミングの停止状態が続いていないときには、上記油切れカウンタを初期値にリセットする。従って、油切れカウンタに関しては、上記油圧の低下に伴う実バルブタイミングの最遅角状態での停止継続中であって、かつ実バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差が判定値以上となって一定時間が経過したときインクリメントされる。また、上記油圧の低下が解消してバルブタイミング可変機構の油圧駆動が可能になり、実バルブタイミングが最遅角での停止状態から変化するようになると、油切れカウンタは初期値にリセットされる。
[2]待機処理
上記油切れカウンタのインクリメント時に上記[1]の油切れ判定カウント処理を停止し、その後に機関運転状態がアイドル運転状態となり且つ吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となるまで上記[1]の油切れ判定カウント処理の再開を待機する。そして、上記[1]の油切れ判定カウント処理を停止した状態で、内燃機関がアイドル運転状態であり且つ前記吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となったときには上記[1]の油切れ判定カウント処理を再開する。
[3]異常判断処理
実バルブタイミングの停止状態が続いており、かつ定められた期間中に上記油切れカウンタのカウント値が初期値に対し「2」以上の値である所定値以上増加したことに基づき、バルブタイミング可変機構での異常有りの旨判断する。また、実バルブタイミングの停止状態が続いていないか、あるいは上記カウント値の初期値に対する増加量が上記所定値未満であるときには、同機構での異常有りの旨の判断を行わない。
なお、上記[2]の待機処理において、油切れカウンタのインクリメント時から、機関運転状態がアイドル運転状態となり且つ吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となるまで、上記[1]の油切れ判定カウント処理の再開を待機するのは、次の二つの理由による。
・内燃機関のアイドル運転は、バルブタイミング可変機構に作用する油圧の一時的な低下が解消すると推測される機関運転状態であること。すなわち、アイドル運転が行われるということは、自動車のカーブ走行など上記油圧の一時的な低下が生じる原因となる自動車の走行状態が終了し、同油圧の一時的な低下が解消する機関運転状態となっていることを意味する。
・上記[1]の油切れ判定カウント処理の再開は、そのときの実バルブタイミングと機関運転とが互いに対応している状態で始めないと、上記[1]での実バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差が判定値以上であることが一定時間以上続いたか否かの判断に関して、その判断結果が正確なものにならないおそれがある。そして、上記油圧の一時的な低下に起因して、上記[1]での実バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差が判定値以上であることが一定時間以上続いた場合、実バルブタイミングが最遅角状態となることから、実バルブタイミングと機関運転とが互いに対応している状態となるのは同機関がアイドル運転に移行したときである。
以上の[1]〜[3]の各処理を実行し、バルブタイミング可変機構での異常の有無を判断することにより、上記油圧の一時的な低下に起因して同機関での異常有りの旨の誤判断が生じることを回避できる。
これは、上記油圧の一時的な低下に起因して上記[1]の油切れ判定カウント処理で油切れカウンタのカウント値がインクリメントされた後、アイドル運転となるまでは上記[2]の待機処理により上記[1]の油切れ判定カウント処理の再開が待機され、同アイドル運転時に上記油圧の一時的な低下が解消されるためである。このように同油圧の一時的な低下が解消されてバルブタイミング可変機構の油圧駆動が可能になると、実バルブタイミングを最遅角状態から進角側に変化させることが可能になる。従って、加速時などアイドル運転以外の機関運転となって目標バルブタイミングが最遅角状態から変化したときには、それに追従して実バルブタイミングが最遅角での停止状態から進角側に変化する。更に、このように実バルブタイミングが変化することで、油切れカウンタが初期値にリセットされることにもなる。こうした実バルブタイミングの変化、及び油切れカウンタのリセットにより、上記[3]の異常判定処理でバルブタイミング可変機構での異常有りの旨判断されることはなくなる。従って、上記油圧の一時的な低下に起因して同機関での異常有りの旨の誤判断が生じることを回避できるようになる。
また、バルブタイミング可変機構を駆動するための油圧系からのオイル漏れなど実際に異常が生じている場合には、上記[2]の待機処理による油切れ判定カウント処理の再開の待機中、内燃機関がアイドル運転に移行しても上記異常は解消しない。このため、上記油切れ判定カウント処理の再開後には、実バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差が判定値以上であることが一定時間以上続き、油切れカウンタがインクリメントされて同カウンタのカウント値が初期値に対し「2」以上の値である上記所定値以上増加する。また、バルブタイミング可変機構を駆動するための油圧系からのオイル漏れなど実際に異常が生じている場合には、上記アイドル運転によって異常が解消することもないことから実バルブタイミングが停止状態から変化するようになることもない。従って、上記[3]の異常判断処理でバルブタイミング可変機構での異常有りの旨判断されるようになる。
ところで、可変動弁機構の設けられた内燃機関としては、特許文献1に示されるように、上記バルブタイミング可変機構を設けるだけでなく、吸気バルブの最大リフト量及び作動角を可変とするバルブリフト可変機構を併せて設けたものも知られている。このバルブリフト可変機構は、吸気バルブの最大リフト量及び作動角を互いに同期した状態で増加側または減少側に変化させるものである。
バルブリフト可変機構に関しては、機関運転状態に応じて以下のように駆動制御される。すなわち、内燃機関の吸入空気量の要求量が最大値となる高負荷運転時には、その吸入空気量に関する要求を満たすべく吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最大となるよう駆動される。一方、内燃機関の吸入空気量の要求量が最小となるアイドル運転時などの低負荷運転時には、その吸入空気量に関する要求に応じて吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最小とされる。そして、内燃機関の高負荷運転から低負荷運転にかけての吸気バルブにおける最大リフト量及び作動角は、高負荷運転時に最大値とされ、アイドル運転に向けて機関負荷が小となるにつれて最小値に向けて徐々に小さくされる。
ここで、吸気バルブの最大リフト量及び作動角を最大とすると、吸気バルブの開弁タイミングが早まって吸気バルブと排気バルブとのバルブオーバーラップが大となり、それが機関運転に悪影響を及ぼすおそれがある。また、吸気バルブの最大リフト量及び作動角をアイドル運転時に最小とするときには、吸気バルブの閉弁タイミングが早められて内燃機関のポンピングロス低減が図られるものの、更なるポンピングロス低減を実現するためには吸気バルブの閉弁タイミングを一層早めることが好ましい。
なお、アイドル運転時に吸気バルブの閉弁タイミングを早めることで内燃機関のポンピングロスを低減できるのは、次の理由による。すなわち、アイドル運転時に吸気バルブの最大リフト量及び作動角を最小とし、閉弁タイミングを進角側に変化させると、吸気行程中に吸気バルブの閉弁タイミングを迎えることになる。そして、この状態にあっては、吸気バルブの閉弁タイミングを早めるほど圧縮行程中に燃焼室に存在するガスの量が少なくなり、圧縮行程での燃焼室内の圧力が低くなることから、内燃機関のポンピングロスが低減される。
以上のことから、バルブリフト可変機構の設けられた内燃機関において、その運転状態が高負荷運転とアイドル運転との間で変化する状況下における吸気バルブのリフト特性の理想的な変化は、図9に矢印Y2で示されるような変化ということになる。すなわち、アイドル運転などの低負荷運転から高負荷運転に向けて機関負荷が大となるとき、吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最小値から徐々に大きくなるにつれて、吸気バルブのバルブタイミングを最進角状態から最遅角状態に向けて(図中右に向けて)変化させる。従って、バルブリフト可変機構の設けられた内燃機関では、バルブタイミング可変機構の駆動制御に用いられる目標バルブタイミングが吸気バルブの最大リフト量及び作動角に応じて定められる。より詳しくは、上記目標バルブタイミングに関しては、吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最小となるときに最進角側の値とされ、その最大リフト量及び作動角が大となるほど遅角側の値とされる。そして、実バルブタイミングが上記目標バルブタイミングとなるようバルブタイミング可変機構を油圧駆動することにより、図9に矢印Y2で示される吸気バルブの理想的なリフト特性の変化が得られるようになる。
なお、特許文献1には、バルブタイミング可変機構の固着等の作動不良が生じたとき、吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最大となるようバルブリフト可変機構を強制駆動することが開示されている。こうした吸気バルブの最大リフト量及び作動角の強制的な最大化は、上記バルブタイミング可変機構の作動不良に起因するトルク不足によって機関運転状態が不安定となることを抑制する意図のもと行われるものである。このように機関運転状態の不安定を抑制できるのは、吸気バルブの最大リフト量及び作動角を最大としたときには、吸気バルブのバルブタイミングの不適正な状態での内燃機関の運転可能領域が、吸気バルブの最大リフト量及び作動角を小としたときの同運転可能領域よりも広くなることが関係していると推測される。従って、上記特許文献1の技術を適用し、上記[1]〜[3]の各処理を通じてバルブタイミング可変機構での異常有りの旨判断されたとき、吸気バルブの最大リフト量及び作動角を強制的に最大とすることで、同機構での異常に伴うトルク不足によって機関運転状態が不安定となることを抑制可能になる。
特開2004−263580公報(段落[0003]、[0005]、[0016]、[0017]、[0020])
ところで、バルブリフト可変機構とバルブタイミング可変機構との両方が設けられた内燃機関では、上記[1]〜[3]の各処理を通じてバルブタイミング可変機構の異常の有無を判断しようとすると、上記[2]の待機処理で油切れ判定カウント処理の再開の待機が終了せず、その油切れ判定カウント処理が再開しなくなるという不具合が生じる。
これは、油切れカウンタのインクリメントに伴い上記[1]の油切れ判定カウント処理の再開を待機した状態となった後、内燃機関がアイドル運転状態に移行したとき、バルブリフト可変機構とバルブタイミング可変機構との両方を設けた内燃機関では、吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最小となることが関係している。このように、上記内燃機関ではアイドル運転時に吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最小となることから、同機関におけるアイドル運転は、吸気バルブのバルブタイミングを最進角とすべき運転状態であって、同バルブタイミングを最遅角とすべき運転状態ではない。このため、上記[2]の待機処理で内燃機関がアイドル運転になることという条件は成立するものの、吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態であることという条件は成立しないことから、上記油切れ判定カウント処理の再開の待機が終了せず、その油切れ判定カウント処理が再開しなくなる。
以上のように、上記[2]の待機処理で油切れ判定カウント処理が再開しなくなると、油切れカウンタの初期値に対する増加量が「1」のままとなって上記[3]異常判断処理にてバルブタイミング可変機構での異常有りの旨の判断が行われなくなる。従って、実際にはバルブタイミング可変機構を駆動するための油圧系からのオイル漏れ等の異常が生じているにもかかわらず、上記[3]異常判断処理にて同機構での異常有りの旨の判断を行えないという状況が生じるおそれがある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内燃機関にバルブリフト可変機構と併せて設けられるバルブタイミング可変機構において、油切れ判定カウント処理の再開不能に関係して同機構の異常有りの旨の判断を行えなくなることを回避できるバルブリフト可変機構の異常診断装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、内燃機関の吸気バルブの実バルブタイミングが機関運転状態に応じて設定される目標バルブタイミングとなるよう油圧駆動されるバルブタイミング可変機構に適用され、前記実バルブタイミングと前記目標バルブタイミングとの差が判定値以上となった状態で一定時間が経過したか否かを判断して肯定であれば油切れカウンタをインクリメントするとともに、前記実バルブタイミングの停止状態が続いていないときには前記油切れカウンタを初期値にリセットする油切れ判定カウント処理と、前記油切れカウンタのインクリメント時に前記油切れ判定カウント処理を停止し、その後に機関運転状態がアイドル運転状態となり且つ前記吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となるまで同油切れ判定カウント処理の再開を待機し、機関運転状態がアイドル運転状態であり且つ前記吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となったときに前記油切れ判定カウント処理を再開する待機処理と、前記実バルブタイミングの停止状態が続いており、かつ定められた期間中に前記油切れカウンタのカウント値が初期値に対し「2」以上の値である所定値以上増加したことに基づき前記バルブタイミング可変機構が異常である旨判断し、前記実バルブタイミングの停止状態が続いていないか、あるいは前記カウント値の初期値に対する増加量が前記所定値未満であるときには前記異常である旨の判断を行わない異常判断処理と、を実施するバルブタイミング可変機構の異常診断装置において、前記内燃機関は、高負荷運転から低負荷運転へと移行するにつれて前記吸気バルブの最大リフト量及び作動角を小さくするよう駆動されるバルブリフト可変機構を備え、その最大リフト量及び作動角が大きくなるほど前記吸気バルブのバルブタイミングを遅角側の値とすべきものであり、前記待機処理は、前記油切れ判定カウント処理の再開の待機開始時、前記吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最大値となるよう前記バルブリフト可変機構を強制駆動し、前記油切れ判定カウント処理の再開の待機終了後、前記バルブリフト可変機構の強制駆動を解除するものであることを要旨とした。
上記構成によれば、待機処理により油切れ判定カウント処理の再開を待機した状態にあっては、吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最大となるようバルブリフト可変機構が強制駆動される。そして、このときの吸気バルブの最大リフト量及び作動角の最大への変化により、内燃機関が吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となる。この状態にあって内燃機関がアイドル運転状態に移行すると、内燃機関がアイドル運転状態であり且つ吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態になるという条件が成立し、待機状態にあった油切れ判定カウント処理が再開される。従って、待機状態にある油切れ判定カウント処理の再開不能に伴い、油切れカウンタの初期値に対する増加量が「1」のままとなって異常判断処理にてバルブタイミング可変機構での異常有りの旨の判断が行われなくなり、実際には異常が生じているにもかかわらず同異常の有る旨の判断を行えなくなることを回避できる。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記待機処理は、前記油切れ判定カウント処理の再開の待機終了後、機関運転が過渡状態にあるとき前記バルブリフト可変機構の強制駆動を解除するものとした。
バルブリフト可変機構の強制駆動が解除されると、吸気バルブの最大リフト量及び作動角をそのときの機関負荷に適した値とするためのバルブリフト可変機構の駆動制御が開始される。このとき、吸気バルブの最大リフト量及び作動角が大きく変化し、機関出力の変動が大きくなってショックが生じるおそれがある。しかし、上記構成によれば、バルブリフト可変機構の強制駆動の解除に関しては、内燃機関の出力変動の大きくなる過渡運転状態のもとで行われるため、それによって上述したショックを感じにくくすることができる。
以下、本発明を自動車用エンジンの可変動弁機構に適用した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
図1に示されるエンジン1においては、その燃焼室2に吸気通路3を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われると、同混合気が燃焼してピストン6が往復移動し、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。そして、燃焼後の混合気は排気として各燃焼室2から排気通路8に送り出される。
エンジン1において、燃焼室2と吸気通路3との間は吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断され、燃焼室2と排気通路8との間は排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断される。これら吸気バルブ9及び排気バルブ10に関しては、クランクシャフト7の回転が伝達される吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12の回転に伴い開閉動作する。
エンジン1は、吸気バルブ9のバルブ特性を可変とする可変動弁機構として、吸気カムシャフト11に設けられたバルブタイミング可変機構13と、吸気カムシャフト11の吸気バルブ9との間に設けられたバルブリフト可変機構14とを備えている。このバルブリフト可変機構14は、電動モータ15の所定回転角範囲内での回転駆動を通じて、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角を図2に示されるように互いに同期して変化させるものである。また、バルブタイミング可変機構13(図1)は、油圧回路16を通じて同機構13に作用する油圧を制御することにより駆動され、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相を変更するものである。こうしたバルブタイミング可変機構13の駆動を通じて、図3に示されるように吸気バルブ9の開弁期間(作動角)を一定に保持した状態で同バルブ9の開弁時期及び閉弁時期が共に進角又は遅角される。
ここで、バルブタイミング可変機構13に作用する油圧を制御する油圧回路16について、図1を参照して詳しく説明する。
油圧回路16は、バルブタイミング可変機構13に接続された進角側油路17及び遅角側油路18を備えている。これら油路17,18は、オイルコントロールバルブ(OCV)19、並びに、供給通路20及び排出通路21を介して、エンジン1のオイルパン22に繋がっている。上記供給通路20には、OCV19に向けてオイルを吐出するオイルポンプ25が設けられている。また、上記OCV19は、互いに逆方向に働くコイルスプリング及び電磁ソレノイドの付勢力によって切換動作し、供給通路20及び排出通路21と進角側油路17及び遅角側油路18との接続状態を変更するものである。
そして、OCV19の切換動作を通じて、遅角側油路18と供給通路20とが連通するとともに、進角側油路17と排出通路21とが連通すると、オイルパン22内のオイル(作動油)がオイルポンプ25により遅角側油路18へ送り出されるとともに、進角側油路17内にあったオイル(作動油)がオイルパン22内へ戻される。このとき、バルブタイミング可変機構13には遅角側油路18を通じてオイルが供給される。これにより、バルブタイミング可変機構13は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相を遅角させるよう油圧により作動される。その結果、吸気バルブ9のバルブタイミングが遅角側に変化するようになる。
また、OCV19の切換動作を通じて、遅角側油路18と排出通路21とが連通するとともに、進角側油路17と供給通路20とが連通する。この場合、オイルパン22内のオイルがオイルポンプ25により進角側油路17に送り出されるとともに、遅角側油路18内にあったオイルがオイルパン22内へ戻される。このとき、バルブタイミング可変機構13には進角側油路17を通じてオイルが供給される。これにより、バルブタイミング可変機構13は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相を進角させるよう油圧により作動される。その結果、吸気バルブ9のバルブタイミングが進角側に変化するようになる。
以上のように、吸気バルブ9のバルブタイミングは、OCV19の切換動作を通じて制御されることとなる。なお、OCV19の切換動作は、デューティ比指令値に応じて電磁ソレノイドの印可電圧を変更することによって行われる。このデューティ比指令値は、例えば「0〜100%」という範囲で変更される。そして、デューティ比指令値が「0%」に向けて小さくなるほど、遅角側油路18を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧が大となるようOCV19が切換動作させられ、吸気バルブ9のバルブタイミングを遅角させる力が強くなる。また、上記デューティ比指令値が「100%」に向けて大きくなるほど、進角側油路17を通じてバルブタイミング可変機構13に作用する油圧が大となるようOCV19が切換動作させられ、吸気バルブ9のバルブタイミングを進角させる力が強くなる。
次に、バルブタイミング可変機構13及びバルブリフト可変機構14といった可変動弁機構を駆動制御する制御系について説明する。
この制御系には、エンジン1の運転制御など各種制御を行う電子制御装置26が設けられている。電子制御装置26は、上記各種制御にかかる演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置26の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル27の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ28。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ29の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ30。
・吸気通路3を通じて燃焼室2に吸入される空気の量を検出するエアフローメータ32。
・クランクシャフト7の回転に対応する信号を出力し、エンジン回転速度の算出等に用いられるクランクポジションセンサ34。
・吸気カムシャフト11の回転位置に対応した信号を出力するカムポジションセンサ35。
・電動モータ15の上記所定回転角範囲内での回転角を検出する位置センサ36。
電子制御装置26の出力ポートには、電動モータ15、及びOCV19の駆動回路等が接続されている。
そして、電子制御装置26は、上記各種センサから入力した検出信号に基づき、エンジン回転速度やエンジン負荷(エンジン1の1サイクル当たりに燃焼室2に吸入される空気の量)といったエンジン運転状態を把握する。なお、エンジン回転速度はクランクポジションセンサ34からの検出信号に基づき求められる。また、エンジン負荷は、アクセルポジションセンサ28、スロットルポジションセンサ30、及び、エアフローメータ32等の検出信号に基づき求められるエンジン1の吸入空気量とエンジン回転速度とから算出される。電子制御装置26は、エンジン負荷やエンジン回転速度といったエンジン運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうして吸気バルブ9のバルブタイミングの制御、及び吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角の制御等が電子制御装置26を通じて実施される。
ここで、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角の制御に関しては、エンジン運転状態に基づき、電動モータ15によりバルブリフト可変機構14を駆動することで、以下のように行われる。すなわち、エンジン1の吸入空気量の要求量が最大値となる高負荷運転時には、その吸入空気量に関する要求を満たすべく吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大となるようにされる。一方、エンジン1の吸入空気量の要求量が最小となるアイドル運転時などの低負荷運転時には、その吸入空気量に関する要求に応じて吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最小とされる。従って、エンジン1の高負荷運転から低負荷運転にかけての吸気バルブ9における最大リフト量及び作動角は、高負荷運転時に最大値とされ、アイドル運転に向けてエンジン負荷が小となるにつれて最小値に向けて徐々に小さくされる。
また、吸気バルブ9のバルブタイミングの制御に関しては、上記吸気バルブ9の理想的なリフト特性の変化(図9の矢印Y2)が得られるよう、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角を考慮したバルブタイミング可変機構13の油圧駆動を通じて行われる。これにより、吸気バルブ9のバルブタイミングは、アイドル運転など低負荷運転時であって吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角の最小時には最進角の値とされ、エンジン負荷の増大に伴い上記最大リフト量及び作動角を大きくするにつれて遅角側の値とされる。こうした吸気バルブのバルブタイミング制御は、同バルブ9の実バルブタイミングVTがエンジン運転状態に応じて設定された目標バルブタイミングVTtとなるよう、バルブタイミング可変機構13を油圧駆動することにより実現される。
なお、目標バルブタイミングVTtは、アイドル運転など低負荷運転時であって吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角を最小としているときには最も進角側の値とされ、エンジン負荷の増大に伴い上記最大リフト量及び作動角を大きくするにつれて遅角側の値となるよう算出される。従って、目標バルブタイミングVTtは、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角を最小とするよう要求されているときには最進角側の値とされ、その要求される最大リフト量及び作動角を大きくするほど最遅角寄りの値とされることとなる。また、上記実バルブタイミングVTは、クランクポジションセンサ34及びカムポジションセンサ35からの信号に基づき求められる。
実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtとするためのバルブタイミング可変機構13の油圧駆動は、OCV19の電磁ソレノイドに対する印可電圧のデューティ比を上述したデューティ比指令値とすることによって行われる。このデューティ比指令値は、次の式「デューティ比指令値D=フィードバック補正項P+保持デューティ学習値H …(1)」を用いて算出される。
上記式(1)のフィードバック補正項Pは、吸気バルブ9の実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtへと制御するフィードバック制御に用いられる値であって、その実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtに近づくよう両者の乖離状態に基づき増減される。すなわち、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtよりも進角側である場合には、フィードバック補正項Pが減少されてデューティ比指令値Dが小さくされる。このようにデューティ比指令値Dを小さくすることで、実バルブタイミングVTが遅角されて目標バルブタイミングVTtに近づけられる。一方、実バルブタイミングVTが目標バルブタイミングVTtよりも遅角側である場合には、フィードバック補正項Pが増加されてデューティ比指令値Dが大きくされる。このようにデューティ比指令値Dを大きくすることで、実バルブタイミングVTが進角されて目標バルブタイミングVTtに近づけられる。
上記式(1)の保持デューティ学習値Hは、吸気バルブ9の実バルブタイミングVTを一定に保持するために必要な理論上のデューティ比指令値Dとして学習される値であって、式(1)で求められるデューティ比指令値Dをフィードバック補正項Pの増減に併せて増減させる際の中心値となるものである。この保持デューティ学習値Hは、所定の学習タイミング毎に、次の式「今回の保持デューティ学習値H=前回の保持デューティ学習値H+更新量K …(2)」を用いて求められる。
この式(2)の更新量Kは、保持デューティ学習値Hの学習タイミング毎に、実バルブタイミングVTに徐変処理を施した値VTsmと目標バルブタイミングVTtに徐変処理を施した値VTtsmとに基づき増減されるものである。より詳しくは、値VTsmが値VTtsmよりも所定値以上進角側の値であれば、更新量Kが一定量(例えば0.1%)減少される。これにより、式(2)に基づき求められる今回の保持デューティ学習値Hは、前回の保持デューティ学習値Hと比較して「0%」寄りの値になる。また、値VTsmが値VTtsmよりも所定値以上遅角側の値であれば、更新量Kが一定量(例えば0.1%)増加される。これにより、式(2)に基づき求められる今回の保持デューティ学習値Hは、前回の保持デューティ学習値Hと比較して「100%」寄りの値になる。
式(2)を用いて求められた今回の保持デューティ学習値Hに対しては、その値が急激に大きい値または小さい値とならないよう、前回の保持デューティ学習値Hから求められる上限ガード値及び下限ガード値を用いてのガード処理が施される。より詳しくは、前回の保持デューティ学習値Hに徐変処理を施した値に対し、所定の余裕代を加算した値を上限ガード値Huとし、その所定の余裕代を減算した値を下限ガード値Hdとする。そして、式(1)を用いて求められた今回の保持デューティ学習値Hが上限ガード値Huよりも大きい場合には、同上限ガード値Huを新たに今回の保持デューティ学習値Hとして設定する。また、式(1)を用いて求められた今回の保持デューティ学習値Hが上限ガード値Huよりも大きい場合には、同下限ガード値Hdを新たに今回の保持デューティ学習値Hとして設定する。以上により、今回の保持デューティ学習値Hが上限ガード値Hu及び下限ガード値Hdを用いてガードされる。
次に、バルブタイミング可変機構13での異常の有無を判断する異常診断について説明する。
この異常診断は、バルブタイミング可変機構13に作用する油圧の一時的な低下起因した異常有りの旨の誤判断を回避するため、[背景技術]の欄にて概要を述べた[1]油切れ判定カウント処理、[2]待機処理、及び[3]異常判断処理を実行し、同機構13での異常の有無を判断するものである。以下、図4〜図6を参照しつつ上記[1]〜[3]の各処理の詳細について述べる。
[1]油切れ判定カウント処理
図4は、油切れ判定カウント処理ルーチンを示すフローチャートである。この油切れ判定カウント処理ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まず油切れ判定カウント処理の実行を待機状態とするか否かを判断するための待機フラグFが、「0(待機なし)」であるか否かが判断される(S101)。ここで待機フラグFが「1(待機あり)」である場合には、続くステップS102以降の処理がスキップされ、それによって油切れ判定カウント処理の実行が待機状態とされる。一方、待機フラグFが「0(待機なし)」であれば、ステップS102以降の処理が実行され、油切れ判定カウント処理の待機状態が終了される。
ステップS102以降の一連の処理としては、まず実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtへと制御するためのフィードバック制御の実行中であるか否かが判断される(S102)。そして、上記フィードバック制御の実行中であることを条件に、実バルブタイミングVTと目標バルブタイミングVTtとの偏差(両者の差の絶対値)が判定値a以上となった状態で一定時間(例えば5秒)が経過したか否かが判断される(S103)。なお、上記判定値aは、バルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れ等の異常に起因して上記偏差が大となったとき、その偏差の増大を的確に判別することの可能な大きさに設定されている。そして、ステップS103にて、上記偏差が判定値a以上となった状態で一定時間が経過した旨判断されると、油切れカウンタCがインクリメントされて同カウンタCのカウント値が初期値「0」から「1」だけ増加する(S104)。
なお、上記偏差の増大に関しては、自動車のカーブ走行時などバルブタイミング可変機構13に作用する油圧の一時的に低下する状況のもとで生じる可能性もある。この場合であれ、上記オイル漏れに起因して上記偏差が増大する場合であれ、いずれにしても吸気バルブ9をリフトさせるときの反力の作用により実バルブタイミングVTが最遅角となって停止した状態が続き、それによって上記偏差が判定値a以上となった状態で一定時間が経過して油切れカウンタCがインクリメントされる。しかし、上記油圧の一時的な低下の場合には、自動車のカーブ走行終了後など同油圧が一時的に低下する状況を脱すると、実バルブタイミングVTを最遅角の状態から変化させることが可能になる。従って、このときに目標バルブタイミングVTtが最遅角よりも進角側の値であれば、バルブタイミング可変機構13の油圧駆動を通じて実バルブタイミングVTが上記目標バルブタイミングVTtに向けて変化される。
このように上記油圧がバルブタイミング可変機構13を駆動し得る値に回復する場合のことを考慮して、油切れカウンタCのカウント値を初期値「0」にリセットするための処理(S105、S106)が実施される。具体的には、実バルブタイミングVTの停止状態が所定時間(例えば5秒)以上続いているか否かが判断され(S105)、ここで否定判定である場合には油切れカウンタCのカウント値が初期値「0」にリセットされる(S106)。
[2]待機処理
図5は、待機フラグFを「1(待機あり)」に設定して上述した油切れ判定カウント処理の実行を待機状態としたり、待機フラグFを「0(待機なし)」に設定して同油切れ判定カウント処理の実行の待機状態を終了したりする待機処理ルーチンを示すフローチャートである。この待機処理ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まず上記[1]の油切れ判定カウント処理での油切れカウンタCのインクリメント時であるか否かが判断される(S201)。ここで肯定判定であれば、待機フラグFが「1(待機あり)」に設定され(S202)、その後に実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtへと制御するフィードバック制御が停止される(S203)。なお、このようにフィードバック制御が停止されているとき、すなわち待機フラグFが「1」となって油切れ判定カウント処理の実行が待機された状況下で、上記フィードバック制御が停止されているとき、目標バルブタイミングVTtはエンジン運転状態に関係なく最遅角の値に設定される。
一方、ステップS201で否定判定である場合には、待機フラグFが「1(待機あり)」であることを条件に(S204:YES)、待機フラグFを「0(待機なし)」に設定して油切れ判定カウント処理の実行の待機状態を終了させるとともに上記フィードバック制御の停止を解除する処理(S205〜S209)が実施される。この一連の処理では、まず以下の各判断が行われる。
・エンジン1がアイドル運転となったか否か(S205)。アイドル運転に関しては、カーブ走行時などバルブタイミング可変機構13に作用する油圧が一時的に低下する自動車の走行状態の終了するエンジン運転状態といえる。従って、こここでの判断は、上記油圧の一時的な低下を解消することの可能なエンジン運転状態になったか否かの判断ということになる。
・実バルブタイミングVTと目標バルブタイミングVTtとの偏差が判定値a以上であることが継続されていない状態か否か、例えば継続時間が0.2秒以下であるか否か(S206)。ここでの目標バルブタイミングVTtは、上記フィードバック制御の停止に伴い最遅角の値とされていることから、上記判断で肯定判定がなされるということは、実バルブタイミングVTも最遅角、もしくはそれに近い値とされていることを意味する。従って、ここでの判断は、実バルブタイミングVTが最遅角、もしくはそれに近い値とされているか否かの判断ということになる。
・吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべきエンジン運転状態となったか否か(S207)。吸気バルブ9の理想的なリフト特性の変化(図9の矢印Y2)から分かるように、吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべきエンジン運転状態とは、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角を最大値とした状態のことである。従って、ここでの判断は、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大値となっているか否かの判断ということになる。
これら各判断のうちのいずれか一つでも否定判定がなされる場合には、待機フラグFを「0(待機なし)」に設定すること、及び上記フィードバック制御の停止を解除することは行われない。しかし、上記各判断すべてで肯定判定がなされると、待機フラグFが「0(待機なし)」に設定され(S208)、更に上記フィードバック制御の停止が解除される(S209)。上記のように待機フラグFが「0」に設定されると、上記[1]の油切れ判定カウント処理の実行の待機状態が終了して同処理が開始される。更に、上記フィードバック制御の停止が解除されると、目標バルブタイミングVTtのエンジン運転状態に応じた可変設定が許可される。
[3]異常判断処理
図6は、異常判断処理ルーチンを示すフローチャートである。この異常判断処理ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まずバルブタイミング可変機構13の異常の有無の判断を行う際の実行条件が成立しているか否かが判断される(S301)。このステップS301での肯定判定は、以下に示す条件すべての成立をもって行われる。
・バルブタイミング可変機構13の固着等の回復を図るべく、OCV19における電磁ソレノイドの印可電圧のデューティ比を強制的に0%と100%との間で切り換えるOCV19の強制駆動が実施されていないこと。
・実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtへと制御する上記フィードバック制御の実行が所定時間(例えば5秒)以上継続されていること。
そして、ステップS301で肯定判定がなされると、バルブタイミング可変機構13での異常の有無を判断するための処理(S302〜S305)が実施される。この一連の処理では、まず以下の各判断が行われる。
・油切れカウンタCのカウント値が「2」以上であるか否か(S302)。
・実バルブタイミングVTの停止状態が所定時間(例えば5秒)以上続いているか否か(S303)。
・保持デューティ学習値Hの上限ガード値Hu及び下限ガード値Hdによるガードが実行されていない状態であるか否か(S304)。
ここで、ステップS302とステップS304との両方での肯定判定は、次のような状況となっていることを意味する。すなわち、バルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れ等の異常に起因して、保持デューティ学習値Hが最大値に向けて変化を開始してからそれに到達しガードの行われなくなるまでの期間A中に、油切れカウンタCが初期値「0」から「2」以上増加した状況であることを意味する。なお、同期間A中に油切れカウンタCが初期値「0」から「2」以上増加するということは、同期間A中に油切れカウンタCのカウント値の初期値「0」に対する増加量が「2」以上の値である所定値(この例では「2」)以上増加したと言い換えることもできる。
そして、上記各判断すべてで肯定判定がなされると、バルブタイミング可変機構13での異常有りの旨判断される(S305)。こうした異常有りの旨判断は、例えばバルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れ等の異常が生じているときになされる。一方、上記各判断のうちのいずれか一つでも否定判定がなされる場合には、バルブタイミング可変機構13での異常有りの旨の判断は行われない。なお、上記各判断のうちのいずれか一つでも否定判定がなされるということは、実バルブタイミングVTの停止状態が続いていないこと、あるいは上記期間A中における油切れカウンタCのカウント値の初期値「0」に対する増加量が上記所定値(この例では「2」)未満であることを意味する。
以上の[1]〜[3]の各処理を実行し、バルブタイミング可変機構13での異常の有無を判断することにより、自動車のカーブ走行時など同機構13に作用する油圧が一時的に低下するとき、それに起因した同機構13での異常有りの旨の誤判断の発生の回避が図られるようになる。
これは、上記油圧の一時的な低下に起因して上記[1]の油切れ判定カウント処理で油切れカウンタCがインクリメントされた後、アイドル運転となるまでは上記[2]の待機処理により油切れ判定カウント処理の実行(再開)が待機され、同アイドル運転時に上記油圧の一時的な低下が解消されるためである。このように同油圧の一時的な低下が解消されてバルブタイミング可変機構13の油圧駆動が可能になると、実バルブタイミングVTを最遅角状態から進角側に変化させることが可能になる。従って、油切れ判定カウント処理の実行待機が解除され、実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtへと制御するフィードバック制御の停止が解除された状態にあって、エンジン運転状態の変化に伴い目標バルブタイミングVTtが変化すると、それに追従して実バルブタイミングVTも変化する。更に、このように実バルブタイミングVTが変化することで、油切れカウンタCが初期値「0」にリセットされることにもなる。こうした実バルブタイミングVTの変化、及び油切れカウンタCのリセットにより、上記[3]の異常判定処理でバルブタイミング可変機構13での異常有りの旨判断されることはなくなる。従って、上記油圧の一時的な低下に起因した同機構13での異常有りの旨の誤判断の発生の回避が図られるようになる。
また、バルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れなど実際に異常が生じている場合には、上記[2]の待機処理による油切れ判定カウント処理の実行(再開)の待機中、エンジン1がアイドル運転に移行しても上記異常は解消しない。このため、上記油切れ判定カウント処理の再開後の上記フィードバック制御中には、実バルブタイミングVTと目標バルブタイミングVTtとの偏差が判定値a以上である状態が一定時間(例えば5秒)以上続くようになる。その結果、油切れカウンタCがインクリメントされて同カウンタCのカウント値が初期値「0」に対し「2」以上の値である所定値(この例では「2」)以上に増加する。また、バルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れなど実際に異常が生じている場合には、上記アイドル運転によって異常が解消することはないことから実バルブタイミングVTが停止状態から変化するようになることもない。従って、上記[3]の異常判断処理でバルブタイミング可変機構13での異常有りの旨判断されるようになる。
次に、上述したバルブタイミング可変機構13の異常診断で生じる不具合、及びその対策について説明する。
上記[2]の待機処理において、待機フラグFが「1(待機あり)」に設定された状態でエンジン1がアイドル運転である旨判断されたとしても(S204、S205でYES)、エンジン1が吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となっていない旨判断(S207でNO)されるおそれがある。これは、吸気バルブ9の理想的なリフト特性の変化(図9の矢印Y2)から分かるように、エンジン1のアイドル運転に関しては、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大となるため、同吸気バルブ9のバルブタイミングを最進角とすべき運転状態であって、同バルブタイミングを最遅角とすべき運転状態ではないためである。そして、上記ステップS207でエンジン1が吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となっていない旨判断されると、待機フラグFが「0(待機なし)」に設定されないことから、油切れ判定カウント処理の実行を待機した状態が終了せず、その油切れ判定カウント処理が再開しなくなる。
以上のように、油切れ判定カウント処理を再開しなくなると、油切れカウンタCのカウント値が「1」以上にはならなくなることから、定められた上記期間Aでの同カウント値の初期値「0」に対する増加量が「1」のままとなる。その結果、上記[3]の異常判断処理にて、油切れカウンタCのカウント値が「2」以上であるか否かの判断(S302)で否定判定がなされ、バルブタイミング可変機構13での異常有りの旨の判断が行われなくなる。従って、実際にはバルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れ等の異常が生じているにもかかわらず、上記[3]異常判断処理にて同機構13での異常有りの旨の判断を行えないという状況が生じるおそれがある。
こうした不具合への対策として、本実施形態では、上記[2]の待機処理として、油切れ判定カウント処理の実行(再開)の待機を開始するとき、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大値となるようバルブリフト可変機構14を強制駆動する。そして、油切れ判定カウント処理の実行の待機終了後、上記バルブリフト可変機構14の強制駆動を解除する。
これにより、油切れ判定カウント処理の再開を待機した状態にあって、吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最大となるようバルブリフト可変機構14が強制駆動されると、このときの吸気バルブの最大リフト量及び作動角の最大値への変化により、エンジン1が吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となる。従って、上記ステップS207に進んだとき、そこで否定判定されること、すなわちエンジン1が吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態でない旨判断されることは回避される。その結果、待機フラグFが「0(待機なし)」に設定されなくなって、油切れ判定カウント処理の実行を待機した状態が終了せず、その油切れ判定カウント処理が再開しなくなることを回避できる。以上により、待機状態にある油切れ判定カウント処理の再開不能に伴い、上記[3]の異常判断処理にてバルブタイミング可変機構13での異常有りの旨の判断が行われなくなり、実際には異常が生じているにもかかわらず同異常の有る旨の判断を行えなくなるという不具合の発生を回避することができる。
図7は、上述したバルブリフト可変機構14の強制駆動の実行、及びその解除を行う強制駆動ルーチンを示すフローチャートである。この強制駆動ルーチンは、電子制御装置26を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、待機フラグFが「1(待機あり)」であるとき(S401:YES)、バルブリフト可変機構14の駆動モードとして、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大値となるよう同機構14を強制駆動する強制駆動モードが実施される(S402)。これにより、上記ステップS207に進んだとき、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大値でないことに基づき、エンジン1が吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態でない旨判断されることは回避される。また、バルブリフト可変機構14の駆動モードが強制駆動モードに切り換えられると、同駆動モードの強制駆動モードから通常モードへの復帰を許可するか否かの判断に用いられる復帰許可フラグXが「0(許可せず)」に設定される(S403)。
一方、待機フラグFが「0(待機なし)」であるときには(S401:NO)、復帰許可フラグXが「0(許可せず)」であるか否かが判断され(S404)、ここで肯定判定であればエンジン1の運転状態が過渡状態であるか否かが判断される(S405)。そして、エンジン1が過渡運転状態であることを条件に、バルブリフト可変機構14の駆動モードが吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角をエンジン運転状態に応じて可変とすべく同機構14を駆動する通常モードに切り換えられる(S406)。このように駆動モードが通常モードに切り換えられると、復帰許可フラグXが「1(許可)」に設定され(S407)、次回からは上記ステップS405の処理がスキップされる。
待機フラグFの「1(待機あり)」から「0(待機なし)」への変化に基づく、上記駆動モードにおける強制駆動モードから通常モードへと切り換えは、エンジン1が過渡運転状態にあるとき、例えばエンジン回転速度の上昇中やそれに伴う自動車の加速中であるときのみに行われる。ここで、強制駆動モードから通常モードへの切り換えに基づきバルブリフト可変機構14の強制駆動が解除され、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角をそのときのエンジン運転状態に適した値とするための同機構14の駆動制御が開始されると、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が大きく変化する可能性がある。このように、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が大きく変化すると、エンジン1の出力変動が大きくなってショックが生じるおそれがある。しかし、強制駆動モードから通常モードへの切り換えをエンジン1が過渡運転状態にあるときのみに行えば、その過渡運転によってショックを感じにくくすることができる。
最後に、本実施形態におけるバルブタイミング可変機構13の異常診断について、バルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れに起因して吸気バルブ9のバルブタイミングが最遅角で停止している場合を例に、図8のタイムチャートを参照しつつ総括する。
実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTtへと制御するフィードバック制御中に上記異常が生じていると、そのことに起因して実バルブタイミングVT(図8(a)の実線)と目標バルブタイミングVTt(同図の破線)とに乖離が生じる。そして、実バルブタイミングVTと目標バルブタイミングVTtとの偏差が判定値aとなった状態の継続時間が図8(b)に実線で示されるように一定時間(5秒)以上経過すると(タイミングT1)、図8(c)に実線で示されるように油切れカウンタCがインクリメントされて同カウンタCのカウント値が初期値「0」に対し「1」だけ増加する。
油切れカウンタCがインクリメントされると、図8(d)に実線で示されるように、待機フラグFが「0」から「1」に切り換えられ、上記[2]の油切れ判定カウント処理の実行(再開)の待機状態が開始されるとともに、上記フィードバック制御が停止されて目標バルブタイミングVTtが最遅角とされる。その結果、実バルブタイミングVTと目標バルブタイミングVTtとの偏差が判定値aとなる状態の継続時間(図8(b))が「0」となる。更に、図8(e)に示されるように、バルブリフト可変機構14の駆動モードが通常モードから強制駆動モードに切り換えられ、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大値となるようバルブリフト可変機構14が強制駆動される。これにより、エンジン1がアイドル運転に移行したとき、エンジン1が吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となるようすることができ、待機フラグFを「0(待機なし)」とすることが可能になる。
そして、待機フラグFが「0」になると(タイミングT2)、上記フィードバック制御の停止が解除される。このように待機フラグFが「0」となった状態で、自動車の加速時などエンジン1が過渡運転状態になると、バルブリフト可変機構14の駆動モードが強制駆動モードから通常モードに切り換えられる(タイミングT3)。これにより、上記バルブリフト可変機構14の強制駆動が解除され、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角がエンジン運転状態に応じて可変とされるよう同機構14が駆動される。また、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角がエンジン運転状態に応じて可変とされるようになると、目標バルブタイミングVTtも最遅角状態から進角側へと変更され、上記フィードバック制御を通じて実バルブタイミングVTが上記目標バルブタイミングVTtとなるようバルブタイミング可変機構13の油圧駆動が行われる。
その後、上記と同様の動きが繰り返され、図8(c)に示される油切れカウンタCのカウント値が「1」ずつ増加してゆく。また、図8(f)に示されるように、上記式(2)を用いて求められる保持デューティ学習値H(実線)は、タイミングT1よりも前であって、実バルブタイミングVTと目標バルブタイミングVTtとの偏差がバルブタイミング可変機構13での異常に起因して大きくなったときから、上限ガード値Hu(破線)よりも大きい値となる。そして、上記保持デューティ学習値Hは、徐々に大きくなってゆくとともに、その学習値Hの増大に伴って増大してゆく上限ガード値Huを用いて増大側についてガードされる。その後、上記保持デューティ学習値H及び上限ガード値Huが共に最大値100%になると(タイミングT7)、同保持デューティ学習値Hの上限ガード値Huを用いたガードが行われなくなる。
そして、上記保持デューティ学習値Hが最大値(100%)に向けて変化を開始してからそれに到達しガードの行われなくなるまでの期間A中に、油切れカウンタCのカウント値が初期値「0」に対し所定値(本実施形態では「2」)以上増加すること等に基づき、図8(g)に示されるようにバルブタイミング可変機構13での異常有りの旨判断される。従って、実際にはバルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れ等の異常が生じているにもかかわらず、同機構13での異常有りの旨の判断を行えないという、上述した不具合が生じることを回避できるようになる。
ここで、仮にタイミングT1以降での上記バルブタイミング可変機構13の強制駆動が行われないとすると、図8(d)に二点鎖線で示されるように待機フラグFを「1(待機あり)」から「0(待機なし)」へと変化させることができなくなり、油切れ判定カウント処理の再開の待機状態を終了させることができなくなる。その結果、油切れ判定カウント処理を再開させることができず、実バルブタイミングVTと目標バルブタイミングVTtとの偏差が判定値a以上となった状態の継続時間が図8(b)に二点鎖線で示されるように「0」のままとなり、油切れカウンタCのカウント値も図8(c)に二点鎖線で示されるように「1」のままとなる。この場合、上記期間A中における油切れカウンタCのカウント値の初期値「0」に対する増加量は「1」となり、上述したバルブタイミング可変機構13での異常有りの旨の判断を行えなくなる。従って、実際にはバルブタイミング可変機構13を駆動するための油圧系からのオイル漏れ等の異常が生じているにもかかわらず、同機構13での異常有りの旨の判断を行えないという状況が生じるおそれがある。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)上記[2]の待機処理として、油切れ判定カウント処理の実行(再開)の待機を開始するとき、吸気バルブ9の最大リフト量及び作動角が最大値となるようバルブリフト可変機構14が強制駆動される。そして、油切れ判定カウント処理の実行の待機終了後、上記バルブリフト可変機構14の強制駆動が解除される。油切れ判定カウント処理の再開を待機した状態にあって、吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最大値にされたときには、エンジン1が吸気バルブ9のバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となる。従って、この運転状態とならないことに起因して待機フラグFが「0(待機なし)」に設定されなくなり、油切れ判定カウント処理の実行を待機した状態が終了せず、その油切れ判定カウント処理が再開しなくなることを回避できる。そして、待機状態にある油切れ判定カウント処理の再開不能に伴い、上記[3]の異常判断処理にてバルブタイミング可変機構13での異常有りの旨の判断が行われなくなり、実際には異常が生じているにもかかわらず同異常の有る旨の判断を行えなくなるという不具合の発生を回避できる。
(2)上記バルブリフト可変機構14の強制駆動の解除に関しては、エンジン1が過渡運転状態にあるとき、例えばエンジン回転速度の上昇中やそれに伴う自動車の加速中であるときのみに行われる。このようにバルブリフト可変機構14の強制駆動の解除をエンジン1が過渡運転状態にあるときのみに行えば、上記強制駆動の解除に伴うエンジン1の出力変動によるショックをエンジン1の過渡運転によって感じにくくすることができる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・バルブリフト可変機構14の強制駆動の解除に関しては、エンジン1が過渡運転状態にあるとき以外のときに行ってもよい。例えば、待機フラグFが「1」から「0」に変化して油切れ判定カウント処理の再開を待機した状態が終了した直後に、バルブリフト可変機構14の強制駆動の解除を行ってもよい。この場合、バルブタイミング可変機構13における異常の有無の判断をより速やかに完了させることができる。
・期間A中における油切れカウンタCのカウント値の初期値「0」に対する増加量が所定値以上増加したか否かの判断(S302)において、その所定値を「2」よりも大きい値、例えば「3」、「4」、「5」・・・等に設定してもよい。
本実施形態のバルブリフト可変機構の異常診断装置が適用されるエンジン全体を示す略図。 バルブリフト可変機構の駆動に基づく吸気バルブの最大リフト量及び作用角の変化態様を示すグラフ。 バルブタイミング可変機構の駆動に基づく吸気バルブのバルブタイミングの変化態様を示すグラフ。 油切れ判定カウント処理の実行手順を示すフローチャート。 待機処理の実行手順を示すフローチャート。 異常診断処理の実行手順を示すフローチャート。 バルブリフト可変機構の強制駆動の実行手順を示すフローチャート。 (a)〜(g)は、吸気バルブの実バルブタイミング及び目標バルブタイミングの推移、実バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差が判定値以上となった状態での経過時間の推移、油切れカウンタのカウント値の推移、待機フラグの設定態様、バルブリフト可変機構の駆動モードの切り換え態様、保持デューティ学習値及び上限ガード値の推移、及びバルブリフト可変機構での異常の有無の変化を示すタイムチャート。 バルブタイミング可変機構とバルブリフト可変機構とが設けられた内燃機関における吸気バルブの理想的なリフト特性の変化を示すグラフ。
符号の説明
1…エンジン、2…燃焼室、3…吸気通路、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、12…排気カムシャフト、13…バルブタイミング可変機構、14…バルブリフト可変機構、15…電動モータ、16…油圧回路、17…進角側油路、18…遅角側油路、19…オイルコントロールバルブ(OCV)、20…供給通路、21…排出通路、22…オイルパン、25…オイルポンプ、26…電子制御装置、27…アクセルペダル、28…アクセルポジションセンサ、29…スロットルバルブ、30…スロットルポジションセンサ、32…エアフローメータ、34…クランクポジションセンサ、35…カムポジションセンサ、36…位置センサ。

Claims (2)

  1. 内燃機関の吸気バルブの実バルブタイミングが機関運転状態に応じて設定される目標バルブタイミングとなるよう油圧駆動されるバルブタイミング可変機構に適用され、
    前記実バルブタイミングと前記目標バルブタイミングとの差が判定値以上となった状態で一定時間が経過したか否かを判断して肯定であれば油切れカウンタをインクリメントするとともに、前記実バルブタイミングの停止状態が続いていないときには前記油切れカウンタを初期値にリセットする油切れ判定カウント処理と、
    前記油切れカウンタのインクリメント時に前記油切れ判定カウント処理を停止し、その後に機関運転状態がアイドル運転状態となり且つ前記吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となるまで同油切れ判定カウント処理の再開を待機し、機関運転状態がアイドル運転状態であり且つ前記吸気バルブのバルブタイミングを最遅角とすべき運転状態となったときに前記油切れ判定カウント処理を再開する待機処理と、
    前記実バルブタイミングの停止状態が続いており、かつ定められた期間中に前記油切れカウンタのカウント値が初期値に対し「2」以上の値である所定値以上増加したことに基づき前記バルブタイミング可変機構が異常である旨判断し、前記実バルブタイミングの停止状態が続いていないか、あるいは前記カウント値の初期値に対する増加量が前記所定値未満であるときには前記異常である旨の判断を行わない異常判断処理と、
    を実施するバルブタイミング可変機構の異常診断装置において、
    前記内燃機関は、高負荷運転から低負荷運転へと移行するにつれて前記吸気バルブの最大リフト量及び作動角を小さくするよう駆動されるバルブリフト可変機構を備え、その最大リフト量及び作動角が大きくなるほど前記吸気バルブのバルブタイミングを遅角側の値とすべきものであり、
    前記待機処理は、前記油切れ判定カウント処理の再開の待機開始時、前記吸気バルブの最大リフト量及び作動角が最大値となるよう前記バルブリフト可変機構を強制駆動し、前記油切れ判定カウント処理の再開の待機終了後、前記バルブリフト可変機構の強制駆動を解除するものである
    ことを特徴とするバルブタイミング可変機構の異常診断装置。
  2. 前記待機処理は、前記油切れ判定カウント処理の再開の待機終了後、機関運転が過渡状態にあるとき前記バルブリフト可変機構の強制駆動を解除するものである
    請求項1記載のバルブタイミング可変機構の異常診断装置。
JP2007138915A 2007-05-25 2007-05-25 バルブタイミング可変機構の異常診断装置 Expired - Fee Related JP4835515B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007138915A JP4835515B2 (ja) 2007-05-25 2007-05-25 バルブタイミング可変機構の異常診断装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007138915A JP4835515B2 (ja) 2007-05-25 2007-05-25 バルブタイミング可変機構の異常診断装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008291766A true JP2008291766A (ja) 2008-12-04
JP4835515B2 JP4835515B2 (ja) 2011-12-14

Family

ID=40166742

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007138915A Expired - Fee Related JP4835515B2 (ja) 2007-05-25 2007-05-25 バルブタイミング可変機構の異常診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4835515B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013104410A (ja) * 2011-11-16 2013-05-30 Toyota Motor Corp エンジンの冷却装置
CN106642771A (zh) * 2016-11-29 2017-05-10 珠海格力电器股份有限公司 冷库多联机组的回油控制方法、装置及冷库多联机组
CN114198210A (zh) * 2021-12-14 2022-03-18 东风汽车有限公司东风日产乘用车公司 电磁阀的控制方法、装置、设备及存储介质
CN115573822A (zh) * 2022-10-10 2023-01-06 北京理工大学 电液式可变配气机构对气门型线特征的跟踪控制方法
CN116428070A (zh) * 2023-03-28 2023-07-14 长城汽车股份有限公司 可变气门正时机构故障异常的处理方法、系统及车辆

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108759205A (zh) * 2018-06-08 2018-11-06 广东美的暖通设备有限公司 空调系统及空调系统的回油控制方法、装置
CN109084499A (zh) * 2018-08-15 2018-12-25 广东美的暖通设备有限公司 空调回油控制方法、空调及计算机可读存储介质

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0617628A (ja) * 1992-07-06 1994-01-25 Mazda Motor Corp エンジンのバルブタイミング可変装置
JPH1182080A (ja) * 1997-09-12 1999-03-26 Denso Corp 内燃機関用バルブタイミング制御装置
JP2003206767A (ja) * 2002-01-15 2003-07-25 Denso Corp 内燃機関用バルブタイミング制御装置
JP2004263580A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の可変動弁装置
JP2004301058A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Mazda Motor Corp エンジンの可変動弁装置
JP2006090227A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0617628A (ja) * 1992-07-06 1994-01-25 Mazda Motor Corp エンジンのバルブタイミング可変装置
JPH1182080A (ja) * 1997-09-12 1999-03-26 Denso Corp 内燃機関用バルブタイミング制御装置
JP2003206767A (ja) * 2002-01-15 2003-07-25 Denso Corp 内燃機関用バルブタイミング制御装置
JP2004263580A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の可変動弁装置
JP2004301058A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Mazda Motor Corp エンジンの可変動弁装置
JP2006090227A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013104410A (ja) * 2011-11-16 2013-05-30 Toyota Motor Corp エンジンの冷却装置
CN106642771A (zh) * 2016-11-29 2017-05-10 珠海格力电器股份有限公司 冷库多联机组的回油控制方法、装置及冷库多联机组
CN114198210A (zh) * 2021-12-14 2022-03-18 东风汽车有限公司东风日产乘用车公司 电磁阀的控制方法、装置、设备及存储介质
CN115573822A (zh) * 2022-10-10 2023-01-06 北京理工大学 电液式可变配气机构对气门型线特征的跟踪控制方法
CN116428070A (zh) * 2023-03-28 2023-07-14 长城汽车股份有限公司 可变气门正时机构故障异常的处理方法、系统及车辆

Also Published As

Publication number Publication date
JP4835515B2 (ja) 2011-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4835515B2 (ja) バルブタイミング可変機構の異常診断装置
JP4538851B2 (ja) 筒内噴射式の内燃機関の燃圧制御装置
EP2634397B1 (en) Control apparatus for internal combustion engine
EP2199579B1 (en) Controller of internal combustion engine
US7201143B2 (en) Intake amount control apparatus of internal combustion engine
WO2009063289A1 (en) Control device for internal combustion engine
US20100018189A1 (en) Control system of internal combustion engine
JP2009293477A (ja) 筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法
JP2008025405A (ja) 内燃機関の制御装置
JP5273310B2 (ja) 内燃機関の制御装置
WO2012131954A1 (ja) セタン価推定装置
WO2016060047A1 (ja) 内燃機関の制御装置及び制御方法
WO2012131900A1 (ja) セタン価推定装置
JP4407832B2 (ja) エンジンの制御装置
US7252057B2 (en) Apparatus and method for controlling internal combustion engine
JP2006118452A (ja) 内燃機関のアイドル制御装置
JP2008163792A (ja) 内燃機関の停止位置制御装置
JP2005233174A (ja) 内燃機関の可変動弁装置
US20110048349A1 (en) Internal combustion engine control device
JP4502030B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2003074404A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2010048192A (ja) 燃料噴射制御装置
JP5512299B2 (ja) エンジン
JP2010236434A (ja) 吸気量制御装置
JP4430603B2 (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100108

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110715

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110830

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110912

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141007

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4835515

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141007

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees