JP2007160804A - 記録装置および記録位置調整方法 - Google Patents

記録装置および記録位置調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】キャリッジの主走査方向における姿勢変化があっても、各色記録ヘッドによるドットの重なりにずれを生じさせることのない記録位置調整を行う。
【解決手段】ブラックおよびイエローのラインパターンから、記録ヘッドの主走査方向の記録位置XAで、記録ヘッドの主走査方向に沿った姿勢変化によるノズル列(ブラック、イエロー)間の記録位置ずれ+QAがそれらノズル列間の距離に対応させて求められる。そして、シアンとイエローのノズル列は+2/3QAずれを生ずる。従って、シアンを基準としてイエローのノズル位置を番号の若い方向にPA×2/3の値の分だけ使用ノズル範囲をシフトする。また、シアンとマゼンダのノズル列についても同様に、シアンを基準として、マゼンダのノズル位置を番号の若い方向にPA×1/3の解の小数点第一位を四捨五入した値分だけ使用ノズル範囲をシフトする。
【選択図】図8

Description

本発明は、記録装置および記録位置調整方法に関し、詳しくは、記録媒体に対して記録ヘッドを走査して記録を行う記録装置における記録位置調整に関するものである。
従来、記録ヘッドのノズルから吐出されるインクによるドットの位置を調整しこれらドットによって形成される画像の品位低下を防ぐことが行われている。この記録位置調整は、例えば、記録ヘッドの走査方向(以下、主走査方向ともいう)では、ノズルからの吐出タイミングを調整することにより行う。一方、上記走査方向とは異なる紙送り方向(以下、副走査方向ともいう)では、記録に用いるノズルなど記録素子を副走査方向のずれに応じて変更することにより記録位置の調整を行っている。
例えば、特許文献1では、1つの記録ヘッドではないが同じ色のインクを吐出する記録ヘッドで副走査方向に配列した2つの記録ヘッドでそれぞれ記録するドットが適切に重なるように記録位置の調整を行うことが記載されている。図9(A)、(B)、および図10はこの調整方法を説明する図である。
図9(A)および(B)は、それぞれ縦方向(副走査方向)の記録位置調整のためのパターンおよびその記録を説明する図である。図9(A)および(B)において、103は縦方向において下側のシアン用ヘッド、107は上側のシアン用ヘッドをそれぞれ示している。なお、ここではシアン用のインクジェットヘッド103,107による記録の場合で説明するが、他の色の記録ヘッドの場合にも同様である。図9(A)は、記録ヘッド103と記録ヘッド107の間が1ヘッドの記録幅(n個のノズル分)の間隔を有している場合を示す。図9(B)は上下の記録ヘッド103と107の間隔が、記録ヘッドの半分の間隔を有している場合を示している。
図9(A)に示す例では、最初に下側の記録ヘッド103の第1ノズル(最上部のノズル)のみで記録を行い線151を記録する。次に、所定量の記録媒体114の搬送を行い、上側の記録ヘッド107の第1ノズル(最上部のノズル)のみで記録を行って線152を記録する。図9(B)に示す例は、最初に下側の記録ヘッド103の第1ノズルのみで記録を行って線153を記録する。次に、記録媒体114を所定量搬送し、上側の記録ヘッドの中央のノズルのみで記録を行って線154を記録する。このノズルは、それぞれの記録ヘッドのノズル数をnとするとき、n/2番目のノズルである。このようにして上下の記録ヘッド103、107を用いて、それぞれの線を記録することにより、記録ヘッド103、107の位置がそれらの記録ヘッドないしノズルの位置が正確に合っていれば、それぞれの線は互いに重なるように記録される。一方、図10に示すように、記録ヘッド103に対して上側の記録ヘッド107の位置が1画素分上にずれている場合は、これら2つの記録されたドット161、162が重ならず、ドット164、165で示すように記録される。
以上のパターン記録の結果、各色の記録ヘッドについて、下側の記録ヘッド103を基準にしてパターンを読取り、上側の記録ヘッド107の記録位置が上または下にずれているか否かを判断する。そして、上にずれているときは、例えば、上側の記録ヘッドによる記録時に記録データを格納したメモリの読出し開始位置を1画素分+1とし、下にずれているときは読出し開始位置を1画素分−1とする。以上のようにして、縦方向の記録ヘッドによる記録位置の位置合わせ量を求め、その値に基づいてメモリからの記録データの読出し位置を変更することにより、1画素単位で記録位置の調整を行うことができる。
このような方法は、上記のように同じ色だけでなく、異なる色のインクを吐出する記録ヘッド間の位置合わせにも用いられる。例えば、主走査方向に配列された異なるインク色の記録ヘッドがそれらの装着位置が副走査方向にずれていることによる記録位置のずれを上記と同様の方法で調整することができる。具体的には、先ず、各インク色記録ヘッドの副走査方向において対応する位置のノズルからインクを吐出して上記のようなパターンを記録する。そして、これらのパターンのずれに基づきそれぞれの記録ヘッドにおいて記録に使用するノズル範囲を定めて記録位置を調整する。
特開平06−031909号公報
しかしながら、主走査方向に配列した複数の記録ヘッド相互の副走査方向の記録位置ずれは、上述した従来の方法で調整することができない場合がある。すなわち、従来の方法は、各記録ヘッドの主走査方向の配列位置にかかわらず、総ての記録ヘッドで一律にノズルを副走査方向にずらして記録位置調整を行うものである。しかし、記録ヘッドが走査する主走査方向の位置によって例えばガイド軸との関係でキャリッジの姿勢が変化などして記録位置が主走査方向によって変化する場合がある。このような場合には、それぞれの記録ヘッドによるドットを重ねようとしても、その重ねる位置においてそれぞれの記録ヘッドの主走査方向の配列位置に応じて記録位置変化量が異なり、各色ドットの重なりにずれが生じる。
この問題は、例えば、各色の記録ヘッドを一体に構成して装着位置のずれがない場合にも生じることは明らかである。
本発明の目的は、キャリッジの主走査方向における姿勢変化があっても、それぞれの記録ヘッドによる各色ドットの重なりにずれを生じさせることのない記録ないし記録位置調整を行うことが可能な記録装置および記録位置調整方法を提供することにある。
そのために本発明では、それぞれ複数の記録素子が一定の方向に配列した複数の記録素子列を前記一定方向とは異なる主走査方向に配列した記録ヘッドを記録媒体に対して前記主走査方向に走査して記録を行う記録装置において、前記複数の記録素子列の異なる記録素子列からそれぞれ選択される2つの記録素子であって、前記一定方向において一定の距離を有した2つの記録素子を用いてそれぞれ前記主走査方向に沿って延びる2つのパターンを記録し、前記主走査方向の位置における前記2つのパターンの前記一定方向の距離と前記2つの記録素子の前記一定の距離との差を求め、前記差と前記複数の記録素子列相互の前記主走査方向における距離に基づいて、記録素子の使用範囲が設定された前記複数の記録素子列を用いて前記主走査方向の位置の記録を行うことを特徴とする。
他の形態では、それぞれ複数の記録素子が一定の方向に配列した複数の記録素子列を前記一定方向とは異なる主走査方向に配列した記録ヘッドを記録媒体に対して前記主走査方向に走査して記録を行う記録装置において、前記記録ヘッドの前記主走査方向における記録位置の姿勢変化に応じて、前記複数の記録素子列における基準記録素子列と他の記録素子列との前記主走査方向の距離に応じた当該他の記録素子列の記録素子使用範囲が設定され、該設定されたそれぞれの使用範囲の前記複数の記録素子列で当該記録位置の記録を行うことを特徴とする。
また、それぞれ複数の記録素子が一定の方向に配列した複数の記録素子列を前記一定方向とは異なる主走査方向に配列した記録ヘッドを記録媒体に対して前記主走査方向に走査して記録を行う記録装置における記録位置調整方法において、前記複数の記録素子列の異なる記録素子列からそれぞれ選択される2つの記録素子であって、前記一定方向において一定の距離を有した2つの記録素子を用いてそれぞれ前記主走査方向に沿って延びる2つのパターンを記録する工程と、前記主走査方向の位置における前記2つのパターンの前記一定方向の距離と前記2つの記録素子の前記一定の距離との差を求める工程と、前記差と前記複数の記録素子列相互の前記主走査方向における距離に基づいて、前記複数の記録素子列それぞれの記録素子の使用範囲を設定する工程と、を有したことを特徴とする。
他の形態では、それぞれ複数の記録素子が一定の方向に配列した複数の記録素子列を前記一定方向とは異なる主走査方向に配列した記録ヘッドを記録媒体に対して前記主走査方向に走査して記録を行う記録装置における記録位置調整方法において、前記記録ヘッドの前記主走査方向における記録位置の姿勢変化を検出する工程と、該検出された姿勢変化に応じて、前記複数の記録素子列における基準記録素子列と他の記録素子列との前記主走査方向の距離に応じた当該他の記録素子列の記録素子使用範囲を設定する工程と、を有したことを特徴とする。
以上の構成によれば、2つの記録素子列のそれぞれの記録素子で記録した主走査方向に延びる2つのパターンの、記録素子配列方向等に沿った距離と上記2つの記録素子間の距離との差が記録ヘッドの姿勢変化として求められる。そして、この差と上記複数の記録素子列相互の主走査方向における距離に基づいて、上記複数の記録素子列それぞれの記録素子の使用範囲が設定される。ここで、上記差は上記2つの記録素子列の記録素子によるドットを重ねるときのずれ量に相当するからその分を考慮して記録素子範囲を設定することができる。上記2つの記録素子列以外の記録素子列についても、同様に、ずれ量は上記2つの記録素子列の一方との主走査方向の距離に応じたものとなるから、上記差と上記距離に応じてドットずれを補正する記録素子範囲を設定することができる。
この結果、キャリッジないし記録ヘッドの主走査方向における姿勢変化があっても、それぞれの記録ヘッドによる各色ドットの重なりにずれを生じさせることのない記録が可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の、主にキャリッジおよびそれに搭載された記録ヘッドなどを一部断面で示す側面図である。また、図2は上記記録装置の主にキャリッジの移動範囲を示す斜視図、図3は上記記録装置全体の外観を示す斜視図、図4は上記キャリッジの背面図である。
装置全体の概略構成は次のとおりである。図3に示すように、本体1はスタンド3によって支持されており、本体1の中に主要ユニットが収められている。主要ユニットは、用紙を搬送するための不図示の搬送ユニット、用紙に記録を行うための記録ヘッドを搭載したキャリッジユニット2を備える。さらに、主要ユニットは、キャリッジユニット2上の記録ヘッドの回復処理を行うための不図示の回復ユニット、および記録ヘッドに供給するインクを貯蔵した不図示のインクタンクユニットを備えている。
本体1は、不図示のパーソナルコンピュータと接続されており、このパーソナルコンピュータからの記録データに従って用紙に画像を記録する。パーソナルコンピュータから記録命令が出されると、先ず、キャリッジユニット2は回復ユニットの場所に移動して記録ヘッドに対する所定の回復動作をおこなう。次に、搬送ユニットよって用紙を給紙し記録の準備を行う。そして、キャリッジユニット2は、主走査方向に往復移動し、この間に記録ヘッドから用紙にインクを吐出する。この記録ヘッドによる走査の後、搬送ユニットによって、用紙を副走査方向に所定量搬送する。以上の記録ヘッドによる走査と用紙の所定量の搬送を繰り返すことにより、用紙全体に画像などを記録していく。
次に、図1、図2および図4を参照して、主にキャリッジの移動の構成について説明する。
本体1の構造部材を成す左側板15と右側板16の間には、同様に構造材を成すレールステイ8と下ステイ17が延在して肯定されている。レールステイ8は両端部が左側板15と右側板16に不図示のビスで固定されている。レールステイ8は、箱型の断面形状を有しており、部分的に溶接、または、ビスで固定され、ねじれや曲げに対して強い剛性を持った形状をしている。レールステイ8の上面には、レール固定7を介してメインレール5がタップを用いビスで固定されている。タップのピッチは、メインレール5の長手方向にほぼ等間隔で配置されている。レール固定7はメインレール5の全領域に対応するものではなく、ビスで固定される箇所に部分的に同一の形状のものが複数個存在している。また、レールステイ8の上面において、サブレール6がサブレール固定9を介して不図示のビスでレールステイ8に固定されている。ビスは、サブレール6の上面からサブレール固定9を貫通し、レールステイ8に存在するタップと係合している。サブレール固定9も、レール固定7と同様に、サブレール6の下面を全領域に対応するものではなく、ビスで固定される箇所に部分的に同一の形状のものが複数個存在している。
キャリッジ2は、トランスレーター4、メインレール5に篏合する軸受け20、サブレール6を上下で挟み込むための一対のコロ(トランスレーターコロ10と揺動コロ11)、メインレール5を押圧するためのスライダー18を備えて構成される。また、キャリッジ2には、インクを吐出する記録ヘッド19や用紙の端部や用紙の有無を検知し、また、記録した画像を読み込むためのメディアセンサー21が装着される。
メインレール5と係合している軸受け20は、2箇所に設けられる。すなわち、軸受け20はトランスレーター4の両サイド(ほぼ端と端)に比較的低い圧力で圧入され、図示していない板金で、主走査方向に抜けないよう固定されている。メインレール5と軸受け20の嵌め合いしろは、キャリッジ2がメインレール5上を主走査方向に移動する際の摺動負荷が重くなることがないように設定する必要があり、50μm程度が望ましい。
トランスレーターコロ10は、サブレール6の下面と当接しながら回転するものである。このトランスレーターコロ10は主走査方向に沿って所定の距離をおいて2箇所に配設され、それぞれトランスレーター4に設けられたボスにベアリングを介して圧入されている。揺動コロ11は、サブレール6の上面と当接しながら回転するものであり、2箇所に設けられたトランスレーターコロ10と対をなして設けられる。それぞれの揺動コロ11は、揺動コロホルダ12のボスにベアリングを介して圧入されている。揺動コロホルダ12は、トランスレーター4のボスを支点として揺動するように構成されている。これにより、コロバネ13の弾性力で揺動コロ11がサブレール6の上面を圧接するようになっている。コロバネ13の荷重は、トランスレーターが受ける外乱の力によって、揺動コロ11がサブレール6の上面から離れることがないように設定されており、本実施形態では、1500g程度の荷重としている。
キャリッジ2のトランスレーターコロ10は、サブレール6の下面と当接することにより、サブレール6の下面を基準面としている。サブレール6のレールステイ8からの高さは、サブレール固定9の高さ寸法の精度によってのみ決まり、サブレール6の板圧公差を含むことが無い。また、揺動コロ11は、そのホルダ12が揺動可能とされていることからメインレール5を軸としてサブレール6の上面を押す方向に回転する場合がある。しかし、トランスレーターコロ10がトランスレーター4から出ているボスに圧入されているので、トランスレーター4は逆方向に回転することはない。つまり、トランスレーター4は、プラテン14とその設定の状態以上に隙間が小さくなることはない。
スライダー18は、トランスレーター4とメインレール5を勘合している軸受け20の近傍2箇所に設けられるものであり、トランスレーター4に固定されている。スライダー18は、図1において、メインレール5に対して水平方向左側で、メインレール5に当接されている。このスライダー18はモールド部材(例えば、高密度ポリエチレン等)で構成され、不図示の板バネによってモールド部分がメインレール5にと当接する。板バネの荷重は、キャリッジ2が主走査方向に移動する際の摺動抵抗を増大させない程度の荷重であり、例えば、500g程度×2の荷重が望ましい。
記録ヘッド19は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれについて設けられるものであり、これらはトランスレーター4に着脱可能に装着される。そして、これら4つの記録ヘッド19はトランスレーター4において、主走査方向に所定の間隔をおいて配列される。不図示のヘッドレバーを操作することによりトランスレーター4に対して記録ヘッド19を着脱することができる。すなわち、記録ヘッド19は、ヘッドレバーを閉じた状態で、トランスレーター4にガタがない状態で固定される。
メディアセンサー21は、キャリッジ2の右側に取り付けられる。具体的には、トランスレーター4の右側に不図示のビスでガタがないように固定される。メディアセンサー21は、キャリッジ2の左側に配置してもよく、装置全体のレイアウトを考えていずれかの位置とすればよい。また、メディアセンサー21は、メディアセンサー21の最下面が、記録ヘッド19の最下面より、1mm程度上にあるように配置される。
以上説明した主にキャリッジの移動機構に起因した記録位置のずれと、本発明の一実施形態に係るずれ補正処理について以下に説明する。なお、この補正処理は、本実施形態のインクジェット記録装置における制御系を構成し、当該補正処理を実行するCPU、上記補正処理プログラムなどを記憶したROM、上記補正処理の実行に際してワークエリアなどを提供するRAMなどによって実行される。
キャリッジ2は、メインレール5とサブレール6に沿って主走査方向に沿って往復移動する。その際、キャリッジ2に設けられた軸受け20はメインレール5と嵌合した状態であり、また、スラーダー18はメインレール5を押圧して当接した状態である。さらに、トランスレーターコロ10と揺動コロ11はサブレール6を挟み込んで共に回転する。この往復移動の間に搭載した記録ヘッドから記録データに従いインクを吐出する。
しかしながら、この移動機構において記録ヘッド19のインク吐出面とプラテン14は、必ずしも主走査方向の全体にわたって一定の、例えば平行な関係とは限らない。すなわち、サブレール6に変形などが生じることがあり、この変形を生じたサブレール6はその変形に応じてキャリッジ2の姿勢の変化を生じさせ、それによって記録ヘッドの姿勢も変化する。
例えば、サブレール6が、主走査方向に沿ったある位置で、図5(A)に示すように、鉛直方向下方にある量だけ変形している場合、キャリッジ2は、メインレール5を軸として時計方向に回転した姿勢となる。その結果、記録ヘッド19の吐出口面は角度θAだけ、傾きを持ち、傾きを生じない場合と比べると、δA分だけインクの着弾位置が図中(副走査方向)左側にずれる。逆に、サブレール6が、主走査方向に沿ったある位置で、図5(B)に示すように、鉛直方向上方に変形している場合、キャリッジ2は、メインレール5を軸として反時計方向に回転する。その結果、記録ヘッド19の吐出口面は角度θBだけ、傾きを持ち、傾きを生じない場合と比べると、δB分だけインクの着弾位置が図中(副走査方向)右側にずれる。
また、メインレール5が主走査方向に沿って変形を生じている場合でも、同様の着弾位置のずれを生じる。例えば、メインレール5が、主走査方向に沿ったある位置で、図6(A)に示すように、鉛直方向上向きにある量だけ変形している場合、記録ヘッド19の吐出口面はθCだけ傾き、インクの着弾位置はδCだけ図中左側にずれる。逆に、図6(B)に示すように、メインレール5が鉛直方向下向きに変形している場合、記録ヘッド19の吐出口面はθDだけ傾き、インクの着弾位置はδDだけ図中(副走査方向)右側にずれる。
これらのずれ量δを決める要因は大別して以下の4つである。
(i)サブレール6の鉛直方向位置
(ii)キャリッジ2の構成、つまりメインレール5に篏合している軸受け20とトランスレーターコロ11の距離と軸受け20と記録ヘッド19のノズルまでの距離の比
(iii)記録ヘッド19の取り付け精度
(iV)メインレール5の鉛直方向位置
この中で、主走査方向に沿った位置によって、ずれ量δの変化を生じさせるのは、(i)サブレール6の鉛直方向位置と、(iV)メインレール5の鉛直方向位置である。そして、特にずれ量δに大きく影響するのは、(i)サブレール6の鉛直方向位置である。因みに、本実施形態のプリンタでは、サブレールが鉛直方向に0.1mm変化すると、着弾位置のずれは、45μm程度になる。
(ii)キャリッジ構成と(iii)記録ヘッド19の取り付け精度は、機械的要因によるものであり、キャリッジ2が主走査方向に移動しても変化することがなく、キャリッジの主走査方向位置に応じたずれ量δには無関係である。
以上のようにメインレール5やサブレール6に主走査方向に沿った変形が生じていると、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4つの記録ヘッド19の姿勢変化は主走査方向の位置によって異なることになる。一方、これら4つの記録ヘッドそれぞれの記録素子であるノズルは主走査方向において所定の間隔を有している。この場合に、例えば、シアンとイエーそれぞれのドットを重ねて形成しようとするときは、主走査方向のある位置でシアンを吐出し、次に、そのシアンノズルと対応するイエローノズルの間隔分キャリッジ2が移動したところでイエローを吐出することになる。その結果、従来技術の課題で前述したように、シアンとイエローを吐出する主走査方向の位置が異なることからシアン、イエローそれぞれのずれ量δが異なり、2つの色のドットの重なりにずれを生じることになる。
図を参照して説明すると、シアンを吐出する主走査方向位置でキャリッジ2の姿勢が図1の状態(この主走査方向位置ではサブレールが変形していない)とすると、シアンは鉛直方向の真下に吐出される。そして、シアンノズルとイエローノズルの間隔分だけキャリッジ2が移動したときキャリッジ2の姿勢が図5(A)の状態(この主走査方向位置ではサブレールが下方に変形している)とする。このとき、イエローを吐出するとその記録ヘッドは角度θAだけ傾くので、δAだけシアンの着弾位置とずれることになる。
前述のとおり、本実施形態では、サブレール6が0.1mm変形すると、副走査方向の着弾位置は45μm程度ずれる。記録ヘッド19の副走査方向の解像度が600dpiの場合、ノズルのピッチは42.3μmなので、サブレール6が0.1mm変形すると1ドット分以上ずれることになる。人間の目で見た場合、1ドットずれると十分認識でき、記録画像としては正常なものではなくなる。
なお、上記の説明はサブレール6の変形に起因したものとして述べたが、前述のとおりこのようなずれを生じるのは、サブレール6とメインレール5の変形に起因した複雑な位置関係によるものである。しかし、この位置関係は、キャリッジ2の主走査方向の位置に依存するので、結局、位置関係の結果として主走査方向で異なるキャリッジ2の姿勢、具体的にはキャリッジの傾きとして現れる。従って、この傾きによる副走査方向のずれに対応して補正を行う。具体的には、吐出するノズルの位置を変えることにより各色のドットを重ねる。
次に、この補処理について説明する。
図7は、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)それぞれの記録ヘッド19を吐出口面(図1において下側)から見た平面図である。この記録ヘッド19は4色のヘッドを一体に構成したものであり、図7に示すように右側からY、M、C、Bkの順にノズル列が並んでいる。それぞれのノズル列は上から0番、1番、2番、・・・、639番まで640個のノズルを配列している。この640個のノズルのうち、常に記録に用いるノズルは、6番から633番までの628個の実記録領域ノズルである。上側0番から5番までの6ノズルと、下側634番から639番までの6ノズルは、後述の記録位置補正に用いられるレジ補正用ノズルである。解像度は600dpiであり、ノズルピッチは43.3μmである。イエロー(Y)ノズル列とマゼンダ(M)ノズル列の距離はXであり、マゼンダ(M)ノズル列とシアン(C)ノズル列、シアン(C)ノズル列とブラック(Bk)ノズル列の距離も同じ距離Xだけ離れている。
補正処理では、先ず、この記録ヘッド19を搭載したキャリッジ2を移動させ、記録ヘッド19のYノズル列の10番ノズルとBkノズル列の33番ノズルで、それぞれ主走査方向に1ラインを記録する。この2つのノズルは、副走査方向に23ノズル分(ノズルピッチ)だけ離れているので、理論上は、43.3×23=995.9μmだけ離れた2本のライン(ブラックのラインとイエローのライン)が記録される。しかし、上述したキャリッジ姿勢の主走査方向に沿った変化がある場合、2本のラインが相互に一定の間隔とはならない。
図8は、キャリッジの主走査方向における姿勢の変化、およびBkノズル(ヘッド)とYノズル(ヘッド)とが主走査方向において所定の間隔をおいて配列することに起因した着弾位置ずれとその補正処理を説明する図である。
同図に示すように、先ず、補正処理では、理論上副走査方向に23ノズル分=995.9μmだけ離れたBkおよびYそれぞれのノズルによる2本のラインパターンを記録する。図8は、Bkラインを基準として理論上の間隔を持ったYライン(破線で示すライン)と実際に記録されるYライン(実線で示すライン)を示している。なお、補正の際に記録に用いる、上記理論上の距離を持つノズルは、後述するメディアセンサー19が読み取り可能な範囲であればいずれのノズルの組み合わせであってもよい。
次に、図8に示すようにそれぞれ実際に記録されたBkラインとYライン(いずれも実線で示すライン)の距離をメディアセンサー21によって読み取る。この読取り結果から、主走査方向の位置(座標)情報および2本のラインの距離の理論値との差の情報を記憶部に格納する。図に示す例では、主走査方向のある位置XAについては、この位置情報XA、および理論値間隔との差+QAμmをノズルピッチで割った値、具体的にはQA÷43.3の解の小数点第一位を四捨五入した値PAを格納する。すなわち、この値PAは距離3X離れた2つのノズル列(ヘッド)配置によるずれ量を表している。従って、本実施形態では、次に示すように、それぞれ距離2X、X離れたノズル列配置によるずれ量をそれぞれ2/3PA、1/3PAとする。
以上のように主走査方向の位置、つまり記録(吐出)を行う位置ごとにずれ量を求めると、次に、それぞれの位置における各色ノズル列間のずれ補正を行う。なお、以下で説明する補正は、ブラックの記録位置と他の色の記録位置のずれの補正は行わない。本実施形態では、カラー画像を記録する際、黒画像はC、M、Yを用いたプロセスブラックを用いるなどの理由からである。もちろん、ブラックのノズル列についても次に示すずれ補正を行ってもよい。
記録位置XAでは、シアンとイエローのノズル列は、それらの距離から、上記ラインのパターンずれQAに対して+2/3QAずれを生ずると考える。従って、より左にあるはシアンを基準として、イエローのノズル位置を番号の若い方向にPA×2/3の解の小数点第一位を四捨五入した値分だけ、使用ノズル範囲をシフトする。この使用ノズル範囲のシフトにはレジ補正用ノズルを使用する。シアンとマゼンダのノズル列についても同様に、より左にあるシアンを基準として、マゼンダのノズル位置を番号の若い方向にPA×1/3の解の小数点第一位を四捨五入した値分だけ使用ノズル範囲をシフトする。以上により、記録位置XAについて、C、M、Yの3色はもとよりこれらの任意の2色の組み合わせの場合のずれ量補正が行われたことになる。
このように、記録ヘッドの主走査方向のそれぞれの記録位置で、記録ヘッドの主走査方向に沿った姿勢変化によるノズル列間の記録位置ずれがそれらノズル列間の距離に対応させて求められる。これにより、記録ヘッドの主走査方向に沿った姿勢変化を根本原因とし、各色ノズル列が主走査方向に配列されることを直接の原因とするずれを求めることができる。そして、このずれ量に応じて対応するノズル列相互で使用ノズル範囲をシフトする補正をするので、これらのノズル列によって形成されるドットは重なりずれのないものとなる。
具体的には、主走査方向位置XAにおいて、QA=130μmとすると、シアンとイエローを重ねる場合、シアンを基準としてイエローノズル列の使用ノズル範囲を130÷43.3×2/3=2、つまり、2ノズル分だけシフトする。実記録領域は6番から633番までのノズルなので、2ノズルずらすと、レジ補正用ノズルの4番と5番を使用することになり、全体の使用ノズル範囲は4番から631番のノズルとなる。もちろん、実記録領域ノズルの632番と633番のノズルは使用しない。
図8に示す例において、主走査方向の記録位置XBでは、理論間隔との差が−QBμmである。従って、QB÷43.3の解の小数点第一位を四捨五入した値を、距離3X離れたノズル列によるずれ量PBとして格納する。そして、記録位置補正は、シアンとイエローのノズル列について、より左にあるシアンを基準としてイエローのノズル使用範囲を番号が増す方向に、PB×2/3の解の小数点第一位を四捨五入した値分だけシフトする。シアンとマゼンダのノズル列についても同様に、より左にあるシアンを基準として、マゼンダのノズル使用範囲を番号が増える方向に、PB×1/3の解の小数点第一位を四捨五入した値分だけシフトする。以上により、記録位置XAについて、C、M、Yの3色はもとよりこれらの任意の2色の組み合わせの場合のずれ量補正が行われたことになる。
(他の実施形態)
なお、上述した実施形態では、C、M,Y,Bkの異なる色のノズル列ないし記録ヘッドを用いる場合について説明したが、本発明の適用はこのような形態に限られない。例えば、同じ色で色材濃度が異なるノズル列ないし記録ヘッドなど、主走査方向に配列する複数のノズル列ないし記録ヘッドを用いる形態のいずれにも本発明を適用できることは上記の説明からも明らかである。また、記録方式は、インクジェット方式に限られないことはもちろんであり、公知の方式を用いた記録素子を備えるいずれの記録ヘッドを用いる形態にも本発明を適用することができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の、主にキャリッジおよびそれに搭載された記録ヘッドなどを一部断面で示す側面図である。 上記記録装置の主にキャリッジの移動範囲を示す斜視図である。 上記記録装置全体の外観を示す斜視図である。 上記キャリッジの背面図である。 (A)は、サブレールが鉛直方向下方に変形している場合にキャリッジがメインレールを軸として時計方向に回転した姿勢を示す図である。また、(B)は、鉛直方向上方に変形している場合にキャリッジがメインレールを軸として反時計方向に回転した姿勢を示す図である。 (A)は、メインレールが鉛直方向上方に変位している場合にキャリッジが回転した姿勢を示し、(B)は、鉛直方向上方に変位している場合にキャリッジが回転した姿勢を示す図である。 ブラック、シアン、マゼンタ、イエローそれぞれの記録ヘッドを吐出口面(図1において下側)から見た平面図である。 キャリッジの主走査方向における姿勢の変化、およびBkノズル(ヘッド)とYノズル(ヘッド)とが主走査方向において所定の間隔をおいて配列することに起因した着弾位置ずれとその補正処理を説明する図である。 (A)および(B)は、それぞれ一従来例にかかる縦方向(副走査方向)の記録位置調整のためのパターンおよびその記録を説明する図である。 上記従来例の調整方法を説明する図である。
符号の説明
1 本体
2 キャリッジ
3 スタンド
4 トランスレーター
5 メインレール
6 サブレール
7 レール固定
8 レールステイ
9 サブレール固定
10 トランスレーターコロ
11 揺動コロ
12 揺動コロホルダ
13 コロバネ
14 プラテン
15 左側板
16 右側板
17 下ステイ
18 スライダー
19 記録ヘッド
20 軸受け
21 メディアセンサー

Claims (10)

  1. それぞれ複数の記録素子が一定の方向に配列した複数の記録素子列を前記一定方向とは異なる主走査方向に配列した記録ヘッドを記録媒体に対して前記主走査方向に走査して記録を行う記録装置において、
    前記複数の記録素子列の異なる記録素子列からそれぞれ選択される2つの記録素子であって、前記一定方向において一定の距離を有した2つの記録素子を用いてそれぞれ前記主走査方向に沿って延びる2つのパターンを記録し、前記主走査方向の位置における前記2つのパターンの前記一定方向の距離と前記2つの記録素子の前記一定の距離との差を求め、前記差と前記複数の記録素子列相互の前記主走査方向における距離に基づいて、記録素子の使用範囲が設定された前記複数の記録素子列を用いて前記主走査方向の位置の記録を行うことを特徴とする記録装置。
  2. 前記複数の記録素子列それぞれにおける記録素子の使用範囲を設定する記録素子列と基準となる記録素子列の主走査方向における距離の、前記パターンを記録した前記2つの記録素子を含むそれぞれの記録素子列の主走査方向における距離に対する割合を、前記差を当該使用範囲を設定する記録素子列の記録素子ピッチで割った値に乗じて求めた値の数の記録素子をシフトすることにより設定することを特徴とする請求項1に記戴の記録装置。
  3. 前記2つのパターンは前記記録ヘッドと共に移動するセンサによって検出され、該検出結果に基づいて前記2つのパターンの前記主走査方向の位置における前記一定方向の距離を求めることを特徴とする請求項1または2に記戴の記録装置。
  4. 前記記録素子はインクを吐出するノズルを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記戴の記録装置。
  5. それぞれ複数の記録素子が一定の方向に配列した複数の記録素子列を前記一定方向とは異なる主走査方向に配列した記録ヘッドを記録媒体に対して前記主走査方向に走査して記録を行う記録装置において、
    前記記録ヘッドの前記主走査方向における記録位置の姿勢変化に応じて、前記複数の記録素子列における基準記録素子列と他の記録素子列との前記主走査方向の距離に応じた当該他の記録素子列の記録素子使用範囲が設定され、該設定されたそれぞれの使用範囲の前記複数の記録素子列で当該記録位置の記録を行うことを特徴とする記録装置。
  6. それぞれ複数の記録素子が一定の方向に配列した複数の記録素子列を前記一定方向とは異なる主走査方向に配列した記録ヘッドを記録媒体に対して前記主走査方向に走査して記録を行う記録装置における記録位置調整方法において、
    前記複数の記録素子列の異なる記録素子列からそれぞれ選択される2つの記録素子であって、前記一定方向において一定の距離を有した2つの記録素子を用いてそれぞれ前記主走査方向に沿って延びる2つのパターンを記録する工程と、
    前記主走査方向の位置における前記2つのパターンの前記一定方向の距離と前記2つの記録素子の前記一定の距離との差を求める工程と、
    前記差と前記複数の記録素子列相互の前記主走査方向における距離に基づいて、前記複数の記録素子列それぞれの記録素子の使用範囲を設定する工程と、
    を有したことを特徴とする記録位置調整方法。
  7. 前記使用範囲を設定する工程は、前記複数の記録素子列それぞれにおける記録素子の使用範囲を設定する記録素子列と基準となる記録素子列の主走査方向における距離の、前記パターンを記録した前記2つの記録素子を含むそれぞれの記録素子列の主走査方向における距離に対する割合を、前記差を当該使用範囲を設定する記録素子列の記録素子ピッチで割った値に乗じて求めた値の数の記録素子をシフトすることにより設定することを特徴とする請求項6に記戴の記録位置調整方法。
  8. 前記2つのパターンは前記記録ヘッドと共に移動するセンサによって検出され、該検出結果に基づいて前記2つのパターンの前記主走査方向の位置における前記一定方向の距離を求めることを特徴とする請求項6または7に記戴の記録位置調整方法。
  9. 前記記録素子はインクを吐出するノズルを含むことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記戴の記録位置調整方法。
  10. それぞれ複数の記録素子が一定の方向に配列した複数の記録素子列を前記一定方向とは異なる主走査方向に配列した記録ヘッドを記録媒体に対して前記主走査方向に走査して記録を行う記録装置における記録位置調整方法において、
    前記記録ヘッドの前記主走査方向における記録位置の姿勢変化を検出する工程と、
    該検出された姿勢変化に応じて、前記複数の記録素子列における基準記録素子列と他の記録素子列との前記主走査方向の距離に応じた当該他の記録素子列の記録素子使用範囲を設定する工程と、
    を有したことを特徴とする記録位置調整方法。
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