JP2010221405A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録ヘッドの走査方向において記録位置ずらし量を変化させて記録位置調整を行うと、調整値の変わり目でスジが発生し、画像品位の低下を招く。
【解決手段】 記録ヘッドの記録位置のずれ量を走査方向の複数の位置で取得して、取得したずれ量に所定数のノズルごとに異なる補正量を加算することで、ずれ量の変化する位置を分散させる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、記録ヘッドよりインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
従来から、インクジェット記録装置では、記録媒体上でのドットの記録される位置(インク滴の着弾位置)のずれを補正する技術が知られている。特許文献1には、記録ヘッドを搭載したキャリッジの走査方向の位置に応じてインクの吐出タイミングを制御することで、キャリッジと記録媒体との距離が走査方向で変動した場合にも、走査方向の位置によらず記録位置を正確に補正できる技術が開示されている。
特開特開平11−240146号公報
しかしながら、キャリッジの走査方向の位置に応じてインクの吐出タイミングを制御した場合、目標の記録位置にドットを記録することができるが、吐出タイミングを補正した位置で白スジまたは黒スジが発生してしまう。
図20は、従来の記録位置調整方法により、キャリッジの走査方向の位置に応じてインクの吐出タイミングを制御した場合のスジの発生を説明する図である。図20(A)は、キャリッジの走査方向の位置と記録位置ずれ量との関係を示す概略図である。同図において、42で示す破線が目標の記録位置であり、目標記録位置に対してのずれ量を縦軸に示している。同図に示すように、走査方向における記録位置のずれ量は連続的に変化する。
図20(B)は、図20(A)のように走査方向に記録位置ずれが変動する場合に、記録位置ずれ量に合わせてインクの吐出タイミングずらし量を生成するときの、記録位置ずれ量と吐出タイミングずらし量との関係を示す図である。吐出タイミングずらし変化量はキャリッジエンコーダの1ステップ単位で生成することが可能であり、図20(B)においては、現在の吐出タイミングから1ステップ遅くするか、1ステップ早くするようにインク吐出タイミングを補正している。
上記のように吐出タイミングを補正した場合、記録位置のずらし量の不連続が発生する。図20(C)には、走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施しない場合(C−1)、実施した場合(C−2)それぞれの走査方向におけるドット100の配置を示す。破線15は目標の記録位置を示しており、同図では走査方向において所定の間隔で記録位置を補正している。走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施していない場合、ある目標記録位置(図中左側)に対して記録位置ずれが補正されドット間のずれ量は近接領域においては微小になるが、図中右側の目標記録位置に対しては記録位置のずれが発生する。
一方で、走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施した場合、走査方向の複数の目標記録位置に対して記録位置ずれが補正される。このように記録位置調整を実施する場合、どの記録位置においても目標記録位置に対し近い位置にドットを記録することができる。しかし、ずらし量を変化させる位置(目標記録位置)では、近接のドットとの微小なずれ量よりも大きい変化量を加えることになり、画像にスジが発生する。この図の例では白スジが発生し、ドットの重なり方によっては黒スジが発生する場合もある。
そこで、本発明は、キャリッジの走査方向の位置に応じて記録位置のずれを補正する際に、スジの発生に伴う画像品位の低下を軽減することである。
本発明は、インクを吐出するためのノズルを有する記録ヘッドを走査方向に走査させることにより記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの記録位置のずれ量を前記走査方向の複数の位置で取得する取得手段と、前記取得したずれ量に所定数のノズルごとに異なる補正量を加算する加算手段とを有し、前記加算された記録位置ずれ量に基づいて画像を記録することを特徴とする。
本発明によれば、キャリッジの走査方向の位置に応じて記録位置のずれを補正する際にスジの発生に伴う画像品位の低下を軽減することができる。
本発明を適用可能な記録装置の斜視図。 反射型光学センサを説明するための模式図。 本実施形態の記録装置の制御回路の概略ブロック図。 本実施形態の記録位置調整方法の特徴を説明する図。 本実施形態の記録位置調整方法の手順を示すフローチャート。 記録媒体と記録ヘッドとの距離の変動を示す図。 反射型光学式センサ30の出力変化を示す図。 主滴およびサテライトの飛翔の様子を示す図。 記録位置ずらし量を変化させる方法の概要を説明する図。 記録位置ずれ量を変化させる手順を示すフローチャート。 記録位置調整によるドット配置の変化を示す図。 図11の3状態(A)〜(C)における記録位置ずれ量を示す図。 記録位置ずらし量を変化させたときのドット配置を示す図。 図13のドット配置の平均ずれ量を説明する図。 キャリッジの姿勢変動による記録位置ずれの変動を説明する図。 キャリッジの姿勢変動を検出する調整パターンを示す図。 12色のインクを搭載した記録装置の記録位置ずれの例を示す図。 記録位置ずれ量を検出するパターンの全体図。 記録ずらし量位置を変化させたときの記録位置ずれ量を示す図。 従来の記録位置調整方法を説明する図。
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の外観斜視図である。インクジェット記録装置(以下、記録装置ともいう)2の前面に手差し挿入口88が設けられ、その下部に前面へ開閉可能なロール紙カセット89が設けられている。また、記録紙等の記録媒体は手差し挿入口88又はロール紙カセット89から記録装置内部へと供給される。インクジェット記録装置は、2個の脚部93に支持された装置本体94、排紙された記録媒体を積載するスタッカ90、内部が透視可能な透明で開閉可能なアッパカバー91を備えている。また、装置本体94の右側には、操作パネル12、インク供給ユニット及びインクタンクが配設されている。
記録装置2は、さらに、記録紙等の記録媒体を矢印B方向(副走査方向)に搬送するための搬送ローラ70と、記録媒体の幅方向(矢印A方向、走査方向)に往復走査を可能に案内支持されたキャリッジユニット(キャリッジ)4を備えている。さらに、キャリッジ4を矢印A方向に往復移動させるためのキャリッジモータ(不図示)及びキャリッジベルト(以下、ベルト)270と、キャリッジ4に装着された記録ヘッド1とを備える。また、インクを供給するとともに記録ヘッド1の吐出口の目詰まりなどによるインク吐出不良を解消させるための吸引式インク回復ユニット9とを備えている。また、走査方向にはリニアスケールが設けられており、エンコーダセンサ(不図示)の出力パルスをカウントすることでキャリッジ4の相対的な移動距離が検知され、この情報に基づいてインクの吐出タイミングも制御される。
この記録装置の場合、キャリッジ4には、記録媒体にカラー記録を行うために、12色のカラーインクに対応して12のヘッドからなる記録ヘッド1が装着されている。以上の構成で、搬送ローラ70によって記録媒体を所定の記録開始位置まで搬送した後、キャリッジ4により記録ヘッド1を主走査方向に走査させる動作と、搬送ローラ70により記録媒体を副走査方向に搬送させる動作とを繰り返すことにより記録が行われる。
即ち、ベルト270およびキャリッジモータ(不図示)によってキャリッジ4が図2に示された矢印A方向に移動することにより、記録媒体に記録が行われる。キャリッジ4が走査される前の位置(ホームポジション)に戻されると、搬送ローラによって記録媒体が副走査方向(図2に示された矢印B方向)に搬送される。その後、再び図2中の矢印A方向にキャリッジを走査することにより、記録媒体に対する画像や文字等の記録が行なわれる。上記の動作を繰り返し、記録媒体の1枚分の記録が終了すると、その記録媒体はスタッカ90内に排紙され、1枚分の記録が完了する。
また、キャリッジ4には反射型光学センサ30が設けられており(不図示)、これは記録位置のずれを検出するために、記録媒体(用紙)に記録された調整パターンの濃度を検出する機能を果たす。キャリッジ4の走査方向への走査および副走査方向への用紙搬送動作を組み合わせることにより、光学センサ30は用紙上に記録された調整パターンの濃度を検出することができる。なお、反射型光学センサ30は用紙の端部検知に利用しても良い。
図2は、反射型光学センサ30を説明するための模式図である。反射型光学センサ30は、発光部11と受光部12を有している。発光部11から発した光Iin16は被記録媒体3の表面で反射する。反射光としては正反射と乱反射が存在するが、記録媒体3上に記録された画像の濃度をより正確に検出のためは乱反射光Iref17を検出することが望ましい。そのため、受光部12は発光部11からの光の入射角と異なるよう配置している。検出し得られた検出信号は記録装置の電気基板に伝えられる。
ここでは、C,M,Y,Kなどの主インクや特色インクを含む全てのインク吐出を行なうヘッドについてのレジ調整を行なうために、発光部としては白色LEDもしくは3色LED、受光部としては可視光域に感度をもつフォトダイオードを用いるものとする。ただし、重ね記録された互いの相対記録位置と濃度の関係を検出する場合において、異なるインクのノズル列同士の調整を行なう場合には、検出感度の高い色を選択可能である3色LEDを用いることがより好適である。なお、詳しくは後述するが記録媒体3上に記録された画像の濃度の検出においては、濃度の絶対値を検出する必要はなく相対的な濃度が検出できれば良い。また、後述する調整パターン群に属する各パターン(パッチとも呼ぶ)内の相対的な濃度差が検出できる程度の検出分解能を有していれば良い。
さらに、反射型光学センサ30を含む検出系の安定度に関しては、調整パターン群を一式検出し終わるまでに検出濃度差に影響を与えない程度であれば良い。感度調整については、例えば、用紙の非記録部分に光学センサ30を移動して行なう。調整方法としては、検出レベルが上限値となるように発光部11の発光強度の調整を行なう、あるいは、受光部12内で検出アンプの利得調整を行なう方法がある。なお、感度調整は必須ではないが、S/Nを向上させ検出精度を高める方法として好適である。
反射型光学センサ30の空間解像度は、一つの調整パターンの記録領域よりも小さい領域を検知できる解像度であることが望ましい。所定の領域を複数回の記録走査で完成させるマルチパス記録において、2つのパターン群を走査方向と副走査方向それぞれに、隣接するように調整パターン群を記録した場合、副走査方向の記録幅はパス数に応じて小さくなるため記録パス数によりセンサの解像度は制限を受ける。また、センサの解像度から記録パス数(記録幅)を決定しても良い。また、記録媒体と反射型光学センサの距離が変わるとフォトトランジスタで受光する光量が変化するようになっており、記録媒体とキャリッジ4との距離(記録媒体と記録ヘッドとの距離に相当)も検出可能になっている。
図3は、記録装置2の制御回路の概略ブロック図である。コントローラ400は主制御部であり、例えばマイクロコンピュータ形態のCPU401、プログラムや所要のテーブルその他の固定データを格納したROM403、画像データを展開する領域や作業用の領域等を設けたRAM405を有する。ホスト装置410は、画像データの供給源である。具体的には、画像記録に係る画像等のデータの作成、処理等を行なうコンピュータの他、画像読み取り用のリーダ部等の形態であってもよい。画像データ、その他のコマンド、ステータス信号等は、インタフェース(I/F)412を介してコントローラ400と送受信される。操作部420は操作者による指示入力を受容するスイッチ群である。電源スイッチ422、吸引回復の起動を指示するための回復スイッチ426がある。また、マニュアルでレジ調整を行なうためのレジ調整起動スイッチ427、マニュアルで該調整値を入力するためのレジ調整値設定入力部429等を有する。センサ群430は装置の状態を検出するためのセンサ群であり、上述の反射型光学センサ30、ホームポジションを検出するためのフォトカプラ109および環境温度を検出するために適宜の部位に設けられた温度センサ434等を有する。
ヘッドドライバ440は、プリントデータ等に応じて記録ヘッド1内の吐出ヒータを駆動するドライバである。ヘッドドライバ440は、プリントデータを吐出ヒータの位置に対応させて整列させるシフト・レジスタ、適宜のタイミングでラッチするラッチ回路がある。さらに、駆動タイミング信号に同期して吐出ヒータを作動させる論理回路素子の他、ドット記録位置調整のために駆動タイミング(吐出タイミング)を適切に設定するタイミング設定部等を有する。
記録ヘッド1には、サブヒータが設けられている。サブヒータはインクの吐出特性を安定させるための温度調整を行なうものであり、吐出ヒータと同時にプリントヘッド基板上に形成された形態および/または記録ヘッド本体ないしはヘッド・カートリッジに取り付けられる形態とすることができる。モータドライバ450はキャリッジモータ452を駆動するドライバであり、LFモータ462は記録媒体を搬送するために用いられるモータであり、モータドライバ460はそのドライバである。
以下、本実施形態の記録位置調整方法の詳細について説明する。本実施形態の記録位置調整方法は、走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施するにあたりラスターごとに記録位置のずらし量を変化させることを特徴としている。これにより、走査方向の複数の位置で記録位置ずらし量を変化させたときにドット間の間隔が大きく変化したとしても、間隔が大きく変化する走査方向の位置がラスターごとに異なるので、画像品位の低下を軽減できる。
図4は、本実施形態の記録位置調整方法の特徴を説明する図である。図4(A)は、走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施しない場合のドット配置、(B)は従来の方法により走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施した場合のドット配置である。また、(C)には本実施形態の記録位置調整方法により走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施した場合のドット配置を示す。同図では、51〜56の6ラスターそれぞれに6ドット分のドットを配置する例を示している。また、本実施形態ではマルチパス記録に記録を行っており、同一ラスターは同パスで記録している。即ち、ラスター51を1パス目、ラスター52を2パス目、ラスター53を3パス目、ラスター54を4パス目、ラスター55を5パス目、ラスター56を6パス目で記録する。
図4(A)では、走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施していないために、右側の目標記録位置に対し記録位置ずれが発生する。これに対して、図4(B)のように複数の目標記録位置に対し記録位置調整を実施した場合、目標記録位置からの記録位置ずれ量は同一ラスター(同一パス)で一定となる。したがって、走査方向の同じ位置で記録位置調整が実施される。この場合、ドットとドットの間に隙間ができて白スジが発生する(あるいは、ドット同士が走査方向に重なりあって黒スジが発生する)。
本実施形態では、図4(C)のようにラスター(パス)ごとに記録位置ずらし量を変化させることによりスジの発生を軽減する。つまり、ラスター51では(B)と同じ位置で記録位置ずらし量を変化させ、ラスター52ではラスター51よりも2ステップ後のタイミングで記録位置ずらし量を変化させる。同様にして、ラスター53ではラスター51よりも2ステップ前のタイミング、ラスター54ではラスター51よりも1後のタイミングで記録位置ずらし量を変化させる。さらに、ラスター55ではラスター51よりも1ステップ前のタイミング、ラスター56ではラスター51と同じタイミングで記録位置ずらし量を変化させる。
以上のように、本実施形態の記録位置調整方法では、ラスター(パス)ごとに記録位置ずらし量を変化させており、吐出タイミングが変更になる位置が分散されるのでスジの発生を軽減することができる。
続いて、本実施形態における記録位置調整方法の一連の手順を示す。図5は、本実施形態の記録位置調整方法の手順を示すフローチャートである。なお、本記録位置調整方法は、制御部としてのCPU401がRAM403に格納されたプログラムを読み出して実行する。
まず、ステップ1においてマルチパス記録のパス数Nを特定する。パス数は、ホスト装置から画像データとともにに受信する制御情報(画像品位および記録媒体)に基づいて決定される。また、同ステップではKを1にセットする。Kは所定領域の画像を記録する際のカウンタであり、現在記録中の画像に対して何パス目の記録であるかをモニタできるようになっている。
次に、ステップ2において、ROM403に格納されている記録位置ずらし量を取得する。この記録位置のずらし量は、反射型光学センサの検出結果等から算出されROM403に格納されているものであり、走査方向に応じて複数の値が設定されている。記録位置ずらし量の算出方法については、後述する。
次に、ステップ3では、記録位置を基準としたずらし量から吐出タイミングを基準としたずらし量へと変換して、吐出タイミングずらし量を決定する。吐出タイミングをずらすには、キャリッジエンコーダを基準として生成されるトリガを基準にインクを吐出させるためのヒート信号の生成タイミングをずらす。吐出タイミングをずらす場合、キャリッジエンコーダを基準に実施しても良いし、キャリッジエンコーダを基準に生成されるトリガを基準にしても良い。
次に、ステップ4では1回の走査(1パス分の記録)が終了し、次のパスに移行する際にKの値をカウントアップする。
次に、ステップ5でマルチパス記録のパス数NとKとを比較確認する。Kがパス数Nよりも小さい場合(所定領域のマルチパス記録が完了していない場合)にはステップ6へ移行し、N=Kの場合にはステップ7へ移行する。
ステップ6では、記録位置ずらし量にパスごとに異なる補正量を加えて、パス(ラスター)ごとに記録位置ずらし量を増減させる。ステップ6の後は、ステップ3以降の処理を再び繰り返す。なお、ここでの処理方法については後述する。
ステップ7では、記録終了かを確認し、記録が終了していない場合には同様の操作をステップ1から繰り返す。
(記録位置ずらし量の取得)
本実施形態において、記録位置のずらし量は走査方向に応じて複数の値が設定されおり、上記複数の位置で求められる記録位置のずれ量を相殺する値として算出される。
まず、図6を用いて記録媒体と記録ヘッドとの距離が走査方向で変動したときの記録位置ずれを説明する。図6は、記録媒体3とキャリッジ4(記録ヘッド1)との距離(以下、ヘッド紙間距離ともいう)が走査方向で変動している様子を示す断面図である。ヘッド紙間距離が所定の距離にないと、往方向のキャリッジ移動で記録される位置と復方向で記録される位置とでずれが発生する。また、ある特定位置で往方向と復方向の記録位置が合うように往方向、復方向それぞれの吐出タイミングを決定し、この吐出タイミングで走査方向全域を記録した場合、ヘッド紙間距離に変動があると記録位置のずれが発生する。したがって、図6に示すように、走査方向の複数の位置(目標記録位置42)にごとに往方向と復方向の記録位置ずれ量を求め、吐出タイミングを決定する必要がある。この場合、往方向と復方向の記録位置ずれ量を求め、この記録位置ずれ量に対し往方向と復方向で2分の1ずつインク吐出タイミングを調整することが望ましい。
次に、記録位置ずれ量の算出方法について説明する。記録位置のずれ量はヘッド紙間距離とインク飛翔速度とキャリッジの移動速度に基づいて算出され、ヘッド紙間距離はキャリッジに搭載した反射型光学センサ30で測定することが可能である。
図7は、記録媒体との距離が変化した時の反射型光学式センサ30の出力変化を示す。同図において、32はプラテン上の記録媒体の基準高さであり、記録媒体の高さ位置が変動することでヘッド紙間距離も変動する。なお、37は記録媒体の高さ変動領域である。なお、37の高さ変動領域において、出力変化がほぼ線形を保つように反射型光学センサ内の発光部、受光部の配置を決める。例えば、基準の高さを「0mm」としてそのときの出力値に対して、「−0.3mm」および「0.3mm」の相対的な出力値を求める。高さ変動領域37において線形が保たれているため、例えば「−0.3mm」高さの位置の出力が「0.4(相対値)」、「0.3mm」高さの位置の出力が「0.6(相対値)」であるときを考える。このとき、光学式センサの出力が「0.5(相対値)」の場合、高さは「0mm」と検出される。つまり、予め基準高さにおける反射型光学センサの出力を校正することで、反射型光学センサの出力から高さ変動を取得することができる。なお、反射型光学センサを構成する発光用LED及び受光用フォトトランジスタの素子ばらつきを校正するために、発光側で発光量を調整して受光側で増幅度を調整してもよい。
このような出力値の調整を行い、反射型光学センサを用いて走査方向の複数の位置でヘッド紙間距離を測定する。測定点の数は任意であるが、数が多いほどヘッド紙間距離が変動した場合にも正確に記録位置ずれを補正できる。
次に、測定したヘッド紙間距離、キャリッジの走査速度、およびインクの飛翔速度を用いて、以下の式1より記録位置のずれ量を算出する。
ここで、インクの飛翔速度について説明を加える。図8は、記録ヘッド1から吐出されたインク滴の飛翔の様子を表す概念図である。同図において、43は主滴、44はサテライト、45は主滴の記録位置ずれ量、46はサテライトを考慮した記録位置ずれ量である。
インクの飛翔速度は、主に主滴の吐出速度で決定できる。ところが、図8に示すように主滴に対してサテライト成分が多い場合、最適な記録位置が主滴の着弾位置とは異なる位置になる。例えば、図8では主滴の記録位置は45に示す位置であるが、ヘッド紙間距離に依存してサテライトの記録位置は主滴から遠い位置になる。目視で見た場合、主滴とサテライトを重ね合わせた位置がこの液滴の中心位置に見える。そのため、図8のサテライトを考慮して記録ずれ量を補正する必要がある。これは、主滴の吐出速度、サテライトの吐出速度、主滴の大きさ、サテライトの大きさを考慮したインクの飛翔速度で求めるのが適切である。そこで、インクの飛翔速度は、サテライトを考慮した記録位置を算出することができる速度のことである。実験的には、主滴の大きさ、サテライトの大きさ、それぞれの吐出速度を考慮した場合、主滴の吐出速度の約4分の3になる。そこで、例えば、インクの飛翔速度をインク吐出速度の4分の3と定めても良い。また、それぞれの吐出速度及び大きさからは、以下の式2を用いることで求めても良い。
ここで、Mは主滴の大きさ、Vは主滴の吐出速度、Sはサテライトの大きさ、Vsはサテライトの吐出速度である。
ヘッド紙間距離は、主にプラテンの走査方向の平面度に依存する。しかしながら、記録媒体の剛度によってはプラテンの平面度と一致するもの、プラテンの平面度とは異なる変動量を持つものが存在する。そのため、走査方向の複数の位置でヘッド紙間距離を測定するにあたっては、記録媒体ごとに取得することが望ましい。また、記録媒体は記録により記録媒体の伸び縮み(コックリング)が発生するため、このコックリングに起因するヘッド紙間距離の変化を考慮することが望ましい。したがって、測定したヘッド紙間距離に記録パスごとの補正量を加算することでより正確にヘッド紙間距離を取得できる。なお、ヘッド紙間距離の検出方法としては、本実施形態の反射型光学センサにより直接検出する方法の他、テストパターンを用いる等の方法であってもよい。
(記録位置ずらし量の生成)
次に、記録位置ずらし量の生成方法(図5のステップ6)について説明する。まず、本実施形態におけるパスごとに記録位置ずらし量を変化させる方法の概要を説明する。図9は、記録位置ずらし量をパスごとに変化させる際の走査方向の位置と記録位置ずれ量との関係を示しており、(A)〜(C)はそれぞれ1パス目から3パス目における関係を示している。(A)の1パス目では、記録位置ずれ量を表す元データより記録位置ずらし量(吐出タイミング)を算出する。(B)の2パス目では、元の記録位置ずれ量の振幅を変化させ、変化させた記録位置ずれ量から記録位置ずらし量(吐出タイミング)を生成する。このように記録位置ずれ量の元データを変化させることで、吐出タイミングを補正するタイミングもずらすことができる。この場合、吐出タイミングを直接ずらすのに較べて、ずらし量を変化させたことにより発生する記録位置ずれ量を適正に管理することができる。(C)の3パス目も同様に、元の記録位置ずれ量の振幅を2パス目とは異なるように変化させ、変化させた記録位置ずれ量から記録位置ずらし量(吐出タイミング)を生成する。図(A)〜(C)のように、3回の記録位置ずれ量の平均値が元の記録位置ずれ量とができるだけ近く、ないしは一致するように記録位置ずらし量を生成することで全体のずらし量を低減させることができる。
続いて、図10に各パスの記録位置ずれ量に補正量を加算して記録位置のずらし量をパスごとに変化させる手順を示すフローチャートを示す。本実施形態のように、パスごとに記録位置のずらし量を変化させる場合、画像形成単位(6パス記録であれば6回)で上記ずらし量が1順することが望ましい。
ステップ1では、パス数Nおよび現在の記録パス数(パスカウント)Kの特定を行う。これは、図6に示すフローチャートのステップ1と同じである。
次に、ステップ2において、N=Kかを判断し、所定パス数のカウントアップが実施されたかどうかを確認する。パスカウントKが所定パス数Nよりも小さい場合は次のステップ3へと移行し、パスカウントKと所定パス数Nが等しい場合にはステップ8へと移行する。
次に、ステップ3では、パスカウントKに応じて加える補正量を算出する。なお、予めパスカウントにあわせて補正量をROM403にテーブルとして用意してもよい。
ステップ4に移行すると、ステップ3の算出で求められた補正量を記録位置ずれ量に加算し、現在のパスでの記録位置ずらし量を特定する。補正量がテーブル化されている場合には、テーブル化された補正量パラメータを参照し、記録位置ずらし量を決定する。
ステップ5では、記録ずらし量からキャリッジエンコーダを基準とした吐出タイミングずらし量を生成する。
ステップ6で、1回の記録パスが完了し次パスに移行する際にパスカウントKをカウントアップし、ステップ7でN=Kかを判断し、所定パス数のカウントアップが実施されたかどうかを確認する。パスカウントKがパス数Nと同じになった場合には次処理へ移行する。パスカウントKとパス数Nが同じになることは、所定領域の画像処理が終了したことを意味する。パスカウントKがパス数Nよりも小さい場合はステップ4に戻り、以降のステップを繰り返す。
ステップ8において、記録終了か否かを判断し、記録終了していない場合には同様の処理をステップ1から繰り返して、これを記録終了まで継続する。
以上のとおり、本実施形態の記録位置調整方法では、走査方向の複数の位置で記録位置調整を実施するにあたりラスターごとに記録位置のずらし量を変化させることを特徴としている。これにより、走査方向の複数の位置で記録位置ずらし量を変化させたときにドット間の間隔が大きく変化したとしても、間隔が大きく変化する走査方向の位置がラスターごとに異なるので、画像品位の低下を軽減できる。
(その他)
ここで、本実施形態の記録位置調整方法の効果について説明を加える。
図11は、(A)理想記録位置(記録位置のずれが無い状態)のドット配置、(B)記録位置調整なしのときのドット配置、記録位置調整ありのときのドット配置を示した模式図である。同図において、格子状に示した四角の隅を目標記録位置とした場合、理想記録位置に記録できている(A)では、全ての点がキャリッジの走査方向に対して隅に記録される。ところが、実際の記録ではヘッド紙間距離の変動等により(B)のようにドット配置がずれてしまう。ここで、最小補正解像度を4umとしたとき、(C)のように目標記録位置42間の中心部(記録位置調整の解像度の半分の位置)で記録位置ずらし量が変化することが最もずれ量を少なくする。
図12は、図11の3状態(A)〜(C)における記録位置ずれ量を示す。(A)の理想的な記録位置ではずれ量が0umである。一方で、記録位置調整なしの(B)では、キャリッジ走査位置が進むほど記録位置のずれが大きくなり、同図において最大ずれ量は4umになる。なお、図11は模式図でありここでは線形変化を示しているが、実際には線形とは限らない。一方、記録位置調整ありの(C)の場合、記録位置調整の解像度の半分の位置でずらし量が変化するように記録位置調整しているため、ずれ量の最大は約1.6umとなる。
図12には、パス(ラスター)ごとに記録位置のずらし量を変化させたときのドット配置を示す。ここでは、図中の1番上のラスターが1パス目で記録され、中央のラスターが2パス目で記録され、1番下のラスターが3パス目で記録される。1パス目は記録位置のずらし量の変化点が図11の(C)記録位置調整ありの場合と同じである。2パス目では、キャリッジ走査方向において1ステップ前の位置、3パス目では一ステップ後の位置で記録位置ずらし量が変化するように調整を実施している。各ラスター単位で記録位置ずれ量の最大を検討すると、1パス目で約1.6um、2パス目および3パス目では約2.4umとなってしまう。しかし、3パスでひとつの線を記録するため、実際の見え方は3パスのずれ量の平均値となり、図14に示すように最大ずれ量は約0.8umとなる。このように、多パス記録においては、記録位置ずらし量をパスごとに変化させることで、記録されるドットの調整精度を高めることが可能になる。
また、上述の実施形態では、走査方向における記録位置ずれの変動要因としてヘッド紙間距離の変動を挙げたが、その他の要因によっても走査方向における記録位置ずれが変動する。したがって、走査方向におけるヘッド紙間距離だけでなく、その他の要因についても測定し、記録位置ずれの変動を算出することが好適である。例えば、記録位置ずれが走査方向で変動する他の要因としては、キャリッジの姿勢変動がある。以下に、キャリッジの姿勢変動による記録位置ずれの測定方法について説明を行なう。
図15は、キャリッジに姿勢変動による記録位置ずれの変化を説明する図である。同図において、800はメインレール、900aおよび900bはノズル列、10はキャリッジエンコーダ、31はインク吐出方向、21は記録位置ずれを示す。例えば、メインレール800がわずかに曲がっている場合を想定すると、キャリッジ4の姿勢はある位置では、プラテンに対し斜めになり、ある位置ではプラテンに対し平行になる。キャリッジ4に搭載された記録ヘッドのノズル列9aと9bは走査方向にずれて配置されており、各ノズル列で記録媒体上の同一位置に記録する場合、それぞれの吐出タイミングは両ノズル列の間隔とキャリッジ走査速度を考慮した時間分だけずれる。そのため、ノズル列900aおよび900bが記録媒体上の同一位置に記録するとき各ノズル列がインクを吐出する時点での走査方向の位置が異なるため、キャリッジの姿勢が異なることがある。このようにして、キャリッジ姿勢が異なる結果、同一位置に記録させるドットの位置がずれてしまう。仮にキャリッジの姿勢がキャリッジ走査領域全域で一定であれば、このずれ量は固定値で補正することができるが、キャリッジ位置ごとに姿勢が変動する場合、固定で補正することはできない。メインレールを端の2点で支持した場合、キャリッジが走査したときに2点支持の中央でたわみが発生することが想定される。そのたわみ量を十分に小さくするために支持部材700で支持しているが、この支持部材700がメインレールの基準位置に対し公差を持つと、この位置で変極点を有することになる。したがって、この変極点を中心とした記録ずれ量を測定することで、キャリッジ全体の記録ずれ量を測定することができる。
図16には、走査方向の複数の位置でキャリッジの姿勢変動による記録位置ずれを検出するための調整パターン13を示す。同図のように、記録位置ずれ量を検出するためのパターンを支持部材、つまりキャリッジ姿勢変動を発生させる要因位置、に配置することで、キャリッジ走査領域全域の記録位置ずれ量を算出することができる。
図17には、12色のインクを搭載した記録装置の記録位置ずれの例を示す。12色は、Y:イエロー、PC:フォトシアン、C:シアン、PGy:フォトグレイ、Gy:グレイ、MBk:マットBk、PM:フォトシアン、M:マゼンダ、PBk:フォトBk、R:レッド、G:グリーン、B:ブルーである。そして、これらのインクに対応するノズル列が、図17(A)のように配列している。
図17(B)は、この記録ヘッド1における12色の記録位置ずれ量を示す。
同図からわかるように、右側6色と左側6色では異なる記録位置ずれの傾向を示す。これは、2点支持の中央を中心にキャリッジ姿勢が確定されるためであり、それぞれのノズルノズル列の取り付け誤差よりも大きく影響する。そこで、ここでは、右側の記録位置ずれの傾きおよび左側の記録位置ずれの傾きを求めることで12色の調整値を算出する。
図18は、記録位置ずれ量を検出するパターンの全体図を示す。33は調整パターンAであり、左側6色の両端ノズル(YとMbk)により記録したパターンである。34は調整パターンBであり、右側6色の両端ノズル(PMとB)により形成したパターンである。35は調整パターンCであり、左側と右側のずれ量を検出するパターンである。このパターンの記録に使用するノズルとしては、例えばMBkとPMを用いる。また、36は確認パターンであり、ずれ量の調整が確実に実施されたことを確認するためのパターンである。ずれ量が最も大きくなるキャリッジ両端のノズル(YとB)で記録するのが望ましい。なお、以上の調整パターンは、往方向または復方向の何れか一方のみの走査で記録することにより、ヘッド紙間距離の変動による記録位置ずれ量分を排除できる。例えば、プラテン位置の上昇や紙厚が変化した場合など、ヘッド紙間距離が一定量変化する場合には、その変化分を吐出タイミングの補正量に加算すればよい。
以上のようにして、3色の記録位置ずれ量から12色の記録位置ずれ量を算出することで、調整時間の短縮、メモリ容量の減少を実現することができる。また、取得した調整値の記憶方法に関しては、走査方向の調整値平均と各位置の調整値の差分をメモリに記憶する。これにより、走査方向全域の調整値取得を実施する回数を低減することができる。またさらに、以上のキャリッジ姿勢変動の記録位置調整は、ヘッドを変更したとき等に更新するようにすればよい。
また、上述の説明ではラスターごとに記録位置のずらし量を変化させたが、記録位置ずらし量を変化させる位置を変化させるようにしてもよい。図19は、記録位置ずらし量を変化させる位置をラスターごとに変化させたときの走査方向の位置と記録位置ずれ量との関係を示す図で、(A)〜(C)はそれぞれ1パス目から3パス目における関係を示している。(A)の1パス目では、記録位置ずれ量を表す元データより記録位置ずらし量(吐出タイミング)を算出する。(B)の2パス目では、元の記録位置ずれ量の位相を変化させ、変化させた記録位置ずれ量から記録位置ずらし量(吐出タイミング)を生成することで、記録位置ずらし量を変化させる位置を変化させる。(C)の3パス目も同様に、元の記録位置ずれ量の位相を2パス目とは異なるように変化させ、変化させた記録位置ずれ量から記録位置ずらし量(吐出タイミング)を生成する。以上により、上述の実施形態と同様にスジによる画像品位の低下を軽減できる。なお、これを上述の実施形態と組み合わせてもよい。
また、以上の説明では、ラスターごとに記録位置のずらし量またはずらし量を変化させる位置を異ならせたが、数ラスターごとでもよい。また、複数のノズル列により記録を行う際に、ノズル列間で同じように記録位置のずらし量またはずらし量を変化させても、スジの発生を目立たなくさせることが可能になる。
1 記録ヘッド
2 記録装置
3 記録媒体
4 キャリッジ
30 光学センサ
400 コントローラ
401 CPU
403 RAM
405 ROM

Claims (9)

  1. インクを吐出するためのノズルを有する記録ヘッドを走査方向に走査させることにより記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
    前記記録ヘッドの記録位置のずれ量を前記走査方向の複数の位置で取得する取得手段と、
    前記取得したずれ量に所定の数のラスターごとに異なる補正量を加算する加算手段とを有し、
    前記加算された記録位置ずれ量に基づいて画像を記録することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記加算された記録位置ずれ量からインクを吐出するタイミングを生成する生成手段を有し、
    前記生成手段により生成されたタイミングでインクを吐出させて画像を記録することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記取得手段は、記録媒体上に記録されるパターンに基づいて前記ずれ量を取得することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記取得手段は、前記記録ヘッドと前記記録媒体との距離に基づいて前記ずれ量を取得することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記加算手段は、前記記録ヘッドの走査ごとに異なる補正量を前記ずれ量に加算することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の記録装置。
  6. 前記記録ヘッドは複数のノズル列を有し、
    前記加算手段は、前記ノズル列ごとに異なる補正量を前記ずれ量に加算することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の記録装置。
  7. 前記補正量は、前記記録位置のずれ量を変化させる量であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の記録装置。
  8. 前記補正量は、前記記録位置のずれ量を変化させる位置を走査方向に変化させる量であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の記録装置。
  9. 前記加算手段は、複数回の前記走査における前記記録位置のずれ量と、複数回の前記走査における前記加算されたずれ量とをほぼ一致させることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の記録装置。
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