JP2008291158A - 耐傷付性、意匠性及び耐衝撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

耐傷付性、意匠性及び耐衝撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】高い耐傷付性、意匠性、耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂組成物、および成形品を提供する。
【解決手段】ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を共重合してなる共重合体(B)と、メタクリル酸メチル単量体及びアクリル酸メチル単量体を共重合してなる共重合体(C)からなる熱可塑性樹脂組成物(I)であって、(A)成分と(B)成分からなる組成物(II)の可溶成分の還元粘度や、樹脂組成物(I)に於けるゴム質重合体の割合、共重合体(C)の割合、共重合体(C)に於いてアクリル酸メチルを8〜20質量%含む共重合体(C’)の割合がある特定の範囲にあることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形性、耐傷付性、意匠性及び耐衝撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物、およびその成形品に関するものである。
従来、スチレン系樹脂は、良好な成形加工性と機械的特性バランスを有し、電気絶縁性に優れていることから、電気・電子機器分野、OA機器分野など、広範な分野で用いられている。しかしながら、製品化の際、樹脂を成形して得られた成形品を、例えば組み立てラインまで輸送する際、細かな擦過傷を防止する目的で柔らかい不織布等で一つずつ梱包する場合があり、多大な手間とコストが必要であった。
また、樹脂製品に様々な意匠を付与したり、使用時の製品の傷付きを防止する目的で、製品に全塗装、あるいは部分塗装を施す場合がある。しかしながら、塗装処理は塗装不良による生産の歩留まり低下を生じやすいという問題点がある。また近年のVOC排出抑制の流れから、できるだけ塗装処理を施すことなく、鮮やかな色、あるいは深みのある色に着色したり、金属調やパール調の外観を持たせる等、意匠性を付与しやすく、且つ傷の付きにくい樹脂が望まれていた。
一方、スチレン系樹脂は、スチレンとアクリロニトリル、メチルメタクリレートなどの単量体を共重合することで、メチルメタクリレート系樹脂との優れた相容性が得られることから、様々な目的でこれらのアロイが提案されている。例えば、スチレン系樹脂とメチルメタクリレート系樹脂を混合して透明性を保持しながら耐傷付性を向上する方法が挙げられる。(例えば特許文献1、2参照)しかし、これらは耐衝撃性に著しく劣るという問題があった。そこで、ゴム成分を導入することで衝撃強度を上げる検討がされている。しかしながら例えば特許文献3は透明性を損なうため意匠性に劣る、特許文献4記載の樹脂は表面硬度(耐傷付性)が充分でなく外装部品としての耐傷付性が充分でないという問題があった。
また、特許文献5、6に記載の樹脂は耐衝撃性の改良が充分でないため、外部から衝撃が殆ど加わらない用途では用いる事が出来ても、電機、電子機器やOA機器のハウジング等に必要な強度としては万が一落下した時等を考えると十分でなく実用上問題となる。また、一般的に衝撃強度を高めようとして分子量を向上させると成形性が著しく低下し、意匠性に劣ったり成形温度をかなり高くしないといけない事でヤケや熱分解によるシルバーの発生等の外観不良現象も発生しやすくなる為好ましくない。以上の事から、ある成形性のレベルの範囲でより一層の衝撃強度の向上が望まれていた。
特開昭58−194939号公報 特開平7−228740号公報 特開平11−1600号公報 特開2001−226547号公報 特開平8−73685号公報 特開2006−265407号公報
本発明は、成形性、耐傷付性、意匠性に優れ、かつ耐衝撃強度を実用上有用な強度を有する熱可塑性樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の問題を解決するために鋭意検討した結果、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とメタクリル酸メチル−アクリル酸メチル系樹脂に於いて、ある特定の範囲のアクリル酸メチルを含むメタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体を特定量配合することにより課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
即ち本発明は、以下に記載するとおりの熱可塑性樹脂組成物及びその成形品に係るものである。
[1]ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を共重合してなる共重合体(B)とメタクリル酸メチル単量体およびアクリル酸メチル単量体を共重合してなる共重合体(C)からなる樹脂組成物(I)であり、(A)成分と(B)成分からなる組成物(II)の可溶成分の還元粘度(ηsp/c)が0.60〜1.20dl/gであって、樹脂組成物(I)におけるゴム質重合体の割合が8〜13質量%、共重合体(C)の割合が40〜65質量%であり、かつ共重合体(C)に於いてアクリル酸メチルを8〜20質量%含む共重合体を共重合体(C)中に30〜70質量%含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2][1]に記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品、である。
本発明により、高い耐傷付性、意匠性、耐衝撃性、成形性を有する熱可塑性樹脂組成物、および成形品を得ることが出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)は次の(A),(B)及び(C)を基本成分として含む。
グラフト共重合体(A):ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体をグラフト重合してなる共重合体
共重合体(B):芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を共重合してなると共重合体
共重合体(C):メタクリル酸メチル単量体およびアクリル酸メチル単量体を共重合してなる共重合体
以下、上記各成分について説明する。
<グラフト共重合体(A)>
グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体をグラフト重合して得られる。
グラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム、およびこれらの水素添加物、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴム等が挙げられ、これらは単独または二種以上を組み合わせて使用することが出来る。この中で特に好ましいのは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、アクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴムである。
グラフト共重合体(A)における芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレンが挙げられ、これらは単独または二種以上を組み合わせて使用することが出来る。この中で特に好ましいのは、スチレン、およびα−メチルスチレンである。
グラフト共重合体(A)におけるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルが挙げられ、この中で特に好ましいのはアクリロニトリルである。
グラフト共重合体(A)において、透明性を阻害しない範囲で芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体の他に共重合可能な単量体を共重合することが出来る。共重合可能な単量体として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられ、この中で特に好ましいのは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレートである。
これらの単量体のグラフト共重合体(A)における含有量は、好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満、特に好ましくは3質量%未満である。これがこの範囲にあると、耐熱性、および意匠性に優れた組成物を得ることが出来る。
グラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体の体積平均粒子径は、耐衝撃性等の機械的強度、成形加工性、成形品外観のバランスから、好ましくは0.1〜1.2μm、より好ましくは0.15〜0.8μm、さらに好ましくは0.15〜0.6μm、特に好ましくは0.2〜0.4μmである。
また、グラフト共重合体(A)におけるグラフト率は、好ましくは10〜150質量%、より好ましくは20〜110質量%、さらに好ましくは25〜60質量%である。グラフト率をこの範囲にすることで、耐衝撃性に優れ、成形加工性の良好な組成物を得ることが出来る。尚、グラフト率とは、ゴム質重合体にグラフト共重合した単量体の、ゴム質重合体に対する重量割合として定義される。その測定法は、重合反応により生成した重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分と不溶分とに分離する。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分はゴム質重合体、およびゴム質重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。アセトン不溶分の重量からゴム質重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量として定義されるので、これらの値からグラフト率を求めることが出来る。
グラフト共重合体(A)において、ゴム質重合体を除く単量体のシアン化ビニル系単量体の含有量は15〜27質量%が好ましく、より好ましくは18〜23質量%である。これがこの範囲にあると、特に意匠性、および耐衝撃性に優れる。
また、ゴム質重合体の屈折率は、20℃における屈折率が1.51〜1.54が好ましい。この範囲にあると、特に意匠性に優れた組成物を得ることが出来る。
<共重合体(B)>
共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレンが挙げられ、これらは単独または二種以上を組み合わせて使用することが出来る。この中で特に好ましいのは、スチレン、およびα−メチルスチレンである。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルが挙げられ、この中で特に好ましいのはアクリロニトリルである。
共重合体(B)におけるシアン化ビニル系単量体の含有量は15〜27質量%が好ましい。これがこの範囲にあると、特に意匠性、および耐衝撃性に優れる。
共重合体(B)において、透明性を阻害しない範囲で芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体の他に共重合可能な単量体を共重合することが出来る。共重合可能な単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられ、この中で特に好ましいのは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレートである。
これらの単量体の共重合体(B)における含有量は、好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満、特に好ましくは3質量%未満である。これがこの範囲にあると、耐熱性、および意匠性に優れた組成物を得ることが出来る。
<共重合体(C)>
共重合体(C)は、メタクリル酸メチル単量体およびアクリル酸メチル単量体からなる。
また、共重合体(C)において、メタクリル酸メチル単量体及びアクリル酸メチル単量体の他に共重合可能な単量体を共重合することが出来る。共重合可能な単量体として、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が挙げられ、これらを含めて共重合した組成物を使用することが出来る。
共重合体(C)におけるメタクリル酸メチル単量体の平均含有量は80〜99.5質量%である事が好ましく、更に好ましくは85〜95質量%である。更に共重合体(C)100質量%中にアクリル酸メチル単量体の単量体を8〜20質量%、更に好ましくは8〜14質量%含む共重合体(C’)を30〜70質量%、更に好ましくは40〜60質量%含む必要がある。これがこの範囲にあると、特に成形性と耐衝撃性に優れた組成物を得ることが出来る。
また、共重合体(C)の還元粘度は0.25〜0.50dl/gが好ましく、より好ましくは0.30〜0.45dl/g、特に好ましくは0.30〜0.37dl/g、である。これがこの範囲にあると、成形性、耐衝撃性に優れた組成物を得ることが出来る。還元粘度は共重合体(C)0.50gを2−ブタノン100mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。
グラフト共重合体(A)と共重合体(B)からなる樹脂組成物(II)の可溶成分の還元粘度(ηsp/c)は0.60〜1.20dl/gであり、好ましくは0.60〜0.80dl/gである。これがこの範囲にあると耐衝撃性、成形性に優れた組成物を得ることが出来る。可溶成分とはアセトンに可溶な成分であり、該組成物をアセトンに溶解した後に遠心分離機にて遠心分離をして、上澄液を分取することにより得られる。還元粘度は、樹脂組成物(I)の可溶成分0.50gを2−ブタノン100mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。
グラフト共重合体(A)、共重合体(B)、および共重合体(C)は、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、溶液重合等、公知の方法によって製造することが出来る。
本発明の樹脂組成物の2.5mm厚平板における23℃における全光線透過率は75%以上であることが好ましく、より好ましくは77%以上である。この範囲にあると、鮮やかな色や深みのある色への着色も可能となり、意匠性に優れた組成物を得ることが出来る。
樹脂組成物(I)におけるゴム質重合体の割合は、8〜13質量%であり、好ましくは8〜12質量%である。8質量%未満では耐衝撃性に劣り、13質量%を超えると鉛筆硬度に劣る。また共重合体(C)の含有量は、40〜65質量%であり、好ましくは45〜55質量%である。これがこの範囲にあると、成形性、耐傷性、意匠性、および耐衝撃性に優れた組成物を得ることが出来る。
本発明におけるグラフト共重合体(A)/共重合体(B)/共重合体(C)、あるいは共重合体(B)/共重合体(C)からなる組成物の混合方法に特に制限は無いが、公知の溶融混合法を用いることが出来る。具体的には、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機、単軸押出機、2軸押出機、等の連続式混練機が挙げられる。
また、混練の順序に特に制限は無く、例えば全量を一括して混練する方法等が挙げられる。
本発明の成形には、一般に熱可塑性樹脂の成形に用いられている公知の方法、例えば射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形、プレス成形等の方法を用いることが出来る。
本発明においては公知の添加剤、例えば、可塑剤、滑剤(例えば、高級脂肪酸、およびその金属塩、高級脂肪酸アミド類等)、熱安定化剤、酸化防止剤(例えば、フェノール系、フォスファイト系、チオジブロプロピオン酸エステル型のチオエーテル等)、耐候剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系等)、難燃助剤(例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、抗菌剤、抗カビ剤、摺動性改良剤(例えば、低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフル、あるいは部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフル、あるいは部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)等をその目的に合わせて任意の割合で配合することが出来る。
また、意匠性を付与する目的で、公知の着色剤、例えば無機顔料、有機系顔料、メタリック顔料、染料を添加することが出来る。
無機顔料としては、例えば酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料などが挙げられる。
有機顔料としては、例えばアゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料などが挙げられる。
メタリック顔料としては、例えばリン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属をメッキやスパッタリングで被覆したものなどが含まれる。
染料としては、例えばニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、等が挙げられる。
これらの着色剤は、単体、あるいは二種以上を組み合わせて使用することが出来る。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。また、実施例における評価は以下の方法に従って行った。
(1)ノッチ付シャルピー衝撃強さ
ISO179に準じて、評価した。10kJ/m以上を合格とした。
(2)荷重たわみ温度(1.8MPa荷重)
ISO75−1,2に準じて、評価した。70℃以上を合格とした。
(3)メルトボリュームフローレート
ISO1133に準じて、220℃、荷重98Nで評価した。7g/10min以上を合格とした。
(4)全光線透過率
射出成形機を用いて、シリンダー温度=240℃、金型温度=60℃にて5cm×9cm、厚み2.5mmの平板を射出成形した。この平板を用いて、ASTM D1003に準じて評価した。75%以上を合格とした。
(5)鉛筆硬度
(4)と同様にして平板を作成し、JIS K5400 鉛筆ひっかき値に準じて評価した。(鉛筆:JIS S6006規定、重り:1.0kg、試験片と鉛筆の芯の角度45°)
鉛筆硬度は、2B、B、HB、F、H、2H、3Hの順に硬くなり、傷付きにくくなる。鉛筆硬度がFよりも硬いものを合格とした。
[製造例1]
(グラフト共重合体(A−1)の製造)
ポリブタジエンゴムラテックス(日機装(株)社製マイクロトラック粒度分析計「nanotrac150」にて測定した体積平均粒子径=0.25μm、固形分量=45質量%)100質量部に、ターシャリードデシルメルカプタン0.1質量部、および脱イオン水45質量部を加え、気相部を窒素置換した後、55℃に昇温した。続いて、1.5時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリロニトリル11質量部、スチレンを44質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.5質量部、クメンハイドロパーオキシド0.15質量部よりなる単量体混合液、および脱イオン水22質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2質量部、硫酸第一鉄0.004質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.04質量部を溶解してなる水溶液を4時間にわたり添加した。添加終了後1時間、反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させた。
このようにして得られたABSラテックスに、シリコーン樹脂製消泡剤、およびフェノール系酸化防止剤エマルジョンを添加した後、硫酸アルミニウム水溶液を加えて凝固させ、さらに、十分な脱水、水洗を行った後、乾燥させてグラフト共重合体(A−1)を得た。該共重合体の組成比は、フーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル10.9質量%、ブタジエン45.5質量%、スチレン43.6質量%であった。またグラフト率は40質量%、非グラフト成分(アセトン可溶分)の還元粘度(0.50g/100ml、2−ブタノン溶液中、30℃測定)は0.33dl/gであった。
[製造例2]
(共重合体(B−1)の製造)
特公平6−96625公報の実施例1に記載の方法にて、アクリロニトリル、およびスチレンを、溶媒としてセカンダリーブチルアルコールを用い、重合反応器に上記混合液を連続的に添加し、重合計の温度を140から160℃にコントロールして重合反応を行った。その後、未反応のモノマーを真空下にて除去し、共重合体(B−1)の固形粉末を得た。該共重合体の組成は、フーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル20.8質量%、スチレン79.2質量%であった。また、還元粘度は0.67dl/gであった。
[製造例3]
<共重合体(B−2)の製造>
製造例2と同様にして共重合体(B−2)を得た。この共重合体のアクリロニトリル25.5質量%、スチレン74.5質量%であった。また、還元粘度は0.73dl/gであった。
[製造例4]
<共重合体(B−3)の製造>
製造例2と同様にして共重合体(B−3)を得た。この共重合体のアクリロニトリル21.2質量%、スチレン78.8質量%であった。また、還元粘度は0.81dl/gであった。
[製造例5]
<共重合体(B−4)の製造>
製造例2と同様にして共重合体(B−4)を得た。この共重合体のアクリロニトリル20.2質量%、スチレン79.8質量%であった。また、還元粘度は0.50dl/gであった。
[製造例6]
<共重合体(C−1)の製造>
メタクリル酸メチル68.6質量%、アクリル酸メチル1.4質量%、エチルベンゼン30質量%からなる単量体混合物に、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン150ppm、およびn−オクチルメルカプタン1500ppmを添加し、均一に混合した。この溶液を内容積10リットルの密閉式耐圧反応器に連続的に供給し、攪拌下に平均温度135℃、平均滞留時間2時間で重合した後、反応器に接続された貯槽に連続的に送り出し、減圧下に揮発分を除去し、さらに押出機に連続的に溶融状態で移送した。ここで、押出機に接続した添加剤投入口からラウリン酸とステアリルアルコールを90℃で溶融した状態で定量的に供給して、共重合体(C−1)のペレットを得た。この共重合体の還元粘度は、0.35dl/gであり、熱分解ガスクロ法を用いて組成分析したところ、メタクリル酸メチル単位/アクリル酸メチル単位=98.0/2.0(重量比)の結果を得た。さらに、樹脂組成物中のラウリン酸とステアリルアルコールを定量したところ、樹脂組成物100質量部当たり、それぞれ0.03および0.1質量部との結果を得た。
[製造例7]
<共重合体(C−2)の製造>
メタクリル酸メチル63.0質量%、アクリル酸メチル7質量%、エチルベンゼン30質量%、及び1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、およびn−オクチルメルカプタンの量を変化させた以外は製造例6と同様に共重合体(C−2)を得た。この共重合体の還元粘度は、0.32dl/gであり、熱分解ガスクロ法を用いて組成分析したところ、メタクリル酸メチル単位/アクリル酸メチル単位=90.0/10.0(重量比)であった。
[製造例8]
<共重合体(C−3)の製造>
メタクリル酸メチル59.5質量%、アクリル酸メチル10.5質量%、エチルベンゼン30質量%、及び1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、およびn−オクチルメルカプタンの量を変化させた以外は製造例6と同様に共重合体(C−3)を得た。この共重合体の還元粘度は、0.30dl/gであり、熱分解ガスクロ法を用いて組成分析したところ、メタクリル酸メチル単位/アクリル酸メチル単位=85.0/15.0(重量比)であった。
[製造例9]
<共重合体(C−4)の製造>
メタクリル酸メチル52.5質量%、アクリル酸メチル17.5質量%、エチルベンゼン30質量%、及び1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、およびn−オクチルメルカプタンの量を変化させた以外は製造例6と同様に共重合体(C−4)を得た。この共重合体の還元粘度は、0.28dl/gであり、熱分解ガスクロ法を用いて組成分析したところ、メタクリル酸メチル単位/アクリル酸メチル単位=75.0/25.0(重量比)であった。
[製造例10]
<共重合体(C−5)の製造>
メタクリル酸メチル66.0質量%、アクリル酸メチル4.0質量%、エチルベンゼン30質量%、及び1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、およびn−オクチルメルカプタンの量を変化させた以外は製造例6と同様に共重合体(C−5)を得た。この共重合体の還元粘度は、0.34dl/gであり、熱分解ガスクロ法を用いて組成分析したところ、メタクリル酸メチル単位/アクリル酸メチル単位=94.3/5.7(重量比)であった。
[実施例1]
充分に乾燥し、水分除去を行ったグラフト共重合体(A−1)20質量部、共重合体(B−1)30質量部、共重合体(C−1)25質量部、共重合体(C−2)25質量部を混合した後、これをホッパーに投入し、二軸押出機(PCM−30、L/D=28、池貝鉄工(株)製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数150rpm、混練樹脂の吐出速度15kg/hrの条件で混練して樹脂ペレットを得、各特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜7、比較例1〜8]
表1、2に示す組成割合で各成分を配合し、実施例1と同様にして樹脂ペレットを得、評価を行った。評価結果を表1〜2に示す。
Figure 2008291158
Figure 2008291158
実施例1〜7は、耐衝撃性(シャルピー衝撃強度)、耐熱性(荷重たわみ温度)等の機械的物性と成形性(メルトボリュームフローレイト)、耐傷付性(鉛筆硬度)のバランスに優れ、さらに高い光透過性(全光線透過率)を有していることから鮮やかな色や深みのある色への着色も可能である。
一方、比較例1はグラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体の量が本発明で規定する数値範囲未満であるため耐衝撃性が適合しない。
比較例2はグラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体の量が本発明で規定する数値範囲を超えるため耐傷付性が適合しない。
比較例3は組成物(II)の還元粘度が本発明で規定する範囲を下回っているため、耐衝撃性が適合しない。
比較例4は共重合体(C’)の成分を含んでいないため耐熱性が適合しない。
比較例5は共重合体(C)に於ける共重合体(C’)の成分の割合が本発明で規定する数値範囲を超えるため耐衝撃性が適合しない。
比較例6は共重合体(C)に於ける共重合体(C’)の成分の割合が本発明で規定する数値範囲を下回るため成形性が適合しない。
比較例7は共重合体(C’)成分を含んでおらず、かつアクリル酸メチルの量が少ないため成形性が適合しない。
比較例8は共重合体(C)の割合が本発明で規定する数値範囲を超えるため光透過性が適合せず意匠性や外観に問題が生じる可能性がある。
本発明の組成物を用いることで、機械的物性と耐傷性のバランスに優れ、高い意匠性、を有する成形品を得ることが出来る。

Claims (2)

  1. ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)と芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体からなる単量体を共重合してなる共重合体(B)とメタクリル酸メチル単量体およびアクリル酸メチル単量体を共重合してなる共重合体(C)からなる樹脂組成物(I)であり、(A)成分と(B)成分からなる組成物(II)の可溶成分の還元粘度(ηsp/c)が0.60〜1.20dl/gであって、樹脂組成物(I)におけるゴム質重合体の割合が8〜13質量%、共重合体(C)の割合が40〜65質量%であり、かつ共重合体(C)に於いて、アクリル酸メチルを8〜20質量%含む共重合体(C’)を共重合体(C)中に30〜70質量%含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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