JP2008290382A - 液体噴射装置及び液体噴射方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】用紙先端が排出ローラ対にニップされるまでのドット形成品質、或いは用紙後端が搬送ローラ対から抜けた後のドット形成品質の、より一層の向上を図る。
【解決手段】プリンタ1は、記録ヘッド23の往路と復路におけるドット位置ずれ補正値を有し、記録実行時にドット位置ずれ補正値を適用する。このドット位置ずれ補正値は、用紙種類・サイズ、用紙がいずれの搬送経路を経由するか(搬送経路条件)、用紙先端/後端の余白設定(フチなし・あり)、用紙先端/後端領域の記録デューティ値、使用する用紙給送手段の用紙残量、温度・湿度等の環境条件、などに基づいて、最適な補正値に設定される。経時変化する条件については、記録開始後に必要に応じて再度取得し、補正値を変更すべきような状況変化が生じている場合には、補正値を再設定する。
【選択図】図5
【解決手段】プリンタ1は、記録ヘッド23の往路と復路におけるドット位置ずれ補正値を有し、記録実行時にドット位置ずれ補正値を適用する。このドット位置ずれ補正値は、用紙種類・サイズ、用紙がいずれの搬送経路を経由するか(搬送経路条件)、用紙先端/後端の余白設定(フチなし・あり)、用紙先端/後端領域の記録デューティ値、使用する用紙給送手段の用紙残量、温度・湿度等の環境条件、などに基づいて、最適な補正値に設定される。経時変化する条件については、記録開始後に必要に応じて再度取得し、補正値を変更すべきような状況変化が生じている場合には、補正値を再設定する。
【選択図】図5
Description
本発明は、被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射装置及び当該液体噴射装置における液体噴射方法に関する。ここで液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置を一例とし、更にこの様な記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
液体噴射装置の一例としてのインクジェットプリンタにおいては、記録ヘッドを主走査方向に往復動作させて双方向印刷を行う際に、往路で形成されるドットと復路で形成されるドットの位置ずれ(インクの着弾位置ずれ)が生じることがあり、その為に従来からドット位置ずれを補正する技術が採用されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、特許文献3には、記録ヘッドにおけるインク吐出面と記録面との距離が安定しない用紙先端及び後端において、記録面との距離が所定の範囲内となるノズルを用いて記録を実行する記録装置が記載されている。
特許第3557915号公報
特開2005−22404号公報
特開2004−230817
上記特許文献3に記載される様に、近年においては記録用紙の四辺に余白無く記録を行う所謂「フチ無し印刷」を実行可能なインクジェットプリンタが広く用いられる様になっている。記録用紙は記録ヘッドの上流側に設けられた搬送ローラ対と、記録ヘッドの下流側に設けられた排出ローラ対と、によって下流側へ搬送されるが、フチ無し印刷を実行可能なプリンタでは、用紙先端が排出ローラ対に到達していない状態では搬送ローラ対のみによって搬送されながら記録が行われ、また用紙後端が搬送ローラ対を外れた後は排出ローラ対のみによって搬送されながら記録が行われる。
ここで、記録用紙が搬送ローラ対と排出ローラ対の双方にニップされている状態では、記録用紙を記録ヘッドと対向する位置に設けられた紙案内(プラテン)に確実に押し付けながら搬送することができ、これにより記録ヘッドと記録用紙との間のギャップは安定的に維持される。しかしながら用紙先端が排出ローラ対にニップされるまでの間(用紙先端へのフチ無し印刷時)、及び用紙後端が搬送ローラ対を抜けた後(用紙後端へのフチ無し印刷時)には、記録ヘッドに対して用紙が浮き上がり易い。
特に排出ローラ対は、インクの転着や白ヌケ等を防止する為に片側のローラに歯付きローラが用いられる関係上、記録用紙を強く挟持することができず、この為用紙後端が搬送ローラ対から抜けて排出ローラ対のみによって搬送される際には、記録ヘッドに対して用紙がより一層浮き上がり易い。
図7は一例として用紙後端が搬送ローラ対から抜ける際の浮き上がりを示すものであり、符号4は搬送ローラ対、符号18は搬送駆動ローラ、符号19は搬送従動ローラ、符号5は排出ローラ対、符号25は排出駆動ローラ、符号26は排出従動ローラ、符号24は補助ローラ、符号23は記録ヘッド、符号27は紙案内をそれぞれ示している。
符号P(実線)は搬送ローラ対4によってニップされた状態の記録用紙を示しており、この状態では、記録用紙が紙案内27にしっかりと押し付けられ、用紙浮きは生じ難い。しかし、符号P’(2点鎖線)で示す様に、用紙後端が搬送ローラ対4から抜けると、用紙後端は紙案内27から浮き上がり、その結果双方向印刷時のドット位置ずれが生じることになる。図8はドット位置ずれの様子を説明する為の説明図であり、図8(A)は用紙が搬送ローラ対4によってニップされている状態でのドットパターンを示している。用紙が搬送ローラ対4によってニップされている状態では、双方向印刷時のドット位置ずれは適正に調整されている為、ずれは殆ど無い。
尚、図8(A)では、説明の便宜上、往路と復路のドットパターンを若干ずらして描いているが、ドット位置ずれが適正に調整されていれば、実際には一本の線になる。また、図8では、説明の便宜上、往路で形成されるドットパターンを実線で、復路で形成されるドットパターンを破線で、それぞれ示している。
図8(B)は用紙後端が搬送ローラ対4から抜けた後のドットパターンを示すものであり、図示する様に往路と復路でドットパターンは斜めになる。特に用紙浮きの著しい上流側ノズル(#kノズル:図7)では、往路と復路のドット位置ずれが顕著になり、ドット形成品質の低下が視認し易くなる。
この様なドット形成品質の低下を緩和する為には、往路と復路のインク吐出タイミングを例えば中間のインク吐出ノズルに合わせる方法が考えられ、こうすることにより図8(C)に示す様に、特に最上流側ノズル(#kノズル)におけるドット位置ずれ量が小さくなる。
しかしながらプリンタには複数の用紙給送手段を備えたものがあり、各用紙給送手段により給送される用紙は、湾曲状態の異なる搬送経路を経由して搬送される。即ち、搬送経路毎に、用紙に形成される湾曲姿勢(カール)が異なることとなるため、記録が実行される際の用紙の浮き上がり状態(用紙とインク吐出ノズルとの距離)が、搬送経路毎に異なる場合が生じる。従ってドット位置ずれを補正する為の補正値として一律に同じものを用いると、ドット位置ずれを適切に補正することができない虞がある。また、記録が実行される際の用紙の浮き上がり状態は、用紙の吸湿量等により左右されるため、このような条件をも考慮する事が好ましい。
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、用紙先端が排出ローラ対にニップされるまでのドット形成品質、或いは用紙後端が搬送ローラ対から抜けた後のドット形成品質の、より一層の向上を図ることにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る液体噴射装置は、被噴射媒体に対して液体を噴射することにより被噴射媒体にドットを形成する液体噴射ノズルを備えた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを主走査方向に往復移動させる主走査手段と、被噴射媒体を副走査送りする、前記液体噴射ヘッドの上流側に設けられる搬送ローラ対及び前記液体噴射ヘッドの下流側に設けられる排出ローラ対を備えて構成された副走査手段と、被噴射媒体を前記搬送ローラ対へ案内する複数の被噴射媒体搬送経路と、被噴射媒体の搬送経路上における位置を検出する検出手段と、前記液体噴射ヘッド、前記主走査手段、前記副走査手段、を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、被噴射媒体の先端が前記排出ローラ対にニップされるまでの間における液体噴射実行時、及び被噴射媒体の後端が前記搬送ローラ対を抜けた後における液体噴射実行時、の少なくともいずれか一方において、前記液体噴射ヘッドの往路と復路におけるドット位置ずれを補正する為の補正値を、前記被噴射媒体搬送経路に応じて調整することを特徴とする。
本態様によれば、制御部は、前記液体噴射ヘッドの往路と復路におけるドット位置ずれを補正する為の補正値を、被噴射媒体搬送経路に応じて調整するので、被噴射媒体搬送経路毎に異なる、被噴射媒体に形成される姿勢(浮き上がり状態)に適した補正値を用いてドット位置ずれを補正することができ、被噴射媒体の先端と後端に液体噴射を行う際のドット形成品質をより一層向上させることができる。
尚、上記検出手段が検出する「被噴射媒体の搬送経路上における位置(即ち、副走査方向における位置)」とは、被噴射媒体の先端位置、又は後端位置、或いは先端及び後端の位置、のいずれかを意味するものであり、また被噴射媒体の後端位置は、検出手段から得た被噴射媒体の先端位置情報と、被噴射媒体の長さに関する情報と、をもとに、上記制御部が把握することができるものとする。
本発明の第2の態様に係る液体噴射装置は、第1の態様に係る液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体に対して噴射する液体の量に応じて、前記補正値を調整することを特徴とする。
被噴射媒体に対して噴射する液体の量が異なると、被噴射媒体の姿勢(浮き上がり状態)も変化し、被噴射媒体と液体噴射ノズルとの距離も変化する。そして本態様において制御部は、被噴射媒体に対して噴射する液体の量に応じて前記補正値を調整するので、被噴射媒体に対して噴射する液体の量に応じて異なる被噴射媒体の姿勢(浮き上がり状態)に適した補正値を用いてドット位置ずれを補正することができ、被噴射媒体の先端と後端に液体噴射を行う際のドット形成品質をより一層向上させることができる。
被噴射媒体に対して噴射する液体の量が異なると、被噴射媒体の姿勢(浮き上がり状態)も変化し、被噴射媒体と液体噴射ノズルとの距離も変化する。そして本態様において制御部は、被噴射媒体に対して噴射する液体の量に応じて前記補正値を調整するので、被噴射媒体に対して噴射する液体の量に応じて異なる被噴射媒体の姿勢(浮き上がり状態)に適した補正値を用いてドット位置ずれを補正することができ、被噴射媒体の先端と後端に液体噴射を行う際のドット形成品質をより一層向上させることができる。
本発明の第3の態様に係る液体噴射装置は、第1のまたは第2の態様に係る液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体周囲の環境条件に応じて、前記補正値を調整することを特徴とする。
被噴射媒体周囲の環境条件、例えば、温度及び湿度条件が異なると、被噴射媒体の姿勢(浮き上がり状態)も変化し、被噴射媒体と液体噴射ノズルとの距離も変化する。そして本態様において制御部は、被噴射媒体周囲の環境条件に応じて、前記補正値を調整するので、環境条件に応じて異なる被噴射媒体の姿勢(浮き上がり状態)に適した補正値を用いてドット位置ずれを補正することができ、被噴射媒体の先端と後端に液体噴射を行う際のドット形成品質をより一層向上させることができる。
本発明の第4の態様に係る液体噴射装置は、第1から第3の態様のいずれかに係る液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体の先端が前記排出ローラ対にニップされるまでの間における液体噴射実行時と、被噴射媒体の後端が前記搬送ローラ対を抜けた後における液体噴射実行時と、のそれぞれに固有の前記補正値を適用することを特徴とする。
被噴射媒体の先端が排出ローラ対にニップされるまでの間における液体噴射実行時と、被噴射媒体の後端が搬送ローラ対を抜けた後における液体噴射実行時とでは、被噴射媒体を搬送するローラ、即ち被噴射媒体の姿勢に影響を及ぼすローラが異なる為、被噴射媒体の姿勢(浮き上がり状態)も変化し、被噴射媒体と液体噴射ノズルとの距離も変化する。
そして本態様において制御部は、被噴射媒体の先端が前記排出ローラ対にニップされるまでの間における液体噴射実行時と、被噴射媒体の後端が前記搬送ローラ対を抜けた後における液体噴射実行時と、のそれぞれに固有の前記補正値を適用するので、それぞれの液体噴射実行時に適した補正値を用いてドット位置ずれを補正することができ、被噴射媒体の先端と後端に液体噴射を行う際のドット形成品質をより一層向上させることができる。
本発明の第5の態様に係る液体噴射装置は、第1から第4の態様のいずれかに係る液体噴射装置において、前記制御部は、前記液体噴射ヘッドの主走査方向における位置に応じて、前記補正値を調整することを特徴とする。
例えば被噴射媒体が主走査方向にカールしていると、主走査方向において被噴射媒体の端部と中央部とで浮き上がり量が異なり、従って被噴射媒体の端部と中央部とで同一の前記補正値を適用すると、ドット位置ずれを適切に補正できない。そこで本態様においては、前記制御部は、前記液体噴射ヘッドの主走査方向における位置に応じて、前記補正値を調整するので、ドット形成品質のより一層の向上を図ることができる。
例えば被噴射媒体が主走査方向にカールしていると、主走査方向において被噴射媒体の端部と中央部とで浮き上がり量が異なり、従って被噴射媒体の端部と中央部とで同一の前記補正値を適用すると、ドット位置ずれを適切に補正できない。そこで本態様においては、前記制御部は、前記液体噴射ヘッドの主走査方向における位置に応じて、前記補正値を調整するので、ドット形成品質のより一層の向上を図ることができる。
本発明の第6の態様に係る液体噴射装置は、第1から第5の態様のいずれかに係る液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体の種類に応じて、前記補正値を調整することを特徴とする。
被噴射媒体の種類によって、例えば剛性が異なり、この結果被噴射媒体先端が排出ローラ対にニップされるまでの浮き上がり量、或いは被噴射媒体後端が搬送ローラ対から外れた後の浮き上がり量が異なり、従って適用すべきドット位置ずれ補正値も異なる場合がある。本態様によれば、前記制御部は、被噴射媒体の種類に応じて、前記補正値を調整するので、ドット形成品質のより一層の向上を図ることができる。
本発明の第7の態様に係る液体噴射装置は、第1から第6の態様のいずれかに係る液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体のサイズに応じて、前記補正値を調整することを特徴とする。
被噴射媒体のサイズによって、例えば被噴射媒体先端が排出ローラ対にニップされるまでの浮き上がり量、或いは被噴射媒体後端が搬送ローラ対から外れた後の浮き上がり量が異なり、従って適用すべきドット位置ずれ補正値も異なる場合がある。本態様によれば、前記制御部は、被噴射媒体のサイズに応じて、前記補正値を調整するので、ドット形成品質のより一層の向上を図ることができる。
本発明の第8の態様に係る液体噴射装置は、第1から第7の態様のいずれかに係る液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体に噴射する液体の種類に応じて、前記補正値を調整することを特徴とする。
被噴射媒体に噴射する液体の種類が異なる場合、例えば、液体の一例としてのインクを被噴射媒体に噴射(吐出)する場合の当該インクの色が異なる場合、インクの組成によって、ドット位置ずれ(インク飛行特性)に差異が生じる場合がある。そして本態様においては、前記制御部が、被噴射媒体に噴射する液体の種類に応じて、前記補正値を調整するので、ドット形成品質のより一層の向上を図ることができる。
本発明の第9の態様は、被噴射媒体に対して液体を噴射することにより被噴射媒体にドットを形成する液体噴射ノズルを備えた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを主走査方向に往復移動させる主走査手段と、被噴射媒体を副走査送りする、前記液体噴射ヘッドの上流側に設けられる搬送ローラ対及び前記液体噴射ヘッドの下流側に設けられる排出ローラ対を備えて構成された副走査手段と、被噴射媒体を前記搬送ローラ対へ案内する複数の被噴射媒体搬送経路と、被噴射媒体の搬送経路上における位置を検出する検出手段と、前記液体噴射ヘッド、前記主走査手段、前記副走査手段、を制御する制御部と、を備えた液体噴射装置における液体噴射方法であって、前記制御部は、被噴射媒体の先端が前記排出ローラ対にニップされるまでの間における液体噴射実行時、及び被噴射媒体の後端が前記搬送ローラ対を抜けた後における液体噴射実行時、の少なくともいずれか一方において、前記液体噴射ヘッドの往路と復路におけるドット位置ずれを補正する為の補正値を、前記被噴射媒体搬送経路に応じて調整することを特徴とする。
本態様によれば、前記液体噴射ヘッドの往路と復路におけるドット位置ずれを補正する為の補正値を、被噴射媒体搬送経路に応じて調整するので、被噴射媒体搬送経路毎に異なる被噴射媒体の姿勢(浮き上がり状態)に適した補正値を用いてドット位置ずれを補正することができ、被噴射媒体の先端と後端に液体噴射を行う際のドット形成品質をより一層向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について図1乃至図6を参照しながら説明する。図1は本発明の「液体噴射装置」の一実施形態に係る記録装置としてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)1の側断面図、図2は記録ヘッド23のノズル配置を示す図、図3は制御部50のブロック図、図4はドット位置ずれを補正する為の補正値の設定手順を示すフローチャート、図5はドット位置ずれを補正する為の補正値の設定方法を示すフローチャート、図6は搬送経路/温湿度条件/用紙先端・後端、の各要素に応じて設定された補正値を示す表である。
以下、図1乃至図3を参照しながらプリンタ1の構成について概説する。尚、以下では、図1の右方向(プリンタ前方側)を用紙搬送経路の「下流側」と言い、図1の左方向を同「上流側」と言うこととする。
以下、図1乃至図3を参照しながらプリンタ1の構成について概説する。尚、以下では、図1の右方向(プリンタ前方側)を用紙搬送経路の「下流側」と言い、図1の左方向を同「上流側」と言うこととする。
プリンタ1は、装置後部にリア給送装置2を、装置下部にフロント給送装置3を備え、これら2つの給送装置から、搬送ローラ対4へと「被記録媒体」或いは「被噴射媒体」としての記録用紙(以下「用紙P」と言う)を給送する。給送された用紙Pは搬送ローラ対4又は排出ローラ対5から送り力を受け、或いは搬送ローラ対4と排出ローラ対5の双方から送り力を受けて下流側に送られ(副走査)、液体の一例としてのインクを吐出(噴射)する液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド23により記録が実行される。そして記録ヘッド23によって記録の行われた用紙Pは、下流側の排出ローラ対5によって装置前方へ排出される。
また、リア給送装置2の後部には反転装置8が設けられており、最初に記録の行われた用紙Pの第1面に対して反対側の第2面に記録が可能となるよう、用紙Pを反転させ、これにより用紙Pの両面への記録も実行可能となっている。
以下、更に詳説する。図1においてリア給送装置2は、用紙給送経路上の構成要素として、ホッパ12と、給送ローラ11とを備えている。複数枚の用紙Pを積層状態でセット可能な用紙セット部を構成するホッパ12は、上部の揺動支点12aを中心に揺動可能に設けられ、揺動することにより、ホッパ16上に支持された用紙Pを給送ローラ11に圧接させる姿勢(上昇姿勢)と、給送ローラ11から離間させる姿勢(下降姿勢)と、を切り換える。
給送ローラ11は円形状を成し、外周が高摩擦材によって形成され、ホッパ12によって押し上げられた用紙Pの最上位のものと接触し且つ回転することにより、最上位の用紙Pを下流側へ給送する。
一方、プリンタ1の底部に設けられ、用紙Pを装置前方からセットする様構成されたフロント給送装置3は、給紙カセット30と、ピックアップローラ31と、給送ローラ32と、を備えている。
ピックアップローラ31は、装置前方側から装着及び取り外し可能な給紙カセット30にセットされた用紙Pの最上位のものと接して回転することにより、当該最上位の用紙Pを給紙カセット30から繰り出す。給送ローラ32は給紙カセット30から繰り出された最上位の用紙Pを湾曲反転させて、搬送ローラ対4へと給送する。
ピックアップローラ31は、装置前方側から装着及び取り外し可能な給紙カセット30にセットされた用紙Pの最上位のものと接して回転することにより、当該最上位の用紙Pを給紙カセット30から繰り出す。給送ローラ32は給紙カセット30から繰り出された最上位の用紙Pを湾曲反転させて、搬送ローラ対4へと給送する。
次に、リア給送装置2及びフロント給送装置3の下流側であって搬送ローラ対4の上流側には、用紙Pの先端及び後端の通過を検出するセンサ17が設けられており、このセンサ17からの検出信号と、給送ローラ11、搬送駆動ローラ18、排出駆動ローラ25、のこれら回転駆動量と、によって、プリンタ1の制御部50(後述)は、用紙Pの搬送経路上(副走査方向)における位置(用紙の先端位置、後端位置)を把握することが可能となっている。尚、用紙後端位置は、用紙の先端位置情報と、制御部50がプリンタドライバから受信する用紙サイズ情報と、をもとに把握することもできる。
センサ17としては、例えば反射光の強弱変化によって用紙Pの先端或いは後端の通過を検出する光学センサや、用紙Pと接触することにより用紙Pの先端或いは後端の通過を検出するメカニカルセンサ等を用いることができる。
搬送ローラ対4は、PFモータ66(図3)によって回転駆動される搬送駆動ローラ18と、該搬送駆動ローラ18に圧接して従動回転する搬送従動ローラ19とを備えている。搬送駆動ローラ18は用紙幅方向に延びる軸体によって形成され、搬送従動ローラ19は紙案内上15に自由回転可能に軸支されるとともに、図示しない付勢手段によって搬送駆動ローラ18に向けて付勢されている。
記録ヘッド23と対向する位置には紙案内前27が設けられており、この紙案内前27によって用紙Pと、記録ヘッド23のヘッド面との距離が規定される。記録ヘッド23は、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、の4色のカートリッジによって構成されたインクカートリッジ(図示せず)を搭載可能なキャリッジ21の下部に設けられている。キャリッジ21は、キャリッジガイド軸22にガイドされながら、CRモータ62(図3)によって主走査方向(図1の紙面の表裏方向)に往復動する。
そしてキャリッジ21が主走査方向に往復動しながら記録ヘッド23が駆動制御され、記録ヘッド23から各色のインクが吐出(噴射)されることにより、用紙Pに記録が行われる。図2に示す様に記録ヘッド23は、インク色毎のノズルアレイ(K,C,M,Y)に、複数のノズル#1〜#k(kは整数)が副走査方向に沿って等間隔で配置されている(#1は最も下流側のノズル)。各ノズルからは、ヘッドドライバ59(図3)から駆動信号が供給されることにより液体としてのインクが吐出され、前記駆動信号によってその吐出タイミング、吐出量(形成されるドットの大きさ)を調整可能となっている。
図1に戻って、記録ヘッド23によって記録の行われた用紙Pは、回動駆動される排出駆動ローラ25と、排出駆動ローラ25に接して従動回動する排出従動ローラ26とを備えた排出ローラ対5によって、装置前方に設けられた図示しないスタッカへ向けて排出される。尚、符号24は、用紙Pの紙案内前24からの浮き上がりを防止する補助ローラを示している。
ここで、プリンタ1は、用紙Pの先端及び後端に余白無く記録を行う所謂フチ無し印刷を実行可能に構成されている。用紙Pの先端にフチ無し印刷を実行する際には、用紙Pの先端は排出ローラ対5に到達していないので、用紙Pは搬送ローラ対4のみから送り力を受ける。次に、用紙Pの先端が排出ローラ対5に到達すると、用紙Pは搬送ローラ対4と排出ローラ対5の双方から送り力を受ける。そして用紙Pの後端が搬送ローラ対4から抜けると、用紙Pは排出ローラ対5のみから送り力を受ける。この様にフチ無し印刷では、用紙Pの搬送方向における位置に応じて、用紙Pの送り精度を支配するローラが切り換わる。以上により搬送ローラ対4と排出ローラ対5は、用紙Pを副走査送りする副走査手段7を構成する。
尚、プリンタ1は両面記録モードを有しており、両面記録を行う場合には、第1面に記録を実行すると用紙Pを装置外部へ排出せずに、用紙を上流側に引き戻し、反転装置8へと引き込む。反転装置8はフィードローラ42と反転ローラ41とを備えており、反転ローラ41によって用紙Pを湾曲反転させる経路が形成されている。用紙Pはフィードローラ42によって送られながら反転ローラ41により反転させられ、最初に記録の行われた第1面とは反対側の第2面が記録ヘッド38と対向する面となり、第1面と同様に搬送手段5によって下流側へ副走査送りされながら、第2面への記録が実行される。
続いて図3を参照しながら、プリンタ1の各種制御を行う、制御部50について説明する。制御部50は、プリンタ1に記録データやその他の情報を送信するホスト・コンピュータ100との間でデータの送受信が可能に構成され、ホスト・コンピュータ100とのインタフェースであるIF51と、ASIC52、RAM53、PROM54及びEEPROM55、CPU56、タイマIC57、DCユニット58、紙送り(PF)モータドライバ61、キャリッジ(CR)モータドライバ60、ヘッドドライバ59、を備えている。
CPU56はプリンタ1の制御プログラムを実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行い、タイマIC57は、CPU56に対して各種処理に必要な周期的な割り込み信号を発生させる。ASIC52は、ホスト・コンピュータ100からIF51を介して送信される記録データに基づいて記録解像度や記録ヘッド23の駆動波形等を制御するものである。RAM53は、ASIC52およびCPU56の作業領域や他のデータの1次格納領域として用いられ、PROM54およびEEPROM55には、プリンタ1を制御する為に必要な各種制御プログラム(ファームウェア)および処理に必要なデータ等が格納されている。
DCユニット58は、DCモータ(CRモータ62及びPFモータ66)の速度制御を行う為の制御回路であり、図示を省略するPID制御部、加速制御部、PWM制御回路等を有している。DCユニット58は、CPU56から送られてくる制御命令や、ロータリエンコーダ69、リニアエンコーダ64、等の各種センサ(検出手段)からの出力信号に基づいてDCモータの速度制御を行う為の各種演算を行い、CRモータドライバ60及びPFモータドライバ61へ信号を送出する。
PFモータドライバ61は、DCユニット58の制御の下、PFモータ66を駆動制御する。PFモータ66は、本実施形態においては複数の駆動対象、即ち、前述した搬送駆動ローラ18、排出駆動ローラ25、を回動させる。尚、符号68は無端ベルト、符号67は搬送駆動ローラ18の軸端に取り付けられる従動プーリ、を示しており、また搬送駆動ローラ18から排出駆動ローラ25へは、図示を省略する動力伝達機構によって動力が伝達される様になっている。
CRモータドライバ60は、DCユニット58の制御の下、CRモータ62を駆動制御することによりキャリッジ21を主走査方向に往復動させ、または停止・保持させ、ヘッドドライバ59は、CPU56の制御の下、ホスト・コンピュータ100から送信された記録データに従って記録ヘッド23を駆動制御する。符号63はCRモータ62の回転軸に取り付けられた駆動プーリ62aと、図示しない従動プーリとの間に係回される無端ベルトを示しており、当該無端ベルト63の一部にキャリッジ21が固定される。以上の様にキャリッジ21を主走査方向に駆動する手段が記録ヘッド23を主走査方向に往復移動させる主走査手段6を構成する。
CPU56およびDCユニット58には、搬送駆動ローラ18(PFモータ66)の回転量、回転方向、回転速度を検出する為のロータリエンコーダ69からの出力信号と、キャリッジ21の主走査方向における絶対位置を検出するリニアエンコーダ64からの出力信号とが与えられる。
ロータリエンコーダ69は、外周部に多数の透光部を有する円盤状スケール69bと、透光部に対して発光する発光部および前記透光部を通過した光を受光する受光部を備えた検出部69aと、を有し、円盤状スケール69bの回動に従って検出部69aが透光部を通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、制御部50は、この様なロータリエンコーダ69からの出力信号を受信することによって、搬送駆動ローラ18及び排出駆動ローラ25の回転量、回転速度、回転方向を算出し、これにより、目的とする用紙Pの紙送り制御を実行することができる様になっている。
リニアエンコーダ64は、主走査方向に長い符号板64bと、該符号板64bにおいて主走査方向に複数形成された透光部に対して発光する発光部および前記透光部を通過した光を受光する受光部を備えた検出部64aを有している。検出部64aは、前記透光部を通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、制御部50は、この様な検出部64aからの出力信号を受信することによって、キャリッジ21の主走査方向における位置や速度を算出する。
また温度センサ70は、紙案内前27周囲の温度(記録ヘッド23と対向する位置における用紙周囲の温度)を検出し、湿度センサ71は、紙案内前27周囲の湿度を検出する。
以上がプリンタ1の構成であり、以下、図4乃至図6を参照しながら、記録ヘッド23が主走査方向に往復動する際の往路と復路におけるドット位置ずれを補正する為の補正値(以下「ドット位置ずれ補正値」、或いは単に「補正値」と言う)について説明する。
以上がプリンタ1の構成であり、以下、図4乃至図6を参照しながら、記録ヘッド23が主走査方向に往復動する際の往路と復路におけるドット位置ずれを補正する為の補正値(以下「ドット位置ずれ補正値」、或いは単に「補正値」と言う)について説明する。
図4に示すように制御部50は、記録開始に先立って、補正値設定条件A、Bを取得する(ステップS101)。補正値設定条件A、Bは、例えば、ホスト・コンピュータ100上で動作するプリンタドライバが把握する、用紙種類や記録品質等のユーザによって設定される情報、及びプリンタ1における各種センサ等からの情報内容、をもとに把握可能な内容であり、図5に示すように補正値設定条件Aは経時変化しない条件で構成され、補正値設定条件Bは経時変化する条件で構成される。
具体的には、補正値設定条件Aは一例として[用紙種類・サイズ]、[搬送経路条件(両面/リア/フロント)]、[用紙先端/後端][用紙先端/後端の余白設定(フチなし・あり)]、[用紙先端領域/後端領域の記録デューティ値]、により構成される。また補正値設定条件Bは、一例として[使用する用紙給送手段の用紙残量]、[温度・湿度]、により構成される。そしてドット位置ずれ補正値は、これら条件をもとにして設定される。
ここで[搬送経路条件(両面/リア/フロント)]とは、用紙がリア給送装置2、フロント給送装置3のいずれから給送されるか、また両面記録を行うか否か(反転装置8を経由するか否か)、を意味するものである。これは、用紙に形成される湾曲状態(カール)が、用紙搬送経路毎に異なる為である。
即ち、図1から明かなようにリア給送装置2から給送される用紙(符号P1で示す)と、フロント給送装置3から給送される用紙(符号P2で示す)と、反転装置8を経由する用紙(符号P3で示す)と、のそれぞれが異なる湾曲姿勢を付与される結果、図7に示したような紙案内前27からの用紙浮き量、カール方向等が異なることとなる為、従ってこの様な条件の違いに応じて、補正値を設定する。同様に、[用紙種類・サイズ]が異なると用紙浮き量が異なることとなる為、用紙種類・サイズに応じて、補正値を設定する。
[用紙先端/後端の余白設定(フチなし・あり)]は、余白が大きい場合にはフチなし記録は行われず、用紙浮きが生じ無いことから、従って用紙先端/後端の余白設定(フチなし・あり)に応じて、補正値を設定する。
[用紙先端領域/後端領域の記録デューティ値]は、用紙先端領域/後端領域に対して吐出するインクの量についての情報であり、インク量が多い場合には用紙浮きが生じ難いことから、従って用紙先端領域/後端領域の記録デューティ値に応じて、補正値を設定する。尚、記録デューティ値は、記録データそのものによって変化する他、記録モード(高精細モード、高速印刷モード、等)や自動画質調整(記録画質向上の為のプリンタドライバによる自動的なデータ処理)の有無等の設定条件によっても異なる。
[使用する用紙給送手段の用紙残量]は、各給送手段における用紙束の厚みを意味し、即ち用紙を給送する際における用紙束の厚みが異なれば、送り出される用紙に形成される湾曲姿勢が異なり、用紙浮きの程度が異なることとなるので、従って使用する用紙給送手段の用紙残量に応じて、補正値を設定する。尚、用紙残量(用紙束の厚み)は、各給送手段にセットされた用紙束の厚みを計測する手段により把握することができる。
[温度・湿度]については、例えば高温多湿環境においては用紙浮きの程度が小さいので、従って温度・湿度に応じて、補正値を設定する。
尚、上記例に挙げた補正値を設定する為の条件の他にも、用紙の紙案内前27からの浮き上がり量に影響を及ぼす条件が存在すれば、それに基づいてドット位置ずれ補正値を設定可能であることは言うまでもない。例えば、インク色によってインク滴の飛行特性が異なる場合には、インク色(インク種類)に応じて補正値を設定することもできる。
尚、上記例に挙げた補正値を設定する為の条件の他にも、用紙の紙案内前27からの浮き上がり量に影響を及ぼす条件が存在すれば、それに基づいてドット位置ずれ補正値を設定可能であることは言うまでもない。例えば、インク色によってインク滴の飛行特性が異なる場合には、インク色(インク種類)に応じて補正値を設定することもできる。
また例えば用紙が主走査方向にカールしていると、主走査方向において用紙端部と中央部とで浮き上がり量が異なるので、記録ヘッド23の主走査方向における位置に応じてドット位置ずれ補正値を変化させることもでき、これによってドット形成品質のより一層の向上を図ることができる。
また、例えば用紙が湾曲経路を通過することによって当該用紙に形成されるカール状態は、用紙が湾曲経路を通過した後の時間経過に伴って緩和される場合があるので、用紙(用紙先端領域或いは後端領域)が湾曲経路を通過してから記録が実行される迄の時間に基づいて補正値を変化させることもできる。
次に、図4に戻って、用紙先端余白値と用紙後端余白値が基準以下であるか否か(フチなし記録を行うか否か)を判断する(ステップS102)。用紙先端余白値が基準以下でない場合(否定枝)、即ちフチ無し記録を行わない場合には、図7を参照しつつ説明したような用紙浮きの状態で記録を実行しない(用紙先端または後端が常にニップされた状態で記録される)為、用紙種類などの必要最小限の条件に基づいて予め定められた適切な補正値(通常補正値)にて記録を実行する(ステップS110)。
一方、ステップS102で「Yes」の場合には、上記各条件に基づき最適な補正値を設定し(ステップS103)、記録ジョブを開始する(ステップS104)。記録ジョブ開始後は、記録ジョブ終了まで(ステップS109)、経時変化する条件(補正値設定条件B)を再取得すべきか否かを判断し(ステップS105)、経時変化する条件を再取得すべきと判断する場合には(ステップS105の肯定枝)、補正値設定条件Bを取得する(ステップS106)。その結果補正値変更条件を満たす場合には(ステップS107の肯定枝)、補正値を変更する(ステップS108)。
ここで本実施形態においては、経時変化する条件(補正値設定条件B)を再取得すべきか否かの判断(ステップS105)は、所定枚数(例えば、2枚)の記録が行われたか否か、及び所定時間(例えば、3分)が経過したか否か、に基づいて行われる。これは、所定枚数記録した場合、用紙給送手段の残量(用紙束の厚み)変化により用紙に形成される湾曲姿勢が変化する可能性がある為である。また、所定時間が経過した場合には、温度・湿度の変化によって用紙浮き量が変化する可能性がある為である。
そしてステップS107において補正値を変更するか否かの判断は、用紙給送手段にセットされた用紙束の厚みが予め定められた変化量を超えたか否か、及び温度・湿度が予め定められた変化量を超えたか否か、により行われる。
以上説明した様に、ドット位置ずれ補正値は、最初に記録ジョブ開始時に取得した補正値設定条件A、Bに基づいて設定し(ステップS103)、記録が開始された後は、必要に応じて経時変化する条件(補正値設定条件B)を再取得し(ステップS106)、補正値を変更すべきような状況変化が生じている場合には、補正値を再設定する(ステップS108)。
尚、ドット位置ずれ補正値は、用紙先端が排出ローラ対5にニップされる迄の間、用紙が搬送ローラ対4と排出ローラ対5の双方にニップされている間、用紙が搬送ローラ対4から抜けた後、のそれぞれについて個別に設定されるものであり、図4及び図5を参照しつつ説明したドット位置ずれ補正値の設定方法は、用紙先端が排出ローラ対5にニップされる迄の間、及び用紙が搬送ローラ対4から抜けた後、におけるドット位置ずれ補正値の決定に適用される。
また、用紙先端が排出ローラ対5にニップされる迄の間における用紙浮きの程度と、用紙が搬送ローラ対4から抜けた後における用紙浮きの程度とでは異なる場合もあり、このような場合には双方の用紙浮き量の差を考慮して、用紙先端が排出ローラ対5にニップされる迄の間と用紙が搬送ローラ対4から抜けた後とで個別に補正値を設定する。
図6は用紙搬送経路/温湿度条件/用紙先端・後端、の各要素に応じて設定されたドット位置ずれ補正値の一例を示しており、リア給送装置2から用紙を給送する場合であって温湿度条件1のときに、用紙先端への記録実行時に補正値Rtを用い、用紙後端への記録実行時に補正値Rbを用いることを示している。
例えば、温湿度条件2が温湿度条件1よりも高温多湿の場合には、用紙浮きの程度が緩和される為、用紙先端への記録実行時には補正値Rtから調整値α0を引いた値を補正値として用い、同様に用紙先端への記録実行時には補正値Rbから調整値α0を引いた値を補正値として用いる。尚、フロント給送装置2からの用紙給送の場合はα1、反転装置8を経由する場合はα2を差し引く。
温湿度条件1のときにフロント給送装置3から用紙を給送する場合には、リア給送装置2から用紙が給送される場合に対して用紙に形成されるカール方向が逆である為、用紙浮きの程度が緩和され、従って用紙先端への記録実行時には補正値Rtから調整値r1_tを引いた値を補正値として用い、同様に用紙後端への記録実行時には補正値Rbから調整値r1_bを引いた値を補正値として用いる。
同様に、反転装置8を経由する場合には、補正値Rtから調整値r2_tを引いた値を補正値として用い(用紙先端)、或いは、補正値Rbから調整値r2_bを引いた値を補正値として用いる(用紙後端)。
この様な補正値は、使用が予定される複数種類の用紙(プリンタドライバに登録される用紙)について、予め各条件下で用紙浮き量を計測することにより求めることができる。尚、記録デューティ値や、環境条件(温度・湿度等)などのように全ての条件について予め実験により用紙浮き量を計測することが困難な要素については、例えば記録デューティ値であれば複数条件にて実験を行い、その結果をもとに記録デューティ値と用紙浮き量の関係について計算式を作成し、その計算式をもとにして補正値或いは調整値を求めるようにしても良い。
この様な補正値は、使用が予定される複数種類の用紙(プリンタドライバに登録される用紙)について、予め各条件下で用紙浮き量を計測することにより求めることができる。尚、記録デューティ値や、環境条件(温度・湿度等)などのように全ての条件について予め実験により用紙浮き量を計測することが困難な要素については、例えば記録デューティ値であれば複数条件にて実験を行い、その結果をもとに記録デューティ値と用紙浮き量の関係について計算式を作成し、その計算式をもとにして補正値或いは調整値を求めるようにしても良い。
1 インクジェットプリンタ、2 リア給送装置、3 フロント給送装置、4 搬送ローラ対、5 排出ローラ対、6 主走査手段、7 副走査手段、8 反転装置、11 給送ローラ、12 ホッパ、15 紙案内上、17 センサ、18 搬送駆動ローラ、19 搬送従動ローラ、20 紙案内前、21 キャリッジ、22 キャリッジガイド軸、23 記録ヘッド、24 補助ローラ、25 排出駆動ローラ、26 排出従動ローラ、27 紙案内前、30 給紙カセット、31 ピックアップローラ、32 給送ローラ、33 ガイドローラ、41 反転ローラ、42 送りローラ、50 制御手段、51 IF、52 ASIC、53 RAM、54 ROM、55 EEPROM、56 CPU、57 タイマIC、58 DCユニット、59 ヘッドドライバ、60 キャリッジ(CR)モータドライバ、61 紙送り(PF)モータドライバ、62 キャリッジ(CR)モータ、64 リニアエンコーダ、66 紙送り(PF)モータ、69 ロータリエンコーダ、70 温度センサ、71 湿度センサ、P 記録用紙
Claims (9)
- 被噴射媒体に対して液体を噴射することにより被噴射媒体にドットを形成する液体噴射ノズルを備えた液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを主走査方向に往復移動させる主走査手段と、
被噴射媒体を副走査送りする、前記液体噴射ヘッドの上流側に設けられる搬送ローラ対及び前記液体噴射ヘッドの下流側に設けられる排出ローラ対を備えて構成された副走査手段と、
被噴射媒体を前記搬送ローラ対へ案内する複数の被噴射媒体搬送経路と、
被噴射媒体の搬送経路上における位置を検出する検出手段と、
前記液体噴射ヘッド、前記主走査手段、前記副走査手段、を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、被噴射媒体の先端が前記排出ローラ対にニップされるまでの間における液体噴射実行時、及び被噴射媒体の後端が前記搬送ローラ対を抜けた後における液体噴射実行時、の少なくともいずれか一方において、前記液体噴射ヘッドの往路と復路におけるドット位置ずれを補正する為の補正値を、前記被噴射媒体搬送経路に応じて調整する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1に記載の液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体に対して噴射する液体の量に応じて、前記補正値を調整する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1または2に記載の液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体周囲の環境条件に応じて、前記補正値を調整する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体の先端が前記排出ローラ対にニップされるまでの間における液体噴射実行時と、被噴射媒体の後端が前記搬送ローラ対を抜けた後における液体噴射実行時と、のそれぞれに固有の前記補正値を適用する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載の液体噴射装置において、前記制御部は、前記液体噴射ヘッドの主走査方向における位置に応じて、前記補正値を調整する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1から5のいずれかに記載の液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体の種類に応じて、前記補正値を調整する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1から6のいずれかに記載の液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体のサイズに応じて、前記補正値を調整する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 請求項1から7のいずれかに記載の液体噴射装置において、前記制御部は、被噴射媒体に噴射する液体の種類に応じて、前記補正値を調整する、
ことを特徴とする液体噴射装置。 - 被噴射媒体に対して液体を噴射することにより被噴射媒体にドットを形成する液体噴射ノズルを備えた液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを主走査方向に往復移動させる主走査手段と、
被噴射媒体を副走査送りする、前記液体噴射ヘッドの上流側に設けられる搬送ローラ対及び前記液体噴射ヘッドの下流側に設けられる排出ローラ対を備えて構成された副走査手段と、
被噴射媒体を前記搬送ローラ対へ案内する複数の被噴射媒体搬送経路と、
被噴射媒体の搬送経路上における位置を検出する検出手段と、
前記液体噴射ヘッド、前記主走査手段、前記副走査手段、を制御する制御部と、を備えた液体噴射装置における液体噴射方法であって、
被噴射媒体の先端が前記排出ローラ対にニップされるまでの間における液体噴射実行時、及び被噴射媒体の後端が前記搬送ローラ対を抜けた後における液体噴射実行時、の少なくともいずれか一方において、前記液体噴射ヘッドの往路と復路におけるドット位置ずれを補正する為の補正値を、前記被噴射媒体搬送経路に応じて調整する、
ことを特徴とする液体噴射方法。
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