JP2009293477A - 筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法 - Google Patents

筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】減速燃料カット状態から燃料噴射を再開させるときに燃料噴射開始タイミングを主に圧縮行程まで遅らせても、減速時における、エンスト性能から決まるエンジン下限保証回転に到達する前までにトルクを発生させ得る装置を提供する。
【解決手段】所定の減速運転状態で燃料噴射弁(13)からの燃料噴射を停止させる燃料カットを行う減速燃料カット手段(21)と、この燃料カット中に燃料供給装置(20)を用いて燃料噴射弁(13)に作用する燃圧を燃料カット直前の運転条件に応じた目標燃圧よりも上昇させる燃圧上昇手段(21)と、燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して燃料噴射弁(13)からの燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを吸気行程にある燃料噴射開始タイミングよりも遅角する燃料噴射開始タイミング遅角手段(21)とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法、特に減速燃料カット状態から燃料噴射を再開させるときの制御に関するものである。
エンジンの燃焼室に臨む燃料噴射弁を有する筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、減速燃料カット状態から燃料噴射を再開させるときに、成層燃焼(圧縮行程噴射)で燃料噴射を再開させるか、または均質燃焼(吸気行程噴射)で燃料噴射を再開させるかによってトルクの立ち上がり応答が異なり、成層燃焼(圧縮行程噴射)での燃料噴射の再開時のほうが均質燃焼(吸気行程噴射)での燃料噴射の再開時よりもトルクの立ち上がり応答がよいため燃料噴射再開時の燃焼方式によって加速感に相違が生じることから、成層燃焼で燃料噴射を再開するときには、燃料噴射の再開を遅らせることにより、トルクの立ち上がり応答がよい成層燃焼(圧縮行程噴射)での燃料噴射の再開時と、成層燃焼に比べてトルクの立ち上がり応答が遅れる均質燃焼(吸気行程噴射)での燃料噴射の再開時とで略同等のトルク応答を得るようにしたものがある(特許文献1参照)。
特開2000−120473号公報
ところで、減速燃料カット状態から燃料噴射を再開させるときには、減速時における、エンスト性能から決まるエンジン下限保証回転に到達する前までにトルクを発生させなければならないのであるが、上記特許文献1の技術のように、もともと成層燃焼時に圧縮行程にある燃料噴射開始タイミングをさらに圧縮行程の後半へと遅らせるのでは、燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧が、点火プラグにより点火されるまでに十分気化する時間がなく燃焼が不安定となり、エンストに至ってしまうことが考えられる。
そこで本発明は、減速燃料カット状態から燃料噴射を再開させるときに燃料噴射開始タイミングを主に圧縮行程まで遅らせても、減速時における、エンスト性能から決まるエンジン下限保証回転に到達する前までにトルクを発生させ得る装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明は、エンジンの燃焼室に臨む燃料噴射弁と、この燃料噴射弁に作用する燃圧を可変に制御し得る燃料供給装置とを備え、この燃料供給装置を用いて運転条件に応じた目標燃圧が得られるように前記燃料噴射弁に作用する燃圧を制御すると共に、吸気行程にある燃料噴射開始タイミングで前記燃料噴射弁を開いて燃料噴射を行わせ、所定の減速運転状態でこの燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させる燃料カットを行い、この燃料カット中に前記燃料供給装置を用いて前記燃料噴射弁に作用する燃圧を燃料カット直前の運転条件に応じた目標燃圧よりも上昇させ、燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して前記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを前記吸気行程にある燃料噴射開始タイミングよりも遅角するように構成する。
本発明によれば、エンジンの燃焼室に臨む燃料噴射弁と、この燃料噴射弁に作用する燃圧を可変に制御し得る燃料供給装置とを備え、この燃料供給装置を用いて運転条件に応じた目標燃圧が得られるように前記燃料噴射弁に作用する燃圧を制御すると共に、吸気行程にある燃料噴射開始タイミングで前記燃料噴射弁を開いて燃料噴射を行わせ、所定の減速運転状態でこの燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させる燃料カットを行い、この燃料カット中に前記燃料供給装置を用いて前記燃料噴射弁に作用する燃圧を燃料カット直前の運転条件に応じた目標燃圧よりも上昇させ、燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して前記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを前記吸気行程にある燃料噴射開始タイミングよりも遅角するので、燃料カット中の燃圧上昇分だけは燃料噴射弁からの燃料噴霧が気化しやすくなって燃焼状態が良くなるため、燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを遅らせても、減速時における、エンスト性能から決まるエンジン下限保証回転に到達する前までにトルクを発生させることができ、かつ燃料カットリカバー条件が成立したタイミングから燃料カットリカバー条件が成立したタイミング後に初めてエンジントルクが発生するまでの期間を短縮できる。燃料カットリカバー条件が成立したタイミングから燃料カットリカバー条件が成立したタイミング後に初めてエンジントルクが発生するまでの期間を短くすることで、燃料カット期間が長くなり、燃費が向上する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の筒内直接噴射式火花点火エンジンの概略構成を示している。頂面に点火プラグ位置を考慮したキャビティの形成されるピストン、スワールコントロールバルブ(図示省略)などを備えるこのエンジンは車両用のエンジンであり、図示しないロックアップ機構付きのトルクコンバータを介して無段自動変速機に連結されている。
図1において、エンジン31には、エアクリーナ32を通過した空気が、アクセルペダルに連動しモータ(図示省略)によって開閉されるスロットル弁33で計量され、吸気弁34を介してシリンダ内に吸引される。
エンジン31には燃料供給装置20を備える。各気筒毎に電磁式の燃料噴射弁13が設けられ、燃料供給装置20からの燃料(ガソリン)が燃料噴射弁13から各燃焼室内に直接噴射される。
ここで、燃料供給装置20は燃圧制御可能な構成となっている。こうした燃圧制御可能な構成の燃料供給装置は公知(特開2004−332679号公報参照)であるので、図2を参照して簡単に概説すると、図2は燃料供給装置20の概略構成図である。
燃料タンク1内の燃料は低圧燃料ポンプ2により低圧燃料供給通路3を介して、高圧燃料ポンプ5に供給される。高圧燃料ポンプ5はカム6(エンジンにより駆動される)により駆動される単筒ポンプであり、供給される低圧燃料をさらに燃圧を高めて高圧燃料供給通路11に吐出する。高圧燃料供給通路11は蓄圧室としての直管状燃料ギャラリー12と連通しており、この燃料ギャラリー12からの高圧燃料が燃料噴射弁13に供給されている。
図2において燃料ギャラリー12の右端は、燃料タンク1へのリターン通路4とつながる連絡通路19と連通され、連絡通路19の左端にはメカニカルなリリーフバルブ14が設けられている。このリリーフバルブ14は、燃料ギャラリー12内の燃圧が規定圧以上になると開いて燃料ギャラリー12内の高圧燃料を燃料タンク1へのリターン通路4へと戻すためのものである。
また、高圧燃料が保持される燃料ギャラリー12と平行に一定の容積を有する空間としての直管状燃料逃し通路15と、この燃料逃し通路15と連通して燃料逃し通路15内の燃料を燃料タンク1へのリターン通路4へ導くための連絡通路16とが設けられている。すなわち、図2において燃料逃し通路15の左端は燃料ギャラリー12の左端と連通しており、燃料逃し通路15の左端とこの燃料ギャラリー12との連通を常時は遮断する第1電磁弁17を備える。また、燃料逃し通路15の右端は連絡通路16と連通しており、燃料逃し通路15の右端とこの連絡通路16との連通を常時は遮断する第2電磁弁18をも備えている。
2つの連絡通路16、19はまとめられた後に燃料タンク1へのリターン通路4に合流されている。
上記の燃料噴射弁13は気筒毎に図示しないエンジンの燃焼室に臨んで設けられ、エンジンコントローラ21からの信号を受けて所定の時期に開かれ、その開弁時間と燃料噴射弁13に作用する燃料ギャラリー12内の燃圧とに比例した燃料を燃焼室内に直接的に噴射供給する。
ここで、燃料ギャラリー12内の要求燃圧は図3に示したように運転条件(エンジン負荷と回転速度エンジン)に応じて定められ、エンジン負荷一定であればエンジン回転速度Neが大きくなるほど高くなり、またエンジン回転速度Ne一定であればエンジン負荷が大きくなるほど高くなる値である。要求燃圧の最小値は例えば0.5MPa程度、要求燃圧の最大値は例えば11MPa程度であり、その圧力範囲は広い。要求燃圧を全ての運転条件で一定としたときには、大きく変化する要求燃料量に対応させて燃料噴射弁13の開弁時間を長くしたり短くしたりしなければならず、燃料噴射弁13に対する仕様(ダイナミックレンジの拡大)が厳しくなることも考え得るのであるが、このように、エンジン回転速度一定であれば高負荷ほど要求燃圧を高めることで、燃料噴射弁13の開弁時間を長くしなくても要求燃料量を供給できることになり、燃料噴射弁13に対する仕様が厳しくならないようにすることができる。
高圧燃料ポンプ5の内部には吐出燃料をリターン通路4へと逃す通路にデューティ制御可能な電磁弁7(制御弁)を備えており、この電磁弁7へのONデューティ値(制御量)を大きくするほどリターン通路4に逃される吐出燃料が多くなる。エンジンコントローラ21では燃圧センサ22により検出される燃料ギャラリー12内の実際の燃圧がそのときの運転条件に応じた要求燃圧と一致するように電磁弁7に与えるONデューティ値をフィードバック制御する。
なお、この電磁弁7(制御弁)はリターン通路4へ逃す燃料を調節することによって蓄圧室(12)内の燃圧を制御するように構成されているので、後述するように燃料カットが行われて燃料噴射弁13からの燃料の噴射が禁止されると、蓄圧室の実燃圧が要求燃圧よりも高い場合、実燃圧がさらに上昇することは防止できるものの、実燃圧を要求燃圧にまで下げることはできない。
さて、車両の減速時に所定の燃料カット許可条件を満たしていれば即座に燃料カットが行われる。燃料カット許可条件は、エンジン回転速度Neが所定の燃料カット回転速度以上である場合にスロットル弁33が全閉(アイドルスイッチ46がON)となったとき成立する。燃料カットは、エンジンの出力が不要な車両減速時に燃料噴射弁13からの燃料噴射を燃料カットリカバー条件の成立まで禁止することにより燃料消費量の削減を図るものである。また、燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立したとき燃料噴射(燃料供給)が再開される。燃料カットリカバー条件は燃料カット中にアクセルペダルが踏み込まれてスロットル弁33が開かれるか(アイドルスイッチ46がOFF)、またはアクセルペダルが踏み込まれることなくエンジン回転速度Neが所定の燃料カットリカバー回転速度以下(あるいは車速が所定の燃料カットリカバー車速以下)になったとき成立する。
ところで、要求燃圧は燃料カット許可条件成立時から燃料カットリカバー条件成立時へと低下するエンジン回転速度に合わせて低くなる。例えば図3において高負荷状態でのA点で燃料カット許可条件が成立して燃料カットが行われ、燃料カット許可条件の成立直前に要求燃圧が10MPa程度あったとすると、燃料カットリカバー条件の成立するB点では例えば要求燃圧は5MPaと半分程度にまで低下する。
しかしながら、燃料ギャラリー12内の実燃圧は10MPaを維持したままであり、燃料カット中には低下してゆかない。これは、燃料ギャラリー12内の実燃圧は燃料噴射弁13が開いて燃料ギャラリー12内の燃料が消費されることによってしか低下しないように構成されているからである。すなわち、燃料噴射弁13により燃料噴射が行われて初めて燃料ギャラリー12内の実燃圧が低下するので、燃料カット中には燃料ギャラリー12内の実燃圧を低下させることができないのである。
このため、図3においてB点で燃料カットリカバー条件が成立して燃料噴射を再開する場合、燃料カット開始直前の燃圧である10MPaが燃料噴射弁13に加わり、この場合にこの燃圧は燃料カットリカバー時の要求燃圧のほぼ2倍もあるため、燃料カットリカバー時の要求燃料量の2倍の燃料量が供給されてしまい、燃料カットリカバー時にトルクショックが生じ兼ねない。
これに対処するため、エンジンコントローラ21では燃料カット中にも運転条件を検出するセンサにより時々刻々変化する要求燃圧を算出し、燃料ギャラリー12内の実燃圧とこの要求燃圧との差が判定値を超えて大きくなったときには燃料逃し通路15、連絡通路16及び常閉の2つの電磁弁17、18を用いて、燃料ギャラリー12内の高圧燃料を逃し、燃料ギャラリー12内燃圧を燃料カットリカバー時の要求燃圧へと減圧する制御を行っている。
図1に戻り燃料噴射弁13から噴射された燃料によってシリンダ内に混合気が形成される。混合気は、点火プラグ36による火花点火によって着火燃焼し、燃焼後のガスは、排気弁37を介してシリンダ内から排出され、触媒38で浄化された後に大気中に放出される。
マイクロコンピュータを内蔵したエンジンコントローラ21には、エンジン31の吸入空気流量を検出するエアフローメータ41、単位クランク角度毎のポジション信号POSを出力するクランク角センサ42、カム軸に軸支されたシグナルプレートから各気筒の行程位相差に相当する角度(例えば4気筒エンジンで180degCA)毎に気筒判別情報が付与されたリファレンス信号REFを出力するカムセンサ48、排気中の酸素濃度に感応して排気空燃比を検出する酸素センサ45、スロットル弁33の全閉位置でONとなるアイドルスイッチ46、冷却水温を検出する水温センサ47からの各信号が入力されている。ここで、所定時間内におけるポジション信号POSの発生数や、前記リファレンス信号REFの発生周期を計測することで、エンジン回転速度Neが検出される。
エンジンコントローラ21では、これらセンサからの信号に基づいて燃料噴射弁13による燃料噴射及び点火プラグ36による点火を制御する。例えば、アイドルを含む低回転速度、低負荷領域などにおいて燃料を圧縮行程の後半に噴射し、これにより圧縮上死点付近において、点火プラグ36近傍のキャビティに可燃混合気を形成し、点火プラグ36による点火に伴い燃料を成層燃焼させ、全体としては40を超える空燃比による超希薄燃焼を行う。また、エンジンの高負荷域では燃料を吸気行程で噴射し、燃料と空気の混合を早め、燃焼室の全域を均質的な混合気で満たし、理論空燃比付近の混合気による均質燃焼(均質ストイキ燃焼)を行う。さらに、成層燃焼域と均質燃焼域との中間負荷域において、成層燃焼よりも空燃比としては濃いが、理論空燃比よりは薄い希薄燃焼(均質リーン燃焼)を行い、この均質リーン燃焼時には吸気行程で燃料を噴射する。
さて、吸気行程噴射を行っている場合に燃料カット許可条件が成立して燃料カットが行われ、その燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立した場合、燃料カットリカバー条件成立タイミングによっては、燃料カットリカバー条件成立タイミングから燃料カットリカバー条件成立タイミング後に初めてトルクが発生するまでの期間が長引きエンストに至ってしまうことが考え得る。このエンストを避けるには、余裕を持って燃料カットリカバー回転速度を高くすることであるが、燃料カットリカバー回転速度を高くするほど燃料カットを行うことのできる回転速度範囲が狭くなり燃費の向上代が低下してしまう。
そこで本発明では、燃料カット中に燃料供給装置20を用いて燃料噴射弁13に作用する燃圧を燃料カット直前の運転条件に応じた目標燃圧よりも上げておき、燃料カットリカバー条件が成立して燃料噴射弁13からの燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを吸気行程にある燃料噴射開始タイミングよりも遅れたタイミングに変更する。具体的には燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒の燃料噴射開始タイミングを圧縮行程または吸気行程後半まで遅らせる。また、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にない残り気筒の燃料噴射開始タイミングを、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒の燃料噴射開始タイミングよりも徐々に進角側に戻していく。
これについてさらに図4を参照して説明すると、図4は燃料カット許可条件が成立して燃料カットが行われ、燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して燃料噴射を再開する場合に、アクセル開度APO、アイドルスイッチ(図では「Idle/S」で略記。)46、点火時期ADV、目標当量比TFBYA、燃料噴射弁に作用する燃圧、燃料噴射開始タイミングがどのように変化するのかをモデルで示している。ただし、燃圧の昇圧時間に余裕がある場合(第4段目、第5段目、第6段目)と燃圧の昇圧時間が不足する場合(第7段目、第8段目、第9段目)とを並べて示している。ここで、燃圧の昇圧時間に余裕がある場合とは、燃料カット中に車両の急減速が行われないために燃料カットリカバー条件成立タイミング(t7)までに燃圧を規定値まで上昇させることができる場合、燃圧の昇圧時間が不足する場合とは、燃料カット中に車両の急減速が行われるために、燃料カット中に車両の急減速が行われない場合の燃料カットリカバー条件成立タイミング(t7)までに燃圧を規定値まで上昇させることができない場合のことである。
燃料カット中に車両の急減速が行われるときには、燃料カット中に車両の急減速が行われない場合の燃料カットリカバー条件成立タイミング(t7)までに燃圧を規定値まで上昇させることができず、エンスト性能から決まるエンジン下限保証回転速度に到達するのが早まるため、燃料カット中に車両の急減速が行われない場合の燃料カットリカバー回転速度を、燃料カット中に車両の急減速が行われない場合の燃料カットリカバー回転速度よりも所定の余裕代だけ高くしている。このため、燃料カット中に急減速が行われる場合には燃料カット中に急減速が行われない場合の燃料カットリカバー条件成立タイミングであるt7の手前のt6のタイミングで燃料カットリカバー条件が成立する。
なお、図4では燃料カット許可条件が成立するt1のタイミングで直ちに燃料カットを行うのではなく、燃料カットを開始するタイミングをt4のタイミングまで遅らせている(燃料カットインディレイ)。これは、アクセルペダルを戻したt1のタイミングで全気筒に対して直ちに燃料カットを行ってエンジンがトルクを発生しないようにすると、t1のタイミングの前後でトルクショックが生じて運転性が悪くなるので、これを防止するためである。すなわち、t3まで全気筒について燃料噴射を継続し、t3で半数の気筒について燃料カットを行い、t4のタイミングで全ての気筒について燃料カットを行っている。また、点火時期はt1のタイミングでアイドル時の点火時期へとステップ的に進角されるが、t2のタイミングからはエンジントルクを減らすため点火時期を徐々に遅らせている。本発明はこのように、燃料カットを開始するタイミングをt4のタイミングまで遅らせているものに限定されるものでなく、t1のタイミングで直ちに全気筒について燃料カットを行うものにも適用がある。
さて、昇圧時間に余裕がある場合から説明すると、燃料カットに実質的に入るt4のタイミングからは第5段目に示したように燃料噴射弁13に作用する燃圧を一定の速度で上昇させているため、燃料カットリカバー条件成立タイミング(t7)の前のt5のタイミングで燃圧が規定値に到達している。これは、燃料カットリカバー条件成立タイミングの前に燃圧が規定値に到達するように燃圧の上昇速度を予め定めておくことで達成できる。そして、燃圧が規定値に到達した後は規定値を維持させ、燃料カットリカバー条件成立タイミング(t7)からも規定値を一時的に維持させたあと、t8のタイミングからは燃圧をそのときの運転条件(エンジン負荷とエンジン回転速度)に応じた目標燃圧へと所定の速度で低下させる。この結果、t9のタイミングで燃圧がそのときの運転条件に応じた目標燃圧に到達しており、t9のタイミングからは運転条件に応じた目標燃圧となっている。
このように燃圧を燃料カット中に規定値へと上昇させておく一方で、燃料噴射開始タイミングを、第6段目に示したように燃料カットリカバー条件成立タイミング(t7)でステップ的に所定の遅角量だけ遅らせ、その後は燃圧の低下に応じて燃料カット前の燃料噴射開始タイミングへと戻す。
上記の規定値としては、燃料カットリカバー条件成立時に吸気行程にある気筒の燃料噴射開始タイミングをリタード限界まで遅らせたときの燃料噴射でも、燃焼安定性が悪化しないような値を定めておく。
昇圧時間が不足する場合に移ると、この場合には、燃料カット中に燃料噴射弁13に作用する燃圧が規定値に到達することは望めないので、第8段目に示したように燃料カットリカバー条件成立タイミング(t6)になるまで燃圧を上昇させ、燃料カットリカバー条件成立タイミングになるとそのときの運転条件(エンジン負荷とエンジン回転速度)に応じた目標燃圧へと所定の速度で低下させる。この結果、t7のタイミングで燃圧がそのきの運転条件に応じた目標燃圧に到達しており、t7のタイミングからは運転条件に応じた目標燃圧となっている。
このように昇圧時間が不足する場合にも、燃料噴射弁13に作用する燃圧を燃料カット中に規定値へと上昇させる一方で、燃料噴射開始タイミングを、最下段に示したように燃料カットリカバー条件成立タイミング(t6)でステップ的に所定の遅角量だけ遅らせ、その後は燃圧の低下に応じて燃料カット前の燃料噴射開始タイミングへと戻す。昇圧時間が不足する場合に燃料噴射開始タイミングを遅らせる遅角量は昇圧時間に余裕がある場合に燃料噴射開始タイミングを遅らせる遅角量よりも小さくする。
次に、燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して前記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開するときにどのように燃料噴射開始タイミングを遅角するかを直列4気筒エンジンの場合で具体的に説明する。
図5は、点火順序が1−3−4−2の順である直列4気筒エンジンについて、昇圧時間に余裕がある場合に減速燃料カットからの燃料噴射の再開がどのように行われるのかを示している。ただし、4気筒エンジンに限定されるものでなく、8気筒エンジンや6気筒エンジンにも本発明の適用がある。以下では、1番気筒、3番気筒、4番気筒、2番気筒を「#1気筒」、「#3気筒」、「#4気筒」、「#2気筒」と表記する。
本実施形態は燃料カットの前後で基本的に吸気行程噴射を行っている場合が前提であり、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒に対して燃料噴射開始タイミング(燃料噴射タイミング)をまず遅らせるものであるが、遅らせるにしても限度があり、この燃料噴射開始タイミングの限界を「リタード限界」と定義する。燃料カットリカバー条件が成立して燃料噴射を再開するとき、エンスト性能から決まるエンジン下限保証回転速度に到達する前にエンジンが自立運転できるだけのトルク(このトルクを「必要最低トルク」とする)を発生させなければならない。燃圧が一定の場合、燃料噴射開始タイミングとエンジン発生トルクとの間には図9に示した関係があるため、図示の位置に必要最低トルクがあれば、この必要最低トルクに対する燃料噴射開始タイミングが「リタード限界」である。言い替えると、燃料噴射開始タイミングの「リタード限界」とは、必要最低トルクが得られるときの燃料噴射開始タイミングのことである。
燃料噴射開始タイミングのリタード限界は各気筒について圧縮行程の前半にくる。例えば#1気筒について示すと、図5においてt11のタイミングが燃料噴射開始タイミングのリタード限界で、このt11のタイミングより前に燃料カットリカバー条件成立タイミングがくればリタード限界まで燃料噴射開始タイミングを遅らせた圧縮行程噴射を行わせることができるものの、このt11のタイミングより後のt12で燃料カットリカバー条件成立タイミングとなったときには#1気筒では圧縮行程噴射を行わせることができないこととなる。
さて、燃料カットリカバー条件成立タイミングであるt12のタイミングにおいて吸気行程にある気筒は#3気筒であるため、#3気筒に対して燃料噴射開始タイミングをリタード限界まで遅らせる。リタード限界は圧縮行程の前半にあるので、燃料噴射開始タイミングをリタード限界まで遅らせることは、#3気筒においては圧縮行程噴射を行わせることを意味する。この結果、#3気筒ではt13のタイミングで、燃料カットリカバー条件成立タイミング後初めての燃焼(トルク)が得られる。つまり、本実施形態では、燃料カットリカバー条件成立タイミング(t12)より燃料カットリカバー条件成立タイミング後初めてのトルク発生(t13)までのクランク角区間が180度弱となっている。
燃料カットリカバー条件成立タイミングであるt12のタイミングにおいて吸気行程にある気筒の、吸気行程から排気行程までを「現サイクル」、現サイクルの後に訪れるサイクルを「次サイクル」とすると、現サイクルにおいて点火順序で#3気筒の次にくる残り3つの気筒(#4気筒、#2気筒、#1気筒の3つ)についても燃料噴射開始タイミングを遅らせるのであるが、残り3つの気筒についての燃料噴射開始タイミングの遅角量は、現サイクルでの#3気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量よりも徐々に小さくする。すなわち、現サイクルにおいて#4気筒、#2気筒の2つの気筒では吸気行程に一部かかった圧縮行程噴射とし、現サイクルにおいて#1気筒では圧縮行程に一部かかった吸気行程噴射とする。そして、次サイクルになったときには#3筒、#4気筒、#2気筒、#1気筒のすべての気筒の燃料噴射開始タイミングを燃料カット前の燃料噴射開始タイミングに戻す(元の吸気行程噴射に復帰させる)。なお、現サイクルにおいて4つの各気筒で燃料噴射期間は同じである。
現サイクルにおいて#4気筒、#2気筒、#1気筒の各気筒の燃料噴射開始タイミングを現サイクルでの#3気筒の燃料噴射開始タイミングよりも徐々に進角させ、次サイクルで4気筒すべての気筒の燃料噴射開始タイミングを燃料カット前の燃料噴射開始タイミングに戻すようにしている理由は次の2つである。すなわち、第1の理由は#4気筒、#2気筒、#1気筒の各気筒についても、燃料噴射開始タイミングを現サイクルにおいて#3気筒と同じにリタード限界まで遅らせ次サイクルで4気筒すべての気筒の燃料噴射開始タイミングを燃料カット前の燃料噴射開始タイミングに戻すとリカバーショック(トルクショック)が生じるのでこれを回避するためである。第2の理由は、点火順序が隣り合う気筒間で燃料噴射期間が重なることを回避するためである。
比較のため、図6に昇圧時間に余裕がある場合に現状ではどのように制御しているかを示している。現状の制御では燃料カットの前後で燃料噴射開始タイミングを変更することはしていない。このため、t12のタイミングが燃料カットリカバー条件成立タイミングであるとすると、t12のタイミングで吸気行程にある気筒は#1気筒である。しかしながら、#1気筒ではt12のタイミングが#1気筒の燃料噴射開始タイミングを過ぎているため現サイクルでは吸気行程噴射を行うことができず、点火順序で次の#3気筒の吸気行程で吸気行程噴射が行われるため、t14のタイミングで燃料カットリカバー条件成立タイミング後初めての燃焼(トルク)が得られている。すなわち、現状の制御では燃料カットリカバー条件成立タイミング(t12)より燃料カットリカバー条件成立タイミング後初めてのトルク発生(t14)までのクランク角区間が270度弱となっており、図5に示した本実施形態のほうが、燃料カットリカバー条件成立タイミングより燃料カットリカバー条件成立タイミング後初めての燃焼までのクランク角区間が短縮されていることがわかる。
なお、図5では、昇圧時間に余裕がある場合を対象として、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒(#3気筒)の燃料噴射開始タイミングをリタード限界まで遅らせる場合を示したが、必ずしもリタード限界まで遅らせる必要はなく、燃料噴射開始タイミングを吸気行程後半まで遅らせるようにしてもかまわない。これを説明すると、図7に示したように、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒(#3気筒)に対して燃料噴射開始タイミングを吸気行程後半まで遅らせ(燃料噴射終了タイミングは圧縮行程にかからないにようにする)、現サイクルにおいて点火順序で次にくる残り3つの気筒(#4気筒、#2気筒、#1気筒の3つ)について燃料噴射開始タイミングの遅角量を現サイクルでの#3気筒の燃料噴射開始時タイミングの遅角量より徐々に小さくし、次サイクルで4気筒すべての気筒の燃料噴射開始タイミングを燃料カット前の燃料噴射開始タイミングに戻す(元の吸気行程噴射に復帰させる)のである。
次に、図8は点火順序が1−3−4−2の順である直列4気筒エンジンについて、昇圧時間が不足する場合に減速燃料カットからの燃料噴射の再開がどのように行われるのかを示している。
t21のタイミングが燃料カットリカバー条件成立タイミングであるとすると、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒は#3気筒である。#3気筒では、このt21のタイミングで燃料噴射を開始する。このため、現サイクルでの#3気筒の燃料噴射は一部が圧縮行程にかかった吸気行程噴射となっている。現サイクルにおいて点火順序で次にくる残り3つの気筒(#4気筒、#2気筒、#1気筒の3つ)については燃料噴射開始タイミングの遅角量を現サイクルでの#3気筒の燃料噴射開始時タイミングの遅角量より徐々に小さくし、次サイクルで4気筒すべての気筒の燃料噴射開始タイミングを燃料カット前の燃料噴射開始タイミングに戻す(元の吸気行程噴射に復帰させる)。
図8に示した昇圧時間が不足する場合には、図5に示した昇圧時間に余裕がある場合よりも、現サイクルでの#3気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量が小さくなっている。これは、図10に示した特性を考慮したものである。すなわち、図10に示したように燃料噴射開始タイミングとエンジンの発生するトルクとの関係は燃圧にも依存し、規定値の燃圧が得られない場合には、燃料噴射開始タイミングのリタード限界が進角側に移動するため、昇圧時間が不足する場合には昇圧時間に余裕がある場合ほど大きく遅角できないためである。
エンジンコントローラ21で実行されるこの制御を以下のフローチャートにより詳述する。
図11A、図11Bは目標燃圧を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ1ではエンジンの負荷とエンジン回転速度から図3を内容とするマップを検索することにより要求燃圧Pm0を求める。
ステップ2、3では今回に燃料カット中(燃料カット許可条件の成立時)であるか否か、前回に燃料カット中であったか否かをみる。今回に燃料カット中でないときにはステップ4に進み、要求燃圧Pm0を目標燃圧Pmに移して今回の処理を終了する。
今回に燃料カット中にありかつ前回に燃料カット中になかったとき、つまり今回に燃料カット中に切換わったときには、ステップ5に進んで要求燃圧Pm0を目標燃圧Pmに移す。
ステップ6では車両の急減速時であるか否かをみる。これは、例えばエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量と所定値を比較し、エンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が所定値以上であれば車両の急減速時であると、エンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が所定値未満であれば車両の急減速時でないと判定させればよい。なお、制御が複雑化するのを避けるため、燃料カット中は車両が急減速状態であるか車両が急減速状態でないかのいずれかであるとし、燃料カット中に急減速状態から急減速でなくなったり、この逆に急減速でない状態から急減速状態となったりするような事態は考えない。
ここでは燃料カット中に車両が急減速状態でないとすると、このときにはステップ7に進みフラグをみる。このフラグは図4においてt7よりt8までの期間でだけ1となるフラグである。このフラグはエンジン始動時にゼロに初期設定されているので、ステップ8、9に進み今回に燃料カットリカバー条件が成立しているか否か、前回に燃料カットリカバー条件が成立していたか否かをみる。ここでは燃料カットリカバー条件が成立していないとすると、ステップ10に進み燃圧センサ22により検出される実際の燃圧Pfと規定値を比較する。規定値は燃料カット中にどの程度燃圧を上昇させておくかを定める値で、燃料カットリカバー条件成立時に吸気行程にある気筒の燃料噴射開始タイミングをリタード限界まで遅らせたときの燃料噴射でも、燃焼安定性が悪化しないように予め適合しておく。燃料カット許可条件が成立した直後には実際の燃圧Pfは規定値より小さいので、ステップ11に進み目標燃圧Pmを次式により大きくなる側に更新する。
Pm=Pm(前回)+ΔP1 …(1)
ただし、ΔP1 :所定値(正の一定値)、
Pm(前回):Pmの前回値、
(1)式は、目標燃圧を上昇させる式である。所定値ΔP1は目標燃圧の上昇の程度を定める値であり予め適合しておく。
次回には、ステップ2、3で今回に燃料カット中にありかつ前回にも燃料カット中にあった、つまり続けて燃料カット中にあるので、このときにはステップ5を飛ばしてステップ6、7、8、10、11と進んでステップ11の操作を実行する。ステップ11の操作を繰り返せばやがてステップ10で実際の燃圧Pfが規定値以上となるので、このときにはステップ10よりステップ12に進んで目標燃圧Pmを規定値に制限(維持)する。
一方、ステップ8、9で今回に燃料カットリカバー条件が成立しかつ前回に燃料カットリカバー条件が成立していなかったとき、つまり今回に燃料カットリカバー条件非成立時より燃料カットリカバー条件成立時に切換わったときには、ステップ8、9よりステップ13、14、15に進みタイマを起動し(タイマ値tm=0)、フラグ=1とし、目標燃圧Pmを維持する。タイマは燃料カットリカバー条件が成立してからの経過時間を計測するためのものである。
ステップ14でのフラグ=1により次回にはステップ7よりステップ16に進むことになり、ステップ16でタイマ値tmと一定値を比較する。一定値は、図4で前述したように、燃料カットリカバー条件が成立してから規定値を維持する時間(t7よりt8までの時間)を定めるもので、予め適合しておく。燃料カットリカバー条件が成立した当初はタイマ値tmが一定値より小さいので、ステップ15に進みステップ15の操作を実行する(目標燃圧を維持する)。
タイマ値tmが一定値に到達する前にはステップ15の操作を繰り返し、やがてタイマ値tmが一定値以上になるとステップ16よりステップ17に進み目標燃圧Pmを次式により小さくなる側に更新する。
Pm=Pm(前回)−ΔP2 …(2)
ただし、ΔP2 :所定値(正の一定値)、
Pm(前回):Pmの前回値、
(2)式は目標燃圧を低下させる式である。所定値ΔP2は目標燃圧の低下の程度を定める値であり予め適合しておく。
ステップ18ではこのようにして低下させた目標燃圧Pmと要求燃圧Pm0とを比較する。目標燃圧Pmを低下させた当初は目標燃圧Pmが要求燃圧Pm0より大きいのでそのまま今回の処理を終了する。次回よりステップ17の操作を繰り返し目標燃圧Pmを低下させてゆけば、やがてステップ18で目標燃圧Pmが要求燃圧Pm0以下となる。このときにはステップ19に進んで目標燃圧Pmを要求燃圧Pm0に制限する(要求燃圧Pm0を目標燃圧Pmに移す)。ステップ20では次回の燃料カットに備えるためフラグ=0とする。
一方、ステップ6で燃料カット中のエンジン回転速度の所定時間あたり減少量が所定値以上であることから燃料カット中に車両が急減速状態にあると判定されたときには図11Bのステップ21に進み燃料カットリカバー条件が成立しているか否かをみる。燃料カットリカバー条件が成立していないときにはステップ22に進みエンジン回転速度Neと、燃料カットリカバー回転速度Nrcvに余裕代ΔNを加算した値とを比較する。余裕代ΔNはエンジン回転速度の低下が早い急減速時に燃料カットリカバー回転速度を嵩上げするための値である。言い替えると、燃料カット中に車両が急減速状態にない場合の燃料カットリカバー回転速度がNrcvであるのに対して、燃料カット中に車両が急減速状態にある場合の燃料カットリカバー回転速度はNrcv+ΔNとなるわけである。
上記の余裕代ΔNは、図12に示したように、燃料カット中の燃圧(実際の燃圧Pfまたは目標燃圧)が一定の条件では燃料カット中のエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が大きくなるほど大きくなり、また燃料カット中のエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が一定の条件では燃料カット中の燃圧(実際の燃圧Pまたは目標燃圧)が大きくなるほど小さくなる値である。燃料カット中の燃圧が一定の条件で燃料カット中のエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が大きくなるほど余裕代ΔNを大きくしているのは、燃料カット中のエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が大きいほどエンスト性能から決まるエンジン下限保証回転速度に到達するタイミングが早くなるので、これに対応して早めに燃料カットリカバー条件を成立させないと、エンストに至ってしまうためである。燃料カット中のエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が一定の条件で燃料カット中の燃圧が大きいほど余裕代ΔNを小さくしているのは、燃圧が大きい方が燃料カットリカバー時に燃料噴霧の微粒化がよくなり燃焼安定性がよくなる分、エンストに至りにくいと考えられるためである。
図11Bにおいて燃料カット中に車両が急減速状態にある場合にエンジン回転速度Neが燃料カット中に車両が急減速状態にある場合の燃料カットリカバー回転速度(Nrcv+ΔN)まで低下していないときにはステップ22よりステップ23に進み目標燃圧Pmを次式により大きくなる側に更新する。
Pm=Pm(前回)+ΔP3 …(3)
ただし、ΔP3 :所定値(正の一定値)、
Pm(前回):Pmの前回値、
(3)式は目標燃圧を上昇させる式である。所定値ΔP3は目標燃圧の上昇の程度を定める値であり予め適合しておく。所定値ΔP3は上記所定値ΔP1と同じであってよい。
燃料カット中に車両が急減速状態にある場合にエンジン回転速度Neが燃料カット中に車両が急減速状態にある場合の燃料カットリカバー回転速度(Nrcv+ΔN)まで低下していない間はステップ23の操作を繰り返して目標燃圧Pmを上昇させる。やがて、エンジン回転速度Neが燃料カット中に車両が急減速状態にある場合の燃料カットリカバー回転速度(Nrcv+ΔN)以下となったときには燃料カットリカバー条件が成立するので、ステップ21よりステップ25に進み目標燃圧Pmを次式により小さくなる側に更新する。
Pm=Pm(前回)−ΔP4 …(4)
ただし、ΔP4 :所定値(正の一定値)、
Pm(前回):Pmの前回値、
(4)式は目標燃圧を低下させる式である。所定値ΔP4は目標低下の程度を定める値であり予め適合しておく。所定値ΔP4は上記所定値ΔP2と同じであってよい。
なお、燃料カットリカバー条件が成立したか否かを判定する方法によっては、燃料カットリカバー条件が成立する直前にエンジン回転速度Neが燃料カット中に車両が急減速状態にある場合の燃料カットリカバー回転速度(Nrcv+ΔN)に到達することがあるかも知れないので、このときにはステップ21、22よりステップ24に進ませ、このときにも上記(4)式により目標燃圧Pmを次式により小さくなる側に更新する。
ステップ26ではこのようにして低下させた目標燃圧Pmと要求燃圧Pm0とを比較する。目標燃圧Pmを低下させた当初は目標燃圧Pmが要求燃圧Pm0より大きいのでそのまま今回の処理を終了する。次回よりステップ25の操作を繰り返し目標燃圧を低下させてゆけば、やがてステップ26で目標燃圧Pmが要求燃圧Pm0以下となる。このときにはステップ27に進んで目標燃圧Pmを要求燃圧Pm0に制限する(要求燃圧Pm0を目標燃圧Pmに移す)。
このようにして算出した目標燃圧Pmが得られるように、エンジンコントローラ21では燃料逃し通路15、連絡通路16及び常閉の2つの電磁弁17、18を用いて、リターン通路4に逃される吐出燃料を制御する。
図13A、図13Bは上記図5、図8に示した4気筒エンジンを対象として燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを算出するためのもので、図11A、図11Bとは独立に一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。以下、#1気筒、#3気筒、#4気筒、#2気筒の各気筒の燃料燃料噴射開始タイミングをIT1、IT3、IT4、IT2とする。
ステップ31、32では今回に燃料カットリカバー条件が成立しているか否か、前回に燃料カットリカバー条件が成立していたか否かをみる。今回に燃料カットリカバー条件が成立していないときにはそのまま今回の処理を終了する。
今回に燃料カットリカバー条件が成立しかつ前回に燃料カットリカバー条件が成立していなかったとき、つまり今回に燃料カットリカバー条件非成立時より燃料カットリカバー条件成立時に切換わったときには、ステップ31、32よりステップ33に進み急減速時であるか否かをみる。これは、図11Aのステップ6で前述したように、エンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量と所定値を比較し、エンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が所定値以上であれば車両の急減速時であると、エンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が所定値未満であれば車両の急減速時でないと判定させればよい。なお、ここでも燃料カット中は車両が急減速状態であるか車両が急減速状態でないかのいずれかであるとし、燃料カット中に急減速状態から急減速でなくなったり、この逆に急減速でない状態から急減速状態となったりするような事態は考えない。
ここでは燃料カット中に車両が急減速状態でないとすると、このときにはステップ34、35、36に進み今回に燃料カットリカバー条件非成立時より燃料カットリカバー条件成立時に切換わったときに(燃料カットリカバー条件成立タイミングで)吸気行程にある気筒を判別する。
燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#1気筒であるときにはステップ34よりステップ37に進み、基本燃料噴射開始タイミングIT0[degATDC]より第1所定値ITrtd1[deg]、第2所定値ITrtd2[deg]、第3所定値ITrtd3[deg]、第4所定値ITrtd4[deg]だけ遅角させたタイミングを、#1気筒、#3気筒、#4気筒、#2気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT1、IT3、IT4、IT2として、つまり次式により#1気筒、#3気筒、#4気筒、#2気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT1、IT3、IT4、IT2を設定する。
IT1=IT0+ITrtd1 …(5)
IT3=IT0+ITrtd2 …(6)
IT4=IT0+ITrtd3 …(7)
IT2=IT0+ITrtd4 …(8)
同様にして燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#3気筒であるときにはステップ34、35よりステップ38に進み、基本燃料噴射開始タイミングIT0[degATDC]より第1所定値ITrtd1[deg]、第2所定値ITrtd2[deg]、第3所定値ITrtd3[deg]、第4所定値ITrtd4[deg]だけ遅角させたタイミングを、#3気筒、#4気筒、#2気筒、#1気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT3、IT4、IT2、IT1として、つまり次式により#3気筒、#4気筒、#2気筒、#1気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT3、IT4、IT2、IT1を設定する。
IT3=IT0+ITrtd1 …(9)
IT4=IT0+ITrtd2 …(10)
IT2=IT0+ITrtd3 …(11)
IT1=IT0+ITrtd4 …(12)
同様にして燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#4気筒であるときにはステップ34、35、36よりステップ39に進み、基本燃料噴射開始タイミングIT0[degATDC]より第1所定値ITrtd1[deg]、第2所定値ITrtd2[deg]、第3所定値ITrtd3[deg]、第4所定値ITrtd4[deg]だけ遅角させたタイミングを、#4気筒、#2気筒、#1気筒、#3気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT4、IT2、IT1、IT3として、つまり次式により#4気筒、#2気筒、#1気筒、#3気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT4、IT2、IT1、IT3を設定する。
IT4=IT0+ITrtd1 …(13)
IT2=IT0+ITrtd2 …(14)
IT1=IT0+ITrtd3 …(15)
IT3=IT0+ITrtd4 …(16)
同様にして燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#2気筒であるときにはステップ34、35、36よりステップ40に進み、基本燃料噴射開始タイミングIT0[degATDC]より第1所定値ITrtd1[deg]、第2所定値ITrtd2[deg]、第3所定値ITrtd3[deg]、第4所定値ITrtd4[deg]だけ遅角させたタイミングを、#2気筒、#1気筒、#3気筒、#4気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT2、IT1、IT3、IT4として、つまり次式により#2気筒、#1気筒、#3気筒、#4気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT2、IT1、IT3、IT4を設定する。
IT2=IT0+ITrtd1 …(17)
IT1=IT0+ITrtd2 …(18)
IT3=IT0+ITrtd3 …(19)
IT4=IT0+ITrtd4 …(20)
ここで、上記(5)式〜(20)式右辺の基本燃料噴射開始タイミングIT0は吸気行程噴射を行う運転領域で吸気行程内に燃料の全てを噴き切ることができるように定めている。また、基本燃料噴射開始タイミングIT0の単位は吸気上死点より遅角側に計測した値[degATDC]である。このため、上記(5)式〜(20)式のように基本燃料噴射開始タイミングIT0に第1所定値〜第4所定値をそれぞれ加えることは、各気筒の燃料噴射開始タイミングを基本燃料噴射開始タイミングIT0から遅角側に変更することを意味する。
また、上記(5)式の#1気筒の燃料噴射開始タイミングIT1、上記(9)式の#3気筒の燃料噴射開始タイミングIT3、上記(13)式の#4気筒の燃料噴射開始タイミングIT4、上記(17)式の#2気筒の燃料噴射開始タイミングIT2が圧縮行程前半にあるリタード限界となるように第1所定値ITrtd1を予め定めておく。
また、上記(6)式〜(8)式、(10)式〜(12)式、(14)式〜(16)式、(18)式〜(20)式の残り3つの各所定値Trtd2、ITrtd3、ITrtd4は第1所定値ITrtd1より小さく、かつ残り3つの所定値の大小関係はITrtd2>ITrtd3>ITrtd4となるように定めておく。すなわち、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#1気筒であるときには、残り3つの気筒(#3気筒、#4気筒、#2気筒の3つ)の燃料噴射開始タイミングの遅角量を#1気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1)よりも、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#3気筒であるときには、残り3つの気筒(#4気筒、#2気筒、#1気筒の3つ)の燃料噴射開始タイミングの遅角量を#3気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1)よりも、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#4気筒であるときには、残り3つの気筒(#2気筒、#1気筒、#3気筒の3つ)の燃料噴射開始タイミングの遅角量を#4気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1)よりも、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#2気筒であるときには、残り3つの気筒(#1気筒、#3気筒、#4気筒の3つ)の燃料噴射開始タイミングの遅角量を#2気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1)よりも徐々に小さくする。
上記第1〜第4の各所定値ITrtd1〜ITrtd4の設定については図14のサブルーチンにより説明する。図14のサブルーチンは、図13A、図13Bを実行する前に一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
図14においてステップ61では燃料カット中であるか否かをみる。燃料カット中でないときにはそのまま今回の処理を終了する。
燃料カット中であるときにはステップ62に進み図13Aのステップ33と同様にして車両の急減速時であるか否かをみる。これは、例えばエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量と所定値を比較し、エンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が所定値以上であれば車両の急減速時であると、エンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が所定値未満であれば車両の急減速時でないと判定させればよい。なお、ここでも燃料カット中は車両が急減速状態であるか車両が急減速状態でないかのいずれかであるとし、燃料カット中に急減速状態から急減速でなくなったり、この逆に急減速でない状態から急減速状態となったりするような事態は考えない。燃料カット中に車両が急減速状態である場合にはそのまま今回の処理を終了する。
一方、燃料カット中に車両が急減速状態でない場合にはステップ63に進み設定済みフラグをみる。この設定済みフラグはエンジン始動時にゼロに初期設定されているので、ステップ64に進みアイドルスイッチ46がOFFであるか否かをみる。アイドルスイッチ46がONであるときにはアクセルペダルが踏み込まれていないと判断し、ステップ65に進んでエンジン回転速度Neと燃料カットリカバー回転速度Nrcvとを比較する。エンジン回転速度Neが燃料カットリカバー回転速度Nrcvを超えているときにはまだエンジン回転速度Neが燃料カットリカバー回転速度Nrcvに到達していないと判断し、そのまま今回の処理を終了する。
これに対して、エンジン回転速度Neが燃料カットリカバー回転速度Nrcv以下になるとエンジン回転速度Neが燃料カットリカバー回転速度Nrcvに到達したと判断し、ステップ65よりステップ66に進んで、第1所定値〜第4所定値ITrtd1〜ITrtd4に正の所定値A1、B1、C1、D1をそれぞれ入れる。ここで、所定値A1、B1、C1、D1の間にはA1>B1>C1>D1なる関係を持たせる。
一方、ステップ64でアイドルスイッチ46がOFFとなったときにはアクセルペダルが踏み込まれたと判断し、ステップ67に進んで第1所定値〜第4所定値ITrtd1〜ITrtd4に正の所定値A2、B2、C2、D2をそれぞれ入れる。ここで、所定値A2、B2、C2、D2の間にもA2>B2>C2>D2なる関係を持たせる。
また、所定値A1は所定値A2より、所定値B1は所定値B2より、所定値C1は所定値C2より、所定値D1は所定値D2よりそれぞれ小さく設定する。これは、エンジン回転速度Neが燃料カットリカバー回転速度Nrcvにまで低下して燃料カットリカバー条件が成立した場合と、アクセルペダルが踏み込まれて燃料カットリカバー条件が成立した場合との燃料カットリカバー条件の違いに応じて燃料噴射弁13からの燃料噴射を再開するときの燃料噴射開始タイミングの遅角量を相違させるようにしたものである。すなわち、エンジン回転速度Neが燃料カットリカバー回転速度Nrcvにまで低下して燃料カットリカバー条件が成立した場合の燃料噴射開始タイミングの遅角量(A1、B1、C1、D1)を、アクセルペダルが踏み込まれて燃料カットリカバー条件が成立した場合の燃料噴射開始タイミングの遅角量(A2、B2、C2、D2)よりも小さくしている。
このようにして設定される第1から第4までの4つの所定値ITrtd1〜ITrtd4が図13Aのステップ37〜40で用いられる。
こうして4つの所定値ITrtd1〜ITrtd4の設定が終了したらステップ68で設定済みフラグ=1とする。この設定済みフラグ=1により次回からは図14においてステップ63よりステップ64以降に進むこことができない。
図13Aに戻り、ステップ33で燃料カット中に車両が急減速状態であると判定されたときには図13Bのステップに進む。図13Bのステップ44〜50は図13Aのステップ34〜40と同様である。すなわち、ステップ44、45、46で今回に燃料カットリカバー条件非成立時より燃料カットリカバー条件成立時に切換わったときに(燃料カットリカバー条件成立タイミングで)吸気行程にある気筒を判別する。
燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#1気筒であるときにはステップ44よりステップ47に進み、基本燃料噴射開始タイミングIT0[degATDC]より第5所定値ITrtd1’[deg]、第6所定値ITrtd2’[deg]、第7所定値ITrtd3’[deg]、第8所定値ITrtd4’[deg]だけ遅角させたタイミングを、#1気筒、#3気筒、#4気筒、#2気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT1、IT3、IT4、IT2として、つまり次式により#1気筒、#3気筒、#4気筒、#2気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT1、IT3、IT4、IT2を設定する。
IT1=IT0+ITrtd1’ …(21)
IT3=IT0+ITrtd2’ …(22)
IT4=IT0+ITrtd3’ …(23)
IT2=IT0+ITrtd4’ …(24)
同様にして燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#3気筒であるときにはステップ44、45よりステップ48に進み、基本燃料噴射開始タイミングIT0[degATDC]より第5所定値ITrtd1’[deg]、第6所定値ITrtd2’[deg]、第7所定値ITrtd3’[deg]、第8所定値ITrtd4’[deg]だけ遅角させたタイミングを、#3気筒、#4気筒、#2気筒、#1気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT3、IT4、IT2、IT1として、つまり次式により#3気筒、#4気筒、#2気筒、#1気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT3、IT4、IT2、IT1を設定する。
IT3=IT0+ITrtd1’ …(25)
IT4=IT0+ITrtd2’ …(26)
IT2=IT0+ITrtd3’ …(27)
IT1=IT0+ITrtd4’ …(28)
同様にして燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#4気筒であるときにはステップ44、45、46よりステップ49に進み、基本燃料噴射開始タイミングIT0[degATDC]より第5所定値ITrtd1’[deg]、第6所定値ITrtd2’[deg]、第7所定値ITrtd3’[deg]、第8所定値ITrtd4’[deg]だけ遅角させたタイミングを、#4気筒、#2気筒、#1気筒、#3気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT4、IT2、IT1、IT3として、つまり次式により#4気筒、#2気筒、#1気筒、#3気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT4、IT2、IT1、IT3を設定する。
IT4=IT0+ITrtd1’ …(29)
IT2=IT0+ITrtd2’ …(30)
IT1=IT0+ITrtd3’ …(31)
IT3=IT0+ITrtd4’ …(32)
同様にして燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#2気筒であるときにはステップ44、45、46よりステップ50に進み、基本燃料噴射開始タイミングIT0[degATDC]より第5所定値ITrtd1’[deg]、第6所定値ITrtd2’[deg]、第7所定値ITrtd3’[deg]、第8所定値ITrtd4’[deg]だけ遅角させたタイミングを、#2気筒、#1気筒、#3気筒、#4気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT2、IT1、IT3、IT4として、つまり次式により#2気筒、#1気筒、#3気筒、#4気筒の各燃料燃料噴射開始タイミングIT2、IT1、IT3、IT4を設定する。
IT2=IT0+ITrtd1’ …(33)
IT1=IT0+ITrtd2’ …(34)
IT3=IT0+ITrtd3’ …(35)
IT4=IT0+ITrtd4’ …(36)
ここで、上記(21)式〜(36)式右辺の基本燃料噴射開始タイミングIT0は前述したように吸気行程噴射を行う運転領域で吸気行程内に燃料の全てを噴き切ることができるように定めている。また、基本燃料噴射開始タイミングIT0の単位は吸気上死点より遅角側に計測した値[degATDC]であるので、上記(21)式〜(36)式のように基本燃料噴射開始タイミングIT0に第5所定値〜第8所定値をそれぞれ加えることは、各気筒の燃料噴射開始タイミングを基本燃料噴射開始タイミングIT0から遅角側に変更することを意味する。
また、上記(21)式の#1気筒の燃料噴射開始タイミングIT1、上記(25)式の#3気筒の燃料噴射開始タイミングIT3、上記(29)式の#4気筒の燃料噴射開始タイミングIT4、上記(33)式の#2気筒の燃料噴射開始タイミングIT2が吸気行程後半となるようにかつ吸気行程中に燃料噴射を終了するように第5所定値ITrtd1’を予め定めておく。
また、上記(22)式〜(24)式、(26)式〜(28)式、(30)式〜(32)式、(34)式〜(36)式の残り3つの各所定値Trtd2’、ITrtd3’、ITrtd4’は第5所定値ITrtd1’より小さく、かつ残り3つの所定値の大小関係はITrtd2’>ITrtd3’>ITrtd4’となるように定めておく。すなわち、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#1気筒であるときには、残り3つの気筒(#3気筒、#4気筒、#2気筒の3つ)の燃料噴射開始タイミングの遅角量を#1気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1’)よりも、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#3気筒であるときには、残り3つの気筒(#4気筒、#2気筒、#1気筒の3つ)の燃料噴射開始タイミングの遅角量を#3気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1’)よりも、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#4気筒であるときには、残り3つの気筒(#2気筒、#1気筒、#3気筒の3つ)の燃料噴射開始タイミングの遅角量を#4気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1’)よりも、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#2気筒であるときには、残り3つの気筒(#1気筒、#3気筒、#4気筒の3つ)の燃料噴射開始タイミングの遅角量を#2気筒の燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1’)よりも徐々に小さくする。
また、上記第5〜第8の各所定値ITrtd1’〜ITrtd4’は燃料カットリカバー条件成立タイミングの燃圧(実際の燃圧Pfまたは目標燃圧)と、燃料カットリカバー条件成立タイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量とをパラメータとする値で与えている。すなわち、第5〜第8の各所定値ITrtd1’〜ITrtd4’は、図15に示したように、燃料カットリカバー条件成立タイミングの燃圧が一定の条件では燃料カットリカバー条件成立タイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が大きくなるほど小さくなり、また燃料カットリカバー条件成立タイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が一定の条件では燃料カットリカバー条件成立タイミングの燃圧が大きくなるほど大きくなる値である。燃料カットリカバー条件成立タイミングの燃圧が一定の条件で燃料カットリカバー条件成立タイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が大きくなるほど第5〜第8の各所定値ITrtd1’〜ITrtd4’を小さくしているのは、燃料カットリカバー条件成立タイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が大きいほど燃料噴射開始タイミングを遅角した後に燃料カット前の燃料噴射開始タイミングへと早く復帰させる必要があるためである。燃料カットリカバー条件成立タイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量が一定の条件で燃料カットリカバー条件成立タイミングの燃圧が大きいほど第5〜第8の各所定値ITrtd1’〜ITrtd4’を大きくしているのは、燃圧が大きいほど燃料噴射開始タイミングのリタード限界が遅角側に移動することに対応させたものである。
なお、図15は第5〜第8の各所定値ITrtd1’〜ITrtd4’の傾向を示すものであり、燃料カットリカバー条件成立タイミングの燃圧と、燃料カットリカバー条件成立タイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量とが同じ条件における各所定値ITrtd1’〜ITrtd4’の実際の値が異なっていることはいうまでもない。
図13Aに戻りステップ31、32で今回に燃料カットリカバー条件が成立しかつ前回に燃料カットリカバー条件が成立していたとき、つまり続けて燃料カットリカバー条件成立時にあるときにはステップ31、32よりステップ41に進み、現サイクルを経過したか否かをみる。ここで、現サイクルとは、燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒について吸気行程の開始から排気行程の終了までの期間のことで、例えば燃料カットリカバー条件成立タイミングで吸気行程にある気筒が#3気筒である場合の現サイクルを図5、図7、図8に示している。現サイクルにあるか否かは、クランク角センサ42及びカムセンサ48の信号に基づけば知ることができる。
現サイクルを経過する前にはそのまま今回の処理を終了し、現サイクルを経過したタイミングでステップ41よりステップ42に進み次回の燃料カットに備えるため設定済みフラグ=0とし、ステップ43で全ての気筒の燃料噴射開始タイミングを基本燃料噴射開始タイミングIT0に設定する(IT1=IT3=IT4=IT2=IT0)。すなわち、各気筒の燃料噴射開始タイミングを基本燃料噴射開始タイミングIT0より遅角させるのは、現サイクルにおいてだけであり、次サイクルになると各気筒の燃料噴射開始タイミングを基本燃料噴射開始タイミングIT0に戻している。
上記の設定済みフラグは、図14で前述したように4つの所定値ITrtd1〜ITrtd4が設定されたときに1となるフラグである。
なお、図示しないバックグランドジョブ(あるいは一定時間毎のジョブ)において次式によりシーケンシャル噴射時の燃料噴射パルス幅Tiを計算している。
Ti=Tp×TFBYA×α×2+Ts …(37)
ただし、Tp :基本噴射パルス幅、
TFBYA:目標当量比
α :空燃比フィードバック補正係数、
Ts :無効噴射パルス幅、
そして、上記図13A、図13Bにより設定された燃料噴射開始タイミングとなったときこの燃料噴射パルス幅Tiの分だけ各気筒に設けた燃料噴射弁13が開かれ、燃焼室への燃料噴射が行われる。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態(請求項1、7に記載の発明)によれば、エンジンの燃焼室に臨む燃料噴射弁13と、この燃料噴射弁13に作用する燃圧を可変に制御し得る燃料供給装置20とを備え、この燃料供給装置20を用いて運転条件に応じた目標燃圧が得られるように燃料噴射弁13に作用する燃圧を制御すると共に、吸気行程にある燃料噴射開始タイミングで燃料噴射弁13を開いて燃料噴射を行わせ、所定の減速運転状態でこの燃料噴射弁13からの燃料噴射を停止させる燃料カットを行い、この燃料カット中に燃料供給装置20を用いて燃料噴射弁に作用する燃圧を燃料カット直前の運転条件に応じた目標燃圧よりも上昇させ(図11Aのステップ3、10、11及び図11Bのステップ21、22、23参照)、燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して燃料噴射弁13からの燃料噴射を再開するときに燃料噴射タイミングを吸気行程にある燃料噴射タイミングよりも遅角する(図13Aのステップ34〜40及び図13Bのステップ44〜50参照)ので、燃料カット中の燃圧上昇分だけは燃料噴射弁13からの燃料噴霧が気化しやすくなって燃焼状態が良くなるため、燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを遅らせても、減速時における、エンスト性能から決まるエンジン下限保証回転に到達する前までにトルクを発生させることができ、かつ燃料カットリカバー条件が成立したタイミングから燃料カットリカバー条件が成立したタイミング後に初めてエンジントルクが発生するまでの期間を短縮できる。燃料カットリカバー条件が成立したタイミングから燃料カットリカバー条件が成立したタイミング後に初めてエンジントルクが発生するまでの期間を短くすることで、燃料カット期間が長くなり、燃費が向上する。
燃料カット中に車両が急減速されたために直ぐに燃料カットリカバー条件が成立し、燃料カットリカバー条件が成立したタイミングの直ぐ後にアイドル状態に移行する第1の場合と、燃料カット中にゆっくりと車両が減速されたために燃料カットリカバー条件が成立したタイミングの後にゆっくりとアイドル状態に移行する第2の場合とを比較すると、第1の場合には、燃料カット中に上昇させた燃圧を、アイドル状態に応じた低い目標燃圧へと素早く低下させると共に、この燃圧低下に応じて燃料噴射開始タイミングも燃料カット直前の燃料噴射開始タイミングへと素早く戻す必要がある。これに対して第2の場合には燃料カット中に上昇させた燃圧を第1の場合ほど素早く低下させる必要はなく、また燃圧を素早く低下させる必要がないため、燃料噴射開始タイミングも燃料カット直前の燃料噴射開始タイミングへと素早く戻す必要がない。
このように、第1の場合と第2の場合の違いを考慮し、本実施形態(請求項3に記載の発明)によれば、燃料カット中に車両が急減速されている場合には、燃料カット中に車両が急減速されていない場合より燃料カットリカバー回転速度を余裕代ΔNだけ上昇させると共に(図11Bのステップ22参照)、燃料噴射開始タイミングの遅角量を、燃料カット中に車両が急減速されている場合に燃料カットリカバー条件が成立して燃料噴射弁13からの燃料噴射を再開するときには、燃料カット中に車両が急減速されていない場合に燃料カットリカバー条件が成立して燃料噴射弁13からの燃料噴射を再開するときよりも所定値減らすので(図13Bステップ47〜50の第5所定値ITrtd1’を、図13Aステップ37〜40の第1所定値ITrtd1よりも、図13Bステップ47〜50の第6所定値ITrtd2’を、図13Aステップ37〜40の第2所定値ITrtd2よりも、図13Bステップ47〜50の第7所定値ITrtd3’を、図13Aステップ37〜40の第3所定値ITrtd3よりも、図13Bステップ47〜50の第8所定値ITrtd4’を、図13Aステップ37〜40の第4所定値ITrtd4よりもそれぞれ小さくしている点を参照)、第1の場合には燃料噴射開始タイミングは第2の場合よりも遅らせないように設定され、これにより、第1の場合と第2の場合とにそれぞれ最適な燃料噴射開始タイミングの遅角量を設定することができる。
本実施形態(請求項4に記載の発明)によれば、余裕代ΔNを、燃料カット中のエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量と燃料カット中の燃圧とに応じて設定するので(図12参照)、燃料カット中に車両が急減速されても、エンスト性能から決まるエンジン下限保証回転に到達する前までにトルクを発生させることができる。
本実施形態(請求項5に記載の発明)によれば、所定値(ITrtd1’〜ITrtd4’)を燃料カットリカバー条件が成立したタイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量と燃料カットリカバー条件が成立したタイミングでの燃圧とに応じて設定するので(図15参照)、燃料カットリカバー条件が成立したタイミングでのエンジン回転速度Neの所定時間あたり減少量と燃料カットリカバー条件が成立したタイミングでの燃圧とが相違しても、燃料噴射弁13からの燃料噴射を再開するときに最適な燃料噴射開始タイミングの遅角量を設定することができる。
燃料カット中にアクセルペダルが踏み込まれないままエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度にまで低下して燃料カットリカバー条件が成立し、燃料カットリカバー条件が成立したタイミングの直ぐ後にアイドル状態を含む低負荷状態に移行する第3の場合と、燃料カット中にエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度に低下する前にアクセルペダルが踏み込まれて燃料カットリカバー条件が成立し、燃料カットリカバー条件が成立したタイミングの直ぐ後に定常状態や加速状態に移行する第4の場合とを比較すると、第3の場合には、燃料カット中に上昇させた燃圧を、アイドル状態を含む低負荷状態に応じた低い目標燃圧へと急激に低下させると共に、この燃圧低下に応じて燃料噴射開始タイミングも燃料カット直前の燃料噴射開始タイミングへと素早く戻す必要がある。これに対して第4の場合には燃料カット中に上昇させた燃圧を第1の場合ほど低下させる必要はなく、また燃圧を急激に下げる必要がないため燃料噴射開始タイミングも燃料カット直前の燃料噴射開始タイミングへと素早く戻す必要がない。
このように、第3の場合と第4の場合の違いを考慮し、本実施形態(請求項6に記載の発明)によれば、燃料カット中にアクセルペダルが踏み込まれないままエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度にまで低下して燃料カットリカバー条件が成立した場合と、燃料カット中にエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度に低下する前にアクセルペダルが踏み込まれて燃料カットリカバー条件が成立した場合との燃料カットリカバー条件の違いに応じて燃料噴射開始タイミングの遅角量(ITrtd1〜ITrtd4)を相違させ(図14のステップ64、65、66、ステップ64、67参照)、燃料カット中にアクセルペダルが踏み込まれないままエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度にまで低下して燃料カットリカバー条件が成立した場合の燃料噴射開始タイミングの遅角量(A1、B1、C1、D1)を、燃料カット中にエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度に低下する前にアクセルペダルが踏み込まれて燃料カットリカバー条件が成立した場合の燃料噴射開始タイミングの遅角量(A2、B2、C2、D2)より小さく設定するので、第3の場合には燃料噴射開始タイミングは第4の場合よりも遅らせないように設定され、これにより、第3の場合と第4の場合とにそれぞれ最適な燃料噴射開始タイミングの遅角量を設定することができる。
請求項1において、燃料噴射実行手段及び減速燃料カット手段の機能はエンジンコントローラ21により、燃圧上昇手段の機能は図11Aのステップ3、10、11及び図11Bのステップ21、22、23により、燃料噴射開始タイミング遅角手段の機能は図13Aのステップ34〜40及び図13Bのステップ44〜50によりそれぞれ果たされている。
請求項7において、燃料噴射実行処理手順及び減速燃料カット処理手順はエンジンコントローラ21により、燃圧上昇処理手順は図11Aのステップ3、10、11及び図11Bのステップ21、22、23により、燃料噴射開始タイミング遅角処理手順は図13Aのステップ34〜40及び図13Bのステップ44〜50によりそれぞれ果たされている。
エンジンの一実施形態の概略構成図。 燃料供給装置の概略構成図。 要求燃圧の特性図。 燃料カット許可条件が成立して燃料カットが行われ、燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して燃料供給が再開される場合における、アクセル開度APO、アイドルスイッチ、点火時期ADV、目標当量比TFBYA、燃料噴射弁に作用する燃圧、燃料噴射開始タイミングの変化を示すタイミングチャート。 昇圧時間に余裕がある場合の燃料カットリカバー条件成立タイミング前後における、第1実施形態の各気筒の制御状態を示す行程図。 燃料カットリカバー条件成立タイミング前後における、現状の各気筒の制御状態を示す行程図。 昇圧時間に余裕がある場合の燃料カットリカバー条件成立タイミング前後における、第2実施形態の各気筒の制御状態を示す行程図。 昇圧時間が不足する場合の燃料カットリカバー条件成立タイミング前後における、第1実施形態の各気筒の制御状態を示す行程図。 燃料噴射開始タイミングとエンジントルクの関係を表す特性図。 燃料噴射開始タイミングとエンジントルクの関係を表す特性図。 目標燃圧の算出を説明するためのフローチャート。 目標燃圧の算出を説明するためのフローチャート。 余裕代の特性図。 燃料噴射を再開するときの燃料噴射開始タイミングの設定を説明するためのフローチャート。 燃料噴射を再開するときの燃料噴射開始タイミングの設定を説明するためのフローチャート。 第1〜第4の所定値の設定を説明するためのフローチャート。 第5〜第8の所定値の特性図。
符号の説明
13 燃料噴射弁
20 燃料供給装置
21 エンジンコントローラ
22 燃圧センサ
46 アイドルスイッチ

Claims (7)

  1. エンジンの燃焼室に臨む燃料噴射弁と、
    この燃料噴射弁に作用する燃圧を可変に制御し得る燃料供給装置と、
    この燃料供給装置を用いて運転条件に応じた目標燃圧が得られるように前記燃料噴射弁に作用する燃圧を制御すると共に、吸気行程にある燃料噴射開始タイミングで前記燃料噴射弁を開いて燃料噴射を行わせる燃料噴射実行手段と、
    所定の減速運転状態でこの燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させる燃料カットを行う減速燃料カット手段と、
    この燃料カット中に前記燃料供給装置を用いて前記燃料噴射弁に作用する燃圧を燃料カット直前の運転条件に応じた目標燃圧よりも上昇させる燃圧上昇手段と、
    燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して前記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを前記吸気行程にある燃料噴射開始タイミングよりも遅角する燃料噴射開始タイミング遅角手段と
    を備えることを特徴とする筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置。
  2. 前記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開するときに遅角される燃料噴射開始タイミングは圧縮行程または吸気行程後半であることを特徴とする請求項1に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置。
  3. 燃料カット中に車両が急減速されている場合には、燃料カット中に急減速されていない場合より燃料カットリカバー回転速度を余裕代だけ上昇させると共に、
    前記燃料噴射開始タイミングの遅角量を、燃料カット中に車両が急減速されている場合に燃料カットリカバー条件が成立して前記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開するときには、燃料カット中に車両が急減速されていない場合に燃料カットリカバー条件が成立して前記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開するときよりも所定値減らすことを特徴とする請求項1に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置。
  4. 前記余裕代を、燃料カット中のエンジン回転速度の所定時間あたり減少量と燃料カット中の燃圧とに応じて設定することを特徴とする請求項3に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置。
  5. 前記所定値を、燃料カットリカバー条件が成立したタイミングでのエンジン回転速度の所定時間あたり減少量と燃料カットリカバー条件が成立したタイミングでの燃圧とに応じて設定することを特徴とする請求項3に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置。
  6. 燃料カット中にアクセルペダルが踏み込まれないままエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度にまで低下して燃料カットリカバー条件が成立した場合と、燃料カット中にエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度に低下する前にアクセルペダルが踏み込まれて燃料カットリカバー条件が成立した場合との燃料カットリカバー条件の違いに応じて前記燃料噴射開始タイミングの遅角量を相違させ、燃料カット中にアクセルペダルが踏み込まれないままエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度にまで低下して燃料カットリカバー条件が成立した場合の燃料噴射開始タイミングの遅角量を、燃料カット中にエンジン回転速度が燃料カットリカバー回転速度に低下する前にアクセルペダルが踏み込まれて燃料カットリカバー条件が成立した場合の燃料噴射開始タイミングの遅角量より小さく設定することを特徴とする請求項1に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御装置。
  7. エンジンの燃焼室に臨む燃料噴射弁と、
    この燃料噴射弁に作用する燃圧を可変に制御し得る燃料供給装置と
    を備え、
    この燃料供給装置を用いて運転条件に応じた目標燃圧が得られるように前記燃料噴射弁に作用する燃圧を制御すると共に、吸気行程にある燃料噴射開始タイミングで前記燃料噴射弁を開いて燃料噴射を行わせる燃料噴射実行処理手順と、
    所定の減速運転状態でこの燃料噴射弁からの燃料噴射を停止させる燃料カットを行う減速燃料カット処理手順と、
    この燃料カット中に前記燃料供給装置を用いて前記燃料噴射弁に作用する燃圧を燃料カット直前の運転条件に応じた目標燃圧よりも上昇させる燃圧上昇処理手順と、
    燃料カット中に燃料カットリカバー条件が成立して前記燃料噴射弁からの燃料噴射を再開するときに燃料噴射開始タイミングを前記吸気行程にある燃料噴射開始タイミングよりも遅角する燃料噴射開始タイミング遅角処理手順と
    を含むことを特徴とする筒内直接噴射式火花点火エンジンの燃料噴射制御方法。
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